JP2018130781A - Nc旋盤及びこれを用いた切削加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工具ホルダの回転軸線と回転切削工具の中心軸線との間の位置ずれの影響を少なくして被加工物を高精度で加工することができるNC旋盤を提供する。【解決手段】被加工物を保持するためのチャック手段が装着された主軸と、この主軸を回動させるための主軸駆動源22と、被加工物を切削加工するための回転切削工具と、この回転切削工具を回動させるための工具回転用駆動源30と、主軸駆動源22及び工具回転用駆動源30を制御するためのコントローラ52とを備えたNC旋盤。コントローラ52は、回転切削工具の回転数rが主軸の回転数Rのn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように主軸駆動源22及び工具回転用駆動源30を同期させて回転制御する。この同期回転制御は、第1回目の切削加工時と第2回目(又は第2回目以降)の切削加工時とは、同じ回転条件でもって行われる。【選択図】図5

Description

本発明は、被加工物を高精度に加工することができるNC旋盤及びこれを用いた切削加工方法に関する。
被加工物を例えば非円形形状に加工するNC旋盤(及びこれを用いた加工方法)として、回転切削工具を用いたものが提案されている。このNC旋盤は、被加工物を保持するためのチャック手段が装着された主軸と、主軸を回転自在に支持する主軸台と、主軸を回動させるための主軸駆動源と、被加工物を切削加工するための回転切削工具と、回転切削工具が取り付けられた支持テーブルと、回転切削工具を回動させるための工具回転用駆動源とを備え、主軸台と支持テーブルのいずれか一方が他方に対して第1の方向(例えば、Z軸方向)に相対的に移動自在に旋盤本体に支持され、また主軸台と支持テーブルのいずれか一方がそれらの他方に対して第1の方向に対して実質上垂直な第2の方向(例えば、X軸方向)に移動自在に旋盤本体に支持されている。
このNC旋盤においては、主軸(これと一体的にチャック手段及び被加工物)が主軸駆動源によって回動され、また回転切削工具が工具回転用駆動源によって回動され、この回転する回転切削工具が被加工物に作用することによって、被加工物に対する切削加工が行われる。
特開2012−71381号公報
しかしながら、このようなNC旋盤(これを用いた加工方法)では、主軸駆動源(即ち、主軸)と工具回転用駆動源(即ち、回転切削工具)とが別個独立して回転制御されるために、被加工物を所定形状に高精度に加工することが難しいという問題がある。
このNC旋盤においては、支持テーブルに工具ホルダが回転自在に支持され、この工具ホルダに回転切削工具が装着される。また、切削駆動源は工具ホルダに駆動連結され、この工具ホルダを介して回転切削工具が一体的に回転される。このような支持構造を介して回転切削工具が支持テーブルに取り付けられるので、工具ホルダへの回転切削工具の取付けに誤差が生じると、工具ホルダの回転軸線と回転切削工具の中心軸線との間に位置ずれが生じ、この工具ホルダに回転切削工具が偏心して取り付けられた状態となる。従って、回転切削工具が工具ホルダの回転軸線を中心として偏心した状態で回転するために、回転切削工具の回転角度位置によって、その回転刃先部における被加工物に作用する部位の加工作用半径(換言すると、工具ホルダの回転軸線と回転刃先部の切削作用部位までの距離)が変動し、このことに起因して被加工物を高精度に加工することが難しくなる。
本発明の目的は、工具ホルダの回転軸線と回転切削工具の中心軸線との間の位置ずれの影響を少なくして被加工物を高精度で加工することができるNC旋盤及びこれを用いた切削加工方法を提供することである。
本発明の請求項1に記載のNC旋盤は、被加工物を保持するためのチャック手段が装着された主軸と、前記主軸を回転自在に支持する主軸台と、前記主軸を回動させるための主軸駆動源と、被加工物を切削加工するための回転切削工具と、前記回転切削工具が取り付けられた支持テーブルと、前記回転切削工具を回動させるための工具回転用駆動源と、前記主軸台及び前記支持テーブルのいずれか一方をそれらの他方に対して第1の方向に相対的に移動自在に支持する第1支持機構と、前記主軸台及び前記支持テーブルのいずれか一方をそれらの他方に対して前記第1の方向に対して実質上垂直な第2の方向に相対的に移動自在に支持する第2支持機構と、前記主軸駆動源及び前記工具回転用駆動源を制御するためのコントローラとを備えたNC旋盤において、
