JP2018123813A - ターボチャージャ用ハウジング - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイカストにより容易に成形可能な冷媒流路を有するターボチャージャ用ハウジングを提供する。
【解決手段】ターボチャージャ用ハウジング1には、コンプレッサインペラ13が収容され、吸気口11、スクロール室形成部120、シュラウド部20、ディフューザ部30及び冷媒流路5が備えられる。冷媒流路5は、ディフューザ通路15を通過する圧縮空気を冷却するための冷媒を流通させるものであって、ディフューザ通路15の周辺に鋳込まれた状態で取り付けられた中空部材50からなる。
【選択図】図2
【解決手段】ターボチャージャ用ハウジング1には、コンプレッサインペラ13が収容され、吸気口11、スクロール室形成部120、シュラウド部20、ディフューザ部30及び冷媒流路5が備えられる。冷媒流路5は、ディフューザ通路15を通過する圧縮空気を冷却するための冷媒を流通させるものであって、ディフューザ通路15の周辺に鋳込まれた状態で取り付けられた中空部材50からなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、ターボチャージャ用ハウジングに関する。
自動車等の内燃機関に搭載されるターボチャージャは、コンプレッサインペラとタービンインペラとを有し、これらがハウジングに収容されている。コンプレッサインペラはハウジングの内部に形成された空気流路に配されている。空気流路には、コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、コンプレッサインペラから吐出された圧縮空気が通過するディフューザ通路と、ディフューザ通路を通過した圧縮空気が流れ込む吐出スクロール室とを有する。吐出スクロール室は圧縮空気を内燃機関側へ吐出する
そして、自動車等の内燃機関には、クランクケース内に発生したブローバイガス(主に未燃焼ガス)を吸気通路に還流させ、クランクケース内やヘッドカバー内を浄化させるブローバイガス還流装置(以下、PCVという)を備えたものがある。この場合、ブローバイガスに含まれるオイル(オイルミスト)がPCVからターボチャージャにおけるコンプレッサの上流側の吸気通路に流出することがある。
このとき、コンプレッサの出口空気圧力が高いとその出口空気温度も高くなるため、PCVから流出したオイルが蒸発を起因とする濃縮・高粘度化によってコンプレッサハウジングのディフューザ面やそれに対向する軸受ハウジングの表面等にデポジットとなって堆積することがある。そして、堆積したデポジットによってディフューザ通路が狭められ、ターボチャージャの性能低下を招き、さらには内燃機関の出力低下を招くおそれがある。
従来は、上述したようなディフューザ通路におけるデポジットの堆積を防止するため、コンプレッサの出口空気温度をある程度抑制していた。そのため、ターボチャージャの性能を充分に発揮することができず、また内燃機関の出力を充分に高めることができなかった。
特許文献1には、ディフューザ通路におけるデポジットの堆積を防止するために、ハウジングの内壁部に設けた冷媒流路に冷媒を流通させることにより、ハウジング内の空気流路を通過する圧縮空気の温度上昇を抑制する構成が開示されている。
冷媒流路を内壁部に有するハウジングを成形する方法として、砂中子を用いた重力鋳造が考えられる。この方法によれば、形状自由度が高く、複雑な形状にも対応できる。しかしながら、この方法では、鋳造サイクルが長く、砂中子を除去するための砂落とし作業や砂残りの検査作業が必要となるため、製造工数が増加して生産性が低下する。また、鋳巣欠陥により冷媒流路が外部と連通して冷媒が外部に漏れ出す恐れもある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、ダイカストにより容易に成形可能な冷媒流路を有するターボチャージャ用ハウジングを提供しようとするものである。
本発明の一実施形態は、コンプレッサインペラが収容されるターボチャージャ用ハウジングであって、
上記コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、
上記コンプレッサインペラの外周側において周方向に形成され、上記コンプレッサインペラから吐出される圧縮空気を外部へ導くスクロール室を形成するスクロール室形成部と、
