JP2018126170A - ヒト化主要組織適合性遺伝子複合体を発現するマウス - Google Patents

ヒト化主要組織適合性遺伝子複合体を発現するマウス Download PDF

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Abstract

【課題】キメラヒト/非ヒトMHC IおよびMHC IIポリペプチドならびに/またはヒトもしくはヒト化β2ミクログロブリンポリペプチドを発現する遺伝子改変非ヒト動物、ならびに当該ポリペプチドを含む胚、細胞、および組織を提供すること。
【解決手段】該遺伝子改変動物を作出するための構築物およびそれを作出する方法も提供される。ヒト免疫系の種々の態様を研究するための、遺伝子改変動物の使用方法が提供される。種々の実施形態では、本発明は、一般に、ゲノム内にヒトまたはヒト化MHC IおよびMHC IIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、したがって、ヒトまたはヒト化MHC IおよびMHC IIポリペプチドを発現する遺伝子改変非ヒト動物を提供する。
【選択図】なし

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2013年2月22日に出願された米国仮特許出願第61/767,811号に対する利益を、35 U.S.C. §119(e)の下に主張し、この出願はその全体が参考として本明細書に援用される。
配列表
本明細書では、2014年2月20日に「2010794−0424_ST25」という名称のascii.txtファイルとして電子形式で提出された配列表に言及する。この.txtファイルは、2014年2月20日に作成されたものであり、サイズは8kbである。
本発明は、ヒトまたはヒト化主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスIおよびヒトまたはヒト化MHCクラスII分子を発現する遺伝子改変非ヒト動物、例えば、げっ歯類(例えばマウスまたはラット)に関する。本発明は、ヒトまたはヒト化MHC Iタンパク質(例えば、MHC Iα鎖)およびヒトまたはヒト化MHC IIタンパク質(例えば、MHC IIαおよびMHC IIβ鎖)を発現し、ヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンをさらに発現する遺伝子改変非ヒト動物、例えばマウスまたはラット、ならびに当該タンパク質を発現している胚、組織、および細胞にも関する。本発明は、さらに、ヒトまたはヒト化MHCクラスIおよびクラスIIタンパク質、ならびに/またはβ2ミクログロブリンをどちらも発現する遺伝子改変非ヒト動物を作出するための方法を提供する。in vitroまたは遺伝子改変非ヒト動物においてヒト化細胞免疫系に関してペプチドを同定し、評価するための方法、および非ヒト動物、例えばマウスまたはラットのMHC遺伝子座を、ヒトまたはヒト化MHC Iおよびヒトまたはヒト化MHC IIタンパク質を発現するように改変する方法も提供される。
適応免疫応答では、外来抗原がBリンパ球上の受容体分子(例えば、免疫グロブリン)およびTリンパ球上の受容体分子(例えばT細胞受容体またはTCR)によって認識される。これらの外来抗原は、一般的に主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)分子と称される特殊化されたタンパク質によって、細胞の表面上にペプチド断片として提示される。MHC分子は、約4Mbにわたる遺伝子の連結したクラスターとして見いだされる多数の遺伝子座によりコードされる。マウスでは、MHC遺伝子は第17染色体上に見いだされ、歴史的な理由で組織適合性2(H−2)遺伝子と称される。ヒトでは、当該遺伝子は第6染色体上に見いだされ、ヒト白血球型抗原(HLA)遺伝子と称される。マウスおよびヒトにおける遺伝子座は多遺伝子性であり、ヒトゲノムおよびマウスゲノムにおいて同様の組織化を示す3つの高度に多型的なクラスのMHC遺伝子(クラスI、IIおよびIII)を含む(それぞれ図2および図3を参照されたい)。
MHC遺伝子座はゲノム内で最も高度な多型を示し、いくつかの遺伝子は>300の対立遺伝子で表される(例えば、ヒトHLA−DRβおよびヒトHLA−B)。クラスI MHC遺伝子およびクラスII MHC遺伝子は全て、ペプチド断片を提示することができるが、各遺伝子は多型および対立遺伝子バリアントを反映する異なる結合特性を有するタンパク質を発現する。任意の所与の個体は、免疫応答の過程中に細胞表面上にB細胞およびT細胞に対して提示され得るペプチド断片の独特の範囲を有する。
ヒトおよびマウスはどちらもクラスI MHC遺伝子を有する(図2および図3を参照されたい)。ヒトでは、古典的なクラスI遺伝子はHLA−A、HLA−BおよびHLA−Cと称され、マウスではこれらはH−2K、H−2DおよびH−2Lと称される。クラスI分子は、2つの鎖:多型のα鎖(時には重鎖と称される)と、一般に多型ではないβ2ミクログロブリンと称される(軽鎖としても公知である)より小さな鎖からなる(図1、左側)。これらの2つの鎖は細胞表面上に非共有結合性ヘテロ二量体を形成する。α鎖は、3つのドメイン(α1、α2およびα3)を含有する。α鎖遺伝子のエクソン1はリーダー配列をコードし、エクソン2およびエクソン3はα1ドメインおよびα2ドメインをコードし、エクソン4はα3ドメインをコードし、エクソン5は膜貫通ドメインをコードし、エクソン6およびエクソン7は細胞質尾部をコードする。α鎖は、α1ドメインおよびα2ドメインが関与するペプチド結合性溝(peptide−binding cleft)(Ig様ドメインに似ている)を形成し、その後ろに、β2ミクログロブリンと類似したα3ドメインが続く。
β2ミクログロブリンは、グリコシル化されていない12kDaのタンパク質であり、その機能のうちの1つは、MHCクラスIα鎖を安定化することである。α鎖とは異なり、β2ミクログロブリンは膜には及ばない。ヒトβ2ミクログロブリン遺伝子座は第15染色体上にあるが、マウス遺伝子座は第2染色体にある。β2ミクログロブリン遺伝子は4つのエクソンおよび3つのイントロンからなる。循環形態のβ2ミクログロブリンが血清、尿、および他の体液中に存在し、生理的条件下で、非共有結合によりMHC Iと会合したβ2ミクログロブリンが循環しているβ2ミクログロブリンで置き換えられ得る。
クラスI MHC分子は、腫瘍細胞を含めた全ての有核細胞上に発現する。クラスI MHC分子は、他の細胞の中でもTリンパ球およびBリンパ球、マクロファージ、樹状細胞および好中球上で特異的に発現し、表面上にペプチド断片(一般には8〜10アミノ酸の長さ)がCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に対してディスプレイされるように機能する。CTLは、それ自体の膜結合型TCRによって認識されるMHC Iに結合したペプチドを担持する任意の細胞を死滅させることに特殊化されている。細胞により通常は存在しない細胞タンパク質(例えば、ウイルス、腫瘍、または他の非自己起源のもの)に由来するペプチドがディスプレイされると、そのようなペプチドは、CTLによって認識され、CTLが活性化され、そのペプチドをディスプレイしている細胞を死滅させる。
ヒトおよびマウスはどちらもクラスII MHC遺伝子を有する(図2および図3を参照されたい)。ヒトでは、古典的なMHC II遺伝子はHLA−DP、HLA−DQ、およびHLA−DRと称され、マウスでは、これらはH−2AおよびH−2Eと称される(多くの場合、それぞれI−AおよびI−Eと省略される)。MHC II遺伝子座内の遺伝子、ヒトではHLA−DMおよびHLA−DOならびにマウスではH−2MおよびH−2Oによりコードされる追加的なタンパク質は、細胞表面上には見いだされないが、エンドサイトーシス区画(endocytic compartment)内に存在し、MHC II分子へのペプチドの適切な負荷を確実にするものである。クラスII分子は2つのポリペプチド鎖:α鎖およびβ鎖からなる。α鎖の細胞外部分は2つの細胞外ドメイン、α1およびα2を含有し、β鎖の細胞外部分も同様に2つの細胞外ドメイン、β1およびβ2を含有する(図1、右側を参照されたい)α鎖およびβ鎖は互いと非共有結合により会合している。
MHCクラスII分子は、炎症などの経過中に抗原提示細胞(APC)、例えば、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、内皮細胞上に発現する。APCの表面上に発現するMHC II分子により、一般には、細胞内小胞で産生される抗原がCD4+T細胞に提示される。CD4+T細胞との結びつきに関与するためには、目的の抗原を伴うMHCクラスII複合体は、CD4+T細胞と結びつくために十分に長く存在するために十分に安定でなければならない。CD4+Tヘルパー細胞にAPCの表面上の外来ペプチド/MHC II複合体が結びつくと、T細胞が活性化されて、インベーダーに対する免疫応答を補助するサイトカインが放出される。
寛容機構に起因して、全ての抗原によりT細胞活性化が惹起されるとは限らない。しかし、いくつかの疾患(例えばがん、自己免疫疾患)では、自己タンパク質に由来するペプチドは免疫系の細胞性構成成分の標的になり、それにより、そのようなペプチドを提示している細胞の破壊がもたらされる。臨床的に重要な抗原(例えば、種々の型のがんに関連する抗原)の認識に関しては著しく前進している。しかし、ヒトT細胞における適切な応答を惹起するペプチドの同定および選択を改善するためには、特に臨床的に重要な抗原のペプチドに関して、依然として、ヒト免疫系の態様を模倣するin vivo系およびin vitro系が必要である。したがって、ヒト免疫系の構成成分を示すことができる生物系(例えば、遺伝子改変非ヒト動物および細胞)が必要とされている。
ヒトMHCクラスIタンパク質およびそのキメラと会合し、CD8+T細胞に結合するペプチド、ならびにヒトMHCクラスIIタンパク質およびそのキメラと会合し、CD4+T細胞に結合するペプチドを作製または同定するための生物系が提供される。細胞性免疫応答において機能するヒト化分子を発現する非ヒト細胞を含む非ヒト動物が提供される。ヒト化MHC IおよびMHC IIタンパク質をコードするヒト化げっ歯類遺伝子座も提供される。ヒト化MHC分子を発現するヒト化げっ歯類細胞も提供される。1種または複数種のヒト化免疫系分子を発現するヒト化げっ歯類細胞を含むin vivo系およびin vitro系が提供される。
種々の実施形態では、内在性MHC遺伝子座に、キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、該キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分が、ヒトMHC Iポリペプチドの細胞外ドメインを含む第1のヌクレオチド配列;キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列であって、キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドのヒト部分が、ヒトMHC IIαポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のヌクレオチド配列;およびキメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列であって、キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドのヒト部分が、ヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインを含む第3のヌクレオチド配列を含む非ヒト動物であって、内在性非ヒトMHC遺伝子座から機能的なキメラヒト/非ヒトMHC IおよびMHC IIタンパク質を発現する非ヒト動物が本明細書において提供される。一実施形態では、動物は、内在性非ヒトMHC遺伝子座から機能的な内在性MHC I、IIα、および/またはIIβポリペプチドを発現しない。
一態様では、第1のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC I遺伝子座に位置し、第2のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC IIα遺伝子座に位置し、第3のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC IIβ遺伝子座に位置する。一態様では、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および/または第3のヌクレオチド配列は内在性非ヒト調節エレメントに作動可能に連結している。一態様では、第1のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC Iプロモーターおよび調節エレメントに作動可能に連結しており、第2のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC IIαプロモーターおよび調節エレメントに作動可能に連結しており、第3のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC IIβプロモーターおよび調節エレメントに作動可能に連結している。
一実施形態では、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分は、ヒトMHC Iポリペプチドのα1ドメイン、α2ドメイン、およびα3ドメインを含む。一態様では、キメラMHC Iポリペプチドの非ヒト部分は、内在性非ヒトMHC Iポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。ヒトMHC Iポリペプチドは、HLA−A、HLA−B、およびHLA−Cからなる群から選択することができる。一実施形態では、ヒトMHC IポリペプチドはHLA−A2である。別の態様では、ヒトMHC IポリペプチドはHLA−A3、HLA−B7、HLA−B27、HLA−Cw6、またはヒト集団において発現する任意の他のMHC I分子である。追加的な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、内在性非ヒトβ2ミクログロブリン遺伝子座に、ヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、動物は、ヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンポリペプチドを発現する。
一実施形態では、ヒトMHC IIα細胞外ドメインは、ヒトMHC IIα1およびα2ドメインを含む。別の実施形態では、ヒトMHC IIβ細胞外ドメインは、ヒトMHC IIβ1およびβ2ドメインを含む。一態様では、キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドの非ヒト部分は、内在性非ヒトMHC IIαポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。一態様では、キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドの非ヒト部分は、内在性非ヒトMHC IIβポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。一実施形態では、キメラヒト/マウスMHC IIαおよびβポリペプチドのヒト部分は、HLA−DR、HLA−DQ、およびHLA−DPからなる群から選択されるヒトHLAクラスIIタンパク質に由来する。特定の一実施形態では、キメラヒト/非ヒトMHC IIαおよびβポリペプチドのヒト部分は、ヒトHLA−DR4タンパク質に由来する。あるいは、キメラヒト/非ヒトMHC IIαおよびβポリペプチドのヒト部分は、HLA−DR2、HLA−DQ2.5、HLA−DQ8、またはヒト集団において発現する任意の他のMHC II分子から選択されるヒトMHC IIタンパク質由来のものであってよい。
一部の態様では、提供される動物は、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、および第3のヌクレオチド配列を含有するMHC遺伝子座の2つのコピーを含み、他の態様では、提供される動物は、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、および第3のヌクレオチド配列を含有するMHC遺伝子座の1つのコピーを含む。したがって、動物は、キメラヒト/非ヒトMHC I、MHC IIα、およびMHC IIβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有するMHC遺伝子座についてホモ接合性であってもヘテロ接合性であってもよい。本発明の一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラヒト/非ヒトMHC I、MHC IIα、およびMHC IIβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子改変MHC遺伝子座は非ヒト動物の生殖細胞系列内にある。
