JP2018123214A - 透明樹脂フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイドロタルサイトの含有量を少なくしても、高い保温効果を得ることができる透明樹脂フィルムを提供する。【解決手段】質量比(ネフェリンサイヤナイト:ハイドロタルサイト)で10:90〜90:10の範囲となるように、樹脂にネフェリンサイヤナイトとハイドロタルサイトが合計で0.5〜10質量%含有されていることを特徴としている。【選択図】図1

Description

本発明は、農業用樹脂フィルムなどとして用いて高い保温効果が得られる透明樹脂フィルムに関する。
高い保温効果が得られる透明樹脂フィルムとして、ハイドロタルサイトの粉末をフィラーとして用いた農業用樹脂フィルムが知られている(特許文献1)。
特開2002−360084号公報
しかしながら、ハイドロタルサイトは高価であることから、ハイドロタルサイトの量を少なくし、かつ高い保温効果が得られる透明樹脂フィルムが求められている。
本発明の目的は、ハイドロタルサイトの含有量を少なくしても、高い保温効果を得ることができる透明樹脂フィルムを提供することにある。
本発明の透明樹脂フィルムは、質量比(ネフェリンサイヤナイト:ハイドロタルサイト)で10:90〜90:10の範囲となるように、樹脂にネフェリンサイヤナイトとハイドロタルサイトが合計で0.5〜10質量%含有されていることを特徴としている。
本発明において、樹脂は、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、またはエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂であることが好ましい。
本発明によれば、ハイドロタルサイトの含有量を少なくしても、高い保温効果を得ることができる。
実施例及び比較例の樹脂フィルムの赤外線吸収スペクトルを示す図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ネフェリンサイヤナイト)
ネフェリンサイヤナイトは、霞石(ネフェリン)を含む準長石閃長岩であり、通常xSiO・yAl・zNaO・aKOの組成式で表わされ、石英を含まない。本発明に用いるネフェリンサイヤナイトの平均粒子径(D50)は、好ましくは0.05〜50μmの範囲内であり、より好ましくは0.1〜30μmの範囲内であり、さらに好ましくは0.3〜20μmの範囲内である。
(ハイドロタルサイト)
ハイドロタルサイトは、通常、M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHOの組成式で表わされ、結晶構造が層状構造をしており、2価(M2+)及び3価(M3+)の金属の複合水酸化物からなる基本層と、その基本層間にアニオン(An−)と水を有する中間層からなる。基本層は2価の金属イオンの一部の代わりに3価の金属イオンが配位することで正に帯電しており、基本層の層間にアニオンがインターカレートすることで、トータルの電荷が中和している。本発明に用いるハイドロタルサイトの平均粒子径(D50)は、好ましくは0.05〜10μmの範囲内であり、より好ましくは0.1〜5μmの範囲内である。
(樹脂)
本発明において用いる樹脂は、ネフェリンサイヤナイト及びハイドロタルサイトを含有させて透明樹脂フィルムとすることができる樹脂であれば特に限定されない。樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、生分解性樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂からなるフィルムを、2枚以上重ねた多層フィルムであってもよい。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が特に好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が特に好ましい。
(樹脂組成物の調製方法)
本発明の透明樹脂フィルムを製造するための樹脂組成物は、ネフェリンサイヤナイト及びハイドロタルサイトと樹脂とを、ニーダー、バンバリーミキサー、1軸押出機、2軸押出機などで溶融混練することにより製造することができる。
(樹脂組成物中の含有量)
