本実施形態に係る水晶デバイスを示す分解斜視図である。
本実施形態に係る水晶デバイスの蓋体を剥がした状態を示す平面図である。
(a)本実施形態に係る音叉型水晶素子の上面側を示す平面図であり、(b)本実施形態に係る音叉型水晶素子の下面側を示す平面図である。
(a)本実施形態に係る水晶デバイスを構成するパッケージを上面から見た平面図であり、(b)本実施形態に係る水晶デバイスを構成するパッケージの基板を上面から見た平面図である。
本実施形態に係る水晶デバイスを構成するパッケージの下面側を示す底面図である。
(a)本実施形態に係る水晶デバイスの製造方法における水晶素子実装工程を示す断面図であり、(b)本実施形態に係る水晶デバイスの製造方法における第一接合工程を示す断面図であり、(c)本実施形態に係る水晶デバイスの製造方法における第二接合工程を示す断面図である。
(a)本実施形態の第一変形例に係る音叉型水晶素子の上面側を示す平面図であり、(b)本実施形態の第一変形例に係る音叉型水晶素子の下面側を示す底面図である。
(a)本実施形態の第二変形例に係る音叉型水晶素子の上面側を示す平面図であり、(b)本実施形態の第二変形例に係る音叉型水晶素子の下面側を示す底面図である。
(第一実施形態)
本実施形態における水晶デバイスは、図1〜図5に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110の上面に実装された音叉型水晶素子120とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aの上面と枠体110bの内側面によって囲まれた凹部Kが形成されている。また、音叉型水晶素子120には、水晶基部121と、水晶振動部123及び水晶支持部124が設けられている。このような水晶デバイスは、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110aは、矩形状であり、上面に音叉型水晶素子120を実装するための実装部材として機能するものである。基板110aは、上面に、音叉型水晶素子120を実装するための電極パッド111が設けられている。また、基板110aの長辺側の一辺に沿って、音叉型水晶素子120を接合するための第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bが設けられている。
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、上面に設けられた電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた外部端子112とを電気的に接続するための配線パターン113及びビア導体114が設けられている。
枠体110bは、基板110aの上面の外周縁に沿って配置され、基板110aの上面に凹部Kを形成するためのものである。枠体110bは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。凹部Kの開口部は、平面視した際に、矩形状となっている。
基板110aの下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、四つの外部端子112の内の二つが、音叉型水晶素子120と電気的に接続されている。また、音叉型水晶素子120と電気的に接続されている第一外部端子112a及び第二外部端子112bは、基板110aの下面の対角に位置するように設けられている。
電極パッド111は、音叉型水晶素子120を実装するためのものである。電極パッド111は、基板110aの上面に一対で設けられており、基板110aの一辺に沿うように隣接して設けられている。電極パッド111は、図4及び図5に示されているように基板110aの上面に設けられた配線パターン113とビア導体114を介して、基板110aの下面に設けられた外部端子112と電気的に接続されている。
電極パッド111は、図4に示すように、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bによって構成されている。また、外部端子112は、図5に示すように、第一外部端子112a、第二外部端子112b、第三外部端子112c及び第四外部端子112dによって構成されている。ビア導体114は、第一ビア導体114a、第二ビア導体114b及び第三ビア導体114cによって構成されている。また、配線パターン113は、第一配線パターン113a及び第二配線パターン113bによって構成されている。第一電極パッド111aは、基板110aに設けられた第一配線パターン113aの一端と電気的に接続されている。また、第一配線パターン113aの他端は、第一ビア導体114aを介して、第一外部端子112aと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第一外部端子112aと電気的に接続されることになる。第二電極パッド111bは、基板110aに設けられた第二配線パターン113bの一端と電気的に接続されている。また、第二配線パターン113bの他端は、第二ビア導体114bを介して、第二外部端子112bと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第二外部端子112bと電気的に接続されることになる。
また、電極パッド111の算術平均表面粗さは、0.02〜0.10μmであり、基板110a表面の算術平均表面粗さは、0.5〜1.5μmである。よって、導電性接着剤140は、配線パターン113の方向に向かって導電性接着剤140が広がることになるが、電極パッド111から基板110a上に向かって広がりにくくなる。
外部端子112は、電子機器等の実装基板(図示せず)と電気的に接合するために用いられる。外部端子112は、基板110aの下面の四隅に設けられている。外部端子112の内の二つの端子は、基板110aの上面に設けられた一対の電極パッド111とそれぞれ電気的に接続されている。また、第三外部端子112cは、第三ビア導体114cを介して、封止用導体パターン117と電気的に接続されている。
