JP2018125800A - 通信システム、および、溶接システム - Google Patents

通信システム、および、溶接システム Download PDF

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Abstract

【課題】ペアリング確立前でも情報を伝達することができる通信システムおよび溶接システムを提供する。
【解決手段】溶接電源装置1と、溶接電源装置1との間で通信を行うワイヤ送給装置2と、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に電力を供給するための電力伝送線51,52とを備えている溶接システムA1において、溶接電源装置1が、電力伝送線51,52を介して印加する電圧を切り替える切替部16と、情報を取得し、取得した情報に基づいて切替部16による切り替えを制御することで、情報の送信を行う制御部13とを備え、ワイヤ送給装置2が、電力伝送線51,52を介して溶接電源装置1から印加される電圧を識別する識別部(電圧センサ26および電圧比較部27)と、識別部による識別状態に基づいて情報を復元する制御部22とを備える。制御部13は、自装置の周囲に存在する他の溶接電源装置1の台数に応じて、情報のデータ長を変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信システム、および、溶接システムに関する。
消耗電極式の溶接システムは、通常、重量があるために移動させない溶接電源装置と、溶接個所の変更に伴って溶接作業者が持ち運びするワイヤ送給装置とに分離されている。溶接電源装置が溶接作業を行っている位置から離れた場所に設置されている場合、溶接電圧などの溶接条件を設定するために、作業者が溶接電源装置の設置場所まで行くのは作業効率が悪い。これを解消するために、溶接電源装置とワイヤ送給装置との間で通信を行う溶接システムが開発されている。例えば、特許文献1には、溶接電源装置とワイヤ送給装置との間で無線通信を行う溶接システムが記載されている。また、特許文献2には、パワーケーブルに通信信号を重畳させて通信を行う溶接システムが記載されている。
溶接作業が行われる現場には複数の溶接システムが存在しているので、通信相手を特定して通信を行わないと、混信が発生する。パワーケーブルに通信信号を重畳させて通信を行う場合でも、各溶接システムのパワーケーブルは束ねて配置される場合がある。この場合、磁気結合により、他の溶接システムで送受信される信号が重畳されて、混信が発生する場合がある。通信相手を特定するためには、通信相手同士で共通の識別情報を設定するペアリング処理が行われる。特許文献3には、溶接電源装置とワイヤ送給装置とで同じ識別情報を設定して通信を行うことが記載されている。
特開平10−305366号公報 特開2013−184184号公報 実用新案登録第3200612号公報
ペアリング処理を手入力で行うと、誤った識別情報が設定される場合がある。誤った識別情報が設定されると、ワイヤ送給装置とこれに接続されていない溶接電源装置とがペアリングされてしまう場合がある。したがって、ペアリング処理は、手入力ではなく、通信によって識別情報を自動送信して設定するのが望ましい。
しかしながら、ペアリング処理を行う段階ではペアリングが確立していないので、通信によって識別情報を送信した場合に混信が発生する。したがって、ペアリング処理が失敗する可能性が高い。この問題は、溶接システムだけに生じる問題ではなく、様々な通信システムにおいても生じる問題である。
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、ペアリング確立前でも情報を伝達することができる通信システムおよび溶接システムを提供することをその目的としている。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によって提供される通信システムは、第1の通信装置と、前記第1の通信装置との間で通信を行う第2の通信装置と、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とを接続する接続線と、を備えている通信システムであって、前記第1の通信装置は、前記接続線を介して印加する電圧を切り替える切替部と、情報を取得し、取得した前記情報に基づいて前記切替部による切り替えを制御することで、前記情報の送信を行う送信制御部と、を備えており、前記第2の通信装置は、前記接続線を介して、前記第1の通信装置から印加される電圧を識別する識別部と、前記識別部による識別状態に基づいて前記情報を復元する受信制御部と、を備えており、前記送信制御部は、前記第1の通信装置の周囲に存在する他の前記第1の通信装置の台数に応じて、前記情報のデータ長を変化させることを特徴とする。この構成によると、第2の通信装置は、第1の通信装置の切替部による切り替えを、識別部による識別結果によって認識することができる。したがって、第1の通信装置と第2の通信装置との間でペアリングが確立していなくても、第1の通信装置から第2の通信装置に、情報を伝達することができる。また、自装置の周囲に存在する他の第1の通信装置の台数に応じて、伝達する情報のデータ長が可変であるため、例えば、その台数が少ない場合に、情報のデータ長を短くすることができる。したがって、情報のデータ長が固定された場合に比べて、情報を伝達するのに要する時間を短縮することができる。
前記通信システムの好ましい実施の形態においては、前記第1の通信装置は、前記他の第1の通信装置との間で通信可能な通信部をさらに備えており、前記通信部は、前記他の第1の通信装置を探知するための探知信号を送信し、その後、前記探知信号を受信した前記他の第1の通信装置から前記探知信号に対する応答信号を受信し、前記送信制御部は、前記通信部が受信した前記応答信号の数に応じて、前記他の第1の通信装置の台数を特定する。この構成によると、第1の通信装置は、通信部を用いた通信によって、自装置の周囲に存在する他の第1の通信装置の台数を認識することができる。
前記通信システムの好ましい実施の形態においては、前記接続線は、前記他の第1の通信装置に接続された他の接続線に隣接する部分を有しており、前記通信部は、前記第2の通信装置との間で、前記接続線を介した有線通信を行うものであり、前記隣接する部分での信号の重畳を利用して、前記他の第1の通信装置との間で、前記探知信号および前記応答信号の送受信を行う。この構成によると、第1の通信装置は、他の第1の通信装置への探知信号の送信および他の第1の通信装置からの応答信号の受信を、接続線を用いて行うことができる。したがって、他の第1の通信装置と通信するための通信手段を設ける必要がない。
前記通信システムの好ましい実施の形態においては、前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置に電力を供給するための送電用電源部をさらに備えており、前記第2の通信装置は、前記送電用電源部から電力を供給される受電用電源部をさらに備えており、前記接続線は、前記送電用電源部と前記受電用電源部とを接続する電力伝送線である。この構成によると、送電用電源部と受電用電源部とを接続する電力伝送線を用いて、切替部と識別部とを利用した通信を行うことができる。
前記通信システムの好ましい実施の形態においては、前記切替部は、電圧を印加する状態と印加しない状態とを切り替え、前記識別部は、電圧が印加されている状態と印加されていない状態とを識別する。この構成によると、切り替えを容易にすることができ、また、状態の識別も容易にすることができる。
前記通信システムの好ましい実施の形態においては、前記送信制御部は、前記情報の送信を開始することを知らせる送信開始信号と、前記情報の送信が終了したことを知らせる送信終了信号と、のいずれか一方あるいはその両方を送信する。この構成によると、受信制御部は、送信される情報に対する信号の開始点と終了点とのいずれか一方あるいはその両方を、認識することができる。これにより、通信の信頼性を向上させることができる。
前記通信システムの好ましい実施の形態においては、前記情報は、ペアリングのための識別情報であり、前記送信制御部は、前記台数に応じたデータ長の識別情報を生成する。この構成によると、第1の通信装置から第2の通信装置に、ペアリングのための識別情報を伝達することができる。また、この識別情報のデータ長が可変となるため、ペアリング処理の時間を短縮することができる。
本発明の第2の側面によって提供される溶接システムは、前記第1の側面によって提供される前記通信システムを備えている溶接システムであって、前記第1の通信装置を有する溶接電源装置と、前記第2の通信装置を有する溶接周辺装置と、を備えていることを特徴とする。この構成によると、溶接システムにおいて、溶接電源装置と溶接周辺装置との間でペアリングが確立していなくても、溶接電源装置から溶接周辺装置に情報を伝達することができる。
本発明によると、切替部は、接続線を介して第2の通信装置に印加する電圧を切り替え、識別部は、接続線を介して第1の通信装置から印加される電圧を識別する。これにより、第2の通信装置は、第1の通信装置の切替部による切り替えを、識別部による識別結果によって認識することができる。したがって、第1の通信装置と第2の通信装置との間でペアリングが確立していなくても、第1の通信装置から第2の通信装置に、情報を伝達することができる。また、自装置の周囲に存在する他の第1の通信装置の台数に応じて、伝達する情報のデータ長が可変であるため、例えば、その台数が少ない場合に、データ長を短くすることができる。したがって、情報のデータ長が固定された場合に比べて、情報を伝達するのに要する時間を短縮することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
第1実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 ガス配管を説明するための断面図である。 溶接用電源部および送電用電源部の内部構成の一例を示す図である。 他の溶接電源装置の台数に応じた識別情報が生成されることを示す図である。 スイッチの切り替えによって溶接電源装置がワイヤ送給装置に情報を伝達するときの、各信号の波形を示すタイムチャートである。 溶接電源装置がワイヤ送給装置にペアリングのための識別情報の伝達を行うときの、各信号の波形を示すタイムチャートである。 識別情報信号に送信開始信号および送信終了信号を付加した場合の、各信号の波形を示すタイムチャートである。 第2実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 第3実施形態に係る溶接システムのワイヤ送給装置の構成を示す図である。 第4実施形態に係る溶接システムの溶接電源装置の構成を示す図である。 第5実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 第6実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 第7実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 第7実施形態に係るPLC通信部を用いた、探知信号および応答信号の送受信を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜3は、第1実施形態に係る溶接システムA1を説明するための図である。図1は、溶接システムA1の全体構成を示すものである。図2は、ガス配管を説明するための断面図である。図3は、溶接用電源部および送電用電源部の内部構成の一例を示すものである。
