JP2018104658A - 樹脂組成物、及び樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂と、炭素繊維と、アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含みかつ前記主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された末端ステロール変性樹脂と、を含む樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、及び樹脂成形体に関する。
従来、樹脂組成物としては種々のものが提供され、各種用途に使用されている。
特に、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物は、家電製品や自動車の各種部品、筐体等、また事務機器、電子電気機器の筐体などの部品に使用される。
例えば、特許文献1には、「(a)0.1〜90重量%の少なくとも1種類のポリオレフィン、(b)0.1〜50重量%の少なくとも1種類のポリアミド、(c)0.1〜15重量%の少なくとも1種類の修飾ポリオレフィン、(d)5.0〜75重量%の少なくとも1種類の強化用繊維、(e)0.1〜10重量%の少なくとも1種類の硫黄含有添加剤を含む、3mm以上の長さを有する長繊維強化ポリオレフィン構造体。」が開示されている。
また、特許文献2には、「酸変性ポリオレフィン(A)ブロックおよびポリアミド(B)ブロックを有し、13C−NMRによるアミド基由来の炭素と、メチル基、メチレン基およびメチン基由来の炭素との比(α)が、0.5/99.5〜12/88であるポリマー(X)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤」が開示されている。さらに、特許文献2には、「このポリオレフィン樹脂用改質剤(K)、ポリオレフィン樹脂(D)および無機繊維(E)を含有してなる無機繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物。」が開示されている。
特許文献3には、「炭素繊維を含む熱可塑性樹脂成形品において、成形品中に含まれる炭素繊維は、その全含有量が0.5〜30wt%であり、更に1.5mmを超える長さの炭素繊維が0.1〜4.7wt%であることを特徴とする炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品。」が開示されている。
特表2003−528956号公報 特開2014−181307号公報 特開2000−071245号公報
本発明の課題は、熱可塑性樹脂と炭素繊維とアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂とを含む樹脂組成物において、前記アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂として末端未変性のポリアミドのみを含む場合に比べて、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
請求項1に係る発明は、
熱可塑性樹脂と、
炭素繊維と、
アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含みかつ前記主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された末端ステロール変性樹脂と、
を含む樹脂組成物。
請求項2に係る発明は、
前記炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上5.0mm以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
請求項3に係る発明は、
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンである請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
請求項4に係る発明は、
前記末端ステロール変性樹脂が、主鎖に前記アミド結合を含むポリアミドである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項5に係る発明は、
前記炭素繊維の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上200質量部以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項6に係る発明は、
前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上100質量部以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項7に係る発明は、
前記炭素繊維の質量に対する、前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、0.1質量%以上200質量%以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項8に係る発明は、
相溶化剤を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項9に係る発明は、
前記相溶化剤が、修飾ポリオレフィンである請求項8に記載の樹脂組成物。
請求項10に係る発明は、
前記相溶化剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上50質量部以下である請求項8又は請求項9に記載の樹脂組成物。
請求項11に係る発明は、
前記相溶化剤の含有量が、前記末端ステロール変性樹脂100質量部に対し1質量部以上50質量部以下である請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項12に係る発明は、
前記炭素繊維の質量に対する、前記相溶化剤の含有量が、1質量%以上50質量%以下である請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項13に係る発明は、
熱可塑性樹脂と、
炭素繊維と、
アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含みかつ前記主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された末端ステロール変性樹脂と、
を含む樹脂成形体。
請求項14に係る発明は、
前記炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上5.0mm以下である請求項13に記載の樹脂成形体。
請求項15に係る発明は、
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンである請求項13又は請求項14に記載の樹脂成形体。
請求項16に係る発明は、
前記末端ステロール変性樹脂が、主鎖に前記アミド結合を含むポリアミドである請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
請求項17に係る発明は、
前記炭素繊維の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上200質量部以下である請求項13〜請求項16のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
請求項18に係る発明は、
前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上100質量部以下である請求項13〜請求項17のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
請求項19に係る発明は、
前記炭素繊維の質量に対する、前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、0.1質量%以上200質量%以下である請求項13〜請求項18のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
請求項20に係る発明は、
相溶化剤を含む請求項13〜請求項19のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
請求項21に係る発明は、
前記相溶化剤が、修飾ポリオレフィンである請求項20に記載の樹脂成形体。
請求項22に係る発明は、
前記相溶化剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上50質量部以下である請求項20又は請求項21に記載の樹脂成形体。
請求項23に係る発明は、
前記相溶化剤の含有量が、前記末端ステロール変性樹脂100質量部に対し1質量部以上50質量部以下である請求項20〜請求項22のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
請求項24に係る発明は、
前記炭素繊維の質量に対する、前記相溶化剤の含有量が、1質量%以上50質量%以下である請求項20〜請求項23のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
