JP2018104593A - 高分子化合物、ならびにこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子用材料および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

高分子化合物、ならびにこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子用材料および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い三重項エネルギー準位を有し、高電流効率を達成できる高分子化合物。【解決手段】式(1)ならびに式(3)および/または(4)の構成単位を含む高分子化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、アリールアミンがオルト位で連結してなる高分子化合物、ならびにこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子用材料および有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、自発光型の発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子(Organic ElectroLuminescence Diode:有機電界発光素子または有機EL素子)を用いた表示装置および照明機器の開発が活発に行われている。
有機EL素子の材料としては、発光層やキャリア輸送層に種々の低分子材料や高分子材料が用いられており、特に低分子材料においては素子の効率・寿命の面で優れていることから、数多くの材料が提案され、実用化がモバイル用途で始まっている。しかし、低分子材料からなる有機EL素子の最大の課題は、その製造コストであり、その解決策として、高分子材料のような塗布系材料の開発が望まれている。塗布により成膜可能な高分子材料としては、正孔輸送材料用アリールアミンポリマーが提案されている。
また、近年、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体[Ir(ppy)]のような高い発光効率を示す燐光発光材料を用いた有機電界発光素子の開発が盛んになされている。このような発光材料と組み合わせるキャリア輸送材としては、高い三重項エネルギー準位(例えば、2.5eV以上)を有するものが望まれている。しかし、アリールアミンポリマーでは、繰り返し単位自体は十分に高い三重項エネルギー準位を有していても、繰り返し単位の増加により三重項エネルギー準位は低下する。このため、高分子材料を用いて有機EL素子を作製した場合、発光効率が低い課題があった。
高分子量化による三重項エネルギー準位の低下を抑制するために、アリール基への置換基導入による主鎖構造の共役を抑制する構造が開示されている(特許文献1〜2)。
特開2013−170228号公報 特開2002−308837号公報
しかしながら、特許文献1や2に記載のアリールアミンポリマーは三重項エネルギー準位が十分高くないという課題があった。このため、高い三重項エネルギー準位を有するアリールアミンポリマーの開発が望まれている。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高い三重項エネルギー準位を有し、高電流効率を達成できる高分子化合物を提供することを課題とする。
本発明の他の目的は、湿式製膜法(塗布法)での成膜に適した高電流効率を達成できる高分子化合物を提供することである。
本発明の別の目的は、このような高分子化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料(特に正孔輸送材料)、および当該材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の構成単位を有する2元または3元共重合体が上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記諸目的は、下記式(1):
式(1)中、XおよびXは、それぞれ独立して、下記式(2):
式(2)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、単結合または置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表し、この際、ArおよびArの少なくとも一方は、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、
Arは、置換基を有してもよい1価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す、
で示される2価の基であり;
およびRは、それぞれ独立して、炭素数1以上18以下のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素数6以上18以下のアリール基であり、RおよびRが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なってもよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である、
で表わされる構成単位(1)、ならびに
下記式(3):
式(3)中、Arは、置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族複素環基を表し;
は、単結合または置換基を有してもよいアルキレン基もしくはフェニレン基を表し、Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく;
は、1価の架橋性基を表し、Qが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく;ならびに
pは、1以上の整数である、
で表わされる構成単位(2)、および
下記式(4):
式(4)中、Arは、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である、
で表わされる構成単位(3)の少なくとも一方
を含む高分子化合物によって達成できる。
また、上記諸目的は、一対の電極と、前記電極間に配置され、上記高分子化合物を含む少なくとも1層の有機層と、を備える、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記有機層のうち少なくとも1層を塗布法により形成する、方法によっても達成できる。
また、上記諸目的は、上記高分子化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料によっても達成できる。
また、上記諸目的は、一対の電極と、前記電極間に配置され、上記高分子化合物を含む少なくとも1層の有機層と、を備える、有機エレクトロルミネッセンス素子によっても達成できる。
本発明の高分子化合物は、三重項エネルギー準位が高く、加熱により容易に膜を形成できる。このため、本発明は、エレクトロルミネッセンス素子などに(特に正孔輸送材料として)好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る有機EL素子の一例を示す模式図である。
本発明の一態様によると、下記式(1):
式(1)中、XおよびXは、それぞれ独立して、下記式(2):
式(2)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、単結合または置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表し、この際、ArおよびArの少なくとも一方は、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、
Arは、置換基を有してもよい1価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す、
で示される2価の基であり;
およびRは、それぞれ独立して、炭素数1以上18以下のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素数6以上18以下のアリール基であり、RおよびRが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なってもよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である、
で表わされる構成単位(1)、ならびに
下記式(3):
式(3)中、Arは、置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族複素環基を表し;
は、単結合または置換基を有してもよいアルキレン基もしくはフェニレン基を表し、Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく;
は、1価の架橋性基を表し、Qが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく;ならびに
pは、1以上の整数である、
で表わされる構成単位(2)、および
下記式(4):
式(4)中、Arは、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である、
で表わされる構成単位(3)の少なくとも一方
を含む高分子化合物を提供する。
本明細書において、上記式(1)で表わされる構成単位(1)、上記式(3)で表わされる構成単位(2)および上記式(4)で表わされる構成単位(3)を、それぞれ、単に「構成単位(1)」または「本発明に係る構成単位(1)」、「構成単位(2)」または「本発明に係る構成単位(2)」、および「構成単位(3)」または「本発明に係る構成単位(3)」と、称する。
本発明の高分子化合物は、構成単位(1)ならびに構成単位(2)および/または構成単位(3)を有する2元または3元共重合体であることを特徴とする。
有機電界発光素子の製造は、現在、蒸着法や湿式法により行われている。このうち、蒸着法は蒸着により多層に積層でき、積層によるエネルギーダイアグラムの最適化が容易である。このため、発光効率や寿命の向上、ならびに低駆動電圧化が可能である。しかしその一方で、低い生産性と低い歩留まりが大きな課題となっている。これに対して、湿式法による電界素子の製造では、印刷プロセスが可能であるので、大面積化、高生産性が期待できる。しかしその一方で、積層可能な材料の設計が大きな課題となっている。従来、積層可能な塗布型の正孔輸送材料は、可溶−不溶化制御技術に基づき開発され、大別して、親・疎水性制御型材料、高分子架橋型材料および低分子架橋型材料の3種がある。現在、積層の総数、材料の純度などの観点から、高分子架橋型材料の開発が主流である。しかし、高分子架橋型材料を正孔輸送材料として用いた場合の電気的特性は、構成単位の光学物性への依存性が高く、重要な特性である正孔移動度および三重項エネルギー準位は分子量依存性が特に大きい。材料の分子量を増加すると正孔移動度は増加する一方で、三重項エネルギー準位は低下する。また、有機溶媒への溶解性も構成ユニットおよび分子量に大きく依存している。このため、本発明者らは、既存技術の課題である高分子架橋型材料の分子量の増加による三重項エネルギー準位の低下を抑える(ゆえに電流効率を向上する)手段について鋭意検討を行った。その結果、アリールアミンを連結する共役の形式が三重項エネルギー準位と相関があることを見出した。このため、アリールアミンを連結する共役の形式と三重項エネルギー準位との相関性についてさらに検討を行った。その結果、上記式(1)の構成単位に示されるように、アリールアミン(上記式(1)中の「X」および「X」)をオルト位(o−位)でフェニル基が2個連結した構造(上記式(1)中の「X」および「X」を除いた部分;「リンカー」とも称する)を介して連結することによって、三重項エネルギー準位が大きくなり、電流効率を増加できる。また、アリールアミンユニット間にo−位でフェニル基が2個連結したリンカーを導入することによって、高分子化合物の高分子主鎖(式(1)の構成単位)のフレキシビリティーを適切に制御することができる。このため、高分子化合物は、溶媒への高い溶解性および高い耐熱性を示すことができる。また、上記式(3)の構成単位(2)は、架橋性基(上記式(3)中の「Q」)を有する。ゆえに、構成単位(2)を導入することによって、湿式(塗布)法による成膜性を向上できる。また、上記式(4)の構成単位(3)は、溶媒(特に有機溶媒)への溶解性を向上できる。ゆえに、構成単位(3)を導入することによって、湿式(塗布)法による成膜化をより容易にできる。
したがって、本発明の高分子化合物は高い三重項エネルギー準位を有し、高電流効率を達成できる。ゆえに、本発明の高分子化合物を(特に正孔輸送材料として)用いて作製される有機エレクトロルミネッセンス素子は、高い発光効率を発揮できる。また、本発明の高分子化合物は、成膜性および溶媒溶解性に優れるため、湿式(塗布)法での成膜が可能である。ゆえに、本発明の高分子化合物を用いることによって、有機エレクトロルミネッセンス素子の大面積化、高生産性が可能となる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら拘泥されるものではない。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で行う。
[高分子化合物]
本発明の高分子化合物は、構成単位(1)ならびに構成単位(2)および/または(3)を有する。