上記コンプレッサインペラを周方向に囲むとともに該コンプレッサインペラに対向するシュラウド面を有するシュラウド部と、
上記コンプレッサインペラの外周から上記スクロール室に向けて延びるとともに上記コンプレッサインペラから吐出される上記圧縮空気を通過させるディフューザ通路を形成するディフューザ部と、
上記ディフューザ通路を通過する圧縮空気を冷却するための冷媒を流通させる冷媒流路と、
を備え、
上記冷媒流路は、上記ディフューザ通路の周辺に鋳込まれた状態で取り付けられた中空部材からなる、ターボチャージャ用ハウジングにある。
上記コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、
上記コンプレッサインペラの外周側において周方向に形成され、上記コンプレッサインペラから吐出される圧縮空気を外部へ導くスクロール室を形成するスクロール室形成部と、
上記コンプレッサインペラを周方向に囲むとともに該コンプレッサインペラに対向するシュラウド面を有するシュラウド部と、
上記コンプレッサインペラの外周から上記スクロール室に向けて延びるとともに上記コンプレッサインペラから吐出される上記圧縮空気を通過させるディフューザ通路を形成するディフューザ部と、
上記ディフューザ通路を通過する圧縮空気を冷却するための冷媒を流通させる冷媒流路と、
を備え、
上記冷媒流路は、上記ディフューザ通路の周辺に鋳込まれた状態で取り付けられた中空部材からなる、ターボチャージャ用ハウジングにある。
上記一形態のターボチャージャ用ハウジングによれば、当該ハウジングが備える冷媒流路は中空部材からなり、当該中空部材はターボチャージャ用ハウジングに鋳込まれている。これにより、中空部材はターボチャージャ用ハウジングに埋め込まれた状態となっている。そのため、ターボチャージャ用ハウジングをダイカストで成形する際に、冷媒流路の型抜きを考慮する必要がないため、当該冷媒流路を有するターボチャージャ用ハウジングをダイカストで容易に成形することができる。その結果、生産性の向上を図ることができる。また、万が一、当該ターボチャージャ用ハウジングに鋳巣が生じていても、中空部材の内部が外部と連通することがないので、冷媒流路から冷媒が漏れ出すおそれもない。
以上のように、本発明によれば、ダイカストにより容易に成形可能な冷媒流路を有するターボチャージャ用ハウジングを提供することができる。
本明細書において「周方向」とはコンプレッサインペラの回転方向、「軸方向」とはコンプレッサインペラの回転軸の方向をいうものとする。
上記ターボチャージャ用ハウジングは、少なくとも上記ディフューザ部の一部及び上記シュラウド部を有するシュラウドピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の一部を有するスクロールピースとに分割されてなり、上記中空部材は、上記シュラウドピース又は上記スクロールピースの一方に鋳込まれた状態で取り付けられていることが好ましい。この場合には、当該ターボチャージャ用ハウジングを構成するシュラウドピース及びスクロールピースを型抜き可能な形状とすることができるため、ダイカストで成形することが一層容易となる。
上記ターボチャージャ用ハウジングは、少なくとも上記ディフューザ部の一部及び上記シュラウド部を有するシュラウドピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の一部を有するスクロールピースとに分割されてなり、上記中空部材は、上記シュラウドピースに鋳込まれた状態で取り付けられている第1部材と、上記スクロールピースに鋳込まれた状態で取り付けられている第2部材とからなり、上記第1部材と上記第2部材とが連通していることが好ましい。この場合には、シュラウドピース及びスクロールピースの両方に冷媒流路が形成されるため、圧縮空気の冷却効率を高めることができる。さらに、シュラウドピースの冷媒流路とスクロールピースの冷媒流路とが連通しているため、冷媒の出口と入口とが一つずつで済み、構成を簡素化できる。
上記第2部材の少なくとも一部は、上記スクロール室形成部に鋳込まれた状態で取り付けられていることが好ましい。この場合には、第2部材により形成された冷媒流路を流通する冷媒により、スクロール室を冷却してスクロール室に到達した圧縮空気を冷却することができるため、スクロール室に到達した圧縮空気によるターボチャージャ用ハウジングの温度上昇を抑制できる。
