JP2020105469A - 高分子化合物、ならびにこれを含む電荷輸送材料、組成物、有機層および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

高分子化合物、ならびにこれを含む電荷輸送材料、組成物、有機層および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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敬介 高麗
真樹 沼田
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真樹 沼田
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Mitsunori Ito
光則 伊藤
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Abstract

【課題】本発明は、積層性に優れ、さらに低駆動電圧の有機EL素子を作製できる高分子化合物を提供する。また、溶解性に優れる高分子化合物を提供する。また、低粘度のインクを調製できる高分子化合物を提供する。【解決手段】上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位と、を含み、下記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数が5以下である、高分子化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子化合物、ならびにこれを含む電荷輸送材料、組成物、有機層および有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を用いたディスプレイ、照明デバイスの実用化検討が活発化しているが、特に低コスト化、大画面化が大きな課題として挙げられている。そのため、真空蒸着型の有機EL素子に代わり、湿式型(塗布型)の有機EL素子への期待が高まっている。
湿式型(塗布型)は、材料の利用効率が高く、大画面成膜が容易であり、真空設備が不要であり、装置コストが安価である点で有利である。また、湿式型の有機EL素子の製造においては、残膜性などのプロセス的な観点から、高分子構造を有する電荷輸送材料の利用が提案されている(特許文献1および2)。
欧州特許出願公開第1310539号明細書 国際公開第2016/031639号
しかし、特許文献1に記載される高分子化合物を用いて下層を形成し、その上に塗布法で上層を形成すると、下層が溶解してしまう問題があった。すなわち、特許文献1に記載される高分子化合物は、積層性に乏しかった。また、特許文献2に記載される高分子化合物は、積層性は良好であったものの、これを用いて作製された有機EL素子の駆動電圧が高かった。また、高精細な有機EL素子を得るためのインクジェット印刷においては、溶解性に優れ、かつ低粘度なインクを調製できる高分子化合物が求められる。しかし、特許文献2に記載される高分子化合物を用いて調製されるインクは、高粘度であり、インクジェット印刷に適するものではなかった。
したがって、本発明の目的は、積層性に優れ、さらに低駆動電圧の有機EL素子を作製できる高分子化合物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、溶解性に優れる高分子化合物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、低粘度のインクを調製できる高分子化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、を含み、下記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数が5以下である、高分子化合物によって、上記課題を解決できることを見出した。
上記式(1)中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)であり、
Lは、下記式(1a)で表される基であり、この際、Lに含まれるアルキル基の合計炭素数は6以上40以下である;
上記式(1a)中、
Arは、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)であり、複数のArは同一であっても異なっていてもよく、複数のArは互いに結合して環を形成してもよく、
nは、3以上8以下の整数であり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)であり、
*は、上記式(1)のN原子との結合部位を表す;
上記式(2)中、
Arは、下記式(2a)から(2e)よりなる群より選択される基であり、複数のArは同一であっても異なっていてもよく、
mは、上記式(2)が下記式(2a)および(2b)からなる群より選択される基のみで構成される場合は、4以上20以下の整数であり、それ以外の場合は、3以上20以下の整数である;
上記式(2a)から(2e)中、
Zは、それぞれ独立して、=C(R)−または=N−であり、
Xは、−C(=O)−、−C(R)(R)−、−N(R)−、−O−、−S−および−Se−からなる群より選択される基であり、
この際、RからRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シアノ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)、アルキルシリル基、アルコキシ基およびハロゲン基からなる群より選択される基であり、複数のRは互いに結合して環を形成してもよく、
*は、隣接する原子との結合部位を表す。
本発明の高分子化合物は、積層性に優れ、さらに低駆動電圧の有機EL素子を提供することができる。また、本発明の高分子化合物は、湿式法で使用される溶媒への溶解性に優れる。また、本発明の高分子化合物によれば、低粘度のインクを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る有機EL素子の一例を示す模式図である。
本発明の一実施形態に係る高分子化合物は、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、を含み、下記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数が5以下である。当該高分子化合物は、積層性に優れ、さらに低駆動電圧の有機EL素子を提供することができる。また、本発明の高分子化合物は、湿式法で使用される溶媒への溶解性に優れる。また、本発明の高分子化合物によれば、低粘度のインクを得ることができる。よって、本発明の高分子化合物は、高精細インクジェット印刷による有機EL素子の作製に好適に使用することができる。
上記式(1)中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)であり、
Lは、下記式(1a)で表される基であり、この際、Lに含まれるアルキル基の合計炭素数は6以上40以下である;
上記式(1a)中、
Arは、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)であり、複数のArは同一であっても異なっていてもよく、複数のArは互いに結合して環を形成してもよく、
nは、3以上8以下の整数であり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)であり、
*は、上記式(1)のN原子との結合部位を表す;
上記式(2)中、
Arは、下記式(2a)から(2e)よりなる群より選択される基であり、複数のArは同一であっても異なっていてもよく、
mは、上記式(2)が下記式(2a)および(2b)からなる群より選択される基のみで構成される場合は、4以上20以下の整数であり、それ以外の場合は、3以上20以下の整数である;
上記式(2a)から(2e)中、
Zは、それぞれ独立して、=C(R)−または=N−であり、
Xは、−C(=O)−、−C(R)(R)−、−N(R)−、−O−、−S−および−Se−からなる群より選択される基であり、
この際、RからRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シアノ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)、アルキルシリル基、アルコキシ基およびハロゲン基からなる群より選択される基であり、複数のRは互いに結合して環を形成してもよく、
*は、隣接する原子との結合部位を表す。
有機EL素子の製造は、現在、蒸着法や湿式法により行われている。このうち、蒸着法は蒸着により多層に積層でき、積層によるエネルギーダイアグラムの最適化が容易である。このため、発光効率や寿命の向上、ならびに低駆動電圧化が可能である。しかしその一方で、低い生産性および低い歩留まりが大きな課題となっている。これに対して、湿式法による有機EL素子の製造では、印刷プロセスが可能であるため、大面積化および高生産性が期待できる。しかしその一方で、積層可能な材料の設計が大きな課題となっている。
特許文献1および2では、高分子構造を有する電荷輸送材料の利用が提案されている。しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載される高分子化合物は、下記の問題を有することが判明した。具体的には、特許文献1の高分子化合物を用いて下層を形成し、その上に塗布法で上層を形成すると、下層が溶解した。このため、塗布法によるEL素子の作製が困難であった(後述の比較例1)。また、特許文献2の高分子化合物は、積層性は良好であったものの、これを用いて作製された有機EL素子の駆動電圧が高かった。加えて、該有機EL素子は、電流効率および発光寿命においても乏しかった(後述の比較例2)。この理由として、架橋基を含む高分子化合物を用いたことで、残存する架橋基や架橋反応によってキャリアトラップや励起子失活サイトとなる構造欠陥等が副生されたものと考えられる。
そこで、本発明者らは、積層性に優れ、さらに低駆動電圧の有機EL素子を作製できる高分子化合物の設計を鋭意検討した。その結果、上記式(2)で表される構成単位を導入することで、積層性が顕著に向上し、さらに所望の駆動電圧(例えば駆動電圧5V未満)を満たすEL素子を作製できることを見出した。上記式(2)で表される構成単位は、長鎖アルキル基で置換されていない芳香環が直線状に多数連結した構造を有している。かような構造を導入することで、主鎖骨格の剛直性が向上する。また、本高分子化合物を含む層上に形成される有機層(例えば発光層)の塗布溶媒に対する耐久性が向上する。ゆえに、本発明の高分子化合物は、積層性に優れると考えられる。また、上記式(2)で表される構成単位を有することで、上記の懸念を伴う架橋基を要さずとも、優れた積層性を発現することができる。ゆえに、有機EL素子の駆動電圧が低く抑えられうる。また、優れた積層性により、電流効率や発光寿命が向上しうる。
また、本発明の高分子化合物は、上記式(1)および(1a)で示されるように、合計炭素数6以上のアルキル基を含む側鎖を有する。このため、湿式法で使用される溶媒(特に高疎水性溶媒)への溶解性に優れると考えられる。