図1に示すように、溶接システムA1は、溶接電源装置1、ワイヤ送給装置2、溶接トーチ3、パワーケーブル41,42、電力伝送線51,52、ガスボンベ6、および、ガス配管7を備えている。溶接システムA1は、実際には、ワイヤ電極が巻回されたワイヤリールなどを備えているが、図への記載や説明を省略している。
溶接電源装置1の溶接電力用の一方の出力端子aは、パワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置2に接続されている。ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出して、ワイヤ電極の先端を溶接トーチ3の先端から突出させる。溶接トーチ3の先端に配置されているコンタクトチップにおいて、パワーケーブル41とワイヤ電極とは電気的に接続されている。溶接電源装置1の溶接電力用の他方の出力端子bは、パワーケーブル42を介して、被加工物Wに接続される。溶接電源装置1は、溶接トーチ3の先端から突出するワイヤ電極の先端と、被加工物Wとの間にアークを発生させ、アークに電力を供給する。溶接システムA1は、当該アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。
溶接システムA1は、溶接時にシールドガスを用いる。ガスボンベ6のシールドガスは、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2を通るように設けられているガス配管7によって、溶接トーチ3の先端に供給される。ガス配管7は、ガスボンベ6と溶接電源装置1とを接続する配管、溶接電源装置1の内部に配置されている配管、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する配管、および、ワイヤ送給装置2の内部に配置され溶接トーチ3の先端に接続する配管を備えている。図2は、ガス配管7のうち、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する配管が、溶接電源装置1の内部に配置されている配管に接続された接続金具1a、および、ワイヤ送給装置2の内部に配置されている配管に接続された接続金具2aに接続されている部分の断面図である。例えばゴム製のガス配管7は、接続金具1a(2a)に嵌め込むようにして、接続されている。なお、ガス配管7の素材は限定されず、各区間によって異なっていてもよいが、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する部分は、ゴムなどの絶縁体としている。
ワイヤ電極を送り出すための送給モータ24(後述)などを駆動するための電力は、電力伝送線51,52を介して、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に供給される。溶接電源装置1が備える、ワイヤ送給装置2の駆動電力用の電源(後述する送電用電源部12)の一方の出力端子は、電力伝送線51を介して、ワイヤ送給装置2の電源(後述する受電用電源部21)の一方の入力端子に接続されている。
電力伝送線51は、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間では、ガス配管7の内側に配置されている。図2に示すように、溶接電源装置1の内部で、電力伝送線51は導電性の接続金具1aに接続しており、ワイヤ送給装置2の内部で、電力伝送線51は導電性の接続金具2aに接続している。そして、ガス配管7の内側に配置された電力伝送線51が、ガス配管7と接続金具1a(2a)との間に挟まれて固定され、接続金具1a(2a)と電気的に接続されている。つまり、接続金具1aが、溶接電源装置1の内部の電力伝送線51と、ガス配管7の内側に配置された電力伝送線51とを接続するコネクタとして機能し、接続金具2aが、ワイヤ送給装置2の内部の電力伝送線51と、ガス配管7の内側に配置された電力伝送線51とを接続するコネクタとして機能している。
また、送電用電源部12の他方の出力端子とパワーケーブル41とが、溶接電源装置1の内部で、電力伝送線52によって接続されており、受電用電源部21の他方の入力端子とパワーケーブル41とが、ワイヤ送給装置2の内部で、電力伝送線52によって接続されている。つまり、送電用電源部12の他方の出力端子と受電用電源部21の他方の入力端子とが、一部の区間がパワーケーブル41になる電力伝送線52により、電気的に接続されている。送電用電源部12から出力される電力は、電力伝送線51,52によって、受電用電源部21に供給される。また、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とは、電力伝送線51,52の間に信号を重畳させて通信を行う。
溶接電源装置1は、アーク溶接のための直流電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置1は、溶接用電源部11、送電用電源部12、制御部13、PLC通信部14a、無線通信部14b、スイッチ15、および、切替部16を備えている。なお、PLCとは、電力線通信のことであり、Power Line Communicationsの略称である。
溶接用電源部11は、電力系統から入力される三相交流電力をアーク溶接に適した直流電力に変換して出力するものである。図3(a)に示すように、溶接用電源部11に入力される三相交流電力は、整流回路111によって直流電力に変換され、インバータ回路112によって交流電力に変換される。そして、トランス113によって降圧(または昇圧)され、整流回路114によって直流電力に変換されて出力される。なお、溶接用電源部11の構成は、上記したものに限定されない。
送電用電源部12は、ワイヤ送給装置2の送給モータ24などを駆動するための電力を出力するものである。送電用電源部12は、電力系統から入力される単相交流電力をワイヤ送給装置2での使用に適した直流電力に変換して出力する。送電用電源部12は、いわゆるスイッチングレギュレータである。図3(a)に示すように、送電用電源部12に入力される交流電力は、整流回路121によって直流電力に変換され、DC/DCコンバータ回路122によって降圧(または昇圧)されて出力される。送電用電源部12は、電圧が例えば48Vに制御された直流電力を、電力伝送線51,52を介して、ワイヤ送給装置2に供給する。なお、送電用電源部12の構成は、上記したものに限定されない。例えば、溶接用電源部11と同様の構成であってもよいし、電力系統から入力される交流電力をトランスで降圧(または昇圧)してから、整流回路121で直流電力に変換して出力するようにしてもよい。
溶接用電源部11は、出力端子aが出力端子bより電位が高くなるようにして、パワーケーブル41の電位がパワーケーブル42の電位より高くなるように、電圧を印加する。送電用電源部12は、電力伝送線51の電位が電力伝送線52の電位より低くなるように、電圧を印加する。電力伝送線52はパワーケーブル41に接続しているので、電力伝送線51の電位は、パワーケーブル41の電位より低くなる。つまり、電力伝送線51およびパワーケーブル42の電位をどちらもパワーケーブル41より低くすることで、電力伝送線51とパワーケーブル42との電位差があまり大きくならないようにしている。例えば、溶接用電源部11が出力する無負荷電圧が90V、送電用電源部12が出力する電圧が48Vの場合、電力伝送線51とパワーケーブル42との電位差は42Vになる。仮に、電力伝送線51の電位を電力伝送線52の電位より高くした場合は、電力伝送線51とパワーケーブル42との電位差は132Vになる。なお、電力伝送線51とパワーケーブル42との電位差を気にしない場合は、送電用電源部12が印加する電圧を逆極性(電力伝送線51の電位が電力伝送線52の電位より高くなるように、電圧を印加する)にしてもよい。
なお、本実施形態においては、溶接用電源部11および送電用電源部12が、電力系統から入力される交流電力を、それぞれ直流電力に変換して出力する場合について説明したが、これに限られない。溶接用電源部11と送電用電源部12とで、構成の一部を共有するようにしてもよい。例えば、図3(b)に示すように、送電用電源部12に整流回路121を設けずに、溶接用電源部11の整流回路111の出力をDC/DCコンバータ回路122に入力するようにしてもよい。また、溶接用電源部11のトランス113の二次側に巻線を追加して電力を取り出し、整流して出力するようにしてもよいし、送電用電源部12を設けずに、溶接用電源部11の出力の一部を、ワイヤ送給装置2に供給するようにしてもよい。
制御部13は、溶接電源装置1の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部13は、溶接電源装置1から出力される溶接電圧および溶接電流が設定電圧および設定電流になるように、溶接用電源部11のインバータ回路112を制御する。また、送電用電源部12から出力される電圧が所定電圧になるように、送電用電源部12のDC/DCコンバータ回路122を制御する。制御部13は、図示しない設定ボタンの操作に応じて溶接条件の変更を行ったり、図示しない起動ボタンの操作に応じて溶接用電源部11を起動させたりなどの制御を行う。また、制御部13は、図示しないセンサによって検出された溶接電圧や溶接電流の検出値を図示しない表示部に表示させたり、異常が発生した場合に図示しない報知部に報知させたりする。
また、制御部13は、PLC通信部14aから入力される信号に基づいても、溶接条件の変更や溶接用電源部11の起動を行う。また、制御部13は、検出された溶接電圧または溶接電流の検出値や、異常発生を示す信号、ワイヤ送給装置2に対するワイヤ送給指令やガス供給指令などのための信号をPLC通信部14aに出力する。
制御部13は、溶接電源装置1の通信相手となるワイヤ送給装置2を特定するために、ペアリング処理を行う。本実施形態においては、制御部13は、ペアリング処理として、自身に設定されている識別情報を、切替部16を制御することで、ワイヤ送給装置2に伝達する。識別情報を伝達する方法の詳細については後述する。
また、制御部13は、自装置(溶接電源装置1)の周囲に存在する他の溶接電源装置1の台数(以下、「他装置台数」という。)を特定し、特定した他装置台数に基づいて、識別情報を生成する。制御部13は、生成した識別情報を、図示しない記憶部に記憶することで、自装置(溶接電源装置1)の識別情報として設定する。識別情報を生成する方法の詳細については、後述する。
本実施形態においては、制御部13は、上記他装置台数を特定するために、他の溶接電源装置1を探知するための探知信号を生成し、これを無線通信部14bに出力する。これにより、探知信号が、溶接電源装置1の周囲に存在する他の溶接電源装置1に送信される。なお、制御部13は、溶接電源装置1の電源がオンになったときあるいは所定の操作(例えば、識別情報を設定するための操作)がされたときに、探知信号を送信する。また、探知信号は、送信相手を特定されず、無線通信部14bの通信可能範囲内に送信される。そして、当該探知信号を受信した他の溶接電源装置1から探知信号に対する応答信号が送信され、制御部13は、無線通信部14bから探知信号に対する応答信号を入力されると、この応答信号の数に基づいて、他装置台数を特定する。本実施形態においては、応答信号の数を他装置台数としている。また、制御部13は、他の溶接電源装置1から送信された探知信号が無線通信部14bから入力されると、当該探知信号に対する応答信号を生成し、これを無線通信部14bに出力する。これにより、応答信号が他の溶接電源装置1に送信される。なお、制御部13が、本発明の「送信制御部」に相当する。
