JP2018100063A - 移動体、並びに、これを用いた遠隔検査システム及び配管内の遠隔検査方法 - Google Patents

移動体、並びに、これを用いた遠隔検査システム及び配管内の遠隔検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遠隔操作により、複雑な形状の配管内の空間等を移動可能にするとともに、装置全体の小型化や軽量化を図ること。【解決手段】本発明の移動体は、動力源となる機器が設けられた本体18と、本体18を囲むように配置され、本体18を支持する筐体19と、本体18を所定姿勢に維持する姿勢維持手段とを備えている。本体18は、中心軸Cに沿う方向に作用する推進力Fと中心軸C周りの回転力Mを発生させるロータユニット21を備えている。筐体19は、所定の接触面上を転動可能な形状をなす。姿勢維持手段は、本体18及び筐体19を含む全体の重量バランスの調整により、中心軸Cが鉛直方向から前方に傾いた基準姿勢に本体18を常に維持可能に設けられ、推進力Fが発生したときに、基準姿勢を維持した状態で全体の上下方向及び前後方向への並進運動を可能にし、回転力Mが発生したときに、基準姿勢を維持した状態で全体の旋回運動を可能にする。【選択図】 図2

Description

本発明は、移動体、並びに、これを用いた遠隔検査システム及び配管内の遠隔検査方法に係り、更に詳しくは、全体構成を小型且つ軽量にして、遠隔操作により所定の空間内の移動を可能にする移動体、並びに、遠隔操作される移動体を用い、地中に埋設された配管内の状況等、移動に制約のある空間内の状況について、道路掘削等を行わずに非破壊で検出することを可能とする遠隔検査システム及び遠隔検査方法に関する。
台風等による風水害や水道管破裂によるサンドブラスト現象等により、ガス管に腐食や差水等の異常が発生したときに、その異常の箇所と状況を確認するには、ガスの供給を停止した状態で、道路の掘削作業が必要となり、多大な作業時間や大掛かりな作業が必要となる。
そこで、道路掘削をせず、また、ガス供給停止を行わずに、ガス管内の状態を検出できる装置が要請されるところであるが、当該装置としては、例えば、特許文献1及び2に提案されたものがある。前記特許文献1には、配管内を走行して配管の内側の検査を行う走行式配管検査装置が開示されている。この走行式配管検査装置は、複数の車両を連結させてなる台車からなり、台車の先頭にCCDカメラを取り付けた状態で、当該先頭側から配管の入口に挿入し、配管の奥に向かって台車を移動させながら、CCDカメラの取得画像により、ガス管内の異常を検出するものである。また、特許文献2には、遠隔操作により配管内を移動して周囲の状態をカメラで撮像する自走車からなる自走式配管検査装置が開示されている。
特開2010−271250号公報 特開2007−147506号公報
しかしながら、前記特許文献1及び2の各装置にあっては、多くの屈曲箇所を有するガス管の内部を奥に向かって進行させるには限度があり、装置が挿入されるガス管の入口から離れた部分での検査が不能になるケースがある。すなわち、例えば、ガス管には、道路下等の地中に埋設される本支管や、当該本支管から分岐して使用者の敷地まで延びる供給管や、当該供給管からガスメータまでの灯外内管等の種類がある。ここで、本支管は、直径50mm程度に設けられ、地中に併存する水道管や堅穴を回避するために、上下左右に屈曲する4曲がりの形状を有する。一方、供給管や灯外内管は、直径25mm程度に設けられ、8曲がり以上の形状を有する。このようなガス管に対し、前記特許文献1の装置では、ガス管内の摩擦によって進行が妨げられるとともに、複数の車両が連結された構成となっているため、屈曲部位を進行させる際の座屈現象によって、先頭を上手く前進させられない場合が生じる。また、前記特許文献2の装置にあっては、その構造上、ガス管の垂直部分や複雑な形状の部分で前進不能になり易く、当該前進を可能にする機構を搭載すると装置全体の大型化を招来し、直径25mm〜50mm程度のガス管内に収まらなくなる。加えて、前記特許文献2の装置では、配管の屈曲等により、遠隔操作のための無線が自走車に到達しない状況も起こり得ることから、無線が到達する範囲での移動に限られる。更に、自走車の動作や通信に必要な電力等の給電にバッテリーが用いられる場合、ガス管内でバッテリー切れを起こしたときに、その撤収が困難になることから、長いガス管に自走車を導入する際には、大型バッテリーを自走車に搭載しなければならず、このことも装置全体の小型化の障害となる。
