JP2018109127A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品が擦れあう時に発生する軋み音が低減され、かつ高温下に長時間置かれても軋み音低減効果が低下せずに維持され、耐衝撃性および耐候性に優れる成形品を提供する。【解決手段】スチレン系樹脂100重量部に対し、脂肪酸とグリセリンとのエステル化物であるグリセリン脂肪酸エステル1〜5部を配合することにより、部品が擦れあう時に発生する軋み音を低減し、耐衝撃性および耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。【選択図】なし
Description
本発明は、部品が擦れあう時に発生する軋み音が低減され、かつ高温下に長時間置かれても軋み音低減効果が低下せずに維持され、耐衝撃性および耐候性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関するものである。
ABS樹脂はその優れた機械的性質、耐熱性、成形性等により自動車内装部品の製造に広く使用されている。
しかし、自動車走行時の振動に伴い、ABS樹脂製自動車内装部品が該部品同士や該部品と他の部品と接触して擦れ合うような場合に異音(軋み音)が発生することがある。
また、ABS樹脂、ASA樹脂は非晶性樹脂であり、結晶性樹脂であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールなどの樹脂と比較すると摩擦係数が高く、自動車内のエアコン吹き出し口やカーステレオボタン等の他樹脂からなる部品と勘合する場合にスティックスリップ現象が発生し、軋み音が発生することも知られている。
そこで、これらの軋み音を防止するため、部品表面に不織布を貼付する方法、オイルやグリースを塗布する方法が行われてきたが、貼付、塗布といった工程は煩雑で手間がかかることに加え、高温下に長時間置かれた場合は効果が持続しないという問題があった。
また、自動車内装部品に用いられる材料自体を改質する方法として、例えばABS樹脂にAES樹脂を配合する技術(特許文献1)が、また、ABS樹脂にオレフィン系樹脂を配合する技術(特許文献2)が、また、ABS樹脂やPOM樹脂に脂肪酸エステルを配合する技術(特許文献3、特許文献4)が開示されている。
しかし、これらの方法による軋み音の低減効果は十分とは言えず、特に高温下に長時間置かれた場合にはその効果が低下するという問題があった。
本発明は、部品が擦れあう時に発生する軋み音が低減され、かつ高温下に長時間置かれても軋み音低減効果が低下せずに維持され、耐衝撃性および耐候性に優れる熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のゴム強化スチレン系樹脂に特定の添加剤を特定量配合することで軋み音の発生が低減され、かつ高温下に長時間置かれてもその効果が低下せずに維持されることを見出し、本発明の完成に至った
すなわち、本発明は以下の(1)〜(2)で構成される。
(1)スチレン系樹脂(I)100重量部に対し、脂肪酸とグリセリンとのエステル化物であるグリセリン脂肪酸エステル(II)1〜5重量部を含むことを特徴とする軋み音を低減した熱可塑性樹脂組成物。
(2)上記(1)記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(2)で構成される。
(1)スチレン系樹脂(I)100重量部に対し、脂肪酸とグリセリンとのエステル化物であるグリセリン脂肪酸エステル(II)1〜5重量部を含むことを特徴とする軋み音を低減した熱可塑性樹脂組成物。
(2)上記(1)記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、部品が擦れあう時に発生する軋み音が低減され、かつ高温下に長時間置かれても軋み音低減効果が低下せずに維持され、耐衝撃性および耐候性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来る。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物とその成形品について、具体的に説明する。
本発明に用いられるスチレン系樹脂(I)とは、ゴム質重合体(a)に芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)から選ばれた1種以上の単量体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体(A)に、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)および共重合可能なその他のビニル系単量体(e)から選ばれた1種以上の単量体からなるビニル系(共)重合体(B)を加えたもの指す。
本発明においては、グラフト共重合体(A)に配合された単量体混合物はそのすべてが、ゴム質重合体(a)と結合してグラフト化している必要は無く、単量体混合物の単量体同士で結合し、グラフト化していない重合体として含まれていても良い。しかしながらグラフト率は好ましくは10〜100%であり、より好ましくは20〜50%である。
本発明におけるビニル系(共)重合体(B)の還元粘度(ηsp/c)は、0.1〜0.6dl/gで有ることが好ましい。この範囲外の場合、耐衝撃性が低下しやすく、さらに溶融粘度が上昇して成形性が悪くなり易い。還元粘度はさらに好ましくは0.3〜0.5dl/gである。
本発明で用いられるゴム質重合体(a)としては、例えばジエン系ゴム、アクリル系ゴム等が使用できる。具体例として、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらのゴム質重合体(a)は、1種または2種以上の混合物で使用される。
これらのゴム質重合体(a)のうち、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリアクリル酸ブチルが耐衝撃性の点で好ましく用いられる。
ゴム質重合体(a)の質量平均ゴム粒子径は、耐衝撃性等の機械的強度と成形品外観のバランスから、0.1〜0.5μmであることが好ましい。重量平均ゴム粒子径が0.1μm未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度が低下する傾向があり、重量平均ゴム粒子径が0.5μmを超えると成形品外観が低下するケースが多くなる。
また、ゴム質重合体(a)は、耐衝撃性と流動性との両立の観点から、質量平均ゴム粒子径が0.2〜0.4μmの低粒子径のものと、質量平均ゴム粒子径が0.45〜1.2μmの高粒子径のものの2種類のジエン系ゴム質重合体を併用することもでき、より好ましくは質量平均ゴム粒子径が0.28〜0.4μmのものと0.6〜1.2μmのものの併用、さらに好ましくは質量平均ゴム粒子径が0.32〜0.38μmのものと0.7〜1.1μmのものの併用である。
