次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して第1実施形態の回転電機システムについて説明する。
図1に示す回転電機システム1は、バッテリ11から供給される直流を交流に変換して回転電機10に供給し、回転電機10にトルクを発生させるシステムである。回転電機システム1は、回転電機10と、バッテリ11と、コンデンサ12と、電力変換装置13と、電流センサ15と、制御装置17とを備えている。
回転電機10は、交流が供給されることでトルクを発生する機器である。回転電機10は、3相巻線100と、回転センサ102とを備えている。
3相巻線100は、3相交流が供給されることで磁束を発生する部材である。3相巻線100は、相巻線100a〜100cをY結線して構成されている。相巻線100a〜100cの一端は共通接続され、他端は電力変換装置13にそれぞれ接続されている。図示を省略しているが、3相巻線100は、回転電機10の固定子に設けられている。
回転センサ102は、回転電機10の回転角度及び回転速度を検出するセンサである。図示を省略しているが、回転電機10の回転子の回転角度及び回転速度を検出するセンサである。具体的には、回転角度及び回転速度に応じた3種類のパルス信号を出力するセンサである。3種類のパルス信号のレベルによって回転角度を検出することができる、また、パルス信号の周波数によって回転速度を検出することができる。回転センサ102は、回転子の回転角度及び回転速度を検出できるように配置されている。回転センサ102の出力端は、制御装置17に接続されている。
バッテリ11は、直流を供給する直流電源である。バッテリ11の正極端及び負極端は、コンデンサ12にそれぞれ接続されている。
コンデンサ12は、バッテリ11から供給される直流を平滑化する素子である。コンデンサ12の一端はバッテリ11の正極端に、他端はバッテリ11の負極端にそれぞれ接続されている。
電力変換装置13は、コンデンサ12を介してバッテリ11から供給される直流を降圧し、さらに3相交流に変換して3相巻線100に供給する装置である。電力変換装置13は、降圧コンバータ回路130と、電圧形インバータ回路131と、バイパススイッチ132と、ダイオード133とを備えている。
降圧コンバータ回路130は、コンデンサ12を介してバッテリ11から供給される直流を降圧する回路である。降圧コンバータ回路130は、FET130a、130bと、リアクトル130cと、コンデンサ130dとを備えている。
FET130a、130bは、スイッチングすることでリアクトル130cにエネルギーを蓄積又は蓄積したエネルギーをリアクトル130cから放出させるコンバータ用スイッチング素子である。FET130a、130bは、直列接続されている。具体的には、FET130aのソースが、FET130bのドレインに接続されている。FET130aのドレインはコンデンサ12の一端に、FET130bのソースはコンデンサ12の他端にそれぞれ接続されている。FET130a、130bの直列接続点は、リアクトル130cに接続されている。FET130a、130bのゲートは、制御装置17にそれぞれ接続されている。
リアクトル130cは、エネルギーを蓄積又は蓄積されたエネルギーを放出する素子である。リアクトル130cの一端はFET130a、130bの直列接続点に、他端はコンデンサ130dにそれぞれ接続されている。
コンデンサ130dは、降圧された直流を平滑化する素子である。コンデンサ130dの一端はリアクトル130cの他端に、他端はFET130bのソースにそれぞれ接続されている。
電圧形インバータ回路131は、降圧コンバータ回路130から供給される降圧された直流を3相交流に変換して3相巻線100に供給する回路である。電圧形インバータ回路131は、FET131a〜131fを備えている。
FET131a〜131fは、スイッチングすることで直流を3相交流に変換するインバータ用スイッチング素子である。FET131a、131b、FET131c、131d及びFET131e、131fは、それぞれ直列接続されている。直列接続された3組のFET131a、131b、FET131c、131d及びFET131e、131fは、並列接続され、降圧コンバータ回路130に接続されている。具体的には、FET131a、131c、131eのソースが、FET131b、131d、131fのドレインにそれぞれ接続されている。FET131a、131c、131eのドレインは共通接続されてコンデンサ130dの一端に、FET131b、131d、131fのソースは共通接続されてコンデンサ130dの他端にそれぞれ接続されている。直列接続された3組のFET131a、131b、FET131c、131d及びFET131e、131fの直列接続点は、3相巻線100にそれぞれ接続されている。具体的には、相巻線100a、100b、100cの他端にそれぞれ接続されている。
バイパススイッチ132は、降圧コンバータ回路130の入力端と出力端の間に接続され、入力端と出力端を接続、又は、入力端と出力端を切断する素子である。バイパススイッチ132は、降圧コンバータ回路130の入力端と出力端を接続することで、バッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流を供給する。バイパススイッチ132は、FET132aを備えている。FET132aは、寄生ダイオード132bを有するバイパス用スイッチング素子である。寄生ダイオード132bのアノードはFET132aのソースにカソードはFET132aのドレインにそれぞれ接続されている。FET132aのソースは、降圧コンバータ回路130の正極側の出力端であるコンデンサ130dの一端に、カソードは降圧コンバータ回路130の正極側の入力端であるFET130aのドレインにそれぞれ接続されている。
ダイオード133は、降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流す素子である。具体的には、寄生ダイオード132bである。ダイオード133のアノードは降圧コンバータ回路130の出力端であるコンデンサ130dの一端に、カソードは降圧コンバータ回路130の入力端であるFET130aのドレインにそれぞれ接続されている。