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、遠隔操作により、複雑な形状の配管内その他の拘束空間を移動可能にするとともに、装置全体の小型化や軽量化を図ることができる移動体を提供することにある。
また、本発明は、ガス管等の配管の内部を検査する際に、道路掘削やガス供給を停止することなく、より早く且つ確実に配管内の状況を遠隔地点から把握できる遠隔検査システム及び遠隔検査方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、動力源となる機器が設けられた本体と、当該本体を囲むように配置され、前記本体を支持する支持体と、前記本体を所定の姿勢に維持する姿勢維持手段とを備えた移動体において、前記本体は、その中心軸に沿う方向に作用する推進力と当該中心軸周りの回転力を発生させる動力生成手段を備え、前記支持体は、当該支持体が接触する接触面に沿って転動可能な形状をなし、前記姿勢維持手段は、前記本体及び前記支持体を含む全体の重量バランスの調整により、前記中心軸が鉛直方向から前方に傾いた状態の基準姿勢に前記本体を常に維持可能に設けられ、前記推進力が発生したときに、前記基準姿勢を維持した状態で前記全体の上下方向及び前後方向への並進運動を可能にし、前記回転力が発生したときに、前記基準姿勢を維持した状態で前記全体の旋回運動を可能にする、という構成を採っている。
また、本発明は、遠隔操作によって移動可能な移動体と、当該移動体との間の無線通信を行う固定局として機能する通信装置とを備え、前記移動体の周囲の状況や現在位置に関する検出データを前記通信装置で受信する遠隔検査システムにおいて、前記移動体は、移動に必要な動力を発生させる動力生成手段と、当該動力生成手段の動作制御を行う動作制御手段と、前記検出データを検出する検出手段と、前記通信装置及び他の移動体との間で、無線通信による電波の送受信を可能にする無線通信モジュールとを備え、前記無線通信モジュールは、前記動作制御手段での動作制御を指令する操作指令信号と、前記検出データに対応する信号とを送受信可能に設けられ、前記移動体を複数配置して移動基地局として利用し、当該移動基地局の中継により、全ての前記移動体と前記通信装置との間の通信を可能にする、という構成を採っている。
更に、本発明は、遠隔操作によって移動可能な移動体を複数用意し、これら移動体を所定の配管内で移動させることで、前記配管内の状況に関する検出データを所定の固定局で取得して前記配管内の遠隔検査を行う方法であって、前記移動体は、その操作指令信号や前記検出データに対応する信号が、前記固定局及び他の前記移動体との間で送受信可能に設けられ、1番目の前記移動体を前記配管の入口から導入し、当該移動体を前記配管内の奥に向かって移動させ、前記固定局との間の通信状態が悪化したと判断されたときに、2番目の前記移動体を前記配管の入口から導入し、当該2番目の前記移動体を前記配管内の奥に向かって移動させて当該2番目の前記移動体を移動基地局とし、以降、前記各移動体と前記固定局との間の通信状態が悪化したときに、更に他の前記移動体を前記配管の入口から順次導入して前記配管内の奥に向かって移動させながら、前記固定局と全ての前記移動体との間の通信状態を確保した状態で、前記各移動体を前記配管内の奥に向かって移動させることで、前記検出データを取得する、という手法を採っている。
なお、本明細書等において、位置若しくは方向を示す用語は、特に明記しない限り、図2等に表した直交3軸を基準にして、次のように定義する。すなわち、同図中のx軸に沿う水平方向を「前後方向」と称し、同図中のy軸に沿う水平方向を「左右方向」と称し、同図中のz軸に沿う鉛直方向を「上下方向」と称する。また、「前方」は、前後方向における前方を意味する。
