JP2018105458A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Shigeaki Fukushima
茂明 福島
奈都子 永井
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奈都子 永井
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【課題】アンギュラ玉軸受が低予圧状態であるときの走行燃費の向上と、アンギュラ玉軸受が高予圧状態であるときの走行安定性の向上と、をともに実現できる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】外方部材2に形成された外側転走面2dと転動体4の接点Xおよび内輪32に形成された内側転走面3dと転動体4の接点Yを結ぶ仮想線Zが径方向外側へ向かうにつれてアウター側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成するとともにハブ輪31に自在継手7の軸体7aが嵌入されて自在継手7を介して回転動力が伝達される車輪用軸受装置1において、内輪32と自在継手7の対向面間に介装されるトルクカム機構8を具備し、トルクカム機構8は、対向面間における位相が相対変化すると軸方向への押力Pを発揮して内輪32をアウター側へ付勢する、とした。【選択図】図10

Description

本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来より、車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている(特許文献1参照)。車輪用軸受装置は、懸架装置を構成するナックルに外方部材が固定される。また、車輪用軸受装置は、外方部材の内側に内方部材が配置され、外方部材と内方部材のそれぞれの転走面間に複数の転動体が介装されている。こうして、車輪用軸受装置は、転がり軸受構造を構成し、内方部材に取り付けられた車輪を回転自在としているのである。
ところで、このような車輪用軸受装置は、転がり軸受構造の一態様であるアンギュラ玉軸受を構成しており、転動体のガタつきを抑えるために予圧が掛けられている。そのため、それぞれの転走面と転動体の接点で予圧に応じた荷重が掛かり、ひいては転がり抵抗を生じている。従って、アンギュラ玉軸受を構成する車輪用軸受装置は、低予圧状態のときに転動体の転がり抵抗が小さくなり、走行燃費が向上するのである。
加えて、このような車輪用軸受装置は、負荷が掛かると、その負荷に応じた弾性変形を生じる。例えば車体の旋回運動によって車輪を介して負荷が掛かると、その負荷に応じた弾性変形を生じる。また、負荷が掛かった際の弾性変形量が小さいことを軸受剛性が高いといい、アンギュラ玉軸受が低予圧状態のときよりも高予圧状態のときに軸受剛性が高くなることが知られている。従って、アンギュラ玉軸受を構成する車輪用軸受装置は、高予圧状態のときに軸受剛性が高くなり、走行安定性が向上するのである。
以上より、アンギュラ玉軸受が低予圧状態であるときの走行燃費の向上と、アンギュラ玉軸受が高予圧状態であるときの走行安定性の向上と、をともに実現できる車輪用軸受装置が求められていたのである。
特開2015−224655号公報
アンギュラ玉軸受が低予圧状態であるときの走行燃費の向上と、アンギュラ玉軸受が高予圧状態であるときの走行安定性の向上と、をともに実現できる車輪用軸受装置を提供する。
第一の発明は、
二つの外側転走面が形成された外方部材と、
軸方向に小径段部が設けられたハブ輪、および前記小径段部に外嵌される内輪からなり、前記ハブ輪と前記内輪のそれぞれに内側転走面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複数の転動体と、を備え、
前記外方部材に形成された前記外側転走面と前記転動体の接点および前記内輪に形成された前記内側転走面と前記転動体の接点を結ぶ仮想線が径方向外側へ向かうにつれてアウター側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成するとともに前記ハブ輪に自在継手の軸体が嵌入されて該自在継手を介して回転動力が伝達される車輪用軸受装置において、
前記内輪と前記自在継手の対向面間に介装されるトルクカム機構を具備し、
前記トルクカム機構は、前記対向面間における位相が相対変化すると軸方向への押力を発揮して前記内輪をアウター側へ付勢する、ものである。
第二の発明は、第一の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記トルクカム機構は、前記内方部材の回転軸を中心とする円弧線分に沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部と該ランプ部に接するボールで構成されており、前記対向面間における位相が相対変化すると前記ランプ部に沿って前記ボールが押し出されて軸方向への押力を発揮する、ものである。
第三の発明は、第二の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記トルクカム機構は、前記ランプ部の周方向一側への傾斜角度と周方向他側への傾斜角度が相違し、前記対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力と前記対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力が異なる、ものである。
第四の発明は、第一の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記トルクカム機構は、前記内方部材の回転軸を中心とする円弧線分に沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部と該ランプ部に接するフォロワ部で構成されており、前記対向面間における位相が相対変化すると前記ランプ部に沿って前記フォロワ部が押し出されて軸方向への押力を発揮する、ものである。
第五の発明は、第四の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記トルクカム機構は、前記ランプ部の周方向一側への傾斜角度と周方向他側への傾斜角度が相違し、前記対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力と前記対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力が異なる、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
