JP2018126134A - 細胞培養用担体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、経時的に劣化しにくく、長期間保管後も細胞培養することができる細胞培養用担体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、吸水性樹脂粒子(A)及びポリペプチド変性抑制剤(C)を含有する細胞培養用担体(D)であって、吸水性樹脂粒子(A)が、カルボキシル基と第1〜3級アミノ基を有する吸水性樹脂粒子(E)と、細胞接着性最小アミノ酸配列(X)を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(B1)とがアミド結合されており、ポリペプチド変性抑制剤(C)が糖及び/又はアミノ酸である細胞培養用担体である。
(1)特開昭55−133413号公報等に記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合又は噴霧重合等)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(2)特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報又は特開平11−5808号公報等に記載の逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(3)特開平10−251402号公報に記載のポリアミノ酸放射線架橋体。
(4)特開2002−179770号公報に記載の架橋ポリアスパラギン酸。
(5)特開2001−2935号公報、特開2003−052742号公報、特開2003−082250号公報、特開2003−165883号公報、特開2003−176421号公報、特開2003−183528号公報、特開2003−192732号公報、特開2003−225565号公報、特開2003−238696号公報、特開2003−335970号公報、特開2004−091673号公報、特開2004−121400号公報、特開2004−123835号公報、特開2005−075982号公報、特開2005−095759号公報、特開2005−097569号公報、特開2005−186015号公報、特開2005−186016号公報、特開2005−247931号公報等に記載された架橋ポリ(メタ)アクリル酸(塩)。
アクリル酸塩及びメタクリル酸塩としては、アクリル酸又はメタクリル酸のアルカリ金属(リチウム、カリウム及びナトリウム等)塩及び多価金属{アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)、ホウ素属金属(アルミニウム、ガリウム及びインジウム等)、及び遷移金属(チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、銀、カドミウム、オスミウム、及び白金等)}塩及びアンモニウム塩等が用いられる。
アミノ基を有さない吸水性樹脂(A’)では細胞培養初期の付着率が悪く、細胞接着性が低く、第1〜3級アミノ基を有することにより、細胞接着性が大幅に向上する。
(1)吸水性樹脂(A’)中のカルボキシル基と反応しうる官能基(ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アシル基、グリシジルエーテル基、水酸基、カルボジイミド基、カーボネート基、アミノ基、オキサゾリン基及びアジリジン基等)及び第1〜3級アミノ基を有する化合物(S1)と反応させる方法;
(2)吸水性樹脂(A’)中のカルボキシル基に、カルボキシル基と反応しうる官能基(アミノ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アシル基、グリシジルエーテル基、水酸基、カルボジイミド基、カーボネート基、オキサゾリン基及びアジリジン基等)及びヒドロキシル基を有する化合物(S2)を反応させ、ヒドロキシル基にヒドロキシル基と反応しうる官能基(ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アシル基、グリシジルエーテル基、カルボジイミド基、カーボネート基及びアジリジン基等)及び第1〜3級アミノ基を有する化合物(S3)を反応させる方法
これらのうち、細胞付着性の観点から、(2)が好ましい。
化合物(S2)としては、第1級アルコールを有する化合物が含まれ、例えば、アミノ基及びヒドロキシル基を有する化合物{アルカノールアミン(炭素数1〜4のアルキレン基を有するものが含まれ、具体的には、2−アミノエタノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール等)等}、グリシジルエーテル基及びヒドロキシル基を有する化合物{2,3−エポキシ‐1−プロパノール、グリセロール−2,10−ジグリシジルエーテル等}、ハロゲン化アルキル基及びヒドロキシル基を有する化合物{ハロゲン化メタノール、2−ハロゲン化エタノール、3−ハロゲン化プロパノール、4−ハロゲン化ブタノール等が挙げられる。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられるが、反応性、扱いやすさ及び副生成物の安全性の観点から、塩素が好ましい。}等が挙げられる。
化合物(S2)としては、反応性の観点から、第1級アルコールを有する化合物が好ましく、さらに好ましくはアルカノールアミンであり、最も好ましくはエタノールアミンである。