本発明に係る移動体によれば、中心軸が鉛直方向よりも前方に傾いた基準姿勢が維持させるため、前後方向に移動する場合に、当該方向への推進力を直接付与する他の駆動手段を別途設けることなく、中心軸に沿う方向に作用する揚力等の推進力と中心軸周りの回転力のみで、空間内の全方向の並進移動と、一方向の旋回が可能となる。このため、移動体は、配管内の空間等、移動体の移動範囲がある程度限られた拘束空間内で、並進移動、昇降移動、及び方向転換を行うことができ、拘束空間内を縦横に自由に移動させることが可能になる。従って、前記推進力と前記回転力を発生させる動力生成手段を2重反転ロータのみで構成し、前方への推進力を直接付与するテールロータ等の他の駆動手段を不要にできるため、装置全体の小型化、軽量化を実現することができ、ガス管等の小径且つ複雑な屈曲形状を有する配管内等の拘束空間での移動が可能となる。
また、前記移動体に、動力生成手段の動作制御を行う操作指令信号を固定局から受信するとともに、検出手段で検出された検出データを固定局に送信する無線通信モジュールを設けることができる。これによれば、先行する移動体と固定局との間でデータ通信の状態が悪化した場合に、当該移動体と固定局との間に別の移動体を新たに配置して、これら移動体を同時に移動させることにより、新たに配置された移動体が移動基地局となって、前記先行する移動体と固定局との通信状態を確保することができる。従って、ガス管内の点検目的で、遠隔操作によりガス管内で移動体を移動させる場合、ガス管の奥側で、固定局に対する移動体の通信状態が悪化しても、当該移動体に後行する他の移動体を中継しながら固定局との通信を行うことができる。このため、移動体が移動可能なあらゆる部位において、当該移動体との間で、固定局に対して直接的に何等かの電波障害が発生する状況が生じても、他の移動体を使って固定局との間のデータ通信が可能になる。
更に、移動体に、外部から非接触状態で伝送された電波を電力に変換し、各種機器への電力供給を行う送受電モジュールを設けることで、移動体へのバッテリー搭載を全く行わず、若しくは、移動体に非常用の小型バッテリーを搭載すれば済むことから、移動体の小型化、軽量化を一層促進することができる。また、複数の移動体間で、電力に変換される固定局からの電波を伝送可能にすることで、他の移動体を用いて、固定局から離れる等、電波の伝送状態が悪い部位に位置する移動体への給電が可能になり、このことも、装置全体の小型化及び軽量化に寄与できる。
また、前記移動体を用いて、ガス管等の配管内の検査を行う場合、当該ガス管の状況を検出する検出手段を移動体に搭載して、遠隔操作により配管内を移動させることで、道路掘削やガス供給を停止することなく、より早く配管内の状況を遠隔地点から把握することができる。加えて、相互に無線通信可能な移動体を複数導入し、隣り合う移動体間で無線通信可能に維持したまま各移動体を移動させるで、配管内の状況を遠隔地点からより確実に把握することができる。すなわち、最も先行する移動体が固定局から遠くに離れ、又は、途中で無線障害等が発生したりする場合等、最も先行する移動体と固定局との間で直接の無線通信状態が悪化した場合であっても、相互に無線通信が可能となる状態で後行する他の移動体を移動させることにより、当該他の移動体の中継を利用して、最も先行する移動体と固定局との間での間接的な無線通信が可能となる。従って、移動体が移動する配管内のあらゆる部位での遠隔検査をより簡単且つ確実に行うことができる。
本実施形態に係る遠隔検査システムの構成を示すブロック図である。 移動体の概略斜視図である。 本体の概略斜視図である。 本体の概略正面図である。 筐体の概略斜視図である。 基準姿勢を説明するための移動体の概略側面図である。 (A)、(B)は、移動体の移動に際する推進力を説明するための概念図である。 移動体を用いた遠隔検査方法を説明するための概念図である。 変形例に係る移動体の概略斜視図である。 変形例に係る移動体に適用される筐体の概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係る遠隔検査システムの構成を表すブロック図が示されている。この図において、前記遠隔検査システム10は、地下に埋設されたガス管内を移動する移動体11により、ガス管内の状況に関する情報収集を行い、ガス管内の異常等をその外側から発見するためのシステムである。この移動体11は、ガス管から離れた地上等に設けられた操作部12から図示しない検査作業者が遠隔操作することで、ガス管内を移動可能になっている。操作部12には、前記検査作業者が移動体11に操作指令を行う操作装置14と、移動体11との間で無線通信を行う固定局として機能する通信装置15と、移動体11で取得されたガス管内の状況等を表示する表示装置16等の各種コンピュータ関連機材が設けられている。
