JP2018115944A - オイルレス圧力センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】感度を下げることなく、残留歪みを小さくし、かつ信号取り出し線の切断のリスクを低減する。耐食性に優れたものとする。高温の流体による急激な温度変動を検知し、センサ出力の補正を行えるようにする。
【解決手段】センサチップ101を第1の半導体基板1と第2の半導体基板2とで構成する。第1の半導体基板1の一方の面(下側の面(表面))1aに歪ゲージ1cおよび温度検出用のピエゾ抵抗素子(温度センサ)1dを形成し、耐食性の保護膜3で覆う。この保護膜3を接液部として露出させた状態でセンサチップ101をパッケージ102に収容する。温度センサ1dが直接検出する被測定流体の温度に基づいて、高温の流体による急激な温度変動を熱衝撃として検知し、センサ出力の補正を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、食品、化粧品、医薬品などの製造現場で用いて好適なオイルレス圧力センサに関する。
図13にオイル(圧力伝達媒体)を使用した一般的な半導体圧力センサ200の要部の構成を示す。この半導体圧力センサ200は、センサチップ201と、センサチップ201を収容したパッケージ202と、金属製ダイアフラム(接液ダイアフラム)203とを備え、センサチップ201はパッケージ202のセンサ室202aに収容されている。また、センサ室202aの開口部202a1は金属製ダイアフラム203で塞がれており、この金属製ダイアフラム203で塞がれたセンサ室202aにオイル204が封入されている。
センサチップ201は、半導体材料としてシリコン(Si)を用いた半導体基板とされ、その一方の面(上面)201aの中央部にセンサダイアフラム(応力検知ダイアフラム)201sが形成されている。センサチップ201の他方の面(下面)201bはセンサ室202aの底面202a2に接合されている。
センサダイアフラム201sの上面(表面)201s1には、その表層部に拡散抵抗からなる歪ゲージ(ピエゾ抵抗素子)201cが形成されており、この歪ゲージ201cの外側には電極パッド201dが形成されている。歪ゲージ201cからの信号は、電極パッド201dを介し、ボンディングワイヤ205を通して、リードピン206から引き出される。
センサチップ201には、センサダイアフラム201sの下面(裏面)201s2に凹部201eが形成されており、この凹部201eによってセンサ室202aの底面202a2とセンサダイアフラム201sとの間に空洞207が形成されている。空洞207はパッケージ202に形成された導圧路202bを介して大気と連通している。
この半導体圧力センサ200では、金属製ダイアフラム203の露出面が受圧面203aとして被測定流体に接液され、この受圧面203aに加わる被測定流体の圧力Pがセンサ室202a内のオイル204に伝達される。そして、このオイル204に伝達された被測定流体の圧力Pがセンサチップ201のセンサダイアフラム201sに加わり、センサダイアフラム201sが撓む。これにより、センサダイアフラム201sの上面201s1に形成されている歪ゲージ201cから被測定流体の圧力Pに応じた信号が取り出される。
この半導体圧力センサ200において、金属製ダイアフラム203は、オイル204の収縮分は十分小さいとして無視するものとすれば、センサダイアフラム201sの撓み分のみ変位する。すなわち、金属製ダイアフラム203は、センサ室202a内のオイル204でセンサチップ201のセンサダイアフラム201sと繋がっており、金属製ダイアフラム203が被測定流体の圧力Pを受けても、撓むことができるのは、センサダイアフラム201sが撓んだことによるセンサ室202a内のオイル204の移動体積分のみである。また、金属製ダイアフラム203の直径は、金属製ダイアフラム203での圧損を回避するため、センサダイアフラム201sの直径よりも大きくされている。このため、被測定流体の圧力Pを受けても、金属製ダイアフラム203は殆ど撓まず(図14参照)、金属製ダイアフラム203に残留歪みは生じない。
しかしながら、この半導体圧力センサ200では、金属製ダイアフラム203が破損したり、クラックが生じたような場合、センサ室202aに封入されているオイル204が被測定流体中に漏出するという問題がある。このため、食品、化粧品、医薬品などの製造現場では、センサ部にオイルを用いないオイルレス圧力センサが用いられる場合がある(例えば、特許文献1,2,3参照)。このオイルレス圧力センサはサニタリ式の圧力センサとも呼ばれる。
