JP2018104459A - 血友病の治療に適する化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】血友病の治療及び/又は予防を提供する。
【解決手段】本発明は、VWF化合物並びに血液凝固疾患の治療に適する組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、血友病の治療及び/又は予防に関する。
凝固因子の静脈内投与によるタンパク質補充療法は、血友病に罹患している患者の治療に現在用いられている。患者の便宜及び順守のために、血管外(例えば、皮下(s.c.)又は皮内)投与が既存の静脈内(i.v.)注射より好ましいと思われる。多くの患者が静脈内ポート手術並びにそのようなカテーテルの挿入に伴う感染及び凝血のリスクを避ける可能性があるので、血管外投与に関連するさらなる潜在的な安全上の利点がある。
FVIII欠乏マウスにおけるFVIIIのs.c.投与は、Shiら、Haemophilia、2012、DOI: 10.1111/j.1365-2516.2011.02735.xに開示されている。FVIIIの生物学的利用率は、低い(約1%)とここに報告されている。
FVIII及びVWFのs.c.投与は、国際公開第08151817号にさらに開示されているが、FVIIIの用量と達成される循環FVIII濃度との間の用量反応関係は、開示されていない。国際公開第08151817号において、FVIIIに対するVWFの(単位)比は、5:1より大きく、これは、FVIIIと比較したVWFタンパク質の濃度の150〜250モル過剰倍率に対応する。しかし、実際的及び経済的観点からは、この種の比は、望ましくない。国際公開第08151817号において、s.c.投与したFVIIIのマウスにおける免疫原性が、FVIIIをVWFと共製剤化した場合に有意に低減することがさらに示されている。
国際公開第10062768号において、FVIIIのPEG化は、マウスへの皮下注射と関連してFVIIIの生物学的利用率を改善しうるが、VWFとの共製剤化は、FVIIIの生物学的利用率を改善しないことが開示されている。
国際公開第08151817号 国際公開第10062768号 国際公開第2009108806号 国際公開第03031464号 国際公開第2011101284号 国際公開第2012035050号
Shiら、Haemophilia、2012、DOI: 10.1111/j. 1365-2516.2011.02735.x Zhouら、Blood、2012、120(2):449〜458頁 Remington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、1995年 Ovlisen Kら、J. Thromb. Haemost、2008、6巻、969〜975頁 Nielsen M、Lundegaard C、Justesen S、Lund O及びBuus S.、Immunome Res.、2010年11月13日、6(1)、9頁 Nielsen M及びLund O、BMC Bioinformatics、2009年9月18日、10、196頁 Knudsenら、2011、Haemophilia、17、962〜970頁 Scolaら、2011、Ultrasound in Med. & Biol.、37(12)、2126〜2132頁 Wales及びEngen、Mass Spectrom. Rev.、25、158頁(2006) Andersen及びFaber、Int. J. Mass Spec.、302、139〜148頁(2011)
インヒビターを有する若しくは有さない血友病A及び/又はフォン-ウィルブランド病などの血液凝固疾患に罹患している患者の治療及び/又は予防における血管外投与に適する化合物及び/又は医薬組成物の必要が当技術分野に存在する。その理由は、そのような投与形態は、注入自体、また埋め込み型のポータブルカテーテルに起因する感染のリスクの両方に関連するi.v.投与の負担を軽減しうるからである。そのような化合物及び組成物は、好ましくは安全であり(すなわち、免疫原性の低いリスクを有し)、及び/又は高い生物学的利用率を有し、及び/又は製造及び製剤化プロセスに関連して好ましくは取り扱いが容易である。
概要
本発明は、例えば、TIL'ドメイン又はTIL'/E'ドメイン(Zhouら、Blood、2012、120(2):449〜458頁)などの1200アミノ酸又はそれ以下を含む組換えVWF断片に関する。本発明はさらに、(i)本発明によるVWF断片及び(ii)FVIII分子(全長/切断型Bドメイン/コンジュゲート型)を含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、例えば、血管外投与による血友病の治療のためのその使用に関する。そのような化合物及び組成物は、好ましくは、FVIIIの血管外併用投与に関連する比較的に高いFVIIIの生物学的利用率及び/又はFVIII免疫原性の比較的に低いリスクをもたらす。
説明
本発明の1つの態様において、長いin vivo循環半減期を有するFVIII分子と併用投与した本発明によるVWF断片は、その血管外(例えば、s.c.)投与に関連する驚くほどに高い生物学的利用率を有する。
本発明の発明者はさらに、同様なモル量の本発明によるVWF断片との血管外併用投与によってFVIII分子の生物学的利用率が有意に改善されうるという驚くべき観察を行った。或いは、高い生物学的利用率は、FVIII分子の大部分が本発明によるVWF断片に結合している、FVIII分子のプールの血管外併用投与によって達成することができる。興味深いことに、全長VWFは、FVIIIの生物学的利用率に対して正の影響を及ぼさない。好ましくは、VWFは、TIL'又はTIL'/E'ドメインを含むVWF断片の形態であるべきである。したがって、本発明による化合物及び組成物は、インヒビター有する及び有さない血友病患者(特に血友病A患者)の治療及び予防、並びにインヒビター有する血友病患者の免疫寛容導入(ITI)に有用である。
N8-GPと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わない10000U/kg「N8-GP」の皮下投与後の血漿中FVIII活性を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。「N8-GP」は、国際公開第2009108806号における実施例1+2に記載されているように製造したグリコPEG化FVIII分子である。 N8-GPと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わない10000U/kg N8-GPの皮下投与後の血漿中FVIII抗原を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。 N8-GPと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わない2500U/kg N8-GPの皮下投与後の血漿中FVIII活性を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。 N8-GPと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わない2500U/kg N8-GPの皮下投与後の血漿中FVIII抗原を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。 FVIIIと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わないそれぞれ5000又は20000IU/kg wt FVIII(N8、ツロクトコグアルファ)の皮下投与後の血漿中FVIII活性を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。「N8」/「ツロクトコグアルファ」は、国際公開第2009108806号における実施例1に記載されているように製造したBドメイン切断型FVIII分子である。 FVIIIと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わない5000又は20000IU/kg wt FVIII(N8、ツロクトコグアルファ)の皮下投与後の血漿中FVIII抗原を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。 FVIIIと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わない5000 IU/kg FVIII(N8、ツロクトコグアルファ)の皮下投与後の血漿中FVIII抗原を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。 FVIIIと比較したVWF TIL'/E'/D3/A1のモル用量の7.7倍の併用投与を伴う又は伴わない5000 IU/kg FVIII(N8、ツロクトコグアルファ)の皮下投与後の血漿中FVIII活性を示す図である。データは、各時点ごとのn=2 FVIII KOマウスについての測定の平均値及び標準偏差である。 20℃におけるFVIII(N8、ツロクトコグアルファ)へのVWF変異体(764-865配列番号5)の結合を示す図である。上のパネルに、各滴定で放出された熱の生データを示す。下のパネルに、生データを積分することにより得られた結合等温線を示す。データ解析により、VWF変異体(配列番号5)は、1.14の化学量論、-5.82kcal/molのΔH、9.8cal/mol/度のΔS及び0.33μMのKdでの発熱反応でFVIII結合することが示されている。「F8/N8/ツロクトコグアルファ」は、国際公開第2009108806号における実施例1に記載されているように製造したBドメイン切断型FVIII分子である。 s.c.投与したN8-GPがin vivoで止血に有効であることを示す図である。左パネルに尾切断の24時間前にN8-GP若しくは媒体をs.c.投与又は尾切断の5分前にi.v.投与したFVIII KOマウスにおける失血を示す。「N8-GP」は、国際公開第2009108806号における実施例1+2に記載されているように製造したグリコPEG化FVIII分子である。右パネルにROTEMを用いたex vivoでのマウスの全血の凝固時間を示す。 25℃の155mM NaCl、10mM酢酸カルシウム(Calciumacetat)、10%イソプロパノール中FVIII、TIL'/E'/D3/A1 III並びにFVIII及びTIL'/E'/D3/A1 IIIの混合物のSEC-UV(280nm)クロマトグラムを示す図である。 25℃の155mM NaCl、10mM酢酸カルシウム、10%イソプロパノール中FVIII、TIL'/E'/D3 II並びにFVIII及びTIL'/E'/D3 IIの混合物のSEC-UV(280nm)クロマトグラムを示す図である。
定義
「治療」という用語は、本明細書で用いているように、それを必要とするヒト又は他の脊椎動物対象の医学療法を意味する。前記対象は、前記特定の治療が前記ヒト又は他の脊椎動物における疾患の治療に有益であることを示しうる暫定又は確定診断を下した医師又は獣医師による身体的検査を受けたと予想される。前記治療の時期及び目的は、対象の健康状態によって、個々の個体で異なりうる。したがって、前記治療は、予防的、待機的、対症及び/又は根治的でありうる。
投与方法:本発明による化合物及び医薬組成物は、例えば、静脈内又は血管外(例えば、皮内、筋肉内、皮下など)のような、非経口的に投与することができる。本発明による化合物及び医薬組成物は、予防的に及び/又は治療的に及び/又は要求に応じて投与することができる。本発明によれば、いくつかの利点が本発明による化合物/医薬組成物の血管外投与に関連する。血管外投与は、より容易であり、より簡単であり、より少ない痛み、不便さ及び合併症を伴う(及びそれにより、より良好な順守をもたらす可能性がある)。これは、すべての患者に潜在的に有益であるが、小児及び幼児に特に有益である。
複合治療/併用投与:2つ以上の活性化合物(例えば、FVIII及びFVIIIに結合する能力を有する本発明によるVWF/VWF断片)の併用投与は、多くの異なる方法で達成することができる。1つの実施形態において、2つの活性化合物は、単一組成物で一緒に投与することができる。別の実施形態において、2つの活性化合物は、併用療法の一部として別個の組成物で投与することができる。例えば、第1の化合物は、第2の化合物の前、後又は同時に投与することができる。FVIII及びVWF断片を2つの別個の医薬組成物として血管外(例えば、皮下)投与する場合、これらの2種類の化合物を一緒に投与する場合に得ることができる改善された生物学的利用率による恩恵を受けるために、それらを好ましくは近接して投与する(すなわち、注射部位を5cm以下、好ましくは4cm以下、好ましくは3cm、好ましくは2cm、最も好ましくは1cm以下分離すべきである)。2つの化合物はまた、好ましくは約1時間以内、好ましくは約30分以内、好ましくは約15分以内、最も好ましくは約5分以内に注射すべきである。
第VIII因子:第VIII因子(FVIII)は、主として肝細胞により産生される大きく、複雑な糖タンパク質である。ヒトFVIIIは、シグナルペプチドを含む、2351個のアミノ酸を含み、相同により定義されるいくつかの異なるドメインを含む。3つのAドメイン、唯一のBドメイン及び2つのCドメインが存在する。ドメインの順序は、NH2-A1-A2-B-A3-C1-C2-COOHと示すことができる。鎖は、2価金属イオン結合により接続されている。A1-A2-B鎖は、重鎖(HC)と呼ばれており、一方、A3-C1-C2鎖は、軽鎖(LC)と呼ばれている。A1(a1領域)及びA2(a2領域)の小酸性領域C末端並びにA3ドメインのN末端(a3領域)は、トロンビン及びFVIIIの担体タンパク質であるフォン-ウィルブランド因子(VWF)を含む他の凝固タンパク質とのその相互作用において重要な役割を果たす。
内因性FVIII分子は、in vivoで様々なサイズのBドメインを有する分子のプールとして循環し、最も短いものは、720位、すなわち、A2- a2のC末端におけるC末端を有し、したがって、Bドメインを有さない。異なる長さのBドメインを有するこれらのFVIII分子は、すべて完全な凝固促進活性を有する。トロンビンによる活性化により、FVIIIは、372位におけるA1-a1のC末端、740位におけるA2-a2のC末端で、及び1689位におけるa3とA3との間で開裂し、後者の開裂がa3領域を放出させ、VWFに対する親和性の喪失が付随する。活性化FVIIIは、FVIIIaと呼ばれる。活性化は、活性化血小板及び活性化第IX因子(FIXa)のようにFVIIIaとリン脂質表面との相互作用を可能にする。すなわち、テナーゼ複合体が形成され、第X因子(FX)の効率的な活性化が可能になる。
「第VIII(a)因子」及び「FVIII(a)」という用語は、FVIII及びFVIIIaの両方を含む。同様に、「第VIII因子」及び「FVIII」という用語は、FVIII及びFVIIIaの両方を含む。「第VIII因子」又は「FVIII」は、本明細書で用いているように、内因系凝固経路のメンバーであり、血液凝固に必須であるヒト血漿糖タンパク質を意味する。「野生型(wt)/天然FVIII」は、配列番号1(アミノ酸1〜2332)に示されている全長配列に由来するヒトFVIII分子である。「FVIII(a)」は、個々の個体に存在し、発生しうるFVIII(a)の天然対立遺伝子変異体を含む。FVIII(a)は、血漿由来であってもよく又は周知の製造及び精製の方法を用いて組換えにより製造することもできる。グリコシル化、チロシン硫酸化及び他の翻訳後修飾の程度及び位置は、選択される宿主細胞及びその増殖条件によって変化しうる。
本発明による医薬組成物は、天然又はBドメイン切断型FVIII分子を含み、残りのドメインは、配列番号3のアミノ酸番号1〜740及び1649〜2332に示されている配列に厳密に対応しうる。そのような分子並びに全長Bドメインアミノ酸配列を含むFVIIIにおいて、突然変異を導入することができる。低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)及び関連受容体、様々な他の受容体、他の凝固因子、細胞表面、グリコシル化部位の導入及び/又は破壊(abolishment)などの様々な他の構成要素を有するFVIIIの結合能力を修飾するために、置換、挿入及び欠失などのアミノ酸修飾を分子に導入することができる。FVIII活性を破壊しない他の突然変異もここでのFVIII分子に収容させることができる。
ここでのFVIII分子(分子/変異体/誘導体/類似体/コンジュゲート)は、wt/内因性FVIIIと機能的に同様又は同等に凝固カスケードにおいて機能し、活性化血小板上のFIXaとの相互作用を介してFXaの形成を誘導し、凝血塊の形成を支持することができる。FVIII活性は、当技術分野で周知の技術を用いてin vitroで評価することができる。凝血塊分析、FX活性化アッセイ(しばしばクロモジェニックアッセイと呼ばれる)、トロンビン発生アッセイ及び全血トロンボエラストグラフィーは、そのようなin vitro技術の例である。本発明によるFVIII分子は、天然ヒトFVIIIの少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、100%又は100%を超えるFVIII活性を有する。
内因性全長FVIIIは、単鎖前駆体分子として合成される。分泌の前に、前駆体は、重鎖及び軽鎖に開裂する。組換えBドメイン欠失又は切断型FVIIIは、2種の戦略により製造することができる。Bドメインを含まない重鎖及び軽鎖を2種のポリペプチド鎖として個別に合成する(2鎖戦略)か、或いはBドメイン欠失又は切断型FVIIIを、全長FVIII前駆体と同じ方法で重及び軽鎖に開裂する単一前駆体ポリペプチド鎖として合成する(単鎖戦略)。
単鎖戦略により製造されるBドメイン欠失又は切断型FVIII前駆体ポリペプチドにおいて、重及び軽鎖部分は、しばしばリンカーにより分離されている。Bドメイン欠失FVIIIに免疫原性エピトープを導入するリスクを最小限にするために、リンカーの配列は、好ましくはFVIIIのBドメイン由来である。全長FVIIIのBドメインにおいて、アミノ酸1644〜1648は、この認識部位を構成する。Bドメイン欠失FVIIIの活性化時にリンカーの除去をもたらすトロンビン開裂部位は、重鎖に位置する。したがって、リンカーのサイズ及びアミノ酸配列は、トロンビン活性化による残存FVIII分子からのその除去に影響を及ぼすことはありそうもない。Bドメインの欠失/切断は、FVIIIの製造のために好都合である。それにもかかわらず、Bドメインの一部は、生産性を低下させることなくリンカーに含めることができる。生産性に対するBドメインの負の影響は、Bドメインの特定のサイズ又は配列に帰せられなかった。
配列番号1:wtヒトFVIII(Ser750残基は肉太及び下線で示す)
Figure 2018104459
Figure 2018104459
FVIIIにおけるBドメインは、配列番号1のアミノ酸741〜1648に及ぶ。Bドメインは、いくつかの異なる部位において開裂し、循環血漿FVIII分子の大きな不均一性を生じさせる。高度グリコシル化Bドメインの正確な機能は不明である。公知であることは、Bドメインが凝固カスケードにおけるFVIII活性に非必須であることである。したがって、組換えFVIIIは、Bドメイン欠失/切断型変異体の形態でしばしば製造される。好ましい実施形態において、FVIII分子は、次の配列:配列番号2:SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQR(O-グリカンが下線を引いたSに結合している)を有する21アミノ酸残基L(リンカー)配列を含むFVIII分子をコードする発現ベクターにより産生される。代替の好ましいBドメインリンカー配列は、配列番号2に示されている1つ又は複数のアミノ酸残基、例えば、配列番号2におけるC末端Rが欠如しうる。好ましいFVIII分子は、配列番号1に示されているSer750残基に結合したO-グリカンを含むBドメイン欠失/切断型変異体(このO-グリカンを介してポリマー(半減期延長)部分に場合によってコンジュゲートされている)である。
本発明の発明者らは、約100〜約400個のアミノ酸(好ましくは150〜650個、より好ましくは150〜600個、より好ましくは150〜550個、より好ましくは150〜500個、より好ましくは150〜450個、より好ましくは150〜400個、より好ましくは150〜350個、より好ましくは200〜700個、より好ましくは200〜600個、より好ましくは200〜500個、より好ましくは200〜400個、より好ましくは200〜300個、最も好ましくは200〜250個)サイズのBドメインを有する本発明によるBドメイン欠失FVIII分子が、例えば、完全なアミノ酸(例えば、15〜30個のアミノ酸)を全く有さない又は少数の完全なアミノ酸(例えば、15〜30個のアミノ酸)を有するFVIII分子と同様に完全な全Bドメインを有するFVIII分子と比較して血管外(例えば、s.c.)投与に関連した驚くほどに高い生物学的利用率を有するという驚くべき観察をした。そのような分子は、配列番号1によるSer750残基を含んでいても含まなくてもよい。したがって、皮下/皮内投与で改善された生物学的利用率を有するFVIIIを製造する簡単で安全な方法を提供する。100〜約400個のアミノ酸のBドメインを有するFVIIIのin vivoでの循環半減期を、半減期延長部分を有するそのような変異体をコンジュゲート/融合することによって延長させることができるということはもっともらしい。226アミノ酸Bドメインを含むFVIII分子の例は、以下の配列番号3に示されている。
配列番号3:(226アミノ酸Bドメイン変異体):
Figure 2018104459
フォン-ウィルブランド因子(VWF)は、止血に関与する血液糖タンパク質である。それは、最も一般的な遺伝性出血障害であるフォン-ウィルブランド病において欠乏又は欠損している。VWFは、血漿中に存在する大きな多量体糖タンパク質であり、内皮、巨核球及び内皮下結合組織において構成的に産生される。基本的VWF単量体は、2050アミノ酸タンパク質である。各単量体は、FVIIIに結合するTIL'又はTIL'/Eドメイン(Zhouら、Blood、2012、120(2):449〜458頁)を含む、特異的機能を有する多くの特異的ドメインを含む。FVIIIは、VWFに結合するが、循環中で不活性であり、トロンビンの作用によってVWFから放出される。VWFに結合していないFVIII(a)は、速やかに除去され、及び/又は分解される。全長VWFは、その固有のFVIII保護作用にもかかわらず、血管外併用投与したFVIIIの生物学的利用率を有意に増加させる能力を有さないことがここに示されている。
全長VWF分子は、非常に複雑なタンパク質である。プレプロVWFは、2813アミノ酸残基(配列番号22)からなる。分泌時に、アミノ酸残基1〜22からのシグナルペプチド及びアミノ酸残基23〜763からのプロペプチドが開裂され、2050アミノ酸残基の成熟VWFが残る。アミノ酸の番号付けは、プレプロVWFにしばしば基づいており、したがって、アミノ酸S764が成熟分子における最初のアミノ酸である。成熟分子は、12Asn結合及び10Thr/Ser結合オリゴ糖側鎖を含むと考えられている。さらに、この分子は、最大数百万ダルトンの多量体分子量を有する、二量体、三量体などを形成しうる。異なる対立遺伝子VWF変異体がヒトに見いだされ、したがって、本発明によるVWF断片は、これらの天然に存在する変異体のいずれか1つに由来しうることが理解される。
