JP2018106983A - 非水電解液電池およびその製造方法 - Google Patents

非水電解液電池およびその製造方法 Download PDF

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敦 畠山
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Abstract

【課題】高温貯蔵特性に優れた非水電解液電池を提供する。
【解決手段】負極6、正極5、セパレータ7および非水電解液を備え、負極6は、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素及び前記元素を含む化合物から選択される少なくとも1種の負極活物質を含み、正極5は、正極活物質及び正極バインダを含み、前記正極バインダが、ニトリル系重合体を含み、前記非水電解液は、式(1)で表される、トリメチルシリル基等の特定有機金属基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を含む非水電解液電池1。
Figure 2018106983

(XはSi、Ge又はSn;R〜Rは夫々独立にFで置換/非置換のアルキル、アルケニル又はアリール)
【選択図】図2

Description

本発明は、高温貯蔵特性に優れた非水電解液電池と、その製造方法に関するものである。
非水電解液電池は、高容量、高電圧などの特性を生かして、種々の用途に利用されている。そして、その適用分野の広がりと共に、非水電解液電池には、各種の特性向上が求められている。
特に、近年では電気自動車の実用化などに伴い、車載用の非水電解液電池(二次電池)の需要が伸びており、電気自動車のモーターの駆動電源への適用が主である一方で、それ以外への適用も進められている。例えば、現在、車両が事故などに遭遇した際に、それを関係各所へ通報するための緊急通報システムの開発が進行中であるが、その電源として、非水電解液電池(一次電池あるいは二次電池)の適用が検討されている。
そのようなシステムは、実際に作動する機会が限られているものの、緊急時に確実に作動することが必要とされる。そのため、電源となる電池には、長期にわたって貯蔵しても、その特性を良好に維持できる信頼性が要求される。
また、車両の走行中にタイヤがパンクして重大事故につながるケースが散見されるようになったことに鑑み、車両走行中の安全性を確保するために、タイヤ空気圧監視システム〔Tire Pressure Monitoring System(TPMS)〕を装着した車両が普及しつつある。前記システムの電源として、非水電解液電池(一次電池)が利用されているが、高温多湿環境となるタイヤ内にシステムが設置されることから、その電源となる電池に対しても、長期間特性を維持することのできる信頼性が要求される。
更に、加熱滅菌などを必要とする医療用途や、150℃以上の高温環境が想定される宇宙用途など、電池の更なる高温耐性が要求される用途もあり、高温環境下で長時間耐えうるよう、非水電解液電池の耐熱性を向上させる技術の検討が進められている。
そのような特性向上を図る技術の一つとして、非水電解液の改良が検討されており、電池の安全性を向上させるため、あるいは電池の耐久性や耐電圧性能を向上させるために、特定構造のリン酸エステル化合物などを非水電解液に添加することが提案されている(特許文献1および2)。
一方、高温環境下では、電極のバインダとして汎用されているポリフッ化ビニルデン(PVDF)の電解液による膨潤が大きくなり、電池容量が低下する問題がある。この問題を解決するために、主として負極バインダにニトリル系重合体を用いることが提案されている(特許文献3および4)。
ところで、非水電解液一次電池の負極活物質には、金属リチウムや、Li−Al(リチウム−アルミニウム)合金などのリチウム合金が用いられているが、非水電解液二次電池においても、負極活物質としてリチウム合金を用いることができるため、リチウムを吸蔵、放出可能な金属とリチウムの吸蔵、放出能力のない異種金属とのクラッド材を用いて負極を構成することにより、電池特性の安定化を実現することも提案されている(特許文献5、6)。
特開2001−319685号公報 特開2015−72864号公報 特開2008−311217号公報 特開2011−23221号公報 特開平8−293302号公報 国際公開第2016/39323号
しかしながら、車載用途などにおいては、高温環境下での更なる耐久性が要求されるようになってきており、電池構成の更なる改良が必要とされている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、高温環境下に長時間保持された場合に特性劣化が少なく、高温貯蔵特性に優れた非水電解液電池と、その製造方法とを提供するものである。
本発明の非水電解液電池は、負極、正極、セパレータおよび非水電解液を含む非水電解液電池であって、前記負極は、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含み、前記正極は、正極活物質および正極バインダを含み、前記正極バインダは、ニトリル系重合体を含み、前記非水電解液は、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2018106983
〔前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
また、本発明の非水電解液電池の製造方法は、前記本発明の非水電解液電池を製造する方法であって、有機溶媒に、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を加えて、非水電解液を作製する工程と、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含む負極と、正極活物質および正極バインダを含む正極と、前記非水電解液とを、電池容器内に封入する工程とを含み、前記正極バインダは、ニトリル系重合体を含むことを特徴とする。
本発明によれば、高温貯蔵特性に優れた非水電解液電池と、その製造方法とを提供することができる。
図1は、非水電解液二次電池を模式的に示す平面図である。 図2は、図1の非水電解液二次電池のI−I線の断面図である。
以下、本発明の非水電解液電池の実施形態について説明する。
