JP2018118991A - インフルエンザの中和のための薬剤 - Google Patents

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Raguram S
ラグラム エス.
サシセカラン ビスワナサン
Sasisekharan Viswanathan
サシセカラン ビスワナサン
サンダララジャン ベンカタラマナン
Soundararajan Venkataramanan
サンダララジャン ベンカタラマナン
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Ram Sasisekharan
サシセカラン ラム
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スブラマニアン ビジャ
サラカラマン カナン
Tharakaraman Kannan
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Abstract

【課題】複数のインフルエンザ株に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体など)を提供すること。
【解決手段】
具体的には、本発明は、インフルエンザ血球凝集素(HA)に結合する結合剤を提供する。特に、本発明は、インフルエンザHAに結合するある特定の抗体を提供する。いくつかの実施形態では、このような抗体は、グループ1ウイルス、グループ2ウイルスまたはいくつかの実施形態ではその両方由来の特定のHAエピトープおよび/またはHAに結合することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年5月10日に出願された米国特許仮出願第61/645,453
号における米国特許法§119(e)の下で利益を請求し、その内容は、全体が参照によ
って本開示に援用される。
(政府支援)
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与された助成金R37 GM05073によ
る国庫補助によってなされた。政府は本発明における特定の権利を有する。
(配列表)
本明細書は、(2013年3月14日に「Sequence Listing.txt
」という名称の.txtファイルとして電子的に提出した)配列表を参照する。この.t
xtファイルは2013年3月11日に作成したものであり、サイズが39.3kbであ
る。この配列表の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の背景)
インフルエンザウイルスは、年間300,000を超える死亡の原因である世界的な健
康の脅威である。このウイルスは、加速的な抗原連続変異、ドメイン再集合、遺伝子組換
え、およびその表面糖タンパク質のグリコシル化ベースのマスキングの組み合わせを行う
ことによって免疫認識から逃れる。このウイルスのこの急速な突然変異能は、現在のH1
N1「ブタインフルエンザ」パンデミックによる脅威の増大、ならびに高病原性トリH5
N1「トリインフルエンザ」インフルエンザ株による最近の感染症についての憂慮すべき
世界的急増という状況で特に深刻になっている(Khannaら、Journal of
Biosciences,.33(4):475,2008,Soundararaj
anら、Nature Biotechnology 27:510,2009)。さら
に、前世紀における2つの主要なインフルエンザパンデミックは、ヒト感染を可能にする
ようにその遺伝的性質を変化させたトリインフルエンザウイルスから生じた。
有効な抗インフルエンザ予防薬および治療薬を開発する必要がある。さらに、これらの
インフルエンザウイルスの進化の高度な予測不可能性を考慮すると、株間で有効な(例え
ば、「ユニバーサル」または「広域スペクトル」)抗インフルエンザ予防薬および治療薬
を開発する必要が特にある。このような有効な抗インフルエンザ剤、特にこのようなユニ
バーサルまたは広域スペクトル抗インフルエンザ剤は、流通している特定の「季節性」ウ
イルス株を標的とするように設計されたワクチンを代替または増強し得る(Ekiert
ら、Science,324(5924):246,2009およびSuiら、Nat
Struct Mol Biol.16(3):265,2009)。あるいはまたは加
えて、現在の抗ウイルス治療を代替または増強し得る有効な抗インフルエンザ予防薬また
は治療剤を開発する必要がある。このような薬剤の重要性は、現在の抗ウイルス剤タミフ
ル/リレンザ(NA阻害剤)およびアマンタジン/リマンタジン(MP−2阻害剤)に対
する新たな薬物耐性によって強調される(Collinsら、Nature 453:1
258,Stoufferら、Nature,451:596,2008,Pielak
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,106:7379,2009)。
例えば、2011年/2012年のインフルエンザの季節におけるH1N1株の98%超
、および100%が、それぞれ、タミフルおよびアダマンタン誘導体(アマンタジン/リ
マンタジン)に対して耐性である。
Khannaら、Journal of Biosciences,.33(4):475,2008 Soundararajanら、Nature Biotechnology 27:510,2009 Ekiertら、Science,324(5924):246,2009 Suiら、Nat Struct Mol Biol.16(3):265,2009 Collinsら、Nature 453:1258,Stoufferら、Nature,451:596,2008 Pielakら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,106:7379,2009
(概要)
本発明は、新たなインフルエンザ結合剤を提供する。とりわけ、本発明は、複数のイン
フルエンザ株に結合するインフルエンザ結合剤を提供する。具体的には、本発明は、イン
フルエンザ血球凝集素(HA)に結合する結合剤を提供する。特に、本発明は、インフル
エンザHAに結合するある特定の抗体を提供する。いくつかの実施形態では、このような
抗体は、グループ1ウイルス、グループ2ウイルスまたはいくつかの実施形態ではその両
方由来の特定のHAエピトープおよび/またはHAに結合することを特徴とする。いくつ
かの実施形態では、提供される抗体は、サブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6
、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16および
それらの組み合わせのHAポリペプチドからなる群より選択されるHAに結合する。いく
つかの実施形態では、提供される抗体は、グループ1ウイルス、グループ2ウイルスまた
はいくつかの実施形態ではその両方による感染を中和する能力を特徴とする。いくつかの
このような実施形態では、このような提供される抗体は、本明細書に記載および/または
例示される範囲内の中和IC50(ug/ml)を示す。いくつかの実施形態では、この
ような提供される抗体は、下限が約0.1ug/mlであり、上限が約10ug/mlで
ある中和IC50(ug/ml)を示す。いくつかの実施形態では、このような提供され
る抗体は、下限が0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7
、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7
、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0ug/m
lまたはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下限よりも高く、1.5、1.6
、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0
、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.
0ug/mlまたはそれ以上からなる群より選択される中和IC50(ug/ml)を示
す。
いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は、2000nM未満、1500
nM未満、1000nM未満、500nM未満、250nM未満、225nM未満、20
0nM未満、175nM未満、150nM未満、125nM未満、100nM未満、75
nM未満または50nM未満のK(nM)で、インフルエンザHA(例えば、グループ
1および/またはグループ2サブタイプ)に対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は、下限が約0.01×10
−1−1であり、上限が約1.0×10−1−1であるK(M−1−1)で
、インフルエンザHAに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.0
1×10、0.02×10、0.04×10、0.04×10、0.08×10
、0.1×10、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×10
、1.0×10、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×10
、2.0×10−1−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下
限よりも高く、1.0×10、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3
.0×10、3.5×10、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6
.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8
.5×10、9.0×10、9.5×10、1.0×10、1.1×10、1
.2×10、1.3×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1
.7×10、1.8×10、1.9×10−1−1またはそれ以上からなる群
より選択されるK(M−1−1)で、インフルエンザHAに対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は、下限が約0.01×10
−1であり、上限が約1.0×10−1であるK(s−1)で、インフルエンザH
Aに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.01×10、0.0
2×10、0.04×10、0.04×10、0.08×10、0.1×10
、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×10、1.0×10
、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×10、2.0×10
−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下限よりも高く、1.0×1
、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3.0×10、3.5×1
、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×1
、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×1
、9.5×10、1.0×10、1.1×10、1.2×10、1.3×1
、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.7×10、1.8×1
、1.9×10−1またはそれ以上からなる群より選択されるK(s−1)で
、インフルエンザHAに対する結合を示す。
本発明はまた、特定の機能的属性(例えば、HA結合、中和、サブタイプ特異性など)
を付与するある特定の提供される抗体の構造的特徴を定義する。したがって、本発明は、
このような構造的特徴を共有する結合剤を提供し、したがっていくつかの実施形態では、
これらの提供される抗体の機能的属性も提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本
発明は、本明細書の表2および/または3に記載されているアミノ酸配列を有するある特
定の提供される抗体の1つまたは複数の構造的特徴および機能的属性を共有する結合剤を
提供する。
いくつかの実施形態では、このようなある特定の提供される抗体のこのような構造的特
徴は、表2および3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜60)と配列が少なくと
も80%同一の1つまたは複数のCDRまたは1つまたは複数のFRを含む。いくつかの
実施形態では、このようなある特定の提供される抗体のこのような構造的特徴は、表2お
よび3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜60)と配列が同一の1つまたは複数
のCDRおよび/または1つまたは複数のFRを含む。いくつかの実施形態では、このよ
うなある特定の提供される抗体のこのような構造的特徴は、表2および3に記載されてい
るもの(配列番号1〜60)と配列が同一のCDRおよびFRを含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照CDRまたはFR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ
酸置換を含む以外はその参照配列要素とそれぞれ同一のCDRおよびFR配列要素であっ
て、表2および3の対応するCDRおよびFR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較
して18個以下、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、
9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個の置換をCDRおよびFR
配列に共に含有するCDRおよびFR配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このよ
うな構造的特徴は、表2および3の対応するCDRおよびFR参照配列要素(配列番号1
〜60)と比較して18個以下の置換を共に含有するCDRおよびFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の対応するCDRおよ
びFR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較して15個以下の置換を共に含有するC
DRおよびFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照FR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のFR配列要素であって、表2および3の対応するFR参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をFR配列に含有するFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照CDR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含
む以外はその参照配列要素と同一のCDR配列要素であって、表2および3の対応するC
DR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個
、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3
個、2個または1個の置換をCDR配列に含有するCDR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照VH配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のVH配列要素であって、表2および3の対応するVH参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をCDR配列に含有するVH配列要素を含む。いくつかの実施形態で
は、このような構造的特徴は、表2および3の対応するVH参照配列要素(配列番号1〜
60)と比較して、VH−1、VH−2、VH−3、VH−4、VH−5、VH−6、V
H−7、VH−8、VH−9、VH−10、VH−11、VH−12、VH−13、VH
−14、VH−15、VH−16またはそれらの断片のいずれか1つに対応する構造要素
を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照VL配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のVL配列要素であって、表2および3の対応するVH参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をCDR配列に含有するVL配列要素を含む。いくつかの実施形態で
は、このような構造的特徴は、表2および3の対応するVL参照配列要素(配列番号1〜
60)と比較して、VL−1、VL−2、VL−3、VL−4、VL−5、VL−6、V
L−7、VL−8、VL−9、VL−10、VL−11またはそれらの断片のいずれか1
つに対応する構造要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、VH−1、VH−2、VH−3、
VH−4、VH−5、VH−6、VH−7、VH−8、VH−9、VH−10、VH−1
1、VH−12、VH−13、VH−14、VH−15、VH−16またはそれらの断片
のいずれか1つとVL−1、VL−2、VL−3、VL−4、VL−5、VL−6、VL
−7、VL−8、VL−9、VL−10、VL−11またはそれらの断片のいずれか1つ
とが結合したものに対応する構造要素を含む。いくつかの実施形態では、VH−1(配列
番号1)は、VL−1(配列番号33)と結合している。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)1配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)2配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)3配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2の参照VHフレームワーク領
域配列要素(配列番号1〜16)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%超
、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを示すVHフレームワーク領域
配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表3の参照VLフレームワーク領
域配列要素(配列番号33〜43)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%
超、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを示すVLフレームワーク領
域配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、結合剤であって、提供される結合剤が、グループ
1サブタイプ、グループ2サブタイプおよびそれらの組み合わせからなる群より選択され
るインフルエンザHAに結合する機能的属性をある特定の提供される抗体と共有するよう
に、このようなある特定の提供される抗体のこのような構造的特徴を含む結合剤を提供す
る。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、特定の提供される抗体について本明細
書に記載される範囲内のインフルエンザ中和IC50(ug/ml)を示す。いくつかの
実施形態では、提供される結合剤は、グループ1サブタイプ、グループ2サブタイプまた
はその両方のインフルエンザウイルスに対してこのようなIC50(ug/ml)を示す
。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、本明細書に記載および/または例示さ
れる範囲内のインフルエンザ中和IC50(ug/ml)の機能的属性を特徴とする。い
くつかの実施形態では、このような提供される結合剤は、下限が約0.1ug/mlであ
り、上限が約10ug/mlである中和IC50(ug/ml)を示す。いくつかの実施
形態では、このような提供される結合剤は、下限が0.05、0.1、0.2、0.3、
0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、
1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、
4.0、4.5、5.0ug/mlまたはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記
下限よりも高く、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、
3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、
8.5、9.0、9.5、10.0ug/mlまたはそれ以上からなる群より選択される
中和IC50(ug/ml)を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される結合剤は、2000nM未満、150
0nM未満、1000nM未満、500nM未満、250nM未満、225nM未満、2
00nM未満、175nM未満、150nM未満、125nM未満、100nM未満、7
5nM未満または50nM未満のK(nM)で、インフルエンザHA(例えば、グルー
プ1および/またはグループ2サブタイプ)に対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される結合剤は、下限が約0.01×10
−1−1であり、上限が約1.0×10−1−1であるK(M−1−1
で、インフルエンザHAに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.
01×10、0.02×10、0.04×10、0.04×10、0.08×1
、0.1×10、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×1
、1.0×10、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×1
、2.0×10−1−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記
下限よりも高く、1.0×10、1.5×10、2.0×10、2.5×10
3.0×10、3.5×10、4.5×10、5.0×10、5.5×10
6.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10
8.5×10、9.0×10、9.5×10、1.0×10、1.1×10
1.2×10、1.3×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10
1.7×10、1.8×10、1.9×10−1−1またはそれ以上からなる
群より選択されるK(M−1−1)で、インフルエンザHAに対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される結合剤は、下限が約0.01×10
−1であり、上限が約1.0×10−1であるK(s−1)で、インフルエンザ
HAに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.01×10、0.
02×10、0.04×10、0.04×10、0.08×10、0.1×10
、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×10、1.0×10
、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×10、2.0×10
−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下限よりも高く、1.0×
10、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3.0×10、3.5×
10、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×
10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×
10、9.5×10、1.0×10、1.1×10、1.2×10、1.3×
10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.7×10、1.8×
10、1.9×10−1またはそれ以上からなる群より選択されるK(s−1
で、インフルエンザHAに対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、結合剤であって、提供される結合剤が、少なくと
も1つのHAポリペプチドに対する結合について、表2および3に列挙されている抗体(
配列番号1〜60)の1つまたは複数と競合する機能的属性をある特定の提供される抗体
と共有するように、このようなある特定の提供される抗体のこのような構造的特徴を含む
結合剤を提供する。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、少なくとも2つの異
なるHAサブタイプ遺伝子型に見られるHAポリペプチドタンパク質を含む複数の異なる
HAポリペプチドに対する結合について、表2および3に列挙されている抗体(配列番号
1〜60)の1つまたは複数と競合するこのような構造的特徴を含む。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、サブタイプH1、H2、H3、H4、
H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15およ
び/またはH16のHAポリペプチドの1つまたは複数に結合する機能的属性を特徴とす
る。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、サブタイプH1、H3、H5、H7
およびH9の少なくとも2つのHAポリペプチドに結合する。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、HAポリペプチドのMPER領域にお
ける1つまたは複数のエピトープに結合する機能的属性を特徴とする。いくつかの実施形
態では、提供される結合剤は、そのグリコシル化にかかわらず、HAポリペプチドのMP
ER領域における1つまたは複数のエピトープに結合する機能的属性を特徴とする。いく
つかの実施形態では、提供される結合剤は、HAポリペプチドのHA−1(ヘッド)およ
び/またはHA−2(ストーク)ドメインにおける1つまたは複数のエピトープに結合す
る機能的属性を特徴とする。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、HA−1/
HA−2インターフェイスの膜近位エピトープ領域(MPER)内に位置する1つまたは
複数のエピトープに結合する機能的属性を特徴とする。いくつかの実施形態では、提供さ
れる結合剤は、基準α−ヘリックスおよび/またはその周辺の残基内に位置する1つまた
は複数のエピトープに結合する機能的属性を特徴とする。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ポリペプチドであるか、またはこれを
含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、抗体もしくはその断片であるか、
またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、モノクローナル抗体
もしくはその断片であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、天
然に生産された抗体で生じるように、ジスルフィド結合によって場合により会合した2本
の重鎖および2本の軽鎖を含有する「全長」抗体であるか、またはこれを含む。いくつか
の実施形態では、結合剤は、全長抗体に見られる配列の全部ではなく一部を含有する全長
抗体の断片であるか、またはこれを含む。例えば、いくつかの実施形態では、結合剤は、
限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFvダイア
ボディおよびFd断片を含む抗体断片であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態
では、提供される結合剤は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEまたはそれらの断
片からなる群より選択される抗体クラスのメンバーである抗体であるか、またはこれを含
む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、化学合成によって生産される抗体で
あるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、細胞によっ
て産生される抗体であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結
合剤は、ヒト定常および/または可変領域ドメインを有する、例えばマウス、ラット、ウ
マ、ブタまたは他の種由来のキメラ抗体であるか、またはこれを含む。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、抗体のCDRを有するポリペプチドで
あるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、1つまたは
複数のCDRを提示するのに使用される足場ドメイン、例えばプロテインA、リポクリン
、アンキリン(ankryin)コンセンサスリピートドメイン、チオレドキシン、アド
ネクチン、アンチカリン、セントリン(centyrin)、アビマードメイン、ユビキ
チン、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質(ZEP)またはIgNARであるか、ま
たはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、シスチンノットミニタ
ンパク質であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、
アヴィボディ(ダイアボディ、トリボディ、テトラボディ)であるか、またはこれを含む
。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、スコーピオン構造が免疫グロブリンF
cドメインによって分離した2つの結合部分を含むスコーピオン(Scopion)であ
るか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、重鎖のみを含
むVHH(すなわち、抗原特異的VHH)抗体であるか、またはこれを含む。いくつかの
実施形態では、VHHは、ラマまたは他のラクダ抗体(例えば、ラクダIgG2もしくは
IgG3、またはこのようなラクダIg由来のCDR提示フレーム)に由来する。いくつ
かの実施形態では、このようなVHHは、サメに由来する。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ヒンジ領域によってsFvから分離し
たオリゴマー化ドメインをそのC末端に含むsFvポリペプチド鎖である1つまたは複数
の「ミニ抗体」または「ミニボディ」であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態
では、ヒンジ領域は自己会合α−ヘリックスまたはロイシンジッパーを含み、これは、さ
らなるジスルフィド結合によってさらに安定化されていてもよいし、または安定化されて
いなくてもよい。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ペプチド模倣体である
か、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ミモトープ(m
imeotope)であるか、またはこれを含む。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、(結合剤またはその機能的部分を含む
か、またはこれからなる)結合剤部分とコンジュゲート部分とのコンジュゲートであるか
、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、このようなコンジュゲート部分は、実体
である。いくつかの実施形態では、このような実体は、ポリペプチド、炭水化物、脂質、
有機低分子、有機ポリマー、無機ポリマー、金属、イオン、同位体またはそれらの組み合
わせからなる群より選択される化学クラスである。いくつかの実施形態では、このような
コンジュゲート部分は、治療もしくは診断ペイロードであるか、またはこれを含む。いく
つかの実施形態では、このようなコンジュゲート部分は、検出可能なペイロードであるか
、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、このようなコンジュゲート部分は、検出
可能な実体であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、このようなコンジュ
ゲート部分は、親和剤であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、このよう
なコンジュゲート部分は、標的化剤であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態で
は、このようなコンジュゲート部分は、マスキング剤および/もしくは安定化剤であるか
、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供されるコンジュゲートは、単一の結
合剤部分および複数のコンジュゲート部分を含む;いくつかの実施形態では、このような
複数のコンジュゲート部分は、複数の同じコンジュゲート部分を含む;いくつかの実施形
態では、このような複数のコンジュゲート部分は、場合により異なる種類(例えば、治療
ペイロード、検出可能なペイロード、標的化剤、親和剤など)の2つ以上の異なるコンジ
ュゲート部分を含む。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、核酸、例えばDNAもしくはRNAで
あるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、血球凝集素(HA)ポリ
ペプチド内のエピトープを模倣するように設計されている。いくつかの実施形態では、核
酸は、1つまたは複数のインフルエンザHAポリペプチドサブタイプ内の保存されたエピ
トープを模倣するように設計されている。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は
、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(oligonuclotides)であるか、
またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、二次構造、例えばル
ープ、ヘアピン、フォールドまたはそれらの組み合わせを含む1つまたは複数のオリゴヌ
クレオチド(oligonuclotides)であるか、またはこれを含む。いくつか
の実施形態では、提供される結合剤は、より高次の(三次または四次)構造を含む1つま
たは複数のオリゴヌクレオチド(oligonuclotides)であるか、またはこ
れを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、アプタマーであるか、または
これを含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される結合剤を発現する細胞また
は細胞株を提供する。いくつかの実施形態では、このような細胞または細胞株は、哺乳動
物細胞または細胞株である。ある特定の実施形態では、このような細胞または細胞株は、
ハイブリドーマである。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者を処置する方法であって、インフルエンザ感
染症の1つまたは複数の徴候もしくは効果の発生率および/もしくは重症度の軽減ならび
に/またはこれらの発症の遅延と相関する計画にしたがって送達するのに適切な単位剤形
の本明細書に記載される結合剤を含む組成物を、インフルエンザ感染症を患っているかま
たはこれにかかりやすい患者に投与する工程を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、1つまたは複数の容器を含むセットにおいて、投
与デバイスによる投与のために製剤化された少なくとも1つの本明細書に記載される結合
剤をこのような投与デバイスと共に含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、適
切な投与デバイスは、注射器、注射針、塗布器およびそれらの組み合わせからなる群より
選択される。いくつかの実施形態では、提供されるキットは、使用説明書を含む。
提供される結合剤、組成物および方法は、例えば、調査および/または医学に有用であ
る。いくつかの実施形態では、提供される結合剤、組成物および方法は、例えば、インフ
ルエンザの予防、処置、診断および/または研究に有用である。例えば、いくつかの実施
形態(embodients)では、提供される結合剤または組成物を、インフルエンザ
感染症を患っているかまたはこれにかかりやすい被験体に投与する。いくつかの実施形態
では、インフルエンザまたは特定のインフルエンザサブタイプもしくは株に対する既知曝
露前に、提供される結合剤または組成物を投与する。いくつかの実施形態では、インフル
エンザまたは特定のインフルエンザサブタイプもしくは株に対する既知曝露後に、提供さ
れる結合剤を投与する。いくつかの実施形態では、インフルエンザ感染症の効果もしくは
症候またはインフルエンザ感染症(1つまたは複数の特定のインフルエンザサブタイプま
たは株によるインフルエンザ感染症を含む)の1つまたは複数の特定の効果もしくは症候
の徴候前に、提供される結合剤または組成物を投与する。いくつかの実施形態では、イン
