JP6681025B2 - 回転電機システム - Google Patents

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Description

本発明は、降圧コンバータ回路と、電圧形インバータ回路と、降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流を流すダイオードとを備えた回転電機システムに関する。
従来、降圧コンバータ回路と、電圧形インバータ回路と、降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流を流すダイオードとを備えた回転電機システムとして、例えば以下の特許文献1に開示されている回転電機システムがある。
この回転電機システムは、モータと、直流電源と、チョッパ回路と、電圧形インバータ回路とを備えている。チョッパ回路は、降圧コンバータ回路と、降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流を流すダイオードとを備えている。
降圧コンバータ回路は、出力電流が所定電流になるように制御され、直流電源から供給される直流を降圧して出力する。電圧形インバータ回路は、降圧コンバータ回路から供給される直流を交流に変換してモータに供給する。ダイオードは、降圧コンバータ回路の出力端の電圧が入力端の電圧より大きくなった場合、出力端から入力端に電流を流す。つまり、降圧コンバータ回路、電圧形インバータ回路及びダイオードは、電流形インバータ回路として機能し、直流電源から供給される直流を交流に変換してモータに供給する。
回転電機システムは、電圧形インバータ回路のスイッチング素子のスイッチングに伴って降圧コンバータ回路の出力電圧が変化する。降圧コンバータ回路の出力端の電圧が入力端の電圧より大きくなった場合、ダイオードを介して出力端から入力端に電流が流れる。その結果、直流電源から供給される電流にリプルが発生する。
しかし、降圧コンバータ回路は、2つのリアクトルを備えている。2つのリアクトルは、磁気的に結合され、一方のリアクトルがコンデンサに直列接続されている。そのため、直列接続されたリアクトルとコンデンサからなる共振回路によって、降圧コンバータ回路内を流れる電流のリプルを除去することができる。その結果、直流電源から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
特開2013−27241号公報
前述した回転電機システムにおいて、回転電機の回転速度を変化させた場合、電圧形インバータ回路のスイッチング素子のスイッチングタイミングも変化する。そのため、直流電源から供給される電流に含まれるリプルの周波数も変化する。しかし、抑えることができるリプルは、共振回路によって設定された所定周波数のリプルだけである。そのため、回転電機の回転速度を変化させた場合、直流電源から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、降圧コンバータ回路と、電圧形インバータ回路と、降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流を流すダイオードとを備えた回転電機システムにおいて、回転電機の回転速度を変化させても、直流電源から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる回転電機システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明は、位相が異なるように配置された複数の多相巻線を有する回転電機と、直流電源と、多相巻線毎に設けられ、直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換して多相巻線に供給する電力変換装置と、それぞれの電力変換装置を制御する制御装置と、を備えた回転電機システムであって、電力変換装置は、リアクトルを有し直流電源から供給される直流電圧を降圧する降圧コンバータ回路と、降圧コンバータ回路から供給される直流電圧を交流電圧に変換して多相巻線に供給する電圧形インバータ回路と、降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流を流すダイオードと、を有し、それぞれの降圧コンバータ回路のリアクトルは、他の降圧コンバータ回路のリアクトルと磁気的に結合し、制御装置は、それぞれの降圧コンバータ回路の出力電流が所定電流になるとともに、それぞれの降圧コンバータ回路が直流電源から供給される直流電圧を降圧するようにそれぞれの降圧コンバータ回路を制御し、それぞれの電圧形インバータ回路が降圧コンバータ回路から供給される直流電圧を交流電圧に変換するとともに、それぞれの電圧形インバータ回路によって変換された交流電圧の位相差がそれぞれの電圧形インバータ回路に接続される多相巻線に対応した所定位相差になるようにそれぞれの電圧形インバータ回路を制御する。