前記コントローラは、前記回転切削工具の回転数(r)が前記主軸の回転数(R)のn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように前記主軸駆動源及び前記工具回転用駆動源を同期させて回転制御することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載のNC旋盤では、前記回転切削工具は、前記支持テーブルに取り付けられた工具ホルダに装着され、前記コントローラは、加工寸法条件を補正設定するための補正加工条件設定手段を含み、前記補正加工条件設定手段は、加工寸法条件に前記回転切削工具の中心軸線と前記工具ホルダの回転軸線との位置ずれを反映させた補正加工寸法条件を設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載のNC旋盤では、前記回転切削工具の切削刃先部は円形状であり、前記回転切削工具の前記切削刃先部は、前記主軸の中心軸線から所定距離上下方向上方又は下方にオフセットしていることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載のNC旋盤を用いた加工方法は、工具回転軸線を中心として回転する回転切削工具の回転数(r)を前記被加工物をチャック手段を介して回転させる主軸の回転数(R)のn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように前記回転切削工具及び前記主軸の回転を同期させて第1加工寸法条件でもって被加工物を切削加工する第1切削加工工程と、
前記第1切削加工工程の後に、前記第1切削加工工程における前記第1加工寸法条件と切削加工した被加工物の外形寸法から前記回転切削工具の中心軸線と前記回転切削工具を取り付ける工具ホルダの回転軸線との位置ずれを算出する工具位置ずれ算出工程と、
前記工具位置ずれ算出工程の後に、第2加工寸法条件に前記回転切削工具の前記位置ずれを反映させた第2補正加工寸法条件を設定する第2補正加工条件設定工程と、
前記第1切削加工工程と同じ回転条件でもって前記回転切削工具及び前記主軸を同期回転させ、前記第2補正加工条件設定工程にて設定した前記第2補正加工寸法条件でもって被加工物を切削加工する第2切削加工工程と、
を含むことを特徴とするNC旋盤を用いた切削加工方法。
本発明の請求項1に記載のNC旋盤によれば、被加工物を切削する工具として回転切削工具が用いられ、この回転切削工具が工具回転用駆動源により回転駆動され、被加工物をチャック手段を介して一体的に回動させる主軸が主軸駆動源により回転駆動され、この回転切削工具の回転数(r)が主軸の回転数(R)のn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように同期して回転制御されるので、被加工物の被加工回転角度部位と回転切削工具の切削回転角度部位とが所定の関係に保つことができ、回転切削工具の切削点と被加工物への工具接触点とが常に同じ断面で同じようになる。従って、同じ回転切削工具を用い且つこの所定の関係を保って第2回目の切削加工を行うことにより、回転切削工具の同じ切削作用状態での加工が可能となる。そして、この第2回目の切削加工の際に、第1回目の加工誤差を補正する補正条件を加えることにより、第1回目の切削加工のときに生じた加工誤差を少なくすることができ、これによって、被加工物に対する高精度の切削加工が可能となり、例えば被加工物を非円形形状に加工する場合において効果的に働き、非円形形状に高精度に加工することが可能となる。
また、本発明の請求項2に記載のNC旋盤によれば、補正加工条件設定手段は、加工寸法条件に回転切削工具の中心軸線とこの回転切削工具が装着される工具ホルダの回転軸線との位置ずれを反映させた補正加工寸法条件を設定するので、この補正加工寸法条件でもって第2回目の切削加工することにより、回転切削工具の中心軸線と工具ホルダの回転軸線との位置ずれ(換言すると、回転切削工具の取付誤差)の影響を少なくして高精度に切削加工することができる。
また、本発明の請求項3に記載のNC旋盤によれば、回転切削工具の切削刃先部は、主軸の中心軸線から所定距離上下方向上方(又は下方)にオフセットしているので、非円形形状に加工を行う際に被加工物と回転切削工具とが干渉する干渉範囲を狭くすることができ、これによって、種々の非円形加工に適用することが可能となる。
また、本発明の請求項4に記載のNC旋盤を用いた加工方法によれば、工具回転軸線を中心として回転する回転切削工具の回転数(r)を主軸の回転数(R)のn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように回転切削工具及び主軸の回転を同期させて被加工物を第1加工寸法条件でもって切削加工し、次いで、第1加工寸法条件と切削加工した被加工物の外形寸法から回転切削工具の中心軸線と工具ホルダの回転軸線との位置ずれを算出し、その後、第2加工寸法条件に回転切削工具の位置ずれを反映させた第2補正加工寸法条件を設定し、第1回目と同じ回転条件でもって回転切削工具及び主軸を同期回転させて第2補正加工寸法条件でもって被加工物を切削加工することにより、回転切削工具の中心軸線と工具ホルダの回転軸線との位置ずれの影響を少なくして高精度の切削加工が可能となる。