フルエンザ感染症の効果もしくは症候またはインフルエンザ感染症(1つまたは複数の特
定のインフルエンザサブタイプまたは株によるインフルエンザ感染症を含む)の1つまた
は複数の特定の効果もしくは症候の徴候の前に、提供されるbd結合剤(bdbindi
ng agents)または組成物を投与する。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤または組成物を、1つまたは複数の他の抗
インフルエンザ治療および/またはインフルエンザ感染症の症候(例えば、炎症、発熱、
吐き気、体重減少、食欲不振、呼吸促迫、心拍数の増加、高血圧、体の痛み、筋肉痛、眼
痛、疲労、倦怠、乾性咳、鼻水および/または咽頭痛)に対する効果のための1つまたは
複数の他の治療と組み合わせて被験体に投与する。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
複数の異なる血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する結合について、表2および3に列挙されている抗体(配列番号1〜60)の1つまたは複数と競合する抗体であって、該複数の異なるHAポリペプチドが、少なくとも2つの異なるHAサブタイプに見られるHAポリペプチドタンパク質を含む、抗体。
(項目2)
表2および3の対応する相補性決定領域(CDR)またはフレームワーク領域(FR)(配列番号1〜60)と配列が同一の1つまたは複数のCDRまたは1つまたは複数のFRを含む、項目1に記載の抗体。
(項目3)
表2および3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜60)と配列が少なくとも80%同一の1つまたは複数のCDRまたは1つまたは複数のFRを含む、抗体。
(項目4)
表2および3の対応するCDRおよびFR配列(配列番号1〜60)と比較して18個以下の置換を共に含有するCDRおよびFR配列を含む、抗体。
(項目5)
表2および3の対応するCDRおよびFR配列(配列番号1〜60)と比較して15個以下の置換を共に含有するCDRおよびFR配列を含む、抗体。
(項目6)
表2および3のCDR1領域(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも65%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の同一性を示す相補性決定領域(CDR)1を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目7)
表2および3のCDR1領域(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少なくとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目8)
表2および3のCDR1領域(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目9)
表2および3のCDR1領域(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)1を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目10)
表2および3のCDR2領域(配列番号19〜20および/または配列番号55〜58)と少なくとも65%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の同一性を示す相補性決定領域(CDR)2を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目11)
表2および3のCDR2領域(配列番号19〜20および/または配列番号55〜58)と比較して少なくとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目12)
表2および3のCDR2領域(配列番号19〜20および/または配列番号55〜58)と比較して2個未満のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目13)
表2および3のCDR2領域(配列番号19〜20および/または配列番号55〜58)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)2を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目14)
表2および3のCDR3領域(配列番号21〜32および/または配列番号59〜60)と少なくとも65%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の同一性を示す相補性決定領域(CDR)3を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目15)
表2および3のCDR3領域(配列番号21〜32および/または配列番号59〜60)と比較して少なくとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目16)
表2および3のCDR3領域(配列番号21〜32および/または配列番号59〜60)と比較して2個未満のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目17)
表2および3のCDR3領域(配列番号21〜32および/または配列番号59〜60)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)3を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目18)
表2のVHフレームワーク領域(配列番号1〜16)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを共有するVHフレームワーク領域を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目19)
表3のVLフレームワーク領域(配列番号33〜43)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを共有する本発明のVLフレームワーク領域を含む、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目20)
グループ1サブタイプ、グループ2サブタイプおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるインフルエンザHAに対する結合を示す、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目21)
グループ1サブタイプ、グループ2サブタイプおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるインフルエンザHAの中和IC50(ug/ml)を示す、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目22)
H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるサブタイプの少なくとも1つのHAポリペプチドに結合する、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目23)
H1、H3、H5、H7、H9およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるサブタイプのHAポリペプチドの少なくとも2つに結合する、項目22に記載の抗体。
(項目24)
IgGである、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目25)
モノクローナル抗体である、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目26)
ヒト抗体、マウス抗体、ウサギ抗体およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目27)
ヒト抗体である、前記項目のいずれか一項に記載の抗体。
(項目28)
VH−1、VH−2、VH−3、VH−4、VH−5、VH−6、VH−7、VH−8、VH−9、VH−10、VH−11、VH−12、VH−13、VH−14、VH−15、VH−16またはそれらの断片のいずれか1つとVL−1、VL−2、VL−3、VL−4、VL−5、VL−6、VL−7、VL−8、VL−9、VL−10、VL−11またはそれらの断片のいずれか1つとが結合したものを含む、抗体。
(項目29)
VH−1(配列番号1)とVL−1(配列番号33)とが結合したものを有する、項目28に記載の抗体。
(項目30)
結合剤であって、該結合剤が、グループ1サブタイプ、グループ2サブタイプおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるインフルエンザウイルスに対してIC50(ug/ml)を示すように、該結合剤の構造が項目1〜29のいずれか一項に記載の抗体の1つまたは複数の特徴を含む、結合剤。
(項目31)
結合剤であって、該結合剤が、2000nM未満、1500nM未満、1000nM未満、500nM未満、250nM未満、225nM未満、200nM未満、175nM未満、150nM未満、125nM未満、100nM未満、75nM未満または50nM未満のKでインフルエンザHAに対する結合を示すように、該結合剤の構造が項目1〜29のいずれか一項に記載の抗体の1つまたは複数の特徴を含む、結合剤。
(項目32)
結合剤であって、該結合剤が、下限が約0.01×10−1−1であり、上限が約1.0×10−1−1であるKでインフルエンザHAに対する結合を示すように、該結合剤の構造が項目1〜29のいずれか一項に記載の抗体の1つまたは複数の特徴を含む、結合剤。
(項目33)
結合剤であって、該結合剤が、下限が約0.01×10−1であり、上限が約1.0×10−1であるKで結合を示すように、該結合剤の構造が項目1〜29のいずれか一項に記載の抗体の1つまたは複数の特徴を含む、結合剤。
(項目34)
ポリペプチドを含む、項目30〜33のいずれか一項に記載の結合剤。
(項目35)
前記ポリペプチドが、ペグ化された少なくとも1つのアミノ酸を含む、項目34に記載のポリペプチド。
(項目36)
前記ポリペプチドが、グリコシル化された少なくとも1つのアミノ酸を含む、項目34に記載のポリペプチド。
(項目37)
前記ポリペプチドが抗体を含む、項目34に記載のポリペプチド。
(項目38)
前記抗体が抗体断片を含む、項目37に記載の抗体。
(項目39)
アルブミン、キトサン、ヘパリン、パクリタキセル、ポリ−(L−グルタミン酸)、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、ポリ−(L−ラクチド)(PLA)、ポリ(アミドアミン)(PAMAM)、葉酸およびそれらの組み合わせからなる群より選択される天然ポリマーにコンジュゲートされている、項目37に記載の抗体。
(項目40)
ステープルペプチドを含む、項目30〜33のいずれか一項に記載の結合剤。
(項目41)
足場タンパク質を含む、項目30〜33のいずれか一項に記載の結合剤。
(項目42)
前記足場タンパク質が、フィブロネクチン、リポカリン、アンチカリン、タンパク質、チオレドキシンA、アンキリンリピート、アルマジロリピート、テトラトリコペプチドリピートおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目41に記載の足場タンパク質。
(項目43)
ミニ抗体を含む、項目30〜33のいずれか一項に記載の結合剤。
(項目44)
ペプチド模倣体を含む、項目30〜33のいずれか一項に記載の結合剤。
(項目45)
ミモトープを含む、項目30〜33のいずれか一項に記載の結合剤。
(項目46)
項目1〜29のいずれか一項に記載の抗体を発現する、細胞株。
(項目47)
哺乳動物細胞株である、項目46に記載の細胞株。
(項目48)
ハイブリドーマである、項目46に記載の細胞株。
(項目49)
項目1〜29のいずれか一項から選択される抗体;および;
薬学的に許容され得る賦形剤
を含む、医薬組成物。
(項目50)
項目1〜29のいずれか一項から選択される抗体によって認識されるエピトープを認識する結合剤;および;
薬学的に許容され得る賦形剤
を含む、医薬組成物。
(項目51)
項目1〜29のいずれか一項から選択される抗体の断片であって、全抗体の抗原結合活性を保持している断片;および
薬学的に許容され得る賦形剤
を含む、医薬組成物。
(項目52)
少なくとも1つのさらなる抗ウイルス剤をさらに含む、項目49〜51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目53)
被験体を処置する方法であって、治療有効量の項目1〜29、30〜45および49〜52のいずれか一項に記載の抗体、結合剤または医薬組成物を、インフルエンザ感染症を患っているかまたはこれにかかりやすい被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目54)
項目1〜29のいずれか一項に記載の少なくとも1つの抗体;
該少なくとも1つの抗体を被験体に投与するための注射器、注射針または塗布器;および使用説明書
を含む、キット。
(項目55)
項目30〜45のいずれか一項に記載の少なくとも1つの結合剤;
該少なくとも1つの抗体を被験体に投与するための注射器、注射針または塗布器;および使用説明書
を含む、キット。
合わせて図面を構成する下記の図は、限定ではなく単に例示目的のためのものである。
図1は、哺乳動物抗体の様々な部分、領域およびドメインの構造図を示す。
図2AおよびBは、例示的な抗体のHA結合親和性を示す。図1A(上のパネル)は、示されている特定の抗体が、差次的な結合親和性でグループ1およびグループ2サブタイプの両方のHAに結合することを実証しており、図1A(下のパネル)および図1Bは、この抗体がHAに特異的に結合することを示す。 図2AおよびBは、例示的な抗体のHA結合親和性を示す。図1A(上のパネル)は、示されている特定の抗体が、差次的な結合親和性でグループ1およびグループ2サブタイプの両方のHAに結合することを実証しており、図1A(下のパネル)および図1Bは、この抗体がHAに特異的に結合することを示す。
図3A〜Eは、様々な濃度にわたる例示的な抗体のHA結合親和性および動態を示す。特定の抗体は、差次的な結合親和性および動態でグループ1およびグループ2サブタイプの両方のHAに結合する。 図3A〜Eは、様々な濃度にわたる例示的な抗体のHA結合親和性および動態を示す。特定の抗体は、差次的な結合親和性および動態でグループ1およびグループ2サブタイプの両方のHAに結合する。 図3A〜Eは、様々な濃度にわたる例示的な抗体のHA結合親和性および動態を示す。特定の抗体は、差次的な結合親和性および動態でグループ1およびグループ2サブタイプの両方のHAに結合する。 図3A〜Eは、様々な濃度にわたる例示的な抗体のHA結合親和性および動態を示す。特定の抗体は、差次的な結合親和性および動態でグループ1およびグループ2サブタイプの両方のHAに結合する。 図3A〜Eは、様々な濃度にわたる例示的な抗体のHA結合親和性および動態を示す。特定の抗体は、差次的な結合親和性および動態でグループ1およびグループ2サブタイプの両方のHAに結合する。
図4は、例示的な抗体のHA結合親和性および中和を示す。特定の抗体は、6つの異なる用量について、PR8ウイルス(H1N1)インフルエンザウイルス誘導性プラーク産生を阻害する。
図5は、例示的な抗体とPR8とのプレインキュベーションがMDCK細胞における感染性に及ぼす効果を示す。感染後、様々な濃度の抗体を含む無ウイルス培地中でMDCK細胞を48時間成長させてから、ウイルスに対して特異的なプライマーを使用してリアルタイムPCRによってウイルス力価を定量して、IC50値を計算した。
図6は、H1N1負荷における、例示的な抗体で処置したマウスからのデータを示す。この負荷では、例示的な抗体で処置したマウスは、感染後の体重減少率が未処置対照と比較して低い。
図7は、マウスにおけるH1N1負荷からのデータを示す。分かるように、例示的な抗体は、マウスにおけるH1N1感染症の発症を、PBS対照で観察されたものと比較して遅延させる。例示的な抗体の存在下で観察された感染性(すなわち、感染症の症候の発症率)の減少は、抗ウイルス薬リバビリンで見られるものと同程度である。
図8は、H1N1負荷における、例示的な抗体で処置したマウスからのデータを示す。この負荷では、感染後に例示的な抗体で処置したマウスは、体重の回復を示す。
図9は、例示的な抗体で処置したマウスで観察された薬物動態プロファイルを示す。例示的な抗体で処置した後に血清試料を経時的に採取し、抗体濃度について評価した。
図10A〜Bは、例示的なVH(図10A)およびVL(図10B)配列のアラインメントを示す。それぞれの例示的な配列は、表2および/または3にも示されている。 図10A〜Bは、例示的なVH(図10A)およびVL(図10B)配列のアラインメントを示す。それぞれの例示的な配列は、表2および/または3にも示されている。
(定義)
親和性:当技術分野で公知であるように、「親和性」は、特定のリガンド(例えば、抗
体)のそのパートナー(例えば、エピトープ)に対する結合の堅固さの尺度である。親和
性は様々な方法で測定され得る。
アミノ酸:本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、その最も広い意味
で、ポリペプチド鎖に組み込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。い
くつかの実施形態では、アミノ酸は、一般構造HN−C(H)(R)−COOHを有す
る。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。いくつかの
実施形態では、アミノ酸は、合成アミノ酸であり、いくつかの実施形態では、アミノ酸は
、d−アミノ酸であり、いくつかの実施形態では、アミノ酸は、l−アミノ酸である。「
標準アミノ酸」は、天然に存在するペプチドに一般に見られる20種の標準l−アミノ酸
のいずれかを指す。「非標準アミノ酸」は、合成により調製されるか、または天然源から
得られるかに関係なく、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。本明細書で使用され
る場合、「合成アミノ酸」は、限定されないが、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)およ
び/または置換体を含む化学的に修飾されたアミノ酸を包含する。ペプチドにおけるカル
ボキシおよび/またはアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、それらの活性に有害な影響
を及ぼすことなく、メチル化、アミド化、アセチル化、基の保護および/またはペプチド
の循環半減期を変化させることができる他の化学基による置換により修飾することができ
る。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与してもよい。アミノ酸は、1つまたは複数の化
学成分(例えば、メチル基、酢酸基、アセチル基、リン酸基、ホルミル部分、イソプレノ
イド基、硫酸基、ポリエチレングリコール部分、脂質部分、炭水化物部分、ビオチン部分
など)との結合などの1つまたは複数の翻訳後修飾を含んでいてもよい。「アミノ酸」と
いう用語は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸および/またはペプチ
ドのアミノ酸残基を指し得る。遊離アミノ酸またはペプチドの残基を指すかは、該用語が
使用される文脈から明らかであろう。
動物:本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを
指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、いずれかの性別であり、任意の発生段階に
あるヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、任意の発生段階にある非ヒト動
物を指す。ある特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウ
ス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類の動物および/またはブ
タ)である。いくつかの実施形態では、動物としては、限定されないが、哺乳動物、鳥、
爬虫類、両生類、魚、昆虫および/または虫が挙げられる。ある特定の実施形態では、動
物は、インフルエンザによる感染にかかりやすい。いくつかの実施形態では、動物は、ト
ランスジェニック動物、遺伝子操作された動物および/またはクローンであり得る。
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、当技術分野で理解されてい
るように、免疫グロブリンの構造的特徴を有するポリペプチドを指す。哺乳動物細胞によ
って天然に産生される場合、免疫グロブリンは、図1に示されている構造を有する。典型
的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが公知である。各四量体は2
本の同一のポリペプチド鎖対から構成され、各対は、1本の「軽」鎖(約25kD)およ
び1本の「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与
する約100〜110アミノ酸またはそれ以上の可変領域を規定する。「可変軽鎖」(V
L)および「可変重鎖」(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖を指す
。各可変領域は、超可変(HV)およびフレームワーク(FR)領域にさらに細分化され
る。超可変領域は、β−シート構造を形成し、HV領域を所定の位置に保持する足場とし
て機能する4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR2およびFR4)によって
隔てられた相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)と称される3つの超可
変配列領域を含む。各重鎖および軽鎖のC末端は、軽鎖(CL)の場合には1つのドメイ
ンからなり、重鎖(CH1、CH2およびCH3)の場合には3つからなる定常領域を規
定する。多くの実施形態では、抗体は、そのアミノ酸配列が、相補性決定領域(CDR)
として当業者(those skilled in the are)によって認識され
ている1つまたは複数の構造要素を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、
抗体は、そのアミノ酸配列が、免疫グロブリン可変ドメインとして当業者によって認識さ
れている構造要素を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に
生産された抗体で生じるように、ジスルフィド結合によって場合により会合した2本の重
鎖および2本の軽鎖を含有する「全長」である。いくつかの実施形態では、抗体は、全長
抗体に見られる配列の全部ではなく一部を含有する全長抗体の断片である。例えば、いく
つかの実施形態では、抗体断片の例としては、限定されないが、Fab、Fab’、F(
ab’)2、scFv、Fv、dsFvダイアボディおよびFd断片が挙げられる。いく
つかの実施形態では、抗体は、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEからなる群
より選択される抗体クラスのメンバーである。いくつかの実施形態では、抗体は、化学合
成によって生産される。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
いくつかの実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では
、抗体は、細胞によって産生される。いくつかの実施形態では、抗体は、化学合成によっ
て生産される。いくつかの実施形態では、抗体は、哺乳動物に由来する。いくつかの実施
形態では、抗体は、限定されないが、マウス、ラット、ウマ、ブタまたはヤギなどの動物
に由来する。いくつかの実施形態では、抗体は、組換え細胞培養系を使用して生産される
。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト定常および/または可変領域ドメインを有する
、例えばマウス、ラット、ウマ、ブタまたは他の種由来のキメラ抗体である。いくつかの
実施形態では、抗体は、ヒトに由来する。いくつかの実施形態では、抗体は、ポリクロー
ナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。
おおよそ:本明細書で使用される場合、「おおよそ」または「約」という用語は、対象
の1つまたは複数の値に適用されるように、規定の基準値と似ている値を指す。ある特定
の実施形態では、「おおよそ」または「約」という用語は、特に断らない限り、または文
脈から別の方法で明らかではない限り(このような数が可能な値の100%を超える場合
を除く)、規定の基準値のプラスマイナス(より大きいまたはより小さい)25%、20
%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10
%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満の範囲内に
収まる値の範囲を指す。
結合剤:本明細書で使用される場合、「結合剤」という用語は、抗原または生物学的標
的に結合することができる作用物質を指す。いくつかの実施形態では、結合剤は、タンパ
ク質を含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、天然に存在するタンパク質であるか、
またはこれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、細胞またはウイルスに由来する
。いくつかの実施形態では、結合剤は、合成タンパク質または化学合成タンパク質である
。いくつかの実施形態では、結合剤は、天然アミノ酸から構成される。他の実施形態では
、結合剤は、1つまたは複数の非天然アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、結合剤
は、天然および非天然アミノ酸の組み合わせから構成される。いくつかの実施形態では、
結合剤は、共有結合または非共有結合した1本、2本またはそれ以上のポリペプチド鎖か
ら構成される。いくつかの実施形態では、結合剤は、結合剤が相互作用のためのその三次
元構造および配置を保持している限り、より長いポリペプチド鎖(またはその一部)に連
結されていてもよい。いくつかの実施形態では、結合剤は、別のポリペプチド(これは結
合剤であるか、または結合剤ではない)の配列のN末端またはC末端に付加されていても
よい。いくつかの実施形態では、結合剤が、別のポリペプチド(これは結合剤であるか、
または結合剤ではない)の配列に組み込まれており、それにより前記ポリペプチド配列が
2つ以上のセグメントに分離されていてもよい。
いくつかの実施形態では、結合剤は抗体と同様に機能するタンパク質であり、特定の抗
原に結合して複合体を形成し、生物学的反応を引き起こす(例えば、特定の生物学的活性
をアゴナイズまたはアンタゴナイズする)ことができる。いくつかの実施形態では、結合
剤は、抗体である。いくつかの実施形態では、結合剤は、天然に生産された抗体で生じる
ように、ジスルフィド結合によって場合により会合した2本の重鎖および2本の軽鎖を含
有する「全長」抗体であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、
全長抗体に見られる配列の全部ではなく一部を含有する全長抗体の断片であるか、または
これを含む。例えば、いくつかの実施形態では、結合剤は、限定されないが、Fab、F
ab’、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFvダイアボディおよびFd断片を含む
抗体断片であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、
重鎖のみを含むVHH(すなわち、抗原特異的VHH)抗体であるか、またはこれを含む
。いくつかの実施形態では、VHHは、ラマまたは他のラクダ抗体(例えば、ラクダIg
G2もしくはIgG3、またはこのようなラクダIg由来のCDR提示フレーム)に由来
する。いくつかの実施形態では、VHHは、サメに由来する。いくつかの実施形態では、
提供される結合剤は、ヒンジ領域によってsFvから分離したオリゴマー化ドメインをそ
のC末端に含むsFvポリペプチド鎖である1つまたは複数の「ミニ抗体」または「ミニ
ボディ」であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は自己会合
α−ヘリックスまたはロイシンジッパーを含み、これは、さらなるジスルフィド結合によ
ってさらに安定化されていてもよいし、または安定化されていなくてもよい。
いくつかの実施形態では、結合剤は、足場タンパク質、例えば限定されないが、プロテ
インA、リポクリン、アンキリン(ankryin)コンセンサスリピートドメイン、チ
オレドキシン、アドネクチン、アンチカリン、セントリン(centyrin)、アビマ
ードメイン、ユビキチン、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質(ZEP)またはIg
NARである。いくつかの実施形態では、結合剤は、1つまたは複数のCDRを提示する
ように操作された足場タンパク質である。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は
、シスチンノットミニタンパク質であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では
、提供される結合剤は、アヴィボディ(ダイアボディ、トリボディ、テトラボディ)であ
るか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、スコーピオン
構造が免疫グロブリンFcドメインによって分離した2つの結合部分を含むスコーピオン
であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ペプチド
模倣体であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ス
テープルペプチドであるか、またはこれを含む。
いくつかの実施形態では、結合剤は、選択された結合部位に結合することができる薬剤
を含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、血球凝集素(HA)ポリペプチドにおける
選択された結合部位に結合することができる。いくつかの具体的な実施形態では、結合剤
は、HAポリペプチドの膜近位エピトープ領域(MPER)における選択された結合部位
に結合することができる。いくつかの具体的な実施形態では、結合剤は、HAポリペプチ
ドのHA−1(ヘッド)および/またはHA−2(ストーク)ドメインにおける選択され
た結合部位に結合することができる。いくつかの具体的な実施形態では、結合剤は、HA
−1/HA−2インターフェイスの膜近位エピトープ領域(MPER)における選択され
た結合部位に結合することができる。
いくつかの実施形態では、結合剤は、1つまたは複数の標的残基との相互作用によって
結合標的と会合することができる薬剤である。いくつかの実施形態では、このような標的
残基は、アミノ酸、多糖またはそれらの組み合わせである。いくつかの具体的な実施形態
では、結合剤は、修飾されたHAポリペプチド、例えば限定されないが、N結合型グリカ
ン、シアル化グリカンおよび/またはそれらの組み合わせに結合することができる。
いくつかの実施形態では、結合剤は、インフルエンザウイルスとHAポリペプチドとの
間の結合が、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、
少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、
少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくと
も14倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも17倍、少なくとも18倍
、少なくとも19倍または少なくとも20倍減少するように、HAポリペプチドに対する
結合についてインフルエンザウイルスと競合することができる薬剤である。いくつかの実
施形態では、結合剤は、インフルエンザウイルスとHA受容体上のグリカンとの間の結合
が、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくと
も5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくと
も10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくとも14倍
、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも17倍、少なくとも18倍、少なく
とも19倍または少なくとも20倍減少するように、HA受容体上のグリカンに対する結
合についてインフルエンザウイルスと競合することができる薬剤である。
いくつかの実施形態では、結合剤は、核酸、例えばDNAもしくはRNAであるか、ま
たはこれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、1つまたは複数のオリゴヌクレオ
チド(oligonuclotides)を含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、
二次構造、例えばループ、ヘアピン、フォールドまたはそれらの組み合わせを含む1つま
たは複数のオリゴヌクレオチド(oligonuclotides)であるか、またはこ
れを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、より高次の(三次または四次)構造を含
む1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(oligonuclotides)であるか、
またはこれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、血球凝集素(HA)ポリペプチ
ド内に見られるエピトープを模倣するように設計された構造を形成する核酸である。いく
つかの実施形態では、結合剤は、1つまたは複数のインフルエンザHAポリペプチドサブ
タイプ内に見られる保存されたエピトープを模倣するように設計された構造を形成する核
酸である。いくつかの実施形態では、結合剤は、アプタマーであるか、またはこれを含む
生物学的に活性な:本明細書で使用される場合、「生物学的に活性な」という語句は、
生物系(例えば、細胞培養物、生物など)において活性を有する任意の物質の特徴を指す
。例えば、生物に投与される場合にその生物に対して生物学的効果を有する物質は、生物
学的に活性であるとみなされる。特定の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドが
生物学的に活性である場合、そのタンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つの生物
学的活性を共有するそのタンパク質またはポリペプチドの一部は、典型的には「生物学的
に活性な」部分と称される。
広域スペクトル:本明細書で使用される場合、「広域スペクトル」という語句は、異な
るインフルエンザウイルス株由来の様々なHAポリペプチドに結合する薬剤を指す。いく
つかの実施形態では、広域スペクトル薬剤は、複数の異なるHAポリペプチドに結合する
。例示的なこのようなHAポリペプチドとしては、H1、H2、H3、H4、H5、H6
、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、および/もし
くはH16ポリペプチド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態
では、提供される薬剤は、これらが、ウイルスの少なくとも2つの異なるクレードまたは
クラスタ由来のHAポリペプチドに結合するという点で広域スペクトルである。いくつか
の実施形態では、提供される薬剤は、これらが、ウイルスのすべての公知のクレード由来
のHAポリペプチドに結合するという点で広域スペクトルである。いくつかの実施形態で
は、提供される薬剤は、これらが、グループ1およびグループ2のインフルエンザウイル
ス由来のHAポリペプチドに結合するという点で広域スペクトルである。いくつかの実施
形態では、広域スペクトルは、特定の宿主、例えば、トリ、ラクダ、イヌ、ネコ、ジャコ
ウネコ、ウマ、ヒト、ヒョウ、ミンク、マウス、アザラシ、ストーンマーチン(ston
e martin)、ブタ、トラ、クジラなどの感染を媒介する一部または全部の種類の
HAポリペプチドに結合する薬剤を指す。
特徴的な部分:本明細書で使用される場合、物質の「特徴的な部分」という用語は、そ
の最も広い意味で、物質全体についてある程度の配列同一性または構造同一性を共有する
ものである。ある特定の実施形態では、特徴的な部分は、完全な物質と少なくとも1つの
機能的特徴を共有している。例えば、タンパク質またはポリペプチドの「特徴的な部分」
は、共にタンパク質またはポリペプチドに特徴的である連続的なアミノ酸ストレッチまた
は連続的なアミノ酸ストレッチの集合を含有するものである。いくつかの実施形態では、
それぞれのこのような連続的なストレッチは、一般に、少なくとも2個、5個、10個、
15個、20個、50個またはそれ以上のアミノ酸を含有する。一般に、物質(例えば、
タンパク質、抗体などの)の特徴的な部分は、上で明記した配列同一性および/または構
造同一性に加えて、関連する完全な物質と少なくとも1つの機能的特徴を共有するもので
ある。いくつかの実施形態では、特徴的な部分は、生物学的に活性であり得る。
特徴的な配列:「特徴的な配列」は、ポリペプチドまたは核酸のファミリーのすべての
メンバーに見られる配列であって、それ故に当業者がそのファミリーのメンバーを定義す
るのに使用することができる配列である。
併用療法:「併用療法」という用語は、本明細書で使用される場合、被験体が両薬剤に
同時に曝露されるように、2つ以上の異なる薬剤を重複計画で投与する状況を指す。
剤形:本明細書で使用される場合、「剤形」および「単位剤形」という用語は、処置さ
れるべき患者のための治療用タンパク質(例えば、抗体)の物理的に別個の単位を指す。
各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含有する。しか
しながら、組成物の総投与量は、健全な医学的判断の範囲内で、担当医により決定される
