JP2018122396A - 切断機 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達を好適に行うことが可能な切断機を提供する。【解決手段】回転駆動するモータ軸を有するモータと、前記モータ軸の回転に伴い従動回転する中間軸と、前記中間軸に設けられた第1プーリと、切断刃を装着可能な装着部を有する出力軸と、前記出力軸に設けられた第2プーリと、前記第1プーリ及び前記第2プーリ間に張架され前記中間軸の回転を前記出力軸に伝達する第1ベルトを有し、前記モータ軸の回転を前記出力軸へ伝達するベルトと、前記第1ベルトの張力を調整可能なベルトテンション調整機構と、を有する。【選択図】図15
Description
本発明は切断機に関する。
従来から、木材やパイプ等(被切断材)を切断するために切断機が広く用いられている。例えば、特許文献1に記載されている卓上切断機では、複数のプーリ及び複数のプーリに張架されたベルトからなる伝達機構によって、モータからの回転が出力軸に伝達され、出力軸に装着された切断刃が回転する。このように、ギヤを用いることなくモータの回転を減速して切断刃に伝達可能であるため、ギヤの噛合による騒音が発生しないという利点があった。
しかしながら、上記した切断機では、ベルトに常時張力が働いているため、経年変化によりベルトが伸び、動力伝達に支障をきたす恐れがあった。
かかる課題に鑑み、本発明は、動力伝達を好適に行うことが可能な切断機の提供を目的とする。
回転駆動するモータ軸を有するモータと、前記モータ軸の回転に伴い従動回転する中間軸と、前記中間軸に設けられた第1プーリと、切断刃を装着可能な装着部を有する出力軸と、前記出力軸に設けられた第2プーリと、前記第1プーリ及び前記第2プーリ間に張架され前記中間軸の回転を前記出力軸に伝達する第1ベルトを有し、前記モータ軸の回転を前記出力軸へ伝達するベルトと、前記第1ベルトの張力を調整可能なベルトテンション調整機構と、を有することを特徴とする切断機を提供している。
かかる構成によれば、第1ベルトの張力を調整可能なベルトテンション調整機構を有しているため、ベルトのテンションを調整することによって、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
上記構成において、前記第1ベルトは、タイミングベルトであることが好ましい。
かかる構成によれば、切断刃において高負荷が生じた場合においても、プーリ上でタイミングベルトが滑ってしまうことがなく、プーリとベルト間に摩擦熱が発生しにくいので、伝達経路の破損が抑制される。
上記構成において、前記モータ軸に設けられた第3プーリと、前記中間軸に設けられた第4プーリと、をさらに有し、前記ベルトは、前記第3プーリ及び前記第4プーリ間に張架され、前記モータ軸の回転を前記中間軸に伝達する第2ベルトをさらに有し、前記第2ベルトは、Vベルトであることが好ましい。
かかる構成によれば、切断刃において規定外の高負荷が生じた場合においても、VベルトがVプーリの外周を滑ることによって伝達力に制限がかかり、ベルト等の回転を伝達する部品の破損が抑制される。また、第二ベルトを滑らせることにより、過負荷時においても第一ベルトに対して高負荷が付与されることがなくなるため、第一ベルトの小形化も図ることができるようになる。
また、前記ベルトテンション調整機構は前記第1ベルトの張架面に直交する方向に延び、前記第1ベルトの張架面と対向する端部にベルト押圧部を有し、前記ベルト押圧部を前記第1ベルトに押圧させることで張力を調整可能であることが好ましい。
かかる構成によれば、ベルト押圧部をベルトに押圧させることで張力を調整可能であるため、簡易な構成で、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
また、前記ベルトテンション調整機構は、前記出力軸の軸方向における前記第1ベルトの一端及び他端と対向する規制部をさらに有することが好ましい。
かかる構成によれば、第1ベルトがずれるのを規制部が抑制するため、好適に第1ベルトを押圧することが可能となる。これにより、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
前記モータ軸、前記中間軸及び前記出力軸を支持する第1カバーと、前記第1カバーに取付けられ、前記第1カバーとの間で、前記第1プーリ、前記第2プーリ、前記第1ベルト及び前記ベルトテンション調整機構とを収容している第2カバーと、をさらに有し、前記第2カバーは、前記第1カバーから突出していることが好ましい。
かかる構成によれば、切断刃と第1カバーとの間の空間を活用してベルトテンション調整機構を配置することが可能となる。
また、前記モータ軸、前記中間軸及び前記出力軸を支持する第1カバーと、前記第1カバーに取付けられ、前記第1カバーとの間で、前記第1プーリ、前記第2プーリ、前記第1ベルト及び前記ベルトテンション調整機構を収容する第2カバーと、をさらに有し、前記第1カバーは、凹部を有し、前記凹部内に、前記第1プーリ、前記第2プーリ、前記第1ベルト及び前記ベルトテンション調整機構を配置し、前記第2カバーは、前記第1カバーと面一に構成されていることが好ましい。
かかる構成によれば、切断刃と第1カバーとの間の空間を活用してベルトテンション調整機構を配置することが可能となり、新たな収容空間を設ける必要がないので、切断機を小型化することが可能となる。
また、前記第1カバーは、前記軸方向に突出する基部を有し、前記ベルトテンション調整機構は、前記ベルト押圧部及び前記規制部を支持し前記基部に対して移動可能な移動部と、前記基部に対する前記移動部の位置を調整する調整部と、をさらに有することが好ましい。
かかる構成によれば、簡易な構成で、第1ベルトを押圧することが可能となる。これにより、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
上記構成において、被切断材を載置可能な載置面を有するベースと、前記切断刃を回転可能に支持する切断部と、前記切断部を前記ベースに対して、前記切断刃の側面と直交する揺動軸心を中心に、切断部を前記ベースに対して近接する位置と離間する位置とに揺動可能に支持する揺動部と、をさらに有し、前記切断部が前記ベースに最も近接しているとき、前記載置面に垂直な方向において前記ベルトテンション調整機構は前記出力軸に対して前記ベースとは反対側に位置することが好ましい。
かかる構成によれば、切断部が揺動しベースに最も近接した場合においても、ベルトテンション機構が切断作業の障害となることが抑制される。
本発明の切断機によれば、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。ここでは、本発明を卓上丸鋸に適用した場合を例に説明を行う。
まず、本発明の実施の形態にかかる切断機の一例である卓上丸鋸1の構成について、図1乃至図5を参照して説明する。卓上丸鋸1は、木材や金属パイプ等(被切断材)を切断するための電動式の切断機であり、図1乃至図3に示されているように、載置面2Aを有するベース部2と、ホルダ3と、ガイド部4と、支持部5と、丸鋸刃Pを装着可能な装着部606Aが設けられホルダ3に傾動可能に支持された切断部6と、ベルトテンション調整機構7とを含んで構成されている。図1、図2及び図3は、それぞれ、本発明の実施の形態にかかる卓上丸鋸1の構成を示す右側面図、左側面図及び正面図である。なお、以下においては、特に言及しない限り、卓上丸鋸1が組み立てられた状態を基準に説明する。また、特に言及しない限り、丸鋸刃Pがベース部2の載置面2Aに対して傾動していない状態(図1に示されている状態)を基準に説明する。
