以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本開示に係る推定装置、推定システム、推定方法及び推定プログラムは、生体の水分に関する状態を推定するために使用される。まず、本開示に係る推定装置、推定システム、推定方法及び推定プログラムによる、生体の水分に関する状態の推定の概要について説明する。
図1(A)及び(B)は、推定装置の使用状態の一例を示す図である。推定装置1は、被検者(推定装置のユーザ)の被検部位において、血流に関する情報を測定する。推定装置1は、被検者が被検部位を推定装置1に接触させた状態で、被検者(生体)の血流に関する情報を測定する。
被検部位は、例えば、被検者の指の腹(指先の指紋がある部分)であってよい。図1(A)及び(B)は、被検者が、被検部位である指の腹を推定装置1に接触させた状態を示している。なお、被検部位は、指の腹に限られない。被検部位は、推定装置1が血流に関する情報を測定可能な、生体の任意の部位であってよい。例えば、被検部位は、被検者の額等であってもよい。
推定装置1は、第1状態及び第2状態における、血流に関する情報を測定する。第1状態は、生体の血流が低減された状態である。第2状態は、生体の血流が第1状態よりも血流の低減が緩和された状態である。例えば、図1(A)は、被検部位が第1状態で推定装置1に接触した様子を模式的に示す。例えば、図1(B)は、被検部位が第2状態で推定装置1に接触した様子を模式的に示す。
第1状態及び第2状態は、種々の方法で実現され得る。例えば、被検者が指の腹を推定装置1に押し付けることにより、第1状態が実現される。被検者が、第1状態を実現した後、指の腹を推定装置1に押し付ける力を弱めることにより、第2状態が実現される。また例えば、推定装置1は、指の腹を接触させて血流に関する情報を取得するための測定部と、爪側から測定部に指の腹を押し付けるための押圧機構とを備え、押圧機構による押圧力を変化させることにより、第1状態及び第2状態を実現してもよい。
推定装置1は、第1状態及び第2状態における血流に関する情報に基づいて、生体の水分に関する状態を推定する。推定装置1は、第1状態から第2状態に変化した場合における、血流に関する情報に基づき、生体の水分に関する状態を推定してよい。水分に関する状態は、例えば、脱水状態である。生体が脱水状態である場合と脱水状態でない場合とでは、第1状態から第2状態にした場合における、被検部位の血流の変化の態様が異なる。推定装置1は、この被検部位の血流の変化に基づいて、生体が脱水状態であるか否かを判定する。推定装置1による具体的な判定方法については、後述する。なお、本実施形態において、水分に関する状態は脱水状態であるとして、以下説明する。
次に、具体的な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図2は、第1実施形態に係る推定装置10の概略構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、推定装置10は、測定部110と、制御部120と、記憶部130と、報知部140と、検知部160とを備える。
測定部110は、被検部位である指の腹が推定装置10に接触した状態で、被検部位における生体の血流に関する情報を取得する。測定部110は、取得した生体の血流に関する情報を、制御部120に送信できる。
測定部110は、例えば発光部111と受光部112とを備えていてよい。測定部110は、被検部位に光(測定光)を照射して、被検部位の内部の組織からの反射光(散乱光)を取得する。測定部110は、取得した散乱光の光電変換信号を、制御部120に送信する。
発光部111は、制御部120の制御に基づいて測定光を被検部位に照射する。発光部111は、例えば、血液中に含まれる所定の成分を検出可能な波長のレーザ光を、測定光として被検部位に照射する。発光部111は、例えばLD(レーザダイオード:Laser Diode)により構成されていてよい。
受光部112は、被検部位からの測定光の散乱光を受光する。受光部112は、例えば、PD(フォトダイオード:Photo Diode)により構成されていてよい。受光部112が受光した散乱光の光電変換信号は、制御部120に送信される。
検知部160は、推定装置1が第1の状態と第2の状態との間の状態変化を検知して制御部120にこの変化を通知する。すなわち、検知部160は、ユーザの被検部位への押し込み状態を電気回路のスイッチのオン/オフの変化として検知し、この変化を電気信号として出力する。例えば、検知部160は、後述するボタン部12が押し下がり、ボタンの押下操作が行われると、電気回路のスイッチのオン/オフが変化することにより、推定装置1が第1の状態と第2の状態との間の状態変化を検知する。なお、検知部160は、例えば、ユーザの被検知部位への押し込み距離が一定以上になった場合に電気回路のスイッチのオン/オフが変化することにより、推定装置1が第1の状態と第2の状態との間の状態変化を検知するとしてもよい。
制御部120は、推定装置10の各機能ブロックをはじめとして、推定装置10の全体を制御及び管理する少なくとも1つのプロセッサ121を含む。制御部120は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の少なくとも1つのプロセッサ121を含んで構成され、その機能を実現する。このようなプログラムは、例えば記憶部130、又は推定装置10に接続された外部の記憶媒体等に格納される。
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサ121は、単一の集積回路(IC)として、又は複数の通信可能に接続された集積回路IC及び/又はディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサ121は、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
一実施形態において、プロセッサ121は、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続又は処理を実行するように構成された1以上の回路又はユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサ121は、1以上のデータ計算手続き又は処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
種々の実施形態によれば、プロセッサ121は、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、又は他の既知のデバイス若しくは構成の組み合わせを含み、以下に説明される制御部120としての機能を実行してもよい。
制御部120は、測定部110から取得した血流に関する情報に基づき、脱水状態を推定する。具体的には、制御部120は、第1状態及び第2状態における、生体の血流に関する情報に基づいて、脱水状態を推定する。制御部120による脱水状態の推定処理の詳細については、後述する。
記憶部130は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部130は、各種情報や推定装置10を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部130は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部130は、例えば、測定部110により取得されたデータを記憶してよい。また、記憶部130は、制御部120による脱水状態の推定に用いられる種々の情報を記憶してもよい。
報知部140は、音、振動、及び画像等で情報を報知する。報知部140は、スピーカ、振動子、及び表示デバイスを備えていてもよい。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro−Luminescence Display)等とすることができる。報知部140は、例えば生体が脱水状態であると制御部120が推定した場合に、制御部120の制御に基づき、脱水状態であることを報知できる。例えば、報知部140がスピーカを含んで構成されている場合、制御部120の制御に基づき、脱水状態であることをアラーム音により報知できる。
推定装置10は、種々の形態で実現できる。図3は、推定装置10を実現した一態様を示す図である。本実施形態に係る推定装置10は、例えば図3に示すように、推定装置10を押しボタンスイッチとして実現できる。押しボタンスイッチとして構成された推定装置10は、台座部11と、ボタン部12とを備える。被検者は、ボタン部12を台座部11側に押し込むことにより、ボタンの押下操作を行うことができる。ボタン部12は、バネを介して台座部11と結合されており、被検者が所定の押圧力以上の押圧力でボタン部12を押し込むことにより、ボタン部12が押し下がり、ボタンの押下操作が行われる。なお、ボタン部12は、バネに代えて又はバネと共に、ゴムその他の弾性体を介して台座部11と結合されていてもよい。
推定装置10は、図3に示すように押しボタンスイッチとして構成される場合、例えばボタン部12の上面12a側に、測定部110を備えることができる。この場合、推定装置10は、被検者がボタンの押下の動作(操作)を行う際に生体の血流に関する状態を測定することにより、第1状態及び第2状態における血流に関する状態を測定できる。
図4は、被検者による押しボタンスイッチの押下操作の一例を模式的に示す図であり、押しボタンスイッチの断面を模式的に示す図である。図4(A)に示すように、被検者がボタン部12の上面12aに被検部位を接触させてボタンを押し下げた状態では、ボタン部12が押し下がった位置(押下位置)に変位し、押しボタンスイッチの弾性力によりボタン部12の上面12aから被検部位に押圧力がかかる。これにより、被検部位における血流が低減され、第1状態が実現される。そして、図4(B)に示すように、被検者がボタン部12を押圧する力を弱めると、バネの弾性力によって、ボタン部12が、押下操作を行う前の元の位置(初期位置)に戻るように変位する。ボタン部12が、初期位置に戻った状態で、被検者の被検部位が上面12aに接触している場合、被検部位における血流の低減が第1状態よりも緩和され、第2状態が実現される。つまり、推定装置10を押しボタンスイッチとして構成することにより、被検者が押しボタンスイッチを押下する一連の操作を行う間に、第1状態と第2状態とが実現される。推定装置10は、被検者が押しボタンスイッチの押下操作を行う間に、生体の血流に関する状態を測定し、生体の脱水状態を推定できる。
