JP2018115246A - ポリイミド - Google Patents

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JP2018115246A JP2017005980A JP2017005980A JP2018115246A JP 2018115246 A JP2018115246 A JP 2018115246A JP 2017005980 A JP2017005980 A JP 2017005980A JP 2017005980 A JP2017005980 A JP 2017005980A JP 2018115246 A JP2018115246 A JP 2018115246A
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美香 松本
二郎 杉山
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Abstract

【課題】アルカリ可溶性、溶媒可溶性、保存安定性、耐熱性に優れ、要求されるアルカリ可溶性の程度に応じて、そのアルカリ可溶性の制御も容易に行えるポリイミドを提供する。
【解決手段】テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基と、分子内にカルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基と、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基とを含むポリイミド。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリ可溶性、溶媒可溶性、保存安定性、耐熱性に優れ、半導体集積回路、プリント配線基板、液晶パネル等の製造に使用される感光性樹脂組成物(レジスト)用樹脂として好適に用いることができるポリイミドに関する。
半導体集積回路、プリント配線基板、液晶パネル等の製造に使用されるレジストには、ポジ型レジストとネガ型レジストがある。両者の相違は、ポジ型レジストでは、露光域が現像プロセスにより除去され、未露光域が基材上に層として残るのに対し、ネガ型レジストでは、露光域がレリーフ構造として残ることにある。
従来、これらのレジスト用樹脂としてはアクリル樹脂が使用されてきたが、近年、耐熱性等の向上のためにレジスト用樹脂はポリイミドに変更されてきている。
また、現像液としては、有機溶剤系の現像液と、アルカリ水溶液とがあるが、近年は環境負荷低減のためにアルカリ水溶液が用いられるようになってきている。
ポリイミドは、耐熱性、難燃性、柔軟性、電気特性、耐薬品性等各種の優れた特性を有するものであるが、有機溶媒に難溶であり、また、アルカリ水溶液には不溶である。ポリイミド前駆体であるポリアミック酸(ポリアミド酸)であれば、溶媒可溶性とアルカリ可溶性を兼備するが、ポリアミック酸は保存安定性に劣り、また、硬化温度が高いという欠点がある。
特許文献1には、貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能な感光性樹脂組成物として、重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドをアクリル変性したものが記載されているが、テトラカルボン酸二無水物として芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いている。本発明者らの検討によれば、芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いたポリイミドの場合、イミド化率が高くなればなるほど有機溶媒への溶解性が乏しくなり、製造時のイミド化率が溶媒溶解性へ影響を及ぼすため、安定製造が困難となる。
特許文献2には、耐熱性や耐薬品性(耐アルカリ)及び高絶縁性を有したイミド系感光性樹脂組成物に用いるポリイミドとして、感光性基を有するものが提案されているが、このようにポリイミド主鎖のカルボキシル基や水酸基が感光性基によって置換されていると、十分なアルカリ可溶性は得られない。
特許文献3には、感光性ポリイミドが提案されているが、特許文献3のようにカルボン酸濃度(酸価)が高いものを用いると、アルカリ水溶液への溶解性が高くなりすぎ、パターン形成不良となる場合がある。
特開2004−325980号公報 特開2002−351073号公報 特許第5501672号公報
半導体集積回路、プリント配線基板、液晶パネル等の製造に使用されるレジストのアルカリ可溶性は、高い程よいというものではなく、用いるアルカリ現像液の組成、温度や、製造工程における作業性、要求特性に適したアルカリ可溶性であることが望まれる。しかしながら、従来、アルカリ可溶性を付与したポリイミドは提案されているが、そのアルカリ可溶性の程度を制御するという課題はなく、アルカリ可溶性を制御するための工夫もなされていない。
本発明は、アルカリ可溶性、溶媒可溶性、保存安定性、耐熱性に優れ、要求されるアルカリ可溶性の程度に応じて、そのアルカリ可溶性の制御も容易に行えるポリイミドを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ジアミン残基として、カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導される残基と、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導される残基とを含むポリイミドが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基と、カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基(以下「カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基」と称す。)と、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基(以下「カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基」と称す。)とを含むポリイミド。
[2] ポリイミドに含まれる全ジアミン残基中の前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基と前記カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基の合計の割合が50mol%以上で、前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基の割合が5〜85mol%である[1]に記載のポリイミド。
[3] 前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基が、ジアミノ安息香酸から誘導されるジアミン残基であり、前記カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基が、フェノール性水酸基を有さず、芳香環を2以上有する多環式芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基である[1]又は[2]に記載のポリイミド。
