JP2018111613A - 高濃度ベントナイト水分散体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水処理剤や土壌改質剤、製紙用添加剤等で使用されるベントナイトは、できるだけ高濃度の水分散体であり、かつ、保存中にベントナイトが沈降し堆積しないような長期の貯蔵安定性が必要である。さらに、アニオン性を呈する被処理物を効率的に吸着するためには、ベントナイト水分散体がカチオン性を示すことが好ましい。
【背景技術】 高濃度にベントナイトが分散した、ベントナイト水分散体であり、適度なチキソトロピックな粘性を示し、保存時の沈降を防止することができる、さらに、ゼータ電位がカチオン性を示すため、被処理物を効率的に吸着することが期待できる。
【解決手段】 ベントナイトとポリ塩化アルミニウムを含む、ベントナイト分散体の粘性をコントロールすることにより、長期の保存安定性に優れた、ベントナイトを高濃度で含有するベントナイト水分散体である。さらに、ゼータ電位をカチオン性とすることにより、被処理物を効率的に吸着処理でき、水処理剤や土壌改質剤、製紙用添加剤等に有用となる。
【選択図】 なし
【背景技術】 高濃度にベントナイトが分散した、ベントナイト水分散体であり、適度なチキソトロピックな粘性を示し、保存時の沈降を防止することができる、さらに、ゼータ電位がカチオン性を示すため、被処理物を効率的に吸着することが期待できる。
【解決手段】 ベントナイトとポリ塩化アルミニウムを含む、ベントナイト分散体の粘性をコントロールすることにより、長期の保存安定性に優れた、ベントナイトを高濃度で含有するベントナイト水分散体である。さらに、ゼータ電位をカチオン性とすることにより、被処理物を効率的に吸着処理でき、水処理剤や土壌改質剤、製紙用添加剤等に有用となる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高濃度のベントナイト水分散体に関するもので、低粘度で長期の保存安定性に優れた、ポリ塩化アルミニウムで処理された、水中でカチオン性を呈するベントナイト水分散体に関するものである。
層状粘土鉱物としてのモンモリロナイトを主成分とするベントナイトは、水中で膨潤状態となり、種々の物質を吸着あるいは包含する性質を有する。この性質を利用して、水処理剤や土壌改質剤、製紙用添加剤あるいは化粧品用途等で広く使用されている。
例えば、特開平10‐194726号公報には、Na型ベントナイトの水性スラリーについて、特開平7−24443号公報には、ベントナイトスラリー混合物について報告されている。さらには、特許5718559号公報には、有機化されたベントナイトの水分散体について報告されている。
これらはいずれも、高濃度で、かつ、低粘度で分散性に優れ、長期保存性に優れたベントナイト分散体に関するものであり、これらの特性は種々の用途に使用する際に重要であり、それまでの課題を解決するものである。
特開平10−194726号公報には、NanX、式中nはアニオンの価数、XはCl,CO3,SO4等のアニオンで表されるナトリウム塩を特定量含んだベントナイト分散体に関して報告されている。さらに、同分散体のゼータ電位がマイナスであることが記載されている。
ところが、水処理剤や土壌改質剤、あるいは当該特許に記載されている製紙用の歩留まり向上剤として使用する場合、ベントナイト粒子表面のイオン性はカチオン性であることが好ましい。何故ならば、水処理剤や土壌改質剤として使用する対象物資のイオン性はマイナス性であることがほとんどであり、また、製紙用添加剤として使用する場合にも、パルプ繊維自体がマイナス性を示すため、添加剤を有効に定着させるためには、カチオン性であることが好ましい。
また、特開平7−24443号公報には、ベントナイトとアルカリ金属塩の比率を限定してある。 ただ、ここで得られるベントナイト分散体のイオン性は、上記特許と同じくアニオン性を示すことは、自明の理である。
さらに、特許5718559号公報には、有機化処理剤として第四級アンモニウム化合物を含む有機化合物で処理を施した有機化ベントナイトに関して報告されている。当該特許は、本来有機溶媒に分散が難しいベントナイトを有機化することにより有機溶媒中で分散安定性に優れたベントナイト分散体を得るためのものであり、高濃度のベントナイトを、しかも低粘度で水に安定に分散させる技術に関するものではない。
本発明は、ベントナイトの高濃度の水分散体であって、かつ、低粘度であり、長期の保存安定性に優れた、水中でカチオン性を呈するベントナイト分散体を得ることを目的とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、ベントナイトとポリ塩化アルミニウム(PAC)の混合物からなるベントナイト水分散体である(本発明1)。
ベントナイトに対するポリ塩化アルミニウムの添加量が2〜10%であることを特徴とする請求項1記載のベントナイト水分散体である。(本発明2)