電流センサ15は、降圧コンバータ回路130の出力電流を検出するセンサである。電流センサ15は、降圧コンバータ回路130と電圧形インバータ回路131を接続する配線に設けられている。具体的には、コンデンサ130dとFET131b、131d、131fを接続する配線に設けられている。電流センサ15の出力端は、制御装置17に接続されている。
制御装置17は、外部装置から入力される指令、回転センサ102及び電流センサ15の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130、電圧形インバータ回路131及びバイパススイッチ132を制御する装置である。
制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満の場合、バイパススイッチ132をオフ状態にする。そして、外部装置から入力される指令及び電流センサ15の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130の出力電流が所定電流になり、降圧コンバータ回路130がバッテリ11から供給される直流を降圧するように降圧コンバータ回路130を制御する。具体的には、FET130a、130bを所定タイミングで相補的にスイッチングさせる。さらに、外部装置から入力される指令及び回転センサ102の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131が降圧コンバータ回路130から供給される直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するように電圧形インバータ回路131を制御する。具体的には、通電角が120度である120度矩形波通電になるように、FET131a〜131fを駆動する。ここで、120度矩形波通電とは、電気角で120度の区間が正負交互に矩形波状に通電される周知の通電方式のことである。
一方、回転電機の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、制御装置17は、バイパススイッチ132をオン状態にし、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bのスイッチング動作を停止させ、降圧コンバータ回路130のFET130aをオン状態にする。そして、外部装置から入力される指令及び回転センサ102の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131が、バイパススイッチ132を介してバッテリ11から供給される直流、及び、FET130a及びリアクトル130cを介してバッテリ11から供給される直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するように電圧形インバータ回路131を制御する。その際、制御装置17は、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の通電角を調整して電流を制御する。具体的には、通電角が120度より小さい矩形波通電になるように、FET131a〜131fを駆動する。また、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の通電角内において非通電期間を設けて電圧を制御する。
回転電機10の逆起電圧が高くなると、3相巻線100に加わる電圧が小さくなり、降圧コンバータ回路130を用いなくても、電圧形インバータ回路131によって3相巻線100に流れる電流を制御できるようになる。閾値電圧は、降圧コンバータ回路130を用いなくても、電圧形インバータ回路131によって3相巻線100に流れる電流を制御することができる回転電機10の逆起電圧値に設定されている。
制御装置17は、回転センサ102の出力端及び電流センサ15の出力端にそれぞれ接続されている。また、降圧コンバータ回路130及び電圧形インバータ回路131に接続されている。具体的には、FET130a、130b、131a〜131fのゲートにそれぞれ接続されている。
制御装置17は、逆起電圧判定回路170と、駆動回路173とを備えている。
逆起電圧判定回路170は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定し、判定結果に応じた信号を駆動回路173に出力する回路である。回転電機10の逆起電圧は、回転電機10の回転速度に比例する。具体的には、逆起電圧判定回路170は、回転電機10の回転速度が、逆起電圧が閾値電圧になる回転速度以上であるか否かを判定し、判定結果に応じた信号を駆動回路173に出力する回路である。逆起電圧判定回路170は、F/V変換回路170aと、基準電源170bと、コンパレータ170cとを備えている。
F/V変換回路170aは、回転センサ102の出力するパルス信号をその周波数に応じた電圧に変換し、コンパレータ170cに出力する回路である。つまり、回転電機10の回転速度に応じた電圧をコンパレータ170cに出力する回路である。F/V変換回路170aの入力端は回転センサ102の出力端に、出力端はコンパレータ170cにそれぞれ接続されている。
基準電源170bは、回転電機10の回転速度が、逆起電圧が閾値電圧になる閾値回転速度Nth以上であるか否かを判定するための基準となる電圧を出力する電源である。基準電源170bはコンパレータ170cに接続されている。
コンパレータ170cは、F/V変換回路170aの出力が基準電源170bの電圧以上であるか否かを判定し、判定結果に応じた信号を駆動回路173に出力する回路である。コンパレータ170cは、F/V変換回路170aの出力が基準電源170bの電圧以上である場合、ハイレベルの信号を出力する。一方、F/V変換回路170aの出力が基準電源170bの電圧未満である場合、ローレベルの信号を出力する。つまり、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上である場合、ハイレベルの信号を、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満である場合、ローレベルの信号を出力する。コンパレータ170cの非反転入力端はF/V変換回路170aの出力端に、反転入力端は基準電源170bに、出力端は駆動回路173にそれぞれ接続されている。
