JP2018127655A - 銅合金材 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い強度、高い導電性を兼ね備えるとともに、所定の耐熱性を安定して有する銅合金材を提供する。【解決手段】Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、残部がCu及び不可避不純物からなり、母相中に析出している直径が100nm以下の析出粒子のうち、CuとZrとからなる析出粒子の割合が50%以上である。【選択図】なし
Description
本発明は、銅合金材に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車が実用化されてきており、これらに用いられる端子やコネクタ等の部品(車載部品)には、これまで以上に高い強度と高い導電性とを有することが要求されている。また、車載部品は、高温環境下で使用されることがあることから、車載部品に用いられる銅合金材には、高温環境下においても高い強度と高い導電性とを維持することができるような、高い耐熱性を有することも要求されている。このような銅合金材として、例えば、銅(Cu)にジルコニウム(Zr)を添加した銅合金に、マグネシウム(Mg)や銀(Ag)、チタン(Ti)等を添加した銅合金からなる銅合金材が用いられることがある(例えば特許文献1〜3参照)。
しかしながら、上述の銅合金材では、同一組成の銅合金からなる銅合金材であっても、その耐熱性にばらつきが見られることがあり、所定の耐熱性を安定して有さないことがある。このため、同一組成の銅合金材であっても、高温環境下で用いられると、銅合金材によっては、強度、導電性が低下することがある。
本発明は、高い強度、高い導電性を兼ね備えるとともに、高い耐熱性を有する銅合金材を安定して提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、
Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、
残部がCu及び不可避不純物からなり、
母相中に析出している直径が100nm以下の析出粒子のうち、CuとZrとからなる析出粒子の割合が50%以上である銅合金材が提供される。
Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、
Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、
残部がCu及び不可避不純物からなり、
母相中に析出している直径が100nm以下の析出粒子のうち、CuとZrとからなる析出粒子の割合が50%以上である銅合金材が提供される。
本発明によれば、高い強度、高い導電性を兼ね備えるとともに、高い耐熱性を有する銅合金材を安定して得ることが可能となる。
<発明者等の得た知見>
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明する。
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明する。
従来より、コネクタ、リレー、スイッチ等の電気部品や電子部品に用いられる銅合金材には、高い強度、高い導電性を有することが要求されている。例えば、銅合金材がコネクタ等のばね材として用いられる場合、高い接触圧を充分に得るために必要な強度を有することが要求されている。また例えば、銅合金材には、この銅合金材が用いられたコネクタ等への通電時において、ジュール熱の発生を充分に抑えたり、発生した熱を充分に放散したりするために必要な導電性を有することが要求されている。
また、上述の車載部品に用いられる銅合金材には、上記の電気部品や電子部品等に用いられる銅合金材よりもさらに高い導電性、高い強度を有することに加え、高い耐熱性を有することが要求されている。
上述の車載部品等に用いられる銅合金材として、CuにZrを添加してなる銅合金(Cu−Zr系合金)からなる銅合金材(以下、Cu−Zr系合金材とも称する)、例えばC15100(Cu−0.1質量%Zr)や、C15000(Cu−0.15質量%Zr)の銅合金からなる銅合金材が提案されている。これらの銅合金材は、所定の耐熱性、高い導電性を有しているものの、車載部品に用いるには特に強度が不充分である。
そこで、特に強度向上を図る観点から、上述のCu−Zr系合金に、他の元素(物質、成分)を添加(追加)した銅合金からなる銅合金材(以下、「追加成分含有Cu−Zr系合金材」とも称する)が提案されている。このような銅合金材の一例として、0.05質量%以上0.3質量%以下のZrと、所定量のMg等と、を含む銅合金材や、0.02質量%以上0.5質量%以下のZrと、所定量のAg等と、を含む銅合金材や、0.03質量%以上0.2質量%以下のZrと、所定量のTi等と、を含む銅合金材が挙げられる。これらの追加成分含有Cu−Zr系合金材は、Cu−Zr系合金材(所定の成分を追加していない銅合金材)と同程度の高い導電性を維持しつつ、Cu−Zr系合金材よりも高い500MPa前後の強度を有している。また、これらの追加成分含有Cu−Zr系合金材は、150℃の温度条件下で1000時間保持(加熱)した後であっても優れた耐応力緩和性を有している、すなわち所定の耐熱性を有している。