全長分子の多量体形成特性と相まって、そのグリコシル化の不均一性のため、VWFの発現システム及び医薬組成物の下流精製手順を構築することがかなりの努力を必要とするものとなっている。
VWFにおけるドメインの構成及び境界の理解は、まだ完全ではない。いわゆるAドメインのみが十分に特徴付けられ、それらの結晶構造が確定されている。VWF内のジスルフィドの化学的割り当ては、限られている。しかし、他のタンパク質内のドメイン及び他のタンパク質とVWFにおけるドメインとの相同性に関する最近の研究で、いくつかのジスルフィド結合が形成されうることが示唆されている。Zhouら、Blood、2012、120:449〜458頁に記載されているVWFのドメインの定義がここで用いられている。
本発明は、好ましくは全長分子より製造するのが容易であるVWF断片に関する。本発明によるVWF断片は、さらに好ましくはs.c.併用投与FVIIIの生物学的利用率を増加させる能力を有する。本発明によるVWF断片は、TIL'ドメイン/サブドメイン(配列番号22のアミノ酸764〜778に及ぶ)又はTIL'ドメイン/サブドメイン(配列番号22のアミノ酸764〜828若しくは配列番号22のアミノ酸764〜829に及ぶ)又はTIL'/E'ドメイン/サブドメイン(配列番号22のアミノ酸764〜865に及ぶ)の少なくとも15個のN末端アミノ酸を含み、1500個未満のアミノ酸、好ましくは1400個未満のアミノ酸、好ましくは1300個未満のアミノ酸、好ましくは1200個未満のアミノ酸、好ましくは1100個未満のアミノ酸、好ましくは1000個未満のアミノ酸、好ましくは900個未満のアミノ酸、好ましくは800個未満のアミノ酸、好ましくは700個未満のアミノ酸、好ましくは600個未満のアミノ酸、好ましくは500個未満のアミノ酸、好ましくは400個未満のアミノ酸、好ましくは300個未満のアミノ酸、好ましくは275個未満のアミノ酸、好ましくは250個未満のアミノ酸、好ましくは225個未満のアミノ酸、好ましくは200個未満のアミノ酸、好ましくは175個未満のアミノ酸、好ましくは150個未満のアミノ酸、好ましくは125個未満のアミノ酸、好ましくは100個未満のアミノ酸、好ましくは95個未満のアミノ酸、好ましくは90個未満のアミノ酸、好ましくは85個未満のアミノ酸、又は好ましくは80個未満のアミノ酸、又は好ましくは75個未満のアミノ酸、又は好ましくは70個未満のアミノ酸、又は好ましくは65個未満のアミノ酸、又は好ましくは60個未満のアミノ酸、又は好ましくは55個未満のアミノ酸、又は好ましくは50個未満のアミノ酸、又は好ましくは45個未満のアミノ酸、又は好ましくは40個未満のアミノ酸、又は好ましくは35個未満のアミノ酸、又は好ましくは30個未満のアミノ酸、又は好ましくは25個未満のアミノ酸、又は好ましくは20個未満のアミノ酸、又は好ましくは15個未満のアミノ酸サイズを有する。本発明によるVWF断片は、好ましくは配列番号22のアミノ酸764〜1250又はアミノ酸764〜1261又はアミノ酸764〜1268に及ぶTIL'/E'/D3ドメイン(D3はサブドメインVWD3-C8-3-TIL-3-E3に分割される)を含む。本発明によるVWF断片は、好ましくはTIL'、TIL'又はTIL'/E'ドメイン(配列番号22のアミノ酸764〜778、764〜828又はアミノ酸764〜865)の少なくとも15個のN末端アミノ酸を含む。本発明によるVWF断片は、さらにより少ない潜在的抗原性領域を含みうる。本発明によるVWF断片二量体の分子量は、天然では、単量体断片の約2倍でありうる(本発明による二量体は、単量体のサイズが1200個のアミノ酸である場合には最大約2400個のアミノ酸を含みうる)。
好ましくは、本発明によるVWF断片は、少なくともアミノ酸764〜828(配列番号4)、又は少なくともアミノ酸764〜865(配列番号5)、又は少なくともアミノ酸764〜1035(配列番号6)、又は少なくともアミノ酸764〜1041(配列番号7)、又は少なくともアミノ酸764〜1045(配列番号8)、又は少なくともアミノ酸764〜1128(配列番号9)、又は少なくともアミノ酸764〜1198(配列番号10)、又は少なくともアミノ酸764〜1250(配列番号11)、又は少なくともアミノ酸764〜1261(配列番号14)、又は少なくともアミノ酸764〜1268(配列番号22)を含む。
一実施形態において、C1099及び/又はC1142システインは、本発明によるVWF断片において突然変異させることができる。これらのシステイン残基は、VWFタンパク質のオリゴマー化/二量化に関与すると考えられる。完全な両システインを有するVWF断片は、二量体及びホモオリゴマーを形成しうる。これらのシステインの両方を修飾することによって単量体VWF断片からなる生成物がもたらされるが、1つ又は他のシステインの欠失によって二量体VWF断片又は場合によってはオリゴマーVWF断片がもたらされうる。上述のシナリオの両方は、全長タンパク質と比較して、より簡単な生成物の精製をもたらしうる。
別の実施形態において、優先的に二量体VWF断片をもたらしうるC1099及びC1142システインの両方が完全な状態に維持される。C1099及びC1142システインを含む天然配列に関連する安全上の利点が存在しうる。
驚くべきことに、本発明によるFVIII及びVWF断片の共製剤化により、FVIIと全長VWF分子との共製剤化と比較して生物学的利用率の改善が示される。本発明による共製剤化は、皮下注射する場合、第VIII因子の生物学的利用率の改善を示す。本発明によるVWF断片は、主要なFVIII結合部位であると考えられるD'ドメイン(配列番号22のアミノ酸764〜865/866に及ぶ)を含み、FVIIIが静電的双極子-双極子様相互作用によりD'上にドッキングしうる。本発明によるVWF断片は、好ましくはD'ドメイン及び/又はD3ドメイン(D3ドメインは、配列番号15のアミノ酸865/866〜1250/1261/1268)を含む。ここでの所見に基づいて、D'及びD'D3ドメインの両方がFVIIIに結合する能力を有する可能性がある。本発明によるVWF断片は、有意な程度に多量体(すなわち、例えば、オリゴマーなどの2単位以上を有する)を形成しない(すなわち、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満)。その理由は、多量体アセンブリに必須なシステイン(C1099及びC1142)が存在しない又は突然変異/置換されたためである。本発明による一部のVWF断片は、特にC1099及び/又はC1142システインが存在しない場合、さらに有意な程度に二量体を形成しない。
しかし、場合によっては、二量体を形成するVWF断片も本発明に関連して有用であり、TIL'/E'/D3/A1二量体は、例えば、単量体より高いFVIII親和性を有することが示された。VWF断片二量体はさらに、比較的に容易に製造することができる比較的に均一な生成物でありうる。
本発明によるVWF断片の1つの利点は、多量体化の程度が低いため、及び化合物が全長VWFと比較して少ない翻訳後修飾を有する小さい化合物であるため、比較的均一な生成物として工業規模でそのような化合物を製造することがより容易であることである。これは、高い発現レベルを得るのがより容易であり、及び/又はさほど複雑な分子でないため精製がさほど複雑でないことを意味する。また、例えば、酵母などの単純生物における組換えペプチド及びタンパク質の産生は、哺乳類細胞系における産生と比較して迅速であり、費用がかからない産生方法であり、本発明によるいくつかのVWF断片を酵母において産生させることができる。
本発明によるVWF断片は、1つの単一VWF断片(例えば、配列番号22におけるアミノ酸764〜1459に及ぶ全TIL'/E'/D3/A1領域など)の形態、或いはともに融合し、したがって中間断片が欠失したVWFからの配列アミノ酸の複数の群(例えば、配列番号22におけるアミノ酸764〜828+764〜865に及ぶTIL'及びTIL'/E'ドメインの「融合」など)の形態でありうる。別の例は、配列番号22におけるアミノ酸764〜828+1127〜1197でありうる。本発明によるVWF断片は、或いは反復エレメントの形態でありうる。相同又は異種「スペーサー」配列を融合VWF断片/エレメント(例えば、TIL'/E'TIL'/E'TIL'/E'などのTIL'/E'ドメインの複数の融合)の間に導入することができる。本発明によるVWF断片はまた、VWF由来配列における1つ又は複数のアミノ酸の変化(alternations)(例えば、置換、欠失、付加)を含みうる。
本発明によるFVIII及びVWF断片の血管外併用投与に関連するFVIIIの生物学的利用率は、FVIIIを少なくとも1つの半減期延長部分とコンジュゲートすることによりさらに改善することができる。したがって、TIL'及び/又はTIL'/E'ドメインを含むVWF断片と、少なくとも1つの半減期延長部分とコンジュゲートしたFVIII分子との血管外併用投与が比較的に高いFVIIIの生物学的利用率に関連するということになる。
本発明によるVWF断片の例(Zhouらによるドメインアノテーションを用いた)を以下の配列番号4〜21に示す。TIL'/E'/VWD3I、TIL'/E'/VWD3II及びTIL'/E'/VWD3IIIは、TIL'/E'/VWD3の3つの種類(異なる長さ)を表す。
配列番号4:アミノ酸764〜828 (TIL'):
Figure 2018104459
配列番号5:アミノ酸764〜865 (TIL'/E'):
Figure 2018104459
配列番号6:アミノ酸764〜1035 (TIL'/E'/VWD3 I):
Figure 2018104459
配列番号7:アミノ酸764〜1041 (TIL'/E'/VWD3 II):
Figure 2018104459
配列番号8:アミノ酸764〜1045 (TIL'/E'/VWD3 III):
Figure 2018104459
配列番号9:アミノ酸764〜1128(TIL'/E'/VWD3/C8-3)-システイン1099を肉太で示す。このシステインは、別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号10:アミノ酸764〜1198(TIL'/E'/VWD3/C8-3/TIL-3)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号11:アミノ酸764〜1250(TIL'/E'/D3 I)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号12:アミノ酸864〜1250(D3 I)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号13:アミノ酸864〜1268(D3 II)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号14:アミノ酸764〜1261(TIL'/E'/D3 II)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号15:アミノ酸764〜1264(TIL'/E'/D3 III)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号16:アミノ酸764〜1268(TIL'/E'/D3 IV)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号17:アミノ酸764〜1459(TIL'/E'/D3/A1 I)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号18:アミノ酸764〜1463(TIL'/E'/D3/A1 II)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号19:アミノ酸764〜1464(TIL'/E'/D3/A1 III)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号20:アミノ酸764〜1683(TIL'/E'/D3/A1/A2)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号21:アミノ酸764〜1873(TIL'/E'/D3/A1/A2/A3)-システイン1099及び1142を肉太で示す。これらのシステインの1つ又は両方を別のアミノ酸、例えば、Serに置換することができる。
Figure 2018104459
配列番号22:UniProtKB/Swiss-Protデータベース(エントリP04275)による野生型ヒトVWF-システイン1099及び1142位における残基を肉太で示す。
Figure 2018104459
Figure 2018104459
FVIII分子/変異体/誘導体/類似体:「FVIII」という用語は、本明細書で用いているように、wt FVIIIを含むFVIII活性を有するFVIII分子、Bドメイン欠失/切断型FVIII分子、wt FVIIIと比べて実質的に同じ又は改善された生物学的活性を示すFVIIIの変異体及び親ペプチドの1つ又は複数のアミノ酸が例えば、タンパク質:タンパク質融合、アルキル化、PEG化、HES化、PAS化、PSA化、アシル化、エステル形成又はアミド形成など(半減期延長部分にコンジュゲートされた)により化学的に修飾されたFVIII関連ポリペプチドを意味することを意図する。
半減期延長部分/延長基:「半減期延長部分」という用語は、本明細書において、これらのタンパク質にコンジュゲートさせた場合にin vivo循環半減期を延長させうる1つ又は複数の化学基、例えば、-SH、-OH、-COOH、-CONH2、-NH2を介してFVIIIに共有結合する例えば、PEG及び/又は多糖などの親水性ポリマー、或いは1つ又は複数のN-及び/又はO-グリカン構造を意味すると理解される。本発明に関連してFVIIIにコンジュゲートさせるのに適する延長基/半減期延長部分の例は、生体適合性脂肪酸及びその誘導体、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、例えば、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(Glyx-Sery)n(HAP)、ヒアルロン酸(HA)、ヘパロサン(Heparosan)ポリマー(HEP)、ホスホリルコリンベースのポリマー(PCポリマー)、フレキシマー類(Fleximers)、デキストラン、ポリシアル酸(PSA)、Fcドメイン、Fc受容体、トランスフェリン、アルブミン、エラスチン様ペプチド、XTENポリマー、アルブミン結合ペプチド、CTPペプチド並びにそれらのいずれかの組合せを含む。一般的に、1つ又は複数の半減期延長部分(例えば、親水性ポリマー)とFVIIIとのコンジュゲーションは、半減期延長部分を有さないFVIIIと比較して本発明によるVWF断片とのs.c./皮内併用投与に関連して一般的に良好な生物学的利用率を有する。
本発明に関連したPEG化FVIII分子は、アミノ酸残基又は炭水化物部分を含むFVIIIタンパク質のいずれかの部分に結合した1つ又は複数のポリエチレングリコール(PEG)分子を有しうる。FVIII上のグリカンにPEG又は他のポリマー基(半減期延長部分)をコンジュゲートさせるために化学的及び/又は酵素的方法を用いることができる。酵素的コンジュゲーションプロセスの例は、国際公開第03031464号に記載されている。グリカンは、天然に存在するものであってもよく、或いは例えば、当技術分野で周知の方法を用いたN結合及び/又はO結合グリカンの挿入により挿入してもよい。本発明による「システイン-PEG化FVIII」は、FVIIIに存在するシステインのスルフヒドリル基にコンジュゲートされた1つ又は複数のPEG分子を有する。本発明による「システイン-アシル化FVIII」は、FVIIIにおけるシステインのスルフヒドリル基にコンジュゲートされた1つ又は複数の疎水性半減期延長部分(例えば、脂肪酸)を有し、このシステイン残基は、遺伝子組換え技術により導入してもよく又は天然アミノ酸配列の一部であってもよい。半減期延長部分を他のアミノ酸残基に結合させることがさらに可能である。
融合タンパク質:本発明による融合タンパク質は、FVIII及び融合相手を最初にコードした2つ以上のDNA配列のインフレーム結合により生成されたタンパク質である。融合タンパク質DNA配列の翻訳により、最初のタンパク質又はペプチドのそれぞれに由来する機能特性を有しうる単一タンパク質配列が生ずる。融合タンパク質をコードするDNA配列は、オーバーラップPCR又はDNAライゲーションなどの標準的な分子生物学の方法により人工的に生成することができ、3'末端DNA配列における停止コドンを保持しながら、最初の5'末端DNA配列における停止コドンを除外してアセンブリを実施する。得られた融合タンパク質DNA配列は、標準宿主生物における異種融合タンパク質発現を支持する適切な発現ベクターに挿入することができる。
融合タンパク質は、融合タンパク質を定義するタンパク質又はペプチド部分を分離するリンカー又はスペーサーペプチド配列を含みうる。リンカー又はスペーサーペプチド配列は、個々のタンパク質又はペプチド部分の正しい折りたたみを促進し、個々のタンパク質又はペプチド部分がそれらの個々の機能特性を保持する可能性をより高くしうる。リンカー又はスペーサーペプチド配列は、完全な融合タンパク質DNA配列を構成する個々のDNA断片のインフレームアセンブリ時に、すなわち、オーバーラップPCR又はDNAライゲーション時に融合タンパク質DNA配列に挿入することができる。FVIII及び融合相手を含む融合タンパク質の例は、国際公開第2011101284号に示されている。
Fc融合タンパク質:「Fc融合タンパク質」という用語は、本明細書において、抗体アイソタイプから得ることができるFcドメインに融合したFVIIIを含むことを意味する。IgG抗体の循環半減期が比較的に長いため、IgG Fcドメインがしばしば好ましい。Fcドメインは、例えば、補体結合及び/又は特定のFc受容体への結合などの特定のエフェクター機能を調節するためにさらに修飾することができる。FVIIIとFcRn受容体に結合する能力を有するFcドメインとの融合は、一般的にin vivoでの循環半減期の延長をもたらす。IgG Fcドメインにおける234、235及び237位に突然変異は、一般的にFcγRI受容体への、また場合によりFcγRIIa及びFcγRIII受容体への結合の低下をもたらす。これらの突然変異は、エンドサイトーシスリサイクル経路による長い循環in vivo半減期を促進する、FcRn受容体への結合を変化させない。好ましくは、本発明による融合タンパク質の修飾IgG Fcドメインは、特定のFc受容体への親和性の低下(L234A、L235E及びG237A)並びにC1q媒介性補体固定の低下(A330S及びP331S)をもたらす1つ又は複数の上述の突然変異を含む。或いは、Fcドメインは、好ましくはS241P/S228P突然変異を含む、IgG Fcドメインでありうる。
生物学的利用率(FVIIIの):「生物学的利用率」という用語は、化合物の血管外投与後の濃度時間曲線下面積として計算される血管外投与後に血液に吸収された化合物の百分率を表す。これは、i.v.投与した同じFVIII化合物の用量で割った濃度曲線下面積と比べて、用量で割ったs.c.投与後のFVIIIの濃度曲線下面積から計算される。本発明によれば、FVIII分子の生物学的利用率(FVIIIと本発明によるVWF断片の皮下/皮内併用投与に関連する)は、少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、好ましくは少なくとも7%、好ましくは少なくとも8%、好ましくは少なくとも9%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも11%、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも13%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも17%、好ましくは少なくとも18%、好ましくは少なくとも19%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも21%、好ましくは少なくとも22%、好ましくは少なくとも23%、好ましくは少なくとも24%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも26%、好ましくは少なくとも27%、好ましくは少なくとも28%、好ましくは少なくとも29%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも31%、好ましくは少なくとも32%、好ましくは少なくとも33%、好ましくは少なくとも34%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも36%、好ましくは少なくとも37%、好ましくは少なくとも38%、好ましくは少なくとも39%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも41%、好ましくは少なくとも42%、好ましくは少なくとも43%、好ましくは少なくとも44%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも46%、好ましくは少なくとも47%、好ましくは少なくとも48%、好ましくは少なくとも49%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも75%である。生物学的利用率は、本明細書で述べるように測定することができる。好ましくは、本発明による製剤のFVIIIの生物学的利用率(FVIII抗原及び/又は活性)は、そのような製剤を例えば、1日1回若しくは2回又は週1回、2回若しくは3回血管外(例えば、皮下又は皮内)投与する場合に正常な活性の条件下で予防効果を発揮するのに十分に高い。好ましくは、FVIIIの用量は、FVIIIのI.V.投与に関連して用いられる用量と同等である、好ましくは2倍高い、より好ましくは3倍高い、より好ましくは4倍高い、より好ましく約10倍高い、より好ましく約15倍高い、より好ましく約20倍高い、最も好ましく約25倍高い。用量の決定に関連して安全性及び費用に関する考慮事項を考慮することができる。
本発明によるVWF断片によるFVIIIの飽和: VWF断片によるFVIIIの飽和/VWFに結合した又はVWFとの複合体中のFVIIIの相対量/FVIIIの総量で割ったVWFに結合したFVIIIの量。この計算は、FVIIIとタンパク質との間の結合のKD値に基づいている。VWF断片へのFVIIIの結合については、測定KI値をKDとして用いる。
以下の(二次)方程式を用いて、総濃度[A]t[B]tから別のタンパク質(B)に結合したFVIII(A)の濃度を計算することができる。
Figure 2018104459