駆動回路173は、コンパレータ170cの出力に基づいてFET132aをオン状態又はオフ状態にする回路である。駆動回路173は、コンパレータ170cの出力がハイレベルの場合、FET132aをオン状態にする。一方、コンパレータ170cの出力がローレベルの場合、FET132aをオフ状態にする。つまり、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上である場合、FET132aをオン状態にし、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満である場合、FET132aをオフ状態にする。駆動回路173の入力端はコンパレータ170cの出力端に、出力端はFET132aのゲートにそれぞれ接続されている。
コンデンサ12、電力変換装置13、電流センサ15及び制御装置17は、回転電機10に固定され、一体化されている。
次に、図1及び図2を参照して第1実施形態の回転電機システムの動作について説明する。
図2に示すように、回転電機10の回転速度が閾値回転速度Nth未満である場合、図1に示すコンパレータ170cはローレベルの信号を出力する。駆動回路173は、コンパレータ170cの出力がローレベルであるため、FET132aをオフ状態にする。FET132aがオフ状態であるため、FET132aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流が供給されることはない。
この場合、制御装置17は、外部装置から入力される指令及び電流センサ15の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130の出力電流が所定電流になり、降圧コンバータ回路130がバッテリ11から供給される直流を降圧するように、FET130a、130bを所定タイミングで相補的にスイッチングさせる。その結果、降圧コンバータ回路130は、所定電流を出力するとともに、バッテリ11から供給される直流を降圧して出力する。
さらに、制御装置17は、外部装置から入力される指令及び回転センサ102の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131が降圧コンバータ回路130から供給される降圧される直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するように、FET131a〜131fを駆動する。具体的には、120度矩形波通電になるように駆動する。その結果、電圧形インバータ回路131は、回転電機10の回転角度に応じた、120度矩形波通電による3相交流電流を3相巻線100に供給する。
ダイオード133は、降圧コンバータ回路130の出力電圧が入力電圧より高くなった場合、降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流して出力電圧の上昇を抑える。
3相巻線100は、回転電機10の回転角度に応じた、120度矩形波通電による3相交流電流が供給されることで、磁束を発生する。その結果、回転電機10はトルクを発生する。
図2に示すように、回転電機10の回転速度が上昇し、時刻t1で閾値回転速度Nthになると、図1に示すコンパレータ170cはハイレベルの信号を出力する。駆動回路173は、コンパレータ170cの出力がハイレベルのであるため、FET132aをオン状態にする。その結果、FET132aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流が供給されるようになる。
この場合、制御装置17は、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bのスイッチング動作を停止させ、降圧コンバータ回路130のFET130aをオン状態にする。具体的には、FET130a、130bの相補的なスイッチングを停止させ、FET130aをオン状態にする。その結果、FET130aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流が供給されるようになる。
制御装置17は、外部装置から入力される指令及び回転センサ102の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131が、FET132aを介してバッテリ11から供給される直流、及び、FET130a及びリアクトル130cを介してバッテリ11から供給される直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するようにFET131a〜131fを駆動する。その際、制御装置17は、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の通電角を調整して電流を制御する。具体的には、通電角が120度より小さい矩形波通電になるように駆動する。例えば、110度の矩形波通電になるように制御する。また、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の通電角内において非通電期間を設けて電圧を制御する。例えば110度の通電角内の中央付近において、所定幅の非通電期間を設ける。その結果、電圧形インバータ回路131は、回転電機10の回転角度に応じた3相交流電流を3相巻線100に供給する。
3相巻線100は、回転電機10の回転角度に応じた3相交流電流が供給されることで、磁束を発生する。その結果、回転電機10は、継続してトルクを発生する。
次に第1実施形態の回転電機システムの効果について説明する。