ここで、推定装置10による生体の脱水状態の推定処理の詳細について説明する。
被検者が押しボタンスイッチの押下操作を行う間に、測定部110が生体の血流に関する情報を測定すると、制御部120は、測定部110が測定した血流に関する情報に基づいて、生体の血流を算出する。
図5及び図6は、制御部120が算出した生体の血流の一例を模式的に示す図である。図5は、脱水状態ではない(非脱水状態の)生体の血流を示し、図6は、脱水状態の生体の血流を示す。図5及び図6において、横軸は時間の経過を示し、縦軸は血流量を示す。すなわち、図5及び図6は、時間の経過に伴う血流量の変化を示す図である。
図5及び図6は、被検者が、ボタン部12を押し下げる前にボタン部12の上面12aに被検部位を置いて接触させ、その後ボタン部12を押し下げて、さらにボタン部12を押圧する力を弱めて、ボタン部12を初期位置に変位させた場合の血流量の変化を示す。
図5及び図6において、時刻t1は、ボタン部12の押下が開始された時刻である。すなわち、時刻t1よりも前の時間(押し込み前)では、被検者がボタン部12の上面12aに被検部位を接触させた状態であり、ボタン部12が初期位置にある状態である。
図5及び図6において、時刻t2は、ボタン部12の押下が完了した時刻である。すなわち、時刻t1から時刻t2の間は、ボタン部12が初期位置から押下位置に変位している状態である。
図5及び図6において、時刻t3は、ボタン部12の押下位置から初期位置への変位が開始された時刻である。つまり、時刻t3は、被検者がボタン部12への押圧力を弱め始めた時刻である。時刻t2から時刻t3の間(押し込み中)は、被検者がボタン部12の上面12aの押し込みを維持した状態であり、ボタン部12が押下位置にある状態である。すなわち、押し込み中、被検部位は、血流が低減された第1状態となっている。
図5及び図6において、時刻t4は、ボタン部12の押下位置から初期位置への変位が完了した時刻である。すなわち、時刻t3から時刻t4の間は、ボタン部12が押下位置から初期位置に変位している状態である。また、時刻t4よりも後の時間(押し込み後)では、被検者がボタン部12の上面12aへの被検部位の接触を維持した状態である。押し込み後においてボタン部12から被検部位にかかる圧力は、押し込み中にボタン部12から被検部位にかかる圧力よりも弱い。そのため、押し込み後は、押し込み中と比較して被検部位における血流の低減が緩和された、第2状態となっている。
図5及び図6から読み取れるように、血流量は、押し込み前、押し込み中及び押し込み後の各時間帯において、時間の経過に伴って、所定の値を中心に細かく振動している。押し込み中における振動中心の値は、押し込み前及び押し込み後における振動中心の値よりも、低くなっている。これは、押し込み中は、押し込み前及び押し込み後よりも、被検部位の血管に流れる血流量が少なくなっていることを示す。つまり、押し込み中は、押し込み前及び押し込み後よりも、被検部位の血管に圧力がかかることにより、血管がつぶれた状態となり、血管を流れる血流量が減少している。
図5を参照すると、生体が非脱水状態の場合、第1状態から第2状態に変化した直後、つまり時刻t4の直後において、血流量は、所定の値を中心に振動し、略一定の値となっている。これに対し、図6を参照すると、生体が脱水状態の場合、第1状態から第2状態に変化した直後において、血流量は、全体として緩やかに上昇し、やがて所定の値を中心に振動して、略一定の値となっている。
このように、生体が非脱水状態の場合、血液に十分な水分が含まれているため、血液の流動性が高い。そのため、第1状態から第2状態に変化した直後であっても、押し込み前と略同量の血流量が被検部位の血管に流れやすくなる。なお、ここでいう略同量の血流量とは、例えば、押し込み前と押し込み後との血流量の振動中心の差異が所定の範囲以内である場合を含んでよい。
これに対し、生体が脱水状態の場合、非脱水状態の場合と比較して、血液に含まれる水分の量が少ないため、血液の流動性が低い。そのため、第1状態から第2状態に変化した直後に、非脱水状態の場合と比較して、押し込み前と略同量の血液量が被検部位の血管に流れるまでに、より長い時間がかかる。つまり、この場合、第1状態から第2状態に変化した直後に、被検部位の血管に流れる血液量は、押し込み前の血液量よりも少なくなる。
このように、生体が脱水状態であるか、非脱水状態であるかに応じて、第1状態から第2状態に変化した直後に、被検部位の血管に流れる血液量の変化の態様が異なる。そのため、制御部120は、第1状態から第2状態に変化した直後の血液量に基づいて、生体が脱水状態であるか、非脱水状態であるかを推定できる。
具体的には、制御部120は、生体が第1状態から第2状態に変化した直後の所定時間における生体の血流量の変化に基づいて、生体が脱水状態であるか否かを推定してよい。所定時間は、例えば予め推定装置10において設定されていてよい。図5及び図6では、所定時間を区間Pとして示している。制御部120は、生体が第1状態から第2状態に変化した直後の所定時間Pにおける血流量の変化の傾き(角度)に基づいて、生体が脱水状態であるか否かを推定してよい。例えば、制御部120は、所定時間Pにおける血流量の変化を、直線で近似する。図5及び図6に示す線分ABは、それぞれ所定時間Pにおける血流量の変化を近似した直線を例示的に示すものである。制御部120は、近似した直線の傾きが所定の角度以上である場合に、生体が脱水状態であると推定してよい。制御部120は、近似した直線の傾きが所定の角度未満である場合に、生体が非脱水状態であると推定してよい。所定の角度は、例えば、予め記憶部130に記憶されていてもよく、被検者の性質(身長、体重、年齢及び性別等)に応じて適宜設定されてもよい。血液中に含まれる水分の量が少ないほど、所定時間Pにおける血流量の変化が大きくなるため、制御部120は、近似した直線の傾きが大きいほど、脱水症状の程度が大きいと推定できる。
また、制御部120は、生体が第1状態から第2状態に変化した後、生体の血流量が略一定になるまでにかかった時間に基づいて、生体が脱水状態であるか否かを推定してよい。例えば、制御部120は、押し込み後の時間帯を所定の長さの時間(微小区間)毎に区切り、区切られた各時間帯において血流量の変化を直線で近似する。制御部120は、近似した直線の傾きが略水平(例えば直線の傾きが水平に対して所定の角度以下)となるまでの時間の長さに基づいて、生体が脱水状態であるか否かを推定してよい。制御部120は、生体の血流量が略一定になるまでにかかった時間が、所定の長さの時間以上である場合に、生体が脱水状態であると推定してよい。制御部120は、生体の血流量が略一定になるまでにかかった時間が、所定の長さの時間未満である場合に、生体が非脱水状態であると推定してよい。血液中に含まれる水分の量が少ないほど、血流量が略一定になるまでにかかる時間が長くなるため、制御部120は、血流量が略一定になるまでにかかった時間が長いほど、脱水症状の程度が大きいと推定できる。
なお、制御部120は、生体が第1状態から第2状態に変化した直後の時刻、つまり図5及び図6における時刻t4を、血流量の変化に基づいて、決定できる。図5及び図6に示すように、ボタン部12が押下位置から初期位置に変位している時刻t3から時刻t4の間は、ボタン部12の上面12aと被検部位との接触状態が変化することにより、算出される血流量がノイズを含む値となる。制御部120は、このようにノイズが含まれなくなった時刻を、生体が第1状態から第2状態に変化した直後の時刻t4であると決定できる。
制御部120は、他の方法により、生体が第1状態から第2状態に変化したと判断してもよい。例えば、制御部120は、生体が、押し込み中における第1状態になる前の、押し込み前における第3状態(血流が低減される前の状態)と略等しい状態となった場合に、第2状態が実現されたと判断してもよい。制御部120は、例えば、受光部112における受光強度に基づいて、生体が第3状態と略等しい状態となったか否かを判断できる。
図7は、生体の血流と受光部112の受光強度との一例を示す図である。図7において、横軸は時間の経過を示す。図7には、血流量と、受光部112における受光強度との時間経過に伴う変化が示されている。すなわち、縦軸は、血流量と受光強度とを示す。図7において、時刻t1乃至t4は、それぞれ図5及び図6のt1乃至t4に対応する。
被検部位からボタン部12の上面12aに対する押圧力が変化すると、被検部位における生体の組織(血液量)が変化し、これに伴って生体における測定光の反射態様も変化する。そのため、被検部位からボタン部12の上面12aに対する押圧力が変化すると、受光部112が受光する反射光の受光強度も変化する。
図7に示すように、押し込み中の受光強度は、押し込み前の受光強度よりも高くなる。被検者が、ボタン部12への押圧を弱め、生体が第2状態に移行すると、受光強度は低くなる。制御部120は、受光強度が、高くなった後、再び押し込み前と略等しい水準まで下がった場合に、第2状態が実現されたと判定できる。ここで、受光強度が略等しい場合は、受光強度を直線に近似した場合における、第3状態及び第2状態の受光強度が示す値の差が所定の範囲内である場合を含んでよい。受光強度が略等しい場合は、第3状態及び第2状態のそれぞれにおける受光強度の平均値の差が所定の範囲内である場合を含んでよい。制御部120は、このようにして、第2状態が実現されたことを判断し、第2状態が開始された時刻を、生体が第1状態から第2状態に変化した直後の時刻t4であると決定できる。
図8は、推定装置10による推定処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、例えば被検者が押しボタンスイッチの押下操作を行う際に実行される。