請求項1、3、4に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と炭素繊維とアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂とを含む樹脂組成物において、前記アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂として末端未変性のポリアミドのみを含む場合に比べて、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項2に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と炭素繊維とアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂とを含み、炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上5.0mm以下である樹脂組成物において、前記アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂として末端未変性のポリアミドのみを含む場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項5に係る発明によれば、炭素繊維の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部未満又は200質量部超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項6に係る発明によれば、末端ステロール変性樹脂の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部未満又は100質量部超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項7に係る発明によれば、炭素繊維の質量に対する末端ステロール変性樹脂の含有量が0.1質量%未満又は200質量%超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項8に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と炭素繊維と末端ステロール変性樹脂とを含み、かつ相溶化剤を含まない場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項9に係る発明によれば、相溶化剤としてエポキシコポリマーを用いた場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項10に係る発明によれば、相溶化剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部未満又は50質量部超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項11に係る発明によれば、相溶化剤の含有量が、末端ステロール変性樹脂100質量部に対し1質量部未満又は50質量部超えの場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項12に係る発明によれば、炭素繊維の質量に対する相溶化剤の含有量が1質量%未満又は50質量%超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項13、15、16に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と炭素繊維とアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂とを含む樹脂成形体において、前記アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂として末端未変性のポリアミドのみを含む場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項14に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と炭素繊維とアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂とを含み、炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上5.0mm以下である樹脂成形体において、前記アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂として末端未変性のポリアミドのみを含む場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項17に係る発明によれば、炭素繊維の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部未満又は200質量部超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項18に係る発明によれば、末端ステロール変性樹脂の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部未満又は100質量部超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項19に係る発明によれば、炭素繊維の質量に対する末端ステロール変性樹脂の含有量が0.1質量%未満又は200質量%超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項20に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と炭素繊維と末端ステロール変性樹脂とを含み、かつ相溶化剤を含まない場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項21に係る発明によれば、相溶化剤としてエポキシコポリマーを用いた場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項22に係る発明によれば、相溶化剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部未満又は50質量部超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項23に係る発明によれば、相溶化剤の含有量が、末端ステロール変性樹脂100質量部に対し1質量部未満又は50質量部超えの場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
請求項24に係る発明によれば、炭素繊維の質量に対する相溶化剤の含有量が1質量%未満又は50質量%超えである場合に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が提供される。
本実施形態に係る樹脂成形体の要部の一例を説明するための模式図である。 本実施形態に係る樹脂成形体の要部の他の一例を説明するための模式図である。
以下、本発明の樹脂組成物及び樹脂成形体の一例である実施形態について説明する。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、炭素繊維と、アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含みかつ前記主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された末端ステロール変性樹脂と、を含む。
なお、本明細書において「ステロール残基」とは、水酸基(−OH)を有するステロール(ステロイドアルコール)と、アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含み末端に官能基を有する樹脂と、が反応することで該樹脂の末端に結合したステロールの残基(つまりステロールから水酸基(−OH)を除いた基)を表す。
また、「コレステロール残基」とは、コレステロールと、アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含み末端に官能基を有する樹脂と、が反応することで該樹脂の末端に結合したコレステロールの残基(つまりコレステロールから水酸基(−OH)を除いた基)を表す。
近年では、機械的強度に優れた樹脂成形体を得るために、母材(マトリックス)としての熱可塑性樹脂と強化繊維とを含む樹脂組成物が用いられている。
このような樹脂組成物では、強化繊維と熱可塑性樹脂との親和性が低いと、この両者の界面に空間が生じ、かかる界面における密着性が低下することがある。
特に、樹脂組成物中の強化繊維として炭素繊維を用いた場合には、ガラス繊維等に比べ高い機械的強度を求められるため、炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面における密着性の低下は、機械的強度、特に曲げ弾性率の低下を招くことがある。
特に、樹脂組成物中の強化繊維として炭素繊維を用いた場合には、ガラス繊維等に比べ高い機械的強度を求められるが、炭素繊維表面の水酸基、カルボキシル基など熱可塑性樹脂との接着に寄与する極性基が、ガラス繊維に比べて少ないため、炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面における密着性は低下する。その結果、機械的強度、特に曲げ弾性率は、炭素繊維の配合の割に高まり難い。特に、繰り返し曲げる負荷を加えた場合、炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面での剥離が進行しやすいため、初期からの曲げ弾性率の低下は大きくなる傾向がある。
そこで、本実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、炭素繊維と、末端ステロール変性樹脂と、の3成分を含む。