具体的には、カルボキシル基を予めカルボジイミド化合物と反応させ、アシルイソ尿素{R’−N=C(OCOR)−NH−R’(−OCORが(A’)に由来する部分)}を得た後、アミノ基をこのアシルイソ尿素に加えることによって、(A’)と(S2)とをアミド結合できる。
なお、第3級アミノ基において、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
Rは炭素数1〜4の一価の炭化水素であり、細胞接着性の観点から、炭素数1〜3の一価の脂肪族炭化水素が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜2のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基及びエチル基である。
2級アミノ基としては、1つの炭化水素基で置換されたアミノ基が挙げられる。例えば、N−アルキルアミノアルキル基が含まれ、N−メチルアミノエチル基、N−エチルアミノエチル基等のN−アルキルアミノアルキル基、イミダゾイル基等が挙げられる。
3級アミノ基としては、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基が挙げられる。3級アミノ基を有する官能基としては、例えばN−ジメチルアミノエチル基、N−ジメチルアミノプロピル基、N−ジエチルアミノエチル基、N−ジブチルアミノエチル基等が挙げられる。
化合物(S1)として、具体的には、第1〜3級アミノ基を有するハロゲン化アルキル化合物{炭素数2〜4の二価のアルキレン基を有するものが含まれ、ハロゲンとしては、フッ素及び塩素等が挙げられ、例えば、2−クロロ−N,N−ジエチルエチルアミンハイドロクロライド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド等}等が挙げられる。
化合物(S1)としては、細胞毒性の観点から、第1〜3級アミノ基を有するハロゲン化アルキル化合物が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜3の二価のアルキレン基及び第1〜3級アミノ基を有するハロゲン化アルキル化合物であり、特に好ましくは2−クロロ−N,N−ジエチルエチルアミンハイドロクロライドである。
化合物(S3)の具体例及び好ましいものは化合物(S1)と同様である。
カルボジイミド化合物としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等が挙げられる。
細胞接着性最小アミノ酸配列(X)としては、「病態生理、第9巻 第7号、527〜535頁、1990年」や「大阪府立母子医療センター雑誌、第8巻 第1号、58〜66頁、1992年」に記載されているもの等が用いられる。
でき、ポリペプチド(B1)の熱安定性の観点から、G(グリシン) 及び/又はA(アラニン)を有する配列が好ましい。
これらのうち、熱安定性の観点から、(GA)a配列、(GAGAGS)b配列、(GAGAGY)c配列、(GAGVGY)d配列、(GAGYGV)e配列、{DGG(A)fGGA}g配列、(GVPGV)h配列、(GVGVP)m配列及び(GPP)n配列からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するものが好ましく、さらに好ましくは(GAGAGS)b配列、(GVPGV)h配列、(GVGVP)m配列及び(GPP)n配列からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するものであり、特に好ましくは(GAGAGS)b配列を有するものである。
なお、aは5〜100の整数、bは1〜33の整数、c、d及びeは2〜33の整数、fは1〜194の整数、gは{1}〜{200/(6+f)}の小数点以下を切り捨てした整数、hは2〜40の整数、i及びjは10〜200の整数、kは3〜66の整数、mは2〜40の整数、nは3〜66の整数、oは1〜22の整数、p及びqは1〜13の整数である。
G(グリシン)及びA(アラニン)の両方を含む場合、これらの含有個数割合(G/A)は、0.03〜40が好ましく、さらに好ましくは0.08〜13、特に好ましくは0.2〜5である。この範囲であると、熱安定性がさらに良好となる。
(GAGAGS)b配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(20)〜(22)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GAGAGY)c配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(23)〜(25)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GAGVGY)d配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(26)〜(28)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GAGYGV)e配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(29)〜(31)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