推定装置10は、測定部110において、第1状態における血流に関する情報を測定する(ステップS101)。上述の例では、推定装置10は、被検者が押しボタンスイッチを押しこんだ状態における、血流に関する情報を測定する。
推定装置10は、測定部110において、第2状態における血流に関する情報を測定する(ステップS102)。上述の例では、推定装置10は、被検者が押しボタンスイッチへの押し込みを弱めた、押し込み後における血流に関する情報を測定する。
推定装置10は、ステップS101及びS102で測定した血流に関する情報に基づき、生体の血流を算出する(ステップS103)。算出される血流の一例は、図5及び図6に示した通りである。
推定装置10は、第1状態及び第2状態における血流に基づいて、生体の水分に関する情報を推定する(ステップS104)。具体的には、上述したように、推定装置10は、第1状態から第2状態に変化した直後における生体の血流量の変化に基づき、生体の脱水状態を推定できる。
このように、本実施形態に係る推定装置10は、第1状態と第2状態とにおける血流に関する情報に基づいて、生体の水分に関する状態を推定できる。推定装置10は、被検者が常時装着する、いわゆるウェアラブルデバイスではないため、被検者に対して、装置を常時装着する煩わしさ及び装着の不快感等を与えることがない。また、推定装置10は、ウェアラブルデバイスではないため、装置と被検者との接触状態が変化するものではなく、血流に関する情報の測定に際して、体動ノイズが測定結果に影響を与えることがない。また、被検者は、被検部位における血流の程度を第1状態及び第2状態とすることにより、推定装置10を用いて、簡単に脱水状態を知ることができる。また、本実施形態に係る推定装置10は、ボタンを押圧した後に押圧力を緩めることにより、第1状態と及び第2状態とを切り替えて被検部位における血流の程度を変化させるものであるため、従来技術のように脱水状態の測定中に挙手し続ける必要もなく、短時間で測定でき、ユーザの負担も軽減することができる。これらにより、推定装置10によれば、利便性が向上する。
第1実施形態に係る推定装置10は、生体の水分に関する状態を推定するための専用の装置として構成することができ、あるいは、多様な装置に組み込んで構成することもできる。例えば、推定装置10は、テレビ等の家電製品用のリモコンのボタンとして構成することができる。例えば、推定装置10は、照明器具等のオン/オフを行うためのボタンとして構成することができる。例えば、推定装置10は、携帯電話機等の電子機器における機械的な押しボタンとして構成することができる。例えば、推定装置10は、目覚まし時計のアラームを停止させるボタンとして構成することができる。また、例えば、推定装置10は、ノック式ボールペンのノック部として構成されていてもよい。このように、推定装置10を日常的に使用する装置に組み込んで構成することにより、被検者は、日常生活で行う動作(例えばテレビの電源をオン/オフする等)を通して、推定装置10に水分に関する状態を推定させることができる。これにより、被検者は、意識しなくても、自分の水分に関する状態を推定させることができる。
また、第1実施形態では、推定装置10を押しボタンスイッチに適用した場合を例に説明したが、本開示はこのような適用に限定されない。すなわち、推定装置10を、スマートホン、トランシーバ、ゲーム機、音楽プレーヤ、カメラ、ビデオカメラ、タブレット、パーソナルコンピュータ、ヘルメット、電灯その他の各種スイッチ、衣類又は帽子等、その他任意の物品に適用してよい。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る推定装置20の一例を示す外観斜視図である。図9に示すように、推定装置20は、例えば直方体形状であってよい。推定装置20は、1つの側面に、被検者が指を挿入するための挿入孔21を有する。推定装置20は、被検者が指を挿入孔21から推定装置20内に挿入した状態において、生体の水分に関する状態の推定処理を実行する。
図10は、推定装置20の使用状態の一例を示す図である。図10は、図9におけるA−A断面を模式的に示す図であり、被検者が挿入孔21に指を挿入した状態を示す図である。推定装置20は、外観が概略箱形状の直方体の筐体20Aとなっている。この筐体20Aは、挿入孔21が開口している以外はユーザの指先Fをほぼ覆う構造となっている。この筐体は、外部からの光がノイズとして測定部110に入射することを低減できる。もちろん推定装置20の形状は箱形状の立方体に限定されるものではなく、丸形状、楕円形状、曲面形状、任意の多面体又はこれらを任意に組み合わせた形状であってもよい。被検者が挿入孔21に指先Fを挿入した状態において被検部位(指の腹)が接触する挿入孔21内の面(接触面)には、測定部110が配置される。挿入孔21内において、接触面に対向する面、つまり被検者が挿入孔21に指先Fを挿入した状態において爪が接触する面には、押圧部150が配置される。
図11は、第2実施形態に係る推定装置20の概略構成を示す機能ブロック図である。図11に示すように、推定装置20は、測定部110と、制御部120と、記憶部130と、報知部140と、押圧部150と、検知部160とを備える。
押圧部150は、制御部120の制御に基づいて、挿入孔21に挿入された被検者の指先Fを、接触面側に押圧するための機構である。押圧部150は、例えばアクチュエータの制御により、被検者の指先Fを接触面側に押圧できる。本実施形態に係る推定装置20は、押圧部150による押圧力を調整することにより、被検部位の第1状態及び第2状態を実現できる。すなわち、制御部120の制御により、押圧部150は、所定の圧力で指先Fを押圧して第1状態を実現し、その後、押圧力を弱めることによって第2状態を実現する。
本実施形態において、測定部110、制御部120、記憶部130、報知部140及び検知部160が有する機能は、上記押圧部150の制御に関する点を除いて、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図12は、推定装置20による推定処理の一例を示すフローチャートである。推定装置20は、例えば被検者が挿入孔21に指先Fを挿入したと判断した場合に、自動的に図12に示すフローを開始してもよい。推定装置20は、例えば、被検者が操作入力を行うことが可能な入力部を備える場合、被検者による所定の操作入力が行われた場合に、図12に示すフローを開始してもよい。
まず、推定装置20は、押圧部150により、第1の圧力で指先Fを押圧する(ステップS201)。第1の圧力は、被検部位が第1状態となる圧力である。
推定装置20は、測定部110において、第1状態における血流に関する情報を測定する(ステップS202)。
次に、推定装置20は、押圧部150により、第2の圧力で指先Fを押圧する(ステップS203)。第2の圧力は、被検部位が第2状態となる圧力である。
推定装置20は、測定部110において、第2状態における血流に関する情報を測定する(ステップS204)。
推定装置20は、ステップS202及びS204で取得した血流に関する情報に基づき、生体の血流を算出する(ステップS205)。
推定装置20は、第1状態及び第2状態における血流に基づいて、生体の水分に関する情報を推定する(ステップS206)。
図12に示すフローにおいて、ステップS202、S204、S205及びS206は、それぞれ図8におけるステップS101、S102、S103及びS104に対応する。
本実施形態に係る推定装置20は、被検者が自ら押圧する動作を行うことなく、押圧部150により、第1状態及び第2状態が実現される。すなわち、被検者は、指先Fを挿入孔21に挿入することにより、推定装置20を用いて、簡単に脱水状態を知ることができる。そのため、本実施形態に係る推定装置20は、前述の第1の実施形態に係る推定装置10と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に係る推定装置20は、筐体20Aが挿入孔21が開口している以外はユーザの指先Fをほぼ覆う構造となっていて、外部からの光がノイズとして測定部110に入射することを低減することができるため、測定部110の測定制度を向上させることができる。このようにして、推定装置20によれば、利便性が向上する。
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る推定システム30の概略構成の一例を模式的に示す図である。推定システム30は、測定装置200と、情報処理装置300と、端末装置400とを備える。情報処理装置300は、有線、無線、又は有線と無線との組合せにより、測定装置200及び端末装置400と通信可能に接続されている。また、測定装置200と端末装置400とが直接通信可能であってもよい。また、測定装置200と、情報処理装置300と、端末装置400とを相互に接続するネットワークは、インターネットや無線LANなどであってよい。
測定装置200は、生体の血流に関する情報を測定する装置である。測定装置200は、例えば図3に示した装置のように押しボタンスイッチとして構成されていてよい。測定装置200は、測定した生体の血流に関する情報を、情報処理装置300に送信してよい。
情報処理装置300は、例えばコンピュータ等のサーバ装置として構成されることができる。情報処理装置300は、測定装置200から取得した血流に関する情報に基づき、生体の水分に関する状態を推定してよい。情報処理装置300は、推定した水分に関する状態を記憶してよい。情報処理装置300は、推定した水分に関する状態の情報を、端末装置400に送信してよい。情報処理装置300は、例えば生体が脱水状態であると推定した場合に、その旨を通知する情報を端末装置400に送信してよい。
端末装置400は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット等として構成されてよい。端末装置400は、例えば、被検者が所有するものであってよい。端末装置400は、例えば、被検者の親族又は被検者の担当医等、被検者と所定の関係を有する者が所有するものであってもよい。端末装置400は、情報処理装置300から取得した水分に関する状態の情報を、表示画面に表示してよい。端末装置400は、生体が脱水状態であることを示す情報を情報処理装置300から取得した場合に、その旨を端末装置400の所有者に報知してもよい。
