JP2018112043A - 橋台背面側の安全設備及び当該安全設備の施工方法 - Google Patents

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忠昭 宮下
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雅史 佐藤
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浩 足立
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Abstract

【課題】河川の増水、氾濫、または流木による河川断面の閉塞などによって橋台背面の盛土が洗堀されたとしても、車両の落下を防ぐことを可能にする橋台背面における安全設備を提供する。
【解決手段】
橋台背面側の道路の舗装の下に、道路の走行方向に踏掛版部及び土工部にわたって延伸敷設された安全装置を備えた安全設備であって、安全装置は鋼製又は化学繊維製の複数のケーブルを連結して格子状に張り渡すことにより形成されており、安全装置の道路の走行方向の一方の端部は橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットにアンカー固定されており、安全装置のケーブル連結部は固定金具又は間隔保持材により緊結されている安全設備。
【選択図】図2

Description

本発明は、想定を超える豪雨の際に、河川の増水、氾濫、または流木による河川断面の閉塞などによって、橋台背面の洗堀が発生して土砂が流出した際に、道路の陥没や崩落を生じたとしても、走行車両の落下による事故を防止するための安全設備に関する。また、本発明はそのような安全設備の施工方法に関する。
従来、橋梁の安全対策として、種々の橋桁落下防止装置が開発されてきた。
特開昭57−133907号公報には、支承部にダンパー機能を備えた高強度線材定着具を用い、上部構造と下部構造と連結拘束する技術や、橋梁の上部構造において互いに隣接する径間の桁やパラペット等のコンクリート部材を鋼材で連結する技術が記載されている。
実用新案第3027669号公報には炭素繊維クロスを多数枚重ね合わせた橋桁落下防止装置を橋桁のウエブの外側面に接着し、第2接着部を接着剤で他方の橋桁のウエブの外側面に接着する技術が記載されている。
車両等の荷重による負荷が大きく、クラックが発生しやすいコンクリート橋梁下面を強化する技術も開発されてきた。
特開平8−338005号公報には、コンクリート橋梁下面に固定具によって補強用網鉄筋を固定した後、同網鉄筋を被覆する被覆層を形成するコンクリート橋梁の補強方法が記載されている。
特開2004−60359号公報には、コンクリート構造物の表面に金網や、ガラス繊維や合成繊維のシートを展張固定することで、コンクリート片が直接剥離落下する事故の防止が図られてきたことが記載されている。
橋台等の構造物に隣接した盛土部が沈下すると、構造物と盛土部との境界部に段差を生じたり舗装道路の路面にひび割れを生じたりすることから、これを防止する技術も知られている。特開2013−224564号公報には、一枚もので連続した折返挟持シートと、折返挟持シートを縫合する縫合体と、構造物の背面に連結したジョイント装置を使用して、構造物の背面盛土に補強土支持層を構築する技術が開示されている。
更には、橋台背面が洗堀されるのを防止するため、橋桁を支持する橋台の洗掘防止構造も提案されている(特開2016−037840号公報)。
特開昭57−133907号公報 実用新案第3027669号公報 特開平8−338005号公報 特開2004−60359号公報 特開2013−224564号公報 特開2016−037840号公報
一般に、河川に架けられる橋梁の場合、河川の両岸に護岸が設置され、河川水による道路の浸食を防止する対策が施されている。しかし、近年では、台風や豪雨の影響により、想定を超える流量の水が河川を流下した結果、橋台背面の洗堀により土砂が流出し、道路の陥没や崩落が発生している。また、崩落した道路に走行車両が落下し、死亡事故が発生している。しかしながら、橋梁の安全対策は橋桁落下防止を中心とするものであり、想定を超える洪水に対する洗掘対策に関しては未だ十分な技術開発がなされていないのが現状である。
特開2013−224564号公報には構造物および盛土部の境界部における段差防止作用を高める補強土支持層が開示されているが、構造物および盛土部の境界部における段差防止作用を高めることが目的であり、橋台背面の盛土そのものが洗掘により流出してしまう場合に備えた対策がなされているとは言い難い。