医薬組成物:本発明は、VWF断片及び好ましくはFVIIIも含む組成物を提供する。したがって、本発明の1つの目的は、40IU/ml〜25000IU/mlの濃度で存在するFVIII分子を含む医薬組成物を提供することであり、前記組成物は、2.0〜10.0のpHを有する。好ましい実施形態において、FVIII分子をVWF断片と一緒に併用投与する。したがって、本発明による医薬組成物は、例えば、50〜25,000lU/ml、100〜25,000lU/ml、250〜25,000lU/ml、500〜25,000lU/ml、1000〜25,000lU/ml、2000〜25,000lU/ml、3000〜25,000lU/ml、4000〜25,000lU/ml、5000〜25,000lU/ml、6000〜25,000、7000〜25,000、8000〜25,000、9000〜25,000、10,000〜25,000lU/ml、50〜20,000lU/ml、100〜20,000lU/ml、250〜20,000lU/ml、500〜20,000lU/ml、1000〜20,000lU/ml、2000〜20,000lU/ml、3000〜20,000lU/ml、4000〜20,000lU/ml、5000〜20,000lU/ml、6000〜20,000lU/ml、7000〜20,000lU/ml、8000〜20,000lU/ml、9000〜20,000lU/ml、10,000〜20,000lU/ml、50〜15,000lU/ml、100〜15,000lU/ml、250〜15,000lU/ml、500〜15,000lU/ml、1000〜15,000lU/ml、2000〜15,000lU/ml、3000〜15,000lU/ml、4000〜15,000lU/ml、5000〜15,000lU/ml、6000〜15,000lU/ml、7000〜15,000lU/ml、8000〜15,000lU/ml、9000〜15,000lU/ml、10,000〜15,000lU/ml、50〜10,000lU/ml、100〜10,000lU/ml、250〜10,000lU/ml、500〜10,000lU/ml、1000〜10,000lU/ml、2000〜10,000lU/ml、3000〜10,000lU/ml、4000〜10,000lU/ml、5000〜10,000lU/ml、50〜5000lU/ml、100〜5000lU/ml、250〜5000lU/ml、500〜5000lU/ml、及び1000〜5000lU/mlなどの40IU/ml〜25000 IU/mlの濃度のFVIIIを含みうる。本発明による医薬組成物はさらに、例えば、緩衝液系、保存剤、等張剤、キレート化剤、安定化剤又は界面活性剤並びにそれらの様々な組合せなどの1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤を含みうる。医薬組成物における保存剤、等張剤、キレート化剤、安定化剤及び界面活性剤の使用は、当業者に周知である。Remington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、1995年を参照することができる。
1つの実施形態において、医薬組成物は、水性組成物である。そのような組成物は、一般的に溶液又は懸濁液であるが、コロイド、分散体、乳剤及び多相物質も含みうる。「水性組成物」という用語は、少なくとも50重量/重量%の水を含む組成物と定義される。同様に、「水溶液」という用語は、少なくとも50重量/重量%の水を含む溶液と定義され、「水性懸濁液」という用語は、少なくとも50重量/重量%の水を含む懸濁液と定義される。
別の実施形態において、医薬組成物は、医師又は患者が使用前に溶媒及び/又は希釈剤を加える、凍結乾燥組成物である。
さらなる態様において、医薬組成物は、そのような抗体の水溶液及び緩衝液を含み、抗体は、1mg/ml又はそれ以上の濃度で存在し、前記組成物は、約2.0〜約10.0のpHを有する。
本発明による医薬組成物は、好ましくは血液凝固疾患の予防的/治療的処置における血管外投与(例えば、s.c.又は皮内投与)に適する。
「FVIII:VWFの比」:本発明によれば、FVIIIとVWF/VWF断片との好ましい比は、例えば、1:1〜1:50など、例えば、1:1〜1:25など、例えば、1:1〜1:20、又は1:1〜1:15、又は1:1〜1:10、又は1:1〜1:7.5、又は1:7〜1:8、又は1:6〜1:8、又は1:6〜1:9、又は1:5〜1:10などの0.5:1〜1:50のFVIII/VWF比(モル比)を含む。したがって、好ましい比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.1、1:7.2、1:7.3、1:7.4、1:7.5、1:7.6、1:7.7、1:7.8、1:7.9、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45及び1:50を含む。好ましい比は、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:3、1.4:1及び1.5:1を含む。1:1に近いモル比は、一般的に活性物質の必要量を最小限にするという利点を有する。共製剤混合物中のFVIIIとVWF断片との最適な比は、問題のFVIII種のVWF変異体に対する結合親和力に基づく特定のタンパク質濃度における結合FVIII:VWFの量を計算することによって決定することができる。結合親和力は、例えば、ELISA、SPRにより、又はITCにより決定することができる。
「血友病」:血友病/血液凝固疾患は、血管が破壊された場合に出血を止めるために用いられる、血液凝固又は凝固を制御する身体の能力を損なう遺伝性障害(「出血障害」)の群である。血友病A(凝固第VIII因子欠乏)は、男児出生5000〜10000例中約1例に存在する、最も一般的な病態の障害である。本発明に関連して、「血友病」は、フォン-ウィルブランド病を含む。
実施形態のリスト
1. 最大1500、1400、1300又は1200を含むVWF断片であって、前記VWF断片は、TIL'ドメインを含む。前記断片は、ペプチド結合により結合した異なる又は反復VWF配列を含みうる。
2. 本発明によるVWF断片であって、前記断片は、TIL'及びE'ドメインを含む。
3. TIL'又はTIL'/E'ドメインからなるVWF断片。
4. VWF断片(本発明による)であって、前記断片は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21のいずれか1つによるアミノ酸配列を含む。
5. 本発明によるVWF断片であって、前記断片は、配列番号22の1099及び/又は1142位におけるシステイン残基を含まない。これらのシステイン残基は、アミノ酸置換及び/又は欠失によって削除することができる。
6. 本発明によるVWF断片であって、前記断片は、配列番号9を含み、1099システイン残基が例えば、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、タウリン及びチロシンなどの別のアミノ酸で置換されている。
7. 本発明によるVWF断片であって、1099システイン残基がセリンで置換されている。
8. 本発明によるVWF断片であって、前記断片は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20及び配列番号21からなるリストから選択されるアミノ酸配列を含み、1099及び1142システイン残基が例えば、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、タウリン及び/又はチロシンなどの別のアミノ酸で置換されている。
9. 本発明によるVWF断片であって、1099及び1142システイン残基がセリンで置換されている。
10. 本発明によるVWF断片を含む医薬組成物であって、前記VWF断片の10%未満、好ましくは9%未満、好ましくは8%未満、好ましくは7%未満、好ましくは6%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満がオリゴマー及び/又は多量体の形態である。
11. 本発明によるVWF断片であって、前記VWF断片は、二量体の一部である。二量体形成の百分率は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%でありうる。
12. FVIII及びVWF断片を含む医薬組成物であって、FVIIIの生物学的利用率が前記医薬製剤の血管外(例えば、皮下/皮内)投与後に少なくとも5%である。
13. FVIII及びVWF断片を含む医薬組成物であって、FVIIIの生物学的利用率が前記医薬製剤の血管外(例えば、皮下/皮内)投与後に少なくとも5%であり、FVIIIとVWF断片との比が約0.5:1〜1:50である。好ましくは前記比は、0.5:1、1:1又は1:2である。
14. VWF断片であって、VWF断片のアミノ酸配列が配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、及び配列番号21からなるリストから選択されるアミノ酸配列を含む又はからなる。
15. (i)本発明によるVWF断片及び(ii)FVIII、好ましくは組換えFVIIIを含む医薬組成物。或いは、前記組成物は、本発明による2つ、3つ、4つ、5つ若しくはそれ以上の異なるVWF断片及び/又は2つ、3つ、4つ若しくは5つの異なるFVIII分子を含みうる。
16. 本発明による医薬組成物であって、前記FVIII分子が、例えば、5〜500、5〜400、5〜300、5〜200、5〜100、5〜50、5〜40、5〜30、5〜25、5〜20、10〜700、10〜500、10〜400、10〜300、10〜200、10〜100、10〜50、10〜40、10〜30、10〜20、20〜700、20〜500、20〜400、20〜300、20〜200、20〜100、20〜50、20〜25、50〜700、50〜500、50〜400、50〜300、50〜200、50〜100、100〜700、100〜500、100〜400、100〜300、100〜200、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、75、又は100アミノ酸などの5〜700アミノ酸サイズの切断型Bドメインを含む。
17. 本発明による医薬組成物であって、前記切断型Bドメインのアミノ酸配列がwt FVIII Bドメインアミノ酸配列に由来する。
18. 本発明による医薬組成物であって、前記FVIII分子がBドメイン切断型FVIII分子であり、前記Bドメインが配列番号1に示されているSer750アミノ酸残基に結合したO-グリカンを含む。好ましくは、前記FVIII分子は、切断型Bドメインにおける1つのO-結合グリカンを含み、前記O-結合グリカンは、配列番号1に示されているSer750残基に結合している。
19. 本発明による医薬組成物であって、前記FVIII分子が配列番号2に示されているアミノ酸配列を有するBドメインを含む。或いは、例えば、N末端Ser残基及び/又はC末端Arg残基などの、Bドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸は、配列番号2から削除されている。
20. 本発明による医薬組成物であって、FVIII Bドメインのアミノ酸配列が配列番号1に示されているアミノ酸741〜857+1637〜1648、アミノ酸741〜914+1637〜1648、アミノ酸741〜954+1637〜1648、アミノ酸741〜965+1637〜1648、アミノ酸741〜965+1637〜1648、アミノ酸741〜1003+1637〜1648、アミノ酸741〜1003+1637〜1648、アミノ酸741〜1020+1637〜1648、アミノ酸741〜1079+1637〜1648、アミノ酸741〜1206+1637〜1648、アミノ酸741〜1261+1637〜1648、アミノ酸741〜1309+1637〜1648、アミノ酸741〜914+1637〜1648、アミノ酸741〜954+1637〜1648、アミノ酸741〜968+1637〜1648、アミノ酸741〜1003+1637〜1648、アミノ酸741〜1018+1637〜1648、アミノ酸741〜1070+1637〜1648、アミノ酸741〜1230+1637〜1648、アミノ酸741〜1301+1637〜1648、アミノ酸741〜965+1637〜1648、アミノ酸741〜965+1637〜1648、アミノ酸741〜965+1637〜1648、アミノ酸741〜965+1637〜1648からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む又はからなる。
21. 本発明による医薬組成物であって、前記FVIII分子が少なくとも1つの半減期延長部分とコンジュゲートされている。好ましくは、前記半減期延長部分は、水溶性ポリマーである。好ましくはPEG及び/又は多糖である。
22. 本発明による医薬組成物であって、少なくとも1つの水溶性ポリマーが、Bドメインに存在するグリカン、好ましくはO-グリカン、好ましくは配列番号1に示されているSer750アミノ酸残基に結合しているO-グリカンに共有結合している。
23. 本発明による医薬組成物であって、前記水溶性ポリマーが、PEG、PSA、HES、HEP、及びHSAからなる群から選択される。
24. 本発明による医薬組成物であって、前記FVIII分子を配列番号2に示されているFVIII Bドメインを含むFVIII分子をコードする発現ベクターを用い製造する。
25. 本発明による医薬組成物であって、前記FVIII分子の生物学的利用率が少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又は10%である。好ましくは、生物学的利用率は、抗原アッセイ又は凝固アッセイを用いて皮下投与後のFVIIIの血漿レベルの曲線下面積として測定する。
26. 本発明による医薬組成物であって、FVIIIとVWFとの比が、1:50、1:34、1:25、1:20、1:15、1:10、1:7.5、好ましくは0.5:1、1:1、又は1:2である。
27. 本発明による医薬製剤であって、FVIIIの濃度が少なくとも約100、150、200、250、300、350、400、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、又は30,000lU/mlである。
28. 本発明による医薬製剤であって、VWF断片に結合しているFVIIIの量が前記製剤中のFVIII総量の少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%である。
29. 血管外、好ましくは皮下投与による血友病の治療のための本発明による化合物又は本発明による医薬組成物の使用。本発明による医薬組成物は、皮内投与により投与することもできる。本発明による医薬組成物は、さらに静脈内投与により投与することができる。
30. 血友病の治療の方法であって、前記方法は、それを必要とする患者への治療上有効量の本発明による化合物又は本発明による医薬組成物の皮下投与を含む。
31. FVIIIの生物学的利用率を増大させる方法であって、前記方法は、FVIII及び本発明によるVWF断片の血管外(例えば、皮下/皮内)併用投与の工程を含み、前記FVIIIと前記VWF断片との比が1:1〜1:50、好ましくは0.5:1、1:1、1:2、1:10、1:20又は1:34である。
32. 本発明によるVWF断片をコードするDNA分子。
33. 本発明によるDNA分子を含む発現ベクター。
34. 本発明による発現ベクターを含む宿主細胞。
35. 本発明によるVWF断片を調製する方法であって、前記方法は、適切な条件下で適切な媒体中の宿主細胞のインキュベーション及び前記組換えVWF断片をその後に回収することを含む。
36. 本発明による医薬組成物であって、前記組成物は、本発明による1つ又は複数のVWF断片を含む。
37. 本発明による1つ又は複数のVWF断片を含む医薬組成物。
38. フォン-ウィルブランド病の治療の方法であって、前記方法は、それを必要とする患者への治療上有効量の本発明による医薬組成物の血管外(例えば、皮下)投与を含む。
39. TIL'配列764〜778の15個の末端アミノ酸又はそれ以上を含むVWF断片又はVWF様ポリペプチド。本発明による比較的に小さなVWF断片は、非VWF起源を含む、いずれかの起源の足場ポリペプチド配列の一部を形成、又はそれに「埋め込まれ」、又はそれにグラフトしうる。
40. 本発明によるVWF断片であって、前記VWF断片は、配列番号1に示されているFVIIIアミノ酸配列のC1858〜Q1874、S2063〜D2074及びV2125〜A2146残基と相互作用/結合している。
41. 本発明によるVWF断片であって、前記断片は、半減期延長部分とコンジュゲートされている。
42. 本発明によるVWF断片であって、前記断片は、N-及び/又はO-結合グリカンを介して半減期延長部分とコンジュゲートされている。
43. 本発明によるVWF断片であって、前記VWF断片は、FVIIIへの前記VWF断片の結合に関連して抗原提示細胞によるFVIIIの取込みを減少させた。
本発明のすべての態様及び実施形態を組み合わせることができ、それらを限定的に理解すべきでないことが理解される。
本発明の特定の特徴を本明細書で例示し、説明したが、多くの修正形態、代替、変更及び同等物が当業者に思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲がすべてのそのような修正形態及び変更を網羅することを意図するものであることが本発明の真の精神の範囲に入ることを理解すべきである。
(実施例1)
FVIIIノックアウトマウスにおける皮下投与(1):
以下の2つの試験化合物を調製した。
a)グリコPEG化FVIII、すなわち、「N8-GP」(本質的に国際公開第2009108806号における実施例1+2に開示されているように調製)、タンパク質含量に基づく1.2μMに相当するクロモジェニック活性により決定された2000U FVIII/ml
b)グリコPEG化FVIII、すなわち、N8-GP(2000U FVIII又は1.2μM、0.74mg/ml VWF断片TIL'/E'/D3/A1(9.3μMに相当する)と共製剤化)
両試験化合物は、18mg/ml NaCl、3mg/mlサッカロース、1.5mg/ml L-ヒスチジン、0.1mg/mlポリソルベート80、0.25mg/ml CaCl2、pH7.3に加えて製剤化した。
22gのおおよその体重を有するTaconic M&B(B6.129S4-F8tm1Kaz/J)において飼育されたC57BI/6及びSV129の混合バックグラウンドにおけるエクソン16ノックアウトの12匹のFVIII KOマウスの側腹部に10000IU/kg FVIII又はFVIII/VWF(6匹のマウスに各試験化合物)を皮下投与した。
投与後1、3、7、17、24、30、48、72及び96時間目に血液試料を採取した。マウスは、後眼窩静脈叢を介して血液試料を採取する前にイソフルラン/O2/N2Oにより麻酔した。各マウスから3つの試料を採取した。血液(45μl)を5μlのクエン酸ナトリウム(0.13M)により安定化し、200μlのFVIIIコアテストSP緩衝液(50mM TRIS-HCl、1%BSA、シプロフロキサシン10mg/L、pH7.3)を加えた。室温で4000gで5分間遠心分離した後、上清を、分析の前に-80℃で保存する前に直ちにドライアイス上で凍結した。
試料は、Ovlisen Kら、J. Thromb. Haemost、2008、6巻、969〜975頁により記載されているようにクロモジェニックアッセイ(chromogenic assay)でFVIII活性に関して、またFVIII LOCIアッセイ(ルミネセンス酸素チャネリング免疫検定)における2つのFVIII軽鎖抗体(4F45及び4F11)を用いたFVIII抗原分析により分析した。
平均血漿中濃度対時間データは、所定の薬物動態パラメーターを推定するWinNonlin Phoenix(Pharsight Corporation)を用いた非コンパートメント解析により解析した。生物学的利用率は、FVIII KOマウスにおけるN8-GPの以前のi.v.薬物動態試験を用いて推定した。
FVIII活性の循環プロファイルを図1にグラフにより示し、FVIII抗原の循環濃度を図2に示す。
この実験において、グリコPEG化FVIII単独の生物学的利用率は、活性に基づいて27%、抗原に基づいて19%と計算された。VWFとの共製剤化により、生物学的利用率がそれぞれ40及び47%に増加した。
(実施例2)
FVIIIノックアウトマウスにおける皮下投与(2):
以下の2つの試験化合物を調製した。
a)グリコPEG化FVIII(0.3μMに相当するクロモジェニック活性により決定された500IU FVIII/ml)
b)グリコPEG化FVIII(500IU FVIII/ml又は0.3μM、0.185mg/ml VWF断片TIL'/E'/D3/A1(2.3μMに相当する)と共製剤化)
FVIIIへのVWF断片の1.5nMの測定IC50に基づき、また測定IC50がKdに等しいと仮定すると、FVIIIの99%がこの組成物中のVWFに結合しているはずである。
両試験化合物は、18mg/ml NaCl、3mg/mlサッカロース、1.5mg/ml L-ヒスチジン、0.1mg/mlポリソルベート80、0.25mg/ml CaCl2、pH約7.3に加えて製剤化した。
22gのおおよその体重を有するTaconic M&B(B6.129S4-F8tm1Kaz/J)において飼育されたC57BI/6及びSV129の混合バックグラウンドにおけるエクソン16ノックアウトの12匹のFVIII KOマウスの側腹部に2500IU/kg FVIII又はFVIII/VWF(6匹のマウスに各試験化合物)を皮下投与した。
投与後1、3、7、17、24、30、48、72及び96時間目に血液試料を採取した。マウスは、後眼窩静脈叢を介して血液試料を採取する前にイソフルラン/O2/N2Oにより麻酔した。各マウスから3つの試料を採取した。45μlの血液を5μlのクエン酸ナトリウム(0.13M)により安定化し、200μlのFVIIIコアテストSP緩衝液(50mM TRIS-HCl、1%BSA、シプロフロキサシン10mg/L、pH7.3)を加えた。室温で4000gで5分間遠心分離した後、試料を、分析の前に-80℃で保存する前に直ちにドライアイス上で凍結した。
試料は、Ovlisen Kら、J. Thromb. Haemost、2008、6巻、969〜975頁により記載されているようにクロモジェニックアッセイでFVIII活性に関して、またFVIII LOCIアッセイ(ルミネセンス酸素チャネリング免疫検定)における2つのFVIII軽鎖抗体(4F45及び4F11)を用いたFVIII抗原分析により分析した。
平均血漿中濃度対時間データは、所定の薬物動態パラメーターを推定するWinNonlin Phonix(Pharsight Corporation)を用いた非コンパートメント解析により解析した。生物学的利用率は、FVIII KOマウスにおけるN8-GPの以前のi.v.薬物動態試験を用いて推定した。
FVIII活性の循環プロファイルを図3にグラフにより示し、FVIII抗原の循環濃度を図4に示す。
この実験において、グリコPEG化FVIII単独の生物学的利用率は、活性に基づいて29%、抗原に基づいて14%と計算された。VWFとの共製剤化により、生物学的利用率が36%(抗原測定)に増加した。
(実施例3)
s.c.投与したFVIII化合物とVWF化合物との共製剤の止血有効性
試験概要:
動物:FVIII k/oマウス、8〜18週齡、雄及び雌
尾部出血: 1時点/群当たりn=6〜12
トロンボエラストグラフィー:1時点/群当たりn=2〜4
投与経路:頸部及び側腹部にs.c.(対照群については尾静脈にi.v.)