{DGG(A)fGGA}g配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(32)〜(34)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GVPGV)h配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(35)〜(38)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(G)i配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(39)〜(41)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(A)j配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(42)〜(44)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GGA)k配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(45)〜(47)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GVGVP)m配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(48 )〜(50)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GPP)n配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(51)〜(53)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GAQGPAGPG)o配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(54)〜(56)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GAPGAPGSQGAPGLQ)p配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(57)〜(59)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
(GAPGTPGPQGLPGSP)q配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(60)〜(62)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。
なお、aは5〜100の整数、bは1〜33の整数、c、d及びeは2〜33の整数、fは1〜194の整数、gは{1}〜{200/(6+f)}の小数点以下を切り捨てした整数、hは2〜40の整数、i及びjは10〜200の整数、kは3〜66の整数、mは2〜40の整数、nは3〜66の整数、oは1〜22の整数、p及びqは1〜13の整数である。
しかし、ポリペプチド(B1)は、架橋されていないことが好ましく、さらに好ましくは架橋されていない直鎖構造、特に好ましくは環状構造を持たず架橋されていない直鎖構造である。なお、直鎖構造には、β構造(直鎖状ペプチドが折れ曲がってこの部分同士が平行に並び、その間に水素結合が作られる二次構造)も含まれる。
この場合、最小アミノ酸配列(X)と補助アミノ酸配列(Y)との繰り返し単位(X−Y)の数(個)は、細胞接着性の観点等から、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜40、特に好ましくは3〜30、最も好ましくは4〜20である。
ポリアミンとしては、少なくとも1個の1級アミノ基又は2級アミノ基を有するポリアミン(炭素数2〜56)等が用いられ、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、複素環式ポリアミン及び芳香族ポリアミン等が用いられる。
アミノ基含有ビニル化合物としては、アミノ基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、アミノ基含有芳香族ビニル炭化水素及びアミノ基含有アリルエーテル等が用いられる。
アミノ基含有モノマーの重合体の重量平均分子量は、500〜100万が好ましく、さらに好ましくは1,000〜80万、特に好ましくは2,000〜50万である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる{基準物質:分子量420〜20,600,000のポリスチレンスタンダード(東ソー製)等}。
具体的には、塩酸N,N−ジメチルアミノエチルクロリド及び塩酸N,N−ジエチルアミノエチルクロリド等が挙げられる。
これらのうち、細胞増殖性の観点等から、(1)の化学結合させる方法が好ましく、さらに好ましくは共有結合である。
(1)最小アミノ酸配列(X)がRGD配列(x1)の場合
RGD配列(x1)の13個と(GAGAGS)9配列(21)(y1)の12個とを有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有するMw約11万のポリペプチド(配列(89)){「プロネクチンF」、プロネクチンは三洋化成工業(株)の登録商標(日本及び米国)である。三洋化成工業(株)製<以下同じ>};
プロネクチンFを化合物(AM)で修飾したタンパク質であり、具体的には、化合物(AM)として塩酸N,N−ジメチルアミノエチルクロリドを用いて修飾したポリペプチド(「プロネクチンFプラス」);