第一の発明に係る車輪用軸受装置は、外方部材に形成された外側転走面と転動体の接点および内輪に形成された内側転走面と転動体の接点を結ぶ仮想線が径方向外側へ向かうにつれてアウター側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成するとともにハブ輪に自在継手の軸体が嵌入されて自在継手を介して回転動力が伝達されるものである。また、本車輪用軸受装置は、内輪と自在継手の対向面間に介装されるトルクカム機構を具備している。そして、トルクカム機構は、対向面間における位相が相対変化すると軸方向への押力を発揮して内輪をアウター側へ付勢する。かかる車輪用軸受装置によれば、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際にはアンギュラ玉軸受が低予圧状態となり、車両が急激な加減速走行をしている際にはアンギュラ玉軸受が高予圧状態となる。従って、アンギュラ玉軸受が低予圧状態であるときの走行燃費の向上と、アンギュラ玉軸受が高予圧状態であるときの走行安定性の向上と、をともに実現できる。
第二の発明に係る車輪用軸受装置において、トルクカム機構は、内方部材の回転軸を中心とする円弧線分に沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部とランプ部に接するボールで構成されており、対向面間における位相が相対変化するとランプ部に沿ってボールが押し出されて軸方向への押力を発揮する。かかる車輪用軸受装置によれば、簡素な構造でありながら確実に、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際の低予圧状態と車両が急激な加減速走行をしている際の高予圧状態を実現できる。
第三の発明に係る車輪用軸受装置において、トルクカム機構は、ランプ部の周方向一側への傾斜角度と周方向他側への傾斜角度が相違し、対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力と対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力が異なる。かかる車輪用軸受装置によれば、加速走行時における高予圧状態と減速走行時における高予圧状態に差異を設けることができる。
第四の発明に係る車輪用軸受装置において、トルクカム機構は、内方部材の回転軸を中心とする円弧線分に沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部とランプ部に接するフォロワ部で構成されており、対向面間における位相が相対変化するとランプ部に沿ってフォロワ部が押し出されて軸方向への押力を発揮する。かかる車輪用軸受装置によれば、簡素な構造でありながら確実に、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際の低予圧状態と車両が急激な加減速走行をしている際の高予圧状態を実現できる。
第五の発明に係る車輪用軸受装置において、トルクカム機構は、ランプ部の周方向一側への傾斜角度と周方向他側への傾斜角度が相違し、対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力と対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力が異なる。かかる車輪用軸受装置によれば、加速走行時における高予圧状態と減速走行時における高予圧状態に差異を設けることができる。
車輪用軸受装置を示す斜視図。 車輪用軸受装置を示す断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す断面図。 車輪用軸受装置を構成する内方部材と自在継手の連結構造を示す組立図。 車輪用軸受装置の要部構造を示す断面図。 第一実施形態のトルクカム機構を示す投影図および一部構造を示す断面図。 トルクカム機構の軸受側板と継手側板の位相の相対変化を示す断面図。 トルクカム機構の機能を示す断面図。 トルクカム機構の機能を示す断面図。 トルクカム機構に適用し得る一部構造の位相の相対変化を示す断面図。 第二実施形態のトルクカム機構を示す投影図および一部構造を示す断面図。 トルクカム機構の軸受側板と継手側板の位相の相対変化を示す断面図。 トルクカム機構の機能を示す断面図。 トルクカム機構の機能を示す断面図。 トルクカム機構に適用し得る一部構造の位相の相対変化を示す断面図。
以下に、図1から図4を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置1について説明する。図1は、車輪用軸受装置1を示す斜視図である。図2は、車輪用軸受装置1を示す断面図である。図3および図4は、車輪用軸受装置1の一部構造を示す断面図である。
車輪用軸受装置1は、車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材2と、内方部材3と、転動体4と、インナー側シール部材5と、アウター側シール部材6と、を備える。なお、以下において、「インナー側」とは、車体に取り付けられた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、「アウター側」とは、車体に取り付けられた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、「径方向外側」とは、内方部材3の回転軸Lから遠ざかる方向を表し、「径方向内側」とは、内方部材3の回転軸Lに近づく方向を表す。
外方部材2は、転がり軸受構造の外輪部分を構成するものである。外方部材2は、例えばS53C等の中高炭素鋼で構成されている。外方部材2のインナー側端部には、封止面2aが形成されている。また、外方部材2のアウター側端部には、封止面2bが形成されている。更に、外方部材2の内周には、二つの外側転走面2c・2dが形成されている。外側転走面2cは、後述する内側転走面3cに対向する。外側転走面2dは、後述する内側転走面3dに対向する。なお、外側転走面2c・2dには、高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、外方部材2の外周には、ナックル取り付けフランジ2eが一体的に形成されている。ナックル取り付けフランジ2eには、複数のボルト穴2fが設けられている。
内方部材3は、転がり軸受構造の内輪部分を構成するものである。内方部材3は、ハブ輪31と内輪32で構成されている。
