JP2018106070A - 光反射板およびそれを用いた採光装置 - Google Patents

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直紀 蒲澤
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Abstract

【課題】長期間にわたって使用した場合においても、反射率の低下を抑制することができ、耐久性に優れた光反射板を提供する。【解決手段】光反射板10は、基体1と、基体上に形成され、銀または銀合金からなる反射層3と、反射層上に形成され、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、厚みが、10μm超、30μm未満である保護層4と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光反射板およびそれを用いた採光装置に関する。
従来、光反射部材を備えた照明装置として、光ダクト、蛍光灯や水銀灯などの照明器具、液晶表示装置のエッジライト型バックライトなどが知られている。光反射部材を備えた照明装置においては、照明の高効率化および省エネルギー化に伴い、照明装置に備えられる光反射部材に対しても、高反射率化が求められている。
このような照明装置に用いられる光反射部材として、たとえば特許文献1には、金属板上に、バインダ層を介して、反射率が高い銀または銀合金からなる反射層をめっき法により形成した後、該反射層上に、有機樹脂膜と無機膜との2層で構成された保護層を形成してなる光反射板が開示されている。
特許第5457176号
しかしながら、上記特許文献1の技術では、得られる光反射板は、長期間にわたって空気中の腐食性ガスに曝されると、反射層に変色や汚れ等が発生し、反射率が低下してしまうおそれがあるという問題があった。
本発明は、長期間にわたって使用した場合においても、反射率の低下を抑制することができ、耐久性に優れた光反射板を提供することを目的とする。また、本発明は、このような光反射板を用いて得られる採光装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、上述の目的を達成すべく鋭意検討した結果、基体上に、反射層および保護層を形成してなる光反射板において、保護層を、特定の化合物を用いて、特定の厚みとなるように形成することにより、上記目的を達成できることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、基体と、基体上に形成され、銀または銀合金からなる反射層と、前記反射層上に形成され、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が、無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、厚みが、10μm超、30μm未満である保護層と、を備える光反射板が提供される。
本発明の光反射板において、前記保護層が、表層と、前記表層の下地として形成される下地層とを含む少なくとも2層からなり、前記表層が、前記有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、前記下地層が、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が有機シロキサン構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、前記表層および前記下地層の合計の厚みが、10μm超、30μm未満であることが好ましい。
本発明の光反射板において、前記基体と前記反射層との間に、有機樹脂材料および無機材料のうちいずれか1種またはこれらの混合物からなる第1バインダ層をさらに備えることが好ましい。
本発明の光反射板において、前記反射層と前記保護層との間に、有機樹脂材料および無機材料のうちいずれか1種またはこれらの混合物からなる第2バインダ層をさらに備えることが好ましい。
また、本発明によれば、光を取り込む採光部と、前記採光部から取り込んだ光を導く導光部と、前記導光部により導かれた光を目的箇所に放射する放光部と、前記取り込んだ光の少なくとも一部を反射する反射面と、を備える採光装置であって、前記反射面に、上記の光反射板が設置されてなる採光装置が提供される。
本発明によれば、長期間にわたって使用した場合においても、反射率の低下を抑制することができ、耐久性に優れた光反射板を提供することができる。
図1は、本実施形態の光反射板の構成の一例を示す図である。 図2は、本実施形態の光反射板の作用について説明するための図である。 図3は、従来の光反射板について説明するための図である。 図4は、本実施形態の光反射板の構成の他の例を示す図である。 図5は、本実施形態の光反射板の構成のさらに他の例を示す図である。 図6は、本実施形態の採光装置の構成の一例を示す図である。 図7は、本実施形態の採光装置の構成の他の例を示す図である。 図8は、実施例および比較例の光反射板について、硫化水素ガスに暴露した場合における予測耐久年数を求めた結果を示すグラフである。 図9は、実施例、比較例および参考例で用いた樹脂について、酸素透過率を測定した結果を示すグラフである。 図10は、実施例、比較例および参考例について、光反射板の硫化水素ガス暴露後の全反射率と、使用した樹脂の酸素透過率との関係を示したグラフである。 図11は、実施例、比較例および参考例について、光反射板の硫化水素ガス暴露後の全反射率と、使用した樹脂の比重との関係を示したグラフである。 図12は、実施例、比較例および参考例について、光反射板の硫化水素ガス暴露後の全反射率と、使用した樹脂の吸水率との関係を示したグラフである。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る製造方法により製造される光反射板10の構成を示す図である。図1に示すように、光反射板10は、基体1、第1バインダ層21、反射層3、および保護層4を、この順に積層することにより、形成されている。
<基体1>
基体1としては、所望の形状に加工可能な材質で構成すればよいが、本実施形態では、加工性に優れるという点より、金属板を用いることが好ましい。また、基体1を構成する金属板としては、特に限定されないが、鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などが挙げられ、これらのなかでも、耐食性に優れるという点から、アルミニウム合金板が好ましく用いられる。
鋼板としては、クロム含有量が11重量%未満の鉄合金の板、または、クロム含有量が11重量%以上の鉄合金、いわゆるステンレスの板が挙げられる。特に、クロム含有量が11重量%未満の鉄合金鋼板は、アルミニウムやステンレスと比べて安価な材料であるため、コスト的に有利である。なお、ステンレスとしては、たとえば、JIS G 4304またはJIS G 4305に記載されたものなどを用いることができる。