ここで、構成単位(1)は、下記式(1)で示される。本発明の高分子化合物は、構成単位(1)1種を含むものであっても、または2種以上の構成単位(1)を含むものであってもよい。
上記構成単位(1)は、2個のアリールアミン(上記式(1)中の「X」および「X」)が、下記構造で示されるようなo−位でフェニル基が2個連結したリンカー(即ち、上記式(1)中の「X」および「X」を除いた部分)を介して連結してなる。
このような構成単位(1)を導入することによって、高分子化合物は、高い三重項エネルギー準位を示し、電流効率を向上できる。また、このような構造の構成単位(1)は、適切なフレキシビリティーを有するため、溶媒への溶解性および耐熱性に優れる。
上記式(1)中、XおよびXは、下記式(2)で示される2価の基(アリールアミン由来の基)である。なお、下記式(2)の2価の基は、下記式(1’)の構造に示されるように、Arが式(1)中のフェニレン基と連結する。
上記式(2)中、ArおよびArは、単結合(直接結合;以下、同様)または置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表す。この際、ArおよびArは、同じであってもまたは相互に異なるものであってもよい。また、ArおよびArの少なくとも一方は、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表す。すなわち、ArおよびAr双方が単結合となることはない。
ここで、芳香族炭化水素は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環を有する炭化水素を意味する。すなわち、芳香族炭化水素基は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環を有する炭化水素由来の基である。また、芳香族炭化水素基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合していてもよい。また、これら芳香族炭化水素基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。2価の芳香族炭化水素基としては、以下に制限されないが、フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレニレン基、フェナレニレン基、フルオレニレン基、アントラキノリレン基、フェナントリレン基、ビフェニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、ペンタフェニレン基、ペンタセニレン基、テトラフェニレニレン基、ヘキサフェニレン基、ヘキサセニレン基、ルビセニレン基、トリナフチレニレン基、ヘプタフェニレン基、ピラントレニレン基等を挙げることができる。
また、芳香族複素環は、1個以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S))を有し、残りの環原子が炭素原子(C)である1以上の芳香族環を含む環を意味する。すなわち、芳香族複素環基は、1個以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S))を有し、残りの環原子が炭素原子(C)である1以上の芳香族環を含む環由来の基である。また、芳香族複素環基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合していてもよい。また、これら芳香族複素環基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。2価の芳香族複素環基としては、以下に制限されないが、ピラゾリレン基、イミダゾリレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、トリアゾリレン基、テトラゾリレン基、オキサジアゾリレン基、ピリジニレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、トリアジニレン基、カルバゾリレン基、インドリレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、ベンゾイミダゾリレン基、イミダゾピリジニレン基、イミダゾピリミジニレン基等を挙げることができる。
これらのうち、これらのうち、三重項エネルギー準位のさらなる向上の観点から、ArおよびArは、単結合、フェニレン基、カルバゾリレン基、フルオレニレン基、トリフェニレニレン基のいずれかであることが好ましく、単結合、フェニレン基、カルバゾリレン基のいずれかであることがより好ましく、フェニレン基、カルバゾリレン基のいずれかであることが特に好ましい。ただし、ArおよびArは、同時に単結合になることはない。さらに、構成単位(1)がカルバゾリレン基を有する場合には、得られる高分子化合物を用いて形成した層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)の三重項エネルギー準位(ゆえに、電流効率)をさらに有効に向上できる。ゆえに、本発明の好ましい形態では、ArおよびArの少なくとも一方は、置換基を有してもよいカルバゾリレン基である。また、本発明の特に好ましい形態では、ArおよびAr双方が置換基を有してもよいカルバゾリレン基である。このような形態に係る高分子化合物を(特に正孔輸送材料として)用いてなる有機EL素子はさらに高い発光効率を発揮できる。加えて、Arおよび/またはArとしてカルバゾリレン基を有する高分子化合物は移動度が高い。このため、電子に対しての劣化影響を小さくして、素子寿命を向上できる。なお、カルバゾリレン基は、下記のいずれかの構造を有する。下記において、Zは、存在しえる置換基(水素原子または以下で詳述される置換基)を表す。
好ましくは、カルバゾリレン基は、下記のいずれかの構造を有する。
ArおよびArとしての2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基が置換基を有する場合に存在しえる置換基は、特に制限されない。具体的には、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、および芳香族複素環基、ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。なお、2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基が置換基を有する場合、さらに置換された構造がさらに置換される前の基(芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基)と同じになる形態は除外される。例えば、Arがフェニレン基である場合に、当該フェニレン基はさらにフェニレン基で置換されることはない(以下同様)。
ここで、上記2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に導入されてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、上記2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に導入されてもよいアルキル基は、特に制限されないが、炭素数1以上24以下の直鎖または分岐状のアルキル基でありうる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、発光寿命のさらなる向上効果の観点から、炭素数1以上6以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基がより好ましい。
上記2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に導入されてもよいアルコキシ基は、特に制限されないが、炭素数1以上24以下の直鎖または分岐状のアルコキシ基でありうる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐状のアルコキシ基が好ましい。
上記2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に導入されてもよい芳香族炭化水素基および芳香族複素環基については、それぞれ、上記2価の基を1価とする以外は同様の基である。これらのうち、三重項エネルギー準位や発光寿命のさらなる向上、駆動電圧低減の観点から、芳香族炭化水素基は、フェニル基、フルオレニレン基、ビフェニレン基であることが好ましい。また、三重項エネルギー準位や発光寿命のさらなる向上、駆動電圧低減の観点から、芳香族複素環基は、カルバゾリレン基であることが好ましい。
すなわち、上記2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基が置換基を有する場合の、導入されてもよい置換基は、アルキル基、アルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種で置換されてもよい、フェニル基、フルオレニレン基、ビフェニレン基であることが好ましく、1個のアルキル基で置換されてもよいフェニル基、1個または2個のアルキル基で置換されてもよいフルオレニレン基であることがより好ましい。
上記式(2)において、Arは、置換基を有してもよい1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を表す。ここで、「芳香族炭化水素基」および「芳香族複素環基」は、上記式(2)中のArおよびArにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基(2価の基)を1価とする以外は同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。同様にして、「芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に存在しえる置換基」は、上記式(2)中のArおよびArにおける置換基と同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。なお、2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基に導入される置換基がカルバゾリル基である場合には、カルバゾリル基は下記のいずれかを表す。下記において、Zは、存在しえる置換基(水素原子または上記で詳述された置換基)を表す。
同様にして、2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基に導入される置換基がフルオレニル基である場合には、フルオレニル基は下記のいずれかを表す。下記において、ZおよびZ’は、存在しえる置換基(水素原子または上記で詳述された置換基)を表し、これらは同一であってもまたは異なるものであってもよい。
三重項エネルギー準位や発光寿命のさらなる向上などの観点から、芳香族炭化水素基は、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいビフェニル基、置換されてもよいフルオレニル基であることが好ましく、置換されてもよいフェニル基、無置換のビフェニル基であることがより好ましい。また、三重項エネルギー準位や発光寿命のさらなる向上、電子耐性向上などの観点から、芳香族複素環基は、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基であることが好ましく、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基であることがより好ましい。また、三重項エネルギー準位や発光寿命のさらなる向上、溶剤溶解性などの観点から、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に存在しえる置換基は、炭素数1以上8以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基であることがより好ましい。
上記式(1)において、RおよびRは、炭素数1以上18以下のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素数6以上18以下のアリール基を表す。この際、RおよびRは、同じであってもまたは相互に異なるものであってもよい。また、Rが複数存在する(即ち、mが2以上4以下である)場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。同様にして、Rが複数存在する(即ち、nが2以上4以下である)場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。
ここで、炭素数1以上18以下のアルキル基は、特に制限されず、炭素数1以上18以下の直鎖または分岐状のアルキル基でありうる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましい。
炭素数1以上18以下のアルコキシ基は、特に制限されず、炭素数1以上18以下の直鎖または分岐状のアルコキシ基でありうる。具体的には、メトキシ基、エチキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、tert−ペントキシ基、ネオペントキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、3−エチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−イソプロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、n−オクチル基オキシ、2−エチルヘキシルオキシ基、3−メチル−1−イソプロピルブトキシ基、2−メチル−1−イソプロポキシ基、1−tert−ブチル−2−メチルプロポキシ基、n−ノニルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、イソデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましい。