[4] 脂環式テトラカルボン酸二無水物又はフッ素原子含有テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を有する[1]ないし[3]のいずれかに記載のポリイミド。
[5] 前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基に基づく酸価が10〜150mg−KOH/gである[1]ないし[4]のいずれかに記載のポリイミド。
本発明のポリイミドは、アルカリ可溶性、溶媒可溶性、保存安定性、耐熱性に優れる上に、要求されるアルカリ可溶性の程度に応じて、そのアルカリ可溶性の制御も容易に行える。
このような本発明のポリイミドは、半導体集積回路、プリント配線基板、液晶パネル等の製造に使用されるレジスト樹脂として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。
本発明のポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基と、カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基(以下「カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基」と称す。)、及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基(以下「カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基」と称す。)を少なくとも含むことを特徴とする。
即ち、本発明のポリイミドは、ポリアミック酸ではなく、ポリイミドであることにより、保存安定性、耐熱性に優れ、また、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基を有することで溶媒可溶性に優れ、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基を含むことでアルカリ可溶性の付与及びその制御を容易に行える。
なお、ポリイミドの製造方法には、下記反応式(I)に示されるように、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物との重縮合反応により、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸、ポリアミド酸)を製造し、このポリイミド前駆体の脱水閉環反応でポリイミドとする方法と、下記反応式(II)に示されるように、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート化合物とから直接ポリイミドを製造する方法とがあるが、本発明のポリイミドは、いずれの方法により製造されたものであってもよい。
Figure 2018115246
従って、本発明において、「カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基」とは、「カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基」に限らず、「カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジイソシアネート化合物から誘導されるジアミン残基」であってもよい。同様に、「カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基」とは、「カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基」に限らず、「カルボキシル基及びアミノ基以外に窒素原子含有官能基を有さないジイソシアネート化合物から誘導されるジアミン残基」であってもよい。
本発明のポリイミドの製造に使用されるジイソシアネート化合物としては、以下に例示されるジアミン化合物の名称のうち、「ジアミン」を「ジイソシアネート」に置き換えた化合物が挙げられる。
[テトラカルボン酸残基]
本発明のポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては特に制限はなく、本発明のポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基のテトラカルボン酸二無水物としては、各種の芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、1分子内に1個の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物、1分子内に独立した2以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物及び1分子内に縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、製造時の粘度が制御しやすいため、1分子内に1個の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物又は1分子内に独立した2以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましく、特に、1分子内に独立した2以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
1分子内に1個の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
1分子内に独立した2以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
1分子内に縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリシクロ[6.4.0.0(2,7)]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
その他、テトラカルボン酸二無水物としては、シリコーン系テトラカルボン酸二無水物や、例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(別名:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフタル酸二無水物)、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)ジフタル酸二無水物、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)ジフタル酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)ジフタル酸二無水物、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物等のフッ素原子を含むテトラカルボン酸二無水物を用いることもできる。