本発明では、キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分がヒトMHC Iポリペプチドの細胞外ドメインを含む第1のヌクレオチド配列;キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列であって、キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIαポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のヌクレオチド配列;およびキメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列であって、キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインを含む第3のヌクレオチド配列を含むMHC遺伝子座も提供される。一部の態様では、キメラMHC I、IIα、およびIIβポリペプチドの非ヒト部分は、それぞれ非ヒトMHC I、IIα、およびIIβの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。
一実施形態では、遺伝子操作された非ヒト動物はげっ歯類である。一実施形態では、げっ歯類はラットまたはマウスである。一実施形態では、げっ歯類はマウスである。したがって、一態様では、第1のヌクレオチド配列は、キメラヒト/マウスMHC Iポリペプチドをコードし、キメラMHC Iポリペプチドのマウス部分は、H−2K、H−2D、またはH−2Lに由来する。特定の一実施形態では、キメラMHC Iポリペプチドのマウス部分は、H−2Kに由来する。一態様では、第2のヌクレオチド配列はキメラヒト/マウスMHC IIαポリペプチドをコードし、第3のヌクレオチド配列はキメラヒト/マウスMHC IIβポリペプチドをコードし、キメラMHC IIαおよびβポリペプチドのマウス部分はH−2EまたはH−2Aに由来する。特定の実施形態では、キメラMHC IIポリペプチドのマウス部分はH−2Eに由来する。
したがって、本明細書では、内在性MHC遺伝子座に、キメラヒト/マウスMHC Iポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分がヒトMHC Iポリペプチドの細胞外ドメインを含む第1のヌクレオチド配列;キメラヒト/マウスMHC IIαポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列であって、キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIαポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のヌクレオチド配列;およびキメラヒト/マウスMHC II βポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列であって、キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインを含む第3のヌクレオチド配列を含む遺伝子操作されたマウスであって、内在性マウスMHC遺伝子座から機能的なキメラヒト/マウスMHC IおよびMHC IIタンパク質を発現するマウスも提供される。特定の一実施形態では、第1のヌクレオチド配列はキメラHLA−A2/H−2Kポリペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列はキメラHLA−DR4/H−2Eポリペプチドのα鎖をコードし、第3のヌクレオチド配列はキメラHLA−DR4/H−2Eポリペプチドのβ鎖をコードし、マウスは機能的なHLA−A2/H−2Kタンパク質およびHLA−DR4/H−2Eタンパク質を発現する。追加的な実施形態では、マウスは、内在性β2ミクログロブリン遺伝子座に、ヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。一実施形態では、マウスは、その内在性MHC遺伝子座から機能的な内在性MHCポリペプチドを発現しない。
本明細書では、本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えばマウスまたはラット)を作製するための方法も提供される。したがって、一態様では、本発明は、遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法であって、第1の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC II遺伝子座において、非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップ;および第2の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC I遺伝子座において、非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップを含む方法を提供する。一態様では、ヌクレオチド配列を置き換えるステップは、非ヒトES細胞における相同組換えを含み、第2の非ヒト動物は、キメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列を担持するES細胞における相同組換えによって作製される。キメラMHC II複合体はキメラヒト/非ヒトMHC IIαおよびβポリペプチドを含む。
代替の実施形態では、本発明は、遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法であって、第1の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC I遺伝子座において、非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップ;および第2の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC II遺伝子座において、非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップを含む方法を提供する。一態様では、ヌクレオチド配列を置き換えるステップは、非ヒトES細胞における相同組換えを含み、第2の非ヒト動物はキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を担持するES細胞における相同組換えによって作製される。
本明細書では、本明細書に記載の非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えばマウスまたはラット)に由来する細胞、例えば、単離された抗原提示細胞も提供される。本明細書に記載の非ヒト動物に由来する組織および胚も提供される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
内在性MHC遺伝子座に、
キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、該キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分がヒトMHC Iポリペプチドの細胞外ドメインを含む第1のヌクレオチド配列、
キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列であって、該キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIαポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のヌクレオチド配列、および
キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列であって、該キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインを含む第3のヌクレオチド配列
を含む非ヒト動物であって、
内在性非ヒトMHC遺伝子座からキメラヒト/非ヒトMHC Iタンパク質およびMHC IIタンパク質を発現する非ヒト動物。
(項目2)
前記内在性非ヒトMHC遺伝子座から機能的な内在性MHC I、IIα、および/またはIIβポリペプチドを発現しない、項目1に記載の動物。
(項目3)
前記第1のヌクレオチド配列が内在性非ヒトMHC I遺伝子座に位置し、前記第2のヌクレオチド配列が内在性非ヒトMHC IIα遺伝子座に位置し、前記第3のヌクレオチド配列が内在性非ヒトMHC IIβ遺伝子座に位置する、項目1に記載の動物。
(項目4)
前記第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および/または第3のヌクレオチド配列が内在性非ヒト調節エレメントに作動可能に連結している、項目1に記載の動物。
(項目5)
前記キメラMHC Iポリペプチドの前記ヒト部分が、前記ヒトMHC Iポリペプチドのα1ドメイン、α2ドメイン、およびα3ドメインを含む、項目1に記載の動物。
(項目6)
前記キメラMHC Iポリペプチドの非ヒト部分が、内在性非ヒトMHC Iポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む、項目1に記載の動物。
(項目7)
前記ヒトMHC Iポリペプチドが、HLA−A、HLA−B、およびHLA−Cからなる群から選択される、項目1に記載の動物。
(項目8)
内在性非ヒトβ2ミクログロブリン遺伝子座にヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、該ヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンポリペプチドを発現する、項目1に記載の動物。
(項目9)
前記ヒトMHC IIα細胞外ドメインが、ヒトMHC IIα1およびα2ドメインを含む、項目1に記載の動物。
(項目10)
前記ヒトMHC IIβ細胞外ドメインが、ヒトMHC IIβ1およびβ2ドメインを含む、項目1に記載の動物。
(項目11)
前記第1のヌクレオチド配列が内在性非ヒトMHC Iプロモーターおよび調節エレメントに作動可能に連結しており、前記第2のヌクレオチド配列が内在性非ヒトMHC IIαプロモーターおよび調節エレメントに作動可能に連結しており、前記第3のヌクレオチド配列が内在性非ヒトMHC IIβプロモーターおよび調節エレメントに作動可能に連結している、項目1に記載の動物。
(項目12)
前記キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドの非ヒト部分が、内在性非ヒトMHC IIαポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む、項目1に記載の動物。
(項目13)
前記キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドの非ヒト部分が、内在性非ヒトMHC IIβポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む、項目1に記載の動物。
(項目14)
前記キメラヒト/マウスMHC IIαおよびβポリペプチドの前記ヒト部分が、HLA−DR、HLA−DQ、およびHLA−DPからなる群から選択されるヒトHLAクラスIIタンパク質に由来する、項目1に記載の動物。
(項目15)
前記キメラヒト/非ヒトMHC IIαおよびβポリペプチドの前記ヒト部分が、ヒトHLA−DRタンパク質に由来する、項目14に記載の動物。
(項目16)
げっ歯類である、項目1に記載の動物。
(項目17)
マウスまたはラットである、項目16に記載のげっ歯類。
(項目18)
マウスである、項目17に記載のげっ歯類。
(項目19)
前記第1のヌクレオチド配列がキメラヒト/マウスMHC Iポリペプチドをコードし、該キメラMHC Iポリペプチドのマウス部分がH−2K、H−2D、またはH−2Lに由来する、項目18に記載のマウス。
(項目20)
前記キメラMHC Iポリペプチドの前記マウス部分がH−2Kに由来する、項目19に記載のマウス。
(項目21)
前記第2のヌクレオチド配列がキメラヒト/マウスMHC IIαポリペプチドをコードし、前記第3のヌクレオチド配列がキメラヒト/マウスMHC IIβポリペプチドをコードし、該キメラMHC IIαおよびβポリペプチドのマウス部分がH−2Eまたは
H−2Aに由来する、項目18に記載のマウス。
(項目22)
前記キメラMHC IIポリペプチドの前記マウス部分がH−2Eに由来する、項目21に記載のマウス。
(項目23)
内在性MHC遺伝子座に、
キメラヒト/マウスMHC Iポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、該キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分が、ヒトMHC Iポリペプチドの細胞外ドメインを含む第1のヌクレオチド配列、
キメラヒト/マウスMHC IIαポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列であって、該キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドのヒト部分が、ヒトMHC IIαポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のヌクレオチド配列、および
キメラヒト/マウスMHC IIβポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列であって、該キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドのヒト部分が、ヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインを含む第3のヌクレオチド配列
を含むマウスであって、
内在性マウスMHC遺伝子座からキメラヒト/マウスMHC IおよびMHC IIタンパク質を発現するマウス。
(項目24)
前記第1のヌクレオチド配列がキメラHLA−A/H−2Kポリペプチドをコードし、前記第2のヌクレオチド配列がキメラHLA−DR/H−2Eポリペプチドのα鎖をコードし、前記第3のヌクレオチド配列がキメラHLA−DR/H−2Eポリペプチドのβ鎖をコードし、前記マウスがHLA−A/H−2KおよびHLA−DR/H−2Eタンパク質を発現する、項目24に記載のマウス。
(項目25)
内在性β2ミクログロブリン遺伝子座に、ヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、項目24に記載のマウス。
(項目26)
内在性MHC遺伝子座から機能的な内在性MHCポリペプチドを発現しない、項目24に記載のマウス。
(項目27)
遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法であって、
第1の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC II遺伝子座において、非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップ、および
第2の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC I遺伝子座において、非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップ
を含む方法。
(項目28)
ヌクレオチド配列を置き換える前記ステップが、非ヒトES細胞における相同組換えを含み、キメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列を担持するES細胞における相同組換えによって第2の非ヒト動物が作製される、項目27に記載の方法。
(項目29)
ヌクレオチド配列を置き換える前記ステップが、非ヒトES細胞における相同組換えを含み、キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を担持するES細胞における相同組換えによって第1の非ヒト動物が作製される、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記動物がマウスである、項目27に記載の方法。
別段の指定があるまたは文脈から明らかである場合を除き、本明細書に記載されている実施形態および態様はいずれも、互いと併せて使用することができる。以下の詳細な説明についての総説から他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。以下の詳細な説明は、本発明の種々の実施形態の例示的な表示を含み、これは特許請求された本発明を限定するものではない。添付図は本明細書の一部を構成し、その説明と共に、単に実施形態を例示するものとして機能し、本発明を限定するものではない。
図1は、細胞の表面上に発現するMHC Iクラス分子(左側のパネル)およびMHC IIクラス分子(右側のパネル)の概略図である。灰色の丸はペプチド結合性溝に結合したペプチドを表す。
図2は、ヒトHLAの相対的なゲノム構造の略図(縮尺不定)である。クラスI遺伝子、クラスII遺伝子およびクラスIII遺伝子が示されている。
図3は、マウスMHCの相対的なゲノム構造の略図(縮尺不定)である。クラスI遺伝子、クラスII遺伝子およびクラスIII遺伝子が示されている。
図4は、ヒト化MHC IおよびMHC II遺伝子を含むヒト化MHC遺伝子座を作製するための戦略を示す図である。示されている特定の実施形態では、作製されたマウスのMHC遺伝子座は、ヒトHLA−A2およびHLA−DR4配列を含む(H2−K+/1666 MHC−II+/1681)。ヒト化の各段階においてES細胞に導入した大きなターゲティングベクターが矢印の右側に示されている。
