JP2018123730A - オイル供給装置 - Google Patents

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Takayuki Hosoki
貴之 細木
久幸 伊東
Hisayuki Ito
久幸 伊東
慶信 内山
Yoshinobu Uchiyama
慶信 内山
敏貴 佐藤
Toshitaka Sato
敏貴 佐藤
和良 島谷
Kazuyoshi Shimatani
和良 島谷
貴彦 青▲柳▼
Takahiko Aoyagi
貴彦 青▲柳▼
吉田 昌弘
Masahiro Yoshida
昌弘 吉田
寛隆 渡邉
Hirotaka Watanabe
寛隆 渡邉
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Abstract

【課題】オイル制御バルブのスリーブ及びスプールの摩耗の進行を抑制しつつ、発生したスティック現象を解消することができるオイル供給装置を提供する。
【解決手段】オイル供給装置210は、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧の目標値とセンサ値を用いたフィードバック制御に基づいた指示電流値をアクチュエータ100Aに入力することで、オイルポンプ10の制御油室42の内圧を制御する制御部302と、指示電流値を変更している状況下でスティック現象が発生しているか否かを、目標値とセンサ値とに基づいて判定する判定部303とを備える。制御部302は、判定部303によってスティック現象が発生していると判定された場合、指示電流値を一時的に変動させるチョッピング処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、オイル供給装置に関する。
特許文献1に記載のオイル供給装置には、制御油室の内圧が変更されるとオイルの吐出圧が変わる可変容量型のオイルポンプと、制御油室の内圧を調整すべく作動するオイル制御バルブとが設けられている。こうしたオイル制御バルブは、一般的に、スリーブと、同スリーブ内に配置されているスプールと、同スプールを変位させる電磁式のアクチュエータとを備えている。こうしたオイル制御バルブでは、アクチュエータに入力される指示電流値が変わると、スリーブ内でのスプールの位置が変わり、オイルポンプの制御油室に対するオイルの給排が変わるようになっている。そして、オイル制御バルブから制御油室に対するオイルの給排を変えることで、制御油室の内圧を変更し、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変えることができる。
なお、このようなオイル制御バルブでは、スリーブ内でスプールを変位させるときに、スリーブにスプールが引っ掛かってスプールが変位しにくくなる現象であるスティック現象が発生してしまうことがある。スティック現象の発生を抑制する方法としては、例えば特許文献2に記載されているように、ディザ信号を重畳した指示電流値をアクチュエータに入力する方法が知られている。この方法によれば、スリーブ内でスプールが微少振動するようになるため、スティック現象の発生を抑制することができる。
特開2014−159761号公報 特開平2−300581号公報
しかしながら、上記のようにディザ信号が重畳されている指示電流値をアクチュエータに入力する場合、ディザ信号が重畳されている指示電流値をアクチュエータに入力している間、スリーブ内でスプールが微少振動し続けることとなり、スリーブ及びスプールの摩耗が進行しやすくなる。
上記課題を解決するためのオイル供給装置は、制御油室を有し、同制御油室の内圧が変更されるとオイルの吐出能力が変わるオイルポンプと、アクチュエータに対する指示電流値が変更されるとスリーブの内側でのスプールの位置が変わり、前記制御油室に対するオイルの給排が変わるオイル制御バルブと、オイルポンプにおけるオイルの吐出能力の指標となる指標値を検出するセンサと、を備えている。このオイル供給装置は、上記指標値の目標値と、センサによって検出されている上記指標値のセンサ値とを用いたフィードバック制御に基づいて導出した指示電流値をアクチュエータに入力することで、制御油室の内圧を制御する制御部と、アクチュエータに対する指示電流値を変更している状況下で、スリーブにスプールが引っ掛かって同スリーブ内での同スプールの変位が規制される現象であるスティック現象が発生しているか否かを、上記目標値と上記センサ値とに基づいて判定する判定部と、をさらに備えている。そして、制御部は、判定部によってスティック現象が発生していると判定された場合、指示電流値を一時的に変動させるチョッピング処理を行う。
アクチュエータに対する指示電流値が変わると、オイル制御バルブではスプール内でのスリーブの位置が変わる。すると、オイル制御バルブによる制御油室に対するオイルの給排が変わり、同制御油室の内圧が変わる。その結果、オイルポンプにおけるオイルの吐出能力の指標である指標値が変わる。オイル制御バルブでスティック現象が発生すると、オイル制御バルブによる制御油室に対するオイルの給排が変わりにくくなる。その結果、オイルポンプの吐出能力を適切に制御することが困難になる。
この点、上記構成では、スティック現象が発生していると判定したときには、チョッピング処理によって、アクチュエータに対する指示電流値を一時的に変動させる。このようなチョッピング処理が実施されると、オイル制御バルブでは、スリーブ内でスプールを変位させるための推進力が一時的に変わる。これにより、スリーブ内でスプールを振動させてスティック現象を解消し、スリーブ内でスプールを変位させることが可能となる。このようにスティック現象が解消されると、オイル制御バルブによる制御油室に対するオイルの給排を適切に制御できるようになるため、制御油室の内圧を適切に変更することができ、オイルポンプの吐出能力を適切に制御できるようになる。
しかも、上記構成では、ディザ信号が重畳されている電流値をアクチュエータに入力する場合とは異なり、スリーブ内でスプールが微少振動し続けるわけではない。そのため、スリーブ及びスプールの摩耗の進行を抑制することができる。
したがって、オイル制御バルブのスリーブ及びスプールの摩耗の進行を抑制しつつ、発生したスティック現象を解消することができるようになる。
ここで、アクチュエータに対する指示電流値を大きくすることによる上記センサ値の増減の方向を第1の方向といい、指示電流値を小さくすることによる上記センサ値の増減方向を第2の方向というものとする。
指示電流値を大きくしている過程でスティック現象が発生した場合、上記センサ値を第1の方向に変更したいにも拘わらず、上記センサ値を第1の方向に変更することができない状態になる。このようなときにチョッピング処理によって指示電流値を一時的に小さくした場合、スティック現象を解消させることは可能であるものの、スティック現象の解消とともに、上記センサ値が第2の方向に変化してしまうおそれがある。この場合、チョッピング処理の終了時点での上記目標値と上記センサ値との乖離が大きくなりやすい。
そのため、制御部は、フィードバック制御によってアクチュエータに対する指示電流値を大きくしている過程で行うチョッピング処理では、指示電流値を一時的に大きくすることが好ましい。この構成によれば、チョッピング処理の実施中にスティック現象を解消できたときには上記センサ値が第1の方向に変化するようになる。したがって、フィードバック制御によって指示電流値を大きくしている過程でチョッピング処理を実施した場合に同チョッピング処理の終了時点での上記目標値と上記センサ値との乖離が大きくなることを抑制できる。
一方、フィードバック制御によって指示電流値を小さくしている過程でスティック現象が発生した場合、上記センサ値を第2の方向に変更したいにも拘わらず、上記センサ値を第2の方向に変更することができない状態になる。このようなときにチョッピング処理によって指示電流値を一時的に大きくした場合、スティック現象を解消させることは可能であるものの、スティック現象の解消とともに、上記センサ値が第1の方向に変わってしまうおそれがある。この場合、チョッピング処理の終了時点での上記目標値と上記センサ値との乖離が大きくなりやすい。
そのため、制御部は、フィードバック制御によって指示電流値を小さくしている過程で行うチョッピング処理では、指示電流値を一時的に小さくすることが好ましい。この構成によれば、チョッピング処理の実施中にスティック現象を解消できたときには上記センサ値が第2の方向に変化するようになる。したがって、フィードバック制御によって指示電流値を小さくしている過程でチョッピング処理を実施した場合に同チョッピング処理の終了時点での上記目標値と上記センサ値との乖離が大きくなることを抑制できる。
ところで、上記指標値がオイルポンプにおけるオイルの吐出圧である場合、上記センサとしては、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を検出するセンサが採用される。この場合、制御部は、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧に対する目標値である目標吐出圧と、センサによって検出されている吐出圧である吐出圧センサ値とを用いたフィードバック制御に基づいて指示電流値を導出する。制御部が、このように指示電流値を用いてアクチュエータの作動を制御する場合、判定部は、目標吐出圧と吐出圧センサ値との差分が差分判定値以上になったときに、スティック現象が発生していると判定することができる。
なお、チョッピング処理の実施に伴う指示電流値の変更量が小さいと、チョッピング処理の実施に伴うスプールの推進力の変更量が小さいため、チョッピング処理を実施してもスティック現象を解消できない可能性がある。
また、スティック現象が発生している状況下での目標吐出圧と吐出圧センサ値との差分が大きい場合では、オイルの供給を必要とするオイル需要部の需要と、オイル需要部に供給できるオイルの量との乖離が大きくなりやすい。そのため、スティック現象が発生している状況下での目標吐出圧と吐出圧センサ値との差分が大きいほど、スティック現象の解消の必要性が高い。