と理解されよう。
投与計画:「投与計画」(または「治療計画」)は、その用語が本明細書で使用される
場合、典型的にはある期間で区切って被験体に個々に投与される一連の単位用量(典型的
には1回より多い)である。いくつかの実施形態では、所定の治療剤は、1つまたは複数
の用量を含み得る推奨投与計画を有する。いくつかの実施形態では、投与計画は、それぞ
れが同じ長さのある期間で互いに区切られた複数の用量を含む;いくつかの実施形態では
、投与計画は、複数の用量と、個々の用量を区切る少なくとも2つの異なる期間とを含む
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、以下の事象の1つまたは複
数を指す。(1)DNA配列からのRNA鋳型の生成(例えば、転写による);(2)R
NA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、エディティング、5’キャップ
形成および/または3’末端形成による);(3)RNAのポリペプチドもしくはタンパ
ク質への翻訳;および/または(4)ポリペプチドもしくはタンパク質の翻訳後修飾。
機能的:本明細書で使用される場合、「機能的」生物学的分子は、それが特徴とする特
性および/または活性を示す形態にある生物学的分子である。
遺伝子:本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、当技術分野で理解され
ているその意味を有する。当業者であれば、「遺伝子」という用語が遺伝子調節配列(例
えば、プロモーター、エンハンサーなど)および/またはイントロン配列を含み得ること
を認識するであろう。遺伝子の定義は、タンパク質をコードせずに、tRNA、RNAi
誘導物質などの機能的RNA分子をコードする核酸への言及を含むとさらに認識されよう
。明確にする目的のために、本発明者らは、本出願で使用される場合、「遺伝子」という
用語が一般にはタンパク質をコードする核酸の一部を指すことを指摘する;該用語は、当
業者には文脈から明らかであるように、調節配列を場合により包含し得る。この定義は、
「遺伝子」という用語を非タンパク質コード発現ユニットに適用することを除外するもの
ではなく、ほとんどの場合において、該用語が本文書で使用される場合にはタンパク質コ
ード核酸を指すことを明確にするものである。
遺伝子産物または発現産物:本明細書で使用される場合、「遺伝子産物」または「発現
産物」という用語は、一般に、遺伝子から転写されたRNA(プロセシング前および/ま
たは後)または遺伝子から転写されたRNAよりコードされるポリペプチド(修飾前およ
び/または後)を指す。
血球凝集素(HA)ポリペプチド:本明細書で使用される場合、「血球凝集素ポリペプ
チド」(または「HAポリペプチド」)という用語は、そのアミノ酸配列がHAの少なく
とも1つの特徴的な配列を含むポリペプチドを指す。インフルエンザ分離株由来の多種多
様なHA配列が当技術分野で公知である;実際、National Center fo
r Biotechnology Information(NCBI)は、データベー
ス(www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/FLU.h
tml)(これは、本出願の出願時点では9796個のHA配列を含んでいた)を整備し
ている。当業者であれば、このデータベースを参照して、一般にはHAポリペプチド、お
よび/または特定のHAポリペプチド(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、
H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、もしくはH16
ポリペプチド);または特定の宿主、例えば、トリ、ラクダ、イヌ、ネコ、ジャコウネコ
、環境、ウマ、ヒト、ヒョウ、ミンク、マウス、アザラシ、ストーンマーチン、ブタ、ト
ラ、クジラなどの感染を媒介するHAポリペプチドに特徴的な配列を容易に同定すること
ができる。
相同性:本明細書で使用される場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間、例え
ば、核酸分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間および/またはポリペ
プチド分子間の全体的な関連性を指す。いくつかの実施形態では、ポリマー分子の配列が
少なくとも25%、30%,35%,40%、45%、50%、55%、60%、65%
、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%同一である場合、ポリ
マー分子は互いに「相同」であるとみなされる。いくつかの実施形態では、ポリマー分子
の配列が少なくとも25%、30%,35%,40%、45%、50%、55%、60%
、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%類似である場
合、ポリマー分子は互いに「相同」であるとみなされる。
同一性:本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例え
ば、核酸分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間および/またはポリペ
プチド分子間の全体的な関連性を指す。例えば、2つの核酸配列の同一性の割合の計算は
、最適な比較目的のために2つの配列をアライメントすること(例えば、最適なアライメ
ントのためにギャップを第1および第2の核酸配列の一方または両方に導入することがで
き、比較目的のために非同一配列を無視することができる)により行うことができる。あ
る特定の実施形態では、比較目的のためにアライメントされる配列の長さは、参照配列の
長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少
なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または実質的
に100%である。次いで、対応するヌクレオチド位置におけるヌクレオチドを比較する
。第1の配列におけるある位置が、第2の配列における対応する位置と同じヌクレオチド
によって占められている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性の割
合は、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数および
各ギャップの長さを考慮に入れた、配列が共有する同一の位置の数の関数である。2つの
配列間の配列の比較および同一性の割合の決定は、数学的アルゴリズムを使用して行うこ
とができる。例えば、2つのヌクレオチド配列間の同一性の割合は、PAM120重み残
基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティーお
よび4のギャップペナルティーを使用してALIGNプログラム(version2.0
)に組み込まれたMeyersおよびMillerのアルゴリズム(CABIOS,19
89,4:11−17)を使用して決定することができる。あるいは、2つのヌクレオチ
ド配列間の同一性の割合は、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用したGCG
ソフトウエアパッケージにおけるGAPプログラムを使用して決定することができる。
単離された:本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、(1)(天然
においておよび/または実験的環境においてかにかかわらず)最初に生産された際に付随
していた成分の少なくとも一部から分離され、ならびに/または(2)人の手によって生
産、調製および/もしくは製造された作用物質または実体を指す。単離された物質および
/または実体は、それらが最初に付随していた他の成分の約10%、約20%、約30%
、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%
、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約9
9%超から分離され得る。いくつかの実施形態では、単離された作用物質は、約80%、
約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、
約97%、約98%、約99%または約99%超純粋である。本明細書で使用される場合
、物質は、他の成分を実質的に含まない場合に「純粋」である。本明細書で使用される場
合、単離された物質および/または実体の純度の割合の計算は、賦形剤(例えば、緩衝液
、溶媒、水など)を含むべきではない。
ミモトープ:本明細書で使用される場合、「ミモトープ」という用語は、エピトープの
構造を模倣する高分子を指す。いくつかの実施形態では、ミモトープは、その対応するエ
ピトープによって誘発されるものと同一または類似の抗体反応を誘発する。いくつかの実
施形態では、エピトープを認識する抗体は、エピトープを模倣するミモトープも認識する
。いくつかの実施形態では、ミモトープは、ペプチドである。いくつかの実施形態では、
ミモトープは、低分子、炭水化物、脂質または核酸である。いくつかの実施形態では、ミ
モトープは、保存されたインフルエンザエピトープのペプチドまたは非ペプチドミモトー
プである。いくつかの実施形態では、定義されたウイルスエピトープの構造を模倣するこ
とによって、ミモトープは、インフルエンザウイルス粒子がその天然結合パートナーに結
合する能力を、例えば、天然結合パートナー自体に結合することによって妨害する。
核酸:本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、その最も広い意味で、オリ
ゴヌクレオチド鎖に組み込まれるかまたは組み込まれ得る任意の化合物および/または物
質を指す。いくつかの実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合によりオリゴヌクレ
オチド鎖に組み込まれるかまたは組み込まれ得る化合物および/または物質である。いく
つかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/また
はヌクレオシド)を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含む
オリゴヌクレオチド鎖を指す。本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」およ
び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され得る。いくつかの実施形態では
、「核酸」は、RNAならびに一本鎖および/または二本鎖DNAおよび/またはcDN
Aを包含する。さらに、「核酸」、「DNA」、「RNA」および/または類似用語は、
核酸類似体、すなわち、ホスホジエステル主鎖以外を有する類似体を含む。例えば、当技
術分野で公知であり、主鎖にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有するいわ
ゆる「ペプチド核酸」は、本発明の範囲内にあるとみなされる。「アミノ酸配列をコード
するヌクレオチド」という用語は、互いの縮重型であり、および/または同じアミノ酸配
列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質および/またはRNAをコ
ードするヌクレオチド配列は、イントロンを含み得る。核酸は、天然源から精製し、組換
え発現系を使用して生産し、場合により精製し、化学的に合成するなどすることができる
。適切な場合、例えば、化学的に合成された分子の場合、核酸は、化学的に修飾された塩
基もしくは糖、主鎖修飾などを有する類似体などのヌクレオシド類似体を含み得る。核酸
配列は、特に示さない限り、5’から3’方向に示す。「核酸セグメント」という用語は
、本明細書では、より長い核酸配列の一部である核酸配列を指すのに使用される。多くの
実施形態では、核酸セグメントは、少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9
個、10個またはそれ以上の残基を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、天然ヌクレ
オシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシア
デノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシンおよびデオキシシチジン);ヌクレオ
シド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロピリ
ミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニルシチジン、C−
5プロピニルウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロ
ウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニルウリジン、C5−プロピニルシチジ
ン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザ
グアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン
および2−チオシチジン);化学的に修飾された塩基;生物的に修飾された塩基(例えば
、メチル化塩基);挿入塩基(intercalated bases);修飾糖(例え
ば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノースおよび
ヘキソース);および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’−
N−ホスホルアミダイト結合)であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、
本発明は特に、送達を促進または達成するために化学的に修飾されていない核酸(例えば
、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドを含むポリヌクレオチドおよび残基)を意味
する「非修飾核酸」を対象とする。
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「被験体」という用語は、提供され
る組成物を、例えば実験、診断、予防、美容および/または治療の目的で投与し得る任意
の生物を指す。典型的な患者としては、動物(例えば、哺乳動物、例えば、マウス、ラッ
ト、ウサギ、非ヒト霊長類および/またはヒト)が挙げられる。いくつかの実施形態では
、患者はヒトである。
薬学的に許容され得る:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る」という
用語は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に相応し、過度の毒性、刺
激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接
触して使用するのに適切な物質を指す。
ポリペプチド:本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」は、一般に言えば、ペプ
チド結合によって互いに結合した少なくとも2つのアミノ酸のストリングである。いくつ
かの実施形態では、ポリペプチドは、それぞれが少なくとも1つのペプチド結合によって
他のものに結合した少なくとも3〜5のアミノ酸を含み得る。当業者であれば、ポリペプ
チドは、それでもなお場合によりポリペプチド鎖に組み込まれ得る「非天然」アミノ酸ま
たは他の実体を含むことがあることを認識するであろう。
タンパク質:本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、ポリペプチド
(すなわち、ペプチド結合により互いに連結した少なくも2つのアミノ酸のストリング)
を指す。タンパク質は、アミノ酸以外の部分(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカン
などであり得る)を含んでいてもよく、および/または他の方法でプロセシングもしくは
修飾されていてもよい。当業者であれば、「タンパク質」は、細胞により産生された完全
なポリペプチド鎖(シグナル配列の有無にかかわらず)でもよいし、またはその特徴的部
分でもよいことを認識するであろう。当業者であれば、タンパク質は、例えば、1つまた
は複数のジスルフィド結合により連結した、または他の手段により会合した1つより多く
のポリペプチド鎖を含み得ることがあることを認識するであろう。ポリペプチドは、l−
アミノ酸、d−アミノ酸またはその両方を含有してもよいし、または当技術分野で公知の
様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれかを含有してもよい。有用な修飾としては、例
えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが挙げられる。いくつかの実施形態では
、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸およびそれらの組み合わ
せを含み得る。「ペプチド」という用語は、一般に、約100アミノ酸未満、約50アミ
ノ酸未満、20アミノ酸未満または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指す
のに使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体、抗体断片、その生物学
的に活性な部分および/またはその特徴的な部分である。
参照構造要素:本明細書で使用される場合、「参照構造要素」という用語は、それに対
して別の要素を比較する化学構造要素である。いくつかの実施形態では、参照構造要素は
、互いに対しておよび/もしくは三次元空間においてある原子配置もしくは部分配置であ
るか、またはこれを含む。いくつかのこのような実施形態では、関連する原子または部分
は、化学的同一性(例えば、特定のアミノ酸または化学基もしくは構造など)によって、
および/または機能(例えば、水素結合供与体または受容体、フリーラジカルなど)によ
って定義される。参照構造要素が参照ポリマー中に見られるいくつかの特定の実施形態で
は、参照構造要素は、参照ポリマー中に存在するモノマーの配列であり得るか、またはこ
れを含み得る。例えば、いくつかのこのような実施形態では、参照構造要素は、ポリペプ
チドでは特定のアミノ酸配列要素、ポリヌクレオチドでは特定のヌクレオチド配列の要素
、およびもしくは多糖では特定のグリカン構造であり得るか、またはこれを含み得る。
低分子:一般に、「低分子」は、サイズが約5キロダルトン(kD)未満の分子である
。いくつかの実施形態では、低分子は、約4kD未満、3kD、約2kDまたは約1kD
である。いくつかの実施形態では、低分子は、約800ダルトン(D)未満、約600D
、約500D、約400D、約300D、約200Dまたは約100Dである。いくつか
の実施形態では、低分子は、約2000g未満/mol、約1500g未満/mol、約
1000g未満/mol、約800g未満/molまたは約500g未満/molである
。いくつかの実施形態では、低分子は、非ポリマー性である。いくつかの実施形態では、
本発明にしたがって、低分子は、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド
、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、多糖、糖タンパク質、プロテオグリカンなど
ではない。
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、対象の特徴または
特性の完全またはほぼ完全な程度または度合を示す定性的状態を指す。生物学分野の当業
者であれば、生物学的および化学的な現象が完了し、および/もしくは完全な状態に進行
し、または絶対的な結果を達成もしくは回避することは(あるとしても)めったにないこ
とを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、本明細書では、多くの
生物学的および化学的な現象に固有の完全な状態の潜在的な欠如をとらえるのに使用され
る。
実質的な相同性:「実質的な相同性」という語句は、本明細書では、アミノ酸または核
酸配列間の比較を指すのに使用される。当業者によって認識されているように、2つの配
列は、一般に、対応する位置において相同残基を含有する場合に「実質的に相同」である
とみなされる。相同残基は、同一残基であり得る。あるいは、相同残基は、適切には、類
似の構造的および/または機能的特徴を有する非同一残基であり得る。例えば、当業者に
は周知であるように、ある特定のアミノ酸は、典型的には、「疎水性」もしくは「親水性
」アミノ酸と、および/または「極性」もしくは「非極性」側鎖を有すると分類される。
あるアミノ酸を同じ種類の別のアミノ酸に置換することは、多くの場合に「相同」置換と
みなされ得る。
当技術分野で周知であるように、アミノ酸または核酸配列は、商業コンピュータープロ
グラムにおいて利用可能なもの、例えば、ヌクレオチド配列用のBLASTN、ならびに
アミノ酸配列用のBLASTP、ギャップドBLAST、およびPSI−BLASTなど
を含む様々なアルゴリズムのいずれかを使用して比較することができる。例示的なこのよ
うなプログラムは、Altschulら、Basic local alignment
search tool,J.Mol.Biol.,215(3):403−410,
1990;Altschulら、Methods in Enzymology;Alt
schulら、”Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new
generation of protein database search p
rograms”, Nucleic Acids Res.25:3389−3402
,1997;Baxevanisら、Bioinformatics:A Practi
cal Guide to the Analysis of Genes and P
roteins,Wiley,1998;およびMisenerら、(eds.),Bi
oinformatics Methods and Protocols(Metho
ds in Molecular Biology,Vol.132),Humana
Press,1999に記載されている。相同配列を同定することに加えて、上述のプロ
グラムは、典型的には、相同性の程度の指標を提供する。いくつかの実施形態では、2つ
の配列は、それらの対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%
、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%
、97%、98%、99%、またはそれ以上が、関連する残基ストレッチにわたって相同
である場合に、実質的に相同であるとみなされる。いくつかの実施形態では、関連するス
トレッチは完全な配列である。いくつかの実施形態では、関連するストレッチは、少なく
とも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70
、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、
250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、
500、またはそれ以上の残基である。
実質的な同一性:「実質的な同一性」という語句は、本明細書では、アミノ酸または核
酸配列間の比較を指すのに使用される。当業者によって認識されているように、2つの配
列は、一般に、対応する位置において同一の残基を含有する場合に「実質的に同一」であ
るとみなされる。当技術分野で周知であるように、アミノ酸または核酸配列は、商業コン
ピュータープログラムにおいて利用可能なもの、例えば、ヌクレオチド配列用のBLAS
TN、ならびにアミノ酸配列用のBLASTP、ギャップドBLAST、およびPSI−
BLASTなどを含む様々なアルゴリズムのいずれかを使用して比較することができる。
例示的なこのようなプログラムは、Altschulら、Basic local al
ignment search tool,J.Mol.Biol.,215(3):4
03−410,1990;Altschulら、Methods in Enzymol
ogy;Altschulら、 Nucleic Acids Res.25:3389
−3402,1997;Baxevanisら、Bioinformatics:A P
ractical Guide to the Analysis of Genes
and Proteins,Wiley,1998;およびMisenerら、(eds
.),Bioinformatics Methods and Protocols(
Methods in Molecular Biology,Vol.132),Hu
mana Press,1999に記載されている。同一配列を同定することに加えて、
上述のプログラムは、典型的には、同一性の程度の指標を提供する。いくつかの実施形態
では、2つの配列は、それらの対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65
%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95
%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が、関連する残基ストレッチにわ
たって同一である場合に実質的に同一であるとみなされる。いくつかの実施形態では、関
連するストレッチは完全な配列である。いくつかの実施形態では、関連するストレッチは
、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、6
5、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、
225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、
475、500、またはそれ以上の残基である。
を患っている:疾患、障害または症状(例えば、インフルエンザ)「を患っている」個
体は、疾患、障害もしくは症状と診断され、および/またはこれらの1つまたは複数の症
候を示す。
にかかりやすい:疾患、障害または症状(例えば、インフルエンザ)に「かかりやすい
」個体は、疾患、障害または症状を発症するリスクがある個体である。いくつかの実施形
態では、疾患、障害または症状にかかりやすい個体は、疾患、障害または症状のいかなる
症候も示さない。いくつかの実施形態では、疾患、障害または症状にかかりやすい個体は
、疾患、障害および/または症状を有すると診断されていない。いくつかの実施形態では
、疾患、障害または症状にかかりやすい個体は、疾患、障害または症状の発症に関連する
条件に曝露された個体である(例えば、その個体は、インフルエンザに曝露されたことが
ある)。
症候が軽減される:本発明によれば、特定の疾患、障害または症状の1つまたは複数の
症候が程度(例えば、強度、重症度など)または頻度の点で軽減される場合、「症候が軽
減された」ことになる。明確にする目的のために、特定の症候の発症の遅延は、その症候
の頻度が軽減する一形態であるとみなされる。本発明は、症候が除かれる場合のみに限定
されないものとする。本発明は特に、1つまたは複数の症候が、完全には除かれないが軽
減される(およびそれにより被験体の症状が「改善」される)ような処置を企図する。
治療剤:本明細書で使用される場合、「治療剤」という語句は、被験体に投与した場合
に治療効果を有し、ならびに/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的効果を引
き起こす任意の薬剤を指す。
治療有効量:本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、被験体集団に
投与した場合に、任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で、特定の治療効
果と統計学的に相関する治療剤(例えば、タンパク質、具体的には例えば抗体)の量を指
す。治療効果は、客観的(すなわち、いくつかの試験またはマーカーにより測定可能)ま
たは主観的(すなわち、被験体が効果の指標を与えるかまたは効果を感知する)であり得
る。特に、「治療有効量」は、疾患、障害または症状の1つまたは複数の特徴、症候もし
くは特性の発生率および/もしくは重症度を軽減し、ならびに/またはこれらの発症を遅
延するのに有効な治療剤の量を指す。治療有効量は、一般的に、複数の単位用量を含み得
る投与計画で投与される。任意の特定の治療用タンパク質に関して、治療有効量(および
/または有効な投与計画内の適切な単位用量)は、例えば、投与経路、他の医薬品との組
み合わせに応じて変化し得る。また、任意の特定の患者のための具体的な治療有効量(お
よび/または単位用量)は、処置されている障害、および障害の重症度;用いられる具体
的な医薬品の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身健康状態、性別
および食事;投与時間、投与経路および/または用いられる具体的な融合タンパク質の排
出または代謝の速度;処置の持続期間;ならびに医学分野で周知の同様の要因を含む様々
な要因に依存し得る。
処置:本明細書で使用される場合、「処置」(さらには「処置する」または「処置する
こと」)という用語は、特定の疾患、障害および/または症状(例えば、インフルエンザ
)の1つまたは複数の症候、特徴および/または原因を部分的もしくは完全に緩和し、改
善し、軽減し、抑制し、その発症を遅延し、その重症度を軽減し、および/またはその発
生率を軽減する物質(例えば、提供される組成物)の任意の投与を指す。このような処置
は、関連する疾患、障害および/もしくは症状の兆候を示さない被験体ならびに/または
疾患、障害および/もしくは症状の初期兆候のみを示す被験体に対するものであり得る。
あるいはまたは加えて、このような処置は、関連する疾患、障害および/または症状の1
つまたは複数の確立された兆候を示す被験体に対するものであり得る。いくつかの実施形
態では、処置は、関連する疾患、障害および/または症状を患っていると診断された被験
体に対するものであり得る。いくつかの実施形態では、処置は、関連する疾患、障害およ
び/または症状の発症のリスク増大と統計学的に相関する1つまたは複数の感受性因子を
有することが公知の被験体に対するものであり得る。
ユニバーサル抗インフルエンザ剤:本明細書で使用される場合、「ユニバーサル抗イン
フルエンザ剤」という用語は、インフルエンザウイルス株、グループ、クレードおよびク
ラスタにわたって広域スペクトルの中和を有する薬剤を指す。
非天然アミノ酸:本明細書で使用される場合、「非天然アミノ酸」という用語は、20
種の天然に存在するアミノ酸のうちの1つではない任意のアミノ酸、修飾アミノ酸、およ
び/またはアミノ酸類似体を指す。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米
国特許第7,045,337号、米国特許第7,385,028号、および米国特許第7
,332,571号を参照のこと。本明細書で使用される場合、「非天然アミノ酸」は、
限定されないが、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、および/または置換体を含む化学
的に修飾されたアミノ酸も包含する。ペプチドにおけるカルボキシおよび/またはアミノ
末端アミノ酸を含むアミノ酸は、ペグ化、メチル化、アミド化、アセチル化、および/ま
たは結合剤の活性に悪影響を及ぼさない他の化学基による置換により修飾することができ
る。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与し得る。「アミノ酸」という用語は、「アミノ
酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸および/またはペプチドのアミノ酸残基を指
し得る。遊離アミノ酸またはペプチドの残基を指すかは、該用語が使用される文脈から明
らかであろう。
ワクチン接種:本明細書で使用される場合、「ワクチン接種」という用語は、免疫応答
を生じさせることを目的とする組成物、例えば、病原体の投与を指す。本発明の目的のた
めに、ワクチン接種は、病原体への曝露の前、その間および/またはその後に、ある特定
の実施形態では、この病原体への曝露の前、その間および/またはその直後に行うことが
できる。いくつかの実施形態では、ワクチン接種としては、ワクチン接種組成物を適切に
間隔を開けて複数回投与することが挙げられる。
ベクター:本明細書で使用される場合、「ベクター」は、これが結合している別の核酸
を輸送することができる核酸分子を指す。いくつかの実施形態では、ベクターは、真核細
胞および/または原核細胞などの宿主細胞中で、これらが連結されている核酸の染色体外
複製および/または発現をすることができる。作動可能に連結した遺伝子の発現を指示す
ることができるベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
(詳細な説明)
本明細書に記載されるように、本発明は、複数のインフルエンザ株に結合する新たなイ
ンフルエンザ結合剤を提供する。本発明は特に、インフルエンザHAに結合するある特定
の抗体、それに加えて、提供される抗体の特定の構造的および/または機能的特徴(fu
nctaional characteristis)を共有する結合剤を提供する。
(インフルエンザ抗原)
(血球凝集素(HA)ポリペプチド)
インフルエンザウイルスは、ウイルス特有の膜に埋め込まれた2つの糖タンパク質(血
球凝集素(HA)ポリペプチドおよびノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド)を含有す
る脂質膜エンベロープを特徴とするRNAウイルスである。16個の公知のHAポリペプ
チドサブタイプ(H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H
11、H12、H13、H14、H15、およびH16)、ならびに9個のNAポリペプ
チドサブタイプ(N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、およびN9)が存
在し、様々なインフルエンザ株が、その株のHAポリペプチドおよびNAポリペプチドサ
ブタイプの番号に基づいて命名されており、1個のNAポリペプチドサブタイプと1個の
HAポリペプチドサブタイプとが合さった様々な組み合わせ(例えば、H1N1、H1N
2、H1N3、H1N4、H1N5など)が存在する。
アミノ酸配列同一性および結晶構造の比較に基づいて、HAポリペプチドサブタイプは
、2つの主要グループおよび4つのより小さいクレードに分けられており、これらはさら
に、5つのクラスタに分けられる。異なるHAポリペプチドサブタイプは、必ずしも強い
アミノ酸配列同一性を共有する必要はないが、異なるHAポリペプチドサブタイプの全体
的な3D構造は互いに類似しており、分類目的で使用され得るいくつかのわずかな差異が
ある。例えば、中心α−ヘリックスに関する膜遠位サブドメインの特定の方向は、HAポ
リペプチドサブタイプを決定するのに通常使用される1つの構造的特徴である(Russ
ellら、Virology,325:287,2004)。
HAは、天然に存在する場合には、2本のジスルフィド結合ポリペプチド鎖にタンパク
質分解プロセシングされる前駆体をそれぞれ合成する3つの同一の単量体からなる三量体
である。成熟HAポリペプチドは、2つのドメイン、すなわち(1)シアル酸結合ドメイ
ンとして公知のコアHA−1ドメイン、および(2)HA−2ドメインとして公知のHA
の膜貫通ストークから構成される。HA−1は、グリカンに対する結合部位を含有し、H
AのHA−受容体に対する結合の媒介に関与すると考えられている。HA−2は、HA−
1ドメインの提示に関与する。典型的には、HA単量体のステムの3本の長いHAα−ヘ
リックス間の極性および非極性相互作用は、HA三量体を安定化させるための主要な力を
提供する。本発明のHAポリペプチドは、任意のHAドメイン由来のアミノ酸残基および
/または配列(例えば、コアHA−1、膜貫通HA−2および/またはそれらの組み合わ
せ)を含有し得ると認識されよう。
いくつかの実施形態では、本発明のHAポリペプチドは、1つより多くのインフルエン
ザサブタイプにわたって保存された配列を含有する。例えば、すべてのインフルエンザサ
ブタイプ由来のHA配列の分析により、十分に保存されており、有望な治療分子にアクセ
ス可能なHA−1(ヘッド)ドメインおよびHA−2(ストーク)ドメインのインターフ
ェイス内の一連のアミノ酸が示された。研究により、基準α−ヘリックスおよびその周辺
の残基を含む、HA−1/HA−2インターフェイスの膜近位エピトープ領域(MPER
)が広範囲によく保存されていることも観察された(Ekiertら、Science,
.324(5924):246,2009;Suiら、Nat Struct Mol
Biol.16(3):265,2009)。
(HA受容体)
本明細書に記載されるHAポリペプチドは、HA受容体として公知の糖タンパク質受容
体に結合することによって、細胞の表面と相互作用する。HAポリペプチドのHA受容体
に対する結合は、HA受容体上のN結合型グリカンによって主に媒介される。具体的には
、インフルエンザウイルス粒子の表面上のHAポリペプチドは、細胞宿主の表面上のHA
受容体に関連するシアル化グリカンを認識する。認識および結合の後、宿主細胞は、ウイ
ルス細胞を貪食し、ウイルスは、はるかに多くのウイルス粒子を複製および産生すること
によって、隣接する細胞に分布することができる。
天然HA(多くの実施形態では、HAポリペプチド)は、H1〜H16と称される16
個のサブタイプのうちの1個のホモ三量体としてウイルス膜中に存在する。これらのサブ
タイプのうちの3個のみ(H1、H2、およびH3)がこれまでのところ、ヒト感染に適
応している。ヒトに感染するように適応したHAポリペプチド(例えば、パンデミックH
1N1(1918年)およびH3N2(1967〜68年)インフルエンザサブタイプ由
来のHAポリペプチド)について報告されている1つの特徴は、α2,3シアル化グリカ
ンに選択的に結合するこれらのトリ前駆体と比較した、α2,6シアル化グリカンに選択
的に結合するこれらの能力である(Skehel&Wiley,Annu Rev Bi
ochem,69:531,2000;Rogers,&Paulson,Virolo
gy,127:361,1983;Rogersら、Nature,304:76,19
83;Sauterら、Biochemistry,31:9609,1992;Con
norら、Virology,205:17,1994;Tumpeyら、Scienc
e,310:77,2005)。