本発明に従うNC旋盤(及び本発明の切削加工方法の一例を適用したNC旋盤)の一実施形態を簡略的に示す斜視図。 図1のNC旋盤における回転切削工具及び被加工物の近傍を拡大して示す部分拡大斜視図。 非円形加工の際に生じる回転切削工具と被加工物との干渉を説明するための説明図。 回転切削工具と被加工物との干渉が解消されたことを説明するための説明図。 図1のNC旋盤の制御系を簡略的に示すブロック図。 図1のNC旋盤を用いた切削加工方法の流れを示すフローチャート。 工具ホルダに回転切削工具を取り付けたときの取付誤差を説明するための説明図。 回転切削工具の取付誤差が切削加工に与える影響を説明するための説明図。 回転切削工具の回転刃先部の切削作用部位を説明するための拡大平面図。 図6に示す切削加工方法を用いて切削加工したときの加工形状を説明するための説明図。
以下、添付図面を参照して、本発明に従うNC旋盤(本発明に従う切削加工方法の一例を適用したNC旋盤)について説明する。図1及び図2において、図示のNC旋盤2は、工場の床面などに設置されるベッド本体4を備え、ベッド本体4の片側部(図1において右上部)には主軸部6が配設され、この主軸部6とベッド本体4との間に第1支持機構(図示せず)が介在されている。主軸部6には主軸(図示せず)が回転自在に支持され、この主軸にチャック手段8が装着され、加工すべき被加工物10は、このチャック手段8に着脱自在に装着される。
第1支持機構は、第1の方向(主軸の軸線方向のZ軸方向であって、図1において左下から右上の方向)に延びる一対の第1案内支持部(図示せず)を有し、かかる一対の第1案内支持部がベッド本体4の片側部上面に配設され、主軸部6は、第1支持機構の一対の案内支持部に支持され、これらに沿って第1の方向に往復移動自在である。
また、ベッド本体4の他側部(図1において左下部)には支持テーブル12が配設され、この支持テーブル12とベッド本体4との間に第2支持機構(図示せず)が介在されている。支持テーブル12は矩形状であり、その上部に工具取付部14が設けられている。この工具取付部14には工具ホルダ16が回転自在に装着され、かかる工具ホルダ16に回転切削工具18が取り付けられる。
第2支持機構は、第1の方向に対して実質上垂直な第2の方向(主軸の軸線に対して実質上垂直なX軸方向であって、図1において右下から左上の方向)に延びる一対の第2案内支持部(図示せず)を有し、一対の第2案内支持部がベッド本体4の他側部上面に配置され、支持テーブル12は、第2支持機構の一対の第2案内支持部に支持され、これらに沿って第2の方向に往復移動自在である。
図5をも参照して、このNC旋盤2においては、主軸部6の主軸(図示せず)に関連して、例えば電動モータから構成される第1移動駆動源20及び主軸駆動源22が設けられ、第1移動駆動源20がベッド本体4に配設され、主軸駆動源22が主軸部6に配設されている。第1移動駆動源20と主軸部6との間には、例えばボールねじ機構(図示せず)が介在され、この第1移動駆動源20が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動すると、ボールねじ機構を介して主軸部6が第1支持機構(図示せず)に沿って矢印24(又は矢印26)で示す方向、即ち回転切削工具18に近接する方向(又は離隔する方向)に移動される。また、主軸駆動源22が所定方向に回動すると、主軸及びチャック手段8が矢印27で示す方向に回動される。尚、第1移動駆動源20及びボールねじ機構(図示せず)に代えてリニアモータ駆動源を含むリニアモータ駆動機構を採用するようにしてもよい。
更に、支持テーブル12の回転切削工具18に関連して、例えば電動モータから構成される第2移動駆動源28及び工具回転用駆動源30が設けられ、第2移動駆動源28がベッド本体4に配設され、工具回転用駆動源30が支持テーブル12に配設されている。第2移動駆動源28と支持テーブル12との間には、例えばボールねじ機構(図示せず)が介在され、この第2移動用駆動源28が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動すると、ボールねじ機構を介して支持テーブル12が第2支持機構(図示せず)に沿って矢印32(又は矢印34)で示す方向、即ちベッド本体4の背面側に向けて(又はベッド本体4の手前側に向けて)に移動される。また、工具回転用駆動源30が所定方向に回動すると、工具ホルダ16及び回転切削工具18は、矢印36(図2参照)で示す方向に回動される。尚、この実施形態では、回転切削工具18は、図2において上から見て反時計方向(矢印36で示す方向)に回転させているが、これとは反対に、図2において上から見て時計方向に回転させるようにしてもよい。また、この支持テーブル12の往復動に関しても、第2移動駆動源28及びボールねじ機構(図示せず)に代えてリニアモータ駆動源を含むリニアモータ駆動機構を採用するようにしてもよい。