そこで、制御部は、チョッピング処理では、判定部によってスティック現象が発生していると判定されたときの目標吐出圧と吐出圧センサ値との差分が大きいほどチョッピング処理による指示電流値の変更量が大きくなるように指示電流値を導出し、当該指示電流値をアクチュエータに入力することが好ましい。
上記構成によれば、上記差分が大きい場合ほど、チョッピング処理の実施に伴うスプールの推進力の変更量を大きくすることができる。そのため、チョッピング処理の実施によってスティック現象を解消できる可能性を高めることができる。
例えば、制御部が、判定部によってスティック現象が発生していると判定されたときの目標吐出圧と吐出圧センサ値との差分が大きいほど大きくなるように吐出圧補正量を導出する補正量導出処理と、フィードバック制御の補正項を目標吐出圧に加算して算出した指示用目標吐出圧を求める指示値算出処理と、を行うようになっていることがある。この場合、制御部は、チョッピング処理を実施していないときには、指示値算出処理で算出した指示用目標吐出圧に対応した指示電流値をアクチュエータに入力することが好ましい。
その一方で、制御部は、チョッピング処理を実施しているときには、指示値算出処理で算出した指示用目標吐出圧を補正量導出処理で導出した吐出圧補正量で補正し、補正後の指示用目標吐出圧に対応する指示電流値をアクチュエータに入力することが好ましい。このように指示電流値を補正することにより、チョッピング処理では、判定部によってスティック現象が発生していると判定されたときの目標吐出圧と吐出圧センサ値との差分が大きいほど指示電流値の変更量が大きくなるように指示電流値を導出し、当該指示電流値をアクチュエータに入力する構成を実現することができる。
スティック現象が発生していない状態における、アクチュエータに対する指示電流値の変化に対するオイルポンプにおけるオイルの吐出圧の変化の比率を吐出圧変化率とし、指示電流値を大きくしていく過程で当該吐出圧変化率が高くなるときの指示電流値を増大側変極点電流値とする。この場合、チョッピング処理の実施前にアクチュエータに入力されていた指示電流値が増大側変極点電流値未満であったにも拘わらず、チョッピング処理の実施によってアクチュエータに入力される指示電流値が増大側変極点電流値を超えてしまった場合、チョッピング処理の実施中にスティック現象が解消すると、オイル制御バルブではスプールの位置が変わるため、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧が急変動するおそれがある。
そこで、制御部は、チョッピング処理によって指示電流値を大きくする場合、同チョッピング処理の実施前の指示電流値が増大側変極点電流値よりも小さいときには、指示電流値が増大側変極点電流値を超えない範囲で、当該指示電流値を一時的に大きくすることが好ましい。この構成によれば、チョッピング処理の実施中に指示電流値が第1の変極点電流値を超えることはない。そのため、チョッピング処理の実施中にスティック現象が解消したときにオイルポンプにおけるオイルの吐出圧が急変動することを抑制できる。
また、スティック現象が発生していないときに指示電流値を小さくしていく過程で当該吐出圧変化率が大きくなるときの指示電流値を減少側変極点電流値とする。この場合、チョッピング処理の実施前にアクチュエータに入力されていた指示電流値が減少側変極点電流値よりも大きかったにも拘わらず、チョッピング処理の実施によってアクチュエータに入力される指示電流値が減少側変極点電流値未満になってしまった場合、チョッピング処理の実施中にスティック現象が解消すると、オイル制御バルブではスプールの位置が変わるため、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧が急変動するおそれがある。
そこで、制御部は、チョッピング処理によって指示電流値を小さくする場合、同チョッピング処理の実施前の指示電流値が減少側変極点電流値よりも小さいときには、指示電流値が減少側変極点電流値未満にならない範囲で、当該指示電流値を一時的に小さくすることが好ましい。この構成によれば、チョッピング処理を行っても指示電流値が減少側変極点電流値未満になることはない。そのため、チョッピング処理の実施によってスティック現象が解消したときにオイルポンプにおけるオイルの吐出圧が急変動することを抑制できる。
ところで、チョッピング処理の実施によってスティック現象が解消されたとしても、判定部によってスティック現象が発生していると判定されなくなるまでの間にはタイムラグがある。そこで、制御部は、最後に行ったチョッピング処理の終了時点から規定期間が経過するまでの間、チョッピング処理を行わないことが好ましい。この構成によれば、最後に行ったチョッピング処理によってスティック現象が解消されたにも拘わらず、チョッピング処理が再度行われてしまうことを抑制できる。
なお、チョッピング処理の実施によってスティック現象が解消された場合、規定期間中に、上記センサ値が前記目標値に向けて変化するようになるはずである。その一方で、チョッピング処理を実施してもスティック現象が解消されなかった場合、上記センサ値が前記目標値に向けてあまり変化しないため、規定期間中の上記センサ値の変化量が少ない。そこで、制御部は、規定期間中の上記センサ値の変化量が判定変化量未満であったときには、規定期間の終了後にもチョッピング処理を行うようにしてもよい。
上記構成によれば、規定期間中での上記センサ値の変化量が判定変化量未満であったときには、スティック現象が未だ解消されていないと推定できるため、規定期間の終了後にチョッピング処理が再度行われる。このようにスティック現象が解消できていないと推定されるときには、チョッピング処理を繰り返し行うようにすれば、スティック現象が解消されていない状態が継続しにくくなる。
その一方で、規定期間中の上記センサ値の変化量が判定変化量以上であったときには、前回のチョッピング処理によってスティック現象が解消されたと推定できるため、チョッピング処理は行われない。したがって、チョッピング処理の不要な実施を抑制することができる。
チョッピング処理の実施によってスティック現象が解消された場合、規定期間中における上記センサ値の変化量が多くなる。そのため、規程期間中には、当該チョッピング処理の終了時点でのフィードバック制御の積分項である終了時積分項を基準とする積分項の偏差は大きくなりにくい。その一方で、チョッピング処理を実施してもスティック現象が解消されなかった場合、規定期間中でも上記センサ値があまり変わらないため、上記センサ値と上記目標値との差分が小さくなりにくい。その結果、終了時積分項を基準とする積分項の偏差は大きくなりやすいため、終了時積分項を基準とする規定期間中の積分項の偏差の積算値は大きくなる。すなわち、規定期間が経過した時点での上記センサ値と上記目標値との差分が同じであっても、スティック現象が解消されていたときと、スティック現象が解消されなかったときとで、規定期間が経過した時点での上記偏差の積算値は大きく異なる。そのため、終了時積分項を基準とする規定期間の経過時点での上記偏差の積算値に基づいて、規定期間中における上記センサ値の変化量が多いか否か、すなわち前回のチョッピング処理の実施によってスティック現象を解消できたか否かを判定することができる。
そこで、制御部は、上記終了時点から規定期間が経過するまでの間に、終了時積分項を基準とするフィードバック制御の積分項の偏差を積算する積算処理を行い、上記終了時点から規定期間が経過した時点までの上記偏差の積算値が判定積算値以上であるときには、規定期間の終了後にもチョッピング処理を行うことが好ましい。この構成によれば、当該積算値が大きいときには、規定期間中における上記センサ値の変化量が少なく、スティック現象を解消できていないと判定できるため、規定期間が経過したことを契機にチョッピング処理を再度実施することができる。
実施形態のオイル供給装置の概略構成と、同オイル供給装置を構成する制御装置の機能構成とを示す図。 同オイル供給装置におけるオイルポンプを示す断面図であって、オイルの吐出圧が最大となっている状態を示す図。 同オイルポンプを示す断面図であって、オイルの吐出圧が最小となっている状態を示す図。 同オイル供給装置における、アクチュエータに対する指示電流値とオイルポンプにおけるオイルの吐出圧との関係を示すグラフ。 制御装置の判定部が実行する処理ルーチンを説明するフローチャート。 制御装置の制御部が実行する処理ルーチンを説明するフローチャート。 制御装置の制御部が実行する処理ルーチンを説明するフローチャート。 フィードバック制御によって指示電流値を大きくしている過程でチョッピング処理を行う場合の指示電流値の推移を示すタイミングチャート。 フィードバック制御によって指示電流値を小さくしている過程でチョッピング処理を行う場合の指示電流値の推移を示すタイミングチャート。
以下、オイル供給装置の一実施形態を図1〜図9に従って説明する。
図1には、本実施形態のオイル供給装置210が図示されている。このオイル供給装置210は、車載のエンジンに搭載されるものである。図1に示すように、オイル供給装置210は、オイルの吐出圧を変更可能なオイルポンプ10と、オイルポンプ10を作動させるためのオイル制御バルブ100と、オイル制御バルブ100の制御を通じてオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御する制御装置300とを備えている。
次に、図1、図2及び図3を参照し、オイルポンプ10について説明する。
オイルポンプ10は、エンジンのクランク軸の回転に基づいて作動する可変容量型のポンプである。図2及び図3に示すように、オイルポンプ10は、エンジンのクランク軸と同期して回転する入力軸11と、内部に収容空間40が区画されているケーシング部材CSとを備えている。この収容空間40には、入力軸11と一体回転するインナロータ50と、インナロータ50よりも外周側に配置されているアウタロータ60と、アウタロータ60を取り囲むリング状の調整リング70とが設けられている。
