JP2018111896A - セルロースナノファイバー分散液の製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少ないパス数でセルロースナノファイバー(CNF)分散液中のCNFの平均繊維幅及び平均繊維長をより短くすることができ、ディスプレイ用等の透明シートにも用いることのできる透明度の高いCNF分散液の製造方法の提供。【解決手段】水混合液にした多糖に対し、50〜400MPa程度の高圧水を衝突させ、解繊処理して得られるCNF分散液の製造方法であって、前記解繊工程の前に、α−セルロースの含量が60〜99%であるパルプに、2つ以上のカルボキシル基を有する化合物により、カルボキシル基を導入するカルボキシ基導入工程と、前記カルボキシル基導入工程後のパルプを洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後のパルプをアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程と、前記アルカリ処理工程後のパルプを洗浄する洗浄工程とを有する、透明性の高いCNF分散液の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、予め処理したパルプを解繊することで従来よりも透明性に優れ、微細化が可能となるセルロースナノファイバー分散液を製造することができる製造方法に関する。
セルロースは、天然で繊維形態として、植物、例えば、広葉樹や針葉樹などの木本植物、及び竹や葦などの草本植物、ホヤに代表される一部の動物、および酢酸菌に代表される一部の菌類等によって産生されることが知られている。このセルロース分子が繊維状に集合した構造を有するものをセルロースファイバーと呼ぶ。特に繊維幅が100nm以下でアスペクト比が100以上のセルロースファイバーは一般的にセルロースナノファイバー(CNF)と呼ばれ、軽量、高強度、低熱膨張率等の優れた性質を有する。
製紙の過程では、これらの繊維集合体である木材を化学パルプ化法の一つであるクラフト蒸解法に代表されるパルプ化法によって、マイクロサイズの繊維幅を有するパルプの状態にまで解繊し、これを原料に紙を製造している。このパルプの繊維幅は、原料によって異なるが、広葉樹を原料とした晒クラフトパルプで5−20μm、針葉樹を原料とした晒クラフトパルプで20−80μm、竹を原料とした晒クラフトパルプで5−20μm程度である。
前述のとおりこれらマイクロサイズの繊維幅を有するパルプは、CNFが水素結合に代表される相互作用によって強固に集合した繊維状の形態を有する単繊維の集合体であり、さらに解繊を進めることによってナノサイズの繊維幅を有するCNFを得ることができる。
CNFの調製方法は多々報告されているが、酸加水分解法やTEMPO触媒酸化法といった化学的方法と、グラインダー法や高圧ホモジナイザー法、水中対向衝突法といった物理的方法の2種類に大別される。
前記方法の一つである水中対向衝突法は、特許文献1にも開示されているように、水に懸濁したセルロース繊維をチャンバー(図1:107)内で相対する二つのノズル(図1:108)に導入し、これらのノズルから一点に向かって噴射、衝突させる手法である。この方法によれば、天然微結晶セルロース繊維(例えば、フナセル)の懸濁水を対向衝突させ、その表面をナノフィブリル化させて引き剥がし、キャリアーである水との親和性を向上させることによって、最終的には溶解に近い状態に至らせることが可能となる。
特開2005−270891
しかしながら、前記方法で得られたCNF分散液中には、平均繊維幅が数10〜数100nmのものが残り、白濁した状態であった。パス数を増加させても、繊維径の大きな繊維が残り完全に透明なCNF分散液を得ることができなかった。さらに、平均繊維長を所望のものに調製することができないという問題があった。
そこで、本願発明は、これらの従来技術における問題に鑑み、少ないパス数でCNF分散液中のCNFの平均繊維幅をより短くすることができ、ディスプレイ用等の透明シートにも用いることのできる透明度の高いCNF分散液の製造方法を提供することを目的とする。
また、本願発明の他の目的として、繊維長を短くすることが可能なため、所望の平均繊維長を有するCNF分散液の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明者らは、パルプ中の水酸基の一部をカルボキシル基に置換し、これにアルカリ処理工程を実施した後、水中対抗衝突法等を用いて解繊させることにより少ないパス数で、透明性の高いCNF分散液が得られることを見いだし本発明に至ったものである。
