JP2018123039A - ナノリボン及びその製造方法 - Google Patents
ナノリボン及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018123039A JP2018123039A JP2017018312A JP2017018312A JP2018123039A JP 2018123039 A JP2018123039 A JP 2018123039A JP 2017018312 A JP2017018312 A JP 2017018312A JP 2017018312 A JP2017018312 A JP 2017018312A JP 2018123039 A JP2018123039 A JP 2018123039A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nanoribbon
- crystal
- transition metal
- atom
- substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
Description
例えば、特許文献1には、受光面となる半導体基板の表面をウィスカー群(ナノワイヤー群)で被覆されるようにして、表面反射を低減させるべく、新規なナノワイヤーが提案されている。
また、特許文献2には、金属フタロシアニンを含むナノワイヤーの簡便で工業的に優れた製造方法として、水溶性多価アルコール中において、金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下、イソインドリン化合物と金属イオンとを反応させる金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法が提案されている。また、特許文献3には、ヘテロナノワイヤーの可能性を発展させたものとして、長手方向では同様な組成よりなり、それを横断する一側側と他側側では相互に異なる組成域となっているヘテロナノワイヤーであって、相異なる組成域の一方が硫化亜鉛で、他方が酸化亜鉛であり、さらに、前記硫化亜鉛からなる組成域は、長手方向に六方晶系硫化亜鉛と立方晶系硫化亜鉛とが交互に結晶成長しているかあるいは単結晶成長しているナノワイヤーが提案されている。また、特許文献4には、結晶構造を利用したナノワイヤーの製造方法として、複数の結晶面を有する粒子をシードとして利用し、所定範囲内の格子定数差を有する結晶成長物質を蒸着して、前記結晶面のうち少なくとも一つにナノワイヤーを成長させる製造方法が提案されている。
かかる観点から遷移金属化合物からなるナノリボンの開発も要望されており、各種開発もなされている(非特許文献1及び2参照)が、現状ではシート状の微細化合物は得られているものの、ナノリボンほどの形態のものは未だ得られていないのが現状である。
このため、遷移金属化合物からなるナノリボン及びその製造方法の開発が要望されているのが現状である。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.MX2で表される層状物質からなるナノリボン。
(式中、Mは、遷移金属原子を示し、Xはカルコゲン原子を示す)
2.上記遷移金属原子が、モリブンデン(Mo)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)又はクロム(Cr)であり、上記カルコゲン原子が、硫黄(S)、セレン(Se)又はテルル(Te)であることを特徴とする1記載のナノリボン。
3.厚みが、0.6〜 20 nmであり、幅が1 〜 1000nmであることを特徴とする1又は2記載のナノリボン。
4.上記層状物質がWS2で表される層状物質であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載のナノリボン。
5.基礎結晶の端部から結晶成長させることにより、MX2(式中、Mは、遷移金属原子を示し、Xはカルコゲン原子を示す)で表される層状物質からなるナノリボンを製造するナノリボンの製造方法であって、
基板上で、不活性ガスの存在下、遷移金属酸化物とカルコゲン原子とを反応させて1又は複数の層が積層されてなる層状の結晶成分である基礎結晶を得る基礎結晶製造工程と、
上記基礎結晶が形成された基板上において、不活性ガスの存在下、上記基礎結晶用いたものとは異なる遷移金属化合物と、カルコゲン原子とを反応させてナノリボンを形成するナノリボン製造工程と
を具備するナノリボンの製造方法。
また、本発明のナノリボンの製造方法によれば、導電性や磁性を有する新しい微細な細線状の材料を簡易且つ簡便に得ることができる。
ものである。
本発明のナノリボンは、MX2で表される遷移金属ダイカルコゲナイド(Transition metal dichalcogenide, 以下、「TMDC」と称する場合がある)からなる層状物質からなるものである。
ここで、Mは、遷移金属原子を示し、Xはカルコゲン原子を示す。
上記遷移金属原子としては、モリブンデン(Mo)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)又はクロム(Cr)を挙げることができる。
また、上記カルコゲン原子としては、硫黄(S)、セレン(Se)又はテルル(Te)を挙げることができる。
上記のMX2で表される遷移金属ダイカルコゲナイドとしては、特に、WS2、MoS2、WSe2、MoSe2、WTe2、MoTe2、SnS2、SnSe2 等を好ましく挙げることができる。