ハブ輪31は、例えばS53C等の中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪31には、そのインナー側端部から軸方向中央部まで小径段部3aが形成されている。小径段部3aは、ハブ輪21の外径が小さくなった部分を指し、その外周面が回転軸Lを中心とする円筒形状となっている。また、ハブ輪31には、そのインナー側端部からアウター側端部まで貫かれた自在継手取付穴3bが形成されている。自在継手取付穴3bは、ハブ輪31の中心に設けられた貫通穴を指し、その内周面における一部が凹部と凸部が交互に並ぶ凹凸形状(図示せず:スプライン穴)となっている。更に、ハブ輪31の外周には、内側転走面3cが形成されている。内側転走面3cは、前述した外側転走面2cに対向する。なお、ハブ輪31は、小径段部3aから内側転走面3cを経てシールランド部(後述する軸面部3eと曲面部3fと側面部3gで構成される)まで高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、ハブ輪31の外周には、車輪取り付けフランジ3hが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ3hには、複数の貫通穴3iが設けられ、それぞれの貫通穴3iにハブボルト33が圧入されている。
内輪32は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。内輪32の外周には、封止面3jが形成されている。また、内輪32の外周には、内側転走面3dが形成されている。内輪32は、ハブ輪31の小径段部3aに外嵌されることにより、ハブ輪31の外周に内側転走面3dを構成する。内側転走面3dは、前述した内側転走面2dに対向する。なお、内輪32は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、内輪32は、いわゆるしまり嵌めで小径段部3aに外嵌される。
転動体4は、転がり軸受構造の転動部分を構成するものである。転動体4は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。インナー側の転動体列4Rは、複数の転動体4が保持器によって環状に配置されたものである。それぞれの転動体4は、外方部材2の外側転走面2dと内方部材3の内側転走面3dの間に転動自在に介装されている。一方で、アウター側の転動体列4Rも、複数の転動体4が保持器によって環状に配置されたものである。それぞれの転動体4は、外方部材2の外側転走面2cと内方部材3の内側転走面3cの間に転動自在に介装されている。なお、転動体4は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで62〜67HRCの範囲となるように硬化処理されている。
インナー側シール部材5は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのインナー側端部を密封するものである。インナー側シール部材5は、スリンガ51とシールリング52で構成されている。
スリンガ51は、内輪32の封止面3jに外嵌される。スリンガ51は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。スリンガ51は、円環状の鋼板がプレス加工によって変形され、軸方向断面が直角に折り曲げられた形状となっている。これにより、スリンガ51は、円筒状の嵌合部51aと、その端部から径方向外側に向かって延びる円板状の側板部51bと、が形成されている。
シールリング52は、外方部材2の封止面2aに内嵌される。シールリング52は、芯金53とシールゴム54で構成されている。芯金53は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金53は、円環状の鋼板がプレス加工によって変形され、軸方向断面が直角に折り曲げられた形状となっている。これにより、芯金53は、円筒状の嵌合部53aと、その端部から径方向内側に向かって延びる円板状の側板部53bと、が形成されている。なお、嵌合部53aと側板部53bには、弾性部材であるシールゴム54が加硫接着されている。
シールゴム54は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム54に形成されたシールリップ54aは、その先端部分がスリンガ51の嵌合部51aに接触している。また、シールリップ54b・54cは、その先端部分がスリンガ51の側板部51bに接触している。このようにして、インナー側シール部材5は、泥水や砂塵が環状空間Sに侵入するのを防ぐとともに、グリースが環状空間Sから漏出するのを防いでいるのである。
アウター側シール部材6は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのアウター側端部を密封するものである。アウター側シール部材6は、シールリング61で構成されている。
シールリング61は、外方部材2の封止面2bに内嵌される。シールリング61は、芯金62とシールゴム63で構成されている。芯金62は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金62は、円環状の鋼板がプレス加工によって変形され、軸方向断面が複雑に折り曲げられた形状となっている。これにより、芯金62は、円筒状の嵌合部62aと、その端部から径方向内側に向かって延びる円板状の側板部62bと、が形成されている。なお、嵌合部62aと側板部63bには、弾性部材であるシールゴム63が加硫接着されている。
シールゴム63は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム63に形成されたシールリップ63aは、その先端部分がハブ輪31の軸面部3eに接触している。また、シールリップ63bは、その先端部分がハブ輪31の曲面部3fに接触している。更に、シールリップ63cは、その先端部分がハブ輪31の側面部3gに接触している。このようにして、アウター側シール部材6は、泥水や砂塵が環状空間Sに侵入するのを防ぐとともに、グリースが環状空間Sから漏出するのを防いでいるのである。
次に、図5を用いて、内方部材3に回転動力を伝達可能とした構造について説明する。図5は、車輪用軸受装置1を構成する内方部材3と自在継手7の連結構造を示す組立図である。