この構成とすることで、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られる。このような効果が得られる作用については明確ではないが、以下のように推測される。
本実施形態に係る樹脂組成物から樹脂成形体を得る際、かかる樹脂組成物を熱溶融混合すると、母材としての熱可塑性樹脂と末端ステロール変性樹脂の主鎖の末端に含まれるステロール残基とで両者が相溶して、末端ステロール変性樹脂が樹脂組成物中で分散することとなる。
この状態の中で、末端ステロール変性樹脂が炭素繊維と接触すると、末端ステロール変性樹脂の分子鎖に沿って多数含まれるアミド結合又はイミド結合と、炭素繊維の表面に僅かながら存在する極性基と、が親和力(引力及び水素結合)にて複数の箇所で物理的に接着する。なお、ステロイド構造は結晶化しやすいことからステロール残基は結晶性が高く、また母材となる熱可塑性樹脂も一般的に結晶性が高いため、末端のステロール残基は熱可塑性樹脂との親和性に優れる。そのため、主鎖が炭素繊維の表面に物理的に接着した状態であっても、末端のステロール残基は上記の親和性により、炭素繊維表面から母材としての熱可塑性樹脂中に向かって配向した状態で存在する。このように、炭素繊維の周囲に末端ステロール変性樹脂による被覆層が形成される(図1参照)。なお、図1中、PPは熱可塑性樹脂を示し、CFが炭素繊維を示し、CLは被覆層を示している。
そして、被覆層を形成する末端ステロール変性樹脂から外側方向(つまり母材としての熱可塑性樹脂中)に向かってステロール残基が配向した状態となり、このステロール残基が熱可塑性樹脂とも相溶することで、引力と斥力との平衡状態が形成され、末端ステロール変性樹脂による被覆層は、薄く、かつ均一に近い状態で形成されることとなる。特に、炭素繊維の表面に存在するカルボキシ基と末端ステロール変性樹脂の分子内に含まれるアミド結合又はイミド結合との親和性は高いため、炭素繊維の周囲には末端ステロール変性樹脂による被覆層が形成され易く、薄膜で且つ均一性に優れる被覆層になると考えられる。
なお、被覆層は炭素繊維の周囲全体を被覆していることが好ましいが、一部被覆されていない部分があってもよい。
以上のことから、本実施形態に係る樹脂組成物は、炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面の密着性が高まり、機械的強度、特に高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られると推測される。
また、ステロイド構造は熱可塑性樹脂の造核材、結晶化材となる。そのため、末端にステロール残基を有する末端ステロール変性樹脂を含む樹脂組成物とすることで、射出成型時においては硬化タクトの短縮に有効となり、射出成型の高スループットが達成できる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、炭素繊維と、アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂と、の3成分を含み、かつこのアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂として主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された末端ステロール変性樹脂を含んでいる。上記の3成分を含む樹脂組成物においては、前記アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂として末端未変性のポリアミドのみを含む場合に比べて、耐衝撃性に優れた樹脂成形体が得られる樹脂組成物となる。このような効果が得られる作用については明確ではないが、以下のように推測される。
通常、樹脂における弾性率の向上には、樹脂中に含まれる官能基同士の化学結合により分子構造を強固に固定化する方法が有効とされる。特に、高分子鎖間に多数の架橋点を形成して網目状構造を形成することで、弾性率は大きく高められるとされている。しかしながら、強固に結合された架橋構造を有する樹脂に対して瞬時に強い衝撃力など加わると架橋構造が破壊されることがあり、すなわち樹脂において高い弾性率と耐衝撃性とを両立することは容易でない。
一方、本実施形態にかかる樹脂組成物では、末端ステロール変性樹脂における末端のステロール残基が熱可塑性樹脂との間に比較的弱い結合力で混和(親和)している。そのため、瞬時に加えられる衝撃に対しても、内部構造を組み替える緩和によって衝撃力を拡散することができるため、高い弾性率(特に高い曲げ弾性率)を得つつも、耐衝撃性も高められるものと考えられる。
ここで、本実施形態に係る樹脂組成物及びそれにより得られる樹脂成形体は、樹脂組成物(例えばペレット)の製造のときの熱溶融混練、及び射出成形により、炭素繊維の周囲に末端ステロール変性樹脂による被覆層が形成され、当該被覆層の厚さが5nm以上700nm以下となる構造を有することが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物において、末端ステロール変性樹脂による被覆層の厚さは、5nm以上700nm以下であり、曲げ弾性率の更なる向上の点から、10nm以上650nm以下が好ましい。被覆層の厚みを5nm以上(特に10nm以上)とすると、曲げ弾性率が向上し、被覆層の厚みを700nm以下とすると、被覆層を介した炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面が脆弱となることを抑え、曲げ弾性率の低下が抑制される。
被覆層の厚さは、次の方法により測定された値である。測定対象物を液体窒素中で破断させ、電子顕微鏡(Keyence社製VE−9800)を用いて、その断面を観察する。その断面において、炭素繊維の周囲に被覆する被覆層の厚みを100箇所計測し、その平均値として算出する。
なお、被覆層の確認は、上記断面観察により実施する。
・相溶化剤の層
なお、本実施形態に係る樹脂組成物(及びその樹脂成形体)では、例えば、かかる被覆層と熱可塑性樹脂との間を相溶化剤が一部相溶する構成としてもよい。
具体的には、例えば、末端ステロール変性樹脂による被覆層と母材である熱可塑性樹脂との間に、相溶化剤の層が介在した構成としてもよい(図2参照)。つまり、被覆層の表面に相溶化剤の層が形成され、この相溶化剤の層を介して、被覆層と熱可塑性樹脂が隣接した構成であってもよい。相溶化剤の層は被覆層に比べ薄く形成されるが、相溶化剤の層の介在により、被覆層と熱可塑性樹脂との密着性(接着性)が高まり、機械的強度、特に曲げ弾性率に優れた樹脂成形体が得られ易くなる。なお、図2中、PPは熱可塑性樹脂を示し、CFが炭素繊維を示し、CLは被覆層、CAは相溶化剤の層を示している。
特に、相溶化剤の層は、被覆層とは結合(水素結合、相溶化剤と末端ステロール変性樹脂との官能基の反応による共有結合等)し、熱可塑性樹脂とは相溶した状態で、被覆層と熱可塑性樹脂の間に介在していることがよい。この構成は、例えば、相溶化剤として、母材である熱可塑性樹脂と同じ構造又は相溶する構造を有し、且つ、分子内の一部に前述した末端ステロール変性樹脂の官能基と反応する部位を含む相溶化剤を適用すると実現され易い。
具体的には、例えば、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン、末端ステロール変性樹脂として主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性されたポリアミド、及び相溶化剤として無水マレイン酸修飾ポリオレフィンを適用した場合、無水マレイン酸修飾ポリオレフィンの層(相溶化剤の層)は、その無水マレイン酸部位が開環して生成したカルボキシ基がポリアミドの層(被覆層)のアミン残基と反応して結合し、そのポリオレフィン部位がポリオレフィンと相溶した状態で介在していることがよい。
ここで、相溶化剤の層が、被覆層と熱可塑性樹脂との間に介在していることを確認する方法は、次の通りである。
解析装置として顕微赤外分光分析装置(日本分光IRT−5200)を用いる。例えば、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(以下PP)と、末端ステロール変性樹脂として末端ステロイド変性PA66と、修飾ポリオレフィンとしてマレイン酸変性ポリプロピレン(以下MA−PP)と、の樹脂組成物(又は樹脂成形体)の場合、この樹脂組成物(又は樹脂成形体)よりスライス片を切り出し、その断面を観察する。炭素繊維断面の周りの被覆層部についてIRマッピングを行い、被覆層と相溶化剤の層とに由来のマレイン酸無水物(1820cm−1以上1750cm−1以下)を確認する。また、被覆層部に末端ステロイド変性PA66由来のアミド基(1680cm−1以上1630cm−1以下)と2級アミノ基(3320cm−1以上3140cm−1以下)を確認する。これにより、炭素繊維表面に被覆層が形成されており、さらに、被覆層と熱可塑性樹脂との間に相溶化剤の層(結合層)が介在していることが確認できる。詳しくは、MA−PPと末端ステロイド変性PA66とが反応していると、MA−PPの環状マレイン化部分が開環して末端ステロイド変性PA66のアミン残基が化学結合することで環状マレイン化部分が減るので、被覆層と熱可塑性樹脂との間に相溶化剤の層(結合層)が介在していると確認できる。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の各成分の詳細について説明する。
−熱可塑性樹脂(A)−
熱可塑性樹脂は、樹脂組成物の母材であり、炭素繊維により強化される樹脂成分をいう(マトリックス樹脂とも呼ばれる)。