図15に従来のオイルレス圧力センサ300の要部を示す。このオイルレス圧力センサ300は、金属製ダイアフラム(接液兼応力検知用ダイアフラム)301と、金属製ダイアフラム301の受圧面301aとは反対側の面(裏面)301bに貼り付けられた歪ゲージ302と、歪ゲージ302からの信号取り出し線303とを備え、金属製ダイアフラム301はパッケージの支持部304に接合されている。
このオイルレス圧力センサ300では、金属製ダイアフラム301の受圧面301aが被測定流体に接液され、この受圧面301aに加わる被測定流体の圧力Pによって金属製ダイアフラム301が撓み(図16参照)、この金属製ダイアフラム301の裏面301bに貼り付けられている歪ゲージ302から被測定流体の圧力Pに応じた信号が取り出される。
このオイルレス圧力センサ300は、マイクロコンピュータ(図示せず)を備えており、歪ゲージ302から取り出された被測定流体の圧力Pに応じた信号をマイクロコンピュータで処理することによって、被測定流体の圧力Pの値を示すセンサ出力が得られる。
このオイルレス圧力センサ300において、金属製ダイアフラム301としては耐食性に優れた延性材料(例えば、ステンレス鋼(SUS))が用いられる。また、金属製ダイアフラム301は、殺菌洗浄性を確保するために液だまりになる窪みがない形状とされる。このオイルレス圧力センサ300では、金属製ダイアフラム301を接液兼応力検知用ダイアフラムとすることによって、オイルを使用しない構造とすることができる。これにより、オイルレスとなり、センサ破壊時にオイルが流出するという問題そのものをなくすことができる。
特開2002−116104号公報 特開2005−148002号公報 特開2004−45140号公報
しかしながら、このようなオイルレス圧力センサ300では、金属製のダイアフラム301を接液兼応力検知用ダイアフラムとして用いているため、感度を確保するためには、この金属製のダイアフラム301を被測定流体の圧力Pに応じて大きく撓ませる必要があり、下記の(1)〜(3)のような問題が生じる。
(1)金属製ダイアフラム301の撓みにより残留歪みが生じ、出力が経時変化する。
(2)金属製ダイアフラム301が変形する領域に信号取り出し線303を接合するため、頻繁な圧力変化で信号取り出し線303が切れてしまうというリスクがある。
(3)(1),(2)の問題を回避するために、金属製のダイアフラム301の撓み量を小さくすると、感度が下がる。
また、このようなオイルレス圧力センサ300では、オイルレス圧力センサ300が取り付けられた配管(図示せず)に高温の流体を流すことによって、その配管内の殺菌が行われる。この時、高温の流体を配管内に一気に流すため、オイルレス圧力センサ300のボディ(パッケージ)が温度分布を持ち、このボディの温度分布で金属製ダイアフラム301が変形し、センサ出力に誤差が生じてしまう。
なお、このオイルレス圧力センサ300には、センサ出力の温度補償などを目的として、歪ゲージ302の近傍に温度センサが設けられている。例えば、図17に示すように、温度センサ305が歪ゲージ302の近傍に設けられている。この温度センサ305は、歪みゲージ302と同じ面(金属製ダイアフラム301の受圧面301aとは反対側の面301b)に設けられているので、周囲温度の影響で温度上昇がなまってしまい、高温の流体による急激な温度変動を検知することができない。このため、温度センサ305によって高温の流体による急激な温度変動(熱衝撃)を検知し、センサ出力の補正を行うようにすることは困難である。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、感度を下げることなく、残留歪みを小さくし、かつ信号取り出し線の切断のリスクを低減することができる、耐食性に優れたオイルレス圧力センサを提供することにある。
また、高温の流体による急激な温度変動を検知し、センサ出力の補正を行うようにすることが可能なオイルレス圧力センサを提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明のオイルレス圧力センサは、一方の面(1a)に形成された圧力検出部(1c)および温度検出部(1d)を有する第1の半導体基板(1)と、一方の面(2e)に形成された凹部(2a)を有し、この凹部(2a)が形成された一方の面(2e)が第1の半導体基板(1)の他方の面(1b)に接合されて、第1の半導体基板(1)の圧力検出部(1c)が形成されている領域に対応する第1の半導体基板(1)の他方の面(1b)の領域とともに空洞(4)を形成する第2の半導体基板(2)と、第1の半導体基板(1)の一方の面(1a)を覆う耐食性の保護膜(3)とを備えたセンサチップ(101)と、保護膜(3)を接液部として露出させた状態でセンサチップ(101)を収容するパッケージ(102)と、圧力検出部(1c)によって検出された圧力に応じた信号を処理しセンサ出力として出力するように構成されたセンサ出力部(81)と、温度検出部(1d)によって検出された温度に基づいてセンサチップ(101)に熱衝撃が加わったか否かを判定するように構成された熱衝撃判定部(82)とを備えることを特徴とする。