また、本発明の高分子化合物は、上記式(1)および(1a)で示されるように、嵩高い側鎖を有する。これにより、主鎖同士の絡み合いが低減され、低粘度のインクを得ることができると考えられる。
また、本発明の高分子化合物は、上記式(1)および(1a)で示されるように、アリールアミン構造(−Ar−N(Ar)−Ar−)を主鎖および側鎖の両方に有する。このため、本発明の高分子化合物を用いて形成される有機膜は、正孔輸送パスが効率的に形成され、良好な正孔輸送性を発揮すると考えられる。このため、該有機層を備える有機EL素子は、さらに低駆動電圧となると考えられる。
さらに、該有機層を備える有機EL素子は、上述のような機構で低駆動電圧となることで、電流効率や発光寿命にも優れると考えられる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら拘泥されるものではない。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で行う。
<高分子化合物>
[構成単位(1)]
本発明に係る高分子化合物は、下記式(1)で表される構成単位(本明細書中、構成単位(1)とも称する)を含む。構成単位(1)は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
上記式(1)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)である。
本明細書において、「芳香族炭化水素基」は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環を有する炭化水素(芳香族炭化水素)由来の基である。また、芳香族炭化水素基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに連結または縮合していてもよい。また、これら芳香族炭化水素基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。
2価の芳香族炭化水素基としては、以下に制限されないが、フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレニレン基、フェナレニレン基、フルオレニレン基、アントラキノニレン基、フェナントレニレン基、ビフェニレン基、トリフェニレニレン基、ターフェニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、ペンタフェニレン基、ペンタセニレン基、テトラフェニレニレン基、ヘキサフェニレン基、ヘキサセニレン基、ルビセニレン基、トリナフチレニレン基、ヘプタフェニレン基、ピラントレニレン基等の環炭素数6以上30以下の2価の芳香族炭化水素基を挙げることができる。
本明細書において、芳香族複素環基は、1個以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S))を有し、残りの環原子が炭素原子(C)である1以上の芳香族環を含む芳香族複素環由来の基である。また、芳香族複素環基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合していてもよい。また、これら芳香族複素環基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。
2価の芳香族複素環基としては、以下に制限されないが、ピラゾリレン基、イミダゾリレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、トリアゾリレン基、テトラゾリレン基、オキサジアゾリレン基、ピリジニレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、トリアジニレン基、カルバゾリレン基、インドリレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、ベンゾイミダゾリレン基、イミダゾピリジニレン基、イミダゾピリミジニレン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチオフェニレン基等の環形成原子数3以上30以下の2価の芳香族複素環基を挙げることができる。
ArおよびArとしての2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、チエニル基でない限り、特に制限されない。当該置換基の例としては、シアノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、1価の芳香族炭化水素基、および1価の芳香族複素環基、ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。なお、2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基が置換基を有する場合、さらに置換された構造がさらに置換される前の基(芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基)と同じになる形態は除外される。例えば、Arがアルキル基である場合に、当該アルキル基はさらにアルキル基で置換されることはない(以下同様)。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基は、特に制限されないが、炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状のアルキル基でありうる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基などが挙げられる。
上記アルコキシ基は、特に制限されないが、炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状のアルコキシ基でありうる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
上記シクロアルキル基は、特に制限されないが、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基でありうる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記シクロアルコキシ基は、特に制限されないが、炭素数3以上16以下のシクロアルコキシ基でありうる。具体的には、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
上記アリールオキシ基は、特に制限されないが、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基でありうる。具体的には、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
上記アラルキル基は、特に制限されないが、炭素数7以上40以下のアラルキル基でありうる。具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基などが挙げられる。
上記アルキルアミノ基は、特に制限されないが、炭素数1以上20以下のアルキルアミノ基でありうる。具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基などが挙げられる。
上記アリールアミノ基は、特に制限されないが、炭素数6以上30以下のアリールアミノ基でありうる。具体的には、フェニルアミノ基、ビフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アントリルアミノ基、フェナントリルアミノ基などが挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基は、上記の2価の芳香族炭化水素基を1価とする以外は同様の定義である。
上記1価の芳香族複素環基は、上記の2価の芳香族複素環基を1価とする以外は同様の定義である。
上記式(1)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のフルオレニレン基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニレン基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニレン基であることが好ましい。この際、存在しうる置換基は、上記と同様であるが、例えばアルキル基である。該アルキル基としては、積層性を確保する観点から、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
上記式(1)中、ArおよびArは、上記式(2a)から(2e)よりなる群より選択される基であることが好ましい。中でも、ArおよびArは、下記グループ1から選択される基であることがより好ましい。かような基を選択することで、所望の正孔輸送性を発現しつつ、主鎖骨格の剛直性をさらに高めることができる。ゆえに、積層性と低駆動電圧化とをより高度に両立することができる。
上記グループ1中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基であり、好ましくはメチル基またはエチル基であり、より好ましくはメチル基である。また、上記グループ1中、Xは、NH、OまたはSであり、好ましくはOまたはSである。上記グループ1中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。よって、上記グループ1に示される基は、左右いずれの*が上記式(1)のN原子に結合してもよい。
上記式(1)中、Lは、下記式(1a)で表される基である。この際、Lに含まれるアルキル基の合計炭素数は、6以上40以下であり、好ましくは8以上30以下である。上記範囲内であれば、積層性と溶解性とを良好に両立することができる。
上記式(1a)中、Arは、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)である。上記式(1a)中、複数のArは同一であっても異なっていてもよい。また、上記式(1a)中、複数のArは互いに結合して環を形成してもよい。中でも、溶解性、素子効率、素子寿命及び低電圧化の観点から、Arは、置換または非置換のフェニレン基であることが好ましい。なお、Arとしての2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、ArおよびArとしての2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に導入されうる置換基と同義である。また、上記式(1a)中、正孔輸送性、溶解性、素子効率、素子寿命、低電圧化及び低粘度化の観点から、nは、3以上8以下の整数であり、より好ましくは3以上5以下の整数である。また、上記式(1a)中、*は、上記式(1)のN原子との結合部位を表す。
正孔輸送性および溶解性の両立の観点から、上記式(1a)中、−(Ar−で表される連結基としては、例えば下記グループ2から選択される基が好ましい。
