JP2018119657A - 接続構造体及び接続構造体の製造方法 - Google Patents

接続構造体及び接続構造体の製造方法 Download PDF

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Toyonobu Tanaka
豊延 田中
純男 喜瀬
Sumio Kise
純男 喜瀬
義敬 東
Yoshiaki Azuma
義敬 東
東田 豊彦
Toyohiko Higashida
豊彦 東田
奈々美 片岡
Nanami Kataoka
奈々美 片岡
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Abstract

【課題】第1接続体に対して、形状記憶合金からなる第2接続体の超弾性効果を利用しながら十分な接合強度で接合することができる接続構造体、及び第1接続体と第2接続体との接続構造体の製造方法を提供する。【解決手段】 挿通部(11)を有する第1接続体(1)と、前記挿通部の内面に対する復元状態で圧接可能な接続部(21)を有し、形状記憶合金からなる第2接続体(2)と、を備えてなる接続構造体(10)、及び形状記憶合金からなり、前記第1接続体に形成される挿通部の内径より大きい外径の接続部を有する前記第2接続体をMf点以下に冷却する工程と、前記接続部の外径を前記挿通部の内径より小さく縮径加工する工程と、前記接続部を前記第1接続体に嵌め込み、Af点以上に加温する工程と、を備える接続構造体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、接続構造体及び接続構造体の製造方法に関する。
管(第1接続体)と棒(第2接続体)又は2つの管を接合(接続)するには、従来、以下の手法が知られている。
すなわち、ねじ切りによって、棒にねじ切りをしてナットで接続する手法や、ピンによって、管と棒にピン穴を空けてピンで接続する手法等である。
また、形状記憶合金製管継手によって、管継手をMf点(マルテンサイト変態温度)以下に冷却し、管継手の内径を広げてから、これに2本の管を両側から嵌め込み、その後、室温(Af点(逆変態温度)以上)に戻して管継手の収縮により2本の管を接続する方法も提案されている(特許文献1)。
さらに、冷やしばめによって、内側部品を冷却収縮させて細くし、これに外側部品を嵌め込んで、常温に戻し内側部品が元の径に戻り結合して接続する方法が開発されている(特許文献2)。この特許文献2には、冷やしばめでなく、焼きばめによって、外側部品を加熱膨張させて内径を広げ、これに内側部品を嵌め込んで、常温に戻し外側部品の収縮によって結合して接続する手法も記載されている。
しかし、ねじ切りの手法では、ねじ切り部の径を太くする必要があり、材料や切削コストが高い。また、ピン穴を空けてピンで接続するのは、棒または管のピン穴を空けた部分に応力集中してそこから破断する。このため、ピン穴部の棒径を太くすると、ねじ切りの場合と同様に、材料や切削コストが高くなる。
特開平7−071664号公報 特開2004−090130号公報
上記の形状記憶合金製管継手により2本の管を接続する方法(特許文献1)では、管に引張力が付加されて変形しても、通常の金属管なら縮径量は小さいため継手で滑ることは無い。
一方、形状記憶合金棒の接合に冷やしばめ(特許文献2)を適用すると、使用時の応力が降伏点以下であれば、それに十分耐えうる接合力を保つことができる。しかし、降伏点を超えると棒材は超弾性変形となり、接合部も縮径していくため接合力が低下する。その結果、接合部で滑ってしまい、所望の接合強度、及び接合位置を保てないという問題を生ずる。このため、超弾性効果を利用する場合には応力が降伏点以上になるため、接合が不十分となる。
そこで、本発明は、第1接続体に対して、形状記憶合金からなる第2接続体の超弾性効果を利用しながら十分な接合強度で接合することができる接続構造体を提供することを課題とする。また、本発明は、第1接続体と第2接続体との接続構造体の製造方法を提供することを別の課題とする。
本発明者らは、第1接続体に対して、形状記憶合金からなる第2接続体の超弾性効果を利用しながら十分な接合強度で接合することができる接続構造体、及び第1接続体と第2接続体との接続構造体の製造方法が得られることを見出した。
本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)
挿通部を有する第1接続体と、
前記挿通部の内面に対する復元状態で圧接可能な接続部を有し、形状記憶合金からなる第2接続体と、
を備えてなることを特徴とする接続構造体。
(2)
前記接続部は凹部又は貫通孔を有してなり、
前記第1接続体を貫通し前記凹部又は貫通孔に陥入される係止部材(ピン)を備える(1)項に記載の接続構造体。
(3)
前記挿通部の内面に第1嵌合部を有してなり、
前記接続部は、前記第1嵌合部に対応する第2嵌合部を有する(1)項に記載の接続構造体。
(4)
前記形状記憶合金がCu−Al−Mn系合金である(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の接続構造体。