本発明において、被測定流体の圧力は第1の半導体基板(1)の耐食性の保護膜(3)で覆われた面(101a)に加わり、第1の半導体基板(1)の圧力検出部(1c)が形成されている領域(保護膜(3)+半導体基板(1))がセンサダイアフラム(6)として撓む。すなわち、本発明では、センサダイアフラム(6)が接液兼応力検知用ダイアフラムとされる。この場合、センサダイアフラム(6)の厚みは、第1の半導体基板(1)の厚みと保護膜(3)の厚みとを足し合わされたものとなり、保護膜(3)が仮に延性材料であっても、弾性体である半導体にアシストされるため、残留歪みが小さくなる。
また、本発明では、圧力検出部(1c)および温度検出部(1d)からの信号取り出し線(5)を第1の半導体基板(1)と第2の半導体基板(2)との接合部など、全く撓まない箇所に配置することも可能となる。このため、センサダイアフラム(6)の撓み量を小さくする必要がなくなり、感度を下げることなく、残留歪みを小さくし、かつ信号取り出し線(5)の切断のリスクを低減することができるようになる。また、第1の半導体基板(1)の被測定流体の圧力が加わる面に凹部はなく、その全面をフラットな面として耐食性の保護膜(3)で覆うようにすることができる。これにより、被測定流体と半導体基板(1,2)との接触を避け、耐食性に優れたものとすることが可能となる。
また、本発明において、温度検出部(1d)は第1の半導体基板(1)の一方の面(1a)に形成されており、この温度検出部(1d)が形成されている第1の半導体基板(1)の一方の面(1a)は耐食性の保護膜(3)で覆われている。すなわち、本発明において、温度検出部(1d)は、第1の半導体基板(1)の一方の面(1a)と耐食性の保護膜(3)との間に位置しており、耐食性の保護膜(3)を通して伝わってくる被測定流体の温度を直接検出する。これにより、本発明では、高温の流体による急激な温度変動を熱衝撃として検知し、センサ出力の補正を行うようにすることが可能となる。
なお、本発明において、熱衝撃を検知した場合、必ずしもセンサ出力の補正を行うようにしなくてもよい。例えば、熱衝撃を検知した場合、メンテナンス中(高温の流体を流しての配管内の殺菌中)であることを報知するようにしてもよい。
また、本発明において、保護膜(3)の露出面(101a)とパッケージ(102)の露出面(102a)とを同一平面上に位置させ、この同一平面上に位置する保護膜(3)の露出面(101a)とパッケージ(102)の露出面(102a)との間の環状の隙間(h)に、充填材(103)を埋め込むようにしてもよい。
また、第1および第2の半導体基板(1,2)を貫通し、第1の半導体基板の一方の面(1a)に形成されている圧力検出部(1c)および温度検出部(1d)からの信号を第2の半導体基板(2)の他方の面(2d)側に導出する貫通配線(7)を形成するようにしてもよい。この場合、第1の半導体基板の一方の面(1a)に拡散抵抗配線(1e)を形成し、貫通配線(7)と圧力検出部(1c)および温度検出部(1d)とを接続するようにするとよい。
また、第2の半導体基板(2)の凹部(2a)によって形成される空洞(4)は、大気に連通させるようにしてもよく、真空としてもよい。また、第2の半導体基板(2)の凹部(2a)の内側の面(第1の半導体基板(1)の他方の面(1b)に対向する面)を非球面としてもよい。また、本発明において、保護膜(3)は、1層もしくは多層の中間層(例えば、ニオブ(Nb))の上に白金(Pt)を重ねた多層の金属保護膜(3)としてもよく、サファイアよりなる1層の非金属保護膜(3)としてもよい。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
本発明によれば、被測定流体の圧力が第1の半導体基板の耐食性の保護膜で覆われた面に加わり、第1の半導体基板の圧力検出部が形成されている領域(保護膜+半導体基板)がセンサダイアフラムとして撓むので、感度を下げることなく、残留歪みを小さくし、信号取り出し線の切断のリスクを低減することが可能となる。また、第1の半導体基板の被測定流体の圧力が加わる面は耐食性の保護膜で覆われているので、被測定流体と半導体基板との接触を避け、耐食性に優れたものとすることが可能となる。
