JP2018128495A - 像加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー像Tを担持した記録材Sをニップ部Nで挟持搬送して加熱する像加熱装置70であって、中空の回転体72と、回転体を加熱する加熱体30と、回転体と共にニップ部Nを形成する対向体71と、導電性の装置フレーム20と、回転体72にバイアスを印加するバイアス印加手段202と、装置フレーム20に配設され、回転体の長手端部の端面72aと接することで回転体の長手方向の移動を規制する回転体規制部材10と、を有する像加熱装置の小型化を実現しつつ、回転体と装置フレームの電気的な絶縁距離を十分に確保する。
【解決手段】回転体規制部材10は、回転体72の径方向における外側の回転体72と接触しない位置に、回転体72の端部外周を覆うように回転体の長手方向の内側へ延びる包覆部10Cを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファックス、及びこれらの機能を複数備えた複合機等の画像形成装置に搭載される定着装置(記録材上のトナー像を熱圧定着する装置)として用いれば好適な像加熱装置に関する。
電子写真方式等の画像形成装置に搭載する定着装置として、加熱体(ヒータ)に接触しつつ移動して、する定着フィルム(定着ベルト)としての可撓性スリーブ(以下、回転体と記す)を備えるフィルム方式の定着装置が知られている(特許文献1)。この定着装置は、熱伝達効率が良いため、加熱体(ヒータ)に通電を開始してから定着可能温度に達するまでの時間が短く、一枚目の画像を出力するまでの時間が短いというメリットがある。また、プリント命令を待つ待機中の消費電力が少ないというメリットもあり、近年の画像形成装置の多くに導入されている。
このようなフィルム方式の定着装置においては、回転体の端部側に回転体のスラスト方向の位置を規制するためのフランジ(回転体支持部材)が配設されている。フランジは板金で作られた導電性の装置フレーム(定着装置の筐体)に係合されている。
また、回転体に電気的なバイアスを印加することで、記録材上の未定着トナーが回転体や回転体と共働して定着ニップ部を形成する加圧ローラに付着することなく、適切に記録材に定着されるよう設定されている。
そして、回転体に印加したバイアスが装置フレームへ漏電することのないよう、両者の間には電気的な絶縁距離を満たすように構成されている。つまりは、フランジにおける回転体端部規制面の径方向の大きさを充分確保し、回転体端面から装置フレームの間に電気的な空間距離および沿面距離を確保するように構成している。
特開2006‐293225号公報
しかしながら、昨今の画像形成装置の小型化に伴い定着装置の内部部品の配置スペースが小さくなると、フランジにおける回転体端部規制面を小さくすることが求められ、これにより電気的な空間距離および沿面距離を確保することが難しくなってきた。
以上より、定着装置(像加熱装置)の小型化および回転体と定着フレームの電気的な絶縁距離の確保を両立する定着装置が望まれている。
本発明は上記に鑑みて提案されたもので、像加熱装置の小型化を実現しつつ、回転体と装置フレームの電気的な絶縁距離を十分に確保することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る像加熱装置の代表的な構成は、
トナー像を担持した記録材をニップ部で挟持搬送して加熱する像加熱装置であって、
中空の回転体と、
前記回転体を加熱する加熱体と、
前記回転体と共に前記ニップ部を形成する対向体と、
導電性の装置フレームと、
前記回転体にバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記装置フレームに配設され、前記回転体の長手端部の端面と接することで前記回転体の長手方向の移動を規制する回転体規制部材と、を有し、
前記回転体規制部材は、前記回転体の径方向における外側の前記回転体と接触しない位置に、前記回転体の端部外周を覆うように前記回転体の長手方向の内側へ延びる包覆部を有することを特徴とする。
本発明によれば、像加熱装置の小型化を実現しつつ、回転体と装置フレームの電気的な絶縁距離を十分に確保することができる。