このNC旋盤2においては、図2及び図7〜図10に示すように、回転切削工具18は、断面が円形状のものから構成され、その上端部全周が回転刃先部40として機能し、この回転刃先部40は円形状であり、後述するように回転しながら被加工物10の表面に作用して切削加工を行う。
また、この回転切削工具18の回転刃先部40は、主軸(図示せず)の中心軸線(換言すると、チャック手段8に保持された被加工物10の中心軸線)よりも上下方向下方に所定オフセット量H(図4参照)ずれるように支持テーブル12(具体的には、工具ホルダ16)に取り付けられており、このように回転切削工具18をオフセットさせることにより、切削加工時の回転切削工具18と被加工物10とが干渉する干渉範囲を狭くすることができ、種々の非円形加工を行うことが可能となる。
図3及び図4を参照して、回転切削工具18と被加工物10との干渉について説明すると、図3に示すように、主軸(図示せず)の中心点O(換言すると、被加工物10の中心点)と回転切削工具18の回転刃先部40とが上下方向に一致する(主軸の中心点Oと回転刃先部40とを結ぶ線L1が水平となる)ように回転切削工具18を取り付けた場合、例えば、被加工物10の一部が楕円状に突出する形状である(例えば、カムシャフトのカム部などである)と、回転切削工具18と被加工物10とが加工中に干渉するようになる。
即ち、図3に破線で示すように、被加工物10の円弧状部及びその付近を加工するときには、回転切削工具18の回転刃先部40の上流側(矢印42で示す被加工物10の回転方向上流側)に被加工物10の急激な突部は存在せず、回転切削工具18と被加工物10との相互干渉は生じないが、図3に実線で示すように、被加工物10の楕円状突出部の先端部付近を加工するときには、回転切削工具18の回転刃先部40の上流側に被加工物10の急激な突部が存在し、この急激な突部が回転切削工具18に衝突し、被加工物10と回転切削工具18との相互干渉が生じるようになり(図3に斜線で示す領域43が回転切削工具18と干渉するようになる)、この回転切削工具18でもって被加工物10を加工できない。
これに対して、図4に示すように、回転切削工具18の回転刃先部40が主軸(図示せず)の中心点O(被加工物10の中心点)よりも上下方向下方に所定オフセット量Hずれる(換言すると、回転刃先部40を通る線L1と並行な線をL2とすると、線L1と線L2との間隔がHとなる)ように回転切削工具18を取り付けた場合、例えば、被加工物10が図3に示すと同様の形状であったとしても、この所定オフセット量Hによって、回転切削工具18と被加工物10との相互干渉を回避することができる。
即ち、図4に破線で示すように、被加工物10の円弧状部及びその付近を加工するときには、回転切削工具18の回転刃先部40の上流側(矢印42で示す被加工物10の回転方向上流側)に被加工物10の急激な突部は存在せず、回転切削工具18と被加工物10との相互干渉は生じることはなく、また図4に実線で示すように、被加工物10の楕円状突出部の先端部付近を加工するときにおいても、回転切削工具18の回転刃先部40の上流側に被加工物10の急激な突部が存在せず、このときにも回転切削工具18と被加工物10との相互干渉が生じることはなく、従って、回転切削工具18自体が同じものであっても図3及び図4に示す形状の被加工物10を加工することが可能となる。尚、この回転切削工具18の上下方向のオフセットは、上下方向上方にオフセットさせてもよく、上方にオフセットさせても下方にオフセットさせたと同様の作用効果が達成される。
このNC旋盤2は、図5に示す制御系を備えており、後述する如くして作成されるNC加工データを用いて被加工物10(例えば、図2に示すような三次元カム)の切削加工を行うことができる。図5において、この制御系は、NC旋盤2の各種構成要素、例えば第1移動駆動源20、主軸駆動源22、第2移動駆動源28及び工具回転用駆動源30などを制御するためのコントローラ52を備えている。コントローラ52は、データを読み込むためのデータ読込み手段54と、データを読み出すためのデータ読出し手段56と、各種構成要素(第1移動駆動源20など)を制御するための制御手段58と、各種データを記憶するメモリ手段60とを備えている。
また、このコントローラ52は、更に、回転切削工具18の工具ホルダ16への取付誤差を反映させて加工寸法条件を後述する如く補正して補正加工寸法条件を演算するための補正加工条件演算手段62と、演算した補正加工寸法条件を設定するための補正加工条件設定手段64とを含んでいる。