上述したように、ハブ輪31には、そのインナー側端部から軸方向中央部まで小径段部3aが形成されている。小径段部3aは、その軸方向の長さが内輪32の長さよりも短いため、内輪32の端面3sよりもアウター側に収まっている。なお、内輪32の端面3sは、回転軸Lに対して垂直となっている。一方で、自在継手7は、軸体7aを有している。軸体7aは、その外周面における一部が凹部と凸部が交互に並ぶ凹凸形状(図示せず:スプライン軸)となっている。また、軸体7aの先端面における中央には、ボルト穴7cが設けられている。更に、自在継手7には、軸体7aと一体化した筐体7bが形成されている。なお、筐体7bの端面7sは、回転軸Lに対して垂直となっている。このため、ハブ輪31の自在継手取付穴3bに軸体7aを一部挿入した状態で、アウター側からセンターボルト71を締め付けていくと、互いの凹凸形状の歯面が削れてガタつくことなく完全に嵌合される。このような連結構造をプレスコネクト方式(PCS)という。但し、一般的であるスプライン嵌合による連結構造を用いてもよい。
次に、図6を用いて、車輪用軸受装置1のそれぞれの転走面2c・2d・3c・3dに掛かる荷重について説明する。図6は、車輪用軸受装置1の要部構造を示す断面図である。
本車輪用軸受装置1は、外方部材2に形成された外側転走面2dと転動体4の接点をXとし、内輪32に形成された内側転走面3dと転動体4の接点をYとし、接点Xと接点Yを結ぶ仮想線をZとすると、仮想線Zが径方向外側へ向かうにつれてアウター側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成している。そのため、転動体4には、仮想線Zに対して平行に荷重が掛かることとなる。換言すると、作用反作用の法則により、外側転走面2dと内側転走面3dには、仮想線Zに対して平行に荷重が掛かることとなる(矢印Fa・Fb参照)。
また、本車輪用軸受装置1は、外方部材2に形成された外側転走面2cと転動体4の接点をXとし、ハブ輪31に形成された内側転走面3cと転動体4の接点をYとし、接点Xと接点Yを結ぶ仮想線をZとすると、仮想線Zが径方向外側へ向かうにつれてインナー側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成している。そのため、転動体4には、仮想線Zに対して平行に荷重が掛かることとなる。換言すると、作用反作用の法則により、外側転走面2cと内側転走面3cには、仮想線Zに対して平行に荷重が掛かることとなる(矢印Fc・Fd参照)。
次に、図7を用いて、第一実施形態であるトルクカム機構8について説明する。図7は、第一実施形態であるトルクカム機構8を示す投影図および一部構造を示す断面図である。図7の(A)は、トルクカム機構8の正面図であり、(B)は、トルクカム機構8の側面図であり、(C)は、トルクカム機構8の背面図である。また、図7の(D)は、H−H断面図であり、(E)は、I−I断面図であり、(F)は、J−J断面図である。
トルクカム機構8は、内輪32を適宜に付勢してアンギュラ玉軸受の予圧状態を調節するものである。トルクカム機構8は、軸受側板81と、継手側板82と、ボール83と、で構成されている。
軸受側板81は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成される。軸受側板81のインナー側端面81aには、内方部材3の回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で複数のランプ部81bが形成されている。それぞれのランプ部81bは、後述するランプ部82bに対向する。ランプ部81bは、回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成された断面形状が半円形の凹部を指し、その円弧線分Lsの一端から略中央部まで徐々に深くなっている。また、その円弧線分Lsの他端から略中央部までも徐々に深くなっている。すなわち、ランプ部81bは、内方部材3の回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成され、周方向一側および周方向他側へ傾斜している。但し、本軸受側板81に形成されているランプ部81bは、その円弧線分Lsの一端から略中央部までの傾斜角度αとその円弧線分Lsの他端から略中央部までの傾斜角度βが異なっている。なお、軸受側板81は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、軸受側板81は、回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で貫通穴81cが設けられており、この貫通穴81cに通されたボルトによって内輪32の端面3sに固定される(図3および図6参照)。このとき、軸受側板81とともにホルダー84も内輪32に固定される(図3および図6参照)。
継手側板82は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成される。継手側板82のアウター側端面82aには、内方部材3の回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で複数のランプ部82bが形成されている。それぞれのランプ部82bは、前述したランプ部81bに対向する。ランプ部82bは、回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成された断面形状が半円形の凹部を指し、その円弧線分Lsの一端から略中央部まで徐々に深くなっている。また、その円弧線分Lsの他端から略中央部までも徐々に深くなっている。すなわち、ランプ部82bは、内方部材3の回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成され、周方向一側および周方向他側へ傾斜している。但し、本継手側板82に形成されているランプ部82bは、その円弧線分Lsの一端から略中央部までの傾斜角度αとその円弧線分Lsの他端から略中央部までの傾斜角度βが異なっている。なお、継手側板82は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、継手側板82は、回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で貫通穴82cが設けられており、この貫通穴82cに通されたボルトによって筐体7bの端面7sに固定される(図3および図6参照)。あるいは筐体7bの段部7dに圧入されて固定される(図3および図6参照)。継手側板82の外周面には、ホルダー84に加硫接着されたシールゴムが接触している。