配線パターン113は、電極パッド111及びビア導体114と電気的に接続するためのものである。配線パターン113の一端は、電極パッド111と電気的に接続されており、配線パターン113の他端は、ビア導体114と電気的に接続されている。配線パターン113は、第一配線パターン113a及び第二配線パターン113bによって構成されている。配線パターン113は、平面視して、枠体110bと重なるようにして設けられている。このようにすることによって、水晶デバイスは、配線パターン113と音叉型水晶素子120との間で浮遊容量が発生することを抑えるので、音叉型水晶素子120にこの浮遊容量が付与されることがないため、発振周波数が変動してしまうことを抑えることができる。また、水晶デバイスに外力が加わり、枠体110bの長辺方向に曲げモーメントが発生しても、基板110aに加えて枠体110bが設けられていることにより、枠体110bが設けられている箇所は、変形しにくくなる。よって、枠体110bと平面視して重なる位置に設けられた配線パターン113は、断線しにくくなり、発振周波数が出力されなくなることを抑制することができる。
また、第一配線パターン113aは、第一電極パッド111a及び第一ビア導体114aと電気的に接続されている。第一配線パターン113aは、第一電極パッド111aから近接された枠体110bの長辺方向に向かって延出されており、第一配線パターン113aの一部が露出されている。第二配線パターン113bは、第二電極パッド111b及び第二ビア導体114bと電気的に接続されている。第二配線パターン113bは、第二電極パッド111bから近接された枠体110bの長辺方向に向かって延出されており、第二配線パターン113bの一部が露出されている。
このように、配線パターン113の一部が、電極パッド111から枠体110bの長辺方向に向かって延出し、凹部Kで露出するようにして設けられていることにより、音叉型水晶素子120を実装した際に、溢れ出そうになった導電性接着剤140が、導電性接着剤140と濡れ性の良い配線パターン113上に沿って流れ出てくれるため、パッケージ110の中心方向に流れ出ることがなく導電性接着剤140が水晶振動部123の励振用電極125、126に付着してしまうことを抑えることができる。
ビア導体114は、基板110aの内部に設けられ、その両端は、配線パターン113又は封止用導体パターン117と電気的に接続されている。ビア導体114は、基板110aに設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。また、ビア導体114は、図4及び図5に示すように、第一ビア導体114a、第二ビア導体114b及び第三ビア導体114cによって構成されている。
支持パッド115は、音叉型水晶素子120の水晶振動部123又は水晶支持部124の上下方向の傾きが抑制され、音叉型水晶素子120の水晶振動部123が基板110aに接触することを抑制するためのものである。支持パッド115は、図4に示すように、第一電極パッド111aと対向する位置にある基板110aの短辺方向に沿って、基板110aの上面に設けられている。また、支持パッド115は、電極パッド111と同様に、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等上面に金メッキ、ニッケルメッキを施すことにより設けられている。支持パッド115は、平面視して、後述する音叉型水晶素子120の水晶基部121と重なる位置に設けられている。このようにすることで、音叉型水晶素子120を実装する際に、水晶振動部123が基板110aに接触することを抑えることができる。また、支持パッド115は、基板110aの上面に印刷後、金型等により基板110aと一括で形成することにより製作することができる。
また、支持パッド115は、図1及び図4に示すように、略直方体により構成されている。支持パッド115の先端が水晶基部121に接触するようにすることで、支持パッド115と水晶基部121との接触面積を最小限にすることで、屈曲振動への影響を緩和することができる。また、支持パッド115の先端と水晶基部121との間に接着剤150が設けられているようにしても構わない。つまり、支持パッド115の先端に接着剤150を塗布し、水晶基部121と支持パッド115を固着させる。このようにすることで、水晶素子120が傾かず保持することができ、水晶基部121と支持パッド115との接触面積を最小限にすることで、屈曲振動への影響も緩和することができる。
ここでパッケージ110を平面視したときの一辺の寸法が、1.0〜3.2mmであり、パッケージ110の上下方向の寸法が、0.2〜1.5mmである場合を例にして、凹部K、電極パッド111、支持パッド115の大きさを説明する。凹部Kの長辺の長さは、0.7〜2.0.mmであり、短辺の長さは、0.5〜1.5mmとなっている。また、凹部Kの上下方向の長さは、0.1〜0.5mmとなっている。基板110aの一辺と平行となる電極パッド111の辺の長さは、0.25〜0.40mmとなる。また、基板110aの一辺と交わる辺と平行となる電極パッド111の辺の長さは、0.25〜0.40mmとなる。電極パッド111の上下方向の厚みの長さは、10〜50μmとなる。基板110aの一辺と平行となる支持パッド115の辺の長さは、50〜150μmとなる。また、基板110aの一辺と交わる辺と平行となる支持パッド115の辺の長さは、250〜400μmとなる。支持パッド115の上下方向の厚みの長さは、10〜50μmとなる。