この構成によれば、回転電機は、複数の多相巻線を有している。電力変換装置は、多相巻線毎に設けられている。電力変換装置は、降圧コンバータ回路と、電圧形インバータ回路と、降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流を流すダイオードとを備えている。降圧コンバータ回路は、リアクトルを有している。それぞれの降圧コンバータ回路のリアクトルは、他の降圧コンバータ回路のリアクトルと磁気的に結合されている。ダイオードを介してある降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流が流れると、直流電源から供給される電流にリプルが発生する。その際、その降圧コンバータ回路のリアクトルに流れる電流も変化する。しかし、その降圧コンバータ回路のリアクトルは、他の降圧コンバータ回路のリアクトルと磁気的に結合されている。そのため、その降圧コンバータ回路のリアクトルに流れる電流が増加した場合、他の降圧コンバータ回路のリアクトルに流れる電流を減少させることができる。また、その降圧コンバータ回路のリアクトルに流れる電流が減少した場合、他の降圧コンバータ回路のリアクトルに流れる電流を増加させることができる。つまり、他の降圧コンバータ回路を、リプルを打ち消すように動作させることができる。従って、全体として見た場合、直流電源から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。回転電機の回転速度を変化させた場合、電圧形インバータ回路のスイッチングタイミングも変化する。そのため、直流電源から供給される電流に含まれるリプルの周波数も変化する。しかし、この場合も、降圧コンバータ回路は、前述したように動作する。従って、回転電機の回転速度を変化させても、直流電源から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
回転電機システムの回路図である。 第1の変形形態における回転電機システムの回路図である。 図2における磁気的に結合されたリアクトルの構造を説明するための平面図である。 第2の変形形態における回転電機システムの回路図である。 第3の変形形態におけるFETの構成を示す回路図である。
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。まず、図1を参照して本実施形態の回転電機システムについて説明する。
図1に示す回転電機システム1は、バッテリ11から供給される直流を交流に変換して回転電機10に供給し、回転電機10にトルクを発生させるシステムである。回転電機システム1は、回転電機10と、バッテリ11と、コンデンサ12と、電力変換装置13、14と、電流センサ170、171と、制御装置18とを備えている。
回転電機10は、交流が供給されることでトルクを発生する機器である。回転電機10は、3相巻線100、101と、回転角センサ104とを備えている。
3相巻線100は、3相交流が供給されることで磁束を発生する部材である。3相巻線100は、相巻線100a〜100cをY結線して構成されている。相巻線100a〜100cの一端は共通接続され、他端は電力変換装置13にそれぞれ接続されている。図示を省略しているが、3相巻線100は、回転電機10の固定子に設けられている。
3相巻線101は、3相交流が供給されることで磁束を発生する部材である。3相巻線101は、相巻線101a〜101cをY結線して構成されている。相巻線101a〜101cの一端は共通接続され、他端は電力変換装置14にそれぞれ接続されている。図示を省略しているが、3相巻線101は、回転電機10の固定子に設けられている。
3相巻線100と3相巻線101は、位相が異なるように配置されている。3相巻線100と3相巻線101は、120度矩形波通電による所定位相差を有する同一振幅の3相交流電流が供給された場合に、発生する合成磁束が正弦波状になる。例えば、3相巻線100と3相巻線101は、電気角で約30度位相をずらして配置されており、電気角で約30度の位相差を有する3相交流が供給された場合、合成磁束が正弦波状になる。ここで、120度矩形波通電とは、電気角で120度の区間が正負交互に矩形波状に通電される周知の通電方式のことである。約30度とは、30度を含む30度近傍の所定範囲内の角度のことである。
回転角センサ104は、回転電機10の回転角度を検出センサである。図示を省略しているが、回転電機10の回転子の回転角度を検出するセンサである。回転角センサ104は、回転子の回転角度を検出できるように配置されている。回転角センサ104の出力端は、制御装置18に接続されている。
バッテリ11は、直流を供給する直流電源である。バッテリ11の正極端及び負極端は、コンデンサ12にそれぞれ接続されている。
コンデンサ12は、バッテリ11から供給される直流を平滑化する素子である。コンデンサ12の一端はバッテリ11の正極端に、他端はバッテリ11の負極端にそれぞれ接続されている。
電力変換装置13、14は、コンデンサ12を介してバッテリ11から供給される直流を降圧し、さらに3相交流に変換して3相巻線100、101に供給する装置である。