(5)
前記第2接続体は、3.0〜10.0質量%のAl、及び5.0〜20.0質量%のMnを含有し、残部Cuと不可避的不純物からなる組成を有し、かつ任意の副添加元素として、Ni、Co、Fe、Ti、V、Cr、Si、Nb、Mo、W、Sn、Mg、P、Be、Sb、Cd、As、Zr、Zn、B、C、Ag及びミッシュメタルからなる群より選ばれた1種または2種以上を含有することができ、これらの任意の副添加元素の含有量は合計で0.000〜10.000質量%で形成されたCu−Al−Mn系形状記憶合金からなる(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の接続構造体。
(6)
第1接続体と第2接続体とを接続する接続構造体の製造方法であって、
形状記憶合金からなり、前記第1接続体に形成される挿通部の内径より大きい外径の接続部を有する前記第2接続体をMf点以下に冷却する工程と、
前記接続部の外径を前記挿通部の内径より小さく縮径加工する工程と、
前記接続部を前記第1接続体に嵌め込み、Af点以上に加温する工程と、
を備えることを特徴とする接続構造体の製造方法。
(7)
円筒状からなる前記接続部の外径をD、管形状からなる前記挿通部の内径をdとしたとき、D/dが1.01〜1.08である(6)項に記載の接続構造体の製造方法。
本発明の接続構造体によれば、冷やしばめにより第2接続体の接合部が、超弾性の回復力により一定の接合力で保持される。引張による接合部の第2接続体の変形量が小さいうちは、接合部の接合力は引張力に抗して接続は維持される。
さらに、本発明の接続構造体の製造方法は、前記接続構造体を用いたことによって、形状記憶合金からなる第2接続体の超弾性効果を利用しながら、第1接続体に対して十分に接合することができる接続構造体の製造方法として好適である。
図1は、本発明の一実施態様に係る接続構造体を示す説明図である。 図2は、本発明の一実施態様に係る接続構造体にピン用の穴あけをした状態を示す写真(説明図)である。 図3は、図2のピン用の穴にピンを挿入した状態を示す写真(説明図)である。 図4は、図3のピンを挿入して補強した接続構造体について求めたS−Sカーブ(応力−歪曲線)である。 図5は、ピンを挿入しなかった本発明の接続構造体について求めたS−Sカーブ(応力−歪曲線)である。 図6は、本発明に係る超弾性合金(形状記憶合金)製第2接続体の製造工程の一例を説明する模式図である。 図7は、ピンを挿入した接続構造体について求めたS−Sカーブ(応力−歪曲線)である。 図8(a)及び図8(b)は、本発明に従って、それぞれピン4を挿入した接続構造体10についての説明図である。 図9は、第1接続体1を介して鉄棒20と第2接続体2を接合する方法を説明する説明図である。 図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、本発明のさらに別の実施態様に係る接続構造体を示す説明図である。図10(a)は、第1接続体1の一端部に形成される凹形状である挿通部11を用いた場合を説明する説明図である。図10(b)は、第1接続体1の一端部に形成される凹形状である挿通部11を設けた反対側の端部を、外側でねじ切りし、ここで内側がねじ切りされた第2接続体2又はナットとねじ接合(螺合)する場合を説明する説明図である。図10(c)は、第1接続体1の一端部に形成される凹形状である挿通部11を設けた反対側の端部を、内側でねじ切りし、ここに外側がねじ切りされた第2接続体2又はナットとねじ接合(螺合)する場合を説明する説明図である。 図11は、本発明のさらに別の実施態様に係る第1接続体1と第2接続体2とを示す説明図である。
本発明の接続構造体は、挿通部を有する第1接続体と、前記挿通部の内面に対する復元状態で圧接可能な接続部を有し、形状記憶合金からなる第2接続体と、を備えてなる。
ここで、「復元状態」とは、本発明の製造方法における前記(6)項で規定する「冷却工程から縮径加工させた接続部」を「第1接続体(管状部材)に嵌め込んで拡径させた状態」を意味する。つまり、冷却した温度を、Af点以上(例えば、室温)まで戻した状態、かつ、前記拡径させた状態を意味する。
図1に、本発明の一実施態様に係る接続構造体10を示す説明図を示した。図中、1は例えば、鋼製部材からなる第1接続体を示し、2は例えば、Cu−Al−Mn系合金製の、形状記憶合金からなる第2接続体を示す。第1接続体1は、一実施態様においては、一端部から他端部にかけて連通する挿通部11が形成されている。当該挿通部11は、第1接続体1を貫通するものに限られることなく、例えば、図10(a)、図10(b)及び図10(c)に示すような、一端部に形成される凹形状であってもよい。以下の実施例においては、第1接続体1に断面円筒形状の鋼管(管状部材)を用いる。また、第2接続体2には丸棒材を用いる。Lは、第2接続体2を第1接続体1に接合した部分の長さを、Fはその接合力を表す。
内圧力Pは、次式で表される。
P=πdLσ
接合力Fは、次式で表される。そこで、上式を代入すると、
F=μP
=πμdLσ
となる。(式中、μは摩擦係数である。)