また、NC旋盤2は、各種データを入力するための入力装置66を備え、この入力装置66は、操作パネルなどから構成される操作入力手段68と、作成した加工条件データを入力するためのデータ入力手段70とを備え、操作入力手段68を操作入力することによって、手動操作でもって加工条件データを入力することができ、またデータ入力手段70を用いることによって、別個のコンピュータ(図示せず)を用いて作成した加工条件データなどを入力することができる。
このNC旋盤2においては、主軸(図示せず)(即ち、被加工物10)と回転切削工具18とを同期して回転駆動するために、更に、次のように構成されている。即ち、主軸には、その回転角度を検知するための主軸回転角度検知手段72が設けられ、また工具ホルダ16には、その回転角度(換言すると、これと一体的に回動する回転切削工具18の回転角度)を検知するための工具回転角度検知手段74が設けられ、これら回転角度検知手段72,74は、例えばロータリーエンコーダなどを用いることができる。主軸回転角度検知手段72及び工具回転角度検知手段74からの検知信号はコントローラ52に送給される。また、コントローラ52の制御手段58は回転同期手段76を含み、この回転同期手段76は、主軸の回転と回転切削工具18(工具ホルダ16)の回転とを同期して回転させる。
このようにして同期回転される回転切削工具18及び主軸(図示せず)の回転数は、次のように構成される。この回転切削工具18の回転数(r)が主軸の回転数(R)のn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように、例えば1倍となるように設定される。このように設定することにより、回転切削工具18の回転刃先部40の切削作用部位(例えば、特定作用部位)と、被加工物10の被切削部位(例えば、特定被切削部位)とが関連付けられ、一定の関連付けを持って被加工物10を切削加工することができる。
次に、主として図2及び図5とともに図6〜図10を参照して、上述したNC旋盤2を用いた切削加工について説明する。この切削加工方法では、回転切削工具18の取付誤差の影響を抑えて加工することができる。
まず、回転切削工具18の取付誤差について、図7及び図9を参照して説明する。例えば、工具ホルダ16は、工具回転用駆動源30の作用によって回転軸線Q1を中心として回転される。この工具ホルダ16に回転切削工具18を取り付けた場合、その取付誤差がないとこの回転軸線Q1と回転切削工具18の中心軸線Q2とは一致し、工具ホルダ16と回転切削工具18とは同心状に回転される。
一方、上述のように取り付けた場合に回転切削工具18の取付誤差が発生すると、工具ホルダ16の回転軸線Q1と回転切削工具18の中心軸線Q2との間に位置ずれが生じ、その位置ずれ量は、例えば図7に示すように、工具ホルダ16の回転軸線Q1と回転切削工具18の中心軸線Q2との間隔Wとなる。このように位置ずれが生じると、回転切削工具18は、工具ホルダ16に偏心して取り付けられた状態となり、このように偏心した状態で回転すると、その回転は、例えば図9に示すようになり、工具ホルダ16の回転軸線Q1を中心として振れた状態となり、回転切削工具18の回転角度位置によって、その回転刃先部40における被加工物10に作用する切削作用部位の加工作用半径(即ち、工具ホルダ16の回転軸線Q1から回転切削工具18における回転刃先部40の切削作用部位までの距離)が変動し、この加工作用半径の変動に起因して、被加工物10を高精度に加工することが難しくなる。このNC旋盤2では、次のようにして切削加工することにより、この加工作用変動をほぼ解消して高精度の加工が可能になる。
次に、主として図6を参照して、このNC旋盤2を用いた切削加工の流れについて説明する。切削加工を行うには、まず、被加工物10を切削加工する外形加工条件(即ち、加工寸法条件)の設定が行われる(第1加工寸法条件設定工程S1)。被加工物10を非円形形状に加工する場合には、例えば、次のようにして加工寸法条件が作成される。この加工寸法条件の作成には、NC旋盤2の入力装置66とは別個のコンピュータ(例えば、パソコン)(図示せず)が用いられ、このコンピュータにて加工寸法条件が作成され、その後、この加工寸法条件をコントローラ52に読み込む際に加工に必要な命令が付加されてNC加工データが作成され、作成されたNC加工データがコントローラ52のデータ読込み手段54によりメモリ手段60に登録される。
旋削用加工データ(例えば、第1回目の加工寸法条件)を作成するには、被加工物10(例えば、図2に示す三次元カム)の形状に関するデータ(即ち、被加工物10の設計データ)の読込みが行われ、このデータの読込みは、例えば、パソコンを用いて行われる。そして、図4に示す位置関係に回転切削工具18をオフセットし、被加工物10の所定回転角度(即ち、主軸の所定回転角度)毎の被加工物10の加工位置を設定する。この所定回転角度は、例えば1度の角度に設定することができ、1度に設定した場合、被加工物10の全周を360に分割して次の通りの作業が行われる。