炭素数6以上18以下のアリール基は、特に制限されず、例えば、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基などが挙げられる。これらのうち、フェニル基、フルオレニル基が好ましい。
mは、置換基「R」がo−フェニレン基に結合する数を表わし、0以上4以下の整数である。好ましくは、mは、好ましくは0以上2以下の整数であり、より好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である(置換基「R」が存在しない)。
nは、置換基「R」がo−フェニレン基に結合する数を表わし、0以上4以下の整数である。好ましくは、nは、好ましくは0以上2以下の整数であり、より好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である(置換基「R」が存在しない)。
したがって、ArおよびArは、下記いずれかの構造を有することが好ましい。また、下記構造において、「Alkyl」は、「無置換またはアルキル基で置換された」ことを意味する。
すなわち、構成単位(1)は、下記いずれかの構造を有することが好ましい。下記において、*は、他の構成単位との結合部位である。また、下記において、「Alkyl」は、「無置換またはアルキル基で置換された」ことを意味する。
本発明の高分子化合物における構成単位(1)の組成は、特に制限されない。得られる高分子化合物を用いて形成した層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)の三重項エネルギー準位(ゆえに、電流効率)のさらなる向上効果などを考慮すると、構成単位(1)は、高分子化合物を構成する全構成単位数に対して、好ましくは35%以上95%以下、より好ましくは40%以上85%以下である。なお、高分子化合物が2種以上の構成単位(1)を含む場合には、上記構成単位(1)の含有量は、構成単位(1)の合計量を意味する。また、構成単位(1)ならびに下記構成単位(2)および/または構成単位(3)の合計組成(合計構成単位)は100%である。
また、本発明の高分子化合物は、下記式(3)で表わされる構成単位(2)を有してもよい。構成単位(2)は架橋性基を有しているため、構成単位(2)を有する高分子化合物は、成膜を容易に行うことができる。なお、本発明の高分子化合物は、構成単位(2)1種を含むものであっても、または2種以上の構成単位(2)を含むものであってもよい。好ましくは、本発明の高分子化合物は、2種以上(より好ましくは2種または3種、特に好ましくは2種)の構成単位(2)を含む。
上記式(3)中、Arは、置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族複素環基を表す。ここで、ここで、「芳香族炭化水素基」および「芳香族複素環基」は、上記式(2)中のAr〜Arにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基の価を(2+p)価とする以外は同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。これらのうち、得られる高分子化合物による成膜容易性、被膜強度のさらなる向上効果などを考慮すると、Arは、フルオレンジイル基、フェニレン基であることが好ましく、フルオレンジイル基であることがより好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、Arは、フルオレンジイル基、フェニレン基である。また、本発明のより好ましい形態によると、Arは、フルオレンジイル基である。ここで、Arとしてのフルオレンジイル基は、下記のいずれかを表す。下記において、ZおよびZ’は、式:−L−Qで示される基を表し、これらは同一であってもまたは異なるものであってもよい。
これらのうち、フルオレンジイル基は、下記構造を有することが好ましい。
また、Arの規定において、「芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に存在しえる置換基」は、上記式(2)中のAr〜Arにおける置換基と同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。
また、上記式(3)中、Lは、単結合または置換基を有してもよいアルキレン基もしくはフェニレン基を表す。ここで、Lが複数存在する(pが2以上の整数である)場合、それらは、同一でもまたは異なっていてもよい。ここで、アルキレン基は、特に制限されないが、炭素数1以上24以下の直鎖または分岐状のアルキレン基でありうる。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の、上記アルキル基の例示からいずれかの水素原子を1個除いた基が挙げられる。これらのうち、Lは、炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基であることがより好ましく、トリメチレン基、プロピレン基であることが特に好ましい。また、Lの規定において、「アルキレン基またはフェニレン基に存在しえる置換基」は、上記式(2)中のAr〜Arにおける置換基と同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。
得られる高分子化合物による成膜容易性、被膜強度のさらなる向上効果などを考慮すると、Lは、単結合または炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐状のアルキレン基であることが好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基またはプロピレン基であることがより好ましく、単結合、トリメチレン基またはプロピレン基であることが特に好ましい。
上記式(3)において、Qは、1価の架橋性基を表す。ここで、Qが複数存在する(pが2以上の整数である)場合、それらは、同一でもまたは異なっていてもよい。架橋性基は、熱や活性エネルギー線による架橋反応を誘導できる基であれば特に制限されないが、得られる高分子化合物による成膜容易性、被膜強度のさらなる向上効果などを考慮すると、下記構造が好ましく挙げられる。すなわち、本発明の好ましい形態によると、前記式(3)中、Qは、下記群:
から選択される。上記架橋性基を表す式において、R10〜R16は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上10以下のアルキル基である。ここで、炭素数1以上10以下のアルキル基は、特に制限されないが、炭素数1以上10以下の直鎖または分岐状のアルキル基でありうる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基などが挙げられる。これらのうち、R10〜R16は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。また、「アルキル基に存在しえる置換基」は、上記式(2)中のAr〜Arにおける置換基と同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。また、pは、1以上10以下の整数である。
これらのうち、架橋反応性(架橋容易性、成膜容易性)、架橋構造の安定性、電気化学的安定性などを考慮すると、下記構造のベンゾシクロブテン環由来の基(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエニル基)やビニル基(−CH=CH)が好ましい。また、架橋反応性(架橋容易性)などの観点から、エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ビニルエーテル基が好ましい。
上記式(3)において、pは、1以上10以下の整数であり、Arによって一義的に規定される。すなわち、pは、1以上3以下の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
すなわち、構成単位(2)は、下記いずれかの構造を有することが好ましい。
本発明の高分子化合物における構成単位(2)の組成は、特に制限されない。得られる高分子化合物による成膜容易性、被膜強度のさらなる向上効果などを考慮すると、構成単位(2)は、高分子化合物を構成する全構成単位数に対して、好ましくは1%以上15%以下、より好ましくは5%以上10%以下である。なお、高分子化合物が2種以上の構成単位(2)を含む場合には、上記構成単位(2)の含有量は、構成単位(2)の合計量を意味する。
また、本発明の高分子化合物は、下記式(4)で表わされる構成単位(3)を有してもよい。構成単位(3)を有する高分子化合物は、溶媒溶解性に優れる。このため、このような構成単位(3)を有する高分子化合物を用いることにより、塗布法によって成膜を容易に行うことができる。なお、本発明の高分子化合物は、構成単位(3)1種を含むものであっても、または2種以上の構成単位(3)を含むものであってもよい。
上記式(3)において、Arは、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。ここで、「芳香族炭化水素基」および「芳香族複素環基」は、上記式(2)中のAr〜Arにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基の価と同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。これらのうち、溶剤溶解性のさらなる向上を考慮すると、Arは、フェニレン基、フルオレニレン基またはカルバゾリレン基であることが好ましく、フェニレン基またはカルバゾリレン基であることがより好ましく、フェニレン基であることが好ましい。また、Arの規定において、「芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に存在しえる置換基」は、上記式(2)中のAr〜Arにおける置換基と同様の定義であるために、ここでは説明を省略する。これらのうち、得られる高分子化合物の溶媒溶解性のさらなる向上効果などを考慮すると、置換基は、炭素数1以上20以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、炭素数3以上10以下の直鎖もしくは分岐状のアルキル基であることがより好ましい。
すなわち、構成単位(3)は、下記いずれかの構造を有することが好ましい。なお、下記において、「Alkyl」は、「アルキル基で置換された」ことを意味する。
より好ましくは、構成単位(3)は、下記いずれかの構造を有する。
本発明の高分子化合物における構成単位(3)の組成は、特に制限されない。得られる高分子化合物の溶媒溶解性のさらなる向上効果などを考慮すると、構成単位(3)は、高分子化合物を構成する全構成単位数に対して、好ましくは1%以上60%以下、より好ましくは10%以上50%以下である。なお、高分子化合物が2種以上の構成単位(3)を含む場合には、上記構成単位(3)の含有量は、構成単位(3)の合計量を意味する。
本発明の高分子化合物は、構成単位(1)と、構成単位(2)及び構成単位(3)の少なくとも一方から構成される(即ち、構成単位(1)と、構成単位(2)および/または構成単位(3)との、2元または3元共重合体である)が、構成単位(1)、(2)および(3)から構成される(即ち、構成単位(1)、(2)および(3)の3元共重合体である)ことが好ましい。ここで、高分子化合物の構造は特に制限されず、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
本発明に係る高分子化合物の数平均分子量(Mn)は、本発明の目的効果が得られる限りにおいて特に制限されるものではないが、例えば、5,000以上500,000以下であることが好ましく、9,000以上85,000以下であることがより好ましい。このような数平均分子量であれば、高分子化合物を用いて層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)を形成するための塗布液の粘度を適切に調節して、均一な膜厚の層を形成することが可能である。また、本発明に係る高分子化合物の重量平均分子量(Mw)もまた、本発明の目的効果が得られる限りにおいて特に制限されるものではないが、例えば、10,000以上1、000,000以下であることが好ましく、15,000以上180,000以下であることがより好ましい。このような重量平均分子量であれば、高分子化合物を用いて層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)を形成するための塗布液の粘度を適切に調節して、均一な膜厚の層を形成することが可能である。
ここで、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定方法は、特に制限されず、公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。本明細書では、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、下記方法で測定された値を採用するものとする。