Cu−Al−Mn系形状記憶合金からなる第2接続体2の外径11.2mmを10.9mmに縮径した時のひずみ量は、2.7%と算出した。内圧σは下降伏応力150MPaとできる。
第1接続体1の挿通部11の内部に挿入したCu−Al−Mn系形状記憶合金からなる第2接続体2の長さLは約30mmであり、摩擦係数μを0.3と仮定すると、
F=π×0.3×10.9(mm)×30(mm)×150(MPa)
=46.2[kN]
である。これは第2接続体2の棒径がφ11.2mmのため、応力換算で469[MPa]となる。
しかし、理論値では469MPaまで接合力があるのに、図5に示すように、実際には約150MPaで滑ったことがわかる。つまり、理論値の約3割の接合力で滑ってしまう。この接合力低下の原因は、超弾性変形による内圧σの低下と推定される。つまり、所定の力以上で引張ると第2接続体2が超弾性変形することにより直径が縮径され内圧σが低下し、接合力が低下すると考えられる。
本発明において、接続前の第2接続体2の接続部21の外径(長さLの部分の第2接続体2の外径)について、『外径』の範囲としては、例えば、8〜50mmが好ましい。この外径は、第1接続体1における挿通部11の内径よりも大きい値とする。そして、当該外径を第1接続体1における挿通部11の内径と略同一の値に縮径し、第2接続体2を第1接続体1に嵌め込んだ後で、形状記憶効果によって第2接続体2の外径を元の径に戻し復元する。ここで、「縮径加工」とは、Mf点以下に冷却した状態での『鍛造』(スエージング加工)である。
本発明において、第2接続体2における接続部21の外面に凹部又は貫通孔を有し、第1接続体1を径方向に貫通して該凹部又は貫通孔に陥入される係止部材(ピン4)を備える接続構造体10について、図1、図2や図3、図8を参照して説明する。
本発明の第1接続体1と第2接続体2を接続する接続構造体の製造方法は、以下の工程をこの順で含んでなる。
[1]形状記憶合金からなり、第1接続体1における挿通部11の内径より大きい外径の接続部21を有する第2接続体2をMf点以下に冷却する工程
[2]第2接続体2の接続部21の外径を第1接続体1における挿通部11の内径より小さく縮径加工する工程
[3]接続部21を第1接続体1に嵌め込み、Af点以上に加温する工程
以下に、第1接続体1と第2接続体2を接続する本発明の接続構造体の製造方法を詳述する。
形状記憶合金製第2接続体2(例えば、Cu−Al−Mn系形状記憶合金製の第2接続体)をMf点以下に冷却する。
第2接続体2を、長さLの分だけ縮径加工して細くする。
前記長さLの分だけ細くした第2接続体2を、第1接続体1(例えば、鋼管)に嵌め込む(図1参照)。
第2接続体2と一体化された第1接続体1を加温することによって常温(Af点以上)に戻し、第2接続体2の長さLの部分、つまり第1接続体1に嵌め込まれた第2接続体2の内側部分(接続部21(L部分))が復元して元の径に戻り、接続部21が挿通部11に対して圧接されることで第1接続体1と第2接続体2が結合(接合)し、接続構造体10を得る。
ここで、第1接続体1と第2接続体2を係止部材4(ピン)で補強する場合には、引き続き、以下の工程を行う。
第1接続体1と第2接続体2の接続部21(L)の一部にピン穴3を空ける(図2、図8参照)。
ピン穴3にピン4を入れて(図3、図8参照)、第1接続体1と第2接続体2とを固定(接合)し、接続構造体10を得る。
図8(a)に示したように、サイズ(深さ約5mm、直径4mmφ)のピン穴3を第1接続体1の側面に上下対称となる位置で設けて、該ピン穴3を貫通するようにピン4を第1接続体1から第2接続体2へ上下で配する。すなわち、該ピン4は、上述した第2接続体2の凹部に嵌入される。これによって、第1接続体1と第2接続体2とをより強く接合した接続構造体10を得る。
かかる際において、図8(b)に示すように、第1接続体1に貫通孔(ピン穴3)を設けるとともに、これに対応する貫通孔(3)を第2接続体2に形成することで、1本のピン4にて、第1接続体1と第2接続体2とを接合することができるのは勿論である。また、ピン4については、第1接続体1の側面に上下対称となる位置にピン穴3を設けることなく、当該側面上に複数本のピン穴3を等間隔に配設することもできる。
さらに、本発明の接続構造体によれば、冷やしばめに加えて接続部21をピン4で留めることで十分な接続力が得られる。これは、接続部21をピン4で留めることで接続部21での第2接続体2の変形を抑えることができ、接続部21での接続力の低下を抑える事ができるためと考える。また、ピン穴3の深さ(図8(a)に示した例では、約5mm)を第2接続体2の変形を抑える程度に留めることで、ピン4での第2接続体2の破断を抑えることができる。
また、本発明においては、図11左図に示したように、第1接続体1における挿通部11の内面に第1嵌合部からなる凹部12を有し、図11右図に示したように、第2接続体2の接続部21が、当該凹部12に対応して係合する第2嵌合部からなる凸部22を有するようにしてもよい。該接続構造体は、凹部12と凸部22の嵌合又は係合によって、接続部21での接続力の低下を抑える事ができる。また、第1接続体1の第1嵌合部を凸部(図示せず)とし、第2接続体2の第2嵌合部を凹部(図示せず)とすることができるのは勿論である。
