JP6613636B2 - 物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有する物品の製造方法に関する。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有するフィルムの多くはハードコート性を有するフィルムであり、種々の物品に貼って使用され、その物品の外観、表示機器に貼る場合であれば、その表示内容が見えるよう、全体としては無色透明、もしくは有色透明であり、かつ、表面には耐久性の高い硬化性樹脂の硬化皮膜を有したものである。
このようなハードコート層を有するフィルムは、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて形成された塗膜に、前者にあっては加熱を施し、また後者にあっては活性エネルギー線照射を行なって、塗膜を架橋させ、必要な耐久性を付与して製造しており、最近では、製造時の処理速度の点から、紫外線硬化性樹脂を用いて形成された塗膜に、紫外線の照射を行なって製造することが多い。
紫外線がよく利用されるのは、紫外線光源が電子線源に比べて、コンパクトで、安全であり、かつ安価に入手できる等の理由によるが、紫外線が物質を透過する能力は電子線に比べて劣るため、紫外線吸収性の物質が介在すると、照射の効率が低下し、充分な硬化度合いが得られないことから、耐久性が今一つであり、一層の向上が求められている。
また、ハードコート層を形成する際に、透明基材フィルム上に紫外線硬化性塗膜を形成した後、透明基材フィルム側から紫外線を照射しようとすると、透明基材フィルムとして使用するプラスチックフィルムには、フィルム自身を紫外線による劣化から守るために紫外線吸収剤が練り込まれているものが多く、事実上、透明基材フィルム側からの紫外線の照射による塗膜の硬化は難しい。例えば、可視光に対する透明性がよく、光学的用途によく使用されるトリアセチルセルースフィルムは、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤を含んでおり、340nm〜350nm前後の範囲の紫外線を吸収する。
透明基材フィルム側から紫外線を照射しようとする際に、透明基材フィルムとして使用するプラスチックフィルムが紫外線吸収剤を含む場合、様々な問題が発生することがある。紫外線硬化性塗膜を硬化させるために紫外線を照射する際に使用する光源は、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ、無電極UVランプなどが挙げられるが、いずれも紫外線吸収剤の吸収スペクトルと光源の発光スペクトルの一部が一致する。そのため、紫外線吸収剤に吸収されたUVによるエネルギーは熱に変換され、透明基材フィルムが高温となってダメージを受けてしまう。すなわち、光源から発生したUVが透明基材フィルムに吸収されてしまい、エネルギーの無駄が多い硬化方法であった。(特許文献1)
特許第4521957号公報
本発明においては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有する積層体の製造時に、基材が活性エネルギー線を吸収することで発熱して熱ダメージを負うことを防ぎ、且つ活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化に寄与しない波長の活性エネルギー線が発生しないように制御してエネルギーの無駄を防ぎ、高効率な硬化物製造方法を提供することを課題とする。
本発明においては、紫外線吸収性基材上に配置する光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物に、LED光源によって発生した活性エネルギー線を照射することにより、上記の課題を解決した。
さらに、光重合開始剤として、波長380nm〜430nmの波長域で有効な光重合開始剤を含有させ、且つ波長380〜430nmに発光スペクトルの極大値を有するLED光源を使用して硬化させることにより、上記の課題を解決することができる。
本発明においては、特定の発光スペクトルを有するLED光源と特定の波長域で有効な光重合開始剤を組み合わせ、紫外線吸収性基材を介して活性エネルギー線硬化性樹種組成物に活性エネルギー線を照射し硬化させる方法を見出し、基材への熱ダメージを低減し、且つ活性エネルギー線照射による活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化時のエネルギー効率を高めることに成功した。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を備える積層体の一例を示す模式的断面図である。 陽極酸化アルミナを表面に有するスタンパの製造工程を示す模式的断面図である。 本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を備える積層体の製造装置の一例を示す模式的構成図である。
本発明は以下を特徴とする。
[1]波長が340nmより長波長側の紫外線を吸収する吸収剤を含有しない紫外線吸収性基材の一方の表面に波長380〜430nmの範囲内の紫外線を吸収する光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物が配置された物品の製造方法であって、
紫外線吸収性基材の一方の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置し、もう一方の表面に発光スペクトルが、380〜430nmの範囲内に極大値を有するLED光源によって発生した活性エネルギー線を照射し、
紫外線吸収性基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を形成する、物品の製造方法。
]LED光源の発光スペクトルが、400〜410nmの範囲内に極大値を有する、前記[1]に記載の物品の製造方法。
]光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤である、前記[1]または[2]に記載の物品の製造方法。