封止用導体パターン117は、蓋体130と接合部材131を介して接合する際に、接合部材131の濡れ性をよくする役割を果たしている。封止用導体パターン117は、枠体110bの上面を囲むようにして設けられている。封止用導体パターン117は、図1、図4及び図5に示すように、第三ビア導体114cを介して、第三外部端子112cと電気的に接続されている。封止用導体パターン117は、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、枠体110bの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
蓋体130は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。このような蓋体130は、真空状態にある凹部K又は窒素ガスなどが充填された凹部Kを気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋体130は、所定雰囲気で、パッケージ110の枠体110b上に載置され、枠体110bの封止用導体パターン117と蓋体130の接合部材131とが接合されるように熱を印加させることで接合部材131を溶融し、枠体110bに接合される。また、蓋体130は、封止用導体パターン117、第三ビア導体114cを介して基板110aの下面の第三外部端子112cに電気的に接続されている。よって、蓋体130は、第三外部端子112cと電気的に接続されている。
接合部材131は、パッケージ110の枠体110b上面に設けられた封止用導体パターン117に相対する蓋体130の箇所に設けられている。接合部材131は、例えば、銀ロウ又は金錫によって設けられている。銀ロウの場合は、その厚みは、10〜20μmである。例えば、成分比率は、銀が72〜85%、銅が15〜28%のものが使用されている。金錫の場合は、その厚みは、10〜40μmである。例えば、成分比率が、金が78〜82%、錫が18〜22%のものが使用されている。
図2は、水晶デバイスから蓋体を剥がした状態を示すものであり、封止用導体パターン117上に、接合部材131が付着されている。封止用導体パターン117上に付着された接合部材131は、第一接合領域R1及び第二接合領域R2によって構成されている。このような水晶デバイスは、従来の水晶デバイスのように接合部材が一つの領域により形成されている場合と比較し、第一接合領域R1で固定した後、第二接合領域R2にて蓋体130と枠体110bとを接合しているため、第一接合領域R1で固定した後で、水晶デバイスの搬送時の振動が水晶デバイスに加わったとしても、蓋体140がパッケージ110から外れてしまったり、蓋体130が傾くことなく、蓋体130と枠体110bの間に隙間が生じることを抑えることができるため、気密封止性を維持することができる。
また、第一接合領域R1は、後述する音叉型水晶素子120の水晶基部121側に位置する枠体110bの一辺に沿って設けられている。また、従来の音叉型水晶素子では、錘部に形成された周波数調整用電極を削ることで、音叉型水晶素子120の発振周波数を調整しているが、削られた金属屑が錘部128の近傍の枠体110bの上面に被着してしまうことがある。この状態で蓋体130と枠体110bとを仮固定を行うと、接合部材131と金属屑とで合金が形成され、融点が変化してしまうことから、合金箇所と接合部材との境界部分に隙間が生じてしまうことがある。本実施形態では、錘部128に形成された周波数調整用電極129を削ることで生じた金属が錘部128側に位置する枠体110bの一辺よりも基部121側に位置する枠体110bの一辺の方が距離が離れているため、水晶基部121側に位置する枠体110bの一辺に付着することを抑えることができるので、第一接合領域R1が、金属屑と接合部材131からなる合金になることを低減することができる。よって、第一接合領域R1と第二接合領域R2との境界部分に隙間が生じてしまうことを抑えることができるので、気密封止性をさらに維持することができる。
第二接合領域R2は、第一接合領域R1を囲むようにして設けられている。このようにすることで、仮に仮固定状態の第一接合領域R1に応力が加わり、第一接合領域R1と蓋体130との界面に亀裂が生じてしまったとしても、第一接合領域R1を囲むようにして第二接合領域R2が設けられているため、気密封止性を維持することができる。
ここで、基板110aの作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、ビア導体114、支持パッド115及び封止用導体パターン117となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
音叉型水晶素子120は、図1〜図3に示すように、水晶基部121、水晶振動部123及び水晶支持部124からなる。音叉型水晶素子120の表面には、励振電極125a、125b、126a及び126bと、引き出し電極127a及び127bと、錘部128及び周波数調整電極129とにより構成されている。
水晶基部121は、後述する水晶振動部123を支持し、音叉型水晶素子120をパッケージ110上に保持固定するためのものである。水晶基部121は、結晶の軸方向として電気軸がX軸、機械軸がY軸、及び光軸がZ軸となる直交座標系としたとき、X軸回りに−5°〜+5°の範囲内で回転させたZ′軸の方向が厚み方向となる平面視略四角形の平板である。
水晶振動部123は、例えば、その表面に所望のパターンの励振電極125、126を形成し、その励振電極125、126に電位を印加することにより、所望の周波数の振動を励起するためのものである。水晶振動部123は、振動腕部122と錘部128によって構成されている。振動腕部122の先端部、つまり、水晶基部121と反対側の振動腕部122の端部に、ハンマーヘッド形状の錘部128が設けられている。また、水晶振動部123は、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bとからなる。第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bは、水晶基部121の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。また、振動腕部122は、第一振動腕部122a及び第二振動腕部122bによって構成されている。