PLC通信部14aは、電力伝送線51,52を介して、ワイヤ送給装置2との間で通信を行うためのものである。PLC通信部14aは、ワイヤ送給装置2から受信した信号を復調して、制御部13に出力する。ワイヤ送給装置2から受信する信号には、例えば、溶接条件を設定するための信号や、溶接用電源部11の起動を指示する起動信号などがある。また、PLC通信部14aは、制御部13から入力される信号を変調して、通信信号としてワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2に送信する信号には、例えば、検出された溶接電圧または溶接電流の検出値や、異常発生を示す信号、ワイヤ送給指令やガス供給指令などのための信号などがある。なお、ワイヤ送給装置2との間で送受信される信号は、上記したものに限定されない。
PLC通信部14aは、直接スペクトル拡散(Direct Sequence Spread Spectrum:DSSS)通信方式を用いて通信を行う。直接スペクトル拡散通信方式では、送信側は、送信する信号に対して拡散符号による演算を行い、元の信号のスペクトルをより広い帯域に拡散して送信する。受信側は、受信した信号を共通する拡散符号を用いて逆拡散することで、元の信号に戻す。通信信号にノイズが重畳された場合でも、逆拡散によってノイズのスペクトルが拡散されるので、フィルタリングによって元の通信信号を抽出することができる。したがって、高い通信品質で通信を行うことができる。また、ペアリング処理を行った後に、ペアリングされた溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とに同じ拡散符号を設定し、当該拡散符号を溶接システムA1毎に異なるように設定すれば、別の溶接システムA1で送受信される通信信号を誤って受信したとしても、当該通信信号は異なる拡散符号で逆拡散されて、ノイズとして除去される。したがって、混信を抑制することができる。しかし、溶接電源装置1は、いずれのワイヤ送給装置2に接続されるか解らないので、初めはすべて同じ拡散符号が設定されている。したがって、ペアリングされる前の通信では、混信が発生する場合がある。
PLC通信部14aは、結合回路を備えている。当該結合回路は、PLC通信部14aの入出力端に接続されたコイルと、電力伝送線51,52に並列接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、PLC通信部14aが出力する通信信号を電力伝送線51,52に重畳し、また、電力伝送線51,52に重畳された通信信号を検出する。PLC通信部14aは、制御部13より入力される信号に応じてキャリア信号をBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調し、変調信号にスペクトル拡散を行い、アナログ信号に変換して送信する。なお、変調方法はBPSK変調に限られず、ASK変調やFSK変調を行うようにしてもよい。また、スペクトル拡散は直接拡散方式に限られず、周波数ホッピング方式を用いてもよい。なお、本実施形態では、スペクトル拡散を行っているが、これに限定されず、スペクトル拡散を行わないようにしてもよい。また、PLC通信部14aは、電力伝送線51,52に重畳された通信信号を検出し、デジタル信号に変換して、逆拡散およびフィルタリングを行い、復調を行って、制御部13に出力する。溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に送信する信号と、ワイヤ送給装置2から溶接電源装置1に送信する信号とでは、時間をずらして送受信を行う。なお、異なる周波数帯域を利用するようにしてもよい。
無線通信部14bは、他の溶接電源装置1との間で無線通信を行うためのものであり、アンテナを介して信号の送受信を行う。なお、無線通信部14bが行う無線通信の規格は、特に限定されない。無線通信部14bは、制御部13から入力される上記探知信号および上記応答信号を、アンテナを介して送信する。また、無線通信部14bは、他の溶接電源装置1から送信された応答信号を受信して、これを制御部13に出力する。無線通信部14bの通信可能な範囲を溶接作業現場全域とすることで、上記制御部13は、溶接作業現場に存在する他の溶接電源装置1の台数を特定することができる。本実施形態においては、無線通信部14bが、本発明の「通信部」に相当する。
スイッチ15は、電力伝送線52に配置されており、電力伝送線52を導通させる状態(オン状態)と電力伝送線52を遮断する状態(オフ状態)とを切り替える。スイッチ15がオン状態の場合、送電用電源部12が出力する電圧がワイヤ送給装置2の受電用電源部21に印加される。一方、スイッチ15がオフ状態の場合、送電用電源部12が出力する電圧はワイヤ送給装置2の受電用電源部21に印加されない。なお、本実施形態においては、電力伝送線51,52が、本発明の「接続線」に相当する。スイッチ15は、切替部16からの指示に基づいて、オン状態とオフ状態とを切り替える。本実施形態では、スイッチ15として、切り替えを速くするために、トランジスタなどの半導体スイッチを用いている。なお、スイッチ15は、オン状態とオフ状態とを切り替えられればよいので、機械式のスイッチとしてもよい。なお、スイッチ15は、電力伝送線51に配置されていてもよい。
切替部16は、制御部13からの指示に基づいて、スイッチ15の状態を切り替える。通常時、切替部16は、スイッチ15をオン状態としている。制御部13は、ペアリング処理として、生成および設定した識別情報に基づく信号を、切替部16に出力する。本実施形態においては、スイッチ15および切替部16が、本発明の「切替部」に相当する。また、送電用電源部12、制御部13、PLC通信部14a、無線通信部14b、スイッチ15および切替部16をまとめたものが、本発明の「第1の通信装置」に相当する。なお、溶接電源装置1が、本発明の「第1の通信装置」に相当すると考えることもできる。
ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出すものである。また、ワイヤ送給装置2は、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端に供給する。ワイヤ送給装置2は、受電用電源部21、制御部22、PLC通信部23a、送給モータ24、ガス電磁弁25、電圧センサ26、および、電圧比較部27を備えている。
受電用電源部21は、制御部22、送給モータ24およびガス電磁弁25に電力を供給するものである。受電用電源部21は、電力伝送線51,52を介して溶接電源装置1から電力を供給され、制御部22、送給モータ24およびガス電磁弁25のそれぞれに適した電圧に変換を行って出力する。受電用電源部21は、溶接電源装置1から供給される電力を蓄積するコンデンサ、コンデンサから電力伝送線51,52に電流が逆流するのを防ぐためのダイオード、制御部22、送給モータ24およびガス電磁弁25に出力する電圧を調整するためのDC/DCコンバータを備えている。なお、受電用電源部21の構成は、上記したものに限定されない。
制御部22は、ワイヤ送給装置2の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部22は、溶接トーチ3に設けられている図示しないトーチスイッチより入力される起動のための操作信号に応じて、溶接電源装置1の溶接用電源部11を起動するための起動信号をPLC通信部23aに出力する。また、図示しない操作部より入力される溶接条件を変更するための操作信号に応じて、図示しない記憶部に記憶されている溶接条件を変更する。また、制御部22は、PLC通信部23aより入力される溶接電圧または溶接電流の検出値を、図示しない表示部に出力して表示させたり、PLC通信部23aより入力される異常発生を示す信号に基づいて、図示しない報知部に異常の報知(例えば、スピーカによる警告音や振動による報知)をさせたりする。また、制御部22は、PLC通信部23aからワイヤ送給指令を入力されると、送給モータ24にワイヤ電極の送給を行わせて、溶接トーチ3にワイヤ電極を送り出す。また、PLC通信部23aからガス供給指令を入力されると、ガス電磁弁25を開放して、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端から放出させる。
また、制御部22は、ワイヤ送給装置2の通信相手となる溶接電源装置1を特定するために、ペアリング処理を行う。本実施形態においては、制御部22は、ペアリング処理として、電圧比較部27より入力される電圧低下検出信号(後述)に基づいて識別情報を復元し、記憶部に設定する。識別情報を伝達する方法の詳細については後述する。なお、制御部22が、本発明の「受信制御部」に相当する。
PLC通信部23aは、電力伝送線51,52を介して、溶接電源装置1との間で通信を行うためのものである。PLC通信部23aは、溶接電源装置1から受信した信号を復調して、制御部22に出力する。溶接電源装置1から受信する信号には、例えば、溶接電源装置1においてセンサで検出された溶接電圧または溶接電流の検出値や、異常発生を示す信号、ワイヤ送給指令やガス供給指令などのための信号などがある。また、PLC通信部23aは、制御部22から入力される信号を変調して、通信信号として溶接電源装置1に送信する。溶接電源装置1に送信する信号には、例えば、溶接条件を設定するための信号や、溶接用電源部11の起動を指示する起動信号などがある。なお、溶接電源装置1との間で送受信される信号は、上記したものに限定されない。PLC通信部23aも、PLC通信部14aと同様に、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信を行う。
PLC通信部23aは、結合回路を備えている。当該結合回路は、電力伝送線51,52に並列接続されたコイルとPLC通信部23aの入出力端に接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、PLC通信部23aが出力する通信信号を電力伝送線51,52に重畳し、また、電力伝送線51,52に重畳された通信信号を検出する。
送給モータ24は、溶接トーチ3にワイヤ電極の送給を行うものである。送給モータ24は、制御部22からのワイヤ送給指令に基づいて回転し、送給ローラを回転させて、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出す。
ガス電磁弁25は、ガスボンベ6と溶接トーチ3とを接続するガス配管7に設けられており、制御部22からのガス供給指令に基づいて開閉される。制御部22からガス供給指令が入力されている間、ガス電磁弁25は開放され、溶接トーチ3へシールドガスの供給が行われる。一方、制御部22からガス供給指令が入力されていないときは、ガス電磁弁25は閉鎖され、溶接トーチ3へのシールドガスの供給が停止される。
電圧センサ26は、受電用電源部21の入力端子間の電圧を検出するものである。なお、電圧センサ26は、受電用電源部21のコンデンサの端子間電圧を検出するようにしてもよい。電圧センサ26は、検出した電圧を電圧比較部27に出力する。