上記グループ2中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アルキル基または1価の芳香族炭化水素基である。この際、アルキル基としては、炭素数1以上10以下の直鎖状アルキル基が好ましい。また、この際、1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基が好ましい。なお、上記グループ2中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。よって、上記グループ2に示される基は、上下いずれの*が上記式(1a)のN原子に結合してもよい。
上記式(1a)中、−(Ar−で表される連結基の具体例としては、下記グループ2−2から選択される基が挙げられる。なお、下記グループ2−2中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。よって、上記グループ2−2に示される基は、上下いずれの*が上記式(1a)のN原子に結合してもよい。
上記式(1a)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)である。ここで、1価の芳香族炭化水素基は、上記の2価の芳香族炭化水素基を1価とする以外は同様の定義である。また、1価の芳香族複素環基は、上記の2価の芳香族複素環基を1価とする以外は同様の定義である。また、ArおよびArとしての1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、ArおよびArとしての2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に導入されうる置換基と同義である。
正孔輸送性のさらなる向上の観点から、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基および置換もしくは非置換のカルバゾリル基からなる群より選択される基であることが好ましい。同様の観点から、ArおよびArとしては、下記グループ3から選択される基であることがより好ましい。
上記グループ3中、R’は、水素原子、重水素原子、アルキル基または1価の芳香族炭化水素基である。この際、アルキル基としては、炭素数1以上10以下の直鎖状アルキル基が好ましく、炭素数3以上8以下の直鎖状アルキル基がより好ましい。また、1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基が好ましい。上記グループ3中、*は、上記式(1a)のN原子との結合部位を表す。
ArおよびArの具体例としては、下記グループ3−2から選択される基が挙げられる。なお、下記グループ3−2中、*は、上記式(1a)のN原子との結合部位を表す。
したがって、上記式(1)におけるLの具体例としては、下記化学式で表される基が挙げられる。なお、下記化学式中、*は、上記式(1)のN原子との結合部位を表す。
[構成単位(2)]
本発明に係る高分子化合物は、下記式(2)で表される構成単位(本明細書中、構成単位(2)とも称する)を含む。構成単位(2)は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
上記式(2)中、Arは、下記式(2a)から(2e)よりなる群より選択される基である。上記式(2)中、複数のArは同一であっても異なっていてもよい。
上記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数は、5以下である。上記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数が6以上であると、形成される有機層の溶媒に対する耐久性に劣る(すなわち、積層性に劣る)。さらに、積層性を一層向上させる観点から、上記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数は、好ましくは3以下である。同様の観点から、上記式(2)で表される構成単位はアルキル基を含まないことがより好ましい。
上記式(2)中、mは、積層性および溶解性を両立する観点から、上記式(2)が下記式(2a)および(2b)からなる群より選択される基のみで構成される場合は、4以上20以下の整数であり、それ以外の場合は、3以上20以下の整数である。積層性のさらなる向上の観点から、mは、好ましくは4以上の整数であり、より好ましくは6以上の整数である。
上記式(2a)から(2e)中、Zは、それぞれ独立して、=C(R)−または=N−であり、好ましくは=C(R)−である。
上記式(2a)から(2e)中、Xは、−C(=O)−、−C(R)(R)−、−N(R)−、−O−、−S−および−Se−からなる群より選択される基である。Xは、好ましくは−O−または−S−である。
この際、RからRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シアノ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)、アルキルシリル基、アルコキシ基およびハロゲン基からなる群より選択される基である。また、複数のRは、互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(2a)から(2e)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
中でも、積層性のさらなる向上の観点から、Arは、下記グループ4から選択される基であることが好ましい。なお、下記グループ4中、*は隣接する原子との結合部位を表す。
上記構成単位(1)および構成単位(2)の結合形態は、特に制限されず、例えばランダム状、ブロック状、交互のいずれであってもよい。すなわち、本発明の高分子化合物は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
本発明の高分子化合物の主鎖の末端は、チエニル基でない限り、特に制限されない。本発明の高分子化合物の主鎖の末端は、使用される原料の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
本発明に係る高分子化合物は、チエニレン基およびチエニル基を含まない。かような基を含むと、剛直性が低下し、所望の積層性が得られなくなるおそれがある。また、かような基を含むと、励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくとも一方が低下し、所望の発光効率が得られなくなる可能性が高い。
有機EL素子の駆動電圧、電流効率および発光寿命を考慮すると、本発明に係る高分子化合物は、側鎖に架橋基を含まないことが好ましい。ここで、架橋基とは、加熱や光照射により、他の同一の基または異なる基と反応(架橋)して、新たな結合を生成する基を意味する。
[高分子化合物の製造方法]
本発明に係る高分子化合物は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。本発明の高分子化合物の具体的な合成方法は、後述する実施例を参照した当業者であれば、容易に理解することが可能である。
例えば、本発明に係る高分子化合物は、下記式(M1)で表される単量体と、下記式(M2)で表される単量体とを用いた共重合反応により、製造することができる。なお、高分子化合物の重合に用いられる各単量体は、公知の合成反応を適宜組み合わせて合成することができ、その構造も、NMRやLC−MS等の公知の手段を用いて確認できる。
上記式(M1)中、Lは、上記式(1)におけるのと同様の定義である。また、上記式(M1)中、ArおよびArは、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基である。なお、ArおよびArとしての2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、ArおよびArとしての2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に導入されうる置換基と同義である。
上記式(M2)中、Arは、上記式(2a)から(2e)よりなる群より選択される基である。また、上記式(M2)中、kは、1以上10以下の整数である。
また、上記式(M1)および(M2)中、QからQは、それぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、特に臭素原子)または下記構造の基(構造中、RからRは、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基である)である。
上記Ar、Ar、Arおよびkを適宜選択することにより、構成単位(1)および構成単位(2)を有する高分子化合物が得られる。
上記式(M1)で表される単量体の具体例としては、下記化学式で表される単量体が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記式(M2)で表される単量体の具体例としては、下記化学式で表される単量体が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の高分子化合物の合成方法について、下記スキームを例に挙げて、より詳細に説明する。
下記スキームでは、上記式(M1)で表される単量体として、単量体1を使用している。すなわち、上記式(M1)のArおよびArはビフェニレン基である。また、下記スキームでは、上記式(M2)で表される単量体として、単量体2を使用している。すなわち、上記式(M2)のArはフェニレン基であり、kは2である。
単量体1と単量体2とを共重合させることで、単量体1と単量体2とが交互に連結した高分子化合物1が得られる。下記スキームで示すように、高分子化合物1の主鎖においてN原子に連結している2つのパラフェニレン基が、上記式(1)のArおよびArに相当する。また、下記スキームにおいて点線で示した構造(すなわちパラフェニレン基が4つ連結した構造)が、上記構成単位(2)に相当する。すなわち、高分子化合物1は、上記Ar、ArおよびArがパラフェニレン基であり、mが4である高分子化合物である。
[高分子化合物の物性]
本発明に係る高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上200,000以下である。Mwが1,000以上であれば、積層性が一層向上する。一方、Mwが200,000以下であれば、溶解性およびインクの低粘度化において有利となる。積層性向上およびインク粘度低減を良好に両立する観点から、より好ましくは3,000以上100,000以下であり、さらにより好ましくは5,000以上50,000以下である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)の測定方法は、ポリスチレンを標準物質として用いて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により下記条件で測定された値を採用するものとする:
・分析装置:株式会社島津製作所製、Prominence