さらに、前述のとおりゴム質重合体(a)を2種類用いる場合、耐衝撃性と流動性の観点から、低粒子径のものと高粒子径のものの重量比率が、90:10〜50:50の範囲にあることが好ましく、より好ましくは80:20〜60:40、さらに好ましくは75:25〜65:35の範囲である。
なお、ゴム質重合体(a)の質量平均ゴム粒子径は、「Rubbaer Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt,P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める。)により測定することができる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられる芳香族ビニル系単量体(b)としては、具体例として、例えばスチレン、α−メチルスチレン、オルソメチルスチレン、パラメチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレンおよびハロゲン化スチレン等が挙げられ、これらは1種または2種以上用いることが出来る。なかでもスチレン、α−メチルスチレンが一般に用いられるケースが多い
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられるシアン化ビニル系単量体(c)としては、具体例として、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種または2種以上用いることが出来る。中でもアクリロニトリルが耐衝撃性の点で好ましく用いられる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられるシアン化ビニル系単量体(c)としては、具体例として、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種または2種以上用いることが出来る。中でもアクリロニトリルが耐衝撃性の点で好ましく用いられる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられる不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(d)としては、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが好適であり、これらは1種または2種以上を用いることが出来る。
これらの具体例として、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチル等が挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが一般に用いられるケースが多い。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられる共重合可能なその他のビニル系単量体(e)としては、具体例として、例えばN−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表される共重合可能なビニル化合物等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。本発明においては、ビニル系(共)重合体(B)は1種または2種以上を用いることが出来る。
本発明におけるグラフト共重合体(A)およびビニル系(共)重合体(B)に用いられる共重合可能なその他のビニル系単量体(e)としては、具体例として、例えばN−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表される共重合可能なビニル化合物等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。本発明においては、ビニル系(共)重合体(B)は1種または2種以上を用いることが出来る。
本発明で用いられるスチレン系樹脂(I)を構成するグラフト共重合体(A)とビニル系(共)重合体(B)との混合比は、好ましくはグラフト共重合体(A):ビニル系(共)重合体(B)の重量比が10:90〜40:60の範囲となる割合であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。グラフト共重合体(A)の割合が上記の範囲未満となると衝撃強度が低下し、上記の範囲を超えると流動性が低下する。
本発明において使用される脂肪酸とグリセリンとのエステル化物であるグリセリン脂肪酸エステル(II)に用いられる脂肪酸は、炭素数12〜32である。炭素数が12未満では耐熱性が低下し、炭素数が32を超えると耐衝撃性が低下する。
本発明で用いられるグリセリン脂肪酸エステル(II)にはグリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネートなどがあり、グリセリンモノベヘネートが好ましく用いられる。
本発明で用いられるグリセリン脂肪酸エステル(II)の配合量は、スチレン系樹脂(I)100重量部に対し1〜5重量部であり、好ましくは2〜4重量部である。上記の範囲未満では軋み音が十分に低減されず、上記の範囲を超えると耐熱性・耐候性が低下する。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には本発明の特性を損なわない範囲で、公知の耐衝撃改良材を使用することができる。使用することができる耐衝撃改良材としては、天然ゴム、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体などのエチレン系エラストマ、ポリエチレンテレフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体などのポリエステルエラストマ、MBSまたはアクリル系のコアシェルエラストマ、スチレン系エラストマが例示される。これらは、必ずしも1種類で使用する必要はなく、2種類以上混合して使用することもできる。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、充填材を添加することも可能である。充填材としては、繊維状、板状、粉末状、粒状などの形状のものが挙げられ、本発明においてはいずれを用いてもよい。具体的には、ポリアクリロニトリル(PAN)系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状またはウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状または板状の充填材などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ガラス繊維が好ましく用いられる。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどを挙げることができる。