図14は、推定システム30の概略構成を示す機能ブロック図である。上述のように、推定システム30は、測定装置200と、情報処理装置300と、端末装置400とを備える。
測定装置200は、測定部210と、制御部220と、記憶部230と、通信部240と、検知部260とを備える。測定装置200は、例えば押しボタンスイッチとして構成され、被検者は、第1実施形態で説明したように、押しボタンスイッチの押下操作によって、測定装置200に、血流に関する情報を測定させることができる。
測定部210は、発光部211と受光部212とを備える。測定部210、発光部211及び受光部212の各機能は、それぞれ第1実施形態における測定部110、発光部111及び受光部112の各機能と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
制御部220は、測定装置200の各機能ブロックをはじめとして、測定装置200の全体を制御及び管理する少なくとも1つのプロセッサ221を含む。制御部220は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等の少なくとも1つのプロセッサ221を含んで構成され、その機能を実現する。このようなプログラムは、例えば記憶部230、又は測定装置200に接続された外部の記憶媒体等に格納される。プロセッサ221は、例えば第1実施形態で示したプロセッサ121と同様の構成であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。制御部220は、測定部210の制御を行い、生体の血流に関する情報を取得する。
記憶部230は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部230は、各種情報や測定装置200を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部230は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部230は、例えば、測定部210により取得されたデータを記憶してよい。
通信部240は、情報処理装置300と有線通信若しくは無線通信、又は有線通信及び無線通信の組合せの通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。例えば、通信部240は、測定装置200が測定した生体の血流に関する情報を情報処理装置300に送信する。
検知部260が有する機能は、第1実施形態における検知部160と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
情報処理装置300は、制御部320と、記憶部330と、通信部340とを備える。
制御部320は、情報処理装置300の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置300の全体を制御及び管理する少なくとも1つのプロセッサ321を含む。制御部320は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等の少なくとも1つのプロセッサ321を含んで構成され、その機能を実現する。このようなプログラムは、例えば記憶部330、又は情報処理装置300に接続された外部の記憶媒体等に格納される。プロセッサ321は、例えば第1実施形態で示したプロセッサ121と同様の構成であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。制御部320は、測定装置200から取得した、血流に関する情報に基づいて、生体の水分に関する状態を推定する。
記憶部330は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部330は、各種情報や情報処理装置300を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部330は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部330は、例えば、測定装置200から取得した生体の血流に関する情報、及び情報処理装置300が推定した生体の水分に関する状態を記憶してよい。記憶部330は、制御部320による脱水状態の推定に用いられる種々の情報を記憶してもよい。
通信部340は、測定装置200及び端末装置400と有線通信若しくは無線通信、又は有線通信及び無線通信の組合せの通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。例えば、通信部340は、測定装置200から、生体の血流に関する情報を受信する。また、例えば、通信部340は、情報処理装置300が推定した生体の水分に関する状態の情報を端末装置400に送信する。
端末装置400は、制御部420と、記憶部430と、通信部440と、入力部450と、報知部460とを備える。
制御部420は、端末装置400の各機能ブロックをはじめとして、端末装置400の全体を制御及び管理する少なくとも1つのプロセッサ421を含む。制御部420は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等の少なくとも1つのプロセッサ421を含んで構成され、その機能を実現する。このようなプログラムは、例えば記憶部430、又は端末装置400に接続された外部の記憶媒体等に格納される。プロセッサ421は、例えば第1実施形態で示したプロセッサ121と同様の構成であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。制御部420は、情報処理装置300から取得した水分に関する状態の情報を、表示画面に表示してよい。端末装置400は、生体が脱水状態であることを示す情報を情報処理装置300から取得した場合に、その旨を端末装置400の所有者に報知してもよい。
記憶部430は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部430は、各種情報や端末装置400を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部430は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部430は、例えば、情報処理装置300から取得した生体の水分に関する状態の情報を記憶してよい。
通信部440は、情報処理装置300と有線通信若しくは無線通信、又は有線通信及び無線通信の組合せの通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。例えば、通信部440は、情報処理装置300から、生体の水分に関する状態の情報を受信する。
入力部450は、端末装置400のユーザからの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。入力部450をタッチパネルにより構成し、表示デバイスの一部にユーザからの操作入力を受け付ける操作キーを表示して、ユーザによるタッチ操作入力を受け付けてもよい。
報知部460は、音、振動、及び画像等で情報を報知する。報知部460は、スピーカ、振動子、及び表示デバイスを備えていてもよい。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro−Luminescence Display)等とすることができる。報知部460は、例えば生体の水分に関する状態を報知する。報知部460は、例えば生体が脱水状態であることを報知してもよい。
図15は、推定システム30による制御手順の一例を示すシーケンス図である。図15に示すシーケンス図における処理は、例えば被検者が押しボタンスイッチの押下操作を行う際に実行される。
測定装置200は、被検者による押しボタンスイッチの押し込み中に、測定部210において、第1状態における血流に関する情報を測定する(ステップS301)。
測定装置200は、被検者による押しボタンスイッチの押し込み後に、測定部210において、第2状態における血流に関する情報を測定する(ステップS302)。
測定装置200は、ステップS301及びS302で取得した第1状態及び第2状態における血流に関する情報を、情報処理装置300に送信する(ステップS303)。
情報処理装置300は、測定装置200から第1状態及び第2状態における血流に関する情報を取得すると、取得した血流に関する情報に基づき、生体の血流を算出する(ステップS304)。
情報処理装置300は、第1状態及び第2状態における血流に基づいて、生体の水分に関する状態を推定する(ステップS305)。具体的には、第1実施形態で説明したように、情報処理装置300は、第1状態から第2状態に変化した直後における生体の血流量の変化に基づき、生体の脱水状態を推定できる。
情報処理装置300は、推定した生体の水分に関する状態の情報を、端末装置400に送信する(ステップS306)。情報処理装置300による情報の送信先となる端末装置400の情報は、例えば予め情報処理装置300に登録されていてもよい。
端末装置400は、情報処理装置300から生体の水分に関する状態の情報を取得すると、生体の水分に関する状態の情報を、報知部460から報知する(ステップS307)。
情報処理装置300は、例えばステップS305において生体が脱水状態であると推定した場合に、ステップS306において、生体が脱水状態である旨の情報を送信してもよい。この場合、端末装置400は、ステップS307において、生体が脱水状態であることを示すアラームを報知してもよい。生体が脱水状態であることを示すアラームは、例えば、水分を補給することを促す通知を含んでいてもよい。
なお、本実施形態では、情報処理装置300が、生体の水分に関する状態を推定すると説明したが、例えば測定装置200が、生体の水分に関する状態を推定してもよい。この場合、測定装置200は、推定した生体の水分に関する状態の情報を、情報処理装置300に送信する。