以下に本発明における技術的意義を述べる。
本発明の接続構造体によれば、第1接続体1と、形状記憶合金からなる第2接続体2とを接続することができる。
仮に、形状記憶合金からなる第2接続体2同士であれば、第1接続体1を間に介することで、本発明の方法により接続することができる。また、図9に示したとおり、鉄等の非形状記憶合金からなる棒材(例えば、鉄棒20)を形状記憶合金からなる第2接続体2と、接合したい場合、まず、第1接続体1と、形状記憶合金からなる第2接続体2とを本発明の方法により接続する(接続構造体10を形成する)。そして、第1接続体1の形状記憶合金からなる第2接続体2と接続していない方の一端部内をねじ切りし、鉄棒(別体20)の一端(外部)もねじ切りすることによって、鉄棒20と第1接続体1をねじで接合(螺合)する。すなわち、形状記憶合金からなる第2接続体2と鉄棒20は第1接続体1を間に介して接合することができる。
また、第1接続体1に図10(a)に示すような一端部に形成される凹形状を用いたときは、例えば図10(b)に示すように凹んで無い方の端部の外面をねじ切りして、一端をねじ切りした鉄棒20と第1接続体1をナット等で接合することができる。また、例えば図10(c)に示すように凹んで無い方の端部の内部をねじ切りすることによって鉄棒20と第1接続体1をねじで接合することができる。
さらに、本発明の接続構造体10は、接続前の第2接続体2の接続部21の外径をD、第1接続体1における挿通部11の内径をdとしたとき、D/dが1.01〜1.08であることが好ましい。
形状記憶(超弾性)特性を有してなる第2接続体2は、例えば図7に示すようなS−Sカーブを与え、ひずみ量が約1〜8%で応力一定になるステージ部を有する。従って、縮径によるひずみ量が約1〜8%になるようにすれば、第1接続体1と第2接続体2の接着力が一定となり、安定した接合力が得られる。従って、D/dが1.01〜1.08が好ましい。また、ひずみ量8%を超える加工を第2接続体2(接続構造体)に加えようとすると、加工力が急速に大きくなり、スエージング(縮径の為に行われる鍛造加工などのこと)時に第2接続体2が曲がる原因になる上、第2接続体2が塑性変形してしまい縮径した第2接続体2を室温に戻しても元の径(太さ)に戻らなくなる可能性がある。
本発明の接続構造体10は、例えば、直径が約10〜15mm程度のブレースや鉄筋に応用して、建築部材とすることができる。鉄製のブレースや鉄筋の一部分を形状記憶合金からなる第2接続体2に置き換えることで、地震等により建物に変形が加えられても、形状記憶効果で元の形状に戻ることができる。鉄製のブレースや鉄筋と形状記憶合金からなる第2接続体2との接続に、本発明の接続構造体と接続構造体の製造方法が応用できる。
第1接続体1の材質には、特に制限はなく、ねじ切りしやすさ、強度、コストを考慮すると、ステンレススチール材(例えば、SUS304製)が好ましい。
本発明の接続構造体10において、第2接続体2を構成する形状記憶合金および超弾性合金の種類には特に制限はない。例えば、Ni−Ti系合金やCu−Al−Mn系合金などが使用できる。その中でも、Cu−Al−Mn系合金を用いることが好ましい。以下に、好ましい組成などについて述べる。
<Cu−Al−Mn系合金材の組成>
形状記憶特性及び超弾性を有する本発明で用いられる銅系合金は、Al及びMnを含有した合金である。この合金は、高温でβ相(体心立方)単相(以下、単にβ単相ともいう)になり、低温でβ相とα相(面心立方)の2相組織(以下、単に(α+β)相ともいう)になる。合金組成により異なるが、β単相となる高温は通常700℃以上であり、(α+β)相となる低温とは通常700℃未満である。
本発明で用いられるCu−Al−Mn系合金材は、3.0〜10.0質量%のAl、及び5.0〜20.0質量%のMnを含有し、残部Cuと不可避的不純物からなる組成を有する。Al元素の含有量が少なすぎるとβ単相を形成できず、また多すぎると合金材が脆くなる。Al元素の含有量はMn元素の含有量に応じて変化するが、好ましいAl元素の含有量は6.0〜10.0質量%である。Mn元素を含有することにより、β相の存在範囲が低Al側へ広がり、冷間加工性が著しく向上するので、成形加工が容易になる。Mn元素の添加量が少なすぎると満足な加工性が得られず、かつβ単相の領域を形成することができない。またMn元素の添加量が多すぎると、十分な形状回復特性が得られない。好ましいMnの含有量は8.0〜12.0質量%である。
上記必須の添加成分元素以外に、本発明で用いられるCu−Al−Mn系合金材はさらに任意の副添加元素として、Ni、Co、Fe、Ti、V、Cr、Si、Nb、Mo、W、Sn、Mg、P、Be、Sb、Cd、As、Zr、Zn、B、C、Ag及びミッシュメタル(Pr、Ndなど)からなる群より選ばれた1種または2種以上を含有することができる。これらの副添加元素は冷間加工性を維持したままCu−Al−Mn系合金材の強度を向上させる効果を発揮する。これらの副添加元素の含有量は合計で0.000〜10.000質量%であるのが好ましく、特に0.001〜5.000質量%が好ましい。これら副添加元素の含有量が多すぎるとマルテンサイト変態温度が低下し、β単相組織が不安定になる。