以下の説明において、ベース部2に対してガイド部4が設けられている方向を上方向とし、逆方向を下方向と定義する。また、ホルダ3に対して切断部6が設けられている方向を前方向とし、逆方向を後方向と定義する。さらに、図1において後方向から卓上丸鋸1を見た場合の右を右方向とし、逆方向を左方向と定義する。本明細書において、寸法、数値等について言及した場合には、当該寸法及び数値等と完全に一致する寸法及び数値だけでなく、略一致する寸法及び数値等(例えば、製造誤差の範囲内である場合)を含むものとする。「同一」、「直交」、「平行」、「面一」、「一致」、「中央」、「対称」等についても同様に「略同一」、「略直交」、「略平行」、「略面一」、「略一致」、「略中央」、「略対称」等を含むものとする。
図1乃至図3に示されているように、ベース部2は、ベース21と、ターンテーブル22と、フェンス23とを含んで構成されている。ベース21は、本発明における「ベース」の一例である。
ベース21は、金属製であり、床面等に載置可能な部分である。ターンテーブル22は、金属製であり、上面に直交する回動軸を介してベース21と接続され、その上面がベース21の上面と面一となるように配置されている。ベース21の上面とターンテーブル22の上面とによって、被加切断材を載置可能な載置面2Aが規定されている。ターンテーブル22及びベース21には、切断作業時に切断部6が下降した際に、丸鋸刃Pの侵入を許容する図示せぬ溝部が形成されている。
図3に示されているように、フェンス23は、ベース21に設けられ、右フェンス23Aと左フェンス23Bとを有している。図1及び図2に示されているように、右フェンス23A及び左フェンス23Bは、載置面2Aに直交する押さえ面23aを備えている。被切断材を切断加工する際には、フェンス23の押さえ面23aに被切断材の一面を当接させることによって、安定した切断加工を行うことが可能となる。
ターンテーブル22の前部には、操作ハンドル24が設けられている。操作ハンドル24は、ターンテーブル22の回動操作及び回動位置固定操作を行う際に、作業者が操作する部分である。また、ターンテーブル22の後部には、傾動軸25及び突出部26が設けられている。傾動軸25は、丸鋸刃Pの側面と平行に前後方向に延び且つその中心軸がターンテーブル22の上面と一致するように設けられている。突出部26は、上方に突出しており、傾動軸25の中心軸を中心として円弧状の長穴26aが形成されている。
ホルダ3は、ターンテーブル22の後部において上方に立設しており、ホルダ3の下部が傾動軸25を中心として回動可能である。これにより、ホルダ3は、ターンテーブル22に対して左右方向に傾動可能である。ホルダ3には、上述した長穴26aと一致する位置に図示せぬ螺合穴が形成されており、この螺合穴にはクランプレバー31が螺合する。
図2に示されているように、ガイド部4は、第1ロッド41、第2ロッド42及び連結部材43を有している。第1ロッド41及び第2ロッド42は、パイプ材等の高剛性材料によって形成されている。第1ロッド41は、ベース部2の載置面2Aに平行且つ丸鋸刃Pの回転軸心に直交する方向に延びている。第2ロッド42は、第1ロッド41に平行に延び、第1ロッド41よりも下側に位置している。第1ロッド41及び第2ロッド42は、互いに同一の長さであるとともに、ターンテーブル22の長手方向(前後方向)よりも短い。連結部材43は、第1ロッド41及び第2ロッド42の前端部に取付けられている。第1ロッド41及び第2ロッド42は、ホルダ3のターンテーブル22に対する左右方向の傾動によって、ホルダ3とともに左右方向に傾動する。
支持部5は、切断部6をベース部2方向(ベース21に対して近接する方向)及び反ベース部2方向(ベース21に対して離間する方向)に回動可能に支持するとともに、ガイド部4に前後方向に摺動自在に支持される。図2に示されているように、支持部5は、スライド部51及び切断部支持部52を有している。
スライド部51は、第1ロッド41及び第2ロッド42に跨るように設けられている。スライド部51は、第1ロッド41及び第2ロッド42に挿通され、ホルダ3と連結部材43との間を第1ロッド41及び第2ロッド42上を摺動可能に構成されている。切断部支持部52は、スライド部51と一体に構成されている。図1及び図2に示されているように、第1ロッド41及び第2ロッド42の軸方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に延びる回動軸52Aが固定されている。切断部支持部52は、回動軸52Aを中心としてベース部2方向(ベース21に対して近接する方向)及び反ベース21方向(ベース21に対して離間する方向)に回動可能に切断部6を支持している。言い換えると、切断部支持部52は、切断部6をベース21に対して、丸鋸刃Pの側面と直交する揺動軸心を中心に、切断部6をベース21に対して近接する位置と離間する位置とに揺動可能に支持している。
次に、本発明の実施の形態にかかる切断機の一例である卓上丸鋸1の切断部6の詳細な構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、卓上丸鋸1の切断部6の内部を示す図であり、図1のA−A線断面図である。なお、図4において、ソーカバー61及び保護カバー62の記載は省略されている。
図4に示されているように、切断部6は、モータ67、伝達機構部60を含んで構成され、ハウジングによりその一部を覆われている。
切断部6のハウジングは、ソーカバー61、保護カバー62、モータハウジング63、ギヤケース64及びギヤカバー65を含んで構成されている。モータハウジング63は、左右方向に延びる略円筒形状をなし、その右側面には、図1及び図4に示されているように、スリット形状の吸気口63aが形成されている。ギヤケース64は、モータハウジング63の左側開口部に連結し、丸鋸刃Pと平行な方向(図1のA−A方向)に延びる形状をなしている。ギヤカバー65は、断面が略楕円形で左右方向に延びる筒状をなし、ギヤケース64に連結している。ギヤケース64及びギヤカバー65の詳細な形状については後述する。
モータ67は、モータハウジング63の内部に収容され、モータ本体67A、モータ軸67B、ファン67C及びコミュテータ67Dを有している。モータ軸67Bは、略円柱形状をなし、左右方向に延びるように配置されている。モータ軸67Bは、ベアリング68aを介してモータハウジング63に回転可能に支承されるとともに、ベアリング68bを介してギヤケース64に回転可能に支承されている。モータ軸67Bの左端部は、ギヤケース64の外側(左側)に突出している。
ファン67Cは、モータ本体67Aの左側において、モータ軸67Bに固定されている。ファン67Cは、モータ軸67Bと一体に回転し、モータハウジング63の吸気口63aから外気を吸入し、ギヤケース64に形成されている排気口(不図示)から排気することによって、モータ本体67Aやコミュテータ67D等を冷却する。
