JP2006350002A - 像加熱装置の組み立て方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加圧ローラ20の駆動にハス歯歯車24を使用した、フィルム加熱方式・加圧ローラ駆動方式の像加熱装置について、フィルム33と加圧ローラの組み付け時のフィルムと加圧ローラのガタ寄り方向によってハス歯歯車駆動時にフィルムにダメージが及ぶことを組み立て性を損なうことなく防止できる、像加熱装置の組み立て方法を提供する。
【解決手段】ハス歯歯車の駆動時における加圧ローラのスラスト移動を規制する加圧ローラ突き当て側の側板4Rを初期には正規の位置から内側に斜めに倒れている形状になるように形成されたフレームを準備し、加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板4Lとの間に、加圧ローラと回転体ユニットとを組み込み、加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、サブフレーム2を加圧ローラ突き当て側の側板4Rを支持部の曲げ強度に抗して取り付けて、該側板を正規の姿勢位置に矯正させる。
【選択図】図8
【解決手段】ハス歯歯車の駆動時における加圧ローラのスラスト移動を規制する加圧ローラ突き当て側の側板4Rを初期には正規の位置から内側に斜めに倒れている形状になるように形成されたフレームを準備し、加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板4Lとの間に、加圧ローラと回転体ユニットとを組み込み、加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、サブフレーム2を加圧ローラ突き当て側の側板4Rを支持部の曲げ強度に抗して取り付けて、該側板を正規の姿勢位置に矯正させる。
【選択図】図8
Description
本発明は、電子写真画像形成装置等において定着装置(定着器)として搭載するのに好適な像加熱装置、特に、フィルム加熱方式・加圧ローラ駆動方式の像加熱装置の組み立て方法に関するものである。
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録材(記録媒体)に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザープリンタ、LEDプリンタ等)、ファクミリ装置、ワードプロセッサ及びこれらの複合機(マルチファンクションプリンター等)が含まれる。
従来、電子写真方式により画像を形成する画像形成装置においては、感光体に静電潜像を形成するとともに、この静電潜像を現像してトナー画像とした後、トナー画像を記録材である転写材に転写し、このトナー画像を加熱して転写材に定着させることが行われる。
そして、フィルム加熱方式の像加熱装置を定着装置として備えるものがある。この像加熱装置は、発熱部を有する略面状のヒータと、可撓性・耐熱性のフィルムと、このフィルムを挟んでヒータに圧接されて加熱ニップ部を形成する加圧ローラを有し、加熱ニップ部に転写材を導入してフィルムを介したヒータの熱で転写材を加熱するものである。
また、フィルムとして円筒状フィルムを使用し、該フィルムを加圧手段としての加圧ローラで回転駆動する加圧ローラ駆動方式のものがある(例えば、特許文献1参照)。この像加熱装置は、加圧ローラの駆動によるフィルムの回転状態において、加熱ニップ部の部分を除いて実質的にフィルムに張力が作用しておらず、そのためにフィルムの回転に伴うフィルムガイドの長手に沿うフィルム寄り移動力が小さくてフィルム寄り移動制御手段を簡単化することができ、組立性の向上とコストダウンを図ることができる等の利点を有している。
特開平4−44075号公報
画像形成装置の高速化/高画質化に伴い、定着装置の負荷増大への対応や駆動の滑らかさの要求に対応するために、加圧ローラを駆動する歯車をハス歯化する要求がある。
しかし、歯車のハス歯化を行った場合には、該歯車には駆動がかかるとスラスト力が発生して、加圧ローラにスラスト移動力が作用する。そのため、加圧ローラにスラスト移動方向におけるスラストガタ(加圧ローラの軸線方向への移動自由)があると、加圧ローラは突き当て部に突き当って受け止められるまでスラスト移動する。
一方、フィルムの長手方向位置の保持力は加圧ローラとのニップ部によって発生するため、フィルムの寄り力は加圧ローラの長手方向の寄り力によって大きく影響を受けてしまうので、加圧ローラが上記のようにスラスト移動するとフィルムには大きな寄り力が掛かかってしまうことがある。
