JP2018128666A - 偏光フィルム、画像表示装置、および偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

偏光フィルム、画像表示装置、および偏光フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光子に生じたクラックの進行を抑制し得る薄型の偏光フィルムを提供する。【解決手段】偏光子と偏光子の少なくとも一方の面に形成された支持体とを備え、支持体が、平面視で偏光子の吸収軸と交差する部分を含むパターン構造を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光フィルム、画像表示装置、および偏光フィルムの製造方法に関する。
画像表示装置に用いられる従来の一般的な偏光板は、偏光子と偏光子の片側または両側に配置された保護フィルムとを備える。偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理を施すことによって得られる。また、近年では、画像表示装置に用いられる光学部材の薄型化の要望に伴い、樹脂基材の片側にポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、樹脂基材とポリビニルアルコール系樹脂層との積層体に染色処理および延伸処理を施すことによって、10μm以下の薄型の偏光子を得る技術が知られている(特許文献1)。
特開2012−73580号公報
偏光子は、所望の寸法および形状に切断され得、用途に応じて他の光学機能層を積層して光学積層体として用いられ得る。しかしながら、従来の偏光子は、切断工程および他の光学機能層を積層する工程において、偏光子に応力が加わることによってクラックが生じ得る。偏光子に生じたクラックは、偏光子の吸収軸の方向に沿って進行し得る。また、偏光子に保護フィルムが積層される従来の偏光板は、薄型化の要望に十分に応えたものではなく、さらなる薄型化が求められている。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、偏光子に生じたクラックの進行を抑制し得る薄型の偏光フィルム、上記偏光フィルムを備えた画像表示装置、および偏光フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の偏光フィルムは、偏光子と上記偏光子の少なくとも一方の面に形成された支持体とを備え、上記支持体が、平面視で上記偏光子の吸収軸と交差する部分を含むパターン構造を有する。
1つの実施形態においては、上記支持体が、ハニカム構造、トラス構造、ラーメン構造、ストライプ構造、および円構造からなる群より選択される少なくともいずれか一つの構造を有する。
1つの実施形態においては、上記支持体の厚みが1μm〜15μmである。
1つの実施形態においては、平面視における上記支持体の幅が500μm〜3000μmである。
1つの実施形態においては、上記支持体が光学的に等方性を有する。
1つの実施形態においては、上記偏光子の上記一方の面に、上記支持体を包埋する包埋樹脂層を備える。
1つの実施形態においては、上記支持体の23℃における圧縮弾性率が0.01GPa〜8.0GPaである。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記偏光フィルムを備える。
本発明の別の局面によれば、偏光フィルムの製造方法が提供される。この偏光フィルムの製造方法は、偏光子の少なくとも一方の面に、平面視で上記偏光子の吸収軸と交差する部分を含む樹脂材料のパターンを形成する工程と、上記樹脂材料を硬化させることによりパターン構造を有する支持体とする工程とを含む。
本発明によれば、偏光子に生じたクラックの進行を抑制し得る薄型の偏光フィルム、上記偏光フィルムを備えた画像表示装置、および偏光フィルムの製造方法を提供し得る。
本発明の1つの実施形態に係る偏光フィルムの平面図である。 本発明の1つの実施形態に係る偏光フィルムの断面図である。 本発明の別の実施形態に係る偏光フィルムの平面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る偏光フィルムの平面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る偏光フィルムの平面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る偏光フィルムの平面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る偏光フィルムの断面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る偏光フィルムの断面図である。 捻回試験を説明するための概略図である。 U次伸縮試験を説明するための概略図である。 剛軟性試験を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.偏光フィルムの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による偏光フィルムの平面図である。図2は、本発明の1つの実施形態による偏光フィルムの断面図である。図2に示すように、偏光フィルム10は、偏光子1と、偏光子1の一方の面に形成された支持体2とを有する。偏光フィルム10は、枚葉状であってもよく、長尺状であってもよい。偏光子1は、代表的には吸収軸を有する。支持体2の厚みは、代表的には1μm〜15μmであり、平面視における支持体2の幅は、代表的には500μm〜3000μmである。支持体2は、好ましくは透明であり、より好ましくは透明であるとともに実質的に光学的に等方性を有する。支持体2は、パターン構造を有し、パターン構造として、代表的には図1に示すようなハニカム構造を有する。支持体2は、平面視で偏光子1の吸収軸と交差する部分を含む。具体的には、平面視で、支持体2のハニカム構造を構成する六角形の少なくとも一辺が偏光子1の吸収軸と交差する。より好ましくは、偏光子1の吸収軸と平行な方向に沿って、枚葉状の偏光フィルム10の一端における任意の点から他端までを辿ったときに、少なくとも1か所において支持体2と交差する。従来の偏光子は、クラックが生じた場合、上記クラックが偏光子を裂くように偏光子の吸収軸の方向に沿って進行し得る。これに対して、本発明の偏光フィルム10は支持体2を有し、支持体2が、平面視で偏光子1の吸収軸と交差する部分を含むことにより、支持体2が偏光子1のクラック(裂け目)の進行を抑制し得る。