投与容量1〜10ml/kg
群:
媒体対照を損傷の24時間前に投与
i.v.対照を損傷の5分前に投与
VWF化合物と共製剤化したFVIII化合物を損傷の5分、1、3、5、12、24、48、72、96、120、144又は168時間前にs.c.投与
手順:
対象の化合物を緩衝液(10mM L-ヒスチジン、8.8mMスクロース、0.01%ポリソルベート80、308mM NaCl、1.7mM CaCl2(二水和物)、0.37mM L-メチオニン、pH6.9)中で40〜10000U/mlの濃度に調製し、使用するまで-80℃で保存した。
尾切断の前に、マウスをイソフルランにより麻酔し、加熱パッド上にのせる。
尾を37℃の予熱生理食塩水中に10分間入れる。
i.v.対照を損傷の5分、24又は48時間前に注射する。
尾を先端から4mm切断する。
尾切断の直前にFVIIIの決定のために20μlの血液試料を眼窩周囲静脈叢から採取する。
血液を30分にわたり採取し、ヘモグロビン濃度を分光光度法により550nmで決定する。
並行動物を血液試料の採取及びその後のそれらの凝固パラメーター(ex vivo有効性)の解析のために用いる。
結果:
s.c.投与後の特定の時間(168時間まで5分)における30分の試験期間中の失血を1、媒体対照及び2、FVIII又はグリコPEG化FVIIIを用いるi.v.対照群のそれと比較することにより、共製剤の予防効果を決定する。図10は、失血の減少及びex vivoでの凝固時間の短縮によって示されたように、グリコPEG化FVIIIが2500U/kgのs.c.投与後24時間止血効果があることを示している。同様の効果がVWF断片と共製剤化したFVIIIについて認められる。
(実施例4)
FVIIIの生物学的利用率の評価
本発明によるFVIII及びVWF/VWF断片の共組成物の生物学的利用率は、実施例1及び2で述べたPK実験における生物学的利用率に対する効果の評価並びに実施例3で述べた予防効果の評価から決定することができる。
注射組成物中のFVIIIの大部分がVWF断片化合物に結合することを可能にする濃度のVWF断片と共製剤化したFVIII化合物の生物学的利用率は、組成物中のFVIII化合物の濃度から、また例えば、表面プラスモン共鳴実験などのFVIII化合物へのVWF断片化合物の結合親和力を評価する実験から決定することができる。
(実施例5)
FVIII:VWF共組成物の用量の滴定
用量の滴定は、実施例1〜3で開示したように行うことができる。手短に述べると、FVIIIの血漿中濃度は、FVIII k/oマウスにおける70、100、150、280、500、1000及び2500IU/kg(FVIII単位)単独の用量又はVWF断片との併用のs.c.投与後に評価する。
(実施例6)
FVIII化合物とVWF化合物との間の比の滴定
FVIIIとVWFとの間の比の滴定は、実施例1及び2におけるもの並びに実施例3で述べたものと同様な実験において開示したように行うことができる。
PKの評価のために、280、500、1000又は2500IU/kgの用量のFVIII化合物を1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:7.7又は最大1:100(FVIII対VWF断片)のモル比でVWF断片と共製剤化し、s.c.投与後にFVIII k/oマウスにおけるFVIIIの血漿中濃度を評価する。FVIIIに対するVWF断片の最大モル余剰は、問題のFVIII化合物に対する断片の結合親和力から決定され、用いる最高モル余剰は、用いたFVIIIの少なくとも99%のVWF断片への結合をもたらすものである。
予防効果については、PK実験からの候補組成物を実施例3で述べた尾出血などの有効性モデルにおいて評価する。
(実施例7)
FVIIIの免疫原性に対するVWFの効果
FVIII化合物と共製剤化したVWFの免疫調節効果を野生型FVIII及びFVIII化合物単独と比較して評価する。
in vivoでは、相対的免疫原性は、投与後特定の時点のFVIII結合抗体の力価及び中和抗体(インヒビター)のレベルの決定により評価する。FVIII結合抗体の検出のためのアッセイは、ラジオイムノアッセイ(RIA)である。手短に述べると、試料からの抗FVIII抗体が放射性125I標識rFVIIIに結合する。免疫グロブリン及び免疫複合体がプロテインGセファロースに結合し、遠心分離により沈殿させる。沈殿物における放射能を測定する。これは、試料中の抗FVIII抗体の量に比例する。結果は、加えた放射能の総量のパーセントとして、すなわち、結合/総%(B/T%)として表す。
抗FVIII抗体が陽性の試料を、クロモジェニックアッセイを用いてFVIII中和抗体の存在について分析する。手短に述べると、試料を1IU/ml FVIIIとともに1時間インキュベートする。残存FVIII活性は、FIX、FX、トロンビン、CaCl2及びリン脂質の添加により決定する。インキュベーションの後、クロモジェニック基質S-2760の添加により、発生したFXaの量を決定し、光学濃度(OD)の変化を測定する。ODの変化は、試料中のFVIII活性に比例するので、既知量のFVIIIを含み、インヒビターを含まない試料と比較する。試験試料の残存活性%を計算し、インヒビター/抗FVIII抗体を加えない参照試料と比較する。さらに、マウスVWFと交差反応しないモノクローナル又はポリクローナル抗ヒトVWF抗体を用いてELISAにより抗VWF抗体の存在を測定する。強い抗VWF応答が検出される場合、これは、FVIIIへのVWFの結合を妨げると予測することができ、マウスVWF断片を用いてin vivo分析を反復する。
抗薬物抗体の出現は、ナイーブマウス、FVIII k/oマウス並びにヒトFVIIIに対して寛容化したマウスにおける化合物の反復(例えば、週1回4週間又は1日1回3週間)s.c.投与後に評価する。読取りは、最初及び/又は最後の投与後の特定の時点(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8週)に陽性力価を有する動物の比である。FVIII k/oマウスに例えば、1000IU/kg FVIII単独又はFVIIIの87%がVWFに結合することを保証するモル比でVWFとの併用で週1回注射する。1日1回の投与については、FVIIIの用量は、より低く、FVIII-VWF複合体の生物学的利用率に基づくものである。hFVIIIに対して寛容化したマウスに例えば、8週間にわたり週1回VWFと併用して又は併用せずに例えば、1000IU/kg FVIIIをs.c.注射し、一部の実験に最初の注射で完全フロイントアジュバント(CFA)による追加のチャレンジとその後の不完全フロイントアジュバント(IFA)による毎週のチャレンジを含める。
VWF対VWF断片及び野生型FVIII対VWFと共製剤化したFVIII化合物の相対免疫原性をヒトCD4+T細胞アッセイにおいてin vitroでさらに評価する。これは、CD8+ T細胞を枯渇させた末梢血単核細胞(PBMCs)を用いて行う。FVIIIを例えば8日間の細胞培養に加える。T細胞増殖は、培養からの副試料中の3H-チミジンを例えば、18時間パルスし、その後3H-チミジン取込みを測定することによってアッセイ中に評価する。インターロイキン2の産生は、アッセイの終了時に例えば、R&D Systems製のELISPOT IL02キットを用いて製造業者の指示に従って測定する。アッセイで得られたデータは、化合物刺激細胞対非刺激細胞間の比を記述する「刺激指数」に変換する。
VWFのHLA結合能力は、HLA結合特性のin silico解析を用いて評価した。in silico解析ツールは天然プロテアーゼにより処理されえないエピトープを予測することであるが、修飾VWFの配列への強い結合は、新規T細胞エピトープを示す可能性がある。Cys→Ser突然変異がVWF突然変異体における誘導免疫原性のリスクを誘導するかどうかを予測するために、VWFタンパク質配列をin silicoペプチド/HLA-II結合予測ソフトウエアに適用する。ペプチド/HLA-II結合予測ソフトウエアは、次の2種のアルゴリズム、すなわち、パン特異的HLA-DR予測を実施するNetMHCIIpan 2.1(NetMHCIIpan-2.0-新規並行アライメント及び重み最適化訓練手順を用いる改善されたパン特異的HLA-DR予測、Nielsen M、Lundegaard C、Justesen S、Lund O及びBuus S.、Immunome Res.、2010年11月13日、6(1)、9頁)並びにHLA-DP/DQ予測を実施するNetMHCII2.0(NN-align-MHCクラスIIペプチド結合予測のための神経ネットワークベースのアライメントアルゴリズム、Nielsen M及びLund O、BMC Bioinformatics、2009年9月18日、10、196頁)に基づいている。
12位における突然変異の点を有する23アミノ酸長ペプチドをアルゴリズムへのインプットとして用いる。最適処理ペプチドは、HLA-IIへの9アミノ酸コアペプチド結合を有する15マーペプチドであると仮定する。アウトプットは、9アミノ酸長コアペプチド結合を有する15アミノ酸長ペプチド(HLA-IIと接触)及びナノモル単位の予測結合親和力である。
VWF突然変異ペプチドの予測結合親和力は、野生型配列の結合親和力と同じ範囲内にあり(データは示さず)、また該ペプチドは、HLA-II分子に比較的に不十分な親和力で結合すると予測されるため、新規CD4+T細胞エピトープを誘導するリスクは、非常に低いと考えられる。
注目すべきことに、in silicoペプチド/HLA-II結合予測は、実験的ペプチド/HLA-II結合データに基づいており、システインに富むペプチドを試験することは、非常に挑戦的である(ペプチドの性質のため)。したがって、システインに富むペプチドは、異なる予測アルゴリズムをトレーニングするために用いるデータセットにおいて過少に示される。したがって、これらのシステインに富むVWFペプチドのペプチド/HLA-II結合予測は、不確かなものであり、他の免疫原性予測プラットフォーム(等、in vitroペプチド/HLA-II結合アッセイ又はex vivoT細胞アッセイ)を用いてさらに解析すべきである。
(実施例8)
FVIIIノックアウトマウスにおける皮下投与(3)
以下の2つの試験化合物を調製した。
a)Bドメイン切断型FVIII(「ツロクトコグアルファ」/「N8」-国際公開2009108806号における実施例1に開示されているのと本質的に同様に製造)(クロモジェニック活性アッセイにより決定され、2.4μMに相当する4000IU FVIII/ml)
b) 0.37mg/ml VWF断片TIL'/E'/D3/A1(4.6μMに相当する)と共製剤化したBドメイン切断型FVIII(ツロクトコグアルファ)(クロモジェニック活性アッセイにより決定され、0.6μMに相当する1000IU FVIII/ml)
FVIIIへのVWF断片の1.5nMの測定結合親和力に基づいて、FVIIIの99%がこの組成物中のVWFに結合しているはずである。
両試験化合物は、18mg/ml NaCl、3mg/mlサッカロース、1.5mg/ml L-ヒスチジン、0.1mg/mlポリソルベート80、0.25mg/ml CaCl2、pH約7.3に加えて製剤化した。
22gのおおよその体重を有するTaconic M&B(B6.129S4-F8tm1Kaz/J)において飼育されたC57BI/6及びSV129の混合バックグラウンドにおけるエクソン16ノックアウトの12匹のFVIII KOマウスの側腹部に1000IU/kg FVIII又はFVIII/VWF(6匹のマウスに各試験化合物)を皮下投与した。
投与後1、3、7、17、24、30、48、72及び96時間目に血液試料を採取した。マウスは、後眼窩静脈叢を介して血液試料を採取する前にイソフルラン/O2/N2Oにより麻酔した。各マウスから3つの試料を採取した。45μlの血液を5μlのクエン酸ナトリウム(0.13M)により安定化し、200μlのFVIIIコアテストSP緩衝液(50mM TRIS-HCl、1%BSA、シプロフロキサシン10mg/L、pH7.3)を加えた。室温で4000gで5分間遠心分離した後、上清を、分析の前に-80℃で保存する前に直ちにドライアイス上で凍結した。
試料は、Ovlisen Kら、J. Thromb. Haemost、2008、6巻、969〜975頁により記載されているようにクロモジェニックアッセイでFVIII活性に関して、またFVIII LOCIアッセイ(ルミネセンス酸素チャネリング免疫検定)における2つのFVIII軽鎖抗体(4F45及び4F11)を用いたFVIII抗原分析により分析した。
平均血漿中濃度対時間データは、所定の薬物動態パラメーターを推定するWinNonlin Phoenix(Pharsight Corporation)を用いた非コンパートメント解析により解析した。生物学的利用率は、FVIII KOマウスにおけるN8-GPの以前のi.v.薬物動態試験を用いて推定した。
FVIII活性の循環プロファイルを図5にグラフにより示し、抗原レベルを図6に示す。
この実験において、Bドメイン切断型FVIII単独の生物学的利用率は、活性に基づいて0.9%と計算された。VWF断片との共製剤化により、生物学的利用率が11%に増加した。
(実施例9)
FVIIIノックアウトマウスにおける皮下投与(4)
以下の2つの試験化合物を調製した。
a)226アミノ酸Bドメイン変異体(クロモジェニック活性アッセイにより決定され、2.4μMに相当する1000IU FVIII/ml)
b) 0.37mg/ml VWF断片TIL'/E'/D3/A1(4.6μMに相当する)と共製剤化した226アミノ酸Bドメイン変異体(クロモジェニック活性アッセイにより決定され、0.6μMに相当する1000IU FVIII/ml)
FVIIIへのVWF断片の1.5nMの測定結合親和力に基づいて、FVIIIの99%がこの組成物中のVWFに結合しているはずである。
両試験化合物は、18mg/ml NaCl、3mg/mlサッカロース、1.5mg/ml L-ヒスチジン、0.1mg/mlポリソルベート80、0.25mg/ml CaCl2、pH約7.3に加えて製剤化した。
22gのおおよその体重を有するTaconic M&B(B6.129S4-F8tm1Kaz/J)において飼育されたC57BI/6及びSV129の混合バックグラウンドにおけるエクソン16ノックアウトの12匹のFVIII KOマウスの側腹部に1000IU/kg FVIII又はFVIII/VWF(6匹のマウスに各試験化合物)を皮下投与した。
投与後1、3、7、17、24、30、48、72及び96時間目に血液試料を採取した。マウスは、後眼窩静脈叢を介して血液試料を採取する前にイソフルラン/O2/N2Oにより麻酔した。各マウスから3つの試料を採取した。45μlの血液を5μlのクエン酸ナトリウム(0.13M)により安定化し、200μlのFVIIIコアテストSP緩衝液(50mM TRIS-HCl、1%BSA、シプロフロキサシン10mg/L、pH7.3)を加えた。室温で4000gで5分間遠心分離した後、上清を、分析の前に-80℃で保存する前に直ちにドライアイス上で凍結した。
試料は、Ovlisen Kら、J. Thromb. Haemost、2008、6巻、969〜975頁により記載されているようにクロモジェニックアッセイでFVIII活性に関して、またFVIII LOCIアッセイ(ルミネセンス酸素チャネリング免疫検定)における2つのFVIII軽鎖抗体(4F45及び4F11)を用いたFVIII抗原分析により分析した。
平均血漿中濃度対時間データは、所定の薬物動態パラメーターを推定するWinNonlin Phonix(Pharsight Corporation)を用いた非コンパートメント解析により解析した。生物学的利用率は、FVIII KOマウスにおけるN8-GPの以前のi.v.薬物動態試験を用いて推定した。
この実験では、226アミノ酸BドメインFVIII変異体単独の生物学的利用率は、VWFとの共製剤を用いて得られたものと同様であった。したがって、より長いBドメインを有するこの変異体については、VWFが生物学的利用率を増加させなかった。
(実施例10)
FVIII分子をコードするベクターの構築
F8-500 FVIII分子(F8-500はツロクトコグアルファ/N8コード配列に相当する)をコードする挿入断片を有するプラスミドをFVIIIの産生に用いた。N末端から始めて、F8-500ベクターは、Bドメインを含まないFVIII重鎖(アミノ酸1〜740)、21アミノ酸リンカー(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQR-配列番号2)及びFVIII軽鎖(全長野生型ヒトFVIIIのアミノ酸1649〜2332)をコードする。21アミノ酸リンカーの配列は、FVIII Bドメインに由来し、全長野生型ヒトFVIIIのアミノ酸741〜750及び1638〜1648からなる。FVIII cDNAの断片を全長FVIII cDNAから増幅し、F8-500コーディングプラスミドに挿入して、BDD FVIIIをコードするDNA構築物を生じさせた。
F8-500D-HIS-C2-連結-(GGGS)6-hFc(IgG1)、F8-500D-HIS-C2-連結-(GGGS)6-mFc(IgG2A)及びF8-500D-HIS-C2-連結-(GGGS)6-アルブミンをコードする構築物を以下で述べるように構築した。F8-500コーディングDNAにおける内部BamHI部位(aa 604〜606)を部位特異的突然変異誘発により除去し、フレキシブル(GGGS)6リンカーをコードするDNAをコーディング領域の3'に挿入した。BamHI部位とNotI部位との間のC末端融合相手のクローニングを容易にするために、新たなBamHI部位をリンカーコーディングDNAの3'末端に導入した。このように、F8-500-C2-連結-(GGGS)6をコードする構築物を生成させた。ヒトFc(IgG1)、マウスFc(IgG2a)及びヒト血清アルブミンをコードするDNAを増幅した。
PCR産物をF8-500-C2-連結-(GGGS)6コーディングベクターのBamHI部位とNotI部位の間に挿入して、F8-500-C2-連結-(GGGS)6-hFc(IgG1)、F8-500-C2-連結-(GGGS)6-mFc(IgG2A)及びF8-500-C2-連結-(GGGS)6-アルブミンをコードする構築物を生じさせた。F8-500D-HIS-C2-連結-(GGGS)6-hFc(IgG1)、F8-500D-HIS-C2-連結-(GGGS)6-mFc(IgG2A)及びF8-500D-HIS-C2-連結-(GGGS)6-アルブミンコーディング構築物を生成させるために、後者の構築物からのSphI/ClaI制限断片をF8-500D-Hisコーディング構築物に転移させた。
実施例11で述べるような一過性発現のために、BDD FVIIIをコードする挿入断片を含む哺乳類発現ベクターpTT5からなるDNA構築物を用いた。BDD FVIIIを産生する安定細胞系の生成のために、pTSV7ベクターを用いる。このベクターは、ジヒドロ葉酸還元酵素系によるトランスフェクト細胞の選択を可能にするジヒドロ葉酸還元酵素をコードする。F8-500D-HisをコードするpTT5由来ベクターからのSpeI/AgeI制限断片をF8-500をコードするpTSV7由来ベクターに転移させ、F8-500D-Hisをコードする挿入断片を有するpTSV7からなる構築物#1917を得た。
(実施例11)
FVIIIの一過性発現
0.9〜1.1×106の密度のHKB11細胞にプラスミド(0.7mg/l又は1.0mg/l)及びトランスフェクション剤293Fectin(Invitrogen)(1.0ml/l又は1.4ml/l)の複合体をトランスフェクトした。トランスフェクション複合体は、プラスミド及びトランスフェクションを別個に希釈し、2つの溶液を混合し、混合物を室温で20分間インキュベートすることにより調製した。複合体混合物を細胞懸濁液に加え、懸濁液を振とうインキュベーター中で36.5℃又は37℃及び5%又は8%CO2で4又は5日間インキュベートした。細胞培養採取物を実施例14で述べるようにクロモジェニックFVIIIアッセイにより分析し、及び/又は0.22μm膜によりろ過し、実施例13で述べるようにFVIIIの精製のために用いた。