ボール83は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成される。それぞれのボール83は、軸受側板81のランプ部81bと継手側板82のランプ部82bの間に介装されている。なお、ボール83は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで62〜67HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、ボール83は、ランプ部81bの最も深い位置(図8の(A)における点D参照)とランプ部82bの最も深い位置(図8の(A)における点D参照)に挟まれた状態にあっても、互いから荷重が掛かる程度に大きいものである。
次に、図8から図10を用いて、上述したトルクカム機構8を採用したことによる効果について説明する。図8は、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82の位相の相対変化を示す断面図である。図8の(A)は、位相がずれていない状態を示し、(B)は、位相が一方へずれた状態を示し、(C)は、位相が他方へずれた状態を示している。更に、図9および図10は、トルクカム機構8の機能を示す断面図である。図9は、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際の状態を示している。また、図10の(A)は、車両が急激な加速走行をしている際の状態を示し、(B)は、車両が急激な減速走行をしている際の状態を示している。
まず、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている場合について想定する。この場合、自在継手7に掛かるトルクは、比較的に小さいので、軸体7aと筐体7bに捻じれが生じることはほとんどない。これは、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82の位相が相対変化しないことを意味する(図8の(A)参照)。すると、トルクカム機構8を構成するボール83は、ランプ部81bの最も深い位置(図8の(A)における点D参照)とランプ部82bの最も深い位置(図8の(A)における点D参照)に挟まれた状態で維持されることとなる。従って、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82が離間しないので、軸方向への押力を発揮することはなく、内輪32をアウター側へ付勢しない(図9参照)。
次に、車両が急激な加速走行をしている場合について想定する。この場合、自在継手7に掛かるトルクは、比較的に大きいので、軸体7aと筐体7bに捻じれが生じることとなる。これは、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82の位相が相対変化することを意味する(図8の(B)参照)。すると、トルクカム機構8を構成するボール83は、ランプ部81bの浅い位置(図8の(B)における点S参照)とランプ部82bの浅い位置(図8の(B)における点S参照)に挟まれた状態に変化することとなる。こうして、トルクカム機構8は、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82が離間するので、軸方向への押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢するのである(図10の(A)参照)。これにより、内輪32が微小ながら移動および変形し、転動体4に掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる。換言すると、外側転走面2dと内側転走面3dに掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる(図10の(A)における矢印Fa・Fb参照)。これは、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。同時に、外側転走面2cと内側転走面3cに掛かる荷重も初期値よりも増加することとなる。これについても、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。
次に、車両が急激な減速走行をしている場合について想定する。この場合、自在継手7に掛かるトルクは、比較的に大きいので、軸体7aと筐体7bに捻じれが生じることとなる。これは、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82の位相が相対変化することを意味する(図8の(C)参照)。すると、トルクカム機構8を構成するボール83は、ランプ部81bの浅い位置(図8の(C)における点S参照)とランプ部82bの浅い位置(図8の(C)における点S参照)に挟まれた状態に変化することとなる。こうして、トルクカム機構8は、軸受側板81と継手側板82が離間するので、軸方向への押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢するのである(図10の(B)参照)。これにより、内輪32が微小ながら移動および変形し、転動体4に掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる。換言すると、外側転走面2dと内側転走面3dに掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる(図10の(B)における矢印Fa・Fb参照)。これは、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。同時に、外側転走面2cと内側転走面3cに掛かる荷重も初期値よりも増加することとなる。これについても、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。
以上のように、車輪用軸受装置1は、外方部材2に形成された外側転走面2dと転動体4の接点Xおよび内輪32に形成された内側転走面32dと転動体4の接点Yを結ぶ仮想線Zが径方向外側へ向かうにつれてアウター側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成するとともにハブ輪31に自在継手7の軸体7aが嵌入されて自在継手7を介して回転動力が伝達されるものである。また、本車輪用軸受装置1は、内輪32と自在継手7の対向面間に介装されるトルクカム機構8を具備している。そして、トルクカム機構8は、対向面間における位相が相対変化すると軸方向への押力Pを発揮して内輪32をアウター側へ付勢する。かかる車輪用軸受装置1によれば、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際にはアンギュラ玉軸受が低予圧状態となり、車両が急激な加減速走行をしている際にはアンギュラ玉軸受が高予圧状態となる。従って、アンギュラ玉軸受が低予圧状態であるときの走行燃費の向上と、アンギュラ玉軸受が高予圧状態であるときの走行安定性の向上と、をともに実現できる。具体的な効果として、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際には低予圧状態となるので走行燃費の向上を実現でき、車両が急激な加減速走行をしている際には高予圧状態となるので走行安定性の向上を実現できる。