橋台の洗掘防止に関しても検討がなされているが、特開2016−037840号公報に記載されている洗掘防止構造は、橋桁を挟んで打設された一対の反力杭と、複数の直線形鋼矢板を連結して前記橋台の河川側を囲むように打設すると共に両端に配置された直線形鋼矢板を前記一対の反力杭にそれぞれ連結してなる直線形鋼矢板壁とを備え、該直線形鋼矢板壁で囲まれた領域に充填材を充填してなるものであり、構造が大がかりであり、施工コストも高額となることが予想される。また、特開2016−037840号公報に記載されている洗掘防止構造によっても、想定を超える豪雨の際に、洗掘が発生する可能性は否定できない。そのため、今後は河川断面の拡大や橋梁をより長く構築することが必要であるものの、全て実施するためには相当な費用と年数を要する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、河川の増水、氾濫、または流木による河川断面の閉塞などによって橋台背面の盛土が洗堀されたとしても、車両の落下を防ぐことを可能にする橋台背面における安全設備を提供することを課題とする。また、本発明はそのような安全設備の施工方法を提供することを課題とする。
図1には、本発明に係る安全設備の概念図が記載されている。橋台背面側の道路の舗装の下に、ケーブルを格子状に連結することで形成された安全装置を道路の走行方向に延伸敷設する。橋台背面が洗堀されて道路下層の土砂が消失しても、道路内に埋め込まれた安全装置が舗装を支えることによって道路の陥落を防止するので、走行車両の落下による事故を防止することが可能となる。本発明は当該基本コンセプトに基づいて完成したものであり、以下によって例示的に特定される。
本発明は一側面において、橋台背面側の道路の舗装の下に、道路の走行方向に踏掛版部及び土工部にわたって延伸敷設された安全装置を備えた安全設備であって、安全装置は鋼製又は化学繊維製の複数のケーブルを連結して格子状に張り渡すことにより形成されており、安全装置の道路の走行方向の一方の端部は橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットにアンカー固定されており、安全装置のケーブル連結部は固定金具又は間隔保持材により緊結されている安全設備である。
本発明に係る安全設備の一実施形態において、ケーブル連結部はケーブル同士が交差している箇所を含む。
本発明に係る安全設備の別の一実施形態において、安全装置は踏掛版部においては舗装と踏掛版の間に敷設される。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、安全装置は土工部においては舗装と下層路盤の間に敷設される。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、安全装置は道路の走行方向に10m以上敷設される。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、安全装置の道路の走行方向の他方の端部はコンクリート基礎、杭、擁壁又は岩盤に固定されている。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、安全装置を構成するケーブル同士の交差部が土中アンカーに固定されている。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、安全装置は下層路盤より上のセメント層又は保護層内に埋設される。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、安全装置は道路の走行方向に延びた複数のケーブルの列と、道路の幅員方向に延びた複数のケーブルの列を備えており、道路の走行方向に延びた複数のケーブルの列のうち最も外側にある二本のケーブルのそれぞれの一端と、道路の幅員方向に延びた複数のケーブルの列のうち最も橋台背面に近い一本のケーブルの両端がそれぞれ翼壁にアンカー固定されている。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、道路の走行方向に延びた複数のケーブルの列のうち最も外側にある二本のケーブルが、12mm〜25mmの直径を有する鋼製又は化学繊維製のケーブルであり、且つ、これら二本のケーブルが、安全装置を構成するその他すべてのケーブルに対して10%以上太い。
本発明に係る安全設備の更に別の一実施形態において、安全装置の上に金網が敷設されている。
本発明は別の一側面において、