実施例の定着装置の他端側の側板の内側を見た斜視図 画像形成装置例の概略構成図 定着装置の外観斜視図 (a)は図4の(4)−(4)線矢視の横断右側面模式図、(b)は(a)の部分的拡大図 定着装置の分解斜視図であり、(a)は装置の一端側(左側)、(b)は他端側(右側) フィルムユニットの分解斜視図 フランジの構成説明図 (a)は加圧状態時の定着装置の右側面図、(b)は圧解除状態時の定着装置の右側面図 制御系統のブロック図 絶縁距離確保の説明図 比較例の装置図
《実施例1》
[画像形成装置]
図2は本発明に係る像加熱装置を定着装置(定着器)70として搭載している画像形成装置100の一例の概略構成を示す模式図である。この画像形成装置100は電子写真プロセスを用いたモノクロプリンタであり、ホストコンピュータ等の外部装置300から制御部200に画像情報が入力する。制御部200は所定の画像形成制御シーケンスを実行する。
記録材(シート:以下、用紙または紙と記す)Sにトナー像を形成する画像形成部101は、矢印の時計方向に回転駆動されるドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)102を有する。ドラム102の周囲にはドラム回転方向に沿って順に、帯電ローラ103、レーザースキャナユニット104、現像装置105、転写ローラ106が配設されている。以上の画像形成部101の画像形成動作(電子写真プロセス)は周知であるので詳細な説明は割愛する。
給紙カセット107または給送トレイ(手差しトレイ)108に積載されている用紙Sは給送ローラ109または同110の回転によって1枚ずつ繰り出される。そして、用紙Sはレジストローラ対112を有する搬送路111によりドラム102と転写ローラ106とで形成される転写ニップ部113へ所定の制御タイミングにて導入されてドラム102側のトナー像の転写を受ける。
転写ニップ部113を通った用紙Sは搬送路114に沿って定着装置70へ送られ、トナー像の熱圧定着処理を受ける。定着装置70を出た用紙Sは搬送路115を通り、排出ローラ対116により画像形成物として排出トレイ117に排出される。
[定着装置]
実施例の定着装置70に関して、正面とは用紙Sの入口側、背面とは同出口側である。左右とは装置70を正面から見て左(一端側)または右(他端側)である。上下とは重力方向において上または下である。上流側と下流側は用紙搬送方向(記録材搬送方向)において上流側と下流側である。また、中空(筒状、スリーブ状)の回転体である定着フィルムの母線方向もしくは対向体である加圧ローラの軸線方向或いはこれに平行な方向を長手方向とし、これに直交する方向を短手方向とする。
この定着装置70は、立ち上げ時間の短縮や低消費電力化を可能としたフィルム(ベルト)加熱方式の像加熱装置(OMF:オンデマンド定着器)である。図3は定着装置70の外観斜視図である。図4の(a)は図3の(4)−(4)線矢視の横断右側面模式図、(b)は(a)において1点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
定着装置70は、大別して、フィルムユニット(ベルトユニット)73と、対向体(加圧部材)としての弾性加圧ローラ71と、これらを収容している、板金加工品である導電性の装置フレーム(定着フレーム、筐体装)20を有する。図5は定着装置70の分解斜視図であり、(a)は装置の一端側(左側)、(b)は他端側(右側)を示している。
(1)フィルムユニット(ベルトユニット)73
フィルムユニット73は、可撓性を有する中空(無端状、エンドレスベルト状、筒状)の第1の回転体である定着フィルム(可撓性スリーブ、無端ベルト、定着ベルト:以下、フィルムと記す)72を有する。フィルム72の内側には、ヒータ(加熱体)30、これを保持すると共にフィルム72の回転をガイドするヒータホルダ(加熱体支持部材:以下、ホルダと記す)40、ホルダ40を保持するステイ45が内部アセンブリとして配設されている。図6はフィルムユニット73の分解斜視模式図である。