また、本車輪用軸受装置1において、トルクカム機構8は、内方部材3の回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部81b・82bとランプ部81b・82bに接するボール83で構成されており、対向面間における位相が相対変化するとランプ部81b・82bに沿ってボール83が押し出されて軸方向への押力Pを発揮する。かかる車輪用軸受装置1によれば、簡素な構造でありながら確実に、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際の低予圧状態と車両が急激な加減速走行をしている際の高予圧状態を実現できる。
更に、本車輪用軸受装置1において、トルクカム機構8は、ランプ部81b・82bの周方向一側への傾斜角度αと周方向他側への傾斜角度βが相違し、対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力Pと対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力Pが異なる。かかる車輪用軸受装置1によれば、加速走行時における高予圧状態と減速走行時における高予圧状態に差異を設けることができる。
加えて、本車輪用軸受装置1において、トルクカム機構8は、急激な加速走行をしている場合にのみ押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢するとしてもよい。これは、ランプ部81b・82bの形状を工夫することによって実現できる。具体的に説明すると、円弧線分Lsの一端から略中央部までの形状をボール83が転動可能な緩慢な傾斜とし、円弧線分Lsの他端から略中央部までの形状をボール83が転動不可能な急峻な傾斜若しくは垂直面とすることで実現できる。つまり、車両が急激な加速走行をしている場合には、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82の位相が相対変化するが(図11の(B)参照)、車両が急激な減速走行をしている場合には、トルクカム機構8の軸受側板81と継手側板82の位相が相対変化しないように設計するのである(図11の(C)参照)。なお、同様の設計思想により、急激な減速走行をしている場合にのみ押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢することも可能となる。
次に、図12を用いて、第二実施形態であるトルクカム機構9について説明する。図12は、第二実施形態であるトルクカム機構9を示す投影図および一部構造を示す断面図である。図12の(A)は、トルクカム機構9の正面図であり、(B)は、トルクカム機構9の側面図であり、(C)は、トルクカム機構9の背面図である。また、図12の(D)は、H−H断面図であり、(E)は、I−I断面図であり、(F)は、J−J断面図である。
トルクカム機構9は、内輪32を適宜に付勢してアンギュラ玉軸受の予圧状態を調節するものである。トルクカム機構9は、軸受側板91と、継手側板92と、で構成されている。
軸受側板91は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成される。軸受側板91のインナー側端面91aには、内方部材3の回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で複数のランプ部91bが形成されている。それぞれのランプ部91bは、後述するフォロワ部92bに対向する。ランプ部91bは、回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成された断面形状が矩形の凹部を指し、その円弧線分Lsの一端から略中央部まで徐々に深くなっている。また、その円弧線分Lsの他端から略中央部までも徐々に深くなっている。すなわち、ランプ部91bは、内方部材3の回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成され、周方向一側および周方向他側へ傾斜している。但し、本軸受側板91に形成されているランプ部91bは、その円弧線分Lsの一端から略中央部までの傾斜角度αとその円弧線分Lsの他端から略中央部までの傾斜角度βが異なっている。なお、軸受側板91は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、軸受側板91は、回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で貫通穴91cが設けられており、この貫通穴91cに通されたボルトによって内輪32の端面3sに固定される(図3および図6参照)。このとき、軸受側板91とともにホルダー94も内輪32に固定される(図3および図6参照)。
継手側板92は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成される。継手側板92のアウター側端面92aには、内方部材3の回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で複数のフォロワ部92bが形成されている。それぞれのフォロワ部92bは、前述したランプ部91bに対向する。フォロワ部92bは、回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成された断面形状が矩形の凸部を指し、その円弧線分Lsの一端から略中央部まで徐々に高くなっている。また、その円弧線分Lsの他端から略中央部までも徐々に高くなっている。すなわち、フォロワ部92bは、内方部材3の回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成され、周方向一側および周方向他側へ傾斜している。但し、本継手側板92に形成されているフォロワ部92bは、その円弧線分Lsの一端から略中央部までの傾斜角度αとその円弧線分Lsの他端から略中央部までの傾斜角度βが異なっている。なお、継手側板92は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、継手側板92は、回転軸Lを中心とする円周上に等しい間隔で貫通穴92cが設けられており、この貫通穴92cに通されたボルトによって筐体7bの端面7sに固定される(図3および図6参照)。あるいは筐体7bの段部7dに圧入されて固定される(図3および図6参照)。継手側板92の外周面には、ホルダー94に加硫接着されたシールゴムが接触している。