新設の橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットにケーブルを固定するアンカーを埋め込む工程と、
橋台背面側に踏掛版を施工し、安全装置敷設面まで道路の層を施工した後に、安全装置を構成する複数のケーブルを踏掛版部及び土工部にわたって格子状に敷設する工程と、
安全装置の道路の走行方向の一方の端部を構成するケーブルの先端を橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットに埋め込まれた前記アンカーに連結する工程と、
ケーブル連結部を固定金具又は間隔保持材により緊結する工程と、
安全装置敷設面よりも上の道路の層を施工する工程と、
を含む本発明に係る安全設備の施工方法である。
本発明は更に別の一側面において、
既設の橋台背面側の道路の舗装を除去して安全装置敷設面を露出する工程と、
橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットにケーブルを固定するアンカーを埋め込む工程と、
橋台背面側に、安全装置を構成する複数のケーブルを踏掛版部及び土工部にわたって格子状に敷設する工程と、
安全装置の長手方向の一方の端部を構成するケーブルの先端を橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットに埋め込まれた前記アンカーに連結する工程と、
ケーブル連結部を固定金具又は間隔保持材により緊結する工程と、
安全装置敷設面よりも上の道路の層を施工する工程と、
を含む本発明に係る安全設備の施工方法である。
本発明によれば、河川の増水、氾濫、または流木による河川断面の閉塞などによって橋台背面の盛土が洗堀されたとしても、車両の落下を防ぐことが可能となるので、人的被害の未然防止に大きく貢献できると考えられる。本発明に係る安全設備は橋梁の既設及び新設を問わず施工可能であり、施工コストも低廉で済むため、橋梁の安全対策として全国的に普及することが期待される。
本発明に係る安全設備の概念図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、全体構造を説明する斜視図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、安全装置を構成するケーブルの橋台へのアンカー固定箇所及びケーブル同士の連結箇所を説明する斜視図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、踏掛版付近の断面構造を説明する図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、踏掛版部での道路の層内におけるケーブルの敷設箇所を説明する構造図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、安全装置を構成するケーブルの橋台翼壁へのアンカー固定方法を説明する平面図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、安全装置を構成する縁部のケーブルと内部のケーブルを連結する方法を説明する平面図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、安全装置を構成する内部のケーブル同士を連結する方法を説明する平面図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、安全装置を構成するケーブルの土工部における端部をコンクリートアンカーに固定する方法を説明する斜視図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、安全装置を構成するケーブルの土工部における端部を土中アンカーに固定する方法を説明する斜視図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、安全装置を構成するケーブルの土工部における端部を固定する方法を断面方向から説明する図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、ケーブルを土工部の上層路盤内に埋設する場合の道路の層の構造図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、ケーブルを土工部の下層路盤内に埋設敷設する場合の道路の層の構造図である。 本発明に係る安全設備の一実施形態について、ケーブルを土工部のセメント保護層内に埋設する場合の道路の層の構造図である。 曲線道路に安全装置を敷設する場合の安全装置の配置例を示す平面図である。 斜角を有する橋梁に安全装置を敷設する場合の安全装置の配置例を示す平面図である。 斜角を有する橋梁に安全装置を敷設する場合の安全装置の別の配置例を示す平面図である。