図5(A〜D)は、ヒト化I−EβおよびI−Eα(すなわち、それぞれH−2Eβ/HLA−DRβ104キメラおよびH−2Eα/HLA−DRα01キメラ)を含むターゲティングベクターを作製するための戦略の概略図(縮尺不定)である。図5Cでは、図5Bの最終的なヒト化MHC II配列を図5Aの最終的な構築物のPI−SceI制限部位とI−CeuI制限部位の間でライゲーションして、ヒト化MHC IIおよびBALB/c由来のI−Eαのエクソン1を含む構築物を作製する。Pg=偽遺伝子;BHR=細菌相同組換え;CM=クロラムフェニコール;spec=スペクチノマイシン;hyg=ハイグロマイシン;neo=ネオマイシン;EP=電気穿孔。三角形はエクソンを表し、黒い三角形はC57BL/6マウス由来のマウスエクソンを表し(例外として、斜線の入った三角形はBALB/cマウス由来のI−Eαのエクソン1を表す)、白抜きの三角形はヒトエクソンを表す。 図5(A〜D)は、ヒト化I−EβおよびI−Eα(すなわち、それぞれH−2Eβ/HLA−DRβ104キメラおよびH−2Eα/HLA−DRα01キメラ)を含むターゲティングベクターを作製するための戦略の概略図(縮尺不定)である。図5Cでは、図5Bの最終的なヒト化MHC II配列を図5Aの最終的な構築物のPI−SceI制限部位とI−CeuI制限部位の間でライゲーションして、ヒト化MHC IIおよびBALB/c由来のI−Eαのエクソン1を含む構築物を作製する。Pg=偽遺伝子;BHR=細菌相同組換え;CM=クロラムフェニコール;spec=スペクチノマイシン;hyg=ハイグロマイシン;neo=ネオマイシン;EP=電気穿孔。三角形はエクソンを表し、黒い三角形はC57BL/6マウス由来のマウスエクソンを表し(例外として、斜線の入った三角形はBALB/cマウス由来のI−Eαのエクソン1を表す)、白抜きの三角形はヒトエクソンを表す。 図5(A〜D)は、ヒト化I−EβおよびI−Eα(すなわち、それぞれH−2Eβ/HLA−DRβ104キメラおよびH−2Eα/HLA−DRα01キメラ)を含むターゲティングベクターを作製するための戦略の概略図(縮尺不定)である。図5Cでは、図5Bの最終的なヒト化MHC II配列を図5Aの最終的な構築物のPI−SceI制限部位とI−CeuI制限部位の間でライゲーションして、ヒト化MHC IIおよびBALB/c由来のI−Eαのエクソン1を含む構築物を作製する。Pg=偽遺伝子;BHR=細菌相同組換え;CM=クロラムフェニコール;spec=スペクチノマイシン;hyg=ハイグロマイシン;neo=ネオマイシン;EP=電気穿孔。三角形はエクソンを表し、黒い三角形はC57BL/6マウス由来のマウスエクソンを表し(例外として、斜線の入った三角形はBALB/cマウス由来のI−Eαのエクソン1を表す)、白抜きの三角形はヒトエクソンを表す。 図5(A〜D)は、ヒト化I−EβおよびI−Eα(すなわち、それぞれH−2Eβ/HLA−DRβ104キメラおよびH−2Eα/HLA−DRα01キメラ)を含むターゲティングベクターを作製するための戦略の概略図(縮尺不定)である。図5Cでは、図5Bの最終的なヒト化MHC II配列を図5Aの最終的な構築物のPI−SceI制限部位とI−CeuI制限部位の間でライゲーションして、ヒト化MHC IIおよびBALB/c由来のI−Eαのエクソン1を含む構築物を作製する。Pg=偽遺伝子;BHR=細菌相同組換え;CM=クロラムフェニコール;spec=スペクチノマイシン;hyg=ハイグロマイシン;neo=ネオマイシン;EP=電気穿孔。三角形はエクソンを表し、黒い三角形はC57BL/6マウス由来のマウスエクソンを表し(例外として、斜線の入った三角形はBALB/cマウス由来のI−Eαのエクソン1を表す)、白抜きの三角形はヒトエクソンを表す。
図6は、MHCクラスII I−E遺伝子およびI−A遺伝子の縮尺不定の概略図である、ハイグロマイシンカセットを使用したマウス遺伝子座のノックアウト、その後のヒト化I−EβおよびI−Eα(すなわち、それぞれH−2Eβ/HLA−DRβ104キメラおよびH−2Eα/HLA−DRα01キメラ)を含むベクターの導入が示されている。白抜きの三角形はヒトエクソンを表し、黒い三角形はマウスエクソンを表す。遺伝子型決定に使用したプローブが囲まれている。
図7は、図6のネオマイシンカセットのCre媒介性除去に関する縮尺不定の概略図である。白抜きの三角形はヒトエクソンを表し、黒い三角形はマウスエクソンを表す。上の2つの鎖はネオマイシン選択カセットを有するヒト化MHC IIヘテロ接合性マウスのMHC II遺伝子座を表し、下の2つの鎖はネオマイシンカセットが除去されたヒト化MHC IIヘテロ接合性マウスのMHC II遺伝子座を表す。
図8は、ヒトHLA−A2タンパク質の細胞外領域を発現するキメラH−2K遺伝子座を作出するために使用したターゲティング戦略の概略図(縮尺不定)である。マウス配列が黒色で表されており、ヒト配列が白色で表されている。L=リーダー、UTR=非翻訳領域、TM=膜貫通ドメイン、CYT=細胞質ドメイン、HYG=ハイグロマイシン。
図9は、キメラHLA−A2/H−2KおよびHLA−DR4/H−2E遺伝子座を有するヘテロ接合性マウスにおけるHLA−A2およびHLA−DR4のin vivoにおける発現のドットプロットである。定常状態のHLA−DR4の発現は低いものであったが、存在した。この低発現は予測されたものであり、活性化されると発現は上方制御される。
定義
本発明は、ヒトまたはヒト化MHC Iタンパク質とヒトまたはヒト化MHC IIタンパク質の両方を発現する遺伝子改変非ヒト動物(例えばマウス、ラット、ウサギなど);当該タンパク質を含む胚、細胞、および組織;それらを作出する方法;ならびにそれらの使用方法を提供する。別段の定義のない限り、本明細書で使用される全ての用語および句は、それに反することが明示されているまたはその用語もしくは句が使用される文脈から明らかである場合を除き、その用語および句が当技術分野において得ている意味を包含する。
「保存的」という用語は、保存的アミノ酸置換について記載するために使用される場合、アミノ酸残基の、化学的性質(例えば、電荷または疎水性)が類似した側鎖R基を有する別のアミノ酸残基での置換を含む。保存的アミノ酸置換は、保存的置換をコードするヌクレオチドの変化が導入されるようにヌクレオチド配列を改変することによって実現することができる。一般に、保存的アミノ酸置換により、タンパク質の目的の機能的性質、例えば、MHC IまたはMHC IIの目的のペプチドを提示する能力は実質的に変化しない。化学的性質が類似した側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、脂肪族側鎖、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンなど;脂肪族ヒドロキシル側鎖、例えばセリンおよびトレオニンなど;アミドを含有する側鎖、例えばアスパラギンおよびグルタミンなど;芳香族側鎖、例えばフェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンなど;塩基性側鎖、例えばリシン、アルギニン、およびヒスチジンなど;酸性側鎖、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸など、ならびに、硫黄を含有する側鎖、例えばシステインおよびメチオニンなどが挙げられる。保存的アミノ酸置換基としては、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/チロシン、リシン/アルギニン、アラニン/バリン、グルタミン酸/アスパラギン酸、およびアスパラギン/グルタミンが挙げられる。一部の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、例えばアラニンスキャニング変異誘発で使用されるように、タンパク質内の任意のネイティブな残基のアラニンでの置換であってよい。一部の実施形態では、保存的置換は、参照により本明細書に組み込まれるGonnetら((1992年)Exhaustive Matching of the Entire Protein Sequence Database、Science 256巻:1443〜45頁)に開示されているPAM250対数尤度行列において正の値を有するように成される。一部の実施形態では、置換は、置換がPAM250対数尤度行列において負ではない値を有する、中程度に保存的な置換である。
したがって、本明細書に記載のアミノ酸配列に保存的アミノ酸置換を含むヒトまたはヒト化MHC IおよびIIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をゲノム内に含む遺伝子改変非ヒト動物も本発明に包含される。
本明細書に記載のヒトまたはヒト化MHC IまたはMHC IIポリペプチドをコードする核酸残基に加えて、遺伝暗号の縮重に起因して、他の核酸が本発明のポリペプチドをコードし得ることが当業者には理解されよう。したがって、保存的アミノ酸置換を伴うMHC IおよびMHC IIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をゲノム内に含む遺伝子改変非ヒト動物に加えて、遺伝暗号の縮重に起因して本明細書に記載のものとは異なるヌクレオチド配列をゲノム内に含む非ヒト動物も提供される。
「同一性」という用語は、配列に関連して使用される場合、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列同一性を測定するために使用することができる当技術分野で公知のいくつかの異なるアルゴリズムによって決定される同一性を包含する。本明細書に記載の一部の実施形態では、オープンギャップペナルティ(open gap penalty)10.0、伸長ギャップペナルティ(extend gap penalty)0.1を使用したClustalW v.1.83(slow)アラインメントを使用し、Gonnet類似度マトリックス(MacVector(商標)10.0.2、MacVector Inc.、2008年)を使用して同一性を決定する。配列の同一性に関して比較される配列の長さは特定の配列に左右される。種々の実施形態では、同一性は、成熟タンパク質のN末端からC末端までの配列を比較することによって決定する。種々の実施形態では、キメラヒト/非ヒト配列とヒト配列を比較する場合、ヒト配列とキメラヒト/非ヒト配列のヒト部分の間の同一性のレベルを確認するために、キメラヒト/非ヒト配列のヒト部分を比較に使用する(非ヒト部分は使用しない)(例えばキメラヒト/マウスタンパク質のヒト外部ドメインとヒトタンパク質のヒト外部ドメインを比較する)。
「相同性」または「相同な」という用語は、配列、例えばヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に関しては、最適にアラインメントおよび比較すると、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約75%、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約80%、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約90〜95%、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の97%超が同一である2つの配列を意味する。最適な遺伝子ターゲティングのためには、ターゲティング構築物は内在性DNA配列と相同なアーム(すなわち、「相同性アーム」)を含有すべきであり、したがって、ターゲティング構築物と標的とされる内在性配列の間で相同組換えが起こり得ることが当業者には理解されよう。
「作動可能に連結した」という用語は、そのように記載されている構成成分が、それらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある、近位を指す。そのように、適切な転写調節が保持されるように、タンパク質をコードする核酸配列を調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー配列など)に作動可能に連結することができる。さらに、細胞内のタンパク質の適切なフォールディング、プロセシング、ターゲティング、発現、および他の機能的性質を保持するために、本発明のキメラタンパク質またはヒト化タンパク質の種々の部分を作動可能に連結することができる。別段の指定のない限り、本発明のキメラタンパク質またはヒト化タンパク質の種々のドメインは、互いに作動可能に連結している。
「MHC I複合体」などの用語は、本明細書で使用される場合、MHC Iα鎖ポリペプチドとβ2ミクログロブリンポリペプチドの複合体を含む。「MHC Iポリペプチド」などの用語は、本明細書で使用される場合、単独のMHC Iα鎖ポリペプチドを含む。「MHC II複合体」、「MHC IIタンパク質」などの用語は、本明細書で使用される場合、MHC IIαポリペプチドとMHC IIβポリペプチドの複合体を含む。「MHC IIαポリペプチド」または「MHC IIβポリペプチド」(など)の用語は、本明細書で使用される場合、それぞれ単独のMHC IIαポリペプチドまたは単独のMHC IIβポリペプチドを含む。同様に、「HLA−DR4複合体」、「HLA−DR4タンパク質」、「H−2E複合体」、「H−2Eタンパク質」などの用語は、αポリペプチドとβポリペプチドの複合体を指す。一般には、「ヒトMHC」および「HLA」という用語は互換的に使用される。
「置き換え」という用語は、遺伝子の置き換えに関しては、内在性遺伝子座に外因性遺伝物質を配置し、それにより内在性遺伝子の全部または一部をオルソロガスなまたは相同な核酸配列で置き換えることを指す。下記の実施例において実証されている通り、内在性MHC遺伝子座の核酸配列を、ヒトMHC Iポリペプチドの一部をコードする配列、特に、MHC Iポリペプチドの細胞外部分をコードする配列、ならびにヒトMHC IIαおよびβポリペプチドの一部、特に、MHC IIαおよびβポリペプチドの細胞外部分をコードするヌクレオチド配列で置き換えた。
「機能的」とは、本明細書で使用される場合、例えば、機能的なポリペプチドに関しては、ネイティブなタンパク質に通常付随する少なくとも1つの生物活性を保持するポリペプチドを指す。例えば、本発明の一部の実施形態では、内在性遺伝子座における置き換え(例えば、内在性非ヒトMHC遺伝子座における置き換え)により、機能的な内在性ポリペプチド、例えば、MHC IまたはMHC IIポリペプチドを発現することができない遺伝子座がもたらされる。同様に、「機能的」という用語は、タンパク質の機能的な細胞外ドメインに関して本明細書で使用される場合、その機能性、例えばMHC IまたはMHC IIの場合では、抗原に結合する能力、T細胞補助受容体に結合する能力などを保持する細胞外ドメインを指す。本発明の一部の実施形態では、内在性MHC遺伝子座における置き換えにより、内在性MHCの細胞外ドメイン(例えば、機能的な細胞外ドメイン)を発現することができないが、ヒトMHCの細胞外ドメイン(例えば、機能的な細胞外ドメイン)を発現する遺伝子座がもたらされる。
遺伝子改変MHC動物
種々の実施形態では、本発明は、一般に、ゲノム内にヒトまたはヒト化MHC IおよびMHC IIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、したがって、ヒトまたはヒト化MHC IおよびMHC IIポリペプチドを発現する遺伝子改変非ヒト動物を提供する。
MHC遺伝子は3つのクラス:クラスI、クラスII、およびクラスIIIにカテゴリー化され、その全てがヒト第6染色体またはマウス第17染色体のいずれかにコードされる。ヒトMHCクラスおよびマウスMHCクラスの相対的な組織化の概略図がそれぞれ図2および図3に示されている。MHC遺伝子は、マウスおよびヒトゲノムの最も多型的な遺伝子の1つである。MHC多型は、進化的利点をもたらすことにおいて重要であると推定され、配列の変化によりペプチド結合性の差異がもたらされ、それにより、細胞傷害性T細胞への病原体のよりよい提示が可能になる。
MHCクラスIタンパク質は、細胞外ドメイン(3つのドメイン:α、α、およびαを含む)、膜貫通ドメイン、および細胞質尾部を含む。αドメインおよびαドメインはペプチド結合性溝を形成し、αはβ2ミクログロブリンと相互作用する。
β2ミクログロブリンとの相互作用に加えて、αドメインは、TCR補助受容体CD8と相互作用し、それにより、抗原特異的な活性化が容易になる。MHCクラスIのCD8への結合性はTCRのMHCクラスIへの結合性の約100分の1であるが、CD8の結合によりTCRの結合の親和性が増強される。Wooldridgeら(2010年)MHC Class I Molecules with Superenhanced CD8 Binding Properties Bypass the Requirement for Cognate TCR Recognition and Nonspecifically Activate CTLs、J. Immunol. 184巻:3357〜3366頁。興味深いことに、MHCクラスIのCD8への結合が増大することにより、CTL活性化の抗原特異性が抑止される。同文献。