ケーシング部材CSには、その内部にオイルを吸入する吸入ポート12と、内部のオイルをケーシング部材CS外に吐出する吐出ポート13とが設けられている。なお、図1に示すように、吸入ポート12はエンジンのオイルパン201に通じる吸入油路114に連通しており、吐出ポート13はメインオイルギャラリ202に通じる吐出油路13aに連通している。そして、メインオイルギャラリ202に供給されたオイルは、エンジンのうち、オイルの供給を必要とするオイル需要部に供給され、その後、オイルパン201に戻るようになっている。
図2及び図3に示すように、インナロータ50の外周には複数の外歯51が設けられており、アウタロータ60の内周には、インナロータ50の外歯51と噛み合う複数の内歯61が設けられている。内歯61の数は外歯51の数よりも1つ多くなっている。そして、アウタロータ60は、調整リング70によって回転可能に保持されている。
アウタロータ60の回転中心は、インナロータ50の回転中心に対して偏心している。インナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61とは、それらの一部分(図2では右側部分)が互いに噛み合った状態となっている。インナロータ50の外周とアウタロータ60の内周との間には、オイルにより満たされる作動室41が形成されている。
作動室41において、インナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61とが互いに噛み合う位置から図2に矢印で示す入力軸11の回転方向における所定位置までの部分では、各ロータ50,60の回転に伴ってインナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61との間の隙間が徐々に大きくなる。そして、このようにインナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61との間の隙間が徐々に大きくなる部分が、吸入ポート12と連通する。一方、作動室41において、ロータ50,60の回転に伴ってインナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61との間の隙間が徐々に小さくなる部分が、吐出ポート13と連通する。
オイルポンプ10が作動する際には、入力軸11が回転することにより、各ロータ50,60が互いに噛み合いながら回転する。そして、オイルパン201に貯留されているオイルが吸入油路114を介して吸入ポート12から作動室41に吸入され、吐出ポート13から吐出油路13aに吐出される。
調整リング70は、アウタロータ60を保持するリング状の本体部71と、本体部71の外周からロータ50,60の径方向に突出する突出部72とを有している。調整リング70の本体部71には、規定方向に延びる長孔711,712が設けられている。これら長孔711,712には、ケーシング部材CSに固定されているガイドピン81,82が挿通されている。これにより、調整リング70は、長孔711,712の延びる方向に変位可能となっている。
調整リング70の突出部72の先端には第1のシール部材83が設けられているとともに、本体部71には第2のシール部材84が設けられている。各シール部材83,84はケーシング部材CSの側壁に当接し、側壁と調整リング70の外周との間の空間がシールされることにより、収容空間40には、調整リング70及び各シール部材83,84によって制御油室42が区画形成されている。
制御油室42には、制御油路111と連通する開口部14が設けられており、この制御油路111及び開口部14を通じてオイル制御バルブ100から制御油室42にオイルが供給可能となっている。また、収容空間40には、制御油室42の容積を小さくする方向への付勢力を突出部72に付与するスプリング15が設けられている。このスプリング15は、突出部72を挟んだ制御油室42の反対側に配設されている。図2には、制御油室42の内圧が低いため、スプリング15からの付勢力によって、制御油室42の容積が最小となる位置で調整リング70が保持されている状態が示されている。なお、本実施形態では、このように制御油室42の容積が最小となるときの調整リング70の位置、すなわち図2での調整リング70の位置を、「初期位置」というものとする。
そして、調整リング70が初期位置に配置されている状況下で、制御油室42にオイルが供給され、制御油室42の内圧が高くなると、スプリング15からの付勢力に抗し、制御油室42の容積を大きくする方向に初期位置から調整リング70が変位する。すなわち、図2に示す状態から図3に示す状態に向かう方向(図2における反時計回り方向)に調整リング70が回動しながら変位する。一方、オイル制御バルブ100の作動によって制御油室42からオイルが排出されるようになると、制御油室42の内圧が低くなり、スプリング15からの付勢力によって、制御油室42の容積を小さくする方向に調整リング70が変位する。すなわち、図3に示す状態から図2に示す状態に向かう方向(図3における時計回り方向)に調整リング70が回動しながら変位する。つまり、調整リング70の位置は、制御油室42の内圧とスプリング15からの付勢力とによって決まる。そして、調整リング70の位置の変化によって、吸入ポート12及び吐出ポート13の各々の開口に対するインナロータ50及びアウタロータ60の歯51,61の噛み合う部分の相対的な位置が変化する。このため、制御油室42の内圧の調整による調整リング70の位置の変更を通じ、吐出ポート13から吐出されるオイルの圧力である吐出圧が変更される。
具体的には、オイルポンプ10では、図2に示されているように調整リング70の位置が「初期位置」にあるときに、オイルの吐出圧が最大になる。図2に示すようにオイルの吐出圧が最大となる位置にある状態から制御油室42の内圧が高くなると、内圧の上昇に伴い、調整リング70が、スプリング15からの付勢力に抗して図2における反時計回り方向に回動しながら変位する。その結果、ロータ50,60の回転に伴って外歯51と内歯61との間の隙間が徐々に大きくなる部分のうち、吸入ポート12と重なる範囲が小さくなるとともに、外歯51と内歯61との間の隙間が徐々に小さくなる部分の一部が吸入ポート12と重なるようになる。その結果、オイルの吐出圧が低くなる。反対に、制御油室42の内圧が低くなると、内圧の低下に伴い、調整リング70が、スプリング15からの付勢力によって図3における時計回り方向に回動しながら変位し、オイルの吐出圧が高くなる。
次に、図1〜図3を参照し、オイル制御バルブ100について説明する。
図1に示すように、オイル制御バルブ100は、スリーブ100Bと、スリーブ100Bの内側に配置されているスプール100Cと、スリーブ100Bの内側に配置されているバルブスプリング100Dと、電磁駆動式のアクチュエータ100Aとを備えている。バルブスプリング100Dは、スリーブ100Bの軸方向一方側(図1では右側)への付勢力をスリーブ100Bに付与している。アクチュエータ100Aは、バルブスプリング100Dからの付勢力に抗してスプール100Cを上記軸方向他方側(図1では左側)に変位させるための駆動力をスプール100Cに付与すべく駆動するようになっている。このようにスプール100Cに伝達される駆動力は、アクチュエータ100Aに入力する指示電流値Iocvが大きいほど大きくなる。そのため、アクチュエータ100Aに入力する指示電流値Iocvが大きいほど、スプール100Cは上記軸方向他方側(図1では左側)に位置するようになっている。
スリーブ100Bには、制御油路111が接続される制御ポート101と、オイルポンプ10の吐出油路13aから分岐する供給油路112が接続される供給ポート102と、オイルを排出するための排出油路113が接続される排出ポート103とが設けられている。また、スプール100Cの外周面には、供給ポート102と連通している環状溝105が全周にわたって形成されている。そして、アクチュエータ100Aに指示電流値Iocvが入力されていない場合、図1及び図2に示すように、スプール100Cの先端(図1では左端)が制御ポート101よりも上記軸方向一方側(図1では右側)に位置しており、制御ポート101が排出ポート103と連通している。これにより、オイルポンプ10の制御油室42から制御ポート101に還流してきたオイルが排出ポート103を介してオイルパン201に排出されるため、制御油室42の内圧が低くなる。その結果、調整リング70が図2に示す初期位置に位置するようになり、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧は、その時点で実現できる最も高い吐出圧となる。
一方、アクチュエータ100Aに入力される指示電流値Iocvが大きくなると、スプール100Cは、図1に示す位置から上記軸方向他方側(図1では左側)に変位するようになる。そして、スプール100Cのうち、環状溝105よりも先端側(図1では左側)の部位によって制御ポート101から閉塞されると、制御ポート101と排出ポート103との連通が解除される。これにより、オイルポンプ10の制御油室42のオイルが、排出ポート103を介してオイルパン201に戻されなくなる。
指示電流値Iocvがさらに大きくなると、制御ポート101と環状溝105内とが連通するようになる。図1に示すように環状溝105は供給ポート102と連通しているため、制御ポート101は供給ポート102と環状溝105を介して連通することとなる。その結果、供給ポート102を介してスリーブ100B内に流入してきたオイルが制御ポート101を介して制御油室42に供給される。この状態で指示電流値Iocvが大きくなるにつれて、制御ポート101と環状溝105とが連通する部分の流路断面積が徐々に大きくなる。したがって、指示電流値Iocvが大きいほど、制御ポート101を介して制御油室42に供給できるオイルの量が多くなる。