上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、脂環構造を導入して、ポリイミドの溶媒可溶性を高め、保存安定性に優れたものとする観点からは脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましく、特に3,3’,4,4’−ビシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
また、製造安定性、溶媒溶解性が向上することから、1分子内に独立した2以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物、フッ素原子を含むテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましく、なかでも1分子内に独立した2以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
本発明のポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基は、1種のみであってもよく、2種以上が含まれていてもよい。
[ジアミン残基]
本発明のポリイミドは、ジアミン残基として、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基とを含むことを特徴とする。
本発明のポリイミドが、ジアミン残基としてカルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基とを含むことにより、アルカリ可溶性が付与され、かつそのアルカリ可溶性の程度を制御することが可能となる。
即ち、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基の導入により著しく良好なアルカリ可溶性が付与される。一方、カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基は、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基のようなアルカリ可溶性付与効果はなく、あってもその程度は低い。また、窒素原子含有複素環等のアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有しないため配向性が抑えられ、柔軟である。従って、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基と、アルカリ可溶性に寄与しない或いはアルカリ可溶性に対する寄与の程度がカルボキシル基含有芳香族ジアミン残基よりも小さいカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基とを共に含む本発明のポリイミドは、これらのジアミン残基の含有割合を調整することにより、用途に応じてアルカリ可溶性の程度を容易に制御することが可能となる。
<カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基>
カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基は、カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導される残基である。そのカルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物としては、溶解性制御及び製造安定性の観点から、またイミド環濃度が増加することにより、耐熱性が向上する観点から、好ましくはジアミノ安息香酸(3,5−ジアミノ安息香酸)、3,4−ジアミノ安息香酸、1,3−ジアミノ−4,6−ジカルボキシベンゼン、1,2−ジアミノ−4,6−ジカルボキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,5−ジカルボキシベンゼン等の単環化合物等のカルボキシル基を有する単環の芳香族ジアミン化合物であり、より好ましくはジアミノ安息香酸である。
イミド環濃度が高い方が耐熱性向上に寄与するが、イミド環と縮合するテトラカルボン酸二無水物が単環であると、主鎖の剛直性が高くなりすぎるため、ジアミン化合物が単環であることが好ましい。
本発明のポリイミドは、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基として1種のカルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導される残基を含むものであってもよく、2種以上のカルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導される残基を含むものであってもよい。
<カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基>
カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基は、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基であり、そのジアミン化合物としては、1分子内に1個の芳香環を有するジアミン化合物、1分子内に独立した2以上の芳香環を有するジアミン化合物(多環式芳香族ジアミン化合物)、1分子内に縮合芳香環を有するジアミン化合物等が挙げられる。これらの中でも、製造時の粘度制御が容易になる点で、1分子内に1個の芳香環を有するジアミン化合物又は独立した2以上の芳香環を有するジアミン化合物が好ましく、独立した2以上の芳香環を有する多環式芳香族ジアミン化合物が特に好ましい。
本発明では、カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基がカルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さないことで、分子間相互作用が抑制されるため、溶媒溶解性が向上する。
1分子内に1個の芳香環を有するジアミン化合物としては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン等が挙げられる。
1分子内に独立した2以上の芳香環を有する多環式芳香族ジアミン化合物としては、例えば、4,4’−(ビフェニル−2,5−ジイルビスオキシ)ビスアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(3,3’−ジメチルベンジジン)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ノルボルナンジアミン等が挙げられる。中でも溶媒可溶性の点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン等が好ましい。
1分子内に縮合芳香環を有するジアミン化合物としては、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−ジアミノナフタレン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド等が挙げられる。