次に、図13から図15を用いて、上述したトルクカム機構9を採用したことによる効果について説明する。図13は、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92の位相の相対変化を示す断面図である。図13の(A)は、位相がずれていない状態を示し、(B)は、位相が一方へずれた状態を示し、(C)は、位相が他方へずれた状態を示している。更に、図14および図15は、トルクカム機構8の機能を示す断面図である。図14は、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際の状態を示している。また、図15の(A)は、車両が急激な加速走行をしている際の状態を示し、(B)は、車両が急激な減速走行をしている際の状態を示している。
まず、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている場合について想定する。この場合、自在継手7に掛かるトルクは、比較的に小さいので、軸体7aと筐体7bに捻じれが生じることはほとんどない。これは、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92の位相が相対変化しないことを意味する(図13の(A)参照)。すると、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92は、ランプ部91bの最も深い位置(図13の(A)における点D参照)とフォロワ部92bの最も高い位置(図13の(A)における点H参照)が接した状態で維持されることとなる。従って、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92が離間しないので、軸方向への押力を発揮することはなく、内輪32をアウター側へ付勢しない(図14参照)。
次に、車両が急激な加速走行をしている場合について想定する。この場合、自在継手7に掛かるトルクは、比較的に大きいので、軸体7aと筐体7bに捻じれが生じることとなる。これは、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92の位相が相対変化することを意味する(図13の(B)参照)。すると、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92は、ランプ部91bの浅い位置(図13の(B)における点S参照)とフォロワ部92bの最も高い位置(図13の(B)における点H参照)が接した状態に変化することとなる。こうして、トルクカム機構9は、軸受側板91と継手側板92が離間するので、軸方向への押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢するのである(図15の(A)参照)。これにより、内輪32が微小ながら移動および変形し、転動体4に掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる。換言すると、外側転走面2dと内側転走面3dに掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる(図15の(A)における矢印Fa・Fb参照)。これは、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。同時に、外側転走面2cと内側転走面3cに掛かる荷重も初期値よりも増加することとなる。これについても、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。
次に、車両が急激な減速走行をしている場合について想定する。この場合、自在継手7に掛かるトルクは、比較的に大きいので、軸体7aと筐体7bに捻じれが生じることとなる。これは、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92の位相が相対変化することを意味する(図13の(C)参照)。すると、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92は、ランプ部91bの浅い位置(図13の(C)における点S参照)とフォロワ部92bの最も高い位置(図13の(C)における点H参照)が接した状態に変化することとなる。こうして、トルクカム機構9は、軸受側板91と継手側板92が離間するので、軸方向への押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢するのである(図15の(B)参照)。これにより、内輪32が微小ながら移動および変形し、転動体4に掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる。換言すると、外側転走面2dと内側転走面3dに掛かる荷重が初期値よりも増加することとなる(図15の(B)における矢印Fa・Fb参照)。これは、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。同時に、外側転走面2cと内側転走面3cに掛かる荷重も初期値よりも増加することとなる。これについても、アンギュラ玉軸受が低予圧状態から高予圧状態に移行したことを意味する。
以上のように、車輪用軸受装置1は、外方部材2に形成された外側転走面2dと転動体4の接点Xおよび内輪32に形成された内側転走面32dと転動体4の接点Yを結ぶ仮想線Zが径方向外側へ向かうにつれてアウター側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成するとともにハブ輪31に自在継手7の軸体7aが嵌入されて自在継手7を介して回転動力が伝達されるものである。また、本車輪用軸受装置1は、内輪32と自在継手7の対向面間に介装されるトルクカム機構9を具備している。そして、トルクカム機構9は、対向面間における位相が相対変化すると軸方向への押力Pを発揮して内輪32をアウター側へ付勢する。かかる車輪用軸受装置1によれば、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際にはアンギュラ玉軸受が低予圧状態となり、車両が急激な加減速走行をしている際にはアンギュラ玉軸受が高予圧状態となる。従って、アンギュラ玉軸受が低予圧状態であるときの走行燃費の向上と、アンギュラ玉軸受が高予圧状態であるときの走行安定性の向上と、をともに実現できる。具体的な効果として、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際には低予圧状態となるので走行燃費の向上を実現でき、車両が急激な加減速走行をしている際には高予圧状態となるので走行安定性の向上を実現できる。