電圧比較部27は、電圧センサ26より入力される検出電圧Vを所定の閾値V0と比較して、受電用電源部21の電圧が低下していることを検出するものである。閾値V0は、電圧低下を判断するために設定された電圧値であり、送電用電源部12より印加される電圧(例えば48V)と0Vとの間の電圧値が設定される。閾値V0として大きい値を設定すると、電圧低下を速く検出することができるが、誤検出する可能性が高くなる。一方、閾値V0として小さい値を設定すると、電圧低下を誤検出する可能性が低くなるが、検出が遅くなる。本実施形態では、閾値V0として例えば30〜40Vの値が設定されている。電圧比較部27は、比較結果を電圧低下検出信号として、制御部22に出力する。電圧比較部27は、検出電圧Vが所定の閾値V0以上の場合、電圧は低下していないと判断して、電圧低下検出信号をローレベルとする。一方、検出電圧Vが所定の閾値V0より小さい場合、電圧が低下していると判断して、電圧低下検出信号をハイレベルとする。制御部22は、電圧比較部27より入力される電圧低下検出信号に基づいて、識別情報を復元して記憶部に設定する。本実施形態においては、電圧センサ26および電圧比較部27が、本発明の「識別部」に相当する。
受電用電源部21、制御部22、PLC通信部23a、電圧センサ26、および、電圧比較部27をまとめたものが、本発明の「第2の通信装置」に相当する。なお、ワイヤ送給装置2が、本発明の「第2の通信装置」に相当すると考えることもできる。また、ワイヤ送給装置2は、本発明の「溶接周辺装置」に相当する。
次に、制御部13が識別情報を生成する方法について、説明する。
本実施形態においては、制御部13は、上記するように、特定した他装置台数に応じて識別情報を生成する。制御部13は、上記探知信号を送信し、そして、受信した上記応答信号の数に基づいて、他装置台数を特定すると、特定した他装置台数(10進数)を2進数に変換し、これを識別情報として生成する。例えば、制御部13は、他装置台数が「2」の場合、これを2進数に変換し、識別情報“10”を生成する。同様に、他装置台数が「10」の場合、これを2進数に変換し、識別情報“1010”を生成する。よって、制御部13によって生成される識別情報は、他装置台数が2i-1〜2i−1(iは2以上の整数)の場合に、そのデータ長がiビットとなる。なお、他装置台数が「0」あるいは「1」の場合は、そのデータ長は1ビットとなる。また、識別情報は、2進数のビットデータである。
図4は、特定した他装置台数に応じた識別情報が生成されることを説明するための図である。図4は、4台の溶接電源装置1A〜1Dが存在し、これらは互いに無線通信可能な範囲内に存在するものとする。また、図4において、実線矢印は上記探知信号の送信状況を示し、破線矢印は上記応答信号の送信状況を示している。
まず、図4(a)に示すように、溶接電源装置1A〜1Dすべての電源がオフの状態において、溶接電源装置1Aの電源がオンになると、溶接電源装置1Aの制御部13は、探知信号を生成し、生成した探知信号を周囲に向けて送信する。しかし、他の溶接電源装置1B〜1Dはいずれも、電源がオフの状態であるため、溶接電源装置1Aから送信された探知信号を受信できない。よって、溶接電源装置1B〜1Dから応答信号が送信されないため、溶接電源装置1Aは応答信号を受信しない。したがって、溶接電源装置1Aの制御部13は、他装置台数を「0」と特定し、当該「0」を2進数に変換した“0”を溶接電源装置1Aの識別情報として生成する。これにより、溶接電源装置1Aに識別情報“0”が設定される。
続いて、図4(b)に示すように、溶接電源装置1Bの電源がオンになると、溶接電源装置1Bの制御部13は、探知信号を生成し、生成した探知信号を周囲に向けて送信する。電源がオン状態である溶接電源装置1Aは当該探知信号を受信するので、溶接電源装置1Aの制御部13は、受信した探知信号に対する応答信号を生成し、これを溶接電源装置1Bに送信する。一方、電源がオフ状態である溶接電源装置1C,1Dはいずれも、探知信号を受信できないので、溶接電源装置1C,1Dからは応答信号が送信されない。よって、溶接電源装置1Bは、溶接電源装置1Aから送信された応答信号のみを受信する。したがって、溶接電源装置1Bの制御部13は、他装置台数を「1」と特定し、当該「1」を2進数に変換した“1”を溶接電源装置1Bの識別情報として生成する。これにより、溶接電源装置1Bに識別情報“1”が設定される。
続いて、図4(c)に示すように、溶接電源装置1Cの電源がオンになると、溶接電源装置1Cの制御部13は、探知信号を生成し、生成した探知信号を周囲に向けて送信する。電源がオン状態である溶接電源装置1A,1Bはそれぞれ当該探知信号を受信するので、溶接電源装置1A,1Bの制御部13はそれぞれ、受信した探知信号に対する応答信号を生成し、これを溶接電源装置1Cに送信する。一方、電源がオフ状態である溶接電源装置1Dは探知信号を受信できないので、溶接電源装置1Dからは応答信号が送信されない。よって、溶接電源装置1Cは、溶接電源装置1A,1Bの両方から送信された応答信号を受信する。したがって、溶接電源装置1Cの制御部13は、他装置台数を「2」と特定し、当該「2」を2進数に変換した“10”を溶接電源装置1Cの識別情報として生成する。これにより、溶接電源装置1Cに識別情報“10”が設定される。
最後に、図4(d)に示すように、溶接電源装置1Dの電源がオンになると、溶接電源装置1Dの制御部13は、探知信号を生成し、生成した探知信号を周囲に向けて送信する。電源がオン状態である溶接電源装置1A〜1Cはいずれも、当該探知信号を受信するので、溶接電源装置1A〜1Cの制御部13はそれぞれ、受信した探知信号に対する応答信号を生成し、これを溶接電源装置1Dに送信する。よって、溶接電源装置1Dは、溶接電源装置1A〜1Cのすべてから送信された応答信号を受信する。したがって、溶接電源装置1Dの制御部13は、他装置台数を「3」と特定し、当該「3」を2進数に変換した“11”を溶接電源装置1Dの識別情報として生成する。これにより、溶接電源装置1Dに識別情報“11”が設定される。
このようにして、溶接電源装置1Aには識別情報“0”が設定され、溶接電源装置1Bには識別情報“1”が設定され、溶接電源装置1Cには識別情報“10”が設定され、そして、溶接電源装置1Dには識別情報“11”が設定される。したがって、溶接電源装置1の電源がオンされた順に増加する番号(2進数)が識別情報として生成され、各溶接電源装置1A〜1Dで異なる識別情報が設定される。また、特定した他装置台数に応じたデータ長の識別情報が生成されている。なお、図4においては、4台の溶接電源装置1A〜1Dが存在する場合を例に説明したが、5台以上の溶接電源装置1が存在する場合であっても同様に、各溶接電源装置1で異なる識別情報が生成および設定され、また、周囲に存在する他の溶接電源装置1の台数(他装置台数)に応じて、識別情報のデータ長が変化する。
次に、ペアリング処理について説明する。
ペアリング処理は、通信相手を特定するための処理であり、共通の識別情報をそれぞれに設定するものである。送信側が送信する信号に当該識別情報を付与して送信し、受信側が当該識別情報が付与された信号だけを処理することで、通信相手以外から送信されて混信により受信した信号を排除することができる。上記したように、本実施形態では、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とは、電力伝送線51,52によって接続されており、電力伝送線51,52の間に信号を重畳させて通信を行う。溶接作業が行われる現場には複数の溶接システムA1が存在し、電力伝送線51が配置されたガス配管7や、電力伝送線52の一部であるパワーケーブル41は、束ねて配置される場合がある。この場合、磁気結合により、他の溶接システムA1で送受信される信号が混信して重畳されてしまう場合がある。したがって、正確に通信を行うためには、ペアリング処理が必要になる。また、無線通信を行う場合は、接続された接続線で通信を行わないので、ペアリング処理を行わないと通信が成り立たない。
2つの機器をペアリングする場合、一方の機器の識別情報を他方の機器に設定する。しかし、当該識別情報を通信によって送信する場合、2つの機器はペアリングされる前なので、混信が発生しうる。つまり、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とがペアリングされる前の状態で、PLC通信部14aからPLC通信部23aに識別情報を送信しても、混信により正しく伝達されない場合がある。誤って別のワイヤ送給装置2が識別情報を受信してしまうと、溶接電源装置1が別のワイヤ送給装置2とペアリングされてしまうことになる。これを防ぐために、本実施形態では、混信が発生しない、別の通信手法で、識別情報の送信を行う。具体的には、溶接電源装置1は、切替部16によるスイッチ15の切り替えを利用して、ワイヤ送給装置2に識別情報を送信する。そして、ワイヤ送給装置2は、電圧比較部27より出力される比較結果に基づいて、識別情報を受信する。
まず、切替部16によるスイッチ15の切り替えと、電圧比較部27での比較によって、信号が送受信できることを説明する。
図5は、スイッチ15の切り替えによって溶接電源装置1がワイヤ送給装置2に情報を伝達するときの、各信号の波形を示すタイムチャートである。
図5(a)は、制御部13が切替部16に出力する送信信号の一例を示している。図5(a)においては、時刻t1のときにハイレベルとなり、時刻t3のときにローレベルになるパルス信号を例としている。
図5(b)は、スイッチ15の状態を示している。図5(b)に示すように、スイッチ15は、送信信号がローレベルの間はオン状態であり、送信信号がハイレベルの間はオフ状態になっている。つまり、スイッチ15は、時刻t1のときにオフ状態に切り替えられ、時刻t3のときにオン状態に切り替えられている。
図5(c)は、電圧センサ26が検出した検出電圧Vを示している。図5(d)は、電圧比較部27が出力する電圧低下検出信号を示している。
時刻t1までは、スイッチ15がオン状態なので、電力伝送線52が導通状態になっている。したがって、送電用電源部12が出力する電圧が受電用電源部21に印加されて、電圧センサ26の検出電圧Vは所定の電圧(例えば48V)になっている。このとき、検出電圧Vは所定の閾値V0以上なので、電圧低下検出信号はローレベルになっている。
時刻t1において、スイッチ15がオフ状態に切り替えられている。このため、電力伝送線52が遮断状態になり、受電用電源部21に電圧が印加されなくなるので、電圧センサ26の検出電圧Vは低下している。時刻t2において、検出電圧Vが閾値V0より小さくなったので、電圧低下検出信号はハイレベルになっている。
検出電圧Vは、その後も低下するが、時刻t3でスイッチ15がオン状態に切り替えられたことで、上昇に転じている。スイッチ15をオフ状態とする時間、すなわち、送信信号のハイレベル期間は、受電用電源部21の電圧(検出電圧V)が、制御部22を駆動できるレベルを維持できるように、設定されている。つまり、ハイレベル期間は、送電用電源部12から受電用電源部21に電圧が印加されなくなってから、受電用電源部21の電圧が制御部22を駆動できる最低限の電圧になるまでの時間より短く設定されている。
そして、時刻t4において、検出電圧Vが閾値V0以上になったので、電圧低下検出信号はローレベルになっている。検出電圧Vは、その後も上昇して、所定の電圧になり、当該電圧が維持されている。