本実施形態の非水電解液電池は、負極、正極、セパレータおよび非水電解液を含み、前記負極は、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含み、前記正極は、正極活物質および正極バインダを含み、前記正極バインダは、ニトリル系重合体を含み、前記非水電解液は、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を含む。
Figure 2018106983
ただし、前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物は、炭素材料を負極活物質に使用した非水電解液二次電池において、非水電解液に添加されることで、その安全性を高める作用を有していることが知られている。
一方、Li(Li金属)、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を用いた非水電解液電池において、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を添加した非水電解液を使用した場合には、高温での貯蔵を経た後の電池の特性劣化を抑制することが可能となる。
非水電解液に前記リン酸化合物または前記ホウ酸化合物が添加されている場合、負極の表面に、薄く且つ良質な被膜を形成すると考えられる。従って、高温貯蔵での負極の劣化が抑制されると共に、形成される被膜が薄いため、その被膜による負荷特性の低下を抑制できることが可能となり、高温貯蔵特性に優れた電池を構成することができるものと推測される。
また、表面被膜が薄くなることにより、被膜形成の際に必要とされるリチウムの量が少なくなるため、前記負極活物質を有する二次電池(非水電解液二次電池)においては、負極の不可逆容量が減少して充放電効率を向上させることも可能となる。
一方、非水電解液電池において、電極のバインダとして通常使用されているポリフッ化ビニルデン(PVDF)は、高温環境下で電解液による膨潤が大きくなり、高温貯蔵特性が低下する問題があることが明らかとなった。
以上の観点から、本発明においては、正極バインダとして、ニトリル系重合体が用いられる。前記ニトリル系重合体を正極バインダとして用いることにより、前記添加剤(リン酸化合物およびホウ酸化合物)を有効に作用させながら、電解液による膨潤を抑制して高温貯蔵特性を更に向上させることが可能となる。
また、本実施形態の非水電解液電池の製造方法は、有機溶媒に、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を加えて、非水電解液を作製する工程と、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含む負極と、正極活物質および正極バインダを含む正極と、前記非水電解液とを、電池容器内に封入する工程とを含み、前記正極バインダは、ニトリル系重合体を含む。
以下、本実施形態の非水電解液電池の各構成要素について説明する。
<非水電解液>
前記非水電解液は、有機溶媒と、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物とを含んでいる。
Figure 2018106983
前記リン酸化合物は、リン酸が有する水素原子のうちの少なくとも1つが、前記一般式(1)で表される基で置換された構造を有している。また、前記ホウ酸化合物は、ホウ酸が有する水素原子のうちの少なくとも1つが、前記一般式(1)で表される基で置換された構造を有している。
前記一般式(1)において、XはSi、GeまたはSnであるが、前記リン酸化合物としては、XがSiであるリン酸シリルエステルが好ましく用いられ、前記ホウ酸化合物としては、XがSiであるホウ酸シリルエステルが好ましく用いられる。
また、前記一般式(1)において、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基であるが、メチル基またはエチル基がより好ましい。また、R1、R2およびR3は、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。そして、前記一般式(1)で表される基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
[リン酸化合物およびホウ酸化合物]
前記リン酸化合物においては、リン酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよいが、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
前記リン酸化合物としては、例えば、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジフェニル(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)、リン酸トリス(トリイソプロピルシリル)、リン酸トリス(ジメチルエチルシリル)、リン酸トリス(ジメチルエチルシリル)、リン酸トリス(ブチルジメチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)などを挙げることができ、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、リン酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましい。
また、前記ホウ酸化合物においては、ホウ酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよいが、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