(実施例12)
FVIIIを発現する安定細胞系
無血清適応CHO-DUKX-B11細胞に、実施例10で述べ、FVIII F8-500D-Hisをコードする発現プラスミド構築物#1917をトランスフェクトした。トランスフェクト細胞をジヒドロ葉酸還元酵素系により選択し、限界希釈法によりクローニングした。クローンをELISA及びクロモジェニックFVIIIアッセイによりFVIII産生についてスクリーニングした。クローンGedT019Aをグレードアップのために選択した。細胞をバイオリアクターに移した。実施例13で述べるように細胞培養採取物からF8-500D-Hisタンパク質を精製した。
(実施例13)
FVIIIの精製
カラムに樹脂VIIISelect(GE Healthcare)を寸法が直径1.6cm、層高4cmで8mLとして充填し、20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+250mM NaCl、pH7.3で500cm/時間で平衡化した。実施例3で述べたように調製した培養ろ液をカラムに加え、その後、カラムを最初の平衡化緩衝液で、次いで、20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+1.5M NaCl、pH7.3で洗浄した。20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+1M酢酸アンモニウム+6.5Mプロピレングリコール、pH7.3を用いて90cm/時間で結合FVIIIを無勾配溶出した。FVIIIを含む画分をプールし、20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80、pH7.3で1:10に希釈し、F25-セファロースを充填したカラムに加えた(Thimら、Haemophilia、2009)。カラムの寸法は、直径1.6cm、層高2cmで、カラム体積が4mLとなるものであった。加える前にカラムを20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+150mM NaCl+1Mグリセロール、pH7.3で180cm/時間で平衡化した。加えた後、カラムを最初に平衡化緩衝液で、次いで、20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+650mM NaCl、pH7.3で洗浄した。20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+2.5M NaCl+50%(容積/容積)エチレングリコール、pH7.3を用いて30cm/時間で結合FVIIIを無勾配溶出した。同じ緩衝液で1:45に希釈したa3ドメインの欠失を有するFVIII変異体を除いて、FVIIIを含む画分をプールし、20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80、pH7.3で1:15に希釈した。希釈したプールを、Poros 50HQ(PerSeptive Biosystem)をカラムの寸法が直径0.5cm、層高5cmでカラム体積が1mLとなるように充填したカラムに加えた。加える前にカラムを20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+50mM NaCl+1Mグリセロール、pH7.3で300cm/時間で平衡化した。平衡化緩衝液から20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+1M NaCl+1Mグリセロール、pH7.3までの5カラム体積にわたる直線勾配を用いた溶出の前にカラムを平衡化緩衝液で洗浄した。FVIIIを含む画分をプールし、プールを使用するまで-80℃で保存した。
HISタグを有するFVIII分子を上述したのと本質的に同様に精製したが、第2の精製工程(F25-セファロース)を、2カラム体積の1M NiSO4を装填したキレート化セファロースFF(GE Healthcare)に交換した。カラムの寸法は、直径0.5cm、層高5cmで、カラム体積が1mLとなるものであった。加える前にカラムを30mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+1.5M NaCl、pH7.3で180cm/時間で平衡化した。加えた後、250mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80+1.5M NaCl、pH7.3までの5カラム体積にわたる直線勾配を用いた溶出の前にカラムを30カラム体積の平衡化緩衝液で洗浄した。FVIIIを含む画分をプールし、20mMイミダゾール+10mM CaCl2+0.01%Tween80、pH7.3で1:30に希釈した。最終精製工程(Poros 50HQ)は、上述のように実施した。
(実施例14)
クロモジェニックアッセイにより測定される細胞培養採取物中のFVIII活性
rFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を次のようにCoatest SP試薬(Chromogenix)を用いてクロモジェニックFVIIIアッセイで評価した。rFVIII試料及びFVIII標準(凝固参照、Technoclone)をCoatestアッセイ緩衝液(50mMトリス、150mM NaCl、1%BSA、pH7.3、保存剤を含む)で希釈した。50μlの試料、標準及び緩衝液陰性対照を96ウエルマイクロタイタープレート(Spectraplates MB、Perkin Elmer)に加えた。すべての試料を1:100、1:400、1:1600及び1:6400に希釈して試験した。Coatest SPキットからの第IXa因子/第X因子試薬、リン脂質試薬及びCaCl2を5:1:3(体積:体積:体積)で混合し、これの75μlをウエルに加えた。室温で15分間のインキュベーションの後、50μlの第Xa因子基質S-2765/トロンビン抑制物質I-2581ミックスを加え、25μlの1Mクエン酸、pH3を加える前に反応物を室温で5分間インキュベートした。405nmにおける吸光度を、参照波長として用いた620nmでの吸光度とともにEnvisionマイクロタイタープレートリーダー(Perkin Elmer)で測定した。陰性対照の値をすべての試料から差し引き、FVIII濃度に対してプロットした吸光度値の線型回帰により検量線を作成した。F8-500タンパク質のそれと比べた本FVIIIの収率をTable 1(表1)に示す。
(実施例15)
クロモジェニックアッセイにより測定される精製試料におけるFVIII活性
rFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を次のようにCoatest SP試薬(Chromogenix)を用いてクロモジェニックFVIIIアッセイで評価した。rFVIII試料及びFVIII標準(例えば、NIBSCからの第7次国際FVIII標準と対照して検定した精製野生型rFVIII)をCoatestアッセイ緩衝液(50mMトリス、150mMNaCl、1%BSA、pH7.3、保存剤を含む)で希釈した。50μlの試料、標準及び緩衝液陰性対照を96ウエルマイクロタイタープレート(Nunc)に2連で加えた。Coatest SPキットからの第IXa因子/第X因子試薬、リン脂質試薬及びCaCl2を5:1:3(体積:体積:体積)で混合し、これの75μlをウエルに加えた。室温で15分間のインキュベーションの後、50μlの第Xa因子基質S-2765/トロンビン抑制物質I-2581ミックスを加え、25μlの1Mクエン酸、pH3を加える前に反応物を室温で10分間インキュベートした。415nmにおける吸光度を、参照波長として用いた620nmでの吸光度とともにSpectramaxマイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devices)で測定した。陰性対照の値をすべての試料から差し引き、FVIII濃度に対してプロットした吸光度値の線型回帰により検量線を作成した。比活性は、試料の活性をHPLCにより決定したタンパク質濃度で割ることによって計算した。HPLCについては、軽鎖に対応するクロマトグラムにおけるピーク下面積を積分し、アミノ酸分析によって濃度が決定された、野生型rFVIIIの並行分析における同じピークの面積と比較することによって試料の濃度を決定した。結果をTable 1(表1)に示す。
(実施例16)
一段凝固アッセイにより測定される精製試料中のFVIII活性
rFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を次のように一段FVIII凝固アッセイでさらに評価した。rFVIII試料及びFVIII標準(例えば、NIBSCからの第7次国際FVIII標準と対照して検定した精製野生型rFVIII)をHBS/BSA緩衝液(20mMヘペス、150mM NaCl、pH7.4、1%BSAを含む)で約10U/mlに希釈した後、VWFを含むFVIII欠乏血漿(Dade Behring又はSiemens)で10倍希釈した。その後、試料をHBS/BSA緩衝液で希釈した。APTT凝固時間は、1因子プログラム(single factor program)を用いてACL300R又はACL9000機器(Instrumentation Laboratory)で測定した。VWFを含むFVIII欠乏血漿(Dade Behring又はSiemens)をアッセイ血漿として、SynthASil(HemosIL(商標)、Instrumentation Laboratory)をaPTT試薬として用いた。凝固機器において、希釈した試料又は標準をFVIII欠乏血漿、aPTT試薬と37℃で混合した。塩化カルシウムを加え(assed)、凝血塊形成までの時間を濁度により決定した。試料中のFVIII活性は、FVIII標準の希釈物の凝血塊形成時間の標準曲線に基づいて計算する。結果をTable 1(表1)に示す。
Figure 2018104459
(実施例17)
VWF断片をコードする発現ベクターの構築
VWFシグナルペプチドとそれに続く種々のC末端切断型、VWF D'ドメイン及びVWF D3ドメイン、Ala-Leu-Alaスペーサー及びHPC4タグをコードするDNA断片をプラスミドpLC095を鋳型として用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により生成させた(プラスミドpLLC095は実施例26で述べる)。プライマーJP1000は、フォワードプライマーとしてTable 2(表2)に示すリバースプライマーJP1001〜JP1008と組み合わせてすべてのPCR反応に用いた。
Figure 2018104459
PCR産物をHindIII及びNhelで消化し、その後、Rapid DNA Ligationキット(Roche Diagnostics GmbH、Mannheim、Germany)を用いてHindIII及びNhel消化pJSV164ベクターにクローニングした。pJSV164は、CD33シグナルペプチド及びHPC4タグを含むpTT5ベースの発現ベクター(Yves Durocher、CNRC、Montreal、Canada)である。HindIII及びNhelによるpJSV164の消化により、CD33シグナルペプチドが除去され、HPC4タグを含むフレーム内の対象の遺伝子のクローニングが可能となって、対象の遺伝子とHPC4タグがAla-Leu-Alaリンカーペプチドにより分離されている対象のC末端HPC4タグ付き遺伝子をコードする発現カセットが生成する。ライゲーション反応物をTop10細胞に形質転換させた(Life Technologies、Carlsbad、CA、USA)。
得られた8つのプラスミドをTable 3(表3)に示すように命名した。生成したタンパク質のアミノ酸配列の概略は、配列番号4、5、6、7、8、11及び16に示されている。
Figure 2018104459
(実施例18)
VWF断片をコードする発現ベクターの構築(2)
pJSV348(実施例17参照)を鋳型として用いてライゲーション独立クローニング(LIC)により、VWFの3つのさらなるHPC4タグ付き切断型変異体を生成させた。Table 4(表4)に示すプライマーを用いてpJSV438上で3つの独立したPCR反応を始動させた。
Figure 2018104459
3つのPCR断片VWF(864〜1250)-HPC4、VWF(764〜1128)-HPC4及びVWF(764〜1129)-HPC4は、それぞれサイズが5685/5610/5817bpであった。PCR断片をDpnI処理して、メチル化鋳型DNAを除去した。その後、PCR断片をゲルから精製し、In-Fusion HDクローニングキット(Clontech、Mountain View、CA、USA)を用いてLICによりセルフライゲーションさせて、環状DNA断片を生成させ、その後、Top10細胞に形質転換させた(Life Technologies、Carlsbad、CA、USA)。
得られた3つのプラスミドをTable 5(表5)に示すように命名した。生成したタンパク質のアミノ酸配列の概略は、配列番号12、9及び10に示されている。
Figure 2018104459
(実施例19)
VWF断片の一過性発現
0.9〜1.1×106細胞/mlの密度のヒト胚腎293 6E懸濁細胞にVWF断片コーディングプラスミド(0.7mg/l又は1.0mg/l)及びトランスフェクション剤293 Fectin(Invitrogen)(1.0ml/l又は1.4ml/l)の複合体をトランスフェクトした。トランスフェクション複合体は、プラスミド及びトランスフェクションを別個に希釈し、2つの溶液を混合し、混合物を室温で20分間インキュベートすることによって調製した。複合体混合物を細胞懸濁液に加え、懸濁液を振とうインキュベーター中で36.5℃又は37℃及び5%又は8%CO2で5日間インキュベートした。細胞培養採取物を0.22μm膜によりろ過し、実施例22で述べるようにVWF断片の精製のために用いた。
(実施例20)
VWF断片の二量体の調製
天然全長VWF分子(配列番号22)において、分子のN末端部における2つのシステイン残基、すなわち、Cys1099及びCys1142がVWFの二量体化及び/又は多量体化に関与していると推測される。
配列(配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、及び配列番号21)の単量体断片のすべてにおいて、2つのシステイン残基(Cys1099及びCys1142)が他のアミノ酸残基に突然変異しており、そのため発現分子が二量体/多量体を形成することができない。配列番号9の単量体断片は、Cys1099の別のアミノ酸残基への突然変異によって生成される。
いくつかの場合に、VWF断片の二量体が望まれる。これは、以下のようないくつかの方法で達成することができる。
二量体形成を達成するための1つの方法は、1099位及び1142位における2つの残基をシステインとして保持することである。組換え二量体分子を作製するために、所望のVWF断片をコードするcDNAがVWFのプレ配列、例えば、VWFのD1D2配列(配列番号22のアミノ酸残基23〜763)を含んでいる。これは、ゴルジ装置における処理中に立体配置における所定のVWF断片の2つの単量体の位置を調整して、単量体1におけるCys1099を単量体2におけるCys1099に結合させ、単量体1におけるCys1142を単量体2におけるCys1142に結合させる、2つのジスルフィド結合により二量体分子が形成されることを可能にする。
二量体形成を達成するための別の方法は、プレ配列(配列番号22のアミノ酸残基23〜763)を含めることを避け、単に1099及び1142位におけるCysを有する組換えVWF断片に二量体分子を形成させることである。これは、原理上は、例えば、以下のような一連の異なる二量体をもたらしうる。
Cys1099-Cys1099/Cys1142-Cys1142(2つのジスルフィド結合-上記と同様)
Cys1099-Cys1142/Cys1099-Cys1142(2つのジスルフィド結合)
Cys1099-Cys1099(1つのジスルフィド結合)
Cys1142-Cys1142(1つのジスルフィド結合)
Cys1099-Cys1142(1つのジスルフィド結合)
二量体形成を達成するためのさらに別の方法は、システイン残基1099又は1142の1つを他のアミノ酸残基(例えば、セリン、アルギニン)で置換することでありうる。
Cys1099を非システイン残基で置換する場合、単量体1におけるCys1142と単量体2におけるCys1142との間のジスルフィド結合の構築によって、分子は、二量体を形成しうる。
Cys1142を非システイン残基で置換する場合、単量体1におけるCys1099と単量体2におけるCys1099との間のジスルフィド結合の構築によって、分子は、二量体を形成しうる。
上述の二量体は、VWFのD1D2プレ配列(配列番号22のアミノ酸残基23〜763)を用いて又は用いずに構築することができる。
異なる単量体及び二量体は、FVIIIへのそれらの結合、それらの製造の容易さ及び共製剤として皮下注射した場合のFVIIIの生物学的利用率に対するそれらの効果に関して異なる特性を有する。
(実施例21)
競合ELISAを用いるFVIIIへのVWF及びVWF断片の結合の評価
FVIIIへの異なるVWF断片の結合を調べるために、以下の方法を用いる。手短に述べると、ヒトVWFをマイクロタイタープレートに被覆し、4℃で一夜インキュベートする。ブロッキング後、プレインキュベート済みFVIII(1nM)及びVWF/VWF断片を含む溶液をプレートに加え、その後、ビオチニル化抗FVIII抗体及びストレプトアビジンペルオキシダーゼS-POD(1:20000)により検出する。吸光度を450/620nmで測定する。IC50値をTable 6(表6)に示す。
Figure 2018104459
異なる断片間のFVIII結合のこれらの差は、皮下投与FVIII共製剤における異なる効果を示すものである可能性がある。IC50値も共製剤混合物中の最適なVWF及びFVIII濃度を決定するために用いられる。
(実施例22)
HPC4タグ付きVWF断片の精製及び特徴付け
いくつかのVWFをクローニングし、C末端HPC4タグ:EDQVDPRLIDGK(配列番号37)を用いて発現させる。時にはALAの配列を有する追加のリンカーをVWF断片とHPC4タグとの間に導入する。クローニング、発現及び細胞培養の後、細胞培地にCaCl2を1mMの最終濃度に加える。培地を抗HPC4カラムに通す。カラムを20mMへペス、100mM NaCl、1mM CaCl2、pH=7.5で平衡化する。細胞培地を加えた後、カラムを20mMへペス、1M NaCl、1mM CaCl2、pH=7.5で洗浄し、その後、HPC4タグ付きVWF断片を20mMへペス、100mM NaCl、5mM EDTA、pH=7.5により溶出する。抗HPC4カラムからのプールに3倍の体積の水を加えて、伝導度を低下させ、Mono Qカラム上に加える。加える前にMono Qカラムを20mMへペス、100mM NaCl、5mM EDTA、pH=7.5で平衡化する。Mono Qカラムを20mMへペス、100mM NaCl、pH=7.5で洗浄し、20mMへペス、10mM CaCl2、pH=7.5中100mM NaClから2M NaClまでの勾配でVWF断片を溶出する。
精製タンパク質は、1)SDS-ゲル電気泳動、2)分析HPLC及び3)アミノ酸配列解析により特徴付けを行う。
非タグ付きVWF断片の精製及び特徴付け
クローニング、発現及び細胞培養の後、細胞培地を抗VWFカラムに通す。抗VWF抗体は、VWFのアミノ酸残基番号764〜865(配列番号5)を認識する。カラムを20mMへペス、100mM NaCl、pH=7.5で平衡化する。細胞培地を加えた後、カラムを20mMへペス、1M NaCl、pH=7.5で洗浄し、その後、VWF断片を50mM酢酸、100mM NaCl、pH=4.0により溶出する。抗VWFカラムからのプールをpH=7.5に調整し、Mono Qカラム上に加える。加える前にMono Qカラムを20mMへペス、100mM NaCl、pH=7.5で平衡化する。Mono Qカラムを20mMへペス、100mM NaCl、pH=7.5で洗浄し、VWF断片を20mMへペス、pH=7.5中100mM NaClから2M NaClまでの勾配で溶出する。