本実施形態に係る推定システム30によれば、第1実施形態に係る推定装置10と同様の効果が得られる。すなわち、測定装置200は、ウェアラブルデバイスではないため、被検者に対して、装置を常時装着する煩わしさ及び装着の不快感等を与えることがない。また、測定装置200は、ウェアラブルデバイスではないため、装置と被検者との接触状態が変化するものではなく、血流に関する情報の測定に際して、体動ノイズが測定結果に影響を与えることがない。また、本実施形態に係る推定システム30によれば、被検者は、被検部位における血流の程度を第1状態及び第2状態とすることにより、測定装置200を用いて血流を測定し、端末装置400を通じて簡単に脱水状態を知ることができる。これらにより、推定システム30によれば、利便性が向上する。
また、本実施形態に係る推定システム30において、端末装置400が、被検者が所有する端末装置である場合には、端末装置400における報知により、被検者は、自らの水分に関する状態を知ることができる。端末装置400が、被検者の親族又は担当医等である場合には、これらの親族又は担当医等が、被検者の水分に関する状態を知ることができる。
第3実施形態において、情報処理装置300は、端末装置400と通信すると説明したが、必ずしも通信する対象が端末装置400でなくてもよい。情報処理装置300は、例えば、所定の機能を有する電子機器と通信を行ってもよい。具体的には、情報処理装置300は、例えば部屋の温度を調節する機能を有するエアコンディショナ等であってよい。エアコンディショナは、例えば、被検者の居住空間に設置されている。情報処理装置300がエアコンディショナである場合、情報処理装置300は、被検者が脱水状態であると推定すると、被検者が脱水状態である旨の情報をエアコンディショナに送信する。エアコンディショナは、被検者が脱水状態である旨の情報を取得すると、例えば自動的に起動して、部屋の温度を下げる等してよい。これにより、推定システムは、被検者が脱水状態であると推定される場合に、自動的に部屋の温度を下げるように制御を行い、被検者の脱水症状を緩和しやすくなる。
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係る推定システム40の概略構成の一例を模式的に示す図である。推定システム40は、推定装置500と、情報処理装置300と、端末装置400とを備える。情報処理装置300は、有線、無線、又は有線と無線との組合せにより、推定装置500及び端末装置400と通信可能に接続されている。
推定装置500は、生体の血流に関する情報を測定し、生体の水分に関する状態を推定する装置である。本実施形態において、推定装置500は、非接触で生体の体温を測定する非接触体温計を有している。推定装置500は、推定した生体の水分に関する状態の情報を、情報処理装置300に送信してよい。なお、本実施形態において、推定装置500は、接触して生体の体温を測定する接触体温計を有していてもよい。
推定装置500は、本体501と、接触部502とを備える。本体501は、各種情報を表示する表示部560を備える。推定装置500は、接触部502が被検部位に接触した状態で、生体の血流に関する情報を測定する。接触部502は、バネを介して本体501と結合されており、所定の押圧力以上の押圧力で被検部位に接触すると、被検部位により本体501側に押し込まれる。これにより、推定装置500において、第1実施形態におけるボタン部12の押下操作と同様の動作が行われる。
図17は、推定システム40の概略構成を示す機能ブロック図である。推定システム40は、推定装置500と、情報処理装置300と、端末装置400とを備える。
推定装置500は、血流測定部510と、制御部520と、記憶部530と、通信部540と、体温測定部550と、表示部560と、検知部570とを備える。
血流測定部510は、発光部511と受光部512とを備える。血流測定部510、発光部511及び受光部512の各機能は、それぞれ第1実施形態における測定部110、発光部111及び受光部112の各機能と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
血流測定部510は、接触部502の被検部位と接触する位置(つまり接触部502の先端部分)に配置される。推定装置500は、上述した本体501と接触部502との機構により、第1実施形態で示した押しボタンスイッチと同様の原理で、生体の第1状態及び第2状態を実現できる。推定装置500は、第1状態及び第2状態において、生体の血流に関する情報を測定できる。
体温測定部550は、例えば接触部502内に備えられる。体温測定部550は、非接触で生体の体温を測定する機能を有する。体温測定部550は、任意の公知の非接触体温計と同様の構成を有していてよい。体温測定部550は、例えば生体から放射される赤外線を計測し、赤外線エネルギーを体温に換算することにより、非接触で生体の体温を測定する。
制御部520は、推定装置500の各機能ブロックをはじめとして、推定装置500の全体を制御及び管理する少なくとも1つのプロセッサ521を含む。制御部520は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等の少なくとも1つのプロセッサ521を含んで構成され、その機能を実現する。このようなプログラムは、例えば記憶部530、又は推定装置500に接続された外部の記憶媒体等に格納される。プロセッサ521は、例えば第1実施形態で示したプロセッサ121と同様の構成であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
制御部520は、血流測定部510の制御を行い、生体の血流に関する情報を取得する。また、制御部520は、生体の血流に関する情報に基づいて、生体の水分に関する状態を推定する。また、制御部520は、体温測定部550の制御を行い、生体の体温を取得する。制御部520は、推定した水分に関する状態及び体温に関する情報を、表示部560に表示してよい。
記憶部530は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部530は、各種情報や推定装置500を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部530は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部530は、例えば、血流測定部510及び体温測定部550により取得されたデータを記憶してよい。
通信部540は、情報処理装置300と有線通信若しくは無線通信、又は有線通信及び無線通信の組合せの通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。例えば、通信部540は、推定装置500が推定した生体の水分に関する状態の情報を情報処理装置300に送信する。
表示部560は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の周知のディスプレイにより構成される表示デバイスである。表示部560は、例えば制御部520の制御により、推定した水分に関する状態の情報及び体温に関する情報を表示する。
検知部570が有する機能は、第1実施形態における検知部160と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
情報処理装置300は、推定装置500から水分に関する状態の情報及び体温に関する情報を取得する。情報処理装置300は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び体温に関する情報を記憶部330に記憶してよい。情報処理装置300は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び体温に関する情報を端末装置400に送信してよい。情報処理装置300が備える機能ブロックは、第3実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
端末装置400は、情報処理装置300から水分に関する状態の情報及び体温に関する情報を取得する。端末装置400は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び体温に関する情報を記憶部430に記憶してよい。端末装置400は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び体温に関する情報を報知部460から報知してよい。端末装置400が備える機能ブロックは、第3実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図18(A)及び(B)は、推定装置500の使用状態の一例を模式的に示す図である。推定装置500は、例えば乳幼児用の血流及び体温を測定するための装置である。例えば、推定装置500は、乳幼児の保護者により操作されることによって、当該乳幼児の血流及び体温を測定する。保護者は、例えば、推定装置500を用いて乳幼児の脱水状態を推定させる場合、推定装置500を手に持って、被検部位である乳幼児の額に接触部502を当てることによって、推定装置500に血流の測定を実行させる。
保護者は、例えば、推定装置500を操作することにより、脱水状態を推定させるためのモードを起動する。そして、保護者は、図18(A)に一例として示すように、推定装置500の接触部502を、乳幼児の額に接触させる。このとき、表示部560には、例えば「測定準備完了 額に押し込んで下さい」等のように、推定装置500を被検部位に押し込むことを促す指示が表示される。
保護者は、例えば表示部560に表示された指示に従って、図18(B)に一例として示すように、推定装置500を乳幼児の額に押し込む。これにより、接触部502が本体501側に押し下がる。また、押し込みにより乳幼児の額の血管が押圧され、血流が低減された第1状態が実現される。この状態で、推定装置500は、生体(乳幼児)の第1状態における血流に関する情報を測定する。血流に関する情報の測定中、表示部560には、例えば「しばらくお待ちください」等のように、第1状態を維持させるための指示が表示される。第1状態における血流に関する情報の測定が完了すると、表示部560には、例えば、「元に戻して下さい」等のように、押圧を弱めることを促す指示が表示される。