上記スクロールピースは、上記スクロール室を流通する圧縮空気を外部に吐出するための吐出ポートを形成する吐出ポート形成部を有し、上記第2部材の少なくとも一部は、上記吐出ポート形成部に鋳込まれた状態で取り付けられていることが好ましい。この場合には、第2部材により形成された冷媒流路を流通する冷媒により、吐出ポートを冷却して吐出ポートに到達した圧縮空気を冷却することができるため、吐出ポートに到達した圧縮空気によるターボチャージャ用ハウジングの温度上昇を抑制できる。
上記第2部材は、上記スクロールピースの外方に突出する突出部を有することが好ましい。この場合には、ダイカストにより第2部材が鋳込まれた状態のスクロールピースを形成する際に、スクロールピースから突出した突出部によって第2部材を固定又は保持することにより、第2部材の位置決めと成形時の位置ずれ防止が可能となる。
上記ターボチャージャ用ハウジングは、少なくとも上記シュラウド部を有するシュラウドピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の上記吸気口側部分を有するスクロールピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の上記吸気口と反対側の部分及び上記コンプレッサインペラにおける上記吸気口と反対側を覆う部分を有するシールプレートと、に分割されてなり、上記中空部材は、上記シュラウドピース、上記スクロールピース及び上記シールプレートのいずれかに鋳込まれた状態で取り付けられていることが好ましい。この場合には、当該ターボチャージャ用ハウジングが、シュラウドピース、スクロールピース及びシールプレートからなる構造を有する場合においても、圧縮空気を冷却して、デポジットの付着と堆積とを抑制することができる。
(実施例1)
以下、上記ターボチャージャ用ハウジングの実施例について説明する。
図2に示すように、ターボチャージャ用ハウジング1には、コンプレッサインペラ13が収容され、吸気口11、スクロール室形成部120、シュラウド部20、ディフューザ部30及び冷媒流路5が備えられる。
吸気口11はコンプレッサインペラ13に向けて空気を吸い込む。
スクロール室形成部120は、コンプレッサインペラ13の外周側において周方向に形成され、コンプレッサインペラ13から吐出される圧縮空気を外部へ導くスクロール室12を形成している。
シュラウド部20は、コンプレッサインペラ13を周方向に囲むとともにコンプレッサインペラ13に対向するシュラウド面22を有する。
ディフューザ部30は、コンプレッサインペラ13の外周からスクロール室12に向けて延びるとともにコンプレッサインペラ13から吐出される圧縮空気を通過させるディフューザ通路15を形成している。
冷媒流路5は、ディフューザ通路15を通過する圧縮空気を冷却するための冷媒を流通させる。そして、冷媒流路5は、ディフューザ通路15の周辺に鋳込まれた状態で取り付けられた中空部材50からなる。
以下、上記ターボチャージャ用ハウジングの実施例について説明する。
図2に示すように、ターボチャージャ用ハウジング1には、コンプレッサインペラ13が収容され、吸気口11、スクロール室形成部120、シュラウド部20、ディフューザ部30及び冷媒流路5が備えられる。
吸気口11はコンプレッサインペラ13に向けて空気を吸い込む。
スクロール室形成部120は、コンプレッサインペラ13の外周側において周方向に形成され、コンプレッサインペラ13から吐出される圧縮空気を外部へ導くスクロール室12を形成している。
シュラウド部20は、コンプレッサインペラ13を周方向に囲むとともにコンプレッサインペラ13に対向するシュラウド面22を有する。
ディフューザ部30は、コンプレッサインペラ13の外周からスクロール室12に向けて延びるとともにコンプレッサインペラ13から吐出される圧縮空気を通過させるディフューザ通路15を形成している。
冷媒流路5は、ディフューザ通路15を通過する圧縮空気を冷却するための冷媒を流通させる。そして、冷媒流路5は、ディフューザ通路15の周辺に鋳込まれた状態で取り付けられた中空部材50からなる。
以下、本例のターボチャージャ用ハウジング1について、詳述する。