なお、オイルポンプ10の制御油室42からは、オイルポンプ10の構成部品の間の隙間からオイルが制御油室42外に漏れ出てしまう。そのため、制御油室42の内圧を低くしないようにするためには、オイル制御バルブ100から制御油室42にオイルを供給し続ける必要がある。そして、制御ポート101を介して制御油室42に供給されるオイルの量が多いほど、制御油室42の内圧が高い状態で、制御油室42へのオイルの供給量と制御油室42からのオイルの漏出量とが平衡状態になる。したがって、本実施形態では、指示電流値Iocvが大きくなるにつれ、制御油室42の容積が大きくなる方向に調整リング70が変位し、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧が徐々に低くなる。
また、本実施形態のオイル供給装置210は、図4に示すようなヒステリシス特性を有している。すなわち、アクチュエータ100Aに対する指示電流値Iocvを「0」から徐々に大きくしていく場合、指示電流値Iocvが大きくなるにつれてオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧が徐々に低くなる。この際における指示電流値Iocvの変化に対する吐出圧の変化の比率を減少率(吐出圧を減少させるときの吐出圧変化率)とした場合、指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2に達するまでは、減少率は低い。しかし、指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2を超えると、指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2未満であったときよりも減少率が急に高くなる。本実施形態では、指示電流値Iocvを大きくしていく過程で減少率が急に高くなるときの指示電流値である第2の電流値Iocv2のことを「増大側変極点電流値」という。そして、その後に第2の電流値Iocv2よりも大きい第4の電流値Iocv4を指示電流値Iocvが超えると、第2の電流値Iocv2以上且つ第4の電流値Iocv4未満の範囲で指示電流値Iocvを大きくしていたときよりも減少率が急に低くなる。
その一方で、第4の電流値Iocv4よりも指示電流値Iocvが大きい状態から指示電流値Iocvを徐々に小さくしていく場合、指示電流値Iocvが小さくなるにつれてオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧が徐々に高くなる。この際における指示電流値Iocvの変化に対する吐出圧の変化の比率を増大率(吐出圧を増大させるときの吐出圧変化率)とした場合、指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3に達するまでは、増大率が低い。この第3の電流値Iocv3は、第2の電流値Iocv2よりも大きく、且つ、第4の電流値Iocv4よりも小さい。しかし、指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3未満になると、指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3以上であったときよりも増大率が急に大きくなる。本実施形態では、指示電流値Iocvを小さくしていく過程で増大率が急に大きくなるときの指示電流値である第3の電流値Iocv3のことを「減少側変極点電流値」という。そして、その後に第2の電流値Iocv2よりも小さい第1の電流値Iocv1よりも指示電流値Iocvが小さくなると、第3の電流値Iocv3以下且つ第1の電流値Iocv1よりも大きい範囲で指示電流値Iocvを小さくしていたときよりも増大率が急に小さくなる。
次に、図1を参照し、制御装置300について説明する。
図1に示すように、制御装置300には、吐出圧センサ311と、温度センサ312と、クランク角センサ313とが電気的に接続されている。吐出圧センサ311は、オイルポンプ10におけるオイルの吐出能力の指標値の一例であるオイルポンプ10から吐出されたオイルの圧力である吐出圧センサ値PSを検出する。また、温度センサ312はオイルポンプ10に供給されるオイルの温度である油温TMPを検出し、クランク角センサ313はクランク軸の回転速度であるエンジン回転速度NEを検出する。そして、制御装置300は、これら各センサ311〜313によって検出された情報を基に、オイル制御バルブ100のアクチュエータ100Aに対する指示電流値Iocvを制御することにより、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御するようになっている。
また、制御装置300は、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御するための機能部として、目標設定部301、制御部302及び判定部303を有している。
目標設定部301は、オイルポンプ10におけるオイルの吐出能力の指標値の目標値の一例である目標吐出圧PTrの導出を行っている。そして、目標設定部301は、導出した目標吐出圧PTrを制御部302及び判定部303に出力する。
判定部303は、アクチュエータ100Aに対する指示電流値Iocvが変更されている状況下で、スリーブ100Bにスプール100Cが引っ掛かってスリーブ100B内でのスプール100Cの変位が規制される現象であるスティック現象が発生しているか否かの判定を行う。そして、判定部303は、当該判定の結果を制御部302に出力する。
制御部302は、目標設定部301から入力された目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとを用いたフィードバック制御に基づいて指示電流値Iocvを算出し、この指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力することで、制御油室42の内圧、すなわちオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御する。具体的には、制御部302は、以下に示す関係式(式1)を用いて指示用目標吐出圧PTrAを算出し、この指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvを求める。すなわち、指示電流値Iocvは、指示用目標吐出圧PTrAが低いほど大きくなる。なお、関係式(式1)において、「X」はフィードバック制御の比例項であり、「Y」はフィードバック制御の積分項である。比例項X及び積分項Yは、フィードバック制御の補正項の一例である。また、「G」は共通のゲインであり、このゲインGはオイルポンプ10に供給されるオイルの温度、すなわち温度センサ312によって検出されている油温TMPに応じた値に設定される。
PTrA=(PTr+X+Y)×G ・・・(式1)
また、制御部302は、スティック現象が発生していると判定された旨の判定結果が判定部303から入力されているときには、指示電流値Iocvを一時的に変更するチョッピング処理を行う。すなわち、上記フィードバック制御によって算出される指示電流値を規定指示電流値IocvBとした場合、チョッピング処理では、指示電流値Iocvが、規定指示電流値IocvBから一時的に変更される。なお、制御部302は、チョッピング処理の実施後において、スティック現象が解消されていないと判定したときには、チョッピング処理を再度行う。
次に、図5を参照し、スティック現象が発生しているか否かを判定する際に判定部303が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、この処理ルーチンは、予め設定された制御サイクル毎に実行される。
図5に示すように、本処理ルーチンにおいて、判定部303は、チョッピングフラグFLG3にオンがセットされているか否かを判定する(ステップS11)。このチョッピングフラグFLG3は、後述するように、制御部302によってチョッピング処理が行われている最中であるときには「オン」がセットされる一方、チョッピング処理が行われていないときには「オフ」がセットされるフラグである。チョッピングフラグFLG3にオンがセットされている場合(ステップS11:YES)、判定部303は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方、チョッピングフラグFLG3にオフがセットされている場合(ステップS11:NO)、判定部303は、後述するスティック判定フラグFLG1にオフがセットされているか否かを判定する(ステップS12)。このスティック判定フラグFLG1は、後述するように、スティック現象が発生していると判定したときにはオンがセットされ、スティック現象が発生していないと判定したときにはオフがセットされるフラグである。そして、スティック判定フラグFLG1にオンがセットされている場合(ステップS12:NO)、判定部303は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、スティック判定フラグFLG1にオフがセットされている場合(ステップS12:YES)、判定部303は、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの差分ΔPS(=|PTr−PS|)を算出する(ステップS13)。続いて、判定部303は、算出した差分ΔPSが差分判定値ΔPSTh以上であるか否かを判定する(ステップS14)。指示電流値Iocvが変化している過程では、オイル制御バルブ100でスティック現象が発生していると、スプール100Cが変位しにくくなっているため、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの差分ΔPSが大きくなる。そこで、本実施形態では、この差分ΔPSからスティック現象が発生しているか否かを判定できるような値に差分判定値ΔPSThが設定されている。そのため、差分ΔPSが差分判定値ΔPSTh未満であるときには、差分ΔPSがそれほど大きくないため、スティック現象が発生していると判定できない一方、差分ΔPSが差分判定値ΔPSTh以上であるときには、差分ΔPSが大きくなっているため、スティック現象が発生していると判定することができる。