伝達機構部60は、2段ベルト方式でモータ67の回転を丸鋸刃Pに伝達する部分であり、図4に示されているように、第3プーリ601、中間軸602、第4プーリ603、第2ベルト604、第1プーリ605、スピンドル606、第2プーリ607及び第1ベルト608を備えている。このうち、第3プーリ601、第4プーリ603及び第2ベルト604が、1段目の伝達機構を構成し、第1プーリ605、第2プーリ607及び第1ベルト608が、2段目の伝達機構を構成している。
第3プーリ601は、Vプーリであり、左右方向に延びる円筒形状をなし、外周面に周方向に延びる溝が形成されている。第3プーリ601は、ギヤケース64の外側(左側)において、モータ軸67Bの左端部に固定され、モータ軸67Bと一体に回転する。第3プーリは、本発明における「第3プーリ」の一例である。
中間軸602は、略円柱形状をなし、モータ軸67Bに平行に左右方向に延びるように配置されている。中間軸602は、ベアリング69aを介してギヤケース64に回転可能に支承されるとともに、ベアリング69aを介してギヤカバー65に回転可能に支承されている。中間軸602の左端部は、ギヤケース64の外側(左側)に突出する。中間軸602は、本発明における「中間軸」の一例である。
第4プーリ603は、Vプーリであり、左右方向に延びる略円筒形状をなし、外周面に周方向に延びる溝が形成されている。第4プーリ603は、第3プーリ601の外径よりも大きな外径を有している。第4プーリ603は、ギヤケース64の外側(左側)において、止具609を介して中間軸602の左端部に固定され、中間軸602と一体に回転する。本実施例のように、中間軸602を設け、かつ、2段のベルト構造にすることにより、第4プーリの外径を小さくすることができ、小形化を図ることができる。第4プーリは、本発明における「第4プーリ」の一例である。
第2ベルト604は、無端状に形成された樹脂製のエンドレスベルトであり、内周面に長尺方向に延びる溝が形成されたVベルトである。第2ベルト604は、その上部を第3プーリ601の外周に架け渡され、その下部を第4プーリ603の外周に架け渡されることによって、第3プーリ601及び第4プーリ603間に張架されている。第2ベルト604は、1よりも大きな伸張率でテンションをかけた状態で、第3プーリ601及び第4プーリ603間に張架されている。第2ベルト604は、その内周面と第3プーリ601及び第4プーリ603の外周面との間に生じる摩擦力によって回転力を伝達され、周回移動される。第2ベルト604は、本発明における「第2ベルト」の一例である。
第1プーリ605は、タイミングプーリであり、左右方向に延びる略円筒形状をなし、外周面に歯車形状の凹凸が形成されている。第1プーリ605は、第4プーリ603の外径よりも小さな外径を有している。第1プーリ605は、中間軸602の中央部よりも右側に圧入により固定され、中間軸602と一体に回転する。第2ベルト604をVベルトにすることで、仮に、切断刃がロックした場合においても、Vベルトが滑ることで、第一ベルトやプーリ等の機構部品の破損を防止することができる。第1プーリ605は、本発明における「第1プーリ」の一例である。
スピンドル606は、モータ軸67B及び中間軸602に平行に左右方向に延びるように配置され、ベアリング70aを介してギヤケース64に回転可能に使用されるとともに、ベアリング70bを介してギヤカバー65に回転可能に支承されている。スピンドル606の右端部には、丸鋸刃Pを装着するための装着部606Aが設けられている。スピンドル606は、本発明における「出力軸」の一例である。
第2プーリ607は、タイミングプーリであり、左右方向に延びる略円筒形状をなし、外周面に歯車形状の凹凸が形成されている。第2プーリ607は、第1プーリ605の外径よりも大きな外径を有している。第2プーリ607は、スピンドル606の中央部よりも左側に圧入により固定され、スピンドル606と一体に回転する。第2プーリ607は、本発明における「第2プーリ」の一例である。
第1ベルト608は、無端状に形成された樹脂製のエンドレスベルトであり、内周面に歯車形状の凹凸が形成されたタイミングベルトである。第1ベルト608は、その上部を第1プーリ605の外周に架け渡され、その下部を第2プーリ607の外周に架け渡されることによって、第1プーリ605及び第2プーリ607間に張架されている。このとき、第1ベルト608の内周面の凹凸と、第1プーリ605及び第2プーリ607の外周面の凹凸とが噛み合うことで第1プーリ605の回転が第1ベルト608を介して第2プーリ607に伝達され、第2プーリ607は回転する。第1ベルト608は、1よりも大きな伸長率でテンションをかけた状態で、第1プーリ605及び第2プーリ607間に張架されている。第1ベルト608は、その内周面と第3プーリ601及び第4プーリ603の外周面とで互いに歯合することで回転力を伝達され、周回移動される。2段ベルトの構造上、第2ベルトに対して、トルクが高くなる第1ベルトの方が破損しやすい問題があることから、ベルト幅を厚くする必要があるが、特に、両傾斜スライド丸のこの場合には、右傾斜切断能力を大きくすることは切断能力の向上に繋がる。前記したVベルトを滑らせる構造とすることで、一定トルク以上の負荷が第一ベルトに加わることを防止できるため、第一ベルトの破損防止に加えて、タイミングベルトが張架されるプーリを小形化することができる。第1ベルト608は、本発明における「第1ベルト」の一例である。
丸鋸刃Pは、略円板形状をなし、1対のフランジ610及び止具611を介してスピンドル606の装着部606Aに固定され、スピンドル606と一体に回転可能に支持される。丸鋸刃Pは、本発明における「切断刃」の一例である。
次に、本発明の実施の形態にかかる切断機の一例である卓上丸鋸1のギヤケース64及びギヤカバー65について図4乃至図7を参照しながら説明する。
図4に示されているように、ギヤケース64は、切断部6の左側面を覆い、ベアリング68b、ベアリング69a及びベアリング70aを支持している。また、ギヤケース64は、ベアリング68b、ベアリング69a及びベアリング70aを介して、モータ軸67B、中間軸602及びスピンドル606を支持している。図5に示されているように、ギヤケース64は、第1ギヤケース64Aと第2ギヤケース64Bとにより一体的に構成されている。図5は、卓上丸鋸1の切断部6の部分構成を示す分解斜視図である。ギヤケース64は、本発明における「第1カバー」の一例である。
図4及び図5に示されているように、第1ギヤケース64Aは、金属製の鋼材で一体に作られたものであって、略円柱形状をなし、中央に左方に突出する突起部641を有している。突起部641は、左右方向に延びる略円筒形状をなし、その右端部は開口し、左端部は中央部に開口が形成された円環形状をなしている。突起部641の内周面によって、ベアリング68bを嵌合するための嵌合穴が規定されている。突起部641の内径は、ベアリング68bの外径と同一に構成され、ベアリング68bは、突起部641に嵌合して固定されている。また、ギヤケース64の開口の周囲には、図5に示されているように、複数の排気口が形成されている。
第2ギヤケース64Bは、略楕円形の左右側面を有し、右側面の中央部に左方に窪む溝部644が形成されている。また、第2ギヤケース64Bは、基部645を有している。