Ni、Co、Fe、Snは基地組織の強化に有効な元素である。CoはCo−Al金属間化合物の形成により結晶粒を粗大化するが、過剰になると合金の靭性を低下させる。Coの含有量は0.001〜2.000質量%である。Ni及びFeの含有量はそれぞれ0.001〜3.000質量%である。Snの含有量は0.001〜1.000質量%である。
Tiは阻害元素であるN及びOと結合し酸窒化物を形成する。またBとの複合添加によってボライドを形成し、強度を向上させる。Tiの含有量は0.001〜2.000質量%である。
V、Nb、Mo、Zrは硬さを高める効果を有し、耐摩耗性を向上させる。またこれらの元素はほとんど基地に固溶しないので、β相(bcc結晶)として析出し、強度を向上させる。V、Nb、Mo、Zrの含有量はそれぞれ0.001〜1.000質量%である。
Crは耐摩耗性及び耐食性を維持するのに有効な元素である。Crの含有量は0.001〜2.000質量%である。Siは耐食性を向上させる効果を有する。Siの含有量は0.001〜2.000質量%である。Wは基地にほとんど固溶しないので、析出強化の効果がある。Wの含有量は0.001〜1.000質量%である。
Mgは阻害元素であるN及びOを除去する効果があるとともに、阻害元素であるSを硫化物として固定し、熱間加工性や靭性の向上に効果がある。Mgの多量の添加は粒界偏析を招き、脆化の原因となる。Mgの含有量は0.001〜0.500質量%である。
Pは脱酸剤として作用し、靭性向上の効果を有する。Pの含有量は0.01〜0.50質量%である。Be、Sb、Cd、Asは基地組織を強化する効果を有する。Be、Sb、Cd、Asの含有量はそれぞれ0.001〜1.000質量%である。
Znは形状記憶処理温度を上昇させる効果を有する。Znの含有量は0.001〜5.000質量%である。B、Cは適量であればピン止め効果が得られより結晶粒が粗大化する効果がある。B及び/又はCは、特にTi及び/又はZrとの複合添加が好ましい。B、Cの含有量はそれぞれ0.001〜0.500質量%である。
Agは冷間加工性を向上させる効果がある。Agの含有量は0.001〜2.000質量%である。ミッシュメタルは適量であればピン止め効果が得られるので、より結晶粒が粗大化する効果がある。ミッシュメタルの含有量は0.001〜5.000質量%である。なお、ミッシュメタルとは、Pr、LaやCe、Ndなど単体分離の難しい希土類元素の合金のことを指す。
<Cu−Al−Mn系合金材の製造方法>
本発明で用いられるCu−Al−Mn系合金材において、上記のような安定的に良好な超弾性特性を奏して耐繰返し変形特性に優れる超弾性合金材を得るための製造条件としては、例えば、下記のような製造工程を挙げることができる。
Cu−Al−Mn系合金材の製造工程は、図6に示すように主として溶解・鋳造[工程1]、熱間鍛造・加工[工程2]、中間焼鈍[工程3]、冷間加工[工程4]、記憶熱処理[工程5]、時効処理[工程6]からなる。
製造工程全体の中で特に、中間焼鈍[工程3]での熱処理温度[3]を400〜680℃の範囲とし、冷間加工(具体的には冷間圧延もしくは冷間伸線)[工程4−1]での冷間圧延率もしくは冷間伸線の加工率[5]を30%以上の範囲とすることにより、安定的に良好な超弾性特性を奏するCu−Al−Mn系合金材が得られる。これに加えて、記憶熱処理[工程5−1]〜[工程5−10]において、(α+β)相になる温度域[8]と[14](合金組成により異なるが400〜650℃、好ましくは450℃〜550℃)からβ単相になる温度域[11]と[17](合金組成により異なるが通常700℃以上、好ましくは750℃以上、さらに好ましくは900℃〜950℃)までの加熱[工程5−3]と[工程5−7]での昇温速度[10]と[16]とを、いずれも0.1〜20℃/分という所定の遅い範囲に制御する。これに加えて、β単相になる温度域[11]から(α+β)相になる温度域[14]までの冷却[工程5−5]での降温速度[13]を、0.1〜20℃/分という所定の遅い範囲に制御する。さらに、前記(α+β)相になる温度域[8]からβ単相になる温度域[11]までの加熱[工程5−3]の後で、β単相になる温度域[11]での所定時間[12]の保持[工程5−4]から、その後の、β単相になる温度域[11]から(α+β)相になる温度域[14]まで0.1〜20℃/分の降温速度[13]で冷却[工程5−5]し、該温度域[14]に所定時間[15]保持[工程5−6]を経て、さらに、(α+β)相になる温度域[14]からβ単相になる温度域[17]まで0.1〜20℃/分の昇温速度[16]で加熱[工程5−7]し、さらに該温度域[17]に所定時間[18]保持[工程5−8]するまでの、[工程5−4]から[工程5−8]までを少なくとも1回、好ましくは少なくとも4回繰り返して行う([工程5−9])。この後、最後に急冷[工程5−10]する。
好ましくは、次のような製造工程が挙げられる。