(数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定)
高分子化合物重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質として用いて、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー:Gel Permittion Chromatography)により下記条件で測定する。
・分析装置:株式会社島津製作所製、Prominence
・カラム:ポリマーラボラトリーズ社製PLgel MIXED−B
・カラム温度:40℃
・流量:1.0mL/min
・注入量:20μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(濃度:約0.05質量%)
・検出器:UV−VIS検出器(株式会社島津製作所製、SPD−10AV)
・標準試料:ポリスチレン。
本発明の高分子化合物の主鎖の末端は特に制限されず、使用される原料の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
本発明に係る高分子化合物は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。本発明の高分子化合物の具体的な合成方法は、後述する実施例を参照した当業者であれば、容易に理解することが可能である。具体的には、本発明に係る高分子化合物は、下記式(5)で示される1種以上の単量体(1)、ならびに下記式(6)で示される1種以上の単量体(2)および/または下記式(7)で示される1種以上の単量体(3)を用いた共重合反応により製造することができる。なお、高分子化合物の重合に用いられる上記単量体は、公知の合成反応を適宜組み合わせて合成ことができ、その構造も、公知の方法、例えばNMRやLC−MS等を用いて確認できる。
上記式(5)〜(7)中、X、X、R、R、m、n、Ar、L、Q、p、およびArは、上記式(1)〜(4)におけるのと同様の定義であり;Y〜Yは、それぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、特に臭素原子)または下記構造の基(構造中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基である)である。
本発明に係る高分子化合物は、構成単位(1)を有する。このため、高い三重項エネルギー準位を有する。このため、特に本発明に係る高分子化合物を正孔注入材料または正孔輸送材料(特に正孔輸送材料)として使用する場合には、電流密度を向上できる。また、
また、本発明に係る高分子化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子に用いる場合には、高い電荷移動度が達成される。このため、特に本発明に係る高分子化合物を正孔輸送材料として使用する場合には、電子に対しての劣化影響を小さくして、素子寿命(発光寿命)を向上できる。ゆえに、本発明に係る高分子化合物を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子は発光効率および耐久性に優れる。さらに、本発明の高分子化合物は架橋性基を有する構成単位(2)を有する場合には、塗布膜安定性をさらに向上できる。本発明の高分子化合物は構成単位(3)を有する場合には、溶媒溶解性をさらに向上できる。このため、有機EL素子を積層構造にて形成した場合の発光特性および安定性を向上させることができる。
<有機エレクトロルミネッセンス素子用材料>
本発明に係る高分子化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として好適に用いられる。本発明に係る高分子化合物によれば、高い三重項エネルギー準位(ゆえに電流効率)、さらには高い電荷移動度(耐久性)を有する有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が提供される。また、高分子化合物の高分子主鎖(式(1)の構成単位)は適切なフレキシビリティーを有する。このため、高分子化合物は、溶媒への高い溶解性および高い耐熱性を示すため、湿式(塗布)法により容易に成膜(薄膜化)できる。
したがって、本発明は、本発明の高分子化合物の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料としての使用が提供される。すなわち、本発明は、本発明の高分子化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料をも提供する。また、一対の電極と、前記電極間に配置され、本発明の高分子化合物を含む少なくとも1層の有機層と、を備える、有機エレクトロルミネッセンス素子をも提供する。上記態様の好ましい形態としては、有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記電極間に配置され、三重項励起子からの発光が可能な発光材料を含む発光層をさらに備える。さらに、本発明は、一対の電極と、前記電極間に配置され、本発明の高分子化合物を含む少なくとも1層の有機層と、を備える、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記有機層のうち少なくとも1層を塗布法により形成する、方法をも提供する。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は有機溶媒に対する溶解性に優れるため、塗布法(ウェットプロセス)による素子(特に薄膜)の製造に特に好適に用いられる。このため、本発明は、本発明の高分子化合物と、溶媒または分散媒と、を含有する液状組成物をも提供する。また、本発明は、本発明の高分子化合物を含有する薄膜をも提供する。
また、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、電荷移動度に優れるため、正孔注入材料、正孔輸送材料、および/または発光層材料(ホスト)等のいずれの有機膜の形成においても好適に利用され得るが、正孔の輸送性の観点から、正孔注入材料および/または正孔輸送材料として好適に用いられ、正孔輸送材料として特に好適に用いられる。すなわち、本発明は、高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料と、を含有する組成物をも提供する。ここで、発光材料は、特に制限されないが、発光性有機金属錯体化合物であることが好ましい。
<有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)>
以下では、図1を参照して、本実施形態に係る有機EL素子について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の一例を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る有機EL素子100は、基板110と、基板110上に配置された第1電極120と、第1電極120上に配置された正孔注入層130と、正孔注入層130上に配置された正孔輸送層140と、正孔輸送層140上に配置された発光層150と、発光層150上に配置された電子輸送層160と、電子輸送層160上に配置された電子注入層170と、電子注入層170上に配置された第2電極180とを備える。
ここで、本発明の高分子化合物は、例えば、第1電極120と第2電極180との間に配置されたいずれかの有機層中に含まれる。具体的には、高分子化合物は、正孔注入層として正孔注入層130または正孔輸送材料として正孔輸送層140または発光層材料(ホスト)として発光層150に含まれることが好ましく、正孔注入層として正孔注入層130にまたは正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることがより好ましく、正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることが特に好ましい。
また、本発明の高分子化合物を含む有機層は、塗布法(溶液塗布法)によって形成される。具体的には、高分子化合物を含む有機層は、スピンコート(spin coat)法、キャスティング(casting)法、マイクログラビアコート(micro gravure coat)法、グラビアコート(gravure coat)法、バーコート(bar coat)法、ロールコート(roll coat)法、ワイアーバーコード(wire bar coat)法、ディップコート(dip coat)法、スプレーコート(spry coat)法、スクリーン(screen)印刷法、フレキソ(flexographic)印刷法、オフセット(offset)印刷法、インクジェット(ink jet)印刷法等の溶液塗布法を用いて成膜される。なお、溶液塗布法に使用する溶媒は、高分子化合物を溶解することができるものであれば、どのような溶媒でも使用することができ、使用する高分子化合物の種類によって適宜選択できる。例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メチシレン、プロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジメトキシベンゼン、アニソール、エトキシトルエン、フェノキシトルエン、イソプロピルビフェニル、ジメチルアニソール、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等が例示できる。ここで、溶媒の使用量は、特に制限されないが、塗布容易性などを考慮すると、高分子化合物の濃度が、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下程度となるような量である。
なお、高分子化合物を含む有機層以外の層の成膜方法については、特に限定されない。本発明の高分子化合物を含む有機層以外の層は、例えば、真空蒸着法にて成膜されてもよく、溶液塗布法にて成膜されてもよい。
基板110は、一般的な有機EL素子で使用される基板を使用することができる。例えば、基板110は、ガラス(glass)基板、シリコン(silicon)基板などの半導体基板、または透明なプラスチック(plastic)基板等であってもよい。
基板110上には、第1電極120が形成される。第1電極120は、具体的には、陽極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が大きいものによって形成される。例えば、第1電極120は、透明性および導電性に優れる酸化インジウムスズ(In−SnO:ITO)、酸化インジウム亜鉛(In−ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等によって透過型電極として形成されてもよい。また、第1電極120は、上記透明導電膜に対して、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを積層することによって反射型電極として形成されてもよい。
第1電極120上には、正孔注入層130が形成される。正孔注入層130は、第1電極120からの正孔の注入を容易にする層であり、具体的には、約10nm以上約1000nm以下、より具体的には、約10nm以上約100nm以下の厚さにて形成されてもよい。
正孔注入層130は、公知の正孔注入材料にて形成することができる。正孔注入層130を形成する公知の正孔注入材料としては、例えば、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(poly(ether ketone)−containg triphenylamine:TPAPEK)、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(4−isopropyl−4’−methyldiphenyliodonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate:PPBI)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−[4−(フェニル−m−トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(N,N’−diphenyl−N,N’−bis−[4−(phenyl−mtolyl−amino)−phenyl]−biphenyl−4,4’−diamine:DNTPD)、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(3−methylphenylphenylamino)triphenylamine:m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(N,N’−di(1−naphthyl)−N,N’−diphenylbenzidine:NPB)、4,4’,4”−トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(diphenylamino)triphenylamine:TDATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N,N−2−naphthylphenylamino)triphenylamine:2−TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(polyaniline/dodecylbenzenesulphonic acid)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/poly(4−styrenesulfonate))、およびポリアニリン/10−カンファースルホン酸(polyaniline/10−camphorsulfonic acid)等を挙げることができる。