前記ホウ酸化合物としては、例えば、ホウ酸モノ(トリメチルシリル)、ホウ酸ジ(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジメチルトリメチルシリル、ホウ酸メチルビス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジエチルトリメチルシリル、ホウ酸ジフェニル(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(ビニルジメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリイソプロピルシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルエチルシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルエチルシリル)、ホウ酸トリス(ブチルジメチルシリル)、ホウ酸トリス(ビニルジメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリフェニルシリル)などを挙げることができ、ホウ酸モノ(トリメチルシリル)、ホウ酸ジ(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジメチルトリメチルシリル、ホウ酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましい。
前記非水電解液中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物の含有量は、その使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、0.7質量%以上であることが特に好ましく、1質量%以上であることが最も好ましい。また、その含有量が多くなりすぎると、負極表面に形成され得る被膜の厚みが増大し、これにより抵抗が大きくなり負荷特性が低下する虞があることから、非水電解液中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以下であることが最も好ましい。
前記リン酸化合物と前記ホウ酸化合物とを共に含有する場合には、その合計量が前記範囲となるよう調整すればよい。
[有機溶媒]
前記有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(MEC)などの鎖状カーボネート;1,2−ジメトキシエタン、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、メトキシエトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ニトリル;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、前記のカーボネートとエーテルとを併用することが好ましい。
前記有機溶媒として、カーボネートとエーテルとを併用する場合には、全溶媒中のカーボネートとエーテルとの量比(混合比)は、体積比で、カーボネート:エーテル=30:70〜70:30とすることが好ましい。
また、前記リン酸化合物および前記ホウ酸化合物の効果をより生じやすくさせ、また、低温での負荷特性をより向上させるために、プロピレンカーボネートを全溶媒中で10体積%以上含有させることが好ましく、20体積%以上含有させることがより好ましい。
また、非水電解液は、ニトリル化合物を含有していることが好ましい。非水電解液中のニトリル化合物は、電池内において、主に正極表面で被膜を形成し、正極活物質中の遷移金属(Co、Mnなど)の溶出を抑制するため、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と共に用いることにより、電池の高温貯蔵特性などをより一層向上させることができる。
ニトリル化合物の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4−ジシアノヘプタン、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル; などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのニトリル化合物の中でも、アジポニトリルがより好ましい。
電池に使用する非水電解液中のニトリル化合物の含有量は、前記の効果をより良好に確保する観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、ニトリル化合物は、負極(リチウム)との反応性が高いため、ニトリル化合物の使用量をある程度制限して、これらの間での過剰な反応を抑制することが好ましい。よって、電池に使用する非水電解液中のニトリル化合物の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
[電解質]
前記非水電解液は、電解質を含み、その電解質としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li224(SO32、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiCn2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO22〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li224(SO32、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23およびLiCF3CO2より選択される少なくとも1種が好ましい。
これらのリチウム塩の非水電解液の濃度は、0.3mol/L以上であることが好ましく、0.5mol/L以上であることがより好ましく、0.8mol/L以上であることが特に好ましく、一方、1.8mol/L以下であることが好ましく、1.5mol/L以下であることがより好ましく、1.2mol/L以下であることが特に好ましい。
2種以上のリチウム塩を併用することも可能であり、その場合は、それぞれのリチウム塩の濃度の合計が前記範囲となるよう調整すればよい。
ただし、リチウム塩としてLiClO4を用いる場合には、その濃度は、0.3mol/L以上とすることが好ましく、0.4mol/L以上とすることがより好ましく、一方、1mol/L以下とすることが好ましく、0.8mol/L以下とすることがより好ましい。また、LiClO4以外のリチウム塩とLiClO4とを併用する場合には、それぞれのリチウム塩の濃度の合計が、1mol/L下となるように調整することが好ましい。
[他の添加剤]
前記非水電解液に、電池の各種特性を更に向上させるために、ビニルエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトンや1,4−ブタンスルトンなどの飽和環状スルトン化合物、1,3−プロペンスルトンなどの不飽和環状スルトン化合物、LiB(C242などの添加剤を適宜加えることもできる。