図3〜図6は、本発明の別の実施形態による偏光フィルムの平面図である。支持体は、図3に示すようなラーメン構造を有していてもよく、図4に示すようなトラス構造を有していてもよく、図5に示すような円構造(円がマトリクス状に配置された構造)を有していてもよく、図6に示すようなストライプ構造を有していてもよい。このように、偏光子1の表面にパターン状の支持体2を形成する場合、偏光子1の表面の全面に支持体を形成する場合に比べて、支持体を構成する材料の使用量を低減することできる。
図7は、本発明のさらに別の実施形態による偏光フィルムの断面図である。図7に示すように、偏光フィルム11は、偏光子1の一方の面に支持体2(以下、第1の支持体2と称する場合がある)を有し、偏光子1の他方の面に支持体3(以下、第2の支持体3と称する場合がある)を有する。第2の支持体3はパターン構造を有する。第2の支持体3のパターン構造は、第1の支持体2のパターン構造を同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の支持体2のパターン構造と第2の支持体3のパターン構造とが同じものである場合、好ましくは、図7に示すように、第1の支持体2と第2の支持体3とは、平面視において互いに重なる部分の面積が小さくなるように配置される。これにより、偏光フィルム11は、偏光子の一方の面のみに支持体を有する偏光フィルムに比べて、より剛性が高く、加工性が高い。
図8は、本発明のさらに別の実施形態による偏光フィルムの断面図である。図8に示すように、偏光フィルム12は、偏光子1の一方の面に、支持体2を包埋する包埋樹脂層4を備える。これにより、支持体2によって形成された段差を平滑化することができる。さらに、包埋樹脂層4が偏光子1の露出部分を覆うことで、偏光子1の表面を保護することができる。なお、2つ以上の上記実施形態を組み合わせてもよい。
偏光フィルムは、好ましくは、捻回試験を施した後において、偏光子の吸収軸方向に沿って一端から他端まで伸びるクラック、偏光フィルムの割れ、および光抜けが存在しない。捻回試験は、ユアサシステム機器社製の面状体無負荷捻回試験機(製品名:本体TCDM111LH及び治具:面状体無負荷捻回試験治具)を用いて以下の手順で行うことができる。図9に示すように、120mm(吸収軸方向)×80mm(透過軸方向)の枚葉状の偏光フィルム10の両短辺を、上記試験機の捻回用クリップ18、19で挟み固定した後、一方の短辺はクリップ19で固定したまま、もう一方の短辺側のクリップ18を下記条件で捻回する。
捻回速度:10rpm
捻回角度:45度
捻回回数:100回
偏光フィルムは、好ましくは、U字伸縮試験を施した後において、偏光子の破断、偏光フィルムの割れ、および光抜けが存在しない。U字伸縮試験は、ユアサシステム機器社製の面状体無負荷U字伸縮試験機(製品名:本体DLDM111LH及び治具:面状体無負荷U字伸縮試験治具)を用いて以下の手順で行うことができる。図10に示すように、100mm(吸収軸方向)×50mm(透過軸方向)の枚葉状の偏光フィルム10の両端部x、y(50mm)を、上記試験機の支持部21、22に両面テープ(図示せず)で固定した後、偏光フィルム10の片面側(第1面)が内側にU字状になるような伸縮を下記条件で行い、偏光フィルム10を折り曲げる。U字伸縮では、折り曲げR(曲げ半径)が3mmになるように設定し、平面の状態から、偏光フィルム10が二つ折り状態で接触するまで折り曲げる。上記折り曲げは、両端部x、yを支持部の作動により両端部x、yの接触を行うとともに、偏光フィルム10の他の部分は別途設置されている板部23、24により両外側から無負荷で挟み込むようにして接触させる。また、上記伸縮による折り曲げは、偏光フィルム10の他の片面側(第2面)についても内側にU字状になるような伸縮を同様に行う。
伸縮速度 :30rpm
折り曲げR:3mm
伸縮回数 :100回
偏光フィルムの剛軟度は、好ましくは60mm未満である。剛軟度は、吸収軸方向および透過軸方向の曲げ追従性(曲げに対する低抵抗性)に係る柔軟性を示す指標である。偏光フィルム10の剛軟度は、JIS L1096に規定されるカンチレバー法に従って、図11に示すカンチレバー型柔軟度試験機を用いた剛軟性試験により評価することができる。具体的には、偏光フィルム10の剛軟度は、45°の斜面を持ち、断面が台形の滑らかなSUS板台41の頂部に偏光フィルムを設置し、偏光フィルムを押し出し速度10mm/secで斜面側に静かに滑らせ移動させ、偏光フィルム10の先端が斜面に初めて接したときの、頂部における偏光フィルム10の移動距離L(mm)で表わされる。上記偏光フィルム10は、偏光子と保護フィルムとを有する従来の偏光板に比べて薄型であり、かつ、フレキシブル性を有する。
偏光フィルムは、好ましくは、−40℃と85℃の温度環境下にそれぞれ30分間保持することを10サイクル繰り返すヒートショック試験により発生する貫通クラックの本数が3本以下である。好ましくは、上記ヒートショック試験により発生する貫通クラックの本数は0本である。さらに好ましくは、上記ヒートショック試験により発生する貫通クラックの本数は0本であり、かつ、発生する非貫通クラックの本数も0本である。
B.偏光子
偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3〜7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすることにより作製され得る。本実施形態において延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012−73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
偏光子の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは1μm〜15μmであり、さらに好ましくは2μm〜10μmであり、特に好ましくは3μm〜8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。
偏光子は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、好ましくは42.0%〜46.0%であり、より好ましくは44.5%〜46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
C.支持体
支持体は、上記のとおり平面視で偏光子の吸収軸と交差する部分を含むパターン構造を有する。支持体は、好ましくは、ハニカム構造、トラス構造、ラーメン構造、ストライプ構造、および円構造からなる群より選択される少なくともいずれか一つの構造を有する。支持体は、より好ましくはハニカム構造、トラス構造、または円構造を有し、特に好ましくはハニカム構造または円構造を有する。支持体がハニカム構造、トラス構造、または円構造を有する場合、偏光フィルムが一方向に応力を受けたとき、当該方向とは異なる方向に応力を分散することができ、その結果、偏光子におけるクラックの発生を抑制し得るからである。
支持体は、好ましくは透明であり実質的に光学的に等方性を有する。本明細書において「実質的に光学的に等方性を有する」とは、位相差値が偏光フィルムの光学特性に実質的に影響を与えない程度に小さいことをいう。例えば、支持体の面内位相差Re(550)および厚み方向位相差Rth(550)はそれぞれ、好ましくは20nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。ここで、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(550)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(550)=(nx−ny)×dによって求められる。「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(550)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(550)=(nx−nz)×dによって求められる。なお、「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
支持体の厚みは、上記のとおり、好ましくは1μm〜15μmであり、より好ましくは3μm〜8μmである。偏光子の厚み(t1)に対する、支持体の厚み(t2)の比(t2/t1)は、好ましくは0.13〜5.00であり、より好ましくは0.38〜4.00であり、さらに好ましくは0.63〜3.33である。
支持体の23℃における圧縮弾性率は、好ましくは0.01GPa〜8.0GPaであり、より好ましくは0.02GPa〜6.0GPaである。これにより、偏光子のクラックの進行を抑制しつつ、偏光フィルムの加工性およびフレキシブル性を高めることができる。
支持体は、上記の構成を満足し、かつ、偏光子との十分な密着性を有する限り任意の適切な材料および方法で形成することができる。偏光子に対する支持体の密着性は、JIS K5400の碁盤目剥離試験に準じて評価することができる。偏光子に対する支持体の密着性は、好ましくは、上記碁盤目剥離試験(基板目数:100個)において剥離数が0である。
1つの実施形態においては、パターン構造を有する支持体は、偏光子の表面に樹脂材料または樹脂材料を含む塗工液のパターンを形成し、樹脂材料を硬化(または固化)することにより形成することができる。別の実施形態においては、支持体は、偏光子の表面にSiO等の無機酸化物を蒸着することで形成することができる。
上記樹脂材料としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な材料を用いることができる。上記樹脂材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、PVA系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、組み合わせて(例えば、ブレンド、共重合)用いてもよい。
偏光子の表面に上記樹脂材料または上記塗工液のパターンを形成する方法は特に限定されない。上記方法として、例えば、印刷、フォトリソグラフィ、インクジェット、ノズル、ダイ塗布等が挙げられる。上記樹脂材料または上記塗工液のパターンは、好ましくは、印刷により形成される。塗工液をパターン状に印刷する方法としては、凸版印刷法、ダイレクトグラビア印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、孔版印刷法等が挙げられる。塗工液は、上記樹脂材料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、主成分としての上記樹脂材料以外の樹脂成分、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒などが挙げられる。
上記樹脂材料(塗工液)を硬化(または固化)する条件としては、樹脂材料の種類および組成物の組成等に応じて適切に設定され得る。例えば、乾燥、活性エネルギー線硬化、熱硬化等により上記樹脂材料を硬化(または固化)することができる。
D.包埋樹脂層
