JP2018105670A - プリント配線板用プリプレグの評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プリプレグの寸法安定性を正しく評価できる評価方法を提供する。
【解決手段】 評価対象となるプリプレグから同形状の2枚の試験片を切り出す工程1と、前処理工程2として該2枚の試験片のうちの一方を室温から100℃まで昇温する雰囲気下で乾燥処理を施すことで内部に含まれる水分を除いて乾燥プリプレグを生成する工程2A、及び該2枚の試験片のうちの他方を相対湿度40〜85%の雰囲気下で吸湿処理を施して吸湿プリプレグを生成する工程2Bと、該乾燥プリプレグ及び該吸湿プリプレグの各々に対して熱機械分析装置を用いて雰囲気温度を150℃以上200℃以下まで昇温させながら寸法変化率を測定する工程3と、該測定により得た該吸湿プリプレグの寸法変化率から該乾燥プリプレグの寸法変化率を温度毎に差し引くことで脱水による寸法変化率を算出する工程4とからなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プリント配線板の材料として使用されるプリプレグの寸法安定性の評価方法に関し、特にプリプレグの脱水による寸法変化率を、熱機械分析の測定結果に基づいて評価する方法に関する。
プリント配線板は銅張積層板をパターニング加工することで作製されており、この銅張積層板の材料としてプリプレグが用いられている。プリプレグは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物を溶媒で希釈し、これを紙、ガラスクロス等の基材に含浸させた後、乾燥処理により未硬化状態(Aステージ)から半硬化状態(Bステージ)に変化させることにより作製される。得られたプリプレグを所定の寸法に切断した後、必要枚数を重ね、その片面又は両面に更に銅箔を重ねて両側から加熱加圧することにより銅張積層板が作製される。この加熱加圧の時、熱硬化性樹脂は半硬化状態(Bステージ)から完全硬化状態(Cステージ)に変化し、基材と一体化した絶縁層が形成される。
上記のようにプリプレグを用いて作製した銅張積層板は、上記作製時に外部からかかる圧力や樹脂の流動による残留応力の影響を受け、プリント配線板として成形した後に寸法変化(寸法挙動)や反りが発生することがあった。そこで、この寸法変化等を予め評価するため、種々の測定法が提案されている。例えば特許文献1には、所定形状に成形したプリプレグに張力を加えながら一定の昇温速度で所定の温度まで加熱し、その加熱時又は加熱後のプリプレグの寸法変化を測定することで寸法安定性を評価する方法が提案されている。
また、非特許文献1には、熱機械分析(TMA:Thermo Mechanical Analysis)装置を用いて銅張積層板のベースフィルムの寸法変化率を測定し、これにより銅張積層板の品質を評価する手法が記載されている。この手法は、銅張積層板の銅箔をエッチングにより全面的に除去し、得られたプラスチックフィルムに複数の穴をあけてTMA装置で加熱処理を行い、この加熱処理前後での穴間隔の変化を測定して寸法変化率を算出するものである。
特開2002−365044号公報
JIS C 6481(プリント配線板用銅張積層板の試験方法)
前述したように、プリプレグでは含浸した樹脂が半硬化状態にあるため、完全硬化状態の樹脂と比較すると吸湿性が高く、熱機械分析装置による寸法変化の測定の際に加熱されるとプリプレグから脱水が生じ、これが測定結果に影響を及ぼすことがあった。そのため、特定の温度及び時間で加熱処理した時の常温時に対する寸法変化率で評価する特許文献1の方法では、評価対象のプリプレグが同じであっても吸湿状態によって評価結果にばらつきが生じることがあった。
また、非特許文献1の評価方法においても、常温の樹脂フィルムに対して単に特定の温度及び時間で加熱処理した時の寸法変化率を測定して評価を行うものであるため、樹脂フィルムに一般的に含まれる水分が加熱処理の際に脱水した時、寸法変化にどの程度影響を及ぼすかについて把握することができなかった。