アルミニウム合金板は、アルミニウムを主成分とし、強度、加工性、耐食性などを付与するためにマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、シリコン(Si)などを添加し、合金化したものである。たとえば、JIS H 4000に記載されたアルミニウム板、アルミニウム合金板などを用いることができる。
また、基体1を構成するための金属板としては、表面処理が施された表面処理金属板であってもよい。表面処理金属板としては、上記した金属板の表面に各種めっきを施したもの、またはアルミニウム板の表面にアルマイト処理を施したものなどが挙げられる。
めっきの材料としては、特に限定されないが、亜鉛や亜鉛合金を用いることができ、たとえば、亜鉛合金として、亜鉛に5〜55重量%のアルミニウムを含有するもの、亜鉛にコバルト、モリブデンを含有するものなどを用いることができる。その他の亜鉛合金としては、亜鉛にニッケルもしくは鉄を含有するもの、またはアルミニウムおよびマグネシウムを含有するものなども用いることができる。
亜鉛めっき鋼板は基板としてそのまま用いてもよいが、さらに、亜鉛等のめっきの剥がれや変質をより有効に防止することができるという観点より、化成処理を施してもよい。化成処理としては、たとえば、クロメート処理、リン酸塩処理、リチウム−シリケート処理、シランカップリング処理あるいは、ジルコニウム処理などが挙げられる。
表面処理鋼板としては、犠牲防食硬化を有する安価な亜鉛または亜鉛合金めっきを施したものが好ましいが、その他、ニッケル、クロム、銅、錫などのめっき、またはこれらを主成分とした合金めっきを施した表面処理鋼板などを用いてもよい。
基体1の厚みは、特に限定されず、使用用途に応じて適宜選択すればよいが、通常、0.05〜1.2mmであり、好ましくは0.4〜0.8mmである。
<第1バインダ層21>
第1バインダ層21は、基体1上に必要に応じて形成することができ、第1バインダ層21を設けることで、第1バインダ層21上に形成される反射層3の密着性が向上し、さらに、反射層3の平滑性を向上させることができる。
本実施形態においては、第1バインダ層21は、有機樹脂材料および無機材料のうちいずれか1種、またはこれらの混合物により形成することができる。
第1バインダ層21を有機樹脂材料により形成する場合には、第1バインダ層21を形成する方法としては、特に限定されないが、たとえば、基体1上に有機樹脂材料を塗布して第1バインダ層21を形成する方法、フィルム状の有機樹脂材料を基体1上に積層することで第1バインダ層21を形成する方法などが挙げられる。
有機樹脂材料を塗布して第1バインダ層21を形成する場合には、塗布に用いる有機樹脂材料としては、特に限定されないが、たとえば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アセタール樹脂など挙げられる。これらのなかでも、アクリルウレタン樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は、1種単独で、あるいは、2種以上をブレンドして用いることができる。
また、フィルム状の有機樹脂材料を積層して第1バインダ層21を形成する場合には、フィルム状とする有機樹脂材料としては、特に限定されないが、たとえば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アセテート樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で、あるいは、2種以上をブレンドして用いることができる。
なお、フィルム状の有機樹脂材料を積層して第1バインダ層21を形成する場合には、単層のフィルムを積層してもよく、同一のフィルムまたは異なるフィルムを2層以上積層してもよい。
また、フィルム状の有機樹脂材料を積層して第1バインダ層21を形成する場合には、接着剤からなる接着剤層を介して、積層してもよい。この場合には、まず、基体1上に接着剤を塗布することで、基体1上に接着剤層を形成し、次いで、形成した接着剤層を介して、フィルムを基体1上に積層することにより、第1バインダ層21を形成することができる。接着剤からなる接着剤層を介して、基体1上に第1バインダ層21を形成することにより、基体1と、第1バインダ層21との密着性をより向上させることができる。
ここで用いる接着剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリエステル系、アクリル系、酢酸ビニル樹脂系、エチレン−ビニルアセテート樹脂系、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系などのエマルジョン型接着剤が、火気に対して安全で、臭気もなく、価格的にも安価なため好ましく用いられる。
また、接着剤層の厚みは、好ましくは1〜6μmであり、より好ましくは3〜5μmである。接着剤層の厚みを上記範囲とすることで、基体1と、第1バインダ層21とをより良好に接着することができる。
第1バインダ層21を有機樹脂材料により形成する場合には、第1バインダ層21の厚みは、全体として1〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。有機樹脂材料により形成する第1バインダ層21の厚みを上記範囲とすることにより、第1バインダ層21上に形成される反射層3の密着性をより向上させることができるとともに、第1バインダ層21をより平滑に形成することができ、これにより、第1バインダ層21上に形成する反射層3の平滑性をより向上させることができる。
第1バインダ層21を無機材料により形成する場合には、第1バインダ層21を形成する方法としては、特に限定されないが、たとえば、無機材料を含んだ水分散ゾル水溶液を浸漬処理あるいは電解処理(陰極処理または陽極処理)する方法などが挙げられる。
無機材料としては、特に限定されないが、たとえば、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウムの単体、またはこれらを2種以上含んだ混合物を用いることができる。
第1バインダ層21を無機材料により形成する場合には、第1バインダ層21の厚みは、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。無機材料により形成する第1バインダ層21の厚みを上記範囲とすることにより、無機材料が凝集して凝集破壊が発生してしまうことをより有効に防止することができるとともに、第1バインダ層21をより平滑に形成することができ、これにより、第1バインダ層21上に形成する反射層3の平滑性をより向上させることができる。