第1実施形態によれば、回転電機システム1は、3相巻線100を有する回転電機10と、バッテリ11と、3相巻線100に対して設けられ、バッテリ11から供給される直流を3相交流に変換して回転電機10に供給する電力変換装置13と、電力変換装置13を制御する制御装置17とを備えている。電力変換装置13は、バッテリ11から供給される直流を降圧する降圧コンバータ回路130と、降圧コンバータ回路130から供給される直流を3相交流に変換して回転電機10に供給する電圧形インバータ回路131と、降圧コンバータ回路130の入力端と出力端の間に接続されるバイパススイッチ132と、を有している。
制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満の場合、バイパススイッチ132をオフ状態にする。そして、降圧コンバータ回路130の出力電流が所定電流になり、降圧コンバータ回路130がバッテリ11から供給される直流を降圧するように降圧コンバータ回路130を制御するとともに、電圧形インバータ回路131が降圧コンバータ回路130から供給される直流を交流に変換するように電圧形インバータ回路131を制御する。一方、回転電機の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、バイパススイッチ132をオン状態にし、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bのスイッチング動作を停止させる。そして、電圧形インバータ回路131がバイパススイッチ132を介してバッテリ11から供給される直流を交流に変換するように電圧形インバータ回路131を制御する。
回転電機10は、回転速度が上昇するに従って逆起電圧も上昇する。回転電機10の逆起電圧が高くなると、3相巻線100に加わる電圧が小さくなり、降圧コンバータ回路130を用いなくても、電圧形インバータ回路131によって3相巻線100に流れる電流を制御できるようになる。電力変換装置13は、降圧コンバータ回路130の正極側の入力端と正極側の出力端の間に接続されるバイパススイッチ132を備えている。制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、バイパススイッチ132をオン状態にし、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bのスイッチング動作を停止させる。そして、電圧形インバータ回路131がバイパススイッチ132を介してバッテリ11から供給される直流を3相交流に変換するように電圧形インバータ回路131を制御する。そのため、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bをスイッチング動作させることなく、電圧形インバータ回路131から回転電機10に電流を制御しながら3相交流を供給することができる。従って、降圧コンバータ回路130によるFETのスイッチング損失を抑えて効率を向上させることができる。
第1実施形態によれば、降圧コンバータ回路130は、一端が入力端に、他端がリアクトル130cを介して出力端にそれぞれ接続されるFET130aを有している。制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、FET130aをオン状態にし、FET130a及びリアクトル130cを介してバッテリ11から供給される直流を交流に変換するように電圧形インバータ回路131を制御する。そのため、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、FET132aだけでなく、FET130aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流を供給することができる。つまり、バッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流を供給する経路を増やすことができる。その結果、それぞれの経路を流れる電流を減らすことができる。これにより、FET132aだけを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流を供給する場合に比べ、電流が流れる経路における損失を抑えることができる。
第1実施形態によれば、電力変換装置13は、降圧コンバータ回路130の入力端と出力端の間に、出力端から入力端に向かって電流が流れるように接続されたダイオード133を有している。そのため、電圧形インバータ回路131のFET131a〜131fのスイッチングに起因して、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きくなっても、ダイオード133を介して降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流すことができる。従って、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧上昇が抑えられ、降圧コンバータ回路130及び電圧形インバータ回路131の破損を防止することができる。
第1実施形態によれば、バイパススイッチ132は、寄生ダイオード132bを有するFET132aである。ダイオード133は、寄生ダイオード132bである。そのため、ダイオード133として別のダイオードをわざわざ設ける必要がない。従って、電力変換装置13の構成を簡素化することができる。
第1実施形態によれば、制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の通電角を調整する。そのため、バッテリ11からバイパススイッチ132を介して電圧形インバータ回路131に直流が供給される場合であっても、回転電機10に供給される電流を制御することができる。