精製VWF断片は、1)SDS-ゲル電気泳動、2)分析HPLC及び3)アミノ酸配列解析により特徴付けを行う。
(実施例23)
等温滴定熱量測定を用いることによるFVIIIへのVWF断片の結合の評価
すべてのタンパク質試料を50mMへペスpH7.4、150mM NaCl、10mM CaCl2緩衝液で透析する。各iTC実験においてiTCセルにFVIII(約250μL)を、注射器にVWF変異体(約40μL)を満たすことを必要とする。温度を要求に応じて設定し、タンパク質試料を所定の実験条件下で(約10分)平衡化する。一般的にFVIIIを含むセルへのVWF変異体の(2〜2.5μL)の17〜20回の注入を行う。最初の注入は、常に0.2μLであり、平衡化工程中の拡散を予期するために最終データ解析から除去する。撹拌速度は、700〜1000rpmに設定する。データ収集のフィルター期間は、高フィードバックモード設定で5秒である。各滴定は、120秒間隔とする。適切な対照実験を行う。生データを処理してベースラインを定め、積分して最終等温線を得る。この結合等温線は、単一部位モデルに適合して、Kd、化学量論(n)、ΔH及びΔS値をFVIIIへのVWF変異体の結合の完全な特徴付けにもたらす。一例の結合等温線を図9に示す。これらのデータは、皮下投与を目的とする共製剤中のFVIII及びVWF断片の最適濃度を決定するために用いる。
(実施例24)
FVIIIノックアウトマウスにおける皮下投与
試験化合物を次のように調製した。試験化合物を18mg/ml NaCl、3mg/mlサッカロース、1.5mg/ml L-ヒスチジン、0.1mg/mlポリソルベート80、0.25mg/ml CaCl2、pH約7.3に加えて製剤化した。VWF又はVWF断片を含む試験製剤について、共製剤中のVWFにより結合されたFVIII%は、Ki=Kdと仮定して実施例21で上述した利用可能なIC50(Ki)値(Table6(表6))又は実施例23で述べたように得られたKd値を用いて計算した。
22gのおおよその体重を有するTaconic M&B(B6.129S4-F8tm1Kaz/J)において飼育されたC57BI/6及びSV129の混合バックグラウンドにおけるエクソン16ノックアウトのFVIII KOマウスの側腹部に様々なタンパク質と併用してFVIIIを(各試験化合物を6〜9匹のマウスに)皮下投与した。投与容量は、表7で示された場合、5ml/kg又は0.25ml/kgであった。
血液は、0〜96時間における9時点に、n=2〜3匹マウス/時点として、少量試料採取計画で各マウスからの3つの血液試料として採取した。マウスは、後眼窩静脈叢を介して血液試料を採取する前にイソフルラン/O2/N2Oにより麻酔した。45μlの血液を5μlのクエン酸ナトリウム(0.13M)により安定化し、200μlのFVIIIコアテストSP緩衝液(50mM TRIS-HCl、1%BSA、シプロフロキサシン10mg/L、pH7.3)を加えた。室温で4000gで5分間遠心分離した後、上清を、分析の前に-80℃で保存する前に直ちにドライアイス上で凍結した。
試料は、Ovlisen Kら、J. Thromb. Haemost、2008、6巻、969〜975頁により記載されているようにFVIIIのクロモジェニック活性に関して、またFVIII LOCIアッセイ(ルミネセンス酸素チャネリング免疫検定)における2つのFVIII軽鎖抗体(4F45及び4F11)を用いたFVIII抗原分析により分析した。
平均血漿中濃度対時間データは、所定の薬物動態パラメーターを推定するWinNonlin Phoenix(Pharsight Corporation)を用いた非コンパートメント解析により解析した。生物学的利用率は、FVIII KOマウス系統におけるN8又はN8-GPの以前のi.v.薬物動態試験を用いて推定した。
試験化合物のs.c. FVIII生物学的利用率を下のTable 7(表7)並びに図7及び8に示す。
Figure 2018104459
Figure 2018104459
VWF断片と共製剤化したFVIIIのs.c.生物学的利用率は、VWF断片長よりもむしろ共製剤におけるFVIII VWF結合部位の飽和度に依存するように思われる。FVIIIの>80%の飽和が達成された最短VWF断片は、764〜865であり、この製剤は、4.3%の生物学的利用率を示した(VWF断片と比べてN8/ツロクトコグアルファの34モル過剰)。飽和度に関して同様な条件下で試験した最長VWF断片は、764〜1464断片であり、これが7.3%のFVIII生物学的利用率をもたらした。0.25ml/kgのより低い容量で投与した764〜1464の二量体は、8.4%のFVIII生物学的利用率をもたらした。
全D3領域を含まない764〜1250より短い断片は、より長い断片よりも高いIC50(Ki)でFVIIIに結合する。したがって、764〜1250より短いFVIIIとVWF断片との1対1モル製剤は、より低い、すなわち、4%未満のFVIIIの生物学的利用率を示した。
本発明によるVWF断片のFVIII生物学的利用率改善効果は、したがって、VWF断片によるFVIII VWF結合部位の飽和によって得ることができる。したがって、比較的に低いFVIII結合親和力を有する短いVWF断片は、高度の生物学的利用率を得るために、より良好なFVIII結合特性を有するより長いVWF断片と比較してより高い比率で用いるべきである。
全長配列に由来するFVIII(Kogenate(登録商標))は、764〜1464 VWF断片と共製剤化した場合、切断型Bドメインを有するFVIII(ツロクトコグアルファ/N8)と同程度の生物学的利用率を示した。これは、高いFVIII生物学的利用率は、ツロクトコグアルファ/N8との共製剤に依存するのではなく、VWF断片の存在に依存することを示すものである。
FVIII(ツロクトコグアルファ/N8)と全長血漿由来ヒトVWFとの共製剤が約0%のFVIII生物学的利用率をもたらしたことから、VWFの断片のみがFVIIIの生物学的利用率を増大させうることが実証された。全長VWFの効果の欠如の理由は、コラーゲンの結合及び取込みをもたらしうるA3ドメインにおけるコラーゲン結合部位の存在に起因する可能性がある。したがって、本発明による好ましいVWF断片は、A3ドメインを含まない。或いは又はさらに、全長VWFの多量体化能力は、複合体のサイズのため全身吸収を制限する大きな多量体を産生する。データから、Table 7(表7)における試験済みのものより長いVWF断片(好ましくはA3ドメインを含まない)もFVIII生物学的利用率に対する同じ有益な効果を有することがわかる。
血清アルブミンは、FVIII(ツロクトコグアルファ/N8)のs.c.生物学的利用率を改善しなかった。FVIII製剤におけるさらなるタンパク質の存在は、このタンパク質が本発明によるVWF断片でない限り、FVIIIのs.c.生物学的利用率を増加させないと思われる。
FVIII:VWF断片の1:1〜1:7.7のモル比について確認されるように、VWFは、FVIIIのs.c.生物学的利用率に決定的に重要なものでなかった。したがって、高いFVIIIの生物学的利用率を達成するための決定的に重要な要因は、VWF断片による高度のFVIIIの飽和(結合)であると思われる。少なくとも86.8%のN8の計算飽和度を含むこれらの実験におけるすべての組成物は、同様の生物学的利用率をもたらした。したがって、本発明によるVWF断片は、s.c.注射部位におけるFVIIIを保護しうる。
226アミノ酸(aa)Bドメイン(配列番号3)を有するFVIIIは、ツロクトコグアルファ/N8より高いs.c. FVIII生物学的利用率を示した。しかし、226 aa Bドメインを有するこのFVIIIの生物学的利用率は、VWF断片764〜1464(TIL'/E'/D3/A1)単量体とのs.c.併用投与に関連してツロクトコグアルファ/N8と同等であった。したがって、226 aa Bドメインにおけるさらなるアミノ酸(ツロクトコグアルファ/N8と比較して)は、その血管外投与に関連してFVIIIのクリアランス部位を保護しうると推測される。このことは、そのようなFVIII分子は、本発明によるVWFと併用する又は併用しないs.c.投与に用いることできることを意味する。
FVIIIK1804C-HEP157は、VWF断片764〜1464(TIL'/E'/D3/A1)単量体との併用投与で50%の生物学的利用率を、単独投与で27%の生物学的利用率を示した。PSA40Ks-O-グリカン-N8は、VWF断片764〜1464(TIL'/E'/D3/A1)単量体との併用投与で8.8%、単独投与で6.11%の生物学的利用率を示した。したがって、FVIII分子とヘパロサンポリマー及び/又はポリシアル酸ポリマーとのコンジュゲーションが皮下における分解/取込みからFVIIIを保護するか、又はs.c.吸収を増大させると推測することができる。ヘパロサンはs.c.生物学的利用率の増大においてシアル酸ポリマーよりも効果的であると思われる。両FVIII変異体は、VWF断片とともに投与した場合、より高い生物学的利用率を示した。
N8-GP並びにFVIIIK1804C-HEP157+764〜1464(TIL'/E'/D3/A1)単量体及び二量体は、得られた最高の生物学的利用率をもたらした。N8-GPの生物学的利用率は、用量又は共製剤中の濃度を増加させることにより増加させることができる。投与容量は、すべての投与で5ml/kgであり、したがって、投与溶液中のN8-GPの濃度は、10000IU/kg投与よりも20000IU/kg投与で2倍高い。これが、それぞれ28%及び19%の生物学的利用率をもたらした。
764〜1464二量体VWF断片は、突然変異を含まない。764〜1464二量体VWF断片は、ツロクトコグアルファ及びN8-GPにより強く結合する(Table 6(表6))が、該断片の単量体と同様のFVIIIの生物学的利用率をもたらす。これは、本発明によるVWF断片におけるCys1099及び/又はCys1142の置換がFVIIIの生物学的利用率に影響を及ぼさないことを示すものである。また、N8-GPに対するVWF断片の結合親和力は、FVIII分子の80%以上が共製剤中のVWF断片との複合体に存在する限りはN8-GPの生物学的利用率に対する効果に影響を及ぼさない。さらに、VWF断片764〜1464の二量体型は、生物学的利用率を改善するので、所望のVWF断片の最大分子量は、158.8kDaに等しいか、又はより大きい可能性がある。
N8-GPとヒアルロニダーゼとの共製剤は、FVIIIの生物学的利用率を増加させなかったことから、皮下における細胞外マトリックス中のヒアルロンネットワークが血流中へのFVIIIの通過を妨げないことがわかる。同様に、in vivoでのトロンビン活性を阻害するレベルに投与したヒルジンは、N8-GP の生物学的利用率に影響を及ぼさなかった。したがって、FVIIIのトロンビン活性化は、s.c.FVIII生物学的利用率に影響を及ぼさないと思われる。
C1に結合し、FVIIIの細胞取込みを抑制する抗体4F30(国際公開第2012035050号においてさらに特徴付けられている)は、N8-GPの生物学的利用率を改善しなかった。この製剤においては、2000IU/ml N8-GPを1mg/mlの4F30と共製剤化されており、これは、0.06nMのKd、20倍のin vivo希釈、170000g/molのFVIII(ツロクトコグアルファ/N8)の分子量、ツロクトコグアルファ/N8の10000IU/mgの比活性及び150000g/molの4F30の分子量を仮定すると、in vivo希釈後にもFVIIIの99%がmAbに結合していたことを意味する。また、K2092A+F2093A突然変異を有するPEG化FVIIIは、細胞への取込みの低下を示したが、突然変異は、N8-GPと比較して生物学的利用率を改善しなかった。したがって、細胞へのFVIIIの取込みの阻害は、共製剤化VWF断片がFVIIIのs.c.生物学的利用率の増大をもたらすメカニズムであるとは思われない。
(実施例25)
ニュージーランドホワイトウサギにおける皮下投与
試験化合物を18mg/ml NaCl、3mg/mlサッカロース、1.5mg/ml L-ヒスチジン、0.1mg/mlポリソルベート80、0.25mg/ml CaCl2、pH約7.3に加えて製剤化した。VWF又はVWF断片を含む試験製剤について、VWFにより結合されたFVIII%は、IC50=Ki=Kdと仮定して利用可能なIC50値(Table6(表6))を用いて計算した。
体重が約2〜3kgの雌ニュージーランドホワイトウサギを試験に用いた。動物に飼料及び水を自由に摂取させた。ウサギの大腿部に様々なタンパク質と組み合わせたFVIIIを、各試験化合物につき4〜5匹のウサギを用いて皮下投与した。投与容量は、0.2ml/kg又は1ml/kgであった。
血液試料は、0〜96時間における11時点に、n=4〜5匹ウサギ/時点として採取した。各試料採取時点に、1mlの血液を21G針及びEDTA被覆管を用いて耳動脈から採取した。管を血液の採取後10分以内に4000Gで5分間遠心分離し、血漿を分離した。試料は、分析の前に-80℃で保存する前にドライアイス上で直ちに凍結した。試料は、FVIII LOCIアッセイ(ルミネセンス酸素チャネリング免疫検定)における2つのFVIII軽鎖抗体(4F45及び4F11)を用いたFVIII抗原分析により分析した。
平均血漿中濃度対時間データは、所定の薬物動態パラメーターを推定するWinNonlin Phoenix(Pharsight Corporation)を用いた非コンパートメント解析により解析した。生物学的利用率は、ウサギにi.v.投与したFVIII(ツロクトコグアルファ/N8)及びN8-GPの薬物動態試験を用いて推定した。
得られた生物学的利用率をTable 8(表8)に示す。
Figure 2018104459
0.2ml/kgの投与容量で投与したN8-GP及びVWF断片TIL'/E'/D3/A1との共製剤化N8-GPのウサギにおけるs.c.生物学的利用率は、それぞれ40及び59%であった。1ml/kgの投与容量で投与したN8-GP+VWFの生物学的利用率は、34%であった。したがって、N8-GPの生物学的利用率は、種又は投与容量の差(マウスにおける5ml/kg及びウサギにおける0.2ml/kg又は1ml/kg)による影響を受ける可能性がある。0.2ml/kgは、ヒトに該当する投与容量に最も近い。VWF断片TIL'/E'/D3/A1と一緒に投与したFVIII(ツロクトコグアルファ/N8)は、より高い投与濃度にもかかわらずマウスと比較してウサギにおいて同様の生物学的利用率を示した。
(実施例26)
VWF断片をコードする発現ベクターの構築
野生型ヒトVWF cDNAからなる挿入断片を含むpZEMHygroベクターからなるプラスミド#796を切断型ヒトVWFタンパク質の発現のためのDNA構築物を生成するための出発点として用いた。
VWFシグナルペプチドとそれに続くVWF TIL'E'ドメイン、VWF D3ドメイン、VWF A1ドメイン及びHPC4タグをコードするDNAを、鋳型としてのプラスミド#796、フォワードプライマーoLLC089 VWFフォワード及びリバースプライマーoLLC092 VWF A1 HPC4リバースを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により生成させた。これらのプライマーは、それぞれNhe I及びNot I制限部位を含む。得られたPCR産物をpCR2.1-TOPOベクター(Invitrogen)に挿入した。ここからVWF(TIL'/E'/D3/A1)-HPC4コーディングDNAをNhe I及びNot I制限酵素で切除し、同じ制限酵素で消化したpZEM219bに挿入した。このように、VWF(TIL'/E'/D3/A1)-HPC4をコードする挿入断片を含むpZEM219bからなるpLLC089構築物が構築された。
pLLC089によりコードされるVWF VWF(TIL'/E'/D3/A1)-HPC4タンパク質におけるアミノ酸置換C1099/1142Sをもたらすヌクレオチド置換は、QuikChange XL部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)並びにoLLC101-f、oLLC102-r、oLLC103-f及びoLLC104-r突然変異誘発プライマーを用いてpLCC089の部位特異的突然変異誘発によって導入した。部位特異的突然変異誘発は、VWF(TIL'/E'/D3/A1)C1099/1142S-HPC4をコードする挿入断片を含むpZEM219bからなるpLLC095ベクターを生じさせた。
Figure 2018104459
(実施例27)
VWF断片を発現する安定細胞系
10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ修正イーグル培地中で増殖させたベビーハムスター腎臓(BHK)細胞にGenejuiceトランスフェクション試薬(Merck)を用いてpLL095をトランスフェクトした。VWF(TIL'/E'/D3/A1)C1099/1142S-HPC4を産生する非クローン性BHK細胞系を生じさせるトランスフェクト細胞のプールは、1.5□Mメトトレキセートを用いた選択によって生成させた。細胞をバイオファーメンター中に播種し、実施例22で述べたように細胞培養上清からVWF(TIL'/E'/D3/A1)C1099/1142S-HPC4タンパク質を精製した。
懸濁液中で増殖させたCHO-DUKX-B11懸濁細胞にエレクトロポレーションによりpLLC095をトランスフェクトした。ヌクレオシドを含まない培地中の増殖への適応によりトランスフェクト細胞のプールを生成させた。その後、プールをVWF(TIL'/E'/D3/A1)C1099/1142S-HPC4産生非クローン性CHO-DUKX-B11細胞系MBML001を生じさせる100mMメトトレキセートの存在下での増殖に適応させた。細胞をバイオファーメンター中に播種し、実施例22で述べたように細胞培養上清からVWF(TIL'/E'/D3/A1)C1099/1142S-HPC4タンパク質を精製した。
(実施例28)
VWF断片はFVIIIを細胞取込みから保護する
FVIIIの細胞取込みに対する血漿由来(pd) VWF及びVWFの断片の効果を、両方が抗原提示細胞である、ヒト単球由来マクロファージ若しくは樹状細胞、又はU87 MG細胞において評価する。U87 MG細胞は、ATCC(HTB-14)から得る。細胞は、フィブロネクチン被覆24ウエルプレートで10%熱不活性化FCS添加EMEM中で5%CO2雰囲気中37℃で48時間培養する。細胞を緩衝液A(10mMヘペス、150mM NaCl、4KCl、11mMグルコース、pH7.4)で注意深く洗浄し、緩衝液B(5mM CaCl2及び1mg/ml BSAを添加した緩衝液A)とともに15分間インキュベートする。放射性標識FVIII(125I-FVIII、最終濃度1nM)を単独で又は種々の濃度のpdVWF(American Diagnostica、単量体含量に基づく最終濃度0.001nM〜50nM)又はTIL'/E'/D3/A1(最終濃度0.25nM〜500nM又は1000nM)と前混合してU87 MG細胞への添加前に10分間インキュベートし、結合及びインターナリゼーションを可能にするために細胞とともに37℃で1時間インキュベートする。その後、細胞を氷冷緩衝液Bで3回洗浄した。100μg/mlトリプシン、50μg/mlプロテイナーゼK、5mM EDTAを含むPBS(pH7.4)中の細胞を氷上で1時間インキュベートすることにより、表面結合タンパク質を除去する。分離した細胞を管に移し、遠心分離して細胞をペレットにする。細胞結合FVIIIに相当する上清を新たな管に移す。上清(結合FVIII)及び細胞ペレット(インターナライズしたFVIII)を含む管内の放射能をガンマ線計数装置で定量し、125I-FVIIIに基づく標準曲線を用いることによってFVIII濃度の値を計算する。FVIIIが存在しない状態での結合125I-FVIIIを100%とする。
