JP2018123791A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

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【課題】内燃機関が始動した際での故障判定における内燃機関の停止を抑制する。【解決手段】エンジンが始動した際の筒内燃料噴射弁11に供給されるデリバリ燃圧に基づいて燃圧センサ24及びリリーフ弁35の故障判定をする故障判定部51を備えたエンジンにおいて、故障判定部51は、エンジン始動前のデリバリ燃圧Pdがリリーフ弁35のリリーフ圧Pr+αより高い場合には、燃圧センサ24及びリリーフ弁35の何れかが故障であると判定し、エンジン始動指示から所定期間taの間筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を禁止してデリバリ燃圧を確保した後に、筒内燃料噴射弁11により燃料を噴射して、燃圧センサ24の検出値であるデリバリ燃圧Pdの変化度合いに基づき、燃圧センサ24及びリリーフ弁35の何れかが故障であるか特定する。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の筒内燃料噴射弁に燃料を供給する高圧燃料供給装置の故障診断技術に関するものである。
燃焼室内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備えた内燃機関が知られている。筒内燃料噴射弁には、燃料タンクから高圧燃料供給装置によって高圧化した燃料が供給されることで、高圧となる燃焼室内に燃料を噴射可能としている。高圧燃料供給装置は、例えば内燃機関によって駆動する高圧燃料ポンプ(プランジャポンプ)と流量制御弁(スピル弁)を備えており、高圧燃料ポンプからの吐出圧、すなわち筒内燃料噴射弁に供給する燃料の圧力(デリバリ燃圧)を燃圧センサによって検出し、当該デリバリ燃圧が目標燃圧になるように、流量制御弁を駆動制御する。また、高圧燃料供給装置の多くには、リリーフ弁が備えられており、デリバリ燃圧が所定圧以上となった場合に開弁して、デリバリ燃圧を低下させる。
更に、特許文献1では、目標燃圧をリリーフ圧より上昇させ、燃圧センサによって検出したデリバリ燃圧がリリーフ圧を超えた場合に、リリーフ弁が故障していると判定する故障診断装置が提案されている。
特許第5370635号公報
しかしながら、特許文献1のようにデリバリ燃圧をリリーフ圧より上昇させるように制御することは、リリーフ弁の開弁作動頻度を増加させることになり、リリーフ弁の寿命を低下させる虞がある。そこで、デリバリ燃圧を低下させて燃圧センサの検出値の変化に基づいてリリーフ弁または燃圧センサの故障判定を行なう方法が考えられる。しかし、エンジン始動時に故障診断を行なうべくデリバリ燃圧を低下させるとエンジン停止を招く虞がある。
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、
エンジン始動時において、エンジン停止を抑制しつつリリーフ弁及び燃圧センサの故障判定が可能な内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
上記の目的を達成するべく、本発明の内燃機関の燃料噴射装置は、燃料タンクに貯留した燃料を加圧する高圧燃料供給装置と、前記高圧燃料供給装置により加圧された燃料を供給されて内燃機関の燃焼室に噴射する筒内燃料噴射弁と、前記内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する吸気通路燃料噴射弁と、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記筒内燃料噴射弁及び前記吸気通路燃料噴射弁の少なくとも一方により前記内燃機関に燃料を供給させる燃料噴射制御部と、所定のリリーフ圧で開弁して前記高圧燃料供給装置から前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を抑制するリリーフ弁と、前記高圧燃料供給装置から前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を検出する圧力検出器と、前記内燃機関