MHCクラスI分子へのCD8の結合は種特異的であり、CD8のマウスホモログ、Lyt−2は、α3ドメインにおいてH−2D分子に結合するが、HLA−A分子には結合しないことが示された。Connollyら(1988年)The Lyt−2 Molecule Recognizes Residues in the Class I α3 Domain in Allogeneic Cytotoxic T Cell Responses、J. Exp. Med. 168巻:325〜341頁。示差的な結合は、おそらくヒトとマウスの間で保存的ではないCD8上のCDR様決定因子(CDR1様およびCDR2様)に起因するものであった。Sandersら(1991年)Mutations in CD8 that Affect Interactions with HLA Class I and Monoclonal Anti−CD8 Antibodies、J. Exp. Med. 174巻:371〜379頁;Vitielloら(1991年)Analysis of the HLA−restricted Influenza−specific Cytotoxic T Lymphocyte Response in Transgenic Mice Carrying a Chimeric Human−Mouse Class I Major Histocompatibility Complex、J. Exp. Med. 173巻:1007〜1015頁、および、Gaoら(1997年)Crystal structure of the complex between human CD8αα and HLA−A2、Nature 387巻:630〜634頁。CD8は、α3ドメインの保存的領域(223〜229位)においてHLA−A2に結合することが報告されている。HLA−Aにおける単一の置換(V245A)により、CD8とHLA−Aの結合性が低下し、同時にT細胞媒介性溶解が大きく低下する。Salterら(1989年)、Polymorphism in the α3 domain of HLA−A molecules affects binding to CD8、Nature 338巻:345〜348頁。一般に、HLA−A分子のα3ドメインにおける多型も、CD8との結合に影響を及ぼす。同文献。マウスでは、H−2Dの残基227におけるアミノ酸置換により、マウスLyt−2とH−2Dの結合が影響を受け、変異H−2Dをトランスフェクトした細胞はCD8+T細胞によって溶解されなかった。Potterら(1989年)Substitution at residue 227 of H−2 class I molecules abrogates recognition by CD8−dependent, but not CD8−independent, cytotoxic T lymphocytes、Nature 337巻:73〜75頁。
したがって、MHCクラスIα3ドメインとCD8の間の相互作用の種特異性に起因して、H−2K α3ドメインのヒトHLA−A2 α3ドメインでの置き換えを含むMHC I複合体はマウス(すなわち、in vivo)においてヒトCD8の不在下では非機能的であった。HLA−A2についてのトランスジェニック動物では、ヒトα3ドメインでマウスα3ドメインを置換することにより、T細胞応答が回復する。Irwinら(1989年)Species−restricted interactions between CD8 and the α3 domain of class I influence the magnitude of the xenogeneic response、J. Exp. Med. 170巻:1091〜1101頁;Vitielloら(1991年)、上記。
マウスMHCクラスIタンパク質の膜貫通ドメインおよび細胞質尾部も重要な機能を有する。MHC I膜貫通ドメインの1つの機能は、おそらく表面MHC分子の架橋(またはライゲーション)の結果としてホモタイプ細胞接着のHLA−A2による調節(接着を増強または阻害する)を容易にすることである。Wagnerら(1994年)Ligation of MHC Class I and Class II Molecules Can Lead to Heterologous Desensitization of Signal Transduction Pathways That
Regulate Homotypic Adhesion in Human Lymphocytes、J. Immunol. 152巻:5275〜5287頁。細胞接着は、HLA−A2分子の多様なエピトープに結合するmAbの影響を受ける可能性があり、これにより、ホモタイプ細胞接着の調節に関係づけられる部位がHLA−A2上に多数存在することが示唆される。結合したエピトープに応じて、影響はHLA−A2依存性接着の増強または阻害であり得る。同文献。
MHC I遺伝子のエクソン6およびエクソン7によりコードされる細胞質尾部は、報告によれば、細胞表面上での適切な発現およびNK細胞の細胞傷害性のLIR1媒介性阻害に必要である。Grudaら(2007年)Intracellular Cysteine Residues in the Tail of MHC Class I Proteins Are Crucial for Extracellular Recognition by Leukocyte Ig−Like Receptor 1、J. Immunol. 179巻:3655〜3661頁。細胞質尾部は、少なくともいくつかのMHC I分子の、そのシステイン残基におけるジスルフィド結合の形成による多量体化に必要であり、したがって、クラスター形成およびNK細胞による認識において役割を果たし得る。Lynchら(2009年)Novel MHC Class I Structures on Exosomes、J. Immunol. 183巻:1884〜1891頁。
HLA−A2の細胞質ドメインは、構成的にリン酸化されたセリン残基およびリン酸化可能なチロシンを含有するが、ジャーカット細胞では、細胞質ドメインを欠く変異HLA−A2分子は発現、細胞骨格会合、凝集、およびエンドサイトーシスによる内部移行に関しては正常だと思われる。Gurら(1997年)Structural Analysis of Class I MHC Molecules: The Cytoplasmic Domain Is Not Required for Cytoskeletal Association, Aggregation, and Internalization、Mol. Immunol. 34巻(2号):125〜132頁。細胞質ドメインを欠く切断型HLA−A2分子は、見たところでは正常に発現し、β2ミクログロブリンと会合する。同文献。
しかし、いくつかの試験により、細胞質尾部は細胞内輸送、樹状細胞(DC)媒介性抗原提示、およびCTL刺激において重要であることが実証された。エクソン6によりコードされるチロシン残基は、エンドソーム区画を通るMHC I輸送、外因性抗原の提示、およびCTL刺激のために必要であることが示され、一方、エクソン7の欠失により、抗ウイルスCTL応答の増強がもたらされた。Lizeeら(2003年)Control of Dendritic Cross−Presentation by the Major Histocompatibility Complex Class I Cytoplasmic Domain、Nature Immunol. 4巻:1065〜73頁;Bashaら(2008年)MHC Class I Endosomal and Lysosomal Trafficking Coincides with Exogenous Antigen Loading in Dendritic Cells、PLoS ONE 3:e3247;およびRodriguez−Cruzら(2011年)Natural Splice Variant of MHC Class I Cytoplasmic Tail Enhances Dendritic Cell−Induced CD8+ T−Cell Responses and Boosts Anti−Tumor Immunity、PLoS ONE 6:e22939。
MHCクラスII複合体は、非共有結合により会合した2つのドメイン:本明細書では、αポリペプチドおよびβポリペプチドとも称されるα鎖およびβ鎖を含む(図1、右側)。このタンパク質は原形質膜にわたり、したがって、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含有する。α鎖の細胞外部分はα1ドメインおよびα2ドメインを含み、β鎖の細胞外部分はβ1ドメインおよびβ2ドメインを含む。α1ドメインおよびβ1ドメインは、細胞表面上にペプチド結合性溝を形成する。MHC II複合体のペプチド結合性溝の3次元コンフォメーションに起因して、理論的には、結合する抗原の長さに上限はないが、一般には、MHC IIにより提示されるペプチドは13アミノ酸からおよび17アミノ酸の間の長さである。
MHC II分子のペプチド結合性溝は、抗原性ペプチドとの相互作用に加え、MHC II複合体の形成およびペプチド獲得のプロセス中に不変鎖(Ii)と相互作用する。α/β MHC II二量体は小胞体内に集合し、Ii鎖と会合し、これは、ペプチド結合の制御およびMHC IIのエンドサイトーシス経路内へのターゲティングに関与する。エンドソームにおいて、Iiはタンパク質分解を受け、Iiの小さな断片であるクラスIIと会合した不変鎖ペプチド(CLIP)はペプチド結合性溝に残る。エンドソームにおいて、HLA−DMの制御下で(ヒトでは)、抗原性ペプチドがCLIPで置き換えられる。
MHC IIは、α2ドメインとβ2ドメインの間の接合部にある疎水性間隙においてT細胞補助受容体CD4と相互作用する。WangおよびReinherz(2002年)Structural Basis of T Cell Recognition of Peptides Bound to MHC Molecules、Molecular Immunology、38巻:1039〜49頁。CD4とT細胞受容体が、ペプチドと複合体を形成した同じMHC II分子に結合すると、T細胞の抗原に対する感受性が増大し、活性化に必要な抗原が100分の1になる。参照により本明細書に組み込まれるJaneway’s Immunobiology、第7版、Murphyら編、Garland Science、2008年を参照されたい。
MHC IIの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインに関しては多数の機能が提唱されてきた。細胞質ドメインの場合では、細胞内シグナル伝達、原形質膜の輸送、および最終的に抗原の提示に重要であることが示されている。例えば、T細胞ハイブリドーマは、細胞質ドメインにMHC II β鎖切断型をトランスフェクトした抗原提示細胞(APC)に対する応答が不十分であり、B細胞分化の誘導が妨害されることが示された。例えば、Smileyら(1996年)Truncation of the class IIβ−chain cytoplasmic domain influences the level of class II/invariant chain−derived peptide complexes、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93巻:241〜44頁を参照されたい。クラスII分子の切断により、cAMP産生が損なわれるように思われる。MHC IIの細胞質尾部の欠失により、細胞内輸送が影響を受け、したがって、複合体がエンドサイトーシス経路において関連性のある抗原と遭遇することが妨げられることが仮定されている。Smileyら(上記)により、細胞質ドメインにおけるクラスII分子の切断によりCLIP/クラスII複合体の数が減少し、それによりCLIP/クラスII複合体の数が減少することによって、抗原提示を効果的に調節するCLIPの能力が影響を受けると仮定されることが実証された。
T細胞受容体(TCR)誘発のためにはMHC IIのクラスター形成が重要であるので、細胞質ドメインにおいて切断されたMHC II分子は細胞骨格への結合、したがって凝集が妨げられると、T細胞への抗原の提示が影響を受けることになるという仮説が立てられている。Ostrand−Rosenbergら(1991年)Abrogation of Tumorigenicity by MHC Class II Antigen Expression Requires the Cytoplasmic Domain of the Class II Molecule、J. Immunol. 147巻:2419〜22頁。実際、細胞質ドメインにおいて切断されたHLA−DRは、オリゴマー化後に細胞骨格と会合することができないことが最近示された。El Fakhyら(2004年)Delineation of the HLA−DR Region and the Residues Involved in the Association with the Cytoskeleton、J. Biol. Chem. 279巻:18472〜80頁。重要なことに、アクチン細胞骨格は、局在するシグナルトランスダクション活性の部位であり、これにより、抗原の提示が影響を受ける。最近の試験により、細胞骨格との会合に加えて、全てのHLA−DR分子の20%に至るまでが、コレステロールおよびスフィンゴ糖脂質が豊富なマイクロドメインであるAPCの脂質ラフト内に構成的に存在すること、およびそのような局在化が、抗原の提示、免疫シナプス形成、およびMHC II媒介性シグナル伝達に重要であることも示された。例えば、Dolanら(2004年)Invariant Chainおよびthe MHC II Cytoplasmic Domains Regulate Localization of MHC Class II Molecules to Lipid Rafts in Tumor Cell−Based Vaccines、J. Immunol. 172巻:907〜14頁を参照されたい。Dolanらにより、MHC IIの細胞質ドメインの切断により、MHC IIの脂質ラフトへの構成的な局在化が減少することが示唆された。
さらに、MHC II、特にβ鎖の細胞質ドメインは、ユビキチンリガーゼである膜結合型RING−CH I(MARCH I)によるユビキチン化を受けるロイシン残基を含有し、これにより、MHC IIのエンドサイトーシス輸送、内部移行、および分解が制御される。また、MARCH媒介性ユビキチン化は樹状細胞が成熟化すると停止し、それにより、原形質膜におけるMHC IIのレベルが上昇することが示されている。Shinら(2006年)Surface expression of MHC class II in dendritic cells is controlled by regulated ubiquitination、Nature 444巻:115〜18頁;De Gassartら(2008年)MHC class II stabilization at the surface of human dendritic cells is the result of maturation−dependent MARCH I down−regulation、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105巻:3491〜96頁。
MHC IIのα鎖およびβ鎖の膜貫通ドメインは互いと相互作用し、この相互作用は、クラスII MHC複合体の適切な集合のために重要である。CossonおよびBonifacino(1992年)Role of Transmembrane Domain Interactions in the Assembly of Class II MHC Molecules、Nature 258巻:659〜62頁。実際、α鎖およびβ鎖の膜貫通ドメインがIL−2受容体のα鎖で置き換えられたMHC II分子はER内に保持され、細胞表面ではほぼ検出不可能であった。同文献。変異誘発試験を通じて、α膜貫通ドメインおよびβ膜貫通ドメインにおける保存的Gly残基が細胞表面におけるMHC IIの集合に関与することが見いだされた。同文献。したがって、膜貫通ドメインと細胞質ドメインはどちらも、MHC II複合体の適切な機能のために極めて重要である。
種々の実施形態では、ゲノム内に、ヒトまたはヒト化MHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびヒトまたはヒト化MHC IIタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子改変非ヒト動物、例えば、げっ歯類(例えばマウスまたはラット)が本明細書において提供される。MHC Iヌクレオチド配列は、部分的にヒトのものであり、部分的に非ヒトのものであるMHC Iポリペプチド、例えばキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードし得、MHC IIヌクレオチド配列は、部分的にヒトのものであり、部分的に非ヒトのものであるMHC IIタンパク質、例えばキメラヒト/非ヒトMHC IIタンパク質をコードし得る(例えば、キメラヒト/非ヒトMHC IIαおよびβポリペプチドを含む)。一部の態様では、動物は、内在性MHC IおよびIIポリペプチド、例えば、機能的な内在性MHC IおよびIIポリペプチドを発現しない。
ゲノム内、例えば内在性遺伝子座にキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子改変非ヒト動物は、それらの出願全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/661,159号および同第13/793,812号に開示されている。ゲノム内、例えば内在性遺伝子座にヒト化、例えばキメラヒト/非ヒトMHC IIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子改変非ヒト動物は、それらの出願全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/661,116号および同第13/793,935号に開示されている。本明細書では、内在性MHC遺伝子座にキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびキメラヒト/非ヒトMHC IIポリペプチドを含む遺伝子改変非ヒト動物が提供される。そのような動物は、マウス第17染色体およびヒト第6染色体上のMHC I遺伝子およびMHC II遺伝子の近いつながりに起因して、ヒト化MHC I動物とヒト化MHC II動物を単純に掛け合わせることによって作製することは難しいと思われる。したがって、本出願は、ヒトまたはヒト化MHC IおよびMHC IIポリペプチドをコードする配列を含む遺伝子改変非ヒト動物、例えば、内在性MHC IおよびIIポリペプチドをコードする配列がキメラヒト/非ヒトMHC IおよびIIポリペプチドをコードする配列で置き換えられた動物を作製するための新規の方法も提供する。