以下、本発明に係る安全設備の実施形態について、図面を参照しながら詳述するが、本発明はこれらの実施形態に限定されることはない。
(1.安全設備)
図2には、本発明に係る安全設備100の一実施形態について、全体構造を説明する斜視図が示されている。図3には、本発明に係る安全設備100の一実施形態について、安全装置101を構成するケーブル102の橋台へのアンカー固定箇所及びケーブル102同士の連結箇所を説明する斜視図が示されている。
安全設備100は、橋台背面側の道路の舗装106の下に、道路の走行方向に踏掛版部及び土工部にわたって延伸敷設された安全装置101を備える。踏掛版104は洗掘時に崩落する恐れがあるため、土工部まで安全装置101を敷設することが必要となる。安全装置101は鋼製又は化学繊維製の複数のケーブル102を連結して格子状に張り渡すことにより形成される。典型的な実施形態においては、安全装置101は道路の走行方向に延びた複数のケーブル102の列と、道路の幅員方向に延びた複数のケーブル102の列を備え、これらを道路の走行方向及び道路の幅員方向に張り渡すことで形成可能である。また、安全設備100の全体平面形状は矩形状とするのが一般的であり、その場合、道路の走行方向に延びた最も外側の二本のケーブル102aと、道路の幅員方向に延びた最も外側の二本のケーブル102bが安全装置101の四辺を構成する。
ケーブル102は化学繊維シート等よりも引張強度が高い材料を使用することにより安全装置101の構造強度を確保でき、また、アンカーへの固定強度も高くすることが可能である。使用するケーブル102の強度はケーブル本数を減じられる高い強度とするという理由により、平均引張強さ1000N/mm以上であることが好ましく、1320N/mm以上であることがより好ましく、1470N/mm以上であることが更により好ましい。ここで、平均引張強さは、鋼製ケーブル及び化学繊維製ケーブルの何れにおいても、JIS G3525:2013に従って測定した値を指す。
ケーブル102に好適に使用することのできる材料としては、車両等の落下エネルギーを弾性的に吸収でき、且つ、破断せずに受け止められる材料であることが好ましいことから、本発明では鋼製又は化学繊維製のケーブル102を使用する。好ましいケーブル102の材料としては、鋼製ストランドロープ、アラミドストランドロープ等が挙げられる。使用するケーブル102は、車両等の落下エネルギーを弾性的に吸収でき、且つ、破断せずに受け止められるという観点からは、12mm〜25mmの直径を有するケーブルであることが好ましい。
好ましい実施形態においては、道路の走行方向に延びた複数のケーブルの列のうち最も外側にある二本のケーブルが、12mm〜25mmの直径を有する鋼製又は化学繊維製のケーブルであり、且つ、これら二本のケーブルが、安全装置を構成するその他すべてのケーブルに対して10%以上、望ましくは12%以上太い。これによって、落下した車両をハンモック状に包み込み支持することが可能となる。
ケーブル102同士の連結方法に特段の制限はないが、固定金具105を用いて緊結する方法が採用可能である。図7には、安全装置101を構成する縁部のケーブル102a、102bと内部を形成するケーブル102cを連結する方法が例示されている。図7においては、クリップ止めによる連結方法が示されているが、ソケット止め、くさび止め、アイスプライス、シングルロック、トヨロック等の他の連結方法も採用可能である。ケーブル102c同士の交差部においても、ケーブル102cのずれを防止して格子形状を保持するために、固定金具105又は間隔保持材で緊結することが好ましい。図8には交差するケーブル102c同士を固定金具105でボルト止めし、緊結する方法が例示されている。
ケーブル102が構成する格子形状(ケーブル間の各開口部の形状)は、特段の制限はないが、施工性及び構造性の観点から、道路の走行方向及び道路の幅員方向に張り渡された四角形を基本構造として有するのがよい。更に、補強目的で対角線上に斜めのケーブル102を追加することも可能である。この場合、格子形状は四角形の基本構造に三角形の構造が加味された形状になる。また、各ケーブル102は、安全装置101の道路の走行方向及び道路の幅員方向の何れの方向においても、一端から他端の全長にわたっていてもよいが、複数のケーブル102を直列に連結することにより全長を構成してもよい。特に、内部を形成するケーブル102cを分割しておくことで、必要箇所のみを取り外すことができるため、半車線施工や地下埋設物の維持管理に対応できるという利点が得られる。