の始動の際の前記圧力検出器による圧力検出値に基づいて前記圧力検出器及び前記リリーフ弁の故障判定をする故障判定部と、を備えた内燃機関の燃料噴射装置であって、前記故障判定部は、前記内燃機関が始動指示された際の前記圧力検出値が前記リリーフ圧を超えている場合に、前記内燃機関の始動から所定期間経過するまで前記筒内燃料噴射弁による燃料の噴射を停止して前記吸気通路燃料噴射弁のみで前記内燃機関に燃料を供給し、前記所定期間経過後に前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を低下させる燃圧下降制御を実行して故障箇所を特定することを特徴とする。
また、好ましくは、前記故障判定部は、前記内燃機関が始動するまでのソーク状態に基づいて前記所定期間を変更するとよい。
また、好ましくは、前記ソーク状態は、前記内燃機関の始動前の停止開始時における前記内燃機関の冷却水温または潤滑油温と、前記内燃機関の停止開始から前記内燃機関の始動指示までの時間に基づいて設定されるとよい。
また、好ましくは、前記ソーク状態は、前記内燃機関の始動前の停止開始時における前記内燃機関の冷却水温または潤滑油温と、前記内燃機関の始動指示時における前記内燃機関の冷却水温または潤滑油温とに基づいて設定されるとよい。
また、好ましくは、前記故障判定部は、前記所定期間経過後に前記筒内燃料噴射弁による燃料噴射によって前記燃圧下降制御を実行して前記圧力検出値の変化度合に基づいて、前記リリーフ弁及び前記圧力検出器の何れが故障であるか特定するとよい。
本発明の内燃機関の燃料噴射装置によれば、内燃機関が始動指示された際に圧力検出値がリリーフ圧を超えている場合には、リリーフ弁または圧力検出器が故障であることを推定することができる。そして、内燃機関の始動から所定期間経過するまで筒内燃料噴射弁による燃料の噴射を停止して吸気通路燃料噴射弁のみで内燃機関に燃料を供給することで、燃料の圧力を確保することができ、燃圧下降制御を実行して故障箇所を特定する際に、燃料の圧力低下による内燃機関の停止を抑制することができる。
本発明の一実施形態の内燃機関の燃料噴射装置の概略構成図である。 本実施形態のエンジン始動時における故障判定要領を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の内燃機関の燃料噴射装置の概略構成図である。
本発明の一実施形態に係る燃料噴射装置を備えたエンジン(内燃機関)は、例えば自動車の走行駆動用エンジンであり、4気筒のガソリンエンジンである。エンジンには、吸気通路に燃料を噴射する吸気通路燃料噴射弁10(10a〜10d)と、燃焼室内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁11(11a〜11d)と、が各気筒に1つずつ備えられている。
吸気通路燃料噴射弁10は、内燃機関の吸気ポートに噴射口が配置されている。図1に示すように、吸気通路燃料噴射弁10は、燃料タンク12からフィードポンプ13によって燃料が供給され、吸気ポート内に低圧の燃料を噴射する。フィードポンプ13の吐出圧は、レギュレータ14によって調圧される。なお、この吸気通路燃料噴射弁10による燃料噴射を吸気通路燃料噴射(MPI)という。
筒内燃料噴射弁11は、エンジンの燃焼室に噴射口が配置されている。筒内燃料噴射弁11は、高圧燃料供給装置20から供給された高圧の燃料を燃焼室内に噴射する。高圧燃料供給装置20は、フィードポンプ13により燃料タンク12から供給された低圧の燃料を加圧して筒内燃料噴射弁11に供給する。なお、この筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を筒内燃料噴射(DI)という。
フィードポンプ13と吸気通路燃料噴射弁10との間の燃料供給路にはオリフィス21a、21bが設けられ、高圧燃料供給装置20と筒内燃料噴射弁11との間の燃料供給路にはオリフィス22が設けられており、夫々燃料の流量を調整する。
また、高圧燃料供給装置20から各筒内燃料噴射弁11a〜11dへの燃料供給路であるデリバリパイプ23には、高圧燃料供給装置20からの燃料の吐出圧であるデリバリ燃圧Pd(圧力検出値)を検出する燃圧センサ24(圧力検出器)が設けられている。