熱可塑性樹脂としては、特に制限されるものではなく、例えば、ポリオレフィン(PO)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)、アクリロニトリルスチレン(AS)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、曲げ弾性率の更なる向上、並びにコストの点から、ポリオレフィン(PO)が好ましい。
ポリオレフィンとしては、オレフィンに由来する繰り返し単位を含む樹脂であって、樹脂全体に対し30質量%)以下であれば、オレフィン以外の単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
ポリオレフィンは、オレフィン(必要に応じて、オレフィン以外の単量体)の付加重合によって得られる。
また、ポリオレフィンを得るための、オレフィン及びオレフィン以外の単量体は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
なお、ポリオレフィンは、コポリマーであってもよいし、ホモポリマーであってよい。また、ポリオレフィンは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
ここで、オレフィンとしては、直鎖状又は分岐状の脂肪族オレフィン、脂環式オレフィンが挙げられる。
脂肪族オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等のα−オレフィンが挙げられる。
また、脂環式オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、コストの点から、α−オレフィンが好ましく、エチレン、プロピレンがより好ましく、特にプロピレンが好ましい。
また、オレフィン以外の単量体としては、公知の付加重合性化合物から選択される。
付加重合性化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等のスチレン類;(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のハロゲン化ビニリデン類;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類;等が挙げられる。
好適なポリオレフィンとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブテン、ポリイソブチレン、クマロン・インデン樹脂、テルペン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等が挙げられる。
中でも、オレフィンに由来する繰り返し単位のみを含む樹脂であることが好ましく、特に、コストの点から、ポリプロピレンが好ましい。
熱可塑性樹脂の分子量は、特に限定されず、樹脂の種類、成形条件や樹脂成形体に用途等に応じて決定すればよい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィンであれば、その重量平均分子量(Mw)は、1万以上30万以下の範囲が好ましく、1万以上20万以下の範囲がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、上記分子量と同様、特に限定されず、樹脂の種類、成形条件や樹脂成形体に用途等に応じて決定すればよい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィンであれば、その融点(Tm)は、100℃以上300℃以下の範囲が好ましく、150℃以上250℃以下の範囲がより好ましい。
なお、ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)及び融点(Tm)は、以下のようにして測定された値を示す。
即ち、ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、以下の条件で行う。GPC装置としては高温GPCシステム「HLC−8321GPC/HT」、溶離液としてo−ジクロロベンゼンを用いる。ポリオレフィンを一旦高温(140℃以上150℃以下の温度)でo−ジクロロベンゼンに溶融・ろ過し、ろ液を測定試料とする。測定条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、RI検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作成する。
また、ポリオレフィンの融点(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂成形体の用途等に応じて、決定すればよいが、例えば、樹脂組成物の全質量に対して、5質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上95質量%以下がより好ましく、20質量%以上95質量%以下が更に好ましい。
なお、熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用いる場合、熱可塑性樹脂の全質量に対して20質量%以上をポリオレフィンとすることが好ましい。
−炭素繊維−
炭素繊維としては、公知の炭素繊維が用いられ、PAN系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維のいずれもが用いられる。
炭素繊維は、公知の表面処理が施されたものであってもよい。
炭素繊維の表面処理としては、例えば、酸化処理、サイジング処理が挙げられる。
炭素繊維の形態は、特に限定されず、樹脂成形体の用途等に応じて選択すればよい。炭素繊維の形態としては、例えば、多数の単繊維から構成される繊維束、繊維束を集束したもの、繊維を二次元又は三次元に織った織物等が挙げられる。
炭素繊維の繊維径、繊維長等は、特に限定されず、樹脂成形体の用途等に応じて選択すればよい。
ただし、炭素繊維の繊維長が短くても、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られるため、炭素繊維の平均繊維長は、0.1mm以上5.0mm以下(好ましくは0.2mm以上2.0mm以下)であってもよい。
また、炭素繊維の平均直径は、例えば、5.0μm以上10.0μm以下(好ましくは6.0μm以上8.0μm以下)であってもよい。
ここで、炭素繊維の平均繊維長の測定方法は、次の通りである。炭素繊維を光学顕微鏡によって倍率100で観察し、炭素繊維の長さを測定する。そして、この測定を炭素繊維200個について行い、その平均値を炭素繊維の平均繊維長とする。
一方、炭素繊維の平均直径の測定方法は、次の通りである。炭素繊維の長さ方向に直交する断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)によって倍率1000倍で観察し、炭素繊維の直径を測定する。そして、この測定を炭素繊維100個について行い、その平均値を炭素繊維の平均直径とする。
なお、炭素繊維の繊維長が短くなると、炭素繊維の樹脂強化能が低下する傾向がある。特に、近年のリサイクル化の要望により、炭素繊維で強化された樹脂成形体を粉砕して再利用することも進められており、樹脂成形体の粉砕時に炭素繊維の繊維長が短くなることが多い。また、樹脂組成物を製造するときの熱溶融混練時に炭素繊維の繊維長が短くなることもある。そのため、繊維長が短くなった炭素繊維を含む樹脂組成物により樹脂成形体を成形すると、機械的強度、特に曲げ弾性率が低下する傾向が高くなる。
しかし、炭素繊維を含む樹脂成形体を粉砕し、炭素繊維が短繊維化されたリサイクル品を原料として使用したり、熱溶融混練時に炭素繊維が短繊維化しても、本実施形態に係る樹脂組成物は、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られるため有用である。
炭素繊維としては、市販品を用いてもよい。
PAN系炭素繊維の市販品としては、東レ(株)製の「トレカ(登録商標)」、東邦テナックス(株)製の「テナックス」、三菱レイヨン(株)製の「パイロフィル(登録商標)」等が挙げられる。その他、PAN系炭素繊維の市販品としては、Hexcel社製、Cytec社製,Dow−Aksa社製、台湾プラスチック社製,SGL社製の市販品も挙げられる。
ピッチ系炭素繊維の市販品としては、三菱レイヨン(株)製の「ダイリアード(登録商標)」、日本グラファイトファイバー(株)製の「GRANOC」、(株)クレハ製の「クレカ」等が挙げられる。その他、ピッチ系炭素繊維の市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製、Cytec社製の市販品も挙げられる。
なお、炭素繊維は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭素繊維の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上200質量部以下であることが好ましく、1質量部以上180質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上150質量部以下であることが更に好ましい。
炭素繊維が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上含まれることで、樹脂組成物の強化が図られ、また、炭素繊維の含有量を、熱可塑性樹脂100質量部に対し200質量部以下とすることで、樹脂成形体を得る際の成形性が良好になる。
なお、炭素繊維以外の強化繊維を用いる場合、強化繊維の全質量に対して80質量%以上を炭素繊維とすることが好ましい。
ここで、以降、熱可塑性樹脂100質量部に対する含有量(質量部)は、「phr(per hundred resin)と略記することがある。