ヒータ30、ホルダ40、ステイ45は何れも長さがフィルム72の幅(長さ)よりも長い部材であり、一端側(左側)と他端側(右側)がそれぞれフィルム72の両端部から外方に突出している。40aはホルダ40の外方突出部、45aはステイ45の外方突出部である。そして、ステイ45の一端側と他端側の外方突出部45aに対してそれぞれ一端側と他端側の定着フランジ(回転体規制部材:以下、フランジと記す)10L・10Rが嵌着されている。即ち、フィルム72の長手方向両端部にフランジ10L・10Rが配置されている。
可撓性を有するフィルム72は自由状態においては自身の弾発性により円筒形状を呈する耐熱性を有する伝熱部材である。例えば、内側から外側に順に、耐熱性樹脂材料あるいは薄肉金属の基層、シリコーンゴム等の弾性層、フッ素樹脂等の表層の3層の複合層からなる。
ヒータ30には、一般的にセラミックヒータが使用される。このヒータ30は、窒化アルミニウム、アルミナ等からなる耐熱性のヒータ基板(セラミック基板)を有している。そして、ヒータ基板の表面側には、通電により発熱する発熱抵抗体(抵抗発熱体)としての抵抗体パターンが、例えば印刷によってヒータ基板の長手方向に沿って形成されている。更にその抵抗体パターンの表面が保護層としてのガラス層で被覆されている。フィルム72は内面がヒータ表面に密着して摺動する。ヒータ基板の裏面側には、ヒータ30の温度を検知する温度検知部材としてのサーミスタTHが配設されている。
ホルダ40は耐熱樹脂によって形成された部材であり、ヒータ30を支持するとともに、フィルム72の回転ガイドを兼ねている。ホルダ40の下面には長手に沿って溝部が形成されており、ヒータ30はその溝部に表面側を外側にして嵌め込まれて支持されている。ホルダ40の材料として、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂が用いられている。ステイ45は鉄等の金属製の剛性部材であり、ホルダ40を全長に渡って加圧する型材である。
フィルム72の長手方向両端部に配置されるフランジ10(L・R)はそれぞれ左右対称形状の耐熱樹脂製のモールド成形品である。フランジ10は耐熱性に優れ、比較的熱伝導率が良くなく、滑り性にも優れる材料として、例えば、PPS、液晶ポリマー、PET、PA、等のガラス繊維含有の樹脂が用いられる。以下の記載において、「フランジ10L」は左側(一端側)のフランジ、「フランジ10R」は右側(他端側)のフランジ、「フランジ10」或いは「フランジ10(L・R)」は左右両方のフランジとする。
フランジ10はフィルム72の長手端部の端面72aと接することでフィルム72の長手方向の移動を規制する部材である。図7の(a)、(b)、(c)は、フランジ10を、それぞれ、内面側、側面側、天面側から見た図である。(d)は(c)の縦断面図である。フランジ10は、鍔座部10A、支持部10B、包覆部10C、受圧部10D、嵌着部10E、嵌着縦溝部10Fを有する。
鍔座部10Aの内面側がフィルム72の端面72aを受け止めて規制する規制面(回転体規制面)10rである。即ち、規制面10rはフィルム72の長手端部の端面72aに対向する面であり、フィルム72が長手方向に動いた場合に移動を規制する役割を果たし、フィルム72が長手方向の所定の位置にとどまるようにする。
支持部10B及び包覆部10Cはそれぞれ鍔座部10Aの内面すなわち規制面10rから突出させて設けられている。支持部10Bは欠円形状の外周面(フィルム内周支持面)によりフィルム72の長手端部の内周面を内側から支持してフィルム72の回転をガイドする。即ち、支持部10Bはフィルム72の長手端部を内側から規制することにより、フィルム72に所望の回転軌跡を描かせる役割を果す。
包覆部10Cは支持部10Bの外側において支持部10Bに対して間隔をあけて支持部10Bを囲むように設けられている。この包覆部10Cはフィルム72の長手端部においてフィルム72とは接触しない位置にフィルム72の端部を覆うようにフィルム72の長手方向(母線方向)の内側に伸びている。
受圧部10Dは鍔座部10Aの外面側に突出させて設けられている。嵌着部10Eは支持部10B、鍔座部10A、受圧部10Dの3者にわたって延在している。嵌着縦溝部10Fは鍔座部10Aと受圧部10Dとの会合部においてフランジ10を天面から見て会合部の両側部に設けられている。