各加工位置において回転切削工具18のすくい面と被加工物10の形状表面(例えば、三次元カムの表面)との交線を作成し、この交線をスプライン曲線として表す。このスプライン曲線については、主軸の回転数と回転切削工具18の送りに同期した点群データを作成し、これら点群データ間については補間し、上述の交線の全体を補間するようにしてスプライン曲線を作成する。
このようにして得られた交線のスプライン曲線上に回転切削工具18の送り量を考慮した通過点を改めてこのスプライン曲線上に作成する。このとき、回転切削工具18の形状に起因して、その半径の影響でもって加工位置により切込みすぎる箇所が生じるために、回転切削工具18のすくい面上においてスプライン曲線の法線方向に回転切削工具18の半径Rだけオフセットした基準点軌跡点列を作成する。この場合、回転切削工具18の中心点を基準にして回転切削工具18の第1の方向の送り量及び第2方向の送り量が決定されるので、この基準点(回転切削工具18の中心点)の軌跡点列が作成される。そして、この基準点軌跡点列を連結することによって、軌跡点列連結データが作成される。
その後、基準点軌跡点列を連結した軌跡点列連結データに基づいて被加工物10の所定回転角度毎の第1の方向における送り速度が一定となる補正基準点軌跡点列を作成し、更にこの補正基準点軌跡点列を連結した補正軌跡点列連結データ(換言すると、補正基準点軌跡点列を連結したスプライン曲線)に基づいて主軸(即ち、被加工物10)の所定回転角度毎の第2方向の送り量を算出し、第1の方向の所定送り量及び第2の方向の算出された送り量に基づいて、加工寸法条件としての旋削加工データ(第1加工寸法条件)が作成される。この切削加工データの作成方法については、特開2012−71381号公報に開示されたものと同様の内容であり、その詳細については、特開2012−71381号公報を参照されたい。
このようにして作成された旋削加工データが、コンピュータ(図示せず)から入力装置66のデータ入力手段70を介してコントローラ52に入力され、かかる入力の際に、操作入力手段68を入力操作して必要な命令が付加され、このようにしてNC加工データ、即ち第1回目の切削加工を行う第1加工寸法条件を含む加工データがコントローラ52のメモリ手段60に登録される。
そして、このように登録されたNC加工データを用いて第1回目の切削加工が行われる(第1切削加工工程S2)。この第1切削加工工程S2においては、被加工物10の第1回目の加工時に、データ読出し手段56によりメモリ手段60から読み出され、制御手段58は読み出されたNC加工データに基づいて第1移動駆動源20及び第2移動駆動源28を作動制御し、これによって、主軸部6(即ち、被加工物10)は、主軸の所定回転角度毎に第1の方向に所定送り量だけ移動するとともに、支持テーブル12(即ち、回転切削工具18)は、第2の方向に算出された送り量だけ移動する。このとき、制御手段58は、主軸駆動源22及び工具回転用駆動源30を同期して作動制御し、被加工物10の回転及び回転切削工具18の回転によって、被加工物10は、所望の三次元形状に切削加工され、回転切削工具18の回転刃先部40は、図2に曲線Yで示すように被加工物10に作用する。
このようにして第1回目の切削加工(第1切削加工工程S2)が行われた後、被加工物10の外形形状(外形寸法)を測定し、この測定した外形寸法(加工後の外形寸法)と加工前に設定した第1加工寸法条件とに基づいて回転切削工具18の位置ずれ量を算出する(工具位置ずれ算出工程S3)。この算出された位置ずれ量は、例えば、操作入力手段68により入力され、入力された位置ずれデータは、メモリ手段60に登録される。
第1回目の切削加工においては、主軸(即ち、被加工物10)の回転数と工具ホルダ16(即ち、回転切削工具18)の回転数とが所定の関係で同期回転して切削加工が行われるので、被加工物10の被加工回転角度部位(特定被加工回転角度部位)と回転切削工具18の回転刃先部40の切削回転角度部位(特定切削回転角度部位)とが関連付けられて切削加工が行われ、回転切削工具18の位置ずれ(所謂、取付誤差)が加工後の被加工物10の外形形状(外形寸法)として現れるようになり、従って、被加工物10の加工後の外形寸法(加工後の外形寸法)と加工前の第1加工寸法条件とに基づいて回転切削工具18の位置ずれ量を算出することが可能となる。
この実施形態では、第1回目の加工条件データ(第1加工寸法条件を含むテータ)と同様にして第2回目の加工条件データ(第2加工寸法条件を含むデータ)が作成され、作成された加工条件データは、入力装置68のデータ入力装置70から入力され、第2回目の切削加工データ(第2加工寸法条件を含んだデータ)に変換されてメモリ手段60に登録される(第2加工寸法条件入力工程S4)。