したがって、種々の実施形態では、ゲノム内、例えば内在性MHC遺伝子座に、キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分がヒトMHC Iポリペプチドの細胞外ドメインを含む第1のヌクレオチド配列;キメラヒト/非ヒトMHC IIαポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列であって、キメラMHC IIαポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIαポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のヌクレオチド配列;およびキメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列であって、キメラMHC IIβポリペプチドのヒト部分がヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインを含む第3のヌクレオチド配列を含む遺伝子改変非ヒト動物であって、内在性非ヒトMHC遺伝子座から機能的なキメラヒト/非ヒトMHC IおよびMHC IIタンパク質を発現する非ヒト動物が本明細書において提供される。一実施形態では、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、および/または第3のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC遺伝子座に位置する。非ヒト動物がマウスである一実施形態では、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、および/または第3のヌクレオチド配列は、マウス第17染色体上の内在性マウスMHC遺伝子座に位置する。一実施形態では、第1のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC I遺伝子座に位置する。一実施形態では、第2のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC IIα遺伝子座に位置する。一実施形態では、第3のヌクレオチド配列は内在性非ヒトMHC IIβ遺伝子座に位置する。
一実施形態では、非ヒト動物は、内在性非ヒトMHC遺伝子座からキメラヒト/非ヒトMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC βIIポリペプチドのみを発現し、内在性非ヒトMHCポリペプチド(例えば、機能的な内在性MHC I、IIαおよび/またはIIβポリペプチド)は発現しない。一実施形態では、本明細書に記載の動物は、その細胞、例えば抗原提示細胞などの表面上に機能的なキメラMHC Iおよび機能的なキメラMHC IIを発現する。
一実施形態では、キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドは、そのヒト部分にヒトMHC Iポリペプチドのペプチド結合性ドメインを含む。一態様では、キメラポリペプチドのヒト部分は、ヒトMHC Iの細胞外ドメインを含む。この実施形態では、キメラポリペプチドのヒト部分は、ヒトMHC Iのα鎖の細胞外ドメインを含む。一実施形態では、キメラポリペプチドのヒト部分は、ヒトMHC Iのα1ドメインおよびα2ドメインを含む。別の実施形態では、キメラポリペプチドのヒト部分は、ヒトMHC Iのα1ドメイン、α2ドメイン、およびα3ドメインを含む。
一態様では、キメラMHC IIαポリペプチドのヒト部分および/またはキメラMHC IIβポリペプチドのヒト部分は、それぞれヒトMHC IIαポリペプチドおよび/またはヒトMHC IIβポリペプチドのペプチド結合性ドメインを含む。一態様では、キメラMHC IIαおよび/またはβポリペプチドのヒト部分は、それぞれヒトMHC IIαおよび/またはβポリペプチドの細胞外ドメインを含む。一実施形態では、キメラMHC IIαポリペプチドのヒト部分はヒトMHC IIαポリペプチドのα1ドメインを含み、別の実施形態では、キメラMHC IIαポリペプチドのヒト部分はヒトMHC IIαポリペプチドのα1ドメインおよびαドメインを含む。追加的な実施形態では、キメラMHC IIβポリペプチドのヒト部分はヒトMHC IIβポリペプチドのβ1ドメインを含み、別の実施形態では、キメラMHC IIβポリペプチドのヒト部分は、ヒトMHC IIβポリペプチドのβ1ドメインおよびβ2ドメインを含む。
ヒトまたはヒト化MHC Iポリペプチドは、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−E、HLA−F、またはHLA−G遺伝子座のいずれかによりコードされる機能的なヒトHLA分子由来のものであってよい。ヒトまたはヒト化MHC IIポリペプチドは、HLA−DP、HLA−DQ、およびHLA−DR遺伝子座によりコードされる機能的なヒトHLA分子由来のものであってよい。一般に使用されるHLA抗原および対立遺伝子の一覧は、参照により本明細書に組み込まれるShankarkumarら((2004年)The Human Leukocyte Antigen (HLA) System、Int. J. Hum. Genet. 4巻(2号):91〜103頁)に記載されている。Shankarkumarらにより、当技術分野において使用されるHLA命名法に関する簡単な説明も示されている。HLA命名法および種々のHLA対立遺伝子に関する追加情報は、どちらも参照により本明細書に組み込まれる、Holdsworthら(2009年)The HLA dictionary 2008: a summary of HLA−A, −B, −C, −DRB1/3/4/5, and DQB1 alleles and their association with serologically defined HLA−A, −B, −C, −DR, and −DQ antigens、Tissue Antigens 73巻:95〜170頁、およびMarshら(2010年)Nomenclature for factors of the HLA system、2010年、Tissue Antigens 75巻:291〜455頁による最近の更新に見いだすことができる。したがって、ヒトまたはヒト化MHC Iおよび/またはIIポリペプチドは、それらに記載されている任意の機能的なヒトHLA分子由来のものであってよい。
いくつかのヒト疾患、例えば、ヒト自己免疫疾患に関連することが公知のヒトHLA分子、特定の多型HLA対立遺伝子が特に興味深い。実際、関節リウマチ、1型糖尿病、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、グレーブス病、全身性エリテマトーデス、小児脂肪便症、クローン病、潰瘍性大腸炎、および他の自己免疫障害の発生と相関するHLA遺伝子座の特定の多型が同定されている。例えば、WongおよびWen(2004年)What can the HLA transgenic mouse tell us about autoimmune diabetes?、Diabetologia 47巻:1476〜87頁;TanejaおよびDavid(1998年)HLA Transgenic Mice as Humanized Mouse Models of Disease and Immunity、J. Clin. Invest. 101巻:921〜26頁;Bakkerら(2006年)、A high−resolution HLA and SNP haplotype map for disease association studies in the extended human MHC、Nature Genetics 38巻:1166〜72頁および補足情報;ならびにInternational MHC and Autoimmunity Genetics Network(2009年)Mapping of multiple susceptibility variants within the MHC region for 7 immune−mediated diseases、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106巻:18680〜85頁を参照されたい。したがって、ヒトまたはヒト化MHC Iおよび/またはIIポリペプチドは、特定の疾患、例えば自己免疫疾患に関連することが公知のヒトHLA分子由来のものであってよい。
特定の一態様では、ヒトまたはヒト化MHC IポリペプチドはヒトHLA−Aに由来する。特定の実施形態では、HLA−AポリペプチドはHLA−A2ポリペプチド(例えば、およびHLA−A2.1ポリペプチド)である。一実施形態では、HLA−Aポリペプチドは、HLA−A0201対立遺伝子、例えば、HLA−A02:01:01:01対立遺伝子によりコードされるポリペプチドである。HLA−A0201対立遺伝子は、北アメリカ人の集団において共通して使用される。本実施例ではこの特定のHLA配列に関して記載しているが、任意の適切なHLA−A配列、例えば、ヒト集団において示されるHLA−A2の多型バリアント、1つまたは複数の保存的または非保存的アミノ酸改変を伴う配列、遺伝暗号の縮重に起因して本明細書に記載の配列とは異なる核酸配列などが本発明に包含される。
別の特定の態様では、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分は、HLA−BおよびHLA−Cから選択されるヒトMHC Iに由来する。一態様では、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分は、HLA−B、例えばHLA−B27に由来する。別の態様では、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分は、HLA−A3、HLA−B7、HLA−Cw6などに由来する。
特定の一態様では、本明細書に記載のヒト化MHC IIαおよびβポリペプチドのヒト部分は、ヒトHLA−DR例えば、HLA−DR4に由来する。一般には、HLA−DR α鎖は単型であり、例えば、HLA−DR複合体のα鎖はHLA−DRA遺伝子(例えば、HLA−DRα01遺伝子)によりコードされる。他方では、HLA−DR β鎖は多型である。したがって、HLA−DR4は、HLA−DRA遺伝子によりコードされるα鎖およびHLA−DRB1遺伝子(例えば、HLA−DRβ104遺伝子)によりコードされるβ鎖を含む。下記の通り、HLA−DR4は、いくつかの自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、1型糖尿病、多発性硬化症などの発生率に関連することが公知である。本発明の一実施形態では、HLA−DRA対立遺伝子は、HLA−DRα01対立遺伝子、例えば、HLA−DRα01:01:01:01である。別の実施形態では、HLA−DRB対立遺伝子は、HLA−DRβ104、例えば、HLA−DRβ104:01:01である。本実施例ではこれらの特定のHLA配列について記載しているが、任意の適切なHLA−DR配列、例えば、ヒト集団において示される多型バリアント、1つまたは複数の保存的または非保存的アミノ酸改変を伴う配列、遺伝暗号の縮重に起因して本明細書に記載の配列とは異なる核酸配列などが本明細書に包含される。
キメラMHC IIαおよび/またはβポリペプチドのヒト部分は、一般的なヒト疾患に関連することが公知のHLA対立遺伝子ヌクレオチド配列によりコードされ得る。そのようなHLA対立遺伝子としては、これだけに限定されないが、HLA−DRB10401、HLA−DRB10301、HLA−DQA10501、HLA−DQB10201、HLA−DRB11501、HLA−DRB11502、HLA−DQB10602、HLA−DQA10102、HLA−DQA10201、HLA−DQB10202、HLA−DQA10501、およびこれらの組合せが挙げられる。HLA対立遺伝子/疾患の関連の要約に関しては、参照により本明細書に組み込まれるBakkerら(2006年)、上記を参照されたい。
一態様では、キメラヒト/非ヒトMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチド(複数可)の非ヒト部分は、それぞれ内在性非ヒト(例えば、げっ歯類、例えばマウス、ラットなど)MHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチド(複数可)の膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインを含む。したがって、キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドの非ヒト部分は、内在性非ヒトMHC Iポリペプチドの膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインを含み得る。非キメラMHC IIαポリペプチドのヒト部分は、内在性非ヒトMHC IIαポリペプチドの膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインを含み得る。キメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドの非ヒト部分は、内在性非ヒトMHC IIβポリペプチドの膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインを含み得る。一態様では、非ヒト動物はマウスであり、キメラMHC Iポリペプチドの非ヒト部分はマウスH−2Kタンパク質に由来する。一態様では、動物はマウスであり、キメラMHC IIαおよびβポリペプチドの非ヒト部分はマウスH−2Eタンパク質に由来する。したがって、キメラMHC Iポリペプチドの非ヒト部分は、マウスH−2Kに由来する膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含み得、キメラMHC IIαおよびβポリペプチドの非ヒト部分はマウスH−2Eタンパク質に由来する膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含み得る。実施例では特定のH−2KおよびH−2E配列が意図されているが、任意の適切な配列、例えば、多型バリアント、保存的/非保存的アミノ酸置換などが本明細書に包含される。
キメラヒト/非ヒトポリペプチドは、ヒトまたは非ヒトリーダー(シグナル)配列を含むようにすることができる。一実施形態では、キメラMHC Iポリペプチドは内在性MHC Iポリペプチドの非ヒトリーダー配列を含む。一実施形態では、キメラMHC IIαポリペプチドは内在性MHC IIαポリペプチドの非ヒトリーダー配列を含む。一実施形態では、キメラMHC IIβポリペプチドは内在性MHC IIβポリペプチドの非ヒトリーダー配列を含む。代替の実施形態では、キメラMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチド(複数可)は、それぞれ、別の非ヒト動物、例えば、別のげっ歯類または別のマウス系統に由来するMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチド(複数可)の非ヒトリーダー配列を含む。したがって、キメラMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、それぞれ非ヒトMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβリーダー配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結していてよい。さらに別の実施形態では、キメラMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチド(複数可)は、それぞれヒトMHC I、ヒトMHC IIαおよび/またはヒトMHC IIβポリペプチドのヒトリーダー配列(例えば、それぞれヒトHLA−A2、ヒトHLA−DRAおよび/またはヒトHLA−DRβ104のリーダー配列)を含む。
キメラヒト/非ヒトMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチドは、そのヒト部分に、それぞれ完全なまたは実質的に完全なヒトMHC I、ヒトMHC IIαおよび/またはヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインを含み得る。したがって、ヒト部分は、ヒトMHC I、ヒトMHC IIαおよび/またはヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメイン(例えば、ヒトHLA−A2、ヒトHLA−DRAおよび/またはヒトHLA−DRβ104)をコードするアミノ酸の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、例えば、95%以上を含み得る。1つの例では、実質的に完全なヒトMHC I、ヒトMHC IIαおよび/またはヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインはヒトリーダー配列を欠く。別の例では、キメラヒト/非ヒトMHC I、キメラヒト/非ヒトMHC IIαおよび/またはキメラヒト/非ヒトMHC IIβポリペプチドはヒトリーダー配列を含む。