嵌着部10Eはステイ45の外方突出部45aに対して嵌着される部分である。受圧部10Dは、ステイ45の外方突出部45aに嵌着された状態において外方突出部45aと直接触れており、後述する加圧機構によってステイ45を押し下げる役割を果たしている。
嵌着縦溝部10Fは装置フレーム20の側板20L・20Rに対する係合部である。フランジ10L・10Rはそれぞれこの嵌着縦溝部10Fにおいて側板20L・20Rすなわちフレームを挟持するように且つ加圧ローラ71の軸線方向に交差する方向おいて加圧ローラ71に近づく方向とその逆方向(遠のく方向)とに可動に配設される。
(2)加圧ローラ71
第2の回転体(対向体)としての加圧ローラ71は、フィルム72を挟んでヒータ30との間にニップ部Nを形成し、かつ、フィルム72を回転駆動するための駆動回転体である。加圧ローラ71は、SUS、SUM、Al等の金属製芯金の外周側にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層からなる弾性ローラである。弾性層の上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層を形成されるものであってもよい。
加圧ローラ71は一端側と他端側の軸部をそれぞれフレーム20の一端側と他端側の側板20L・20R間に軸受部材23を介して軸受させて回転可能に支持されている。加圧ローラ71は制御部200で制御される駆動源M1の駆動力が駆動伝達機構(不図示)を介して伝達されることで、図4において矢印R72の方向に所定の周速度で回転駆動される。
フィルムユニット73はヒータ30の側を下向きにして加圧ローラ71の上側において加圧ローラ71に実質平行に配列して側板20L・20R間に配設されている。フィルムユニット73のフランジ10L・10Rはそれぞれ嵌着縦溝部10Fが側板20L・20Rに設けられた縦ガイドスリット24・24の縦縁部24aを挟持して係合している。この係合状態において、フランジ10Lの鍔座部10Aは側板20Lの内側に位置し、受圧部10Dは側板20Lの外側に位置する。フランジ10Rの鍔座部10Aは側板20Rの内側に位置し、受圧部10Dは側板20Rの外側に位置する。
これによりフランジ10L・10Rは、それぞれ、側板20L・20Rに対して上下方向にスライド移動可能に保持されている。即ち、フィルムユニット73は全体に側板20L・20R間においてスリット24・24の縦縁部24aに沿って加圧ローラ71に対して近づく方向と遠のく方向とに移動可能な自由度を有する。
(3)加圧機構
フランジ10L・10Rの受圧部10Dはそれぞれ加圧バネ(弾性部材)50L・50Rと加圧レバー(加圧板金)51L・51Rを有する加圧機構により押圧されて所定の加圧力を受ける。加圧レバー51L・51Rは、それぞれ、側板20L・20Rの外側において受圧部10Dの上側に配置されており、先端部51aがフレーム20の天板21側の穴部21aに挿入されて係合している。51cはその係合部である。加圧レバー51L・51Rはそれぞれ係合部51cを中心にして上下方向に揺動可能である。
加圧バネ50L・50Rはそれぞれ加圧レバー51L・51Rと天板21の一端側と他端側の各バネ受け部21bとの間に縮設(圧縮)されている。加圧バネ50L・50Rは本例においてはコイル状の圧縮バネである。装置構成によっては引っ張りバネや他の加圧機構でもよい。
加圧レバー51L・51Rの自由状態時においてはフランジ10L・10Rの受圧部10Dはそれぞれ加圧バネ50L・50Rの縮設反力により加圧レバー51L・51Rを介して下方へ押圧されて所定の同等の加圧力を受ける。図8の(a)はこの加圧状態時における定着装置70の右側面図である。定着装置70の左側面はこの右側面と対称である。Zは加圧方向を示している。加圧バネ50R(50L)の中心線50cは側板20R(20L)の外側に配置されている。
フランジ10L・10Rは、それぞれ、ステイ45の一端側と他端側の外方突出部45a・45aに嵌着されているから、図8の(a)の加圧状態においてはステイ45もフランジ10L・10Rを介してそれぞれ下方への所定の同等の加圧力が作用している。