前記移動体11は、図2に示されるように、種々の電気電子機器からなる内側の本体18と、本体18を囲むように配置され、本体18を支持する支持体として機能する筐体19とからなり、後述する筐体19の形状により、筐体19が接触する接触面に沿って転動可能となっている。
前記本体18は、図3及び図4にも示されるように、移動体11を移動させる動力を発生させる動力生成手段として機能するロータユニット21と、ロータユニット21の近傍2箇所に設けられたCCDカメラ23と、ロータユニット21及びCCDカメラ23を一体的に保持する保持体24とを備えて構成されている。
前記ロータユニット21は、図3中z軸方向に延びる中心軸Cに沿う方向に本体18を並進移動させる推進力Fと、中心軸C周りのヨー方向に本体18を旋回させる回転力Mを発生可能な構造となっている。具体的に、ロータユニット21は、中心軸C周りに回転可能となるように同図中上下に一対設けられた第1及び第2のロータ25,26と、これら各ロータ25,26をそれぞれ回転可能に駆動する第1及び第2のモータ28,29と、これらモータ28,29の駆動力を対応する各ロータ25,26に伝達するための伝達機構31とからなる。
第1及び第2のロータ25,26は、常に、相互に逆方向に回転する2重反転ロータとして機能し、それらの回転数は、対応する第1及び第2のモータ28,29の駆動によって独立して調整可能となっている。ここで、各ロータ25,26が同一の回転数で回転しているときは、各ロータ25,26の中心軸Cに沿う方向の推進力F(揚力)が発生する一方、各ロータ25,26の回転数に差を生じさせたときには、より回転数の大きい回転方向への中心軸C周りの回転力Mが発生することになる。
前記伝達機構31は、図4に示されるように、同図中上側の第1のロータ25に固定される内側回転軸33と、第1のモータ28からの動力を内側回転軸33に伝達する第1のギア34と、同図中下側の第2のロータ26に固定される外側回転軸36と、第2のモータ29からの動力を外側回転軸36に伝達する第2のギア37とにより構成されている。前記内側回転軸33は、前記外側回転軸36の内部に設けられた空間を同図中上下に貫通するように配置されており、これら内側回転軸33と外側回転軸36は、相対回転可能となっている。つまり、図4中左側の第1のモータ28が回転すると、内側回転軸33が回転して第1のロータ25が回転し、同図中右側の第2のモータ29が回転すると、外側回転軸36が回転して第2のロータ26が回転する構造となっている。
前記CCDカメラ23は、移動体11のほぼ全周を撮像可能に設けられており、撮像された画像データは、無線通信によって最終的に操作部12に送信される。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、広角撮影可能な2つのCCDカメラ23が、前後方向の両側から周囲を撮影可能となるように背中合わせで配置されている。
前記保持体24は、その一部分に適宜プリントされた電子基板39(図4参照)と、ロータユニット21とCCDカメラ23を一体化した状態で筐体19(図2参照)に連結する連結部材40とを備えている。
前記電子基板39には、図1に示されるように、前記通信装置15や別の移動体11等の外部との間で電波の無線通信を可能にする無線通信モジュール41と、無線通信モジュール41を通じて外部から受信した操作指令信号に基づいて、各モータ28,29の駆動制御を行う動作制御手段としてのモータドライバ42と、加速度センサ等からなり移動体11の現在位置情報を検出するセンサユニット43と、CCDカメラ23や各モータ28,29等の電力が必要な各種機器に無線を使って電力供給を行う送受電モジュール44として機能させるための電子部品や電子回路が設けられている。