(x1)の5個と(GAGAGS)3配列(20)(y2)の5個とを有しこれらが交互に化学結合してなる構造を有するMw約2万のポリペプチド(配列(90))(「プロネクチンF2」);(x1)の3個と(GVPGV)2GG(GAGAGS)3配列(38)(y3)の3個とを有しこれらが交互に化学結合してなる構造を有するMw約1万のポリペプチド(配列(91))(「プロネクチンF3」)等。
プロネクチンF、プロネクチンF2又はプロネクチンF3のRGD配列(x1)をIKVAV配列(7)(x2)に変更した「プロネクチンL」、「プロネクチンL2」、又は「プロネクチンL3」等。
プロネクチンF、プロネクチンF2又はプロネクチンF3のRGD配列(x1)をYIGSR配列(x3)に変更した「プロネクチンY」、「プロネクチンY2」、又は「プロネクチンY3」等。
なお、ここで基準とする細胞培養用担体の乾燥重量とは、乾燥器中で120℃で4時間乾燥させた状態をいう。
(1)ポリペプチド(B1)の含有量が既知である細胞培養用担体{Biuret法やKjeldahl法等でポリペプチド(B1)の含有量が既知になった細胞培養用担体}を生理食塩水に浸漬し、ポリペプチド(B1)と結合する抗体に酵素を標識したもの(以下、酵素標識抗体)とを反応させ、この反応した酵素標識抗体の酵素量を吸光度測定し、検量線(ポリペプチド(B1)の含有量とそれに対する吸光度)を作成する。
(2)同様に検体(ポリペプチド(B1)の含有量が未知である細胞培養用担体)の吸光度を測定する。(1)で得られた検量線と(2)で得られた吸光度から、検体のポリペプチド(B1)の含有量を求めることができる。
なお、測定試料は、減圧乾燥機{120℃、0.1kPa以下}で1時間乾燥したものを用いる。
コラーゲン(B2)としては、細胞増殖性の観点から、I型が好ましい。
なお、細胞培養用担体の乾燥単位重量あたりのコラーゲン(B2)の含有量の測定方法は、上述のポリペプチド(B1)と同様である。
糖のうち、保存安定性の観点から、二糖類が好ましく、さらに好ましくはトレハロースである。
また、ポリペプチド変性抑制剤(C)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この膨潤粒子(GB)とは、0.85(w/v)%塩化ナトリウム水溶液100重量部及び細胞培養用担体1重量部を分散するまで混合し、室温で2時間静置した後の膨潤粒子のことをいう。
吸水性樹脂粒子(A)のゼータ電位は、次の方法により測定される。
500mLビーカーに脱イオン水500mLをいれ、吸水性樹脂粒子(A)約0.5gを加えて一時間以上静置(完全に膨潤させる)する。測定前によく撹拌し、ビーカーを「SZN 06 ゼータ電位計」(MUTEK製)にセットして、吸引を開始する。この時、なるべく泡が入らないようにするために、ゆっくりとバルブをONに回し吸引を開始させる。メッシュ(53μm)に吸水性樹脂粒子(A)が詰まり、セル一杯になるまで吸引を続ける。一杯になったら、吸水性樹脂粒子(A)の吸引が落ち着くまで30秒程度待ち、その後測定を開始する。
なお、吸水性樹脂粒子(A)中の第1〜3級アミノ基の含有量は、次の方法により測定される。
吸水性樹脂粒子(A)10.0mgを量り取り、0.1M−HCl 4mLで3時間振とうする。その後、3,000g、5分で遠心して上澄み液を除去する。
沈殿させた吸水性樹脂粒子(A)を脱イオン水4mLで15分以上振とうし、3,000g、5分で遠心して上澄み液を除去する。この洗いの操作を計4回繰り返す。
4回目の遠心後、上澄み液を除去し、沈殿させた吸水性樹脂粒子(A)に10%(w/v)硫酸ナトリウムを4mL加え、3時間以上振とうする。その後、3,000g、5分で遠心して、粒子を吸い込まないよう注意しながら、上澄み液を回収する。
この上澄み液を超純水で希釈し、イオンクロマトグラム(DIONEX、使用カラム:DIONEX IonPac AS12A 4×200mm)で塩素イオン含量を定量する。この定量された塩素イオン量が、試料中の第1〜3級アミノ基の量に等しいとして、第1〜3級アミノ基の含有量を算出する。
細胞増殖因子としては、細胞の増殖を促進する物質、例えば、線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、上皮細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インシュリン様増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、神経成長因子、幹細胞因子、白血病阻害因子、骨形成因子、ヘパリン結合上皮細胞増殖因子、神経栄養因子、結合組織成長因子、アンジオポエチン、コンドロモジュリン、テノモジュリン、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子、アドレナモジュリン及びナトリウム利尿ペプチド等の生理活性ポリペプチド等が挙げられる(例えば、財団法人名古屋大学出版会発行「上田実編ティッシュエンジニアリング」(1999年)に記載)。これらの細胞増殖因子の中で、適用できる組織細胞の範囲が広く、細胞増殖性がより高くなるという観点等から、線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、上皮細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インシュリン様増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、骨形成因子、インターロイキン及び腫瘍壊死因子が好ましく、さらに好ましくは線維芽細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子、インシュリン様増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、インターロイキン及び腫瘍壊死因子である。