ベントナイト分散体のゼータ電位が、プラス性で、絶対値が10から40の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のベントナイト水分散体である。(本発明3)
ベントナイト分散体の25℃での4rpmでの粘度と60rpmでの粘度の比、すなわちチキソトロピー指数が、2〜6であることを特徴とする請求項1記載のベントナイト水分散体である。(本発明4)
本発明に係るベントナイト水分散体は、長期の保存においても沈降分離せず、使用時に軽いシェアを与えることで容易に搬出等のハンドリングができる、流動性に優れたベントナイト水分散体を得ることができる。
すなわち、ベントナイト粒子の周りにポリ塩化アルミニウムが存在することで、ベントナイト同士の水素結合を緩和し、ベントナイトの膨潤性をある程度抑制することで、結果として水に分散しやすくなる。さらに、ベントナイト粒子表面がカチオン性になるため、主にアニオン性の被処理物を吸着しやすくなり、例えば、水処理剤として使用した場合に、容易に被処理物を凝集させ固液分離することができる。
また、製紙用添加剤として使用した場合にも、パルプ繊維に対して吸着しやすくなり、歩留まりが向上するため、排液として排出されにくくなることが期待できる。
一方、分散体を静置保存する場合、ベントナイトの膨潤効果により、経時的な沈降を抑制することができ、長期に渡って分散安定性に優れた水分散体を与えることが可能となる。
このように、静置保存時には粘度が高く固液分離を抑制し、また、ハンドリング時には粘度が低いことが実使用時には重要であり、いわゆるチキソトロピー性を適度に有することが重要である。 具体的には、25℃での4rpmでの粘度と60rpmでの粘度の比、すなわちチキソトロピー指数が、2〜6、好ましくは3〜5であることが重要である。
従来、ベントナイト粉末を水に添加した際には、ベントナイト粉末は水に濡れにくく、ママコ状の塊となって水面上に浮遊してしまう。続いて強力に攪拌すると次第に水に濡れ、一つの大きな塊となってしまうため、ベントナイトの高濃度化は難しい。ちなみに、高濃度とは、ベントナイトの固形分濃度として15%以上のことを指す。
一方、せん断力の強い攪拌により、ベントナイト粉末を無理やり分散させた場合、ベントナイトの高濃度化は可能であるが、ベントナイトの構造を破壊することとなり、本来のベントナイトの持つ膨潤性が失われ、種々の用途での使用には堪えない。すなわち、ある程度のせん断力による物理的な力と、化学的な力の相乗効果により分散させることが必須である。
すなわち、物理的力として、周速が1〜4m/secの攪拌翼を持つ攪拌槽が重要である。周速が、1m/sec未満では、ベントナイトに十分なせん断力を加えることができない。 一方、4m/secを超える攪拌では、ベントナイトの構造が破壊されていまい、膨潤性を失ってしまう。
上記の混合槽に所定の水を入れ、次にポリ塩化アルミニウムを投入し、十分に溶解させたのち、ベントナイト粉をゆっくりと投入することにより、ママコ状でないベントナイト水分散体を得ることが可能となる。 水の温度としては、20〜30℃程度の常温で良い。 温度を高めることで、ベントナイト粒子間の水素結合は弱まり、分散しやすくなるが、逆に構造を破壊しやすくなり、一気に粘度を低下させてしまうことになりかねない。
ポリ塩化アルミニウムは、ベントナイト粉末に対して2〜10重量%添加する。より好ましくは、3〜8重量%である。2%未満の添加では、ベントナイトの膨潤を十分に低減することができず、結果として、ベントナイトの高濃度化が難しくなる。 一方、10%を超える添加量では、ベントナイトの膨潤性が阻害され、結果として種々の用途におけるベントナイトの効果が低下してしまう。
<作用>
<作用>
まず、本発明において重要な点は、一定の周速を有する攪拌槽に、ポリ塩化アルミニウムを水に溶解させ、その中にベントナイト粉末をゆっくりと添加し、混合することにより、ベントナイトの高濃度分散体が得られることである。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
直径15cmのパドル型の攪拌翼を有した3Lの攪拌槽の中に、800gの水を入れ200rpmで攪拌を開始する。 次に、ポリ塩化アルミニウム粉末(セントラルガラス社製 CGPAC)7gを入れ、十分に溶解させる。
ポリ塩化アルミニウムが溶解した水に、ベントナイト粉末(黒崎白土工業社製 オドアース;膨潤度38)200gをゆっくりと添加する。 この時、一気に投入しないことが重要である。 未分散のベントナイトが観察されなくなるまで攪拌する。およその時間は10〜30分程度である。
ポリ塩化アルミニウムが溶解した水に、ベントナイト粉末(黒崎白土工業社製 オドアース;膨潤度38)200gをゆっくりと添加する。 この時、一気に投入しないことが重要である。 未分散のベントナイトが観察されなくなるまで攪拌する。およその時間は10〜30分程度である。