高圧燃料供給装置20は、フィルタ30、パルセーションダンパ室31、スピル弁32、プランジャポンプ33、吐出弁34、リリーフ弁35、を備えて構成されている。
プランジャポンプ33は、筒状のシリンダ36内をプランジャ37が往復動可能に設けられている。プランジャ37は、図示しないエンジンのドライブシャフトに設けられたカムによって移動される。ドライブシャフトは、例えばエンジンの排気カムシャフトに連結しており、よって、エンジンの駆動によりプランジャ37がシリンダ36内を往復動し、シリンダ36内の加圧室38の容積を増減させる。
高圧燃料供給装置20には、フィードポンプ13から加圧室38に燃料を供給する供給路39と、加圧室38から燃料を吐出する吐出路40が設けられている。
供給路39には、上流側から順番に、フィルタ30、パルセーションダンパ室31、スピル弁32が配置されている。
フィルタ30は、フィードポンプ13により燃料タンク12から供給された燃料を濾過する機能を有する。パルセーションダンパ室31は、供給路39の燃料の圧力変動を抑制する機能を有する。
スピル弁32は、スプリング41により開弁するように付勢されるとともに、ソレノイド42に通電させることで閉弁するように構成されている。ソレノイド42は、コントロールユニット50(燃料噴射制御部)からスピル弁駆動信号として電力を供給されることで、スピル弁32を閉作動させる。
吐出路40には、吐出弁34が配置されている。吐出弁34は、スプリングによって閉弁するように付勢されており、前後の差圧が所定値以上、即ち加圧室38内の圧力が筒内燃料噴射弁11への設定供給圧力以上に上昇した場合に開弁するように設定されている。
また、リリーフ弁35は吐出弁34と並列に配置されている。リリーフ弁35は、吐出弁34の下流側の圧力がリリーフ圧Pr以上で開弁するように設定されている。
高圧燃料供給装置20は、プランジャ37の下方への移動時、即ち加圧室38の容積の拡大時には、スピル弁32が開弁し、供給路39から燃料が加圧室38内に供給される。プランジャ37の上方への移動時、即ち加圧室38の容積の縮小時には、ソレノイド42にスピル弁駆動信号を一時的に供給してスピル弁32を閉作動させることで、その後のプランジャ37の上方への移動時にスピル弁32の閉弁状態が維持されて、加圧室38内の燃料が加圧される。
したがって、高圧燃料供給装置20では、プランジャ37の下死点から上方への移動開始時毎にスピル弁32を閉作動させるスピル弁駆動信号をソレノイド42に入力することで、プランジャ37の上下動に応じてスピル弁32が開閉作動を繰り返し、燃料を繰り返して加圧し、高圧の燃料を吐出することが可能となっている。
なお、本実施形態の高圧燃料供給装置20では、シリンダ36内におけるプランジャ37に対して加圧室38とは反対側の副室に、パルセーションダンパ室31から燃料を供給して貯留しておくように構成されている。
コントロールユニット50は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成されている。コントロールユニット50は、アクセル操作やエンジン回転速度等に基づいて、吸気通路燃料噴射弁10及び筒内燃料噴射弁11を制御して、燃料噴射量の制御を行なうとともに、図示しない点火プラグ等の作動制御を行なって、エンジンの運転制御を行なう。
また、コントロールユニット50は、エンジンの回転速度及び負荷に基づいて、燃料噴射モードを判定する。燃料噴射モードは、燃料噴射モードマップを用いて判定される。例えば、低負荷低回転時にはMPIモード、中、高負荷運転時にはDI+MPIモードに判定される。なお、MPIモードは、筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を行なわず、吸気通路燃料噴射弁10のみで燃料噴射を行なうモードであり、DI+MPIモードでは、筒内燃料噴射弁11及び吸気通路燃料噴射弁10の両方から燃料を噴射する。
また、コントロールユニット50は、燃圧センサ24からデリバリ燃圧Pdを入力し、エンジンの運転時にデリバリ燃圧Pdが所定の目標燃圧Pdtになるように、高圧燃料供給装置20をフィードバック制御する機能を有している。目標燃圧Pdtは、エンジン運転時に燃料噴射モードに基づいて設定される基本目標燃圧Pdtaに設定される。また、コントロールユニット50は、デリバリ燃圧Pdが目標燃圧Pdtより高い場合には、筒内燃料噴射弁11から燃料を噴射してデリバリ燃圧Pdを目標燃圧Pdtに低減させる機能も有している。