そのため、最悪の場合として、フィルムの突き当て側隙間(フィルムのスラスト移動方向におけるガタ)が0で、加圧ローラの突き当て側隙間(加圧ローラのスラスト移動方向におけるガタ)が最大であるような初期状態で、フィルムと加圧ローラとが装置に組み込まれてしまうと、加圧ローラを駆動するハス歯歯車に駆動をかけた際に、加圧ローラが最大の突き当て側隙間分スラスト移動する。これにより、フィルムの端部が突き当て部に強く押し付けられて過大なストレスがかかり、フィルム端部に変形が生じてしまう可能性があった。
この課題を解決するために、加圧ローラを駆動する歯車をハス歯化するばあいには、フィルム寄り力を規制する特別な機構を付与するか、もしくはフィルムと加圧ローラの初期装着位置を組立時に厳密に管理する必要があり、コストアップ及び組立性の悪化を起こしてしまっていた。
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するためになされたものである。その目的とするところは、加圧ローラの駆動にハス歯歯車を使用した、フィルム加熱方式・加圧ローラ駆動方式の像加熱装置について、フィルムと加圧ローラの組み付け時のフィルムと加圧ローラのガタ寄り方向によってハス歯歯車駆動時にフィルムにダメージが及ぶことを組み立て性を損なうことなく防止できる、像加熱装置の組み立て方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る像加熱装置の組み立て方法の代表的な構成は、
可撓性を有するスリーブ状の回転体と、前記回転体の回転をガイドするガイド部材と、前記回転体を昇温せしめる加熱手段を備えた回転体ユニットと、前記回転体とニップ部を形成する加圧ローラと、前記回転体ユニットと前記加圧ローラとを対向する側板間に支持するフレームと、前記加圧ローラを回転駆動するハス歯歯車と、を有し、前記ニップ部で画像を担持した記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置の組み立て方法において、
(a)前記フレームとして、前記ハス歯歯車の駆動時における前記加圧ローラのスラスト移動を規制する加圧ローラ突き当て側の側板を初期には正規の位置から内側に斜めに倒れている形状になるように形成されたフレームを準備し、
(b)前記加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、前記加圧ローラと前記回転体ユニットとをローラ・ユニット組み込み工程と、
(c)前記加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、サブフレームを前記加圧ローラ突き当て側の側板を支持部の曲げ強度に抗して取り付けて、該側板を正規の位置に矯正させるサブフレーム取り付け工程と、
を有することを特徴とする。
可撓性を有するスリーブ状の回転体と、前記回転体の回転をガイドするガイド部材と、前記回転体を昇温せしめる加熱手段を備えた回転体ユニットと、前記回転体とニップ部を形成する加圧ローラと、前記回転体ユニットと前記加圧ローラとを対向する側板間に支持するフレームと、前記加圧ローラを回転駆動するハス歯歯車と、を有し、前記ニップ部で画像を担持した記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置の組み立て方法において、
(a)前記フレームとして、前記ハス歯歯車の駆動時における前記加圧ローラのスラスト移動を規制する加圧ローラ突き当て側の側板を初期には正規の位置から内側に斜めに倒れている形状になるように形成されたフレームを準備し、
(b)前記加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、前記加圧ローラと前記回転体ユニットとをローラ・ユニット組み込み工程と、
(c)前記加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、サブフレームを前記加圧ローラ突き当て側の側板を支持部の曲げ強度に抗して取り付けて、該側板を正規の位置に矯正させるサブフレーム取り付け工程と、
を有することを特徴とする。
上記の組み立て方法によれば、加圧ローラの駆動にハス歯歯車を使用した、フィルム加熱方式・加圧ローラ駆動方式の像加熱装置について、加圧ローラとフィルムを初期装着する際に加圧ローラとフィルムの位置を管理しなくても、フィルム端部のダメージを防止することが可能となり、フィルム寄り力を規制する機構を追加することによるコストアップや、組み立て性を犠牲にすることなくハス歯歯車を使用することが可能となる。すなわち、組み付け時に加圧ローラとフィルムのガタ寄せ方向を管理しながら組み立てる必要なく、ハス歯歯車のスラスト力によるフィルム端部へのダメージを防止することが可能になる。