図3に示すように、ターボチャージャ用ハウジング1は、互いに別部材として形成されたスクロールピース2とシュラウドピース3とを軸方向Yに組み付けてなる。そして、図2に示すように、ターボチャージャ用ハウジング1は、コンプレッサインペラ13が一端に取り付けられたシャフト14を軸受けする軸受機構(図示せず)が収納された軸受ハウジング4のシールプレート40に取り付けられる。
図3に示すように、ターボチャージャ用ハウジング1は、互いに別部材として形成されたスクロールピース2とシュラウドピース3とを軸方向Yに組み付けてなる。そして、図2に示すように、ターボチャージャ用ハウジング1は、コンプレッサインペラ13が一端に取り付けられたシャフト14を軸受けする軸受機構(図示せず)が収納された軸受ハウジング4のシールプレート40に取り付けられる。
スクロールピース2は、図2に示すように、吸気口11、第1スクロール室形成部121、外周部125を有する。吸気口11は、筒状をなすとともに軸方向Yに貫通形成された吸気口形成部110により形成されている。第1スクロール室形成部121は、スクロール室12における吸気側Y1の壁面を構成している。外周部125は、第1スクロール室形成部121の吸気側Y1と反対側Y2の部分であって、ターボチャージャ用ハウジング1の外周部を形成している。なお、図3に示すように、スクロールピース2の吸気口11の径方向外側には、後述するシュラウドピース3から突出した第1接続部511と第2接続部512に対応する位置に、貫通孔21、22が形成されている。
シュラウドピース3は、図2に示すように、シュラウド圧入部31、第2スクロール室形成部122、シュラウド部20及び第1ディフューザ部35を有する。シュラウド圧入部31は、筒状に形成され、吸気口11内に圧入される。第2スクロール室形成部122は、スクロール室12における内周側の壁面を形成している。シュラウド部20は、コンプレッサインペラ13に対向するシュラウド面22を形成している。第1ディフューザ部35はシュラウド面22からスクロール室12に向かって延びるディフューザ面34を形成している。
シールプレート40は、図2に示すように、第3スクロール室形成部123と、シールプレート挿入部41と、第2ディフューザ部36とを有する。第3スクロール室形成部123は、スクロール室12における外周側の壁面を構成している。シールプレート挿入部41は、外周部125の内側に挿入されている。第2ディフューザ部36は、第1ディフューザ部35とともに、ディフューザ部30を形成している。第2ディフューザ部36は、第1ディフューザ部35のディフューザ面34と所定距離をおいて対向する対向面37を有する。そして、ディフューザ面34と対向面37との間の空間がディフューザ通路15となっている。
図2に示すように、管状の中空部材50の内腔が冷媒流路5となっている。中空部材50は第1部材51と第2部材52とからなる。第1部材51及び第2部材52はいずれも耐腐食性を有する金属製である。第1部材51及び第2部材52を形成する材料としては、シュラウドピース3及びスクロールピース2を形成する材料の融点よりも高い融点を有するものを採用する。本例では、SUS系の耐腐食性材料を採用した。
図4、図5及び図6に示すように、第1部材51はシュラウドピース3に鋳込まれた状態で取り付けられている。そして、図4、図5及び図6に示すように、第1部材51は、第1ディフューザ部35の内部に位置しており、ディフューザ面34に沿って周方向に延びて略環状に形成されている。第1部材51の両端部は、吸気側Y1に屈曲してシュラウド圧入部31よりも径方向外側の位置でシュラウドピース3から突出しており、その一方は第1接続部511となっており、他方は第2接続部512となっている。図4及び図5に示すように、第1接続部511と第2接続部512の根元、すなわち、第1接続部511と第2接続部512とシュラウドピース3との境界近傍には、Оリング55がそれぞれ外嵌されている。
図7、図8に示すように、第2部材52はスクロールピース2に鋳込まれた状態で取り付けられている。そして、図8に示すように、第2部材52は第1スクロール室形成部121の内部に位置している。図7に示すように、第2部材52における一方の端部は、第1スクロール室形成部121から外方に突出して第3接続部521を形成している。そして、図8に示すように、第3接続部521は吸気側Y1に屈曲している。また、図7に示すように、第2部材52の他方の端部は、スクロールピース2における吐出ポート6を形成する吐出ポート形成部26から外方に突出して第4接続部522を形成している。
