JP2018130734A - 金属帯の圧延方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような規制は工程管理を複雑にするばかりでなく、圧延ラインより上流の加熱炉の操業をも規制するなど、大きな障害となっていた。このため、板幅や板厚の異なった製品をランダムに圧延する、いわゆるスケジュールフリー圧延が要望されていた。
なお、圧延荷重によるロールの撓みを補償する機構としてワークロールクロスやベンダーがあるが、これらは摩耗や熱膨張のような幅方向に不均一なプロフィルを制御することはできない。
特許文献2では、ワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる評価関数を各被圧延材のシフト位置を仮定して計算し、評価関数が最小となるようなシフト位置を圧延サイクルで圧延予定の全被圧延材について決定する方法が提案されている。
特許文献3では、圧延サイクルにおいて圧延予定の全被圧延材に対し、ワークロールプロフィルを予測計算より求め、目標とするプロフィルになるようにワークロールシフト位置を決定する方法が提案されている。
特許文献2 特開昭63−260615号公報
特許文献3 特許第5924065号公報
逐次、新たに可能なワークロールシフト位置を仮定して定め、同様の計算を繰り返し、圧延順の全候補について、評価関数J1、J2、J3およびJ4を求め、前記のワークロールシフト位置の全てについて求まるJ4同士を比較して、J4が最小となるときの各圧延順のワークロールシフト位置を当該圧延サイクルにおけるワークロール位置として決定することを特徴とする。
本発明では、圧延サイクルにおいて圧延予定の全被圧延材についての、被圧延材1本毎のワークロールのシフト位置を仮定して定め、この定められたシフト位置について、ワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる評価関数J1を、被圧延材板幅方向の1点以上の評価点毎に計算して求めて、これらを全評価点について合計して評価関数J2を求め、これらを圧延予定の全被圧延材について合計して評価関数J3を求め、さらに圧延順パターンの全候補について計算したJ3を合計して評価関数J4を求める。
ワークロールシフト位置については、例えば乱数表を用いて被圧延材1本毎のワークロールシフト位置を仮定することにより定めることができる。
なお、ワークロールのシフト位置を仮定して定める手法は、上記のものに限るものではない。
このように、圧延サイクルを構成する全被圧延材の圧延順パターンの全候補は一義的に決定することができる。
(ステップ1)
被圧延材の幅方向に1点以上の評価点A、B、C・・・を定め、評価点A、B、C・・・でのワークロールプロフィルの目標値を、各被圧延材について、圧延順に設定する。ワークロールの胴長中央と左右両評価点A,B,C・・・を放物線や楕円などの2次曲線で結ぶように設定するのが好ましい。なお、評価点は、例えば、図2に示すように、A(最板端から25mm)、B(同50mm)、C(同75mm)という具合に、板幅方向の1点以上に仮定する。ここではA、BおよびCの3点を示したが、さらに、例えばD(同100mm)、E(同150mm)、F(同200mm)というように評価点を増やすことも可能である。
上記評価点の最板端からの距離についても具体的な数値はあくまで一例であり、本発明は、ここでの例に一義的に限定するものではない。
圧延予定の全被圧延材について、被圧延材1本毎のワークロールのシフト位置を仮定して定める。ここで、ワークロールのシフト位置については、例えば乱数表を用いて被圧延材1本毎のワークロールシフト位置を仮定することにより定めることができる。
全被圧延材の圧延順パターン候補の一つに対し、ステップ2で仮定されたシフト位置について、ワークプロフィルの予測値と目標値とから下記の式(1)に基づいて、各評価点での被圧延材1本の評価関数J1を計算する。
評価点A、B、C・・・の全てについて下記の式(2)に基づいて式(1)の評価関数J1を合計して評価関数J2を求める。
圧延サイクルにおける全被圧延材について、下記の式(3)に基づいて式(2)の評価関数J2を合計して評価関数J3を求める。
全被圧延材の圧延順パターンを変更して、ステップ3〜5を繰り返し、式(4)に基づき、全ての圧延順パターンに対しJ3を合計し、評価関数J4を求める。
そして、逐次、圧延サイクルにおいて圧延予定の全被圧延材について、新たに可能なワークロールシフト位置を、例えば乱数表を用いて仮定して定め、同様の計算を繰り返して、評価関数J1、J2、J3およびJ4を求める。
可能なシフト位置すべてについて求められたJ4の値同士を比較して、その中で最も小さい場合の、全被圧延材のワークロールシフト位置を当該圧延サイクルのワークロールシフト位置として決定する。