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ヒト宿主に感染する能力は、特定
の連結のグリカンに対する結合とそれほど相関せず、特定の形態のグリカンに対する結合
とより相関すると提案されている。本発明者らは、具体的には、ヒト感染を媒介するHA
ポリペプチドが傘状形態のグリカンに結合し、円錐状形態のグリカンよりも傘状形態のグ
リカンに対して選択性を示すことが多いことを実証した(円錐状形態のグリカンがα2,
6シアル化グリカンであり得るとしても)(例えば、それぞれが参照により本明細書に組
み込まれる2009年1月2日に出願された米国特許出願第12/348,266号、2
008年11月17日に出願された米国特許出願第12/301,126号、2008年
1月3日に出願された米国仮特許出願第61/018,783号、2008年1月3日に
出願された米国特許出願第11/969,040号、2007年8月14日に出願された
米国特許出願第11/893,171号、2006年8月14日に出願された米国仮特許
出願第60/837,868号、8月14日に出願された米国仮特許出願第60/837
,869号、および2007年8月14日に出願された国際特許出願第PCT/US07
/18160号を参照のこと)。
(α2,3およびα2,6連結の両方の)シアル化オリゴ糖に結合したH1(ヒトおよ
びブタ)、H3(トリ)、およびH5(トリ)サブタイプ由来のHAポリペプチドのいく
つかの結晶構造は入手可能であり、この結晶構造から、HAポリペプチドとこれらのグリ
カンとの異なる相互作用に関与する特定のアミノ酸に関する分子的洞察が得られる(Ei
senら、Virology,232:19,1997;Haら、Proc Natl
Acad Sci USA,98:11181,2001;Haら、Virology,
309:209,2003;Gamblinら、Science,303:1838,2
004;Stevensら、Science,303:1866,2004;Russe
llら、Glycoconj J 23:85,2006;Stevensら、Scie
nce,312:404,2006))。例示的なHA−グリカン相互作用のいくつかの
結晶構造は同定されており、以下の表1に示す。


HA−α2,6シアル化グリカン複合体は、ASI30_H1_26およびAPR34_
H1_26(H1)上のADU63_H3およびADS97_H5およびViet04_
H5のHA1サブユニットのCAトレース(CA trace)の重ね合わせによって生
成した。ヒトA/Aichi/2/68(H3N2)とα2−6シアル化グリカンとの構
造的複合体は公開されているが(Eisenら、1997,Virology,232:
19;参照により本明細書に組み込まれる)、タンパク質データパンクではこれらの座標
が入手可能ではなかった。重ね合わせについては、SARF2プログラムを使用して、異
なるHA1サブユニットの構造的なアライメントを得た。
例えば、H5(A/duck/Singapore/3/97)単独のまたはこれがα
2,3もしくはα2,6シアル化オリゴ糖に結合したものの結晶構造から、結合したグリ
カンと直接相互作用するある特定のアミノ酸が同定され、さらには分離度が1以上離れて
いるアミノ酸も同定される(Stevensら、Proc Natl Acad Sci
USA 98:11181,2001)。いくつかの場合では、これらの残基の立体配
座は、結合状態と非結合状態で異なる。例えば、Glu190、Lys193、およびG
ln226はすべて、直接結合相互作用に参加し、結合状態と非結合状態で異なる立体配
座を有する。Glu190の近くにあるAsn186の立体配座も、結合状態と非結合状
態で著しく異なる。
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、HA受容体は、受容体のHAポリ
ペプチド結合部位付近のα2,3またはα2,6シアル化グリカンによって修飾され、受
容体に結合したグリカンの連結の種類は、受容体のHAポリペプチド結合部位の立体配座
に影響を及ぼし得るので、異なるHAポリペプチドに対する受容体の特異性に影響を及ぼ
すと考えられる。例えば、トリHA受容体のグリカン結合ポケットは狭い。いかなる特定
の理論にも束縛されるものではないが、このポケットは、トランス立体配座のα2,3シ
アル化グリカンに結合し、および/またはα2,3またはα2,6連結型にかかわらず円
錐状形態のグリカンに結合すると提案されている。
トリ組織ならびにさらにはヒト深肺および胃腸(GI)管組織中のHA受容体は、α2
,3シアル化グリカン連結を特徴とし、さらに、円錐状形態を主として採用するα2,3
シアル化グリカンおよび/またはα2,6シアル化グリカンを含むグリカンを特徴とする
。このような円錐状形態のグリカンを有するHA受容体は、本明細書ではCTHArと称
され得る。
一方、上気道の気管支および気管におけるヒトHA受容体は、α2,6シアル化グリカ
ンによって修飾される。α2,3モチーフと異なり、α2,6モチーフは、C6−C5結
合のためにさらなる立体配座的自由度を有する(Russellら、Glycoconj
J 23:85,2006)。このようなα2,6シアル化グリカンに結合するHAポ
リペプチドは、この立体配座的な自由から生じる多様な構造を収容するためのより開いた
結合ポケットを有する。さらに、本発明によれば、HAポリペプチドは、傘状形態のグリ
カン(例えば、α2,6シアル化グリカン)に結合する必要があるものでもよく、特に、
ヒト上気道組織の感染を有効に媒介するために、強い親和性および/または特異性でこの
ような傘状形態のグリカンに結合する必要があるものでもよい。傘状形態のグリカンを有
するHA受容体は、本明細書ではUTHArと称され得る。
これらの空間的に制限されたグリコシル化プロファイルの結果として、ヒトは、通常は
、多くの野生型トリHAポリペプチド(例えば、トリH5)を含有するウイルスによって
感染されない。具体的には、ウイルスに遭遇する可能性が最も高いヒト気道部分(すなわ
ち、気管および気管支)は、円錐状グリカン(例えば、α2,3シアル化グリカン、およ
び/または短いグリカン)を含む受容体を欠いており、野生型トリHAポリペプチドは、
典型的には、円錐状グリカン(例えば、α2,3シアル化グリカン、および/または短い
グリカン)に関連する受容体に主に、またはもっぱら結合するので、ヒトは、トリウイル
スにはめったに感染しない。ウイルスが、傘状グリカン(例えば、長いα2,6シアル化
グリカン)を有する深肺および/または胃腸管受容体にアクセスすることができるほどウ
イルスと十分に密接に接触する場合にのみ、ヒトは実際に感染する。
(インフルエンザ感染症の症候および効果)
インフルエンザ感染症または「インフルエンザ」は、主にヒトの体の鼻、喉および気管
支のウイルス感染症である。上記のように、いくつかの異なるインフルエンザ株およびサ
ブタイプの存在を考慮すると、インフルエンザ感染症に関連する症候の重症度は、感染症
の種類に応じて変化し得る。症候はまた、慢性基礎疾患(例えば、癌、気腫または糖尿病
)を有する個体または免疫不全者では致命的になり得る。症候の重症度は変化し得るが、
インフルエンザ感染症のいくつかの顕著な症候、例えば限定されないが、炎症、発熱、吐
き気、体重減少、食欲不振、呼吸促迫、心拍数の増加、高血圧、体の痛み、筋肉痛、眼痛
、疲労、倦怠、乾性咳、鼻水および/または咽頭痛がある。その結果、いくつかの実施形
態では、患者内の症候の徴候は、インフルエンザ感染症の存在を決定するために予後因子
または診断因子(diagnositc)として使用することができる。いくつかの実施
形態(embodients)では、症候の重症度および/または変化は、インフルエン
ザ処置のための投与計画、例えば結合剤の投与を決定するのに使用することができる。い
くつかのの実施形態(embodients)では、患者が示した症候の発症、重症度お
よび/または変化は、患者を結合剤で予防的に処置する必要性を示す(indicte)
のに使用することができる。いくつかの実施形態では、症候の重症度、変化および/また
は改善(ameliortion)は、インフルエンザ処置の具体的な種類または方法に
対する患者の反応を評価するのに使用することができる。
(抗体)
本明細書に記載されるように、本発明は、HAポリペプチドに結合し、いくつかの実施
形態(embodmients)では複数のインフルエンザ株に結合する抗体(例えば、
モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体など)を提供する。いくつかの実施形態では
、このような抗体は、インフルエンザの予防、処置、診断および/または研究に有用であ
る。
本明細書で使用される場合、抗体は、当技術分野で理解されているように、免疫グロブ
リンの構造的特徴を有するポリペプチドを指す。多くの実施形態では、抗体は、そのアミ
ノ酸配列が、相補性決定領域(complimentarity determinin
g region)(CDR)として当業者によって認識されている1つまたは複数の構
造要素を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、抗体は、そのアミノ酸配列
が、免疫グロブリン可変ドメインとして当業者によって認識されている構造要素を含むポ
リペプチドである。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に生産された抗体で生じるよ
うに、ジスルフィド結合によって場合により会合した2本の重鎖および2本の軽鎖を含有
する「全長」である。いくつかの実施形態では、抗体は、全長抗体に見られる配列の全部
ではなく一部を含有する全長抗体の断片である。例えば、いくつかの実施形態では、抗体
断片の例としては、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、F
v、dsFvダイアボディおよびFd断片が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体
は、一本鎖抗体断片を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、例えばジスルフィド
結合によって共に連結された複数の鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、多
分子複合体を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、少なくとも約50アミノ酸を
含み得、より典型的には少なくとも約200アミノ酸を含み得る。
いくつかの実施形態では、抗体は、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEから
なる群より選択される抗体クラスのメンバーである。いくつかの実施形態では、抗体は、
細胞によって産生される。いくつかの実施形態では、抗体は、組換え細胞培養系を使用し
て生産される。いくつかの実施形態では、抗体は、化学合成によって生産される。いくつ
かの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体
は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、化学合成によって生
産される。いくつかの実施形態では、抗体は、哺乳動物に由来する。いくつかの実施形態
では、抗体は、限定されないが、マウス、ラット、ウマ、ブタまたはヤギなどの動物によ
って産生される。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトに由来する。いくつかの実施形
態では、抗体は、ヒト定常および/または可変領域ドメインを有する、例えばマウス、ラ
ット、ウマ、ブタまたは他の種由来のキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体
は、ヒト化抗体である。本明細書で使用される場合、「ヒト化」抗体という用語は、ヒト
フレームワーク領域と、非ヒト(例えば、マウスまたはラット)免疫グロブリン由来の1
つまたは複数のCDRとを含む免疫グロブリンを指す。CDRを提供する非ヒト免疫グロ
ブリンは「ドナー」と称され、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセ
プター」と称される。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖免疫グロブリンを
含む抗体である。
(抗体の改変)
いくつかの実施形態では、提供される抗体における1つまたは複数の配列は、当技術分
野で公知のように、1つまたは複数の特徴または活性を改善させるように(例えば、安定
性を増加させるように、凝集を減少させるように、免疫原性を減少させるようになど)(
例えば、親和性成熟または他の最適化法によって)操作される。いくつかの実施形態では
、抗体は、ペグ化、メチル化、シアル化、アミノ化または硫酸化によって改変される。い
くつかの実施形態では、ポリマーミセルを生産するために、抗体は、両親媒性コア/シェ
ルにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、抗体は、超分岐高分子(すなわち
、デンドリマー)にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、抗体は、アルブミ
ン、キトサン、ヘパリン、パクリタキセル、ポリ−(L−グルタミン酸)、N−(2−ヒ
ドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、ポリ−(L−ラクチド)(PLA)
、ポリ(アミドアミン)(PAMAM)、葉酸および/またはそれらの組み合わせからな
る群より選択される天然ポリマーにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、抗
体は、親水性アミノ酸(rPEG)の1つまたは複数の長い不定形尾部を含む。いくつか
の実施形態では、抗体結合部位を変化させない反応条件を使用して、スルフヒドリル基を
免疫グロブリンのFc領域に選択的に導入することによって免疫グロブリンを誘導体化す
ることが企図される。この方法にしたがって生産された抗体コンジュゲートは、改善され
た寿命、特異性および感度を示し得る(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5
,196,066号)。Fc領域における炭水化物残基にコンジュゲートされたエフェク
ターまたはレポーター分子の部位特異的結合も文献(O’Shannessyら、198
7)に開示されている。
(提供される抗HA抗体)
本開示は、インフルエンザHAに結合するある特定の抗体を提供する。本発明は特に、
1つまたは複数のインフルエンザグループ由来の特定のHAエピトープ(eptitop
e)および/またはHAに結合することを特徴とするある特定の抗体を提供する。いくつ
かの実施形態では、このような抗体は、グループ1ウイルス由来の特定のHAエピトープ
(eptitope)および/またはHAに結合することを特徴とする。いくつかの実施
形態では、このような抗体は、グループ2ウイルス由来の特定のHAエピトープ(ept
itope)および/またはHAに結合することを特徴とする。いくつかの実施形態では
、このような抗体は、グループ1ウイルスおよびグループ2ウイルス由来の特定のHAエ
ピトープ(eptitope)および/またはHAに結合することを特徴とする。いくつ
かの実施形態では、このような抗体は、サブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6
、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15および/または
H16のHAポリペプチドに結合する。具体的には、いくつかの実施形態では、このよう
な抗体は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、
H12、H13、H14、H15およびH16のHAポリペプチドの1つまたは複数に特
徴的な配列要素を有するHAポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、このよ
うな抗体は、異なるH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、
H11、H12、H13、H14、H15およびH16のHAポリペプチドの1つまたは
複数に対するその親和性の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、
35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、
85%、90%またはそれ以上の親和性で、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7
、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15およびH16のHAポ
リペプチドの1つまたは複数に結合する。いくつかの実施形態では、このような抗体は、
異なるHAポリペプチド(例えば、異なるグループ、クレードもしくはクラスタおよび/
または異なる株由来のHAポリペプチド)に対して、互いの5倍以内の結合親和性である
結合親和性を示す。いくつかの実施形態では、このような抗体は、異なるHAポリペプチ
ドに対して、互いの2倍以内の結合親和性を示す。いくつかの実施形態では、このような
抗体は、異なるHAポリペプチド(例えば、異なるグループ、クレードもしくはクラスタ
および/または異なる株由来のHAポリペプチド)に対して、互いの150倍以内(例え
ば、100倍以内、50倍以内、25倍以内、10倍以内または5倍以内)の結合親和性
である結合親和性を示す。
いくつかの実施形態では、このような抗体は、H1、H3、H5、H7および/または
H9のHAポリペプチドの少なくとも2つに結合する。いくつかの実施形態では、このよ
うな抗体は、H1、H3、H5、H7および/またはH9のHAポリペプチドの少なくと
も3つ、4つまたは5つに結合する。
いくつかの実施形態では、このような抗体は、サブタイプH1、H2、H3、H4、H
5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15および
/またはH16の少なくとも1つのHAポリペプチドに結合し、サブタイプH1、H2、
H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14
、H15および/またはH16の少なくとも1つのHAポリペプチドに結合しない。いく
つかの実施形態では、このような抗体は、サブタイプH1のHAポリペプチドに結合する
。いくつかの実施形態では、このような抗体は、それが少なくとも1つのサブタイプH2
、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H1
4、H15および/またはH16のHAポリペプチドに結合する親和性の少なくとも10
0%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%またはそれ以上の
親和性で、サブタイプH1のHAポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、こ
のような抗体は、サブタイプH3のHAポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態で
は、このような抗体は、それが少なくとも1つのサブタイプH1、H2、H4、H5、H
6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15および/また
はH16のHAポリペプチドに結合する親和性の少なくとも100%、少なくとも125
%、少なくとも150%、少なくとも200%またはそれ以上の親和性で、サブタイプH
3のHAポリペプチドに結合する。
いくつかの実施形態では、このような抗体は、本明細書に記載および/または例示され
る範囲内の中和IC50(ug/ml)を示す。いくつかの実施形態では、このような提
供される抗体は、下限が約0.1ug/mlであり、上限が約10ug/mlである中和
IC50(ug/ml)を示す。いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は
、下限が0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8
、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8
、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0ug/mlまたは
それ以上からなる群より選択され、上限が前記下限よりも高く、1.5、1.6、1.7
、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5
、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0ug/
mlまたはそれ以上からなる群より選択される中和IC50(ug/ml)を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は、2000nM未満、1500
nM未満、1000nM未満、500nM未満、250nM未満、225nM未満、20
0nM未満、175nM未満、150nM未満、125nM未満、100nM未満、75
nM未満または50nM未満のK(nM)で、インフルエンザHA(例えば、グループ
1および/またはグループ2サブタイプ)に対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は、下限が約0.01×10
−1−1であり、上限が約1.0×10−1−1であるK(M−1−1)で
、インフルエンザHAに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.0
1×10、0.02×10、0.04×10、0.04×10、0.08×10
、0.1×10、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×10
、1.0×10、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×10
、2.0×10−1−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下
限よりも高く、1.0×10、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3
.0×10、3.5×10、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6
.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8
.5×10、9.0×10、9.5×10、1.0×10、1.1×10、1
.2×10、1.3×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1
.7×10、1.8×10、1.9×10−1−1またはそれ以上からなる群
より選択されるK(M−1−1)で、インフルエンザHAに対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は、下限が約0.01×10
−1であり、上限が約1.0×10−1であるK(s−1)で、インフルエンザH
Aに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.01×10、0.0
2×10、0.04×10、0.04×10、0.08×10、0.1×10
、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×10、1.0×10
、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×10、2.0×10
−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下限よりも高く、1.0×1
、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3.0×10、3.5×1
、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×1
、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×1
、9.5×10、1.0×10、1.1×10、1.2×10、1.3×1
、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.7×10、1.8×1
、1.9×10−1またはそれ以上からなる群より選択されるK(s−1)で
、インフルエンザHAに対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される抗体は、特定の構造的特徴を特徴とす
る。いくつかの実施形態では、このようなある特定の提供される抗体のこのような構造的
特徴は、表2および3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜60)と配列が少なく
とも65、70、75、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93
、94、95、96、97、98または99%同一の1つまたは複数のCDRまたは1つ
または複数のFRを含む。いくつかの実施形態では、このようなある特定の提供される抗
体のこのような構造的特徴は、表2および3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜
60)と少なくとも65、70、75、80、85、86、87、88、89、90、9
1、92、93、94、95、96、97、98または99%の相同性を含む1つまたは
複数のCDRまたは1つまたは複数のFRを含む。いくつかの実施形態では、このような
ある特定の提供される抗体のこのような構造的特徴は、表2および3の対応するCDRま
たはFR(配列番号1〜60)と配列が同一の1つまたは複数のCDRおよび/または1
つまたは複数のFRを含む。いくつかの実施形態では、このようなある特定の提供される
抗体のこのような構造的特徴は、表2および3に記載されているもの(配列番号1〜60
)と配列が同一のCDRおよびFRを含む。




いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照CDRまたはFR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ
酸置換を含む以外はその参照配列要素とそれぞれ同一のCDRおよびFR配列要素であっ
て、表2および3の対応するCDRおよびFR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較
して18個以下、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、
9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個の置換をCDRおよびFR
配列に共に含有するCDRおよびFR配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このよ
うな構造的特徴は、表2および3の対応するCDRおよびFR参照配列要素(配列番号1
〜60)と比較して18個以下の置換を共に含有するCDRおよびFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の対応するCDRおよ
びFR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較して15個以下の置換を共に含有するC
DRおよびFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照FR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のFR配列要素であって、表2および3の対応するFR参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をFR配列に含有するFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照CDR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含
む以外はその参照配列要素と同一のCDR配列要素であって、表2および3の対応するC
DR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個
、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3
個、2個または1個の置換をCDR配列に含有するCDR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照VH配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のVH配列要素であって、表2および3の対応するVH参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をCDR配列に含有するVH配列要素を含む。いくつかの実施形態で
は、このような構造的特徴は、表2および3の対応するVH参照配列要素(配列番号1〜
60)と比較して、VH−1、VH−2、VH−3、VH−4、VH−5、VH−6、V
H−7、VH−8、VH−9、VH−10、VH−11、VH−12、VH−13、VH
−14、VH−15、VH−16またはそれらの断片のいずれか1つに対応する構造要素
を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照VL配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のVL配列要素であって、表2および3の対応するVH参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をCDR配列に含有するVL配列要素を含む。いくつかの実施形態で
は、このような構造的特徴は、表2および3の対応するVL参照配列要素(配列番号1〜
60)と比較して、VL−1、VL−2、VL−3、VL−4、VL−5、VL−6、V
L−7、VL−8、VL−9、VL−10、VL−11またはそれらの断片のいずれか1
つに対応する構造要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、VH−1、VH−2、VH−3、
VH−4、VH−5、VH−6、VH−7、VH−8、VH−9、VH−10、VH−1
1、VH−12、VH−13、VH−14、VH−15、VH−16またはそれらの断片
のいずれか1つとVL−1、VL−2、VL−3、VL−4、VL−5、VL−6、VL
−7、VL−8、VL−9、VL−10、VL−11またはそれらの断片のいずれか1つ
とが結合したものに対応する構造要素を含む。いくつかの実施形態では、VH−1(配列
番号1)は、VL−1(配列番号33)と結合している。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)1配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)2配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)3配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2の参照VHフレームワーク領
域配列要素(配列番号1〜16)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%超
、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを示すVHフレームワーク領域
配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表3の参照VLフレームワーク領
域配列要素(配列番号33〜43)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%
超、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを示すVLフレームワーク領
域配列要素を含む。
(結合剤)
(構造および特徴)
本開示は、インフルエンザ結合剤を提供する。本発明は特に、結合剤であって、提供さ
れる結合剤が、特定のインフルエンザグループ由来の特定のHAエピトープ(eptit
ope)および/またはHAに結合する機能的属性をある特定の提供されるインフルエン
ザ抗体と共有するように、このようなある特定の提供される抗体のこのような構造的特徴
を含む結合剤を提供する。いくつかの実施形態では、このような結合剤は、グループ1ウ
イルス由来の特定のHAエピトープ(eptitope)および/またはHAに結合する
機能的属性を特徴とする。いくつかの実施形態では、このような結合剤は、グループ2ウ
イルス由来の特定のHAエピトープ(eptitope)および/またはHAに結合する
機能的属性を特徴とする。いくつかの実施形態では、このような結合剤は、グループ1ウ
イルスおよびグループ2ウイルス由来の特定のHAエピトープ(eptitope)およ
び/またはHAに結合する機能的属性を特徴とする。いくつかの実施形態では、このよう
な結合剤は、サブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H1
0、H11、H12、H13、H14、H15および/またはH16のHAポリペプチド
に結合する機能的属性を特徴とする。具体的には、いくつかの実施形態では、このような
結合剤は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、
H12、H13、H14、H15およびH16のHAポリペプチドの1つまたは複数に特
徴的な配列要素を有するHAポリペプチドに結合する機能的属性を特徴とする。いくつか
の実施形態では、このような結合剤は、異なるH1、H2、H3、H4、H5、H6、H
7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15およびH16のHA
ポリペプチドの1つまたは複数に対するその親和性の少なくとも5%、10%、15%、
20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、
70%、75%、80%、85%、90%またはそれ以上の親和性で、H1、H2、H3
、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H
15およびH16のHAポリペプチドの1つまたは複数に結合する機能的属性を特徴とす
る。
いくつかの実施形態では、このような結合剤は、異なるHAポリペプチド(例えば、異
なるグループ、クレードもしくはクラスタおよび/または異なる株由来のHAポリペプチ
ド)に対して、互いの5倍以内の結合親和性である結合親和性を示す。いくつかの実施形
態では、このような結合剤は、異なるHAポリペプチドに対して、互いの2倍以内の結合
親和性を示す。いくつかの実施形態では、このような結合剤は、異なるHAポリペプチド
(例えば、異なるグループ、クレードもしくはクラスタおよび/または異なる株由来のH
Aポリペプチド)に対して、互いの150倍以内(例えば、100倍以内、50倍以内、
25倍以内、10倍以内または5倍以内)の結合親和性である結合親和性を示す。
いくつかの実施形態では、このような結合剤は、H1、H3、H5、H7および/また
はH9のHAポリペプチドの少なくとも2つに結合する機能的属性を特徴とする。いくつ
かの実施形態では、このような結合剤は、H1、H3、H5、H7および/またはH9の
HAポリペプチドの少なくとも3つ、4つまたは5つに結合する機能的属性を特徴とする
いくつかの実施形態では、このような結合剤は、サブタイプH1、H2、H3、H4、
H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15およ
び/またはH16の少なくとも1つに結合する機能的属性を特徴とし、サブタイプH1、
H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、
H14、H15および/またはH16の少なくとも1つのHAポリペプチドに結合しない
。いくつかの実施形態では、このような結合剤は、サブタイプH1のHAポリペプチドに
結合する。いくつかの実施形態では、このような結合剤は、それが少なくとも1つのサブ
タイプH2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H
13、H14、H15および/またはH16のHAポリペプチドに結合する親和性の少な
くとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%または
それ以上の親和性で、サブタイプH1のHAポリペプチドに結合する。いくつかの実施形
態では、このような結合剤は、サブタイプH3のHAポリペプチドに結合する。いくつか
の実施形態では、このような結合剤は、それが少なくとも1つのサブタイプH1、H2、
H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H1
5および/またはH16のHAポリペプチドに結合する親和性の少なくとも100%、少
なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%またはそれ以上の親和性で
、サブタイプH3のHAポリペプチドに結合する。
いくつかの実施形態では、このような結合剤は、本明細書に記載および/または例示さ
れる範囲内の中和IC50(ug/ml)を示す機能的属性を特徴とする。いくつかの実
施形態では、このような結合剤は、下限が約0.1ug/mlであり、上限が約10ug
/mlである中和IC50(ug/ml)を示す。いくつかの実施形態では、このような
結合剤は、下限が0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7
、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7
、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0ug/m
lまたはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下限よりも高く、1.5、1.6
、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0
、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.