そして、図7に示すように、第2部材52の中間部には、スクロール室12に沿って周方向に延びるように形成されたスクロール延設部523と、スクロールピース2から径方向外側に突出した突出部524とが交互に形成されている。本例では、突出部524は4カ所に形成されている。さらにスクロール延設部523から第3接続部521に繋がる部分には、吐出ポート6を形成する吐出ポート形成部26の内部に位置して吐出ポート6の延びる方向に沿ってポート延設部526が形成されている。そして、図7に示すように、平面視において、第3接続部521、第4接続部522及び突出部524は、いずれもスクロールピース2の外方に放射状に延びるように形成されている。
次に、ターボチャージャ用ハウジング1の製造方法について説明する。
まず、スクロールピース2の成形方法について、図9、図10を用いて説明する。
スクロールピース2はダイカストにより成形する。図9に示すように、スクロールピース2用の下側金型7と図示しない上側金型とを用意する。
まず、スクロールピース2の成形方法について、図9、図10を用いて説明する。
スクロールピース2はダイカストにより成形する。図9に示すように、スクロールピース2用の下側金型7と図示しない上側金型とを用意する。
図9に示すように、下側金型7には、スクロールピース2の上面の外形に沿った第1凹部71と、第2部材52に沿う第2凹部72、第3凹部73及び第4凹部74を有する。第2凹部72〜74は、図10に示すように、第2部材52のうちスクロールピース2から突出する部分に沿っている。具体的には、第2凹部72は第2部材52の突出部524に沿っており、第3凹部73は第2部材52の第3接続部521に沿っており、第4凹部74は第2部材52の第4接続部522に沿っている。なお、図9において、ハッチングが施された部分は、凹部が形成されていない平面を示す。図示しない上側金型にはスクロールピース2の下面の外形に沿った凹部とともに、下側金型70の凹部72〜74と同様の凹部が形成されている。
そして、図10に示すように、予め所定の形状に屈曲させた第2部材52を下側金型7の凹部72〜74に沿わせて下側金型7に載置する。そして、当該下側金型7に図示しない上側金型を重ね合わせて、第2部材52を挟み込んで固定して鋳型を完成させる。その後、溶融したアルミを当該鋳型内に射出してダイカスト成形を行う。当該鋳型内に射出されたアルミが固化した後、上側金型及び下側金型7を取り外し、スクロールピース2を完成させる。これにより、スクロールピース2は第2部材52が鋳込まれた状態となっている。
シュラウドピース3についても、スクロールピース2の場合と同様にダイカストにより成形される。シュラウドピース3では、シュラウドピース3における中空部材50の第1部材51の両端部511、512が図示しない上側金型によって保持されて、第1部材51が位置決めされた状態でダイカスト成形される。これにより、シュラウドピース3には、第1部材51が鋳込まれた状態となっている。
なお、第1部材51は両端部511、512以外の部分に、シュラウドピース3のダイカスト成形時に第1部材51を支持するための支持突起を有していてもよい。例えば、支持突起は、第1部材51から吸気側Y1に延びるよう棒状部材を接合し、当該支持突起をシュラウドピース3の金型から突出させた状態で、シュラウドピース3をダイカストにより成形し、その後、支持突起におけるシュラウドピース3から突出する部分を切断するようにしてもよい。この場合には、シュラウドピース3をダイカストにより成形する際に、当該支持突起によって位置ずれを防止できる。
次に、図3に示すように、上述のごとく成形されたスクロールピース2の吸気口11の内側に、シュラウドピース3のシュラウド圧入部31を吸気側Y1の方向に圧入して、両者を組み付ける。なお、当該組み付けの際には、シュラウドピース3から突出した第1接続部511、第2接続部512が、スクロールピース2に形成された貫通孔21、22に挿通されるように位相を合わせる。