保護者は、例えば表示部560に表示された指示に従って、図18(A)に一例として示すように、推定装置500の額への押し込みを弱める。これにより、接触部502が、本体501に対して、押圧される前の元の位置に戻る。これにより、乳幼児の額の血管の押圧が緩和され、第2状態が実現される。この状態で、推定装置500は、生体の第2状態における血流に関する情報を測定する。血流に関する情報の測定中、表示部560には、例えば「しばらくお待ちください」等のように、第2状態を維持させるための指示が表示される。
第2状態における血流に関する情報の測定が完了すると、推定装置500は、取得した第1状態及び第2状態における血流に関する情報に基づき、生体の水分に関する状態を推定する。水分に関する状態の推定方法の詳細については、第1実施形態で説明したものと同様である。
推定装置500は、水分に関する状態の推定処理が完了すると、推定結果を表示部560に表示する。推定装置500は、例えば生体が脱水状態であると推定した場合、「危険!脱水傾向です!」等のように注意喚起を促す表示を行う。また、推定装置500は、推定結果を情報処理装置300に送信してもよい。
図19は、推定システム40による制御手順の一例を示すシーケンス図である。図19に示すシーケンス図における処理は、例えば保護者が推定装置500を操作し、脱水状態を推定させるためのモードを起動した場合に実行される。
推定装置500は、図18(A)に示すように保護者により推定装置500が乳幼児の額に押し当てられている間に、血流測定部510において、第1状態における血流に関する情報を測定する(ステップS401)。
推定装置500は、図18(B)に示すように推定装置500の押し込みが弱められた状態において、血流測定部510において、第2状態における血流に関する情報を測定する(ステップS402)。
推定装置500は、取得した第1状態及び第2状態における血流に関する情報に基づき、生体の血流を算出する(ステップS403)。
推定装置500は、第1状態及び第2状態における血流に基づいて、生体の水分に関する状態を推定する(ステップS404)。
推定装置500は、ステップS404で推定した生体の水分に関する状態の推定結果を、表示部560に表示する(ステップS405)。
推定装置500は、ステップS404で推定した生体の水分に関する状態の情報を、情報処理装置300に送信する(ステップS406)。
情報処理装置300は、推定装置500から取得した水分に関する状態の情報を、記憶部330に記憶する(ステップS407)。これにより、情報処理装置300には、生体の水分に関する状態についての情報が履歴として蓄積される。
情報処理装置300は、水分に関する状態の情報を、端末装置400に送信する(ステップS408)。情報処理装置300による情報の送信先となる端末装置400の情報は、例えば予め情報処理装置300に登録されていてよい。
端末装置400は、情報処理装置300から取得した水分に関する状態の情報を、記憶部430に記憶する(ステップS409)。これにより、端末装置400には、生体の水分に関する状態についての情報が履歴として蓄積される。
端末装置400は、取得した水分に関する状態の情報を、報知部460から報知する(ステップS410)。このとき、生体が脱水状態である場合、端末装置400は、例えば経口補水液の使用を促す等のアドバイスを報知してもよい。
なお、本実施形態において、推定装置500が、第1状態及び第2状態における血流に基づいて、生体の水分に関する状態を推定すると説明したが、水分に関する状態の推定は、必ずしも推定装置500によって行われなくてもよい。例えば、推定装置500が、取得した第1状態及び第2状態における血流に関する情報を、情報処理装置300に送信し、情報処理装置300が水分に関する状態の推定を行ってもよい。この場合、情報処理装置300は、推定した水分に関する状態の情報を、推定装置500及び/又は端末装置400に送信してよい。
本実施形態に係る推定システム40によっても、第1実施形態に係る推定装置10と同様の効果が得られる。また、本実施形態に係る推定装置500によれば、保護者は、乳幼児の体温とともに、脱水状態を容易に知ることができる。保護者は、推定装置500による生体の水分に関する状態の推定を定期的に行うことにより、乳幼児の脱水状態に早期に気づくことができ、対策を取りやすくなる。なお、本開示では、推定装置500の接触部502を、乳幼児の額に接触させるとしたが、推定装置500の適用先は、乳幼児に限定されるものではなく、子供、大人又は老人等、任意の者であってよい。
(第5実施形態)
図20は、第5実施形態に係る推定装置600の使用状態の一例を模式的に示す図である。推定装置600は、本体601と接触部602とを備える。本体601及び接触部602の機能及び構成態様は、それぞれ第1実施形態で示した押しボタンスイッチの台座部11及びボタン部12と同様であってよい。すなわち、接触部602は、バネを介して本体601と結合されており、所定の押圧力以上の押圧力で被検部位に接触すると、被検部位により本体601側に押し込まれる。また、図20の破線で示されるように、接触部602には、測定部110が設けられる。これにより、推定装置600において、第1実施形態におけるボタン部12の押下操作と同様の動作が行われる。なお、この推定装置600の構成及び動作は、図2を用いて説明した構成及び動作と同様であるため、ここではその説明を省略する。
本実施形態に係る推定装置600は、ペット(動物)用の水分に関する状態の推定装置である。ペットの飼育者は、例えば推定装置600の接触部602をペットの被検部位に押し当てて、血流に関する情報を推定装置600に測定させる。被検部位は、例えば、ペットが犬又は猫等の場合、肉球であってよい。図20は、ペットとして猫を例に挙げる。推定装置600が備える機能ブロック及び推定処理は、例えば、第1実施形態に係る推定装置10と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。推定装置600は、例えば第4実施形態で説明した推定装置500のように、推定システムの一部として構成されていてもよい。
本実施形態に係る推定装置600によれば、第1実施形態に係る推定装置10と同様の効果が得られる。本実施形態に係る推定装置600によれば、ペットの水分に関する状態を知ることができる。また、推定装置600は、水分に関する状態の推定に当たり、ペットの血流を取得する。そのため、推定装置600を用いて血流の変化を観察することにより、ペットの冷え性の症状を検出したり、ペットに対するマッサージの効果を可視化したりできる。なお、本実施形態では、脱水検知の対象として犬や猫等のペットの動物としたが、これに限定されるものではなく、豚、馬等の家畜や、象やキリン等のその他の動物であっもても良い。
(第6実施形態)
図21は、第6実施形態に係る推定装置700の一例を示す外観斜視図である。推定装置700は、図21に示すように、コンピュータ操作用マウス(以下、単に「マウス」という)として実現される。マウスとして構成された推定装置700は有線又は無線によりコンピュータに接続され、操作者(被検者)はマウスを操作することにより、マウスに接続されたコンピュータに対して各種操作を行う。
図21のマウスは、操作者が右手で操作を行う場合、手のひらで覆うように保持するマウス本体701と、通常人差し指で入力操作を行う左ボタン702と、通常中指で入力操作を行う右ボタン703とを備える。以下説明する推定装置700としての機能を除き、マウスは、従来周知のマウスと同様の構造及び機能を有する。なお、この推定装置700の構成及び動作は、図2を用いて説明した構成及び動作と同様であるため、ここではその説明を省略する。
操作者は、マウスを用いて多様な操作を行うことができる。操作者は、マウスを用いて、例えばクリック操作、ドラッグ操作、及びドロップ操作を行うことができる。クリック操作は、操作者が人差し指で左ボタン702を押し込む操作である。ドラッグ操作は、操作者が人差し指で左ボタン702を押し込んだ状態を維持したまま、マウスをスライドさせる(移動させる)操作である。ドラッグ操作により、コンピュータの画面上で、例えば特定のオブジェクトの位置が移動する。ドロップ操作は、ドラッグ操作の後、操作者が人差し指による左ボタン702の押し込み状態を解除(解放)する操作である。
本実施形態に係る推定装置700は、操作者がドラッグ操作及びドロップ操作を行う際に、操作者の血流に関する情報を測定し、測定した血流に関する情報に基づいて、操作者の水分に関する状態を推定できる。推定装置700において、生体の水分に関する状態の推定処理を実行するための機能ブロックは、例えば第1実施形態における推定装置10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。推定装置700において、生体(ここでは操作者)の血流に関する情報を測定するための測定部110は、例えば左ボタン702の表面に設けられる。推定装置700において、生体(ここでは操作者)の血流に関する情報を測定するための測定部110は、例えば左ボタン702及び/又は右ボタン703の表面に設けられるとしてもよい。
操作者がドラッグ操作を行うために、左ボタン702を押し込むと、押し込みによって、被検部位である人差し指の腹における血流が低減された第1状態が実現される。操作者がドラッグ操作を行っている間、生体の第1状態が維持される。推定装置700は、測定部において、第1状態における血流に関する情報を取得できる。操作者がドラッグ操作の後に、ドロップ操作を行うと、人差し指の腹における押圧状態が解消されることにより、第2状態が実現される。ドロップ操作後に、人差し指の腹が左ボタン702に接触した状態であれば、推定装置700は、測定部において、第2状態における血流に関する情報を取得できる。すなわち、本実施形態に係る推定装置700は、複数の操作における押し込み状態の変化に基づいて第1の状態と第2の状態を区別する。
図22は、推定装置700による推定処理の一例を示すフローチャートである。