溝部644は、第1溝部644Aと第2溝部644Bとを有している。第1溝部644Aは、その断面が略楕円形状をなし、内部に2つの突起部642、643が設けられている。第2溝部644Bは、第1溝部644Aの長径方向において、第1溝部644Aの中央から第1ベルト608の張架面に直交する方向に延びている。
突起部642は、第1ギヤケース64A側に設けられ、左右方向に延びる円筒形状をなしている。突起部642の内周面によって、ベアリング69aを嵌合するための嵌合穴が規定されている。突起部642の内径は、ベアリング69aの外径と同一であり、ベアリング69aは突起部642に嵌合して固定されている。
突起部643は、溝部644の長径方向に突起部642と並んで設けられ、左右方向に延びる円筒形状をなしている。突起部643の内周面によって、ベアリング70aを嵌合するための嵌合穴が規定されている。突起部643の内径は、ベアリング70aの外径と同一であり、ベアリング70aは突起部643に嵌合して固定されている。
基部645は、第1溝部644Aからの第2溝部644Bの延出方向端部に設けられている。基部645は、略直方体状に形成され、その右側面は、第2ギヤケース64Bの右側面よりも右側に位置している。すなわち、基部645は、スピンドル606の軸方向に突出している。基部645の突出方向の中央には、第1ベルト608の張架面に直交する方向に延びるネジ孔645aが規定されている。
図4に示されているように、ギヤカバー65は、ギヤケース64の右側に設けられ、ベアリング69b及びベアリング71bを支持している。図5に示されているように、ギヤカバー65は、第2伝達機構収容部65Aと、ベルトテンション調整機構収容部65Bとを有している。また、図6に示されているように、ギヤカバー65は、ギヤカバー65の左端面と第2ギヤケース64Bの右側面とが当接することにより、溝部644を覆っている。ギヤカバー65は、ギヤケース64に取り付けられ、ギヤケース64との間で、第1プーリ605、第2プーリ607、第1ベルト608及びベルトテンション調整機構7を収容している。図6は、ギヤケース64及びギヤカバー65の外観を示す斜視図である。なお、本実施の形態においては、図5に示されているように、ギヤカバー65がギヤケース64から右方へと突出しているが、ギヤケース64の右側面及びギヤカバー65の右側面は、面一に構成されていても良い。ギヤケース64の右側面及びギヤカバー65の右側面が面一に構成されることにより、卓上丸鋸の左右方向のサイズを小さくすることが可能となる。
第2伝達機構収容部65Aは、断面が略楕円形状をなし、ギヤケース64の第1溝部644Aを覆うように配置されている。第2伝達機構収容部65Aの内部には、図4に示されているように、2段形状の溝部651が形成されている。溝部651は、左右方向に並んで設けられる蓋部651A及び支持部651Bを有している。蓋部651Aは左右方向に延びる略円筒形状をなし、その内径は、中間軸602の外径及びベアリング69bの内径よりも大きくなるように形成されている。支持部651Bは左右方向に延びる略円筒形状をなし、その内径は、蓋部651Aの内径よりも大きく、ベアリング69bの外径と同一に構成されている。図4に示されているように、支持部651Bの内部には、ベアリング69bが配置されている。
また、図5に示されているように、第2伝達機構収容部65Aには、外側(右側)に突出する突起部652が設けられている。突起部652は、左右方向に延びる円筒形状をなしている。突起部652の内周面によってベアリング70bを嵌合するための嵌合穴が規定されている。突起部652の内径は、ベアリング70bの外径と同一に構成され、ベアリング70bは、突起部652に嵌合して固定されている。
図5乃至図7に示されているように、ベルトテンション調整機構収容部65Bは、第2伝達機構収容部65Aの長径方向において、第2伝達機構収容部65Aの中央から第1ベルト608の張架面に直交する方向に延出する部分であり、第2溝部644Bを覆っている。図7はギヤケース64及びギヤカバー65の外観を示す右側面図である。
より詳細には、ベルトテンション調整機構収容部65Bは、左方が開口した箱状をなしており、ベルトテンション調整機構収容部65Bの左端面が第2ギヤケース64Bの右側面に当接することで、ベルトテンション調整機構収容部65Bの内壁面と第2ギヤケース64Bの第2溝部644Bの内壁面とによってベルトテンション調整機構7を収容する収容空間が規定されている。
次に、本発明の実施の形態にかかる切断機の一例である卓上丸鋸1のベルトテンション調整機構7の構成について、図5、図8乃至10を参照しながら説明する。
図5及び図8に示されているように、ベルトテンション調整機構7は、第1プーリ605及び第2プーリ607間に張架された第1ベルト608の張架面に直交する方向に延び、第1ベルト608の張力(張り)を調整可能に構成されている。図8に示されているように、ベルトテンション調整機構7は、ギヤケース64とギヤカバー65との間に収容されている。ベルトテンション調整機構7は、移動部71、調整部72、押圧部73、ベルト脱落防止機構74及びスプリング75を有している。図8は、図7のB−B線断面図である。ベルトテンション調整機構7は、本発明における「ベルトテンション調整機構」の一例である。なお、以下のベルトテンション調整機構7の構成についての説明においては、説明の便宜のため、調整部72に関して押圧部73の位置する方向を上方向とし、それとは逆方向を下方向として説明する。また、同様に紙面に向かう方向を後方向とし、それとは逆方向を前方向として説明する。
移動部71は、押圧部73及びベルト脱落防止機構74を支持している。図9(a)及び(b)に示されているように、移動部71は、略直方体形状をなす本体部711と、第1ローラ支持壁712と、第2ローラ支持壁713とを有している。図9は、卓上丸鋸1のベルトテンション調整機構7の部分構成を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は右側面図、(c)は(a)のC−C線断面図、(d)は(a)のD−D線断面図を示している。移動部71は、本発明における「移動部」の一例である。
本体部711は、その下部に、ロッド支持部711Aと、頭部収容部711Bとを有している。図9(d)に示されているように、ロッド支持部711Aは、左右方向における中央部が略後方へと窪むように形成され、当該窪みの内壁面711Cによって、前方、下方及び前方に開口を有するロッド端収容空間711Eが規定されている。内壁面711Cの最深部は、所定の曲率を有している。
頭部収容部711Bは、本体部711に関してロッド支持部711Aの上方に位置している。頭部収容部711Bの左右方向の中央部は、前方及び後方に開口を形成するように直方体状に切り欠かれている。当該直方体状に切り欠かれた部分の内壁面711Dによって、前方、後方及び下方に開口を有する頭部収容空間711Fが規定されている。図9(a)に示されているように、ロッド端収容空間711Eと頭部収容空間711Fとは、連通している。
第1ローラ支持壁712は、本体部711の左端から第1ベルト608の張架面に直交する方向へ延出する平板状をなしている。図9(b)に示されているように、第1ローラ支持壁712の中央部には、左右方向に貫通する支持孔712aが形成されている。