[その他]
前記非水電解液には、公知のゲル化剤を添加してゲル状としたもの(ゲル状電解質)を用いることもできる。
<負極>
前記負極には、Li(金属Li)、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有するものが使用され、例えば、前記金属や合金(化合物)で構成された箔をそのまま、または集電体の片面もしくは両面に貼り付けた構造の負極や、前記負極活物質を含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に形成した構造の負極を使用することができる。
Li合金としては、Li−Al合金などが挙げられる。また、Liと合金化可能な元素としては、Si、Snなどが挙げられる。更に、Liと合金化可能な元素を含む化合物としては、Si、Snなどの酸化物などが挙げられる。
負極活物質をLiとする場合には、例えば、Li箔をそのまま使用してもよく、また、負極の表面を微細化させて負荷特性を向上させるため、Li箔の表面にAl箔を積層し、表面にLi−Al合金が形成されたLi層を負極に用いることもできる。
また、負極活物質をLi−Al合金とする場合には、例えば、表面にLi−Al合金が形成されたAl箔(Al合金箔を含む。以下同じ。)を使用できるほか、Al箔などで構成されるAl層(Alを含む層)の表面にLi−Al合金を形成するためのLi層(Liを含む層)を圧着するなどして積層した積層体を使用し、この積層体を電池内で非水電解液と接触させることで、前記Al層の表面にLi−Al合金を形成させて負極とすることもできる。このような負極の場合、Al層の片面のみにLi層を有する積層体を用いてもよく、Al層の両面にLi層を有する積層体を用いてもよい。前記積層体は、例えば、Al箔と金属Li箔(Li合金箔を含む。以下同じ。)とを圧着することで形成することができる。
更に、負極には、Al箔などで構成されるAl層を有する負極前駆体を使用し、この負極前駆体を用いて組み立てた電池を充電することで、Al層の表面にLi−Al合金を形成させて負極とすることもできる。すなわち、負極前駆体に係るAl層の少なくとも表面側のAlを、電池の充電によって非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応させることにより、少なくとも表面側にLi−Al合金が形成された負極とすることも可能である。
負極には集電体を使用することもできる。あらかじめ表面にLi−Al合金が形成されたAl箔を負極に使用する場合には、Al箔の、Li−Al合金が形成されていない側の表面に集電体となる金属箔や金属網などを圧着すればよい。
また、電池内でLi−Al合金を形成して負極とする場合にも、集電体を使用することができる。Li層を有する積層体を使用する場合では、例えば、負極集電体の片面にAl層を有し、かつAl層の負極集電体とは反対側の面にLi層を有する積層体を用いてもよく、負極集電体の両面にAl層を有し、かつ各Al層の負極集電体とは反対側の面にLi層を有する積層体を用いてもよい。また、負極前駆体を用いて組み立てた電池を充電することでLi−Al合金を形成して負極とする場合では、例えば、負極集電体の片面にAl層を有する積層体を負極前駆体として用いてもよく、負極集電体の両面にAl層を有する積層体を負極前駆体として用いてもよい。負極集電体とAl層(Al箔)とは、圧着などにより積層すればよく、銅やニッケルなどで構成された負極集電体(金属箔)とAl層(Al箔)とのクラッド材を用いることもできる。
負極を形成するための前記積層体および前記負極前駆体に係るAl層の厚み(ただし、集電体を使用する場合であって、その集電体の両面にAl層を設ける場合は、片面あたりの厚み)は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましく、また、150μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
負極を形成するための前記積層体に係るLi層の厚み(ただし、集電体を使用する場合であって、その集電体の両面にAl層を設け、各Al層の表面にLi層を設ける場合や、集電体を使用せずにAl層の両面にLi層を設ける場合には、片面あたりの厚み)は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、また、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。
負極に集電体を使用する場合、その集電体には、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、10〜50μmであることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
負極には、常法に従って、電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を取り付けることができる。
<正極>
前記正極は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質と、導電助剤と、バインダとを含有する正極合剤を有するものであり、例えば、前記正極合剤からなる層(正極合剤層)を集電体の片面または両面に有する構造のものや、集電体を用いない前記正極合剤の成形体が挙げられる。
[正極活物質]