しかしながら、車載部品に用いられる銅合金材には、さらに高い耐熱性を有すること、例えば150℃より高温の条件下で加熱した後であっても、所定の強度、導電性が維持されるような耐熱性を有することが要求されている。また、追加成分含有Cu−Zr系合金材の場合、同一組成であっても、複数の銅合金材間や、1つの銅合金材内でその耐熱性にばらつきがあることがある。このため、追加成分含有Cu−Zr系合金材は、高温条件下で加熱した後の強度、導電性がCu−Zr系合金材のそれらよりも低くなる場合がある。
そこで、本発明者等は、追加成分含有Cu−Zr系合金材において、高い強度、高い導電性を有するとともに、高い耐熱性を有する銅合金材を安定して得るべく鋭意研究を行った。その結果、追加成分含有Cu−Zr系合金材中に、CuとZrとからなる微細な化合物粒子(析出粒子)を析出させることで、耐熱性を向上させることができることを見出した。また、母相中に析出する所定大きさの析出粒子のうちCuとZrとからなる析出粒子の割合を増やすことで、上述の耐熱性のばらつきを抑制することができることを見出した。本発明は、本発明者等が見出した上記知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
(1)銅合金材の構成
本実施形態にかかる銅合金材は、所定量のジルコニウム(Zr)と、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)及びスズ(Sn)からなる群より選択される1種以上(以下、「Mg等」とも称する)と、を含み、残部が銅(Cu)及び不可避不純物からなっている。銅合金材は、圧延加工等を行うことで板状に形成されてなる。
本実施形態にかかる銅合金材は、所定量のジルコニウム(Zr)と、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)及びスズ(Sn)からなる群より選択される1種以上(以下、「Mg等」とも称する)と、を含み、残部が銅(Cu)及び不可避不純物からなっている。銅合金材は、圧延加工等を行うことで板状に形成されてなる。
銅合金材の母材であるCuとしては、導電率(導電性)の低下を抑制する等の観点から、純度が例えば99.9%以上の無酸素銅(OFC:Oxygen Free Copper)等を用いることが好ましい。
銅合金材にZrを含有させることで、一部のZrがCuと反応し、母相中にCuとZrとからなる析出粒子(CuとZrとからなる化合物、以下、Cu−Zr析出粒子とも称する)が析出する。Cu−Zr析出粒子としては、Cu5Zrが例示される。なお、Cu−Zr析出粒子を生成しなかったZrは、Mg等と化合物を生成して母相中に析出したり、化合物を生成することなく(母相中に析出することなく)単独で母相中に固溶したり(固溶状態で残留したり)する。
銅合金材の母相中には、上述のCu−Zr析出粒子の他に、Cuと上述のMg等とが反応してなる析出粒子や、ZrとMg等とが反応してなる析出粒子等の析出粒子が析出している。これらの析出粒子は、銅合金材の強度を向上させたり、銅合金材の耐熱性を向上させたりする効果を有しており、析出粒子の組成(構成成分)や大きさによって、得られる効果が異なる。
Cu−Zr析出粒子は、銅合金材の耐熱性の向上や強度の向上に寄与する成分であるため、母相中にCu−Zr析出粒子を析出させることで、銅合金材の耐熱性、強度を向上させることができる。Cu−Zr析出粒子は、他の析出粒子よりも特に耐熱性向上効果が高い成分である。
本実施形態にかかる銅合金材では、母相中に析出している直径(差し渡し最大幅)が100nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下の析出粒子のうち、Cu−Zr析出粒子の割合(以下、単に「Cu−Zr析出粒子の割合」とも称する)が50%以上である。例えば、母相中の所定の領域内に析出している直径が100nm以下の析出粒子の数のうち、Cu−Zr析出粒子の数が半数以上を占めている。
Cu−Zr析出粒子の割合の調整は、例えばMg等の含有量を調整することで行うことができる。Cu−Zr析出粒子の割合を高くするには、Zrの含有量に対するMg等(Zr以外の添加成分)の含有量の比率(Mg等の含有量/Zrの含有量)が低くなるように、Mg等の含有量を調整すればよい。
Mg等の含有量が多いと、CuとMg等との反応により生成される析出粒子や、ZrとMg等との反応により生成される析出粒子等の析出粒子(Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子)が増えることから、Cu−Zr析出粒子が相対的に減少する。また、Mg等の含有量が多く、Zrと反応するMg等の量が多くなると、この反応で消費されるZrの量が多くなり、Cuと反応するZrの量が減少する。すなわち、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子の数が増え、Cu−Zr析出粒子の数が減る。このように、Zrの含有量に対するMg等の含有量の比率が高くなると、Cu−Zr析出粒子の割合が低くなる。
なお、Zrの含有量、Mg等の含有量、Zrの含有量に対するMg等の含有量の比率の詳細については後述する。
また例えば、Cu−Zr析出粒子の割合の調整は、銅合金材の製造工程中の熱処理時間を調整することによっても行うことができる。例えば、熱処理時間を短くすることで、Cu−Zr析出粒子の割合を高めることができる。なお、銅合金材の製造工程については後述する。