この略記を使用した場合、上記炭素繊維の含有量は、0.1phr以上200phr以下となる。
−末端ステロール変性樹脂−
末端ステロール変性樹脂は、主鎖がアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を含む樹脂であって、かつこの主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された樹脂である。この末端ステロール変性樹脂は、前述したように、炭素繊維の周囲を被覆しうる樹脂である。
この末端ステロール変性樹脂について、詳細に説明する。
・末端変性
末端ステロール変性樹脂は、主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性されてなる。
ステロールはステロイドアルコールとも呼ばれ、下記に示す構造を基本骨格とする化合物である。本実施形態では、天然に存在するステロールを用いても、合成ステロールを用いてもよい。

ステロールは、上記に示す通り水酸基(−OH)を有する。この水酸基が、アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含み末端に官能基を有する樹脂(例えばアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む樹脂の未変性物)における該官能基と反応することで、末端ステロール変性樹脂の末端にステロール残基(つまりステロールから水酸基(−OH)を除いた基)が導入される。
例えば、主鎖となる樹脂がポリアミドやポリイミド等である場合、末端にカルボキシ基(無水物も含む)を有していることから、こうした官能基に対してステロールの前記水酸基が反応することで、末端ステロール変性樹脂が得られる。
末端変性に用いられる化合物(原料)、すなわちステロールとしては、例えばコレステロール、β−シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、アンドロステロン、β−コレステロール、コルチコステロンアセテート、デヒドロエピアンドロステロン、エピアンドロステロン、エルステロール、エストロン、11α−ヒドロキシメチルテストステロン、11α−ヒドロキシプロゲステロン、ラノステロール、メストラノール、メチルテストステロン、△9(11)−メチルテストステロン、ノレチステロン、プレグステロン、及びテストステロン等が挙げられる。
これらの中でも、曲げ弾性率向上の観点からコレステロール、及びβ−コレステロールが好ましく、コレステロールがより好ましい。
なお、以下に代表的なものの化学構造式を示す。

末端の変性方法、つまり主鎖となる樹脂の未変性物と末端変性に用いられる化合物(ステロール)とを反応させる方法は、特に限定されるものではなく公知の方法を採用し得る。
末端ステロール変性樹脂において、末端の総数に対するステロール残基で変性された末端の数の割合(末端変性率=ステロール残基で変性された末端の数/全末端数×100[%])は、10%以上100%以下の範囲であることが好ましく、30%以上100%以下の範囲がより好ましく、50%以上80%以下の範囲がさらに好ましい。
末端変性率が10%以上(より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上)であることで、曲げ弾性率がより向上し易くなる。一方、末端変性率が100%以下(より好ましくは80%以下)であることで、衝撃耐性に優れるとの利点が得られる。
上記の末端変性率は、以下の方法により測定し得る。
末端ステロール変性樹脂を加水分解し、ジカルボン酸、ジアミン、末端変性に用いられる化合物(ステロール)に分離し定量化することで、末端ステロール変性樹脂を構成する組成比を求める。ジカルボン酸とジアミンとの当量比により全末端数を、末端変性に用いられる化合物の量により封止末端(変性された末端)の数を算出する。
・主鎖
次いで、末端ステロール変性樹脂の主鎖について説明する。
末端ステロール変性樹脂は、主鎖にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を含む。
イミド結合又はアミド結合を含むことで、炭素繊維の表面に存在する極性基との間で親和性が発現する。
末端ステロール変性樹脂の主鎖となる樹脂(未変性物)の具体的な種類としては、アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含む熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミノ酸等が挙げられる。
なお、末端ステロール変性樹脂は、熱可塑性樹脂(樹脂組成物における母材)との相溶性が低い樹脂、具体的には熱可塑性樹脂とは溶解度パラメータ(SP値)が異なる樹脂であることが好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂と末端ステロール変性樹脂とのSP値の差としては、両者間の相溶性、両者間の斥力の点から、3以上が好ましく、3以上6以下がより好ましい。
ここでいうSP値とは、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
末端ステロール変性樹脂としては、熱可塑性樹脂(樹脂組成物における母材)との相溶性が低く、SP値が異なる方が好ましいため、母材である熱可塑性樹脂とは種類の異なる熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
中でも、曲げ弾性率の更なる向上の点、炭素繊維との密着性に優れる点から、末端ステロール変性樹脂の主鎖となる樹脂(未変性物)としては、ポリアミド(PA)が好ましい。
ポリアミドとしては、ジカルボン酸とジアミンとを共縮重合したポリアミド、ラクタムを開環重縮合したポリアミド、ジカルボン酸とジアミンとラクタムとを縮合したポリアミドが挙げられる。つまり、ポリアミドとしては、ジカルボン酸とジアミンとが縮重合した構造単位、及びラクタムが開環した構造単位の少なくも一方を有するポリアミドが挙げられる。
ポリアミドは、ジカルボン酸とジアミンとが縮重合した構造単位、又はラクタムが開環した構造単位であって、アラミドを除く芳香環を含む構造単位を有するポリアミド、芳香環を含まない構造単位を有するポリアミド、アラミド構造単位を除く芳香環を含む構造単位と芳香環を含まない構造単位とを有するポリアミドのいずれであってもよいが、曲げ弾性率向上の観点から、アラミド構造単位を除く芳香環を含む構造単位と芳香環を含まない構造単位とを有するポリアミドであることが好ましい。
特に、ポリアミドとして、アラミド構造単位を除く芳香環を含む構造単位と芳香環を含まない構造単位とを有するポリアミドを適用すると、炭素繊維と熱可塑性樹脂との親和性が共に良好となる。ここで、芳香環を含む構造単位のみ有するポリアミドは、芳香環を含まない構造単位のみを有するポリアミドに比べ、炭素繊維と親和性が高く、熱可塑性樹脂とは親和性が低い傾向がある。芳香環を含まない構造単位のみを有するポリアミドは、芳香環を含む構造単位のみ有するポリアミドに比べ、炭素繊維と親和性が低く、熱可塑性樹脂とは親和性が高い傾向がある。そのため、両構造単位を有するポリアミドを適用することで、炭素繊維と熱可塑性樹脂との親和性が共に良好となり、ポリアミドの被覆層によって炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面の密着性がさらに高まることになる。そのため、機械的強度、特に高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られやすくなる。
また、ポリアミドとして、アラミド構造単位を除く芳香環を含む構造単位と芳香環を含まない構造単位とを有するポリアミドを適用すると、溶融粘度が低下し、成形性(例えば射出成形性)も向上する。そのため、外観品質の高い樹脂成形体が得られ易くなる。
なお、ポリアミドとして、アラミド構造単位のみを有するポリアミドを適用すると、ポリアミドが溶融し得る高い温度では、熱可塑性樹脂の熱劣化を引き起こす。また、熱可塑性樹脂の熱劣化が引き起こされる温度では、ポリアミドが十分に溶融できず、成形性(例えば射出成形性)が悪化し、得られる樹脂成形体の外観品質及び機械的性能が低下する。
なお、芳香環とは、5員環以上の単環の芳香環(シクロペンタジエン、ベンゼン)、及び5員環以上の複数の単環の芳香環が縮合した縮合環(ナフタレン等)を示す。芳香環は複素環(ピリジン等)も含む。
また、アラミド構造単位とは、芳香環を含むジカルボン酸と芳香環を含むジアミンとの縮重合反応した構造単位を示す。
ここで、アラミド構造単位を除く芳香環を含む構造単位としては、例えば、下記構造単位(1)及び(2)の少なくとも一方が挙げられる。
・構造単位(1):−(−NH−Ar−NH−CO−R−CO−)−
(構造単位(1)中、Arは芳香環を含む2価の有機基を示す。Rは芳香環を含まない2価の有機基を示す。)
・構造単位(2):−(−NH−R−NH−CO−Ar−CO−)−
(構造単位(2)中、Arは芳香環を含む2価の有機基を示す。Rは芳香環を含まない2価の有機基を示す。)
一方、芳香環を含まない構造単位としては、例えば、下記構造単位(3)及び(4)の少なくとも一方が挙げられる。
・構造単位(3):−(−NH−R31−NH−CO−R32−CO−)−
(構造単位(3)中、R31は芳香環を含まない2価の有機基を示す。R32は芳香環を含まない2価の有機基を示す。)
・構造単位(4):−(−NH−R−CO−)−
(構造単位(4)中、Rは芳香環を含まない2価の有機基を示す)