水晶支持部124は、前述した水晶基部121と共に音叉型水晶素子120をパッケージ110上に保持固定するためのものである。水晶支持部124は、水晶基部121の水晶振動部123が形成されている面と同一方向の面より、水晶振動部123と同一方向に延出するように設けられている。つまり、水晶支持部124は、水晶基部121の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。また、水晶支持部124は、水晶振動部123よりも外側に位置するように設けられている。このような音叉型水晶素子120は、水晶基部121、各水晶振動部123及び水晶支持部124と一体となって音叉形状を成しており、フォトリソグラフィー技術と化学エッチング技術により製造される。
励振電極125aは、図1〜図3に示すように、第一水晶振動部123aの第一振動腕部122aの表裏主面に設けられている。また、励振電極126bは、第一水晶振動部123aの第一振動腕部122aの対向する両側面に設けられている。また、一方の引き出し電極127aは、平面視して、水晶支持部124の中心付近及び水晶基部121側付近に設けられている。他方の引き出し電極127bは、励振電極125a、126aと電気的に接続されており、水晶支持部124と水晶基部121の境界付近の表裏主面に設けられている。
また、励振電極125bは、図1〜図3に示すように、第二水晶振動部123bの第二振動腕部122bの表裏主面に設けられている。また、励振電極126aは、第二水晶振動部123bの第二振動腕部122bの対向する両側面に設けられている。他方の引き出し電極127bは、励振電極125b、126bと電気的に接続されており、水晶基部121及び水晶支持部124の表裏主面に設けられている。また、他方の引き出し電極127bは、水晶基部121から水晶支持部124に跨るようにして設けられている。
錘部128は、水晶基部121と反対側の水晶振動部123の端部に、ハンマーヘッド形状で設けられている。錘部128は、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を調整するためのものである。具体的には、錘部128を設けることで、水晶振動部123の先端側へ錘を設けた状態に近づけることができるため、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を、錘部128がない場合と比較して低くなるようにすることができ、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を所望の周波数となるように調整している。また、錘部128は、第一水晶振動部123aの先端部に設けられている第一錘部128aと、第二水晶振動部123bの先端部に設けられている第二錘部128bとで構成されている。
切込み部Mは、錘部128に設けられ、錘部128の表面積を大きくし、錘部128に形成された後述する周波数調整電極129の表面積を大きくするためのものである。また、切込み部Mは、平面視した際に、錘部128の水晶基部121側に位置する辺から水晶振動部123の延出方向に沿って設けられている。このようにすることにより、振動腕部122と錘部128との境界付近に形成される残渣が、切込み部Mによって形成されにくくなるため、音叉型水晶素子120の形状を維持することができる。また、このように錘部128の水晶基部121側に切込み部Mを形成することにより、周波数調整電極129をレーザにより除去する際に、切込み部Mがレーザにより削り取られることなく、錘部128の重さをさらに微調整することができる。
周波数調整電極129は、レーザ等で削ることにより、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を所望の周波数となるように調整するためのものである。周波数調整電極129は、第一周波数調整電極129a及び第二周波数調整電極129bによって構成されている。第一周波数調整電極129aは、第一錘部128aの表主面及び側面の先端部に設けられ、第二周波数調整電極129bは、第二錘部128bの表主面及び両側面の先端部に設けられている。
なお、音叉型水晶素子120は、周波数調整電極129を構成する金属の量を増減させることにより、その周波数値を所望する値に調整することができる。励振電極125b及び126bと、第一周波数調整電極129aとは、図3に示すように、水晶片表面に設けられた引き出し電極127bにより電気的に接続している。また、励振電極125a及び126aと、第二周波数調整電極129bとは、水晶支持部124の表面に設けられた引き出し電極127aにより電気的に接続している。
この音叉型水晶素子120を振動させる場合、引き出し電極127a及び127bに交番電圧を印加する。印加後のある電気的状態を瞬間的にとらえると、第二水晶振動部123bの励振電極126bは+(プラス)電位となり、励振電極126aは−(マイナス)電位となり、+から−に電界が生じる。一方、このときの第一水晶振動部123aの励振電極126は、第二水晶振動部123bの励振電極126に生じた極性とは反対の極性となる。これらの印加された電界により、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bに伸縮現象が生じ、各水晶振動部123に設定した共振周波数の屈曲振動を得る。