・カラム:ポリマーラボラトリーズ社製PLgel MIXED−B
・カラム温度:40℃
・流量:1.0mL/min
・注入量:20μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(濃度:約0.05質量%)
・検出器:UV−VIS検出器(株式会社島津製作所製、SPD−10AV)
・標準試料:ポリスチレン。
<電荷輸送材料>
本発明は、上記の高分子化合物と、分子量3,000以下の低分子化合物と、を含む電荷輸送材料についても提供する。当該電荷輸送材料は、正孔輸送性に優れるため、有機EL素子の正孔輸送層などに好適に使用することができる。
[低分子化合物]
本発明の電荷輸送材料に含まれる分子量3,000以下の低分子化合物(以下、単に「低分子化合物」とも称する)としては、下記式(J1)から(J3)で表される化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
≪式(J1)で表される化合物≫
上記式(J1)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基である。好ましくは、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基または置換もしくは非置換のm−ターフェニル基である。ArおよびArとしての1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、特に制限されない。該置換基の例としては、ArおよびArにおける説明で例示した置換基が挙げられる。また、ArおよびArは、隣接する芳香環と結合して環を形成してもよい。
上記式(J1)中、Jは、=C(R)−または=N−であり、好ましくは=C(R)−である。この際、Rは、水素原子、アルキル基、シアノ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基、アルキルシリル基、アルコキシ基またはハロゲン基である。複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(J1)で表される化合物としては、下記化学式(J1−1)で表される化合物が好ましい。
上記式(J1−1)中、Ara’およびArb’は、下記グループ5からなる群より選択される基である。なお、下記グループ5の各基は、置換されていてもよい。この際、導入されうる置換基は、特に制限されず、ArおよびArにおける説明で例示した置換基が挙げられる。また、下記グループ5中、*は、上記式(J1−1)のベンゼン環炭素との結合部位を表す。また、上記式(J1−1)中、Rは、それぞれ独立して、Rは、好ましくは炭素数1以上12以下の直鎖状アルキル基であり、より好ましくは炭素数3以上8以下の直鎖状アルキル基である。
上記式(J1)で表される低分子化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
≪式(J2)で表される化合物≫
上記式(J2)中、ArからArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基である。好ましくは、ArからArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基または置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基である。ArからArとしての1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、特に制限されない。該置換基の例としては、ArおよびArにおける説明で例示した置換基が挙げられる。ArからArは同一であっても異なっていてもよいが、ArからArのうち少なくとも2つは同一であることが好ましい。
上記式(J2)で表される低分子化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
≪式(J3)で表される化合物≫
上記式(J3)中、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基である。好ましくは、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基または置換もしくは非置換のフルオレニル基である。Ar、Ar、ArおよびArとしての1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、特に制限されない。該置換基の例としては、ArおよびArにおける説明で例示した置換基が挙げられる。また、Ar、Ar、ArおよびArは、互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(J3)中、Arは、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基である。好ましくは、Arはフェニレン基である。Arとしての2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に導入されうる置換基は、特に制限されない。該置換基の例としては、ArおよびArにおける説明で例示した置換基が挙げられる。また、Arは、Ar、Ar、ArおよびArと結合して環を形成してもよい。
上記式(J3)中、qは、1以上10以下の整数であり、好ましくは2以上5以下の整数である。
上記式(J3)で表される低分子化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の電荷輸送材料において、上記高分子化合物および上記低分子化合物の質量比は、20:80から80:20の範囲内にあることが好ましい。
本発明の組成物における低分子化合物の含有量は、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
<組成物>
本発明は、上記高分子化合物または上記電荷輸送材料と、常圧での沸点が100℃以上350℃以下である溶剤と、を含む組成物についても提供する。当該組成物には、上記高分子化合物が良好に溶解する。また、当該組成物は、溶液塗布法に適用することができる。さらに、当該組成物は、低粘度であるため、高精細なEL素子を得るためのインクジェット印刷に好適に使用することができる。
[溶剤]
常圧にて沸点が100℃以上350℃以下の溶剤(以下、単に「溶剤」とも称する)としては、湿式法に使用されうるものであれば、特に制限されない。具体的には、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アニソール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
本発明の組成物における溶剤の含有量は、特に制限されない。例えば、組成物における高分子化合物の含有量が下記範囲となるような程度であることが好ましい。
本発明に係る組成物における高分子化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
本発明に係る組成物は、25℃における粘度が5mPa・s以下であることが好ましい(下限:例えば0.1mPa・s)。上記範囲内であれば、高精細な有機EL素子を得るためのインクジェット印刷に好適に使用することができる。本明細書において、粘度は、オストワルド粘度計により測定した値を採用するものとする。
<有機層>
本発明は、上記高分子化合物、上記電荷輸送材料、または上記組成物から形成される有機層についても提供する。
本発明に係る有機層は、塗布法(溶液塗布法)によって形成される。具体的には、スピンコート(spin coat)法、キャスティング(casting)法、マイクログラビアコート(micro gravure coat)法、グラビアコート(gravure coat)法、バーコート(bar coat)法、ロールコート(roll coat)法、ワイアーバーコード(wire bar coat)法、ディップコート(dip coat)法、スプレーコート(spry coat)法、スクリーン(screen)印刷法、フレキソ(flexographic)印刷法、オフセット(offset)印刷法、インクジェット(ink jet)印刷法等の溶液塗布法を用いて成膜される。
溶液塗布法で有機層を形成する際、溶媒を除去するために、加熱処理を行ってもよい。この際、加熱温度は、特に制限されないが、例えば100℃以上250℃以下である。また、加熱時間も、特に制限されないが、例えば5分以上300分以下である。
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本発明は、上記の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子についても提供する。
以下、図1を参照して、本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)100は、基板110と、基板110上に配置された第1電極120と、第1電極120上に配置された正孔注入層130と、正孔注入層130上に配置された正孔輸送層140と、正孔輸送層140上に配置された発光層150と、発光層150上に配置された電子輸送層160と、電子輸送層160上に配置された電子注入層170と、電子注入層170上に配置された第2電極180とを備える。
ここで、本発明に係る高分子化合物は、例えば、第1電極120と第2電極180との間に配置されたいずれかの有機層中に含まれる。具体的には、本発明に係る高分子化合物は、正孔注入材料として正孔注入層130に含まれるか、正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることが好ましい。中でも、正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることが特に好ましい。
本発明の高分子化合物を含む有機層の形成方法については、上述したとおりである。また、本発明の高分子化合物を含む有機層以外の層(以下、その他の層とも称する)の成膜方法については、特に限定されない。その他の層は、例えば、真空蒸着法にて成膜されてもよく、溶液塗布法にて成膜されてもよい。
基板110は、一般的な有機EL素子で使用される基板を使用することができる。例えば、基板110は、ガラス(glass)基板、シリコン(silicon)基板などの半導体基板、またはプラスチック(plastic)基板等であってもよい。
基板110上には、第1電極120が形成される。第1電極120は、具体的には、陽極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数(物質内にある電子を一個外へ取り出すのに必要な最小エネルギー)が大きいものによって形成される。例えば、第1電極120は、透明性および導電性に優れる酸化インジウムスズ(In−SnO:ITO)、酸化インジウム亜鉛(In−ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等によって透過型電極として形成されてもよい。また、第1電極120は、上記透明導電膜に対して、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを積層することによって反射型電極として形成されてもよい。