本発明者らは、このような従来の測定方法が抱える問題点に鑑み、加熱により脱水が生じてもプリプレグの寸法安定性を正確に評価できる方法について鋭意検討を重ねた結果、評価対象のプリプレグから同サイズの試験片を2枚切り出してそれぞれ乾燥処理及び吸湿処理を施した後、それらを同じ条件下で熱機械分析して測定結果を比べることにより正確に寸法安定性を評価できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のプリント配線板用プリプレグの評価方法は、評価対象となるプリプレグから同形状の2枚の試験片を切り出す工程1と、前処理工程2として該2枚の試験片のうちの一方を室温から100℃まで昇温する雰囲気下で乾燥処理を施すことで内部に含まれる水分を除いて乾燥プリプレグを生成する工程2A、及び該2枚の試験片のうちの他方を相対湿度40〜85%の雰囲気下で吸湿処理を施して吸湿プリプレグを生成する工程2Bと、該乾燥プリプレグ及び該吸湿プリプレグの各々に対して熱機械分析装置を用いて雰囲気温度を150℃以上200℃以下まで昇温させながら寸法変化率を測定する工程3と、該測定により得た該吸湿プリプレグの寸法変化率から該乾燥プリプレグの寸法変化率を温度毎に差し引くことで脱水による寸法変化率を算出する工程4とからなることを特徴としている。
本発明によれば、プリプレグの加熱時の脱水による寸法変化率が得られるので、プリント配線板の材料に使用する際の耐熱性の指標となるプリプレグの寸法安定性について予め把握しておくことが可能になる。
本発明の評価方法の工程フロー図である 本発明の評価方法の評価対象となるプリプレグの基材の一具体例であるガラス布の模式的な平面図である。 図2のガラス布からなる長尺状プリプレグから試験片を切り出す際の様子を模式的に示す斜視図である。 実施例1の熱機械分析時の乾燥プリプレグの寸法変化率及びその雰囲気温度の昇温パターンを横軸を時間にとってプロットしたグラフである。 (a)は実施例1の吸湿プリプレグの熱機械分析時の寸法変化率及びその雰囲気温度の昇温パターンを横軸を時間にとってプロットしたグラフであり、(b)はその脱水による寸法変化率及びその雰囲気温度の昇温パターンを横軸を時間にとってプロットしたグラフである。 (a)は実施例2の吸湿プリプレグの熱機械分析時の寸法変化率及びその雰囲気温度の昇温パターンを横軸を時間にとってプロットしたグラフであり、(b)はその脱水による寸法変化率及びその雰囲気温度の昇温パターンを横軸を時間にとってプロットしたグラフである。
以下、本発明のプリプレグの評価方法の一具体例について説明する。この本発明の一具体例のプリプレグの評価方法は、評価対象となるプリント配線板用の銅張積層板用の材料として使用されるプリプレグから同形状の2枚の試験片を切り出す工程1と、前処理工程2として該2枚の試験片のうちの一方を室温から100℃まで昇温する雰囲気下で乾燥処理を施すことで内部に含まれる水分を除いて乾燥プリプレグを生成する工程2A、及び該2枚の試験片のうちの他方を相対湿度40〜85%の雰囲気下で吸湿処理を施して吸湿プリプレグを生成する工程2Bと、該乾燥プリプレグ及び該吸湿プリプレグの各々に対して熱機械分析装置を用いて雰囲気温度を150℃以上200℃以下まで昇温させながら寸法変化率を測定する工程3と、該測定により得た該吸湿プリプレグの寸法変化率から該乾燥プリプレグの寸法変化率を温度毎に差し引くことで脱水による寸法変化率を算出する工程4とからなる。上記の工程1〜4を図1に示す工程フローに沿って行うことによって、該プリプレグの寸法安定性を予め正しく評価することができる。以下、上記の各工程について詳細に説明する。
[プリプレグの作製]
本発明の評価方法の評価対象となるプリプレグは、銅張積層板用として一般に使用されているものであり、その基材の種類や熱硬化性樹脂の種類については特に制約はないが、一般的には炭素繊維、ガラス繊維、紙などの補強材としての役割を担う基材に対して、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂を溶剤で希釈したものを含浸させ、乾燥処理により該溶剤を揮発させて半硬化状態にしたものが用いられる。なお、具体的な熱硬化性樹脂の種類は、使用する基材に合わせて適宜選択される。また、上記乾燥処理は、溶剤は揮発させるが、熱硬化性樹脂は硬化しない程度の雰囲気温度で乾燥処理が行われる。
[工程1 試験片の切出し]