常法によって溶解・鋳造[工程1]と熱間圧延または熱間鍛造の熱間加工[工程2]を行った後、400〜680℃[3]で1〜120分[4]の中間焼鈍[工程3]と、その後に、加工率30%以上[5]の冷間圧延または冷間伸線の冷間加工[工程4−1]とを行う。ここで、中間焼鈍[工程3]と冷間加工[工程4−1]とはこの順で1回ずつ行ってもよく、この順で2回以上の繰り返し回数[6]で繰り返して[工程4−2]行ってもよい。その後、記憶熱処理[工程5−1]〜[工程5−10]を行う。
前記記憶熱処理[工程5−1]〜[工程5−10]は、(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[8]からβ単相になる温度域(例えば、900℃)[11]までを0.1〜20℃/分、好ましくは0.1〜10℃/分、さらに好ましくは0.1〜3.3℃/分の昇温速度[10](以下、除昇温という。)で加熱[工程5−3]して、該加熱温度[11]に5分〜480分、好ましくは10〜360分[12]保持[工程5−4]してなり、さらにβ単相になる温度域(例えば、900℃)[11]から(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[14]までを0.1〜20℃/分、好ましくは0.1〜10℃/分、さらに好ましくは0.1〜3.3℃/分の降温速度[13]で(以下、除降温という。)冷却[工程5−5]して、該温度[14]に20〜480分、好ましくは30〜360分[15]保持[工程5−6]する。その後、再び(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[14]からβ単相になる温度域(例えば、900℃)[17]まで上記徐昇温の昇温速度[16]で加熱[工程5−7]して、該温度[17]に5分〜480分、好ましくは10〜360分[18]保持[工程5−8]する。このような徐降温[13][工程5−5]と徐昇温[16][工程5−7]を繰り返す[工程5−9]ことを少なくとも1回、好ましくは少なくとも4回の繰り返し回数[19]で行う。その後、急冷[工程5−10]、例えば水冷の各工程を有してなる。
α+β単相になる温度域でかつ本発明で定める温度域は400〜650℃、好ましくは450〜550℃とする。
β単相になる温度域は700℃以上、好ましくは750℃以上、さらに好ましくは900〜950℃とする。
前記記憶熱処理[工程5−1]〜[工程5−10]の後には、100〜200℃[21]で5〜120分[22]の時効熱処理[工程6]を施すことが好ましい。時効温度[21]が低すぎるとβ相は不安定であり、室温に放置しているとマルテンサイト変態温度が変化することがある。逆に時効温度[21]がやや高いとベイナイト(金属組織)、高すぎるとα相の析出が起こる。特にα相の析出は形状記憶特性や超弾性を著しく低下させる傾向がある。
中間焼鈍[工程3]と冷間加工[工程4−1]を繰り返し行う[工程4−2]ことで、結晶方位をより好ましく集積させることができる。中間焼鈍[工程3]と冷間加工[工程4−1]の繰り返し数[6]は、1回でも良いが、好ましくは2回以上、さらに好ましくは3回以上である。前記中間焼鈍[工程3]と前記加工[工程4−1]の繰り返し回数[6]が多いほど特性が向上するためである。
(各工程の好ましい条件)
中間焼鈍[工程3]は、400〜680℃[3]で1分〜120分[4]とする。この中間焼鈍温度[3]はより低い温度とすることが好ましく、好ましくは400〜550℃とする。
冷間加工[工程4−1]は加工率30%以上[5]とする。ここで、加工率は次の式で定義される値である。
加工率(%)={(A−A)/A}×100
は冷間加工(冷間圧延もしくは冷間伸線)前の試料の断面積であり、Aは冷間加工後の試料の断面積である。
この中間焼鈍[工程3]と冷間加工[工程4−1]とを2回以上繰り返し行う場合の累積加工率([6])は30%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは45%以上である。累積加工率の上限値には特に制限はないが、通常95%以下である。
前記記憶熱処理[工程5−1]〜[工程5−10]においては、まず[工程5−1]では、前記冷間加工後に室温から昇温速度[7](例えば、30℃/分)で(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[8]まで昇温する。その後、(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[8]で2〜120分、好ましくは10〜120分[9]保持[工程5−2]する。その後、(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[8]からβ単相になる温度域(例えば、900℃)[11]まで加熱[工程5−3]する際には、昇温速度[10]を前記徐昇温の0.1〜20℃/分、好ましくは0.1〜10℃/分、さらに好ましくは0.1〜3.3℃/分とする。その後、この温度域[11]に5〜480分、好ましくは10〜360分[12]保持[工程5−4]する。その後、β単相になる温度域(例えば、900℃)[11]から(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[14]まで0.1〜20℃/分、好ましくは0.1〜10℃/分、さらに好ましくは0.1〜3.3℃/分の降温速度[13]で冷却[工程5−5]し、この温度域[14]で20〜480分、好ましくは30〜360分[15]保持[工程5−6]する。その後、再び(α+β相)になる温度域(例えば、450℃)[14]からβ単相になる温度域(例えば、900℃)[17]まで前記徐昇温の昇温速度[16]で加熱[工程5−7]し、この温度域[17]に5〜480分、好ましくは10〜360分[18]保持[工程5−8]する。このような[工程5−4]〜[工程5−8](条件[11]〜[18])を繰り返し[工程5−9]少なくとも1回、好ましくは少なくとも4回[19]行う。
急冷[工程5−10]時の冷却速度[20]は、通常30℃/秒以上、好ましくは100℃/秒以上、さらに好ましくは1000℃/秒以上とする。
最後の任意の時効熱処理[工程6]は、通常100〜200℃[21]で5〜120分[22]、好ましくは120〜200℃[21]で5〜120分[22]行う。
以下に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例)
本発明のCu−Al−Mn系形状記憶合金からなる第2接続体2は、以下の方法で作成した。8.1質量%Al、11.1質量%Mn、残部Cuの配合材料を高周波真空溶解炉にて溶解鋳造し、800℃で熱間鍛造、600℃で熱間圧延、520℃の中間焼鈍と冷間加工率40%の冷間伸線に付し、直径11.2mmの棒部材(第2接続体2)を作製した。電気炉内で昇温速度10℃/minで500℃にし、500℃で1時間保持後、昇温速度1.0℃/minで900℃に達した後、900℃で10分保持、その後降温速度1.0℃/minで500℃にし、500℃で1時間保持後、昇温速度1.0℃/minで900℃に達した後、1時間保持後に、水中急冷した。その後130℃、熱処理時間30分の時効処理を行い、超弾性を発現させた。このようにしてCu−Al−Mn系形状記憶合金からなる第2接続体2を得た。但し、中間焼鈍と冷間伸線を2〜4回繰り返し行うことが好ましい。
鋼製の管材(第1接続体1)としては、市販のSUS304製シームレス管(管の肉厚3.2mm、管の内径10.9mm)を用いた。
実施例1の接続構造体は、上記Cu−Al−Mn系形状記憶合金からなる第2接続体2と第1接続体1を用いて、次のようにして接合させた。
1.Cu−Al−Mn系第2接続体2(外径φ11.2mm)を液体窒素で冷やした。
2.Cu−Al−Mn系第2接続体2の先端(接続部21)をスエージング加工した(外径φ10.6mmまで)。
3.Cu−Al−Mn系第2接続体2の先端を第1接続体1(内径φ10.9mm)に嵌め込んだ。
4.室温(23℃)になるまで放置した。
5.引っ張って接合力を確認した。
実施例1の接続構造体について、応力−ひずみ曲線(S−Sカーブ)は、図5に示したものとなった。
実施例2、3、4の接続構造体では、上記Cu−Al−Mn系形状記憶合金からなる第2接続体2と第1接続体1を用いて、前記工程1.〜4.の後で、以下の工程(5.以降)を行って接合させた。ピン穴などのサイズは、図8に示した通りとした。実施例2、3、4の接続構造体は、D/dが相違する以外は同様に作成した。
5.第1接続体1と第2接続体2の接続部21(前記長さLの内の一部)にピン穴3を空けた(図2、図8参照)。
6.ピン穴3にピン4を入れて(図3参照)、第1接続体1と第2接続体2を固定(接合)した。
7.引っ張って接合力を確認した。
実施例2の接続構造体について、応力−ひずみ曲線(S−Sカーブ)は、図4に示したものとなった。実施例2の接続構造体では、接続部21を除く平行部(図1参照)で破断した。
(比較例)
比較例1は、ピン止めのみでの接続で接合させた。
ピン止めのみでの接続は、φ11.2mmの形状記憶合金からなる第2接続体2に穴を穿ち、更に内径11.3mmのSUSからなる第1接続体1にも同一サイズの穴を空けて、第2接続体2を第1接続体1に挿し込んで両方の穴が合うようにして穴にピン4を挿し込んで固定した。
比較例2は、ねじ切りによって、接合させた。
φ11.2mmの形状記憶合金からなる第2接続体2の一端部を30mm長さでねじ切りして、M11(外径11mm)の長ナットと接続させた。
比較例3は、SUSからなる第2接続体2とCu−Al−Mn系形状記憶合金からなる第1接続体1を次のように接合させた。
1.外径17.3mm、長さ100mmの形状記憶合金からなる第1接続体1に対して、ガンドリルでφ10.9mmの穴をあけ、第1接続体1を作製した。
2.第1接続体1を液体窒素で冷やした後、穴を拡径(拡管)した。
3.φ11.2mmのSUSからなる第2接続体2を第1接続体1に嵌め込んだ。
4.室温(23℃)になるまで放置した。
5.引っ張って接合力を確認した。
各実施例、比較例について、引張試験を行い、第2接続体2が第1接続体1から滑ってしまう荷重(引張応力)を測定した。
以上の結果を、各実施例、比較例について、D/dと併せて、下記表1に示す。
Figure 2018119657
表1に示した結果から以下のことが明らかである。
実施例1の接続構造体では、引張による接合部21での第2接続体2の変形量が小さく、負荷が約150MPa以下であれば、接合部21での接合力は引張力に抗して接続は維持される。約150MPaを超えると、第2接続体2が接続部21で超弾性変形して接合部21で滑り始めるため、接合力が低下する。
・ピン止め部で破断しなかった理由
ピン止め部では第2接続体2の面積が狭くなっているため、引張試験を行うと、そこから破断すると思われた。しかし、実施例2、3、4の接続構造体では、平行部(図1参照)でネッキング破断した。その理由は、ピン止め部周りは第1接続体1と第2接続体2が密着しており、引張力が第2接続体2のみではなく第1接続体1にも分担されるため、平行部よりもピン止め部の方が負荷応力が小さくなったためと思われる。
・ピン止めが効果があった理由
実施例2、3、4の接続構造体では、ピンで補強したことで、超弾性変形が抑えられ、第2接続体2の接続部21が縮径されることなく、内圧が保たれたため接合力が保持されたと思われる。
実施例4の接続構造体では、D/dが大きいために縮経加工時に塑性変形してしまい、低温から室温に戻したときの形状回復量が少ないために、第1接続体1と第2接続体2の密着力が実施例2、3と比較して、低下したと思われる。そのために引張応力が低いと思われる。
実際、第1接続体1と第2接続体2とをピン止めのみで接続した場合(比較例1)には、ピン止め部で破断した。
ねじ切りで接合した比較例2では、ねじの谷の部分が起点となり破断した。ねじにすることで径の小さい谷の部分に応力集中したために破断したと考えられる。形状記憶合金は形状回復効果があるため、転造ねじ加工ができずに切削ねじ加工しかできない。切削加工するためコストが高くなる。従って比較例2は、各実施例と比較してコストが高く、特に、実施例2、3と比較して引張応力が低い。
ここで、「転造」とは、型を押し付けて回転させることで、棒(例えば、第2接続体)を押して延ばすことにより、ねじ等の形状に塑性加工する加工である。
比較例3は、第1接続体(1)をCu−Al−Mn系形状記憶合金製とし、且つ、第2接続体(2)をSUS製として試験した結果であり、実施例とは管(第1接続体)と棒(第2接続体)の材質が逆である。この場合、SUSからなる第2接続体(2)を引っ張るとSUSの降伏応力は400〜500MPaとCu−Al−Mn系形状記憶合金より高いため、130MPaを超えると第1接続体(1)が接続部で超弾性変形して接合部で滑り始めるため、接合力(引張応力)が低下する。
10 本発明の一実施態様の接続構造体
1 第1接続体
11 挿通部
2 第2接続体
21 接続部
3 ピン用の穴
4 ピン
20 鉄棒

Claims (7)

  1. 挿通部を有する第1接続体と、
    前記挿通部の内面に対する復元状態で圧接可能な接続部を有し、形状記憶合金からなる第2接続体と、
    を備えてなることを特徴とする接続構造体。
  2. 前記接続部は凹部又は貫通孔を有してなり、
    前記第1接続体を貫通し前記凹部又は貫通孔に陥入される係止部材を備える請求項1に記載の接続構造体。
  3. 前記挿通部の内面に第1嵌合部を有してなり、
    前記接続部は、前記第1嵌合部に対応する第2嵌合部を有する請求項1に記載の接続構造体。
  4. 前記形状記憶合金がCu−Al−Mn系合金である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接続構造体。
  5. 前記第2接続体は、3.0〜10.0質量%のAl、及び5.0〜20.0質量%のMnを含有し、残部Cuと不可避的不純物からなる組成を有し、かつ任意の副添加元素として、Ni、Co、Fe、Ti、V、Cr、Si、Nb、Mo、W、Sn、Mg、P、Be、Sb、Cd、As、Zr、Zn、B、C、Ag及びミッシュメタルからなる群より選ばれた1種または2種以上を含有することができ、これらの任意の副添加元素の含有量は合計で0.000〜10.000質量%で形成されたCu−Al−Mn系形状記憶合金からなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接続構造体。
  6. 第1接続体と第2接続体とを接続する接続構造体の製造方法であって、
    形状記憶合金からなり、前記第1接続体に形成される挿通部の内径より大きい外径の接続部を有する前記第2接続体をMf点以下に冷却する工程と、
    前記接続部の外径を前記挿通部の内径より小さく縮径加工する工程と、
    前記接続部を前記第1接続体に嵌め込み、Af点以上に加温する工程と、
    を備えることを特徴とする接続構造体の製造方法。
  7. 円筒状からなる前記接続部の外径をD、管形状からなる前記挿通部の内径をdとしたとき、D/dが1.01〜1.08である請求項6項に記載の接続構造体の製造方法。

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