以上のように、溶接電源装置1の制御部13が切替部16に出力した送信信号に応じた波形の信号が、ワイヤ送給装置2の制御部22に電圧低下検出信号として入力される。電圧低下検出信号は、ローレベルからハイレベルに切り替わる立ち上がりのタイミングが送信信号より遅く、ハイレベルからローレベルに切り替わる立ち下がりのタイミングが送信信号とほぼ同じであるパルス波形になっている。受電用電源部21のコンデンサの容量が小さい場合や、閾値V0が大きい場合、電圧低下検出信号は、送信信号と同様の波形になる。このように、切替部16によるスイッチ15の切り替えと電圧比較部27での比較によって、溶接電源装置1の制御部13が出力する送信信号を、ワイヤ送給装置2の制御部22に電圧低下検出信号として伝達することができる。
図6は、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2にペアリングのための識別情報の伝達を行うときの、各信号の波形を示すタイムチャートである。
図6(a)は、制御部13が切替部16に出力する送信信号を示している。本実施形態においては、送信信号は、識別情報信号を有している。
識別情報信号は、2進数のビットデータである識別情報に基づいて生成される。本実施形態においては、ローレベル期間の長さを切り替えたパルス信号を識別情報信号としている。制御部13は、ビットデータが“0”の場合にローレベル期間を短くし(例えば200ms)、ビットデータが“1”の場合にローレベル期間を長くして(例えば400ms)、識別情報信号を生成する。図6(a)に示す識別情報信号は、他装置台数が「9」であった場合に設定される識別情報“1001”を示している。なお、識別情報信号は、ビットデータに基づいてハイレベル期間の長さを切り替えたパルス信号としてもよいし、デューティ比を切り替えたパルス信号としてもよい。
図6(a)に示すように、識別情報信号を送信信号として、制御部13から切替部16に入力される。
図6(b)は、スイッチ15の状態を示している。図6(b)に示すように、スイッチ15は、送信信号がローレベルの間はオン状態であり、送信信号がハイレベルの間はオフ状態になっている。つまり、識別情報のビットデータが“0”の場合にスイッチ15のオン状態が短くなり、ビットデータが“1”の場合にスイッチ15のオン状態が長くなっている。
図6(c)は、電圧センサ26が検出した検出電圧Vを示している。図6(d)は、電圧比較部27が出力する電圧低下検出信号を示している。図5で説明したように、スイッチ15がオフ状態に切り替えられると検出電圧Vは低下し、スイッチ15がオン状態に切り替えられると検出電圧Vは上昇する。そして、電圧比較部27は、検出電圧Vが所定の閾値V0より小さい場合に、電圧低下検出信号をハイレベルとする。スイッチ15のオン状態が短い場合は、検出電圧Vが閾値V0以上となる時間が短くなるので、電圧低下検出信号のローレベル期間が短くなる。一方、スイッチ15のオン状態が長い場合は、検出電圧Vが閾値V0以上となる時間が長くなるので、電圧低下検出信号のローレベル期間が長くなる。つまり、電圧低下検出信号は、送信信号と同様の波形になる。
電圧低下検出信号が送信信号と同様の波形になっているため、制御部22は、電圧比較部27より入力される電圧低下検出信号に基づいて、識別情報を復元することができる。具体的には、制御部22は、入力される電圧低下検出信号のローレベル期間の長さに基づいて、識別情報のビットデータを復元する。例えば、制御部22は、ローレベル期間の長さを所定の閾値(例えば250〜350ms)と比較して、閾値以上の場合は“1”と判断し、閾値未満の場合は“0”と判断する。
このようにして識別情報を受信したワイヤ送給装置2は、当該識別情報を記憶部に記憶して、PLC通信部23aからPLC通信部14aに、識別情報を受信した旨の信号を送信する。このとき、PLC通信部23aは、送信する信号に当該識別情報を付与して送信できるので、混信は発生しない。溶接電源装置1が識別情報を受信した旨の信号を受信することで、ペアリング処理が完了する。
次に、本実施形態に係る通信システムの作用および効果について説明する。
本実施形態によると、切替部16は、制御部13より入力される送信信号がローレベルの場合にスイッチ15をオン状態とし、ハイレベルの場合にスイッチ15をオフ状態とする。オン状態では電力伝送線52が導通状態になるので、受電用電源部21は、送電用電源部12から電圧を印加される。一方、オフ状態では電力伝送線52が遮断状態になるので、受電用電源部21に電圧が印加されなくなる。電圧比較部27は、電圧センサ26が検出した検出電圧Vを閾値V0と比較して、受電用電源部21が電圧低下状態である場合にハイレベルとなる電圧低下検出信号を生成する。電圧低下検出信号は、送信信号に応じた波形になる。したがって、溶接電源装置1のPLC通信部14aとワイヤ送給装置2のPLC通信部23aとでペアリングが確立する前であっても、溶接電源装置1は、送信信号を電圧低下検出信号として、ワイヤ送給装置2に伝達することができる。また、溶接電源装置1は、溶接電源装置1の識別情報を、PLC通信部14aおよびPLC通信部23aによる通信を用いずに、ワイヤ送給装置2に伝達することができるので、ペアリング処理が失敗することを抑制することができる。
また、本実施形態によると、溶接電源装置1は、自装置の周囲に存在する他の溶接電源装置1を探知し、探知された他の溶接電源装置1の台数(他装置台数)に基づいて、自装置の識別情報を生成するようにした。これにより、他装置台数に応じて、識別情報のデータ長が可変であるため、例えば、周囲の台数が少ない場合に、識別情報のデータ長を短くすることができる。したがって、自装置の周囲(例えば溶接作業現場)に存在する他の溶接電源装置1の台数によって、識別情報のデータ長を最低限必要な長さにすることができるため、識別情報のデータ長が固定された場合に比べて、識別情報を送信する時間を短縮でき、ひいてはペアリング処理が完了するまでの時間を短縮できる。
上記第1実施形態においては、制御部13は、特定した他装置台数を2進数に変換したものを識別情報として生成した場合、つまり、溶接電源装置1の電源がオンされた順に増加する番号を識別情報として生成した場合を例に説明したが、これに限定されない。以下に、識別情報を生成する方法の変形例について説明する。
第1の変形例としては、制御部13は、特定した他装置台数を2進数で表すために必要な最低限のビット数を求め、当該ビット数をデータ長とする識別情報を生成する。具体的には、特定した他装置台数が「10」であった場合、当該「10」を2進数で表すためには、最低4ビット必要である(「10」を2進数にすると“1010”なので、4ビット必要)。したがって、制御部13は、データ長が4ビットである識別情報を生成する。このとき、識別情報が4ビットであれば、特定した他装置台数を2進数にした“1010”でなくても、“1001”、“0110”、“0001”などの任意の値であってもよい(なお、最上位ビットが“0”の場合は、最上位の桁より下位の桁に“1”が表れるまで、上位の桁で連続する“0”を省略してもよい。例えば、生成された識別情報が“0110”の場合“110”とし、“0001”の場合“1”としてもよい。)。ただし、他の溶接電源装置1に設定されている識別情報と同じ値にならないようにする必要がある。そのために、制御部13は、例えば、探知信号の代わりに識別情報を要求する信号(識別情報要求信号)を、自装置の周囲に存在する他の溶接電源装置1に対して送信する。そして、他の溶接電源装置1の制御部13は、応答信号の代わりに、自装置に設定されている識別情報を返信する。これにより、溶接電源装置1は、受信した識別情報に基づいて、識別情報の数により他装置台数を特定するとともに、識別情報を確認し、他の溶接電源装置1に設定されていない値を自装置の識別情報として生成することができる。なお、当該第1の変形例においては、探知信号の代わりに識別情報要求信号を送信する場合を例に説明したが、探知信号により他装置台数を特定した後に、別途識別情報要求信号を他の溶接電源装置1に送信するようにしてもよい。第1の変形例によれば、識別情報要求信号を送信することで、他の溶接電源装置1に設定されている識別情報が認識できるため、確実に溶接電源装置1毎に異なる識別情報を設定することができる。
第2の変形例としては、制御部13は、特定した他装置台数を2進数に変換するだけでなく、所定の変換規則に応じて変換したものを識別情報として設定する。このような変換規則として、制御部13は、特定した他装置台数を2進数に変換したものに、所定のデータを加算したり付加したりしたものを、識別情報として生成する。具体的には、例えば、特定した他装置台数が「9」であった場合、この「9」を2進数“1001”に変換した後、“1”を加算した“1010”を識別情報として生成したり、“1001”の前に“1”を付加した“11001”を識別情報として生成したりする。ただし、加算あるいは付加するデータによっては、識別情報のデータ長が長くなるので、加算するデータや付加するデータをあまり大きなものにしないようにする必要がある。また、制御部13は、特定した他装置台数に所定の値を加算したものを、2進数に変換して、識別情報を生成するようにしてもよい。具体的には、例えば特定した他装置台数が「9」であった場合、この「9」に所定の値(例えば「2」)を加算した「11」を2進数“1011”を識別情報として生成する。この場合も、加算する所定の値が大きいと、識別情報のデータ長が長くなる場合があるので、加算する値は大きくしすぎないようにする必要がある。
上記第1および第2の変形例に係る、識別情報を生成する方法においても、溶接電源装置1の周囲に存在する他の溶接電源装置1の台数に応じて、識別情報のデータ長を可変にすることができるとともに、溶接電源装置1毎に異なる識別情報を生成および設定することができる。なお、上記第1実施形態、上記第1および第2の変形例に限らず、複数の溶接電源装置1で異なる識別情報が設定され、かつ、識別情報のデータ長が可変であれば、識別情報を生成する方法は、これに限定されない。
上記第1実施形態においては、送信信号として、識別情報信号のみを送信する場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、送信信号として、識別情報に誤り検出データを付加したビットデータとしてもよい。誤り検出データとしては、例えば、巡回冗長符号(Cyclic Redundancy Check:CRC)などがあるが、これに限定されない。このように、誤り検出データを付加することで、制御部22は、電圧比較部27より入力される電圧低下検出信号に基づいて復元した識別情報の整合性を、誤り検出データによって確認することができる。したがって、溶接ノイズなどの影響で、誤った情報を受信してしまうことを防止することができ、ひいては、通信の信頼性を向上させることができる。また、識別情報信号に、送信開始信号と送信終了信号とのいずれか一方あるいはその両方を付加してもよい。送信開始信号は、識別情報信号の送信を開始することを知らせるための信号であり、識別情報信号を送信する直前に送信される。送信終了信号は、識別情報信号の送信が終了したことを知らせるための信号であり、識別情報信号を送信した直後に送信される。なお、送信開始信号および送信終了信号は、識別情報信号と区別できるものであればよく、例えば、所定時間(例えば1s)のハイレベル信号とすればよい。図7は、識別情報信号に送信開始信号および送信終了信号を付加した場合の各信号の波形を示すタイムチャートを示している。また、送信開始信号および送信終了信号は、同じ信号であってもよいし、異なる信号であってもよい。このように、送信開始信号と送信終了信号とのいずれか一方あるいはその両方を付加することで、制御部22は、識別情報信号に対応する信号の開始点と識別情報信号に対応する信号の終了点とのいずれか一方あるいはその両方を認識することができる。したがって、さらに、通信の信頼性を向上させることができる。