また、本発明によれば、温度検出部が第1の半導体基板の一方の面に形成されており、この温度検出部が形成されている第1の半導体基板の一方の面が耐食性の保護膜で覆われているので、耐食性の保護膜を通して伝わってくる被測定流体の温度が直接検出されるものとなる。これにより、高温の流体による急激な温度変動を熱衝撃として検知し、センサ出力の補正を行うようにすることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係るオイルレス圧力センサ(サニタリ式の圧力センサ)の要部を示す構成図である。 図2は、パッケージに収容する前のセンサチップの構成を示す図である。 図3は、ニオブ(Nb)の上に白金(Pt)を重ねた2層の金属保護膜を示す図である。 図4は、SOIウエハを使用する例を説明する図である。 図5は、SOSウエハを使用する例を説明する図である。 図6は、本発明の実施の形態に係るオイルレス圧力センサにおけるマイクロコンピュータのハードウェア構成の概略を示す図である。 図7は、マイクロコンピュータの要部の機能ブロック図(第1例)である。 図8は、マイクロコンピュータの要部の機能ブロック図(第2例)である。 図9は、センサチップ内の凹部の底面を非球面とした例を示す図である。 図10は、センサチップ内の空洞を真空の基準圧室とした例を示す図である。 図11は、第2の半導体基板を貫通する配線をなくしたセンサチップの第1例を示す図である。 図12は、第2の半導体基板を貫通する配線をなくしたセンサチップの第2例を示す図である。 図13は、一般的な半導体圧力センサの要部の構成を示す図である。 図14は、一般的な半導体圧力センサの金属製ダイアフラム(接液ダイアフラム)に被測定流体の圧力が加えられた状態を示す図である。 図15は、従来のオイルレス圧力センサの要部の構成を示す図である。 図16は、従来のオイルレス圧力センサの金属製ダイアフラム(接液兼応力検知用ダイアフラム)に被測定流体の圧力が加えられた状態を示す図である。 図17は、従来のオイルレス圧力センサにおける温度センサの設置位置を例示する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るオイルレス圧力センサ(サニタリ式の圧力センサ)100の要部の構成を示す図である。
このオイルレス圧力センサ100は、センサチップ101と、センサチップ101を収容したパッケージ102とを備え、センサチップ101は受圧面101aを露出させた状態でパッケージ102に収容されている。
センサチップ101の受圧面(露出面)101aはパッケージ102の露出面102aと面一とされており、センサチップ101の受圧面(露出面)101aとパッケージ102の露出面102aとの間の周囲の隙間hには充填材103が埋め込まれている。
本実施の形態において、充填材103はアルミナなどの耐熱性・耐食性の高い材料からなり、溶融固化した状態で隙間hに埋め込まれている。
センサチップ101は、半導体材料としてシリコン(Si)を用いた第1の半導体基板1と第2の半導体基板2とから構成され、第1の半導体基板1を下側としてパッケージ102に収容されている。図2にパッケージ102に収容する前のセンサチップ101の構成を示す。
センサチップ101において、第1の半導体基板1は両面がフラットな1枚の基板とされ、その一方の面(下側の面(表面))1aの中央部には、その表層部に拡散抵抗からなる歪ゲージ(ピエゾ抵抗素子)1cが圧力検出部として形成されている。
また、第1の半導体基板1の一方の面1aには、歪ゲージ1cの近傍(後述するセンサダイアフラム6の外側の領域)に、温度検出用のピエゾ抵抗素子(温度センサ)1dが温度検出部として形成されている。また、第1の半導体基板1の一方の面1aは、耐食性の保護膜3で覆われている。
この実施の形態において、保護膜3は、図3に示すように、ニオブ(Nb)などの中間層(この例では、中間層をニオブ(Nb)(1層の中間層)としているが、多層の中間層としてもよい。)の上に白金(Pt)を重ねた2層の金属保護膜とされている。この保護膜3は、第1の半導体基板1の表面1aを研磨した後、この研磨された第1の半導体基板1の表面1aに成膜されている。
なお、第1の半導体基板1としてSOI(Silicon on Insulator)ウエハを使用し、このSOIウエハの酸化膜層(SiO2)を除去するようにし、この酸化膜層(SiO2)を除去した面に保護膜3を成膜するようにしてもよい。
SOIウエハは、図4に示すように、酸化膜層(SiO2)をシリコン(Si)で挟んだサンドイッチ構造とされており、エッチングなどによって一方側のシリコン(Si)の層から酸化膜層(SiO2)を除去すると、他方側のシリコン(Si)の層のきれいな面が表れる。このきれいな面に保護膜3を形成すれば、研磨する手間を省くことができる。