さらに、本発明者らは、パルプ中の含水率及びカルボキシル基を有する化合物との反応時間又は反応温度によって、CNF分散液中のCNFの平均繊維長を制御することができることを見いだし本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、水混合液にした多糖に対し、50〜400MPa程度の高圧水を衝突させ、解繊処理して得られるCNF分散液の製造方法であって、前記解繊工程の前に、α−セルロースの含量が60〜99%であるパルプに、2つ以上のカルボキシル基を有する化合物により、カルボキシル基を導入するカルボキシ基導入工程と、前記カルボキシル基導入工程後のパルプを洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後のパルプをアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程と、前記アルカリ処理工程後のパルプを洗浄する洗浄工程とを有することを特徴とする。
本発明は、水中対抗衝突法を用いてCNFを従来よりも微細化することができ、水中に安定に分散し、透明度の高いCNF分散液を製造することができる。
CNFの製造(解繊処理)装置の概念図である。 他のCNFの製造(解繊処理)装置の概念図である。 図2におけるCNFの製造(解繊処理)装置の一部を拡大して示す概念図である。 実施例1及び比較例1についての写真である。 ACC処理後(30パス)の実施例1についてのSEM画像である。 実施例1についてのTEM画像である。 実施例2及び比較例2についての写真である。 ACC処理後(30パス)の実施例2についてのSEM画像である。 実施例3及び比較例3についての写真である。 ACC処理後(30パス)の実施例3についてのSEM画像である。
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
−パルプ−
本発明において、α−セルロース含有率60%〜99質量%のパルプを用いるのが好ましい。α−セルロース含有率60質量%未満の純度の場合はセルロースの持つ高強度・耐熱性・高剛性・高耐衝撃性・高酸素バリア性などの特性を十分に引き出せないほか、着色による品質の劣化や熱によるガスの発生などの問題を生じる。従ってα−セルロース含有率は60質量%以上であることが好ましい。一方、99質量%以上のものを用いた場合、繊維同士が水素結合により強く結びついているため、繊維をナノレベルに解繊することが困難になる。
パルプとしては、広葉樹、針葉樹、竹由来のパルプを使用することができる。また、パルプの形状は、特には制限されないが、厚いマット状のパルプが好ましく、シート状のパルプがより好ましい。オンマシンにおいて、シート状のパルプを巻いてロール状としたパルプから延出されたパルプシートに対し、後述する工程又は処理を実施することができるからである。ここで、オンマシンにおいて、処理を実施するとは、ロール状のパルプに対して、裁断、裁断したパルプの懸濁液の調製又はこれらの乾燥処理等の物理的な処理をすることなく、化学修飾等の処理を行うことをいう。また、シート状のパルプとは、厚み約100〜5000μmであるシート状のパルプのことをいう。
本発明において、使用するパルプの含水率は、10%以上90%以下である事が好ましい。パルプの含水率が10%未満である場合には、カルボキシル基を有する化合物との反応効率が低いためである。また、90%を超えると、得られるCNFが少なく収率が低くなるからである。
−カルボキシル基を有する化合物−
本願発明において使用可能な、カルボキシル基を有する化合物は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸などのカルボン酸である。さらに、カルボン酸を脱水縮合させたカルボン酸無水物、これらのカルボン酸の水和物、又は、金属塩等も本願発明においては、カルボキシル基を有する化合物として使用することができる。これらから選択される化合物を1種類のみ用いてもよいし、少なくとも2種類の化合物を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物によって、α−セルロース分子が有するヒドロキシル基の一部をカルボキシ基に化学修飾する。これにより、セルロース繊維間の結合力が弱まり、解繊性が向上する。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、テレフタル酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、酒石酸、イタコン酸、シトラコン酸などがある。また、これらの酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などがある。