第1電極120上には、正孔注入層130が形成される。正孔注入層130は、第1電極120からの正孔の注入を容易にする層であり、具体的には、約10nm以上約1000nm以下の厚さで形成されてもよい。
正孔注入層130は、公知の正孔注入材料で形成することができる。正孔注入層130を形成する公知の正孔注入材料としては、例えば、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(poly(ether ketone)−containg triphenylamine:TPAPEK)、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(4−isopropyl−4’−methyldiphenyliodonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate:PPBI)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−[4−(フェニル−m−トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(N,N’−diphenyl−N,N’−bis−[4−(phenyl−m−tolyl−amino)−phenyl]−biphenyl−4,4’−diamine:DNTPD)、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)、4,4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’−tris(3−methylphenylphenylamino)triphenylamine:m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(N,N’−di(1−naphthyl)−N,N’−diphenylbenzidine:NPB)、4,4’,4’’−トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’−tris(diphenylamino)triphenylamine:TDATA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’−tris(N,N−2−naphthylphenylamino)triphenylamine:2−TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(polyaniline/dodecylbenzenesulphonic acid)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/poly(4−styrenesulfonate):PEDOT/PSS)、およびポリアニリン/10−カンファースルホン酸(polyaniline/10−camphorsulfonic acid)等を挙げることができる。
正孔注入層130上には、正孔輸送層140が形成される。正孔輸送層140は、正孔を輸送する機能を備えた層であり、例えば、約10nm以上約150nm以下の厚さ(乾燥膜厚)にて形成されてもよい。正孔輸送層140は、本発明の高分子化合物を用いて溶液塗布法によって成膜されることが好ましい。この方法によれば、有機EL素子100の低駆動電圧化を実現しうる高分子化合物を、効率的に大面積にて成膜することができる。
ただし、有機EL素子100のいずれかの他の有機層が本発明の高分子化合物を含む場合、正孔輸送層140は、公知の正孔輸送材料にて形成されてもよいことはいうまでもない。公知の正孔輸送材料としては、例えば、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(1,1−bis[(di−4−tolylamino)phenyl]cyclohexane:TAPC)、N−フェニルカルバゾール(N−phenylcarbazole)およびポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)などのカルバゾール(carbazole)誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(N,N’−bis(3−methylphenyl)−N,N’−diphenyl−[1,1−biphenyl]−4,4’−diamine:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4’’−tris(N−carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、ならびにN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(N,N’−di(1−naphthyl)−N,N’−diphenylbenzidine:NPB)等を挙げることができる。
正孔輸送層140上には、発光層150が形成される。発光層150は、蛍光、りん光等によって光を発する層である。発光層150は、例えば、約10nm以上約60nm以下の厚さで形成されてもよい。発光層150の発光材料としては、公知の発光材料を用いることができる。ただし、発光層150に含まれる発光材料は、三重項励起子からの発光(すなわち、りん光発光)が可能な発光材料であることが好ましい。このような場合、有機EL素子100の電流効率および発光寿命をさらに向上させることができる。
発光層150は、ホスト材料として、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(tris(8−quinolinato)aluminium:Alq)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(4,4’−bis(carbazol−9−yl)biphenyl:CBP)、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(poly(n−vinyl carbazole):PVK)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(9,10−di(naphthalene)anthracene:ADN)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4’’−tris(N−carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(1,3,5−tris(N−phenyl−benzimidazol−2−yl)benzene:TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(3−tert−butyl−9,10−di(naphth−2−yl)anthracene:TBADN)、ジスチリルアリーレン(distyrylarylene:DSA)、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(4,4’−bis(9−carbazole)2,2’−dimethyl−bipheny:dmCBP)、下記化合物h−1、下記化合物h−2などを含んでもよい。
また、発光層150は、ドーパント材料として、例えば、ペリレン(perylene)およびその誘導体、ルブレン(rubrene)およびその誘導体、クマリン(coumarin)およびその誘導体、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(4−dicyanomethylene−2−(pdimethylaminostyryl)−6−methyl−4H−pyran:DCM)およびその誘導体、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート]ピコリネートイリジウム(III)(bis[2−(4,6−difluorophenyl)pyridinate]picolinate iridium(III):FIrpic)、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(bis(1−phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III):Ir(piq)(acac))、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(tris(2−phenylpyridine)iridium(III):Ir(ppy))、トリス(2−(3−p−キシイル)フェニル)ピリジン イリジウム(III)などのイリジウム(Ir)錯体、オスミウム(Os)錯体、白金錯体などを含んでもよい。
また、発光層150は、発光材料として量子ドットなどのナノ粒子を含んでよい。量子ドットは、I−VI族系列の半導体、III−V族系列の半導体またはIV−IV族系列の半導体で構成されるナノ粒子である。上記半導体の例として、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe、ZnS、PbS、PbSe、HgS、HgSe、HgTe、CdHgTe、CdSeTe1−X、GaAs、InAsおよびInPなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ナノ粒子の直径は、特に限定されないが、例えば、1nm以上20nm以下であることができる。また、量子ドット等のナノ粒子は、単一コア構造を有していてもよいし、コアの表面上にシェルが被覆された、いわゆるコア/シェル構造を有していてもよい。
発光層150上には、電子輸送層160が形成される。電子輸送層160は、電子を輸送する機能を備えた層である。電子輸送層160は、例えば、約15nm以上約50nm以下の厚さで形成されてもよい。
電子輸送層160は、公知の電子輸送材料にて形成されてもよい。公知の電子輸送材料としては、例えば、(8−キノリノラト)リチウム((8−quinolinato)lithium:Liq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(tris(8−quinolinato)aluminium:Alq)、および含窒素芳香環を有する化合物等を挙げることができる。含窒素芳香環を有する化合物の具体例としては、例えば、1,3,5−トリ[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン(1,3,5−tri[(3−pyridyl)−phen−3−yl]benzene)のようなピリジン(pyridine)環を含む化合物、2,4,6−トリス(3’−(ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジン(2,4,6−tris(3’−(pyridin−3−yl)biphenyl−3−yl)−1,3,5−triazine)のようなトリアジン(triazine)環を含む化合物、2−(4−(N−フェニルベンゾイミダゾリル−1−イル−フェニル)−9,10−ジナフチルアントラセン(2−(4−(N−phenylbenzoimidazolyl−1−yl−phenyl)−9,10−dinaphthylanthracene)のようなイミダゾール(imidazole)環を含む化合物等を挙げることができる。