第2ローラ支持壁713は、本体部711の右端から第1ベルト608の張架面に直交する方向へ延出する平板状をなしている。第2ローラ支持壁713は、左右方向に直交し本体部711の中央を通る仮想面に関して第1ローラ支持壁712と対称に形成されている。第2ローラ支持壁713の中央部には、左右方向に貫通する支持孔713aが形成されている。
調整部72は、基部に対する移動部71の位置を調整するように構成されている。
図10に示されているように、調整部72は、第1ベルト608に直交する方向に延出し、ロッド721と、頭部722と、操作部723とを有している。図10は、卓上丸鋸1のベルトテンション調整機構7の部分構成を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)のE−E線断面図、(c)は(d)のF−F線断面図である。調整部72は、本発明における「調整部」の一例である。
図10に示されているように、調整部72は、第1ベルト608に直交する方向に延出し、ロッド721と、頭部722と、操作部723とを有している。図10は、卓上丸鋸1のベルトテンション調整機構7の部分構成を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)のE−E線断面図、(c)は(d)のF−F線断面図である。調整部72は、本発明における「調整部」の一例である。
ロッド721は、第1ベルト608に直交する方向に延出する棒状をなしている。図(c)に示されているように、ロッド721の直径は、ロッド支持部711Aの前部に形成された開口の左右方向の幅と略同一に構成されている。また、ロッド721の曲率は、略後方に窪む内壁面711Cの最深部の曲率と略同一に構成されている。図10(a)及び(c)に示されているように、ロッド721の第1ベルト608に直交する方向における第1ベルト608側の端部は、ロッド端収容空間711E内に収容され、ロッド721の外周面は、略後方に窪む内壁面711Cの最深部と当接している。図8に示されているように、ロッド721の外周には図示せぬネジ山が形成され、当該ネジ山は、基部645のネジ孔645aと螺合している。またロッド721の上端部には、外周に図示せぬネジ山が形成された細径部721aが設けられている。
図10(a)に示されているように、頭部722は、ロッド721の第1ベルト608側の端部に設けられ、頭部収容空間711Fに収容されている。図10(b)に示されているように、頭部722は、略上面視において、六角形状をなしている。当該六角形の対称な頂点を結んだ長さは、内壁面711Dを構成する右側面と左側面との間の距離よりも短く構成されている。これにより、頭部722が回転軸心Gを中心に回転する場合において、内壁面711Dを構成する右側面及び左側面と干渉することなく、スムーズに回転することが可能である。頭部722の上面視における中央部には、ネジ孔722aが形成されており、ネジ孔722aには、ロッド721の細径部721Aが螺合されている。
図6及び図10(a)に示されているように、操作部723は、ロッド721の第1ベルト608側の端部とは反対側の端部に設けられている。
ロッド721、頭部722及び操作部723は、一体に構成され、作業者が回転軸心Gを中心に操作部723を回転させることによって、ロッド721、頭部722及び操作部723は、一体に回転軸心Gを中心に回転する。
図8乃至図10に示されているように、押圧部73は、第1ベルト608の張架面と対向するベルトテンション調整機構7の端部に設けられている。押圧部73は、押圧ローラ73Aと、ローラ軸73Bとを有している。押圧部73は、本発明における「ベルト押圧部」の一例である。
押圧ローラ73Aは、左右方向に延びる円柱形状をなし、第1ベルト608に押圧させることで張力を調整可能に構成されている。押圧ローラ73Aの左右方向の長さは、第1ベルト608の左右方向の幅と同一に構成されている。押圧ローラ73Aの外周面によって押圧面73Cが規定されている。
押圧部73は、ローラ軸73Bを回転軸として回転することが可能である。図10(a)に示されているように、ローラ軸73Bの右端は、支持孔712aに緩く嵌合され、ローラ軸73Bの左端は、支持孔713aに緩く嵌合されている。これにより、押圧部73は、移動部71によって、回転可能に支承されている。
図8乃至図10に示されているように、ベルト脱落防止機構74は、移動部71の第1ローラ支持壁712及び第2ローラ支持壁713から第1ベルト608の張架面に直交する方向へ延出する部分である。ベルト脱落防止機構74は、第1ローラ支持壁712から延出する第1規制壁741と、第2ローラ支持壁713から延出する第2規制壁742とを有している。ベルト脱落防止機構74は、本発明における「規制部」の一例である。
第1規制壁741の略上端部は、所定の曲率で湾曲している。第1規制壁741は、左側に、第1規制面741Aを有している。
第2規制壁742は、左右方向に直交し本体部711の中央を通る仮想面に関して第1規制壁741と対称に形成されている。第2規制壁742の略上端部は、所定の曲率で湾曲している。第2規制壁742は、右側に、第2規制面742Aを有している。
図8に示されているように、第1規制面741Aと第2規制面742Aとの間の距離は、第1ベルト608の幅よりも僅かに長く構成されている。
図8に示されているスプリング75は、押しバネであり、移動部71の下面と、基部645の上面との間に設けられている。
次にモータ67の回転が丸鋸刃Pに伝達される動作について、説明する。
作業者が、ハンドル部66のスイッチ66Aを押下すると、モータ67が駆動し、モータ軸67Bが第3プーリ601と一体に回転を開始する。この回転に伴い、第3プーリ601に架け渡された第2ベルト604が、その内周面と第3プーリ601の外周面との間に働く摩擦力によって周回移動を開始する。当該第2ベルト604の周回移動に伴い、第2ベルト604が架け渡された第4プーリ603が、その外周面と第2ベルト604の内周面との間に働く摩擦力によって回転を開始する。すなわち、第2ベルト604がモータ軸67B及び第3プーリ601の回転を第4プーリ603に伝達し、第4プーリ603が中間軸と一体に従動回転を開始する。ここで、第4プーリ603は、第3プーリ601よりも大径に形成されているため、中間軸602には、モータ軸67Bの回転が減速されて伝達されることとなる。つまり、第3プーリ601、第4プーリ603及び第2ベルト604からなる1段目の伝達機構が、モータ軸67Bの回転を減速して、中間軸602に伝達する。
第4プーリ603は、中間軸602及び中間軸602に固定された第1プーリ605と一体に同一の回転速度で回転を開始する。この回転に伴い、第1プーリ605に噛み合う第1ベルト608が第1プーリ605によって周回移動を開始し、第1ベルト608に噛み合う第2プーリ607が、第1ベルト608によって回転を開始する。すなわち、第1ベルト608が中間軸602及び第1プーリ605の回転を第2プーリ607に伝達し、第2プーリ607がスピンドル606と一体に従動回転を開始する。ここで、第2プーリ607は、第1プーリ605よりも大径に形成されているため、スピンドル606には、中間軸602の回転が減速して伝達されることとなる。つまり、第1プーリ605、第2プーリ607及び第1ベルト608からなる2段目の伝達機構が、中間軸602の回転を減速して、スピンドル606に伝達する。