血清としては、ヒト血清、及び動物血清(ウシ血清、ウマ血清、ヤギ血清、ヒツジ血清、ブタ血清、ウサギ血清、ニワトリ血清、ラット血清、及びマウス血清等)が含まれる。
血清を添加する場合、これらのうち、ヒト血清、ウシ血清、及びウマ血清が好ましい。また、動物血清の由来は、成体由来の血清、仔由来の血清、新生由来の血清、及び胎児由来の血清等が挙げられる。血清を添加する場合、これらのうち、仔由来の血清、新生由来の血清、及び胎児由来の血清が好ましく、さらに好ましくは新生由来の血清、及び胎児由来の血清、特に好ましくは胎児由来の血清である。血清を添加する場合、さらに血清は、非働化処理や、抗体の除去処理等を行ってもよい。
また、培地に投入する細胞培養用担体の乾燥重量(g)は、培養する細胞の種類等によって適宜決定できるが、培地1L当たり、0.005〜800が好ましく、さらに好ましくは0.02〜200、特に好ましくは0.1〜40である。
<吸水性樹脂(A’−1)の準備>
攪拌機、モノマー供給管、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器にデカン624部、重合分散剤としてソルビタンモノステアレート3.1部を仕込み、窒素バブリングを30分以上行って、溶存空気を追い出し75℃まで昇温した。
別の反応器に80%アクリル酸水溶液173部を仕込み、冷却しながら28%水酸化ナトリウム水溶液207部を加えて中和した。この水溶液に架橋性単量体{エチレングリコールジグリシジルエーテル}4.52部及び重合開始剤{過硫酸カリウム}0.278部、連鎖移動剤{次亜リン酸ナトリウム}0.053部を添加した後、窒素バブリングを行い、溶存空気を追い出しモノマー水溶液を得た。
得られたモノマー水溶液を上記の重合反応器のモノマー供給管より6.5ml/分の割合で連続的に重合反応器内の撹拌中(撹拌速度は500rpm)のデカン液中に約1時間かけて供給してデカン還流下で重合を行った。
次に共沸脱水によって160部の水を抜き出した後、含水ゲルポリマーを取り出し、更に120℃で2時間乾燥して、乾燥架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩を得た。
乾燥架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩を、目開きが63μmのふるい及び53μmのふるい(JIS Z8801−1:2000)により分級して、粒子径53〜63μmの粒子{架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩粒子}を得た。
次に、得られた粒子に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテルを溶液濃度として2%含むメタノール/イオン交換水(体積比70/30)溶液7.5部を添加し均一混合した。次いで、メタノールを風乾した後に密閉容器に入れ、80℃で1時間保持し、表面架橋を行った。その後、乾燥機中で120℃で30分間乾燥させて、吸水性樹脂(A’−1)を得た。
<第3級アミノ基を導入した吸水性樹脂粒子(E)の製造>
0.03Mのリン酸緩衝液(pH5.2)25mLに、水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド((株)同仁化学研究所製)を3.83g加え、完全に溶解した。次に、この溶液に2−アミノエタノールアミン塩酸塩(和光純薬)を3.9g加え、完全に溶解した。次に、この溶液に吸水性樹脂(A’−1)1gを加え、室温にてポリフッ化エチレン樹脂製攪拌羽で撹拌速度300rpmで分散するまで約20分攪拌した。完全に分散した後、溶液の温度を40℃にし、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を目開き95μmのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)でろ過し、ヒドロキシル基を導入した吸水性樹脂(A’−1−1)を回収した。
回収した粒子を取り出し、200mLのイオン交換水で懸濁し、1N NaOHでpH7.2に調整した。その後、再びろ過し、ティーバッグを閉じ、500mLのイオン交換水中で撹拌しながら洗浄した。3時間ごとにイオン交換水を交換、この操作を3回行った。洗浄終了後、40℃の乾燥機で24時間以上乾燥させた。
イオン交換水10mLに、2−クロロ−N,N−ジエチルエチルアミンハイドロクロライド(シグマアルドリッチ(株)製)を8.56g加え、完全に溶解した。次に、48%(w/v)NaOHを3.92mL加えた。均一になるまで激しく撹拌し、均一になったところで、ヒドロキシル基を導入した吸水性樹脂(A’−1−1)1.0g加え、室温にてポリフッ化エチレン樹脂製攪拌羽で撹拌速度300rpmで分散するまで約20分攪拌した。完全に分散した後、溶液の温度を60℃にし、5時間反応させた。反応終了後、反応溶液を目開き95μmのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)でろ過し、第3級アミノ基を導入した吸水性樹脂粒子(E−1)を回収した。