]活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、紫外線吸収性基材と微細凹凸構造を有する型との間に配置し、紫外線吸収性基材の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と接していない方の面に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた後、型を離型することで表面に微細凹凸構造を有する積層体を得る、前記[1]〜[のいずれかに記載の物品の製造方法。
]物品表面の微細凹凸構造が、可視光波長より短い周期を有する、前記[]に記載の物品の製造方法。
]物品表面が反射防止機能を有する、前記[1]〜[のいずれかに記載の物品の製造方法。
図1を引用して説明すると、本発明の製造方法により得られる物品1は、紫外線吸収性基材2上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4が積層された構造であり、好ましくは、図1に示すように、製造方法により得られる物品1と紫外線吸収性基材2の間にプライマー層3を介したものである。物品1は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4の表面に種々の目的に合せた凹凸(もしくは微細な凹凸)6を有していてもよく、また、凹凸6を有しているか有していないかにかかわらず、物品の最表面に、汚染を防ぐための防汚層5が積層されていてもよい。
本発明の製造方法により得られる物品1の紫外線吸収性基材2は、紫外線による劣化を防止する目的で、紫外線吸収性を有するものであればよく、紫外線吸収剤が練り込まれたものでもよい。また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4は、LED光源が発生させる活性エネルギー線の照射を受けて硬化したもので構成され、この活性エネルギー線の照射は、紫外線吸収性基材2を介して行なわれる。また、活性エネルギー線の照射は、塗膜が金属板やスタンパ等の酸素不透過性素材で被覆された状態で行なわれることが好ましい。また、波長380〜430nmの波長域で光重合を開始し得る光重合開始剤を含有した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗膜が、波長380〜430nmに発光スペクトルの極大値を有するLED光源より発生する活性エネルギー線の照射により硬化されることが好ましい。
紫外線吸収性基材2としては、透明性、平滑性を備え、異物の混入のないものが好ましく、また、加工上および使用上の理由で機械的強度があるものが好ましい。ディスプレイの前面に貼る等の場合、ディスプレイの熱が伝わらないように、耐熱性があるものであることが好ましい。紫外線吸収性基材2として好ましいものは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、もしくはセルロースアセテートブチレート等のセルロース樹脂系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、もしくはポリウレタン等の熱可塑性樹脂のフィルムである。
紫外線吸収性基材2としては、写真用乳剤を塗布した写真用フィルムによく用いられるポリエステル樹脂フィルムや、透明性が高く光学的に異方性がないため写真用フィルムによく用いられるセルローストリアセテート(=トリアセチルセルロース)フィルム等を使用することが、特に好ましい。なお、これらの熱可塑性樹脂のフィルムは柔軟性がありフレキシブルで使いやすいが、取り扱い時も含めて曲げる必要が全くなく、硬いものが望まれるときは、上記の樹脂の板やガラス板等の板状のものも使用できる。厚みとしては、8〜1000μm程度が好ましいが、板状のものの場合には、この範囲を超えてもよい。
ところで、これらの熱可塑性樹脂フィルムは、その多くが、熱可塑性樹脂フィルム自体の耐候性を向上させる目的で外線吸収剤を含有している。代表的な紫外線吸収剤であるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、波長が340nm未満の紫外線を吸収し、この波長域は一般的な光重合開始剤に重合を開始させるのに有効な波長域と重なるので、熱可塑性樹脂フィルム側からの活性エネルギー線照射の妨げとなる。本発明においては、これら波長域よりも長波長側で有効な光重合開始剤を使用した市販のものが使用できるが、紫外線吸収剤として、波長が340nmより長波長側の紫外線を吸収する吸収剤を含有するものの使用を避けることが好ましい。
紫外線吸収性基材2には、その上に形成する層との接着性の向上のために、一般的に行なわれ得る各種の処理、即ち、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なってプライマー層3を形成しておいてもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4は、物品表面の傷付きを防ぎ、また、後述するモスアイ構造と呼ばれる微細凹凸構造による反射防止性を付与することができる。傷が付くのは、物品と傷の原因となる物質との硬度の差によるため、熱可塑性樹脂組成物を硬化させたものでもよいが、高い硬度を得るために熱硬化性樹脂組成物を硬化させたもので物品を構成することが好ましい。また、フレキシブルさを備えている点でポリウレタン樹脂等を樹脂成分とする組成物を用いて構成することもできる。
より一層の効果を望む場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線の照射によって架橋硬化させたもので構成することが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4の硬さとしては、JIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物で微細凹凸構造を形成する場合、上記のプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーの組み合わせに工夫が必要である。中でも、微細凹凸構造が光の波長以下の周期性を有するモスアイ構造の場合は微細凹凸構造の損傷を防ぐために特別な工夫が必要となる。