正孔注入層130上には、正孔輸送層140が形成される。正孔輸送層140は、正孔を輸送する機能を備えた層であり、例えば、約10nm以上約150nm以下の厚さにて形成されてもよい。正孔輸送層140は、本発明の高分子化合物を用いて湿式製膜法(塗布法)によって成膜されることが好ましい。この方法によれば、有機EL素子100の電流効率(さらには発光寿命)を向上させることが可能な高分子化合物を効率的に大面積にて成膜することができる。
ただし、有機EL素子100のいずれかの他の有機層が本発明の高分子化合物を含む場合、正孔輸送層140は、公知の正孔輸送材料にて形成されてもよいことはいうまでもない。公知の正孔輸送材料としては、例えば、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(1,1−bis[(di−4−tolylamino)phenyl]cyclohexane:TAPC)、N−フェニルカルバゾール(N−phenylcarbazole)およびポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)などのカルバゾール(carbazole)誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(N,N’−bis(3−methylphenyl)−N,N’−diphenyl−[1,1−biphenyl]−4,4’−diamine:TPD)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、ならびにN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(N,N’−di(1−naphthyl)−N,N’−diphenylbenzidine:NPB)等を挙げることができる。
正孔輸送層140上には、発光層150が形成される。発光層150は、蛍光、りん光等によって光を発する層であり、真空蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法などを用いて形成される。発光層150は、例えば、約10nm以上約60nm以下の厚さにて形成されてもよい。発光層150の発光材料としては、公知の発光材料を用いることができる。ただし、発光層150に含まれる発光材料は、三重項励起子からの発光(すなわち、りん光発光)が可能な発光材料であることが好ましい。このような場合、有機EL素子100の発光寿命をさらに向上させることができる。
発光層150は、ホスト材料として、例えば、6,9−ジフェニル−9’−(5’−フェニル−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−3−イル)3,3’−ビ[9H−カルバゾール]、3,9−ジフェニル−5−(3−(4−フェニル−6−(5’−フェニル−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−3−イル)−1,3,5,−トリアジン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール、9,9’−ジフェニル−3,3’−ビ[9H−カルバゾール]、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(tris(8−quinolinato)aluminium:Alq3)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(4,4’−bis(carbazol−9−yl)biphenyl:CBP)、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(poly(n−vinyl carbazole):PVK)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(9,10−di(naphthalene)anthracene:ADN)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(1,3,5−tris(N−phenyl−benzimidazol−2−yl)benzene:TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(3−tert−butyl−9,10−di(naphth−2−yl)anthracene:TBADN)、ジスチリルアリーレン(distyrylarylene:DSA)、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(4,4’−bis(9−carbazole)2,2’−dimethyl−bipheny:dmCBP)などを含んでもよい。
また、発光層150は、ドーパント材料として、例えば、ペリレン(perylene)およびその誘導体、ルブレン(rubrene)およびその誘導体、クマリン(coumarin)およびその誘導体、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(4−dicyanomethylene−2−(pdimethylaminostyryl)−6−methyl−4H−pyran:DCM)およびその誘導体、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート]ピコリネートイリジウム(III)(bis[2−(4,6−difluorophenyl)pyridinate]picolinate iridium(III):FIrpic)、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(bis(1−phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III):Ir(piq)2(acac))、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(tris(2−phenylpyridine)iridium(III):Ir(ppy)3)、トリス(2−(3−p−キシイル)フェニル)ピリジン イリジウム(III)などイリジウム(Ir)錯体、オスミウム(Os)錯体、白金錯体などを含んでもよい。これらのうち、発光材料が発光性有機金属錯体化合物であることが好ましい。
発光層150上には、電子輸送層160が形成される。電子輸送層160は、電子を輸送する機能を備えた層であり、真空蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法などを用いて形成される。電子輸送層160は、例えば、約15nm以上約50nm以下の厚さにて形成されてもよい。
電子輸送層160は、公知の電子輸送材料にて形成されてもよい。公知の電子輸送材料としては、例えば、(8−キノリノラト)リチウム(Liq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(tris(8−quinolinato)aluminium:Alq3)、および含窒素芳香環を有する化合物等を挙げることができる。含窒素芳香環を有する化合物の具体例としては、例えば、1,3,5−トリ[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン(1,3,5−tri[(3−pyridyl)−phen−3−yl]benzene)のようなピリジン(pyridine)環を含む化合物、2,4,6−トリス(3’−(ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジン(2,4,6−tris(3’−(pyridin−3−yl)biphenyl−3−yl)−1,3,5−triazine)のようなトリアジン(triazine)環を含む化合物、2−(4−(N−フェニルベンゾイニダゾリル−1−イル−フェニル)−9,10−ジナフチルアントラセン(2−(4−(N−phenylbenzoimidazolyl−1−yl−phenyl)−9,10−dinaphthylanthracene)のようなイミダゾール(imidazole)環を含む化合物等を挙げることができる。
電子輸送層160上には、電子注入層170が形成される。電子注入層170は、第2電極180からの電子の注入を容易にする機能を備えた層であり、真空蒸着法などを用いて形成される。電子注入層170は、約0.3nm以上約9nm以下の厚さにて形成されてもよい。電子注入層170は、電子注入層170を形成する材料として公知の材料ならば、いずれも使用することができる。例えば、電子注入層170は、(8−キノリノラト)リチウム((8−quinolinato)lithium:Liq)およびフッ化リチウム(LiF)等のリチウム(lithium)化合物、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化セシウム(CsF)、酸化リチウム(LiO)、または酸化バリウム(BaO)等にて形成されてもよい。
電子注入層170上には、第2電極180が形成される。第2電極180は、具体的には、陰極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が小さいものによって形成される。例えば、第2電極180は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)等の金属、またはアルミニウム−リチウム(Al−Li)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)等の合金で反射型電極として形成されてもよい。また、第2電極180は、上記金属材料の20nm以下の薄膜、酸化インジウムスズ(In−SnO)および酸化インジウム亜鉛(In−ZnO)などの透明導電性膜によって透過型電極として形成されてもよい。
以上、本実施形態に係る有機EL素子100の一例について説明した。本実施形態に係る有機EL素子100は、高分子化合物を含む有機層を有することにより、電流密度(さらには発光寿命)をより向上させることができる。
なお、本実施形態に係る有機EL素子100の積層構造は、上記例示に限定されない。本実施形態に係る有機EL素子100は、他の公知の積層構造にて形成されてもよい。例えば、有機EL素子100は、正孔注入層130、正孔輸送層140、電子輸送層160および電子注入層170のうちの1層以上が省略されてもよく、また、追加で他の層を備えていてもよい。また、有機EL素子100の各層は、それぞれ単層で形成されてもよく、複数層で形成されてもよい。
例えば、有機EL素子100は、励起子または正孔が電子輸送層160に拡散することを防止するために、正孔輸送層140と発光層150との間に正孔阻止層をさらに備えていてもよい。なお、正孔阻止層は、例えば、オキサジアゾール(oxadiazole)誘導体、トリアゾール(triazole)誘導体、または、フェナントロリン(phenanthroline)誘導体等によって形成することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
合成例1:化合物1の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物1を合成した。詳細には、アルゴン雰囲気下、300mLフラスコ中に、1,4−ジヘキシル−2,5−ジブロモベンゼン(8.08g、20.0mmol)、ビス(ピナコレートジボロン)(12.19g、48.0mmol)、PdCl(dppf)(0.98g、1.2mmol)、酢酸カリウム(11.78g、120.0mmol)、及び脱水1,4−ジオキサン(100mL)を混合し、加熱還流下で6時間攪拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、トルエン及び水を加えて分液し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウム及び活性炭を加え、セライト(Celite:登録商標)でろ過した。ろ液を濃縮し、粗生成物を得た(11.94g)。ヘキサンで再結晶し、メタノールで結晶を洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥させることにより、4.23gの白色針状結晶を得た。得られた化合物1の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)によって同定した(収率42%)。
合成例2:化合物2の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物2を合成した。詳細には、アルゴン雰囲気下、500mLの4つ口フラスコ中で、2,7−ジブロモフルオレン(22.7g、70.0mmol)、5−ブロモ−1−ペンテン(21.9g、147.0mmol)、水酸化カリウム(16.7g、297.6mmol)、ヨウ化カリウム(1.2g、7.2mmol)及びDMSO(170mL)を混合し、80℃にて4時間加熱撹拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、水(300mL)及びトルエン(300mL)を加えて分液した後、得られた有機層を飽和食塩水(300ml)で5回洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび再結晶にて精製することにより、24.1gの白色固体を得た。得られた化合物2の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)によって同定した(収率75%)。