回収した吸水性樹脂粒子(E−1)を取り出し、200mLのイオン交換水で懸濁し、1N NaOHでpH7.2に調整した。その後、再びろ過し、ティーバッグを閉じ、500mLのイオン交換水中で撹拌しながら洗浄した。3時間ごとにイオン交換水を交換、この操作を3回行った。洗浄終了後、40℃の乾燥機で24時間以上乾燥させる。乾燥後、イオンクロマトグラムで第3級アミノ基の含有量を測定したところ、2.4mmol/gであった。また、吸水性樹脂粒子(E−1)のゼータ電位を測定したところ、13.9mVであった。
500mLビーカーに脱イオン水500mLをいれ、吸水性樹脂粒子(E−1)約0.5gを加えて一時間以上静置(完全に膨潤させる)した。測定前によく撹拌し、ビーカーを「SZN 06 ゼータ電位計」(MUTEK製)にセットして、吸引を開始した。この時、なるべく泡が入らないようにするために、ゆっくりとバルブをONに回し吸引を開始させた。メッシュ(53μm)に吸水性樹脂粒子(E−1)が詰まり、セル一杯になるまで吸引を続けた。一杯になった後、吸水性樹脂粒子(E−1)の吸引が落ち着くまで30秒程度待ち、その後測定を開始した。
吸水性樹脂粒子(E−1)10.0mgを量り取り、0.1M−HCl 4mLで3時間振とうした。その後、3,000g、5分で遠心して上澄み液を除去した。沈殿させた吸水性樹脂粒子(E−1)を脱イオン水4mLで15分以上振とうし、3,000g、5分で遠心して上澄み液を除去した。この洗いの操作を計4回繰り返した。4回目の遠心後、上澄み液を除去し、沈殿させた吸水性樹脂粒子(E−1)に10%(w/v)硫酸ナトリウムを4mL加え、3時間以上振とうした。その後、3,000g、5分で遠心して、粒子を吸い込まないよう注意しながら、上澄み液を回収した。この上澄み液を超純水で希釈し、イオンクロマトグラム(DIONEX、使用カラム:DIONEX IonPac AS12A 4×200mm)で塩素イオン含量を定量した。この定量された塩素イオン量が、試料中の第3級アミノ基の量に等しいとして、第3級アミノ基の合計含有量を算出した。
<ポリペプチド(B1−1)の準備>
特表平3−502935号公報中の実施例記載の方法に準じて、RGD配列の13個と(GAGAGS)9配列(21)の12個とを有しこれらが交互に化学結合してなる構造を有するMw約11万のポリペプチド(配列(89))である「プロネクチンF」を製造した。
ポリペプチド50mgと塩酸N,N−ジメチルアミノエチルクロリド(特級試薬)150mgとを4.5M過塩素酸リチウム水溶液1.5mLに20〜40℃で溶解した後、その溶液を20〜40℃で攪拌しながら、水酸化ナトリウム(特級試薬)100mgを溶解した4.5M過塩素酸リチウム水溶液1.325mLを45〜50秒間かけて一定速度で滴下し仕込んだ。室温(25℃)で1時間攪拌したのち、反応液を分画分子質量12,000〜14,000の透析膜を用いて、脱イオン水10Lに対して48時間透析した。なお、最初の12時間は、4時間経過毎に脱イオン水を交換した。得られた水溶液を、−20℃、0.1kPa以下の条件で、24時間凍結乾燥して、水溶性のポリペプチド(B1−1)を得た。導入された塩酸N,N−ジメチルアミノエチルクロリドの数は、特表平10−500701公報中の実施例記載の方法に準じて、測定した結果、1分子中に12個であった。
<ポリペプチド(B1−1)を含有する吸水性樹脂粒子(A−1)の製造>
塩化ナトリウムを0.85%で含有する0.03Mのリン酸緩衝液(pH5.2)(以下、PBS)12mLに、水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド((株)同仁化学研究所製を0.21g加え、完全に溶解した。次に、吸水性樹脂粒子(E−1)1gを加え、室温にてポリフッ化エチレン樹脂製攪拌羽で撹拌速度300rpmで分散するまで約20分攪拌した。完全に分散した後、溶液の温度を40℃にし、1時間反応させた。反応終了後、反応溶液を目開き95μmのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)でろ過し、吸水性樹脂粒子(E−1)中のカルボキシル基の一部をカルボジイミドで修飾した吸水性樹脂粒子を回収した。回収した粒子を取り出し、PBS溶液(pH7.2)12mLで懸濁した。次に、ポリペプチド(B1−1)を2.48mg/mLの濃度で含むPBS溶液(pH7.2)の1mLを加え、溶液の温度を40℃にし、2時間反応させた。反応終了後、反応溶液を目開き95μmのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)でろ過し、吸水性樹脂粒子を回収し、ティーバッグを閉じ、500mLのイオン交換水中で撹拌しながら洗浄した。3時間ごとにイオン交換水を交換、この操作を3回行い、ポリペプチド(B1−1)を含有する吸水性樹脂粒子(A−1)を得た。
<ポリペプチド(B1−1)及びコラーゲン(B2−1)を含有する吸水性樹脂粒子(A−2)の製造>
塩化ナトリウムを0.85%で含有する0.03Mのリン酸緩衝液(pH5.2)(以下、PBS)12mLに、水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド((株)同仁化学研究所製を0.21g加え、完全に溶解した。次に、吸水性樹脂粒子(E)1gを加え、室温にてポリフッ化エチレン樹脂製攪拌羽で撹拌速度300rpmで分散するまで約20分攪拌した。完全に分散した後、溶液の温度を40℃にし、1時間反応させた。反応終了後、反応溶液を目開き95μmのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)でろ過し、吸水性樹脂粒子(E)中のカルボキシル基の一部をカルボジイミドで修飾した吸水性樹脂粒子を回収した。回収した粒子を取り出し、PBS溶液(pH7.2)12mLで懸濁した。