第2プーリ607は、スピンドル606と一体に回転する。この回転に伴い、スピンドル606の装着部606Aに装着された丸鋸刃Pが、スピンドル606と一体に同一の回転速度で回転することとなる。つまり、モータ軸67Bの回転が、2段の伝達機構によって2段階に減速されて、スピンドル606及び丸鋸刃Pに伝達される。
次に、卓上丸鋸1を用いた切断作業について説明する。
まず、ベース21の載置面2Aに対して直角な切断角度で被切断材を切断する場合には、スイッチ66Aを押下げ、モータ67を駆動させ、丸鋸刃Pを回転させる。この状態において、切断部6を下方へと移動させることによって、被切断材の切断を開始する。具体的には、切断部支持部52の回動軸52Aを中心として切断部6が回動(揺動)することによって、切断部6は下方へ移動する。このときに、図4に示されているように、ベルトテンション調整機構7は、丸鋸刃Pと平行な方向(図1のA−A方向)においてスピンドル606と中間軸602との間に位置しているため、切断部6が回動軸52Aを中心に揺動し最もベース21に近接した際に、上下方向においてスピンドル606に対してベース21とは反対側に位置している。
これに対し、ベース21の載置面21Aに対して直角でない切断角度で被切断材を切断する場合には、作業者は、ホルダ3のクランプレバー31を操作して、ホルダ3のベース部2に対する固定を解除する。この状態において、作業者は、ハンドル部66を左右方向へと移動させる。ハンドル部66の左右方向への移動に伴い、ホルダ3及び切断部6がベース部2の傾動軸25の軸心を中心に傾動する。作業者は、クランプレバーを用いて所望の傾動角度でホルダ3をベース部2に固定し、切断部6を揺動させて切断作業を行う。
なお、本実施の形態の卓上丸鋸1では、2段目の伝達機構の減速比よりも1段目の伝達機構の減速比が大きくなるように、第1プーリ605の径に対する第2プーリ607の径の拡大率は、第3プーリ601の径に対する第4プーリ603の径の拡大率よりも小さく構成されている。
続いて、本実施の形態にかかる卓上丸鋸1における切断部6の組立工程について、説明する。
まず、ギヤケース64に対する、モータ軸67B、中間軸602及びスピンドル606の配置する工程について、図11を参照しながら説明する。図11は、卓上丸鋸1の切断部6の内部を示す図であり、組立工程を説明する図である。
図11に示されているように、中間軸602には、第1プーリ605が中央部よりも右側の所定位置に圧入により外嵌して固定される。その後、第1プーリ605の右側の所定位置には、ベアリング69bが外嵌されて固定される。
スピンドル606には、第2プーリ607が中央部よりも左側の所定位置に圧入により外嵌されて固定される。また、スピンドル606には、第2プーリ607の左側の所定位置にベアリング70aが外嵌されて固定され、第2プーリ607の右側の所定位置にベアリング70bが外嵌されて固定される。なお、スピンドル606への第2プーリ607、ベアリング70a及びベアリング70bの固定は、順を問わない。
また、モータハウジング63には、モータ67が収容される。モータ67のモータ軸67Bには、ベアリング68aが右端部に固定され、モータハウジング63内部の所定位置に固定される。モータ軸67Bには、さらにベアリング68bが、ファン67Cの左側の所定位置に外嵌されて固定される。
本実施の形態では、ベアリング68b、ベアリング69a及びベアリング70aを介してモータ軸67B、中間軸602及びスピンドル606をギヤケース64に取り付けた後、ギヤケース64に対するギヤカバー65の取り付けを行う。
ギヤケース64には、以下に示されるように、ベアリング68b及びベアリング70aが右側から取り付けられ、ベアリング69aが左側から取り付けられる。なお、これらの取り付けは、順を問わない。
第1ギヤケース64Aの突起部641には、ベアリング68bが取り付けられたモータ軸68Bが右側から嵌合される。ベアリング68bは、その外周面が突起部641の内周面と当接することによって、突起部641に支持される。このとき、モータ軸67Bの左端部は、突起部641の左側開口から左方に突出する。なお、ベアリング68bを突起部641に固定した後、モータ軸67Bを右側から挿入して取り付けても良い。
第2ギヤケース64Bの突起部642内には、ベアリング69aが取り付けられた中間軸602が左側から嵌合される。ベアリング69aは、その外周面が突起部642の内周面と当接することによって、突起部642に支持される。このとき、中間軸602は、突起部642の右側開口から右方に突出する。なお、ベアリング69aを突起部642に固定した後、中間軸602を右側から挿入して取り付けても良い。
また、第2ギヤケース64Bの突起部643内には、ベアリング70aが取り付けられたスピンドル606が右側から嵌合される。ベアリング70aは、その外周面が突起部643の内周面と当接することによって、突起部643に支持される。なお、ベアリング70aを突起部643に固定した後、スピンドル606を右側から挿入して取り付けても良い。
上記のように、ギヤケース64にベアリング68b、ベアリング69a及びベアリング70aが固定され、モータ軸67B、中間軸602及びスピンドル606の左側がギヤケース64に対して位置決めされる。このとき、中間軸602に固定された第1プーリ605及びスピンドル606に固定された第2プーリ607は、左右方向における位置が略一致することになる。
次に、ギヤケース64にベルトテンション調整機構7を配置する工程について、図8及び図10を参照しながら説明する。なお、以下のベルトテンション調整機構7の配置についての説明においては、説明の便宜のため、調整部72に関して押圧部73の位置する方向を上方向とし、それとは逆方向を下方向として説明する。また、同様に紙面に向かう方向を後方向とし、それとは逆方向を前方向として説明する。
図8に示されているように、基部645のネジ孔645aには、調整部72のロッド721が下方から螺合される。より詳細には、回転軸心Gを中心に操作部723を右回りに回転させることによって、ロッド721が基部645に対して上方に移動する。このとき、図8に示されているように、ロッド721の上下方向における長さの略半分程度が基部645の上面から突出するように、ロッド721は基部645に対して螺合される。なお、回転軸心Gを中心に操作部723を左回りに回転させることによって、ロッド721が基部645に対して上方に移動するように構成しても良い。
基部645にロッド721を螺合させた後に、図8に示されているように、スプリング75の内部にロッド721が位置するように、スプリング75が配置される。その後、ロッド721の細径部721Aには、頭部722のネジ孔722aが螺合される。
その後、図10(b)及び図10(c)に示されているように、ロッド721がロッド端収容空間711Eに収容され、頭部722が頭部収容空間711Fに収容されるように移動部71、押圧部73及びベルト脱落防止機構74が配置される。このとき、図8に示されているように、ベルトテンション調整機構7は、移動部71及びベルト脱落防止機構74の左側面とギヤケース64の右側面とが当接するように配置される。なお、ベルトテンション調整機構7、中間軸602及びスピンドル606のギヤケース64への配置は順を問わない。