水晶片を平面視したときの長辺寸法が0.8〜1.2mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.2〜0.7mmである場合を例にして、水晶基部121、水晶振動部123及び水晶支持部124を説明する。水晶基部121を平面視したときの長辺寸法が0.1〜0.3mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.1〜0.3mmである。水晶振動部123を平面視したときの長辺寸法が0.6〜0.9mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.04〜0.2mmである。水晶支持部124を平面視したときの長辺寸法が0.6〜0.9mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.03〜0.2mmである。
ここで、音叉型水晶素子120の動作について説明する。音叉型水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極127から励振電極125、126を介して水晶振動部123に印加されると、水晶振動部123が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、音叉型水晶素子120の作製方法について説明する。まず、音叉型水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶片の両主面にフォトリソグラフィー技術によって、水晶基部121、水晶振動部123及び水晶支持部124を形成する。その後、フォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振電極125、126及び引き出し電極127を形成することにより作製される。
本実施形態に係る水晶デバイスは、矩形状の基板110aと、基板110aの外周縁に沿って設けられた枠体110bと、基板110a上の一辺に沿って設けられた一対の電極パッド111と、基板110a上の一辺と向かい合う一辺に沿って設けられた支持パッド114と、矩形状の水晶基部121と、水晶基部121の側面より延出した水晶基部121の一部である水晶振動部123と、水晶基部121の同一面より、水晶振動部123と同一方向に延出するように設けられた水晶支持部124と、水晶振動部123の上面及び下面に設けられた励振電極125、126と、水晶振動部123から水晶基部121及び水晶支持部124にかけて設けられ励振電極125、126と電気的に接続された引き出し電極127と、を有し、電極パッド111に実装された音叉型水晶素子120と、枠体110bに接合部材131を介して接合された蓋体130と、を備え、音叉型水晶素子120の水晶基部120側に位置する枠体110bの上面に設けられた接合部材131には、第一接合領域R1及び第二接合領域R2が設けられている。このような水晶デバイスは、従来の水晶デバイスのように接合部材が一つの領域により形成されている場合と比較し、第一接合領域R1で固定した後、第二接合領域R2にて蓋体130と枠体110bとを接合しているため、第一接合領域R1で固定した後で、水晶デバイスの搬送時の振動が水晶デバイスに加わったとしても、蓋体140がパッケージ110から外れてしまったり、蓋体130が傾くことなく、蓋体130と枠体110bの間に隙間が生じることを抑えることができるため、気密封止性を維持することができる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、第一接合領域R1が、水晶基部121側に位置する枠体110bの一辺に沿って設けられている。従来の水晶デバイスでは、音叉型水晶素子の錘部に形成された周波数調整用電極を削ることで、音叉型水晶素子120の発振周波数を調整しているが、削られた金属屑が錘部128の近傍の枠体110bの上面に被着してしまうことがある。この状態で蓋体130と枠体110bとを仮固定を行うと、接合部材131と金属屑とで合金が形成され、融点が変化してしまうことから、合金箇所と接合部材との境界部分に隙間が生じてしまうことがある。本実施形態の水晶デバイスでは、錘部128に形成された周波数調整用電極129を削ることで生じた金属が錘部130側に位置する枠体110bの一辺よりも基部121側に位置する枠体110bの一辺の方が距離が離れているため、水晶基部121側に位置する枠体110bの一辺に付着することを抑えることができるので、第一接合領域R1が、金属屑と接合部材131からなる合金になることを低減することができる。よって、第一接合領域R1と第二接合領域R2との境界部分に隙間が生じてしまうことを抑えることができるので、気密封止性をさらに維持することができる。
また、本実施形態の水晶デバイスは、第一接合領域R1を囲むようにして、第二接合領域R2が設けられている。このようにすることで、仮に仮固定状態の第一接合領域R1に応力が加わり、第一接合領域R1と蓋体130との界面に亀裂が生じてしまったとしても、第一接合領域R1を囲むようにして第二接合領域R2が設けられているため、気密封止性を維持することができる。
(製造方法)
水晶デバイスの製造方法は、略矩形状の水晶基部121と、水晶基部121の側面より延出するように設けられ、振動腕部122と錘部128によって構成された水晶振動部123と、水晶基部121の側面より水晶振動部123と同一方向に延出するように設けられた一つの水晶支持部124と、を有する水晶片を形成し、振動腕部122の上面、下面及び側面に励振電極125、126と、水晶振動部123から水晶基部121、水晶支持部124にかけて設けられ、励振電極125、126と電気的に接続された引き出し電極と、を設け、音叉型水晶素子120を形成する音叉型水晶素子形成工程と、基板110aと、基板110aの外周縁に沿って設けられた枠体110bとによって構成されたパッケージ110を準備するパッケージ準備工程と、基板110aの上面に設けられた電極パッド111に音叉型水晶素子120を実装する水晶素子実装工程と、枠体110bの上面に蓋体130を載置し、水晶基部121側に位置する蓋体130の一辺の一部を接合する第一接合工程と、蓋体130を枠体120に接合する第二接合工程と、を含んでいる。