ワークロールプロフィルの目標値は、図3に示すように、被圧延材上の駆動側(ドライブサイド:Ds)と被駆動側(ワークサイド:Fs)の各評価点、例えばA〜C点と接するワークロール箇所のワークロール半径の平均と、ワークロールの胴長中央のワークロール半径との差を下記の式(5)に基づいて計算し、上下ワークロールについて合計して求める。ワークロールプロフィルの胴長中央と左右両評価点A〜Cを放物線や楕円などの2次曲線で結ぶように設定するのが好ましい。
例えば、ワークロールの熱膨張については、下記の式(6)に基づいて、また、摩耗量については下記の式(7)に基づいて予測計算することができる。そして、ワークロールプロフィルは、両者を合計して、下記の式(8)に基づいて予測計算値することができる。
仕上げ板厚2.0〜4.0mm、仕上げ板幅800〜1400mmの低炭素鋼の被圧延材81本から構成される圧延サイクルについて本発明を実施した。
板幅方向の評価点は、被圧延材の板端から25mm、75mm、150mmの3点とし、ワークロールシフトピッチの上限は30mmとした。ベンダー荷重は圧延開始時に60トンと設定し、圧延中の荷重変動に応じて制御した。図4に圧延サイクルを構成する被圧延材の板幅構成を示した。図5に本発明によって決定したワークロールシフト位置を示す。
また、従来技術との比較を行うために、図4とほぼ同じ板厚、板幅構成の圧延サイクルにおいて、従来のサイクリックシフト法による圧延を行った。このときのワークロールシフト位置を従来例として、図5に示した。
一方、従来例では、エッジビルドアップが生じており、異常な板厚プロフィルの被圧延材が複数あった。図7に、一例として、板幅が1本前の被圧延材よりも約240mm広がる38本目の被圧延材の板厚プロフィルを示した。この図からエッジビルドアップが生じていることが分かる。
仕上げ板厚1.2〜3.0mm、仕上げ板幅1200〜1500mmの低炭素鋼の被圧延材81本から構成される圧延サイクルについて、本発明を実施した。
板幅方向の評価点は、被圧延材の板端から25mm、75mm、150mmの3点とし、ワークロールシフトピッチの上限は30mmとした。ベンダー荷重は圧延開始時に60トンと設定し、圧延中の荷重変動に応じて制御した。図8に圧延サイクルを構成する被圧延材の板幅構成を、図9に本発明によって決定したワークロールシフト位置をそれぞれ示した。
本発明例として、図10には板幅が1本前の被圧延材よりも約200mm広がる26本目の被圧延材の板厚プロフィルを示した。この図から分かるように、エッジビルドアップが生じておらず、良好な板厚プロフィルとなっている。また、26本目以外の板厚プロフィルについても、異常プロフィルや形状不良は生じなかった。
一方、従来例では、図11から分かるように、エッジビルドアップが生じており、異常な板厚プロフィルが見られた。
2:ワークロール
Claims (4)
- 金属帯の圧延ラインにおいて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにおいて圧延予定である全被圧延材について、圧延順パターンの全候補に対し、
被圧延材とワークロールの接触部分におけるワークロールプロフィルを、目標とするプロフィルとするように全被圧延材に対するワークロールシフト位置を決定することを特徴とする圧延方法。 - 金属帯の圧延ラインにおいて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにおいて圧延予定である全被圧延材の各圧延順でのワークロールシフト位置を仮定して定め、
圧延機のワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から求まる評価関数J1を下記の式(1)
(3)
逐次、圧延順の全候補について、新たに可能なワークロールシフト位置を仮定して定め、同様の計算を繰り返し、評価関数J1、J2、J3およびJ4を求め、前記のワークロールシフト位置の全てについて求まるJ4同士を比較して、J4が最小となるときの各圧延順のワークロールシフト位置を当該圧延サイクルにおけるワークロール位置として決定することを特徴とする圧延方法。 - 前記ワークロールシフト位置の変化量(ワークロールシフトピッチ)に上限を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延方法。
- 前記ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構を備えた圧延機がタンデム圧延機の1つ以上のスタンドに設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧延方法。
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