そして、図2に示すように、スクロールピース2にシュラウドピース3が組み付けられることにより、シュラウドピース3に設けられたОリング55がスクロールピース2に押し付けられる。これにより、スクロールピース2における貫通孔21、22(図3参照)と第1接続部511、第2接続部512との間がシールされて、スクロール室12の気密性が維持される。
その後、図2に示すように、コンプレッサインペラ13がシュラウド面22に対向するとともに、シールプレート40のシールプレート挿入部41がスクロールピース2の外周部125内に位置するように、スクロールピース2が軸受ハウジング4に取り付けられる。これにより、第1スクロール室形成部121、第2スクロール室形成部122及び第3スクロール室形成部123が繋がって略連続した曲面となり、スクロール室12が形成される。また、第1ディフューザ部35のディフューザ面34と第2ディフューザ部36の対向面37とが所定間隔をあけて対向し、両者の間にディフューザ通路15が形成される。
そして、図1に示すように、チューブ55を第1部材51の第2接続部512と、第2部材52の第3接続部521とに接続して、第1部材51と第2部材52とを連通させる。これにより、冷媒流路5は一続きの空間となる。そして、第1部材51の第1接続部511及び第2部材52の第4接続部522を図示しない内燃機関の冷却機構に接続することにより、冷媒流路5に冷媒を循環供給させることができる。
次に、本例のターボチャージャ用ハウジング1における作用効果について、詳述する。
本例のターボチャージャ用ハウジング1によれば、冷媒流路5は中空部材50からなり、中空部材50はターボチャージャ用ハウジング1に鋳込まれている。これにより、中空部材50はターボチャージャ用ハウジング1に埋め込まれた状態となっている。そのため、ターボチャージャ用ハウジング1をダイカストで成形する際に、冷媒流路5の型抜きを考慮する必要がないため、冷媒流路5を有するターボチャージャ用ハウジング1をダイカストで容易に成形することができる。その結果、生産性の向上を図ることができる。また、万が一、ターボチャージャ用ハウジング1に鋳巣が生じていても、中空部材50の内部が外部と連通することがないので、冷媒流路5から冷媒が漏れ出すおそれもない。
本例のターボチャージャ用ハウジング1によれば、冷媒流路5は中空部材50からなり、中空部材50はターボチャージャ用ハウジング1に鋳込まれている。これにより、中空部材50はターボチャージャ用ハウジング1に埋め込まれた状態となっている。そのため、ターボチャージャ用ハウジング1をダイカストで成形する際に、冷媒流路5の型抜きを考慮する必要がないため、冷媒流路5を有するターボチャージャ用ハウジング1をダイカストで容易に成形することができる。その結果、生産性の向上を図ることができる。また、万が一、ターボチャージャ用ハウジング1に鋳巣が生じていても、中空部材50の内部が外部と連通することがないので、冷媒流路5から冷媒が漏れ出すおそれもない。
また、本例では、ターボチャージャ用ハウジング1は、第1ディフューザ部35及びシュラウド部20を有するシュラウドピース3と、スクロール室形成部12の一部である第1スクロール室形成部121を有するスクロールピース2とに分割されている。そして、中空部材50は、シュラウドピース3に鋳込まれた状態で取り付けられている第1部材51と、スクロールピース2に鋳込まれた状態で取り付けられている第2部材52とからなり、第1部材51と第2部材52とが連通している。これにより、シュラウドピース3及びスクロールピース2の両方に冷媒流路5が形成されるため、ターボチャージャ用ハウジング1自体が効率的に冷却されて、圧縮空気の冷却効率を高めることができる。さらに、シュラウドピース3及びスクロールピース2の冷媒流路5が連通しているため、冷媒流路5における冷媒の出口と入口とが一つずつで済み、冷媒流路5に冷媒を循環させる構成を簡素化できる。
また、本例では、第2部材52の一部が、スクロール室形成部120に鋳込まれた状態で取り付けられている。これにより、第2部材52により形成された冷媒流路5を流通する冷媒によってスクロール室12を冷却して、スクロール室12に到達した圧縮空気を冷却することができるため、スクロール室12に到達した圧縮空気によるターボチャージャ用ハウジング1の温度上昇を抑制できる。