そして、差分ΔPSが差分判定値ΔPSTh未満である場合(ステップS14:NO)、判定部303は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方、差分ΔPSが差分判定値ΔPSTh以上である場合(ステップS14:YES)、判定部303は、スティック判定フラグFLG1にオンをセットする(ステップS15)。その後、判定部303は、本処理ルーチンを一旦終了する。そして、このようにスティック判定フラグFLG1にオンをセットした場合、判定部303は、スティック判定フラグFLG1にオンをセットした旨を制御部302に出力する。
次に、図6を参照し、チョッピング処理を行ったことによってスティック現象が解消されたか否かを判定するために制御部302が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、この処理ルーチンは、予め設定された制御サイクル毎に実行される。
図6に示すように、本処理ルーチンにおいて、制御部302は、チョッピングフラグFLG3にオンがセットされているか否かを判定する(ステップS21)。チョッピングフラグFLG3にオンがセットされているときにはチョッピング処理が行われている最中であると判定することができる一方、チョッピングフラグFLG3にオフがセットされているときにはチョッピング処理が行われていないと判定することができる。チョッピングフラグFLG3にオンがセットされている場合(ステップS21:YES)、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方、チョッピングフラグFLG3にオフがセットされている場合(ステップS21:NO)、制御部302は、前述したスティック判定フラグFLG1にオンがセットされているか否かを判定する(ステップS22)。スティック判定フラグFLG1にオフがセットされている場合(ステップS22:NO)、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、スティック判定フラグFLG1にオンがセットされている場合(ステップS22:YES)、制御部302は、最後に実施されたチョッピング処理の終了時点からのフィードバック制御の積分項Yの偏差である積分項偏差ΔYを算出する(ステップS23)。具体的には、最後に実施されたチョッピング処理の終了時点での積分項Yを終了時積分項Yendとした場合、制御部302は、フィードバック制御の最新の積分項Yと終了時積分項Yendとの差分(=|Y−Yend|)を積分項偏差ΔYとして求める。
続いて、制御部302は、積分項偏差ΔYの積算値Zを算出する積算処理を行う(ステップS24)。そして、制御部302は、最後に実施したチョッピング処理の終了時点からの経過時間が規定期間TMを超えたか否かを判定する(ステップS25)。チョッピング処理の実施によってスティック現象が解消されたとしても、チョッピング処理の実施の終了時点から目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの差分ΔPSが差分判定値ΔPSTh未満まで小さくなるまでの間にはタイムラグがある。そこで、本実施形態では、想定されるタイムラグよりも少しだけ長い期間を規定期間TMとして設定している。
そして、上記経過時間が規定期間TMを未だ超えていない場合(ステップS25:NO)、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方、経過時間が規定期間TMを既に超えている場合(ステップS25:YES)、制御部302は、算出した積分項偏差ΔYの積算値Zが判定積算値ZTh以上であるか否かを判定する(ステップS26)。
チョッピング処理の実施によってスティック現象が解消された場合、規定期間TM中における吐出圧センサ値PSの変化量が多くなるため、積分項偏差ΔYは大きくなりにくい。そのため、規定期間TM中に算出された積分項偏差ΔYの積算値Zはあまり大きくならない。その一方で、チョッピング処理を実施してもスティック現象が解消されなかった場合、規定期間TM中でも吐出圧センサ値PSがあまり変わらないため、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとの差分ΔPSが小さくならない。その結果、積分項偏差ΔYは大きくなりやすいため、規定期間TM中に算出された積分項偏差ΔYの積算値Zは大きくなる。すなわち、この積算値Zに基づいて、前回のチョッピング処理の実施によってスティック現象が解消できたか否か、すなわちスティック現象が未だ発生しているか否かを判定することができる。そこで、本実施形態では、積算値Zからスティック現象が未だ発生しているか否かを判定できるように判定積算値ZThが設定されている。
そのため、積算値Zが判定積算値ZTh未満であるときには、スティック現象が発生していない、すなわちスティック現象が解消されたと判定することができる。一方、積算値Zが判定積算値ZTh以上であるときには、スティック現象が発生している、すなわちスティック現象が解消されていないと判定することができる。
そして、積算値Zが判定積算値ZTh以上である場合(ステップS26:YES)、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。この場合、スティック判定フラグFLG1にはオンがセットされたままである。一方、積算値Zが判定積算値ZTh未満である場合(ステップS26:NO)、制御部302は、スティック判定フラグFLG1にオフをセットする(ステップS27)。その後、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図7〜図9を参照し、オイル制御バルブ100の作動を制御するために制御部302が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、本処理ルーチンは、予め設定された制御サイクル毎に実行される。
図7に示すように、本処理ルーチンにおいて、制御部302は、上記関係式(式1)を用い、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとに基づいたフィードバック制御によって指示用目標吐出圧PTrAを導出する(ステップS31)。すなわち、本実施形態では、このステップS31の処理が、「指示値算出処理」に相当する。続いて、制御部302は、上記の規定期間TM中であるか否かを判定する(ステップS32)。規定期間TM中である場合(ステップS32:YES)、制御部302は、その処理を後述するステップS34に移行する。一方、規定期間TMではない場合(ステップS32:NO)、制御部302は、スティック判定フラグFLG1にオフがセットされているか否かを判定する(ステップS33)。スティック判定フラグFLG1にオフがセットされている場合(ステップS33:YES)、制御部302は、その処理を次のステップS34に移行する。
ステップS34において、制御部302は、ステップS31で導出した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvを導出する。本実施形態では、指示電流値Iocvは、指示用目標吐出圧PTrAが小さいほど大きくなる。そして、制御部302は、導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力することで、オイル制御バルブ100の作動を制御する(ステップS35)。その後、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。
その一方で、ステップS33において、スティック判定フラグFLG1にオンがセットされている場合(NO)、制御部302は、チョッピングフラグFLG3にオフがセットされているか否かを判定する(ステップS36)。チョッピングフラグFLG3にオンがセットされている場合(ステップS36:NO)、制御部302は、その処理を後述するステップS39に移行する。一方、チョッピングフラグFLG3にオフがセットされている場合(ステップS36:YES)、制御部302は、チョッピングフラグFLG3にオンをセットするとともに、チョッピング処理の継続時間Tの測定を開始する(ステップS37)。続いて、制御部302は、吐出圧補正量ΔPTrの算出処理を行う(ステップS38)。具体的には、制御部302は、現時点、すなわち判定部303によってスティック現象が発生していると判定されたときの目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの差分ΔPSが大きいほど、吐出圧補正量ΔPTrを大きくする。すなわち、本実施形態では、このステップS38の処理が、「補正量導出処理」に相当する。そして、制御部302は、その処理を次のステップS39に移行する。
ステップS39において、制御部302は、上記ステップS31で算出した指示用目標吐出圧PTrAを吐出圧補正量ΔPTrを用いて補正する補正処理を行う。すなわち、指示電流値Iocvを徐々に大きくしている過程でチョッピングフラグFLG3にオンがセットされた場合、すなわちチョッピング処理を開始する場合、制御部302は、ステップS31で算出した指示用目標吐出圧PTrAから吐出圧補正量ΔPTrを減じた差を指示用目標吐出圧PTrAとする。一方、指示電流値Iocvを徐々に小さくしている過程でチョッピングフラグFLG3にオンがセットされた場合、すなわちチョッピング処理を開始する場合、制御部302は、ステップS31で算出した指示用目標吐出圧PTrAに吐出圧補正量ΔPTrを加算した和を指示用目標吐出圧PTrAとする。そして、制御部302は、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに基づいて指示電流値Iocvを導出する導出処理を行う(ステップS40)。