また、本実施の形態において、保護膜3はニオブ(Nb)と白金(Pt)の2層の金属保護膜に限られるものではなく、サファイアよりなる1層の非金属保護膜とするなどしてもよい。
保護膜3をサファイアとする場合、SOS(Silicon on Sapphire)ウエハを利用するとよい。SOSウエハは、図5に示すように、サファイアをシリコン(Si)で挟んだサンドイッチ構造とされており、一方側のシリコン(Si)の層をエッチングなどによって除去すると、サファイアが表れる。このサファイアを保護膜3として利用することにより、成膜する手間を省くことができる。
第2の半導体基板2は、その一方の面(下面)2eの周縁が第1の半導体基板1の他方の面(裏面)1bに直接接合されており、その中央部には、第1の半導体基板1の圧力検出部1cが形成されている領域Dに対応する第1の半導体基板1の他方の面1bの領域とともに空洞4を形成する凹部2aが形成されている。凹部2aの中央部には空洞4を大気に連通させる貫通孔2bが形成されている。
また、第1の半導体基板1および第2の半導体基板2には、第1の半導体基板1と第2の半導体基板2との接合部に厚み方向に延びた貫通配線7が形成されている。貫通配線7の上側の端部は第2の半導体基板2の他方の面(上面)2dに露出する電極パッド2fに接続されている。貫通配線7の下側の端部は第1の半導体基板1の一方の面1aに形成された拡散抵抗配線1eを介して歪みゲージ1cや温度センサ1dに接続されている。
なお、歪みゲージ1cや温度センサ1dからの信号は別々に取り出されるが、図2にはその信号の取り出し用の貫通配線の1つとして、歪みゲージ1cに接続された貫通配線7を示している。すなわち、図2は示していないが、温度センサ1dに接続された貫通配線7も存在する。
図1に示したオイルレス圧力センサ100では、このように構成されたセンサチップ101を、第1の半導体基板1の保護膜3で覆われた面を受圧面101aとし、この受圧面101aを露出させた状態でパッケージ102に収容している。また、センサチップ101の受圧面(露出面)101aとパッケージ102の露出面102aとを同一平面上に位置させ、この同一平面上に位置する保護膜3の露出面101aとパッケージ102の露出面102aとの間の環状の隙間hに、充填材103を埋め込んでいる。
なお、パッケージ102には、センサチップ101内の空洞4を第2の半導体基板2に形成されている貫通孔2bを通して大気に連通させる導通孔102bが形成されている。また、第2の半導体基板2の電極パッド2fには、信号取り出し線5が接続されている。
また、このオイルレス圧力センサ100において、信号取り出し線5から取り出された信号はマイクロコンピュータ8(図6参照)へ送られるものとされている。すなわち、このオイルレス圧力センサ100では、歪みゲージ1cが検出する圧力に応じた信号が圧力検出信号Spとして取り出され、また温度センサ1dが検出する温度に応じた信号が温度検出信号Stとして取り出され、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す。)8へ送られるものとされている。
マイコン8は、中央演算処理装置(CPU)8−1と、ランダムアクセスメモリ(RAM)8−2と、読み出し専用メモリ(ROM)8−3と、インタフェース8−4,8−5と、これらを接続する母線8−6とを備えている。また、このマイコン8には、本実施の形態特有のプログラムとして、センサ出力補正プログラムがインストールされている。
マイコン8において、CPU8−1は、インタフェース8−4を介して入力される圧力検出信号Spおよびインタフェース8−5を介して入力される温度検出信号Stを処理することで、RAM8−2やROM8−3にアクセスしながら、インストールされているセンサ出力補正プログラムに従って動作する。
このオイルレス圧力センサ100において、被測定流体の圧力Pはセンサチップ101の受圧面101a(第1の半導体基板1の耐食性の保護膜3で覆われた面)に加わる。これにより、第1の半導体基板1の歪ゲージ1cが形成されている領域(保護膜+半導体基板)Dがセンサダイアフラム6として撓む。すなわち、このオイルレス圧力センサ100では、センサダイアフラム6が接液兼応力検知用ダイアフラムとされている。温度センサ1dはこのセンサダイアフラム6の外側の領域に形成されている。