(1)定着装置例の全体的な概略説明
図面を参照して、本実施例における像加熱装置としての定着装置について具体的に説明する。本例における定着装置は、フィルム加熱方式、加圧ローラ駆動方式の装置である。
図面を参照して、本実施例における像加熱装置としての定着装置について具体的に説明する。本例における定着装置は、フィルム加熱方式、加圧ローラ駆動方式の装置である。
ここで、以下の説明において、定着装置に関し、正面とは記録材入口側の面、左右とは定着装置を正面から見て左または右である。また定着装置またはこれを構成している部材の長手方向とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。幅または幅方向(短手方向)とは記録材搬送方向における寸法または並行な方向である。
図1、図2、図3はそれぞれ本例における定着装置100の途中部分省略の正面図、左側面図、右側面図である。図4は定着装置の途中部分省略の縦断正面図、図5は横断左側図である。図6は装置フレーム(定着フレーム)とサブフレーム(定着カバー)との分解斜視図である。図7は装置フレームに組み込まれる装置構成部品の分解斜視図である。
1は装置フレーム(以下、フレームと記す)、2はサブフレーム(以下、カバーと記す)である。フレーム1とカバー2は共に板金製である。フレーム1は、底板3と、左右の対向側板4L・4Rを有する。カバー2は側板4L・4Rの上辺間に取り付けられて、装置の天板となる。カバー2の内面側の四隅部にはそれぞれ位置決めボス5を下向きに突出させて配設してある。側板4L・4Rの上辺折り曲げ縁部6には上記4つのボス5に対応するボス受け孔7を設けてある。各ボス5をそれぞれ対応する受け孔7に挿入することで、カバー2が側板4L・4Rの上辺間に天板として取り付けられる。
側板4L・4Rには、それぞれ、上辺側を開放した縦長溝孔部8と、その溝孔部の下辺部に連設したU字溝孔部9と、を対称に形成してある。各U字溝孔部9にはそれぞれU字型の軸受25を嵌着してある。この左右の軸受間に、耐熱性・弾性を有する加圧ローラ20を回転自由に軸受支持させて配設してある。
加圧ローラ20は、芯金21と、その芯金上に同心一体にローラ状に形成したシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムあるいはシリコーンゴム等を発泡して形成された弾性層22と、その弾性層を被覆させたPFAチューブ等の離形層23と、を有する。芯金21の左右端部はそれぞれ側板4L・4Rから外方に突出させてある。左端部側の先端部は横断面D型軸部21aにし、このD型軸部に加圧ローラドライブギアとしてハス歯歯車24を嵌着してある。
加圧ローラ20の上側にフィルムユニット(回転体ユニット)30を配設してある。このフィルムユニット30は、フィルムガイド部材31、ヒータ(加熱手段)32、円筒状の定着フィルム(回転体)33、左右の定着フランジ34L・34R等のアセンブリである。
ガイド部材31は、横断面略半円形の横長樋型で、耐熱性・剛性を有する樹脂成形品であり、スリーブ状の定着フィルム33の回転をガイドするとともに、ヒータ32の支持体を兼用している。
ヒータ32は、細長薄板状の低熱容量の加熱体であり、給電により迅速に昇温する。セラミックヒータが一般的に用いられる。ヒータ32はガイド部材31の下面中央部にガイド部材長手に沿って形成した溝部に嵌着してガイド部材に支持させてある。
フィルム33は可撓性、耐熱性、薄膜、のスリーブ状の回転体である。具体的には、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等の耐熱性樹脂、あるいはSUS、Al、Ni、Ti、Zn等の金属部材を単独ないし複合して基層とし、表面には、PTFE、PFA等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂などの離形層を被覆したものである。フィルム33はヒータ32を取り付けたガイド部材31にルーズに外嵌させてある。
フランジ34L・34Rは、耐熱性樹脂の成形品であり、それぞれ内面側に横断面下向U字型の押子部34aを一体に具備させてある。そのフランジ34L・34Rを、それぞれ、押子部34aをガイド部材31の左右の端部からガイド内に嵌入してガイド部材31の左右に配設してある。
フィルムユニット30は、フランジ34L・34Rにそれぞれ具備させた縦溝部34bを、側板4L・4Rの縦長溝孔部8の縦縁部に対して開放側から係合させ、下方にスライド移動させることにより、側板4L・4R間において、加圧ローラ20の上側に配設される。