電子輸送層160上には、電子注入層170が形成される。電子注入層170は、第2電極180からの電子の注入を容易にする機能を備えた層である。電子注入層170は、0.3nm以上20nm以下の厚さで形成されてもよい。電子注入層170は、特に限定されず、電子注入層170を形成する材料として公知の材料を使用することができる。例えば、電子注入層170は、(8−キノリノラト)リチウム((8−quinolinato)lithium:Liq)およびフッ化リチウム(LiF)等のリチウム(lithium)化合物、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化セシウム(CsF)、酸化リチウム(LiO)、または酸化バリウム(BaO)等で形成されてもよい。
電子注入層170上には、第2電極180が形成される。第2電極180は、具体的には、陰極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が小さいものによって形成される。例えば、第2電極180は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)等の金属、またはアルミニウム−リチウム(Al−Li)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)等の合金で反射型電極として形成されてもよい。また、第2電極180は、上記金属材料の20nm以下の薄膜、酸化インジウムスズ(In−SnO)および酸化インジウム亜鉛(In−ZnO)などの透明導電膜によって透過型電極として形成されてもよい。
本実施形態に係る有機EL素子100は、本発明の高分子化合物を含む有機層を備えることで、低駆動電圧を実現することができる。また、本実施形態に係る有機EL素子100は、本発明の高分子化合物を含む有機層を備えることで、電流効率や発光寿命にも優れる。なお、本実施形態に係る有機EL素子100は、本発明に係る有機EL素子の一例である。
なお、本実施形態に係る有機EL素子100の積層構造は、上記の例示に限定されない。本実施形態に係る有機EL素子100は、他の公知の積層構造にて形成されてもよい。例えば、有機EL素子100は、正孔注入層130、正孔輸送層140、電子輸送層160および電子注入層170のうちの1層以上が省略されてもよく、また、追加で他の層を備えていてもよい。また、有機EL素子100の各層は、それぞれ単層で形成されてもよく、複数層で形成されてもよい。
例えば、有機EL素子100は、励起子または正孔が電子輸送層160に拡散することを防止するために、発光層150と電子輸送層160との間に正孔阻止層をさらに備えていてもよい。なお、正孔阻止層は、例えば、オキサジアゾール(oxadiazole)誘導体、トリアゾール(triazole)誘導体、または、フェナントロリン(phenanthroline)誘導体等によって形成することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
<高分子化合物の合成>
[単量体1の合成]
(化合物Aの合成)
下記スキーム1に従って、化合物Aを合成した。
化合物A−1の合成
J.Org.Chem.1997,62,6137−6143に記載の方法で合成した。
化合物A−2の合成
4’−ブロモ−3’−メチルアセトアニリド(438.42mmol,100g)、ビスピナコレートジボロン(482.27mmol,122.467g)、酢酸カリウム(876.85mmol,86.054g)、1,4−ジオキサン(1760ml)を加え撹拌させた。その後ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(26.31mmol,15.126g)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(13.15mol,4.84g)を加え不活性雰囲気下で90℃で6時間撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、セライトを用いて濾過した。濃縮したのち、トルエンで希釈し活性炭100gを加え60℃で2時間加熱撹拌した。その後セライトを用いて濾過し溶媒を留去した後、トルエン/ヘキサンで再沈殿を行い化合物A−2を得た(100g)。
化合物Aの合成
化合物A−1(290.74mmol,131.191g)、化合物A−2(290.74mmol,80.00g)、1,4−ジオキサン(580ml)を加え撹拌させた。その後2M炭酸カリウム水溶液(363ml)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.91mmol,3.36g)を加え不活性雰囲気下で90℃で9時間撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、抽出した。無水硫酸マグネシウム乾燥後、濃縮した後シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物Aを得た(82g)。
(化合物Bの合成)
下記スキーム2に従って、化合物Bを合成した。
化合物B−1の合成
ビス(4−ブロモフェニル)アミン(581.0mmol,190.0g)、4−プロピルフェニルボロン酸(1162mmol,190.6g)、テトラヒドロフラン(2905ml)、2M炭酸カリウム水溶液(1162ml)を加え撹拌させた。その後、酢酸パラジウム(34.9mmol,7.83g)、トリ(o−トリル)ホスフィン(52.3mmol,15.92g)を加えて不活性雰囲気下で5時間70℃で加熱撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、抽出した。無水硫酸マグネシウム乾燥後、シリカゲルパッドを用いて濾過を行い、メタノールで再結晶を2回行い化合物B−1を得た(200.3g)。
化合物B−2の合成
化合物B−1(246.6mmol,100g)、2−ブロモ−5−ヨードトルエン(258.9mmol,76.87g)、ナトリウムtert−ブトキシド(493.2mmol,47.4g)、1,4−ジオキサン(493ml)を入れ、撹拌して分散させ、そこにヨウ化銅(I)(7.4mmol,1.41g)、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン(37.0mmol,4.4ml)を加えて不活性雰囲気下で85℃で10時間加熱撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、セライトを用いて濾過した。濃縮したのち、シリカゲルクロマトグラフィーで精製したのち、アセトンから再結晶を行い化合物B−2を得た(99.2g)。
化合物Bの合成
化合物B−2(139.22mmol,80g)、ビスピナコレートジボロン(167.07mmol,42.426g)、酢酸カリウム(417.67mmol,40.991g)、1,4−ジオキサン(700ml)を加え撹拌させた。その後[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(27.84mmol,20.374g)を加え不活性雰囲気下で90℃で6時間撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、セライトを用いて濾過した。濃縮したのち、トルエンで希釈し活性炭80gを加え60℃で2時間加熱撹拌した。その後セライトを用いて濾過し溶媒を留去した後、トルエン/ヘキサンで再沈殿を行い化合物Bを得た(82g)。
(単量体1の合成)
下記スキーム3に従って、単量体1を合成した。
単量体1−1の合成
化合物A(193.03mmol,91.208g)、化合物B(193.03mmol,120g)、1,4−ジオキサン(386ml)を加え撹拌した。その後2M炭酸カリウム水溶液(241ml)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.65mmol,11.15g)を加え不活性雰囲気下で90℃で9時間撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、抽出した。無水硫酸マグネシウム乾燥後、濃縮した後シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し単量体1−1を得た(110g)。
単量体1−2の合成
単量体1−1(135.24mmol,120g)、メタノール(676ml)を加え撹拌した。その後不活性雰囲気下で塩化チオニル(148.76mmol,54.781g)を加え、65℃で8時間撹拌した。反応終了後室温まで冷却し、トルエンで希釈、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。トルエンで抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した後シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し単量体1−2を得た(100g)。
単量体1の合成
単量体1−2(118.31mmol, 100g)、4−ブロモ−4’−ヨードビフェニル(248.44mmol,89.19g)、ナトリウムtert−ブトキシド(473.22mmol,45.477g)、1,4−ジオキサン(591.5ml)を加え撹拌した。その後ヨウ化銅(I)(7.10mmol,1.352g)、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン(70.98mmol,8.533ml)を加え不活性雰囲気下で90℃で9時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、セライトを用いて濾過した。濃縮した後シリカゲルパッドを用いて濾過を行い、溶媒を留去した後トルエン/ヘキサンで再結晶を行い単量体1を得た(90g)。
[単量体2の合成]
下記スキーム4に従って、単量体2を合成した。
単量体1(7.65mmol,10.00g)、4−クロロフェニルボロン酸(16.06mmol,2.51g)、1,4−ジオキサン(15.3ml)を加え撹拌した。その後2M炭酸カリウム水溶液(9.6ml)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.38mmol,0.44g)を加え不活性雰囲気下で90℃で9時間撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、抽出した。無水硫酸マグネシウム乾燥後、濃縮した後シリカゲルクロマトグラフィーにより精製しトルエン/ヘキサンで再結晶を行い単量体2を得た(6g)。