また、本例では、スクロールピース2は、スクロール室12を流通する圧縮空気を外部に吐出するための吐出ポート6を形成する吐出ポート形成部26を有し、第2部材52の一部は、吐出ポート形成部26に鋳込まれた状態で取り付けられている。これにより、第2部材52により形成された冷媒流路5を流通する冷媒により吐出ポート6を冷却して、吐出ポート6に到達した圧縮空気を冷却することができるため、吐出ポート6に到達した圧縮空気によるターボチャージャ用ハウジング1の温度上昇を抑制できる。
また、本例では、第2部材52は、スクロールピース2の外方に突出する突出部524を有する。これにより、ダイカストにより第2部材52が鋳込まれた状態のスクロールピース2を形成する際に、スクロールピース2から突出した突出部524によって第2部材52を固定又は保持することができるため、第2部材52の位置決めと成形時の位置ずれ防止が可能となる。なお、本例では、第2部材52を屈曲させて突出部524を形成したが、これに替えて、第2部材52に棒状や板状の突起を接合してなる突出部を設けてもよい。
実施例1では、シュラウドピース3とスクロールピース2の両方に冷媒流路5が形成されているが、これに替えて、図11に示す変形例1のように、中空部材50をスクロールピース2のみに鋳込んだ状態で取り付けてもよいし、図12に示す変形例2のように、中空部材50をシュラウドピース3のみに鋳込んだ状態で取り付けてもよい。いずれの場合も、ターボチャージャ用ハウジング1を構成するシュラウドピース3及びスクロールピース2を型抜き可能な形状とすることができるとともに、冷媒流路5の型抜きを考慮しなくてよいため、冷媒流路5を有するターボチャージャ用ハウジング1をダイカストで成形することが容易となる。
本例では、ターボチャージャ用ハウジング1は、図2に示すようにシュラウドピース3とスクロールピース2に分割してなる2ピース構造としたが、これに替えて、図13に示す変形例3のようにしてもよい。すなわち、変形例3では、ターボチャージャ用ハウジング1は、シュラウドピース3とスクロールピース2と、スクロール室形成部120のY2側の部分である第3スクロール室形成部123及びコンプレッサインペラ13におけるY2側を覆う部分を有するシールプレート400とに分割されてなる。そして、中空部材50は、シュラウドピース3、スクロールピース2及びシールプレート400のいずれかに鋳込まれた状態で取り付けることができる。例えば、図13に示すように、中空部材50は、シールプレート400における対向面37を形成する第2ディフューザ部36の内部に設けることができる。なお、当該中空部材50には、図示しない箇所に、内燃機関の冷却機構に接続するための接続部を有する。そして、上記変形例3のターボチャージャ用ハウジング1の場合においても、本例と同等の作用効果を奏する。
以上のように、本実施例及び変形例によれば、ダイカストにより容易に成形可能な冷媒流路5を有するターボチャージャ用ハウジング1を提供することができる。
本発明は上記実施例及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施例及び変形例に適用することが可能である。
1 ターボチャージャ用ハウジング
2 スクロールピース
3 シュラウドピース
5 冷媒流路
50 中空部材
51 第1部材
52 第2部材
11 吸気口
13 コンプレッサインペラ
15 ディフューザ通路
20 シュラウド部
30 ディフューザ部
2 スクロールピース
3 シュラウドピース
5 冷媒流路
50 中空部材
51 第1部材
52 第2部材
11 吸気口
13 コンプレッサインペラ
15 ディフューザ通路
20 シュラウド部
30 ディフューザ部
Claims (7)
- コンプレッサインペラが収容されるターボチャージャ用ハウジングであって、
上記コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、
上記コンプレッサインペラの外周側において周方向に形成され、上記コンプレッサインペラから吐出される圧縮空気を外部へ導くスクロール室を形成するスクロール室形成部と、
上記コンプレッサインペラを周方向に囲むとともに該コンプレッサインペラに対向するシュラウド面を有するシュラウド部と、
上記コンプレッサインペラの外周から上記スクロール室に向けて延びるとともに上記コンプレッサインペラから吐出される上記圧縮空気を通過させるディフューザ通路を形成するディフューザ部と、