樹状細胞及びマクロファージは、製造業者の指示に従って磁気抗CD14ビーズ(Miltenyi Biotec)及びMACSカラム(Miltenyi Biotec)を用いた磁気分離によりバフィーコートから単離した単球から分化させる。単球(0.5×106細胞/ml)をT-75組織培養フラスコ中に播種し、細胞をマクロファージに分化させるために10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び3.3ng/ml M-CSF(R&D Systems)を含むIMDM培地(GIBCO)中で培養する。追加の3.3ng/ml M-CSFを3日間の培養の後に加える。単球は、代わりに、40ng/ml GM-CSF(R&D Systems)及び40ng/ml IL-4により5日間刺激することによって樹状細胞に分化させることができる。樹状細胞は、緩衝液Bで洗浄し、0.5×106細胞/管で低結合Nunc管に移す。蛍光標識FVIII、例えば、オレゴングリーンFVIII(例えば、30及び100nM)を加え、37℃で1時間インキュベートする。細胞を1回洗浄し、LRS Fortessa機器(BD)を用いてフローサイトメトリーにより分析する。マクロファージは、6日間の培養の後にPBSで洗浄し、5%FCSを含むPBS中2.5mM EDTAとともに4℃で10〜20分間インキュベートして、細胞を分離する。マクロファージ(7×105/ウエル)をフィブロネクチン被覆96ウエルガラス底組織培養プレート(Perkin Elmer ViewPlate Black)上に播種する。播種の24時間後に、30nM蛍光標識FVIII(例えば、オレゴングリーン-FVIII)の単独での又は漸増濃度(15〜240nM)のpdVWF(American Diagnostica)若しくはTIL'/E'/D3/A1の存在下での添加の前に細胞を緩衝液Bで1回洗浄する。マクロファージを37℃で1時間インキュベートする。その後、細胞核を視覚化するために2.5μg/ml Hoechst33342(Molecular Probes)を含むPBSの添加の前に、細胞を緩衝液Bで2回洗浄して、非インターナライズ物質を除去する。次いで、プレートを、Operetta(登録商標)High Content Screeningシステム(Perkin Elmer、Hamburg)で20×高NA対物レンズを用いて広視野蛍光モードで直ちに撮像する。1ウエル当たり10視野を撮像し、解析する。Harmony(登録商標)ソフトウエアにおける画像解析へのアプローチは、小胞性FVIIIを検出するための「ファインドパーティクル(find particle)」法を用いて核の計数(Hoechstチャンネル)とそれに続くテクスチャ解析(FVIIIチャンネル)に基づいている。死又はアポトーシス細胞は、核の断片化及び/又は形質膜へのFVIIIの過剰結合に基づいて解析から除外される。インターナライズしたFVIIIを定量するために、小胞性FVIIIシグナルの積分蛍光強度を計算し、時間に対してプロットする。
U87 MG細胞及びマクロファージにおけるFVIIIの結合及びインターナリゼーションの阻害のIC50値をTable 10(表10)に示す。pdVWF及びTIL'/E'/D3/A1の両方は、十分に高い濃度を用いる場合には、両細胞型におけるFVIIIの細胞結合/取込みを阻害することができる。
抗原提示細胞における取込みがFVIIIを免疫系に提示するうえでの最初の段階であるので、データは、FVIIIとVWF断片との共製剤化によって免疫応答の低減を達成することができることを示すものである。
Figure 2018104459
(実施例29)
皮下投与後のVWF変異体との共製剤化FVIII化合物の有効性
FVIII欠乏性のFVIII KOマウスの12〜16週齡の雄及び雌を12匹の動物の3群に分ける。各群において、8匹の動物を尾出血に供し、4匹の動物を並行してROTEM解析を用いるex vivo有効性試験に用いる。
グリコPEG化FVIII又は媒体を尾切断の24時間前にs.c.投与する。陽性対照としてグリコPEG化FVIIIを損傷の5分前にi.v.投与する。s.c.注射は頸部に、i.v.注射は外側尾静脈に行う。投与容量は、5ml/kgである。
グリコPEG化FVIIIを緩衝液(10mM L-ヒスチジン、8.8mMスクロース、0.01%ポリソルベート80、308mM NaCl、1.7mM CaCl2 (二水和物)、0.01%ポリソルベート80 0.1mg/ml、pH6.9)に40及び500U/mlの濃度まで加えて調製し、使用するまで-80℃で保存する。
尾切断前に、マウスをイソフルランで麻酔し、加熱パッド上にのせる。尾を予熱生理食塩水中に37℃で10分間入れる。尾を先端から4mm切断する。
尾切断の直前にFVIIIの決定のために20μlの血液試料を眼窩周囲静脈叢から採取する。
血液を30分にわたって採取し、分光光度法により550nmでヘモグロビン濃度を決定する。
並行動物を血液試料の採取及びそれらの凝固パラメーターのその後の解析(ex vivo有効性)のために用いる。血液試料は、添加剤を含まない20μL毛細管を用いて眼窩周囲静脈叢から採取する。血液試料を0.13Mクエン酸ナトリウムで1:10に希釈し、注意深く混合し、ROTEMによる即時のトロンボエラストグラフィーのために室温(rum temperature)で保存する。ミニクルベット(mini curvet)(Star TEM)に7μLのCaCl2を加えることによって血液試料を再石灰化する。その後、105μLの血液をミニクルベットに加え、混合する。最大振幅に達するまで解析を実施する。
結果
s.c.投与FVIIIの予防効果は、s.c.投与後24時間目における30分の試験期間中の失血を1)媒体対照群及び2)グリコPEG化FVIIIを用いるi.v.対照群のそれと比較することによって決定する。グリコPEG化FVIIIをs.c.投与した群における失血は、i.v.投与した群における失血と同等である(図10、左パネル)。失血データは、検査済み凝固パラメーター、例えば、凝固時間のex vivo有効性並行試験に裏付けられている(図10、右パネル)。
結論として、皮下投与したFVIIIは、PKプロファイル及びex vivo活性に関する結果に基づいて止血に有効であると思われる。したがって、皮下投与したVWF断片との共製剤化FVIIIも、その薬物動態プロファイルから予測することができるように止血に有効であると考えられる。
(実施例30)
FVIII欠乏マウスにおけるs.c.投与FVIII±VWF断片の影響
試験化合物:試験化合物は、10mM L-ヒスチジン(1.55mg/ml)、8.8mMスクロース(3.0mg/ml)、308mM NaCl(18mg/ml)、1.7mM CaCl2二水和物(0.25mg/ml)、0.01%ポリソルベート80(0.1mg/ml)、pH7.3に加えて調製する。
動物:実験は、F8ノックアウト(FVIII k/o)マウス(129/C57BL/6又はC57BL/6、エクソン16崩壊)の群を用いて実施する。動物は、体重がほぼ18〜25グラムである12〜18週齡の時に実験に含める。1群当たり12〜15匹の動物を含める。
試験化合物の投与:試験化合物は、最大限10ml/kg(又は対照については5ml/kg)の投与容量を用いて皮下に(又は対照については静脈内に)投与する。
出血モデル:尾静脈切断(TVT)出血モデルは、完全イソフルラン麻酔下のマウスを用いて実施する。手短に述べると、麻酔後の出血チャレンジは、尾の直径が2.7mmにおける外側尾静脈のテンプレートガイド切断を含む。
60分間の出血の目視記録ができるように尾を37℃の生理食塩水中に浸し、その後血液を単離し、「実施例3」で述べたようにヘモグロビン濃度を測定することにより失血を決定する。実施可能及び正当化される場合、上述のように血漿中のFVIII活性(FVIII:C)の評価のために血液試料を採取する。
用量反応:種々の用量のFVIII又はVWF断片との共製剤化FVIII(例えば、N8-GP/VWF)をTVTの前の定めた時点に皮下注射する。媒体及び静脈内対照/治療群をそれぞれ無効果及び最大効果のために含める。
作用の持続時間:投与後の延長効果、すなわち、出血表現型の改善を確認するためにFVIII又はFVIII/VWFをs.c.注射する。TVTは、数時点、例えば、投与後24、48、72、96時間に実施する。
反復投与:FVIII又はFVIII/VWF断片を数日間にわたり毎日1回s.c.投与する。TVTを種々の時点に実施して、出血表現型の改善を評価する。
データ処理及び解析:実験中にデータを物理的に記録する。この後、データは、GraphPad Prism version 5(GraphPad Software, Inc.、CA、USA)で解析する前にMS Excel(Microsoft、WA、USA)を用いて解析のために集約する。
(実施例31)
他のFVIII欠乏種におけるs.c. FVIII±VWF断片の効果
血友病Aの非マウスモデル、例えば、ラット及びイヌにおける皮下投与後の効果を確認するために他の種における追加の薬力学的実験を行う。ex vivo効果を評価する前に、出血チャレンジを誘導する前に、又は自然出血を治療若しくは予防する手段としてFVIII又はFVIII/VWFを皮下注射する。
試験化合物:試験化合物は、10mM L-ヒスチジン(1.55mg/ml)、8.8mMスクロース(3.0mg/ml)、308mM NaCl(18mg/ml)、1.7mM CaCl2二水和物(0.25mg/ml)、0.01%ポリソルベート80(0.1mg/ml)、pH7.3に加えて調製する。
動物:実験は、血友病Aを有する青年期ラット(約12週齡)又はイヌ(6+カ月齡)において実施する。
試験化合物の投与:試験化合物は、最大限10ml/kg(又は対照については5ml/kg)の投与容量を用いて皮下に(又は対照については静脈内に)投与する。
イヌ効果モデル:血友病Aを有するイヌにおいて、効果は、代用マーカー、例えば、以前に記載されたようにトロンボエラストグラフィー(Knudsenら、2011、Haemophilia、17、962〜970頁)を用いてex vivoで、又は記載された音響放射圧インパルス(ARFI)超音波(Scolaら、2011、Ultrasound in Med. & Biol.、37(12)、2126〜2132頁)によりモニターされる標準化出血チャレンジを用いてin vivoで評価する。能力が許すならば、自然出血イヌを治療するために試験化合物を投与する。効果は、i.v.投与に関する歴史的データと比較して臨床症状の解消を評価することによってモニターする。
ラット効果モデル:血友病Aを有するラットにおいて、効果は、マウス及びイヌについて上述のように代用マーカー、例えば、トロンボエラストグラフィーを用いてex vivoで、又は例えば、マウスについて記載されたような標準化出血チャレンジを用いてin vivoで評価する。Capacity allowing、自然出血ラットを治療するために試験化合物を投与する。効果は、i.v.投与に関する歴史的データと比較して臨床症状の解消を評価することによってモニターする。
血友病Aの非マウスモデル、例えば、ラット及びイヌにおける皮下投与後の効果を確認するために他の種における追加の薬力学的実験を行う。
(実施例32)
VWF断片をコードする発現ベクターの構築
実施例17で述べたpJSV348によりコードされるVWF(764〜1250)-C1099/1142S-ALA-HPC4タンパク質におけるアミノ酸置換S1142Cをもたらすヌクレオチド置換は、VWF 1099C S及びVWF 1099C ASプライマー(Table P)を用いてPCRベースの部位特異的突然変異誘発により導入した。これにより、VWF(764〜1250)-C1099S-ALA-HPC4(配列番号11)をコードする挿入断片を含むpTT5からなるpGB237ベクターが生じる。1142位におけるシステインは、実施例20で述べたようにタンパク質の二量体化を可能にする。
同様に、実施例17で述べたpJSV348によりコードされるVWF(764〜1250)-C1099/1142S-ALA-HPC4タンパク質におけるアミノ酸置換S1099Cをもたらすヌクレオチド置換は、VWF 1142C S及びVWF 1142C ASプライマー(Table P)を用いてPCRベースの部位特異的突然変異誘発により導入した。これにより、VWF(764〜1250)-C1142S-ALA-HPC4(配列番号11)をコードする挿入断片を含むpTT5からなるpGB238ベクターが生じる。1099位におけるシステインは、実施例20で述べたようにタンパク質の二量体化を可能にする。
同様の方法で、S1099Cアミノ酸置換を実施例18で述べたpJSV406によりコードされるVWF(764〜1128)-C1099S-HPC4タンパク質に導入し、VWF(764〜1128)-HPC4(配列番号9)をコードする挿入断片を含むpTT5からなるpGB249ベクターを生成する。1099位におけるシステインは、実施例20で述べたようにタンパク質の二量体化を可能にする。
ヒトVWFのアミノ酸1〜1250をコードするcDNAを鋳型としてのプラスミド#796(実施例26で述べた)、フォワードプライマーJP1000 VWF-HindIII S(Tabl 2(表2))及びリバースプライマーJP1006 VWF764〜1250(Tabl 2(表2))を用いてPCRにより増幅した。プライマーJP1006 VWF764〜1250は、Nhe I部位を含む。得られたPCR産物をPme I制限部位の下流のpCR4BLUNT-TOPOベクター(Invitrogen)に挿入した。ここから、vWF(1〜1250)コーディングDNAをPme I及びNhe I制限酵素により切除し、実施例17で述べたpJSV164に挿入して、vWF(1〜1250)-ALA-HPC4をコードする挿入断片を含むpTT5からなるpGB242ベクターを生成させた。1099及び1142位におけるシステインは、実施例20で述べたようにタンパク質の二量体化を可能にし、プレ配列のタンパク質分解除去により、vWF(764〜1250)-ALA-HPC4(配列番号11)が生成する。
pJSV348(実施例17で述べた)及び構築物#796(実施例26で述べた)のDNA配列は、オーバラッププライマーを用いたPCRにより逆増幅した。pJSV348配列は、プライマー2764pJSV348及び1202 pJSV348R(Table P)を用いて増幅したが、構築物#796配列は、プライマー221#796F及び3537#796R(Table P)を用いて増幅した。pJSV348(レシピエント)及び構築物#796(ドナー)からの増幅産物をアガロースゲルから切除し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clontech)を用いてライゲーション独立クローニング(LIC)により結合させて、環状DNAを生成させ、その後、Stellarコンピテント細胞(Clontech)に形質転換させた。pGB252と命名された、得られた発現ベクターは、VWF(1〜1128)-ALA-HPC4をコードする挿入断片を含むPTT5からなる。1099位のシステインは、実施例20で述べたようにタンパク質の二量体化を可能にし、プレ配列のタンパク質分解除去により、vWF(764〜1128)-ALA-HPC4(配列番号9)が生成する。
同様に、鋳型としてのpJSV348(実施例17で述べた)とプライマー2764pJSV348及び1202pJSV348R(Table P)を用いた増幅並びに鋳型としての#796(実施例26で述べた)とプライマー221#796F及び3747#796R(Table P)を用いた増幅により、アガロースゲルから切除し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clontech)を用いてライゲーション独立クローニング(LIC)により結合させて、環状DNAを生成させ、その後、Stellarコンピテント細胞(Clontech)に形質転換させたpJSV348(レシピエント)及び構築物#796(ドナー)増幅産物を生成させた。pGB253と命名された、得られた発現ベクターは、VWF(1〜1198)-ALA-HPC4をコードする挿入断片を含むPTT5からなる。1099及び1142位におけるシステインは、実施例20で述べたようにタンパク質の二量体化を可能にし、プレ配列のタンパク質分解除去により、vWF(764〜1198)-ALA-HPC4(配列番号10)が生成する。
同様の方法で、pJSV348(実施例17で述べた)及び構築物#796(実施例26で述べた)のDNA配列を、オーバラッププライマーを用いたPCRにより逆増幅した。pJSV348配列は、プライマー2764pJSV348及び2420pJSV348R(Table 11(表11))を用いて増幅したが、構築物#796配列は、プライマー3666#796F及び5203#796R(Table P)を用いて増幅した。pJSV348(レシピエント)及び構築物#796(ドナー)からの増幅産物をアガロースゲルから切除し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clontech)を用いてライゲーション独立クローニング(LIC)により結合させて、環状DNAを生成させ、その後、Stellarコンピテント細胞(Clontech)に形質転換させた。pGB250と命名された、得られた発現ベクターは、VWF(764〜1873)-C1099/1142C-ALA-HPC4(配列番号20)をコードする挿入断片を含むPTT5からなる。
構築物#796(実施例26で述べた)から増幅したヒトVWF cDNAを組み合わせて、vWF(1〜1464)-HPC4をコードする挿入断片を含むpZEM210bからなるpLLC122ベクターを生成する。1099及び1142位におけるシステインは、実施例20で述べたようにタンパク質の二量体化を可能にし、プレ配列のタンパク質分解除去により、vWF(764〜1464)-HPC4(配列番号19)が生成する。
Figure 2018104459
(実施例33)
VWF断片はヒト樹状細胞によるFVIIIの取込みを阻害する
ヒト単球由来の樹状細胞を実施例28で述べたように作製した。樹状細胞マーカーCD209及びCD86の発現をLRS Fortessa機器(BD)を用いたフローサイトメトリーにより制御した。樹状細胞とともに37℃で1時間インキュベートする前に、蛍光標識FVIII(オレゴングリーン-VIII、最終濃度30 nM)を種々の濃度の血漿由来VWF又はVWF断片と前混合した。生/死細胞キット(Invitrogen#L10119、APC-Cy7)を、生存樹状細胞をゲートオンする(gating on)ために用い、この細胞集団内のFVIIIの取込みを定量した。データは、個々の実験ごとに標準化した。VWFを含まない試料におけるシグナルを100% FVIII取込みと定義し、最高濃度の血漿由来VWF(単量体に基づいて240nM)を含む試料におけるシグナルを0%と定義した。3〜5回の実験から得られた値を合わせ、Prismソフトウエアで非線型回帰を用いてIC50値を計算した(log(阻害剤)対反応-可変勾配(4パラメーター))。得られたIC50値をTable 12(表12)に示す。データは、十分に高い濃度を用いる場合にすべての供試VWF断片が樹状細胞によるFVIIIの取込みを阻害することができたことを示している。抗原提示細胞によるFVIIIの取込みがFVIIIを免疫系に提示する最初の段階であるので、十分に高い濃度のVWF断片とFVIIIとの共製剤がFVIIIの免疫原性を減少させる可能性を有しうることがデータから示唆される。
Figure 2018104459
(実施例34)
FVIIIに対する阻害抗体を有する動物におけるs.c. FVIII±VWF断片の効果
目的は、FVIIIに対するインヒビターを有する血友病A患者を治療する医薬組成物の可能性を評価することである。我々は、FVIII単独又はVWF断片との共製剤を、組成物による治療の前のFVIIIの反復皮下若しくは静脈内投与により、又はポリクローナル若しくはモノクローナル抗FVIII抗体を注射することにより、インヒビターが誘導されるナイーブFVIII-KOマウス又はFVIII-KOマウスに皮下投与する。治療の効果は、外側尾静脈の切断の後の麻酔マウスにおいて評価する。尾をあらかじめ加温した37℃の生理食塩水に入れ、出血を60分間観察した。実験中の失血は、組成物の効果の尺度である。