図1に、幅1.3nm、厚み0.6nmのサイズのWS2ナノリボンの構造モデルを摸式的に示す。図1に示すように、本発明のナノリボンは各分子が上面側から見たときには正6角形の頂点となるように位置して、ハニカム状の構造を形成していると共に、側面視した場合には3層の構造体と理解できる構造を有する。具体的には、(a)に示すように平面図において1番上の列の分子群10、2番目の列の分子群20、3番目の列の分子群30は、(b)の側面図における一番上に位置する分子群10、真ん中に位置する分子群20及び一番下に位置する分子群30にそれぞれ対応している。このため平面図において分子群10、分子群20、分子群30分子群20、分子群10・・・・のように分子群20を挟んで分子群10及び分子群20が並ぶように配置される。このようにハニカム状の構造は上述の特定の化学式に該当する化合物でのみ示される特徴的な構造であり、このような構造を有することで種々の特性を発揮することが可能となっている。
ついで、本発明のナノリボンの製造方法について説明する。
本発明のナノリボンの製造方法は、
基礎結晶の端部から結晶成長させることにより、上記のMX2で表される層状物質からなるナノリボンを製造するナノリボンの製造方法であって、
基板上で、不活性ガスの存在下、遷移金属酸化物とカルコゲン原子とを反応させて1又は複数の層が積層されてなる層状の結晶成分である基礎結晶を得る基礎結晶製造工程と、
上記基礎結晶が形成された基板上において、不活性ガスの存在下、上記基礎結晶とは異なる遷移金属化合物とカルコゲン原子とを反応させてナノリボンを形成するナノリボン製造工程とを行うことにより実施できる。
非特許文献1には、単層二硫化モリブンデン(MoS2)の合成法が、非特許文献2には、単層のWSe2の端からMoS2をシート状の結晶として成長させることが開示されているが、これらの報告ではいずれにもナノリボンを形成できることは開示されていない。本発明においては、TMDCナノリボンを成長させるために、別のTMDCの端を成長起点として活用することを特徴とし、また後述するように結晶成長を非常に初期の段階で止めることが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法は、MoS2の結晶を作製し、この結晶の端を成長の起点と利用することでナノリボンを製造するが、特に、WS2の成長速度を抑えるために、合成条件を以下のように制御することで好ましくナノリボンを製造することが可能となる。
以下、各工程について詳述する。
まず、本発明において用いる装置について図2を参照して説明する。図2に示す装置1は、結晶生成部10と、結晶生成部10の周囲を囲んで設置された炉22(本実施形態においては電気炉)と炉22に並んで設置された炉24とからなる。結晶生成部10は円筒状であり、一端からは不活性ガス(Ar等)を導入できるようにガス導入口(図示せず)が設けられている。また、他端にも内部のガスを外部に排出するためのガス排出口(図示せず)が設けられている。また、結晶生成部10の内部には元老や基板を設置するための設置部32、34、36がそれぞれ結晶生成部10の一端側から順に所定間隔を空けて配置されている。なお、結晶生成部10の大きさは特に制限なく、また形成材料もとくに制限ないが、本実施形態では、長さ1000〜1200mm、内径26mmの石英管を用いることができる。
そして、一端側から、設置部32にカルコゲン原子の物質を、設置部34に遷移金属化合物を、設置部36に基板を設置する。この際遷移金属化合物としては、酸化モリブデン (IV) (MoO2)粉末、酸化モリブデン(VI)(MoO3)粉末、塩化モリブデン(V)(MoCl5)、 酸化タングステン(VI)(WO3)、塩化タングステン(VI)(WCl6)等の遷移金属酸化物を挙げることができる。またカルコゲン原子の物質としては、硫黄フレーク、セレン、テルルなどを挙げることができる。また、基板としては、グラファイト、窒化ホウ素、石英、サファイアなどからなる、厚さ 0.01〜2 mmの板状体を用いることができる。
そして、一端側から不活性ガスを矢印方向に流しつつ、まず、炉24を500〜1500℃に上昇させ、次いで炉22を100〜300℃に上昇させることにより、基板上にて遷移金属カルコゲナイトの結晶を成長させる。
この際、設置部34は、後述する実施例に記載の量の結晶を成長させる場合には、設置部32の50〜500mm下流に設けるのが好ましく、設置部36は、設置部34の1〜200mm下流に設け、これらの距離を変えることで原料の供給速度を変えることができる。この設置部の間隔は製造する結晶のスケールにより任意であり、この距離に制限されるものではない。
原料を設置した後、不活性ガスを100〜1000sccmで5〜30分ほど流し、内部の大気を排除し、内部の気体を不活性ガスに置換した。その後に、炉24の温度を室温から上述の温度に10〜120分程度かけて昇温し、その後、任意のタイミングで炉22の温度を室温から上述の温度に上昇させる。この際、炉22の温度を適宜調整することでカルコゲナイト原子の供給量を制御することができる。この後、20〜60分間温度を一定にし、その後常温まで温度を低下させて、所望の基礎結晶を得ることができる。
なお、MoO2粉末が硫黄で硫化することを防ぐために、別の細い石英管(外径8mm〜内径6mm程度)を、外側の石英管の内部に設置することも可能である。この場合、MoO2粉末の細い石英管に入れた場合、硫黄とMoO2は互いに別の流路を流れて基板に供給されることになる。
また、別の基礎結晶の作成手法としては、基板上にTMDCの結晶を剥離して積層させてもよい。