包埋樹脂層は、上記のとおり、偏光子の一方の面に形成された支持体を包埋する。包埋樹脂層の厚みは、支持体の厚みよりも厚く、好ましくは3μm〜150μmであり、より好ましくは5μm〜100μmである。包埋樹脂層は、偏光フィルムに求められる特性に応じて形成された任意の適切な機能層であってもよい。上記機能層としては、例えば、ハードコート層、粘着剤層、透明光学粘着層等が挙げられる。包埋樹脂層がハードコート層である場合、その厚みは例えば5μm〜15μmであり、包埋樹脂層が粘着剤層である場合、その厚みは例えば5μm〜30μmであり、包埋樹脂層が透明光学粘着層である場合、その厚みは例えば25μm〜125μmである。包埋樹脂層は、好ましくは透明であり実質的に光学的に等方性を有する。
包埋樹脂層は、偏光子および支持体との十分な密着性を有する限り任意の適切な材料および方法で形成することができる。1つの実施形態においては、包埋樹脂層は、支持体とは異なる種類の樹脂材料で形成することができる。包埋樹脂層は、支持体を包埋するように偏光子の表面に樹脂層を形成し、樹脂層を硬化することにより形成することができる。
偏光子の表面に上記樹脂層を形成する方法は特に限定されない。1つの実施形態においては、樹脂材料を含む塗工液を偏光子の表面に塗布することにより、樹脂層を形成することができる。塗布方法としては、任意の適切な塗布方法を用いることができる。具体例としては、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法が挙げられる。硬化条件は、使用する樹脂材料の種類および組成物の組成等に応じて適切に設定され得る。塗工液は、上記樹脂材料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、主成分としての上記樹脂材料以外の樹脂成分、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒などが挙げられる。
E.第2の支持体
上記のとおり、第1の支持体のパターン構造と第2の支持体のパターン構造とが同じものである場合、第2の支持体は、好ましくは平面視において第1の支持体に重なる部分の面積が小さくなるように配置される。第2の支持体の構成、機能等は、支持体(第1の支持体)に関してC項で説明したとおりである。
F.他の光学フィルムおよび画像表示装置
偏光フィルムは、位相差フィルム等の他の光学フィルムが積層された光学積層体として用いられ得る。また、上記A項からE項に記載の上記偏光フィルムおよび上記光学積層体は、液晶表示装置などの画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、上記偏光フィルムを用いた画像表示装置を包含する。本発明の実施形態による画像表示装置は、上記A項からE項に記載の偏光フィルムを備える。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃、65%RHである。
1.偏光子の作製
<製造例1>
吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸処理)。次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本製造例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。以上により、厚み5μmの偏光子を含む偏光子積層体Aを得た。
<製造例2>
塗布乾燥後のPVA系樹脂層の厚みを15μmに変更したこと以外は製造例1と同様にして、厚み7μmの偏光子を含む偏光子積層体Bを作製した。
2.支持体形成材料の作製
<製造例3>
ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、「紫光UV7560B」)100部に、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(興人社製、「HEAA」)20部、光開始剤(BASF社製、「IRUGACURE907」)3部を加え、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いて、指定の膜厚で塗布することができるように固形分濃度を調整した塗剤Aを得た。
<製造例4>
ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、「紫光UV7000B」)100部に、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(興人社製、「HEAA」)20部、光開始剤(BASF社製、「IRUGACURE907」)3部を加え、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いて、指定の膜厚で塗布することができるように固形分濃度を調整した塗剤Bを得た。
<製造例5>
ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、「紫光UV3520TL」)100部に、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(興人社製、「HEAA」)20部、光開始剤(BASF社製、「IRUGACURE907」)3部を加え、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いて、指定の膜厚で塗布することができるように固形分濃度を調整した塗剤Cを得た。
<製造例6>
ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、「紫光UV6640B」)100部に、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(興人社製、「HEAA」)20部、光開始剤(BASF社製、「IRUGACURE907」)3部を加え、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いて、指定の膜厚で塗布することができるように固形分濃度を調整した塗剤Dを得た。