ステップS40の導出処理について詳述する。図8には、指示電流値Iocvを大きくしている過程でチョッピング処理を実施する場合において、チョッピング処理の開始前では指示電流値Iocvが増大側変極点電流値である第2の電流値Iocv2よりも小さいにも拘わらず、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2よりも大きくなる場合が図示されている。図8に破線で示すようにステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2よりも大きい場合、制御部302は、チョッピング処理の実施中での指示電流値Iocvを第2の電流値Iocv2と等しくする。一方、制御部302は、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2以下であるときには、チョッピング処理の実施中での指示電流値Iocvを、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する値と等しくする。すなわち、チョッピング処理の実施前の指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2よりも小さい場合、制御部302は、チョッピング処理では、指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2を超えない範囲で、指示電流値Iocvを一時的に大きくする。
なお、指示電流値Iocvを大きくしている過程でチョッピング処理を実施する場合において、チョッピング処理の開始前で既に指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2以上であることもある。このような場合、制御部302は、チョッピング処理の実施中では、チョッピング処理の実施中での指示電流値Iocvを、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する値と等しくする。
図9には、指示電流値Iocvを小さくしている過程でチョッピング処理を実施する場合において、チョッピング処理の開始前では指示電流値Iocvが減少側変極点電流値である第3の電流値Iocv3よりも大きいにも拘わらず、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3よりも小さくなる場合が図示されている。図9に破線で示すようにステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3よりも小さい場合、制御部302は、チョッピング処理の実施中での指示電流値Iocvを第3の電流値Iocv3と等しくする。一方、制御部302は、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3以上であるときには、チョッピング処理の実施中での指示電流値Iocvを、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する値と等しくする。すなわち、チョッピング処理の実施前の指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3よりも大きい場合、制御部302は、チョッピング処理では、指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3を下回らない範囲で、指示電流値Iocvを一時的に小さくする。
なお、指示電流値Iocvを小さくしている過程でチョッピング処理を実施する場合において、チョッピング処理の開始前で既に指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3以下であることもある。このような場合、制御部302は、チョッピング処理の実施中では、チョッピング処理の実施中での指示電流値Iocvを、ステップS39で補正した指示用目標吐出圧PTrAに対応する値と等しくする。
図7に戻り、ステップS40の導出処理を行った制御部302は、導出処理で導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力することで、オイル制御バルブ100の作動を制御する(ステップS41)。そして、制御部302は、測定している上記の継続時間Tが規定時間TTh以上になったか否かを判定する(ステップS42)。この規定時間TThは、オイル制御バルブ100の応答性能によって決まる値である。そして、継続時間Tが規定時間TTh未満である場合(ステップS42:NO)、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方、継続時間Tが規定時間TTh以上である場合(ステップS42:YES)、制御部302は、チョッピングフラグFLG3にオフをセットする(ステップS43)。すなわち、制御部302は、チョッピング処理を終了する。その後、制御部302は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、指示電流値Iocvを大きくしてオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を低くしている過程でスティック現象が発生した際の作用について効果とともに説明する。
指示電流値Iocvを大きくしていくときにスティック現象が発生すると、オイル制御バルブ100では、スプール100Cが変位しにくくなる。その結果、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとの差分ΔPSが大きくなる。そして、この差分ΔPSが判定差分ΔPSTh以上になると、スティック現象が発生していると判定できるため、チョッピング処理が行われる。この場合、指示電流値Iocvが徐々に大きくなっている過程でスティック現象が発生したため、チョッピング処理によって、図8に示すように指示電流値Iocvが一時的に増大される。すると、オイル制御バルブ100では、アクチュエータ100Aからスプール100Cに付与される駆動力が一時的に大きくなるため、スリーブ100B内でスプール100Cを変位させるための推進力、すなわち当該駆動力からバルブスプリング100Dからの付勢力を減じた差が一時的に大きくなる。これにより、スリーブ100B内でスプール100Cを振動させてスティック現象を解消し、スリーブ100B内でスプール100Cを変位させることが可能となる。このようにスティック現象が解消されると、オイル制御バルブ100による制御油室42に対するオイルの給排を適切に制御できるようになる。したがって、制御油室42の内圧を適切に変更することができ、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を適切に制御することができる。
ここで、指示電流値Iocvが大きくなっている過程でスティック現象が発生した場合、吐出圧センサ値PSを小さくしたいにも拘わらず、吐出圧センサ値PSを小さくすることができない状態になる。このようなときにチョッピング処理によって指示電流値Iocvを一時的に小さくした場合、スティック現象を解消させることは可能であるものの、スティック現象の解消とともに吐出圧センサ値PSが大きくなってしまうおそれがある。この場合、チョッピング処理の終了時点での目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの乖離が大きくなりやすい。
この点、本実施形態では、指示電流値Iocvが大きくなっている過程では、チョッピング処理によって、指示電流値Iocvを一時的に大きくするようにしている。そのため、チョッピング処理の実施中では、スティック現象の解消とともに吐出圧センサ値PSを小さくすることができる。したがって、チョッピング処理の終了時点での目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの乖離が大きくなることを抑制できる。
また、スティック現象が発生している状況下での目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの差分ΔPSが大きい場合では、エンジンにおいてオイルの供給を必要とするオイル需要部の需要と、オイル需要部に供給できるオイルの量との乖離が大きくなりやすい。そのため、スティック現象が発生している状況下での差分ΔPSが大きいほど、スティック現象の解消の必要性が高い。そこで、本実施形態では、スティック現象が判定しているときの差分ΔPSが大きいほど吐出圧補正量ΔPTrを大きくしている。そのため、差分ΔPSが大きい場合ほど、チョッピング処理の実施に伴う指示電流値Iocvの増大量(変更量)を、すなわちスプール100Cの推進力の変更量を大きくすることができる。そのため、チョッピング処理の実施によってスティック現象を解消できる可能性を高めることができる。
また、チョッピング処理の実施前での指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2未満であったにも拘わらず、チョッピング処理の実施によって指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2を超えてしまった場合、チョッピング処理の実施中にスティック現象が解消すると、オイル制御バルブ100ではスプール100Cの位置が変わるため、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧が急減少するおそれがある。そこで、本実施形態では、チョッピング処理によって指示電流値Iocvを大きくする場合、チョッピング処理の実施前での指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2未満であったときには、図8に示すように、指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2を超えない範囲で、指示電流値Iocvを一時的に大きくするようにしている。この構成によれば、チョッピング処理を行っても指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2を超えることはない。そのため、チョッピング処理の実施中にスティック現象が解消したときにオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧の急減少を抑制することができる。