その他、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物としては、シリコーン系ジアミン化合物や、4−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、3−トリフルオロメチル−1,5−フェニレンジアミン、4−トリフルオロメチル−1,5−フェニレンジアミン、4−トリフルオロメチル−1,2−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2−メチル−2’−トリフルオロメチルビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジブロモフェニル}ヘキサフルオロプロパンなどのフッ素原子を含む芳香族ジアミン化合物が挙げられる。
また、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物としては、フェノール性水酸基を有するジアミン化合物であってもよく、フェノール性水酸基を有するジアミン化合物としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
ただし、アルカリ可溶性の制御の観点から、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物はフェノール性水酸基を有さないジアミン化合物であることが好ましい。
カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物としては、柔軟性向上、製造安定性、粘度の安定性の観点から、1分子内に独立した2以上の芳香環を有する多環式芳香族ジアミン化合物が好ましく、分子内にエーテル結合を有する芳香族ジアミン化合物がより好ましい。
本発明のポリイミドは、カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基として、1種のカルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導される残基を含むものであってもよく、2種以上のカルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導される残基を含むものであってもよい。
<他のジアミン残基>
本発明のポリイミドは、ジアミン残基として、上記のカルボキシル基含有芳香族ジアミン残基及びカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基のみを含むものであってもよく、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基及びカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基と他のジアミン化合物(以下、「他のジアミン化合物」と称す場合がある。)から誘導される残基(以下、「他のジアミン残基」と称す場合がある。)を含むものであってもよい。
他のジアミン残基のその他のジアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物が挙げられる。
脂肪族ジアミン化合物としては、脂環式ジアミン化合物及び鎖状脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。
脂環式ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
これらの中で、耐熱性の点から、脂環式ジアミン化合物が好ましく、特に、1,4−ジアミノシクロヘキサン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
本発明のポリイミドが上記の他のジアミン残基を含む場合、他のジアミン残基は1種のみであってもよく、2種以上が含まれていてもよい。
<カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基の含有割合>
本発明のポリイミドは、ジアミン残基としてカルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基を含むことによる上記効果を確実に得る上で、ポリイミドに含まれる全ジアミン残基中のカルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基の合計の割合が50mol%以上であることが好ましく、特に60mol%以上、とりわけ70〜100mol%であることが好ましい。
また、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基のポリイミドに含まれる全ジアミン残基中の割合は、通常5mol%以上、好ましくは10mol%以上、より好ましくは15mol%以上であり、通常85mol%以下、好ましくは70mol%以下、より好ましくは60mol%以下である。この範囲であることでアルカリ可溶性の制御が容易となる。
[分子量]
本発明のポリイミドの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量で通常1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。また、通常200000以下であり、好ましくは180000以下であり、より好ましくは150000以下である。重量平均分子量が上記範囲であると、溶媒溶解性、組成物粘度等が通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため好ましい。なお、ポリイミドのポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により求めることができる。
本発明のポリイミドの数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、ポリスチレン換算の数平均分子量で通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2500以上である。また通常100000以下、好ましくは90000以下、より好ましくは80000以下である。数平均分子量が上記範囲であると、溶媒溶解性、組成物粘度などが通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため好ましい。ポリスチレン換算の数平均分子量は、前記重量平均分子量と同様の方法で求めることができる。
本発明のポリイミドの分子量分布(PDI:重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))は、通常1以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。また通常10以下、好ましくは9以下、より好ましくは8以下である。分子量分布が上記範囲であると、例えばレジストとしての使用において、均一性、平滑性等に優れた膜が得られる傾向にある。
[酸価]
本発明のポリイミドは、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基に基づく酸価が10〜150mg−KOH/gの範囲であることが好ましい。
酸価が上記範囲内であると、カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基との共存下において、優れたアルカリ可溶性及びその制御性を得ることができる。