なお、構造式(1)〜(3)において、各符号が示す「2価の有機基」は、ジカルボン酸、ジアミン、又はラクタムが有する2価の有機基に由来する有機基である。具体的には、例えば、構造単位(1)において、Arが示す「芳香環を含む2価の有機基」は、ジアミンから2つのアミノ基を除いた残基を示し、Rが示す「芳香環を含まない2価の有機基」は、ジカルボン酸から2つのカルボキシ基を除いた残基を示す。また、例えば、構造単位(4)において、Rが示す「芳香環を含まない2価の有機基」は、ラクタムが開環したとき「NH基」と「CO基」とで挟まれている有機基を示す。
ポリアミドとしては、共重合ポリアミド、混合ポリアミドのいずれであってもよい。ポリアミドは、共重合ポリアミドと混合ポリアミドとを併用してもよい。これらの中でも、ポリアミドとしては、曲げ弾性率の更なる向上の点から、混合ポリアミドが好ましい。
共重合ポリアミドは、例えば、アラミド構造単位を除く芳香環を含む構造単位を有する第1ポリアミドと、芳香環を含まない構造単位を有する第2ポリアミドと、を共重合した共重合ポリアミドである。
混合ポリアミドは、例えば、芳香環を有する第1ポリアミドと、芳香環を有さない第2ポリアミドと、を含む混合ポリアミドである。
なお、以下、便宜上、第1ポリアミドを「芳香族ポリアミド」、第2ポリアミドを「脂肪族ポリアミド」と称することがある。
共重合ポリアミドにおいて、芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミドとの割合(芳香族ポリアミド/脂肪族ポリアミド)は、曲げ弾性率の更なる向上の点から、質量比で20/80以上99/1以下(好ましくは50/50以上96/4以下)がよい。
一方、混合ポリアミドにおいて、芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミド(芳香族ポリアミド/脂肪族ポリアミド)との割合は、曲げ弾性率の更なる向上の点から、質量比で20/80以上99/1以下(好ましくは50/50以上96/4以下)がよい。
芳香族ポリアミドにおいて、芳香環を含む構造単位の割合は、全構造単位に対して80質量%以上(好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%以上)がよい。
一方、脂肪族ポリアミドにおいて、芳香環を含まない構造単位の割合は、全構造単位に対して80質量%以上(好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%以上)がよい。
芳香族ポリアミドは、芳香環を含むジカルボン酸と芳香環を含まないジアミンとの縮重合体、芳香環を含まないジカルボン酸と芳香環を含むジアミンとの縮重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリアミドは、芳香環を含まないジカルボン酸と芳香環を含まないジアミンとの縮重合体、芳香環を含まないラクタムの開環重縮合体等が挙げられる。
ここで、芳香環を含むジカルボン酸としては、フタル酸(テレフタル酸、イソフタル酸等)、ビフェニルジカルボン酸等が例示される。
芳香環を含まないジカルボン酸としては、シュウ酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸等が例示される。
芳香環を含むジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル等が例示される。
芳香環を含まないジアミンとしては、エチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、デカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等が例示される。
芳香環を含まないラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタム等が例示される。
なお、各ジカルボン酸、各ジアミン、各ラクタムは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
芳香族ポリアミドとしては、MXD6(アジピン酸とメタキシレンジアミンとの縮重合体)、ナイロン6T(テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの縮重合体)、ナイロン6I(イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの重縮合体)、ナイロン9T(テレフタル酸とナンジアミンとの重縮合体)、ナイロンM5T(テレフタル酸とメチルペンタジアミンとの重縮合体)等が例示される。
芳香族ポリアミドの市販品としては、三菱ガス化学社製「MXD6」、クラレ社製「GENESTAR(登録商標):PA6T」、クラレ社製「GENESTAR(登録商標):PA9T」、東洋紡社製「TY−502NZ:PA6T」等が例示される。
脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン6(ε−カプロラクタムの開環重縮合体)、ナイロン11(ウンデカンラクタムの開環重縮合体)、ナイロン12(ラウリルラクタムの開環重縮合体)、ナイロン66(アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの縮重合体)、ナイロン610(セバシン酸とヘキサメチレンジアミンとの縮重合体)等が例示される。
脂肪族ポリアミドの市販品としては、Dupont社製「ザイテル(登録商標):7331J(PA6)」、Dupont社製「ザイテル(登録商標):101L(PA66)」
・物性
末端ステロール変性樹脂の物性について説明する。
末端ステロール変性樹脂の分子量は、特に限定されず、樹脂組成物中に併存する熱可塑性樹脂よりも熱溶融し易ければよい。末端ステロール変性樹脂がポリアミドであれば、例えば、その末端ステロール変性樹脂の重量平均分子量は、1万以上30万以下の範囲が好ましく、1万以上10万以下の範囲がより好ましい。
また、末端ステロール変性樹脂のガラス転移温度又は溶融温度(融点)は、上記分子量と同様、特に限定されず、樹脂組成物中に併存する熱可塑性樹脂よりも熱溶融し易ければよい。末端ステロール変性樹脂がポリアミドであれば、例えば、その末端ステロール変性樹脂(共重合ポリアミド、混合ポリアミドの各ポリアミド)の融点(Tm)は、100℃以上400℃以下の範囲が好ましく、150℃以上350℃以下の範囲がより好ましい。
末端ステロール変性樹脂の含有量は、曲げ弾性率の更なる向上の点から、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上90質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上80質量部以下であることが更に好ましい。
末端ステロール変性樹脂の含有量が上記の範囲であることで、炭素繊維との親和性が高まり、曲げ弾性率の向上が図られる。
特に、相溶化剤を併用する場合、末端ステロール変性樹脂を熱可塑性樹脂100質量部に対して20質量部超え100質量部以下といった範囲で多く含ませると、末端ステロール変性樹脂量に対して相対的に相溶化剤量が少なくなり、末端ステロール変性樹脂が熱可塑性樹脂中に広がり難くなり、炭素繊維の周囲に局在化する傾向が高まる。それにより、繊維長が短い炭素繊維の周囲全体にわたって、末端ステロール変性樹脂による被覆層がある程度厚膜化しつつ均一に近い状態で形成されると考えられる。そのため、炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面の密着性が高まり、機械的強度、特に高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られやすくなる。
末端ステロール変性樹脂の含有量は、炭素繊維との親和性を効果的に発現させる点から、前述した炭素繊維の含有量と比例させることが好ましい。
炭素繊維の質量に対する末端ステロール変性樹脂の含有量としては、0.1質量%以上200質量%以下であることが好ましく、1質量%以上150質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上120質量%以下であることが更に好ましい。
炭素繊維の質量に対する末端ステロール変性樹脂の含有量が、0.1質量%以上であると炭素繊維と末端ステロール変性樹脂との親和性が高まり易くなり、200質量%以下であると樹脂流動性が向上する。
ここで、末端ステロール変性樹脂と炭素繊維との密着性は、例えば、界面せん断強度といった指標にて評価される。
−相溶化剤−
本実施形態では、熱可塑性樹脂、炭素繊維、及び末端ステロール変性樹脂の3成分に加えて、さらに相溶化剤を併用してもよい。
相溶化剤は、熱可塑性樹脂と末端ステロール変性樹脂との親和性を高める樹脂である。
相溶化剤としては、熱可塑性樹脂に応じて決定すればよい。
相溶化剤としては、熱可塑性樹脂と同じ構造を有し、且つ、分子内の一部に末端ステロール変性樹脂と親和性を有する部位を含むものが好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用いる場合、相溶化剤としては、修飾ポリオレフィンを用いればよい。
ここで、熱可塑性樹脂がポリプロピレン(PP)であれば修飾ポリオレフィンとしては修飾ポリプロピレン(PP)が好ましく、同様に、熱可塑性樹脂がエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)であれば修飾ポリオレフィンとしては修飾エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)が好ましい。
修飾ポリオレフィンとしては、カルボキシ基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸エステル残基、イミノ基、アミノ基、エポキシ基等を含む修飾部位が導入されたポリオレフィンが挙げられる。