第1実施形態によれば、制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の通電角内において非通電期間を設ける。そのため、バッテリ11からバイパススイッチ132を介して電圧形インバータ回路131に直流が供給される場合であっても、回転電機10に供給される電圧を、バッテリ11から降圧コンバータ回路130を介して電圧形インバータ回路131に直流が供給される場合と同様に状態に制御することができる。
第1実施形態によれば、回転電機10は、相数が3である3相巻線100を有している。そのため、電力変換装置13を構成する電圧形インバータ回路として、一般的に広く用いられている3相の電圧形インバータ回路131を利用することができる。従って、相数が3の倍数でない多相巻線を複数有している場合に比べ、電力変換装置13を容易に構成することができる。
第1実施形態によれば、電力変換装置13及び制御装置17は、回転電機10に固定されている。そのため、回転電機システム1を小型化することができる。
なお、第1実施形態では、バイパススイッチ132が寄生ダイオード132bを有するFET132aであり、ダイオード133が寄生ダイオード132bである例を挙げているが、これに限られるものではない。図3に示すように、電力変換装置13がFET132aに外付けされる寄生ダイオード132bより高速の外付けダイオード134を有し、ダイオード133が寄生ダイオード132b及び外付けダイオード134であってもよい。外付けダイオード134を介して、降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に向かって高速に電流を流すことができる。そのため、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧上昇を即座に抑えることができる。従って、降圧コンバータ回路130及び電圧形インバータ回路131の破損を確実に防止することができる。
第1実施形態によれば、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、制御装置17が、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の通電角を調整する例を挙げているが、これに限られるものではない。回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上の場合、制御装置17は、電圧形インバータ回路131から回転電機10に供給される3相交流の位相を調整するようにしてもよい。3相交流の通電角を調整する場合と同様に、バッテリ11からバイパススイッチ132を介して電圧形インバータ回路131に直流が供給される場合であっても、回転電機10に供給される電流を制御することができる。
第1実施形態では、逆起電圧判定回路170によって、回転電機10の回転速度が、逆起電圧が閾値電圧以上になる回転速度であるか否かを判定する例を挙げているが、これに限られるものではない。逆起電圧判定回路170が、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上であるか否かを直接判定するようにしてもよい。矩形波通電の場合、回転電機10の逆起電圧は、電圧形インバータ回路131の入力端で検出することができる。図4に示すように、逆起電圧判定回路170は、オペアンプ170dと、ローパスフィルタ回路170eと、基準電源170fと、コンパレータ170gとによって構成されていてもよい。オペアンプ170dは、電圧形インバータ回路131の入力端に接続され、入力端に現れる回転電機10の逆起電圧を増幅して出力する。ローパスフィルタ回路170eは、オペアンプ170dの出力に含まれる高周波数成分を除去する。基準電源170fは、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定するための、閾値電圧に相当する基準となる電圧を出力する。コンパレータ170gは、ローパスフィルタ回路170eの出力が基準電源170fの電圧より大きい場合、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上であることを示すハイレベルの信号を出力する。一方、ローパスフィルタ回路170eの出力が基準電源170fの電圧以下である場合、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満であることを示すローレベルの信号を出力する。これにより、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上であるか否かを直接判定することができる。
第1実施形態では、回転電機10が3相巻線100を有する例を挙げているが、これに限られるものではない。回転電機10は、3相以外の多相巻線を有していてもよい。その場合、多相巻線の相数は、3の倍数であるとよい。電力変換装置を構成する電圧形インバータ回路として、一般的に広く用いられている3相の電圧形インバータ回路を利用することができる。
第1実施形態では、降圧コンバータ回路130がFET130a、130b、リアクトル130c及びコンデンサ130dによって構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。降圧コンバータ回路130は、複数の小容量降圧コンバータ回路を並列接続して構成されていてもよい。図5に示すように、降圧コンバータ回路130は、FET130e、130f、リアクトル130g及びコンデンサによって構成される小容量降圧コンバータ回路と、FET130i、130j、リアクトル130k及びコンデンサによって構成される小容量降圧コンバータ回路とを並列接続して構成されていてもよい。ここで、コンデンサ130hは、2つの小容量降圧コンバータ回路のコンデンサの容量を合成したものである。この場合、電流が、それぞれの小容量コンバータ回路に分散して流れることで、降圧コンバータ回路130の発熱を抑えることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の回転電機システムについて説明する。第2実施形態の回転電機システムは、第1実施形態の回転電機システムに対して、回転電機の逆起電圧が閾値電圧未満の場合であっても、降圧コンバータ回路の出力端の電圧が入力端の電圧より大きい場合には、バイパススイッチを制御するようにしたものである。