ここで、ナノメータオーダの微細な析出粒子の大きさや数は、透過型電子顕微鏡(TEM)等による直接観察で評価できる。なお、微細な析出粒子の下限については特に制限は存在しない。しかしながら、現在の技術水準では、TEMを用いた一般的な視野での観察や分析が可能な析出粒子の下限値は10nmである。また、析出粒子の組成は、TEMに付属したエネルギ分散型X線分光分析装置(EDS)等によって分析できる。本実施形態では、TEM、EDSを用いて直径が10nm以上100nm以下の析出粒子を100個程度選択してその成分を観察して、上述のCu−Zr析出粒子の割合を算出している。
銅合金材中のZrの含有量によって、母相中のCu−Zr析出粒子の数(析出数、量)が変化するとともに、母相中に固溶するZrの量が変化する。このため、銅合金材中のZrの含有量は、0.05質量%以上0.3質量%以下とする。
Zrの含有量が0.05質量%未満であると、Cu−Zr析出粒子の析出数が不充分となる。Zrの含有量を0.05質量%以上にすることで、充分な数のCu−Zr析出粒子を析出させることができる。その結果、Cu−Zr析出粒子による耐熱性向上効果や強度向上効果を充分に得ることができる。また、Cu−Zr析出粒子の割合を50%以上にすることができる。
Zrの含有量が0.3質量%を超えると、母相中に固溶するZrの量が多くなり、銅合金材の導電性が低くなる。Zrの含有量を0.3質量%以下にすることで、この課題を解決できる。
銅合金材には、上述のZrに加え、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上が含まれている。銅合金材において、これらのMg等は、母相中に固溶していたり、CuやZr等と反応して化合物を生成して母相中に析出したりしている。
Mg等は、CuやZr等との化合物として母相中に析出したり、母相中に固溶したりすることで、銅合金材の強度を向上させる特性を有している。このようなMg等をZrとともに含有させることで、Zrの含有量を増やすことなく、銅合金材の強度を高めることができる。例えば、Zrの含有量が同じ銅合金材である場合、Mg等を含有させた銅合金材の方が、Mg等を含有させていない銅合金材よりも高い強度を有する。
銅合金材中のMg等の含有量によって、上述のようにCu−Zr析出粒子の割合が変化したり、母相中に固溶するMg等の量が変化したりすることで、銅合金材の強度や、導電性、耐熱性が変化する。銅合金材を高い強度、高い導電性、高い耐熱性を有するものとする観点から、Mg等の含有量は、0.01質量%以上0.3質量%以下とする。なお、上述のMg等のうちの2種以上を含有させる場合は、2種以上の成分の総量(合計含有量)が上記の範囲内となるようにする。
Mg等の含有量が0.01質量%未満であると、Mg等が不可避不純物である酸素(O)等と結合(反応)することで、母相中に固溶するMg等の量が減少することがある。なお、例えばMgがOと結合することで生成されるMgOは、強度向上効果を有しない。その結果、Mg等を含有させることによる強度向上効果が得られないことがある。Mg等の含有量を0.01質量%以上にすることで、この課題を解決でき、Mg等の一部が不可避不純物と反応しても、一定量のMg等とCuやZr等との化合物を母相中に析出させたり、一定量のMg等を銅合金材中に固溶させたりすることができる。これにより、Mg等を含有させることによる強度向上効果を得ることができる。
Mg等の含有量が0.3質量%を超えると、母相中に固溶するMg等の量が多くなりすぎることで導電性が低下することがある。また、上述のように、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子(の数)が増えることで、上述のCu−Zr析出粒子の割合が50%未満になり、耐熱性が低下することがある。Mg等の含有量を0.3質量%以下にすることで、これらの課題を解決できる。すなわち、導電性の低下を抑制でき、また、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子の生成によるCu−Zr析出粒子の割合の低下を抑制することで、耐熱性を向上させることができる。
Zrの含有量、Mg等の含有量は、それぞれ上記範囲内の含有量であって、Zrの含有量に対する上述のMg等の含有量(2種以上の場合は総量)の比率(Mg等の含有量/Zrの含有量の値)が例えば1以下となるように、設定することが好ましい。上述の比率が1を超えると、Mg等を含む析出粒子が増えることから、Cu−Zr析出粒子が相対的に減少する。その結果、上述のCu−Zr析出粒子の割合が50%未満になる場合がある。上述の比率が1以下となるように、Zrの含有量、Mg等の含有量を設定することで、上述のCu−Zr析出粒子の割合を50%以上に確実にすることができる。
(2)銅合金材の製造方法
次に、本実施形態にかかる銅合金材の製造方法について、連続鋳造法を例示して説明する。
次に、本実施形態にかかる銅合金材の製造方法について、連続鋳造法を例示して説明する。
(鋳造工程)
高周波溶解炉等を用いて原料としての無酸素銅を溶解して銅の溶解液を生成する。この銅の溶解液中に、所定量のZr、所定量のMg等を添加して銅合金を溶製する。このとき、最終的に形成される銅合金材中のZrの含有量が0.05質量%以上0.3質量%以下になり、Mg等の含有量が0.01質量%以上0.3質量%以下になるように、Zr、Mg等の添加量を調整する。溶製した銅合金(銅合金の溶湯)を鋳型に注いで冷却し、所定の組成を有する鋳塊を鋳造する。