推定装置700は、操作者によりドラッグ操作が実行されているか否かを判断する(ステップS501)。推定装置700は、例えば左ボタン702が押し込まれた状態のまま、マウスがスライドされた場合に、ドラッグ操作が実行されていると判断できる。
推定装置700は、ドラッグ操作が実行されていないと判断した場合(ステップS501のNo)、ドラッグ操作が実行されたと判断するまで、ステップS501を繰り返す。
推定装置700は、ドラッグ操作が実行されていると判断した場合(ステップS501のYes)、ドラッグ操作中における、第1状態の血流に関する情報を測定する(ステップS502)。
推定装置700は、左ボタン702の押し込みが解除され、ドラッグ操作が終了したと判断すると、ドラッグ時間が所定の時間以上であるか否かを判断する(ステップS503)。ドラッグ時間は、ドラッグ操作として左ボタン702が押し込まれていた時間である。また、所定の時間は、推定装置700が、水分に関する状態を推定するために必要な長さ以上の時間であってよい。
推定装置700は、ドラッグ時間が所定の時間未満であると判断すると(ステップS503のNo)、水分に関する状態を推定するために必要な血流に関する情報が測定できていないと判断し、ステップS501に戻る。このとき、推定装置700は、ステップS502で取得した血流に関する情報を破棄(記憶部から削除)してもよい。
推定装置700は、ドラッグ時間が所定の時間以上であると判断した場合(ステップS503のYes)、被検部位が左ボタン702に接触しているか否かを判断する(ステップS504)。
推定装置700は、被検部位が左ボタン702に接触していないと判断した場合(ステップS504のNo)、第2状態における血流に関する情報を測定できないと判断して、ステップS501に戻る。このとき、推定装置700は、ステップS502で取得した血流に関する情報を破棄してもよい。
推定装置700は、被検部位が左ボタン702に接触していると判断した場合(ステップS504のYes)、第2状態における血流に関する情報を測定する(ステップS505)。
推定装置700は、ステップS502及びS505で取得した血流に関する情報に基づき、生体の血流を算出する(ステップS506)。
推定装置700は、第1状態及び第2状態における血流に基づいて、生体の水分に関する情報を推定する(ステップS507)。
本実施形態に係る推定装置700によっても、第1実施形態に係る推定装置10と同様の効果が得られる。また、本実施形態に係る推定装置700によれば、操作者がマウスにおいてドラッグ操作を行う際に、水分に関する状態が推定される。そのため、操作者は、何ら意識をすることなく、コンピュータの使用時に水分に関する状態の推定を実行させることができる。
なお、推定装置700は、例えば第4実施形態で説明した推定装置500のように、推定システムの一部として構成されていてもよい。
また、上記説明では、測定部が左ボタン702の表面に設けられると説明したが、測定部は、右ボタン703の表面に設けられてもよい。また、上記説明では、推定装置700は、ドラッグ操作及びドロップ操作が行われた際に、血流に関する情報が測定される場合について説明したが、推定装置700は、第1状態及び第2状態が実現されるその他の所定の操作において、血流に関する情報を測定してよい。この所定の操作として、例えば、ドラッグ操作及びドロップ操作のほか、クリック、クリックアンドホールド、ホールド、ダブルクリック、ドラッグ、ドロップ、グラブ、コピー、ペースト、コピーアンドペースト、カット、ペースト及びカットアンドペーストなどの操作のうちの少なくとも1つであってよい。
また、上記説明では、推定装置700がマウスに適用される例を説明したが、本実施形態が適用されるのはマウスに限定されるものではない。本実施形態は、例えば、マウスの他、キーボード、テンキー、操作パッド、ペンタブレット、スタイラスペン及びその他の周辺機器のうちの少なくとも1つに適用されるとしてよい。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態に係る推定装置について説明する。第7実施形態に係る推定装置は、図2等を用いて説明した第1実施形態に係る推定装置10をスマートホンに適用した実施形態である。
図23は、第7実施形態に係る推定装置800の一態様を示す外観斜視図である。本実施形態に係る推定装置800は、例えば図23に示すように、筐体810の側面に設けられたボタン部12Bに血流センサが搭載されている。このボタン部12Bが、第1実施形態のボタン部12に相当する。また、スマートホンに適用された推定装置800は、図23に示されるように、画像を表示するディスプレイ801と、情報を入力する入力ボタン803と、音声を出力するスピーカ805と、音声を収集するマイク807と、ボタン部12Bとを備える。
被検者は、ボタン部12Bを筐体810に押し込むことにより、ボタンの押下操作を行うことができる。ボタン部12Bは、バネを介して筐体810と結合されており、被検者が所定の押圧力以上の押圧力でボタン部12Bを押し込むことにより、ボタン部12Bが押し下がり、ボタンの押下操作が行われる。なお、ボタン部12Bは、バネに代えて又はバネと共に、ゴムその他の弾性体を介して筐体810と結合されているとしてもよい。
また、ボタン部12Bには測定部812が設けられている。被検者がボタン部12Bを筐体810に押し込むことにより、被検者に皮膚が測定部812に接することとなり、被検者の血流が測定される。このボタン部12Bは、例えば、ボタンを押している際に会話できるプッシュ・トゥ・トーク(PTT:Push−to−Talk)機能のボタンであるとしてよい。もちろん、このボタン部12Bとしてプッシュ・トゥ・トーク機能のボタン以外にも、電源ボタン、音量ボタン、カメラのシャッターボタン、キー入力ボタン及びその他の任意のボタンを利用することができる。
次に、第7実施形態の推定装置800を用いた推定システム50について図24及び図25を参照して説明する。図24は、第7実施形態の推定装置800を用いたシステム構成図であり、図25は、図24に示される推定システム50の機能ブロック図である。
図24に示される推定システム50は、スマートホンとして適用された推定装置800と、情報処理装置900と、端末装置400とを備える。推定装置800と情報処理装置900と端末装置400とは、無線、有線、若しくは無線及び有線の任意の組み合わせのネットワークにより接続されている。
情報処理装置900は、例えばコンピュータ等のサーバ装置として構成されることができる。情報処理装置900は、推定装置800から取得した被検者の脱水に関する情報及び音声情報のうちの少なくとも一方を解析する。そして、情報処理装置900は、解析結果を、例えば推定装置800の被検者を管理する管理者の端末装置400等に通知する。この通知は、情報処理装置900から被検者を管理する管理者のPCやスマートフォン等の端末装置400にネットワークを通じて電子メールや電話により送信するとしてもよい。また、この通知は、郵便やFAXにより管理者に通知するとしてもよいし、その他任意の方法で通知するとしてよい。なお、端末装置400は、被検者を管理する管理者以外の者が利用するとしてもよい。
情報処理装置900は、解析した水分に関する状態及び音声情報を記憶部2330に記憶してよい。情報処理装置900は、解析した水分に関する状態の情報を、端末装置400や、推定装置800に送信するとしてもよい。情報処理装置900は、例えば被検者が脱水状態であると推定した場合に、その旨を通知する情報を推定装置800に送信してよい。
推定装置800と情報処理装置900と端末装置400の機能ブロックの構成は図25に示される。推定装置800は、測定部812と、制御部2520と、記憶部2530と、通信部2540と、表示部2560と、検知部2570と、マイク807とを備える。
測定部812は、発光部2511と受光部2512とを備える。測定部812、発光部2511及び受光部2512の各機能は、それぞれ第1実施形態における測定部110、発光部111及び受光部112の各機能と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
測定部812は、ボタン部12Bにおいて被検部位と接触する位置(つまりボタン部12Bの表面側)に配置される。推定装置800は、ボタン部12Bが筐体810に押し込まれる動作により、第1実施形態で示した押しボタンスイッチと同様の原理で、生体の第1状態及び第2状態を実現できる。推定装置800は、第1状態及び第2状態において、生体の血流に関する情報を測定できる。
制御部2520は、推定装置800の各機能ブロックをはじめとして、推定装置800の全体を制御及び管理する少なくとも1つのプロセッサ2521を含む。制御部2520は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等の少なくとも1つのプロセッサ2521を含んで構成され、その機能を実現する。このようなプログラムは、例えば記憶部2530、又は推定装置800に接続された外部の記憶媒体等に格納される。プロセッサ2521は、例えば第1実施形態で示したプロセッサ121と同様の構成であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
制御部2520は、測定部812の制御を行い、生体の血流に関する情報を取得する。また、制御部2520は、生体の血流に関する情報に基づいて、生体の水分に関する状態を推定する。また、制御部2520は、マイク807の制御を行い、マイク807から入力した音声情報をデータとして取得する。制御部2520は、推定した水分に関する状態及び音声情報に基づく情報を、表示部2560に表示してよい。この表示部2560は、例えばディスプレイ801である。
記憶部2530は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部2530は、各種情報や推定装置800を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部2530は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部2530は、例えば測定部812により取得された水分に関する状態及びマイク807により取得された音声データを記憶してよい。