次に、第1ベルト608の張架工程及びギヤカバー65の取り付け工程について図12乃至14を参照しながら説明する。図12は、卓上丸鋸1の切断部6の内部を示す図であり、組立工程を説明する図である。図13及び図14は、卓上丸鋸1の切断部6の部分構成を示す分解斜視図であり、組立工程を説明する図である。
第1ベルト608が、図12乃至図14に示されているように、第1プーリ605及び第2プーリ607間に張架される。第1ベルト608は、1よりも大きな伸張率でテンションをかけて伸ばした状態で、中間軸602及びスピンドル606の右端部から取り付けられ、第1プーリ605の外周面と第2プーリ607の外周面とに架け渡される。
この状態で、ギヤカバー65を右側からギヤケース64に取り付ける。まず、ベアリング69b及びベアリング70bを左側からギヤカバー65に取り付けた後、ギヤカバー65をギヤケース64に取り付けても良いが、ここでは、図12に示されているように、ベアリング69b及びベアリング70bを、それぞれ、中間軸602及びスピンドル606に取り付けた後、ギヤカバー65を取り付ける場合について説明する。
ギヤカバー65を右側から近接させると、まず、中間軸602よりも右側に延びるスピンドル606が突起部652内に進入する。ベアリング70bは、その外周面が、突起部652の内周面と当接することによって、突起部652に支持される。
同様に、ギヤカバー65を右側から近接させると、中間軸602が溝部651内に進入する。ベアリング69bは、その外周面が、溝部651の支持部651Bの内周面と当接することによって支持される。
次に、第3プーリ601、第4プーリ603及び第2ベルト604を取り付ける。なお、これらの取り付けは、ギヤカバー65の取り付けに先立って行っても良く、また、第3プーリ601及び第4プーリ603の取り付けは、順を問わない。
第3プーリ601は、モータ軸67Bのギヤケース64からの突出部分である左端部に外嵌されて固定される。また、第4プーリ603は、中間軸602のギヤケース64からの突出部分である左端部に外嵌され、止具609により固定される。そして、第2ベルト604が、第3プーリ601及び第4プーリ603間に張架される。第2ベルト604は、1よりも大きな伸張率でテンションをかけて伸ばした状態で、左側から取り付けられ、第3プーリ601の外周面と第4プーリ603の外周面とに架け渡される。
丸鋸刃Pは、スピンドル606の装着部606Aに装着される。丸鋸刃Pには、1対のフランジ610が取り付けられ、中央に設けられた孔部に止具611の突出部611Aを挿入して、装着部606Aに固定される。
次に、本発明の実施の形態における卓上丸鋸1のベルトテンション調整機構の効果について図8及び図15を参照しながら説明する。図15は、図7のB−B線断面図であり、第1ベルト608にベルトテンション調整機構7の押圧部73が押し付けられている状態が示されている。以下のベルトテンション調整機構7の効果についての説明においては、説明の便宜のため、調整部72に関して押圧部73の位置する方向を上方向とし、それとは逆方向を下方向として説明する。また、同様に紙面に向かう方向を後方向とし、それとは逆方向を前方向として説明する。
卓上丸鋸において、動力伝達を好適に行うためには、2段目の伝達機構を構成するタイミングベルトに所定のテンションがかかっている必要がある。しかし、上述のように卓上丸鋸を組み立てる際に、タイミングベルトに大きいテンションをかけて伸ばした状態で、プーリ間に架け渡そうとすると、固定されていない中間軸の右端部がスピンドルに近接する方向へ傾倒するとともに、固定されていないスピンドルの右端部が中間軸に近接する方向へ傾倒してしまい、ギヤカバーの取り付けが難しくなってしまう。そこで、容易にギヤカバーの取り付けが行えることも考慮したうえで、卓上丸鋸を組み立てた後にタイミングベルトのテンションを調整する必要性があった。また、卓上丸鋸を組み立てた後に、タイミングベルトが経年劣化により伸びてしまうことがあり、卓上丸鋸を組み立てた後にタイミングベルトのテンションを調整する必要性があった。
これに対し、本実施の形態に係る卓上丸鋸1においては、卓上丸鋸1を組み立てた後に、第1ベルト608(タイミングベルト)の調整を行う事が可能である。以下詳細に説明する。
図7のB−B線が矩形状であるため、図8及び図15において、中間軸602に対して外側に位置する第1ベルト608の一部分(図のH部分、以下H部分と呼ぶ。)が前後方向において押圧面73Cと略同位置に位置し、内側に位置する第1ベルト608の一部分(図のI部分、以下I部分と呼ぶ。)が前後方向において中間軸602及び第1プーリ605と略同位置に位置する。
ここで、図8に示されているように、第1ベルト608の張架面と押圧面73Cとが離間している状態(組立直後の状態)において、上下方向におけるH部分とI部分との間の距離は、a1であるものと仮定する。
上述のように、卓上丸鋸1を組み立てた後に、作業者は、調整部72の操作部723を右回転させる。このとき、押圧面73Cと、第1ベルト608の張架面とが当接し、図15に示されているように、押圧面73Cが第1ベルト608のH部分を上方に押し上げる。このとき、上下方向におけるH部分とI部分との間の距離はa1よりも短いa2となる。これにより、第1ベルト608にかかるテンション(第1ベルト608の張力)が大きくなり、動力伝達を確実かつ好適に行うことが可能となる。また、卓上丸鋸1を組み立てた後に、第1ベルト608にかかるテンションを調整することができるため、組立性が向上する。さらに、経年劣化により第1ベルト608が伸びてしまった場合においても、第1ベルト608にかかるテンションを調整することが可能であり、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
また、上述のように、押圧部73は、移動部71に回転可能に支承されているため、第1ベルト608の回転に伴い、ローラ軸73Bを軸心として回転し、動力伝達を損なわない。
また、図15に示されているように、中間軸602(スピンドル606)の軸方向における第1ベルト608の右端部とベルト脱落防止機構74の第1規制面741Aとが対向し、第1ベルト608の左端部とベルト脱落防止機構74の第2規制面742Aとが対向している。これにより、第1ベルト608のプーリからの脱落を防止しつつ、押圧することが可能となり、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
また、図15に示されているように、押しバネであるスプリング75が、調整部72の左右から移動部71を上方へと支持するため、好適に押圧することが可能となり、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
以上のように、本実施の形態にかかる卓上丸鋸1によれば、第1プーリ605及び第2プーリ607間に張架され、中間軸602の回転をスピンドル606に伝達する第1ベルト608を有し、第1ベルト608の張力(テンション)を調整可能なベルトテンション調整機構7を有しているため、ベルトのテンションを調整することによって、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