(音叉型水晶素子形成工程)
音叉型水晶素子形成工程は、略矩形状の水晶基部121と、水晶基部121の側面より延出するように設けられ、振動腕部122と錘部128によって構成された水晶振動部123と、水晶基部121の側面より水晶振動部123と同一方向に延出するように設けられた一つの水晶支持部124と、を有する水晶片を形成し、振動腕部122の上面、下面及び側面に励振電極125、126と、水晶振動部123から水晶基部121、水晶支持部124にかけて設けられ、励振電極125、126と電気的に接続された引き出し電極127と、を形成する工程である。水晶片を形成するには、水晶ウエハ形成工程、耐食膜形成工程、第一レジスト膜形成工程、第一露光現像工程、第一耐食膜エッチング工程、第二レジスト膜形成工程、第二露光現像工程、水晶エッチング工程及び第二耐食膜エッチング工程を含んでいる。
まず、水晶ウエハ形成工程は、互いに直交しているX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有した水晶部材から水晶ウエハを形成する工程である。水晶ウエハ形成工程では、ランバード人工水晶が所定のカットアングルで切断された時、上下方向の厚みが所定の厚みとなるまで研磨される。水晶ウエハ形成工程後の水晶ウエハは、対向している二面が、X軸およびY軸に平行な面を、X軸を中心に−5°〜5°回転させた面と平行となっている。
耐食膜形成工程は、水晶ウエハの両主面に耐食膜を設ける工程である。ここで、水晶ウエハの主面とは、X軸およびY軸に平行な面を、X軸を中心に−5°〜5°回転させた面と平行な面とする。耐食膜形成工程では、水晶エッチング工程でエッチングされない材質からなる金属膜が、スパッタリング技術または蒸着技術により、水晶ウエハの両主面に被着される。耐食膜は、例えば、クロムが用いられる。なお、ここで、耐食膜の一例としてクロムを挙げているが、クロム、チタン、ニクロム、ニッケルのいずれか一つから選択された金属層上に、金、銀、パラジウム、金を主成分とする金属、銀を主成分とする金属、パラジウムを主成分とする金属のいずれか一つから選択された金属層が積層さえた積層構造にしてもよい。
第一レジスト膜形成工程は、耐食膜が形成された水晶ウエハに第一レジストを塗布する工程である。第一露光現像工程では、第一レジストが塗付された水晶ウエハを所定のパターンに露光、現像する工程である。第一露光現像工程後の水晶ウエハを平面視すると、溝部118となる部分および水晶片の外周縁に沿って耐食膜が露出している状態となっている。第一耐食膜エッチング工程は、第一露光現像工程後の水晶ウエハであって、露出している耐食膜をエッチングする工程である。従って、第一耐食膜エッチング工程後の水晶ウエハを平面視すると、溝部となる部分及び水晶片の外周縁に沿って水晶ウエハが露出している状態となっている。このとき、第一レジストも除去された状態となっている。
第二レジスト膜形成工程は、第一耐食膜エッチング工程後の水晶ウエハに第二レジストを塗布する工程である。第二露光現像工程は、第二レジストが塗付された水晶ウエハを所定のパターンに露光、現像する工程である。第二露光現像工程後の水晶ウエハを平面視すると、励振電極125、126及び引き出し電極127となる部分は耐食膜が露出した状態となっている。
水晶エッチング工程は、第二露光現像工程後の水晶ウエハを所定のエッチング溶液に浸漬させて、露出している水晶ウエハをエッチングする工程である。第二耐食膜エッチング工程は、露出している耐食膜をエッチングし除去する工程である。第二露光現像工程の水晶ウエハを平面視すると励振電極125、126、引き出し電極127となる部分の耐食膜が露出した状態となっているため、第二耐食膜エッチング工程後の水晶ウエハを平面視すると、励振電極125、126及び引き出し電極127となる部分の水晶が露出した状態となっている。また、水晶片の側面となる部分が露出した状態となっている。
まず、第二耐食膜エッチング工程後の水晶ウエハに、金属膜を成膜する。第一電極形成工程では、スパッタリング技術または蒸着技術が用いられ、クロム、チタン、ニクロム、ニッケルのいずれか一つから選択された金属層上に、金、銀、パラジウム、金を主成分とする金属、銀を主成分とする金属、パラジウムを主成分とする金属のいずれか一つから選択された金属層が積層された積層構造の金属膜が、水晶ウエハの露出している部分に被着される。第二レジスト除去工程は、水晶ウエハの第二レジストを除去する工程である。耐食膜除去工程は、耐食膜を除去する工程である。
(パッケージ準備工程)
パッケージ準備工程は、基板110aと、基板110aの外周縁に沿って設けられた枠体110bとによって構成されたパッケージ110を準備する工程である。パッケージ準備工程は、基板110aと、基板110aの上面の外周縁に沿って設けられた枠体110bと、基板110aの上面に設けられた一対の電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた外部端子112とが電気的に接続されたパッケージ110を準備する工程である。
(水晶素子実装工程)
基板110aの上面に設けられた電極パッド111に音叉型水晶素子120を実装する工程である。まず、パッケージ110に設けられた電極パッド111上に導電性接着剤140を塗布する。この導電性接着剤140の位置に合わせて、水晶素子120を吸着したノズル(図示せず)を移動させ、電極パッド111に塗布された導電性接着剤140の外周縁が、音叉型水晶素子120の引き出し電極127に位置するようにして、導電性接着剤140上に音叉型水晶素子120を載置する。音叉型水晶素子120の引き出し電極127とパッケージ110の電極パッド111上に塗布された導電性接着剤140とを相対するようにして、水晶素子120を導電性接着剤140上に載置する。次に、大気雰囲気中または窒素雰囲気中の硬化アニール炉の内部空間にパッケージ110を収容した状態で、導電性接着剤140を加熱硬化させ、電極パッド111と音叉型水晶素子120とを導通固着する。