さらに、キメラMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβポリペプチドは、それぞれ内在性非ヒトプロモーターおよび調節エレメント、例えばマウスMHC I、MHC IIαおよび/またはMHC IIβ調節エレメントに作動可能に連結していてよい(例えば、その調節的制御の下で発現する)。そのような配置により、例えば非ヒト動物における免疫応答の間の非ヒト動物におけるキメラMHC Iおよび/またはMHC IIポリペプチドの適切な発現が容易になる。
遺伝子改変非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、スイギュウ)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)からなる群から選択することができる。適切な遺伝子改変可能なES細胞が容易に入手可能でない非ヒト動物については、遺伝子改変を含む非ヒト動物を作出するために他の方法が使用される。そのような方法としては、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞または人工多能性細胞)を改変することおよび核移植を使用して、改変されたゲノムを適切な細胞、例えば卵母細胞に移植すること、および改変された細胞(例えば、改変された卵母細胞)を非ヒト動物において適切な条件下で熟させて胚を形成することが挙げられる。
一態様では、非ヒト動物は哺乳動物である。一態様では、非ヒト動物は、例えばDipodoidea上科またはMuroidea上科の小さな哺乳動物である。一実施形態では、遺伝子改変動物はげっ歯類である。一実施形態では、げっ歯類は、マウス、ラット、およびハムスターから選択される。一実施形態では、げっ歯類は、Muroidea上科から選択される。一実施形態では、遺伝子改変動物は、Calomyscidae(例えばマウス様ハムスター(mouse−like hamster))、Cricetidae(例えば、ハムスター、新世界ラットおよび新世界マウス(New World rats and mice)、ハタネズミ)、Muridae(真性マウスおよび真性ラット(true mice and rats)、スナネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ)、Nesomyidae(キノボリマウス(climbing mice)、イワマウス(rock mice)、オジロハムスターモドキ(with−tailed rat)、マダガスカルラットおよびマダガスカルマウス(Malagasy rats and mice))、Platacanthomyidae(例えば、トゲヤマネ)、およびSpalacidae(例えば、メクラネズミ(mole rates)、タケネズミ、およびモグラネズミ)から選択される科の動物である。特定の実施形態では、遺伝子改変げっ歯類は、真性マウスまたは真性ラット(Muridae科)、スナネズミ、トゲマウス、およびタテガミネズミから選択される。一実施形態では、遺伝子改変マウスはMuridae科のメンバーである。一実施形態では、動物はげっ歯類である。特定の実施形態では、げっ歯類はマウスおよびラットから選択される。一実施形態では、非ヒト動物はマウスである。
特定の実施形態では、非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、およびC57BL/Olaから選択されるC57BL系統のマウスであるげっ歯類である。別の実施形態では、マウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群から選択される129系統である(例えば、Festingら(1999年)Revised nomenclature for strain 129 mice、Mammalian Genome 10巻:836頁を参照されたい。Auerbachら(2000年)Establishment and Chimera Analysis of 129/SvEv− andC57BL/6−Derived Mouse Embryonic Stem Cell Linesも参照されたい)。特定の実施形態では、遺伝子改変マウスは、上述の129系統と上述のC57BL/6系統の混合である。別の特定の実施形態では、マウスは、上述の129系統の混合、または上述のBL/6系統の混合である。特定の実施形態では、混合の129系統は、129S6(129/SvEvTac)系統である。別の実施形態では、マウスは、BALB系統、例えば、BALB/c系統である。さらに別の実施形態では、マウスは、BALB系統と別の上述の系統の混合である。
一実施形態では、非ヒト動物はラットである。一実施形態では、ラットは、ウィスターラット、LEA系統、スプラーグドーリー系統、フィッシャー系統、F344、F6、およびDark Agoutiから選択される。一実施形態では、ラット系統は、ウィスター、LEA、スプラーグドーリー、フィッシャー、F344、F6、およびDark Agoutiからなる群から選択される2種以上の系統の混合である。
したがって、一実施形態では、本発明は、そのゲノム内に、キメラヒト/マウスMHC Iをコードする第1のヌクレオチド配列、キメラヒト/マウスMHC IIαをコードする第2のヌクレオチド配列、およびキメラヒト/マウスMHC IIβポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列を含む遺伝子改変マウスに関する。キメラMHC I、MHC IIα、およびMHC IIβのヒト部分は、それぞれヒトMHC I、MHC IIα、およびMHC IIβの細胞外ドメインを含み得る。一実施形態では、マウスは、その内在性マウスMHC遺伝子座から機能的なキメラヒト/マウスMHC I、MHC IIα、およびMHC IIβポリペプチドを発現する。一実施形態では、マウスは、その内在性マウスMHC遺伝子座から機能的なマウスMHCポリペプチド、例えば、機能的なマウスMHC I、MHC IIα、およびMHC IIβポリペプチドを発現しない。
一実施形態では、キメラヒト/マウスMHC Iポリペプチドのヒト部分は、ヒトMHC Iのペプチド結合性ドメインまたは細胞外ドメイン(例えば、ヒトHLA−A、例えば、ヒトHLA−A2、例えば、ヒトHLA−A2.1)を含む。一部の実施形態では、マウスは、その内在性マウスMHC I遺伝子座から内在性マウスMHC Iポリペプチドのペプチド結合性ドメインまたは細胞外ドメインを発現しない。ヒトMHC Iのペプチド結合性ドメインはα1ドメインおよびα2ドメインを含み得る。あるいは、ヒトMHC Iのペプチド結合性ドメインはα1ドメイン、α2ドメイン、およびα3ドメインを含み得る。一態様では、ヒトMHC Iの細胞外ドメインはヒトMHC Iα鎖の細胞外ドメインを含む。一実施形態では、内在性マウスMHC I遺伝子座はH−2K(例えば、H−2Kb)遺伝子座であり、キメラMHC Iポリペプチドのマウス部分はマウスH−2K(例えば、H−2Kb)ポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。したがって、一実施形態では、本発明のマウスは、その内在性マウスMHC I遺伝子座に、キメラヒト/マウスMHC Iをコードするヌクレオチド配列を含み、キメラポリペプチドのヒト部分はヒトHLA−A2(例えば、HLA−A2.1)ポリペプチドの細胞外ドメインを含み、マウス部分はマウスH−2K(例えば、H−2Kb)ポリペプチドの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含み、マウスはキメラヒト/マウスHLA−A2/H−2Kタンパク質を発現する。他の実施形態では、キメラMHC Iポリペプチドのマウス部分は、他のマウスMHC I由来のもの、例えば、H−2D、H−2Lなどであってよく、キメラMHC Iポリペプチドのヒト部分は他のヒトMHC I由来のもの、例えば、HLA−B、HLA−Cなどであってよい。一態様では、マウスは、その内在性マウスH−2K遺伝子座から機能的な内在性H−2Kポリペプチドを発現しない。
一実施形態では、キメラヒト/マウスMHC IIαポリペプチドのヒト部分はヒトMHC IIαペプチド結合性ドメインまたは細胞外ドメインを含み、キメラヒト/マウスMHC IIβポリペプチドのヒト部分はヒトMHC IIβペプチド結合性ドメインまたは細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、マウスは、内在性マウス遺伝子座(例えば、H−2Aおよび/またはH−2E遺伝子座)から内在性マウスαおよび/またはβポリペプチドのペプチド結合性ドメインまたは細胞外ドメインを発現しない。一部の実施形態では、マウスは、H−2Ab1、H−2Aa、H−2Eb1、H−2Eb2、H−2Ea、およびこれらの組合せを含む機能的なMHCクラスII分子をコードする遺伝子を欠くゲノムを含む。ヒトMHC IIαポリペプチドのペプチド結合性ドメインはα1ドメインを含み得、ヒトMHC IIβポリペプチドのペプチド結合性ドメインはβ1ドメインを含み得、したがって、キメラMHC II複合体のペプチド結合性ドメインはヒトα1ドメインおよびβ1ドメインを含み得る。ヒトMHC IIαポリペプチドの細胞外ドメインはα1ドメインおよびα2ドメインを含み得、ヒトMHC IIβポリペプチドの細胞外ドメインはβ1ドメインおよびβ2ドメインを含み得、したがって、キメラMHC II複合体の細胞外ドメインはヒトα1ドメイン、α2ドメイン、β1ドメインおよびβ2ドメインを含み得る。一実施形態では、キメラMHC II複合体のマウス部分は、マウスMHC II、例えばマウスH−2Eの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン(例えば、マウスH−2Eα鎖およびβ鎖の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン)を含む。したがって、一実施形態では、本発明のマウスは、その内在性マウスMHC II遺伝子座にキメラヒト/マウスMHC IIαをコードするヌクレオチド配列を含み、キメラMHC IIαポリペプチドのヒト部分はヒトMHC IIのα鎖(例えば、HLA−DR4のα鎖)に由来する細胞外ドメインを含み、マウス部分はマウスMHC II(例えば、H−2E)のα鎖に由来する膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含み、かつ、マウスは、その内在性マウスMHC II遺伝子座にキメラヒト/マウスMHC IIβをコードするヌクレオチド配列を含み、キメラMHC IIβポリペプチドのヒト部分はヒトMHC IIのβ鎖(例えば、HLA−DR4のβ鎖)に由来する細胞外ドメインを含み、マウス部分はマウスMHC II(例えば、H−2E)のβ鎖に由来する膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含み、マウスは、キメラヒト/マウスHLA−DR4/H−2Eタンパク質を発現する。他の実施形態では、キメラMHC IIタンパク質のマウス部分は、他のマウスMHC II、例えば、H−2Aなど由来のものであってよく、キメラMHC IIタンパク質のヒト部分は、他のヒトMHC II、例えば、HLA−DQなどに由来するものであってよい。一態様では、マウスは、それらの内在性マウス遺伝子座から機能的な内在性H−2AおよびH−2Eポリペプチドを発現しない(例えばマウスは、H−2Ab1、H−2Aa、H−2Eb1、H−2Eb2、およびH−2Eaポリペプチドを発現しない)。
さらなる実施形態では、本発明の非ヒト動物、例えば、げっ歯類、例えばマウスは、内在性β2ミクログロブリン遺伝子座にヒトまたはヒト化β2ミクログロブリンをコードするヌクレオチド配列を含む。β2ミクログロブリンまたはMHCクラスI複合体の軽鎖(「β2M」とも省略される)は、MHC Iα鎖を安定化するように主に機能する小さな(12kDa)グリコシル化されていないタンパク質である。ヒトまたはヒト化ミクログロブリン動物の作製は、米国特許出願第13/661,159号に詳細に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。本開示に記載のヒト化MHC遺伝子座、および米国特許出願第13/661,159号に記載のヒトまたはヒト化β2ミクログロブリン遺伝子座を含むマウスは、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、掛け合わせによって作製することができる。
遺伝子改変非ヒト動物、例えばげっ歯類、例えば、ラットまたはマウスの種々の他の実施形態は本開示および参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/661,159号および同第13/661,116号開示から当業者には明らかであろう。
本発明の種々の態様では、キメラヒト/非ヒトMHC IおよびMHC IIポリペプチドをコードする配列(複数可)は、内在性非ヒトMHC遺伝子座(例えばマウスH−2Kおよび/またはH−2E遺伝子座)に位置する。一実施形態では、これにより、内在性MHC遺伝子(複数可)またはその一部の、ヒトまたはヒト化MHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(複数可)の置き換えがもたらされる。MHC I、MHC IIαおよびMHC IIβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、染色体上で互いの近傍に位置するので、1つの動物においてMHC IおよびMHC IIの両方のヒト化の最大の成功を実現するためには、MHC I遺伝子座とMHC II遺伝子座を逐次的に標的とするべきである。したがって、本明細書では、本明細書に記載のキメラヒト/非ヒトMHC I、MHC IIαおよびMHC IIβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法も提供される。
一部の実施形態では、当該方法では、実施例に記載の通り、VELOCIGENE(登録商標)技術、ES細胞への構築物の導入、およびVELOCIMOUSE(登録商標)技術を使用したマウス胚への標的ES細胞クローンの導入を使用して作出されたターゲティング構築物を利用する。
本明細書に記載の非ヒト動物を作製するために使用するヌクレオチド構築物も提供される。一態様では、ヌクレオチド構築物は、5’および3’非ヒト相同性アーム、ヒトMHC遺伝子配列(例えば、ヒトHLA−A2またはヒトHLA−DR4遺伝子配列)を含むヒトDNA断片、および組換え部位と隣接する選択カセットを含む。一実施形態では、ヒトDNA断片は、ヒトMHC遺伝子(例えば、ヒトHLA−A2またはHLA−DR4遺伝子)のイントロンとエクソンの両方を含むゲノム断片である。一実施形態では、非ヒト相同性アームは、非ヒトMHC遺伝子座(例えば、MHC IまたはMHC II遺伝子座)と相同である。特定の構築物が下記の実施例(例えば、MHC II構築物、MAID1680については図6;MHC I構築物、MAID1665については図8)、ならびに参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/661,159号および同第13/661,116号に記載されている。
選択カセットは、目的の構築物に組み込まれた細胞(例えば、ES細胞)の選択を容易にするためにターゲティング構築物に挿入されるヌクレオチド配列である。いくつかの適切な選択カセットが当技術分野で公知である。一般に、選択カセットにより、特定の抗生物質(例えば、Neo、Hyg、Pur、CM、Specなど)の存在下での正の選択が可能になる。さらに、選択カセットを組換え部位と隣接させ、それによりリコンビナーゼ酵素で処理した際に選択カセットの欠失を可能にすることができる。一般に使用される組換え部位は、それぞれCre酵素およびFlp酵素によって認識されるloxPおよびFrtであるが、他のものが当技術分野で公知である。一実施形態では、選択カセットはヒトDNA断片の5’末端に位置する。別の実施形態では、選択カセットはヒトDNA断片の3’末端に位置する。別の実施形態では、選択カセットはヒトDNA断片内に位置する。別の実施形態では、選択カセットはヒトDNA断片のイントロン内に位置する。
一実施形態では、5’および3’非ヒト相同性アームは、それぞれ、内在性非ヒト(例えばマウス)MHCクラスIまたはクラスII遺伝子遺伝子座の5’位および3’位のゲノム配列(例えば、第1のリーダー配列の5’およびマウスMHC I遺伝子のα3エクソンの3’、またはマウスH−2Ab1遺伝子の上流およびマウスH−2Ea遺伝子の下流)を含む。一実施形態では、内在性MHCクラスI遺伝子座は、マウスH−2K、H−2DおよびH−2Lから選択される。特定の実施形態では、内在性MHCクラスI遺伝子座はマウスH−2Kである。一実施形態では、内在性MHC II遺伝子座はマウスH−2EおよびH−2Aから選択される。一実施形態では、工学的に操作されたMHC II構築物により、マウスH−2E遺伝子とマウスH−2A遺伝子の両方を置き換えることが可能になる。