樹脂組成物中のネフェリンサイヤナイトとハイドロタルサイトの質量比(ネフェリンサイヤナイト:ハイドロタルサイト)は、10:90〜90:10の範囲内である。このような範囲内にすることにより、ネフェリンサイヤナイトとハイドロタルサイトを併用することによる相乗効果として、高い赤外線吸収性能を得ることができ、高い保温効果を得ることができる。質量比(ネフェリンサイヤナイト:ハイドロタルサイト)は、15:85〜85:15の範囲内であることが好ましく、20:80〜80:20の範囲内であることがより好ましい。
樹脂組成物中のネフェリンサイヤナイトとハイドロタルサイトの合計の含有量は、0.5〜10質量%の範囲内である。このような範囲内にすることにより、高い赤外線吸収性能を得ることができ、高い保温効果を得ることができる。ネフェリンサイヤナイトとハイドロタルサイトの合計の含有量は、1〜8質量%の範囲内であることが好ましく、2〜6質量%の範囲内であることがより好ましい。
(樹脂フィルムの調製方法)
樹脂組成物を、プレス成形、インフレーション成形、押出成形、1軸延伸成形、2軸延伸成形などの方法で成形することにより、樹脂フィルムを調製することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1〜3及び比較例1〜2)
ネフェリンサイヤナイト、ハイドロタルサイト、及び低密度ポリエチレンとして、以下のものを用い、表1に示す配合割合(質量%)で、以下のようにして樹脂組成物を調製し、樹脂フィルムを作製した。
・ネフェリンサイヤナイト:ユニミン社製、商品名HC−200,平均粒子径(D50)20μm
・ハイドロタルサイト:協和化学工業社製、商品名DHT−4A,平均粒子径(D50)0.5μm
・低密度ポリエチレン:日本ポリエチレン社製、商品名ノバテックLD(LF640MA)
低密度ポリエチレンとネフェリンサイヤナイト及びハイドロタルサイトを、2軸押出機(テクノベル社製;スクリュ径20mmφ、L/D=45)を用いて、温度180℃、押出量6kg/hの条件にて溶融混練し、樹脂組成物を得た。
2軸押出機によって得られた樹脂組成物を、圧縮成形機(東洋精機製作所社製)にて、温度180℃、時間3分、圧力2MPaの条件でプレスし、厚さ0.1mmの透明樹脂フィルムを作製した。
(比較例3)
ネフェリンサイヤナイト及びハイドロタルサイトを含有しない低密度ポリエチレンを用いて、上記と同様にして樹脂フィルムを作製し、比較例3とした。
<全光線透過率の測定>
ヘーズメータ(日本電色工業株式会社製、NDH7000)を用いて、JISK7105に準拠して、フィルムの全光線透過率を測定した。
表1に測定結果を示した。
<ヘイズの測定>
ヘーズメータ(日本電色工業株式会社製、NDH7000)を用いて、JISK7136に準拠して、フィルムのヘイズを測定した。
表1に測定結果を示した。
<赤外線吸収率の測定>
上記各実施例及び各比較例の樹脂フィルムについて、波長域(1500〜500cm−1)及び波長域(1400〜700cm−1)における赤外線吸収率を測定した。
図1は、波長域(1400〜700cm−1)における赤外線吸収スペクトルを示す図である。図1において、縦軸は透過率であり、透過率が低くなるほど赤外線吸収率は高くなる。
各実施例及び各比較例の樹脂フィルムの波長域(1500〜500cm−1)及び波長域(1400〜700cm−1)における赤外線吸収率を、表1に示した。
Figure 2018123214
表1に示すように、ネフェリンサイヤナイト及びハイドロタルサイトを本発明の範囲内となるように併用した実施例1〜3は、ネフェリンサイヤナイトまたはハイドロタルサイトを単独で用いた比較例1及び2に比べ、高い赤外線吸収率を示しており、優れた保温効果が得られることがわかる。

Claims (2)

  1. 質量比(ネフェリンサイヤナイト:ハイドロタルサイト)で10:90〜90:10の範囲となるように、樹脂にネフェリンサイヤナイトとハイドロタルサイトが合計で0.5〜10質量%含有されている、透明樹脂フィルム。
  2. 前記樹脂が、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、またはエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂である、請求項1に記載の透明樹脂フィルム。
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