正極合剤に係る正極活物質としては、一次電池を構成する場合は、二酸化マンガン、フッ化黒鉛、二硫化鉄など、通常の非水電解液一次電池の正極活物質として使用されている材料を例示することができる。また、二次電池を構成する場合には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なもので、通常の非水電解液二次電池の正極活物質として使用されているリチウム含有複合化合物などを例示することができる。このようなリチウム含有複合化合物としては、Li1+x12(−0.1<x<0.1、M1:Co、Ni、Mn、Al、Mg、Ti、Zrなどより選択される1種以上の元素)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物;LiMn24やその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;Li4/3Ti5/34やその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムチタン複合酸化物;LiMn36などの組成で表される、低温で合成されるリチウムマンガン複合酸化物;LiM2PO4(M2:Co、Ni、Mn、Feなどより選択される1種以上の元素)で表されるオリビン型化合物;などが挙げられる。前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoO2などのコバルト酸リチウムや、LiNi1-aCoa-bAlb2(0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/32、LiMn5/12Ni5/12Co1/62、LiNi3/5Mn1/5Co1/52など)などのリチウム含有ニッケル複合酸化物、などを例示することができる。
二次電池の正極活物質が不可逆容量の大きな材料である場合には、負極集電体とAl層との積層体を負極前駆体として用いて電池を組み立て、組み立てた電池を充電して負極のLi−Al合金を形成するようにすれば、正極の不可逆容量の一部または全部を負極で相殺することができるので好ましい。
[正極バインダ]
正極合剤に係るバインダには、前述のとおり、ニトリル系重合体を用いる。前記ニトリル系重合体は、電解液に対する耐膨潤性をより向上させるために、ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位を、ニトリル系重合体に含まれる全繰り返し単位100質量%に対して、80質量%以上含むことが好ましい。前記ニトリル基含有単量体としては特に限定されないが、正極の柔軟性を向上させるために、アクリロニトリルおよびメタクリロニトルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。更に、前記ニトリル系重合体は、正極の接着性を向上させるために、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の単量体由来の繰り返し単位を更に含むことが好ましい。
[導電助剤]
また、正極合剤に係る導電助剤には、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。
前記正極は、正極合剤の成形体の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを混合して調製した正極合剤を所定の形状に加圧成形することで製造することができる。
また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
正極合剤における正極活物質の含有量は、80〜98.8質量%であることが好ましい。また、正極合剤における導電助剤の含有量は、1.5〜10質量%であることが好ましい。更に、正極合剤における正極バインダの含有量は、0.3〜10質量%であることが好ましい。
正極合剤の成形体の場合、その厚みは、0.15〜4mmであることが好ましい。他方、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30〜300μmであることが好ましい。
正極の集電体としては、AlやAl合金、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、Al箔が好適に用いられる。金属箔を用いる場合の正極集電体の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
正極には、常法に従って、電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を取り付けることができる。
<セパレータ>
本実施形態の非水電解液電池において、集電体を有する負極(または負極用の積層体)と、集電体を有する正極とを使用する場合は、セパレータを介して積層した積層体(積層電極体)や、この積層体を渦巻状に巻回した巻回体(巻回電極体)、更にこの巻回体を横断面が扁平状となるように成形した扁平状巻回体(扁平状巻回電極体)の形で使用することができる。また、正極合剤の成形体からなる正極と、集電体を有しない負極(または負極用の積層体)とを使用する場合は、これらの間にセパレータを介在させつつ扁平形の電池ケース内に収容して使用することができる。
前記セパレータには不織布や微多孔膜(微多孔性フィルム)が使用されるが、その素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンが使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、セルロースなども使用することができる。不織布や微多孔膜の素材は、前記例示のもののうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、セパレータとなる不織布や微多孔膜は、前記例示の素材で構成された単層構造のもののほか、例えば、異なる素材で構成された複数枚の不織布や微多孔膜を積層した積層構造のものを用いることもできる。
また、前記ポリオレフィン製の微多孔膜の表面にアルミナ、ベーマイト、カオリン、Mg(OH)2などの無機粒子をバインダにより結着して構成される多孔質膜や、前記微多孔膜の表面にアラミドの多孔質膜を形成した積層体を、セパレータに用いてもよい。
前記セパレータの厚みは、電池のエネルギー密度の低下を抑制する観点から、例えば、500μm以下とすればよく、450μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。ただし、セパレータが薄すぎると、短絡を防止する機能が低下する虞があることから、その厚みは、不織布を用いる場合は、例えば、30μm以上とすればよく、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましい。また、前記セパレータに微多孔膜を用いる場合は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。
<電池の形態>