モスアイ構造を形成するのに適した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の主成分としては、例えば、ハード成分(A)とソフト成分(B)を組み合わせたものが挙げられる。
ハード成分(A)としては、例えば、ペンタエリスリトール(トリ)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトール(ペンタ)ヘキサアクリレート、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、及びこれらの多官能アクリレートとジイソシアネートの反応生成物である多官能ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
ハード成分(A)の市販品としては、例えば、東亞合成製アロニックスシリーズ:M−303,M−305,M−306,M−450,M−452,M-400,M−402,M−403,M−404,M−405,M−406、日本化薬製KAYARADシリーズ:PET−30,DPHA、大阪有機化学工業製ビスコートシリーズ:V#300,V#802、などが挙げられる。
ソフト成分(B)としては、例えば、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジジアクリレート、ペンタエリスリトールEO変性アクリレート、ジペンタエリスリトールEO変性アクリレート、グリセリンEO変性アクリレート、ジグリセリンEO変性アクリレート、ポリグリセリンEO変性アクリレート、EO変性ソルビトールヘキサアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、などが挙げられる。
ソフト成分(B)の市販品としては、例えば、東亞合成製アロニックスシリーズ:M−240,M−260,M−460、日本化薬製KAYARADシリーズ:DPEA−12,RP−1040、新中村化学工業製:A-200,A-400,A−600,A−1000,ATM−4E,ATM−35E,A−GLY−20E,A−PG5009E,A−PG5027E,A−PG5054E,A−PTMG−65、東邦化学製:T−130EA、などが挙げられる。
ハード成分(A)とソフト成分(B)を任意の割合で配合することにより、モスアイ構造において微細凹凸構造が折れにくく、かつ突起同士が合一しない硬さに調整することができる。ハード成分(A)とソフト成分(B)は、複数種類を組み合わせても良い。また、ソフト成分(B)は、オキシエチレン基を有するモノマーであることが好ましい。オキシエチレン基を有することで、柔軟性を付与すると共に微細凹凸表面を親水性にすることが可能になる。親水性にすることで脂汚れを水拭きで除去することが可能となり、指紋の水拭きが可能になる。
ハード成分(A)とソフト成分(B)を組合せた際の硬さの最適範囲は、モスアイ構造の微細凹凸形状によって異なる。凹凸のアスペクト比が大きい場合は、突起同士の合一を防ぐために活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を硬くする必要がある。逆に、凹凸のアスペクト比が小さい場合は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物が柔軟になるように設計することが可能であり、その方が微細凹凸構造の折れを防ぐことができて耐擦傷性が良好である。モスアイ構造の微細凹凸形状は、突起が高い方が反射防止性能に優れるため、凹凸のアスペクト比を小さくするためには凹凸間のピッチを大きくすることが有効である。よって、求める反射防止性能と耐擦傷性のバランスから、最適な微細凹凸形状と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物の硬さの組合せを決めることが重要である。
また、ハード成分(A)およびソフト成分(B)の他に、種々の機能を付与する目的で他の成分(C)を添加してもよい。耐擦傷性や撥水・撥油性、離型性、指紋乾拭き性等の付与を目的に添加する他の成分(C)としては、例えば、シリコーン(メタ)アクリレート、長鎖アルキル(メタ)アクリレート、長鎖アルキルアルコールEO変性(メタ)アクリレート、含フッ素(メタ)アクリレート、などが挙げられる。耐擦傷性や撥水・撥油性、離型性、指紋乾拭き性等の付与を目的に添加する他の成分(C)の市販品としては、例えば、信越化学工業社製:X−22−1602、エボニック社製TEGOシリーズ:Rad2200N、Rad2250、Rad2300、Rad2500、Rad2600、Rad2650、Rad2700、ビックケミー・ジャパン社製:BYK−UV3500、BYK−UV3530、BYK−UV3570、大阪有機化学工業社製:LA、STA、ISTA、V#13F、V#8F、V#8FM、V#4F、サートマー社製:SR257、SR335、SR489、CD585、CD586、CD587、CD588、CD9075、日油社製ブレンマーシリーズ:LA、SLA、CA、SA、VA、B−18A、PLE−200、ALE−200、ALE−800、PSE−200、PSE−400、PSE−1300、などが挙げられる。他には、耐候性付与や帯電防止性付与を目的に添加する他の成分(C)としては、例えば、ヒンダードアミン系官能基を有する(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ基やジエチルアミノ基などを有する(メタ)アクリレート、フェノール系官能基を有する(メタ)アクリレート、リン含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。耐候性付与や帯電防止性付与を目的に添加する他の成分(C)の市販品としては、例えば、ADEKA社製:ADEKA STAB LA−82、ADEKA STAB LA−87、日立化成工業社製:FA−711MM、FA−712HM、興人社製:DMAA、ACMO、DMAEA、DMAPAA、NIPAM、DEAA,HEAA、VOZO、DMAPAA−Q、DEMAEA−Q、DEMAEA−BQ、住友化学社製:Suilizer GM、Sumilizer GS、大阪有機化学工業社製:V#3PA、日本化薬社製:KAYAMER PM−2、共栄社化学社製:P−1M、P−2M、等が挙げられる。