なお、前記充填材はその表面が任意のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤により処理されていてもよい。また、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、公知の艶消し改良材を使用することができる。使用することができる艶消し改良材としては、不飽和ニトリル-共役ジエン形共重合体ゴムであるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体ゴム等、及びこれらのゴム中の共役ジエン単位を水素化したゴムなどが例示される。また、不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムと併用してもよい他のゴムは、硫黄加硫系や有機過酸化物加硫系等のゴム工業で常用される架橋剤で架橋出来るゴムである。その具体例として、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(ランダム、ブロック)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴムなどの共役ジエン系重合体ゴム及びその水素化物、EPDM等が例示される。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、含硫黄化合物系酸化防止剤、含リン有機化合物系酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、塩素化ポリエチレン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネート、三酸化アンチモン、縮合リン酸エステルなどの難燃剤・難燃助剤、銀系抗菌剤に代表される抗菌剤、抗カビ剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、構成する各樹脂成分を溶融混合して得ることができる。溶融混合方法に関しては、特に制限は無いが、加熱装置、ベントを有するシリンダーで単軸または二軸のスクリューを使用して溶融混合する方法などが採用可能である。溶融混合の際の加熱温度は、通常200〜300℃の範囲から選択されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混合時の温度勾配等を自由に設定することも可能である。また、二軸のスクリューを用いる場合は、互いに同方向回転でも異方向回転でも良い。また噛み合い型、非噛み合い型のスクリューのいずれでもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法については特に限定されないが、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形することができ、成形方法が特に制限されるものではない。
本発明の成形品の用途については、例えば、住設・建材、電気、電子、自動車、機械、雑貨、化学プラント、航空、宇宙用の部品等の素材などであり特に制限はないが、本発明の成形品とその効果の特徴から、他の部品と嵌合もしくは接触する用途に有効である。特にベンチレーター、インストルメントパネル、シフトパネル、コンソールボックスなどの自動車内装部品やエアコン、パソコンなどの電気製品用途として好適だが、これらに限定されるものではない。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げるが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではなく、種々の変形が可能である。まず、各参考例、実施例および比較例における評価方法を下記する。
(1)グラフト率
下記により得られたグラフト共重合体(A)の所定量(m;約1g)にアセトン200mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過した。得られたアセトン不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、その質量(n;単位g)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここでLは、グラフト共重合体のゴム含有率(0を超え1未満の実数)である。
グラフト率(質量%)={[(n)−{(m)×L}]/[(m)×L]}×100。
下記により得られたグラフト共重合体(A)の所定量(m;約1g)にアセトン200mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過した。得られたアセトン不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、その質量(n;単位g)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここでLは、グラフト共重合体のゴム含有率(0を超え1未満の実数)である。
グラフト率(質量%)={[(n)−{(m)×L}]/[(m)×L]}×100。
(2)重量平均分子量
下記により得られたビニル系共重合体(B)をメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量は、Water社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用い、示差屈折計を検出器(Water2414)とし、カラムとしてポリマーラボラトリーズ社製MIXED−B(2本)、留出液テトラヒドロフラン、流速1ml/min、カラム温度40℃の条件で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量として測定した。
下記により得られたビニル系共重合体(B)をメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量は、Water社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用い、示差屈折計を検出器(Water2414)とし、カラムとしてポリマーラボラトリーズ社製MIXED−B(2本)、留出液テトラヒドロフラン、流速1ml/min、カラム温度40℃の条件で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量として測定した。
(3)還元粘度
サンプル1gにアセトン200mlを加え、3時間環流し、この溶液を8800r/min(1000G)で40分間遠心分離した後、不要分を濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物を60℃の温度で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用い還元粘度を測定した。