そして、フランジ34L・34Rの上面をそれぞれ加圧板35L・35Rにより押下げ方向に加圧付勢する。加圧板35L・35Rは板金製であり、一端部側のタグ部35aを側板4L・4R側にそれぞれ設けた切起し部10のスリット孔部10aにルーズに差し込んで係合させてある。これにより、加圧板35L・35Rはそれぞれタグ部35aとスリット孔部10aとの係合部を中心に上下方向に回動する自由度を有する。この加圧板35L・35Rをそれぞれフランジ34L・34Rの上面に対して当接させ、加圧板他端部側と、側板4L・4R側にそれぞれバネ掛け部として設けた切起し部11との間に加圧バネ(引張りコイルバネ)12を張設してある。これにより、加圧板35L・35Rは、それぞれ、タグ部35aとスリット孔部10aとの係合部を中心に、フランジ34L・34Rを加圧ローラ20に対して押し下げる方向に回動付勢される。加圧板35L・35Rは、フランジ34L・34Rの上面に当接した状態において、フランジ上面に設けた凸部34cが加圧板側に設けた孔部35bに対応して係合することで位置決めされる。
フランジ34L・34Rはそれぞれの内側に一体に設けた押子部34aがガイド部材31の左右端部側の内底面に当接している。そのため、フランジ34L・34Rに加えられた押下げ加圧力が押子部34aによりガイド部材31に作用し、ヒータ32を配設したガイド下面がフィルム33を挟んで加圧ローラ20に対して弾性層22の弾性に抗して圧接する。これにより、フィルムユニット30と加圧ローラ20との間に加熱ニップ部(定着ニップ部)Nが形成される。このニップ部Nが所定幅になるように加圧バネ力が設定される。
加圧ローラ20は、ドライブギアであるハス歯歯車24に不図示の駆動機構部より駆動力が伝達されて、図5において矢印の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ20の回転駆動による該ローラの外面とフィルム33との、ニップ部Nにおける圧接摩擦力によりフィルム33に回転力が作用する。これにより、フィルム33が、その内面側がニップ部Nにおいてヒータ32の下向き面に密着して摺動しながらガイド部材31の外周を従動回転する。ヒータ32はニップ部Nにおけるフィルム内面の摺動部材として機能している。ガイド部材31はフィルム33の回転をガイドする。
加圧ローラ20が回転駆動され、それに伴ってフィルム33が従動回転状態になり、また不図示の給電経路からヒータ32に給電がなされ、該ヒータが昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態になる。この状態において、ニップ部Nのフィルム33と加圧ローラ20との間に不図示の作像機構部から未定着トナー像を担持した記録材Sが導入される。そして、記録材Sはニップ部Nにおいてそのトナー像担持面側がフィルム33の外面に密着してフィルムと一緒にニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、ヒータ32の熱がフィルム33を介して記録材Sに付与され、記録材上の未定着トナー像が加熱・加圧されて溶融定着される。ニップ部Nを通過した記録材はフィルム33から曲率分離されて排出搬送される。
なお、フレーム1とカバー2には記録材の入口ガイド部材や出口ガイド部材が装着されるが、煩雑を避けるために図には省略した。
フィルム33の回転に伴うガイド部材31の長手に沿う寄り移動は、寄り移動側のフィルム端部がその側のフランジ34Lまたは34Rの内面に受け止められて、それ以上の寄り移動が規制される。上記のような定着装置Aは、加圧ローラ20の回転駆動によるフィルム33の回転状態において、ニップ部Nの部分を除いて実質的にフィルム33に張力が作用していない(テンションフリー)。そのためフィルム33の回転に伴うガイド長手に沿うフィルム寄り移動力は小さいので、フィルム寄り移動制御手段は上記のフランジ34L・34Rのように簡単化することができ、組立性の向上とコストダウンを図ることができる等の利点を有している。
(2)ハス歯歯車24のスラスト力によるフィルム端部のダメージ防止策
本例の定着装置100においては、ハス歯歯車24に駆動をかけた際に加圧ローラ20には右側板4R方向へのスラスト移動力が作用するものとする。
本例の定着装置100においては、ハス歯歯車24に駆動をかけた際に加圧ローラ20には右側板4R方向へのスラスト移動力が作用するものとする。