なお、ポリイミドの酸価は、構成する残基の分子量とモル比から計算により求めることができ、後掲の実施例においてもこのようにして酸価を求めた。
[アルカリ可溶性・溶媒溶解性]
本発明のポリイミドは、アルカリ可溶性に優れたものであり、例えば、0.1M水酸化カリウム水溶液に室温(23℃)で0.1質量%以上、溶解する程度のアルカリ可溶性を示すが、本発明では、例えばこの溶解濃度を0.1M水酸化カリウム水溶液に対して0.1〜30質量%の範囲で、また、1M水酸化カリウム水溶液に対して0.1〜30質量%の範囲で適宜調整することができる。
本発明のポリイミドはまた、溶媒溶解性に優れるものであり、例えば、後掲のポリイミド前駆体製造に使用される溶媒等に対する室温(25℃)での溶解度が5質量%以上の溶解性を示す。
[ポリイミドの製造方法]
本発明のポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物原料と、ジアミン化合物原料として少なくともカルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物と、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物とを用いること以外は常法に従って製造することができる。なお、前述の通り、ジアミン化合物の代りにジイソシアネート化合物を用いてもよい。
本発明のポリイミドの製造方法には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物からポリイミド前駆体を製造しこれをイミド化してポリイミドを得る方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物から直接ポリイミドを製造する方法がある。
なお、ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドを製造する際、イミド化率は特に制限されないが高い程好ましく、通常80%以上、特に90〜100%である。
<ポリイミド前駆体を経てポリイミドを製造する方法>
(ポリイミド前駆体の製造)
本発明のポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物と、カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物、及び、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物を必須とするジアミン化合物とを溶媒中で反応させて得られる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶媒中で反応させる方法は特に限定されない。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法も特に限定されない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリイミド前駆体を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.7モル以上、好ましくは0.8モル以上であり、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。ジアミン化合物をこのような範囲とすることで、得られるポリイミド前駆体の収率が向上する傾向にある。
反応液中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件や得られるポリイミド前駆体の粘度に応じで適宜設定できる。
テトラカルボン酸二無水及びジアミン化合物の合計濃度は、特に制限はないが、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物及び溶媒を含む反応液全量に対し、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下である。テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度が低過ぎないことで、分子量の伸長が起こりやすい傾向にある。また、この濃度が高過ぎないことで、粘度が高くなり過ぎず、反応液の撹拌が容易となる傾向にある。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶媒中で反応させる温度は、反応が進行する温度であれば、特に制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、通常120℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは42時間以下である。このような条件で行うことにより、低コストで収率よくポリイミド前駆体を得ることができる傾向にある。
反応時の圧力は、常圧、加圧及び減圧のいずれでもよい。雰囲気は空気下でも不活性雰囲気下でもよい。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させる際に用いる溶媒は特に限定されない。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホン系溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン等の複素環系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
得られたポリイミド前駆体はそのまま次のイミド化に供してもよく、貧溶媒中に添加することで固体状に析出させて用いてもよい。
用いる貧溶媒は特に制限は無く、ポリイミド前駆体の種類によって適宜選択し得るが、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;等が挙げられる。中でも、アルコール系溶媒が効率良く析出物が得られ、沸点が低く乾燥が容易となる傾向にあるため好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
(ポリイミド前駆体のイミド化)
上記の方法等で得られたポリイミド前駆体を溶媒存在下で脱水環化することにより、ポリイミドを得ることができる。イミド化は従来知られている任意の方法を用いて行うことができるが、例えば熱的に環化させる加熱イミド化、化学的に環化させる化学イミド化等が挙げられる。これらのイミド化反応は単独で行っても、複数組み合わせて行ってもよい。
<加熱イミド化>
ポリイミド前駆体をイミド化する際の溶媒は、前記のポリイミド前駆体を得る反応時に使用した溶媒と同様のものが挙げられる。ポリイミド前駆体製造時の溶媒と、ポリイミド製造時の溶媒は同じものを用いても、異なるものを用いてもよい。
この場合、イミド化によって生じた水は閉環反応を阻害するため、系外に排出してもよい。イミド化反応時のポリイミド前駆体の濃度は特に制限はないが、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは40質量%以下である。この範囲で行うことによって、生産効率が高く、また製造しやすい溶液粘度で製造することができる傾向にある。