その他の成分(C)は、ブリード等を防ぐ目的で、ハード成分(A)やソフト成分(B)と共重合性がある官能基を含有することが好ましい。ブリードによる凹凸構造の劣化や表面特性変化が無視できる範囲である場合は、ハード成分(A)やソフト成分(B)と共重合性がある官能基を持たない化合物を添加してもよい。
その他の成分(C)の添加量は、0〜25質量%が好ましく、0〜10%がより好ましく、0〜5%がさらに好ましい。その他の成分(C)の添加量は、多すぎて耐擦傷性や硬度などの表面物性に悪影響を及ぼさない範囲で添加することが好ましい。
一般的な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤(E)や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、一般的には、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。
光重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部である。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4の厚みにもよるが、過度に配合すると、紫外線吸収性基材2と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層層4との密着性を低下させることもある。なお、光重合開始剤をプライマー層3に配合することにより、紫外線吸収性基材2と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4との密着性をさらに向上させることもできる。
本発明においては、光重合開始剤としては、380nm〜430nmの波長域で反応し得るものを使用することが好ましい。
380nm未満でのみ反応し得る光重合開始剤を使用すると、反応が充分起こらない。また430nmを超えるものは、人間の目に見える吸収を持つために、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4が着色して見える恐れがある。
具体的には、例えばフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン=オキシド(BASF社製:Irgacure 819)、ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィン=オキサイド(BASF社製:Irgacure TPO)は、上記した範囲の配合割合であれば、波長が380nm〜430nmの紫外線を利用して光重合を開始し得る光重合開始剤であり、特に好ましいものである。
ここで挙げたIrgacure 819およびIrgacure TPOは、アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤である。アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤で類似の構造を有し、波長が380nm〜430nmの紫外線を利用して光重合を開始し得るものであれば、同様に用いることが可能である。
アシルフォスフィンオキサイド系の開始剤は波長が380nm〜430nmの紫外線に対して特に高い反応性を有することから、UV−LEDのような発光スペクトルのピークが急峻で特定波長のみを発生させる光源と組み合わせた場合でも十分な反応性を維持可能となる。
なお、上記の特に好ましい光重合開始剤に、その光重合開始機能を阻害しない範囲で、他の波長域で光重合を開始させる光重合開始剤を添加して併用することもできる。併用により硬化速度が上昇する等の利点が生じるからである。
紫外線を照射ことができる光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、LED、などが挙げられる。紫外線吸収性基材2が紫外線吸収剤を含む場合には、紫外線吸収剤の吸収波長よりも長波長側の光を発生させることができる光源を選択することが重要である。この時、透明基材フィルム2が含む紫外線吸収剤の吸収波長と光源の発光スペクトルに重なる部分があると、紫外線照射時に紫外線吸収剤に紫外線が吸収されることにより、紫外線が熱に変換され、紫外線吸収性基材2が高温となる。この現象が原因となり、基材フィルム2が熱による変形を起こす場合がある。
本発明者らは鋭意検討の結果、光源にLEDを使用することでこの問題を解決できることを見出した。LEDは発光スペクトルの極大値の半値幅が狭く、特定の波長のみを選択的に発生させることができる。そこで、紫外線吸収性基材2の各波長における透過率Tと光重合開始剤の各波長における吸収率Aの値からT×Aを算出した際のT×Aが最大となる波長XとLED光源の発光スペクトルが極大値を示す波長Yの差の絶対値|X−Y|が、なるべく小さくなるように設計することが重要である。
たとえば、紫外線吸収剤を含有するトリアセチルセルロースフィルムである富士フイルム社製のFUJITAC(厚さ80μm)とIrgacure819(BASF社製)を組み合わせた際の波長Xは406nmである。また、日亜化学工業社製の紫外線発光LEDであるNCSU275TのU405ランク(ピーク波長405nm)を使用すると波長Yは405nmである。両者を組み合わせることで|X−Y|は1であり、この組み合わせでは非常に効率良く活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させられることができる。さらに、LEDでは透明基材フィルムが含有する紫外線吸収剤に吸収されてしまう無駄な光が非常に少なく、透明基材フィルムへの熱ダメージを極めて有効に抑制することが可能となる。