0ug/mlまたはそれ以上からなる群より選択される中和IC50(ug/ml)を示
す。
いくつかの実施形態では、このような提供される結合剤は、2000nM未満、150
0nM未満、1000nM未満、500nM未満、250nM未満、225nM未満、2
00nM未満、175nM未満、150nM未満、125nM未満、100nM未満、7
5nM未満または50nM未満のK(nM)で、インフルエンザHA(例えば、グルー
プ1および/またはグループ2サブタイプ)に対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される結合剤は、下限が約0.01×10
−1−1であり、上限が約1.0×10−1−1であるK(M−1−1
で、インフルエンザHAに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.
01×10、0.02×10、0.04×10、0.04×10、0.08×1
、0.1×10、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×1
、1.0×10、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×1
、2.0×10−1−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記
下限よりも高く、1.0×10、1.5×10、2.0×10、2.5×10
3.0×10、3.5×10、4.5×10、5.0×10、5.5×10
6.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10
8.5×10、9.0×10、9.5×10、1.0×10、1.1×10
1.2×10、1.3×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10
1.7×10、1.8×10、1.9×10−1−1またはそれ以上からなる
群より選択されるK(M−1−1)で、インフルエンザHAに対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このような提供される結合剤は、下限が約0.01×10
−1であり、上限が約1.0×10−1であるK(s−1)で、インフルエンザ
HAに対する結合を示す。このような提供される抗体は、下限が0.01×10、0.
02×10、0.04×10、0.04×10、0.08×10、0.1×10
、0.2×10、0.4×10、0.6×10、0.8×10、1.0×10
、1.2×10、1.4×10、1.6×10、1.8×10、2.0×10
−1またはそれ以上からなる群より選択され、上限が前記下限よりも高く、1.0×
10、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3.0×10、3.5×
10、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×
10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×
10、9.5×10、1.0×10、1.1×10、1.2×10、1.3×
10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.7×10、1.8×
10、1.9×10−1またはそれ以上からなる群より選択されるK(s−1
で、インフルエンザHAに対する結合を示す。
いくつかの実施形態では、このようなある特定の結合剤のこのような構造的特徴は、表
2および3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜60)と配列が少なくとも65、
70、75、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、9
5、96、97、98または99%同一の1つまたは複数のCDRまたは1つまたは複数
のFRを含む。いくつかの実施形態では、このような結合剤のこのような構造的特徴は、
表2および3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜60)と少なくとも65、70
、75、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、
96、97、98または99%の相同性を含む1つまたは複数のCDRまたは1つまたは
複数のFRを含む。いくつかの実施形態では、このような結合剤のこのような構造的特徴
は、表2および3の対応するCDRまたはFR(配列番号1〜60)と配列が同一の1つ
または複数のCDRおよび/または1つまたは複数のFRを含む。いくつかの実施形態で
は、このような結合剤のこのような構造的特徴は、表2および3に記載されているもの(
配列番号1〜60)と配列が同一のCDRおよびFRを含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照CDRまたはFR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ
酸置換を含む以外はその参照配列要素とそれぞれ同一のCDRおよびFR配列要素であっ
て、表2および3の対応するCDRおよびFR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較
して18個以下、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、
9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個の置換をCDRおよびFR
配列に共に含有するCDRおよびFR配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このよ
うな構造的特徴は、表2および3の対応するCDRおよびFR参照配列要素(配列番号1
〜60)と比較して18個以下の置換を共に含有するCDRおよびFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の対応するCDRおよ
びFR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較して15個以下の置換を共に含有するC
DRおよびFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照FR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のFR配列要素であって、表2および3の対応するFR参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をFR配列に含有するFR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照CDR配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含
む以外はその参照配列要素と同一のCDR配列要素であって、表2および3の対応するC
DR参照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個
、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3
個、2個または1個の置換をCDR配列に含有するCDR配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照VH配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のVH配列要素であって、表2および3の対応するVH参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をCDR配列に含有するVH配列要素を含む。いくつかの実施形態で
は、このような構造的特徴は、表2および3の対応するVH参照配列要素(配列番号1〜
60)と比較して、VH−1、VH−2、VH−3、VH−4、VH−5、VH−6、V
H−7、VH−8、VH−9、VH−10、VH−11、VH−12、VH−13、VH
−14、VH−15、VH−16またはそれらの断片のいずれか1つに対応する構造要素
を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または表3に記載さ
れている参照VL配列要素(配列番号1〜60)に対して1個以上のアミノ酸置換を含む
以外はその参照配列要素と同一のVL配列要素であって、表2および3の対応するVH参
照配列要素(配列番号1〜60)と比較して18個以下、17個、16個、15個、14
個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2
個または1個の置換をCDR配列に含有するVL配列要素を含む。いくつかの実施形態で
は、このような構造的特徴は、表2および3の対応するVL参照配列要素(配列番号1〜
60)と比較して、VL−1、VL−2、VL−3、VL−4、VL−5、VL−6、V
L−7、VL−8、VL−9、VL−10、VL−11またはそれらの断片のいずれか1
つに対応する構造要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、VH−1、VH−2、VH−3、
VH−4、VH−5、VH−6、VH−7、VH−8、VH−9、VH−10、VH−1
1、VH−12、VH−13、VH−14、VH−15、VH−16またはそれらの断片
のいずれか1つとVL−1、VL−2、VL−3、VL−4、VL−5、VL−6、VL
−7、VL−8、VL−9、VL−10、VL−11またはそれらの断片のいずれか1つ
とが結合したものに対応する構造要素を含む。いくつかの実施形態では、VH−1(配列
番号1)は、VL−1(配列番号33)と結合している。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R1配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)1配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR1配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)1配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R2配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)2配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR2配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)2配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および/または3の参照CD
R3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と少なくとも6
5%、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超の
同一性を示す相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、こ
のような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18およ
び/または配列番号44〜54)と比較して2個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定
領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、
表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44
〜54)と比較して1個以上のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要
素を含む。いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CD
R3配列要素(配列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して少な
くとも2個のアミノ酸置換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつ
かの実施形態では、このような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配
列番号17〜18および/または配列番号44〜54)と比較して2個未満のアミノ酸置
換を有する相補性決定領域(CDR)3配列要素を含む。いくつかの実施形態では、この
ような構造的特徴は、表2および3の参照CDR3配列要素(配列番号17〜18および
/または配列番号44〜54)のうちの1つの配列と同一のアミノ酸配列を有する相補性
決定領域(CDR)3配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表2の参照VHフレームワーク領
域配列要素(配列番号1〜16)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%超
、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを示すVHフレームワーク領域
配列要素を含む。
いくつかの実施形態では、このような構造的特徴は、表3の参照VLフレームワーク領
域配列要素(配列番号33〜43)と65%超、70%超、75%超、80%超、85%
超、90%超、95%超または99%超の同一性パーセントを示すVLフレームワーク領
域配列要素を含む。
(例示的な結合剤)
(抗体および/または抗体断片)
本明細書で使用される場合、結合剤は、抗原または生物学的標的に結合することができ
る作用物質を指す。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ポリペプチドである
か、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、抗体もしくはそ
の断片であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、モ
ノクローナル抗体もしくはその断片であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態で
は、提供される結合剤は、ポリクローナル抗体もしくはその断片であるか、またはこれを
含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、天然に生産された抗体で生じるように、ジス
ルフィド結合によって場合により会合した2本の重鎖および2本の軽鎖を含有する「全長
」抗体であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、全長抗体に見
られる配列の全部ではなく一部を含有する全長抗体の断片であるか、またはこれを含む。
例えば、いくつかの実施形態では、結合剤は、限定されないが、Fab、Fab’、F(
ab’)2、scFv、Fv、dsFvダイアボディおよびFd断片を含む抗体断片であ
るか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、IgG、Ig
M、IgA、IgD、IgEまたはそれらの断片からなる群より選択される抗体クラスの
メンバーである抗体であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される
結合剤は、化学合成によって生産される抗体であるか、またはこれを含む。いくつかの実
施形態では、提供される結合剤は、細胞によって産生される抗体であるか、またはこれを
含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、組換え細胞培養系を使用して生産
される抗体であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は
、ヒト定常および/または可変領域ドメインを有する、例えばマウス、ラット、ウマ、ブ
タまたは他の種由来のキメラ抗体であるか、またはこれを含む。
いくつかの実施形態では、結合剤は、限定されないが、Fab’、Fab、F(ab’
)2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(一本鎖Fv)、抗体CDRを有す
るポリペプチド、CDRを提示する足場ドメイン(例えば、アンチカリン)またはナノボ
ディを含む1つまたは複数の抗体断片を含む。例えば、提供される抗体は、重鎖のみを含
むVHH(すなわち、抗原特異的VHH)抗体であり得る。このような抗体分子は、ラマ
もしくは他のラクダ抗体(例えば、ラクダIgG2もしくはIgG3、またはこのような
ラクダIg由来のCDR提示フレーム)またはサメ抗体に由来し得る。いくつかの実施形
態では、結合剤は、アヴィボディ(ダイアボディ、トリボディ、テトラボディ)であるか
、またはこれを含む。様々な抗体ベースの構築物および断片を調製および使用するための
技術は、当技術分野で周知である。抗体を調製および特性決定するための手段も当技術分
野で周知である(例えば、Antibodies:A Laboratory Manu
al,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照
のこと;参照により本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、1つまたは複数の「ミニ抗体」または
「ミニボディ」を含む。ミニボディは、ヒンジ領域によってsFvから分離したオリゴマ
ー化ドメインをそのC末端に含むsFvポリペプチド鎖である。Packら、(1992
)Biochem 31:1579−1584。オリゴマー化ドメインは自己会合α−ヘ
リックス、例えばロイシンジッパーを含み、これは、さらなるジスルフィド結合によって
さらに安定化されていてもよい。オリゴマー化ドメインは、ポリペプチドの機能的結合タ
ンパク質へのインビボフォールディングを促進すると考えられるプロセスである膜横断ベ
クトルフォールディング(vectorial folding across a m
embrane)と適合するように設計される。一般に、ミニボディは、当技術分野で周
知の組換え法を使用して生産される。例えば、Packら、(1992)Biochem
31:1579−1584;Cumberら、(1992)J Immunology
149B:120−126.を参照のこと。
(ペプチド模倣体)
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、1つまたは複数の抗体様結合ペプチド
模倣体を含む。Liuら、Cell Mol Biol(Noisy−le−grand
).2003 Mar;49(2):209−16には、ペアードダウン抗体(pare
d−down antibodies)として作用し、血清半減期がより長くて合成方法
があまり煩雑ではないという一定の利点を有するペプチドである「抗体様結合ペプチド模
倣体」(ABiP)が記載されている。同様に、いくつかの態様では、抗体様分子は、環
式または二環式ペプチドである。例えば、抗原結合二環式ペプチドを(例えば、ファージ
ディスプレイによって)単離するための方法、およびこのようなペプチドを使用するため
の方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010031754
7号に示されている。
(足場タンパク質)
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、1つまたは複数の抗体様結合足場タン
パク質を含む。例えば、いくつかの実施形態では、抗体から生じる1つまたは複数のCD
Rは、タンパク質の足場に移植され得る。一般に、タンパク質の足場は、以下の基準の最
大数を満たし得る:(Skerra A.,J.Mol.Recogn.,2000,1
3:167−187):優れた系統的保存;公知の三次元構造(例えば、結晶解析法、N
MR分光法または当業者に公知の任意の他の技術による);小さいサイズ;転写後修飾が
少ないかもしくは全くない;ならびに/または生産、発現および精製の容易さ。このよう
なタンパク質の足場の起源は、限定されないが、フィブロネクチン(例えば、フィブロネ
クチン型IIIドメイン10)、リポカリン、アンチカリン(Skerra A.,J.