サンプル1gにアセトン200mlを加え、3時間環流し、この溶液を8800r/min(1000G)で40分間遠心分離した後、不要分を濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物を60℃の温度で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用い還元粘度を測定した。
(4)耐衝撃性
各実施例および比較例により得られたペレットから、80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、JIS K 7139に規定される多目的試験片タイプA1を成形し、これを切り出したタイプB2試験片を用いて、ISO179/1eAに準拠してシャルピー衝撃強度を測定した。
各実施例および比較例により得られたペレットから、80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、JIS K 7139に規定される多目的試験片タイプA1を成形し、これを切り出したタイプB2試験片を用いて、ISO179/1eAに準拠してシャルピー衝撃強度を測定した。
(5)荷重たわみ温度
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、JIS K 7139に規定される多目的試験片タイプA1を成形し、ISO75に準拠して1.8MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、JIS K 7139に規定される多目的試験片タイプA1を成形し、ISO75に準拠して1.8MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。
(6)摩擦係数
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、120×100×3mmの角板を成形した、これを63×63mmに切り出し、これらの成形品を用いてJIS K 7125に準拠して動摩擦係数を測定した。測定には株式会社東洋精機製作所製TR−2を用いた。
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、120×100×3mmの角板を成形した、これを63×63mmに切り出し、これらの成形品を用いてJIS K 7125に準拠して動摩擦係数を測定した。測定には株式会社東洋精機製作所製TR−2を用いた。
(7)軋み音性評価1
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いてISOダンベル試験片を射出成形し、各実施例および比較例に記載の熱可塑性樹脂からなるISOダンベル2本と東レ株式会社製のPC/ABS樹脂「PX10−X11」(商品名)からなるISOダンベル2本を交互に重ね合わせ、この両端を手で捻って軋み音の発生状況を評価した。評価は5回行い、次の判定基準に基づいて判定を行った。
〇:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生は僅かであった。
△:5回の評価において、軋み音の発生が顕著な場合が含まれていた。
×:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著であった。
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥し、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いてISOダンベル試験片を射出成形し、各実施例および比較例に記載の熱可塑性樹脂からなるISOダンベル2本と東レ株式会社製のPC/ABS樹脂「PX10−X11」(商品名)からなるISOダンベル2本を交互に重ね合わせ、この両端を手で捻って軋み音の発生状況を評価した。評価は5回行い、次の判定基準に基づいて判定を行った。
〇:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生は僅かであった。
△:5回の評価において、軋み音の発生が顕著な場合が含まれていた。
×:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著であった。
(8)軋み音性評価2
上記で得た試験片を80℃のギアオーブンに500時間放置した。その試験片を用い、軋み音性評価1と同じ方法で軋み音の発生状況を評価した。
上記で得た試験片を80℃のギアオーブンに500時間放置した。その試験片を用い、軋み音性評価1と同じ方法で軋み音の発生状況を評価した。
(9)耐候性評価
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度250℃、金型温度60℃に設定した射出成形機で成形し、プレート試験片(長さ50mm、幅30mm、厚さ3mm)を得た。次いで、オープンフレームカーボンアーク灯式耐候性試験機(ブラックパネル温度63℃)にて2000時間光照射し、ΔEを評価した。ΔEは住化カラー社製CCM(分光光度計マクベス7000A)にて試験前後のL*値、a*値、b*値の測定結果から算出される。
80℃の温度の熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度250℃、金型温度60℃に設定した射出成形機で成形し、プレート試験片(長さ50mm、幅30mm、厚さ3mm)を得た。次いで、オープンフレームカーボンアーク灯式耐候性試験機(ブラックパネル温度63℃)にて2000時間光照射し、ΔEを評価した。ΔEは住化カラー社製CCM(分光光度計マクベス7000A)にて試験前後のL*値、a*値、b*値の測定結果から算出される。
(参考例1)グラフト共重合体(A)の製造方法
窒素置換した反応器に、純水120重量部、ブドウ糖0.5重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5重量部、硫化第一鉄0.005重量部およびポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.3μm、ゲル含有率85%)60重量部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、モノマ(スチレン30重量部およびアクリロニトリル10重量部)およびt−ドデシルメルカプタン0.3重量部からなる混合物を5時間かけて連続滴下した。同時に並行して、クメンハイドロパーオキサイド0.25重量部、オレイン酸カリウム2.5重量部および純水25部からなる水溶液を7時間かけて連続滴下し、反応を完結させた。得られたスチレン系共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体A1を得た。このスチレン系グラフト共重合体A1のグラフト率は35%であり、樹脂成分の還元粘度は0.35dl/gであった。