ここで例示した日亜化学工業社製のNCSU275TのU405ランクは、405nmに発光スペクトルの極大値を有するが、発光のピークから±5nmずれると相対発光強度はおよそ60%まで落ち、±10nmずれると20%以下まで相対発光強度が低下する。
一方、各波長ごとのT×Aの値は、波長Xから±5nmずれると90〜95%程度、±10nmずれると70〜85%程度、±20nmずれると20〜50%程度まで落ちることになる。そのため、|X−Y|の値は、20nm以下が好ましく、10nm以下がさらに好ましく、5nm以下が特に好ましい。
UV−LEDを使用した光照射に際しては、複数のLEDの素子を並べて配列し、面光源を得る方法が一般的である。フィルムに対してロールツーロールでLEDからの光を照射する場合、1列にLEDの光源を並べて配列し、それを複数列重ねるように配置することが好ましい。LEDの素子の配列は、ロールツーロールで通過した硬化物に面内の照射量ムラが発生しないように考慮することが好ましい。照射量ムラを低減する目的で、LEDと被照射面の間に光拡散板を設置してもよい。光拡散板としては、マイクロレンズシート、レンズシート、プリズムシート、アンチグレアシート、サンドブラストシート、などが挙げられる。LEDはそれぞれに固有の発光ピークを有するが、目的に応じて複数種類の発光ピークを有するLEDを組み合わせて配置することも可能である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4は、以上のような組成物を用いて、公知のコーティング法により、紫外線吸収性基材2上に塗布し、塗布後、紫外線を選択して照射し、塗膜を架橋硬化させる。なお、必要に応じ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4に紫外線による劣化を防止する目的で、光重合の開始を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤を配合してもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4の厚みは、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは2〜15μmである。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有するフィルム4の場合においても、また、反射防止フィルムの場合においても、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4の厚みが薄過ぎると、得られる表面の硬度や耐汚染性等の耐久性が不十分であり、また、厚過ぎると、全体のフレキシブルさを低下させ、また、硬化に時間がかかる等、生産効率の低下を招く。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4の上面には、図1に示すように、凹凸6を形成することにより、表面の質感、もしくは反射防止性等を付与できる。具体的には、凹凸の周期が光の波長より大きい場合は、防眩性(アンチグレア)を付与することが可能である。一方、凹凸の周期が光の波長より小さい場合は、モスアイ構造と呼ばれる凹凸構造となり、反射防止性を付与することが可能である。
凹凸6の形成は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4を基材フィルム2上に塗布形成する際に、凹凸を有する型付け用フィルムもしくは凹凸を有するスタンパ等の型で塗膜を被覆したまま固化させるか、形成された塗膜にロール状スタンパ等の型付け手段を、必要に応じて加熱しつつ押し付けて行なうか、あるいは、剥離面に凹凸を有する剥離性基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4を塗布形成して転写シートを作成し、その転写シートを用いて転写する等によればよいが、好ましくは、金属または金属酸化物製等で、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層4を形成する際に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が付着しない性質の、微細凹凸構造の反転構造を有する平板スタンパ、もしくはロール状スタンパを用いて行うことが好ましい。
本発明においては、凹凸を付与する場合も、凹凸ではなく平坦な、極端な場合にはミラー面を形成する場合にも、酸素不透過性素材で塗膜を被覆しつつ、基材フィルム側から活性エネルギー線を照射することが好ましい。
酸素不透過性素材としては、金属、金属酸化物、プラスチック、等を表面とし、適宜に裏打した板状、もしくはロール状のものが使用でき、好ましくは薄いプラスチックフィルム以外のものである。
塗膜に凹凸を付与する際の凹凸の程度は、防眩性を付与する場合は、凹凸の高低差が0.2〜10μm、ピッチが20〜200μm程度がよく、Raが0.10〜0.40μm、Rzが1.10〜6.00μm、Smが10〜70μmがより好ましい。また、モスアイ構造と呼ばれる微細凹凸形状で反射防止性能を付与する場合は、凹凸の高低差が120〜250nm、ピッチが80〜400nm程度であることが好ましく、凹凸の高低差が150〜220nm、ピッチが100〜300nm程度であることがより好ましく、凹凸の高低差が180〜210nm、ピッチが100〜250nm程度であることが特に好ましい。
モスアイ構造と呼ばれる微細凹凸形状を転写で形成するためのスタンパの作製方法としては、陽極酸化アルミナのナノホールアレイを利用する方法や、リソグラフィー技術を応用する方法などが挙げられる。中でも、陽極酸化アルミナを利用する方法は、シームレスなロール形状のスタンパを容易に製造できるため工業的に非常に有利なスタンパ製造方法である。
陽極酸化アルミナを利用する方法としては、下記の工程(a)〜(f)を有する方法が好ましい。