ポリオレフィンに導入される修飾部位としては、ポリオレフィンと末端ステロール変性樹脂との親和性の更なる向上の点、成形加工時の上限温度の点から、カルボン酸無水物残基を含むことが好ましく、特に、無水マレイン酸残基を含むことが好ましい。
修飾ポリオレフィンは、上述した修飾部位を含む化合物をポリオレフィンに反応させて直接化学結合する方法や、上述した修飾部位を含む化合物を用いてグラフト鎖を形成し、このグラフト鎖をポリオレフィンに結合させる方法などがある。
上述した修飾部位を含む化合物としては、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水クエン酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルベンゾエート、N−〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル〕アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、及びこれらの誘導体が挙げられる。
なお、上記の中でも、不飽和カルボン酸である無水マレイン酸をポリオレフィンと反応させてなる修飾ポリオレフィンが好ましい。
修飾ポリオレフィンとして具体的には、無水マレイン酸修飾ポリプロピレン、無水マレイン酸修飾ポリエチレン、無水マレイン酸修飾エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、これらの付加体又は共重合等の酸修飾ポリオレフィンが挙げられる。
修飾ポリオレフィンとしては、市販品を用いてもよい。
修飾プロピレンとしては、三洋化成工業(株)製のユーメックス(登録商標)シリーズ(100TS、110TS、1001、1010)等が挙げられる。
修飾ポリエチレンとしては、三洋化成工業(株)製のユーメックス(登録商標)シリーズ(2000)、三菱化学(株)製のモディック(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
修飾エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)としては、三菱化学(株)のモディック(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
なお、相溶化剤の分子量は、特に限定されないが、加工性の点から、0.5万以上10万以下の範囲が好ましく、0.5万以上8万以下の範囲がより好ましい。
相溶化剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上30質量部以下であることが更に好ましい。
相溶化剤の含有量は、末端ステロール変性樹脂100質量部に対し1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上50質量部以下であることが更に好ましい。
相溶化剤の含有量が上記の範囲であることで、熱可塑性樹脂と末端ステロール変性樹脂との親和性が高められ、曲げ弾性率の向上が図られる。
相溶化剤の含有量は、熱可塑性樹脂と末端ステロール変性樹脂との親和性を高める点から、末端ステロール変性樹脂の含有量と比例させる(炭素繊維の含有量に間接的に比例させる)ことが好ましい。
炭素繊維の質量に対する相溶化剤の含有量としては、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
炭素繊維の質量に対する相溶化剤の含有量が、1質量%以上であると炭素繊維と末端ステロール変性樹脂との親和性が得られ易く、50質量%以下(特に30質量%以下)であると変色や劣化の原因となる未反応官能基の残存が抑制される。
−その他の成分−
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記各成分の他、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、例えば、難燃剤、難燃助剤、加熱された際の垂れ(ドリップ)防止剤、可塑剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、炭素繊維以外の補強剤(タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)等の周知の添加剤が挙げられる。
その他の成分は、例えば、熱可塑性樹脂100質量部に対し0質量部以上10質量部以下がよく、0質量部以上5質量部以下がより好ましい。ここで、「0質量部」とはその他の成分を含まない形態を意味する。
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記各成分を溶融混練することにより製造される。
ここで、溶融混練の手段としては公知の手段が用いられ、例えば、二軸押出し機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
溶融混練の際の温度(シリンダ温度)としては、樹脂組成物を構成する樹脂成分の融点等に応じて、決定すればよい。
特に、本実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、炭素繊維と、末端ステロール変性樹脂と、さらに必要により相溶化剤と、を溶融混練する工程を含む製造方法により得られることが好ましい。熱可塑性樹脂と、炭素繊維と、末端ステロール変性樹脂と、さらに必要により相溶化剤と、を一括して溶融混練すると、炭素繊維の周囲に末端ステロール変性樹脂による被覆層が薄く且つ均一に近い状態で形成され易くなり、曲げ弾性率が高まる。
[樹脂成形体]
本実施形態に係る樹脂成形体は、熱可塑性樹脂と、炭素繊維と、末端ステロール変性樹脂と、を含む。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
なお、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を調製しておき、この樹脂組成物を成形して得られたものであってもよいし、炭素繊維以外の成分を含む組成物を調製し、成形時に、かかる組成物と炭素繊維とを混合して得られたものであってもよい。
成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
本実施形態に係る樹脂成形体の成形方法は、形状の自由度が高い点で、射出成形が好ましい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば180℃以上300℃以下であり、好ましくは200℃以上280℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば30℃以上100℃以下であり、30℃以上60℃以下がより好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX150、日精樹脂工業製NEX300、住友機械製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子・電気機器、事務機器、家電製品、自動車内装材、容器などの用途に好適に用いられる。より具体的には、電子・電気機器や家電製品の筐体;電子・電気機器や家電製品の各種部品;自動車の内装部品;CD−ROMやDVD等の収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などである。
特に、本実施形態に係る樹脂成形体は、強化繊維として炭素繊維を適用しているため、より機械的強度に優れた樹脂成形体となることから、金属部品への代替用途に好適となる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
−末端ステロール変性樹脂の合成−
(合成例1:末端ステロール変性樹脂1(末端ステロール変性PA66))
ヘキサメチレンジアミン(ジアミン成分)11.27kg(97mol)、アジピン酸(ジカルボン酸成分)14.61kg(100mol)、コレステロール(末端変性に使用するステロール)1.86kg(4.8mol)、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム10g、及びイオン交換水18kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでNで加圧し、その後放圧させて常圧に戻した。この操作を3回行い、N置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、300℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、縮合物を得た。その後、この縮合物を、熱水中に添加して洗浄した後、液体窒素で凍結してハンマーにて粉砕した。得られた樹脂粉末を120℃で12時間乾燥させ、末端にコレステロール残基を有する末端ステロール変性樹脂1(末端ステロール変性PA66)を得た。
得られた末端スロール変性樹脂1の末端変性率を前述の方法にて測定したところ、80%であった。
(合成例2:末端ステロール変性樹脂2(末端ステロール変性MXD6))
ジカルボン酸成分をアジピン酸14.61kg(100mol)に、ジアミン成分をメタキシレンジアミン13.21kg(97mol)に、ステロールをコレステロール1.86kg(4.8mol)に、変更した以外、合成例1と同様にして末端にコレステロール残基を有する末端ステロール変性樹脂2(末端ステロール変性MXD6)を得た。
得られた末端ステロール変性樹脂2の末端変性率を前述の方法にて測定したところ、80%であった。
(合成例3:末端ステロール変性樹脂3(末端ステロール変性PA66))