Biotechnol.,2001,74(4):257−75)、Staphyloc
occus aureusのプロテインAのドメインBから生じるプロテインZ、チオレ
ドキシンA、またはリピートモチーフ、例えば「アンキリンリピート」(Kohlら、P
NAS,2003,vol.100,No.4,1700−1705)、「アルマジロリ
ピート」、「ロイシンリッチリピート」および「テトラトリコペプチドリピート」を有す
るタンパク質であり得る。例えば、アンチカリンまたはリポカリン誘導体は、参照により
本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20100285564号、米国特許出願公
開第20060058510号、米国特許出願公開第20060088908号、米国特
許出願公開第20050106660号および国際公開第2006/056464号に記
載されている。毒素、例えばサソリ、昆虫、植物、軟体動物など由来の毒素に由来する足
場および神経NO合成酵素のタンパク質阻害剤(PIN)も、本発明にしたがって使用す
ることができる。
(ミモトープ)
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、インフルエンザウイルスとHAポリペ
プチド受容体との間の相互作用を破壊するのに使用され得るミモトープを含む。いくつか
の実施形態では、ミモトープは、その対応する標的エピトープによって誘発されるものと
同一または類似の抗体反応を誘発するのに使用される。いくつかの実施形態では、標的エ
ピトープは、1つより多くのインフルエンザサブタイプにわたって保存されている配列で
ある。いくつかの実施形態では、保存されたエピトープは、インフルエンザ型1および2
にわたって保存されている配列である。例えば、HA−1(ヘッド)およびHA−2(ス
トーク)ドメイン内に位置するすべてのインフルエンザサブタイプ由来のHA配列。いく
つかの実施形態では、エピトープは、HA−1/HA−2インターフェイスの膜近位エピ
トープ領域(MPER)内に位置する保存された配列である。いくつかの実施形態では、
エピトープは、基準α−ヘリックスおよび/またはその周辺の残基内に位置する保存され
た配列である。いくつかの実施形態では、ミモトープは、ペプチドである。いくつかの実
施形態では、ミモトープは、低分子、炭水化物、脂質または核酸である。いくつかの実施
形態では、ミモトープは、保存されたインフルエンザエピトープのペプチドまたは非ペプ
チドミモトープである。いくつかの実施形態では、定義されたウイルスエピトープの構造
を模倣することによって、ミモトープは、インフルエンザウイルス粒子がその天然結合パ
ートナーに結合する能力を、例えば、天然結合パートナー自体に結合することによって妨
害する。
(ステープルペプチド)
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、ステープルペプチドである。いくつか
の実施形態では、ステープルペプチドは、以下で論じられるように、表2および3の抗H
A抗体の対応するCDRおよび/またはFRと少なくとも65超、70、75、80、8
5、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98
または99%の相同性および/または同一性を含む1つまたは複数のCDRおよび/また
はFRをコードするアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ステープルペプチド
は、以下で論じられるように、表2および3の抗HA抗体の対応するVHおよびVL鎖と
少なくとも65超、70、75、80、85、86、87、88、89、90、91、9
2、93、94、95、96、97、98または99%の相同性および/または同一性を
含む1つまたは複数のVHおよび/またはVL鎖配列をコードするアミノ酸配列を含む。
(核酸)
ある特定の実施形態では、結合剤は、核酸、例えばDNAもしくはRNAであるか、ま
たはこれを含む。ある特定の実施形態では、核酸はDNAまたはRNAであり得、一本鎖
または二本鎖であり得る。いくつかの実施形態では、核酸は、1つまたは複数の非天然ヌ
クレオチドを含み得る;いくつかの実施形態では、核酸は、天然ヌクレオチドのみを含む
。いくつかの実施形態では、核酸は、血球凝集素(HA)ポリペプチド内のエピトープを
模倣するように設計される。いくつかの実施形態では、核酸は、1つまたは複数のインフ
ルエンザHAポリペプチドサブタイプ内の保存されたエピトープを模倣するように設計さ
れる。いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、1つまたは複数のオリゴヌクレオ
チド(oligonuclotides)であるか、またはこれを含む。いくつかの実施
形態では、提供される結合剤は、二次構造、例えばループ、ヘアピン、フォールドまたは
それらの組み合わせを含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(oligonuclo
tides)であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、提供される結合剤
は、より高次の(三次または四次)構造を含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(o
ligonuclotides)であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態では
、提供される結合剤は、アプタマーであるか、またはこれを含む。
(標的化結合)
いくつかの実施形態では、結合剤は、選択された結合部位に結合する薬剤であるか、ま
たはこれを含む。いくつかの実施形態では、このような結合剤は、操作または設計された
ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、このような選択された結合部位は、血球
凝集素(HA)ポリペプチド内にある。いくつかの実施形態では、このような選択された
結合部位は、HAポリペプチドのMPER領域内にある。いくつかの実施形態では、この
ような選択された結合剤は、そのグリコシル化にかかわらず、HAポリペプチドのMPE
R領域内の選択された結合部位に結合することができる。例えば、いくつかの実施形態で
は、結合剤は、MPER領域に対するそれらの結合がそのグリコシル化によって妨げられ
ていない適切なサイズになるように設計される。いくつかの実施形態では、結合剤は、他
の同一の非グリコシル化MPER領域に対するその親和性の少なくとも5%、10%、1
5%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、6
5%、70%、75%、80%、85%、90%またはそれ以上の親和性で、グリコシル
化MPER領域に結合する。いくつかの実施形態では、結合剤は、HA−1(ヘッド)お
よび/またはHA−2(ストーク)ドメイン内に位置するHAポリペプチド配列に結合す
る。いくつかの実施形態では、結合剤は、HA−1/HA−2インターフェイスの膜近位
エピトープ領域(MPER)内に位置するHAポリペプチド配列に結合する。いくつかの
実施形態では、結合剤は、基準α−ヘリックスおよび/またはその周辺の残基内に位置す
るHAポリペプチド配列に結合する。
いくつかの実施形態では、結合剤は、1つまたは複数の標的残基との相互作用によって
それらの選択された結合部位に結合する。いくつかの実施形態では、このような標的残基
は、アミノ酸、糖、脂質またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、本
発明は、HAポリペプチド、HAポリペプチド上のN結合型グリカン、HA受容体、HA
受容体上のシアル化グリカンまたはそれらの様々な組み合わせに結合する結合剤を提供す
る。いくつかの実施形態では、HA受容体に結合する結合剤は、HA受容体上の1つまた
は複数のグリカンと相互作用する。いくつかの実施形態では、結合剤は、シアル化グリカ
ンに結合する。いくつかの実施形態では、結合剤は、HA受容体に対する結合について、
インフルエンザウイルスと競合する。いくつかの実施形態では、結合剤は、インフルエン
ザウイルスとHA受容体との間の結合が、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なく
とも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なく
とも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、
少なくとも13倍、少なくとも14倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくと
も17倍、少なくとも18倍、少なくとも19倍または少なくとも20倍減少するように
、結合についてインフルエンザウイルスと競合する。いくつかの実施形態では、結合剤は
、HA受容体上のグリカンに対する結合について、インフルエンザウイルスと競合する。
多くの実施形態では、結合剤は、約1000アミノ酸未満の長さを有する。いくつかの
実施形態では、結合剤は、最大長が約1000、975、950、925、900、87
5、850、825、800、775、750、725、700、675、650、62
5、600、575、550、525、500、475、450、425、400、37
5、350、325、300、275、250、240、230、220、210、20
0、190、180、170、160、150、140、130、125、120、11
5、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55
、50、45、40、35、30、25または20アミノ酸長未満の長さを有する。いく
つかの実施形態では、結合剤は、最小長が約5、6、7、8、9、10、11、12、1
3、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26
、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、
40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、5
3、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66
、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79ア
ミノ酸長またはそれ以上よりも大きい長さを有する。いくつかの実施形態では、結合剤は
、最大長が最小長よりも長い限り、このような最小長のいずれか1つと、このような最大
長のいずれか1つとの間の長さを有する。いくつかの特定の実施形態では、結合剤は、約
20〜500、または30〜400、または40〜300、または80〜250アミノ酸
の長さを有する。いくつかの実施形態では、結合剤は、約84、88、93、95、98
、104、106、110、111、116、119、123、124、132、212
、215、244、または245の長さを有する。
(結合剤の改変)
いくつかの実施形態では、結合剤は、天然アミノ酸から構成される。他の実施形態では
、結合剤は、1つまたは複数の非天然アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、結合剤
は、天然および非天然アミノ酸の組み合わせから構成される。いくつかの実施形態では、
結合剤は、共有結合または非共有結合した1本、2本またはそれ以上のポリペプチド鎖か
ら構成される。いくつかの実施形態では、結合剤は、結合剤が相互作用のためのその三次
元構造および配置を保持している限り、より長いポリペプチド鎖(またはその一部)に連
結されていてもよい。いくつかの実施形態では、結合剤は、別のポリペプチド(これは結
合剤であるか、または結合剤ではない)の配列のN末端またはC末端に付加されていても
よい。いくつかの実施形態では、結合剤が、別のポリペプチド(これは結合剤であるか、
または結合剤ではない)の配列に組み込まれており、それにより前記ポリペプチド配列が
2つ以上のセグメントに分離されていてもよい。
いくつかの実施形態では、結合剤を別のポリペプチド(これは結合剤であるか、または
結合剤ではない)のN末端もしくはC末端または配列内に付加することは、以下の少なく
とも1つまたは複数を可能にすることができる:免疫原性の減少、循環寿命の増加、より
遅いインビボ分解、局所的な免疫応答の扇動、免疫系分子との相互作用、体積の増加、結
合剤の標的に対する親和性の増加、結合剤の標的に対する特異性の増加、または他の一般
に使用される治療剤/予防剤送達プロトコールの使用。いくつかの実施形態では、結合剤
を別のポリペプチド(これは結合剤であるか、または結合剤ではない)のN末端もしくは
C末端または配列内に付加することは、標的(例えば、HAポリペプチド、HAポリペプ
チドのMPER領域、HAポリペプチド上のN−グリカン、HA受容体、またはHA受容
体上のシアル化グリカン)に対する結合剤の結合に対して直接的な効果を有しない。
(結合剤コンジュゲート)
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、(結合剤またはその機能的部分を含む
か、またはこれからなる)結合剤部分とコンジュゲート部分とのコンジュゲートであるか
、またはこれを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載される結合剤は、
1つまたは複数の活性剤または「ペイロード」、例えば治療剤または検出剤と併せて提供
および/または利用される。いくつかのこのような実施形態では、結合剤と活性剤および
/またはペイロードとの間の会合は、結合剤コンジュゲートが提供されるように少なくと
も1つの共有結合性相互作用を含む。
いくつかの実施形態では、治療ペイロード剤は、所望の活性、例えば抗ウイルス活性、
抗炎症活性、細胞傷害活性などを有するエフェクター実体である。治療剤は、例えば、タ
ンパク質、炭水化物、脂質、核酸、有機低分子、非生物学的ポリマー、金属、イオン、放
射性同位体などを含む任意のクラスの化学成分であり得るか、またはこれを含み得る。い
くつかの実施形態では、本発明にしたがって使用するための治療剤は、インフルエンザ感
染症の1つまたは複数の症候または原因の処置に関連する生物学的活性(例えば、抗ウイ
ルス、鎮痛、抗炎症、免疫調節、睡眠誘導活性など)を有し得る。いくつかの実施形態で
は、本発明にしたがって使用するための治療剤は、1つまたは複数の他の活性を有する。
いくつかの実施形態では、ペイロード検出剤は、例えば、その特定の機能的特性および
/または化学的特徴によるアッセイを使用して検出され得る任意の部分であるか、または
これを含む。このような薬剤の非限定的な例としては、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍
光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子または
リガンド、例えばビオチンが挙げられる。
多くの適切なペイロード検出剤は、結合剤に対するそれらの結合のためのシステムと同
様に当技術分野で公知である(例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米
国特許第5,021,236号;米国特許第4,938,948号;および米国特許第4
,472,509号を参照のこと)。このようなペイロード検出剤の例(Exemple
s)としては、とりわけ、常磁性イオン、放射性同位体、蛍光色素、NMRで検出可能な
物質、X線造影剤が挙げられる。例えば(For exaple)、いくつかの実施形態
では、常磁性イオンは、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II
)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウ
ム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II
)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビ
ウム(III)、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)および/またはビスマ
ス(III)の1つまたは複数である。
いくつかの実施形態では、放射性同位体は、アスタチン211、14炭素、51クロム
、36塩素、57コバルト、58コバルト、銅67、152Eu、ガリウム67、3水素
、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム111、59鉄、32リン、
ラジウム223、レニウム186、レニウム188、75セレン、35硫黄、テクネチウ
ム(technicium)99m、トリウム227および/またはイットリウム90の
1つまたは複数である。放射性標識抗体は、当技術分野で周知の方法にしたがって生産す
ることができる。例えば、モノクローナル抗体は、ヨウ化ナトリウムおよび/またはヨウ
化カリウムならびに化学的酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムまたは酵素酸化剤、例え
ばラクトペルオキシダーゼとの接触によってヨウ素化することができる。提供される結合
剤は、テクネチウム99mを用いてリガンド交換法によって、例えば、第一スズ溶液でパ
ーテクネートを還元し、還元テクネチウムをSephadexカラム上にキレートし、抗
体をこのカラムにアプライすることによって標識することができる。いくつかの実施形態
では、提供される結合剤は、直接標識技術を使用して、例えば、パーテクネート、還元剤
、例えばSNCl、緩衝溶液、例えばフタル酸ナトリウム−カリウム溶液および抗体を
インキュベートすることによって標識される。金属イオンとして存在する放射性同位体を
抗体に結合させるのによく使用される中間官能基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DT
PA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
いくつかの実施形態では、蛍光標識は、とりわけ、Alexa 350、Alexa
430、AMCA、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、B
ODIPY−FL、BODIPY−R6G、BODIPY−TMR、BODIPY−TR
X、Cascade Blue、Cy3、Cy5,6−FAM、フルオレセインイソチオ
シアネート、HEX、6−JOE、Oregon Green 488、Oregon
Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、
REG、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Renogr
aphin、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミンおよび/またはTe
xas Redの1つまたは複数であるか、またはこれを含む。
結合剤をペイロードに結合またはコンジュゲートするためのいくつかの方法が当技術分
野で公知である。いくつかの結合方法は、例えば、抗体に結合した有機キレート剤、例え
ばジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA);エチレントリアミン四酢酸;N−ク
ロロ−p−トルエンスルホンアミドおよび/またはテトラクロロ3α−6α−ジフェニル
グリコウリル−3を用いる金属キレート錯体の使用を含む(それぞれが参照により本明細
書に組み込まれる米国特許第4,472,509号および米国特許第4,938,948
号)。提供される結合剤はまた、カップリング剤、例えばグルタルアルデヒドまたは過ヨ
ウ素酸塩の存在下で酵素と反応させることができる。フルオレセインマーカーとのコンジ
ュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応に
よって調製される。
(抗インフルエンザ抗体の生産)
提供される抗体および/もしくはその特徴的な部分、またはそれらをコードする核酸は
、任意の利用可能な手段によって生産することができる。抗体(例えば、モノクローナル
抗体および/またはポリクローナル抗体)を作製するための方法は当技術分野で周知であ
る。ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはヤギを含む広範囲の動物種
を抗血清の生産に使用することができると認識されよう。当業者に公知であるように、動
物の選択は、操作の容易性、コストまたは所望の血清量に応じて決定することができる。
目的の免疫グロブリン重鎖および軽鎖配列がトランスジェニックな哺乳動物または植物を
作製し、それらから回収可能な形態の抗体を産生させることによって、抗体をトランスジ
ェニックに生産することもできると認識されよう。哺乳動物におけるトランスジェニック
生産に関して、ヤギ、ウシまたは他の哺乳動物の乳中に抗体を産生させ、それから回収す
ることができる。例えば、米国特許第5,827,690号、米国特許第5,756,6
87号、米国特許第5,750,172号および米国特許第5,741,957号を参照
のこと。
提供される抗体(または特徴的な部分)は、例えば、本発明の抗体をコードする核酸を
発現するように操作された宿主細胞系を利用することによって生産することができる。あ
るいはまたは加えて、提供される抗体は、(例えば、自動ペプチド合成器を使用して)化
学合成によって部分的にまたは完全に調製することができる。
本発明に適切な抗体調製用の例示的な供給源としては、限定されないが、目的のタンパ
ク質を発現する組換え細胞株の培養、もしくは例えば抗体を産生する細胞、細菌、真菌細
胞、昆虫細胞、トランスジェニック植物もしくは植物細胞、トランスジェニック動物もし
くは動物細胞の細胞抽出物から得られる馴化培養培地、または動物の血清、腹水、ハイブ
リドーマまたは骨髄腫上清が挙げられる。適切な細菌細胞としては、限定されないが、大
腸菌(Escherichia coli)細胞が挙げられる。適切な大腸菌(E.co
li)株の例としては、HB101、DH5α、GM2929、JM109、KW251
、NM538、NM539、および外来DNAを切断することができない任意のE.co
li株が挙げられる。使用され得る適切な真菌宿主細胞としては、限定されないが、Sa
ccharomyces cerevisiae、Pichia pastorisおよ
びAspergillus細胞が挙げられる。適切な昆虫細胞としては、限定されないが
、S2シュナイダー細胞、D.Mel−2細胞、SF9、SF21、High−5(商標
)、Mimic(商標)−SF9、MG1およびKC1細胞が挙げられる。適切な例示的
な組換え細胞株としては、限定されないが、BALB/cのマウス骨髄腫株、ヒト網膜芽
細胞(PER.C6)、サル腎臓細胞、ヒト胚腎臓株(293)、ベビーハムスター腎臓
細胞(BHK)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、マウスセルトリ細胞、ア
フリカミドリザル腎細胞(VERO−76)、ヒト子宮頸癌種細胞(HeLa)、イヌ腎
臓細胞、バッファローラット肝臓細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝臓細胞、マウス乳腺腫瘍細胞
、TRI細胞、MRC 5細胞、FS4細胞およびヒト肝癌株(Hep G2)が挙げら
れる。
当技術分野で公知の様々なベクター(例えば、ウイルスベクター)を使用して目的の抗
体を発現させることができ、当技術分野で公知の様々な条件(例えば、フェドバッチ)下
で細胞を培養することができる。抗体を産生するように細胞を遺伝子操作する様々な方法
が当技術分野で周知である。例えば、Ausabelら、eds.(1990),Cur
rent Protocols in Molecular Biology(Wile
y,New York)を参照のこと。
提供される抗体は、所望により、ろ過、遠心分離および/または様々なクロマトグラフ
ィー法、例えばHPLCまたはアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製するこ
とができる。いくつかの実施形態では、提供される抗体の断片は、ペプシンもしくはパパ
インなどの酵素による消化を含む方法によって、および/または化学的還元によるジスル
フィド結合の切断によって得られる。
また、当業者であれば、インフルエンザ抗原(例えば、インフルエンザHA)に結合す
ることができるポリペプチドを容易にスクリーニングおよび/または選択するのを可能に
する条件下で、抗体(単独かまたは複合体の一部(ウイルス粒子またはウイルスの一部を
含む)かにかかわらず)を産生する細胞または生物を培養することによって、本明細書に
記載されるポリペプチド、特に抗体を作製、同定、単離、および/または生産することが
できることを認識するであろう。ほんの一例を挙げると、いくつかの実施形態では、(例
えば、特定の特異性および/または親和性で)HAポリペプチドに結合する変異体を明ら
かにし、および/またはこれを好む条件下で、抗体の集合物を生産および/または研究す
ることが有用であり得る。いくつかの実施形態では、このような抗体の集合物は、自然進
化から生じる。いくつかの実施形態では、このような抗体の集合物は、エンジニアリング
から生じる。いくつかの実施形態では、このような抗体の集合物は、エンジニアリングと
自然進化の組み合わせから生じる。
抗体の特徴および/または活性を改善するような方法で、提供される抗体を操作、生産
および/または精製することができると認識されよう。例えば、提供される抗体の特徴の
改善としては、限定されないが、とりわけ、安定性の増加、結合親和性および/またはア
ビディティの改善、結合特異性の増加、生産の増加、凝集の減少、非特異的結合の減少が
挙げられる。
(核酸)
ある特定の実施形態では、本発明は、抗体、または抗体の特徴的な部分もしくは生物学
的に活性な部分をコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、抗体
、または抗体の特徴的な部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸に相補的な
核酸を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体、または抗体の特徴的な部分もしくは生物学
的に活性な部分をコードする核酸にハイブリダイズする核酸分子を提供する。このような
核酸は、例えば、プライマーまたはプローブとして使用することができる。ほんの数例を
挙げると、このような核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるプライマーとし
て、ハイブリダイゼーション(インサイチューハイブリダイゼーションを含む)のための
プローブとして、および/または逆転写−PCR(RT−PCR)のためのプライマーと
して使用することができる。
ある特定の実施形態では、核酸は、DNAまたはRNAでもよく、一本鎖でもよいしま
たは二本鎖でもよい。いくつかの実施形態では、核酸は、1つまたは複数の非天然ヌクレ
オチドを含み得る;いくつかの実施形態では、核酸は、天然ヌクレオチドのみを含む。
(結合剤を同定および/または特性決定するためのシステム)
本発明は、インフルエンザ結合剤(例えば、抗HA抗体)を試験、特性決定および/ま
たは同定するための様々なシステムを提供する。いくつかの実施形態では、提供される結
合剤は、他のインフルエンザ剤(例えば、抗体、ポリペプチド、低分子など)を同定およ
び/または特性決定するのに使用される。
いくつかの実施形態では、提供される結合剤は、結合剤を1つまたは複数の候補基質、
例えば、HAポリペプチドの領域、HAポリペプチド上のN−グリカン、HA受容体、シ
アル化HA受容体、シアル化HA受容体上のグリカン、および/またはシアル化HA受容
体上の傘状形態のグリカンと接触させることを含むシステムおよび方法を特徴とする。
いくつかの実施形態では、薬剤および/または候補基質を溶液中で遊離し、支持体に固
定化し、および/または細胞内および/もしくは細胞表面上に発現させることができる。
候補基質および/または薬剤を標識し、それにより結合の検出を可能にすることができる
。薬剤または候補基質のいずれかは、標識された種である。物質の1つを標識する競合的
結合形式を実施することができ、結合に対する効果を決定するために、結合標識に対する
遊離標識の量を測定することができる。
いくつかの実施形態では、結合アッセイは、例えば、候補基質を薬剤に曝露し、候補基
質と薬剤との間の結合を検出することを含む。結合アッセイは、インビトロで(例えば、
実質的には前述の成分のみを含む候補チューブ内で;無細胞抽出物中で;および/または
実質的に精製された成分中で)行うことができる。あるいはまたは加えて、結合アッセイ
は、インサイトおよび/またはインビボ(例えば、細胞、組織、臓器、および/または生
物内;以下にさらに詳細に記載される)で行うことができる。
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの薬剤を少なくとも1つの候補基質と接触さ
せ、効果を検出する。いくつかの実施形態では、例えば、薬剤を候補基質と接触させ、こ
の2つの実体間の結合をモニタリングする。いくつかの実施形態では、アッセイは、候補
基質を薬剤の特徴的な部分と接触させることを含み得る。薬剤の候補基質に対する結合を
検出する。薬剤の断片、部分、相同体、変異体、および/または誘導体は、それらが1つ
または複数の候補基質に結合する能力を含むという条件で用いることができると認識され
よう。
薬剤の候補基質に対する結合は、当技術分野で周知の様々な方法によって決定すること
ができる。本発明は、固相に結合した薬剤を用いて、それらと1つまたは複数の候補基質
との相互作用を検出するアッセイを提供する。したがって、薬剤は、検出可能なマーカー
、例えば、放射性標識、蛍光標識、および/または発光性標識を含み得る。さらに、(例
えば、発色基質を使用する酵素を用いることによる、および/または検出可能な抗体に結
合することによる)間接的な検出を可能にする物質に候補基質をカップリングすることが
できる。候補基質との相互作用の結果としての薬剤の立体配座の変化を、例えば、検出可
能なマーカーの発光の変化によって検出することができる。あるいはまたは加えて、固相
に結合したタンパク質複合体を、質量分析によって分析することができる。
いくつかの実施形態では、薬剤を固定化しなくてもよい。いくつかの実施形態では、非
固定化成分を(例えば、放射性標識、エピトープタグ、酵素−抗体コンジュゲートなどで
)標識することができる。あるいはまたは加えて、結合を、免疫学的検出技術によって決
定することができる。例えば、反応混合物をウエスタンブロッティングに供し、非固定化
成分を検出する抗体でブロットをプローブすることができる。あるいはまたは加えて、酵
素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、結合をアッセイすることができる。
ある特定の実施形態では、薬剤と候補基質との間の結合について、細胞を直接アッセイ
することができる。結合を評価するための免疫組織化学的技術、共焦点技術、および/ま
たは他の技術は、当業者に周知である。この目的のために特に操作された細胞を含む様々
な細胞株をこのようなスクリーニングアッセイに利用することができる。スクリーニング
アッセイにおいて使用される細胞の例としては、哺乳動物細胞、真菌細胞、細菌細胞、ま
たはウイルス細胞が挙げられる。細胞は、増殖因子で刺激された細胞などの刺激細胞であ
り得る。当業者であれば、本明細書に開示される本発明は、薬剤が候補基質に結合する能
力を測定するための多種多様なインサイトアッセイを企図することを理解するであろう。
アッセイに応じて、細胞培養および/または組織培養を必要とし得る。いくつかの様々
な生理学的なアッセイのいずれかを使用して、細胞を検査することができる。あるいはま
たは加えて、限定されないが、タンパク質発現をモニタリングし、および/またはタンパ
ク質−タンパク質相互作用を試験するためのウエスタンブロッティング;他の化学修飾を
モニタリングするための質量分析;などを含む分子分析を実施することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される結合アッセイは、様々な濃度の薬剤お
よび/または候補基質を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、本明
細書に記載される結合アッセイは、候補基質が薬剤に結合する能力を、ある範囲の抗体濃
度(例えば、約100μg/ml超、約100μg/ml、約50μg/ml、約40μ
g/ml、約30μg/ml、約20μg/ml、約10μg/ml、約5μg/ml、
約4μg/ml、約3μg/ml、約2μg/ml、約1.75μg/ml、約1.5μ
g/ml、約1.25μg/ml、約1.0μg/ml、約0.9μg/ml、約0.8
μg/ml、約0.7μg/ml、約0.6μg/ml、約0.5μg/ml、約0.4
μg/ml、約0.3μg/ml、約0.2μg/ml、約0.1μg/ml、約0.0
5μg/ml、約0.01μg/ml、および/または約0.01μg/ml未満)にわ
たって評価するのに使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される結合試験のいずれも、ハイスループッ
ト様式で実行することができる。ハイスループットアッセイを使用して、最大数千の薬剤
を1日でスクリーニングすることが可能である。いくつかの実施形態では、選択された候
補基質に対する別個のアッセイを実行するために、マイクロタイタープレートの各ウェル
を使用することもできるし、または濃度および/もしくはインキュベーション時間の効果
を観察しようとする場合には、5〜10ウェル毎に1つの候補基質を試験することができ
る。したがって、1つの標準的なマイクロタイタープレートは、薬剤と候補基質との間の
最大96の結合相互作用をアッセイすることができる;1536ウェルプレートを使用す
る場合、1つのプレートは、薬剤と候補基質との間の最大1536の結合相互作用をアッ
セイすることができる;などである。1日当たりに多くのプレートをアッセイすることが
可能である。例えば、最大約6,000、約20,000、約50,000、または約1
00,000を超えるアッセイスクリーニングを、本発明にしたがってハイスループット
システムを使用して、抗体と候補基質との間の結合相互作用に対して実施することができ
る。
いくつかの実施形態では、このような方法は、動物宿主を利用する。本明細書で使用さ
れる場合、「動物宿主」は、インフルエンザ研究に適切な任意の動物モデルを含む。例え
ば、本発明に適切な動物宿主は、霊長類、フェレット、ネコ、イヌ、雌ウシ、ウマ、げっ
歯類、例えば、マウス、ハムスター、ウサギ、およびラットを含む任意の哺乳動物宿主で
あり得る。ある特定の実施形態では、本発明に使用される動物宿主はフェレットである。
特に、いくつかの実施形態では、動物宿主は、(場合により、本発明の組成物中の)薬剤
の投与前に、ウイルス曝露または感染に対してナイーブである。いくつかの実施形態では
、薬剤の投与前、または投与と同時に、動物宿主にウイルスを接種するか、感染させるか
、または別の方法で曝露する。当技術分野で公知の任意の方法によって、本発明を実践す
るのに使用される動物宿主にウイルスを接種するか、感染させるか、または別の方法で曝
露することができる。いくつかの実施形態では、動物宿主にウイルスを鼻腔内的に接種す
るか、感染させるか、または別の方法で曝露することができる。
いくつかの実施形態では、適切な動物宿主は、傘状対円錐状形態のグリカンおよび/ま
たはα2,6グリカン対α2,3グリカンについて、ヒト気道に見られる分布に類似した
分布を有し得る。例えば、ヒトにおいてインフルエンザウイルスによって引き起こされる
疾患のモデルとして使用される場合、動物宿主としてのフェレットはマウスよりも代表的
であり得ると企図される(Tumpeyら、Science(2007)315;655
−659)。いかなる理論にも束縛されるものではないが、本発明は、フェレットは、気
道におけるグリカンの分布について、マウスがヒトに対して有するよりも、ヒト気道にお
けるものに類似した分布を有し得るという考えを包含する。
ナイーブおよび/または接種動物は、様々な研究のいずれかに使用することができる。
例えば、このような動物モデルは、当技術分野で公知のウイルス伝播研究に使用すること
ができる。ウイルス伝播研究におけるフェレットの使用は、ヒトにおけるウイルス伝播の
信頼できる予測因子として役立ち得ると企図される。例えば、ウイルス性インフルエンザ
が接種動物(例えば、フェレット)からナイーブ動物に空気伝播することが当技術分野で
公知である(Tumpeyら、Science(2007)315;655−659)。
ウイルス伝播研究は、薬剤を試験するのに使用することができる。例えば、動物宿主にお
けるウイルスの結合および/または感染性の遮断についての薬剤の有効性を決定するため
に、ウイルス伝播研究の前、その間、またはその後に、薬剤を適切な動物宿主に投与する
ことができる。動物宿主におけるウイルス伝播研究から集めた情報を使用して、ヒト宿主
におけるウイルスの結合および/または感染性の遮断についての薬剤の有効性を予測する
ことができる。
(医薬組成物)
本発明は、1つまたは複数の提供される結合剤を含む組成物を提供する。いくつかの実
施形態では、本発明は、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つの薬学的に許容さ
れ得る賦形剤を提供する。このような医薬組成物は、1つまたは複数のさらなる治療活性
物質を場合により含み得、および/またはこれと組み合わせて投与され得る。いくつかの
実施形態では、提供される医薬組成物は、医学に有用である。いくつかの実施形態では、
提供される医薬組成物は、インフルエンザ感染症、またはインフルエンザ感染症に関連も
しくは相関するマイナスの派生効果および/もしくは症候の処置または予防における予防
剤(すなわち、ワクチン)として有用である。いくつかの実施形態では、提供される医薬
組成物は、例えば、インフルエンザ感染症を患っているかまたはこれにかかりやすい個体
における治療用途に有用である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒトに投与す
るために製剤化される。
例えば、本明細書で提供される医薬組成物は、注射可能な滅菌形態(例えば、皮下注射
または静脈内注入に適切な形態)で提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、医
薬組成物は、注射に適切な液体剤形で提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物
は、注射前に場合により真空下で水性希釈剤(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)を用い
て再構成される粉末(例えば、凍結乾燥および/または滅菌されたもの)として提供され
る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、水、塩化ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム
溶液、ベンジルアルコール溶液、リン酸緩衝生理食塩水などで希釈および/または再構成
される。いくつかの実施形態では、粉末を(例えば、振盪せずに)水性希釈剤と穏やかに
混合するべきである。
いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容さ
れ得る賦形剤(例えば、保存剤、不活性希釈剤、分散剤、界面活性剤および/または乳化
剤、緩衝剤など)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の保
存剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、保存剤を含まない。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、冷蔵および/または冷凍可能な形態で提供さ
れる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、冷蔵および/または冷凍不可能な形態で
提供される。いくつかの実施形態では、再構成溶液および/または液体剤形を再構成後に
一定期間(例えば、2時間、12時間、24時間、2日間、5日間、7日間、10日間、
2週間、1カ月間、2カ月間またはそれ以上)保存することができる。
液体剤形および/または再構成溶液は、投与前に粒子状物質および/または変色を含み
得る。いくつかの実施形態では、変色もしくは濁りがある場合、および/またはろ過後に
粒子状物質が残っている場合には、溶液を使用するべきではない。
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、製薬技術分野で公知のまたは今後開発され
る任意の方法によって調製され得る。いくつかの実施形態では、このような調製方法は、
有効成分を1つまたは複数の賦形剤および/または1つまたは複数の他の補助成分と合わ
せ、次いで、必要な場合および/または望ましい場合には、生成物を所望の単回または複
数回投与単位に成形および/またはパッケージングする工程を含む。
本発明の医薬組成物を調製し、パッケージングし、ならびに/または単一単位用量とし
ておよび/もしくは複数の単一単位用量としてバルクで販売することができる。本明細書
で使用される場合、「単位用量」は、所定量の有効成分を含む医薬組成物の個々の量であ
る。有効成分の量は、一般に、被験体に投与される用量、および/またはこのような用量
の手頃な一部(例えば、このような用量の1/2または1/3など)に相当する。
本発明の医薬組成物における有効成分、薬学的に許容され得る賦形剤、および/または
任意のさらなる成分の相対量は、処置される被験体の個体のアイデンティティ、サイズ、
および/もしくは状態に応じて、ならびに/または組成物が投与される経路に応じて変化
し得る。一例として、組成物は、0.1%〜100%(w/w)の有効成分を含み得る。
本発明の医薬組成物は、所望の特定の剤形に適した薬学的に許容され得る賦形剤(本明
細書で使用される場合、これは、溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液状ビヒクル、分
散もしくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存料、固形結合剤
、滑沢剤でなどあり得るか、またはこれらを含み得る)をさらに含み得る。Reming
ton’s The Science and Practice of Pharma
cy,21st Edition,A.R.Gennaro,(Lippincott,
Williams&Wilkins,Baltimore,MD,2006)には、医薬
組成物の製剤化に使用される様々な賦形剤およびその調製のための公知の技術が開示され
ている。例えば、任意の望ましくない生物学的効果を生じるか、または医薬組成物の任意
の他の成分と有害な様式で相互作用することにより、任意の従来の賦形剤媒体が物質また
はその誘導体と非適合性である場合を除いて、その使用は本発明の範囲内であると企図さ
れる。
(ワクチン)
いくつかの実施形態では、本発明は、インフルエンザ感染症を患っているかまたはこれ
にかかりやすい被験体の受動免疫(すなわち、結合剤を被験体に投与する免疫)で使用お
よび/または試験するためのワクチン組成物を提供する。いくつかの実施形態では、受動
免疫は、抗体が妊娠中に母親から胎児に移動すると起こる。いくつかの実施形態では、受
動免疫は、(例えば、注射、経口、経鼻などによって)抗体を個体に直接投与することを
含む。
いくつかの実施形態では、予防的適用は、ワクチンを投与することを含み得る。いくつ
かの実施形態では、ワクチン接種を個々の患者に合わせる。例えば、下記のように、患者
から血清を採取し、インフルエンザの存在について、いくつかの実施形態では1つまたは
複数の特定のインフルエンザサブタイプについて試験することができる。いくつかの実施
形態では、提供されるワクチンの適切なレシピエントは、提供される抗体が結合および/
または中和する1つまたは複数のインフルエンザサブタイプによる感染症を患っているか
またはこれにかかりやすい個体である。
いくつかの実施形態では、ワクチン組成物は、少なくとも1つのアジュバントを含む。
任意のアジュバントを本発明にしたがって使用することができる。多数のアジュバントが
公知である;多くのこのような化合物の有用な一覧がNational Institu
tes of Healthにより作成されており、そのウェブサイトで見ることができ
る。Allison(1998,Dev.Biol.Stand.,92:3−11;参
照により本明細書に組み込まれる)、Unkelessら、(1998,Annu.Re
v.Immunol.,6:251−281;参照により本明細書に組み込まれる)およ
びPhillipsら、(1992,Vaccine,10:151−158;参照によ
り本明細書に組み込まれる)も参照のこと。数百種の異なるアジュバントが当技術分野で
公知であり、本発明の実施に用いることができる。本発明にしたがって利用することがで
きる例示的なアジュバントとしては、限定されないが、サイトカイン、ゲル型アジュバン
ト(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウムなど);微生
物アジュバント(例えば、CpGモチーフを含む免疫調節DNA配列;モノホスホリル脂
質Aなどの内毒素;コレラ毒素、E.coli易熱性毒素および百日咳毒素などの外毒素
;ムラミルジペプチドなど);油エマルジョンおよび乳化剤ベースのアジュバント(例え
ば、フロイントアジュバント、MF59[Novartis]、SAFなど);粒子状ア
ジュバント(例えば、リポソーム、生分解性ミクロスフェア、サポニンなど);合成アジ
ュバント(例えば、非イオン性ブロックコポリマー、ムラミルペプチド類似体、ポリホス
ファゼン、合成ポリヌクレオチドなど);および/またはそれらの組み合わせが挙げられ
る。他の例示的なアジュバントとしては、いくつかのポリマー(例えば、ポリホスファゼ
ン;参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,500,161号に記載されてい
る)、Q57、QS21、スクアレン、テトラクロロデカオキシドなどが挙げられる。薬
学的に許容され得る賦形剤は、「医薬組成物」という表題の上記セクションでさらに詳細
に記載されている。
(併用療法)
本発明の医薬組成物は、単独で、または限定されないが、ワクチンおよび/もしくは抗
体を含む1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて投与することができる。「と組み合
わせて」は、薬剤を同時に投与したり、または送達のために共に製剤化したりしなければ
ならないことを示すことを意味するものではないが、これらの送達方法は本発明の範囲内
である。一般に、各薬剤は、その薬剤について決定された用量および時間スケジュールで
投与されるであろう。さらに、本発明は、医薬組成物のバイオアベイラビリティーを改善
し、これらの代謝を軽減もしくは改変し、これらの排泄を阻害し、またはこれらの体内分
布を改変することができる薬剤と組み合わせて医薬組成物を送達することを包含する。本
発明の医薬組成物は、処置を必要とする任意の被験体(例えば、任意の動物)を処置する
のに使用することができるが、最も好ましくは、ヒトの処置に使用される。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の他の薬剤と組み合
わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つま
たは複数の他の医薬品(例えば、抗インフルエンザワクチン、抗ウイルス剤、鎮痛剤、抗
炎症剤、抗生物質、ステロイド剤、抗体、シアリダーゼなど)と組み合わせて投与するこ
とができる。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物および/または薬剤(例えば
、抗体)は、アジュバントと組み合わせて投与することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の抗ウイルス剤と組
み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、このような抗ウイルス剤としては、限
定されないが、アシクロビル、リバビリン、アマンタジン、レマンチジン、ザナミビル(
リレンザ)、オセルタミビル(タミフル)、アマンタジン、リマンタジンおよび/または
それらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つまたは複数のワクチンと組み合
わせて投与される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、抗ウイルスワクチンである。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、抗インフルエンザワクチンである。いくつかの実
施形態では、抗インフルエンザワクチンは、季節性インフルエンザ(例えば、一般的には
「インフルエンザ」と称される)を処置するためのものである。いくつかの実施形態では
、抗インフルエンザワクチンは、インフルエンザショットおよび/またはFluMist
である。いくつかの実施形態では、抗インフルエンザワクチンは、1つまたは複数のHA
ポリペプチド(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H1
0、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16ポリペプチド)の特定の組
み合わせを標的とする。いくつかの実施形態では、抗インフルエンザワクチンは、H1N
1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N
3、またはH10N7ウイルスの1つまたは複数の組み合わせに特異的である。いくつか
の実施形態では、抗インフルエンザワクチンは、H1N1ウイルスに特異的である。いく
つかの実施形態では、抗インフルエンザワクチンは、H3N2ウイルスに特異的である。
いくつかの実施形態では、抗インフルエンザワクチンは、H1N1およびH3N2ウイル
スに特異的である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、インフルエンザウイルス感染症に関連する症
候を処置するのに使用される1つまたは複数の他の医薬品と組み合わせて投与することが
できる。いくつかの実施形態では、インフルエンザ感染症に関連する症候を処置するのに
使用される医薬品は、鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質および/またはそれらの組み合わせで
ある。いくつかの実施形態では、インフルエンザ感染症に関連する炎症症候を処置するの
に使用される医薬品は、NSAID、ステロイド、グルココルチコイドおよび/またはそ
れらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、インフルエンザ
感染症に関連するインフルエンザ症候を処置するのに使用されるNSAID医薬品は、ア
セトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリン、ナプロキセンおよび/またはそれらの
組み合わせからなる群より選択される。
(投与方法)
本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、皮下、脳室内、経皮、皮内(
interdermal)、直腸、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリームまたは液
滴による)、粘膜、経鼻、頬側、経腸、舌下を含む様々な経路によって;気管内点滴注入
、気管支点滴注入、および/もしくは吸入によって;ならびに/または経口スプレー、経
鼻スプレー、および/もしくはエアロゾルとして投与することができる。一般に、最も適
切な投与経路は、薬剤の性質(例えば、胃腸管の環境におけるその安定性)、患者の状態
(例えば、患者が経口投与に耐容性を示すことができるか)などを含む様々な要因に依存
するであろう。
現在のところ、経口もしくは経鼻スプレー、またはエアロゾル経路(例えば、吸入によ
る)が、肺および呼吸器系に治療剤を直接送達するのに最もよく使用されている。しかし
ながら、本発明は、薬物送達の科学の進歩可能性を考慮した任意の適切な経路によって、
本発明の医薬組成物を送達することを包含する。
いくつかの実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達のための調製物は、複数の粒
子を含む。いくつかの実施形態では、このような調製物は、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12、または13ミクロンの平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、吸
入送達またはエアロゾル送達のための調製物は、乾燥粉末として製剤化される。いくつか
の実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達のための調製物は、例えば、湿潤剤を含
めることによって、湿潤粉末として製剤化される。いくつかの実施形態では、湿潤剤は、
水、食塩水、または生理学的pHの他の液体からなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、鼻腔または頬側口腔に液滴として投与さ
れる。いくつかの実施形態では、用量は、複数の液滴(例えば、1〜100、1〜50、
1〜20、1〜10、1〜5など)を含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、一定投与量の組成物を送達するデバイス
を使用して投与される。
本明細書に記載される皮内用医薬組成物を送達するのに使用するための適切なデバイス
としては、短い注射針デバイス、例えば、米国特許第4,886,499号、米国特許第
5,190,521号、米国特許第5,328,483号、米国特許第5,527,28
8号、米国特許第4,270,537号、米国特許第5,015,235号、米国特許第
5,141,496号、米国特許第5,417,662号に記載されているものなどが挙
げられる。皮膚に対する注射針の有効な貫通長さを制限するデバイス、例えば、参照によ
り本明細書に組み込まれる国際公開第99/34850号に記載されているもの、および
その機能的な均等物などによって、皮内用組成物を投与することもできる。液体ジェット
注射器を介して、または角質層に穴をあけ、真皮に達するジェットを生じさせる注射針を
介して真皮に液体組成物を送達するジェット注射デバイスも適切である。ジェット注射デ
バイスは、例えば、米国特許第5,480,381号、米国特許第5,599,302号
、米国特許第5,334,144号、米国特許第5,993,412号、米国特許第5,
649,912号、米国特許第5,569,189号、米国特許第5,704,911号
、米国特許第5,383,851号、米国特許第5,893,397号、米国特許第5,
466,220号、米国特許第5,339,163号、米国特許第5,312,335号
、米国特許第5,503,627号、米国特許第5,064,413号、米国特許第5,
520,639号、米国特許第4,596,556号、米国特許第4,790,824号
、米国特許第4,941,880号、米国特許第4,940,460号、国際公開第97
/37705号および国際公開第97/13537号に記載されている。圧縮ガスを使用
して粉末形態の組成物を皮膚の外層から真皮に加速させる弾道的な粉末(ballast
ic powder)/粒子送達デバイスも適切である。さらに、従来のシリンジを、皮
内投与の古典的なマントー法に使用することができる。
(診断用途)
いくつかの実施形態では、本発明のインフルエンザ結合剤は、診断用途に使用される。
例えば、結合剤の結合プロファイルの多様性により、パンインフルエンザ結合剤(すなわ
ち、パンインフルエンザ抗体)を提供するのと同時に、サブトラクション分析により個々
の遺伝子型および/またはサブタイプを分析するために、複数のインフルエンザの遺伝子
型および/またはサブタイプを検出する診断アッセイを用いることができる。
診断目的のために、HAタンパク質を検出し、インフルエンザの遺伝子型ならびに/ま
たはサブタイプを識別し、ビリオンおよび抗体を検出するための多種多様な形式で結合剤
を使用することができる。診断目的のために、大部分について先に言及した多種多様な標
識を用いることができる。これらとしては、限定されないが、フルオロフォア、化学発光
部分、放射性同位体、酵素、粒子(例えば、コロイド炭素粒子、金粒子、ラテックス粒子
など)、高親和性受容体が存在するリガンド、ならびに活性化されると検出可能なシグナ
ルが得られ得るプロラベルが挙げられる。
いくつかの実施形態では、遊離タンパク質(例えば、循環タンパク質)として、または
完全なもしくは部分的に完全なビリオンの一部としてインフルエンザ抗原に結合すること
ができるタンパク質で表面をコーティングする。複数のインフルエンザの遺伝子型および
/またはサブタイプに結合する提供される本発明の結合剤を使用することができる。いく
つかの実施形態では、本発明の結合剤は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまた
は5つを超える異なる遺伝子型および/またはサブタイプに結合する。
いくつかの実施形態では、アッセイは、遊離またはインフルエンザ結合タンパク質を含
み得る培地と表面を接触させることを含み得、ここで、培地は、1つまたは複数の遺伝子
型および/またはサブタイプの公知のHAの試料または溶液であり得る。インキュベート
および洗浄して、非特異的に結合したタンパク質を除去した後、アッセイするものに応じ
て、アッセイを様々な方法で進めることができる。血清反応陽性と疑われる血液試料をア
ッセイする場合、試料をHAタンパク質の層にアプライし、インキュベートし、洗浄し、
タンパク質層に結合したヒト抗体の存在を決定することができる。標識α−ヒト抗体(主
題抗体を最初に使用した場合には、主題抗体のアイソタイプに対するもの以外)を使用す
ることができる。血清反応陽性被験体における抗体についてのアッセイでは、このような
被験体の血清中のヒト抗インフルエンザ抗体を検出するのに使用したのと同じ試薬と共に
、主題抗体を対照として使用することができる。抗ヒト抗体とは異なって標識される主題
抗体を使用し、それらが試料中の抗体によって遮断されるかを決定することによって、試
料中の抗体の特異性を確認することができる。
インフルエンザHAタンパク質について試料をアッセイする場合、検出に標識主題抗体
を用いる。この選択は、HAタンパク質の遺伝子型決定かまたは検出に関心があるかに依
存する。非特異的に結合した抗体を洗い流した後、公知の技術にしたがって標識の存在を
検出することにより、標識抗体の存在を決定する。あるいはまたは加えて、主題抗体が表
面に結合している場合、HAの標識レクチンを用いてHAタンパク質の存在を検出するこ
とができる。
本発明の結合剤は、血清中の抗体、モノクローナル抗体、遺伝子操作の結果として発現
した抗体などを含む他の結合剤の反応性を測定するのに使用することができる。いくつか
の実施形態では、完全なビリオンを使用する。いくつかの実施形態では、構造的に保存さ
れたエンベロープタンパク質を使用する。
標識主題抗体は、生検材料由来のインフルエンザの存在をアッセイするのに使用するこ
とができる。標識抗体を、肺切片などの固定化生検材料、主題標識抗体の1つまたは複数
の溶液と共にインキュベートすることができる。非特異的に結合した抗体を洗い流した後
、生検組織の細胞に結合した抗体の存在を標識の性質にしたがって検出することができる
いくつかの実施形態では、本発明のインフルエンザ結合剤は、インフルエンザ受容体を
同定するのに使用することができる。当業者であれば、これを達成することができる複数
の方法を認識するであろう(Sambrook J.,Fritsch E.and M
aniatis T.Molecular Cloning:A Laboratory
Manual.Cold Spring Harbor Press,Cold Sp
ring Harbor,NY,1989;およびAusubelら、eds.,Cur
rent Protocols in Molecular Biology,1987
;これらの両方が参照により本明細書に組み込まれる)。典型的には、HAに結合するこ
とができる結合剤がインフルエンザ感染症にかかりやすい細胞に対するインフルエンザビ
リオンの付着を阻害することができるかを決定することによって、タンパク質およびペプ
チド受容体を同定することができる。したがって、インフルエンザHAタンパク質および
ペプチドの受容体をこのように同定することができる。インフルエンザおよび抗インフル
エンザHA結合剤の存在下で感受性細胞をインキュベートし、細胞結合アッセイを利用し
て、結合剤の存在下で付着が減少するかを決定することができる。
インフルエンザの推定受容体を発現する細胞および/またはインフルエンザの推定受容
体のライブラリーを、インフルエンザに結合するそれらの能力についてスクリーニングす
ることができる。例えば、細胞表面上の推定受容体に対するインフルエンザタンパク質ま
たはペプチドの結合を可能にするのに十分な時間および条件下で、推定インフルエンザ受
容体(例えば、インフルエンザHAの受容体)を発現する細胞を、抗体の存在下でインフ
ルエンザタンパク質またはペプチドと接触させることができる。あるいはまたは加えて、
インフルエンザタンパク質、ペプチドまたはビリオンを抗体とプレインキュベートしてか
ら、細胞表面上の推定受容体と接触させることができる。結合は、当技術分野で公知の任
意の手段、例えば、フローサイトメトリなどにより検出することができる(Ausube
lらまたはSambrookら、前掲を参照のこと)。抗体の存在下における細胞表面に
対する結合が、抗体の非存在下における細胞の非存在下における結合と比較して減少して
いることは、インフルエンザ受容体の同定を示す。
いくつかの実施形態では、インフルエンザ受容体(例えば、HA受容体など)を同定す
る方法は、固体支持体、例えばビーズ、カラムなどを使用することを含む。例えば、イン
フルエンザタンパク質およびペプチド(例えば、HAタンパク質および/またはその断片
)ならびに/またはインフルエンザビリオンの受容体は、インフルエンザ抗体を固体支持
体に付着させ、次いで、インフルエンザタンパク質またはペプチドが抗体に結合するのに
十分な時間にわたり抗体をインフルエンザタンパク質またはペプチドと接触させることに
よって同定することができる。これにより、インフルエンザタンパク質またはペプチドに
対する受容体の結合を可能にするのに十分な時間および条件下で、固体支持体上の抗体:
リガンド複合体と接触され得る推定インフルエンザ受容体のインフルエンザタンパク質リ
ガンドが得られる。タンパク質はライブラリーから発現させることもできるし、または天
然もしくは組換え細胞から細胞抽出物もしくは精製タンパク質調製物として得ることもで
きる。インフルエンザタンパク質ペプチド間の特異的結合複合体が形成したら、未結合の
インフルエンザタンパク質またはペプチド(例えば、インフルエンザタンパク質またはペ
プチドに特異的に結合しなかったライブラリータンパク質またはペプチド)を、例えば、
標準的な洗浄工程により除去する。次いで、結合したタンパク質を溶離し、例えば、ゲル
電気泳動により同定する。
(キット)
本発明は、本発明の方法を簡便におよび/または有効に実施するための様々なキットを
提供する。キットは、典型的には、1つまたは複数の本発明のインフルエンザ結合剤を含
む。いくつかの実施形態では、キットは、異なる目的(例えば、診断、処置および/また
は予防)に使用されるべき異なるインフルエンザ結合剤のコレクションを含む。典型的に
は、キットは、使用者が被験体に複数回投与を実施するのを可能にし、および/または複
数の実験を実施するのを可能にするのに十分な量のインフルエンザ結合剤を含むであろう
。いくつかの実施形態では、キットは、購入者が指定した1つまたは複数のインフルエン
ザ抗体と共に供給されるか、またはこれを含む。
ある特定の実施形態では、本発明にしたがって使用するためのキットは、1つまたは複
数の参照試料;(例えば、試料を処理するための、試験を実施するための、結果を解釈す
るための、インフルエンザ結合剤を可溶化するための)説明書;緩衝液;および/または
試験を実施するのに必要な他の試薬を含み得る。ある特定の実施形態では、キットは、抗
体のパネルを含み得る。キットの他の要素は、細胞、細胞培養培地、組織および/または
組織培養培地を含み得る。
キットは、使用説明書を含み得る。例えば、説明書は、インフルエンザ結合剤を含む医
薬組成物を調剤する適切な手順、および/または医薬組成物を被験体に投与するための適
切な手順を使用者に知らせ得る。
いくつかの実施形態では、キットは、インフルエンザ結合剤を含む多くの単位投与量の
医薬組成物を含む。例えば、数字、文字および/もしくは他の印の形態で、ならびに/ま
たは投与量を投与し得る処置スケジュールの日/時を指定するカレンダーへの書き込みに
よって、記憶補助を提供することができる。投与量を毎日服用するキットを提供するため
に、医薬組成物の投与量と類似のまたはこれとは異なる形態のプラセボ投与量および/ま
たはカルシウム栄養補助食品を含めることができる。
個々の要素または試薬を確実に別々に収納することができるように、キットは、1つま
たは複数の入れ物または容器を含み得る。キットは、例えば、商業販売のために個々の容
器を比較的厳重に収めるように封入するための手段であって、説明書、包装材料(例えば
、Styrofoam)などを封入することができる手段(例えば、プラスチック箱)を
含み得る。
いくつかの実施形態では、キットは、インフルエンザを患っているか、および/または
これにかかりやすい被験体の処置、診断および/または予防に使用される。いくつかの実
施形態では、本発明のキットは、送達デバイス、例えば注射器、注射針、塗布器、吸入器
などの少なくとも1つの要素を含む。いくつかのこのような実施形態では、本発明は、送
達デバイス、例えば吸入器および/または注射器の少なくとも1つの要素と、一定量の薬
剤とを含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、(i)少なくとも1
つのインフルエンザ結合剤;(ii)少なくとも1つのインフルエンザ結合剤を被験体に
投与するための注射器、注射針、塗布器、吸入器など;および(iii)使用説明書を含
む。
いくつかの実施形態では、キットは、インフルエンザを患っているか、および/または
これにかかりやすい被験体の処置、診断および/または予防に使用される。いくつかの実
施形態では、このようなキットは、(i)凍結乾燥粉末として提供される少なくとも1つ
のインフルエンザ結合剤(すなわち、パンインフルエンザ抗体);および(ii)凍結乾
燥粉末を再構成するための希釈剤を含む。このようなキットは、場合により、少なくとも
1つのインフルエンザ結合剤を被験体に投与するための注射器、注射針、塗布器など;お
よび/または使用説明書を含み得る。
本発明は、少なくとも1つのインフルエンザ結合剤を含むワクチンを作製するための試
薬を含有するキットを提供する。いくつかの実施形態では、このようなキットは、(i)
インフルエンザ結合剤、その特徴的な部分および/またはその生物学的に活性な部分を発
現する細胞;(ii)細胞増殖用培地;および(iii)抗体精製に有用なカラム、樹脂
、緩衝液、チューブおよび他の道具を含み得る。いくつかの実施形態では、このようなキ
ットは、(i)インフルエンザ結合剤、その特徴的な部分および/またはその生物学的に
活性な部分をコードするヌクレオチドを含有するプラスミド;(ii)前記プラスミドで
形質転換することができる細胞、例えば哺乳動物細胞株、限定されないが、Veroおよ
びMDCK細胞株;(iii)細胞増殖用培地;(iv)インフルエンザ結合剤をコード
するヌクレオチドを含有しない発現プラスミド(陰性対照として);(v)抗体精製に有
用なカラム、樹脂、緩衝液、チューブおよび他の道具;および(vi)使用説明書を含み
得る。
いくつかの実施形態では、キットは、1つまたは複数の試料中のインフルエンザの存在
を検出するのに使用される。このような試料は、限定はされないが、血液、血清/血漿、
末梢血単核細胞/末梢血リンパ球(PBMC/PBL)、痰、尿、排泄物、咽頭スワブ、
真皮病変スワブ、脳脊髄液、頸管スミア、膿試料、食品マトリックス、ならびに脳、脾臓
および肝臓などの体の様々な部分由来の組織を含む病理学的試料であり得る。このような
試料は、限定はされないが、土壌、水およびフローラを含む環境試料であり得る。記載さ
れていない他の試料も適用可能であり得る。いくつかの実施形態では、このようなキット
は、(i)少なくとも1つのインフルエンザ結合剤;(ii)インフルエンザを含有する
ことが公知の試料(陽性対照として);(iii)インフルエンザを含有しないことが公
知の試料(陰性対照として);および(iv)使用説明書を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、1つまたは複数の試料中のインフルエンザを中和
するのに使用される。このようなキットは、少なくとも1つのインフルエンザ結合剤でイ
ンフルエンザ含有試料を処理するために、および処理試料が培養細胞に感染する能力を未
処理試料と比べて試験するために必要な材料を提供し得る。このようなキットは、(i)
少なくとも1つのインフルエンザ結合剤;(ii)培養してインフルエンザに感染させる
ことができる細胞;(iii)インフルエンザに結合して中和することができない結合剤
(陰性対照として);(iv)インフルエンザに結合して中和することができる結合剤(
陽性対照として);(v)インフルエンザを含有しないことが公知の試料(陰性対照とし
て);(vi)インフルエンザを含有することが公知の試料(陽性対照として);および
(vii)使用説明書を含み得る。
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下の実施例を考慮することによってさらに認識
されよう。以下の実施例は本発明のある特定の実施形態を例示するためものであるが、特
許請求の範囲によって定義されるその範囲を限定するものではない。
(例示)
(実施例1:インフルエンザ抗体の同定および特性決定)
本実施例では、本発明にしたがって提供される様々な抗体の生産および/または試験を
説明する。
抗HAモノクローナル抗体を作製し、フレームワーク(FR)配列を決定した。表2は
、抗HA抗体のVHドメインの例示的なアミノ酸配列を示す。表3は、抗HA抗体のVL
ドメインの例示的なアミノ酸配列を示す。重鎖および軽鎖それぞれの相補性決定領域(C
DR)を太字で示し、表2および3のCDR1、CDR2およびCDR3の欄に記載する
異なるサブタイプのインフルエンザ由来のHAに対する結合について、例示的な抗体を
特性決定した。例示的な抗体のフレームワークおよび相補性決定領域の配列を以下の表4
に示す。例示的な抗体は、差次的な結合親和性で、グループ1およびグループ2サブタイ
プの両方のHAに結合する。
インビトロ結合アッセイにおいて、HAポリペプチドに対する結合について例示的な抗
体を試験した。0.2μgの異なるサブタイプ(H1、H3、H5、H7およびH9)の
HAポリペプチドでMaxisorp 96ウェルプレートのウェルをコーティングし、
4℃で一晩置いた。HAポリペプチドコーティングプレートをPBSで3回洗浄し、1%
BSAのPBST溶液でブロッキングした。様々な濃度の例示的な抗体を、C179抗体
(対照)と共に、HAポリペプチドコーティングウェルに追加し、プレートを室温(RT
)で2時間インキュベートした。プレートをPBSTで3回洗浄し、薬剤を含有するウェ
ルを、マウス−抗6×His抗体(1:1000希釈)と共に室温(RT)で1時間イン
キュベートした。プレートをPBSTで3回洗浄し、すべてのウェルをヤギ−抗マウスH
RP抗体と共に室温(RT)で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェ
ルをPBSTで洗浄し、TMB基質を使用して結合HRPを測定した。TMB基質をウェ
ルに追加し、3分間インキュベートし、続いて1N硫酸を追加した。吸光度を450nm
で測定した。
図2A(下のパネル)および図2Bに見られるように、本発明者らの結果は、例示的な
抗体が様々なHAポリペプチド(H1、H3、H5、H7およびH9)に結合することを
示している。
(実施例2.例示的なインフルエンザ抗体とインフルエンザ抗体の標的との間の結合親
和性)
本実施例は、例示的なインフルエンザ抗体と抗体の標的との間の結合親和性(平衡解離
定数(K)として表される)の計算を示す。本実施例では、抗体は実施例1の抗体であ
り、抗体の標的は様々なインフルエンザ株由来のHAポリペプチドである。
例示的な抗体とHAポリペプチドとの間の結合親和性は、抗体およびHAポリペプチド
の両方の濃度の関数である。本実施例では、平衡解離速度定数(K)を使用して、結合
親和性を定量的に説明する。解離定数を測定する方法の一例を以下に記載する。
HAポリペプチドコーティングプレートを使用して、前記のように、例示的な抗体によ
るELISAアッセイを実施した。450nmで測定した吸光度を使用して、受容体の飽
和度を計算した。抗体のモル濃度の関数として飽和度をプロットした。以下の式:

(式中、yは飽和度であり、Iは抗体濃度であり、Kは平衡解離速度定数である)に
データをフィッティングした。
上述の計算を使用し、回帰分析を適用して、本発明者らは、様々なインフルエンザサブ
タイプ由来のHAポリペプチドに対する差次的なK値を観察した(図2A、上のパネル
)。いくつかの実施形態では、本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプに対す
る抗体の結合について、0.01〜100nMの範囲内のK値を有する例示的な抗体を
観察した。いくつかの実施形態では、本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプ
に対する抗体の結合について、0.1〜500nMの範囲内のK値を有する例示的な抗
体を観察した。いくつかの実施形態では、本発明者らは、HAポリペプチドサブタイプに
対する抗体の結合について、10〜100nMの範囲内のK値を観察した。いくつかの
実施形態では、本発明者らは、HAポリペプチドサブタイプに対する抗体の結合について
、50〜100nMの範囲内のK値を観察した。
(実施例3.インフルエンザ抗体の運動速度評価)
本実施例では、インビトロ結合アッセイにおいて、例示的なインフルエンザ抗体がウイ
ルス感染性を軽減する能力を例証する。本実施例は、例示的なインフルエンザ抗体と抗体
の標的との間の結合親和性(会合速度定数(k)、解離速度定数(k)および平衡解
離定数Kとして表される)を計算するための別の方法を示す。本実施例では、抗体は実
施例1の抗体であり、抗体の標的は様々なインフルエンザ株由来のHAポリペプチドであ
る。
例示的な抗体とHAポリペプチドとの間の結合親和性は、抗体およびHAポリペプチド
の両方の濃度の関数である。本実施例では、会合定数(k)、解離定数(k)および
平衡定数(K)を使用して、結合親和性を定量的に説明する。これらの定数を測定およ
び計算する方法の一例を以下に記載する。
本実験では、Biacore(商標)システムを使用して、例示的な抗体と様々なHA
ポリペプチドとの間の運動速度相互作用をリアルタイムでモニタリングした。Biaco
reシステムは表面プラズモン共鳴(SPR)の原理で作動するものであり、表面の屈折
率の変化を正確に測定することができる。簡潔に言えば、ある相互作用体(リガンド)を
センサーチップの表面に固定化する。潜在的な結合パートナーを含有する溶液を固定化表
面に流し、経時的な表面の屈折率の変化(反応単位(RU))として結合を可視化する。
表面プラズモン共鳴により、目的の相互作用に対する標識の潜在的な影響を弱めるラベル
フリーな方法で相互作用を直ぐに可視化することができる。
以下のビオチン化ポリペプチド;H1(A/Solomon Islands/03/
06)、H3(A/Wyoming/3/2003)、H5(A/Vietnam/12
03/2004)、H7(A/Netherlands/219/03)およびH9(A
/Hong Kong/1073/99)を別個のBiacoreセンサーチップの表面
にそれぞれ結合させた。様々な濃度の抗体をSPR結合分析用チップに流した。時間に対
する反応差(RU単位で測定)の関数としてデータをプロットした。以下の式:

(式中、d[AB]はRUであり、[A]は抗体濃度であり、[B]は[Rmax−R]
であり、kは会合定数であり、kは解離定数であり、Kは平衡解離定数である)を
使用して、様々な運動速度の値を計算した。
上述の計算を使用して、本発明者らは、抗体と様々なインフルエンザサブタイプ由来の
HAポリペプチドとの間の差次的な運動結合速度を観察した(図3A〜E)。いくつかの
実施形態では、本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプに対する抗体の結合に
ついて、0.01〜100nMの範囲内のK値を有する例示的な抗体を観察した。いく
つかの実施形態では、本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプに対する抗体の
結合について、0.1〜500nMの範囲内のK値を有する例示的な抗体を観察した。
いくつかの実施形態では、本発明者らは、HAポリペプチドサブタイプに対する抗体の結
合について、10〜100nMの範囲内のK値を観察した。いくつかの実施形態では、
本発明者らは、HAポリペプチドサブタイプに対する抗体の結合について、50〜100
nMの範囲内のK値を観察した。
いくつかの実施形態では、本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプに対する
抗体の結合について、0.01×10〜0.1×10−1−1の範囲内のk
を有する例示的な抗体を観察した。いくつかの実施形態では、本発明者らは、様々なHA
ポリペプチドサブタイプに対する抗体の結合について、0.1×10〜1.0×10
−1−1の範囲内のk値を有する例示的な抗体を観察した。いくつかの実施形態で
は、本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプに対する抗体の結合について、1
.0×10〜1.0×10−1−1の範囲内のk値を有する例示的な抗体を観
察した。
いくつかの実施形態では、本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプに対する
抗体の結合について、0.01×10−5〜0.1×10−5−1の範囲内のk値を
有する例示的な抗体を観察した。いくつかの実施形態では、本発明者らは、様々なHAポ
リペプチドサブタイプに対する抗体の結合について、0.1×10−5〜1.0×10
−1の範囲内のk値を有する例示的な抗体を観察した。いくつかの実施形態では、
本発明者らは、様々なHAポリペプチドサブタイプに対する抗体の結合について、1.0
×10−5〜10.0×10−6−1の範囲内のk値を有する例示的な抗体を観察し
た。
(実施例4.抗体はインビトロでウイルス感染性を阻害する)
本実施例では、インビトロ結合アッセイにおいて、例示的なインフルエンザ抗体がウイ
ルス感染性を抑制する能力を例証する。
実施例1の例示的なインフルエンザ抗体がインフルエンザ感染を阻害する能力を、イン
フルエンザウイルス株の増殖および試験に一般に使用される上皮細胞株であるMDCK(
Madin−Darbyイヌ腎臓)細胞を使用して、インビトロで評価した。ウイルス産
生量、および宿主細胞に対するインフルエンザ誘導性細胞変性効果(CPE)の程度の両
方を測定することによって、感染性に対する抗体の阻害効果を決定した。ウイルス産生を
定量するために、プラークアッセイおよびqRT−PCRを用いた。CPEレベルを測定
するために、細胞生存率アッセイを使用した。宿主細胞導入前の1時間のプレインキュベ
ーション期間の間に、抗体がそのウイルス標的に最初に結合することを可能にするように
、実験を設定した。低レベルのトリプシン(1μM)の存在下で感染を行った。コンフル
エントな単層細胞に希釈系列の試験試料を接種し、ポリマーAvicel(FMC Bi
opolymers)の粘性懸濁液で覆うことによって、プラークアッセイを実施した。
プラークを35℃で48時間発達させ、ホルマリンで固定し、クリスタルバイオレットで
染色し、可視化した(図4)。試験試料中の感染性ウイルス力価を計算するために、プラ
ーク数を使用した。感染後の相対的な生細胞数をCPEの尺度として使用した。サブコン
フルエントな細胞培養物を化合物/ウイルスミックス(moi=1.0)に35℃で1時
間曝露した。次いで、未結合のウイルスおよび薬物を除去し、ウイルス増殖培地と交換し
た。PromegaのCellTiter Blue試薬(レサズリン)を使用して48
時間インキュベートした後、非蛍光レサズリンの蛍光レゾルフィンリードへの代謝的変換
の程度として、細胞生存率を決定した(555/585nmの励起/発光;Spectr
aMax M2;分子プローブ)。
これらの研究から、本発明者らは、例示的な抗体がウイルス誘導性プラーク産生を阻害
することを見出した。
(実施例5.インフルエンザ抗体のIC50評価)
本実施例では、インビトロ結合アッセイにおいて、例示的なインフルエンザ抗体がウイ
ルス感染性を抑制する能力を例証する。
HAを標的とする抗インフルエンザ剤のIC50を予め定量した。研究では、H1N1
インフルエンザ株PR8(A/Puerto Rico/8/34)を利用した。手短に
言えば、PR8[4E3 PFU/mL]をコンフルエントなMDCK細胞に感染させ、
様々な濃度の抗インフルエンザ剤と共に40分間プレインキュベートした。感染の1時間
後、培地を除去し、実験に応じて、無ウイルス薬物含有培地、または無ウイルス無薬物培
地と交換した。37℃、5%COで48時間インキュベートした後、上清を収集した。
ウイルスRNAを単離し、ウイルスMタンパク質に対して特異的なプライマーを使用して
リアルタイムPCRによってウイルス力価を定量した。
マイクロ中和アッセイ、続いて定量的PCR(qPCR)によって、実施例1の例示的
な抗体のIC50値の初期評価を決定した。それぞれ様々な力価および濃度のウイルス(
PR8)およびインフルエンザ標的抗体の混合物を35℃で1時間プレインキュベートし
てから、96ウェル組織培養プレート中のMDCK細胞培養物にアプライした(細胞約1
0,000個/ウェル)。さらに48時間インキュベートした後、ウイルス産生量のため
に培養培地を各ウェルから収集した。
トリプリケートの試料からの培地を合わせ、次いでqPCRによってウイルス産生量を
直接定量した。内部標準曲線を用いてPCRのCt値からウイルス力価を計算し、計算し
た力価を抗体濃度に対してプロットすることによってIC50値を決定した(図5)。結
果は、実施例1の抗体によるPR8ウイルス粒子の50%阻害(IC50)が0.5μg
/mlであることを示した。これらの結果は、実施例1の抗体が、インフルエンザウイル
ス感染性を阻害することができることを示唆している。いくつかの実施形態では、本発明
者らは、様々なインフルエンザ株のインフルエンザ感染性の阻害について、0.01〜1
0μg/mlの範囲内のIC50値を観察した。いくつかの実施形態では、本発明者らは
、様々なインフルエンザ株のインフルエンザ感染性の阻害について、0.1〜100μg
/mlの範囲内のIC50値を観察した。
(実施例6.インフルエンザ抗体はインビボでHAポリペプチドに結合する)
本実施例では、インフルエンザ抗体がインビボでHAポリペプチドに結合する能力を例
証する。
実施例1の例示的なインフルエンザ抗体がインフルエンザ感染を阻害する能力をインビ
ボで評価した。より具体的には、感染前に様々な濃度で投与した抗体が、インフルエンザ
感染性の軽減において予防として役立ち得るかを評価するために、アッセイを実施した。
Charles River LabsからBALB/cマウス(4〜6週齢)を入手
した。マウスを計量し、実験のためにマウス各6匹の4群に分けた。群は以下のものから
構成されていた:群1−非処置対照;群2−−1日目、0日目および1日目に抗ウイルス
薬による処置;群3−単回用量6mg/kgの抗体による処置;および群4−単回用量1
0mg/kgの抗体による処置。感染前の初日(−1日目)にイソフルランを各群に投与
し、対照、75mg/kgの抗ウイルス薬リバビリンおよびインフルエンザ抗体(6また
は10mg/kgのいずれか)を投与し、回復させた(<2分間)。翌日(0日目)にイ
ソフルランを各群に再投与し、致死用量のH1N1 PR8ウイルスを鼻腔内負荷した。
上記のように、群2には、実験の0日目および1日目に75mg/kgも投与した。ウイ
ルス感染に関連する体重減少の変化について、マウスを14日間毎日モニタリングし、生
存率を毎日記録した。マウスにおけるインフルエンザ感染症の臨床兆候としては、猫背の
姿勢、被毛の逆立ち、速い呼吸、食欲不振、体重減少および死亡が挙げられる。図6は、
抗体で予防的に処置したマウスが、対照群と比較した場合に体重減少をほとんどあるいは
全く示さなかったことを実証している。
体重減少に加えて、感染後の気管支−肺胞(aveolar)洗浄アッセイにおいて、
ウイルス産生量を測定した。3日目に、群1、群2および群4それぞれの動物3匹から鼻
洗浄液を採取し、屠殺前にそれらの肺を取り出した。3匹のマウスの気管支−肺胞(av
eolar)洗浄液を合わせて、qPCRによってウイルス産生量を直接定量した。ウイ
ルスRNAを単離し、ウイルスMタンパク質に対して特異的なプライマーを使用してリア
ルタイムPCRによってウイルス力価を定量した。内部標準曲線を用いてPCRのCt値
から、ウイルス力価を計算した。図7に示されているデータは、インフルエンザ感染前の
単回予防的抗体処置により、抗ウイルス薬リバビリンと同様に(ウイルス負荷によって実
証されているように)感染レベルが低下することを示唆している。
これらの研究の結果は、とりわけ、提供される抗体が、感染前に投与した場合にマウス
におけるH1N1感染症の発症を上手く遅延させ、および/または予防することができる
ことを示している。
(実施例7.インビボにおける治療としてのインフルエンザ抗体の評価)
本実施例では、処置として使用するために、インフルエンザ抗体がインビボでHAポリ
ペプチドに結合する能力を例証する。
実施例1の例示的なインフルエンザ抗体がインフルエンザ感染を阻害する能力をインビ
ボで評価した。感染後に様々な濃度で投与した抗体が、インフルエンザ感染性の軽減にお
いて処置治療として役立ち得るかを評価するために、アッセイを実施した。
Charles River LabsからBALB/cマウス(4〜6週齢)を入手
した。マウスを計量し、実験のためにマウス各6匹の3群に分けた。群は以下のものから
構成されていた:群1−非処置対照;群2−単回用量5mg/kgの抗体による処置;お
よび群3−単回用量10mg/kgの抗体による処置。実験開始時(0日目)にイソフル
ランを各群に投与し、致死用量のH1N1 PR8ウイルスを鼻腔内負荷した。感染の2
日後(2日目)にイソフルランを各群に再投与し、対照、5mg/kgのインフルエンザ
抗体または10mg/kgのインフルエンザ抗体を投与し、回復させた(<2分間)。ウ
イルス感染に関連する体重減少の変化について、マウスを14日間毎日モニタリングし、
生存率を毎日記録した。マウスにおけるインフルエンザ感染症の臨床兆候としては、猫背
の姿勢、被毛の逆立ち、速い呼吸、食欲不振、体重減少および死亡が挙げられる。図8は
、抗体治療で処置したマウスが、感染症の1つまたは複数の症候の回復を示したことを実
証している。例えば、ウイルスに関連する体重減少が回復し、その結果、生存率が対照と
比較して増加している。これらの結果は、抗体治療が、インフルエンザ感染症に関連する
疾患状態および症候を回復させ得ることを示している。
(実施例8.インビボにおける抗体の薬物動態評価)
本実施例では、インビボにおけるインフルエンザ抗体の薬物動態特性を説明する。
Charles River LabsからBALB/cマウス(4〜6週齢)を入手
し、実験のためにマウス6匹の単一群とした。5mg/mlの抗体を各マウスに単回ボー
ラス注射した。180時間にわたって所定の時点で、血清試料を採取した。本明細書に記
載される方法を使用してELISAによって、採取した試料を評価した。簡潔に言えば、
0.2μgのヒトIgGでmaxisorp 96ウェルプレートのウェルをコーティン
グし、4℃で一晩置いた。ヒトIgGコーティングプレートをPBSで3回洗浄し、1%
BSAのPBST溶液でブロッキングした。抗体の注射後に180時間にわたって採取し
た血清試料をヒトIgGコーティングウェルに追加し、プレートを室温(RT)で2時間
インキュベートした。プレートをPBSTで3回洗浄し、ウェルをヤギ抗マウスHRP抗
体と共に室温(RT)で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルをP
BSTで洗浄し、TMB基質を使用して結合HRPを測定した。TMB基質をウェルに追
加し、3分間インキュベートし、続いて1N硫酸を追加した。吸光度を450nmで測定
した。図9のデータは、急速な分散期が0〜30時間にありピーク血清濃度が約30時間
の時点にあることを実証している。図9はまた、血清抗体濃度の減少を示す段階的な排出
期が30〜160時間にあることを実証しているが、これは、抗体が除去されるかまたは
マウスの体の別の区画に分配される可能性を示唆している。
(実施例9.診断における結合剤)
本実施例では、例示的なインフルエンザ抗体が(a)生物学的試料中のインフルエンザ
ウイルスの存在を同定し、(b)サブタイプに基づいてウイルスを特性決定するための迅
速な方法を提供する能力を例証する。
インフルエンザウイルスの存在を同定し、ウイルスサブタイプを特性決定する目的のた
めに、サンドイッチELISA(ウイルスタイピングELISAアッセイ)アッセイを使
用する。ウイルスタイピングELISAアッセイのために、2μgのインフルエンザ抗体
で96ウェルプレートをコーティングし、4℃で一晩インキュベートする。次いで、プレ
ートをPBSで十分に洗浄し、1%BSAのPBST溶液で1時間ブロッキングする。ブ
ロッキング後、プレートをPBSTで洗浄し、さらに使用するまで4℃で保存する。
インフルエンザウイルスを含有すると疑われる生物学的試料を試料緩衝液(PBS)で
直接的にまたは加工後に希釈する。希釈した試料をインフルエンザ抗体コーティングウェ
ルにアプライし、室温(RT)で2時間インキュベートし、続いて十分に洗浄する。この
ようにして、試料由来のウイルスをインフルエンザ抗体によって捕捉し、さらなる分析に
役立つ(lend itself)。サブタイプ特異的抗体を室温(RT)で1時間にわ
たって異なるウェルにアプライする。PBSTでさらに洗浄した後、HRPコンジュゲー
ト二次抗体をウェルにアプライする。インキュベーション後、ウェルを洗浄し、TMB基
質および1N硫酸で処理する。分光光度計を使用して、450nmの吸光度を測定する。
適切な陰性対照および陽性対照を含める。
ウイルスタイピングELISAアッセイの結果により、試料中のインフルエンザウイル
スの存在およびウイルスサブタイプについての情報が得られる。
(実施例10.インフルエンザウイルスのグリカンを特性決定するための抗体)
本実施例では、グリカンタイピングアッセイを使用してグリカンを特性決定するために
、インフルエンザウイルスを濃縮および標識する手段としての例示的なインフルエンザ抗
体の能力を例証する。
グリカンタイピングアッセイでは、製造業者の説明書の通りにEDC化学反応を使用し
て、インフルエンザ抗体をQdot525カルボキシル量子ドットにコンジュゲートする
。Qdot−インフルエンザ抗体複合体を加工した生物学的試料に追加し、十分に2時間
撹拌する。次いで、試料を遠心分離し、Qdot−インフルエンザ抗体複合体をPBST
で3回洗浄する。次いで、この複合体を(傘状および円錐状形態のグリカンを含有する)
グリカンアレイにアプライする。室温(RT)で2時間インキュベートした後、ウェルを
PBSTで3回洗浄する。ボトムリードモードを使用したSpectraMax M2e
分光光度計を使用して、結合した蛍光を測定する。
このアッセイの結果により、インフルエンザウイルスのグリカン特性決定に関する情報
が得られる。
(実施例11.最小阻害活性アッセイ)
インフルエンザAに対するインフルエンザ抗体の最小阻害濃度(MIC)を決定するた
めの方法を使用する。このアッセイにおいて活性であるために、インフルエンザ抗体は、
ウイルスに結合し、ウイルスのプラーク形成能を中和しなければならない。簡潔に言えば
、インフルエンザ抗体をPBSで2倍増に系列希釈して、複数のウェルにわたって濃度勾
配を形成する。既知数のウイルス性プラーク形成ユニットを各ウェルに追加し、1時間イ
ンキュベートした後、混合物をMDCK単層に追加してウイルス結合を可能にする。Av
icelオーバーレイによりプラーク形成が促進され、プラークを免疫染色によって可視
化する。プラーク形成を防止するための薬剤の最低濃度をMICとして報告する。これら
の試験では、H1N1株PR8(A/Puerto Rico/8/34)を利用する。
このアッセイにおけるH1N1に対する代表的なインフルエンザ抗体の活性を決定する。
(均等物)
当業者であれば、ルーチンな実験のみを使用して、本明細書に記載される本発明の具体
的な実施形態の多くの均等物を認識し、またはこれを確認することができるであろう。本
発明の範囲は上記説明に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に示されている
通りである。

Claims (1)

  1. 本明細書に記載の発明。
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