通信部2540は、情報処理装置900及び/又は端末装置400と有線通信若しくは無線通信、又は有線通信及び無線通信の組合せの通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。例えば、通信部2540は、推定装置800が推定した生体の水分に関する状態の情報及び音声情報を情報処理装置900及び/又は端末装置400に送信する。
表示部2560は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の周知のディスプレイにより構成される表示デバイスである。本開示では、表示部2560は、液晶のディスプレイ801である。表示部2560は、例えば制御部2520の制御により、推定した水分に関する状態の情報を表示する。
ここで、表示部2560は、例えば制御部2520の制御により、推定した水分に関する状態の情報を表示する。この表示状態について図26を参照して説明する。図26は、推定装置800が表示する画面の一例を示す概略図である。
図26に示されるように、推定装置800は推定した水分に関する状態が脱水の状態である場合は、ディスプレイ801に、脱水である旨の表示や対応方法等を表示する。この表示としては、例えば、「脱水気味です。水分補給してください。」という表示がある。また、推定装置800は推定した水分に関する状態以外の情報、例えば取得した音声に関する情報等を表示するとしてもよい。
マイク807は、推定装置800の利用者(被検者)が発した音声を収集する。そして、制御部2520は、マイク807が収集した音声情報を、通信部2540を介して情報処理装置900及び/又は端末装置400に送信する。なお、このマイク807は、いわゆるレシーバでもよい。
検知部2570が有する機能は、第1実施形態における検知部160と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
情報処理装置900は、推定装置800から水分に関する状態の情報及び音声情報を取得する。情報処理装置900は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び音声情報を記憶部2330に記憶してよい。情報処理装置900は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び音声情報を端末装置400に送信してよい。制御部2320は、情報処理装置900の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置900の全体を制御及び管理する少なくとも1つのプロセッサ2321を含む。制御部2320は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等の少なくとも1つのプロセッサ2321を含んで構成され、その機能を実現する。このようなプログラムは、例えば記憶部2330、又は情報処理装置900に接続された外部の記憶媒体等に格納される。プロセッサ2321は、例えば第1実施形態で示したプロセッサ121と同様の構成であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、情報処理装置900は、取得した水分に関する状態の情報及び音声情報を解析する。例えば、情報処理装置900は、取得した水分に関する状態の情報及び音声情報を解析結果から、推定装置800の利用者である被検者の状態、例えば作業能率や健康状態等を解析する。例えば、情報処理装置900は、取得した水分に関する状態の情報が脱水を示すものであると解析した場合、脱水について警告する情報を作成して管理者の端末装置400に送信する。例えば、情報処理装置900は、取得した音声情報からが被検者が疲労している度合いである疲労度を解析する。情報処理装置900は、被検者の疲労度が所定値以上であると解析した場合、被検者が疲労している旨の情報を作成して管理者の端末装置400に送信する。情報処理装置900は、被検者の疲労度を、例えば、音声の大きさを示すレベル、音声のトーン、話す速さ、話すタイミング及びその他の音声情報のうち少なくともいずれか1つを用いて解析してよい。
端末装置400は、情報処理装置900から、上述の警告の情報、水分に関する状態の情報及び音声情報のうちの少なくともいずれか1つを取得する。端末装置400は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び音声情報を記憶部430に記憶してよい。端末装置400は、例えば、取得した水分に関する状態の情報及び音声情報を報知部460から報知してよい。端末装置400が備える機能ブロックは、第3実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、図24に示される推定システム50の動作について図27を参照して説明する。
推定装置800は、ボタン部12Bが被検部位に押圧されている間に、測定部812において、第1状態における血流に関する情報を測定する(ステップS601)。
推定装置800は、被検部位によるボタン部12Bの押し込みが弱められた状態において、測定部812において、第2状態における血流に関する情報を測定する(ステップS602)。
推定装置800は、測定部812において第1状態及び第2状態における血流に関する情報を測定している間に、マイク807において、被検者が発した音声を収集する(ステップS603)。
推定装置800は、ステップS601及びS602で取得した第1状態及び第2状態における血流に関する情報に基づき、生体の血流を算出する(ステップS604)。
推定装置800は、第1状態及び第2状態における血流に基づいて、生体の水分に関する状態を推定する(ステップS605)。
推定装置800は、ステップS605で推定した生体の水分に関する状態の推定結果を、表示部2560に表示する(ステップS606)。
推定装置800は、ステップS605で推定した生体の水分に関する状態の情報と、ステップS603で取得した音声情報とを、情報処理装置900に送信する(ステップS607)。
情報処理装置900は、推定装置800から取得した水分に関する状態の情報と、音声情報とを解析する(ステップS608)。例えば、情報処理装置900は、被検者の疲労度を解析する。
情報処理装置900は、ステップS608における解析結果を、端末装置400に送信する(ステップS609)。
端末装置400は、情報処理装置300から解析結果を報知する(ステップS610)。これにより、端末装置400は、被検者の状態を管理者に報知できる。
このように、第7実施形態の推定装置800は、第1実施形態の推定装置10と同様の効果を得ることができる。また、第7実施形態の推定装置800は、スマートホンのように携帯性にすぐれた機器に適用されるため、さらにユーザの利便性を向上させることができる。また、第7実施形態の推定装置800は、脱水に関する情報や音声情報を情報処理装置900に送信することができる。そして、情報処理装置900は取得した脱水に関する情報や音声を解析して管理者の端末装置400等に情報を送信できる。そのため、推定システム50によれば、管理者は、被検者の状態、例えば脱水状態や被検者の疲労度等の状態に関する情報をより適切に管理することができる。
なお、上記第7実施形態では、推定装置800が取得した血流の情報に基づいて水分に関する状態を推定しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、推定装置800が、取得した血流の情報を情報処理装置900に送信し、情報処理装置900が、取得した血流の情報に基づいて水分に関する状態を推定するとしてもよい。また、推定装置800及び情報処理装置900の双方が、取得した血流の情報に基づいて水分に関する状態を推定するとしてもよい。
なお、上記第7実施形態において、被検者が推定装置800のボタン12Bを押すタイミングについてはさまざまなタイミングとすることができる。例えば、被検者が任意のタイミングで押してもよい。また、推定装置800が所定時間又は所定時間毎(例えば一時間毎)にアラーム等の通知を行って、被検者にボタン12Bを押すタイミングを通知してもよい。この場合、推定装置800は、ユーザの状態、例えば脱水状態や被検者の健康等の状態に関する情報をより適切に管理することができる。
本開示を完全かつ明瞭に開示するためにいくつかの実施形態に関し説明してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。また、いくつかの実施形態に示した各要件は、自由に組み合わせが可能である。
例えば、上記第3実施形態及び第4実施形態において、端末装置400は、情報処理装置900の機能を有して構成されていてもよい。この場合、測定装置200又は推定装置500は、情報処理装置900の機能を有する端末装置400と直接通信を行ってよい。
また、上記各実施形態は、図5及び図6等を参照して説明したように、血流量のグラフから近似した直線の傾きが所定の角度未満であるか否かや、生体の血流量が略一定になるまでにかかった時間に基づいて、生体が脱水状態であるか否かを推定している。そして、この所定の角度や時間は、例えば、予め記憶部130に記憶されていてもよく、被検者の性質(身長、体重、年齢及び性別等)に応じて適宜設定されてもよいとしている。本開示において所定の角度や時間の算出はこれに限定されるものではない。例えば、推定装置、及び/又は推定装置とネットワークにより接続された情報処理装置が、本開示の推定装置を利用する被検者の血流の測定データや、本開示の推定装置を利用する被験者以外の者の血流の測定データを収集しておき、これら測定データの平均値や統計データ等を利用してこの所定の角度や時間が設定されるとしてもよい。この被検者の血流の測定データや、本開示の推定装置を利用する被験者以外の者の血流の測定データは複数であってもよい。また、この所定の角度や時間は、例えば、血流の測定場所、測定した場所の温度、測定した場所の湿度、などさまざまな測定条件に基づいて分類されて出力されるとしてもよい。