この場合、センサダイアフラム6の厚みtは、第1の半導体基板1の厚みt1と保護膜3の厚みt2とを足し合わされたものとなり、保護膜3が金属保護膜とされてはいるが、すなわち保護膜3が延性材料とされてはいるが、弾性体である半導体にアシストされるため、残留歪みが小さくなる。また、第1の半導体基板1と第2の半導体基板2との接合部に貫通配線7を形成することにより、信号取り出し線5を全く撓まない箇所に配置することができている。このため、センサダイアフラム6の撓み量を小さくする必要がなくなり、感度を下げることなく、残留歪みを小さくし、かつ信号取り出し線5の切断のリスクを低減することができる。なお、センサダイアフラム6に生じる残留歪みは、必要ならば、第1の半導体基板1の厚みt1と保護膜3の厚み(延性材料の厚み)t2との比で調整することも可能である。
また、このオイルレス圧力センサ100において、第1の半導体基板1の被測定流体の圧力Pが加わる面には凹部はなく、その全面をフラットな面として耐食性の保護膜3で覆っている。また、この保護膜3の露出面(受圧面101a)はパッケージ102の露出面102aと面一とされている。また、センサチップ101の受圧面(露出面)101aとパッケージ102の露出面102aとの間の周囲の隙間hには充填材103が埋め込まれている。これにより、被測定流体と半導体基板1,2との接触が避けられ、耐食性に優れたものとなる。
また、このオイルレス圧力センサ100において、温度センサ1dは第1の半導体基板1の一方の面1aに形成されており、この温度センサ1dが形成されている第1の半導体基板1の一方の面1aは耐食性の保護膜3で覆われている。すなわち、温度センサ1dは、第1の半導体基板1の一方の面1aと耐食性の保護膜3との間に位置しており、耐食性の保護膜3を通して伝わってくる被測定流体の温度を直接検出する。
このオイルレス圧力センサ100において、マイコン8には、歪みゲージ1cからの圧力検出信号Spだけではなく、温度センサ1dが直接検出する被測定流体の温度に応じた信号が温度検出信号Stとして入力される。マイコン8は、この歪みゲージ1cからの圧力検出信号Spと温度センサ1dからの温度検出信号Stを入力とし、センサ出力補正プログラムに従う処理動作を実行する。
図7にマイコン8の要部の機能ブロック図を示す。マイコン8は、CPU8−1の処理機能として、センサ出力部81と熱衝撃判定部82とセンサ出力補正部83とを備えている。
センサ出力部81は、歪みゲージ1cからの圧力検出信号Spを処理することによって被測定流体の圧力Pを求め、この被測定流体の圧力Pの値を示すセンサ出力SPを出力する。
熱衝撃判定部82は、温度センサ1dからの温度検出信号Stを処理することによって被測定流体の温度tを求め、この被測定流体の温度tに基づいてセンサチップ101に熱衝撃(急激な温度変動)が加わったか否かを判定する。具体的には、被測定流体の温度tの上昇速度を求め、この上昇速度が予め定められている閾値以上となった場合に、センサチップ101に熱衝撃が加わったと判定する。
センサ出力補正部83は、センサ出力部81からのセンサ出力SPと、熱衝撃判定部82からの判定結果とを入力とし、熱衝撃判定部82から熱衝撃が加わったとする判定結果(熱衝撃有り)が送られてきた場合、センサ出力部81からのセンサ出力SPを補正する。この補正されたセンサ出力SPはSP’として出力される。
この例では、センサ出力補正部83に、熱衝撃時の補正関数を定めている。また、熱衝撃判定部82から、熱衝撃の判定結果だけではなく、熱衝撃の度合いをセンサ出力補正部83に送るものとしている。この例において、センサ出力補正部83は、熱衝撃有りの判定結果が送られてくると、熱衝撃時の補正関数からその時の熱衝撃の度合いに応じた補正量を求め、センサ出力部81からのセンサ出力SPを補正する。
〔メンテナンス(高温の流体を流しての配管内の殺菌)〕
今、このオイルレス圧力センサ100が取り付けられている配管(図示せず)に高温の流体を流すことによって、その配管内の殺菌が行われたとする。この時、高温の流体を配管内に一気に流すため、オイルレス圧力センサ100のボディ(パッケージ102)が温度分布を持ち、このボディの温度分布でセンサダイアフラム6が変形し、センサ出力SPに誤差が生じる。
この場合、本実施の形態のオイルレス圧力センサ100では、被測定流体の温度を温度センサ1dが直接検出する。そして、この温度センサ1dが直接検出する被測定流体の温度に基づいて、高温の流体による急激な温度変動が熱衝撃として検知され、センサ出力SPの補正が行われる。
すなわち、熱衝撃判定部82において熱衝撃有りと判定され、センサ出力補正部83でセンサ出力SPの補正が行われるものとなる。これにより、高温の流体を流しての配管内の殺菌中(メンテナンス中)、補正されたセンサ出力SP’が出力されるものとなり、誤差が生じるという問題が解決されるものとなる。