第2実施形態の回転電機システムは、降圧コンバータ回路の入出力端の電圧に基づいてバイパススイッチを制御することを除いて第1実施形態の回転電機システムと同一である。そのため、図6を参照して降圧コンバータ回路の入出力端の電圧に基づいてバイパススイッチを制御する構成及び動作についてのみ説明し、他の部分については説明を省略する。なお、第1実施形態と同一の構成要素は、同一の符号を付し説明を省略する。
まず、図6を参照して、第2実施形態の回転電機システムにおける、降圧コンバータ回路の入出力端の電圧に基づいてバイパススイッチを制御する構成について説明する。
図6に示すように、回転電機システム2は、制御装置17を備えている。制御装置17は、第1実施形態と同様の制御を行う。さらに、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満の場合であっても、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きい場合には、バイパススイッチ132をオン状態にし、バイパススイッチ132を介して出力端から入力端に電流を流す。制御装置17は、入出力電圧判定回路171と、OR回路172とを備えている。
入出力電圧判定回路171は、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きいか否かを判定し、判定結果に応じた信号をOR回路172に出力する回路である。入出力電圧判定回路171は、コンパレータ171aを備えている。
コンパレータ171aは、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きいか否かを判定し、判定結果に応じた信号をOR回路172に出力する回路である。コンパレータ171aは降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きい場合、ハイレベルの信号を出力する。一方、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧以下である場合、ローレベルの信号を出力する。コンパレータ171aの非反転入力端は降圧コンバータ回路130の出力端であるコンデンサ130dの一端に、反転入力端は降圧コンバータ回路130の入力端であるFET130aのドレインに、出力端はOR回路172にそれぞれ接続されている。
OR回路172は、コンパレータ170cとコンパレータ171aの出力の論理和を演算し、演算結果を駆動回路173に出力する回路である。OR回路172は、コンパレータ170c、171aの少なくともいずれかの出力がハイレベルの場合、ハイレベルの信号を出力する。一方、コンパレータ170c、171aの出力がいずれもローレベルの場合、ローレベルの信号を出力する。つまり、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧以上である場合、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きい場合の少なくともいずれかである場合、ハイレベルの信号を出力し、それ以外の場合、ローレベルの信号を出力する。OR回路172の一方の入力端はコンパレータ170cの出力端に、他方の入力端はコンパレータ171aの出力端に、出力端は駆動回路173の入力端にそれぞれ接続されている。
駆動回路173は、OR回路172の出力がハイレベルの場合、FET132aをオン状態にする。一方、OR回路172の出力がローレベルの場合、FET132aをオフ状態にする。
次に、図6を参照して、第2実施形態の回転電機システムにおける、降圧コンバータ回路の入出力端の電圧に基づいてバイパススイッチを制御する動作について説明する。
図6に示す降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きい場合、コンパレータ171aはハイレベルの信号を出力する。OR回路172は、コンパレータ171aの出力がハイレベルであるため、コンパレータ170cの出力がローレベルであっても、ハイレベルの信号を出力する。駆動回路173は、OR回路172の出力がハイレベルであるため、FET132aをオン状態にする。FET132aは、オン状態になり、降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流して出力電圧の上昇を抑える。つまり、制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満の場合であっても、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きい場合には、FET132aをオン状態にし、FET132aを介して出力端から入力端に電流を流して出力電圧の上昇を抑える。
次に、第2実施形態の回転電機システムの効果について説明する。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同一構成を有することにより、その同一構成に対応した同様の効果を得ることができる。
第2実施形態によれば、制御装置17は、回転電機10の逆起電圧が閾値電圧未満の場合であっても、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きい場合には、FET132aをオン状態にする。そのため、電圧形インバータ回路131のFET131a〜131fのスイッチングに起因して、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧が入力端の電圧より大きくなっても、FET132aを介して降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流すことができる。従って、降圧コンバータ回路130の出力端の電圧上昇が抑えられ、降圧コンバータ回路130及び電圧形インバータ回路131の破損を防止することができる。しかも、寄生ダイオード132bを介して電流を流す場合に比べ、損失を抑えることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の回転電機システムについて説明する。第3実施形態の回転電機システムは、第1実施形態の回転電機システムが1つの3相巻線を有する回転電機を駆動するものであるのに対して、2つの3相巻線を有する回転電機を駆動するように降圧コンバータ回路、電圧形インバータ回路及びバイパススイッチを追加するとともに、それに伴って制御の仕方を一部変更したものである。