また、伝達機構部60において、1段目の伝達機構にVベルト及びVプーリが使用され、2段目の伝達機構にタイミングベルト及びタイミングプーリが使用されるため、減速時の高トルクをタイミングベルトが確実にスピンドル606へ伝達可能となり、回転の伝達効率が向上されるとともに、丸鋸刃Pにおいて規定外の高負荷が生じた場合も、VベルトがVプーリ上で滑ることで、負荷がモータ等に伝達されることを抑制し、各部品の破損が抑制される。したがって、卓上丸鋸1の耐久性が向上される。また、伝達経路上にギヤの噛合がないので、静音性を確保した卓上丸鋸1を実現できる。
また、ベルトテンション調整機構7は、第1ベルト608の張架面に直交する方向に延び、第1ベルト608の張架面と対向する端部に押圧部73を有し、押圧部73を第1ベルト608に押圧させることで張力を調整可能であるため、押圧部73を第1ベルト608に押圧させることで張力を調整可能であるため、簡易な構成で、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
また、ベルトテンション調整機構7は、スピンドル606の軸方向における第1ベルト608の一端及び他端と対向するベルト脱落防止機構74をさらに有しているため、第1ベルト608がずれるのをベルト脱落防止機構74が抑制するため、好適に第1ベルト608を押圧することが可能となる。これにより、動力伝達を好適に行うことが可能となる
また、卓上丸鋸1は、モータ軸67B、中間軸602及びスピンドル606を支持するギヤケース64と、ギヤケース64に取り付けられ、ギヤケース64との間で、第1プーリ605、第2プーリ607、第1ベルト608及びベルトテンション調整機構7とを収容しているギヤカバー65とをさらに有し、ギヤカバー65は、ギヤケース64から突出しているため、丸鋸刃Pと第1カバーとの間の空間を活用してベルトテンション調整機構を配置することが可能となる。
また、ベルトテンション調整機構7は、押圧部73及びベルト脱落防止機構74を支持し基部645に対して移動可能な移動部71と、基部645に対する移動部71の位置を調整する調整部72とをさらに有しているため、簡易な構成で、第1ベルト608を押圧することが可能となる。これにより、動力伝達を好適に行うことが可能となる。
さらに、切断部6がベース21に最も近接しているとき、載置面2Aに垂直な方向においてベルトテンション調整機構7はスピンドル606に対してベース21とは反対側に位置しているため、切断部6が揺動しベース21に最も近接した場合においても、ベルトテンション調整機構7が切断作業の障害となることが抑制される。
本実施の形態においては、切断機として卓上丸鋸1を例に説明したが、本発明は卓上丸鋸以外のモータで駆動される切断機、例えば、丸のこ、刈払機、カッター等の切断機にも適用可能である。
また、本実施の形態においては、押圧ローラによって回転領域の外側からベルトにテンションを加える構成であったが、アイドルプーリ等によって回転領域の内側から外側へ向かってベルトにテンションを加える構成でもよい。この場合ベルトの外周面に接触するものが無くなるので、摩擦熱の発生を抑えることが可能となる。
1…卓上丸鋸 2…ベース部 3…ホルダ 4…ガイド部 5…支持部 6…切断部 7…ベルトテンション調整機構 21…ベース 60…伝達機構部 64…ギヤケース 65…ギヤカバー 67…モータ 601…第3プーリ 602…中間軸 603…第4プーリ 604…第2ベルト 605…第1プーリ 606…スピンドル606 第2プーリ607 608…第1ベルト 71…移動部 72…調整部 73…押圧部 74…ベルト脱落防止機構 75…スプリング
Claims (9)
- 回転駆動するモータ軸を有するモータと、
前記モータ軸の回転に伴い従動回転する中間軸と、
前記中間軸に設けられた第1プーリと、
切断刃を装着可能な装着部を有する出力軸と、
前記出力軸に設けられた第2プーリと、
前記第1プーリ及び前記第2プーリ間に張架され前記中間軸の回転を前記出力軸に伝達する第1ベルトを有し、前記モータ軸の回転を前記出力軸へ伝達するベルトと、
前記第1ベルトの張力を調整可能なベルトテンション調整機構と、を有することを特徴とする切断機。 - 前記第1ベルトは、タイミングベルトであることを特徴とする請求項1に記載の切断機。
- 前記モータ軸に設けられた第3プーリと、
前記中間軸に設けられた第4プーリと、をさらに有し、
前記ベルトは、前記第3プーリ及び前記第4プーリ間に張架され、前記モータ軸の回転を前記中間軸に伝達する第2ベルトをさらに有し、
前記第2ベルトは、Vベルトであることを特徴とする請求項2に記載の切断機。 - 前記ベルトテンション調整機構は前記第1ベルトの張架面に直交する方向に延び、前記第1ベルトの張架面と対向する端部にベルト押圧部を有し、前記ベルト押圧部を前記第1ベルトに押圧させることで張力を調整可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の切断機。
- 前記ベルトテンション調整機構は、前記出力軸の軸方向における前記第1ベルトの一端及び他端と対向する規制部をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の切断機。
- 前記モータ軸、前記中間軸及び前記出力軸を支持する第1カバーと、
前記第1カバーに取付けられ、前記第1カバーとの間で、前記第1プーリ、前記第2プーリ、前記第1ベルト及び前記ベルトテンション調整機構とを収容している第2カバーと、をさらに有し、
前記第2カバーは、前記第1カバーから突出していることを特徴とする請求項5に記載の切断機。 - 前記モータ軸、前記中間軸及び前記出力軸を支持する第1カバーと、
前記第1カバーに取付けられ、前記第1カバーとの間で、前記第1プーリ、前記第2プーリ、前記第1ベルト及び前記ベルトテンション調整機構を収容する第2カバーと、をさらに有し、
前記第1カバーは、凹部を有し、前記凹部内に、前記第1プーリ、前記第2プーリ、前記第1ベルト及び前記ベルトテンション調整機構を配置し、
前記第2カバーは、前記第1カバーと面一に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の切断機。 - 前記第1カバーは、前記軸方向に突出する基部を有し、
前記ベルトテンション調整機構は、前記ベルト押圧部及び前記規制部を支持し前記基部に対して移動可能な移動部と、前記基部に対する前記移動部の位置を調整する調整部と、をさらに有することを特徴とする請求項6又は7に記載の切断機。 - 被加工材を載置可能な載置面を有するベースと、
前記切断刃を回転可能に支持する切断部と、
前記切断部を前記ベースに対して、前記切断刃の側面と直交する揺動軸心を中心に、切断部を前記ベースに対して近接する位置と離間する位置とに揺動可能に支持する揺動部と、をさらに有し、
前記切断部が前記ベースに最も近接しているとき、前記載置面に垂直な方向において前記ベルトテンション調整機構は前記出力軸に対して前記ベースとは反対側に位置することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の切断機。
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