格子の各開口部の寸法は、安全装置101にかかる荷重(舗装や車両の荷重)と安全装置101の道路方向長さ(安全装置が宙づりになる距離)から計算して適宜設定すればよいが、例示的には、各開口部の面積を2500〜20000cm程度にすることができる。また、ケーブル102間の各開口部には、車両落下後に被災者が避難でき、または救助が容易に行えるよう、ケーブル102間の開口部よりも網目の小さな金網116を安全装置101の上に設置することが好ましい(図3参照)。
安全装置101の道路の走行方向の一方の端部は橋台背面側の翼壁108及び/又はパラペット107にアンカー固定することができる(図3参照)。橋台背面側の翼壁108及び/又はパラペット107は洗堀によって崩壊されにくく、また、一般にコンクリートで構成されているので強度も高く、安全装置101を固定する構造物として好適である。但し、パラペット107に固定する場合は、(1)舗装上面から100mm程度の位置にアンカーを設置するためかぶりが少ない、(2)走行路面下にアンカーとケーブルを結ぶ金具が入り、車両走行によりこの部分の舗装劣化が懸念されるといった問題が存在するため、そのような問題のない橋台背面側の翼壁108への固定が好ましい。なお、踏掛版104は洗掘によって崩壊する可能性があるため、安全装置101を踏掛版104に固定すると踏掛版104の崩落時に一緒に崩落するおそれがある。このため、安全装置101は踏掛版104に固定しないことが好ましい。
従って、好ましい実施形態においては、道路の走行方向に延びた複数のケーブル102の列のうち最も外側にある二本ケーブル102aのそれぞれの橋台背面に近い方の一端と、道路の幅員方向に延びた複数のケーブル102の列のうち最も橋台背面に近い一本のケーブル102bの両端をそれぞれ翼壁108の内側面にアンカー固定することができる。
図6には、安全装置101を構成するケーブル102の橋台翼壁108へのアンカー固定方法が例示されており、ここでは、道路の走行方向に延びたケーブル102a及び道路の幅員方向に延びたケーブル102bのそれぞれの先端が橋台翼壁108に設置されたコンクリートアンカー109に固定されている様子が示されている。
安全装置101を構成するケーブル102は土工部において、固定強度を補強するために土中アンカー118に固定することができる。ケーブル102cに発生する水平力を土中アンカーに伝達するという理由により、ケーブル102c同士の交差部において土中アンカー118に固定することが好ましい。
安全装置101は、橋台背面から道路の走行方向に、洗掘によって道路が崩落する想定範囲(以下、「崩落想定範囲」という。)よりも長く延伸していることが望ましい。崩落想定範囲に余裕長を加えることで安全装置101が崩落する可能性を著しく低減することができる。道路の崩落想定範囲は被災事例を調査することで想定可能であるが、例示的には安全装置101は道路の走行方向に5m以上敷設され、典型的には10m以上敷設される。安全装置101の道路の走行方向への長さに特段の上限はないが、コストとの兼ね合いから100m以下が一般的であり、50m以下が典型的である。
安全装置101の道路の走行方向の土工部側の端部は、洗掘によって道路が崩落する想定範囲(崩壊想定範囲)を超えた地点においてコンクリート基礎110、杭、擁壁又は岩盤その他のアンカーに固定することが強度の観点から好ましいが(図9及び図11の(1)参照)、コンクリート基礎110に固定しなくても安全装置101が土工部において道路の走行方向に崩落想定範囲を超えて十分に長く、例えば崩落想定範囲を超えて5m以上、好ましくは10m以上延伸しているときは土中に埋設したケーブル102と土の間の摩擦力によって十分な強度で固定可能である(図10及び図11の(3)参照)。しかしながら、安全を考慮すれば、安全装置101は土工部において道路の走行方向に崩落想定範囲を超えて十分に長く延伸していると共に土工部側の端部を土中に設置したコンクリート基礎110に固定することがより好ましい(図11の(2))。
安全装置101は一対の翼壁108間に敷設可能な範囲で、道路の幅員方向に車両を受け止めることができるだけの十分な長さを有することが望ましい。具体的には、安全装置101は車道幅員以上の長さを有することが好ましく、車道幅員と路肩の合計以上長さを有することがより好ましい。