高周波溶解炉等を用いて原料としての無酸素銅を溶解して銅の溶解液を生成する。この銅の溶解液中に、所定量のZr、所定量のMg等を添加して銅合金を溶製する。このとき、最終的に形成される銅合金材中のZrの含有量が0.05質量%以上0.3質量%以下になり、Mg等の含有量が0.01質量%以上0.3質量%以下になるように、Zr、Mg等の添加量を調整する。溶製した銅合金(銅合金の溶湯)を鋳型に注いで冷却し、所定の組成を有する鋳塊を鋳造する。
(熱間圧延工程)
鋳塊を所定温度(例えば900℃以上1000℃以下)に加熱し、所定温度の鋳塊に対して所定の加工度の熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば6〜15mm)の熱間圧延材を形成する。本明細書における熱間圧延材とは、熱間圧延工程を行うことで形成された無酸素銅の板材をいう。
鋳塊を所定温度(例えば900℃以上1000℃以下)に加熱し、所定温度の鋳塊に対して所定の加工度の熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば6〜15mm)の熱間圧延材を形成する。本明細書における熱間圧延材とは、熱間圧延工程を行うことで形成された無酸素銅の板材をいう。
(冷間圧延工程)
熱間圧延工程が終了した後、所定の加工度の冷間圧延と、時効を目的とする熱処理と、をそれぞれ交互に所定回数繰り返して行い、所定厚さ(例えば0.5〜5mm)の冷間圧延材を形成する。冷間圧延工程は、冷間圧延と熱処理とを交互に所定回数繰り返した後、冷間圧延で終了するとよい。なお、本明細書における冷間圧延材とは、冷間圧延工程が終了した後(所定回数の冷間圧延と熱処理とを行った後)の銅合金の板材をいう。
熱間圧延工程が終了した後、所定の加工度の冷間圧延と、時効を目的とする熱処理と、をそれぞれ交互に所定回数繰り返して行い、所定厚さ(例えば0.5〜5mm)の冷間圧延材を形成する。冷間圧延工程は、冷間圧延と熱処理とを交互に所定回数繰り返した後、冷間圧延で終了するとよい。なお、本明細書における冷間圧延材とは、冷間圧延工程が終了した後(所定回数の冷間圧延と熱処理とを行った後)の銅合金の板材をいう。
上述の熱処理は、被処理材を所定温度(例えば350〜650℃)で所定時間加熱することで行われる。
母相(銅合金材)中における析出粒子は、350〜650℃程度の温度領域(温度帯)で被処理材を加熱することで析出し、そして、この温度領域で被処理材を加熱保持することで析出が進行し、析出粒子が成長する。母相中に析出する析出粒子のうち、Cu−Zr析出粒子は、他の析出粒子(Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子)よりも早い段階(短時間の加熱)で析出し始める。析出が進行する温度領域に被処理材が保持される時間が長くなるほど、母相中に析出するCu−Zr析出粒子以外の析出粒子が増えていく傾向にあり、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子の割合が増えやすくなる。
このため、熱処理における被処理材の加熱を、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子の析出がCu−Zr析出粒子の析出よりも活発となる前に停止することが好ましい。すなわち、熱処理は、熱処理を行う目的を達成できる範囲内でなるべく短時間で行うことが好ましい。例えば、1回の熱処理時間を1分前後とすることが好ましい。
(歪取り焼鈍工程)
冷間圧延工程が終了した後、冷間圧延材に対して、所定温度(例えば400〜500℃)で所定時間(例えば1分間)加熱する歪み取り焼鈍を行い、銅合金材を形成する。この歪取り焼鈍処理においても析出粒子の析出、成長が進行することがある。このため、Cu−Zr析出粒子の割合を確実に高める観点から、歪取り焼鈍処理での加熱時間もできるだけ短くすることが好ましい。
冷間圧延工程が終了した後、冷間圧延材に対して、所定温度(例えば400〜500℃)で所定時間(例えば1分間)加熱する歪み取り焼鈍を行い、銅合金材を形成する。この歪取り焼鈍処理においても析出粒子の析出、成長が進行することがある。このため、Cu−Zr析出粒子の割合を確実に高める観点から、歪取り焼鈍処理での加熱時間もできるだけ短くすることが好ましい。
(3)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、所定量のZrと、所定量のMg等と、を含ませ、母相中に析出している直径が100nm以下の析出粒子のうちCu−Zr析出粒子の割合を50%以上としている。すなわち、本実施形態では、銅合金材の組成条件と所定大きさの析出粒子の成分条件とが所定条件を満たすようにしている。これにより、本実施形態では、高い強度、高い導電性を兼ね備え、高い耐熱性を有する銅合金材を安定して得ることができる。
例えば、本実施形態にかかる銅合金材は、導電率が85%IACS以上であり、引張強さが520MPa以上であり、高い強度と高い導電性とをバランスよく兼ね備えている。これに対し、従来の追加成分含有Cu−Zr系合金材では、導電率が85%IACS以上であっても、引張強さは500MPa未満であることが一般的である。このことから、本実施形態にかかる銅合金材は、高い導電率を維持しながら、従来の銅合金材よりも優れた強度を有している銅合金材であるといえる。