電力変換装置13は、降圧コンバータ回路130と、電圧形インバータ回路131と、ダイオード132とを備えている。
降圧コンバータ回路130は、コンデンサ12を介してバッテリ11から供給される直流を降圧する回路である。降圧コンバータ回路130は、FET130a、130bと、リアクトル130cと、コンデンサ130dとを備えている。
FET130a、130bは、相補的にスイッチングすることでリアクトル130cにエネルギーを蓄積又は蓄積したエネルギーをリアクトル130cから放出させるコンバータ用スイッチング素子である。FET130a、130bは、直列接続されている。具体的には、FET130aのソースが、FET130bのドレインに接続されている。FET130aのドレインはコンデンサ12の一端に、FET130bのソースはコンデンサ12の他端にそれぞれ接続されている。FET130a、130bの直列接続点は、リアクトル130cに接続されている。FET130a、130bのゲートは、制御装置18にそれぞれ接続されている。
リアクトル130cは、エネルギーを蓄積又は放出する素子である。リアクトル130cは、後述するリアクトル140cと磁気的に結合している。リアクトル130cの巻始めである一端はFET130a、130bの直列接続点に、巻終わりである他端はコンデンサ130dにそれぞれ接続されている。
コンデンサ130dは、降圧された直流を平滑化する素子である。コンデンサ130dの一端はリアクトル130cの他端に、他端はFET130bのソースにそれぞれ接続されている。
電圧形インバータ回路131は、降圧コンバータ回路130から供給される降圧された直流を3相交流に変換して3相巻線100に供給する回路である。電圧形インバータ回路131は、FET131a〜131fを備えている。
FET131a〜131fは、スイッチングすることで直流を3相交流に変換するインバータ用スイッチング素子である。FET131a、131b、FET131c、131d及びFET131e、131fは、それぞれ直列接続されている。具体的には、FET131a、131c、131eのソースが、FET131b、131d、131fのドレインにそれぞれ接続されている。FET131a、131c、131eのドレインはコンデンサ130dの一端に、FET131b、131d、131fのソースはコンデンサ130dの他端にそれぞれ接続されている。直列接続された3組のFET131a、131b、FET131c、131d及びFET131e、131fの直列接続点は、3相巻線100にそれぞれ接続されている。具体的には、相巻線100a、100b、100cの他端にそれぞれ接続されている。
ダイオード132は、降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流す素子である。ダイオード132のアノードは降圧コンバータ回路130の出力端であるコンデンサ130dの一端に、カソードは降圧コンバータ回路130の入力端であるFET130aのドレインにそれぞれ接続されている。
電力変換装置14は、降圧コンバータ回路140と、電圧形インバータ回路141と、ダイオード142とを備えている。
降圧コンバータ回路140は、コンデンサ12を介してバッテリ11から供給される直流を降圧する回路である。降圧コンバータ回路140は、FET140a、140bと、リアクトル140cと、コンデンサ140dとを備えている。
FET140a、140bは、相補的にスイッチングすることでリアクトル140cにエネルギーを蓄積又は蓄積したエネルギーをリアクトル140cから放出させるコンバータ用スイッチング素子である。FET140a、140bは、直列接続されている。具体的には、FET140aのソースが、FET140bのドレインに接続されている。FET140aのドレインはコンデンサ12の一端に、FET140bのソースはコンデンサ12の他端にそれぞれ接続されている。FET140a、140bの直列接続点は、リアクトル140cに接続されている。FET140a、140bのゲートは、制御装置18にそれぞれ接続されている。
リアクトル140cは、エネルギーを蓄積又は放出する素子である。リアクトル140cは、リアクトル130cと磁気的に結合している。リアクトル140cの巻始めである一端はFET140a、140bの直列接続点に、巻終わりである他端はコンデンサ140dにそれぞれ接続されている。
コンデンサ140dは、降圧された直流を平滑化する素子である。コンデンサ140dの一端はリアクトル140cの他端に、他端はFET140bのソースにそれぞれ接続されている。
電圧形インバータ回路141は、降圧コンバータ回路140から供給される降圧された直流を3相交流に変換して3相巻線101に供給する回路である。電圧形インバータ回路141は、FET141a〜141fを備えている。FET141a〜141fは、FET131a〜131fと同一の素子であり、同様に構成されている。
ダイオード142は、降圧コンバータ回路140の出力端から入力端に電流を流す素子である。ダイオード142は、ダイオード132と同一の素子であり、同様に構成されている。