硬化アニール炉(図示せず)は、炉本体と、加熱部と、供給部、制御部によって構成されている。炉本体は、内部空間を有し、パッケージ110を格納する役割を果たす。加熱部は、内部空間を所定の温度に加熱する役割を果たす。加熱部は、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が用いられている。供給部は、内部空間にガスを供給する役割を果たす。ガスは、例えば窒素等が用いられている。制御部は、炉本体の内部空間の温度や酸素濃度、加熱部の昇温速度、供給部のガスの供給量の制御を行うものである。
(第一接合工程)
第一接合工程は、枠体110bの上面に蓋体130を載置し、水晶基部121側に位置する蓋体130の一辺の一部を接合する工程である。水晶基部121側に位置するように、蓋体130の一辺の一部を枠体110bに接合することで、第一接合領域R1を形成する。このようにすることで、第一接合工程で固定した後、後述する第二接合工程により蓋体130と枠体110bとを接合しているため、第一接合工程で固定した後で、後述する第二接合工程に水晶デバイスが搬送されるため、水晶デバイスの搬送時の振動により、蓋体140がパッケージ110から外れてしまったり、蓋体130が傾くことなく、蓋体130と枠体110bの間に隙間が生じることを抑えることができるため、気密封止性を維持することができる。
第一接合工程には、レーザが用いられ、水晶基部121側に位置するように、蓋体130の一辺と対向する枠体110b照射される。このように枠体110bに照射することでパッケージ110を熱し、蓋体130をパッケージ110に接合することができる。レーザは、レーザ発振装置(図示せず)より発振される。レーザ発振装置は、ステージに固定されるパッケージに対し、レーザ発振部で発振されて光路で伝送されて集光光学系で集光されたレーザ光をパッケージの平面の法線方向より照射する。レーザ発振部としては、例えば炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、半導体レーザ、エキシマレーザ等を用いる。例えばYVO4レーザの場合には、そのレーザの3倍波で、波長が例えば300〜400nmのものを用いる。
(第二接合工程)
第二接合工程は、蓋体130を枠体110bに接合する工程である。第二接合工程は、図6(c)に示すように、音叉型水晶素子120を気密封止するようにパッケージ110に蓋体130を接合する工程である。蓋体130は、窒素ガス雰囲気中や真空雰囲気中で、パッケージ110の枠体110bの封止用導体パターン117上に載置される。封止用導体パターン117と蓋体130とを接合部材131を介して接合されるように、接合部材131を加熱溶融することにより、蓋体130とパッケージ110とを接合するようにしても構わない。その際に、加熱手段としては、キセノンランプやハロゲンランプ等が用いられる。
本実施形態の水晶デバイスの製造方法は、略矩形状の水晶基部121と、水晶基部121の側面より延出するように設けられ、振動腕部122と錘部128によって構成された水晶振動部123と、水晶基部121の側面より水晶振動部123と同一方向に延出するように設けられた一つの水晶支持部124と、を有する水晶片を形成し、振動腕部122の上面、下面及び側面に励振電極125、126と、水晶振動部123から水晶基部121、水晶支持部124にかけて設けられ、励振電極125、126と電気的に接続された引き出し電極127と、を設け、音叉型水晶素子120を形成する音叉型水晶素子形成工程と、基板110aと、基板110aの外周縁に沿って設けられた枠体110bとによって構成されたパッケージ110を準備するパッケージ準備工程と、基板の上面に設けられた電極パッド111に音叉型水晶素子120を実装する水晶素子実装工程と、枠体110bの上面に蓋体130を載置し、水晶基部121側に位置する蓋体130の一辺の一部を接合する第一接合工程と、蓋体を枠体に接合する第二接合工程と、を含んでいる。このような水晶デバイスの製造方法は、従来の水晶デバイスの製造方法のように接合部材が一つの領域で接合されている場合と比較し、第一接合工程で固定した後で、後述する第二接合工程に水晶デバイスが搬送されるため、水晶デバイスの搬送時の振動により、蓋体140がパッケージ110から外れてしまったり、蓋体130が傾くことなく、蓋体130と枠体110bの間に隙間が生じることを抑えることができるため、気密封止性を維持することができる。よって、水晶デバイスの生産性を向上させることが可能となる。
(第一変形例)
以下、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子120について説明する。なお、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子のうち、上述した音叉型水晶素子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第一変形に係る音叉型水晶素子120は、図7に示すように、水晶振動部123に設けられた溝部Dを備え、溝部D内に励振電極125が設けられており、溝部D内に設けられた突起部Pと、を備えている点で異なっている。