合成例3:化合物3の合成
3−1.化合物3−1の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物3−1を合成した。詳細には、アルゴン下において反応溶器中に、3−ブロモベンゾシクロブタン(4.1g、22.4mmol)、テトラヒドロフラン(69mL)を仕込み、ドライアイス−メタノールバスで−78℃まで冷却した。n−BuLi(16.9mL)を加えて2時間攪拌し、4,4’−ジブロモ−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸メチルエステル(4.1g、11.08mmol)をテトラヒドロフラン(12mL)に溶かした溶液を滴下した。−78℃で2時間攪拌後、さらに室温で4時間攪拌した。氷浴で冷やしながら水(50mL)をゆっくりと加え、分液ロートに移して洗浄し、さらに水30mLで2回洗浄した。得られた有機層は硫酸マグネシウムを用いて脱水し、固体を濾過して溶液を濃縮し5.6gの固体を得た(収率92%)。得られた化合物3−1の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)によって同定した。
3−2.化合物3の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物3を合成した。詳細には、アルゴン下において反応溶器中に、化合物3−1(5.0g、9.1mmol)、クロロホルム(24ml)を加え、氷浴で0℃に冷却後、BFEtO(7.0mL)を滴下漏斗より滴下した。1時間攪拌後、さらにBFEtO(7.0mL)を加えて1時間攪拌し、室温で5時間攪拌した。水(100mL)を加えて攪拌した後、分液ロートへ移し、クロロホルム(50mL)で3回抽出した。得られた有機層は硫酸ナトリウムで乾燥後、溶液を濃縮し、クロロホルム(30mL)を加えた。加熱還流しながらメタノール(300mL)を加えて結晶化を行い、得られた結晶を濾過した。この結晶をクロロホルム(20mL)に加えて加熱し、メタノール(200mL)を加えて室温で2時間攪拌した。生じた結晶を濾過して乾燥し、2.0gの固体を得た(収率40%)。得られた化合物3の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)によって同定した。
合成例4:化合物8の合成
4−1.化合物4の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物4を合成した。詳細には、アルゴン下において、反応溶器中に3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)−9H−カルバゾール(38.52g、131.4mmol)、2,2’−ジブロモ−1,1’−ビフェニル(20.0g、64.10mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(2.22g、1.92mmol)、炭酸カリウム(39.86g、288.46mmol)、水(144mL)、1,4−ジオキサン(384mL)を加え、85℃にて10時間、混合物を撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで放冷し、セライト(Celite:登録商標)を用いて不純物をろ別した。溶媒を留去した後、メタノールを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体にメタノールを加えて80℃にて2時間加熱撹拌した。固体をろ取した後、トルエン(100mL)およびメタノール(400mL)を加えて80℃で2時間撹拌した、固体をろ取、乾燥して20.7gの化合物4を得た(収率66%)。
4−2.化合物5の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物5を合成した。詳細には、アルゴン置換した三つ口フラスコに、化合物4(9.70g、20.0mmol)、p−ブロモ−ヘキシルベンゼン(9.89g、41.03mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(t−BuONa)(7.68g、80.08mmol)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(Pd(t−BuP)、0.408g、0.80mmol)、およびキシレン(200mL)を入れ、4時間還流撹拌した。室温まで冷却後、反応液をセライト(Celite:登録商標)を用いて不純物をろ別した。有機層をアルミナカラムに通し、その溶出液から溶媒を減圧留去した。得られた固体をトルエンおよびヘキサンにて再結晶を行い、10.0gの化合物5を得た(収率62%)。
4−3.化合物6の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物6を合成した。詳細には、三つ口フラスコに、化合物5(10.0g、12.42mmol)、クロロホルム(100mL)を入れ、−5℃以下に冷却した。N−ブロモスクシンイミド(NBS)(4.53g、25.46mmol)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶解した溶液を、内温0℃以下にて滴下し、2時間撹拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。その抽出液から溶媒を減圧留去し、その残留物をトルエンとヘキサンの混合溶媒による再結晶により精製を行い、11.2gの化合物6を得た(収率93%)。
4−4.化合物7の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物7を合成した。詳細には、アルゴン置換した三つ口フラスコに、化合物6(11.0g、11.42mmol)、4−メチルジフェニルアミン(4.29g、23.42mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(6.58g、68.53mmol)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(Pd(t−BuP)、0.24g、0.46mmol)、およびキシレン(200mL)を入れ、3時間還流し室温まで冷却した。冷却した反応液を、セライト(Celite:登録商標)を用いて不純物をろ別した。有機層をアルミナカラムに通し、その溶出液から溶媒を減圧留去した。その残留物をトルエンとヘキサンの混合溶媒による再結晶により精製を行い、13.0gの化合物7を得た(収率97%)。
4−5.化合物8の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物8を合成した。詳細には、アルゴン置換した三つ口フラスコに、化合物7(12.5g、10.70mmol)、クロロホルム(150mL)を入れ、−5℃以下に冷却した。N−ブロモスクシンイミド(NBS)(3.85g、21.93mmol)をジメチルホルムアミド(15mL)に溶解した溶液を、内温0℃以下にて滴下し、2時間撹拌した。反応液をメタノール300mLに注ぎ、析出した固体をろ取した。この固体にメタノールを加えて80℃で加熱撹拌を1時間行った。固体をろ取した後、クロロホルムとイソプロピルアルコールの混合溶媒による再結晶を3回行いにより精製を行い、12.2gの化合物8を得た(収率86%)。
合成例5:化合物17の合成
5−1.化合物9の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物9を合成した。詳細には、アルゴン下において反応器中に、2−ヨード−4−メトキシ−1−ニトロベンゼン(25.0g、89.60mmol)、2−ブロモフェニルボロン酸(18.89g、94.08mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(2.07g、1.79mmol)、炭酸ナトリウム(28.48g、268.79mmol)、水(134ml)、ジメトキシエーテル(DME)(131mL)、トルエン(131mL)を加え、85℃にて15時間、混合物を撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで放冷し、セライト(Celite:登録商標)を用いて不純物をろ別した。ろ液に水を加えた後、トルエンを用いて抽出し、抽出した有機層を濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィにて精製し、22.0gの化合物9を得た(収率79%)。
5−2.化合物10の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物10を合成した。詳細には、窒素置換した三つ口フラスコに、化合物9(20.00g、64.94mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh)(42.56g、162.27mmol)、およびo−ジクロロベンゼン(136mL)を入れ、180℃で20時間還流した。減圧下溶媒を留去し、その残留物をシリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィーで精製し、9.60gの化合物10を得た(収率53%)。
5−3.化合物11の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物11を合成した。詳細には、アルゴン雰囲気下、p−ヨードペンチルベンゼン(5.48g、20.0mmol)、化合物10(5.00g、18.1mmol)、ヨウ化銅(0.19g、1.0mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(2.51g、26.18mmol)に脱水1,4−ジオキサン500mLを加え、室温にて30分間撹拌した。その後、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(DACyHx)(0.53g、4.65mmol)を加えて、8時間加熱還流攪拌した。
反応終了後、室温に冷却し、セライトを通して濾過を行い、濾液を濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、5.35gの白色固体を得た(収率70%)。
5−4.化合物12の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物12を合成した。詳細には、アルゴン置換した三つ口フラスコに、化合物11(13.40g、31.73mmol)を投入し、テトラヒドロフラン(THF)(190mL)を加えて溶解させ、アセトン/ドライアイスバスを用いて−75℃に冷却し、15分間撹拌した。次に、n−ブチルリチウム(n−BuLi)の2.6Mヘキサン溶液(13.17mL、34.90mmol)を滴下し、さらに1時間、撹拌した。続いて、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(7.07ml、34.90mmol)を加え、室温で3時間、撹拌した。反応終了後、反応混合液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機層を濃縮した。有機層の濃縮により得られた固体をヘキサンによる再結晶によって精製し、10.0gの化合物12を得た(収率67%)。
5−5.化合物13の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物13を合成した。詳細には、アルゴン下において反応器中に、化合物12(8.0g、17.0mmol)、2,2’−ジブロモ−1,1’−ビフェニル(2.5g、8.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(0.19、0.17mmol)、炭酸ナトリウム(1.86g、17.6mmol)、水(20mL)、1,4−ジオキサン(50mL)を加え、85℃にて10時間、混合物を撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで放冷し、セライト(Celite:登録商標)を用いて不純物をろ別した。溶媒を留去した後、メタノールを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体にメタノールを加えて80℃にて2時間加熱撹拌した。固体をろ取した後、トルエンおよびメタノールを加えて80℃で2時間撹拌した、固体をろ取、乾燥して4.0gの化合物13を得た(収率60%)。
5−6.化合物14の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物14を合成した。詳細には、アルゴン雰囲気下、化合物13(4.0g、4.7mmol)をジクロロメタン50mLに加えた反応溶液を0℃で撹拌した。次いで、三臭化ホウ素(BBr)(10.34mmol)のジクロロメタン溶液を滴下し、室温に戻してから18時間撹拌した。再び、0℃に冷却してから、水40mLを加えて有機層を分取した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製することにより、3.7gの中間体(OH体)を得た(収率99%)。