本実施形態においては、このような無機材料を含有させた有機樹脂材料を用いて、第1バインダ層21を形成してもよい。この際においては、第1バインダ層21をより平滑に形成することができるという観点より、第1バインダ層21を、上下2層構造とし、下層のみ、無機材料を含有させた有機樹脂材料により形成し、上層は、有機樹脂材料のみから形成することが好ましい。
なお、第1バインダ層21は、コロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施したものであってもよい。第1バインダ層21に上記の表面処理を施すことにより、第1バインダ層21上に積層される反射層3との密着性がより向上する。
<反射層3>
反射層3は、銀または銀合金からなる層である。銀は元素の中でも可視光域において高い反射率を有していることから、光反射板10の反射率を高めるという観点より、好適である。銀合金は、銀に、錫、インジウム、亜鉛、ニッケル、銅あるいはパラジウムを添加したものが好ましい。添加する金属の添加量としては、反射層3の反射率をより高いものとすることができるという観点より、好ましくは3重量%以下である。
反射層3は、銀鏡反応により銀を還元析出させる無電解めっき法、たとえば、スプレーめっき法により形成することができる。その他に、銀イオンを含む水溶液中で電気分解を行なう電気めっき法や、減圧雰囲気下にて銀を蒸発させて皮膜を形成する蒸着法などにより形成することができる。
反射層3の厚みは、好ましくは0.04〜0.2μmであり、より好ましくは0.05〜0.11μmである。反射層3の厚みを上記範囲とすることにより、反射層3に多数のピンホールが発生してしまうことを有効に防止することができ、これにより、反射層3の反射率をより向上させることができる。
<保護層4>
保護層4は、反射層3を保護するための層であり、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含む層である。
本実施形態によれば、保護層4を、このような有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を用いて形成することにより、得られる光反射板10について、長期間にわたって使用した場合においても、反射率の低下を抑制することができ、耐久性に優れたものとすることができる。
すなわち、反射層3は、銀または銀合金からなるため、大気に露出されると、変色や汚れ等が発生して反射率が低下しやすく、特に、雰囲気が硫化水素等の硫黄系ガスを微量でも含む場合には、硫黄系ガスの腐食作用により、変色や汚れ等が進行して反射率が低下しやすくなるという性質を有する。また、反射層3に付着した砂塵、埃を洗浄する場合、反射層3は洗剤による変色跡が残り易いという性質も有する。
これに対し、本実施形態によれば、上述した保護層4を形成することにより、反射層3を砂塵、埃から保護するとともに、硫化水素等の硫黄系ガスが反射層3に接触してしまうことを抑制することができ、これにより、得られる光反射板10について、長期間にわたって使用した場合においても、反射率の低下を抑制することができ、耐久性に優れたものとすることができる。
保護層4を構成する化合物に含まれる有機高分子鎖としては、特に限定されないが、透明性が高く、薄層化が可能な樹脂構造が好ましい。このような樹脂構造を構成する樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられ、アクリル樹脂が特に好ましく、より好ましくはアクリル100%が好ましい。
本実施形態においては、保護層4を構成する化合物は、このような有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が、無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有するものであればよいが、たとえば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
(上記一般式(1)中、Polymerは有機高分子鎖である。また、上記一般式(1)中、破線で示した部分は、アルキル基、1官能性のRSiO1/2単位(シロキサン結合を1つ形成可能な単位)、2官能性のRSiO単位(シロキサン結合を2つ形成可能な単位)、3官能性のRSiO3/2単位(シロキサン結合を3つ形成可能な単位)、または4官能性のSiO単位(シロキサン結合を4つ形成可能な単位)からなる。)
上記一般式(1)で表される化合物は、Polymerで示す複数の有機高分子鎖が、少なくとも4官能性のSiO単位を含有した三次元架橋構造を有し、かつ、主に二酸化ケイ素から構成される無機シリカ構造によって、架橋されてなる。なお、このような無機シリカ構造は、通常、熱によって架橋構造を形成する熱硬化性を有する。また、上記一般式(1)においては、2つの有機高分子鎖(Polymer)が無機シリカ構造によって架橋された例を示したが、有機高分子鎖の数は、2つ以上であればよく、特に限定されない。
また、上記一般式(1)で表される化合物においては、無機シリカ構造は、4官能性のSiO単位を含有するものであればよく、1官能性のRSiO1/2単位、2官能性のRSiO単位、および3官能性のRSiO3/2単位を含有してもよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、たとえば、下記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンを用いて、オルガノポリシロキサンに含まれるシロキサン結合により、上述した無機シリカ構造を形成することで、複数のオルガノポリシロキサンを架橋させることにより得ることができる。
(上記一般式(2)中、Polymerは有機高分子鎖であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基、mは1以上の整数である。)
また、上記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンとともに、下記一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンを用いて、シロキサン結合により上述した無機シリカ構造を形成することで、上記一般式(1)で表される化合物を得てもよい。
(上記一般式(3)中、Polymerは有機高分子鎖であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、nは1以上整数である。)
本実施形態によれば、上述したように、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が、無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を用いて、保護層4を形成することにより、大気中の硫化水素等の硫黄系ガスが反射層3に接触してしまうことを有効に抑制することができる。すなわち、図2に示すように、本実施形態の保護層4を有する光反射板10においては、保護層4は、有機高分子鎖が無機シリカ構造を介して架橋されたリジッドな構造となり、その結果として、有機高分子鎖による緻密な層(複数の有機高分子鎖間の隙間が比較的小さい層)が形成される。