本実施形態の非水電解液電池の形態については特に制限はなく、扁平形(コイン形、ボタン形を含む)、ラミネート形、筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕など、種々の形態とすることが可能である。また、負極、正極、セパレータおよび非水電解液を内部に収容する外装体(電池ケース)としては、開口を有する金属製の缶(外装缶)と蓋(封口板)を組み合わせて用いたり、金属ラミネートフィルムを用いたりすることができる。
具体的には、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりすることにより、扁平形や筒形の電池を作製することができ、2枚の金属ラミネートフィルムを重ねるか、1枚の金属ラミネートフィルムを折り曲げ、周囲を貼り合わせて封口することにより、ラミネート形の電池を作製することができる。
カシメ封口を行う形態の外装体を使用する場合、外装缶と封口板との間に介在させるガスケットの素材には、PP、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、PFAなどのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚みが40μmのNi箔の両面に、それぞれ、厚さ30μmのAl箔を積層した25mm×37mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を用意し、前記クラッド材の端部に、集電用のCu箔を超音波溶接し、更にそのCu箔の端部に、電池外部との導電接続のためのNiタブを超音波溶接したものを、負極を形成するための負極前駆体として電池の組み立てに用いた。
一方、正極は、以下のようにして作製した。正極活物質であるコバルト酸リチウム:97.26質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部と、人造黒鉛:0.08質量部と、正極バインダであるニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位を80質量%以上含むニトリル系重合体(日立化成工業社製、商品名:LSR−7):1.06質量部と、分散剤であるポリビニルピロリドン:0.09質量部とを、NMPに分散させたスラリーを調製し、これを厚みが12μmのAl箔の片面に塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の片面におよそ18mg/cm2の質量の正極合剤層を形成した。スラリーの塗布面の一部には正極合剤層を形成せず、Al箔が露出する箇所を設けた。更に、100℃で12時間の熱処理を行い、次いで、前記Al箔集電体を20mm×42mmの大きさに切断し、前記Al箔が露出する箇所に、電池外部との導電接続のためのAlタブを超音波溶接することにより、集電体の片面に20mm×29mmの大きさの正極合剤層を有する正極を作製した。
ベーマイト粒子をアクリル樹脂で結着した厚さ2μmの多孔質膜が、厚さ16μmのPE製の微多孔フィルムの片面に形成されてなる市販のセパレータを用い、以下のようにして電池を組み立てた。前記Niタブを溶接した負極前駆体の両側に、前記セパレータを介して前記正極をそれぞれ積層し、一組の積層電極体を作製した。また、PCとMECとの体積比1:2の混合溶媒に、LiBF4を1.2mol/Lの濃度で溶解させ、更に、3質量%となる量のアジポニトリルと、0.5質量%となる量のγ−ブチロラクトンと、3質量%となる量のリン酸トリス(トリメチルシリル)とを添加することにより、非水電解液を調製した。前記電極体を真空中60℃で15時間乾燥させた後、前記非水電解液と共にラミネートフィルム外装体の中に封入することにより、定格容量が20mAhで、図1に示す外観を有し、図2に示す断面構造の非水電解液二次電池を作製した。
ここで、図1および図2について説明すると、図1は非水電解液二次電池を模式的に表す平面図であり、図2は、図1のI−I線の断面図である。非水電解液二次電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体2内に、正極5と負極6とをセパレータ7を介して積層して構成した積層電極体と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、ラミネートフィルム外装体2は、その外周部において、上下のラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。図2では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体2を構成している各層、正極5および負極6の各層、並びにセパレータ7の各層を区別して示していない。
正極5は、電池1内でリード体を介して正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、負極6も、電池1内でリード体を介して負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側がラミネートフィルム外装体2の外側に引き出されている。
(実施例2)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を0.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(実施例3)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を8質量%とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(実施例4)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を10質量%とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例1)
正極バインダをニトリル系重合体(日立化成工業社製、商品名:LSR−7)からポリフッ化ビニリデン(PVDF):1.06質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例2)
リン酸トリス(トリメチルシリル)、アジポニトリルおよびγ−ブチロラクトンを添加せず、PCとMECとの体積比1:2の混合溶媒に、LiBF4を1.2mol/Lの濃度で溶解させただけの非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例3)