第3実施形態の回転電機システムは、追加された3相巻線、降圧コンバータ回路、電圧形インバータ回路、バイパススイッチ、及び、一部変更された制御の仕方を除いて第1実施形態の回転電機システムと同一である。そのため、図7を参照して追加された3相巻線、降圧コンバータ回路、電圧形インバータ回路、バイパススイッチ、及び、一部変更された制御の仕方についてのみ説明し、他の部分については説明を省略する。なお、第1実施形態と同一の構成要素は、同一の符号を付し説明を省略する。
まず、図7を参照して、第3実施形態の回転電機システムにおける、追加された3相巻線、降圧コンバータ回路、電圧形インバータ回路、バイパススイッチについて説明する。
図7に示すように、回転電機システム3は、回転電機10と、バッテリ11と、コンデンサ12と、電力変換装置13、14と、電流センサ15、16と、制御装置17とを備えている。
回転電機10は、3相巻線100、101を備えている。
3相巻線101は、3相交流が供給されることで磁束を発生する部材である。3相巻線101は、相巻線101a〜101cをY結線して構成されている。相巻線101a〜101cの一端は共通接続され、他端は電力変換装置14にそれぞれ接続されている。図示を省略しているが、3相巻線101は、回転電機10の固定子に設けられている。
3相巻線100と3相巻線101は、位相が異なるように配置されている。
電力変換装置13、14は、3相巻線100、101毎に設けられている。電力変換装置13は3相巻線100に対して、電力変換装置14は3相巻線101に対してそれぞれ設けられている。
電力変換装置14は、コンデンサ12を介してバッテリ11から供給される直流を降圧し、さらに3相交流に変換して3相巻線101に供給する装置である。電力変換装置14は、降圧コンバータ回路140と、電圧形インバータ回路141と、バイパススイッチ142と、ダイオード143とを備えている。
降圧コンバータ回路140は、コンデンサ12を介してバッテリ11から供給される直流を降圧する回路である。降圧コンバータ回路140は、FET140a、140bと、リアクトル140cと、コンデンサ140dとを備えている。FET140a、140b、リアクトル140c及びコンデンサ140dは、FET130a、130b、リアクトル130c及びコンデンサ130dと同一の素子であり、同様に構成されている。
電圧形インバータ回路141は、降圧コンバータ回路140から供給される降圧された直流を3相交流に変換して3相巻線101に供給する回路である。電圧形インバータ回路141は、FET141a〜141fを備えている。FET141a〜141fは、FET131a〜131fと同一の素子であり、同様に構成されている。
バイパススイッチ142は、降圧コンバータ回路140の入力端と出力端の間に接続され、入力端と出力端を接続、又は、入力端と出力端を切断する素子である。バイパススイッチ142は、FET142aを備えている。FET142aは、寄生ダイオード142bを有するバイパス用スイッチング素子である。FET142aは、FET132aと同一の素子であり、同様に構成されている。
ダイオード143は、降圧コンバータ回路140の出力端から入力端に電流を流す素子である。具体的には、寄生ダイオード142bである。ダイオード143は、ダイオード133と同様に構成されている。
電流センサ16は、降圧コンバータ回路140の出力電流を検出するセンサである。電流センサ16は、降圧コンバータ回路140と電圧形インバータ回路141を接続する配線に設けられている。具体的には、コンデンサ140dとFET141b、141d、141fを接続する配線に設けられている。
制御装置17は、外部装置から入力される指令、回転センサ102及び電流センサ15、16の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130、140電圧形インバータ回路131、141及びバイパススイッチ132、142を制御する装置である。制御装置17は、降圧コンバータ回路130、電圧形インバータ回路131及びバイパススイッチ132に対して第1実施形態と同様の制御を行う。また、降圧コンバータ回路140、電圧形インバータ回路141及びバイパススイッチ142に対しても第1実施形態と同様の制御を行う。その際、電圧形インバータ回路131、141によって変換された3相交流の位相差が3相巻線100、101に対応した所定位相差になるように電圧形インバータ回路131、141を制御する。
コンデンサ12、電力変換装置13、14、電流センサ15、16及び制御装置17は、回転電機10に固定され、一体化されている。
次に、図7を参照して、第3実施形態の回転電機システムの動作について説明する。
図7に示す回転電機10の回転速度が閾値回転速度Nth未満である場合、制御装置17は、FET132a、132aをオフ状態にする。FET132a、142aがオフ状態であるため、FET132a、142aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131、141に直流が供給されることはない。
この場合、制御装置17は、外部装置から入力される指令及び電流センサ15、16の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130、140の出力電流が所定電流になり、降圧コンバータ回路130、140がバッテリ11から供給される直流を降圧するように、FET130a、130bを所定タイミングで相補的にスイッチングさせるとともに、FET140a、140bを所定タイミングで相補的にスイッチングさせる。その結果、降圧コンバータ回路130、140は、同一の所定電流を出力するとともに、バッテリ11から供給される直流を降圧して出力する。