続いて、アルゴン気流下、中間体(OH体)(3.7g、4.5mmol)、2,6−ルチジン(1.1g、10.73mmol)を脱水ジクロロメタン150mLを加え、氷水浴にて0℃まで冷却した。次に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)(3.0g、10.80mmol)を加えた後、自然昇温にて室温まで戻して5時間反応させた。
反応終了後、水150mLを加えて目的物を抽出し、有機層を取り出した。取り出した有機層へ硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除去した。溶媒を減圧下にて除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより単離し、3.8gの化合物14を得た(収率80%)。
5−7.化合物15の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物15を合成した。詳細には、アルゴン雰囲気下、フラスコに、化合物14(3.8g、3.6mmol)、4−メチルアニリン(0.77g、7.2mmol)、脱水トルエン(50mL)を加えて30分間、室温にて撹拌した。次いで、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(92mg、0.10mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(221mg、0.40mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(1.3g、14.4mmol)を入れ、95℃で2時間撹拌した。放冷後、水とトルエンを加え分液洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)により精製し、2.1gの化合物15を得た(収率60%)。
5−8.化合物16の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物16を合成した。詳細には、アルゴン雰囲気下、p−ブロモヨードベンゼン(1.27g、4.5mmol)、化合物15(2.1g、2.1mmol)、ヨウ化銅(0.043g、0.23mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(0.56g、5.89mmol)に脱水1,4−ジオキサン150mLを加え、室温にて30分間撹拌した。その後、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(0.115g、1.04mmol)を加えて、8時間加熱還流攪拌した。
反応終了後、室温に冷却し、セライトを通して濾過を行い、濾液を濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、1.36gの化合物16を得た(収率50%)。
合成例5:化合物17の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物17を合成した。詳細には、アルゴン下において反応器中に、ボロン酸エステル体(5.2g、17.0mmol)、2,2’−ジブロモ−1,1’−ビフェニル(2.5g、8.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(0.19、0.17mmol)、炭酸ナトリウム(1.86g、17.6mmol)、水(20mL)、1,4−ジオキサン(50mL)を加え、85℃にて10時間、混合物を撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで放冷し、セライト(Celite:登録商標)を用いて不純物をろ別した。溶媒を留去した後、メタノールを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体にメタノールを加えて80℃にて2時間加熱撹拌した。固体をろ取した後、トルエンおよびメタノールを加えて80℃で2時間撹拌した、固体をろ取、乾燥して6.4gの化合物17を得た(収率73%)。
合成例6:化合物19の合成
6−1.化合物18の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物18を合成した。詳細には、アルゴン置換した三つ口フラスコに、9H−カルバゾール(3.34g、20.0mmol)、2−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(9.62g、20.50mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(t−BuONa)(3.84g、40.04mmol)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(Pd(t−BuP)、0.204g、0.40mmol)、およびキシレン(100mL)を入れ、4時間還流撹拌した。室温まで冷却後、反応液をセライト(Celite:登録商標)を用いて不純物をろ別した。有機層をアルミナカラムに通し、その溶出液から溶媒を減圧留去して、8.3gの化合物18を得た(収率75%)。
6−2.化合物19の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物19を合成した。詳細には、アルゴン置換した三つ口フラスコに、化合物18(8.0g、14.37mmol)、クロロホルム(150mL)を入れ、−5℃以下に冷却した。N−ブロモスクシンイミド(NBS)(5.6g、31.66mmol)をジメチルホルムアミド(25mL)に溶解した溶液を、内温0℃以下にて滴下し、2時間撹拌した。反応終了後、水(300mL)を加えて分液した後、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、8.8gの化合物19を得た(収率86%)。
実施例1:高分子化合物A−1の合成
上記合成例1で合成した化合物1、上記合成例2で合成した化合物2、上記合成例3で合成した化合物3および上記合成例4で合成した化合物8を用いて、下記構成単位(A)および構成単位(B)を下記組成にて有する高分子化合物A−1を合成した。
詳細には、アルゴン雰囲気下、化合物1(1.49g、3.0mmol)、化合物2(0.138g、0.30mmol)、化合物3(0.159g、0.30mmol)、化合物8(3.22g、2.4mmol)、酢酸パラジウム(2.15mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(20.25mg)、トルエン(45ml)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(11.42g)を加え、7時間還流した。次に、フェニルボロン酸(23.30mg、0.57mmol)、酢酸パラジウム(2.15mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(10.12mg)および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(11.42g)を加え、7時間加熱還流した。その後、水層を除き、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.40g、23.97mmol)およびイオン交換水(50ml)を加え85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水、3質量%酢酸水溶液、水で順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下して高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥することによって、固体を得た。この固体をトルエンに溶解して、シリカゲル/アルミナを充填したカラムクロマトグラフィーに通し、溶媒を減圧留去した。得られた液体をメタノールに滴下し、析出した固体をろ別・乾燥して、高分子化合物A−1を得た。
このようにして得られた高分子化合物A−1は、単量体の仕込み比から、下記組成(化合物1由来の構成単位:化合物8由来の構成単位:化合物3由来の構成単位:化合物2由来の構成単位=50:40:5:5(モル比))にて、(A)の構成単位と(B)から選ばれる構成単位とが交互に重合した高分子化合物であると推定される。また、この高分子化合物A−1の数平均分子量(Mn)および多分散度(Mw/Mn)をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で見積もったところ、Mn=55,000、Mw/Mn=2.54であった。
実施例2:高分子化合物A−2の合成
上記合成例1で合成した化合物1、上記合成例2で合成した化合物2、上記合成例3で合成した化合物3および上記合成例5で合成した化合物16を用いて、下記構成単位(A’)および構成単位と(B’)を下記組成にて有する高分子化合物A−2を合成した。
詳細には、アルゴン雰囲気下、化合物1(1.49g、3.0mmol)、化合物2(0.138g、0.30mmol)、化合物3(0.159g、0.30mmol)、化合物16(3.12g、2.4mmol)、酢酸パラジウム(2.15mg)およびトリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(20.25mg)、トルエン(45ml)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(11.42g)を加え、7時間還流した。次に、フェニルボロン酸(23.30mg、0.57mmol)、酢酸パラジウム(2.15mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(10.12mg)および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(11.42g)を加え、7時間加熱還流した。その後、水層を除き、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.40g、23.97mmol)およびイオン交換水(50ml)を加え85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水、3質量%酢酸水溶液、水で順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下して高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥することによって、固体を得た。この固体をトルエンに溶解して、シリカゲル/アルミナを充填したカラムクロマトグラフィーに通し、溶媒を減圧留去した。得られた液体をメタノールに滴下し、析出した固体をろ別・乾燥して、高分子化合物A−2を得た。
このようにして得られた高分子化合物A−2は、単量体の仕込み比から、下記組成(化合物1由来の構成単位:化合物16由来の構成単位:化合物3由来の構成単位:化合物2由来の構成単位=50:40:5:5(モル比))にて、(A’)の構成単位と(B’)から選ばれる構成単位とが交互に重合した高分子化合物であると推定される。また、この高分子化合物A−2の数平均分子量(Mn)および多分散度(Mw/Mn)をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で見積もったところ、Mn=40,000、Mw/Mn=2.50であった。
実施例3:高分子化合物A−3の合成
上記合成例5で合成した化合物17、上記合成例2で合成した化合物2、上記合成例3で合成した化合物3および上記合成例6で合成した化合物19を用いて、下記構成単位(A”)および構成単位と(B”)を下記組成にて有する高分子化合物A−3を合成した。
詳細には、アルゴン雰囲気下、化合物17(4.00g、7.74mmol)、化合物2(0.35g、0.774mmol)、化合物3(0.41g、0.774mmol)、化合物19(4.22g、5.92mmol)、トルエン(55mL)をフラスコに仕込み、60℃で30分間撹拌した。続いて、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム錯体(0.14g、0.16mmol)、[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert−ブチルホスフィン(Amphos)(0.32g、1.20mmol)を加えて、2時間加熱還流反応を行った。各モノマーが消失したことを確認し、ブロモベンゼン(0.89g、0.56mmol)を添加し、さらに2時間加熱還流した。反応終了後、反応液を放冷し、トルエン50mLを添加してメタノール500mLに滴下して固体を得た。
この固体をトルエンに溶解して、シリカゲル/アルミナを充填したカラムクロマトグラフィーに通し、溶媒を減圧留去した。得られた液体をメタノールに滴下し、析出した固体をろ別・乾燥して、高分子化合物A−3を得た。