なお、従来、光反射板の保護層を形成するための化合物として、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が、有機シロキサン構造(たとえば、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を主鎖とし、側鎖に有機基を有する構造)を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を用いる技術が知られている。
しかしながら、このような有機シロキサン構造によって架橋された化合物のみを用いて保護層を形成した場合には、得られる光反射板について、長期にわたって硫黄系ガスに曝された場合に、反射率が低下してしまうという問題がある。すなわち、図3に示すように、反射層3上に、上述した有機シロキサン構造によって架橋された化合物によって保護層4aを形成した場合には、保護層4aは、有機シロキサン構造によって、複数の有機高分子鎖間の隙間が比較的大きい構造となってしまい、これにより、保護層4a中を硫黄系ガスが透過しやすくなってしまう。そのため、硫黄系ガスが保護層4aを透過して反射層3と接触しやすくなり、硫黄系ガスに起因して反射層3に変色や汚れ等が発生し、得られる光反射板の反射率が低下してしまう。
これに対し、本実施形態によれば、保護層4の作用によって、硫黄系ガスの透過が抑制され、硫黄系ガスが反射層3に接触してしまうことを抑制することが可能となり、その結果、反射層3の変色や汚れ、およびこれに起因する反射率の低下が抑制され、得られる光反射板10について、長期にわたって硫黄系ガスに曝された場合における耐久性に優れたものとすることができる。
本実施形態においては、保護層4は、上述したように、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が、無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物により形成されたものであればよいが、保護層4に含まれるケイ素の含有割合は、好ましくは7〜20重量%、より好ましくは10〜20重量%、さらに好ましくは12〜16重量%である。保護層4に含まれるケイ素の含有割合を上記範囲とすることにより、保護層4における硫黄系ガスの透過を、より有効に抑制することができるようになる。
本実施形態においては、保護層4の厚みは、10μm超、30μm未満であり、好ましくは10μm超20μm以下、より好ましくは10μm超15m以下である。保護層4の厚みが薄すぎると、反射層3の保護効果が不十分となってしまい、反射層3に変色が発生したり、汚れが生じやすくなったりするおそれがある。一方、保護層4の厚みが厚すぎると、得られる光反射板10の反射率が低下するおそれがある。
保護層4を形成する方法としては、特に限定されないが、たとえば、上記一般式(1)で表される化合物を使用して、反射層3上に該化合物の溶液(該化合物の分散液も含む)を垂らしてロールにより塗膜厚さを調整するロールコート法、反射層3を形成した基体1を該化合物の溶液に浸漬する浸漬法、反射層3を形成した基体1を搬送しながら反射層3上に該化合物の溶液を流すカーテンフロー法、該化合物の溶液を反射層3上に吹き付けるスプレー法、該化合物の溶液を反射層3上に塗布し、乾燥させるゾルゲル法、またはその他の塗布法により反射層3上に形成する方法などを用いることができる。
<下地層41および表層42>
本実施形態の光反射板10は、上述したように、単層の保護層4が、反射層3上に形成されたものであってもよいが、図4に示す光反射板10aのように、保護層4aが、下地層41および表層42からなり、このような保護層4aが反射層3上に形成されたものであってもよい。なお、保護層4aを構成する表層42は、上述した図1に示す保護層4と同様にして形成される。すなわち、表層42は、図1に示す保護層4と同様に、上述した化合物(有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物)を用いて形成される。表層42は、図4に示すように、下地層41を介して、反射層3上に形成される。下地層41は、反射層3を保護する作用、および反射層3と保護層4aとの密着性をより向上させる作用を有する。
下地層41を形成するための化合物としては、特に限定されないが、上述した保護層4を構成する化合物と同様に、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位を有する化合物が好ましい。有機高分子鎖としては、保護層4と同様に、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられ、アクリル樹脂が特に好ましい。
下地層41を形成するための化合物として、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位を有する化合物を用いる場合には、下地層41を形成するための具体的な化合物としては、たとえば、反射層3をより良好に保護し、かつ、反射層3と保護層4aとの密着性をより向上させることができるという観点より、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が、有機シロキサン構造(たとえば、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を主鎖とし、側鎖に有機基を有する構造)を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物が挙げられる。なお、このような有機シロキサン構造は、通常、湿気によって架橋構造を形成する湿気硬化性を有する。
有機シロキサン構造としては、特に限定されないが、たとえば、下記一般式(4)で表される構造が挙げられる。
(上記一般式(4)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または上記一般式(4)で表される単位である。すなわち、上記一般式(4)で表される単位においては、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を主鎖とし、側鎖としてRおよびRを有するものであり、この側鎖としてのRおよびRが、シロキサン結合を有する単位(上記一般式(4)で表される単位)であってもよい。また、pは1以上の整数である。)