本発明の評価方法の対象となるプリプレグは一般に厚みが0.2〜1mmであり、長尺状の形態を有している。従って、プリプレグの評価に際して、先ず長尺状のプリプレグから、幅2〜6mm×長さ15〜50mm程度の2枚の同じサイズの矩形の試験片(未処理プリプレグ)を切り出す。これら2枚の矩形の試験片を切り出す際は、それらの長手方向が両方とも長尺状プリプレグのMD方向又はTD方向に略一致するように切り出すのが好ましい。その理由は、例えばプリプレグの基材が図2に示すようなガラス繊維の場合、図3に示すように長尺状プリプレグではガラス繊維の延在方向がMD方向及びTD方向に略一致しているので、点線a又は点線bのように試験片を切り出すことで繊維の延在方向に矩形の試験片の長手方向を合わせることができる。これにより、よりバラつきの少ない評価を行うことができる。
[工程2 前処理]
[工程2A 乾燥処理]
次に、上記工程1で切り出した2枚の試験片(未処理プリプレグ)のうちの一方に対して、その雰囲気温度を水の沸点である100℃まで昇温させ、そのまま5分以上保持することで乾燥処理を施す。この乾燥処理の終了後、必要に応じて冷却処理を行うことで室温まで戻す。これにより、未処理プリプレグ中に含まれる水分が除去された乾燥プリプレグが得られる。
[工程2B 吸湿処理]
また、上記工程1で切り出した2枚の未処理プリプレグのうちのもう一方に対して、所定の温度及び湿度条件の雰囲気下に所定の時間曝すことにより吸湿処理を施す。これにより吸湿プリプレグが得られる。吸湿処理の条件は特に限定はないが、温度を50〜80℃の範囲内、相対湿度を40%〜80%の範囲内に設定した恒温恒湿槽内で、1〜7日間かけて行うことが好ましい。
[工程3 寸法変化率の測定・算出]
次に、上記工程2で前処理をした2種類の試験片に対して、各々TMA装置を用いて加熱しながら長手方向に引張荷重をかけることで寸法変化率の測定を行う。具体的には、上記工程2で前処理された乾燥プリプレグ及び吸湿プリプレグの各試験片に対して、その長手方向の両端部にTMA装置の測定チャックを取り付ける。そして、雰囲気温度を室温から好ましくは150℃以上200℃以下の範囲内、より好ましくは180℃まで昇温させながら、試験片をその長手方向に所定の引張荷重をかけて引っ張って該長手方向の長さを一定の時間間隔毎に又は一定の温度間隔毎に測定する。
上記の昇温速度は20℃/分以上が好ましい。昇温速度が20℃/分未満では、到達温度までに要する時間が長くかかりすぎるため、脱水による寸法変化率を正しく算出できなくなるおそれがある。また、上記引張荷重は3g以上7g未満が好ましく、5gがより好ましい。この荷重が3g未満では試験片の保持が不十分になって測定データに振動によるノイズが加わりやすくなり、測定精度が低下するおそれがある。一方、荷重が7gを超えると試験片が過剰に引っ張られるため、精度の高い測定ができなくなるおそれがある。
そして、上記にて得た測定結果から乾燥プリプレグ及び吸湿プリプレグの各々の寸法変化率を算出する。具体的には、変形前(室温時)の乾燥プリプレグの長さをL(乾燥)、雰囲気温度が基準温度の例えば30℃から昇温してt分経過後の変形により伸びた乾燥プリプレグの長さをL(乾燥)として下記式1により寸法変化率ΔL(乾燥)を算出する(工程3A)。
[式1]
ΔL(乾燥)=[L(乾燥)−L(乾燥)]/L(乾燥)×100
同様に、変形前(室温時)の吸湿プリプレグの長さをL(吸湿)、雰囲気温度が基準温度の例えば30℃から昇温してt分経過後の変形により伸びた吸湿プリプレグの長さをL(吸湿)として下記式2により寸法変化率ΔL(吸湿)を算出する(工程3B)。
[式2]
ΔL(吸湿)=[L(吸湿)−L(吸湿)]/L(吸湿)×100
そして、横軸を時間にとって寸法変化率ΔL(乾燥)及び寸法変化率ΔL(吸湿)の各々を雰囲気温度の昇温パターンと共にプロットすることで各プリプレグの寸法変化率の温度による変化プロフィールが得られる。なお、上記のTMA測定は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。その理由は、酸素を含むガス雰囲気では、100℃以上の温度でプリプレグが酸化されて変質するおそれがある。また、乾燥プリプレグと吸湿プリプレグの寸法変化率の測定は同条件で行うことが好ましい。