イミド化反応温度は特に制限されないが、通常50℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下である。この範囲で行うことで、イミド化反応が効率よく進行し、イミド化反応以外の反応が抑制される傾向にあるため好ましい。
反応時の圧力は常圧、加圧、減圧のいずれでもよい。雰囲気は、空気下でも不活性雰囲気下でもよい。
また、イミド化を促進するイミド化促進剤として、求核性、求電子性を高める働きをもつ化合物を加えることもできる。具体的には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、イミダゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン等の三級アミン化合物;4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−ヒドロキシ安息香酸、N−アセチルグリシン、N−ベンゾイルグリシン等のカルボン酸化合物;3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、ピロガロール、メチルガレート、エチルガレート、ナフタレン−1,6−ジオール等の多価フェノール化合物;2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、N,N−ジメチルアミノピリジン、ニコチンアルデヒド、イソニコチンアルデヒド、ピコリンアルデヒド、ピコリンアルデヒドオキシム、ニコチンアルデヒドオキシム、イソニコチンアルデヒドオキシム、ピコリン酸エチル、ニコチン酸エチル、イソニコチン酸エチル、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−ヒドロキシニコチン酸、2,2’−ジピリジル、4,4’−ジピリジル、3−メチルピリダジン、キノリン、イソキノリン、フェナントロリン、1,10−フェナントロリン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾール等の複素環化合物;等が挙げられる。
これらの中で、三級アミン化合物、カルボン酸化合物及び複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましく、さらに、トリエチルアミン、イミダゾール及びピリジンからなる群から選ばれる少なくとも1つが、反応速度を制御しやすい傾向があるためより好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
イミド化促進剤の使用量は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基に対して、通常0.01mol%以上であり、0.1mol%以上が好ましく、1mol%以上が更に好ましい。また、50mol%以下であることが好ましく、10mol%以下であることがより好ましい。イミド化促進剤の使用量が上記範囲にあることにより、イミド化反応が効率よく進行する傾向にある。
また、イミド化促進剤を添加するタイミングは、適宜調整することができ、加熱開始前でもよく、加熱中でもよい。また複数回に分けて添加してもよい。
<化学イミド化>
ポリイミド前駆体を溶媒存在下で、脱水縮合剤を用いて化学的にイミド化することにより、ポリイミドを得ることができる。
化学イミド化の際に使用する溶媒としては前記のポリイミド前駆体を得る反応時に使用した溶媒と同様のものが挙げられる。
脱水縮合剤としては、例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−ジフェニルカルボジイミド等のN,N−2置換カルボジイミド;無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物;塩化チオニル、塩化トシル等の塩化物;アセチルクロライド、アセチルブロマイド、プロピオニルアイオダイド、アセチルフルオライド、プロピオニルクロライド、プロピオニルブロマイド、プロピオニルアイオダイド、プロピオニルフルオライド、イソブチリルクロライド、イソブチリルブロマイド、イソブチリルアイオダイド、イソブチリルフルオライド、n−ブチリルクロライド、n−ブチリルブロマイド、n−ブチリルアイオダイド、n−ブチリルフルオライド、モノ−,ジ−,トリ−クロロアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−ブロモアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−アイオドアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−フルオロアセチルクロライド、無水クロロ酢酸、フェニルホスフォニックジクロライド、チオニルクロライド、チオニルブロマイド、チオニルアイオダイド、チオニルフルオライド等のハロゲン化化合物;三塩化リン、亜リン酸トリフェニル、ジエチルリン酸シアニド等のリン化合物;等が挙げられる。
これらの中で、酸無水物及びハロゲン化化合物が好ましく、特に、酸無水物が、イミド化反応が効率よく進行する傾向にあるためより好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
これらの脱水縮合剤の使用量は、ポリイミド前駆体1molに対して、通常0.1mol以上、好ましくは0.2mol以上であり、通常1.0mol以下、好ましくは0.9mol以下である。脱水縮合剤の使用量をこの範囲とすることで、効率的にイミド化することができる。
イミド化反応時の反応液中のポリイミド前駆体の濃度に特に制限はないが、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは40質量%以下である。この範囲とすることで、生産効率が高く、また製造しやすい溶液粘度で製造することができる傾向にある。
イミド化反応温度は特に制限されないが、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上である。また、通常150℃以下、好ましくは130℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。この範囲で行うことで、イミド化反応が効率よく進行する傾向にあるため好ましい。さらに、イミド化反応以外の副反応が抑制されるため好ましい。
反応時の圧力は常圧、加圧又は減圧のいずれでもよい。雰囲気は、空気下でも不活性雰囲気下でもよい。
また、イミド化を促進する触媒として、前記の三級アミン化合物等のイミド化促進剤を加熱イミド化と同様に加えることもできる。
<テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物からポリイミドを製造する方法>