有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が有機シロキサン構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物としては、特に限定されないが、たとえば、下記一般式(5)で表されるアミノ基変性有機高分子鎖、および下記一般式(6)で表されるエポキシ基変性シラン縮合物を反応させ、得られた反応物を架橋させてなる化合物が挙げられる。
(上記一般式(5)中、Polymerは有機高分子鎖であり、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基である。)
(上記一般式(6)中、R、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、qは1以上の整数である。)
上記一般式(5)で表されるアミノ基変性有機高分子鎖、および上記一般式(6)で表されるエポキシ基変性シラン縮合物を反応させて得られる反応物としては、たとえば、下記一般式(7)で表される反応物が挙げられる。
(上記一般式(7)中、Polymerは有機高分子鎖であり、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、qは1以上の整数である。)
また、上記一般式(7)で表される反応物を架橋させて得られる化合物(下地層41を構成することができる化合物)としては、下記一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
(上記一般式(8)中、Polymerは有機高分子鎖であり、R、R、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、qは1以上の整数である。)
本実施形態においては、保護層4aを構成する下地層41を、上記一般式(8)で表される化合物により形成することにより、得られる光反射板10aは、反射層3と保護層4aとの密着性をより向上させることが可能となる。
本実施形態においては、保護層4aの厚み(すなわち、下地層41および表層42の合計の厚み)は、10μm超、30μm未満となるようにすればよいが、下地層41自体の厚みは、好ましくは1μm以上、20μm未満、より好ましくは3〜15μm、さらに好ましくは4〜6μmである。また、表層42の厚みに対する下地層41の厚みの比(下地層41の厚み/表層42の厚み)は、好ましくは0.035〜1.97、より好ましくは0.11〜1.01、さらに好ましくは0.15〜0.59である。保護層4aの厚みや、表層42の厚みに対する下地層41の厚みの比(下地層41の厚み/表層42の厚み)を上記範囲とすることにより、反射層3の保護効果を十分なものとしながら、反射層3と保護層4aとの密着性をより向上させることができる。
なお、上述した例においては、下地層41を形成するために、上記一般式(5)で表されるアミノ基変性有機高分子鎖、および上記一般式(6)で表されるエポキシ基変性シラン縮合物を用いて得られる化合物を使用する例を挙げたが、本実施形態においては、下地層41を形成するための化合物としては、このような例に限定されない。たとえば、上記一般式(6)で表される化合物は、1官能のエポキシ樹脂(1分子中のエポキシ基の数が一つであるエポキシ樹脂)であるが、このような化合物に代えて、2官能、3官能または4官能以上の多官能エポキシ樹脂を用いてもよい。
たとえば、多官能エポキシ樹脂としては、下記一般式(9)で表される化合物を用いることができる。
(上記一般式(9)中、R、R15、R16、R17、R18、R19、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、rは0以上の整数、sは2以上の整数である。)
上記一般式(6)で表される化合物に代えて、上記一般式(9)で表される化合物を用いる場合には、この上記一般式(9)で表される化合物を、上記一般式(5)で表されるアミノ基変性有機高分子鎖と反応させて、下記一般式(10)で表される反応物を得て、この反応物を架橋させてなる化合物を、下地層41を形成するための化合物として用いることができる。
(上記一般式(10)中、R、R、R15、R16、R17、R18、R19、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、rは0以上の整数、sは2以上の整数である。)
なお、本実施形態においては、下地層41に含まれるケイ素の含有割合は、好ましくは1〜5重量%以下、より好ましくは2〜4重量%である。下地層41に含まれるケイ素の含有割合を上記範囲とすることにより、反射層3と保護層4aとの密着性をより向上させることができる。
下地層41を形成する方法としては、特に限定されないが、たとえば、上述した下地層41を形成するための化合物を準備して、反射層3上に該化合物の溶液(該化合物の分散液も含む)を垂らしてロールにより塗膜厚さを調整するロールコート法、反射層3を形成した基体1を該化合物の溶液に浸漬する浸漬法、反射層3を形成した基体1を搬送しながら反射層3上に該化合物の溶液を流すカーテンフロー法、該化合物の溶液を反射層3上に吹き付けるスプレー法、該化合物の溶液を反射層3上に塗布し、乾燥させるゾルゲル法、またはその他の塗布法により反射層3上に作製する方法などを用いることができる。
本実施形態の光反射板10によれば、反射層3上に形成する保護層4,4aとして、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、厚みが、10μm超、30μm未満である層を形成することにより、保護層4,4aの作用によって、硫化水素等の硫黄系ガスが反射層3に接触してしまうことを抑制することができ、これにより、得られる光反射板10について、長期間にわたって使用した場合においても、反射率の低下を抑制することができ、耐久性に優れたものとすることができる。
なお、上述した例においては、図1,4に示すように、第1バインダ層21を基体1と反射層3との間に形成する例を示したが、本実施形態においては、第1バインダ層21に代えて、または第1バインダ層21とともに、反射層3と保護層4,4aとの間に、第2バインダ層22を形成してもよい。たとえば、図5に示す光反射板10bのように、反射層3と保護層4aとの間に、第2バインダ層22を形成することができる。第2バインダ層22としては、特に限定されないが、上述した第1バインダ層21と同様に、有機樹脂材料および無機材料のうちいずれか1種、またはこれらの混合物を用いて、同様の方法により形成したものを用いることができる。
<光反射板10の製造方法>
次いで、本実施形態の光反射板10の製造方法の一例を説明する。
まず、基体1を構成するための金属板を準備し、基体1上に、上述した方法により第1バインダ層21を形成する。
次いで、第1バインダ層21上に、銀または銀合金からなる反射層3を形成する。以下においては、無電解めっき法により、銀または銀合金からなる反射層3を形成する方法について、説明する。