また例えば、本実施形態にかかる銅合金材は、500℃の温度条件下で5分間加熱した後(500℃×5分間加熱後)のビッカース硬さHvが140以上、好ましくは、550℃の温度条件下で5分間加熱した後(550℃×5分間加熱後)のビッカース硬さHvが120以上である。このように、本実施形態にかかる銅合金材は、高温環境下で加熱された場合であっても、導電性や強度、特に強度が低下しにくく、高い耐熱性を有している。これに対し、従来の一般的なCu−Zr系合金材では、500℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvが140未満になることを、本願発明者は確認済みである。
(b)本実施形態では、母相中に析出している直径が100nm以下の析出粒子のうちCu−Zr析出粒子の割合を50%以上としていることから、銅合金材は高い耐熱性を有する。
というのも、母相中に析出している析出粒子のうち、直径が100nm以下である微細な析出粒子は、銅合金材の強度や耐熱性に与える影響が大きい。例えば、このような微細な析出粒子は、直径が100nmを超える析出粒子よりも、銅合金材の強度向上効果や耐熱性向上効果が高い。また、上述のように、Cu−Zr析出粒子は、他の析出粒子よりも耐熱性向上効果が高い。これらから、直径が100nm以下の微細なCu−Zr析出粒子の割合を50%以上とすることで、銅合金材の耐熱性を充分に高めることができる。
(c)また、上述のCu−Zr析出粒子の割合を50%以上とすることで、耐熱性のばらつきを抑制することができ、所定の耐熱性を有する銅合金材を安定して得ることができる。例えば、同一組成を有する複数の銅合金材間で耐熱性がばらつくことを抑制できる、すなわち複数の銅合金材間で耐熱性を均一にすることができる。また、1つの銅合金材内でも耐熱性を均一にすることができる。これは、本願発明者等により見出された知見である。その結果、例えば銅合金材から複数の電気部品、電子部品等を形成した際、各電気部品や電子部品で耐熱性がばらつくことを抑制できる。例えば、同一組成を有する銅合金材を用いて複数の電気部品において、ある電気部品は所定の耐熱性を有するが、他の電気部品は所定の耐熱性を有さない、といったような問題が生じることを回避できる。なお、Cu−Zr析出粒子の割合が50%未満であると、同一組成を有する複数の銅合金材間や、1つの銅合金材の面内で耐熱性が不均一となることがある。
なお、従来のCu−Zr系合金にMg等を添加して強度を向上させた銅合金材では、耐熱性が不均一である。これは、銅合金材(母相)中に存在するCuとZrとからなる微細な化合物粒子の量が影響しているためである。すなわち、耐熱性が低い銅合金材では、Mg等とZrとからなる析出粒子(化合物粒子)が多く形成されており、Cu−Zr析出粒子が相対的に少なくなっているため、耐熱性が不均一となる。これは、本願発明者により見出された事項である。
(d)銅合金材中におけるZrの含有量を0.05質量%以上0.3質量%にすることで、導電性の低下を抑制しつつ、充分な数のCu−Zr析出粒子を母相中に析出させることができる。その結果、Cu−Zr析出粒子による強度向上効果、耐熱性向上効果を得ることができる。
(e)CuにZrを添加してなるCu−Zr系合金に、さらに0.01質量%以上0.3質量%以下のMg等を含有させることで、導電性の低下を抑制しつつ、Mg等を添加することによる強度向上効果を充分に得ることができ、強度を高めることができる。また、Mg等の含有量を上記範囲内にすることで、Cu−Zr析出粒子の割合を50%以上にでき、Cu−Zr析出粒子による耐熱性向上効果も充分に得ることができる。
(f)Zrの含有量に対するMg等の含有量の比率が1以下となるように、Zrの含有量、Mg等の含有量をそれぞれ設定することが好ましく、これにより、Cu−Zr析出粒子の割合を50%以上に確実にすることができる。Cu−Zr析出粒子による耐熱性向上効果を確実に得ることができる。
(g)本実施形態では、銅合金材の製造工程において、析出が進行する温度領域での被処理材の加熱時間をできるだけ短くしている。このため、銅合金材の製造工程中におけるCu−Zr析出粒子以外の析出粒子の析出をできるだけ抑制することができ、その結果、Cu−Zr析出粒子の割合をより高めることができる。
(h)上述のように、本実施形態にかかる銅合金材は、高い導電性と高い強度とを兼ね備えていることから、コネクタ、リレー、スイッチ等の電気部品や電子部品に好適に用いることができる。本実施形態にかかる銅合金材は、大電流が通電される部品に用いられる場合に有効である。
(i)また、本実施形態にかかる銅合金材は上述のような高い耐熱性を有するため、高温環境下で加熱された場合であっても、強度や導電性が低下することを抑制することができる。このことから、本実施形態にかかる銅合金材は、電気部品や電子部品等のうち、大電流が通電され、かつ、高温環境下に曝される可能性がある車載部品に用いられる場合に、特に有効である。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、高周波溶解炉を用いて銅の溶解液を生成したり、銅合金を溶製したりする場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、原料を加熱して溶解して溶湯を生成することが可能な種々の溶解炉を用いることができる。
上述の実施形態では、銅の溶解液を生成した後、銅の溶解液中に、Zr、Mg等を添加して銅合金を溶製する場合を例に説明したが、これに限定されない。固体状態の無酸素銅、Zr、Mg等を溶解炉(るつぼ)に投入した後、溶解炉を加熱して無酸素銅、Zr、Mg等を溶解することで、銅合金を溶製してもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の作製>
(試料1)
まず、連続鋳造法により所定形状の鋳塊を鋳造した。具体的には、溶解炉を用いて無酸素銅を母材とし、溶解液を生成した。この銅の溶解液、すなわち無酸素銅の溶湯中に、最終的に形成される銅合金材中のZrの含有量が0.15質量%、Mgの含有量が0.05質量%となるように、所定量のZr、Mgを添加して銅合金を溶製した。溶製した銅合金を所定形状の鋳型に注いで厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmの鋳塊を鋳造した。
(試料1)
まず、連続鋳造法により所定形状の鋳塊を鋳造した。具体的には、溶解炉を用いて無酸素銅を母材とし、溶解液を生成した。この銅の溶解液、すなわち無酸素銅の溶湯中に、最終的に形成される銅合金材中のZrの含有量が0.15質量%、Mgの含有量が0.05質量%となるように、所定量のZr、Mgを添加して銅合金を溶製した。溶製した銅合金を所定形状の鋳型に注いで厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmの鋳塊を鋳造した。
得られた鋳塊を950℃に加熱した後、降温する前の鋳塊に対して熱間圧延を行い、厚さが8mmの熱間圧延材を得た。この熱間圧延材に対して冷間圧延を行って厚さが2.5mmの板材を形成し、この板材に対して600℃の温度条件下で1分間加熱する第1熱処理を行った。第1熱処理後の板材に対して冷間圧延を行って厚さが1mmの板材を形成し、この板材に対して600℃の温度条件下で1分間加熱する第2熱処理を行った。第2熱処理後の板材に対して冷間圧延を行って、厚さが3mmの板材、すなわち厚さが3mmの冷間圧延材を得た。冷間圧延材に対して420℃の温度条件下で1分間加熱する歪取り焼鈍処理を行い、銅合金材を作製した。この銅合金材を試料1とした。
試料1及び後述の試料2〜22の銅合金材の組成、試料1及び後述の試料2〜22を作製する際の熱処理条件を、下記の表1にまとめて示す。
(試料2〜19)
試料2〜19では、銅合金材の組成が上記の表1に示す通りとなるように、Zr、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの添加量を調整した。その他は、上述の試料1と同様の条件で銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料2〜19とした。
試料2〜19では、銅合金材の組成が上記の表1に示す通りとなるように、Zr、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの添加量を調整した。その他は、上述の試料1と同様の条件で銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料2〜19とした。
(試料20〜22)
試料20〜22では、銅合金材の組成が上記の表1に示す通りとなるように、Zr、Mg、Ti、Snの添加量を調整するとともに、熱処理条件を表1に示す通りにした。その他は、上述の試料1と同様の条件で銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料20〜22とした。
試料20〜22では、銅合金材の組成が上記の表1に示す通りとなるように、Zr、Mg、Ti、Snの添加量を調整するとともに、熱処理条件を表1に示す通りにした。その他は、上述の試料1と同様の条件で銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料20〜22とした。
<評価>
試料1〜22についてそれぞれ、Cu−Zr析出粒子の割合、導電性、強度、耐熱性の評価を行った。
試料1〜22についてそれぞれ、Cu−Zr析出粒子の割合、導電性、強度、耐熱性の評価を行った。
(Cu−Zr析出粒子の割合の評価)
Cu−Zr析出粒子の割合の評価は以下の手順で行った。まず、各試料から採取した試験片に対して研磨とイオンミリングとを行い、試験片を薄片化した。その後、TEMを用いて試験片を観察し、観察領域内に存在する析出粒子のうち、直径が10nm以上100nm以下の大きさの析出粒子を100個選択した。選択した析出粒子の成分(組成)を、EDSにより分析し、直径が10nm以上100nm以下の析出粒子のうちCuとZrとからなる析出粒子(Cu−Zr析出粒子)の割合を算出した。
Cu−Zr析出粒子の割合の評価は以下の手順で行った。まず、各試料から採取した試験片に対して研磨とイオンミリングとを行い、試験片を薄片化した。その後、TEMを用いて試験片を観察し、観察領域内に存在する析出粒子のうち、直径が10nm以上100nm以下の大きさの析出粒子を100個選択した。選択した析出粒子の成分(組成)を、EDSにより分析し、直径が10nm以上100nm以下の析出粒子のうちCuとZrとからなる析出粒子(Cu−Zr析出粒子)の割合を算出した。
(導電性、強度、耐熱性の評価)
導電性の評価は、JIS H0505に準拠した導電率測定方法により、各試料から採取した試験片の導電率を測定することで行った。
導電性の評価は、JIS H0505に準拠した導電率測定方法により、各試料から採取した試験片の導電率を測定することで行った。
強度の評価は、JIS Z2241に準拠した引張試験により、各試料から採取した試験片の引張強度を測定することで行った。
耐熱性の評価は、以下の手順で行った。まず、各試料から採取した試験片を500℃(550℃)の条件下で5分間加熱した。加熱後の試験片について、JIS Z2244に準拠した測定方法により、ビッカース硬さ(Hv)を測定した。ビッカース硬さの値が大きいほど、耐熱性が高いことを示している。
<評価結果>
試料1〜22のCu−Zr析出粒子の割合、導電性、強度および耐熱性の評価結果は、上記の表1にまとめて示している。
試料1〜22のCu−Zr析出粒子の割合、導電性、強度および耐熱性の評価結果は、上記の表1にまとめて示している。
試料1〜13から、所定の銅合金材の組成条件と所定の析出粒子の成分条件とを満足させることで、高い導電性と高い強度とを兼ね備えつつ、高い耐熱性を有することを確認した。すなわち、Zrの含有量が0.05質量%以上0.3質量%以下であり、Mg等の含有量が0.01質量%以上0.3質量%以下であり、Cu−Zr析出粒子の割合が50%以上である銅合金材は、導電率が85%IACS以上であり、引張強度が520MPa以上であることを確認した。また、このような銅合金材は、500℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvを140以上に維持でき、550℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvを120以上に維持できることを確認した。
試料14から、Mg等を含有させないと、引張強度が520MPa未満となり、強度が低くなることを確認した。このことから、Cu−Zr系合金に、Mg等を含有させることで、銅合金材の強度を高くすることができることが分かる。
試料15から、Zrの含有量が0.05質量%未満であると、母相中に充分な数のCu−Zr析出粒子を析出させることができず、Cu−Zr析出粒子の割合が50%未満になることを確認した。また、試料15は、銅合金材の引張強度が520MPa未満であり、500℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvが140未満、550℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvが120未満であり、強度、耐熱性が低いことを確認した。これは、試料15では、Cu−Zr析出粒子の数(析出数)が不充分であり、Cu−Zr析出粒子による強度向上効果、耐熱性向上効果を充分に得られないためである。
試料16から、Zrの含有量が0.3質量%を超えると、導電率が85%IACS未満となり、導電性が低くなることを確認した。
試料17から、Sn(Mg等)の含有量が0.3質量%を超えると、CuとSnとからなる析出粒子やZrとSnとからなる析出粒子等のCu−Zr析出粒子以外の析出粒子の数が増え、Cu−Zr析出粒子の割合が50%未満になることを確認した。また、試料17は、導電率が85%IACS未満であり、500℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvが140未満、550℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvが120未満であり、導電性、耐熱性が低いことを確認した。このようにSnの含有量が増えると、Snが有する強度向上効果により、銅合金材は高い強度を有するものの、母相中に固溶するSnの量が増加するため導電性が低下し、また、Cu−Zr析出粒子の割合が低くなるためCu−Zr析出粒子による耐熱性向上効果が充分に得られず、耐熱性が低下する。
試料17と、試料18,19と、の比較から、Zrの含有量に対するSn(Mg等)の含有量の比率(Snの含有量/Zrの含有量)が低くなるほど、Cu−Zr析出粒子の割合が高くなることを確認した。このことから、Cu−Zr析出粒子の割合の調整は、Zrの含有量に対するMg等の含有量を調整することで行うことができることが分かる。また、Zrの含有量に対するMg等の含有量の比率が大きくなるほど、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子が形成されやすくなることも分かる。
試料20〜22から、銅合金材の製造工程における熱処理時間が長くなると、Cu−Zr析出粒子の割合が50%未満になることを確認した。これは、銅合金材を形成する際、母相中への析出粒子の析出が進行する温度領域での加熱時間が長くなると、析出の進行によって、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子が増えたためと考えられる。このことから、Cu−Zr析出粒子は、Cu−Zr析出粒子以外の析出粒子よりも短時間の加熱で析出することが分かる。また、試料20〜22は、500℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvが140未満、550℃×5分間加熱後のビッカース硬さHvが120未満であり、耐熱性が低いことを確認した。これは、Cu−Zr析出粒子の割合が50%未満であるためである。
<好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、
Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、
残部がCu及び不可避不純物からなり、
母相中に析出している直径が100nm以下(好ましくは直径が10nm以上100nm以下)の析出粒子のうち、(直径が100nm以下の)CuとZrとからなる析出粒子の割合が50%以上である銅合金材が提供される。
本発明の一態様によれば、
Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、
Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、
残部がCu及び不可避不純物からなり、
母相中に析出している直径が100nm以下(好ましくは直径が10nm以上100nm以下)の析出粒子のうち、(直径が100nm以下の)CuとZrとからなる析出粒子の割合が50%以上である銅合金材が提供される。
[付記2]
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
母相中の所定領域内に析出している直径が100nm以下の前記析出粒子の数のうち、前記CuとZrとからなる析出粒子の数が半数以上を占める。
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
母相中の所定領域内に析出している直径が100nm以下の前記析出粒子の数のうち、前記CuとZrとからなる析出粒子の数が半数以上を占める。
[付記3]
付記1または2の銅合金材であって、好ましくは、
前記Zrの含有量に対する、前記Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上の含有量の比率が1以下である。
付記1または2の銅合金材であって、好ましくは、
前記Zrの含有量に対する、前記Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上の含有量の比率が1以下である。
[付記4]
付記1〜3のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
導電率が85%IACS以上であり、
引張強さが520MPa以上であり、
500℃の温度条件下で5分間加熱した後のビッカース硬さHvが140以上である。
付記1〜3のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
導電率が85%IACS以上であり、
引張強さが520MPa以上であり、
500℃の温度条件下で5分間加熱した後のビッカース硬さHvが140以上である。
[付記5]
付記1〜4のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
導電率が85%IACS以上であり、
引張強さが520MPa以上であり、
550℃の温度条件下で5分間加熱した後のビッカース硬さHvが120以上である。
付記1〜4のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
導電率が85%IACS以上であり、
引張強さが520MPa以上であり、
550℃の温度条件下で5分間加熱した後のビッカース硬さHvが120以上である。
[付記6]
本発明の他の態様によれば、
Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を鋳造する鋳造工程と、
前記鋳塊に対して熱間圧延を行って熱間圧延材を形成する熱間圧延工程と、
前記熱間圧延材に対して、冷間圧延を行う処理と、熱処理と、を交互に所定回数行う冷間圧延工程と、を有し、
前記冷間圧延工程において前記熱処理を行う際、被処理材の母相中への析出粒子の析出が進行する温度領域での加熱を、CuとZrとからなる析出粒子以外の析出粒子の析出がCuとZrとからなる析出粒子の析出よりも活発となる前に停止する銅合金材の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、
Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を鋳造する鋳造工程と、
前記鋳塊に対して熱間圧延を行って熱間圧延材を形成する熱間圧延工程と、
前記熱間圧延材に対して、冷間圧延を行う処理と、熱処理と、を交互に所定回数行う冷間圧延工程と、を有し、
前記冷間圧延工程において前記熱処理を行う際、被処理材の母相中への析出粒子の析出が進行する温度領域での加熱を、CuとZrとからなる析出粒子以外の析出粒子の析出がCuとZrとからなる析出粒子の析出よりも活発となる前に停止する銅合金材の製造方法が提供される。
Claims (3)
- Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含み、
Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In及びSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.01質量%以上0.3質量%以下含み、
残部がCu及び不可避不純物からなり、
母相中に析出している直径が100nm以下の析出粒子のうち、CuとZrとからなる析出粒子の割合が50%以上である
銅合金材。 - 導電率が85%IACS以上であり、
引張強さが520MPa以上であり、
500℃の温度条件下で5分間加熱した後のビッカース硬さHvが140以上である
請求項1に記載の銅合金材。 - 導電率が85%IACS以上であり、
引張強さが520MPa以上であり、
550℃の温度条件下で5分間加熱した後のビッカース硬さHvが120以上である
請求項1または2に記載の銅合金材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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