これにより、ヒータ30を有するホルダ40と加圧ローラ71とが加圧ローラ71の弾性層の弾性に抗してフィルム72を挟んで所定の加圧力をもって圧接する。本例の定着装置70においては、ヒータ30とホルダ40の一部がフィルム72の内面に接触する当接する摺動部材(バックアップ部材)として機能している。そのため、図4のように、フィルム72と加圧ローラ71との間に用紙搬送方向(記録材搬送方向)aに関して所定幅のニップ部Nが形成される。
レバー51L・51Rはそれぞれフランジ10L・10Rの受圧部10Dを中にして係合部51cの側とは反対側に延長されている。51bはその延長レバー部である。そして、側板20L・20Rの各外側には加圧レバー51L・51Rの各延長レバー部51bの下側にそれぞれ加圧バネ50L・50Rによるフランジ10L・10Rの押圧を解除する圧解除機構としての圧解除カム60L・60Rが配設されている。なお、圧解除カム60Lは不図示である。カム60L・60Rは側板20L・20R間に回転可能に支持された回転中心軸60cの一端部と他端部に同じ位相で固着された同形状の偏心カムである。
カム60L・60Rは制御部200で制御される駆動源M2の駆動力が駆動伝達機構(不図示)を介して伝達されることで、半回転間欠制御される。カム60L・60Rが図8の(a)のように小径部が上向きとなった回転角に姿勢に制御されることで、カム60L・60Rは加圧レバー51L・51Rの各延長レバー部51bに非接触になる。そのため、加圧レバー51L・51Rは自由状態であり、定着装置70はフィルム72と加圧ローラ71との間に所定幅のニップ部Nが形成された加圧状態となる。
また、カム60L・60Rが図8の(b)のように大径部が上向きとなった回転角に姿勢に制御されることで、カム60L・60Rは加圧レバー51L・51Rの各延長レバー部51bに接触する。そして、更に、カム60L・60Rは加圧レバー51L・51Rをそれぞれ加圧バネ50L・50Rの圧縮反力に抗して先端部51aと挿入穴部21aとの係合部51cを中心に上方に持ち上げる。これにより、加圧レバー51L・51Rによる各フランジ10L・10Rの受圧部10Dに対する押圧が解除される。即ち、ニップ部Nの形成が解除もしくはニップ部Nの加圧力が低減される。
このように定着装置70は加圧状態(図8の(a))と圧解除状態(図8の(b))を切替可能に構成している。非画像形成時には圧解除状態にすることで、加圧ローラ71の弾性層の塑性変形を防ぐことができる。また通紙中に紙詰まり(ジャム)が発生した最には加圧状態から圧解除状態への切り替えによりニップ部Nから用紙を容易に取り除くことができる。
(4)定着動作
図9は定着装置70の制御系統のブロック図である。制御部200は画像形成開始信号に基づいて画像形成装置100の作像動作シーケンス制御を開始する。定着装置70については、制御部200は駆動源M2を制御して圧解除状態(図8の(b))から加圧状態(図8の(a))に切り替える。また、駆動源M2を起動して加圧ローラ71を回転駆動させる。
加圧ローラ71の回転によりニップ部Nにおける加圧ローラ71との摩擦力でフィルム72に回転力が作用する。これにより、フィルム72はその内面がニップ部Nにおいてヒータ30の表面およびホルダ40の外面の一部に密着して摺動しながら矢印R72(図4)の方向に加圧ローラ71の回転周速度にほぼ対応し周速度で従動回転する。
一方、ヒータ30は制御部200で制御される給電部201から給電経路(不図示)を介して電力供給を受けて急峻に発熱する。このヒータ30の温度がヒータ裏面に当接させて配置されているサーミスタTHで検知され、検知温度情報が制御部200に入力する。制御部200は入力する検知温度情報に応じて給電部201からヒータ30に流す電流を適切に制御することで、ヒータ30の温度を所定の温度に立ち上げてその温度が維持されるように温調する。
このように、加圧ローラ71が回転駆動され、これに伴いフィルム72が従動して回転し、ヒータ30が所定の温度に立ち上げられて温調された状態において、画像形成部101側から未定着のトナー像Tを担持した用紙Sがニップ部Nに導入される。用紙Sはトナー像Tの担持面がフィルム72に対面するようにニップ部Nに導入されて挟持搬送されていく。これにより、用紙上の未定着のトナー像Tは加熱加圧されて固着画像として定着される。ニップ部Nを通過した用紙Sはフィルム72の表面から曲率分離して定着装置70から排出搬送されていく。