電流センサ170、171は、降圧コンバータ回路130、140の出力電流を検出するセンサである。電流センサ170、171は、降圧コンバータ回路130、140と電圧形インバータ回路131、141を接続する配線に設けられている。具体的には、電流センサ170は、コンデンサ130dとFET131a、131c、131eを接続する配線に設けられている。電流センサ171は、コンデンサ140dとFET141a、141c、141eを接続する配線に設けられている。電流センサ170、171の出力端は、制御装置18にそれぞれ接続されている。
制御装置18は、外部装置から入力される指令、回転角センサ104及び電流センサ170、171の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130、140及び電圧形インバータ回路131、141を制御する装置である。制御装置18は、外部装置から入力される指令及び電流センサ170、171の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130、140の出力電流が所定電流になるとともに、降圧コンバータ回路130、140がバッテリ11から供給される直流を降圧して出力するように降圧コンバータ回路130、140を制御する。具体的には、FET130a、130bと、FET140a、140bのスイッチングを制御する。より具体的には、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bと降圧コンバータ回路140のFET140a、140bを、互いに位相が異なる同一周波数でPWM駆動する。さらに、外部装置から入力される指令及び回転角センサ104の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131、141が降圧コンバータ回路130、140から供給される降圧された直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するように電圧形インバータ回路131、141を制御する。具体的には、FET131a〜131fと、FET141a〜141fのスイッチングを制御する。より具体的には、電圧形インバータ回路131のFET131a〜131fと電圧形インバータ回路141のFET141a〜141fを、120度矩形波通電になるようにPWM駆動する。その際、電圧形インバータ回路131、141によって変換された3相交流の位相差が3相巻線100、101に対応した所定位相差になるように電圧形インバータ回路131、141を制御する。具体的には、FET131a〜131fと、FET141a〜141fのスイッチングのタイミングを制御する。制御装置18は、回転角センサ104の出力端及び170、171の出力端にそれぞれ接続されている。また、降圧コンバータ回路130、140及び電圧形インバータ回路131、141に接続されている。具体的には、FET130a、130b、140a、140b、131a〜131f、141a〜141fのゲートにそれぞれ接続されている。
全ての電力変換装置13、14及び制御装置18は、回転電機10に固定され、一体化されている。
次に、図1を参照して本実施形態における回転電機システムの動作について説明する。
図1に示す制御装置18は、外部装置から入力される指令及び電流センサ170、171の検出結果に基づいて、降圧コンバータ回路130、140の出力電流が同一の所定電流になるとともに、降圧コンバータ回路130、140がバッテリ11から供給される直流を降圧して出力するように、FET130a、130bとFET140a、140bを、互いに位相が異なる同一周波数でPWM駆動する。その結果、降圧コンバータ回路130、140は、同一の所定電流を出力するとともに、バッテリ11から供給される直流を降圧して出力する。
さらに、制御装置18は、外部装置から入力される指令及び回転角センサ104の検出結果に基づいて、電圧形インバータ回路131、141が降圧コンバータ回路130、140から供給される降圧された直流を回転電機10の回転角度に応じた3相交流に変換するように、FET131a〜131fとFET141a〜141fをPWM駆動する。具体的には、120度矩形波通電になるようにPWM駆動する。その際、電圧形インバータ回路131、141によって変換された3相交流の位相差が3相巻線100、101に対応した所定位相差になるように、FET131a〜131fとFET141a〜141fのスイッチングのタイミングを制御する。その結果、電圧形インバータ回路131は、回転電機10の回転角度に応じた、120度矩形波通電による3相交流電流を3相巻線100に供給する。電圧形インバータ回路141は、回転電機10の回転角度に応じた、120度矩形波通電による、電圧形インバータ回路131の3相交流に対して所定位相差を有する同一振幅の3相交流電流を3相巻線101に供給する。