図11は、装置に組み込まれたフィルム33と加圧ローラ20の初期状態の最悪の場合を示している。すなわち、フィルム33の突き当て側隙間B(フィルム右端部とその突き当て部としての右フランジ34Rの内面とのガタ)が0であり、加圧ローラ20の突き当て側隙間b(加圧ローラ20の右芯金段部20Rとその突き当て部としての右軸受25の内面とのガタ)が最大である初期状態で、フィルムと加圧ローラとが装置に組み込まれている。Aはフィルム33の非突き当て側隙間(フィルム左端部とその突き当て部としての左フランジ34Lの内面とのガタ)、aは加圧ローラ20の非突き当て側隙間(加圧ローラ20の左芯金段部20Lとその突き当て部としての左軸受25の内面とのガタ)である。
このような初期状態においては、加圧ローラ20を駆動するハス歯歯車24に駆動をかけた際に、加圧ローラ20が最大の突き当て側ガタbの分スラスト移動するため、図12のように、フィルム33の右端部が突き当て部34Rに強く押し付けられて過大なストレスがかかり、フィルム端部に変形33aが生じてしまう。
上記のようなハス歯歯車24のスラスト力によるフィルム端部のダメージの発生を防止するために、フレーム1として、図6・図8のように、ハス歯歯車24の駆動時における加圧ローラ20のスラスト移動を規制する加圧ローラ突き当て側の側板4Rを、初期には、図6の2点鎖線示のほぼ垂直の正規の位置から、実線示のように、内側に斜めに倒れている形状になるように形成したフレーム1を準備する。すなわち、フレーム1のスラスト力を受ける右側板4Rは、カバー2が取り付けられていない状態では、内側に倒れている姿勢になるように形成されている。上記の右側板4Rの倒れ量は、左右フランジ34Lと34Rの内面間の距離が、フィルム33の長さより寸法公差の上下限の組み合わせでも大きくなる限界値になるように設定されている。
また、カバー2は前述のように左右の側板4L・4R間に取り付けられる構成となっており、カバー2側の位置決めボス5を左右側板4Lと4Rの上辺側の対応する受け孔7に挿入することで、カバー2が側板4L・4Rの上辺間に天板として取り付けられる。このカバー2のフレーム1に対する取り付けにより、右側板4Rの倒れを垂直に修正することが出来る構成となっている。
そして、図8のように、フレーム1にカバー2が取り付けられていない状態において、フレーム1の加圧ローラ突き当て側の側板4Rと非突き当て側の側板4Lとの間に、加圧ローラ20とフィルムユニット30とを順次に組み込む。フレーム1にカバー8を取り付けていない状態では、加圧ローラ突き当て側の側板4Rは内側に倒れているため、フィルム33、加圧ローラ20は共にスラスト方向のガタA・B、a・bが少ない構成になっている。なお、左右フランジ4Lと4Rはフィルム33を支持する構造であるが、フィルム内で斜めになってもフィルム33にダメージを与えない構造になっている。
フィルム33と加圧ローラ20はフレーム1中のスラストガタの中でさまざまな位置に置くことが出来るが、前述したようにフィルム端部へのダメージに対しては、加圧ローラ20の非突き当て側ガタaが最小で、フィルム33の突き当て側ガタBが最小に配置されるのが最悪の状態であるので、図8では最悪の状態を想定した位置においている。
次に、図9に示すように、左右の側板4L・4R間にカバー2を取り付ける。すなわち、右側板4Rについてはこれを支持部の曲げ強度に抗して垂直にして、カバー2側の位置決めボス5を左右側板4Lと4Rの上辺側の対応する受け孔7に挿入することで、カバー2を側板4L・4Rの上辺間に天板として取り付ける。このカバー2の取り付けにより、カバー2の位置決めボス5によってフレーム1の右側板4Rが、内側に斜めに倒れている形態から、ほぼ垂直に起立した正規の位置に矯正される。すると、加圧ローラ20とフィルム33の突き当て側ガタB及びbが、それぞれの突き当て部である右軸受25と右フランジ4Rが外側に移動することによって拡大されるために適正なガタ量に変化する。このとき、加圧ローラ20の突き当て部である軸受25は右側板4Rの支持部である底板3との連接曲げ位置に近く、フィルム33の突き当て部である右フランジ34Rは右側板4Rの支持部である底板3との連接曲げ位置から遠いので、フィルム33のガタBが加圧ローラ20のガタbより大きくなるようになっている。
次に、図10に示すように、フレーム1の左右部に加圧板35L・35Rと加圧バネ12を組み付けて左右のフランジ34L・34Rをそれぞれ加圧付勢した状態にして装置の組み立てを完了する。
この定着装置が画像形成装置に搭載されて、ハス歯歯車24に駆動がかかると、図1・図4に示す状態に変化する。すなわち、加圧ローラ20はハス歯歯車24のスラスト力によって図中右方に加圧ローラ突き当て側ガタbが0になる位置まで移動し、フィルム33もニップ部Nの摩擦力によって同じ移動量だけ右方に移動することになる。しかしながら、前述したようにフィルム33側のガタBと加圧ローラ20側のガタbはフィルム33側のガタBの方が大きいため、フィルム33側のガタBは0になることが無い。したがってフィルム33は加圧ローラ20のスラスト移動に起因して突き当て側フランジ4Rに接触することがないので、組み立て時に最悪の状態で加圧ローラ20とフィルム33が組み込まれた場合でもフィルム端部のダメージを防止することが可能となる。