更に、本実施形態のコントロールユニット50は、高圧燃料供給装置20の故障診断、詳しくは燃圧センサ24及びリリーフ弁35の故障を検出するとともに、いずれが故障しているかを特定する故障判定部51を備えている。以下に、図2を用いて、エンジン始動時における故障判定部51による燃圧センサ24及びリリーフ弁35の故障診断について説明する。
図2は、故障判定部51においてエンジン始動時に実行する高圧燃料供給装置20の故障診断制御手順を示すフローチャートである。
図2に示す故障診断制御は、ステップS10としてエンジン始動指示(例えばキースイッチオン)されたときに開始する。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、燃圧センサ24により検出したデリバリ燃圧Pdを入力し、当該デリバリ燃圧Pdがリリーフ弁35のリリーフ圧Prに適宜設定された所定値αを加算した値より大きいか否かを判別する。デリバリ燃圧Pdがリリーフ圧Prに所定値αを加算した値より大きい場合(Pd>Pr+α)は、ステップS30に進む。デリバリ燃圧Pdがリリーフ圧Prに所定値αを加算した値以下の場合(Pd≦Pr+α)は、本ルーチンを終了する。
ステップS30では、高圧燃料供給装置20が故障である、詳しくは燃圧センサ24及びリリーフ弁35のいずれかが故障である高圧故障判定が成立する。そして、ステップS40に進む。
ステップS40では、エンジンを始動する。なお、このときの燃料噴射モードはMPIモードである。そして、ステップS50に進む。
ステップS50では、エンジン始動後所定期間taの間、筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を禁止してMPIモードとし、高圧燃料供給装置20をオープンループ制御してデリバリ燃圧Pdを所定量増加させる。そして、ステップS60に進む。
ステップS60では、燃圧下降制御実行条件成立中であるか否かを判別する。燃圧下降制御実行条件成立中である場合には、ステップS70に進む。燃圧下降制御実行条件成立中でない場合には、ステップS60を繰り返す。燃圧下降制御実行条件は、例えば車両電源ONであること、エンストモードまたは始動モードでないこと、筒内燃料噴射弁11が断線故障ではないこと、高圧燃料供給装置20のソレノイド42が天絡、地絡、断線故障ではないこと、燃圧センサ24が天絡、地絡、断線故障ではないこと等の条件である。
ステップS70では、燃圧下降制御を実行する。そして、ステップS80に進む。燃圧下降制御は、筒内燃料噴射弁11による燃料噴射をすることで、デリバリ燃圧Pdを低下させる制御である。なお、この燃圧下降制御を開始するに伴って燃圧センサ固着判定タイマを初期値Xdに設定する。燃圧センサ固着判定タイマは、燃圧下降制御を実行している期間(時間あるいは点火回数)を計測するタイマであり、その初期値は例えば100回点火回数に相当する時間程度に設定すればよい。
ステップS80では、燃圧下降制御実行中であるか否かを判別する。燃圧下降制御実行中である場合には、ステップS90に進む。燃圧下降制御実行中でない場合には、ステップS60に戻る。なお、燃圧下降制御はエンジン停止に伴って実行を停止する。
ステップS90では、燃圧センサ固着判定タイマを、燃圧下降制御の経過時間分減算する。そして、ステップS100に進む。
ステップS100では、燃圧センサ24によりデリバリ燃圧Pdを検出し、燃圧下降制御開始後のデリバリ燃圧Pdの変化量ΔPdが判定値P1以上であるか否かを判別する。変化量ΔPdが判定値P1以上である場合には、ステップS130に進む。変化量ΔPdが判定値P1未満である場合には、ステップS110に進む。なお、判定値P1は、燃圧センサ24及びリリーフ弁35が正常である状態で燃圧下降制御を実施した際の、燃圧センサ固着判定タイマが初期値から0になるまでのデリバリ燃圧Pdの変化量の下限値に設定すればよい。
ステップS110では、燃圧センサ固着判定タイマが0以下になったか否かを判別する。燃圧センサ固着判定タイマが0以下になった場合には、ステップS120に進む。燃圧センサ固着判定タイマが0より大きい場合には、ステップS60に戻る。