ダイオード132は、電圧形インバータ回路131のFET131a〜131fのスイッチングに伴って降圧コンバータ回路130の出力電圧が入力電圧より高くなった場合、降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流して出力電圧の上昇を抑える。ダイオード142は、電圧形インバータ回路141のFET141a〜14fのスイッチングに伴って降圧コンバータ回路140の出力電圧が入力電圧より高くなった場合、降圧コンバータ回路140の出力端から入力端に電流を流して出力電圧の上昇を抑える。
3相巻線100、101は、回転電機10の回転角度に応じた、120度矩形波通電による所定位相差を有する同一振幅の3相交流電流が供給されることで、正弦波状の合成磁束を発生する。その結果、回転電機10は、リプルの少ないトルクを発生する。
ダイオード132を介して降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流が流れると、バッテリ11から供給される電流にリプルが発生する。その際、降圧コンバータ回路130のリアクトル130cに流れる電流も変化する。しかし、降圧コンバータ回路130のリアクトル130cは、降圧コンバータ回路140のリアクトル140cと磁気的に結合されている。そのため、リアクトル130cに流れる電流が増加した場合、リアクトル140cに流れる電流を減少させることができる。また、リアクトル130cに流れる電流が減少した場合、リアクトル140cに流れる電流を増加させることができる。つまり、降圧コンバータ回路140を、リプルを打ち消すように動作させることができる。従って、全体として見た場合、バッテリ11から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
回転電機10の回転速度を変化させた場合、電圧形インバータ回路131、141のFET131a〜131f、141a〜14fのスイッチングタイミングも変化する。そのため、バッテリ11から供給される電流に含まれるリプルの周波数も変化する。しかし、この場合も、降圧コンバータ回路130、140は、前述したように動作する。従って、回転電機10の回転速度を変化させても、バッテリ11から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
次に、本実施形態における回転電機システムの効果について説明する。
本実施形態によれば、回転電機10は、2つの3相巻線100、101を有している。電力変換装置13、14は、2つの3相巻線100、101毎に設けられている。電力変換装置13は、降圧コンバータ回路130と、電圧形インバータ回路131と、降圧コンバータ回路130の出力端から入力端に電流を流すダイオード132とを備えている。電力変換装置14は、降圧コンバータ回路140と、電圧形インバータ回路141と、降圧コンバータ回路140の出力端から入力端に電流を流すダイオード142とを備えている。降圧コンバータ回路130、140は、リアクトル130c、140cをそれぞれ有している。リアクトル130cは、リアクトル140cと磁気的に結合されている。そのため、前述したように、回転電機10の回転速度を変化させても、バッテリ11から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
本実施形態によれば、降圧コンバータ回路130はFET130a、130bを、降圧コンバータ回路140はFET140a、140bをそれぞれ有している。降圧コンバータ回路130はFET130a、130bがスイッチングすることで、降圧コンバータ回路140はFET140a、140bがスイッチングすることで、それぞれバッテリ11から供給される直流を降圧する。制御装置18は、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bと降圧コンバータ回路140のFET140a、140bを、互いに位相が異なる同一周波数でPWM駆動する。そのため、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bと降圧コンバータ回路140のFET140a、140bが異なるタイミングでスイッチングすることになる。従って、同一位相、同一周波数でPWM駆動する場合に比べ、バッテリ10から降圧コンバータ回路130、140に供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
本実施形態によれば、電圧形インバータ回路131はFET131a〜131fを、電圧形インバータ回路141はFET141a〜141fをそれぞれ有している。電圧形インバータ回路131はFET131a〜131fがスイッチングすることで降圧コンバータ回路130から供給される直流を3相交流に変換し、電圧形インバータ回路141はFET141a〜141fがスイッチングすることで降圧コンバータ回路140から供給される直流を3相交流に変換する。制御装置18は、電圧形インバータ回路131のFET131a〜131fを120度矩形波通電になるようにPWM駆動するとともに、電圧形インバータ回路141のFET141a〜141fを120度矩形波通電になるようにPWM駆動する。そのため、正弦波通電になるようにPWM駆動する場合に比べ、制御を簡素化することができる。制御に関する負荷を軽減することができる。また、180度矩形波通電になるようPWM駆動する場合に比べ、電流をより適切に制御することができる。