まず、第1バインダ層21の表面に、塩酸を含有する塩化第2錫、塩化第1錫および塩化第2鉄を含んだ水溶液(前処理溶液)を塗布することで、触媒としての錫を第1バインダ層21の表面に形成する。なお、前処理溶液としては、pHを2以下に調製したものを用いることが好ましい。次いで、イオン交換水または蒸留水を用いて錫を形成させた第1バインダ層21の表面を洗浄し、第1バインダ層21表面に残る前処理溶液を除去する。
なお、この際において、上記の前処理溶液を塗布する前に、第1バインダ層21の表面にコロナ放電処理を施すのが好ましい。本実施形態においては、コロナ放電処理を行う際の条件は、放電出力が、好ましくは0.1〜5kw、より好ましくは0.8〜2.4kwである。また、通板速度が、好ましくは1〜100m/min、より好ましくは5〜10m/minである。さらに、コロナ放電処理を行う対象の第1バインダ層21と、電極との距離は、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは2〜5mmである。本実施形態においては、放電出力、通板速度、および第1バインダ層21と電極との距離を上記範囲とすることにより、第1バインダ層21の表面が適度に活性化され、第1バインダ層21の表面に前処理溶液がぬれ広がり易くなり、触媒としての錫が良好に形成されることとなり、その結果として、第1バインダ層21と、第1バインダ層21上に形成される反射層3との密着性をより向上させることができ、得られる光反射板10は、強度に優れ、品質的に良好なものとなる。
次いで、第1バインダ層21の表面に、硝酸銀水溶液を塗布する。これにより第1バインダ層21の表面に析出した銀により、前処理溶液を用いて形成した錫が置換され、銀の始動核が形成される。次いで、イオン交換水または蒸留水を用いて第1バインダ層21の表面を洗浄し、第1バインダ層21表面に残る余剰の硝酸銀水溶液を除去する。
そして、銀の始動核が形成された第1バインダ層21表面に、スプレー噴射により、好ましくはpH10〜13のアンモニア性硝酸銀水溶液と、還元剤(例えば、硫酸ヒドラジニウム、グリオキサールなど)を含む好ましくはpH8〜12の還元剤水溶液とを同時に射出する。なお、この際においては、還元剤水溶液として、還元剤を水に溶解、あるいは希釈したものに水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にしたものを用いることが好ましい。そして、これにより、第1バインダ層21表面に形成した銀を始動核として、銀からなる反射層3を形成することができる。
次いで、イオン交換水または蒸留水を用いて洗浄を行い、反射層3の表面に残存しているアンモニア性硝酸銀水溶液と還元剤水溶液とを除去し、エアブローにて反射層3表面に付着している水滴を吹き飛ばし、その後、乾燥を行なう。乾燥条件は、たとえば、70℃、20分とすることができる。
なお、本実施形態においては、反射層3を形成する際には、上述したスプレー噴射方式に代えて、浸漬方式を用いてもよいし、さらには、上述した無電解めっき法に代えて、従来公知の電気めっき法や蒸着法などにより、反射層3を形成してもよい。
次いで、反射層3を形成した後、反射層3上に、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を用いて、保護層4を形成する。保護層4を形成する方法としては、上記化合物の溶液(該化合物の分散液も含む)を用いて、たとえば、上述したように、ロールコート法、浸漬法、カーテンフロー法、スプレー法、ゾルゲル法、またはその他の塗布法などの方法を用いることができる。この際においては、保護層4を形成した後、保護層4を乾燥させることが好ましい。乾燥温度は、好ましくは70〜250℃、より好ましくは、80〜150℃である。乾燥時間は、好ましくは5〜90分、より好ましくは、30〜60分である。
以上のようにして、本実施形態の光反射板10を製造することができる。
<採光装置>
本実施形態の採光装置100は、図6に示すように、太陽光を取り込む採光部101と、取り込んだ太陽光を導光する導光部102と、導光した太陽光を放射する放光部103と、を備える。なお、図6は、本実施形態の採光装置100の斜視図である。そして、採光装置100において、採光部101、導光部102及び放光部103の内面は、上述した光反射板10が設置された反射面からなる。反射面は、光反射板10自体により形成されたものであってもよいし、基材上に光反射板10が配置されたものでもよい。
本実施形態の採光装置100では、採光部101に設けられた採光口1011から取り込まれた太陽光が、採光装置100内で反射しながら導光部102を通って放光部103に導かれ、放光部103の放光口1031から目的箇所へ放射される構成となっている。
なお、採光口1011および放光口1031は、光が透過できる透明性の高い板、たとえば、透明ガラス板や透明樹脂板で構成することができる。あるいは、放光口1031は、このような透明性の高い板を設けずに単なる開口としてもよい。また、放光口1031には、拡散板を設置してもよく、この拡散板を通じて放光口1031から光を放射させることにより、放射される光をやわらかいものとすることができる。さらに、採光装置100としては、太陽光を効率的に取り込むために、採光口1011に太陽光を追尾する太陽光追尾装置や、集光レンズなどの集光装置を備えるものであってもよい。
また、図6に示す例においては、採光装置100は直方体形状(すなわち、水平方向で切断した場合の断面が四角形である形状)である例を示したが、採光装置100の形状はこのような形状に限定されず、たとえば、円筒形状、横断面が多角形の筒形状であってもよい。また、本実施形態の採光装置100は、図6に示すような直線形状に限定されず、屈曲した形状であってもよい。
このような構成を有する採光装置100は、たとえば、太陽光を導光して室内又は屋外に放射する照明装置として用いることができる。あるいは、採光装置100は、植物工場内で育てる植物(野菜、観葉植物など)や、水中の植物(海藻など)に太陽光を放射して光合成を促す光照射装置として用いることもできる。
たとえば、本実施形態の採光装置100は、図7に示すようにして、建物に組込むことで照明装置として用いることができる。図7は、採光装置100a,100b,100cを組込んだ建物の断面図である。図7では、L字型の採光装置100aと、縦型の採光装置100bと、横型の採光装置100cとがそれぞれ建物内に設置されている。
図7において、L字型の採光装置100aでは、採光口1011aから取り込まれた太陽光は、導光部102aで導光され、放光口1031aから、目的照射箇所である部屋SP1に放射される。また、縦型の採光装置100bでは、採光口1011bから取り込まれた太陽光は、導光部102bで導光され、放光口1031b1,1031b2から、目的照射箇所である廊下SP2,3にそれぞれ放射されるとともに、放光口1031b3から、目的照射箇所である部屋SP4に放射される。さらに、横型の採光装置100cでは、採光口1011cから取り込まれた太陽光は、導光部102cで導光され、放光口1031c1,1031c2から、目的照射箇所である部屋SP4に放射される。