トリカルボン酸としては、クエン酸(無水物、水和物)、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム)、アコニット酸などを使用することができる。また、テトラカルボン酸としては、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4,−ブタンテトラカルボン酸などを使用することができる。
これらの化合物のうち、工業的に利用が可能であり、融点の観点からは、無水マレイン酸がより好ましい。
パルプ中のα−セルロース固形分量に対するカルボキシル基を有する化合物の質量割合は、α−セルロース固形分量100質量部に対して、カルボキシル基を有する化合物が0.1〜1000質量部であることが好ましく、10〜500質量部であることがより好ましい。カルボン酸系化合物の割合が前記下限値以上であれば、CNFの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えても、収率向上には影響しない。
また、パルプの含水率に対して、カルボキシル基を有する化合物の質量割合を定めることもできる。具体的には、パルプの含水率が50%であった場合には、カルボキシル基を有する化合物が0.1〜500質量部の如くである。このときの、パルプの含水率とカルボキシル基を有する化合物の数値の組み合わせ及び後述する化学修飾に要する時間(反応時間)によって、最終的に得られるCNF分散液中のCNFの平均繊維長を制御することができる。このメカニズムの詳細は明らかではないが、パルプ中の水分量によって、パルプ繊維中のα−セルロースの水酸基に導入されるカルボキシル基を有する化合物の量が変わり、カルボキシル基が導入されたα−セルロースの量が変わることとなる。これにより、パルプ繊維上に導入されるカルボキシル基の間隔がパルプの含水率によって異なるものとなり、後述する解繊工程後に得られるCNFの平均繊維長が異なると推定される。
−化学修飾(カルボキシル基の導入)−
α−セルロース中にカルボキシル基を導入する方法(エステル化)としては、パルプ原料にカルボキシル基を有する化合物を乗せ、パルプ原料及びカルボキシル基を有する化合物全体に熱を加え、前記化合物を融解させ、パルプ原料に染み込ませる。このときの処理温度は、エステル化及びカルボキシル基を有する化合物の融点から、50℃以上250℃以下であることが好ましい。また、α−セルロースの熱分解の観点からは、300℃に以下にすることが好ましい。さらには、経済性の観点からは、80〜170℃にすると、より好ましい。
化学修飾に要する時間(反応時間)は、0.1〜3時間であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜2時間である。0.1時間よりも少ないと化学修飾に要する時間が短く、収率が悪くなってしまうからである。また、3時間よりも多くしても、収率向上には影響しないからである。
−洗浄工程−
パルプ原料をエステル化(以下、エステル化パルプという。)した後には、未反応のカルボキシル基を有する化合物を洗浄除去するため、エステル化パルプを純水や有機溶媒(例えば、アセトン等)により洗浄する洗浄工程を実施する。洗浄の方法としては、特には限定されないが、例えば、エステル化パルプを有機溶剤、純水の順で各数回ずつそれぞれの溶剤へ分散、ろ過を繰り返すことで洗浄を行う。このとき、濾液のpHは6以上9以下であることが好ましく、6.5以上8.0以下であることがより好ましく、7.0であることがさらに好ましい。濾液のpHが前記下限値以下であれば、未反応のカルボキシル基を有する化合物が残存している可能性がある。また、pHが9を超えていると、カルボキシル基を有する化合物との反応が未反応である可能性があるからである。
−アルカリ処理工程−
アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、前記洗浄工程を実施した後のエステル化パルプにアルカリ溶液を滴下する方法が挙げられる。より具体的には、アルカリ溶液をエステル化パルプ分散液中に滴下し、前記分散液のpHを9以上14以下とすることが好ましく、10以上14以下であることがより好ましく、11以上14以下であることがさらに好ましい。前記分散液のpHが前記下限値以上であれば、CNF分散液中のCNFの収率がより高くなる。しかし、pHが14を超えると、アルカリ溶液の取り扱い性が低下する。アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の温度は、0〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物若しくは有機アルカリ化合物を使用することができる。