本実施形態によれば、回転電機10は、3相巻線100、101を備えている。そのため、電力変換装置を構成する電圧形インバータ回路として、一般的に広く用いられている3相の電圧形インバータ回路を利用することができる。従って、相数が3の倍数でない多相巻線を複数有している場合に比べ、電力変換装置を容易に構成することができる。
本実施形態によれば、回転電機システム1は、1つのバッテリ11を有している。バッテリ11は、全ての電力変換装置13、14に直流を供給する。そのため、回転電機システム1の構成を簡素化することができる。
本実施形態によれば、全ての電力変換装置13、14及び制御装置18は、回転電機10に固定されている。そのため、回転電機システム1を小型化することができる。
なお、本実施形態では、回転電機10が2つの3相巻線100、101を有する例を挙げているが、これに限られるものではない。回転電機10は、複数の多相巻線を有していればよい。また、多相巻線の相数は、3の倍数であるとさらによい。電力変換装置を構成する電圧形インバータ回路として、一般的に広く用いられている3相の電圧形インバータ回路を利用することができる。
本実施形態では、回転電機10が2つの3相巻線100、101を有し、それに伴って2つの電力変換装置13、14と、2つの電流センサ170、171とを備えている例を挙げているが、これに限られるものではない。図2に示すように、回転電機10が4つの3相巻線100〜103を有し、それに伴って4つの電力変換装置13〜16と、4つの電流センサ170〜173とを備えていてもよい。
3相巻線102、103は、相巻線102a〜102c、103a〜103cを備えている。3相巻線102、103は、3相巻線100、101と同一構成である。3相巻線100〜103は、位相が異なるように配置されている。
電力変換装置15は、FET150a、150b、リアクトル150c及びコンデンサ150dによって構成される降圧コンバータ回路150と、FET151a〜151fによって構成される電圧形インバータ回路151とを備えている。電力変換装置16は、FET160a、160b、リアクトル160c及びコンデンサ160dによって構成される降圧コンバータ回路160と、FET161a〜161fによって構成される電圧形インバータ回路161とを備えている。リアクトル150cの巻始めである一端はコンデンサ150dに、巻終わりである他端はFET150a、150bの直列接続点にそれぞれ接続されている。リアクトル160cの巻始めである一端はコンデンサ160dに、巻終わりである他端はFET160a、160bの直列接続点にそれぞれ接続されている。リアクトル150c、160cの接続の仕方を除いて、降圧コンバータ回路150、160及び電圧形インバータ回路151、161は、降圧コンバータ回路130、140及び電圧形インバータ回路131、141と同一構成である。降圧コンバータ回路150はコンデンサ12に、電圧形インバータ回路151は3相巻線102にそれぞれ接続されている。降圧コンバータ回路160はコンデンサ12に、電圧形インバータ回路161は3相巻線103にそれぞれ接続されている。
リアクトル140cは、リアクトル130cと磁気的に結合している。リアクトル160cは、リアクトル150cと磁気的に結合している。リアクトル130c、140cやリアクトル150c、160cに比べ磁気的な結合の強度は低いが、リアクトル150cは、リアクトル140cと磁気的に結合している。
図3に示すように、リアクトル130c、140cは、円弧状のコア190に巻回されている。リアクトル150c、160cは、円弧状のコア191に巻回されている。コア190とコア191は、それぞれの端面を、隙間192、193を隔て対向させた状態で配置されている。リアクトル130c、140cの巻始めである一端から電流が流れ込むと、コア190を時計回りに磁束φ1、φ2が流れる。リアクトル150c、160cの巻終わりである他端から電流が流れ込むと、コア191を反時計回りに磁束φ3、φ4が流れる。
この場合も、回転電機10の回転速度を変化させても、バッテリ11から供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
本実施形態では、制御装置18が、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bと降圧コンバータ回路140のFET140a、140bを、互いに位相が異なる同一周波数でPWM駆動する例を挙げているが、これに限られるものではない。制御装置18は、降圧コンバータ回路130のFET130a、130bと降圧コンバータ回路140のFET140a、140bを、互いに異なる周波数でPWM駆動してもよい。互いに位相が異なる同一周波数でPWM駆動する場合に比べ効果は劣るが、バッテリ10から降圧コンバータ回路130、140に供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