平均粒子径が20μmの人造黒鉛と、スチレンブタジエンゴムと、カルボキシメチルセルロースとを有する負極合剤層をCu集電箔上に形成し、黒鉛系の負極活物質を有する負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
実施例1〜4および比較例1〜3の非水電解液二次電池について、以下のとおり高温貯蔵特性の評価を行った。
実施例1〜4および比較例1〜3の各電池について、定電流(4mA)−定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.2mAまで低下した時点で充電を終止した。次いで、4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて放電容量(初期放電容量)を測定し、更に、前記充電条件で充電を行って電池を満充電状態とした。
この満充電状態の各電池を細い絹糸でぶら下げ、純水の中に電池が完全に水面下に沈むまで水没させて水中での重量を測定した。
満充電状態とした各電池を、85℃で30日間貯蔵した後、室温まで冷却してから、先と同様にして水中での重量を測定し、貯蔵前の水中での重量との差を求めた。貯蔵前と比較して貯蔵後に電池の体積が膨張した分だけ、水没させた際に押しのけられる水の体積が大きくなり、その押しのけられた水の分だけ電池の重量が軽くなる。このようにして貯蔵前後の電池の水中での重量差から貯蔵前後での電池の体積差を算出し、この体積差をガスの発生量とした。
また、前記のガス量測定後の各電池を4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させた。その後、各電池について、前記充電条件での充電と、4mAでの放電(放電終止電圧:2V)とを行い、高温貯蔵後の放電容量(回復容量)を測定した。初期放電容量に対する回復容量の割合(容量回復率)により、各電池の高温貯蔵特性を評価した。
上記の評価結果を表1に示す。
Figure 2018106983
表1から、非水電解液にリン酸化合物を含有させ、正極バインダにニトリル系重合体を用い、負極にLi合金を用いた実施例1〜3の各電池は、高い高温貯蔵特性を達成できたことが分かる。リン酸化合物の添加量を10質量%とした実施例4では、ガス発生量が若干増加したが、容量回復率は高かった。
一方、正極バインダにPVDFを用いた実施例1、および、リン酸化合物を含まない電解液を用いた実施例2では、共に容量回復率が低下し、負極に黒鉛系活物質を用いた比較例3では、ガス発生量が増加すると共に容量回復率も低下した。
本発明の非水電解液電池は、高温貯蔵特性に優れていることから、こうした特性を生かして、タイヤ内部の圧力センサーの電源用途などの自動車用途のように、特に環境変化が大きい条件下での用途に好適に用い得るほか、従来から知られている非水電解液電池が採用されている各種用途と同じ用途にも適用することができる。
1 非水電解液二次電池
2 ラミネートフィルム外装体
3 正極外部端子
4 負極外部端子
5 正極
6 負極
7 セパレータ

Claims (10)

  1. 負極、正極、セパレータおよび非水電解液を含む非水電解液電池であって、
    前記負極は、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含み、
    前記正極は、正極活物質および正極バインダを含み、
    前記正極バインダは、ニトリル系重合体を含み、
    前記非水電解液は、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を含むことを特徴とする非水電解液電池。
    Figure 2018106983
    〔前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
  2. 前記ニトリル系重合体が、ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位を80質量%以上含む請求項1に記載の非水電解液電池。
  3. 前記ニトリル基含有単量体が、アクリロニトリルおよびメタクリロニトルから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の非水電解液電池。
  4. 前記ニトリル系重合体が、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の単量体由来の繰り返し単位を更に含む請求項2または3に記載の非水電解液電池。
  5. 前記非水電解液における前記リン酸化合物または前記ホウ酸化合物の含有量が、8質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  6. 前記非水電解液における前記リン酸化合物または前記ホウ酸化合物の含有量が、0.1質量%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  7. 前記負極が、負極活物質としてLi−Al合金を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  8. 前記一般式(1)で表される基が、トリメチルシリル基である請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  9. 前記非水電解液は、有機溶媒を含み、
    前記有機溶媒は、ニトリル化合物を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水電解液電池を製造する方法であって、
    有機溶媒に、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を加えて、非水電解液を作製する工程と、
    Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含む負極と、正極活物質および正極バインダを含む正極と、前記非水電解液とを、電池容器内に封入する工程とを含み、
    前記正極バインダは、ニトリル系重合体を含むことを特徴とする非水電解液電池の製造方法。
    Figure 2018106983
    〔前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
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