無機アルカリ化合物としては、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩、若しくはアルカリ金属のリン酸塩又はアルカリ土類金属のリン酸塩がある。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム等が有り、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムがある。アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウムがある。アルカリ土類金属の炭酸塩としては炭酸カルシウムなどがある。アルカリ金属のリン酸塩としてはリン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、又はリン酸水素2ナトリウムなどがある。アルカリ土類金属のリン酸塩としてはリン酸カルシウム、又はリン酸水素カルシウムなどがある。
有機アルカリ化合物としては、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物及びその水酸化物、炭酸塩、又はリン酸塩等が挙げられる。
アルカリ溶液における溶媒としては水又は有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、又はアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液及びアンモニア水溶液が特に好ましい。
前記アルカリ処理によって、セルロースに導入されたカルボン酸はカルボン酸塩となる。セルロースにカルボン酸塩を導入することによって、微細化が容易になり、解繊効率が著しく向上する。これは、電気的な反発力が強いためと推測される。
アルカリ処理後には、取り扱い性を向上させるために、解繊処理工程の前に、アルカリ処理セルロースを水や有機溶媒により洗浄することが好ましい。
−解繊処理−
解繊処理は、図1に示した水中対向衝突法を用いて行う。これは、水に懸濁したパルプをチャンバー(図1:107)内で相対する二つのノズル(図1:108a,108b)に導入し、これらのノズルから一点に向かって噴射、衝突させる手法である。図1に示される装置は液体循環型となっており、タンク(図1:109)、プランジャ(図1:110)、対向する二つのノズル(図4:108a,108b)、必要に応じて熱交換器(図1:111)を備え、水中に分散させた微粒子を二つのノズルに導入し高圧下で合い対するノズル(図1:108a,108b)から噴射して水中で対向衝突させる。
前記解繊処理を実施する前に、前処理装置を使用して解繊処理を実施してもよい(図2、図3)。また、その他の解繊方法として、かかる前処理装置を使用してもよい。前記前処理装置を使用した解繊処理は、0.5〜10質量%の水混合液にした多糖に対し、50〜400MPa程度の高圧水を衝突させて行う。これは例えば図2に示す製造装置1を用いて行うことができる。製造装置1は、一のチャンバー2に対して多糖スラリを供給可能に配置される第1の液状媒体供給経路であるところの多糖スラリ供給経路3と、例えば水である非多糖スラリを一のチャンバー2を介して循環させる第2の液状媒体供給経路4とよりなる。一のチャンバー2内には第2の液状媒体供給経路4の非多糖スラリを多糖スラリ供給経路3からの多糖スラリ供給方向と交差する方向にオリフィス噴射するオリフィス噴射部5を備える。多糖スラリ供給経路3は、多糖スラリを一のチャンバー2を介して循環可能にされる。
多糖スラリ供給経路3と第2の液状媒体供給経路4とは一のチャンバー2内に相互の交差部6を有する。
多糖スラリ供給経路3は多糖スラリ供給部であり多糖スラリを貯留するタンク7、ポンプ8を循環路9に配置してなり、一方、第2の液状媒体供給経路4はタンク10、ポンプ11、熱交換器12、プランジャ13を循環路である液状媒体供給経路4に配置してなる。
なお非多糖スラリは、例えば水であり、当初タンク10に収納され、その後セルロースナノ繊維の製造装置1の作動に伴い交差部6を通過してタンク10に収納されたナノ微細化された多糖を操業の度合いに応じた濃度で含むことになった状態のものをも、包括的に指称する。
図3に示すようにチャンバー2を貫通する態様で多糖スラリ供給経路3の循環路9が配置され、これと交差する方向に非多糖スラリをオリフィス噴射して循環路9を貫通させることができるように第2の液状媒体供給経路4のプランジャ13に接続されるオリフィス噴射部5のオリフィス噴射口14がチャンバー2内側において開口する。チャンバー2のオリフィス噴射口14と対向する位置にチャンバー2の排出口15が設けられ、このチャンバー2の排出口15に第2の液状媒体供給経路4の循環路が接続されて、第2の液状媒体供給経路4が構成される。