<製造例7>
紫外線硬化型スクリーンインキ(帝国インキ株式会社製、「UV FILスクリーンインキ611白」(固形分76%))、希釈溶剤(帝国インキ株式会社製、「RE−806レジューサー」)を用い、指定の膜厚で塗布することができるように固形分濃度を調整した塗剤Eを得た。
<製造例8>
ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、「紫光UV1700」)100部に、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(興人社製、「HEAA」)20部、光開始剤(BASF社製、「IRUGACURE907」)3部を加え、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いて、指定の膜厚で塗布することができるように固形分濃度を調整した塗剤Fを得た。
3.粘着剤層付き剥離フィルムの作製
<製造例9>
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸3部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.1部および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて溶液を調製した。次いで、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、55℃で8時間反応させて、重量平均分子量220万のアクリル系ポリマーを含有する溶液を得た。さらに、このアクリル系ポリマーを含有する溶液に、酢酸エチルを加えて固形分濃度を30%に調整したアクリル系ポリマー溶液を得た。
上記アクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、架橋剤として、0.5部のイソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、商品名「コロネートL」)と、シランカップリング剤として、0.075部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KMB−403」)とをこの順に配合して、粘着剤を調製した。
上記粘着剤を、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)からなる離型シート(セパレータ)の表面に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布して乾燥させることで、粘着剤層付き剥離フィルムを作製した。
<実施例1>
1.偏光フィルムの作製
上記偏光子積層体Aの偏光子側の面に、上記塗剤Aを、硬化後の厚みが7μmになるようにハニカム状に塗布し、60℃120秒の条件下で乾燥させた。なお、塗剤の塗布には、精密卓上印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、「DP−320型」)と、ハニカム状パターンに成形したスクリーン版(メッシュサイズ#500、線径18μm、厚み38μm、乳剤厚み10μm)とを用いた。
その後、高圧水銀ランプにて積算光量500mJ/cmの紫外線を照射することで塗剤を硬化させ、ハニカム構造(線幅:1.0mm、正六角形の一辺の長さ:4.0mm)の支持体(第1の支持体)を形成した。次いで、上記支持体上に、表面保護フィルム(日東電工社製、「RP301」)を貼り合せ、上記偏光子積層体Aの非晶性PET基材を剥離した。その後、表面保護フィルムを剥離することで、偏光子と第1の支持体とを有する偏光フィルム1を作製した。
2.粘着剤層付き偏光フィルムの作製
上記偏光フィルム1の偏光子側の面に、上記粘着剤層付き剥離フィルムの粘着剤層側の面を貼り合わせて、粘着剤層付偏光フィルム1を作製した。
<実施例2>
塗剤として塗剤Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム2および粘着剤層付偏光フィルム2を作製した。
<実施例3>
塗剤として塗剤Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム3および粘着剤層付偏光フィルム3を作製した。
<実施例4>
塗剤として塗剤Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム4および粘着剤層付偏光フィルム4を作製した。
<実施例5>
塗剤として塗剤Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム5および粘着剤層付偏光フィルム5を作製した。
<実施例6>
1.偏光フィルムの作製
上記偏光子積層体Aの偏光子側の面に、上記塗剤Eを、硬化後の厚みが7μmになるようにハニカム状に塗布し、60℃120秒の条件下で乾燥させた。なお、塗剤の塗布には、精密卓上印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、「DP−320型」)と、ハニカム状パターンに成形したスクリーン版(メッシュサイズ#500、線径18μm、厚み38μm、乳剤厚み10μm)とを用いた。
その後、高圧水銀ランプにて積算光量500mJ/cmの紫外線を照射することで塗剤を硬化させ、ハニカム構造(線幅:1.0mm、正六角形の一辺の長さ:4.0mm)の支持体(第1の支持体)を形成した。次いで、上記支持体上に、表面保護フィルム(日東電工社製、「RP301」)を貼り合せ、上記偏光子積層体Aの非晶性PET基材を剥離した。