したがって、一実施形態では、ヒト化MHC IおよびIIタンパク質を発現することができる遺伝子操作された非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えば、ラットまたはマウス)を作製する方法であって、第1の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC II遺伝子座において、非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップ;および第2の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC I遺伝子座において、非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップを含む方法が本明細書において提供される。一実施形態では、ヌクレオチド配列を置き換えるステップは、ES細胞における相同組換えを含む。一実施形態では、第2の非ヒト動物はキメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列を担持するES細胞における相同組換えによって作製される。あるいは、ヒト化MHC IおよびIIタンパク質を発現することができる遺伝子操作された非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えば、ラットまたはマウス)を作製する方法であって、第1の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC I遺伝子座において、非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップ;および第2の非ヒト動物を作製するために、内在性非ヒトMHC II遺伝子座において、非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列をキメラヒト/非ヒトMHC II複合体をコードするヌクレオチド配列で置き換えるステップを含む方法も本明細書において提供される。そのような実施形態では、第2の非ヒト動物はキメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を担持するES細胞における相同組換えによって作製される。
遺伝子ターゲティングが完了したら、ES細胞または遺伝子改変非ヒト動物をスクリーニングして、目的の外因性のヌクレオチド配列が上首尾に組み入れられたことまたは外因性のポリペプチドが発現することを確認する。多数の技法が当業者に公知であり、それらとして(これだけに限定されないが)サザンブロット法、ロングPCR、定量的PCT(例えば、TAQMAN(登録商標)を使用したリアルタイムPCR)、蛍光in situハイブリダイゼーション、ノーザンブロット法、フローサイトメトリー、ウエスタン分析、免疫細胞化学的検査、免疫組織化学的検査などが挙げられる。1つの例では、目的の遺伝子改変を担持する非ヒト動物(例えばマウス)は、Valenzuelaら(2003年)High−throughput engineering of the mouse genome coupled with high−resolution expression analysis、Nature Biotech. 21巻(6号):652〜659頁に記載の対立遺伝子アッセイの改変を使用して、マウス対立遺伝子喪失および/またはヒト対立遺伝子獲得についてスクリーニングすることによって同定することができる。遺伝子改変動物における特定のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を同定する他のアッセイは、当業者に公知である。
一態様では、キメラヒト/非ヒトMHC IおよびMHC IIタンパク質(例えば、HLA−A2/H−2Kタンパク質およびHLA−DR4/H−2Eタンパク質)を発現する細胞が提供される。一実施形態では、細胞は、本明細書に記載のキメラMHCクラスI配列およびキメラMHCクラスII配列を含む発現ベクターを含む。一実施形態では、細胞は、ウイルス核酸配列(例えば、PERC.6(商標)細胞)を発現するCHO、COS、293、HeLa、および網膜細胞から選択される。
本明細書に記載のHLA−DR4の細胞外ドメインを含むキメラMHC II複合体は、抗HLA−DR抗体によって検出することができる。したがって、キメラヒト/非ヒトMHC IIポリペプチドをディスプレイする細胞は、抗HLA−DR抗体を使用して検出し、かつ/または選択することができる。本明細書に記載のHLA−A2の細胞外ドメインを含むキメラMHC I複合体は、抗HLA−A抗体、例えば抗HLA−A2抗体を使用して検出することができる。したがって、キメラヒト/非ヒトMHC Iポリペプチドをディスプレイする細胞は、抗HLA−A抗体を使用して検出し、かつ/または選択することができる。他のHLA対立遺伝子を認識する抗体は商業的に入手することもでき、作製することもでき、検出/選択のために使用することができる。
以下に続く実施例ではゲノムにマウスH−2K、およびH−2AおよびH−2Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列の、それぞれキメラヒト/マウスHLA−A2/H−2Kタンパク質およびHLA−DR4/H−2Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列での置き換えを含む遺伝子操作された動物について記載されているが、同様の戦略を使用して、他のヒトMHC IおよびII遺伝子(他のHLA−A、HLA−B、およびHLA−C;および他のHLA−DR、HLA−DPおよびHLA−DQ遺伝子)を含むキメラを導入することできることが当業者には理解されよう。内在性MHC遺伝子座に多数のキメラヒト/非ヒト(例えば、ヒト/げっ歯類、例えば、ヒト/マウス)MHC I遺伝子およびMHC II遺伝子を含むそのような動物も提供される。
種々の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物は、細胞表面上にヒトまたはヒト化MHC IおよびIIを有し、結果として、複合体の構成成分の実質的に全てがヒトまたはヒト化であるので、ペプチドをエピトープとしてT細胞にヒト様の様式で提示する細胞、例えばAPCを生成する。本発明の遺伝子改変非ヒト動物は、ヒト化動物におけるヒト免疫系の機能を試験するため;例えば、ワクチン開発において使用するための、免疫応答を引き出す抗原および抗原エピトープ(例えばT細胞エピトープ、例えば、独特のヒトがんエピトープ)を同定するため;ワクチン候補および他のワクチン戦略を評価するため;ヒト自己免疫を研究するため;ヒト感染症を研究するため;および他の点で、ヒトMHC発現に基づくよりよい治療戦略を考案するために使用することができる。
本発明を以下の非限定的な実施例によりさらに例示する。これらの実施例は本発明の理解を補助するために記載されており、いかなる形でもその範囲を限定するものではなく、そのように解釈されるべきである。実施例には、当業者には周知であろう従来の方法(分子クローニング技法など)の詳細な説明は含まれない。別段の指定のない限り、部分は重量による部分であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏で示されており、圧力は大気または大気付近の圧力である。
(実施例1)
キメラヒト/マウスMHC II遺伝子座の工学的操作およびキメラMHC IIマウスの作製
(実施例1.1)
内在性MHCクラスII H−2AおよびH−2E遺伝子座の欠失
内在性MHCクラスII H−2Ab1、H−2Aa、H−2Eb1、H−2Eb2、およびH−2Ea遺伝子の欠失を導入するためのターゲティングベクターを、VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術(例えば、米国特許第6,586,251号およびValenzuelaら、上記を参照されたい)を使用して作出した。細菌人工染色体(BAC)RP23−458i22(Invitrogen)DNAを、内在性MHCクラスII遺伝子 H−2Ab1、H−2Aa、H−2Eb1、H−2Eb2、およびH−2Eaが欠失するように改変した。
簡単に述べると、上流および下流の相同性アームを、マウスBAC DNAのPCRにより、それぞれH−2Ab1遺伝子の5’位およびH−2Ea遺伝子の3’位から引き出した。図5に示されている通り、これらの相同性アームを使用して、細菌相同組換え(BHR)により、MHCクラスII遺伝子座の遺伝子H−2Ab1、H−2Aa、H−2Eb1、H−2Eb2、およびH−2Eaを含むRP23−458i22の約79kbが欠失したカセットを作出した。この領域をlox66部位およびlox71部位と隣接するハイグロマイシンカセットで置き換えた。5’から3’までの最終的なターゲティングベクターは、内在性MHCクラスII遺伝子座のH−2Ab1遺伝子に対して5’側のマウスゲノム配列、5’lox66部位、ハイグロマイシンカセット、3’lox71部位を含む34kbの相同性アーム、および内在性MHCクラスII遺伝子座のH−2Ea遺伝子に対して3’側のマウスゲノム配列を含む63kbの相同性アームを含むものであった(MAID5111、図6を参照されたい)。
BAC DNAターゲティングベクター(上記)をマウスES細胞に電気穿孔により導入するために使用して、内在性MHCクラスII遺伝子座の欠失を含む改変ES細胞を創製した。TAQMAN(商標)プローブを使用した定量的PCRアッセイによって内在性MHCクラスII遺伝子座の欠失を含有する陽性ES細胞を同定した(LieおよびPetropoulos(1998年)Curr. Opin. Biotechnology 9巻:43〜48頁)。欠失した遺伝子座の上流領域を、プライマー5111U F(CAGAACGCCAGGCTGTAAC;配列番号1)および5111U R(GGAGAGCAGGGTCAGTCAAC;配列番号2)およびプローブ5111U P(CACCGCCACTCACAGCTCCTTACA;配列番号3)を使用したPCRによって確認し、欠失した遺伝子座の下流領域を、プライマー5111D F(GTGGGCACCATCTTCATCATTC;配列番号4)および5111D R(CTTCCTTTCCAGGGTGTGACTC;配列番号5)およびプローブ5111D P(AGGCCTGCGATCAGGTGGCACCT;配列番号6)を使用して確認した。ターゲティングベクター由来のハイグロマイシンカセットの存在を、プライマーHYGF(TGCGGCCGATCTTAGCC;配列番号7)およびHYGR(TTGACCGATTCCTTGCGG;配列番号8)およびプローブHYGP(ACGAGCGGGTTCGGCCCATTC;配列番号9)を使用して確認した。欠失点の上流にわたるヌクレオチド配列(配列番号10)は以下を含み、これには欠失点に存在するカセット配列に連続的に連結した欠失点の上流の内在性マウス配列(以下の括弧内に含まれる)が示されている:(TTTGTAAACA AAGTCTACCC AGAGACAGAT GACAGACTTC AGCTCCAATG CTGATTGGTT CCTCACTTGG GACCAACCCT)CTCGAGTACC GTTCGTATAA TGTATGCTAT ACGAAGTTAT ATGCATCCGG GTAGGGGAGG。欠失点の下流にわたるヌクレオチド配列(配列番号11)は以下を含み、これには欠失点の下流の内在性マウス配列(以下の括弧内に含まれる)に連続したカセット配列が示されている:CCTCGACCTG CAGCCCTAGG ATAACTTCGT ATAATGTATG CTATACGAAC GGTAGAGCTC(CACAGGCATT TGGGTGGGCA GGGATGGACG GTGACTGGGA CAATCGGGAT GGAAGAGCAT AGAATGGGAG TTAGGGAAGA)。次いで、VELOCIMOUSE(登録商標)法(下記)を使用して、陽性ES細胞クローンを雌マウスに埋め込むために使用して、内在性MHCクラスII遺伝子座の欠失を含有する同腹仔を生じさせた。
上記の標的ES細胞をドナーES細胞として使用し、VELOCIMOUSE(登録商標)法によって8細胞期マウス胚に導入した(例えば、米国特許第7,294,754号、およびPoueymirouら(2007年)F0 generation mice that are essentially fully derived from the donor gene−targeted ES cells allowing immediate phenotypic analyses, Nature Biotech. 25巻(1号):91〜99頁を参照されたい)。内在性MHCクラスII遺伝子座においてH−2Ab1、H−2Aa、H−2Eb1、H−2Eb2、およびH−2Ea遺伝子の欠失を担持するマウスを、対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら、上記)の改変を使用した遺伝子型決定によって同定し、それによりハイグロマイシンカセットの存在が検出され、内在性MHCクラスII配列の不在が確認された。
例えばES細胞段階または胚において除去されていない、ターゲティングベクターにより導入されたいかなるfloxedハイグロマイシンカセットも除去するために、内在性MHCクラスII遺伝子座においてH−2Ab1、H−2Aa、H−2Eb1、H−2Eb2、およびH−2Ea遺伝子の欠失を担持するマウスをCre deletorマウス系統(例えば、国際特許出願公開第WO2009/114400号を参照されたい)と掛け合わせることができる。任意選択で、ハイグロマイシンカセットはマウス内に保持される。
(実施例1.2)
ヒト化H−2Eb1およびH−2Ea遺伝子を含む大きなターゲティングベクター(LTVEC)の作製
ヒト化MHC II配列を導入するためのターゲティングベクターを図5に示されている通り設計した。VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術を使用して、細菌人工染色体(BAC)RP23−458i22 DNAを以下の種々のステップで改変した:(1)BALB/c H−2Ea遺伝子由来の機能的なI−Eαエクソン1を含むベクターを創製する(図5A);(2)マウスI−Eβ遺伝子のエクソン2およびエクソン3の、ヒトDRβ104のエクソン2およびエクソン3での置き換え、ならびにマウスI−Eαのエクソン2およびエクソン3の、ヒトDRα101のエクソン2およびエクソン3での置き換えを含むベクターを創製する(図5B);(3)残りがマウスI−Eβエクソンである中でヒトDRβ104のエクソン2およびエクソン3、ならびに残りがBALB/cマウス由来の機能的なI−Eαエクソン1(ステップ(1))を含めたマウスI−Eαエクソンである中でヒトDRα101のエクソン2およびエクソン3を有するベクターを創製する(図5C);ならびに(4)(3)で作製されたベクターを潜在的なスプライス部位を除去する(図5D)。
特に、C57Bl/6マウスでは、I−Eα遺伝子は非機能性のエクソン1が存在することに起因して偽遺伝子であるので、まず、BALB/c H−2Ea遺伝子由来の機能的なI−Eαエクソン1を含むベクターを創製した(図5A)。RP23−458i22 BACを、細菌相同組換え(1.BHR)により、クロラムフェニコール耐性遺伝子がスペクチノマイシン耐性遺伝子で置き換えられるように改変した。得られたベクターを、BHRにより、I−Aコード領域およびI−Eコード領域全体が、組換え部位と隣接するネオマイシンカセットで置き換えられるようにさらに改変した(2.BHR)。BALB/c I−Eαリーダーをコードするエクソン(エクソン1)ならびにPI−SceI制限部位およびI−CeuI制限部位と隣接するクロラムフェニコール遺伝子を含む構築物を用いた別のラウンドのBHR(3.BHR)により、機能的なBALB/c H−2Eaエクソン1を含むベクターがもたらされた。
独立に、マウスI−Eβ遺伝子のエクソン2およびエクソン3の、ヒトDRβ104のエクソン2およびエクソン3での置き換え、ならびにマウスI−Eαのエクソン2およびエクソン3の、ヒトDRα101のエクソン2およびエクソン3での置き換えを含むベクターを作製するために、RP23−458i22 BACをいくつかの相同組換えステップ、4.BHR〜8.BHRによって改変した(図5B)。得られた核酸配列は、上記のBALB/c I−Eαエクソン1を有する構築物にライゲーションを可能にするためのPI−SceI/I−CeuI制限部位と隣接するものであった(図5C)。
図5Cに示されている最終的な構築物の配列は、BALB/cイントロンの3’末端の潜在的なスプライス部位を含むものであった。いくつかのBHRステップ(11.BHR〜12.BHR)、その後の欠失ステップを実施して、ES細胞に電気穿孔により導入するために使用する最終的なターゲティングベクター(MAID1680)を得た(図5D)。
詳細には、最終的なターゲティングベクター(MAID1680)は、5’から3’までに、内在性MHCクラスII遺伝子座のH−2Ab1遺伝子のすぐ上流で終わる約26kbのマウスゲノム配列からなる5’マウス相同性アーム;ヒト化MHC IIβ鎖遺伝子(ヒト化H−2Eb1遺伝子)およびヒト化MHC IIα鎖遺伝子(ヒト化H−2Ea遺伝子)ならびにfloxedネオマイシンカセットを含有する約59kbの挿入断片;ならびに内在性MHCクラスII遺伝子座のH−2Ea遺伝子のすぐ下流から始まる約57kbのマウスゲノム配列からなる3’マウス相同性アームで構成されるものであった。5’アームと挿入断片の接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号12)は以下を含むものであった:
、イタリック体で示されている配列は独特のPI−SceI部位であり、5’相同性アーム内のマウスゲノム配列が括弧内に示されている。挿入断片と3’アームの接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号13)は以下を含むものであった:CACATCAGTG AGGCTAGAAT AAATTAAAAT CGCTAATATG AAAATGGGG(ATTTGTACCT CTGAGTGTGA AGGCTGGGAA GACTGCTTTC AAGGGAC)、3’相同性アーム内のマウスゲノム配列が括弧内に示されている。
約59kbの挿入断片内で、H−2Eb1遺伝子を以下の通り改変した:イントロン1の最後の153bp、エクソン2、イントロン2、エクソン3、およびイントロン3の最初の122bpを含むH−2Eb1の5136bpの領域を、イントロン1の最後の148bp、エクソン2、イントロン2、エクソン3、およびイントロン3の最初の132bpを含む3111bpのヒトHLA−DRB104の相同な領域で置き換えた。ヒトイントロン3配列とマウスイントロン3配列の接合部に、5’lox2372部位、UbCプロモーター、ネオマイシン耐性遺伝子、および3’lox2372部位からなるカセットを挿入した。生じた遺伝子は、マウスH−2Eb1リーダー、DRB104由来のヒトβ1ドメインおよびβ2ドメイン、ならびにマウス膜貫通ドメインおよび細胞質尾部で構成されるキメラHLA−DRB104/H−2Eb1タンパク質をコードするものであった。イントロン1内のマウス/ヒト接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号14)は以下を含むものであった:
、イタリック体で示されている配列はクローニングステップの間に導入された多重クローニング部位であり、マウスイントロン1配列が括弧内に示されている。ヒトイントロン3とネオマイシンカセットの接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号15)は以下を含むものであった:
、5’lox2372部位がイタリック体で示されており、ヒトイントロン3配列が括弧内に示されている。ネオマイシンカセットとマウスイントロン3の接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号16)は以下を含むものであった:
、3’lox2372部位がイタリック体で示されており、マウスイントロン3配列が括弧内に示されている。
同様に、約59kb挿入断片内で、H−2Ea遺伝子を以下の通り改変した:イントロン1の最後の101bp、エクソン2、イントロン2、エクソン3、およびイントロン3の最初の66bpを含むH−2Eaの1185bpの領域を、イントロン1の最後の104bp、エクソン2、イントロン2、エクソン3、およびイントロン3の最初の66bpを含む1189bpのヒトHLA−DRA101の相同な領域で置き換えた。上記の通り、H−2EaのC57BL/6対立遺伝子のエクソン1は遺伝子を非機能性にする欠失を含有するので、H−2Eaエクソン1およびイントロン1の残部を、機能的である、等価のH−2EaのBALB/c対立遺伝子由来の2616bp領域で置き換えた。生じた遺伝子は、BALB/c由来のマウスH−2Eaリーダー、DRA101由来のヒトα1ドメインおよびα2ドメイン、ならびにマウス膜貫通ドメインおよび細胞質尾部で構成されるキメラH−2Ea/HLA−DRA101タンパク質をコードするものであった。イントロン1内のマウス/ヒト接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号17)は以下を含むものであった:
、イタリック体で示されている配列はクローニングステップの間に導入された制限酵素部位であり、BALB/cイントロン1配列が括弧内に示されている。イントロン3内のヒト/マウス接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号18)は以下を含むものであった:
、イタリック体で示されている配列はクローニングステップの間に導入された制限酵素部位であり、マウスイントロン3配列が括弧内に示されている。エクソン1の5’側のC57Bl/6−BALB/c接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号19)は以下を含むものであった:(GAAAGCAGTC TTCCCAGCCT TCACACTCAG AGGTACAAAT)CCCCATTTTC ATATTAGCGA TTTTAATTTA TTCTAGCCTC、C57BL/6に特異的な配列が括弧内に示されている。エクソン1の3’側のBALB/c−C57BL/6接合部にわたるヌクレオチド配列(配列番号20)は以下を含むものであった:
、SacII制限部位がイタリック体で示されており、C57BL/6配列が括弧内に示されている。
(実施例1.3)
ヒト化MHC IIマウスの作製
実施例1.2のベクターを使用してヒト化MHC IIマウスを作製するための戦略の簡易図が図6に示されている。
特に、MAID1680 BAC DNA(上記)をMAID5111 ES細胞に電気穿孔により導入するために使用して、内在性マウスI−AおよびI−E遺伝子座の、キメラヒトDR4/マウスI−E遺伝子座を含むゲノム断片での置き換えを含む改変ES細胞を創製した。キメラヒトDR4/マウスI−E遺伝子座を含むゲノム断片で置き換えられた内在性I−AおよびI−E遺伝子座の欠失を含有する陽性ES細胞を、TAQMAN(商標)プローブ(Lie and Petropoulos、上記)を使用した定量的PCRアッセイによって同定した。ヒトDRα配列の挿入を、プライマーhDRA1F(CTGGCGGCTTGAAGAATTTGG;配列番号21)、hDRA1R(CATGATTTCCAGGTTGGCTTTGTC;配列番号22)、およびプローブhDRA1P(CGATTTGCCAGCTTTGAGGCTCAAGG;配列番号23)を使用したPCRによって確認した。ヒトDRβ配列の挿入を、プライマーhDRB1F(AGGCTTGGGTGCTCCACTTG;配列番号24)、hDRB1R(GACCCTGGTGATGCTGGAAAC;配列番号25)、およびプローブhDRB1P(CAGGTGTAAACCTCTCCACTCCGAGGA;配列番号26)を使用したPCRによって確認した。ターゲティングベクターからのハイグロマイシンカセットの喪失を、プライマーHYGF(TGCGGCCGATCTTAGCC;配列番号7)およびHYGR(TTGACCGATTCCTTGCGG;配列番号8)およびプローブHYGP(ACGAGCGGGTTCGGCCCATTC;配列番号9)を用いて確認した。
次いで、陽性ES細胞クローンを、VELOCIMOUSE(登録商標)法(上記)を使用して雌マウスに埋め込むために使用して、内在性I−AおよびI−E遺伝子座のキメラヒトDR4/マウスI−E遺伝子座での置き換えを含有する同腹仔を生じさせた。上記の標的ES細胞をドナーES細胞として使用し、VELOCIMOUSE(登録商標)法によって8細胞期マウス胚に導入した。キメラヒトDR4/マウスI−E遺伝子座を担持するマウスを対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら、上記)の改変を使用した遺伝子型決定によって同定し、それにより、キメラヒトDR4/マウスI−E遺伝子座の存在が検出された。
例えばES細胞段階または胚において除去されていない、ターゲティングベクターにより導入されたいかなるfloxedネオマイシンカセットも除去するために、キメラヒトDR4/マウスI−E遺伝子座を担持するマウスをCre deletorマウス系統(例えば、国際特許出願公開第WO2009/114400号を参照されたい)と掛け合わせることができる(図7を参照されたい)。
(実施例2)
キメラヒト/マウスMHC I遺伝子座の工学的操作およびキメラMHC Iマウスの作製
マウスH−2K遺伝子を、ヒト細菌人工染色体(BAC)DNAおよびマウス細菌人工染色体(BAC)DNAからVELOCIGENE(登録商標)技術を使用して独特のターゲティングベクターを構築することによって単一のステップでヒト化した(例えば、米国特許第6,586,251号、およびValenzuelaら(2003年)High−throughput engineering of the mouse genome coupled with high−resolution expression analysis. Nat. Biotech. 21巻(6号):652〜659頁を参照されたい)。マウスBACクローンRP23−173k21(Invitrogen)由来のDNAを、相同組換えにより、マウスH−2K遺伝子のα1ドメイン、α2ドメインおよびα3ドメインをコードするゲノムDNAが、ヒトHLA−A遺伝子のα1サブユニット、α2サブユニットおよびα3サブユニットをコードするヒトゲノムDNAで置き換えられるように改変した(図8)。
簡単に述べると、H−2K遺伝子のマウスα1サブユニット、α2サブユニットおよびα3サブユニットをコードするゲノム配列を、ヒトHLA−A0201遺伝子のα1ドメイン、α2ドメインおよびα3ドメインをコードするヒトゲノムDNAで、5’非翻訳領域(UTR;5’相同性アームは配列番号27に記載されている)を含むマウスH−2K遺伝子座の5’側の配列を含有する5’マウス相同性アームおよびマウスH−2Kα3コード配列の3’側のゲノム配列を含有する3’マウス相同性アーム(3’相同性アームは配列番号28に記載されている)を伴うloxP部位と隣接するハイグロマイシンカセットを含むターゲティングベクターを使用した単一のターゲティング事象で置き換える。
内在性H−2K遺伝子座にターゲティングするための最終的な構築物は、5’から3’までに、(1)5’UTRを含む内在性H−2K遺伝子の5’側の約200bpのマウスゲノム配列を含有する5’相同性アーム、(2)HLA−A0201リーダー配列、HLA−A0201リーダー/α1イントロン、HLA−A0201α1エクソン、HLA−A*0201 α1〜α2イントロン、HLA−A0201α2エクソン、α2〜α3イントロンの約316bpの5’末端を含む約1339bpのヒトゲノム配列、(3)5’loxP部位、(4)ハイグロマイシンカセット、(5)3’loxP部位、(6)α2〜α3イントロンの約304bpの3’末端、HLA−A0201α3エクソンを含む約580bpのヒトゲノム配列、および(7)マウスH−2K α3と膜貫通コード配列の間のイントロンを含む約200bpのマウスゲノム配列を含有する3’相同性アーム(H−2Kターゲティングベクターの略図については図8を参照されたい)。ターゲティングベクターの5’に存在するマウス/ヒト配列の接合部の149ヌクレオチドの配列は配列番号29に記載されており、ターゲティングベクターの3’に存在するヒト/マウスの配列の接合部の159ヌクレオチドの配列は配列番号30に記載されている。このターゲティングベクターを用いた相同組換えにより、翻訳されるとキメラヒト/マウスMHCクラスIタンパク質の形成を導く、内在性マウスH−2K膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインコード配列に作動可能に連結したHLA−A0201遺伝子のα1ドメイン、α2ドメインおよびα3ドメインをコードするヒトゲノムDNAを含有する改変マウスH−2K遺伝子座を創製した。
有核細胞(例えば、Tリンパ球およびBリンパ球、マクロファージ、好中球)の表面上にキメラMHCクラスIタンパク質を発現するマウスを作製するために、ターゲティングBAC DNAをマウスF1H4 ES細胞に電気穿孔により導入するために使用して、改変ES細胞を創製した。ヒトHLA配列の挿入断片を含有するES細胞を定量的TAQMAN(商標)アッセイによって同定した。ヒトHLA配列および付随する選択カセットの挿入断片(対立遺伝子獲得、GOA)および内在性マウス配列の喪失(対立遺伝子喪失、LOA)を検出するために、特異的なプライマーセットおよびプローブを設計した。表2には、定量的PCRアッセイにおいて使用したプローブのそれぞれについての名称および検出位置が識別されている。
選択カセットは当業者に公知の方法によって除去することができる。例えば、ヒトHLA−A0201遺伝子配列を含有するターゲティング構築物を挿入することによって導入された「floxed」ハイグロマイシンカセットを除去するために、キメラヒト/マウスMHCクラスI遺伝子座を担持するES細胞にCreを発現する構築物をトランスフェクトすることができる(図8を参照されたい)。ハイグロマイシンカセットは、任意選択で、Creリコンビナーゼを発現するマウスと掛け合わせることによって除去することができる。任意選択で、ハイグロマイシンカセットはマウス内に保持される。
上記の標的ES細胞をドナーES細胞として使用し、VELOCIMOUSE(登録商標)法によって8細胞期マウス胚に導入した(例えば、米国特許第7,294,754号、およびPoueymirouら(2007年)F0 generation mice that are essentially fully derived from the donor gene−targeted ES cells allowing immediate phenotypic analyses Nature Biotech. 25巻(1号):91〜99頁を参照されたい)。キメラMHCクラスI遺伝子を独立に担持するVELOCIMICE(登録商標)(ドナーES細胞に完全に由来するF0マウス)を対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら、上記)の改変を使用した遺伝子型決定によって同定し、それにより、独特のヒトHLA−A0201遺伝子配列の存在が検出された。
(実施例3)
キメラMHC I遺伝子およびMHC II遺伝子を含むマウスの作製および特徴付け
(実施例3.1)
キメラMHC IおよびII遺伝子を含むマウスの作製
キメラMHC I遺伝子およびMHC II遺伝子を含むマウスを作製するための戦略は、図4に示されている。具体的には、MAID1665 BAC DNA(上の実施例2に記載されているHLA−A2/H−2K BAC)をMAID1680 ES細胞(実施例1に記載のヒト化MHC II遺伝子を担持するES細胞)に電気穿孔により導入するために使用して、キメラヒト/マウスMHC I遺伝子およびMHC II遺伝子を含む改変ES細胞を創製した。キメラMHC I遺伝子とキメラMHC II遺伝子の両方を含有する陽性ES細胞を、上の実施例1および2に記載のプライマーおよびプローブを使用したTAQMAN(商標)プローブ(LieおよびPetropoulos、上記)を使用した定量的PCRアッセイによって同定した。
HYG選択カセットおよびNEO選択カセットは当業者に公知の方法によって除去することができる。例えば、ターゲティング構築物を挿入することによって導入された「floxed」ハイグロマイシンおよびネオマイシンカセットを除去するために、キメラヒト/マウスMHCクラスIおよびII遺伝子座を担持するES細胞に、Creを発現する構築物をトランスフェクトすることができる(図4、図7、および図8を参照された)。選択カセットは、任意選択で、Creリコンビナーゼを発現するマウスと掛け合わせることによって除去することができる。任意選択で、選択カセットはマウス内に保持される。
上記のヒト化MHC Iとヒト化MHC IIの両方を含む標的ES細胞をドナーES細胞として使用し、VELOCIMOUSE(登録商標)法によって8細胞期マウス胚に導入した(例えば、米国特許第7,294,754号、およびPoueymirouら(2007年)F0 generation mice that are essentially fully derived from the donor gene−targeted ES cells allowing immediate phenotypic analyses Nature Biotech. 25巻(1号):91〜99頁を参照されたい)。キメラMHCクラスIおよびクラスII遺伝子を担持するVELOCIMICE(登録商標)(ドナーES細胞に完全に由来するF0マウス)を対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら、上記)の改変を使用した遺伝子型決定によって同定した。
(実施例3.2)
キメラMHC IおよびII遺伝子を含むマウスの特徴付け
WTまたは2重ヘテロ接合性ヒト化HLA−A2/HLA−DR4マウス(「1666HET/1681HET」または「H−2K+/1666MHC−II+/1681」)由来の脾臓を、コラゲナーゼD(Roche Bioscience)を用いて灌流し、ACK溶解緩衝液を用いて赤血球を溶解させた。ヒトHLA−A2およびHLA−DR4の細胞表面での発現を、蛍光色素でコンジュゲートした抗CD3(17A2)、抗CD19(1D3)、抗HLA−A2(BB7.2)および抗HLA−DR(L243)を使用したFACSによって分析した。BD−Fortessaを使用してフローサイトメトリーを実施した。CD19+B細胞の表面上でヒトHLA−A2とHLA−DR4の両方の発現が明白に検出可能であった(図9)。
均等物
当業者は、常套的な実験だけを使用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの均等物を理解する、または確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
全ての非特許文献、本出願全体を通して引用されている特許出願および特許の全内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (1)

  1. 本明細書に記載の発明。
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