(a)アルミニウム基材を電解液中、定電圧下で陽極酸化してアルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、アルミニウム基材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)工程(b)の後、アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)工程(c)の後、細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)工程(d)と工程(e)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウム基材の表面に形成されたスタンパを得る工程。
工程(a)は次のようにして行うことができる。図2に示すように、アルミニウム基材10を陽極酸化すると、細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。アルミニウム基材の形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。アルミニウム基材は、所定の形状に加工する際に用いた油が付着していることがあるため、あらかじめ脱脂処理されることが好ましい。また、アルミニウム基材は、表面状態を平滑にするために、電解研磨処理(エッチング処理)されることが好ましい。アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いた陽極酸化は次のようにして行うことができる。シュウ酸の濃度は、0.8M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.8Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。化成電圧は、30〜100Vの範囲にあることが好ましい。化成電圧がこの範囲にあると、周期が100nm〜200nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いた陽極酸化は次のようにして行うことができる。硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。化成電圧は、25〜30Vの範囲にあることが好ましい。化成電圧がこの範囲にあると、周期が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
工程(b)は次のようにして行うことができる。図2に示すように、酸化皮膜14を除去し、基材表面に陽極酸化の細孔発生点16を形成する。これにより、後に形成する酸化皮膜の細孔の規則性を向上することができる。酸化皮膜14を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(c)は次のようにして行うことができる。図2に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム基材10を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行うことができる。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(d)は次のようにして行うことができる。図2に示すように、細孔12の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
工程(e)は次のようにして行うことができる。図2に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12の底部から下に延びる直径の小さい円柱状の細孔12が形成される。陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行うことができる。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(f)は次のようにして行うことができる。図2に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成され、アルミニウム基材10の表面に陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))を有するスタンパ18が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
これらの工程の繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成されたモスアイ構造の反射率低減効果は不十分である。
細孔12の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向に沿った断面の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔12間の平均間隔は、所定の微細凹凸構造に応じて形成することができる。細孔間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下が好ましく、380nm以下がより好ましく、250nmがさらに好ましく、200nm以下が特に好ましいまた、また、細孔間の平均距離は、80nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、160nm以上がさらに好ましい。
細孔12間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣り合う細孔12間の間隔(細孔12の中心から隣接する細孔12の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
細孔12の深さは、所定の微細凹凸構造に応じて形成することができる。細孔の深さは、250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、210nm以下がさらに好ましい。また、細孔の深さは、120nm以上が好ましく、150nm以上がより好ましく、180nm以上がさらに好ましい。
細孔12の深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、細孔12の最底部と、細孔12間に存在する凸部の最頂部との間の距離を測定した値である。