以後、加圧ローラ20は、ハス歯歯車24が逆転されない限り、加圧ローラ20の突き当て側ガタbが0の状態に維持されて、それ以上のスラスト移動はしない。
カバー2のフレーム1に対する取り付けにより、右側板4Rの倒れを無理なく垂直に修正することが出来るように、フレーム1の、加圧ローラ突き当て側の側板4Rの支持部が、非突き当て側の側板4Lの支持部より曲げ強度が弱くなるように形成されているとよい。具体的に、本例においては、右側板4Rの支持部である底板3との連接曲げ位置にスリット部13を形成することで、右側板4Rの支持部が、非突き当て側である左側板4Lの支持部より曲げ強度が弱くなるように形成している。
フレーム1に対してカバー2を取り付けたときフレーム1は右側板4Rと左側板4Lとの間を広げる方向の力をカバー2より受けるが、右側板4Rには支持部である根元部にスリット部13が設けられており、支持部の曲げ強度が左側板4Lの支持部の曲げ強度より弱いため、垂直に形成された左側板4Lの直角度に影響を与えることなく、より精度良く右側板4Rを垂直に矯正することが可能となっている。
また、この構成を採用することで、加圧ローラ20やフィルムユニット30の支持の基準となる非突き当て側である左側板4Lの変形を防ぐことが可能となるので、より高精度での定着部品の支持が可能となる。
以上説明したように、加圧ローラの駆動にハス歯歯車を使用した、フィルム加熱方式・加圧ローラ駆動方式の像加熱装置について、組み付け時に加圧ローラとフィルムのガタ寄せ方向を管理しながら組み立てる必要なく、ハス歯歯車のスラスト力によるフィルム端部へのダメージを防止することが可能になる。
なお、フィルムユニット30の加熱手段であるヒータ32は、所謂セラミックヒータに限られず、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータや、電磁誘導発熱性部材など他の加熱体を用いることができる。セラミックの絶縁基板の代わりに、金属板の面を絶縁処理したものを用いることができる。可撓性の回転体であるフィルム33自体を電磁誘導発熱性部材にすることもできる。
本発明において、像加熱装置は、画像加熱定着装置としてばかりでなく、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、記録材上の未定着画像を仮定着させる像加熱装置等としても使用することができる。
1:装置フレーム、2:サブフレーム、4L:非突き当て側の側板、4R:突き当て側の側板、20:加圧ローラ、30:フィルムユニット(回転体ユニット)、24:ハス歯歯車
Claims (2)
- 可撓性を有するスリーブ状の回転体と、前記回転体の回転をガイドするガイド部材と、前記回転体を昇温せしめる加熱手段を備えた回転体ユニットと、前記回転体とニップ部を形成する加圧ローラと、前記回転体ユニットと前記加圧ローラとを対向する側板間に支持するフレームと、前記加圧ローラを回転駆動するハス歯歯車と、を有し、前記ニップ部で画像を担持した記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置の組み立て方法において、
(a)前記フレームとして、前記ハス歯歯車の駆動時における前記加圧ローラのスラスト移動を規制する加圧ローラ突き当て側の側板を初期には正規の位置から内側に斜めに倒れている形状になるように形成されたフレームを準備し、
(b)前記加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、前記加圧ローラと前記回転体ユニットとをローラ・ユニット組み込み工程と、
(c)前記加圧ローラ突き当て側の側板と非突き当て側の側板との間に、サブフレームを前記加圧ローラ突き当て側の側板を支持部の曲げ強度に抗して取り付けて、該側板を正規の位置に矯正させるサブフレーム取り付け工程と、
を有することを特徴とする像加熱装置の組み立て方法。 - 前記フレームの、加圧ローラ突き当て側の側板の支持部が、非突き当て側の側板の支持部より曲げ強度が弱くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置の組み立て方法。
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