また、本車輪用軸受装置1において、トルクカム機構9は、内方部材3の回転軸Lを中心とする円弧線分Lsに沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部91bとランプ部91bに接するフォロワ部92bで構成されており、対向面間における位相が相対変化するとランプ部91bに沿ってフォロワ部92bが押し出されて軸方向への押力Pを発揮する。かかる車輪用軸受装置1によれば、簡素な構造でありながら確実に、車両が定速走行若しくは緩やかな加減速走行をしている際の低予圧状態と車両が急激な加減速走行をしている際の高予圧状態を実現できる。
更に、本車輪用軸受装置1において、トルクカム機構9は、ランプ部91bの周方向一側への傾斜角度αと周方向他側への傾斜角度βが相違し、対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力Pと対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力Pが異なる。かかる車輪用軸受装置1によれば、加速走行時における高予圧状態と減速走行時における高予圧状態に差異を設けることができる。
加えて、本車輪用軸受装置1において、トルクカム機構9は、急激な加速走行をしている場合にのみ押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢するとしてもよい。これは、ランプ部91bおよびフォロワ部92bの形状を工夫することによって実現できる。具体的に説明すると、ランプ部91bの円弧線分Lsの一端から略中央部までの形状をフォロワ部92bが摺動可能な緩慢な傾斜とし、円弧線分Lsの他端から略中央部までの形状をフォロワ部92bが摺動不可能な急峻な傾斜若しくは垂直面とすることで実現できる。つまり、車両が急激な加速走行をしている場合には、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92の位相が相対変化するが(図16の(B)参照)、車両が急激な減速走行をしている場合には、トルクカム機構9の軸受側板91と継手側板92の位相が相対変化しないように設計するのである(図16の(C)参照)。なお、同様の設計思想により、急激な減速走行をしている場合にのみ押力Pを発揮し、内輪32をアウター側へ付勢することも可能となる。
1 車輪用軸受装置
2 外方部材
2c 外側転走面
2d 外側転走面
3 内方部材
31 ハブ輪
32 内輪
3a 小径段部
3c 内側転走面
3d 内側転走面
4 転動体
7 自在継手
7a 軸体
7b 筐体
8 トルクカム機構
81 軸受側板
81b ランプ部
82 継手側板
82b ランプ部
83 ボール
9 トルクカム機構
91 軸受側板
91b ランプ部
92 継手側板
92b フォロワ部
X 外側転走面と転動体の接点
Y 内側転走面と転動体の接点
Z 仮想線
P 押力

Claims (5)

  1. 二つの外側転走面が形成された外方部材と、
    軸方向に小径段部が設けられたハブ輪、および前記小径段部に外嵌される内輪からなり、前記ハブ輪と前記内輪のそれぞれに内側転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複数の転動体と、を備え、
    前記外方部材に形成された前記外側転走面と前記転動体の接点および前記内輪に形成された前記内側転走面と前記転動体の接点を結ぶ仮想線が径方向外側へ向かうにつれてアウター側へ傾くアンギュラ玉軸受を構成するとともに前記ハブ輪に自在継手の軸体が嵌入されて該自在継手を介して回転動力が伝達される車輪用軸受装置において、
    前記内輪と前記自在継手の対向面間に介装されるトルクカム機構を具備し、
    前記トルクカム機構は、前記対向面間における位相が相対変化すると軸方向への押力を発揮して前記内輪をアウター側へ付勢する、ことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記トルクカム機構は、前記内方部材の回転軸を中心とする円弧線分に沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部と該ランプ部に接するボールで構成されており、前記対向面間における位相が相対変化すると前記ランプ部に沿って前記ボールが押し出されて軸方向への押力を発揮する、ことを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記トルクカム機構は、前記ランプ部の周方向一側への傾斜角度と周方向他側への傾斜角度が相違し、前記対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力と前記対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力が異なる、ことを特徴とする請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記トルクカム機構は、前記内方部材の回転軸を中心とする円弧線分に沿って形成された周方向一側および周方向他側へ傾斜するランプ部と該ランプ部に接するフォロワ部で構成されており、前記対向面間における位相が相対変化すると前記ランプ部に沿って前記フォロワ部が押し出されて軸方向への押力を発揮する、ことを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記トルクカム機構は、前記ランプ部の周方向一側への傾斜角度と周方向他側への傾斜角度が相違し、前記対向面間における位相が一方へ相対変化したときの軸方向への押力と前記対向面間における位相が他方へ相対変化したときの軸方向への押力が異なる、ことを特徴とする請求項4に記載の車輪用軸受装置。
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