本工程においても、上述の図2に示す装置を用いて行うことができる。結晶生成部10の中に、設置部32にカルコゲナイト原子の物質(上述のカルコゲナイト原子の物質と同じである)を、設置部34に遷移金属化合物(上述の遷移金属化合物と同じである)を設置する。
設置部32,34、36それぞれの位置関係も上述の基礎結晶製造工程と同じである。
そして、不活性ガスを100〜1000sccmで5〜30分ほど流し、内部の大気を排除して不活性ガスに置換する。その後に、炉24の温度を500〜1500℃に上昇させ、次いで炉22を100〜300℃に上昇させることにより、先に存在する他の遷移金属カルコゲナイト結晶の端を、成長起点として、ナノリボンとしての遷移金属カルコゲナイト結晶の結晶成長が始まる。
この際の結晶成長時間は、10〜40分とするのが好ましく。20〜30分とするのがさらに好ましい。この程度の短時間で成長を終了させることにより、ナノリボンを得ることができ、これ以上の時間結晶成長させると、層が積層させてしまうか、結晶が平面的に広がり過ぎてシート状となってしまう。また、上記の範囲未満では十分に結晶成長せずナノリボンが得られない。このため、上述の範囲内とするのが好ましい。
また、遷移金属化合物とカルコゲナイト原子の物質との使用量比は、カルコゲナイト原子の物質の使用量を100重量部とした場合、遷移金属化合物の使用量を5〜20重量部とするのが好ましく、5〜15とするのがさらに好ましい。遷移金属化合物の使用量がこの範囲であれば、ナノリボンとして結晶成長するがこの範囲を超えると図1に示す構造のものが多数積層された積層構造となるかリボン状とは言えない程度に幅広のシート状となり、この範囲未満であると十分に結晶成長しない場合がある。そのためこの範囲内とするのが好ましい。
本発明のナノリボンは、従来のグラフェン性のナノリボンに比して導電性と磁性とに優れ、各種電子デバイス材料として有用である。
また、本発明のナノリボンの製造方法によれば、従来得られなかった遷移金属カルコゲナイト化合物からなるナノリボンを得ることができる。
1.テンプレートとなるTMDC原子層、単層の二硫化タングステン(WS2)結晶の作成
基板(グラファイト製)、酸化タングステン(VI) WO3粉末、硫黄フレークを、図2に示す装置における設置部36、34、32それぞれに設置した。また、結晶生成部10としては、長さ1000〜1200mm、内径26mmの石英管を用いた。そして、図2に示す装置1は、硫黄を加熱する電気炉22と、遷移金属酸化物及び成長基板を加熱する電気炉24の二つの電気炉を利用して、結晶生成部10の上流からは不活性ガス(アルゴン(Ar)等)を流すことで、原料を基板上に効率よく輸送し、また原料や生成物の酸化を防ぐように構成されている。
本実施例においては、Arを流す上流側の設置部32に硫黄を設置し、その50〜500mm下流に設置部34を設けてWO3粉末を設置し、設置部34の1〜200mm下流に設置部36を設け基板を設置した。距離を変えることで原料の供給速度を変えることができる。
原料を設置した後、Arを500sccmで10分ほど流し、内部の大気を排除し、Arに置換した。その後に、炉24の温度を室温から1100℃まで75分程度かけて昇温した。炉24の温度が1000〜1100℃の間に到達したら、任意のタイミングで炉22の温度を室温から160〜200℃まで上昇させ、炉22の温度を適宜調整して硫黄の供給量を制御した。
この後、硫黄と酸化モリブデンの蒸気が基板上に供給され、基板上の様々な点においてWS2の結晶成長が始まり、通常は、単層から20層までの様々な厚さ、サイズの結晶が得られる。特に、物質の構造を反映し、三角形や六角形のシート状の結晶が得られる。
この時、シートの端はある特定の結晶面が出やすいため、直線的になる。
30分温度を一定にした後に、電気炉は扇風機等で冷やし、室温に戻して基板を回収した。得られた基板上に形成されたWS2結晶は、1層の結晶体であった。
次に、同様に図2に示す装置を用いて、結晶生成部10の中に、設置部32に硫黄のフレークを2g、設置部34に酸化モリブデン (IV) (MoO2)粉末を16mg設置した。
なお、設置部34は設置部32の50〜500mm下流に設置されており、設置部34の1〜200mm下流に設置部36を設け、二硫化タングステン結晶の形成された基板を設置した。
原料を設置した後、Arを500sccmで10分ほど流し、内部の大気を排除し、Arに置換した。置換後に、炉24の温度を室温から1100℃までおよそ75分程度かけて上昇させた。炉24の温度が1000〜1100℃の間に到達したら、任意のタイミングで炉22の温度を室温から160℃まで上昇させた。
この後、硫黄と酸化モリブデンの蒸気が基板上に供給され、基板上の様々な箇所からMoS2の結晶成長を行った。この時、先に存在するWS2結晶の端は、成長起点として働くため、最も優先的にMoS2の結晶成長が始まる。30分ほど、成長を進めた後に、電気炉は扇風機等で冷やし、室温に戻して基板を回収する。
得られたナノリボンは、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、発光・ラマン分光マッピング、走査プローブ顕微鏡等で観察し結果、厚さ 0.7 nm、幅 400 nmのナノリボンであった。
発光強度マップと原子間顕微鏡像とをそれぞれ図3に示す。図3において、(a)は発光強度マップ(青がWS2、赤がMoS2の発光強度に対応)、(b)が原子間力顕微鏡像、(c)がbの白点線に沿って取得した高さプロファイル、(d)がaの白点線に沿って測定した発光スペクトルである。