さらに、制御装置17は、外部装置から入力される指令及び回転センサ102の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131、141が降圧コンバータ回路130、140から供給される降圧される直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するように、FET131a〜131fを駆動するとともに、FET141a〜141fを駆動する。具体的には、120度矩形波通電になるように駆動する。その際、電圧形インバータ回路131、141によって変換された3相交流の位相差が3相巻線100、101に対応した所定位相差になるようにFET131a〜131fを駆動するとともに、FET141a〜141fを駆動する。その結果、電圧形インバータ回路131、141は、回転電機10の回転角度に応じた、120度矩形波通電による所定位相差を有する3相交流電流を3相巻線100、101に供給する。
ダイオード133、143は、降圧コンバータ回路130、140の出力電圧が入力電圧より高くなった場合、降圧コンバータ回路130、140の出力端から入力端に電流を流して出力電圧の上昇を抑える。
3相巻線100、101は、回転電機10の回転角度に応じた、120度矩形波通電による所定位相差を有する3相交流電流が供給されることで、磁束を発生する。その結果、回転電機10はトルクを発生する。
回転電機10の回転速度が上昇し、閾値回転速度Nthになると、制御装置17は、FET132a、132aをオン状態にする。その結果、FET132aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流が供給されるとともに、FET142aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路141に直流が供給されるようになる。
この場合、制御装置17は、降圧コンバータ回路130、140のFET130a、130b、140a、140bのスイッチング動作を停止させ、降圧コンバータ回路130のFET130aをオン状態にするとともに、降圧コンバータ回路140のFET140aをオン状態にする。具体的には、FET130a、130bの相補的なスイッチング、及び、FET140a、140bの相補的なスイッチングを停止させ、FET130a、140aをオン状態にする。その結果、FET130aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路131に直流が供給されるとともに、FET140aを介してバッテリ11から電圧形インバータ回路141に直流が供給されるようになる。
制御装置17は、外部装置から入力される指令及び回転センサ102の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131、141が降圧コンバータ回路130、140から供給される降圧される直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するように、FET131a〜131fを駆動するとともに、FET141a〜141fを駆動する。その際、制御装置17は、電圧形インバータ回路131、141から回転電機10に供給される3相交流の通電角を調整して電流を制御する。具体的には、通電角が120度より小さい矩形波通電になるように駆動する。また、電圧形インバータ回路131、141から回転電機10に供給される3相交流の通電角内において非通電期間を設けて電圧を制御する。さらに、電圧形インバータ回路131、141によって変換された3相交流の位相差が3相巻線100、101に対応した所定位相差になるようにFET131a〜131fを駆動するとともに、FET141a〜141fを駆動する。その結果、電圧形インバータ回路131、141は、回転電機10の回転角度に応じた所定位相差を有する3相交流電流を3相巻線100、101に供給する。
3相巻線100、101は、回転電機10の回転角度に応じた、所定位相差を有する3相交流電流が供給されることで、磁束を発生する。その結果、回転電機10は継続してトルクを発生する。
次に、第3実施形態の回転電機システムの効果について説明する。
第3実施形態によれば、第1実施形態と同一構成を有することにより、その同一構成に対応した同様の効果を得ることができる。
第3実施形態によれば、2つの3相巻線100、101を有する回転電機10を備えた回転電機システムにおいても、降圧コンバータ回路130、140による損失を抑えて効率を向上させることができる。
第3実施形態によれば、回転電機10は、相数が3である3相巻線100、101を有している。そのため、電力変換装置13、14を構成する電圧形インバータ回路として、一般的に広く用いられている3相の電圧形インバータ回路131、141を利用することができる。従って、相数が3の倍数でない多相巻線を複数有している場合に比べ、電力変換装置13を容易に構成することができる。
第3実施形態によれば、電力変換装置13、14及び制御装置17は、回転電機10に固定されている。そのため、回転電機システム3を小型化することができる。
なお、第3実施形態では、回転電機10が2つの3相巻線100、101を有する例を挙げているが、これに限られるものではない。回転電機10は、複数の多相巻線を有してもよい。その場合、多相巻線の相数は3の倍数であるとよい。電力変換装置を構成する電圧形インバータ回路として、一般的に広く用いられている3相の電圧形インバータ回路を利用することができる。
以上、本発明の実施形態及びその変形形態を説明したが、本発明は、これらの形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、これらの形態を組み合わせて構成してもよい。