ここで、フィルム72には定着動作にバイアス印加電源202からバイアス印加経路を介して所定の電気的なバイアスが印加される。バイアス印加経路は図には省略したけれども、例えば、フィルムの導電層にバイアス印加用の電ブラシ(電極部材)を接触させる構成などが採択される。このバイアス印加により用紙上の未定着トナーがフィルム72や加圧ローラ71に付着することなく、適切に用紙Sに定着される。
(5)フィルムと定着フレームの絶縁距離確保構成
定着装置70におけるフィルム72と装置フレーム20の絶縁距離確保構成について、主として図1、図4、図10を用いて説明する。図1は定着装置70の他端側の側板20Rの内側を見た斜視図、図10は絶縁距離確保の説明図である。
本実施例の定着装置70においては、フィルムユニット73のフィルム72の長手端部の端面72aと接することでフィルム72の長手方向の移動を規制する部材であるフランジ10は包覆部10Cを有している。この包覆部10Cはフィルム72の長手端部においてフィルム72の径方向における外側のフィルム72と接触しない位置に、フィルム72の端部外周を覆うようにフィルム72の長手方向(母線方向)の内側に伸びている部分で
このとき、図10に示すように、フィルム72と装置フレーム20の間の電気的な沿面距離Eは包覆部10Cの包覆面に沿うため長くなる。これにより、フィルム72から装置フレーム20までの電気的な絶縁距離を確保することができ、フィルム72に印加したバイアスが装置フレーム20へ漏電することを防止することができる。
上記のように包覆部10Cはフィルム72の径方向においてフィルム72と接触しない配置とすることにより、フィルム72の円滑な回転や外周面の摩耗防止を実現することができる。
本実施例においては、図4の(b)に示すように、支持部10Bと包覆部10Cとフィルム72の径方向における離間距離(間隔距離)を、ニップ部Nよりもフィルム回転方向上流側の距離Aよりも、下流側の距離Bのほうが大きくなるように構成している。これにより、フィルム72がR72の方向に回転する際に回転方向下流側へ変形する際にも、フィルム72と包覆部10Cとの間に適切な距離を確保できる構成としている。
また、包覆部10Cのフィルム長手方向の内側へ延びる突出量C(図9)は、フィルム72と装置フレーム20の絶縁距離を確保することができる高さに設定している。本実施例においては、図10に示すように構成している。即ち、フィルム72をスラスト方向の一端側の規制面へ向けてX方向へ寄せて突き当てた際に、フィルム72の他端側の端面72aとフランジ10Rにおける規制面10rの距離Dが包覆部10Cの突出量Cよりも小さくなるように構成している。
したがって、フィルム72がスラスト方向における如何なる位置にあるときも包覆部10Cがフィルム72の端面72aを覆い、フィルム72と装置フレーム20の間の絶縁距離を確保することができる。
さらに、装置フレーム20の側板20L・20Rにはフランジ10L・10Rで覆うことのできない領域(フランジ10における包覆部10Cが存在しない領域)に切り欠き形状部20aを設けている。加圧ローラ71に近接する領域においては、フランジ10と加圧ローラ71の接触を避けるために包覆部10Cを設けることができない。そのため、装置フレーム20の側板20L・20Rに上記の切り欠き形状部20aを設けることでフィルム72と装置フレーム20との絶縁距離を確保している。
上記のように、フランジ10に、フィルム72の長手端部においてフィルム72の径方向における外側のフィルム72とは接触しない位置にフィルム72の端部外周を覆うように包覆部10Cを備える。これにより、図11の比較例の装置ように、フランジ10に包覆部10Cを設けない構成に比べて、フィルム72と装置フレーム20の電気的な絶縁距離を十分に確保した定着装置を提供することができる。
《その他の事項》
(1)実施例の定着装置70においてはフィルム72の一端側と他端例にそれぞれフランジ10L・10Rを配設している。しかし、フィルム72の寄り移動方向が専らに一方向となるよう装置構成されていれば、フランジ10はそのフィルム寄り移動側の1つにすることもできる。