化学気相成長により、単層WS2結晶の周囲に成長させた単層MoS2ナノリボンは、図3に示すように、(a)に示す点線の上部(すなわち赤い部分ではMoS2、下部(すなわち青い部分)ではWS2の発光ピークがそれぞれ観測されており、WS2結晶の周囲に成長させた単層MoS2ナノリボンが生成しているのがわかる。
1.テンプレートとなるTMDC原子層、単層の二硫化モリブデン(MoS 2 )結晶の作成
基板、酸化モリブデン (IV) (MoO2)粉末、硫黄フレークを、図2に示す装置における設置部36、34、32それぞれに設置した。また、結晶生成部10としては、長さ1000〜1200mm、内径26mmの石英管を用いた。そして、図2に示す装置1は、硫黄を加熱する電気炉22と、遷移金属酸化物及び成長基板を加熱する電気炉24の二つの電気炉を利用して、結晶生成部10の上流からは不活性ガス(アルゴン(Ar)等)を流すことで、原料を基板上に効率よく輸送し、また原料や生成物の酸化を防ぐように構成されている。
本実施例においては、Arを流す上流側の設置部32に硫黄を設置し、その50〜500mm下流に設置部34を設けてMoO2粉末を設置し、設置部34の1〜200mm下流に設置部36を設け基板を設置した。距離を変えることで原料の供給速度を変えることができる。
原料を設置した後、Arを500sccmで10分ほど流し、内部の大気を排除し、Arに置換した。その後に、炉24の温度を室温から1100℃まで75分程度かけて昇温した。炉24の温度が1000〜1100℃の間に到達したら、任意のタイミングで炉22の温度を室温から160〜200℃まで上昇させ、炉22の温度を適宜調整して硫黄の供給量を制御した。
この後、硫黄と酸化モリブデンの蒸気が基板上に供給され、基板上の様々な点においてMoS2の結晶成長が始まり、通常は、単層から20層までの様々な厚さ、サイズの結晶が得られる。特に、物質の構造を反映し、三角形や六角形のシート状の結晶が得られる。
この時、シートの端はある特定の結晶面が出やすいため、直線的になる。
30分温度を一定にした後に、電気炉は扇風機等で冷やし、室温に戻して基板を回収した。得られた基板上に形成された二硫化モリブデン結晶は、1層の結晶体であった。
次に、同様に図2に示す装置を用いて、結晶生成部10の中に、設置部32に硫黄のフレークを2g、設置部34に酸化タングステン(VI) WO3の粉末を6mg設置した。
なお、設置部34は設置部32の50〜500mm下流に設置されており、設置部34の1〜200mm下流に設置部36を設け、二硫化モリブデン結晶の形成された基板を設置した。
原料を設置した後、Arを500sccmで10分ほど流し、内部の大気を排除し、Arに置換した。置換後に、炉24の温度を室温から1100℃までおよそ75分程度かけて上昇させた。炉24の温度が1000〜1100℃の間に到達したら、任意のタイミングで炉22の温度を室温から160℃まで上昇させた。
この後、硫黄と酸化タングステンの蒸気が基板上に供給され、基板上の様々な箇所からWS2の結晶成長を行った。この時、先に存在するMoS2結晶の端は、成長起点として働くため、最も優先的にWS2の結晶成長が始まる。30分ほど、成長を進めた後に、電気炉は扇風機等で冷やし、室温に戻して基板を回収する。
得られたナノリボンは、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、ラマン分光マッピング、走査プローブ顕微鏡等で観察し結果、厚さ 0.7 nm、幅 300 nmのナノリボンであった。
化学気相成長により、単層MoS2結晶の周囲に成長させた単層WS2ナノリボンの(a)発光強度マップ(青がWS2、赤がMoS2の発光強度に対応)、(b) aの白点線に沿って測定した発光スペクトルを示す。
図4に得られたナノリボンの発光強度マップと発光スぺクトルとを示す。図4に示す結果から、aの点線の上部(すなわち赤い部分)ではMoS2、下側(すなわち青い部分)ではWS2の発光ピークがそれぞれ観測されており、MoS2の周囲にWS2ナノリボンが生成しているのがわかる。
Claims (6)
- MX2で表される層状物質からなるナノリボン。
(式中、Mは、遷移金属原子を示し、Xはカルコゲン原子を示す)
- 上記遷移金属原子が、モリブンデン(Mo)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)又はクロム(Cr)であり、上記カルコゲン原子が、硫黄(S)、セレン(Se)又はテルル(Te)であることを特徴とする請求項1記載のナノリボン。
- 厚みが、0.6〜 20 nmであり、幅が1 〜 1000nmであることを特徴とする請求項1又は2記載のナノリボン。
- 上記層状物質がWS2で表される層状物質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のナノリボン。
- 基礎結晶の端部から結晶成長させることにより、MX2(式中、Mは、遷移金属原子を示し、Xはカルコゲン原子を示す)で表される層状物質からなるナノリボンを製造するナノリボンの製造方法であって、
基板上で、不活性ガスの存在下、遷移金属酸化物とカルコゲン原子とを反応させて1又は複数の層が積層されてなる層状の結晶成分である基礎結晶を得る基礎結晶製造工程と、
上記基礎結晶が形成された基板上において、不活性ガスの存在下、上記基礎結晶用いたものとは異なる遷移金属化合物と、カルコゲン原子とを反応させてナノリボンを形成するナノリボン製造工程と
を具備するナノリボンの製造方法。