次いで、上記塗剤Eを用いて、偏光子の第1の支持体が形成された面とは反対側の面に、平面視で第1の支持体に重なるように、第1の支持体と同様にしてハニカム構造(線幅:1.0mm、正六角形の一辺の長さ:4.0mm)の第2の支持体を形成した。その後、表面保護フィルムを剥離することで、偏光子と第1および第2の支持体とを有する偏光フィルム6を作製した。
2.粘着剤層付き偏光フィルムの作製
上記偏光フィルム6の第2の支持体側の面に、上記粘着剤層付き剥離フィルムの粘着剤層側の面を貼り合わせて、粘着剤層付偏光フィルム6を作製した。
<実施例7>
第1および第2の支持体の厚みを3μmとしたこと以外は実施例6と同様にして、偏光フィルム7および粘着剤層付偏光フィルム7を作製した。
<実施例8>
第1および第2の支持体の厚みを5μmとしたこと以外は実施例6と同様にして、偏光フィルム8および粘着剤層付偏光フィルム8を作製した。
<実施例9>
第1および第2の支持体の厚みを14μmとしたこと以外は実施例6と同様にして、偏光フィルム9および粘着剤層付偏光フィルム9を作製した。
<実施例10>
平面視で第2の支持体の正六角形の頂点が第1の支持体の正六角形の中心に重なるように(平面視で第1の支持体と第2の支持体の位置が互いにずれるように)、第2の支持体を形成したこと以外は実施例6と同様にして、偏光フィルム10および粘着剤層付偏光フィルム10を作製した。
<実施例11>
偏光子積層体として偏光子積層体Bを用いたこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム11および粘着剤層付偏光フィルム11を作製した。
<実施例12>
第1および第2の支持体のハニカム構造の線幅を1.8mmとしたこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム12および粘着剤層付偏光フィルム12を作製した。
<実施例13>
第1および第2の支持体のハニカム構造の線幅を0.8mmとし、正六角形の一辺の長さを3.0mmとしたこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム13および粘着剤層付偏光フィルム13を作製した。
<実施例14>
第1および第2の支持体のハニカム構造の線幅を0.5mmとし、正六角形の一辺の長さを2.0mmとしたこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム14および粘着剤層付偏光フィルム14を作製した。
<実施例15>
第1および第2の支持体のハニカム構造の線幅を1.5mmとし、正六角形の一辺の長さを2mmとしたこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム15および粘着剤層付偏光フィルム15を作製した。
<実施例16>
トラス状パターンに成形したスクリーン版(メッシュサイズ#500、線径18μm、厚み38μm、乳剤厚み10μm)を用いて塗剤を塗布し、第1および第2の支持体をトラス構造(線幅:0.6mm、三角形の一辺の長さ:4.0mm)とし、平面視で第2の支持体の三角形の頂点が第1の支持体の三角形の中心に重なるように(平面視で第1の支持体と第2の支持体の位置が互いにずれるように)、第2の支持体を形成したこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム16および粘着剤層付偏光フィルム16を作製した。
<実施例17>
第1および第2の支持体のトラス構造の線幅を0.5mmとし、三角形の一辺の長さを5.5mmとしたこと以外は実施例16と同様にして、偏光フィルム17および粘着剤層付偏光フィルム17を作製した。
<実施例18>
ラーメン状パターンに成形したスクリーン版(メッシュサイズ#500、線径18μm、厚み38μm、乳剤厚み10μm)を用いて塗剤を塗布し、第1および第2の支持体をラーメン構造(線幅:1.0mm、正方形の一辺の長さ:4.0mm)とし、平面視で第2の支持体の正方形の頂点が第1の支持体の正方形の中心に重なるように(平面視で第1の支持体と第2の支持体の位置が互いにずれるように)、第2の支持体を形成したこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム18および粘着剤層付偏光フィルム18を作製した。
<実施例19>
第1および第2の支持体のラーメン構造の線幅を1.3mmとし、三角形の一辺の長さを3.0mmとしたこと以外は実施例18と同様にして、偏光フィルム19および粘着剤層付偏光フィルム19を作製した。
<実施例20>
ストライプ状パターンに成形したスクリーン版(メッシュサイズ#500、線径18μm、厚み38μm、乳剤厚み10μm)を用いて塗剤を塗布し、第1および第2の支持体を、偏光子の吸収軸と直交する方向に延びるストライプ構造(線幅:1.0mm、ストライプ間隔:4.0mm)とし、平面視で第1の支持体に重なるように第2の支持体を形成したこと以外は実施例6と同様にして、偏光フィルム20および粘着剤層付偏光フィルム20を作製した。
<実施例21>
塗剤として塗剤Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム21および粘着剤層付偏光フィルム21を作製した。
<実施例22>
塗剤として塗剤Fを用いたこと以外は実施例10と同様にして、偏光フィルム22および粘着剤層付偏光フィルム22を作製した。
<比較例1>
1.偏光フィルムの作製
上記偏光子積層体Aの偏光子側の面に、表面保護フィルム(日東電工社製、「RP301」)を貼り合せ、上記偏光子積層体Aの非晶性PET基材を剥離した。その後、表面保護フィルムを剥離することで、偏光子からなる偏光フィルム23を作製した。
2.粘着剤層付き偏光フィルムの作製
上記偏光フィルム23の一方の面に、上記粘着剤層付き剥離フィルムの粘着剤層側の面を貼り合わせて、粘着剤層付偏光フィルム23を作製した。
<比較例2>