次に、指示電流値Iocvを小さくしてオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を高くしている過程でスティック現象が発生した際の作用について効果とともに説明する。
指示電流値Iocvを小さくしている過程でスティック現象が発生した場合でも、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとの差分ΔPSが大きくなる。そして、この差分ΔPSが判定差分ΔPSTh以上になると、スティック現象が発生していると判定できるため、チョッピング処理が行われる。この場合、指示電流値Iocvが徐々に小さくなる過程でスティック現象が発生したため、チョッピング処理によって、図9に示すように、指示電流値Iocvが一時的に減少される。すると、オイル制御バルブ100では、アクチュエータ100Aからスプール100Cに付与される駆動力が一時的に小さくなるため、スリーブ100B内でスプール100Cを変位させるための推進力、すなわちバルブスプリング100Dからの付勢力から駆動力を減じた差が一時的に大きくなる。これにより、スリーブ100B内でスプール100Cを振動させてスティック現象を解消し、スリーブ100B内でスプール100Cを変位させることが可能となる。このようにスティック現象が解消されると、オイル制御バルブ100による制御油室42に対するオイルの給排を適切に制御できるようになる。したがって、制御油室42の内圧を適切に変更することができ、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を適切に制御することができる。
ここで、指示電流値Iocvが小さくなっている過程でスティック現象が発生した場合、吐出圧センサ値PSを大きくしたいにも拘わらず、吐出圧センサ値PSを大きくすることができない状態になる。このようなときにチョッピング処理によって指示電流値Iocvを一時的に大きくした場合、スティック現象を解消させることは可能であるものの、スティック現象の解消とともに吐出圧センサ値PSが小さくなってしまうおそれがある。この場合、チョッピング処理の終了時点での目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの乖離が大きくなりやすい。
この点、本実施形態では、指示電流値Iocvが小さくなっている過程では、チョッピング処理によって、指示電流値Iocvを一時的に小さくするようにしている。そのため、チョッピング処理の実施では、スティック現象とともに吐出圧センサ値PSを大きくすることができる。したがって、チョッピング処理の終了時点での目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとの乖離が大きくなることを抑制できる。
また、本実施形態では、指示電流値Iocvが小さくなっている過程でのチョッピング処理でも、スティック現象が判定しているときの差分ΔPSが大きいほど吐出圧補正量ΔPTrを大きくしている。そのため、差分ΔPSが大きい場合ほど、チョッピング処理の実施に伴う指示電流値Iocvの減少量(変更量)を、すなわちスプール100Cの推進力の変更量を大きくすることができる。そのため、チョッピング処理の実施によってスティック現象を解消できる可能性を高めることができる。
また、チョッピング処理の実施前での指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3よりも大きかったにも拘わらず、チョッピング処理の実施によって指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3未満になってしまった場合、チョッピング処理の実施中にスティック現象が解消すると、オイル制御バルブ100ではスプール100Cの位置が変わるため、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧が急増大するおそれがある。そこで、本実施形態では、チョッピング処理によって指示電流値Iocvを小さくする場合、チョッピング処理の実施前での指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3よりも大きいときには、図9に示すように、指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3未満にならない範囲で、指示電流値Iocvを一時的に小さくするようにしている。この構成によれば、チョッピング処理を行っても指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3未満になることはない。そのため、チョッピング処理の実施中にスティック現象が解消したときにオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧の急増大を抑制することができる。
次に、チョッピング処理を行ったあとの作用を効果とともに説明する。
チョッピング処理が行われた場合、このチョッピング処理の終了時点から規定期間TMが経過するまでの間では、チョッピング処理が実施されることはない。このような規定期間TM中では、前回のチョッピング処理によってスティック現象が解消された場合、吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrに向けて変化するようになるはずである。すなわち、上記積算値Zが大きくなりにくい。その一方で、チョッピング処理を実施してもスティック現象が解消されなかった場合、規定期間TM中では、吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrに向けてあまり変化しないため、上記積算値Zが大きくなりやすい。そこで、本実施形態では、上記積算値Zが判定積算値ZTh以上であるときには、スティック現象が解消されていないと判断できるため、規定期間TMの終了後にチョッピング処理を再度行うようにしている。このようにスティック現象が解消できないときには、チョッピング処理を繰り返し行うことにより、スティック現象を解消させることが可能となる。
その一方で、上記積算値Zが判定積算値ZTh未満であったときには、前回のチョッピング処理によってスティック現象が解消されたと判断できるため、チョッピング処理は行われない。したがって、チョッピング処理の不要な実施を回避することができる。
ちなみに、本実施形態では、ディザ信号が重畳されている指示電流値をアクチュエータ100Aに入力する場合とは異なり、スリーブ100B内でスプール100Cが微少振動し続けるわけではない。そのため、スリーブ100B及びスプール100Cの摩耗の進行を抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態では、規定期間TMの終了時点でチョッピング処理を再度行うか否かを判定するときには、上記積算値Zを用いているが、当該積算値Z以外の他のパラメータを用いるようにしてもよい。例えば、チョッピング処理を行ってもスティック現象が解消されていない場合、規定期間TM中では吐出圧センサ値PSがほとんど変化しない。そこで、規定期間TM中における吐出圧センサ値PSの変化量を取得し、当該変化量が判定変化量未満であったときには、スティック現象が解消されていないと判定し、チョッピング処理を再度行うようにしてもよい。
また、前回のチョッピング処理によってスティック現象を解消できなかった場合、規定期間TMの終了時点での積分項偏差ΔYは、スティック現象が解消できている場合と比較して大きいと予測される。そのため、規定期間TMの終了時点での積分項偏差ΔYが判定値以上であるときには、チョッピング処理を再度行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、指示電流値Iocvを一時的に小さくするチョッピング処理の実施前での指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3よりも大きかった場合、チョッピング処理では、指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3未満とならない範囲で、指示電流値Iocvを一時的に小さくしている。しかし、このような場合に実施するチョッピング処理では、指示電流値Iocvを一時的に小さくすることができるのであれば指示電流値Iocvが第3の電流値Iocv3未満となるようにしてもよい。
・上記実施形態では、指示電流値Iocvを一時的に大きくするチョッピング処理の実施前での指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2よりも小さかった場合、チョッピング処理では、指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2を超えない範囲で、指示電流値Iocvを一時的に大きくするようにしている。しかし、このような場合に実施するチョッピング処理では、指示電流値Iocvを一時的に大きくすることができるのであれば指示電流値Iocvが第2の電流値Iocv2よりも大きくなるようにしてもよい。
・吐出圧補正量ΔPTrは、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとの差分ΔPSに拘わらず、予め設定された固定値で保持するようにしてもよい。