- 上記基礎結晶がMoS2の層状の結晶成分であることを特徴とする請求項5記載のナノリボンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017018312A JP7004960B2 (ja) | 2017-02-03 | 2017-02-03 | ナノリボンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017018312A JP7004960B2 (ja) | 2017-02-03 | 2017-02-03 | ナノリボンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018123039A true JP2018123039A (ja) | 2018-08-09 |
JP7004960B2 JP7004960B2 (ja) | 2022-01-21 |
Family
ID=63108867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017018312A Active JP7004960B2 (ja) | 2017-02-03 | 2017-02-03 | ナノリボンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7004960B2 (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019181723A1 (ja) * | 2018-03-19 | 2019-09-26 | Dic株式会社 | モリブデン硫化物、その製造方法及び水素発生触媒 |
CN110835747A (zh) * | 2019-11-21 | 2020-02-25 | 华东师范大学 | 一种温度调控二硫化钼的形貌与缺陷的方法 |
JP2020139230A (ja) * | 2019-03-01 | 2020-09-03 | 本田技研工業株式会社 | 所定の幅を有する原子層金属ジカルコゲナイドの直接パターン化成長方法 |
CN113526555A (zh) * | 2020-04-16 | 2021-10-22 | 本田技研工业株式会社 | 过渡金属二硫属化物原子层带和纳米带的水分调控生长方法 |
US20220106681A1 (en) * | 2020-04-16 | 2022-04-07 | Honda Motor Co., Ltd. | Moisture governed growth method of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
JP7078197B1 (ja) * | 2021-03-24 | 2022-05-31 | Dic株式会社 | 二硫化モリブデン粒子及び潤滑組成物 |
US11408073B2 (en) | 2020-04-16 | 2022-08-09 | Honda Motor Co., Ltd. | Method for growth of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
US11519068B2 (en) * | 2020-04-16 | 2022-12-06 | Honda Motor Co., Ltd. | Moisture governed growth method of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
US11647628B2 (en) | 2020-03-19 | 2023-05-09 | Kioxia Corporation | Semiconductor memory device |
US11981996B2 (en) | 2022-11-02 | 2024-05-14 | Honda Motor Co., Ltd. | Moisture governed growth method of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
-
2017
- 2017-02-03 JP JP2017018312A patent/JP7004960B2/ja active Active
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
WANG, ZHIYONG ET AL.: ""Ultra-narrow WS2 nanoribbons encapsulated in carbon nanotubes"", JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY, vol. 21, no. 1, JPN6021004349, 7 January 2011 (2011-01-07), pages 171 - 180, ISSN: 0004566283 * |
Cited By (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6614471B1 (ja) * | 2018-03-19 | 2019-12-04 | Dic株式会社 | モリブデン硫化物、その製造方法及び水素発生触媒 |
WO2019181723A1 (ja) * | 2018-03-19 | 2019-09-26 | Dic株式会社 | モリブデン硫化物、その製造方法及び水素発生触媒 |
JP2020139230A (ja) * | 2019-03-01 | 2020-09-03 | 本田技研工業株式会社 | 所定の幅を有する原子層金属ジカルコゲナイドの直接パターン化成長方法 |
CN111640648A (zh) * | 2019-03-01 | 2020-09-08 | 本田技研工业株式会社 | 具有预定宽度的原子层金属二硫属元素化物的直接图案化生长方法 |