なお、図7に示した例では、センサ出力補正部83でセンサ出力SPを補正するようにしたが、必ずしもセンサ出力SPを補正するようにしなくてもよい。例えば、図8に示すように、報知部84を設け、熱衝撃判定部82で熱衝撃有りと判定された場合、メンテナンス中であることを報知するようにしてもよい。この例において、報知部84は、熱衝撃判定部82で熱衝撃有りと判定された場合、メンテナンスモード中の信号SMを出力する。
また、上述した例では、熱衝撃判定部82において、被測定流体の温度tの上昇速度を求め、この上昇速度が予め定められている閾値以上となった場合に熱衝撃有りと判定するようにしたが、被測定流体の温度tに対して上限温度を定め、この上限温度を超えた場合に熱衝撃有りと判定するようにしてもよい。
また、被測定流体の温度tの上昇速度だけではなく、下降速度も求め、すなわち被測定流体の温度tの変化速度を求め、この変化速度が閾値以上となった場合に熱衝撃有りと判定するようにしてもよい。このようにすると、配管に高温の流体が流された場合だけではなく、低温の流体が流されたような場合にも、熱衝撃有りと判定されるものとなる。
なお、上述した実施の形態では、第2の半導体基板2の凹部2aの底面を平坦な面としているが、すなわち第1の半導体基板1の他方の面1bに対向する面(内側の面)を平坦な面としているが、図9に示すように非球面とするようにしてもよい。第2の半導体基板2の凹部2aの底面を非球面とすると、過大圧が印加された時のセンサダイアフラム6の過度な変位が阻止される。
また、上述した実施の形態では、センサチップ101の空洞4を大気に連通させるようにしたが、すなわち大気圧を基準とするゲージ圧を測定するようにしたが、図10に示すように、空洞4を真空の基準圧室(真空に保った密閉空間)とし、絶対圧を測定するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、第1の半導体基板1と第2の半導体基板2の両方を貫通する配線として貫通配線7を形成するようにしたが、必ずしも第2の半導体基板2を貫通させた配線とする必要はなく、構造上強度が不足するような場合に、第2の半導体基板2を貫通させた配線とするようにするとよい。
例えば、図11に示すように、第1の半導体基板1の第2の半導体基板2を避けた位置に電極パッド1fを形成し、この電極パッド1fに第1の半導体基板1を貫通させた貫通配線7の上側の端部を接続し、この電極パッド1fに信号取り出し線5を接続するようにしたり、図12に示すように、第2の半導体基板2に貫通孔2hを設け、この貫通孔2hを通して電極パッド1fに接続された信号取り出し線5を引き出すようにしたりしてもよい。
また、上述した実施の形態では、第1の半導体基板1および第2の半導体基板2の半導体材料としてシリコン(Si)を使用するものとしたが、SiC(シリコンカーバイド)を使用するようにしてもよい。半導体材料としてSiを使用した場合、高温対応が困難になるが、SiCを使用すると高温化も可能(上限温度が向上)となり、殺菌洗浄時の温度にも耐えることが可能となる。
また、上述した実施の形態では、センサチップ101の受圧面(露出面)101aとパッケージ102の露出面102aとの間の周囲の隙間hに充填材103を埋め込むようにしたが、必ずしも充填材103を埋め込まなくてもよい。
また、上述した実施の形態では、温度センサ1dからの温度検出信号Stに基づいてセンサチップ101に加わる熱衝撃を検知するものとしたが、この温度センサ1dからの温度検出信号Stはセンサ出力の温度補償などにも用いられる。この温度検出信号Stを用いてのセンサ出力の温度補償については省略している。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1…第1の半導体基板、1a…一方の面(下側の面(表面))、1b…他方の面(上側の面(裏面))、1c…歪ゲージ(圧力検出部)、1d…温度センサ(温度検出部)、1e…拡散抵抗配線、2…第2の半導体基板、2a…凹部、2b…貫通孔、2d…他方の面(上面)、2e…一方の面(下面)、3…保護膜、4…空洞、5…信号取り出し線、6…センサダイアフラム、7…貫通配線、8…マイクロコンピュータ(マイコン)、81…センサ出力部、82…熱衝撃判定部、83…センサ出力補正部、84…報知部、100…オイルレス圧力センサ、101…センサチップ、101a…受圧面、102…パッケージ、102a…露出面、103…充填材。

Claims (10)