[単量体3の合成]
下記スキーム5に従って、単量体3を合成した。
4,4’−ジブロモ−p−ターフェニル(12.88mmol,5.00g)、ビスピナコレートジボロン(30.92mmol,7.852g)、酢酸カリウム(51.53mmol,5.057g)、1,4−ジオキサン(65ml)を加え撹拌させた。その後[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(2.58mmol,2.36g)を加え不活性雰囲気下で90℃で6時間撹拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエンで希釈、セライトを用いて濾過した。濃縮したのち、トルエンで希釈し活性炭5gを加え60℃で2時間加熱撹拌した。その後セライトを用いて濾過し溶媒を留去した後、トルエン/エタノールで再沈殿を行い単量体3を得た(5.5g)。
[高分子化合物1の合成]
下記スキーム6に従って、高分子化合物1を合成した。
単量体1(1.84mmol,2.4g)、4,4’−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル(2.24mmol,0.9114g)、酢酸パラジウム(4.45mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(27.95mg)、トルエン(27.5ml)、及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(7.76g)を加え、8時間還流した。次に、4−ブロモビフェニル(23.3mg)、PdCl(PPh(13.4mg)、及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(7.76g)を加え、7時間加熱還流した。その後、水層を除き、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.4g)、及びイオン交換水(50ml)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水、3重量%酢酸水溶液、水で順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下して高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥することで、固体を得た。この固体をトルエンに溶解して、シリカゲル/アルミナを充填したカラムクロマトグラフィーに通し、溶媒を減圧留去した。得られた液体をメタノールに滴下し、析出した個体をろ別・乾燥して、高分子化合物1を得た(1.2g)。得られた高分子化合物1の重量平均分子量(Mw)は、15,000であった。なお、高分子化合物1は、上記Ar、ArおよびArがパラフェニレン基であり、mが4である高分子化合物である。
[高分子化合物2の合成]
下記スキーム7に従い、高分子化合物2を合成した。
単量体2(1.09mmol,1.50g)、単量体3(0.81mmol)、酢酸パラジウム(15mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(45mg)、トルエン(21.9ml)、エタノール(1.1ml)及び1M炭酸カリウム水溶液(3.3ml)を加え、8時間還流した。次に、4−ビフェニルボロン酸(23.3mg)、酢酸パラジウム(15mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(45mg)を加え7時間加熱還流した。その後、水層を除き、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.4g)、及びイオン交換水(50ml)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水、3重量%酢酸水溶液、水で順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下して高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥することで、固体を得た。この固体をトルエンに溶解して、シリカゲル/アルミナを充填したカラムクロマトグラフィーに通し、溶媒を減圧留去した。得られた液体をメタノールに滴下し、析出した個体をろ別・乾燥して、高分子化合物2を得た(0.6g)。得られた高分子化合物2の重量平均分子量(Mw)は、15,000であった。なお、高分子化合物2は、上記Ar、ArおよびArがパラフェニレン基であり、mが7である高分子化合物である。
[比較高分子化合物1の合成]
上記特許文献1の記載に従って、下記構造を有する比較高分子化合物1を合成した。
[比較高分子化合物2の合成]
上記特許文献2の記載に従って、比較高分子化合物2を合成した。比較高分子化合物2において、各モノマー由来の構成単位のモル比(CM11:CM8:CM9:CM10)は、50:40:5:5である。
[比較高分子化合物3および4の合成]
国際公開第2011/159872号の記載に従って、それぞれ下記構造を有する比較高分子化合物3(重量平均分子量400,000)および比較高分子化合物4(重量平均分子量20,000)を合成した。
<溶解性評価>
上記高分子化合物1〜2、比較高分子化合物1〜4について、アニソールに対する溶解性を評価した。具体的には、各高分子化合物を固形分濃度3質量%となるようアニソールに添加し、80℃で10分撹拌した。その後、溶解性を目視で確認し、下記基準に基づき判定した:
○:目視で残存物が見られない
×:目視で残存物が見られる。
<粘度測定>
各高分子化合物をフェニルシクロヘキサンに添加し、60℃で60分撹拌し、高分子化合物濃度が1質量%である正孔輸送層用インクを調製した。得られた各インクについて、オストワルド粘度計により、25℃での粘度(mPa・s)を測定した。5mPa・s以下であれば、高精細な有機EL素子を得るためのインクジェット印刷に適していると言える。
<積層性の評価>
下記の[残膜率評価]および[塗布積層された上層との界面混合性評価]によって積層性を評価した。
[残膜率評価]
米国特許出願公開第2016/0315259号明細書の段落[0434]の記載を参考に試験した。具体的には、溶解性評価に用いた方法と同じ方法で調製された正孔輸送層用インクを用いて、以下の工程を経て以下2種類の薄膜を作製した。
[薄膜1](下地薄膜の作製)
(A)成膜工程 石英基板上に約100nmの膜厚となるようにスピンコート法により成膜した。
(B)乾燥工程 10−1Pa以下の真空下において230℃で1時間加熱した。
(C)アニール工程 10−1Pa以下の真空下において室温(25℃)まで冷却した。
[薄膜2](上層塗布溶剤による下地薄膜の耐溶解性評価)
(D)(C)で得られた薄膜付き石英基板をスピンコート装置に設置し、薄膜上に上層の塗布工程に用いる溶剤(以下、上層溶剤)を滴下した。本実施例では例として、安息香酸メチルを200μL用いた。薄膜上に上層溶剤が乗った状態で10秒間待機し、その後にスピンを行った。
(E)上記(B)、(C)と同様の工程を行った。
上記で得られた[薄膜1]および[薄膜2]を用いてUV−Vis吸光度を測定し、以下の式によって残膜率を評価した。なお、有機層の吸光度は島津製作所製UV1800により測定し、スピンコート装置としてミカサ製MS−A100を使用した。また、この算出方法はランバートベールの法則(Beer-Lambert law)に基づいている。
(判定規準)
上記算出された残膜率について、下記基準に基づき判定した。下記判定規準において○以上であれば、残膜率による積層性は合格とした:
◎:残膜率が99%を超えて100%以下である
○:残膜率が98%を超えて99%以下である
△:残膜率が90%を超えて98%以下である
×:残膜率が90%以下である。
[塗布積層された上層との界面混合性評価]
国際公開第2015/089304号に記載のPLT(Photoluminescence Test)を参考に試験した。具体的には、石英基板上に、上記調製した各正孔輸送層用インクをスピンコート法で塗布し、10−1Pa以下の真空下において230℃にて1時間加熱、その後10−1Pa以下の真空下において室温まで冷却して、乾燥膜厚125nmの下層を形成した。当該下層上に、下記調製した発光層用インクをスピンコート法で塗布し、大気圧で120℃、15分間、ホットプレート上で加熱、その後10−1Pa以下の真空下において120℃、15分間、真空乾燥し、乾燥膜厚55nmの上層を形成した。このようにして、下層および上層が積層したサンプルを作製した。蛍光分光光度計(日立ハイテクサイエンス製F−7000)を用いて、当該サンプルの基板側から励起光を入射させるようにサンプル基板を装置内に設置し、励起波長365nmにおける蛍光スペクトルを取得した。また、リファレンスとして、石英基板上に(1)直接正孔輸送用インクのみ塗布したサンプル(乾燥膜厚125nm)、(2)発光層用インクのみ塗布したサンプル(乾燥膜厚55nm)、(3)正孔輸送用インクを塗布して下層(乾燥膜厚125nm)を形成した後、蒸着法にて発光層(膜厚55nm)を下層上に形成したサンプルを作製し、上記と同様にして、励起波長365nmにおける蛍光スペクトルを取得した。
界面混合性は以下の方法で評価した。蒸着法にて発光層を形成したサンプル(3)の発光層由来のピーク強度を基準とし、これに対して発光層由来のピーク強度が150%以下の場合は、「界面混合が少ない」と判断した。また、発光層由来のピークが150%を超える場合「界面混合が強く認められる」と判断した。
下記判定規準において○であれば、PL法による積層性は合格とした:
○:界面混合が少ない(150%以下)
×:界面混合が強く認められる(150%を超える)。
<有機EL素子の作製>
まず、第1電極(陽極)として、ストライプ(stripe)状の酸化インジウムスズ(ITO)が膜厚150nmにて成膜されたITO付きガラス基板を用意する。このガラス基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylene dioxythiophene)/poly(4−styrene sulfonate):PEDOT/PSS)(Sigma−Aldrich製)を、乾燥膜厚が15nmになるようにスピンコート法にて塗布し、正孔注入層を形成した。
次に、正孔注入層上に、上記調製した各正孔輸送層用インクを乾燥膜厚が125nmになるようにスピンコート法にて塗布し、10−1Pa以下の真空下において230℃にて1時間加熱、その後10−1Pa以下の真空下において室温まで冷却して、正孔輸送層を形成した。
次いで、正孔輸送層上に、発光層用インク(ホスト材料として、下記構造を有する化合物h−1および化合物h−2、ドーパント材料として、下記構造を有する化合物TEG(トリス(2−(3−p−キシイル)フェニル)ピリジンイリジウム)を含む安息香酸メチル溶液)をスピンコート法で塗布し、大気圧で120℃、15分間、ホットプレート上で加熱、その後10−1Pa以下の真空下において120℃、15分間、真空乾燥し、乾燥膜厚55nmの発光層を、正孔輸送層の上に形成した。