一方、多糖スラリ供給経路3の循環路9は例えばビニルホース、ゴムホース、アルミパイプ等を用いて形成され、その循環路9のチャンバー2への入り側にはチャンバー2方向にのみ開弁される一方向弁16が取りつけられる。さらに循環路9のチャンバー2からの出側にはチャンバー2からの排出方向にのみ開弁される一方向弁17が取りつけられる。加えてチャンバー2と一方向弁17の間の循環路9にはエア吸入弁18が取りつけられ、このエア吸入弁18は外部から循環路9へエアを吸入する方向にのみ開弁される。
以上のセルロースナノ繊維の製造装置によれば以下のようにしてセルロースナノ繊維が製造される。
非多糖スラリーをチャンバー2を介して第2の液状媒体供給経路4を循環させる。具体的にはポンプ11を用いてタンク10内の非多糖スラリを熱交換器12、プランジャ13を通過させて液状媒体供給経路4内を循環させる。一方、多糖スラリーをチャンバー2を介して多糖スラリ供給経路3内を循環させる。具体的にはポンプ8を用いてタンク7内の多糖スラリをビニルホース、ゴムホース等を用いて形成された循環路9内を循環させる。
これにより、多糖スラリ供給経路3内を循環してチャンバー2内を流通する多糖スラリに対して第2の液状媒体供給経路4を循環する非多糖スラリがオリフィス噴射される。具体的にはプランジャ13に接続されるオリフィス噴射口14にプランジャ13から高圧水が供給され、これがオリフィス噴射口14から循環路9に向けて50〜400MPa程度の高圧でオリフィス噴射される。
その結果、例えばビニルホース、ゴムホース、アルミパイプ等を用いて形成された循環路9に予め形成された貫通孔26a、bを通過して、循環路9と交差する方向に循環路9内側を通過した非多糖スラリが循環路9内を循環する多糖スラリを巻き込みながらチャンバー2の排出口15に向けて排出され、第2の液状媒体供給経路4に流入する。これによって、非多糖スラリが第2の液状媒体供給経路4内を再度循環する。
以上のプロセスを反復する過程で多糖スラリ供給経路3内を循環してチャンバー2内を流通する多糖スラリ及び第2の液状媒体供給経路4を循環する非多糖スラリ中の多糖が徐々に解繊されて、用途に応じた解繊度合いの均一性の高いセルロースナノ繊維が得られる。
−カルボニル基の導入測定−
市販のフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、カルボキシル基がセルロースへ導入されたことを確認することができる。また、得られたIRスペクトル中のカルボニルのピーク(1700cm-1付近)強度により、カルボニル基の導入の程度を確認する。
−透明度−
本発明のCNF分散液は、CNFが水中に均一に分散しており、肉眼で観察した場合にその外観は、透明な液である。CNF分散液の透明度は、波長660nmの光の透過率を分光光度計で測定することにより表すことができる。本発明のCNF分散液の濃度0.1%における波長660nmにおける透過率は、95%以上、好ましくは98%以上である。
−平均繊維長の測定−
走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)を適宜選択し、繊維長を観察・測定する。繊維長は、得られた写真から20本以上を選択し、測定する。
−平均太さの測定−
平均繊維長の測定方法と同様に走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)を適宜選択し、CNFを観察・測定する。繊維長は、得られた写真から20本以上を選択し、測定する。
以下に、具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明は具体例に限定されるものではない。
(実施例1)
無水マレイン酸と広葉樹由来パルプ(含水率0、18、51%)を無水マレイン酸:セルロース重量=5:1の割合で混合し、120℃で所定の時間(0.5、1、2,3時間)加熱してエステル化反応させた。
所定時間経過後、アセトン、純水の順で各数回ずつそれぞれの溶剤へ分散、ろ過を繰り返すことで洗浄を行い、濾液のpHが7になるまで純水での洗浄を行った。洗浄終了後、1M NaOHを反応分散液へ添加してpH11とした。その後、pHが7になるまで純水で洗浄を繰り返した。
次いで、洗浄後の分散液を0.1%濃度に調製した無水マレイン酸化パルプの水分散液をノズル径120μm、噴射圧200MPaで、パス数1,3,5,10,15,20,25,30,60パスの条件で水中対抗衝突法(以下、ACC処理という)により解繊して、マレイン酸化CNF分散液を得た。
(比較例1)
0.1%濃度に調製した広葉樹由来パルプの分散液を実施例1と同条件のACC処理により解繊して、CNF分散液を得た。
実施例1のACC処理直後の広葉樹マレイン酸化CNF分散液及び比較液1のCNF分散液の様子を図4に示す。比較例1におけるCNF分散液とは異なり、1パスから本発明による効果が得られた。また、5パスにおいて無色透明の分散液となった。