溝部Dは、例えば、その溝部D内の表面に所望のパターンの励振電極125を形成し、その電極に電位を印加することにより、溝部Dを設けていない場合に比べてより大きな電界強度を得るために用いるものである。溝部Dは、第一溝部D1及び第二溝部D2により構成されている。第一溝部D1は、第一水晶振動部123aの表裏主面に各一本ずつ、第一水晶振動部123aの長さ方向に平行して、第一水晶振動部123aの第一振動腕部122aの表裏両主面で対向するように設けられている。第一溝部D1の一方の端部は、第一水晶振動部123aにおける水晶基部121との基端側に設けられており、第一溝部D1の他方の端部は、第一振動腕部122aの先端側に位置するように設けられている。また、第二溝部D2は、第二水晶振動部123bの表裏主面に各一本ずつ、第二水晶振動部123bの長さ方向に平行して、第二水晶振動部123bの第二振動腕部122bの表裏両主面で対向するように設けられている。第二溝部D2の一方の端部は、第二水晶振動部123bにおける水晶基部121との基端側に設けられており、第二溝部D2の他方の端部は、第二振動腕部122bの先端側に位置するように設けられている。第一溝部D1及び第二溝部D2の長さは、例えば、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bの長さの50〜80%となっている。
突起部Pは、溝部Dをエッチングにより形成する際に、水晶結晶のエッチング異方性よる結晶方位によるエッチングレートの違いによって、音叉型水晶素子120の外形と溝部Dとを同時に形成するためのものである。突起部Pは、第一溝部D1内に設けられている複数の第一突起部P1と、第二溝部D2内に設けられている複数の第二突起部P2とで構成されている。突起部Pは、溝部D内の+X軸側の長さ方向側面から−X軸側の長さ方向側面に向かって、X′軸方向に延びるように、等間隔で複数個設けられている。突起部Pの突出寸法は、溝部Dの幅寸法により変わるものであり、−X´方向の長さで見ると0.005〜0.015mm程度となっている。
本実施形態の第一変形例に係る水晶デバイスは、その水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子120が、水晶振動部123に設けられた溝部Dを備え、溝部D内に励振電極125が設けられている。このような水晶デバイスは、その水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子120が、溝部Dを設けていない場合に比べてより大きな電界強度を得ることができる。
また、本実施形態の第一変形例に係る水晶デバイスは、その水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子120が、溝部D内に設けられた突起部Pを備えている。このように突起部Pを設けることによって、第一溝部D1及び第二溝部D2をエッチングにより形成する際に、水晶結晶のエッチング異方性よる結晶方位によるエッチングレートの違いによって、音叉型水晶素子120の外形と、溝部Dとを同時にエッチングにより形成することができる。よって、水晶デバイスの生産性を向上させることができる。
また、本実施形態の第一変形例に係る水晶デバイスは、その水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子が、突起部Pが各溝部D内に等間隔で設けられているが、音叉型水晶素子120の大きさによっては、それぞれの突起部P同士の間隔を異なるようにしている。このように突起部P同士の間隔を異ならせることで、水晶振動部123の振動腕部122の表裏に形成された溝部D内に設けられた突起部Pが、平面透視した際に、突起部Pが重ならない位置に配置することができる。よって、エッチングにより溝部Dを形成する際に、溝部Dが貫通してしまうことを低減することができる。
(第二変形例)
以下、本実施形態の第二変形例における水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子120について説明する。なお、本実施形態の第二変形例における水晶デバイスを構成する音叉型水晶素子のうち、上述した音叉型水晶素子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第二変形例に係る音叉型水晶素子120は、図8に示すように、一つの水晶振動部123に対して、溝部Dの本数が二本になっている点で異なっている。
また、溝部Dは、第一溝部D1、第二溝部D2、第三溝部D3及び第四溝部D4により構成されている。第一溝部D1及び第二溝部D2は、第一水晶振動部123aの表裏主面に各一本ずつ、第一水晶振動部123aの長さ方向に平行して、第一水晶振動部123aの表裏両主面で対向するように設けられている。第一溝部D1及び第二溝部D2の一方の端部は、第一水晶振動部123aにおける水晶基部121との基端側に設けられており、第一溝部D1及び第二溝部D2の他方の端部は、第一水晶振動部123aの先端側に位置するように設けられている。また、第三溝部D3及び第四溝部D4は、第二水晶振動部123bの表裏主面に各一本ずつ、第二水晶振動部123bの長さ方向に平行して、第二水晶振動部123bの表裏両主面で対向するように設けられている。第三溝部D3及び第四溝部D4の一方の端部は、第二水晶振動部123bにおける水晶基部121との基端側に設けられており、第三溝部D3及び第四溝部D4の他方の端部は、第二水晶振動部123bの先端側に位置するように設けられている。また、溝部Dが複数設けられていることにより、溝部D内に設けられた励振電極125、126に電位を印加することで、溝部Dが一つの場合に比べてより水晶振動部123の振動腕部122の上面、下面及び側面に設けられた励振電極125、126の距離を短くすることができ、クリスタルインピーダンスを小さくすることができる。また、その際に、水晶振動部123を大きくエッチングすることで水晶振動部123の強度が小さくなり耐衝撃性が小さくなってしまうが、水晶基部121及び水晶支持部124により保持する構成と相まって、その衝撃を吸収することができ、音叉型水晶素子120としての耐衝撃性を向上させることが可能となる。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記実施形態では、枠体110bが基板110aと同様にセラミック材で一体的に形成した場合を説明したが、枠体110bが金属製であっても構わない。この場合、枠体は、銀−銅等のロウ材を介して基板の導体膜に接合されている。