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物から、従来既知の方法を用いて、直接ポリイミドを得ることができる。この方法はポイミド前駆体の合成からイミド化を、反応の停止や前駆体の単離を経ることなく、イミド化までを行うものである。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法には特に限定はないが、例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を順に投入し、イミド化までの反応が進行する温度で撹拌することでポリイミドが得られる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1molに対して、通常0.7mol以上、好ましくは0.8mol以上であり、通常1.3mol以下、好ましくは1.2mol以下である。ジアミン化合物の量をこのような範囲とすることにより、得られるポリイミドの収率が向上する傾向にある。
反応液中のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の濃度は、各々の条件や重合中の粘度に応じて適宜設定できる。
反応液中のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の合計濃度は、特段の設定ないが、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは40質量%以下である。反応液中の濃度が適当な範囲であることで、分子量の伸長が起こりやすくなり、また、撹拌も容易となる傾向にある。
この反応で用いる溶媒としては、前記のポリイミド前駆体を得る反応時に使用する溶媒と同様のものが挙げられる。
また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物からポリイミドを得る場合も、ポリイミド前駆体からポリイミドを得る場合と同様に、加熱イミド化及び/又は化学イミド化を採用することができ、この場合の加熱イミド化や化学イミド化の反応条件等は、前記と同様である。
得られたポリイミドは、そのまま用いてもよく、また貧溶媒中に添加することでポリイミドを固体状に析出させた後に、他の溶媒に再溶解させて用いることもできる。
この時の貧溶媒は特に制限はなく、ポリイミドの種類によって適宜選択しうるが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;等が挙げられる。中でも、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が効率よく析出物が得られ、沸点が低く乾燥が容易となる傾向にあるため好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
また、ポリイミドを再溶解させる溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール等の炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等の非プロトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;等が挙げられる。この中でも特にアニソール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールジメチルエーテル、及びエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
[用途]
本発明のポリイミドは、アルカリ可溶性、溶媒可溶性、保存安定性、耐熱性に優れ、特にその優れたアルカリ可溶性から、アルカリ現像性のレジスト用樹脂として好適に用いることができる。
本発明のポリイミドを半導体集積回路、プリント配線基板、液晶パネル等の製造に使用されるレジストとして用いる場合、必要に応じて、アニオン再生剤、光酸発生剤、アルカリ溶解促進剤、光架橋剤等を配合した感光性組成物として使用される。
この感光性樹脂組成物は、更にカップリング剤、可塑剤、別の膜形成樹脂、界面活性剤、安定剤、レベリング剤などの添加剤を含んでもよい。
レジスト溶液の製造に適する溶媒は原則としてフォトレジストの不揮発成分、例えばポリイミド及び光酸発生剤及びその他の添加剤が十分に可溶であり、かつこれらの成分と不可逆的に反応しない全ての溶媒である。適する溶媒は、例えば、非プロトン性極性溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチロラクトン、シクロヘキサノン、ジアセトキシエチレングリコール、スルホラン、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジグライム、フェノール、クレゾール、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン等である。
本発明のポリイミドを用いた感光性樹脂組成物により画像形成を行うには、上記のように感光性樹脂組成物を溶媒に溶解したレジスト溶液を用いて、基板上にフォトレジスト層を形成する。この基板としては、樹脂等の有機物、無機物、金属などいずれを用いてもよい。
基板へのレジスト層の形成は通常、浸漬、噴霧、ロール塗り又はスピンコーティングによって行われる。この際、レジスト溶液の粘度、固形分濃度及びスピンコーティング速度等を調整することにより所望の厚さに成膜することができる。例えば、0.1〜500μm、好ましくは1〜100μmの層厚を持つ層及びレリーフ構造が形成される。多層回路における薄層や絶縁層の場合は1〜50μm程度とする場合もある。レジストを基材に塗布した後は、通常50〜120℃で予備乾燥させた後、所望のパターンで露光後、アルカリ現像を行う。
ここで用いるアルカリ現像液のアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルジエタノ−ルアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロピルアミンなどが挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下において、使用原料の略語の示すものは以下の通りである。
ABA:3,5−ジアミノ安息香酸
3,4−ABA:3,4−ジアミノ安息香酸
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
H−BPDA:3,3’,4,4’−ビシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
DTFDA:4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物
6FDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
また、得られたポリイミドの評価方法は以下の通りである。
[アルカリ可溶性]
室温(23℃)にて、0.1M又は1M水酸化カリウム水溶液5gに樹脂固形分が5mgとなるように、ポリイミド溶液を加え、2時間撹拌した後、目視観察し、以下の基準で評価した。なお、ポリイミド溶液中にはDMAcが含まれているが、DMAcは水酸化カリウム水溶液量に対してごく少量であるので、アルカリ可溶性の評価に大きな影響を及ぼすものではない。
○:溶け残りなく完溶し、アルカリ可溶性良。
△:一部溶解し、アルカリ可溶性若干劣る。
×:溶解せず、アルカリ可溶性不良。
[耐熱性]
ポリイミド溶液をガラス基板に塗布後、350℃で30分焼成した後、ガラス基板から剥離して得たポリイミドフィルムを熱重量・示差熱量同時測定装置(TG−DTA)で測定し、5%重量減少温度(Td5%)を耐熱温度として評価した。