・上記実施形態において、チョッピング処理では、指示用目標吐出圧PTrAを吐出圧補正量ΔPTrで補正することで、指示電流値Iocvを一時的に変更しているが、当該方法とは異なる別の方法で指示電流値Iocvを一時的に変更するようにしてもよい。例えば、上記フィードバック制御によって導出した指示用目標吐出圧PTrAに対応する指示電流値Iocvに補正電流値を加算したり、当該指示電流値Iocvから補正電流値を減算したりするようにしてもよい。この場合、補正電流値を、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとの差分ΔPSが大きいほど大きくしてもよいし、当該差分ΔPSに拘わらず固定値で保持するようにしてもよい。
・吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとを用いてスティック現象が発生しているか否かの判定を行うのであれば、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとの差分ΔPSとは異なるパラメータを用いて当該判定を行うようにしてもよい。例えば、目標吐出圧PTrが変化している状況下においてスティック現象が発生している場合、目標吐出圧PTrの変化速度と、吐出圧センサ値PSの変化速度との間には乖離が生じる。そこで、当該乖離が閾値以上であるときに、スティック現象が発生していると判定するようにしてもよい。
・指示電流値Iocvを小さくしている過程でのチョッピング処理では、指示電流値Iocvを一時的に大きくするようにしてもよい。
・指示電流値Iocvを大きくしている過程でのチョッピング処理では、指示電流値Iocvを一時的に小さくするようにしてもよい。
・上記実施形態では、フィードバック制御の比例項Xと積分項Yとを用いて指示用目標吐出圧PTrAを算出するようにしているが、比例項X及び積分項Yに加えて微分項をも用いて指示用目標吐出圧PTrAを算出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、オイルポンプ10におけるオイルの吐出能力の指標となる指標値の一例である吐出圧を検出する吐出圧センサ311が設けられているため、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとを用いたフィードバック制御によってオイル制御バルブ100の作動を制御している。しかし、吐出圧以外の他の指標値を検出するセンサが設けられている場合には、当該他の指標値のセンサ値と目標値とを用いたフィードバック制御によってオイル制御バルブ100の作動を制御するようにしてもよい。例えば、オイルポンプ10におけるオイルの吐出流量を検出するセンサが設けられている場合、吐出流量のセンサ値と目標値とを用いたフィードバック制御によってオイル制御バルブ100の作動を制御するようにしてもよい。
・上記実施形態では、オイル供給装置210は、オイルポンプ10としてギヤポンプを備えている。しかし、オイル供給装置210は、ギヤポンプ以外の他の種類のポンプ(例えば、ベーンポンプ)をオイルポンプ10として備えた構成であってもよい。
・オイルポンプは、機関駆動式のポンプではなく、電動式のポンプであってもよい。この場合、オイルポンプを駆動させるための電動モータがアクチュエータに相当することとなり、この電動モータの回転速度、すなわち電動モータに対する指示電流値を調整することによってオイルポンプにおけるオイルの吐出圧を制御することができる。
10…オイルポンプ、42…制御油室、100…オイル制御バルブ、100A…アクチュエータ、100B…スリーブ、100C…スプール、210…オイル供給装置、300…制御装置、302…制御部、303…判定部、311…吐出圧センサ。

Claims (10)

  1. 制御油室を有し、同制御油室の内圧が変更されるとオイルの吐出能力が変わるオイルポンプと、アクチュエータに対する指示電流値が変更されるとスリーブの内側でのスプールの位置が変わり、前記制御油室に対するオイルの給排が変わるオイル制御バルブと、前記オイルポンプにおけるオイルの吐出能力の指標となる指標値を検出するセンサと、を備えるオイル供給装置において、
    前記指標値の目標値と、前記センサによって検出されている前記指標値のセンサ値とを用いたフィードバック制御に基づいて導出した指示電流値を前記アクチュエータに入力することで、前記制御油室の内圧を制御する制御部と、
    前記アクチュエータに対する指示電流値を変更している状況下で、前記スリーブに前記スプールが引っ掛かって同スリーブ内での同スプールの変位が規制される現象であるスティック現象が発生しているか否かを、前記目標値と前記センサ値とに基づいて判定する判定部と、を備え、
    前記制御部は、前記判定部によって前記スティック現象が発生していると判定された場合、指示電流値を一時的に変動させるチョッピング処理を行う
    オイル供給装置。
  2. 前記制御部は、
    前記フィードバック制御によって前記アクチュエータに対する指示電流値を大きくしている過程で行う前記チョッピング処理では、指示電流値を一時的に大きくする一方、
    前記フィードバック制御によって前記アクチュエータに対する指示電流値を小さくしている過程で行う前記チョッピング処理では、指示電流値を一時的に小さくする
    請求項1に記載のオイル供給装置。
  3. 前記指標値は前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧であり、前記センサは前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を検出するものであり、
    前記制御部は、前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧に対する目標値である目標吐出圧と、前記センサによって検出されている吐出圧である吐出圧センサ値とを用いたフィードバック制御に基づいて指示電流値を導出し、
    前記判定部は、前記目標吐出圧と前記吐出圧センサ値との差分が差分判定値以上になったときに、前記スティック現象が発生していると判定する
    請求項1又は請求項2に記載のオイル供給装置。
  4. 前記制御部は、前記チョッピング処理では、前記判定部によって前記スティック現象が発生していると判定されたときの前記目標吐出圧と前記吐出圧センサ値との差分が大きいほど前記チョッピング処理による指示電流値の変更量が大きくなるように指示電流値を導出し、当該指示電流値を前記アクチュエータに入力する
    請求項3に記載のオイル供給装置。
  5. 前記制御部は、
    前記判定部によって前記スティック現象が発生していると判定されたときの前記目標吐出圧と前記吐出圧センサ値との差分が大きいほど大きくなるように吐出圧補正量を導出する補正量導出処理と、
    前記フィードバック制御の補正項を前記目標吐出圧に加算して算出した指示用目標吐出圧を求める指示値算出処理と、を行うようになっており、
    前記制御部は、
    前記チョッピング処理を実施していないときには、前記指示値算出処理で算出した指示用目標吐出圧に対応した指示電流値を前記アクチュエータに入力する一方、
    前記チョッピング処理を実施しているときには、前記指示値算出処理で算出した指示用目標吐出圧を前記補正量導出処理で導出した吐出圧補正量で補正し、補正後の指示用目標吐出圧に対応する指示電流値を前記アクチュエータに入力する
    請求項4に記載のオイル供給装置。
  6. 前記スティック現象が発生していない状態における、前記アクチュエータに対する指示電流値の変化に対する前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧の変化の比率を吐出圧変化率とし、指示電流値を大きくしていく過程で当該吐出圧変化率が高くなるときの指示電流値を増大側変極点電流値とした場合、
    前記制御部は、前記チョッピング処理によって指示電流値を大きくする場合、同チョッピング処理の実施前の指示電流値が前記増大側変極点電流値よりも小さいときには、指示電流値が当該増大側変極点電流値を超えない範囲で、指示電流値を一時的に大きくする
    請求項3〜請求項5のうち何れか一項に記載のオイル供給装置。
  7. 前記スティック現象が発生していない状態における、前記アクチュエータに対する指示電流値の変化に対する前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧の変化の比率を吐出圧変化率とし、指示電流値を小さくしていく過程で当該吐出圧変化率が高くなるときの指示電流値を減少側変極点電流値とした場合、
    前記制御部は、前記チョッピング処理によって指示電流値を小さくする場合、同チョッピング処理の実施前の指示電流値が前記減少側変極点電流値よりも大きいときには、指示電流値が当該減少側変極点電流値未満にならない範囲で、当該指示電流値を一時的に小さくする
    請求項3〜請求項6のうち何れか一項に記載のオイル供給装置。
  8. 前記制御部は、最後に行った前記チョッピング処理の終了時点から規定期間が経過するまでの間、前記チョッピング処理を行わない
    請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載のオイル供給装置。
  9. 前記制御部は、前記規定期間中の前記センサ値の変化量が判定変化量未満であったときには、前記規定期間の終了後にも前記チョッピング処理を行う
    請求項8に記載のオイル供給装置。
  10. 前記終了時点における前記フィードバック制御の積分項を終了時積分項とした場合、
    前記制御部は、
    前記終了時点から前記規定期間が経過するまでの間では、前記終了時積分項を基準とする前記フィードバック制御の積分項の偏差を積算する積算処理を行い、
    前記終了時点から前記規定期間が経過した時点までの前記偏差の積算値が判定積算値以上であるときには、前記規定期間の終了後にも前記チョッピング処理を行う
    請求項8に記載のオイル供給装置。
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