本実施形態の採光装置は、上述した本実施形態の光反射板10を用いて得られるものであるため、長期間にわたって使用した場合においても、反射率の低下が抑制され、耐久性に優れるものである。そのため、照明装置や光照射装置などの各種採光装置として好適に用いることができる。
以下に、実施例を挙げて、本実施形態についてより具体的に説明するが、本実施形態は、これらの実施例に限定されない。
≪実施例1≫
基体1上に、アクリルウレタン系樹脂塗料(大橋化学工業社製)を主剤50g、硬化剤10g、シンナー140gの割合で配合し、乾燥後の厚さ7〜9μmとなるようにスプレー塗装により形成し、125℃で45分間乾燥することで、基体1上に第一バインダ層21を形成した。次いで、得られた第一バインダ層21上に、スプレー噴射による銀鏡反応により、反射層3として、厚さ80nmの銀めっき層を形成した。次いで、銀めっき層上に、上記一般式(1)で表される化合物である、アクリル−無機シリカハイブリッド系樹脂塗料(商品名「コンポセラン AC601」、荒川化学工業社製)を、乾燥後の厚さが10.7μmとなるようにスプレー塗装により形成し、120℃で15分間乾燥することで、保護層4を形成し、図1に示す構成を有する光反射板10を得た。なお、上記のアクリル−無機シリカハイブリッド系樹脂塗料は、厚さ10.7μmの膜とした場合に、酸素透過率が660cc/m・day・atm、比重が1.22g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が5.20重量%であった。そして、得られた光反射板10について、下記の方法にしたがい、硫黄系ガスに暴露された場合における予測耐久年数を評価した。
<予測耐久年数>
まず、光反射板10について、分光測色計(型式「CM−600d」、コニカミノルタ社製)を用いて、波長550nmの光の全反射率を、初期全反射率R1として測定した。次いで、光反射板10を、硫化水素ガス濃度を800体積ppmとした空気で充満された槽中に、温度37±3℃の条件にて静置し、2時間ごとに、光反射板10を取り出して、光反射板10の全反射率を測定して、測定した結果を暴露後全反射率R2として得た。そして、暴露後全反射率R2が、初期全反射率R1から5%減少した時間をtとした場合に、下記式にしたがって、光反射板10の予測耐久年数yを求めた。なお、実施例1においては、硫化水素ガス濃度を、1,400体積ppm、2,200体積ppmとした条件でも、それぞれ同様の方法で測定を行った。結果を図8に示す。
y=1.2146t-0.885
≪実施例2≫
実施例1と同様にして、基体1上に第1バインダ層21および反射層3を形成した後、反射層3上に、アクリルシリコン系樹脂塗料(商品名「ラスタートップ TDM」、大橋化学工業社製)を、主剤60g、硬化剤10g、シンナー200gの割合で配合し、乾燥後の厚さ5.1μmとなるようにスプレー塗装により形成し、90℃で30分間乾燥することで、下地層41を形成した。次いで、下地層41上に、実施例1で用いたアクリル−無機シリカハイブリッド系樹脂塗料を、乾燥後の厚さが5.7μmとなるようにスプレー塗装により形成し、120℃で15分間乾燥することで、表層42を形成することで、下地層41および表層42からなる保護層4aを形成し、図4に示す構成を有する光反射板10aを得た。そして、得られた光反射板10aについて、上記の方法にしたがい、予測耐久年数を評価した。なお、予測耐久年数を測定する際には、硫化水素ガス濃度を、それぞれ、100体積ppm、500体積ppm、1,000体積ppm、2,200体積ppmとし、測定を行った。結果を図8に示す。
≪実施例3≫
下地層41を、乾燥後の厚みが7.8μmとなるように形成した以外は、実施例2と同様にして、光反射板10aを得て、同様に測定を行った。結果を図8に示す。
≪実施例4≫
表層42を、乾燥後の厚みが10.7μmとなるように形成した以外は、実施例3と同様にして、光反射板10aを得て、同様に測定を行った。結果を図8に示す。
≪比較例1≫
下地層41を乾燥後の厚みが10.2μmとなるように形成し、下地層41上に表層42を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして、光反射板を得て、同様に測定を行った。なお、下地層41を形成するために使用した上記のアクリルシリコン系樹脂塗料は、厚さ10.2μmの膜とした場合に、酸素透過率が2,000cc/m・day・atm、比重が1.18g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が3.26重量%であった。また、予測耐久年数を測定する際には、硫化水素ガス濃度を、それぞれ、500体積ppm、1,000体積ppm、2,200体積ppmとし、測定を行った。結果を図8に示す。
図8に示すように、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を用いて保護層4,4aを形成し、保護層4,4aの厚み(保護層4の厚み、または保護層4aを構成する下地層41および表層42の合計の厚み)を10μm超、30μm未満とした場合には、得られる光反射板は、硫化水素ガスに曝された場合であっても、全反射率の低下が抑制されて、予測耐久年数を伸ばすことができ、耐久性に優れるものであった(実施例1〜4)。
一方、上記の本発明に特有の化合物を用いた保護層4,4aを形成しなかった場合には、得られる光反射板は、硫化水素ガスに曝された場合に、全反射率が低下してしまい、予測耐久年数が短くなり、耐久性に劣るものであった(比較例1)。
≪参考例1≫
実施例1と同様にして、基体1上に第1バインダ層21および反射層3を形成した後、反射層3上に、アクリル系樹脂塗料(商品名「アクリディック WXU−880」、DIC社製)を、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート塗装により形成し、80℃で30分間乾燥することで、樹脂膜を形成し、光反射板を得た。なお、上記のアクリル系樹脂塗料は、厚さ10μmの膜とした場合に、酸素透過率が1,100cc/m・day・atm、比重が1.14g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が1.98重量%であった。
≪参考例2≫
実施例1と同様にして、基体1上に第1バインダ層21および反射層3を形成した後、反射層3上に、アクリルシリコン系樹脂塗料(主剤:商品名「アクリディック XYZ−765」、硬化剤:商品名「アクリディック A−9598」、DIC社製)を、重量分量比が主剤100部に対して硬化剤26部として配合し、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート塗装により形成し、80℃で30分間乾燥することで、樹脂膜を形成し、光反射板を得た。なお、上記のアクリルシリコン系樹脂塗料は、厚さ10μmの膜とした場合に、酸素透過率が1,600cc/m・day・atm、比重が1.17g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が3.78重量%であった。