このように入力された第2回目の加工寸法条件は、コントローラ62の補正加工条件演算手段62により、回転切削工具18の位置ずれ量を反映した補正加工条件に補正演算され(補正加工条件演算工程S5)、2回目の切削加工における加工条件として、この補正加工条件(所謂、第2補正加工寸法条件)が補正加工条件設定手段64により設定され、メモリ手段60に登録される(第2補正加工条件設定行程S6)。
その後、設定された第2補正加工条件(第2補正加工寸法条件)でもって、上述したと同様にして被加工物10に対する第2回目の切削加工が行われる(第2切削加工工程S7)。この第2回目の切削加工においても、主軸(即ち、被加工物10)の回転数と工具ホルダ16(即ち、回転切削工具18)の回転数とが、第1回目の切削加工と同じ回転条件(例えば、同じ回転数)で同期回転して切削加工が行われ、このようにすることにより、第2回目の切削加工時における被加工物10の被加工回転角度部位(特定被加工回転角度部位)と回転切削工具18の回転刃先部40の切削回転角度部位(特定切削回転角度部位)とが、第1回目の切削加工時と同様の関連付けでもって切削加工され、 これによって、第2回目の切削加工においても回転切削工具18の回転刃先部40の特定切削回転角度位置が被加工物10の特定被加工回転角度部位に作用して切削加工が行われる。
このとき、第2回目の加工条件については、第2回目の加工条件に回転切削工具18の位置ずれ量を反映させて補正した第2補正加工寸法条件を含む切削加工データとなっているので、この第2補正加工寸法条件においては、この位置ずれ量を解消した条件となっており、それ故に、この第2補正加工寸法条件を用いた切削加工では、回転切削工具18の位置ずれの切削加工に及ぼす影響を抑えることができ、その結果、被加工物10を高精度に加工することが可能となる。
このことを図7〜図10を参照して説明すると、例えば、回転切削工具18を工具ホルダ16に取り付けたときに、図7に示すように、この工具ホルダ16の回転軸線Q1に対して回転切削工具18の中心軸線Q2が距離Wだけ位置ずれしているとすると、この位置ずれに起因して、回転切削工具18は、工具ホルダ16の回転軸線Q1を中心として偏心して回転して被加工物10の表面に作用する。例えば、図8に示すように切削加工するときには、切削位置P1(P2,P3,P4)においては、この回転切削工具18の回転刃先部40の部位A1(A2,A3,A4)が作用して切削加工が行われ、このときの各切削位置P1(P2,P3,P4)における回転切削工具18(回転刃先部40)の被加工物10に作用する部位A1(A2,A3,A4)は、図9に示す位置関係となる。
この図9において、切削位置P1(P2,P3,P4)における回転切削工具18の回転刃先部40の状態は実線(破線、一点鎖線、二点鎖線)で示す位置関係となり、回転切削工具40の位置ずれがあると、その回転角度位置によって被加工物10に作用する部位が変動し、高精度の切削加工が難しくなる。従って、位置ずれがあるときの被加工物10の切削後の形状は、図8に実線で示すようになる。
この位置ずれが存在しない(即ち、工具ホルダ16の回転中心Q1と回転切削工具18の中心軸線Q2とが一致する)場合、回転切削工具40は、図8に破線で示すように被加工物10に作用し、その切削加工後の被加工物10の外形形状は、図8に破線で示すようになり、この図8からも理解されるように、位置ずれが存在していると高精度に切削加工することが難しいことがわかる。
これに対して、主軸(被加工物10)と回転切削工具18とを同期して回動させたときには、図10に示すように、被加工物10の所定切削部位P1(P2,P3,P4)には回転切削工具18の所定切削作用部位が作用して切削加工が行われる。そして、このとき、回転切削工具18の位置ずれを補正して切削加工すると、この位置ずれの切削加工に及ぼす影響をほとんどなくすことができ、加工後の形状は、図10に実線で示すように設計データに実質上一致する形状となり、被加工物10を高精度に加工することができる。尚、図10において、設計データを一点鎖線Xで示している。
第3回目以降については、第3回目(第4回目、第5回目・・・)の加工条件(加工寸法条件)にこの位置ずれ量を反映させた補正を行うようにすればよい。このようにすることに代えて、より高精度の加工を行うときには、第1回目の切削加工後に行ったように、第3回目(第4回目、第5回目・・・)の加工条件(加工寸法条件)を補正するときに、第2回目(第3回目、第4回目・・・)の切削加工後に回転切削工具18の位置ずれを再度算出し、この算出した位置ずれ量を用いて次の切削加工の補正加工条件(補正加工寸法条件)を設定するようにすることもできる。