安全装置101を構成するケーブル102は、踏掛版部及び土工部のいずれにおいても道路の舗装106の下に埋設される。舗装106は基層及び表層で構成されるところ、舗装106内に安全装置101を埋設しないこととしたのは舗装自体の性能を確保し車両走行による舗装の変状を防止するという理由による。踏掛版部においては踏掛版104が崩落したときにでも一緒に落下するのを避けるために、図4に示すように、ケーブル102を踏掛版104よりも上に敷設することが望ましい。従って、ケーブル102は下層路盤よりも上に敷設されるのが典型的である。例示的には、ケーブル102は踏掛版部において上層路盤内に埋設することができる(図5参照)。また、土工部においては、ケーブル102は下層路盤よりも上の上層路盤内に埋設してもよいし(図12−1参照)、下層路盤内に埋設してもよいし(図12−2参照)、また、土工部においては、下層路盤よりも上に新たに保護層を設置してそこにケーブル102を埋設してもよい。保護層はセメントモルタル等のセメント製とすることができる。保護層にケーブル102を埋設する場合の道路構造の例を図12−3に示す。
橋台背面側の道路が直線状であるか曲線状であるかに関わらず、ケーブルに引張力が作用した場合に伸びを抑えるという理由により、安全装置101を構成する各ケーブル102は直線上に敷設することが好ましい。道路が曲線状の場合、内周側において、ケーブル102と橋台が接するのを防止するため、偏向金具112を設置することが好ましい(図13参照)。斜角を有する橋梁においては、安全装置101を斜角方向に傾けて(すなわち、路面に平行となるように)設置することができる(図14−1、図14−2参照)。図14−1に示す例では、ケーブル102が構成する格子形状が長方形であり、図14−2に示す例では、ケーブル102が構成する格子形状が平行四辺形である。道路方向に走行する車両を効果的に捕捉するには、ケーブル102に作用する力を近接するケーブルに最短経路で伝達するのが望ましく、安全装置の構造上の観点からは、図14−1に示すように、格子形状が長方形であることが好ましい。
(2.安全設備の施工方法)
本発明に係る安全設備100は橋梁を新設する際のみならず、既設の橋梁に対しても施工可能である。
橋梁を新設する場合は以下の工程を実施することにより安全設備100が施工可能である。
橋台背面側の翼壁108及び/又はパラペット107にケーブル102を固定するアンカーを埋め込む。このアンカーは先施工でも後施工でも可能である。
また、橋台背面側に踏掛版104を施工し、安全装置敷設面まで道路の層114を施工した後に、安全装置を構成する複数のケーブル102を踏掛版部及び土工部にわたって格子状に敷設する。
安全装置の道路の走行方向の一方の端部を構成するケーブル102の先端を橋台背面側の翼壁108及び/又はパラペット107に埋め込まれた前記アンカーに連結する。
ケーブル連結部を固定金具105又は間隔保持材により緊結する。
必要に応じて、ケーブル102を土中アンカー118に固定する。
必要に応じて、土工部側の端部を土中に設置したコンクリート基礎110に固定する。
上記すべての工程が終了後、安全装置敷設面よりも上の道路の層114(例えば、上層路盤、基層アスファルト及び表層アスファルト)を施工する工程を実施する。
既設の橋梁に対して施工する場合は以下の工程を実施することにより安全設備が施工可能である。
既設の橋台背面側の道路の舗装106を除去して安全装置敷設面を露出する。
橋台背面側の翼壁108及び/又はパラペット107にケーブル102を固定するアンカーを埋め込む。
橋台背面側に、安全装置を構成する複数のケーブル102を踏掛版部及び土工部にわたって格子状に敷設する。
安全装置の長手方向の一方の端部を構成するケーブル102の先端を橋台背面側の翼壁108及び/又はパラペット107に埋め込まれた前記アンカーに連結する。
ケーブル連結部を固定金具105又は間隔保持材により緊結する。
必要に応じて、ケーブル102を土中アンカー118に固定する。
必要に応じて、土工部側の端部を土中に設置したコンクリート基礎110に固定する。
上記すべての工程が終了後、安全装置敷設面よりも上の道路の層114(例えば、上層路盤、基層アスファルト及び表層アスファルト)を施工する。
(3.その他)
本発明に係る安全設備は、河川が増水し橋台背面が洗掘を受けた後、走行車両が誤って進入した場合に最後の手段として機能する安全設備である。したがって、道路面に変状が生じた区域への進入を予め防止する対策との併用を行うことによって、より安全な設備として機能する。具体的には、河川の増水を感知し注意喚起するパトロールライトやサイレン、及び/又は、路面陥没を感知して作動する交通遮断器との併用を行うこともひとつの方法である。