ステップS120では、燃圧センサ24が固着した故障状態であると判定し、リリーフ弁35は閉固着していない正常状態であると判定する。そして、本ルーチンを終了する。
ステップS130では、燃圧センサ24が固着していない正常状態であると判定し、リリーフ弁35は閉固着している故障状態であると判定する。そして、本ルーチンを終了する。
更に、本実施形態では、上記ステップS50においてエンジン始動後所定期間taの間、筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を禁止して高圧燃料供給装置20をオープンループ制御する際に、この所定期間taあるいはオープンループ制御の制御量Pa(高圧燃料供給装置20による単位時間あたりの吐出量)を、エンジン始動するまでの車両のソーク状態に基づいて変化させる。例えば、所定期間taを固定した上で、機関温度が高く燃圧が上昇し易い状態である場合には、制御量Paを小さくする。あるいは、制御量Paを固定した上で、機関温度が高く燃圧が上昇し易い状態である場合には、所定期間taを短くする。この燃圧が上昇し易い車両のソーク状態については、エンジン停止(キースイッチオフ)時のエンジン水温(冷却水温)または油温(潤滑油温)を検出して記憶しておき、当該エンジン停止時の水温または油温とエンジン停止からエンジン始動指示(キースイッチオン)までの時間とに基づいて設定したり、エンジン停止時のエンジン水温または油温とエンジン始動指示時のエンジン水温または油温とにより推定したりすればよい。エンジン停止時のエンジン水温または油温とエンジン停止からエンジン始動指示までの時間とに基づいて設定する場合には、エンジン停止時のエンジン水温または油温が高くなるに伴って、またエンジン停止からエンジン始動指示までの時間が短くなるに伴って、機関温度が高く燃圧が上昇し易い状態であり、制御量Paを小さくあるいは所定期間taを短くする。エンジン停止時のエンジン水温または油温とエンジン始動指示時のエンジン水温または油温とに基づいて設定する場合には、エンジン始動指示時のエンジン水温または油温が高い程、またエンジン始動指示時のエンジン水温または油温とエンジン停止時のエンジン水温または油温との差が小さいほど燃圧が上昇し易い状態であり、制御量Paを小さくあるいは所定期間taを短くすればよい。
以上のように、本実施形態では、エンジン始動前にデリバリ燃圧Pdを検出し、デリバリ燃圧Pdがリリーフ弁35のリリーフ圧Prに所定値αを加算した値(Pr+α)よりも高い場合には、燃圧センサ24またはリリーフ弁35が故障であると判定する。
そして、エンジン始動後に筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を所定期間ta禁止した後に燃圧下降制御を実行し、所定期間(所定時間または所定点火回数)経過するまでに燃圧センサ24の検出値であるデリバリ燃圧Pdが判定値P1以上低下するか否かによって、燃圧センサ24及びリリーフ弁35のいずれが故障であるか特定できる。
本実施形態では、エンジン始動後に筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を所定期間ta禁止しプランジャポンプ33のオープンンループ制御をした後に燃圧下降制御を実行するので、例え燃圧センサ24が故障していて実際のデリバリ燃圧Pdが低下していたとしても、燃圧下降制御を開始する前にデリバリ燃圧Pdを上昇させることができる。したがって、燃圧下降制御をする際に、デリバリ燃圧Pdの低下によるエンジン停止を防止することができる。
更に、この筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を所定期間ta禁止する際の高圧燃料供給装置20のオープンンループ制御については、機関温度が上昇していて燃圧が上昇し易い状態である場合に、制御量Paを小さくあるいは所定期間taを短くすることで、デリバリ燃圧Pdの過度な上昇を抑制することができる。制御量Paを小さくすると、デリバリ燃圧Pdの急激な上昇を抑えて、リリーフ弁35等のプランジャポンプ33の下流側の各種機器の保護を図ることができ、所定期間taを短くすると、燃圧下降制御を速やかに実行開始して、エンジン始動から故障診断終了までの時間を短縮することができる。