KR20200105751A (ko) * | 2019-03-01 | 2020-09-09 | 혼다 기켄 고교 가부시키가이샤 | 미리-결정된 폭을 갖는 원자층 금속 다이칼코게나이드의 직접 패턴화 성장 방법 |
US11041236B2 (en) | 2019-03-01 | 2021-06-22 | Honda Motor Co., Ltd. | Method for direct patterned growth of atomic layer metal dichalcogenides with pre-defined width |
KR102360405B1 (ko) * | 2019-03-01 | 2022-02-08 | 혼다 기켄 고교 가부시키가이샤 | 미리-결정된 폭을 갖는 원자층 금속 다이칼코게나이드의 직접 패턴화 성장 방법 |
JP7018980B2 (ja) | 2019-03-01 | 2022-02-14 | 本田技研工業株式会社 | 所定の幅を有する原子層金属ジカルコゲナイドの直接パターン化成長方法 |
CN111640648B (zh) * | 2019-03-01 | 2023-08-25 | 本田技研工业株式会社 | 具有预定宽度的原子层金属二硫属元素化物的直接图案化生长方法 |
CN110835747A (zh) * | 2019-11-21 | 2020-02-25 | 华东师范大学 | 一种温度调控二硫化钼的形貌与缺陷的方法 |
CN110835747B (zh) * | 2019-11-21 | 2021-09-07 | 华东师范大学 | 一种温度调控二硫化钼的形貌与缺陷的方法 |
US11647628B2 (en) | 2020-03-19 | 2023-05-09 | Kioxia Corporation | Semiconductor memory device |
CN113526555A (zh) * | 2020-04-16 | 2021-10-22 | 本田技研工业株式会社 | 过渡金属二硫属化物原子层带和纳米带的水分调控生长方法 |
US11408073B2 (en) | 2020-04-16 | 2022-08-09 | Honda Motor Co., Ltd. | Method for growth of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
US11519068B2 (en) * | 2020-04-16 | 2022-12-06 | Honda Motor Co., Ltd. | Moisture governed growth method of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
US11639546B2 (en) * | 2020-04-16 | 2023-05-02 | Honda Motor Co., Ltd. | Moisture governed growth method of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
US20220106681A1 (en) * | 2020-04-16 | 2022-04-07 | Honda Motor Co., Ltd. | Moisture governed growth method of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
JP7078197B1 (ja) * | 2021-03-24 | 2022-05-31 | Dic株式会社 | 二硫化モリブデン粒子及び潤滑組成物 |
US11981996B2 (en) | 2022-11-02 | 2024-05-14 | Honda Motor Co., Ltd. | Moisture governed growth method of atomic layer ribbons and nanoribbons of transition metal dichalcogenides |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7004960B2 (ja) | 2022-01-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7004960B2 (ja) | ナノリボンの製造方法 | |
Pondick et al. | Stepwise sulfurization from MoO3 to MoS2 via chemical vapor deposition | |
Zhu et al. | Capture the growth kinetics of CVD growth of two-dimensional MoS2 | |
JP6688949B2 (ja) | 2次元遷移金属ジカルコゲナイド薄膜の製造方法 | |
Rong et al. | Controlling sulphur precursor addition for large single crystal domains of WS 2 | |
Fang et al. | ZnS nanostructures: from synthesis to applications | |
US10400331B2 (en) | Method for manufacturing metal chalcogenide thin film and thin film manufactured thereby | |