スタンパの微細凹凸構造が形成された側の表面を離型剤で処理してもよい。離型剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フッ素化合物、リン酸エステル等が挙げられ、リン酸エステルが特に好ましい。リン酸エステルとしては、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物が好ましく、市販品としては、城北化学社製の商品名:JP−506H、アクセル社製の商品名:モールドウイズINT−1856、日光ケミカルズ社製の商品名:TDP−10、TDP−8、TDP−6、TDP−2、DDP−10、DDP−8、DDP−6、DDP−4、DDP−2、TLP−4、TCP−5、DLP−10などが挙げられる。
微細凹凸構造を表面に有する物品は、例えば、図3に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造することができる。
表面に微細凹凸構造の反転構造(図示略)を有するロール状スタンパ20と、ロール状スタンパ20の表面に沿って移動する帯状フィルムの基材42との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給する。
ロール状スタンパ20と、空気圧シリンダ24によってニップ圧が調整されたニップロール26との間で、基材42および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟み、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、基材42とロール状スタンパ20との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状スタンパ20の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状スタンパ20の下方に設置された活性エネルギー線照射装置28から、基材42を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることによって、ロール状スタンパ20の表面の微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層44を形成する。
剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層44が形成された基材42をロール状スタンパ20から剥離することによって、図1に示すような物品40を得る。
上記したように、本発明においては、基材フィルムが紫外線吸収剤を含有していても、基材フィルム側からの活性エネルギー線照射が可能であるため、微細凹凸構造の反転構造を有する平板スタンパ、もしくはロール状スタンパ等の酸素不透過性素材に密着させ、即ち酸素を遮断した状態で活性エネルギー線を照射でき、塗膜の硬化を高度に進めることができる。また、微細凹凸構造の反転構造を有する平板スタンパ、もしくはロール状スタンパを使用すると、塗膜の付着が生じないので、プラスチックフィルムを使用して被覆した上から活性エネルギー線を照射する際のように、プラスチックフィルムが消耗品となる無駄も生じない利点がある。
1 フィルム(物品)
2 紫外線吸収性基材
3 プライマー層
4 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層
5 防汚層
6 凹凸
10 アルミニウム基材
12 細孔(微細凹凸構造の反転構造)
14 酸化皮膜
18 スタンパ(型)
20 ロール状スタンパ
22 タンク
24 空気圧シリンダ
26 ニップロール
28 活性エネルギー線照射装置
30 剥離ロール
40 光透過性物品
42 光透過性基材
44 硬化樹脂層

Claims (6)

  1. 波長が340nmより長波長側の紫外線を吸収する吸収剤を含有しない紫外線吸収性基材の一方の表面に波長380〜430nmの範囲内の紫外線を吸収する光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物が配置された物品の製造方法であって、
    紫外線吸収性基材の一方の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置し、もう一方の表面に発光スペクトルが、380〜430nmの範囲内に極大値を有するLED光源によって発生した活性エネルギー線を照射し、
    紫外線吸収性基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を形成する、物品の製造方法。
  2. LED光源の発光スペクトルが、400〜410nmの範囲内に極大値を有する、請求項1に記載の物品の製造方法。
  3. 光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤である、請求項1または2に記載の物品の製造方法。
  4. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、紫外線吸収性基材と微細凹凸構造を有する型との間に配置し、紫外線吸収性基材の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と接していない方の面に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた後、型を離型することで表面に微細凹凸構造を有する積層体を得る、請求項1〜3のいずれかに記載の物品の製造方法。
  5. 物品表面の微細凹凸構造が、可視光波長より短い周期を有する、請求項に記載の物品の製造方法。
  6. 物品表面が反射防止機能を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の物品の製造方法。
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