所定時間攪拌して得られたベントナイト分散体を50メッシュの金網でろ過を行い、未分散のベントナイトの塊を除去する。
得られたベントナイト水分散体のベントナイト濃度は、20重量%、pHは、6.8、ゼータ電位はプラス14であった。また、25℃での粘度は、60rpmでの測定値が800cP、4rpmでの測定値が2,650cPであり、チキソトロピー指数は3.3であった。
得られたベントナイト水分散体を、25℃恒温槽で1か月放置した後の粘度は、60rpmでの測定値が780cP、4rpmで測定値が2,800cPであった。 また、固液分離は見られなかった。
実施例1と同様にして、攪拌槽の中に800gの水を入れ200rpmで攪拌を開始する。 次に、ポリ塩化アルミニウム粉末(セントラルガラス社製 CGPAC)8gを入れ、十分に溶解させ、ベントナイト粉末(黒崎白土工業社製 オドアース)220gをゆっくりと添加して、ベントナイト水分散体を得た。
得られたベントナイト水分散体は、ベントナイト濃度が21重量%、pHが6.5、ゼータ電位はプラス22であった。また、25℃での粘度は、60rpmでの測定値が1,200cP、4rpmでの測定値が3,800cPであり、チキソトロピー指数は3.2であった。
実施例1と同様にして、攪拌槽の中に800gの水を入れ200rpmで攪拌を開始する。 次に、ベントナイト粉末(黒崎白土工業社製 オドアース)200gをゆっくりと添加したが、途中、粘度が向上しゲル状になり、ベントナイト水分散体を得ることはできなかった。
実施例と同様にして、攪拌槽の中に800gの水を入れ200rpmで攪拌を開始し、ポリ塩化アルミニウム粉末(セントラルガラス社製 CGPAC)2gを入れ、十分に溶解させ、ベントナイト粉末(黒崎白土工業社製 オドアース)200gをゆっくりと添加したが、途中、粘度が向上しゲル状になり、ベントナイト水分散体を得ることはできなかった。
実施例と同様にして、攪拌槽の中に800gの水を入れ200rpmで攪拌を開始し、ポリ塩化アルミニウム粉末(セントラルガラス社製 CGPAC)22gを入れ、十分に溶解させ、ベントナイト粉末(黒崎白土工業社製 オドアース)200gをゆっくりと添加し、ベントナイト水分散体を得た。
得られたベントナイト水分散体は、ベントナイト濃度が20重量%、pHが4.3、ゼータ電位はプラス35であった。また、25℃での粘度は、60rpmでの測定値が220cP、4rpmでの測定値が450cPであり、チキソトロピー指数は2.0であった。 ただし、すぐにベントナイトが沈降してしまい、上澄み液が見える状態となった。
実施例と同様にして、攪拌槽の中に800gの水を入れ200rpmで攪拌を開始し、硫酸アルミニウム粉末8gを入れ、十分に溶解させ、ベントナイト粉末(黒崎白土工業社製 オドアース)200gをゆっくりと添加し、ベントナイト水分散体を得た。途中、粘度が向上しゲル状になり、ベントナイト水分散体を得ることはできなかった。
本発明における、低粘度で長期の保存安定性に優れた、ポリ塩化アルミニウムで処理された、水中でカチオン性を呈するベントナイト水分散体は、水処理材や土壌改質剤、製紙用添加剤等の用途で有効に使用することが可能となる。
Claims (4)
- 本発明は、ベントナイトとポリ塩化アルミニウム(PAC)の混合物からなるベントナイト水分散体である。
- ベントナイトに対するポリ塩化アルミニウムの添加量が2〜10%であることを特徴とする請求項1記載のベントナイト水分散体である。
- ベントナイト分散体のゼータ電位が、プラス性で、絶対値が10から40の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のベントナイト水分散体である。
- ベントナイト分散体の25℃での4rpmでの粘度と60rpmでの粘度の比、すなわちチキソトロピー指数が、2〜6であることを特徴とする請求項1記載のベントナイト水分散体である。
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JP2017001509A JP2018111613A (ja) | 2017-01-09 | 2017-01-09 | 高濃度ベントナイト水分散体 |
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CN111825099A (zh) * | 2020-09-09 | 2020-10-27 | 苏州国建慧投矿物新材料有限公司 | 一种硅酸镁铝无机凝胶及其制备方法 |
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2017
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