上記偏光子積層体Aの偏光子側の面に、上記塗剤Eを、ワイヤーバーコーターを用いて、硬化後の厚みが7μmになるように全面塗布し、60℃120秒の条件下で乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて積算光量500mJ/cmの紫外線を照射することで塗剤を硬化させ、偏光子積層体Aの偏光子側の全面に支持体(第1の支持体)を形成した。次いで、上記第1の支持体上に、表面保護フィルム(日東電工社製、「RP301」)を貼り合せ、上記偏光子積層体Aの非晶性PET基材を剥離した。
次いで、上記塗剤Eを用いて、偏光子の第1の支持体が形成された面とは反対側の面に、第1の支持体と同様の条件で第2の支持体を形成した。その後、表面保護フィルムを剥離することで、偏光子と第1および第2の支持体とを有する偏光フィルム24を作製した。
2.粘着剤層付き偏光フィルムの作製
上記偏光フィルム24の第2の支持体側の面に、上記粘着剤層付き剥離フィルムの粘着剤層側の面を貼り合わせて、粘着剤層付偏光フィルム24を作製した。
<比較例3>
第1および第2の支持体の厚みを5μmとしたこと以外は比較例2と同様にして、偏光フィルム25および粘着剤層付偏光フィルム25を作製した。
<比較例4>
第1および第2の支持体を、偏光子の吸収軸と平行な方向に延びるストライプ構造としたこと以外は実施例20と同様にして、偏光フィルム26および粘着剤層付偏光フィルム26を作製した。
<比較例5>
1.偏光フィルムの作製
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)40重量部とアクリロイルモルホリン(ACMO)60重量部と光開始剤(BASF社製、「IRGACURE 819」)3重量部を混合し、紫外線硬化型接着剤を調製した。
上記偏光子積層体Aの偏光子側の面に、上記接着剤を硬化後の厚みが1μmになるように塗布し、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムの易接着処理面にコロナ処理を施してなる保護フィルム(厚み:40μm)を貼合せた後、活性エネルギー線として紫外線を照射することで接着剤を硬化させた。なお、紫外線照射は、ガリウム封入メタルハライドランプ(Fusion UV Systems,Inc社製、製品名「Light HAMMER10」、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm、積算照射量1000/mJ/cm(波長380〜440nm))を使用した。紫外線の照度は、分光照度計(Solatell社製、製品名「Sola−Checkシステム」)を使用して測定した。
次いで、偏光子積層体Aの非晶性PET基材を剥離して、偏光子と保護フィルムとを有する偏光フィルム27を作製した。
2.粘着剤層付き偏光フィルムの作製
上記偏光フィルム27の偏光子側の面に、上記粘着剤層付き剥離フィルムの粘着剤層側の面を貼り合わせて、粘着剤層付偏光フィルム27を作製した。
<比較例6>
保護フィルムとして、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムの易接着処理面にコロナ処理を施してなる保護フィルム(厚み:20μm)を用いたこと以外は比較例5と同様にして、偏光フィルム28および粘着剤層付偏光フィルム28を作製した。
<評価>
偏光フィルム1〜28を、以下の密着性試験、剛軟性試験、捻回試験、およびU字伸縮試験に供した。また、粘着剤層付偏光フィルム1〜28を、以下のヒートショック試験に供した。評価結果を表1に示す。
<密着性試験>
偏光子に対する第1の支持体の密着性を、JIS K5400の碁盤目剥離試験(基盤目数:100個)に準じて測定し、以下の基準で評価した。
○:第1の支持体の剥離数が0である。
×:第1の支持体の剥離数が1以上である。
<剛軟性試験>
安田精機製作所製のNo.476のカンチレバー型柔軟度試験機を用いた。また、本試験では静電気の影響を排除するため、試験に用いるサンプル等を適切に除電して行った。剛軟性試験の様子を図11に示す。
偏光フィルムを150mm(吸収軸方向)×50mm(透過軸方向)のサイズに切り出して試験用のサンプルとした。上記サンプルを、頂部が平面(150mm×50mm:サンプルと同じサイズ)で、長辺の一端に45°の斜面を持ち、断面が台形の滑らかなSUS板台41の頂面に、収まるように設置した。サンプルの設置は吸収軸方向に斜面があるように行った。上記サンプルを、押し出し速度10mm/secで、斜面側に静かに滑らせ移動させた(1)。サンプルの先端が斜面に初めて接した箇所でサンプルの移動を止めた(2)。頂部が平面においてサンプルが移動した距離L(mm)を測定した(3)。
剛軟度(mm)は、それぞれ第1面を上側の場合および第2面を上側とした場合の2パターンについてそれぞれ3回、最短直線距離L(mm)を測定し、それらの算術平均値とした。また、いずれか1回以上の測定において、サンプルの変形やカールにより測定不可能なサンプルがあった場合には、そのサンプルは測定不可と判定とした。
<捻回試験>
ユアサシステム機器社製の面状体無負荷捻回試験機(製品名:本体TCDM111LH)及び治具(面状体無負荷捻回試験治具)を用いて行った。捻回試験の様子を図9に示す。
偏光フィルムを120mm(吸収軸方向)×80mm(透過軸方向)のサイズに切り出して試験用のサンプルとした。上記サンプルの両短辺を、上記試験機の捻回用クリップ18、19で挟み固定した後、一方の短辺はクリップ19で固定したまま、もう一方の短辺側のクリップ18を下記条件で捻回した。
捻回速度:10rpm
捻回角度:45度
捻回回数:100回
捻回試験後のサンプルの状態を、目視により下記基準で評価した。また、サンプルの変形やカールにより測定不可能なサンプルがあった場合には、そのサンプルは測定不可と判定とした。
〇:割れおよび光抜けは発生しなかった。かつ、折れ跡の残りはなかった。
△:割れおよび光抜けは発生しなかった。しかし折れ跡が残っていた。
×:割れおよび光抜けが発生した。かつ、折れ跡が残っていた。
<U字伸縮試験>