≪参考例3≫
実施例1と同様にして、基体1上に第1バインダ層21および反射層3を形成した後、反射層3上に、アクリルウレタン系樹脂塗料(商品名「アクリディック WMU−504」、硬化剤:商品名「バーノック DN−980」、DIC社製)を、重量分量比が主剤100部に対して硬化剤20部として配合し、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート塗装により形成し、80℃で30分間乾燥することで、樹脂膜を形成し、光反射板を得た。なお、上記のアクリルシリコン系樹脂塗料は、厚さ10μmの膜とした場合に、酸素透過率が480cc/m・day・atm、比重が1.17g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が1.96重量%であった。
≪参考例4≫
実施例1と同様にして、基体1上に第1バインダ層21および反射層3を形成した後、反射層3上に、ウレタン系樹脂塗料(商品名「nax マイティラックG−II KB型」、日本ペイント社製)を、専用硬化剤と重量分量比が主剤100部に対して硬化剤25部として配合し、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート塗装により形成し、80℃で30分間乾燥することで、樹脂膜を形成し、光反射板を得た。なお、上記のウレタン系樹脂塗料は、厚さ10μmの膜とした場合に、酸素透過率が1,700cc/m・day・atm、比重が1.12g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が1.12重量%であった。
≪参考例5≫
実施例1と同様にして、基体1上に第1バインダ層21および反射層3を形成した後、反射層3上に、フッ素系樹脂塗料(商品名「ゼッフル GK570」、ダイキン工業社製)を、イソシアネート系硬化剤(商品名「マイテック NY260A」、三菱化学社製)と重量分量比が主剤100部に対して硬化剤30部として配合し、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート塗装により形成し、80℃で30分間乾燥することで、樹脂膜を形成し、光反射板を得た。なお、上記のフッ素系樹脂塗料は、厚さ10μmの膜とした場合に、酸素透過率が1,900cc/m・day・atm、比重が1.21g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が0.68重量%であった。
≪参考例6≫
実施例1と同様にして、基体1上に第1バインダ層21および反射層3を形成した後、反射層3上に、フッ素系樹脂塗料(商品名「ボンフロン #2050」、AGCコーテック社製)を、専用硬化剤と重量分量比が主剤100部に対して硬化剤8部として配合し、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート塗装により形成し、80℃で30分間乾燥することで、樹脂膜を形成し、光反射板を得た。なお、上記のフッ素系樹脂塗料は、厚さ10μmの膜とした場合に、酸素透過率が1,300cc/m・day・atm、比重が1.34g/cm、JIS K 7209に準拠して測定される吸水率が0.28重量%であった。
実施例1、比較例1および参考例1〜6において、保護層4(比較例1については下地層41、参考例1〜6については樹脂膜)を形成するために使用した樹脂の酸素透過率は、それぞれ上述した値であり、これらの値をグラフにすると図9に示すものとなった。
また、実施例1、比較例1および参考例1〜6の光反射板について、硫化水素ガス濃度を1500体積ppmとした空気で充満された槽中に、温度37±3℃、2時間の条件にて静置することで硫化水素ガスに暴露し、その後、上記の方法にしたがい、光反射板10の全反射率を測定した。硫化水素ガス暴露後の全反射率は、それぞれ、92.0%(実施例1)、22.9%(比較例1)、79.2%(参考例1)、55.9%(参考例2)、91.7%(参考例3)、49.6%(参考例4)、83.9%(参考例5)、72.8%(参考例6)であった。硫化水素ガス暴露後の全反射率と、保護層4(比較例1については下地層41、参考例1〜6については樹脂膜)を形成するために使用した樹脂の酸素透過率、比重および吸水率との関係を、それぞれ図10〜12に示す。
10,10a,10b…光反射板
1…基体
21…第1バインダ層
22…第2バインダ層
3…反射層
4,4a…保護層
41…下地層
42…表層
100…採光装置
101…採光部
1011…採光口
102…導光部
103…放光部
1031…放光口

Claims (5)

  1. 基体と、
    基体上に形成され、銀または銀合金からなる反射層と、
    前記反射層上に形成され、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、厚みが、10μm超、30μm未満である保護層と、を備える光反射板。
  2. 前記保護層が、表層と、前記表層の下地として形成される下地層とを含む少なくとも2層からなり、
    前記表層が、前記有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が無機シリカ構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、
    前記下地層が、有機高分子鎖からなる複数の主鎖単位が有機シロキサン構造を介して架橋されてなる架橋構造を有する化合物を含有し、
    前記表層および前記下地層の合計の厚みが、10μm超、30μm未満である請求項1に記載の光反射板。
  3. 前記基体と前記反射層との間に、有機樹脂材料および無機材料のうちいずれか1種またはこれらの混合物からなる第1バインダ層をさらに備える請求項1または2に記載の光反射板。
  4. 前記反射層と前記保護層との間に、有機樹脂材料および無機材料のうちいずれか1種またはこれらの混合物からなる第2バインダ層をさらに備える請求項1〜3のいずれかに記載の光反射板。
  5. 光を取り込む採光部と、前記採光部から取り込んだ光を導く導光部と、前記導光部により導かれた光を目的箇所に放射する放光部と、前記取り込んだ光の少なくとも一部を反射する反射面と、を備える採光装置であって、
    前記反射面に、請求項1〜4のいずれかに記載の光反射板が設置されてなる採光装置。
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