また、エンジン始動指示時のエンジン水温または油温が所定値以上である場合には、所定期間taあるいは制御量Paを0としてもよい。これにより、エンジン始動後におけるオープンループ制御によるデリバリ燃圧Pdの不要な上昇を抑えることができる。また、エンジン停止からエンジン始動指示までの時間が所定時間経過した場合には、実際のデリバリ燃圧は大気圧付近まで低下しているので、所定期間taあるいは制御量Paを0とせずに、上記のように制御量Pa及び所定期間taを0以上の適宜な値に設定すればよい。これにより、燃圧下降制御を実行して故障診断を可能にすることができる。
本願発明は、筒内燃料噴射弁に高圧の燃料を供給する高圧燃料供給装置を備え、筒内燃料噴射弁に供給する燃料の圧力を検出して高圧燃料供給装置を制御する内燃機関において、広く適用することができる。
1 エンジン
11 筒内燃料噴射弁
20 高圧燃料供給装置
24 燃圧センサ
50 コントロールユニット(燃料噴射制御部)
51 故障判定部

Claims (5)

  1. 燃料タンクに貯留した燃料を加圧する高圧燃料供給装置と、
    前記高圧燃料供給装置により加圧された燃料を供給されて内燃機関の燃焼室に噴射する筒内燃料噴射弁と、
    前記内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する吸気通路燃料噴射弁と、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記筒内燃料噴射弁及び前記吸気通路燃料噴射弁の少なくとも一方により前記内燃機関に燃料を供給させる燃料噴射制御部と、
    所定のリリーフ圧で開弁して前記高圧燃料供給装置から前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を抑制するリリーフ弁と、
    前記高圧燃料供給装置から前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を検出する圧力検出器と、
    前記内燃機関の始動の際の前記圧力検出器による圧力検出値に基づいて前記圧力検出器及び前記リリーフ弁の故障判定をする故障判定部と、
    を備えた内燃機関の燃料噴射装置であって、
    前記故障判定部は、前記内燃機関が始動指示された際の前記圧力検出値が前記リリーフ圧を超えている場合に、前記内燃機関の始動から所定期間経過するまで前記筒内燃料噴射弁による燃料の噴射を停止して前記吸気通路燃料噴射弁のみで前記内燃機関に燃料を供給し、前記所定期間経過後に前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を低下させる燃圧下降制御を実行して故障箇所を特定することを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
  2. 前記故障判定部は、前記内燃機関が始動するまでのソーク状態に基づいて前記所定期間を変更することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  3. 前記ソーク状態は、前記内燃機関の始動前の停止開始時における前記内燃機関の冷却水温または潤滑油温と、前記内燃機関の停止開始から前記内燃機関の始動指示までの時間に基づいて設定されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  4. 前記ソーク状態は、前記内燃機関の始動前の停止開始時における前記内燃機関の冷却水温または潤滑油温と、前記内燃機関の始動指示時における前記内燃機関の冷却水温または潤滑油温とに基づいて設定されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  5. 前記故障判定部は、前記所定期間経過後に前記筒内燃料噴射弁による燃料噴射によって前記燃圧下降制御を実行して前記圧力検出値の変化度合に基づいて、前記リリーフ弁及び前記圧力検出器の何れが故障であるか特定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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