ユアサシステム機器社製の面状体無負荷U字伸縮試験機(製品名:本体DLDM111LH)及び治具(面状体無負荷U字伸縮試験治具)を用いて行った。U字伸縮試験の様子を図10に示す。
偏光フィルムを100mm(吸収軸方向)×50mm(透過軸方向)のサイズに切り出して試験用のサンプルとした。上記サンプルの両端部を、上記試験機のクランプ部分21、22に両面テープ(図示せず)で固定した後、上記サンプルの片面側(第1面)が内側にU字状になるような伸縮を下記条件で行い、上記サンプルを折り曲げた。U字伸縮では、折り曲げR(曲げ半径)が3mmになるように設定し、平面の状態から、サンプルが二つ折り状態になるように折り曲げた。上記折り曲げは、両端部x、yをクランプの作動により両端部x、yの接触を行うとともに、サンプルの他の部分は別途設置されている板部23、24により両外側から無負荷で挟み込むようにした。
また、上記伸縮による折り曲げは、上記矩形物の他の片面側(第2面)についても内側にU字状になるような伸縮を上記同様に行った。
伸縮速度 :30rpm
折り曲げR:3mm
伸縮回数 :100回
U字伸縮試験のサンプルの状態を、目視により下記基準で評価した。また、サンプルの変形やカールにより測定不可能なサンプルがあった場合には、そのサンプルは測定不可と判定とした。
〇:割れおよび光抜けは発生しなかった。かつ、折れ跡の残りはなかった。
×:割れもしくは光抜けが発生した。または、折れ跡が確認された。
<ヒートショック試験>
粘着剤層付偏光フィルムを50mm(吸収軸方向)×150mm(透過軸方向)のサイズに裁断し、0.5mm厚のアルカリガラスに貼り合せて試験用のサンプルを作製した。
当該サンプルを、−40〜85℃のヒートショックを各30分間×10回の環境下に投入した後に、取り出して粘着剤層付偏光フィルムに貫通クラック(本数)が発生しているか否かを目視にて確認した。この試験を5回行った後、クラック数が多かったサンプルを採用した。評価は下記に従って行った。
◎:貫通クラックなし。
○:貫通クラックなし。クラックあり。
△:貫通クラック1〜3本あり。
×:貫通クラック4本以上あり。
<支持体の圧縮弾性率>
支持体の23℃における圧縮弾性率を以下の手順で測定した。
塗剤Aを偏光子積層体Aの偏光子側の面に、硬化後の厚みが5μmになるように塗布し、60℃120秒の条件下で乾燥させることにより、偏光子積層体Aの上に塗材Aからなる硬化物(固化物)の層が形成されたサンプルAを作製した。同様にして、塗剤B〜Fを用いてサンプルB〜Fを作製した。上記作製したサンプルA〜Fを用いて、下記方法にて圧縮弾性率の測定を行い、測定により得られた圧縮弾性率の値を、支持体A〜Fの23℃における圧縮弾性率とした。
圧縮弾性率の測定にはTI900 TriboIndenter(Hysitron社製)を使用した。
上記で得られたサンプルを10mm×10mmのサイズに裁断し、TriboIndenter備付の支持体に固定し、ナノインデンテーション法により圧縮弾性率の測定を行った。その際、使用圧子が上記硬化物の中心部付近を押し込むように位置を調整した。測定条件を以下に示す。
使用圧子:Berkovich(三角錐型)
測定方法:単一押し込み測定
測定温度:23℃
押し込み深さ設定:100nm
支持体A〜Fの23℃における圧縮弾性率は以下のとおりであった。
支持体A(塗剤A):2.57GPa
支持体B(塗剤B):0.84GPa
支持体C(塗剤C):0.07GPa
支持体D(塗剤D):0.42GPa
支持体E(塗剤E):0.02GPa
支持体F(塗剤F):5.38GPa
Figure 2018128666
表1から明らかなように、比較例1〜4の粘着剤層付偏光フィルムはヒートショック試験後に多数の貫通クラックが発生し、比較例5および6の偏光フィルムは剛軟度が高い(フレキシブル性が低い)。これに対して、実施例1〜22の偏光フィルムは何れの試験においても良好な結果であった。
本発明の偏光フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置に好適に用いられる。
1 偏光子
2 支持体(第1の支持体)
3 支持体(第2の支持体)
4 包埋樹脂層
10 偏光フィルム
11 偏光フィルム
12 偏光フィルム

Claims (9)

  1. 偏光子と前記偏光子の少なくとも一方の面に形成された支持体とを備え、
    前記支持体が、平面視で前記偏光子の吸収軸と交差する部分を含むパターン構造を有する、偏光フィルム。
  2. 前記支持体が、ハニカム構造、トラス構造、ラーメン構造、ストライプ構造、および円構造からなる群より選択される少なくともいずれか一つの構造を有する、請求項1に記載の偏光フィルム。
  3. 前記支持体の厚みが1μm〜15μmである、請求項1または2に記載の偏光フィルム。
  4. 平面視における前記支持体の幅が500μm〜3000μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光フィルム。
  5. 前記支持体が光学的に等方性を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の偏光フィルム。
  6. 前記偏光子の前記一方の面に、前記支持体を包埋する包埋樹脂層を備える、請求項1〜5のいずれかに記載の偏光フィルム。
  7. 前記支持体の23℃における圧縮弾性率が0.01GPa〜8.0GPaである、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の偏光フィルムを備える、画像表示装置。
  9. 偏光子の少なくとも一方の面に、平面視で前記偏光子の吸収軸と交差する部分を含む樹脂材料のパターンを形成する工程と、
    前記樹脂材料を硬化させることによりパターン構造を有する支持体とする工程とを含む、偏光フィルムの製造方法。
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