(2)実施例における定着装置70は、その一例として上記のようなフィルム方式の定着装置を挙げている。しかし、これに限定するものではなく、例えば、中空の定着ローラ(熱ローラ)の内部にハロゲンヒータを備えて定着ローラを加熱する方式の定着装置等においても適応することができる。
(3)フィルム72の内側の摺動部材(バックアップ部材)はヒータ30以外の部材であってもよい。
(4)第1の回転体フィルム72の加熱手段は実施例のヒータ30に限られない。ハロゲンヒータ、電磁誘導コイルなど他の加熱手段を用いた、内部加熱構成、外部加熱構成、接触加熱構成、非接触加熱構成など適宜の加熱構成を採ることができる。
(5)フィルム72を駆動回転体とし、加圧ローラ71をフィルム72の回転に従動回転させる装置構成にすることもできる。
(6)実施例では、像加熱装置として、記録材上に形成された未定着のトナー像を加熱して定着する定着装置を例にして説明したがこれに限られない。記録材に定着若しくは仮定着されたトナー像を再加熱して画像のグロス(光沢度)を増大させる装置(光沢度向上装置)にも本発明を適用することが可能である。
(7)画像形成装置は実施例のようなモノカラーの画像を形成するものに限られない。カラー画像を形成する画像形成装置でもよい。また、画像形成装置は、必要な機器、装備、筺体構造を加えて、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等、種々の用途で実施できる。
70・・像加熱装置(定着装置)42・・中空の回転体(定着フィルム)、71・・対向体(加圧ローラ)、30・・加熱体、20・・装置フレーム、20L・20R・・装置フレームの側板、20L・20R・・回転体規制部材(フランジ)、10C・・包覆部、N・・ニップ部、S・・記録材、T・・トナー像、202・・バイアス印加手段

Claims (6)

  1. トナー像を担持した記録材をニップ部で挟持搬送して加熱する像加熱装置であって、
    中空の回転体と、
    前記回転体を加熱する加熱体と、
    前記回転体と共に前記ニップ部を形成する対向体と、
    導電性の装置フレームと、
    前記回転体にバイアスを印加するバイアス印加手段と、
    前記装置フレームに配設され、前記回転体の長手端部の端面と接することで前記回転体の長手方向の移動を規制する回転体規制部材と、を有し、
    前記回転体規制部材は、前記回転体の径方向における外側の前記回転体と接触しない位置に、前記回転体の端部外周を覆うように前記回転体の長手方向の内側へ延びる包覆部を有することを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記回転体規制部材は前記回転体の長手端部を内側から支持する支持部を有し、前記支持部と前記包覆部との前記回転体の径方向における離間距離は、前記ニップ部を中にして前記回転体の回転方向における下流側のほうが上流側よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 包覆部の先端の位置は、前記回転体を長手方向における他端側へ寄せたときの前記回転体の端部の位置よりも前記回転体の長手方向における内側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の像加熱装置。
  4. 前記装置フレームは、前記回転体規制部材における前記包覆部の存在しない領域に切り欠き形状部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  5. 前記回転体は無端ベルトであり、
    前記対向体は加圧ローラであり、
    前記加熱体は基板の上に設けられて前記無端ベルトの内面に接触する発熱抵抗体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  6. 前記回転体は熱ローラであり、
    前記対向体は加圧ローラであり、
    前記加熱体は前記熱ローラの内部に配置されたハロゲンヒータであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の像加熱装置。
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