(実施例35)
VWFノックアウトマウスへのVWF断片の投与
試験化合物:
マウスVWF断片TIL'/E'/D3/A1 1.829nmol/ml、0.015mg/ml
試験化合物を20mMイミダゾール、150mM NaCl、0.02%Tween 80、1.1Mグリセロール、10mM CaCl2、pH7.3に加えて製剤化した。
25gのおおよその体重を有する6匹のVWFノックアウトマウスの尾に9.48nmol/kgマウスVWF断片TIL'/E'/D3/A1を静脈内投与した。
血液試料を投与前並びに投与後0.08、0.33、0.5、1、2、4、7、18及び24時間目に各時点につき2匹のマウスから試料採取するという少量試料計画で採取した。マウスは、後眼窩静脈叢を介して血液試料を採取する前にイソフルラン/O2/N2Oにより麻酔した。各マウスから3つの試料を採取した。血液(45μl)を5μlのクエン酸ナトリウム(0.13M)により安定化し、200μlのFVIIIコアテストSP緩衝液(50mM TRIS-HCl、1%BSA、シプロフロキサシン10mg/L、pH7.3)を加えた。室温で4000gで5分間遠心分離した後、上清を、分析の前に-80℃で保存する前に直ちにドライアイス上で凍結した。
試料は、抗原LOCIアッセイ(ルミネセンス酸素チャネリング免疫検定)でFVIII濃度に関して分析した。
平均血漿中濃度対時間データを投与前値と比較して解析した。
投与後の時間に対する相対平均FVIII濃度をTable 13(表13)に示す。
Figure 2018104459
FVIIIの濃度は、VWF断片の静脈内投与後に時間とともに徐々に増加し、7時間後にTmaxとなった。この所見は、VWF病並びに血友病の治療用のVWF断片の可能性を裏付けるものである。
(実施例36)
ツロクトコグアルファ(FVIII)に対するvWF断片TIL'/E'/D3/A1、TIL'/E'/D3、TIL'E及びTIL'/E'/VWD3並びにvWF断片TIL'/E'/D3/A1に対するツロクトコグアルファ(FVIII)のHX-MSによる相互作用マッピング
HX-MSの概説
HX-MS技術は、タンパク質の水素交換(HX)を質量分析(MS)によって容易に追跡することができることを利用する。水素を含む水性溶媒を重水素を含む水性溶媒で置換することにより、タンパク質における所定の部位における重水素原子の取込みが1Daの質量の増加を生じさせる。この質量の増加は、交換反応の反応停止試料において質量分析により時間の関数としてモニターすることができる。重水素標識情報は、反応停止条件下でのペプシン消化及び得られたペプチドの質量の増加の追跡によってタンパク質における領域に亜局在化することができる。
HX-MSの1つの用途は、タンパク質-タンパク質複合体形成時の水素交換の減少の領域を特定することによって分子相互作用に関与する部位を探査することである。通常、結合面は、溶媒の立体的排除に起因する水素交換の顕著な減少によって明らかになる。タンパク質-タンパク質複合体形成は、各結合相手の存在下及び非存在下でのタンパク質膜における重水素の取込みの総量を時間の関数として単に測定することによってHX-MSにより検出することができる。HX-MS技術は、天然成分、すなわち、タンパク質及び抗体又はFab断片を用い、溶液中で実施される。したがって、HX-MSは、in vivo条件を模倣する可能性を提供する(HX-MS技術に関する最近のレビューについては、Wales及びEngen、Mass Spectrom. Rev.、25、158頁(2006)を参照)。
材料
用いたタンパク質のバッチは、以下の通りであった:
用いたFVIIIタンパク質のバッチは、以下の通りであった:
FVIII(N8、ツロクトコグアルファ、配列番号2)バッチ0155-0000-0004-37A
vWF断片
D'D3A1(配列番号19;Cys1099Ser;Cys1142Ser)バッチ0129-0000-0170-6B;
2304(配列番号5)バッチ0129-0000-2304-1B;2307(配列番号8)バッチ0129-0000-2307-1B;2308(配列番号11)バッチ0129-0000-2308 2B
すべてのタンパク質について20mMイミダゾール、500mM NaCl、10mM CaCl2(実験前にpH7.3に調整)に緩衝液を交換した。
方法:HX-MS実験
機器及びデータ記録
HX実験は、Synapt G2質量分析計(Waters Inc.)に連結したHDX Technolgyを用いるnanoAQUITY UPLCシステム(Waters Inc.)を用いて実施した。Waters HDXシステムは、重水素交換反応の開始、反応時間制御、反応停止反応、UPLCシステム上への注入及び消化時間制御を実施した、LeapShellソフトウエア(Leap Technologies Inc/Waters Inc.)により操作されるLeapロボット(H/D-x PAL; Waters Inc.)を含んでいた。Leapロボットには、それぞれ緩衝液の保存及びHX反応のために20℃に維持され、タンパク質及び反応停止溶液の保存のために2℃に維持された2つの温度制御スタックが装着されていた。Waters HDXシステムは、前置及び分析カラム並びにLCチューブ及び切替え弁を収容する1℃の温度制御チャンバーをさらに含んでいた。別個に温度制御されたチャンバーが25℃のペプシンカラムを収容している。インラインペプシン消化のために、100pmolのhIL-21を含む100μlの反応停止試料を加え、100μL/分の無勾配流量(0.1%ギ酸:CH3CN 95:5)を用いて25℃の配置されたPoroszyme(登録商標)固定化ペプシンカートリッジ(2.1×30mm(Applied Biosystems))上に通した。得られたペプチドを捕集し、VanGuard前置カラムBEH C18 1.7μm(2.1×5mm(Waters Inc.))で脱塩した。その後、前置カラムを分析カラムUPLC-BEH C18 1.7μm(1×100mm(Waters Inc.))と直列に配置するように弁を切替え、nanoAQUITY UPLCシステム(Waters Inc.)から120μl/分で送出された8〜45%Bの8分間の勾配を用いてペプチドを分離した。移動相は、A:0.1%ギ酸及びB:CH3CN中0.1%ギ酸からなっていた。ESI MSデータ及び別個の高エネルギー(MSE)実験がSynapt G2質量分析計(Waters Inc.)を用いてポジティブイオンモードで得られた。ロイシン-エンケファリンをロック質量(m/z 556.2771における[M+H]+イオン)として用い、データを連続モードで収集した(さらなる説明については、Andersen及びFaber、Int. J. Mass Spec.、302、139〜148頁(2011)を参照)。
データ解析
ペプシンペプチドは、Synapt G2 (Waters Inc.)のイオン移動特性を用いてペプチド及び断片をさらにアライメントする、標準MSE法を用いた別個の実験で同定された。MSEデータは、ProteinLynx Global Server version 2.5(Waters Inc.)を用いて処理した。HX-MS生データファイルは、DynamXソフトウエア(Waters Inc.)で処理した。DynamXは、ロック質量補正及び重水素取込み決定、すなわち、重水素化ペプチドの重心決定を自動的に行う。さらに、すべてのペプチドは、ソフトウエアによる正しいピーク及び重水素化の帰属・指定を保証するために手動で検査した。
エピトープマッピング実験
アミド水素/重水素交換(HX)は、時間0においてvWF断片、すなわち、D'D3A1、2308、2307又は2304の存在下又は非存在下で、20mMイミダゾール、150mM NaCl、10mM CaCl2、pH7.3(非補正値)に入れてFVIIIの10倍希釈により開始し、後の時点には対応する重水素化緩衝液(すなわち、D2Oに溶解して調製した20mMイミダゾール、150mM NaCl、10mM CaCl2、最終98% D2O、pH7.3(非補正値))に入れた。すべてのHX反応は、20℃で行わせ、4.5μMのvWF断片の非存在下又は存在下で3μMのFVIIIを含み、したがって、vWF断片結合相手が1.5倍のモル過剰量となっていた。10秒から240秒までの範囲における適切な時期に、HX反応物の50μlのアリコートを50μlの氷冷反応停止緩衝液(1.36M TCEP、2M尿素)により反応停止させ、最終pHが2.5(非補正値)となった。
結果及び考察
FVIIIに対する2304及び2307の相互作用マッピング
FVIIIの主要配列の83%に及ぶ191ペプチドのHXの時間経過をvWF断片2304又は2307の非存在下又は存在下で10、20、30、40、60、120及び240秒間モニターした。
vWF断片2304及び2307は、両方がFVIIIの交換プロファイルの同じ変化を誘導するので、ここでは一緒に述べるものとする。2304/2307の存在下又は非存在下での各時点(すなわち、10、20、30、40、60、120及び240秒)における観測された交換パターンは、異なる群に分けることができ、ペプチドの1つの群は、2304/2307の結合の影響を受けない交換パターンを示す。これと対照的に、FVIIIにおけるペプチドの別の群は、2304/2307の結合による交換からの保護を示す。
2304/2307の結合による保護を示す領域は、残基1855〜1875、1857〜1875、2062〜2070、2125〜2147、2125〜2148、2127〜2147、2275〜2291、2275〜2302、2275〜2305、2292〜2305及び2293〜2312に及ぶペプチドを含む(Table 14(表14))。しかし、2304/2307の結合による各ペプチド内の交換保護の相対量の比較並びにこれらの領域における重複及び隣接ペプチドにおけるエピトープ作用の欠如により、重水素の取込みの減少を示す領域を残基1862〜1875、2062〜2070、2125〜2147及び2285〜2299に狭めることができる。
FVIIIに対するD'D3A1及び2308の相互作用マッピング
FVIIIの主要配列の79%に及ぶ185ペプチドのHXの時間経過をvWF断片D'D3A1又は2308の非存在下又は存在下で10、20、30、40、60、120及び240秒間モニターした。
vWF断片D'D3A1及び2308は、両方がFVIIIの交換プロファイルの同じ変化を誘導するので、ここでは一緒に述べるものとする。
D'D3A1又は2308の結合による保護を示す領域は、残基1669〜1680、1738〜1765、1743〜1765、1856〜1869、1870〜1874、2061〜2074、2063〜2074、2123〜2146及び2260〜2280に及ぶペプチドを含む(Table 15(表15))。
しかし、D'D3A1又は2308の結合による各ペプチド内の交換保護の相対量の比較並びにこれらの領域における重複及び隣接ペプチドにおけるエピトープ作用の欠如により、重水素の取込みの減少を示す領域を残基1671〜1680、1745〜1754、1858〜1874、2063〜2074、2125〜2146、2262〜2280に狭めることができる。
D'D3A1に対するFVIIIの相互作用マッピング
vWF断片D'D3A1の主要配列の58%に及ぶ82ペプチドのHXの時間経過をFVIIIの非存在下又は存在下で10、20、40、60、120及び240秒間モニターした。
FVIIIの結合による交換保護を示す領域は、残基768〜778に及ぶペプチドを含む(Table 16(表16))。
しかし、FVIIIの結合による各ペプチド内の交換保護の相対量の比較並びにこれらの領域における重複及び隣接ペプチドにおけるエピトープ作用の欠如により、重水素の取込みの減少を示す領域を残基770〜778に狭めることができる。
結論
2304及び2307の結合により、FVIIIのすべての領域が同様の反応を示した。ペプチドの同じ基が初期の時点にvWF断片の結合による影響を受けた。
さらに、2304/2307の結合について同定されたこれらの影響を受けた領域は、FVIIIのドメインA3及びC1内のD'D3A1/2308への結合による影響を受けた領域との重複を示すことがわかった。
2304/2307結合のHX-MS時間経過に導かれたペプシンペプチドマップの配列範囲の欠如のため、残基1671〜1680の特性を交換することは可能でなかった。したがって、2304/2307結合がこの領域に交換保護を誘導するかどうかを検証することは可能でなかった。その理由は、それがD'D3A1/2308の結合により同定されたからである。
FVIIIの結合時にD'D3A1の残基770〜778に及ぶ領域は、交換保護を示した。FVIIIの結合のHXMS分析に導かれたペプシンペプチドによってもたらされたD'D3A1の58%の得られた配列範囲は、より多くの相互作用部位がD'D3A1/2308内に存在することを排除しない。
結論
vWF断片D'D3A1、2308、2304又は2307への結合による保護を示すFVIIIの同定された領域は、結晶構造PDB:2R7Eに対してマッピングするときに構造的に遠隔距離に位置している。これによって、FVIIIとvWF断片D'D3A1、2308、2304又は2307との間の結合面によって誘導される保護にそれらをすべて割り当てることができることは非常にありそうもない。HX-MS分析は、結合面によって誘導される交換保護と速やかな立体配座の変化によって誘導される交換保護とを区別することができない。
したがって、vWF断片D'D3A1、2308、2304又は2307への結合による交換保護を示す観測される領域は、FVIIIの結合面及び立体配座変化の両方にによって誘導されることは、もっともらしいと思われる。
vWF断片D'D3A1、2308、2304又は2307へのFVIIIの結合のHXMS試験により、A3及びC1ドメイン内の重複領域が明らかになったことから、FVIIIのこの部分への複雑な結合は、検討したvWF断片と同じである。
C2ドメインにおける観測された不一致は、FVIIIのこの部分がvWF断片との複合体の形成による立体配座の変化を受けることを示唆するものである。さらに、得られた結果は、D'D3A1/23081と2304/2307との間の切断の差異がC2ドメインの異なる立体配座の変化を誘導することを示唆するものである。これと対照的に、2304と2307との間の切断の差異は、C2の立体配座配向に影響を及ぼすと思われない。その理由は、C2ドメインの同じ交換プロファイルがこれらのvWF断片種への結合について認められたからである。
ドメインC1及びC2がFVIIIの膜結合親和性に必須であることは、周知である。FVIIIのこれらの部分の立体配座の変化がFVIIIの膜結合能力を低下させることを推測することができる。vWF断片に結合したFVIII複合体のドメインC1及びC2の立体配座位置は、FVIIIの膜結合親和性に不利なものであると思われる。さらに、FVIIIとの複合体における断片がFVIIIの膜結合親和性を遮断することは非常にありそうなことである。その理由は、それが、内因性vWFに結合したFVIII複合体の膜結合特性について立証されたからである。遊離のFVIIIと比較してvWF断片に結合したFVIII複合体の膜結合親和力の低下は、免疫系、例えば、抗原提示細胞の細胞膜へのFVIIIの結合の低下をもたらしうる。これがMHCクラスII上のFVIII由来ペプチドの提示を減少させる可能があり、したがって、vWF断片に結合したFVIII複合体が遊離のFVIIIよりも低い免疫原性を示すと推測することができる。
Figure 2018104459
Figure 2018104459
Figure 2018104459
(実施例37)
SEC-UVにより分析したFVIII(配列番号2)とTIL'/E'/D3/A1 III(配列番号19;Cys1099Ser;Cys1142Ser)との及びFVIII(配列番号2)とTIL'/E'/D3 II(配列番号14;Cys1099Ser;Cys1142Ser)との複合体形成
材料
用いたタンパク質のバッチは、以下の通りであった:
用いたFVIIIタンパク質のバッチは、以下の通りであった:
FVIII(N8、ツロクトコグアルファ、配列番号2)バッチ0155-0000-0004-37A;TIL'/E'/D3/A1 III(配列番号19;Cys1099Ser;Cys1142Ser)バッチ0129-0000-0170-6B; TIL'/E'/D3 II(配列番号14;Cys1099Ser;Cys1142Ser)バッチ0129-0000-2309-1B
方法
0.3ml/分の流量及び25℃の155mM NaCl、10mM酢酸カルシウム、10%イソプロパノールの分離緩衝液を用いてサイズ排除クロマトグラフィーをWaters Biosuite 4.6×300mmカラムで実施した。溶出物の吸光度をUV検出器により280nmでモニターした。FVIII、TIL'/E'/D3/A1 III、TIL'/E'/D3 II及びFVIII- TIL'/E'/D3/A1 III及びFVIII-TIL'/E'/D3 IIの1:2複合体のSEC-UV特徴付けを行った。FVIII 10μM、TIL'/E'/D3/A1 III 20μM、TIL'/E'/D3 II 20μM及び複合体の試料を調製し、15μLをカラム上に加えた。
結果及び結論
FVIII- TIL'/E'/D3/A1 III及びFVIII-TIL'/E'/D3 IIの混合物のSEC-UVは、カラムから完全な状態で溶出する複合体の重要な画分を示した。複合体は、FVIIIよりわずかに早く溶出すると予想される。これは、両方の場合にも認められた。

Claims (15)

  1. (i) 最大1200個のアミノ酸を含むVWF断片であって、前記VWF断片がTIL'ドメイン及びE'ドメインを含む、VWF断片、並びに、
    (ii) FVIII分子、
    を含む医薬組成物。
  2. 前記FVIII分子のBドメインが15から30個のアミノ酸を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記VWF断片が、600個未満のアミノ酸を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記VWF断片が、500個から600個のアミノ酸を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記VWF断片が、アミノ酸764-1268(配列番号16)を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 前記VWF断片が、さらに反復エレメントを含む、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記VWF断片が、1099及び/又は1142システインの1つ又は2つのアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記VWF断片が、二量体の一部である、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 前記VWF断片が単量体である、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 前記FVIII分子の生物学的利用率が皮下投与後に少なくとも5%である、請求項1に記載の医薬組成物。
  11. 前記FVIIIと前記VWF断片との間のモル比が1:1である、請求項1に記載の医薬組成物。
  12. FVIIIの濃度が少なくとも500IU/mlである、請求項1に記載の医薬製剤。
  13. VWF断片に結合したFVIIIの量が製剤中のFVIII総量の少なくとも70%である、請求項1に記載の医薬製剤。
  14. 血友病の治療に用いる、皮下投与用の、請求項1に記載の医薬組成物。
  15. 静脈内又は皮下投与によるフォン-ウィルブランド病の治療に用いるための、請求項1に記載の医薬組成物。
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