また、回転電機が3つ以上の多相巻線を有している場合、電力変換装置も多相巻線毎に設けられることになる。この場合、制御装置は、少なくともいずれかの降圧コンバータ回路のFETを、他の降圧コンバータ回路とは位相が異なる同一周波数でPWM駆動してもよい。また、少なくともいずれかの降圧コンバータ回路のFETを、他の降圧コンバータ回路とは異なる周波数でPWM駆動してもよい。この場合も同様に、バッテリ10から降圧コンバータ回路130、140に供給される電流に含まれるリプルを抑えることができる。
本実施形態では、回転電機10が、3相巻線100、101を有し、交流が供給されることでトルクを発生する機器である例を挙げているが、これに限られるものではない。回転電機10は、同期電動機や誘導電動機であってもよい。複数の多相巻線を有していればよい。
本実施形態では、降圧コンバータ回路130がFET130a、130b、リアクトル130c及びコンデンサ130dによって構成され、降圧コンバータ回路140がFET140a、140b、リアクトル140c及びコンデンサ140dによって構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。降圧コンバータ回路130、140は、それぞれ複数の小容量降圧コンバータ回路を並列接続して構成されていてもよい。
図4に示すように、降圧コンバータ回路130は、FET130e、130f、リアクトル130g及びコンデンサによって構成される小容量降圧コンバータ回路と、FET130i、130j、リアクトル130k及びコンデンサによって構成される小容量降圧コンバータ回路とを並列接続して構成されていてもよい。ここで、コンデンサ130hは、2つの小容量降圧コンバータ回路のコンデンサの容量を合成したものである。降圧コンバータ回路140は、FET140e、140f、リアクトル140g及びコンデンサによって構成される小容量降圧コンバータ回路と、FET140i、140j、リアクトル140k及びコンデンサによって構成される小容量降圧コンバータ回路とを並列接続して構成されていてもよい。ここで、コンデンサ140hは、2つの小容量降圧コンバータ回路のコンデンサの容量を合成したものである。
リアクトル130gの巻始めである一端はFET130e、130fの直列接続点に、巻終わりである他端はコンデンサ130hにそれぞれ接続されている。リアクトル130kの巻始めである一端はコンデンサ130hに、巻終わりである他端はFET130i、130jの直列接続点にそれぞれ接続されている。リアクトル140gの巻始めである一端はFET140e、140fの直列接続点に、巻終わりである他端はコンデンサ140hにそれぞれ接続されている。リアクトル140kの巻始めである一端はコンデンサ140hに、巻終わりである他端はFET140i、140jの直列接続点にそれぞれ接続されている。
リアクトル140gは、リアクトル130gと磁気的に結合している。リアクトル140kは、リアクトル130kと磁気的に結合している。リアクトル130g、140gやリアクトル130k、140kに比べ磁気的な結合の強度は低いが、リアクトル140gは、リアクトル130kと磁気的に結合している。リアクトル130g、130k、140g、140kは、図3と同様の構成となっている。
このように構成した場合、電流がそれぞれの小容量コンバータ回路に分散して流れることで、降圧コンバータ回路の発熱を抑えることができる。
本実施形態では、電圧形インバータ回路131、141のFET131a〜131f、141a〜141fが1つの素子で構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。図5に示すように、FET131aは、小容量FET131g、131hを並列接続して構成してもよい。具体的には、小容量FET131g、131hのドレイン、ソース及びゲートをそれぞれ共通接続してFET131aのドレイン、ソース及びゲートを構成してもよい。他のFET131b〜131f、141a〜141fも同様に構成すればよい。また、降圧コンバータ回路130、140のFET130a、130b、140a、140bも同様に構成してもよい。さらに、前述した変形形態におけるFETも同様に構成してもよい。この場合、電流が、それぞれの小容量FETに分散して流れることで、FETの発熱を抑えることができる。つまり、電圧形インバータ回路の発熱を抑えることができる。
以上、本発明の実施形態及びその変形形態を説明したが、本発明は、これらの形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、これらの形態を組み合わせて構成してもよい。
1・・・回転電機システム、10・・・回転電機、100、101・・・3相巻線、11・・・バッテリ、13、14・・・電力変換装置、130、140・・・降圧コンバータ回路、130c、140c・・・リアクトル、131、141・・・電圧形インバータ回路、132、142・・・ダイオード、18・・・制御装置

Claims (10)