上記第1実施形態においては、識別情報が2進数のデータであって、“1”と“0”とを識別情報信号のローレベル期間の長短で表しているが、これに限られない。例えば、特定した他装置台数をそのまま10進数のデータとして、識別情報信号のローレベル期間の長さを10段階で切り替えるようにしてもよい。
上記第1実施形態においては、ペアリングのための識別情報を送信する場合について説明したが、これに限られない。ペアリングのための識別情報以外の情報を送信するようにしてもよい。制御部13が当該情報に基づく信号を切替部16に出力すれば、切替部16による切り替えに応じて、電圧比較部27より出力される電圧低下検出信号が変化するので、制御部13は制御部22に、任意の情報を混信することなく伝達することができる。したがって、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2への片側通信だけを行う場合は、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2がそれぞれPLC通信部14aおよびPLC通信部23aを備えないようにして、切替部16による切り替えと電圧比較部27による比較だけで、情報の伝達を行うようにしてもよい。また、この場合も、制御部13は、特定した他装置台数に応じて、情報のデータ長を可変にすることで、情報のデータ長を必要最低限にすることができるため、情報を送信する時間を短縮できる。
上記第1実施形態においては、電力伝送線52の一部の区間がパワーケーブル41になっている場合について説明したが、これに限られない。電力伝送線52の一部の区間がパワーケーブル42になっていてもよい。また、電力伝送線52が、送電用電源部12と受電用電源部21とを直接接続するようにしてもよい。また、電力伝送線51がガス配管7の内側に配置されている場合について説明したが、これに限られない。電力伝送線51は、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間でむき出しになっていてもよい。また、本実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが、電力伝送線51,52の間に信号を重畳させて通信を行う場合について説明したが、これに限られない。パワーケーブル41,42の間に信号を重畳させて通信を行うようにしてもよいし、無線通信で通信を行うようにしてもよい。
図8は、第2実施形態に係る溶接システムA2を説明するための図である。図8は、溶接システムA2の全体構成を示すものである。なお、上記第1実施形態と同一あるいは類似の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示す溶接システムA2は、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間において、電力伝送線51,52を用いた有線通信ではなく、無線通信を行う点で、上記第1実施形態に係る溶接システムA1と異なる。同図に示すように、溶接システムA2は、上記第1実施形態に係る溶接システムA1と比較して、溶接電源装置1において、PLC通信部14aを備えておらず、また、無線通信部14bの代わりに、無線通信部14b’を備えている。そして、ワイヤ送給装置2において、PLC通信部23aの代わりに、無線通信部23bを備えている。
無線通信部14b’は、上記無線通信部14bと同様に、他の溶接電源装置1との間で無線通信を行うとともに、ワイヤ送給装置2との間の無線通信も可能としている。無線通信部14b’において、ワイヤ送給装置2との間の通信方式は、無線通信であることを除いて、PLC通信部14aの通信方式と共通する。なお、無線通信部14b’は、他の溶接電源装置1との間の無線通信と、ワイヤ送給装置2との間の無線通信とで、異なる規格に準拠した無線通信を行ってもよいし、同じでもよい。
無線通信部23bは、溶接電源装置1との間で無線通信を行うためのものであり、アンテナを介して信号の送受信を行う。無線通信部23bの通信方式は、無線通信であることを除いて、PLC通信部23aの通信方式と共通する。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
上記第2実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間で、無線通信部14b’および無線通信部23bによる、電波を用いた無線通信を行う場合を例に説明したが、さらに、第1実施形態に示したPLC通信部14aおよびPLC通信部23aを備えておき、電力伝送線51,52を用いた有線通信を併用させてもよい。このような場合も、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間において、電力伝送線51,52を用いた有線通信を行うか、電波を用いた無線通信を行うかは、これらの間で送受信する信号の種類、データ量、重要性などに応じて、適宜変えればよい。また、両方を用いて、同じ信号を送受信するようにしてもよいし、片方が利用中には他方を用いて行うようにしてもよい。
上記第1および第2実施形態においては、制御部13は、無線通信部14b(14b’)を介した、探知信号の送信および応答信号の受信に基づいて、他装置台数を特定する場合を例に説明したが、他装置台数をユーザに入力させるようにしてもよい。この場合、制御部13は、ユーザによって入力された他装置台数を2進数で表すために必要な最低限のビット数を求め、当該ビット数をデータ長とする識別情報を生成する。例えば、図4に示す状況において、溶接電源装置1Aに他装置台数を入力する場合、ユーザは溶接電源装置1Aの他に何台溶接電源装置1が存在するかを目視などで確認する。図4においては、溶接電源装置1A以外に3台の溶接電源装置1B〜1Dが存在するため、ユーザは溶接電源装置1Aに他装置台数として「3」を入力する。これにより、制御部13は、入力された他装置台数「3」に基づいて、上記必要最低限のビット数「2」を求め、当該ビット数「2」をデータ長とする識別情報が生成される。したがって、他装置台数をユーザに入力させるようにした場合でも、入力された他装置台数が、例えば、「3」であればデータ長が2ビットの識別情報が生成され、「10」であればデータ長が4ビットの識別情報が生成され、「100」であればデータ長が7ビットの識別情報が生成される。よって、他装置台数に応じて識別情報のデータ長が変化し、他装置台数が少なければ、識別情報のデータ長が短くなるため、識別情報を送信する時間を短縮することができる。
なお、他装置台数をユーザに入力させる場合、ユーザは溶接電源装置1の電源がオンであるかオフであるかを確認せず、周囲に存在する他の溶接電源装置1の台数に基づき、他装置台数を入力する可能性がある。この場合、すべての溶接電源装置1に同じ他装置台数が入力されることがあるため、上記第1実施形態と同様に制御部13が特定した他装置台数を2進数に変換したものを識別情報として生成すると、複数の溶接電源装置1で同じ識別情報が生成される可能性がある。そこで、溶接電源装置1(制御部13)は、無線通信部14b(14b’)を介して、上記識別情報要求信号を周囲に送信することで、他の溶接電源装置1に設定されている識別情報を確認し、他の溶接電源装置1に設定されていない値を自装置の識別情報として生成するようにしておく。これにより、複数の溶接電源装置1で異なる識別情報を生成および設定させることができる。あるいは、ユーザに、他装置台数の他に、自装置が複数の溶接電源装置1のうちの何番目かを示す情報(装置番号情報)も入力させるようにしておき、制御部13は、入力される装置番号情報に基づいて、識別情報を生成するようにしてもよい。具体的には、ある溶接電源装置1に他装置台数「4」、装置番号情報「1」を入力すると、当該溶接電源装置1の制御部13は、識別情報として“001”を生成し、これを自装置の識別情報として設定する。また、他の溶接電源装置1に他装置台数「4」、装置番号情報「3」を入力すると、当該溶接電源装置1の制御部13は、識別情報として“011”を生成し、これを自装置の識別情報として設定する。このようにして、各溶接電源装置1にそれぞれ“000”,“001”,“010”,“011”,“100”が設定される。したがって、溶接電源装置1に無線通信部14b(14b’)を備えていなくても、複数の溶接電源装置1で異なる識別情報を生成および設定させることができる。
図9は、第3実施形態に係る溶接システムA3を説明するための図である。図9は、溶接システムA3の構成を示すものであり、溶接電源装置1の記載を省略している。なお、上記第1実施形態と同一あるいは類似の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示す溶接システムA3は、電圧センサ26および電圧比較部27に代えて、電流センサ26’および電流比較部27’を備えている点で、第1実施形態に係る溶接システムA1と異なる。
電流センサ26’は、電力伝送線51または電力伝送線52に流れる電流を検出するものである。電流センサ26’は、検出した電流を電流比較部27’に出力する。電流比較部27’は、電流センサ26’より入力される検出電流Iを所定の閾値I0と比較して、電力伝送線51,52に電流が流れているか否かを検出するものである。閾値I0は、電流が流れているか否かを判断するために設定された電流値であり、検出誤差を排除するために設けられている。スイッチ15がオン状態の場合、電力伝送線52が導通状態になっており、電力伝送線51,52には電流が流れる。一方、スイッチ15がオフ状態の場合、電力伝送線52が遮断状態になっており、電力伝送線51,52には電流が流れない。電流比較部27’は、比較結果を電流未検出信号として、制御部22に出力する。電流比較部27’は、検出電流Iが閾値I0未満の場合、電流が流れていないと判断して、電流未検出信号をハイレベルとする。一方、検出電流Iが閾値I0以上の場合、電流が流れていると判断して、電流未検出信号をローレベルとする。電流未検出信号は、制御部13が切替部16に出力する送信信号に応じた波形(同様の波形)になる。電流センサ26’および電流比較部27’は、本発明の「識別部」に相当する。
第3実施形態によると、溶接電源装置1のPLC通信部14aとワイヤ送給装置2のPLC通信部23aとでペアリングが確立する前であっても、溶接電源装置1は、送信信号を電流未検出信号として、ワイヤ送給装置2に伝達することができる。したがって、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、ワイヤ送給装置2は、受電用電源部21に電圧が印加されているか否かを識別することができればよい。したがって、ワイヤ送給装置2が、電圧センサ26(電流センサ26’)の代わりに、例えば、電力センサを備えて、受電用電源部21に電力が供給されているか否かを識別するようにしてもよい。