Td5%は高い程好ましい。
[実施例1]
還流窒素ガス導入管、冷却器、トルエンを満たしたディーンスターク凝集器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに、ABA:6.09g(0.04mol)、ODA:8.01g(0.04mol)、H−BPDA:24.01g(0.08mol)、DMAc:114g、トルエン:22.9gを加え、190℃のオイルバスで12時間加熱還流した。その後トルエンを常圧留去し、ポリイミド溶液1を得た。
得られたポリイミド溶液1について、アルカリ可溶性の評価を行い、結果を表1に示した。
[実施例2]
実施例1のABAを3,4−ABA:3.93g(0.025mol)に、ODAをBAPP 14.04g(0.034mol)に、H−BPDAをDTFDA:17.66g(0.059mol)に、DMAcを107gに、トルエンを21.4gに変更した以外は実施例1と同様の方法でポリイミド溶液2を得た。
得られたポリイミド溶液2について、アルカリ可溶性の評価を行い、結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例1のABAを6.30g(0.041mol)に、H−BPDAを21.01g(0.069mol)に、ODAをBAPP:11.75g(0.029mol)に、DMAcを117gに、トルエンを23.4gに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミド溶液3を得た。
得られたポリイミド溶液3について、アルカリ可溶性の評価を行い、結果を表1に示した。また、耐熱性の評価結果を表2に示した。
[実施例4]
実施例1のABAを6.21g(0.041mol)に、H−BPDAを22.51g(0.074mol)に、ODAをTPE−R:10.00g(0.034mol)に、DMAcを116gに、トルエンを23.2gに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミド溶液4を得た。
得られたポリイミド溶液4について、アルカリ可溶性の評価を行い、結果を表1に示した。また、耐熱性の評価結果を表2に示した。
[実施例5]
実施例1のABAを2.10g(0.014mol)に、ODAを9.25g(0.046mol)に、H−BPDAを6FDA:26.12g(0.059mol)に、DMAcを112gに、トルエンを22.5gに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミド溶液5を得た。
得られたポリイミド溶液5について、アルカリ可溶性の評価を行い、結果を表1に示した。
[実施例6]
実施例1のABAを5.33g(0.035mol)に、ODAを7.01g(0.035mol)に、H−BPDAを16.81g(0.055mol)に、DMAcを100gに、トルエンを19.9gに変更し、更にBPDA:4.04g(0.014mol)を加えた以外は、実施例1と同様の方法でポリイミド溶液6を得た。
得られたポリイミド溶液6について、アルカリ可溶性の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1のODAを22.03g(0.11mol)に、H−BPDAを33.36g(0.11mol)に、DMAcを129gに、トルエンを25.8gに変更し、ABAを加えなかった以外は、実施例1と同様の方法でポリイミド溶液7を得た。
得られたポリイミド溶液7について、アルカリ可溶性の評価を行い、結果を表1に示した。
Figure 2018115246
Figure 2018115246
表1より、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基を含む実施例1〜6のポリイミドはアルカリ可溶性に優れることが分かる。
カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基とを含むが、他の実施例よりもジアミン残基中のカルボキシル基含有芳香族ジアミン残基の割合が少ない実施例5は、低濃度水酸化カリウム水溶液には溶解せず、ややアルカリ可溶性に劣る結果となっており、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基とカルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基の割合を調整することで、アルカリ可溶性を制御できることが分かる。
また、表2より、H−BPDA残基を含む実施例3,4のポリイミドは耐熱性にも優れている。
一方、比較例1のポリイミドは、カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基を含まず、アルカリ可溶性に劣る。

Claims (5)

  1. テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基と、カルボキシル基を有し、芳香環が一つである単環式ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基(以下「カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基」と称す。)と、カルボキシル基及びアミノ基以外の窒素原子含有官能基を有さない芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基(以下「カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基」と称す。)とを含むポリイミド。
  2. ポリイミドに含まれる全ジアミン残基中の前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基と前記カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基の合計の割合が50mol%以上で、前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基の割合が5〜85mol%である請求項1に記載のポリイミド。
  3. 前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基が、ジアミノ安息香酸から誘導されるジアミン残基であり、前記カルボキシル基非含有芳香族ジアミン残基が、フェノール性水酸基を有さず、芳香環を2以上有する多環式芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基である請求項1又は2に記載のポリイミド。
  4. 脂環式テトラカルボン酸二無水物又はフッ素原子含有テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリイミド。
  5. 前記カルボキシル基含有芳香族ジアミン残基に基づく酸価が10〜150mg−KOH/gである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリイミド。
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