Yorulmaz et al. | CVD growth of monolayer WS2 through controlled seed formation and vapor density | |
JP2019522106A (ja) | 二次元材料を製造するための化学蒸着方法 | |
CN110551986B (zh) | 用于原子层过渡金属二硫属化物的直接图形化生长的方法 | |
Tian et al. | Growth of two-dimensional WS2 thin films by pulsed laser deposition technique | |
CN104695021B (zh) | 一种层状螺旋ws2二维纳米材料及其制备方法 | |
Umar et al. | Temperature-dependant non-catalytic growth of ultraviolet-emitting ZnO nanostructures on silicon substrate by thermal evaporation process | |
Chen et al. | A feasible approach to fabricate two-dimensional WS2 flakes: From monolayer to multilayer | |
KR102280763B1 (ko) | 전이금속 디칼코게나이드 박막, 그 제조 방법 및 제조 장치 | |
Wang et al. | Synthesis, characterization and optical properties of ZnS nanobelt/ZnO nanoparticle heterostructures | |
Wong | Chemical vapor deposition growth of 2D semiconductors | |
Cheng et al. | Single crystal monolayer MoS2 triangles with wafer-scale spatial uniformity by MoO3 pre-deposited chemical vapor deposition | |
Smagulova et al. | Study of the properties of two-dimensional mos 2 and ws 2 films synthesized by chemical-vapor deposition | |
Thiandoume et al. | Morphology transition of one-dimensional ZnO grown by metal organic vapour phase epitaxy on (0 0 0 1)-ZnO substrate | |
JP6597333B2 (ja) | 層状カルコゲナイド膜の成長方法 | |
Thandavan et al. | Synthesis of ZnO nanowires via hotwire thermal evaporation of brass (CuZn) assisted by vapor phase transport of methanol | |
KR102283872B1 (ko) | 탄소나노튜브 촉매 제조방법 및 이를 이용한 탄소나노튜브 제조방법 | |
Klementová et al. | Cu-Si nanoobjects prepared by CVD on Cu/Cu5Si-substrates using various precursors (SiH4, EtSiH3, BuSiH3) with added H2 or air | |
Kim et al. | Simply heating to remove the sacrificial core TeO2 nanowires and to generate tubular nanostructures of metal oxides |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180130 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200130 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210129 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210216 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210401 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210810 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210924 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211207 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211220 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7004960 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |