JP2018126890A - 保護フィルム付き金型及び凹凸構造を有する物品の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]金型と、金型の表面に付与した保護フィルムと、を含む、保護フィルム付き
金型であって、金型が、転写により凹凸構造を形成するための金型であり、
保護フィルムが、温度上昇により粘着力が大きくなる自己粘着フィルムで
ある、保護フィルム付き金型。
[2]凹凸構造が、モスアイ構造である、[1]に記載の保護フィルム付き金型。
[3]金型が、ロール状である、[1]又は[2]に記載の保護フィルム付き金型。
[4]23℃におけるアクリル板に対する自己粘着フィルムの粘着力が、
0.3N/25mm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の保護フィ
ルム付き金型。
[5]75℃におけるアクリル板に対する自己粘着フィルムの粘着力が、
0.4N/25mm以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の保護フィ
ルム付き金型。
[6]自己粘着フィルムの粘着剤が、エラストマーである、[1]〜[5]のいずれ
かに記載の保護フィルム付き金型。
[7]以下の工程A〜工程Cを順次含む、凹凸構造を有する物品の製造方法。
工程A:0℃〜40℃の環境下で、転写により凹凸構造を形成するための金型
の表面に、保護フィルムとして温度上昇により粘着力が大きくなる
自己粘着フィルムを付与する工程。
工程B:前記金型の温度を50℃〜90℃に昇温し、前記保護フィルムを剥離
する工程。
工程C:前記金型の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を供給し、前記活性
エネルギー線硬化性組成物を硬化させる工程。
[8]凹凸構造が、モスアイ構造である、[7]に記載の凹凸構造を有する物品の
製造方法。
[9]金型が、ロール状である、[7]又は[8]に記載の凹凸構造を有する物品の
製造方法。
[10]自己粘着フィルムの粘着剤が、エラストマーである、[7]〜[9]のいずれ
かに記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
[11]凹凸構造を有する物品が、反射防止フィルムである、[7]〜[10]のいず
れかに記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
また、本発明の凹凸構造を有する物品の製造方法は、得られる凹凸構造を有する物品の表面欠陥を抑制することができる。
本発明の保護フィルム付き金型は、金型と、金型の表面に付与した保護フィルムと、を含む。
金型は、転写により凹凸構造を形成するための金型であれば、特に限定されない。
金型としては、例えば、プリズムシート用金型、マイクロレンズシート用金型、モスアイフィルム用金型等が挙げられる。これらの金型の中でも、本発明の効果である異物の抑制の効果をより必要とすることから、モスアイフィルム用金型が好ましい。
リソグラフィ法によって表面に凹凸構造の反転構造を設ける方法としては、例えば、基材の表面にフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザー、電子線、X線等で露光し、現像することによって、レジストパターンからなる凹凸構造を表面に形成する方法、前記レジストパターンを介して基材をドライエッチング等によって選択的にエッチングし、レジストパターンを除去して、凹凸構造を基材の表面に直接形成する方法等が挙げられる。
アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化する方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、酸化皮膜の全部又は一部を一旦除去し、再び陽極酸化することで、非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成された陽極酸化ポーラスアルミナを形成できるため、好ましい。また、2回目に陽極酸化する工程で陽極酸化処理と孔径拡大処理とを組み合わせることで、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である細孔も形成可能となる。更に、陽極酸化処理及び孔径拡大処理の時間、回数、条件等を適宜調節することにより、細孔最奥部の角度を鋭くすることも可能となる。
複数の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを表面に形成する方法の具体例は、例えば、特開2015−129706号公報に記載された方法等が挙げられる。
保護フィルムは、温度上昇により粘着力が大きくなる自己粘着フィルムである。具体的には、23℃におけるアクリル板に対する自己粘着フィルムの粘着力が、0.3N/25mm以下であり、75℃におけるアクリル板に対する自己粘着フィルムの粘着力が、0.4N/25mm以上である自己粘着フィルムである。
本発明の凹凸構造を有する物品の製造方法は、以下の工程A〜工程Cを順次含む。
工程A:0℃〜40℃の環境下で、転写により凹凸構造を形成するための金型の表面
に、保護フィルムとして温度上昇により粘着力が大きくなる自己粘着フィル
ムを付与する工程。
工程B:前記金型の温度を50℃〜90℃に昇温し、前記保護フィルムを剥離する
工程。
工程C:前記金型の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を供給し、前記活性エネル
ギー線硬化性組成物を硬化させる工程。
工程Aは、0℃〜40℃の環境下で、転写により凹凸構造を形成するための金型の表面に、保護フィルムとして温度上昇により粘着力が大きくなる自己粘着フィルムを付与する工程である。
工程Aは、金型の表面に付着した異物を抑制することができることから、凹凸構造の反転構造を有する金型の製造直後に行うことが好ましい。
工程Bは、金型の温度を50℃〜90℃に昇温し、保護フィルムを剥離する工程である。
工程Bは、金型の表面に付着した異物を抑制することができることから、凹凸構造を有する物品の製造(工程C)直前に行うことが好ましい。
工程Cは、金型の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を供給し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる工程である。
金型の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を供給し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる方法は、凹凸構造の転写性、凹凸構造を有する物品の生産性に優れることから、凹凸構造の反転構造を有する金型と基材との間に、活性エネルギー線硬化性組成物を挟持した状態で、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた後、硬化物と金型とを分離する方法が好ましい。
活性エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等が挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性に優れることから、紫外線、電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリル、メタクリル又はその両方をいう。
基材の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等のスチレン樹脂;セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルスルフォン樹脂;ポリスルフォン樹脂;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリウレタン樹脂;ガラス等が挙げられる。これらの基材の材料の中でも、光透過性、取り扱い性に優れることから、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂がより好ましい。
工程Bと工程Cは、保護フィルムを剥離しやすく、金型の表面に粘着剤が残存することなく、保護フィルム剥離後に金型の表面に付着した異物を抑制することができ、凹凸構造を有する物品の生産性に優れ、凹凸構造を有する物品の表面欠陥を抑制することができることから、図2に示す製造装置を用いることが好ましい。以下、図2に示す製造装置を用いて工程Bと工程Cを具体的に説明するが、工程Bと工程Cは、図2に示す製造装置を用いる方法に限定されるものではない。
表面に保護フィルム13を付与したロール状の金型11を製造装置に取り付け、金型を50℃〜90℃の範囲内に昇温し、自己粘着フィルムである保護フィルム13の粘着力を上げる。基材29を、ニップロール25、ロール状の金型11及び剥離ローラ27に架け渡す。基材29の架け渡しの際、ロール状の金型11には保護フィルム13が付与されているので、擦れ等により金型11の表面の傷付きが防止される。
次いで、ニップロール25と剥離ローラ27とをロール状の金型11に近づけ、基材29をロール状の金型11に押し付ける。ここで、保護フィルム13と基材29との粘着力が保護フィルム13とロール状の金型11との粘着力より大きければ、保護フィルムの先端13bを折り返し、保護フィルムの先端13bにおける保護フィルム13の粘着力により基材29に保護フィルム23を貼り付け、基材29を走行させながら、保護フィルム23をロール状の金型11より剥離する。保護フィルム13と基材29との粘着力が保護フィルム13とロール状の金型11との粘着力より小さければ、保護フィルムの先端13bと基材29とを粘着テープ等で貼り付け、基材29を走行させながら、保護フィルム23をロール状の金型11より剥離する。
次いで、タンク21から活性エネルギー線硬化性組成物をロール状の金型11と基材29の間に供給し、ニップロール25で押圧し、基材29を走行させながら、活性エネルギー線照射装置23により活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、凹凸構造を有する物品が得られる。
凹凸構造は、複数の凸部及び複数の凸部間に形成される凹部からなる。
凹凸構造の隣接する凸部間の平均間隔(ピッチ)は、特に限定されないが、凹凸構造を有する物品がモスアイフィルムの場合、反射防止性能に優れることから、可視光線の波長以下、即ち、400nm以下が好ましく、380nm以下がより好ましい。
凸部は、微細な複数の凸部が合一して1つの凸部となったものであってもよい。
モスアイフィルムは、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。
実施例・比較例で用いた保護フィルムについて、剥離試験機(機種名「IPT−200−50N」、(株)イマダ製)を用い、剥離速度300mm/minの条件で、23℃〜75℃におけるアクリル板(商品名「アクリライトL001」、三菱レイヨン(株)製)に対する保護フィルムの粘着力を測定した。
評価結果を、表1及び図3に示す。
純度99.99%のアルミニウムインゴットを、外径200mm、内径155mm、長さ350mmに切断した圧延痕のない円筒状のアルミニウム基材に、羽布研磨処理を施した後、過塩素酸/エタノール混合溶液中(体積比=1/4)で電解研磨し、鏡面化した。
得られたアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で10分間陽極酸化を行った。その後、アルミニウム基材を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に浸漬して、酸化皮膜を除去した。
得られたアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った。
得られた酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、30℃の5質量%リン酸水溶液に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った(孔径拡大処理工程)。その後、アルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った(酸化皮膜成長工程)。この孔径拡大処理工程と酸化皮膜成長工程とを合計4回繰り返し、最後に孔径拡大処理工程を行って、設計上では平均間隔100nm、深さ200nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状の金型を得た。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物19質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート40質量部及びジメチルアクリルアミド20質量部を混合し、更に、第1の光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)1質量部、第2の光重合開始剤(商品名「イルガキュア819」、BASF社製)0.5質量部及び内部離型剤(商品名「TDP−2」、日光ケミカルズ(株)製)0.1質量部を加えて混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
製造例1で得られたロール状の金型の周囲に、保護フィルム(商品名「FSA−020M」、フタムラ化学(株)製、幅350mm)を配置した。保護フィルムは、ロール状の金型の回転方向上流側から回転方向下流側に向かって巻き、保護フィルムの長さは、ロール状の金型の外周長の2倍とした。
次いで、図2に示す製造装置に、表面に保護フィルムを付与したロール状の金型を取り付け、金型を75℃に昇温し、基材(商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製、ポリエチレンテレフタレート基材、厚さ75μm)をニップロール、ロール状の金型及び剥離ローラに架け渡した。
次いで、ニップロールと剥離ローラとをロール状の金型に近づけ、基材をロール状の金型に押し付けた。保護フィルムの先端と基材とを粘着テープ等で貼り付け、基材を走行させながら、保護フィルムをロール状の金型より剥離した。
次いで、タンクから製造例2で得られた活性エネルギー線硬化性組成物をロール状の金型と基材の間に供給し、ニップロールで押圧し、基材を走行させながら、活性エネルギー線照射装置により紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、得られた硬化物を金型から剥離し、凹凸構造を有する物品を得た。
結果、保護フィルム剥離時に、粘着剤が金型の表面に残存することなく、かつ、金型の製造時に発生した異物を除去することができ、欠陥のない凹凸構造を有する物品(モスアイフィルム)を得ることができた。
保護フィルムとして、自己粘着フィルム(商品名「FSA−100M」、フタムラ化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
結果、保護フィルム剥離時に、粘着剤が金型の表面に残存し、欠陥のない凹凸構造を有する物品を得ることができなかった。
保護フィルムとして、自己粘着フィルム(商品名「FSA−150M」、フタムラ化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
結果、保護フィルム剥離時に、粘着剤が金型の表面に残存し、欠陥のない凹凸構造を有する物品を得ることができなかった。
保護フィルムとして、ポリプロピレンフィルム(厚さ25μm)とアルミ箔(厚さ12μm)とが積層されたフィルムを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
結果、保護フィルム剥離時に、金型の製造時に発生した異物が金型の表面に残存し、欠陥のない凹凸構造を有する物品を得ることができなかった。
13 保護フィルム
13a 保護フィルム後端
13b 保護フィルム先端
21 タンク
23 活性エネルギー線照射装置
25 ニップロール
27 剥離ローラ
29 基材
Claims (11)
- 金型と、金型の表面に付与した保護フィルムと、を含む、保護フィルム付き金型であって、
金型が、転写により凹凸構造を形成するための金型であり、
保護フィルムが、温度上昇により粘着力が大きくなる自己粘着フィルムである、
保護フィルム付き金型。 - 凹凸構造が、モスアイ構造である、請求項1に記載の保護フィルム付き金型。
- 金型が、ロール状である、請求項1又は2に記載の保護フィルム付き金型。
- 23℃におけるアクリル板に対する自己粘着フィルムの粘着力が、0.3N/25mm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の保護フィルム付き金型。
- 75℃におけるアクリル板に対する自己粘着フィルムの粘着力が、0.4N/25mm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の保護フィルム付き金型。
- 自己粘着フィルムの粘着剤が、エラストマーである、請求項1〜5のいずれかに記載の保護フィルム付き金型。
- 以下の工程A〜工程Cを順次含む、凹凸構造を有する物品の製造方法。
工程A:0℃〜40℃の環境下で、転写により凹凸構造を形成するための金型の表面
に、保護フィルムとして温度上昇により粘着力が大きくなる自己粘着フィル
ムを付与する工程。
工程B:前記金型の温度を50℃〜90℃に昇温し、前記保護フィルムを剥離する
工程。
工程C:前記金型の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を供給し、前記活性エネル
ギー線硬化性組成物を硬化させる工程。 - 凹凸構造が、モスアイ構造である、請求項7に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
- 金型が、ロール状である、請求項7又は8に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
- 自己粘着フィルムの粘着剤が、エラストマーである、請求項7〜9のいずれかに記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
- 凹凸構造を有する物品が、反射防止フィルムである、請求項7〜10のいずれかに記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
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