図10は、第4実施形態に係る溶接システムA4を説明するための図である。図10は、溶接システムA4の構成を示すものであり、ワイヤ送給装置2の記載を省略している。なお、上記第1実施形態と同一あるいは類似の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示す溶接システムA4は、スイッチ15および切替部16を備えておらず、制御部13が送電用電源部12の出力電圧を切り替える点で、第1実施形態に係る溶接システムA1と異なる。
制御部13は、送信信号に応じて、送電用電源部12のDC/DCコンバータ回路122の出力を切り替える。具体的には、制御部13は、送信信号がローレベルの間は、DC/DCコンバータ回路122の出力が所定の電圧(例えば48V)となるように制御し、送信信号がハイレベルの間は、DC/DCコンバータ回路122の出力が0Vとなるように制御する。つまり、第4実施形態に係る溶接電源装置1は、スイッチ15で電力伝送線52を遮断状態にする代わりに、送電用電源部12の出力電圧を「0」にする。DC/DCコンバータ回路122は、本発明の「切替部」に相当する。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第4実施形態に係る溶接電源装置1は、スイッチ15および切替部16を備えていない。したがって、従来の溶接電源装置のハードウエアを変更することなく、ソフトウエアを変更するだけで、第4実施形態に係る溶接電源装置1として用いることができる。
なお、第4実施形態においては、制御部13が、DC/DCコンバータ回路122の出力を、所定の電圧(例えば48V)と0Vとで切り替える場合について説明したが、これに限られない。例えば、制御部13が、DC/DCコンバータ回路122の出力を、所定の第1電圧(例えば48V)と所定の第2電圧(例えば24V)とで切り替えるようにしてもよい。電圧比較部27で比較するための閾値V0は、第1電圧と第2電圧との間の電圧値を設定すればよい(例えば36V程度)。この場合、受電用電源部21には電圧が印加され続けるので、電圧が低下し過ぎることを防止することができる。
上記第1ないし第4実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する電力伝送線51,52を用いる場合について説明したが、これに限られない。ワイヤ送給装置2が溶接電源装置1から電力を供給されない溶接システムは、電力伝送線51,52を備えていない。この場合は、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する他の接続線を利用すればよい。以下では、溶接トーチ3に設けられているトーチスイッチが制御線によって溶接電源装置1に接続されている溶接システムにおいて、当該制御線を利用する場合について、第5実施形態として以下に説明する。
図11は、第5実施形態に係る溶接システムA5を説明するための図である。図11は、溶接システムA5の全体構成を示すものであり、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2の内部構成の一部、ガスボンベ6およびガス配管7の記載を省略している。
図11に示す溶接システムA5は、ワイヤ送給装置2が溶接電源装置1から電力を供給されていない点と、トーチスイッチ31からの操作信号が制御線8を介して溶接電源装置1に直接入力される点とで、第1実施形態に係る溶接システムA1と異なる。
トーチスイッチ31は、溶接トーチ3に設けられており、ワイヤ送給装置2の内部を通る制御線8によって、溶接電源装置1の制御部13に接続されている。操作者によるトーチスイッチ31の操作による起動信号が、制御線8を介して溶接電源装置1の制御部13に入力される。制御部13は、制御線8に小さな電圧を印加しており、電流が流れたか否かでトーチスイッチ31のオンオフを検出する。
本実施形態において、スイッチ15は、制御線8に配置されており、制御線8を導通させる状態(オン状態)と制御線8を遮断する状態(オフ状態)とを切り替える。スイッチ15がオン状態の場合、制御線8には電圧が印加され、スイッチ15がオフ状態の場合、制御線8には電圧が印加されない。また、電圧センサ26は、制御線8に配置されており、制御線8に印加されている電圧を検出する。電圧比較部27は、電圧センサ26より入力される検出電圧Vを所定の閾値V0と比較して、制御線8に電圧が印加されているか否かを検出して、検出結果の信号を制御部22に出力する。本実施形態においては、制御線8が、本発明の「接続線」に相当する。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、ワイヤ送給装置2が電力伝送線51,52によって溶接電源装置1から電力を供給されている場合でも、制御線8を利用するようにしてもよい。また、利用する制御線は、トーチスイッチ31の制御線8に限定されない。例えば、ワイヤ送給装置2に設けられている溶接電流(電圧)設定部と溶接電源装置1とを接続する制御線や、インチングスイッチと溶接電源装置1とを接続する制御線などを利用するようにしてもよい。また、ワイヤ送給装置2にリモコンが接続されており、溶接電流(電圧)設定部またはインチングスイッチが当該リモコンに設けられている場合、溶接電流(電圧)設定部またはインチングスイッチと溶接電源装置1とを接続する制御線を利用するようにしてもよい。
上記第1ないし第5実施形態においては、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2と通信を行う場合について説明したが、これに限られない。溶接電源装置1が他の周辺装置と通信する場合にも、本発明を適用することができる。以下では、溶接電源装置1を遠隔操作するためのリモコン9と溶接電源装置1とが通信を行う場合について、第6実施形態として以下に説明する。
図12は、第6実施形態に係る溶接システムA6を説明するための図である。図12は、溶接システムA6の全体構成を示すものであり、ワイヤ送給装置2、ガスボンベ6、および、ガス配管7の記載を省略している。
図12に示す溶接システムA6は、リモコン9を備えている。リモコン9は、溶接電源装置1を遠隔操作するものであり、受電用電源部21、制御部22、PLC通信部23a、電圧センサ26、および、電圧比較部27を備えている。リモコン9は、駆動のための電力を、溶接電源装置1から供給される。リモコン9の受電用電源部21と溶接電源装置1の送電用電源部12とは、電力伝送線51,52によって接続されている。送電用電源部12から出力される電力は、電力伝送線51,52によって、受電用電源部21に供給される。また、溶接電源装置1とリモコン9とは、電力伝送線51,52の間に信号を重畳させて通信を行う。受電用電源部21、制御部22、PLC通信部23a、電圧センサ26、および、電圧比較部27は、それぞれ、第1実施形態に係るワイヤ送給装置2の受電用電源部21、制御部22、PLC通信部23a、電圧センサ26、および、電圧比較部27と同様のものである。なお、リモコン9は、実際には、操作部などを備えているが、図12においては記載を省略している。リモコン9は、本発明の「第2の通信装置」に相当する。
第6実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、リモコン9以外の周辺装置(例えば溶接トーチ3、溶接トーチ3に循環させる冷却水を制御する冷却水循環装置、ガスボンベ6のガスの供給を制御する装置など)と溶接電源装置1とが通信する場合にも、同様に、本発明を適用することができる。これらの場合、各周辺装置は、本発明の「第2の通信装置」に相当する。
上記第1ないし第6実施形態においては、溶接電源装置1は、他の溶接電源装置1との間での探知信号および応答信号の送受信を無線通信で行う場合を例に説明したが、これに限定されない。溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間でPLC通信が可能な場合には、このPLC通信を利用して、他の溶接電源装置1との間で通信を行うようにしてもよい。具体的には、第1、第3、第4、第6実施形態に係る溶接電源装置1がそれにあたる。このような、PLC通信を利用して、他の溶接電源装置1との間で通信を行う場合について、第7実施形態として、以下に説明する。
図13および図14は、第7実施形態に係る溶接システムA7を説明するための図である。図13は、溶接システムA7の全体構成を示すものである。なお、上記第1実施形態と同一あるいは類似の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図13に示す溶接システムA7は、上記第1実施形態に係る溶接システムA1と比較して、溶接電源装置1において、無線通信部14bを備えておらず、また、PLC通信部14aの代わりに、PLC通信部14a’を備えている点で異なる。
PLC通信部14a’は、上記PLC通信部14aと同様に、電力伝送線51,52を介して、ワイヤ送給装置2との間で通信を行う。また、PLC通信部14a’は、電力伝送線51,52を介して、他の溶接電源装置1との間の通信も可能である。PLC通信部14a’は、他の溶接電源装置1との間の通信により、探知信号および応答信号の送受信を行う。なお、PLC通信部14a’が電力伝送線51,52を介して行う、他の溶接電源装置1との間での探知信号および応答信号の送受信についての詳細は後述する。本実施形態においては、PLC通信部14a’が、本発明の「通信部」に相当する。
次に、PLC通信部14a’が電力伝送線51,52を介して行う、他の溶接電源装置1との間の、探知信号および応答信号の送受信について説明する。なお、電力伝送線52は、溶接電源装置1の内部でパワーケーブル41に接続されているため、以下では、PLC通信部14a’は、電力伝送線51およびパワーケーブル41を介して、信号の送受信を行うものとして説明する。
図14(a)は、5つの溶接システムA7が溶接作業現場に配置されている状況の一例を示している。なお、ガスボンベ6およびガス配管7などの記載は省略する。同図に示すように、5台の溶接電源装置1は、一か所にまとめて設置されている。また、それぞれ5本ずつある電力伝送線51およびパワーケーブル41は、溶接電源装置1の設置場所から作業場所の近くまで束ねられている。なお、図14(a)においては、1組の電力伝送線51およびパワーケーブル41は、1つにまとめて記載している。このように、5組の電力伝送線51およびパワーケーブル41が束ねて配置されているため、ある溶接電源装置1に接続された電力伝送線51およびパワーケーブル41に重畳された信号は、束ねられた部分において、磁気結合により、他の溶接電源装置1に接続された電力伝送線51およびパワーケーブル41に重畳される。本実施形態においては、この磁気結合を利用して、溶接電源装置1から他の溶接電源装置1に、探知信号および応答信号の送受信が行われる。
図14(b)は、図14(a)に示すように配置された複数の溶接システムA7において、探知信号および応答信号の送受信の様子を示している。同図において、5台の溶接電源装置1をそれぞれ溶接電源装置1A〜1Eとし、溶接電源装置1A〜1Eの各々に接続された電力伝送線51およびパワーケーブル41を、電力伝送線51A〜51Eおよびパワーケーブル41A〜41Eとする。電力伝送線51A〜51Eおよびパワーケーブル41A〜41Eの他端にはそれぞれワイヤ送給装置2が接続されているが、図示は省略する。また、図14(b)においては、2台の溶接電源装置1A,1Bの電源がオンの状態であり、3台の溶接電源装置1C〜1Eの電源がオフの状態であるときに、溶接電源装置1Cの電源がオンされた場合を示している。なお、図14(b)において、実線矢印は探知信号の送信状況を示し、破線矢印および一点鎖線矢印は応答信号の送信状況を示している。