上記の2種類のプリプレグのうち、乾燥プリプレグの寸法変化率の測定は、工程2Aの乾燥処理後に素早く行うことが好ましく、特に工程2Aの乾燥処理をTMA装置内で行った後、引き続き同じTMA装置内でそのまま寸法変化率の測定を行うのがより好ましい。これにより乾燥処理されたプリプレグに再度水分が吸着するのを抑えることができ、寸法変化率をより正確に測定することが可能になる。
[工程4 脱水による寸法変化率の算出]
次に、下記式3に示すように、上記工程3で得た吸湿プリプレグの寸法変化率ΔL(吸湿)から乾燥プリプレグの寸法変化率ΔL(乾燥)を差し引くことで、脱水による寸法変化率ΔL(脱水)を得ることができる。ここで、上記ΔL(吸湿)及びΔL(乾燥)は同じ条件で雰囲気温度を昇温させた場合の寸法変化率なので、下記式2の脱水による寸法変化率ΔL(脱水)は、吸湿プリプレグの寸法変化率から乾燥プリプレグの寸法変化率を温度毎に差し引いていることになる。
[式3]
ΔL(脱水)=ΔL(吸湿)−ΔL(乾燥)
上記のように、吸湿プリプレグの寸法変化率から乾燥プリプレグの寸法変化率を温度毎に差し引くことで、プリプレグの昇温時の脱水に起因する寸法変化率が得られる。これにより、プリプレグをプリント配線板の材料に使用する際の耐熱性の指標となる寸法安定性について予め把握しておくことが可能になる。次に、本発明の評価方法の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
[試験片の切出し(工程1)]
三菱ガス化学株式会社製のガラス繊維からなる長尺状プリプレグ(GHPL−830NX TypeA)を用意し、そこから2枚の同サイズ(幅5mm×長さ25mm)の矩形の試験片(以下、未処理プリプレグ)を、それらの長手方向が共に長尺状プリプレグのMD方向を向くように切り出した。
[乾燥処理(工程2A)及び寸法変化率の測定(工程3A)]
上記工程1で切り出した2枚の未処理プリプレグのうちの一方をTMA装置(ブルカー・エイエックス株式会社製、TMA 4030SA)内に装入し、その長手方向の両端部に測定チャックを取り付けた。そして、窒素雰囲気下で雰囲気温度を20℃/分の昇温速度で30℃から100℃まで昇温し、100℃に到達した後はそのまま5分間保持して未処理プリプレグ内に含まれる水分を除去した。その後、雰囲気温度を25℃まで下げて乾燥プリプレグを作製した(工程2A)。
この乾燥プリプレグをTMA装置に装着したまま、引き続き雰囲気温度を20℃/分の昇温速度で180℃まで昇温すると共に、試験片の長手方向に5gの引張荷重がかかるようにした。180℃に到達後はそのまま30分間保持した。この昇温及び保持の際の乾燥プリプレグの長手方向の長さを測定し、上記式1により寸法変化率ΔL(乾燥)を算出した(工程3A)。なお、雰囲気温度は試験片から約5mm離れた場所に設置した熱電対で測定した。
[吸湿処理(工程2B)及び寸法変化率の測定(工程3B)]
上記工程1で切り出した2枚の未処理プリプレグのうちのもう一方に対しては、恒温恒湿槽にて雰囲気の温度23℃、相対湿度85%の条件下に96時間曝露させて吸湿プリプレグを作製した(工程2B)。この吸湿プリプレグを上記乾燥プリプレグの場合と同じTMA装置内に装入し、その長手方向の両端部に測定チャックを取り付けた。以降は上記乾燥プリプレグと同様にして窒素雰囲気下で昇温しながら吸湿プリプレグの長手方向の長さを測定し、上記式2により寸法変化率ΔL(吸湿)を算出した。(工程3B)
上記にて算出した寸法変化率ΔL(乾燥)及び寸法変化率ΔL(吸湿)を横軸を時間にとって雰囲気温度の昇温パターンと共にプロットしたグラフをそれぞれ図4及び図5(a)に示す。なお、これらグラフの横軸の時間は、昇温を開始して雰囲気温度が30℃に達してからの経過時間である。更に、図5(a)に示す吸湿プリプレグの寸法変化率ΔL(吸湿)から図4に示す乾燥プリプレグの寸法変化率ΔL(乾燥)を温度毎に差し引いて脱水による寸法変化率ΔL(脱水)を求め、横軸を時間にとってこのΔL(脱水)を雰囲気温度の昇温パターンと共にプロットしたグラフを図5(b)に示す。この図5(b)のグラフから、実施例1の条件で吸湿させたプリプレグは、30℃から180℃までの昇温時の脱水により約0.05%収縮することが分かる。
[実施例2]