また、ACC処理後(30パス)の広葉樹由来マレイン酸化CNF分散液を液体窒素を用いて凍結した後に凍結乾燥(tーBuOH)を行い、HITACHI製低真空SEM(TM3000 Miniscope)を用いて観察した。その結果を図5に示す。含水率18%における平均繊維長は、216.6nmであった。
さらに、実施例1の広葉樹由来マレイン酸化CNF分散液(30パス)の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。その結果をそれぞれ図6に示す。
(実施例2)
実施例1において、広葉樹由来パルプを針葉樹由来パルプ(含水率0,18、51%)に変更した以外は、全て同条件にして、CNF分散液を得た。
(比較例2)
0.1%濃度に調製した針葉樹由来パルプの分散液を比較例1と同条件でACC処理により解繊して、CNF分散液を得た。
実施例2のACC処理直後のCNF分散液及び比較例2のCNF分散液の様子を図7に示す。比較例2におけるCNF分散液とは異なり、1パスから本発明による効果が得られた。また、5パスにおいて無色透明の分散液となった。
また、ACC処理後のマレイン酸化CNF分散液を液体窒素を用いて凍結した後に凍結乾燥(t−BuOH)を行い、HITACHI製低真空SEM(TM3000 Miniscope)を用いて観察した。その結果を図8に示す。
(実施例3)
実施例1において、広葉樹由来パルプを竹由来パルプ(含水率0,18,51%)及び含水率46.8%の竹由来パルプシートに変更した以外は、全て同条件にして、CNF分散液を得た。
(比較例3)
0.1%濃度に調製した竹由来パルプの分散液を比較例1と同条件でACC処理により解繊して、CNF分散液を得た。
実施例3のACC処理直後の竹由来マレイン酸化CNF分散液及び比較例3のCNF分散液の様子を図9に示す。60パス後の竹由来マレイン酸化CNF分散液と竹由来CNF分散液を比較すると竹由来マレイン酸化CNF分散液の方が透明度が大幅に向上した。
また、ACC処理後のマレイン酸化CNF分散液を液体窒素を用いて凍結した後に凍結乾燥(t−BuOH)を行い、HITACHI製低真空SEM(TM3000 Miniscope)を用いて観察した。その結果を図10に示す。
[カルボキシル基導入工程後のカルボニル強度測定]
カルボキシル基導入工程後のエステル化パルプについて、FT-IRを用いて測定した。測定条件は、スキャン回数16回、波数範囲400〜4000cm-1とした。得られたIRスペクトルから竹パルプ含水率0%、反応時間1時間を基準として、各種パルプにおけるカルボニル強度の比率を算出した。結果を表1に示す。







反応時間3時間、含有率18%の広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、竹パルプのカルボキシル基の導入量は、反応時間3時間、竹パルプ含水率0%と比較して、約4倍のカルボキシル基が導入されたことがわかった。
また、竹由来パルプ含水率18%と含水率46.8%のIRスペクトル結果を比較するとカルボキシル基の導入量は、含水率46.8%の方が大きいことが分かった。

Claims (4)

  1. 水混合液にした多糖に対し、50〜400MPa程度の高圧水を衝突させ、解繊処理して得られるCNF分散液の製造方法であって、前記解繊処理の前に、
    α−セルロース含有率60〜99質量%であるパルプに、2つ以上のカルボキシル基を有する化合物により、カルボキシル基を導入するカルボキシル基導入工程と、
    前記カルボキシル基導入工程後のパルプを洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄工程後のパルプをアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程と、
    前記アルカリ処理工程後のパルプを洗浄する洗浄工程とを有することを特徴とするCNF分散液の製造方法。
  2. 請求項1に記載のパルプの含水量は、10〜90%であることを特徴とする請求項1に記載のCNF分散液の製造方法。
  3. 請求項1に記載のパルプは、シート形状又はマット形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のCNF分散液の製造方法
  4. 前記洗浄工程後のパルプは、パルプ懸濁液であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載のCNF分散液の製造方法。
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