窒素置換した反応器に、純水120重量部、ブドウ糖0.5重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5重量部、硫化第一鉄0.005重量部およびポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.3μm、ゲル含有率85%)60重量部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、モノマ(スチレン30重量部およびアクリロニトリル10重量部)およびt−ドデシルメルカプタン0.3重量部からなる混合物を5時間かけて連続滴下した。同時に並行して、クメンハイドロパーオキサイド0.25重量部、オレイン酸カリウム2.5重量部および純水25部からなる水溶液を7時間かけて連続滴下し、反応を完結させた。得られたスチレン系共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体A1を得た。このスチレン系グラフト共重合体A1のグラフト率は35%であり、樹脂成分の還元粘度は0.35dl/gであった。
(参考例2)ビニル系共重合体(B−1)の調製
スチレン72重量%とアクリロニトリル28重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体B−1を調製した。得られたビニル系共重合体B−1の重量平均分子量は120,000であった。
スチレン72重量%とアクリロニトリル28重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体B−1を調製した。得られたビニル系共重合体B−1の重量平均分子量は120,000であった。
(参考例3)ビニル系共重合体(B−2)の調製
デンカ社製デンカIP “MS−NB”(スチレン−N-フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体)を使用した。
デンカ社製デンカIP “MS−NB”(スチレン−N-フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体)を使用した。
(参考例4)グリセリン脂肪酸エステル(II)の調製
理研ビタミン社製“リケマールB−100”(グリセリンモノベヘネート)を準備した。
理研ビタミン社製“リケマールB−100”(グリセリンモノベヘネート)を準備した。
(参考例5)その他の化合物の調製
川研ファインケミカル社製”カワワックスL” (高級脂肪酸エステル)を準備した。
川研ファインケミカル社製”カワワックスL” (高級脂肪酸エステル)を準備した。
東レ・ダウコーニング社製“MB50−008”(高分子量シリコーンマスターバッチ)を準備した。
住化カラー社製“CTB−10”(カーボンブラックマスターバッチ)を準備した。
(実施例1から3、比較例1から5)
前記スチレン系樹脂(I)、グリセリン脂肪酸エステル(II)を、表1に示した比で配合し、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:240〜260℃)で溶融混練を行い、ペレットを得た。得られたペレットから、射出成形機(成形温度250℃、金型温度60℃)を用いて試験片を作製し、前述の方法により評価を行った。
前記スチレン系樹脂(I)、グリセリン脂肪酸エステル(II)を、表1に示した比で配合し、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:240〜260℃)で溶融混練を行い、ペレットを得た。得られたペレットから、射出成形機(成形温度250℃、金型温度60℃)を用いて試験片を作製し、前述の方法により評価を行った。
実施例1〜3、すなわち本発明の樹脂組成物は衝撃強度、耐熱性、耐候性のバランスに優れ、軋み音の発生が抑制され、さらに高温環境下に長時間置かれた場合にも軋み音の発生が抑制されている。実施例1〜3と比較例4との比較からグリセリン脂肪酸エステル(II)の配合量が本発明で規定する範囲よりも少ないと十分な軋み音低減効果が得られないことがわかる。一方、実施例1〜3と比較例5との比較からグリセリン脂肪酸エステル(II)の配合量が本発明で規定する範囲よりも多い場合、耐熱性、耐候性が低下することがわかる。
部品が擦れあう時に発生する軋み音が低減され、かつ高温下に長時間置かれても軋み音低減効果が低下せずに維持され、耐衝撃性および耐候性に優れ、ベンチレーター、インストルメントパネル、シフトパネル、コンソールボックスなどの自動車部品、エアコン、パソコンなどの電気・電子製品や住設・建材、機械、雑貨、化学プラント、航空、宇宙用の分野へ好適に使用できる。
Claims (2)
- スチレン系樹脂(I)100重量部に対し、脂肪酸とグリセリンとのエステル化物であるグリセリン脂肪酸エステル(II)1〜5部を含むことを特徴とする軋み音を低減した熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017000565A JP2018109127A (ja) | 2017-01-05 | 2017-01-05 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017000565A JP2018109127A (ja) | 2017-01-05 | 2017-01-05 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
Publications (1)
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JP2018109127A true JP2018109127A (ja) | 2018-07-12 |
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ID=62844323
Family Applications (1)
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JP2017000565A Pending JP2018109127A (ja) | 2017-01-05 | 2017-01-05 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018109127A (ja) |
-
2017
- 2017-01-05 JP JP2017000565A patent/JP2018109127A/ja active Pending
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