尚、この実施形態では、コントローラ52側で補正加工条件(補正加工寸法条件)を補正演算しているが、例えばコンピュータ(図示せず)側で補正加工条件(補正加工寸法条件)を作成し、この作成した補正加工条件をデータ入力装置70を介してコントローラ52に入力するようにしてもよい。
以上、本発明に従うNC旋盤(及びこれを用いた切削加工方法)の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態では、回転切削工具18が取り付けられた支持テーブル12に対して主軸部6(即ち、主軸)が第1の方向に往復移動される形態のNC旋盤に適用して説明したが、このような形態のNC旋盤に限定されず、主軸部6に対して支持テーブル12が第1の方向に往復移動される形態のものにも同様に適用することができる。
また、例えば、上述した実施形態では、主軸部6(即ち、主軸)に対して支持テーブル12が第2の方向に往復移動される形態のNC旋盤に適用して説明したが、このような形態のNC旋盤に限定されず、支持テーブル12に対して主軸部6が第2の方向に往復移動される形態のものにも同様に適用することができる。
また、例えば、上述した実施形態では、回転切削工具18により被加工物10を非円形形状に切削加工する場合に適用して説明したが、被加工物10を適宜の形状、例えば円形状などに切削加工する場合などに広く適用することができる。
2 NC旋盤
4 ベッド本体
6 主軸部
10 被加工物
12 支持テーブル
16 工具ホルダ
18 回転旋削工具
20 第1移動駆動源
22 主軸駆動源
28 第2移動駆動源
30 工具回転用駆動源
52 コントローラ
64 補正加工条件設定手段
76 回転同期手段






Claims (4)

  1. 被加工物を保持するためのチャック手段が装着された主軸と、前記主軸を回転自在に支持する主軸台と、前記主軸を回動させるための主軸駆動源と、被加工物を切削加工するための回転切削工具と、前記回転切削工具が取り付けられた支持テーブルと、前記回転切削工具を回動させるための工具回転用駆動源と、前記主軸台及び前記支持テーブルのいずれか一方をそれらの他方に対して第1の方向に相対的に移動自在に支持する第1支持機構と、前記主軸台及び前記支持テーブルのいずれか一方をそれらの他方に対して前記第1の方向に対して実質上垂直な第2の方向に相対的に移動自在に支持する第2支持機構と、前記主軸駆動源及び前記工具回転用駆動源を制御するためのコントローラとを備えたNC旋盤において、
    前記コントローラは、前記回転切削工具の回転数(r)が前記主軸の回転数(R)のn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように前記主軸駆動源及び前記工具回転用駆動源を同期させて回転制御することを特徴とするNC旋盤。
  2. 前記回転切削工具は、前記支持テーブルに取り付けられた工具ホルダに装着され、前記コントローラは、加工寸法条件を補正設定するための補正加工条件設定手段を含み、前記補正加工条件設定手段は、加工寸法条件に前記回転切削工具の中心軸線と前記工具ホルダの回転軸線との位置ずれを反映させた補正加工寸法条件を設定することを特徴とする請求項1に記載のNC旋盤。
  3. 前記回転切削工具の切削刃先部は円形状であり、前記回転切削工具の前記切削刃先部は、前記主軸の中心軸線から所定距離上下方向上方又は下方にオフセットしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のNC旋盤。
  4. 工具回転軸線を中心として回転する回転切削工具の回転数(r)を前記被加工物をチャック手段を介して回転させる主軸の回転数(R)のn倍又は1/n倍(n:「1」以上の整数)となるように前記回転切削工具及び前記主軸の回転を同期させて第1加工寸法条件でもって被加工物を切削加工する第1切削加工工程と、
    前記第1切削加工工程の後に、前記第1切削加工工程における前記第1加工寸法条件と切削加工した被加工物の外形寸法から前記回転切削工具の中心軸線と前記回転切削工具を取り付ける工具ホルダの回転軸線との位置ずれを算出する工具位置ずれ算出工程と、
    前記工具位置ずれ算出工程の後に、第2加工寸法条件に前記回転切削工具の前記位置ずれを反映させた第2補正加工寸法条件を設定する第2補正加工条件設定工程と、
    前記第1切削加工工程と同じ回転条件でもって前記回転切削工具及び前記主軸を同期回転させ、前記第2補正加工条件設定工程にて設定した前記第2補正加工寸法条件でもって被加工物を切削加工する第2切削加工工程と、
    を含むことを特徴とするNC旋盤を用いた切削加工方法。










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