ジカルボン酸成分をアジピン酸14.61kg(100mol)に、ジアミン成分をヘキサメチレンジアミン11.27kg(97mol)に、ステロールをβ−シトステロール1.99kg(4.8mol)に、変更した以外、合成例1と同様にして末端にβ−シトステロール残基を有する末端ステロール変性樹脂3(末端ステロール変性PA66)を得た。
得られた末端ステロール変性樹脂3の末端変性率を前述の方法にて測定したところ、80%であった。
(合成例4:末端ステロール変性樹脂4(末端変性MXD6))
ジカルボン酸成分をアジピン酸14.61kg(100mol)に、ジアミン成分をメタキシレンジアミン13.21kg(97mol)に、ステロールをβ−シトステロール1.99kg(4.8mol)に、変更した以外、合成例1と同様にして末端にβ−シトステロール残基を有する末端ステロール変性樹脂4(末端変性MXD6)を得た。
得られた末端ステロール変性樹脂4の末端変性率を前述の方法にて測定したところ、80%であった。
[実施例1〜22、比較例1〜19]
表1〜表7に従った成分(表中の数値は部数を示す)を、2軸混練装置(東芝機械製、TEM58SS)にて、下記の混練条件、および表1〜表7に示す溶融混練温度(シリンダ温度)で混練し、樹脂組成物のペレットを得た。なお、得られたペレットを600℃で2時間焼成し、残留した炭素繊維の平均繊維長を前述の方法で測定した。測定結果を表1〜表7に示す。
−混練条件−
・スクリュー径:φ58mm
・回転数:300rpm
・吐出ノズル径:1mm
得られたペレットを、射出成形機(日精樹脂工業製、NEX150)にて、表1〜表7に示す射出成形温度(シリンダ温度)、金型温度50℃で、ISO多目的ダンベル試験片(ISO527引張試験、ISO178曲げ試験に対応)(試験部厚さ4mm、幅10mm)と、D2試験片(長さ60mm、幅60mm、厚み2mm)と、を成形した。
[評価]
得られた2種の試験片を用いて、以下のような評価を行った。
評価結果を表1〜表7に示す。
−曲げ弾性率−
得られたISO多目的ダンベル試験片について、万能試験装置(島津製作所社製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO178に準拠する方法で、曲げ弾性率を測定した。
−ノッチなしシャルピー衝撃強さ(耐衝撃性)−
得られたISO多目的ダンベル試験片を用い、JIS−K7111(2006年)に準拠して、評価装置(東洋精機(株)製DG−UB2)にて、23℃で、シャルピー衝撃試験よりノッチなしシャルピー衝撃強さ(kJ/m)を測定した。
−被覆層の有無−
得られたD2試験片を用いて、既述の方法に従って、末端ステロール変性樹脂による被覆層の有無を確認した。
なお、表1〜表7の材料種の詳細は、以下の通りである。
−熱可塑性樹脂−
・ポリプロピレン(ノバテック(登録商標)PP MA3、日本ポリプロ(株)製)
・ポリエチレン(ウルトゼックス20100J、(株)プライムポリマー製)
−強化繊維−
・炭素繊維A(表面処理有、チョップド炭素繊維トレカ(登録商標)、東レ(株)、平均繊維長20mm、平均直径7μm)
・炭素繊維B(表面処理無、上記チョップド炭素繊維トレカ(登録商標)、東レ(株)を溶媒浸漬し、サイジング剤を除去したもの)
−未変性PA(ポリアミド)−
・PA66(デュポン社製、101L)
・MXD6(三菱ガス化学社製、S6007)
−相溶化剤−
・無水マレイン酸修飾ポリプロピレン(ユーメックス(登録商標)110TS、三洋化成工業(株)製
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られることがわかる。
また、本実施例では、比較例に比べ、耐衝撃性に優れた樹脂成形体が得られることがわかる。
なお、実施例10及び20で作製した成形体を既述方法により分析したところ、被覆層と熱可塑性樹脂との間に、使用した相溶化剤の層(無水マレイン酸修飾ポリプロピレンの層)が介在していること(被覆層の表面に相溶化剤の層が形成されていること)が確認された。

Claims (24)

  1. 熱可塑性樹脂と、
    炭素繊維と、
    アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含みかつ前記主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された末端ステロール変性樹脂と、
    を含む樹脂組成物。
  2. 前記炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上5.0mm以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンである請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記末端ステロール変性樹脂が、主鎖に前記アミド結合を含むポリアミドである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記炭素繊維の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上200質量部以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上100質量部以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記炭素繊維の質量に対する、前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、0.1質量%以上200質量%以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 相溶化剤を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記相溶化剤が、修飾ポリオレフィンである請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. 前記相溶化剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上50質量部以下である請求項8又は請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 前記相溶化剤の含有量が、前記末端ステロール変性樹脂100質量部に対し1質量部以上50質量部以下である請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記炭素繊維の質量に対する、前記相溶化剤の含有量が、1質量%以上50質量%以下である請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 熱可塑性樹脂と、
    炭素繊維と、
    アミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を主鎖に含みかつ前記主鎖の少なくとも一方の末端がステロール残基で変性された末端ステロール変性樹脂と、
    を含む樹脂成形体。
  14. 前記炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上5.0mm以下である請求項13に記載の樹脂成形体。
  15. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンである請求項13又は請求項14に記載の樹脂成形体。
  16. 前記末端ステロール変性樹脂が、主鎖に前記アミド結合を含むポリアミドである請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  17. 前記炭素繊維の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上200質量部以下である請求項13〜請求項16のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  18. 前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上100質量部以下である請求項13〜請求項17のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  19. 前記炭素繊維の質量に対する、前記末端ステロール変性樹脂の含有量が、0.1質量%以上200質量%以下である請求項13〜請求項18のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  20. 相溶化剤を含む請求項13〜請求項19のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  21. 前記相溶化剤が、修飾ポリオレフィンである請求項20に記載の樹脂成形体。
  22. 前記相溶化剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上50質量部以下である請求項20又は請求項21に記載の樹脂成形体。
  23. 前記相溶化剤の含有量が、前記末端ステロール変性樹脂100質量部に対し1質量部以上50質量部以下である請求項20〜請求項22のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  24. 前記炭素繊維の質量に対する、前記相溶化剤の含有量が、1質量%以上50質量%以下である請求項20〜請求項23のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
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