上記ディフューザ通路を通過する圧縮空気を冷却するための冷媒を流通させる冷媒流路と、
を備え、
上記冷媒流路は、上記ディフューザ通路の周辺に鋳込まれた状態で取り付けられた中空部材からなる、ターボチャージャ用ハウジング。 - 上記ターボチャージャ用ハウジングは、少なくとも上記ディフューザ部の一部及び上記シュラウド部を有するシュラウドピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の一部を有するスクロールピースとに分割されてなり、上記中空部材は、上記シュラウドピース又は上記スクロールピースの一方に鋳込まれた状態で取り付けられている、請求項1に記載のターボチャージャ用ハウジング。
- 上記ターボチャージャ用ハウジングは、少なくとも上記ディフューザ部の一部及びシュラウド部を有するシュラウドピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の一部を有するスクロールピースとに分割されてなり、上記中空部材は、上記シュラウドピースに鋳込まれた状態で取り付けられている第1部材と、上記スクロールピースに鋳込まれた状態で取り付けられている第2部材とからなり、上記第1部材と上記第2部材とが連通している、請求項1に記載のターボチャージャ用ハウジング。
- 上記第2部材の少なくとも一部は、上記スクロール室形成部に鋳込まれた状態で取り付けられている、請求項3に記載のターボチャージャ用ハウジング。
- 上記スクロールピースは、上記スクロール室を流通する圧縮空気を外部に吐出するための吐出ポートを形成する吐出ポート形成部を有し、上記第2部材の少なくとも一部は、上記吐出ポート形成部に鋳込まれた状態で取り付けられている、請求項3又は4に記載のターボチャージャ用ハウジング。
- 上記第2部材は、上記スクロールピースの外方に突出する突出部を有する、請求項3〜5のいずれか一項に記載のターボチャージャ用ハウジング。
- 上記ターボチャージャ用ハウジングは、少なくとも上記シュラウド部を有するシュラウドピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の上記吸気口側部分を有するスクロールピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の上記吸気口と反対側の部分及び上記コンプレッサインペラにおける上記吸気口と反対側を覆う部分を有するシールプレートと、に分割されてなり、上記中空部材は、上記シュラウドピース、上記スクロールピース及び上記シールプレートのいずれかに鋳込まれた状態で取り付けられている、請求項1に記載のターボチャージャ用ハウジング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017018696A JP2018123813A (ja) | 2017-02-03 | 2017-02-03 | ターボチャージャ用ハウジング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017018696A JP2018123813A (ja) | 2017-02-03 | 2017-02-03 | ターボチャージャ用ハウジング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018123813A true JP2018123813A (ja) | 2018-08-09 |
Family
ID=63110091
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017018696A Pending JP2018123813A (ja) | 2017-02-03 | 2017-02-03 | ターボチャージャ用ハウジング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018123813A (ja) |
-
2017
- 2017-02-03 JP JP2017018696A patent/JP2018123813A/ja active Pending
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