工程2Bの吸湿処理時の相対湿度を85%に代えて55%にした以外は上記実施例1と同様にして吸湿プリプレグを作製し、TMA装置で加熱しながら長手方向の長さを測定した。この場合の寸法変化率ΔL(吸湿)を、横軸を時間にとって雰囲気温度の昇温パターンと共にプロットしたグラフを図6(a)に示す。また、図6(a)に示す吸湿プリプレグの寸法変化率から上記実施例1の図4に示す乾燥プリプレグの寸法変化率を温度毎に差し引いて脱水による寸法変化率ΔL(脱水)を求め、横軸を時間にとってこのΔL(脱水)を雰囲気温度の昇温パターンと共にプロットしたグラフを図6(b)に示す。この図6(b)のグラフから、実施例2の条件で吸湿させたプリプレグは、30℃から180℃までの昇温時の脱水により約0.035%収縮することが分かる。
[比較例]
実施例1で評価したものと同じ三菱ガス化学社製のプリプレグGHPL−830NXから、JIS C 6481の手法に準拠して2枚の300×300mmの試験片を切り出し、各々縦方向に互いに離間する2つの内径1.0mmの穴をあけた。この2枚の試験片のうちの一方は温度23℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽内に96時間放置して吸湿処理し、もう一方は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿槽に96時間放置して吸湿処理した。
次に、上記吸湿処理後の2枚の試験片の各々に対して上記2つの穴の間隔を測定した後、150℃、30分間の加熱処理を行い、再度上記2つの穴の間隔を測定した。そして、加熱処理前の穴間隔をL、加熱処理後の穴間隔をLして下記式4により寸法変化率ΔLを算出した
[式4]
寸法変化率ΔL=(L−L)/L×100
その結果、85%で処理したものは寸法変化率ΔLが0.047%であり、55%で処理したものは寸法変化率ΔLが0.025%であった。このように、加熱処理前のプリプレグに含まれる含水率が異なると、その影響を受けて寸法変化率が大きく異なることが分かる。


Claims (1)

  1. プリント配線板用プリプレグの評価方法であって、評価対象となるプリプレグから同形状の2枚の試験片を切り出す工程1と、前処理工程2として該2枚の試験片のうちの一方を室温から100℃まで昇温する雰囲気下で乾燥処理を施すことで内部に含まれる水分を除いて乾燥プリプレグを生成する工程2A、及び該2枚の試験片のうちの他方を相対湿度40〜85%の雰囲気下で吸湿処理を施して吸湿プリプレグを生成する工程2Bと、該乾燥プリプレグ及び該吸湿プリプレグの各々に対して熱機械分析装置を用いて雰囲気温度を150℃以上200℃以下まで昇温させながら寸法変化率を測定する工程3と、該測定により得た該吸湿プリプレグの寸法変化率から該乾燥プリプレグの寸法変化率を温度毎に差し引くことで脱水による寸法変化率を算出する工程4とからなることを特徴とするプリプレグの評価方法。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20230204530A1 (en) * 2021-12-23 2023-06-29 Showa Denko Materials Co., Ltd. Method of measuring physical properties, method of evaluating member, method of manufacturing electronic component device, method of manufacturing material for electronic component device, and physical property measurement system
US12130247B2 (en) * 2021-12-23 2024-10-29 Resonac Corporation Method of measuring physical properties, method of evaluating member, method of manufacturing electronic component device, method of manufacturing material for electronic component device, and physical property measurement system

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