発光層用インクの組成は、溶剤の安息香酸メチルに対して、下記化合物h−1の固形分濃度を1.2質量%、下記化合物h−2の固形分濃度を2.8質量%、下記化合物TEGの固形分濃度を0.4質量%となるように調製した。
次に、発光層上に、(8−キノリノラト)リチウム(Liq)およびKLET−03(ケミプロ化成株式会社製)を真空蒸着装置にて2:8の質量比となるように共蒸着し、膜厚20nmの電子輸送層を形成した。
また、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着装置にて蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
さらに、電子注入層上に、アルミニウム(Al)を真空蒸着装置にて蒸着し、膜厚100nmの第2電極(陰極)を形成した。
その後、水分濃度1ppm以下、酸素濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス中で、乾燥剤付きのガラス製の封止管と紫外線硬化型樹脂を用いて封止し、有機EL素子を作製した。
<有機EL素子の評価>
上記作製された各有機EL素子について、下記方法に従って、駆動電圧、電流効率および耐久性(発光寿命)を以下の方法にて評価した。
まず、直流定電圧電源(株式会社キーエンス製、ソースメータ(source meter))を用いて、各有機EL素子に対して電圧を加え、有機EL素子を発光させた。有機EL素子が発光した際の電圧を駆動電圧(単位:V)とした。有機EL素子の発光を輝度測定装置(Topcom製、SR−3)にて測定しつつ、徐々に電流を増加させ、輝度が1000cd/mになったところで電流を一定にし、放置した。
ここで、有機EL素子の面積から単位面積あたりの電流値(電流密度)を計算し、輝度(cd/m)を電流密度(A/m)にて除算することで、電流効率(cd/A)を算出した。また、輝度測定装置で測定した輝度の値が徐々に変動(低下)し、初期輝度の80%になるまでの時間(時間)を「発光寿命(時間)」とした。なお、駆動電圧は5V未満であることが好ましい。また、電流効率は、電流を発光エネルギーへ変換する効率(変換効率)を示し、電流効率が高いほど有機EL素子の性能が高いことを示す。
結果を下記表1に示す。なお、表1中、高分子化合物1、2を「高分子1、2」、比較高分子化合物1〜4を「比較高分子1〜4」と表記する。また、比較例の電流効率は、実施例1の有機EL素子の電流効率を100とした場合の相対値として表す。また、比較例の発光寿命(耐久性)は、実施例1の有機EL素子の素子寿命を100とした場合の相対値として表す。また、「*」は、EL素子を作製できなかったため、測定不可であったことを表す。
表1に示されるように、本発明の高分子化合物(高分子化合物1、2)は、積層性に優れていた。また、本発明の高分子化合物は、湿式法に使用される溶媒に対して良好に溶解した。また、本発明の高分子化合物から調製されたインクは、低粘度であった。さらに、本発明の高分子化合物を正孔輸送材料として用いて作製された有機EL素子は、従来の有機EL素子に比べて、低駆動電圧かつ長発光寿命であった。さらに、電流効率においても従来のEL素子と比べて同等以上であった。中でも、高分子化合物2は、高分子化合物1に比べて優れた積層性を示した。構成単位(2)のmが増えたことで、主鎖の剛直性がさらに増し、本高分子化合物層上に形成される有機層の溶媒への耐久性がさらに向上したと考えられる。
一方、比較例1では、上層塗布溶媒に対する耐久性に乏しく、塗布法による素子作製が不可能であった。比較高分子化合物1が主鎖に長鎖アルキルを含むことが理由であると考えられる。
比較例2では、積層性が良好であり、塗布法による有機EL素子の作製が可能であった。比較高分子化合物2は、本発明の構成単位(2)を有さないものの、側鎖に架橋基を有する。このため、加熱処理により架橋反応が進行し、溶媒への耐久性を有する有機層が形成されたためと考えられる。しかし、得られた有機EL素子は、本発明の有機EL素子に比べて、駆動電圧が高く、電流効率および発光寿命においても劣っていた。比較高分子化合物2が架橋性ユニットを含んでいるために、残存架橋基や架橋反応によってキャリアトラップや励起子失活サイトとなる構造欠陥等が副生されたためと考えられる。
比較例3では、粘度が高く、高精細インクジェットの適性がなかった。比較高分子化合物3は、嵩高い側鎖分岐構造を有さないために主鎖間の絡み合い効果が強く表れたためと考えられる。また、比較例3は、実施例に比べて積層性に劣っていた。比較高分子化合物3は高分子化合物中に剛直性を向上させる構造を含まないために、形成される有機層の溶媒への耐久性に乏しいためと考えられる。加えて、比較例3では、本発明の有機EL素子に比べて、駆動電圧が高かった。比較高分子3は本発明の高分子化合物に比べ積層性が劣っているため、上層の化合物が浸透し効率的な正孔輸送パスを阻害したためであると考えられる。
比較例4では、粘度は低く、高精細インクジェットの適性があったものの、積層性が乏しく、塗布法による素子作製が不可能であった。これは比較例3と同様の理由によると考えられる。すなわち、比較例3および4では、分子量調整によっても粘度低下と積層性の両立ができなかった。
上記実施例から、本発明高分子が溶解性、低粘度化、積層性、低電圧化、高効率化および長寿命化を満足するために極めて有効であることが分かる。
100 有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、
110 基板、
120 第1電極、
130 正孔注入層、
140 正孔輸送層、
150 発光層、
160 電子輸送層、
170 電子注入層、
180 第2電極。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、を含み、下記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数が5以下である、高分子化合物:

    上記式(1)中、
    ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)であり、
    Lは、下記式(1a)で表される基であり、この際、Lに含まれるアルキル基の合計炭素数は6以上40以下である;

    上記式(1a)中、
    Arは、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基(但し、チエニレン基を除く)であり、複数のArは同一であっても異なっていてもよく、複数のArは互いに結合して環を形成してもよく、
    nは、3以上8以下の整数であり、
    ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)であり、
    *は、上記式(1)のN原子との結合部位を表す;

    上記式(2)中、
    Arは、下記式(2a)から(2e)よりなる群より選択される基であり、複数のArは同一であっても異なっていてもよく、
    mは、上記式(2)が下記式(2a)および(2b)からなる群より選択される基のみで構成される場合は、4以上20以下の整数であり、それ以外の場合は、3以上20以下の整数である;

    上記式(2a)から(2e)中、
    Zは、それぞれ独立して、=C(R)−または=N−であり、
    Xは、−C(=O)−、−C(R)(R)−、−N(R)−、−O−、−S−および−Se−からなる群より選択される基であり、
    この際、RからRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シアノ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基(但し、チエニル基を除く)、アルキルシリル基、アルコキシ基およびハロゲン基からなる群より選択される基であり、複数のRは互いに結合して環を形成してもよく、
    *は、隣接する原子との結合部位を表す。
  2. 前記mが4以上の整数である、請求項1に記載の高分子化合物。
  3. 前記mが6以上の整数である、請求項1または2に記載の高分子化合物。
  4. 上記式(2)で表される構成単位に含まれるアルキル基の合計炭素数が3以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  5. 上記式(2)で表される構成単位はアルキル基を含まない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  6. 重量平均分子量が1,000以上200,000以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子化合物と、分子量3,000以下の低分子化合物と、を含む電荷輸送材料。
  8. 前記低分子化合物は、下記式(J1)から(J3)で表される化合物のうち少なくとも1種である、請求項7に記載の電荷輸送材料:

    上記式(J1)中、
    ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基であり、隣接する芳香環と結合して環を形成してもよく、
    Jは、=C(R)−または=N−であり、この際、Rは、水素原子、アルキル基、シアノ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基、アルキルシリル基、アルコキシ基またはハロゲン基であり、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい;

    上記式(J2)中、
    ArからArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基であり、ArからArは同一であっても異なっていてもよい;

    上記式(J3)中、
    Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基であり、Ar、Ar、ArおよびArは、互いに結合して環を形成してもよく、
    Arは、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基であり、Ar、Ar、ArおよびArと結合して環を形成してもよく、
    qは、1以上10以下の整数である。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子化合物または請求項7もしくは8に記載の電荷輸送材料と、常圧での沸点が100℃以上350℃以下である溶剤と、を含む組成物。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子化合物、請求項7もしくは8に記載の電荷輸送材料、または請求項9に記載の組成物から形成される有機層。
  11. 請求項10に記載の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023113475A1 (ko) * 2021-12-16 2023-06-22 주식회사 엘지화학 중합체 및 이를 이용한 유기 발광 소자

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