100 安全設備
101 安全装置
102 安全装置を構成するケーブル
102a 道路の走行方向に伸びた縁部ケーブル
102b 道路の幅員方向に伸びた縁部ケーブル
102c 内部ケーブル
104 踏掛版
105 固定金具
106 舗装
107 パラペット
108 翼壁
109 コンクリートアンカー
110 コンクリート基礎
112 偏向金具
114 道路の層(盛土)
116 金網
118 土中アンカー

Claims (13)

  1. 橋台背面側の道路の舗装の下に、道路の走行方向に踏掛版部及び土工部にわたって延伸敷設された安全装置を備えた安全設備であって、安全装置は鋼製又は化学繊維製の複数のケーブルを連結して格子状に張り渡すことにより形成されており、安全装置の道路の走行方向の一方の端部は橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットにアンカー固定されており、安全装置のケーブル連結部は固定金具又は間隔保持材により緊結されている安全設備。
  2. ケーブル連結部はケーブル同士が交差している箇所を含む請求項1に記載の安全設備。
  3. 安全装置は踏掛版部においては舗装と踏掛版の間に敷設される請求項1又は2に記載の安全設備。
  4. 安全装置は土工部においては舗装と下層路盤の間に敷設される請求項1〜3の何れか一項に記載の安全設備。
  5. 安全装置は道路の走行方向に10m以上敷設される請求項1〜4の何れか一項に記載の安全設備。
  6. 安全装置の道路の走行方向の他方の端部はコンクリート基礎、杭、擁壁又は岩盤に固定されている請求項1〜5の何れか一項に記載の安全設備。
  7. 安全装置を構成するケーブル同士の交差部が土中アンカーに固定されている請求項1〜6の何れか一項に記載の安全設備。
  8. 安全装置は下層路盤より上のセメント層又は保護層内に埋設される請求項1〜7の何れか一項に記載の安全設備。
  9. 安全装置は道路の走行方向に延びた複数のケーブルの列と、道路の幅員方向に延びた複数のケーブルの列を備えており、道路の走行方向に延びた複数のケーブルの列のうち最も外側にある二本のケーブルのそれぞれの一端と、道路の幅員方向に延びた複数のケーブルの列のうち最も橋台背面に近い一本のケーブルの両端がそれぞれ翼壁にアンカー固定されている請求項1〜8の何れか一項に記載の安全設備。
  10. 道路の走行方向に延びた複数のケーブルの列のうち最も外側にある二本のケーブルが、12mm〜25mmの直径を有する鋼製又は化学繊維製のケーブルであり、且つ、これら二本のケーブルが、安全装置を構成するその他すべてのケーブルに対して10%以上太い請求項9に記載の安全設備。
  11. 安全装置の上に金網が敷設されている請求項1〜10の何れか一項に記載の安全設備。
  12. 新設の橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットにケーブルを固定するアンカーを埋め込む工程と、
    橋台背面側に踏掛版を施工し、安全装置敷設面まで道路の層を施工した後に、安全装置を構成する複数のケーブルを踏掛版部及び土工部にわたって格子状に敷設する工程と、
    安全装置の道路の走行方向の一方の端部を構成するケーブルの先端を橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットに埋め込まれた前記アンカーに連結する工程と、
    ケーブル連結部を固定金具又は間隔保持材により緊結する工程と、
    安全装置敷設面よりも上の道路の層を施工する工程と、
    を含む請求項1〜11の何れか一項に記載の安全設備の施工方法。
  13. 既設の橋台背面側の道路の舗装を除去して安全装置敷設面を露出する工程と、
    橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットにケーブルを固定するアンカーを埋め込む工程と、
    橋台背面側に、安全装置を構成する複数のケーブルを踏掛版部及び土工部にわたって格子状に敷設する工程と、
    安全装置の長手方向の一方の端部を構成するケーブルの先端を橋台背面側の翼壁及び/又はパラペットに埋め込まれた前記アンカーに連結する工程と、
    ケーブル連結部を固定金具又は間隔保持材により緊結する工程と、
    安全装置敷設面よりも上の道路の層を施工する工程と、
    を含む請求項1〜11の何れか一項に記載の安全設備の施工方法。
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