  1. 一方の面に形成された圧力検出部および温度検出部を有する第1の半導体基板と、一方の面に形成された凹部を有し、この凹部が形成された一方の面が前記第1の半導体基板の他方の面に接合されて、前記第1の半導体基板の前記圧力検出部が形成されている領域に対応する前記第1の半導体基板の前記他方の面の領域とともに空洞を形成する第2の半導体基板と、前記第1の半導体基板の前記一方の面を覆う耐食性の保護膜とを備えたセンサチップと、
    前記保護膜を接液部として露出させた状態で前記センサチップを収容するパッケージと、
    前記圧力検出部によって検出された圧力に応じた信号を処理しセンサ出力として出力するように構成されたセンサ出力部と、
    前記温度検出部によって検出された温度に基づいて前記センサチップに熱衝撃が加わったか否かを判定するように構成された熱衝撃判定部と
    を備えることを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  2. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記熱衝撃判定部によって前記センサチップに熱衝撃が加わったと判定された場合、前記センサ出力部から出力されるセンサ出力を補正するように構成されたセンサ出力補正部 をさらに備えることを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  3. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記熱衝撃判定部によって前記センサチップに熱衝撃が加わったと判定された場合、メンテナンス中であることを報知するように構成された報知部
    をさらに備えることを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  4. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記パッケージは、
    前記保護膜の露出面と同一平面上に位置する露出面を有し、
    前記保護膜の露出面と前記パッケージの露出面との間に形成された環状の隙間に埋め込まれた充填材をさらに有する
    ことを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  5. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記第1および第2の半導体基板を貫通し、前記第1の半導体基板の前記一方の面に形成されている前記圧力検出部および前記温度検出部からの信号を前記第2の半導体基板の他方の面側に導出する貫通配線をさらに有する
    ことを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  6. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記第2の半導体基板は、
    前記空洞を大気に連通させる貫通孔を有する
    ことを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  7. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記空洞は、真空とされている
    ことを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  8. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記第2の半導体基板の凹部の内側の面は、
    非球面である
    ことを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  9. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記保護膜は、
    1層もしくは多層の中間層の上に白金を重ねた多層の金属保護膜とされている
    ことを特徴とするオイルレス圧力センサ。
  10. 請求項1に記載されたオイルレス圧力センサにおいて、
    前記第1および第2の半導体基板を貫通し、前記第1の半導体基板の前記一方の面に形成されている前記圧力検出部および前記温度検出部からの信号を前記第2の半導体基板の他方の面側に導出する貫通配線と、
    前記第1の半導体基板の前記一方の面に形成され、前記貫通配線と前記圧力検出部および前記温度検出部とを接続する拡散抵抗配線と
    をさらに有することを特徴とするオイルレス圧力センサ。
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