次に、ポリペプチド(B1−1)を2.48mg/mLの濃度で含むPBS溶液(pH7.2)の1mLと3mg/mLコラーゲン(B2−1)溶液(商品名:Cellmatrix Type I−A、新田ゼラチン株式会社)を3.9mL加え、加え、溶液の温度を40℃にし、2時間反応させた。反応終了後、反応溶液を目開き95μmのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)でろ過し、吸水性樹脂粒子を回収し、ティーバッグを閉じ、500mLのイオン交換水中で撹拌しながら洗浄した。3時間ごとにイオン交換水を交換、この操作を3回行い、ポリペプチド(B1−1)及びコラーゲン(B―2)を含有する吸水性樹脂粒子(A−2)を得た。
ポリペプチド(B1−1)とコラーゲン(B―2)との重量比[(B1−1)/(B―2)]は0.26であった。
吸水性樹脂粒子(A−1)1gを、10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁し、凍結乾燥を行い、本発明の細胞培養用担体(D−1)を得た。また、下記方法により、細胞培養用担体(D−1)中のトレハロースの含有量は1.05g/gであった。
細胞培養用担体中のポリペプチド変性抑制剤(C)の含有量は、凍結乾燥する際に用いた(C)が全て吸水性樹脂粒子(A−1)に吸着されたものとして算出した。
実施例1において、「10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁」に代えて「10mLの1Mトレハロース水溶液で懸濁」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D−2)を得た。
実施例1において、「吸水性樹脂粒子(A−1)」に代えて「吸水性樹脂粒子(A−2)」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D−3)を得た。
実施例1において、「10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁」に代えて「10mLの0.3Mスクロース水溶液で懸濁」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D−4)を得た。
実施例1において、「10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁」に代えて「10mLの1Mスクロース水溶液で懸濁」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D−5)を得た。
実施例1において、「10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁」に代えて「10mLの0.5Mアルギニン水溶液で懸濁」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D−6)を得た。
実施例1において、「10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁」に代えて「10mLの100mg/mLデキストラン(分子量:15,000〜20,000)水溶液で懸濁」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D−7)を得た。
実施例1において、「10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁」に代えて「10mLの100mg/mLデキストラン(分子量:60,000〜90,000)水溶液で懸濁」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D−8)を得た。
実施例1において、「10mLの0.3Mトレハロース水溶液で懸濁」に代えて「10mLのイオン交換水で懸濁」を用いて、ポリペプチド変性抑制剤(C)を使用しない以外は同様にして、細胞培養用担体(D’−1)を得た。
実施例1において、「吸水性樹脂粒子(A−1)」に代えて第1〜3級アミノ基を有しない「吸水性樹脂粒子(A’−1)」を用いる以外は同様にして、細胞培養用担体(D’−2)を得た。
<60℃で65日保管後の形状保持率の評価>
凍結乾燥後、遠沈管に各細胞培養用担体(D−1)〜(D−8)及び( D’−1)、(D’−2)をそれぞれ0.1gずつ入れ、それぞれの遠沈管を25℃で保管した。65日後に各細胞培養用担体を10mgずつ量り取り、エッペンチューブに入れ、1mLの0.85%塩化ナトリウム水溶液を加え、1時間膨潤させた。
その後、任意に選ばれた100個の細胞培養用担体について、電子顕微鏡(オリンパス(株)製、「IX71」)で写真(倍率40倍)を撮影し、各担体の撮影された面に、凹凸が確認されないものを正常な担体として、凹凸が確認されたものを劣化した担体としてカウントし、下記数式から形状保持率を算出した。
形状保持率(%)=(正常な担体数)/(正常な担体数+劣化した担体数)×100
その結果を表1に示す。
作製後及び60℃で65日保管後のそれぞれの細胞培養用担体(D−1)〜(D−8)及び(D’−1)、(D’−2)を用いて下記評価を行った。