このようにして得られた高分子化合物A−3は、単量体の仕込み比から、下記組成(化合物17由来の構成単位:化合物19由来の構成単位:化合物3由来の構成単位:化合物2由来の構成単位=50:40:5:5(モル比))にて、(A’’)の構成単位と(B’’)から選ばれる構成単位とが交互に重合した高分子化合物であると推定される。また、この高分子化合物A−3の数平均分子量(Mn)および多分散度(Mw/Mn)をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で見積もったところ、Mn=9,100、Mw/Mn=1.64であった。
上記実施例1〜3にて得られた高分子化合物A−1〜A−3および下記構成単位を有するポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)](TFB)(Luminescence Technology Corp.製)(比較例1)について下記方法に従って、三重項エネルギー準位(eV)を測定した。その結果を下記表1に示す。
(三重項エネルギー準位の測定)
各化合物を、3.2質量%濃度となるようにトルエンに溶解させ、コート液を調製した。このコート液を、スピンコートにより1600rpmの回転速度で塗布し、ホットプレート上で、250℃で60分間乾燥し、約70nmの厚み(乾燥膜厚)の膜(サンプル)を得た。このサンプルを77K(−196℃)に冷却して、フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを測定した。このPLスペクトルの最も短波側のピーク値から、三重項エネルギー準位(eV)を算出した。その結果を下記表1に示す。
表1の結果から、本発明の高分子化合物は、従来使用されるTFBに比して、三重項エネルギー準位が有意に高いことが示めされる。
実施例4:有機エレクトロルミネッセンス素子Device-1の作製
まず、あらかじめ第1電極(陽極)として、ストライプ(stripe)状の酸化インジウムスズ(ITO)が膜厚150nmにて成膜されたITO付きガラス基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(poly(3,4-ethylene dioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate):PEDOT/PSS)(Sigma−Aldrich製)を乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法にて塗布し、正孔注入層を形成した。
次に、実施例1で合成した高分子化合物A−1(正孔輸送材料A−1)をキシレン(溶媒)に1質量%濃度で溶解して正孔輸送層形成用塗布液を調製した。上記で形成した正孔注入層上に、この正孔輸送層形成用塗布液を厚さ(乾燥膜厚)が30nmになるようにスピンコート法にて塗布し、230℃で1時間加熱して、厚さ(乾燥膜厚)30nmの正孔輸送層を正孔注入層上に形成した。
さらに、上記で形成した正孔輸送層上に、ホスト(host)材料として下記構造を有する化合物h−1(6,9−ジフェニル−9’−(5’−フェニル−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−3−イル)3,3’−ビ[9H−カルバゾール])、化合物h−2(3,9−ジフェニル−5−(3−(4−フェニル−6−(5’−フェニル−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−3−イル)−1,3,5,−トリアジン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール)、ドーパント(dopant)材料としてトリス(2−(3−p−キシイル)フェニル)ピリジン イリジウム(III)(tris(2-(3-p-xylyl)phenyl)pyridine iridium(III))を含むトルエン溶液を調製した。この際、化合物h−1の濃度を0.49g/ml、化合物h−2の濃度を0.05g/mlとなるようにトルエン溶液を調製した。また、ドーパント材料の含有量は、ドープ量が発光層の総質量に対して10質量%となるように調整した。正孔輸送層上に、上記にて調製したトルエン溶液を乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法で塗布し、発光層を正孔輸送層上に形成した。
次に、上記で形成した発光層上に、(8−キノリノラト)リチウム(Liq)およびKLET−03(ケミプロ化成株式会社製)を真空蒸着装置にて共蒸着して、膜厚50nmの電子輸送層を発光層上に形成した。また、上記で形成した電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着装置にて蒸着して、膜厚1nmの電子注入層を電子輸送層上に形成した。さらに、上記で形成した電子注入層上に、アルミニウム(Al)を真空蒸着装置にて蒸着し、膜厚100nmの第2電極(陰極)を電子注入層上に形成した。以上の製造方法によって有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)Device-1を作製した。
実施例5:有機エレクトロルミネッセンス素子Device-2の作製
実施例4において、高分子化合物A−1(正孔輸送材料A−1)の代わりに、実施例2で合成した高分子化合物A−2(正孔輸送材料A−2)を用いて正孔輸送層を形成した以外は、実施例4と同様の方法によって、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)Device-2を作製した。
実施例6:有機エレクトロルミネッセンス素子Device-3の作製
実施例4において、高分子化合物A−1(正孔輸送材料A−1)の代わりに、実施例3で合成した高分子化合物A−3(正孔輸送材料A−3)を用いて正孔輸送層を形成した以外は、実施例4と同様の方法によって、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)Device-3を作製した。
比較例2:有機エレクトロルミネッセンス素子Device-4の作製
実施例4において、高分子化合物A−1(正孔輸送材料A−1)の代わりに、下記構成単位を有するポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)](TFB)(Luminescence Technology Corp.製)を用いて正孔輸送層を形成した以外は、実施例4と同様の方法によって、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)Device-4を作製した。
上記実施例4〜6にて作製された有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)Device-1〜Device-3および比較例2にて作製された有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)Device-4について下記方法に従って、電流効率および耐久性(発光寿命)を以下の方法にて評価した。その結果を下記表2に示す。
(電流効率および耐久性(発光寿命)の評価)
まず、直流定電圧電源(KEYENCE製、ソースメータ(source meter))を用いて、各有機EL素子に対して電圧を加えると、ある一定の電圧で電流が流れ始め、有機EL素子が発光する。この際の電圧を駆動電圧(単位:V)とする。有機EL素子の発光を輝度測定装置(Topcom製、SR−3)にて測定しつつ、徐々に電流を増加させ、輝度が6000cd/mになったところで電流を一定にし、放置した。
ここで、有機EL素子の面積から単位面積あたりの電流値(電流密度)を計算し、輝度(cd/m)を電流密度(A/m)にて除算することで、電流効率(cd/A)を算出する。また、輝度測定装置で測定した輝度の値が徐々に変動(低下)し、初期輝度の95%になるまでの時間(時間)を「発光寿命(時間)」とした。なお、電流効率は、電流を発光エネルギーへ変換する効率(変換効率)を示し、電流効率が高いほど有機EL素子の性能が高いことを示す。
上記表2から、実施例1〜3の高分子化合物を正孔輸送材料として用いてなる有機EL素子Device-1〜Device-3は、従来の正孔輸送材料(TFB)を用いてなる有機EL素子Device-4に比して、電流効率および耐久性(発光寿命)共に優れることが分かる。したがって、本発明の高分子化合物は、エレクトロルミネッセンス素子(特に正孔輸送材料)などに好適に使用できると考察される。
また、実施例の高分子化合物を用いる場合には、塗布法により正孔輸送材料を形成できるため、大量生産の観点から好ましい。
100 有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、
110 基板、
120 第1電極、
130 正孔注入層、
140 正孔輸送層、
150 発光層、
160 電子輸送層、
170 電子注入層、
180 第2電極。

Claims (13)

  1. 下記式(1):
    式(1)中、XおよびXは、それぞれ独立して、下記式(2):
    式(2)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、単結合または置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表し、この際、ArおよびArの少なくとも一方は、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、
    Arは、置換基を有してもよい1価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す、
    で示される2価の基であり;
    およびRは、それぞれ独立して、炭素数1以上18以下のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素数6以上18以下のアリール基であり、RおよびRが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なってもよく;
    mおよびnは、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である、
    で表わされる構成単位(1)、ならびに
    下記式(3):
    式(3)中、Arは、置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい(2+p)価の芳香族複素環基を表し;
    は、単結合または置換基を有してもよいアルキレン基もしくはフェニレン基を表し、Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく;
    は、1価の架橋性基を表し、Qが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく;
    pは、1以上の整数である、
    で表わされる構成単位(2)、および
    下記式(4):
    式(4)中、Arは、置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である、
    で表わされる構成単位(3)の少なくとも一方
    を含む高分子化合物。
  2. 前記ArおよびArの少なくとも一方は、置換基を有してもよいカルバゾリレン基である、請求項1に記載の高分子化合物。
  3. 前記式(3)中、Qは、下記群:
    式中、R10〜R16は、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上10以下のアルキル基であり、pは、1以上10以下の整数である、
    から選択される、請求項1または2に記載の高分子化合物。
  4. 前記式(3)中、Arがフルオレンジイル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  5. 数平均分子量が10,000以上500,000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料と、を含有する組成物。
  7. 前記発光材料が、発光性有機金属錯体化合物を含有する、請求項6に記載の組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物と、溶媒または分散媒と、を含有する液状組成物。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物を含有する薄膜。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
  11. 一対の電極と、
    前記電極間に配置され、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物を含む少なくとも1層の有機層と、
    を備える、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  12. 前記電極間に配置され、三重項励起子からの発光が可能な発光材料を含む発光層をさらに備える、請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 一対の電極と、前記電極間に配置され、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物を含む少なくとも1層の有機層と、を備える、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記有機層のうち少なくとも1層を塗布法により形成する、方法。
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