溶接電源装置1Cの電源がオンになると、溶接電源装置1Cは、探知信号を生成し、これを、他の溶接電源装置1A,1B,1D,1Eに送信する。具体的には、溶接電源装置1Cの電源がオンになると、溶接電源装置1Cの制御部13は、探知信号を生成する。そして、生成した探知信号をPLC通信部14a’に入力する。PLC通信部14a’は、入力された探知信号を電力伝送線51Cおよびパワーケーブル41Cに重畳する。電力伝送線51Cおよびパワーケーブル41Cに重畳された探知信号は、5組の電力伝送線51A〜51Eおよびパワーケーブル41A〜41Eが束ねられた部分において、磁気結合により、他の電力伝送線51A,51B,51D,51Eおよびパワーケーブル41A,41B,41D,41Eに重畳される。したがって、図14(b)に示すように、溶接電源装置1Cから送信された探知信号は、5組の電力伝送線51A〜51Eおよびパワーケーブル41A〜41Eを伝達し、他の溶接電源装置1A,1B,1D,1Eに送信される(実線矢印参照)。
電源がオン状態である溶接電源装置1A,1Bは、溶接電源装置1Cから送信された探知信号を受信する。そして、受信した探知信号に対する応答信号を生成し、これを溶接電源装置1Cに送信する。具体的には、電源がオン状態である溶接電源装置1AのPLC通信部14a’は、電力伝送線51Aおよびパワーケーブル41Aに重畳された探知信号を検出することで、溶接電源装置1Cから送信された探知信号を受信する。そして、溶接電源装置1Aの制御部13は、探知信号に対する応答信号を生成する。溶接電源装置1AのPLC通信部14a’は、これを電力伝送線51Aおよびパワーケーブル41Aに重畳する。電力伝送線51Aおよびパワーケーブル41Aに重畳された探知信号は、5組の電力伝送線51A〜51Eおよびパワーケーブル41A〜41Eが束ねられた部分において、磁気結合により、他の電力伝送線51B〜51Eおよびパワーケーブル41B〜41Eに重畳される。したがって、図14(b)に示すように、溶接電源装置1Aから送信された探知信号は、5組の電力伝送線51A〜51Eおよびパワーケーブル41A〜41Eを伝達し、他の溶接電源装置1B〜1Eに送信される(破線矢印参照)。電源がオン状態である溶接電源装置1Bも同様に行い、図14(b)に示すように、溶接電源装置1Bから送信された探知信号は、5組の電力伝送線51A〜51Eおよびパワーケーブル41A〜41Eを伝達し、他の溶接電源装置1A,1C〜1Eに送信される(一点鎖線矢印参照)。
一方、電源がオフ状態である溶接電源装置1D,1Eは、PLC通信部14a’が稼働していないので、電力伝送線51D,51Eおよびパワーケーブル41D,41Eに重畳された探知信号を検出できない。よって、溶接電源装置1D,1Eは、溶接電源装置1Cから送信された探知信号を受信しない。そのため、溶接電源装置1D,1Eからは応答信号が送信されない。
溶接電源装置1Cは、溶接電源装置1A,1Bから送信された応答信号を、受信する。具体的には、溶接電源装置1CのPLC通信部14a’は、電力伝送線51Cおよびパワーケーブル41Cに重畳された応答信号を検出することで、溶接電源装置1A,1Bから送信された応答信号を受信する。なお、溶接電源装置1Aから送信された応答信号は、電力伝送線51Bおよびパワーケーブル41Bにも重畳されるため、溶接電源装置1Bは、この応答信号を受信する。しかし、溶接電源装置1Bは、自装置から送信した探知信号に対する応答信号でないため、受信した応答信号を破棄する、あるいは、無視する。自装置から送信した探知信号に対する応答信号であるか否かは、例えば、応答信号を受信する前に探知信号を送信したか否かに基づいて、あるいは、応答信号にどの溶接電源装置1から送信されたかを示す情報があれば、その情報に基づいて、判断することができる。
以上のようにして、溶接電源装置1は、PLC通信部14a’を用いて、探知信号および応答信号の送受信を行っている。これにより、溶接電源装置1は、他の溶接電源装置1から応答信号を受信できるので、上記第1実施形態と同様に、受信した応答信号の数により他装置台数を特定することができる。そして、特定した他装置台数に応じて自装置の識別情報を生成することができる。例えば、上記図14(b)に示す状況においては、溶接電源装置1Cは、溶接電源装置1A,1Bから応答信号を受信するので、溶接電源装置1Cの制御部13は、他装置台数を「2」と特定する。そして、上記無線通信部14bを用いた場合と同様に、特定した他装置台数「2」を2進数に変換した“10”を溶接電源装置1Cの識別情報として生成する。これにより、溶接電源装置1Cに識別情報“10”が設定される。したがって、PLC通信部14a’を用いた通信においても、上記した無線通信部14bによる無線通信と同様に、溶接電源装置1の電源がオンされた順に増加する番号(2進数)が識別情報として生成される。よって、本実施形態においても、各溶接電源装置1A〜1Eで異なる識別情報が設定され、かつ、特定した他装置台数に応じたデータ長の識別情報が生成される。
第7実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第7実施形態に係る溶接電源装置1は、複数組の電力伝送線51およびパワーケーブル41が束ねられた部分における磁気結合を利用することで、無線通信部14bを備えていなくても、他の溶接電源装置1との間で通信することができる。したがって、他の溶接電源装置1と通信するための通信手段を別途設ける必要がない。
上記第7実施形態においては、図14(a)に示すように、複数組の電力伝送線51およびパワーケーブル41が束ねられた場合を例に説明したが、これらが磁気結合可能な距離に隣接していれば、束ねられていなくてもよい。
上記第1ないし第7実施形態においては、本発明を溶接システムに適用した場合について説明したが、これに限られない。その他の通信を行うシステムにおいても、本発明を適用することができる。
本発明に係る通信システムおよび溶接システムは、上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る通信システムおよび溶接システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A1〜A7 溶接システム(通信システム)
1,1A〜1E 溶接電源装置(第1の通信装置)
11 溶接用電源部
111 整流回路
112 インバータ回路
113 トランス
114 整流回路
12 送電用電源部
121 整流回路
122 DC/DCコンバータ回路(切替部)
13 制御部(送信制御部)
14a,14a’ PLC通信部(通信部)
14b,14b’ 無線通信部(通信部)
15 スイッチ(切替部)
16 切替部
1a 接続金具
2 ワイヤ送給装置(第2の通信装置、溶接周辺装置)
21 受電用電源部
22 制御部(受信制御部)
23a PLC通信部
23b 無線通信部
24 送給モータ
25 ガス電磁弁
26 電圧センサ(識別部)
26’ 電流センサ(識別部)
27 電圧比較部(識別部)
27’ 電流比較部(識別部)
2a 接続金具
3 溶接トーチ(第2の通信装置、溶接周辺装置)
31 トーチスイッチ
41,41A〜41E,42 パワーケーブル
51,51A〜51E,52 電力伝送線(接続線)
6 ガスボンベ
7 ガス配管
8 制御線(接続線)
9 リモコン(第2の通信装置、溶接周辺装置)
W 被加工物

Claims (8)

  1. 第1の通信装置と、前記第1の通信装置との間で通信を行う第2の通信装置と、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とを接続する接続線と、を備えている通信システムであって、
    前記第1の通信装置は、
    前記接続線を介して印加する電圧を切り替える切替部と、
    情報を取得し、取得した前記情報に基づいて前記切替部による切り替えを制御することで、前記情報の送信を行う送信制御部と、
    を備えており、
    前記第2の通信装置は、
    前記接続線を介して、前記第1の通信装置から印加される電圧を識別する識別部と、
    前記識別部による識別状態に基づいて前記情報を復元する受信制御部と、
    を備えており、
    前記送信制御部は、前記第1の通信装置の周囲に存在する他の前記第1の通信装置の台数に応じて、前記情報のデータ長を変化させる、
    ことを特徴とする通信システム。
  2. 前記第1の通信装置は、
    前記他の第1の通信装置との間で通信可能な通信部をさらに備えており、
    前記通信部は、前記他の第1の通信装置を探知するための探知信号を送信し、その後、前記探知信号を受信した前記他の第1の通信装置から前記探知信号に対する応答信号を受信し、
    前記送信制御部は、前記通信部が受信した前記応答信号の数に応じて、前記他の第1の通信装置の台数を特定する、
    請求項1に記載の通信システム。
  3. 前記接続線は、前記他の第1の通信装置に接続された他の接続線に隣接する部分を有しており、
    前記通信部は、前記第2の通信装置との間で、前記接続線を介した有線通信を行うものであり、前記隣接する部分での信号の重畳を利用して、前記他の第1の通信装置との間で、前記探知信号および前記応答信号の送受信を行う、
    請求項2に記載の通信システム。
  4. 前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置に電力を供給するための送電用電源部をさらに備えており、
    前記第2の通信装置は、前記送電用電源部から電力を供給される受電用電源部をさらに備えており、
    前記接続線は、前記送電用電源部と前記受電用電源部とを接続する電力伝送線である、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の通信システム。
  5. 前記切替部は、電圧を印加する状態と印加しない状態とを切り替え、
    前記識別部は、電圧が印加されている状態と印加されていない状態とを識別する、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の通信システム。
  6. 前記送信制御部は、前記情報の送信を開始することを知らせる送信開始信号と、前記情報の送信が終了したことを知らせる送信終了信号と、のいずれか一方あるいはその両方を送信する、
    請求項1ないし5のいずれかに記載の通信システム。
  7. 前記情報は、ペアリングのための識別情報であり、
    前記送信制御部は、前記台数に応じたデータ長の識別情報を生成する、
    請求項1ないし6のいずれかに記載の通信システム。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の通信システムを備えている溶接システムであって、
    前記第1の通信装置を有する溶接電源装置と、
    前記第2の通信装置を有する溶接周辺装置と、
    を備えている、
    ことを特徴とする溶接システム。
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