各々のスピンナーフラスコに各細胞培養用担体(D−1)〜(D−8)及び(D’−1)、(D’−2)をそれぞれ0.3gずつ加え、粉末DMEM(Gibco)から調整したDMEM溶液(pH未調整)100mLをそれぞれの容器に加え、オートクレーブ滅菌(121℃、20分間)した。オートクレーブ滅菌後、DMEM溶液をアスピレータで吸引除去した後、MEMダルベッコ液体培地(大日本住友製薬(株)製)に1容量%の牛胎児血清(インビトロジェン(株)製)を加えた血清培地をそれぞれ50mLずつ加え、1分間放置した。培地を吸引除去し、再度、同じ血清培地をそれぞれ90mL加えた。
スピンナーフラスコを37℃、二酸化炭素ガス濃度5容量%のCO2インキュベーターの中に1時間放置した後、予めプレ培養していたCRFK細胞(大日本製薬(株)製)を細胞濃度が20万個/mLになるように培地に播種した。
37℃、二酸化炭素ガス濃度5容量%のCO2インキュベーターの中で、30rpmの攪拌をしながら、7日間の培養を行った。
尚、培養3日目、4日目、5日目および6日目に培地の半分を交換した。培養開始3時間目にサンプリングし、下記方法により各細胞培養用担体への細胞培養初期の細胞付着率を測定した。また、培養7日目にサンプリングし、単位体積当たりの細胞核数をクリスタルバイオレットを用いた細胞核計数法により計数し、培地中の細胞濃度(個/mL)を測定した。結果を表1に示す。
任意に選ばれた100個の細胞培養用担体について、電子顕微鏡(オリンパス(株)製、「IX71」)で写真(倍率40倍)を撮影し、各担体の撮影された面の面積のうち50%以上に細胞が付着しているものを付着している担体として、50%未満しか細胞が付着していないものを付着していない担体としてカウントし、下記数式から細胞付着率を算出した。結果を表1に示す。
細胞付着率(%)=(付着している担体数)/(付着している担体数+付着していない担体数)×100
細胞培養用担体としての保存安定性の評価として、以下の式により細胞付着安定性及び細胞増殖安定性を算出した。
細胞付着安定性(%)=(製造後の細胞培養用担体を用いたときの培養細胞の付着率)/(60℃で65日保管後の細胞培養用担体を用いたときの培養細胞の付着率)
細胞増殖安定性(%)=(製造後の細胞培養用担体を用いたときの細胞濃度)/(60℃で65日保管後の細胞培養用担体を用いたときの細胞濃度)
結果を表1に示す。
また、60℃で65日間保管後の形状保持率の結果から、トレハロース、スクロースを用いた実施例1〜5は、細胞培養用担体の見た目も変化しにくいことがわかる。
研究開発用としては、分化機能等の細胞機能評価用細胞の培養、動物実験(毒性試験、刺激性試験及び代謝機能試験等)の代替用細胞の培養、遺伝子や蛋白質導入用細胞の培養等に利用できる。
有用物質生産用としては、サイトカイン、血栓溶解剤、血液凝固因子製剤、ワクチン、ホルモン、抗生物質、抗体及び増殖因子等の生産用細胞の培養に利用できる。これらのうち、ワクチンの生産用細胞の培養に好適である。
Claims (9)
- 吸水性樹脂粒子(A)及びポリペプチド変性抑制剤(C)を含有する細胞培養用担体であって、吸水性樹脂粒子(A)が、カルボキシル基と第1〜3級アミノ基を有する吸水性樹脂粒子(E)と、細胞接着性最小アミノ酸配列(X)を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(B1)とがアミド結合された吸水性樹脂粒子であり、ポリペプチド変性抑制剤(C)が糖及び/又はアミノ酸である細胞培養用担体(D)。
- ポリペプチド変性抑制剤(C)が、二糖類である請求項1に記載の細胞培養用担体。
- ポリペプチド変性抑制剤(C)が、トレハロースである請求項1又は2に記載の細胞培養用担体。
- ポリペプチド(B1)の結合量が、吸水性樹脂粒子(A)の乾燥重量を基準として、100ng/g〜50mg/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養用担体。
- ポリペプチド変性抑制剤(C)の含有量が、吸水性樹脂粒子(A)の乾燥重量を基準として、1.0g/g〜5.7g/g である請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞培養用担体。
- 吸水性樹脂粒子(A)中の第1〜3級アミノ基の含有量が、吸水性樹脂粒子(A)の乾燥重量を基準として、0.5〜5mmol/gである請求項1〜5のいずれか1項に記載の細胞培養用担体。
- ポリペプチド(B1)とポリペプチド変性抑制剤(C)との重量比((B)/(C))が0.001〜0.009である請求項1〜6のいずれか1項に記載の細胞培養用担体。
- 吸水性樹脂粒子(A)が、吸水性樹脂粒子(E)とポリペプチド(B1)及びコラーゲン(B2)とがアミド結合された吸水性樹脂粒子であり、ポリペプチド(B1)とコラーゲン(B2)との重量比[(B1)/(B2)]が0.1〜0.4である請求項1〜7のいずれか1項に記載の細胞培養用担体。
- 細胞接着性最小アミノ酸配列(X)を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(B1)が、RGD配列の13個と(GAGAGS)9配列(21)の12個とを有しこれらが交互に化学結合してなる構造を有するポリペプチド及びRGD配列の5個と(GAGAGS)3配列(20)の5個とを有しこれらが交互に化学結合してなる構造を有するポリペプチドである請求項1〜8のいずれか1項に記載の細胞培養用担体。
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