  1. 位相が異なるように配置された複数の多相巻線(100〜103)を有する回転電機(10)と、
    直流電源(11)と、
    前記多相巻線毎に設けられ、前記直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換して前記多相巻線に供給する電力変換装置(13〜16)と、
    それぞれの前記電力変換装置を制御する制御装置(18)と、
    を備えた回転電機システムであって、
    前記電力変換装置は、
    リアクトル(130c、130g、130k、140c、140k、140g、150c、160c)を有し前記直流電源から供給される直流電圧を降圧する降圧コンバータ回路(130、140、150、160)と、
    前記降圧コンバータ回路から供給される直流電圧を交流電圧に変換して前記多相巻線に供給する電圧形インバータ回路(131、141、151、161)と、
    前記降圧コンバータ回路の出力端から入力端に電流を流すダイオード(132、142、152、162)と、
    を有し、
    それぞれの前記降圧コンバータ回路の前記リアクトルは、他の前記降圧コンバータ回路の前記リアクトルと磁気的に結合し、
    前記制御装置は、それぞれの前記降圧コンバータ回路の出力電流が所定電流になるとともに、それぞれの前記降圧コンバータ回路が前記直流電源から供給される直流電圧を降圧するようにそれぞれの前記降圧コンバータ回路を制御し、それぞれの前記電圧形インバータ回路が前記降圧コンバータ回路から供給される直流電圧を交流電圧に変換するとともに、それぞれの前記電圧形インバータ回路によって変換された交流電圧の位相差がそれぞれの前記電圧形インバータ回路に接続される前記多相巻線に対応した所定位相差になるようにそれぞれの前記電圧形インバータ回路を制御する回転電機システム。
  2. 前記降圧コンバータ回路は、コンバータ用スイッチング素子(130a、130b、130e、130f、130i、130j、140a、140b、140e、140f、140i、140j、150a、150b、160a、160b)を有し、前記コンバータ用スイッチング素子がスイッチングすることで前記直流電源から供給される直流電圧を降圧し、
    前記制御装置は、少なくともいずれかの前記降圧コンバータ回路の前記コンバータ用スイッチング素子を、他の前記降圧コンバータ回路とは位相が異なる同一周波数でPWM駆動する請求項1に記載の回転電機システム。
  3. 前記制御装置は、それぞれの前記降圧コンバータ回路の前記コンバータ用スイッチング素子を、互いに位相が異なる同一周波数でPWM駆動する請求項2に記載の回転電機システム。
  4. 前記降圧コンバータ回路は、コンバータ用スイッチング素子(130a、130b、130e、130f、130i、130j、140a、140b、140e、140f、140i、140j、150a、150b、160a、160b)を有し、前記コンバータ用スイッチング素子がスイッチングすることで前記直流電源から供給される直流電圧を降圧し、
    前記制御装置は、少なくともいずれかの前記降圧コンバータ回路の前記コンバータ用スイッチング素子を、他の前記降圧コンバータ回路とは異なる周波数でPWM駆動する請求項1に記載の回転電機システム。
  5. 前記制御装置は、それぞれの前記降圧コンバータ回路の前記コンバータ用スイッチング素子を、互いに異なる周波数でPWM駆動する請求項4に記載の回転電機システム。
  6. 前記電圧形インバータ回路は、インバータ用スイッチング素子(131a〜131f、141a〜141f、151a〜151f、161a〜161f)を有し、前記インバータ用スイッチング素子がスイッチングすることで前記降圧コンバータ回路から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、
    前記制御装置は、それぞれの前記電圧形インバータ回路の前記インバータ用スイッチング素子を120度矩形波通電になるようにPWM駆動する請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転電機システム。
  7. 前記多相巻線の相数は、3の倍数である請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転電機システム。
  8. 前記直流電源(11)は1つである請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転電機システム。
  9. 前記回転電機は、誘導電動機である請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転電機システム。
  10. 全ての前記電力変換装置及び前記制御装置は、前記回転電機に固定されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転電機システム。
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