前記無線通信モジュール41は、各モータ28,29の駆動を指令する前記操作指令信号と、CCDカメラ23を動作させるための信号と、CCDカメラ23で取得された画像データやセンサユニット43で検出された位置データからなる検出データを外部に伝送するための信号とを送受信可能に構成されている。
前記送受電モジュール44は、外部から受信したマイクロ波を電力に変換する公知の構造ものが採用され、通信装置15からのマイクロ波の受信や他の移動体11との間でのマイクロ波の送受信が可能となっている。なお、送受電モジュール44としては、これに限らず、操作部12や他の移動体11との間での無線による送受電可能な構造ものであれば、何でも良い。
以上において、CCDカメラ23及びセンサユニット43は、移動体11の周囲の状況や現在位置等の検出データを取得する検出手段を構成する。なお、この検出手段としては、移動体11がガス管内を移動したときに、ガス管内の状況を検出可能とする機器やセンサ類であれば種々採用することができ、例えば、超音波センサ等の環境認識センサ等を、CCDカメラ23に代えて、又は、CCDカメラ23とともに採用することもできる。
前記連結部材40は、左右方向の両側2箇所に設けられており、本体18が、筐体19に対してy軸周りのピッチ方向に回転可能に連結される。
前記筐体19は、図2及び図5に示されるように、ガス管の内壁等の接触面上を転動可能な回転体として構成されており、最外殻部分を構成する外側フレーム47と、当該外側フレーム47の内側に設けられ、本体18が取り付けられる内側フレーム48とからなる。
前記外側フレーム47は、相互に同一径の円環状をなす5本の円形フレーム材47A〜47Eを適宜組み合わせて相互に固定することで、全体がほぼ球状となるワイヤフレーム球体状に形成されている。すなわち、外側フレーム47は、図5中横向きに配置された円形フレーム材47Aと、同図中縦向きに配置された円形フレーム材47B,47C,47D,47Eとからなり、これら円形フレーム材47B〜47Eが、円形フレーム材47Aに対し、その周方向に等間隔となる位置でそれぞれ交差した状態で固定される構造となっている。
前記内側フレーム48は、各円形フレーム材47A〜47Eよりも小径となる1本の円環状をなし、円形フレーム材47B〜47Eが交差する外側フレーム47の上下方向の両側で、z軸周りのヨー方向に相対回転可能に取り付けられている。また、内側フレーム48の180度間隔となる2箇所には、本体18の連結部材40をピッチ方向に相対回転可能に支持する支持部48Aが形成されている。
筐体19は、以上の構成により、外側フレーム47と内側フレーム48が、ヨー方向に相対回転可能に連結されるとともに、内側フレーム48が、本体18との間でピッチ方向に相対回転可能に連結されることになる。従って、筐体19は、外側フレーム47に対してピッチ方向及びヨー方向に相対回転可能に本体18を支持するジンバル機構を有することになる。
以上の構成の移動体11は、図6に示されるように、ロータ25,26が上側に位置した状態で中心軸Cが鉛直方向(同図中破線方向)からx軸の一方向となる前方にやや傾くように、本体18の重心を下寄りに設定する等、全体の重量バランスが調整されており、この姿勢が本体18の基準姿勢となる。また、移動体11は、転動や旋回をしたときでも、筐体19のジンバル機構により、本体18が相対回転し、本体18が常に前記基準姿勢に維持される。このように、移動体11には、その移動時に本体18を基準姿勢に常時維持する姿勢維持手段が採用されている。
すなわち、前記姿勢維持手段は、装置全体の重量バランスの調整により、中心軸Cが鉛直方向から前方に傾いた状態の基準姿勢に本体18を常に維持可能に設けられ、推進力Fが発生したときに、基準姿勢を維持した状態で全体の上下方向及び前後方向への並進運動を可能にし、回転力Mが発生したときに、基準姿勢を維持した状態で全体の旋回運動を可能にするようになっている。
前記移動体11は、ガス管内に挿入されたときに、次のように所望の方向に移動可能となる。以下、図7を用いながら説明する。
すなわち、先ず、図7(A)に示されるように、水平方向若しくはそれに近い横方向に延びるガス管D内の部分で移動体11を進行させる場合には、ロータ25,26の回転中心となる中心軸Cが鉛直方向から進行方向に傾いた基準姿勢で移動体11を配置する。すなわち、このときは、進行方向の前後両側にCCDカメラ23が配置されるように、x軸方向の一方向を進行方向とし、且つ、ロータ25,26が、進行方向の前方(図7(A)中右側)に傾いた向きとなるように、移動体11をセットする。その状態から、第1及び第2のロータ25,26を同一の回転数で一定方向に回転させる。すると、ロータ25,26の回転による中心軸Cに沿う推進力である揚力Fの分力として、鉛直上向きの推進力F1と水平進行方向の推進力F2が発生する。この際、移動体11は、鉛直上向きの推進力F1により、外側フレーム47がガス管Dの内壁の上側に接触して上向きの並進移動が規制され、当該推進力F1が外側フレーム47の回転力に変換されることになる。しかしながら、前述した筐体19のジンバル機構によって、本体18は、前記基準姿勢が一定に維持されるため、水平進行方向の推進力F2が意図する一定の前進方向に作用し、移動体11が進行方向(図7(A)中右方)に転動しながら並進移動することになる。
また、鉛直方向若しくはその方向に近い縦方向に延びるガス管D内の部分で、移動体11を上下に移動させる場合には、次のようにロータユニット21が動作する。すなわち、図7(B)に示されるように、移動体11を前記基準姿勢の状態から鉛直上向きに上昇させる場合には、移動体11が上昇する回転方向に第1及び第2のロータ25,26を相互に同一の回転数で回転させる。このときも、各ロータ25,26の回転による揚力Fの分力として、鉛直上向きの推進力F1と水平進行方向の推進力F2が発生する。この際、移動体11は、水平進行方向の推進力F2により、外側フレーム47がガス管Dの内壁の同図中右側に接触して水平方向の並進移動が規制され、当該推進力F2が外側フレーム47の回転力に変換されることになる。この場合も、筐体19のジンバル機構によって、本体18の前記基準姿勢を維持した状態で、外側フレーム47の相対回転を伴いながら、移動体11は、鉛直上向きの推進力F1によりガス管D内を上昇することになる。一方、移動体11を鉛直下向きに下降させる場合には、各ロータ25,26を同一回転数で前記上昇の場合に対して逆回転させることで、同様に、移動体11が、前記基準姿勢を一定に維持しながら、ガス管D内を下降することになる。
更に、ガス管Dの曲り状態等に応じて移動体11の左右方向への転換が必要な場合には、第1及び第2のロータ25,26の回転数に差を生じさせる。つまり、第1及び第2のロータ25,26のうち、方向転換したい回転方向に回転する一方のロータ25,26の回転数を他方のロータ25,26よりも増やせば良い。この際、移動体11は、回転軸Cが鉛直方向から傾いた状態となっているが、ジンバル機構によって、外側フレーム47に対して本体18が回転軸Cの周りに回転可能となっていることから、外側フレーム47の転動を伴わずに、外側フレーム47対して本体18のみを簡単に旋回させることができる。
なお、何等かの要因によって、移動体11の進行方向が意図しない方向に変わった場合でも、前述した2軸のジンバル機構を含む姿勢維持手段によって、第1及び第2のロータ25,26が常に上向きになり、それらの回転調整によって、移動体11を意図した進行方向に復帰させることができる。
次に、前記遠隔検査システム10によるガス管D内の遠隔検査方法について、図8を用いながら説明する。
ここでは、操作部12との無線通信状態に応じて複数の移動体11が用いられ、これら移動体11は、進行方向にロータ25,26が傾いた状態の前記基準姿勢で、次のように、地上側のガス管Dの導入口D1から順次ガス管D内に導入される。すなわち、先ず、前記検査作業者によって、1番目の移動体11がガス管D内に導入される。そして、操作部12側での検査作業者の操作指令制御により、無線通信を使って、CCDカメラ23を作動させながら、ガス管Dの奥に向かって移動体11を進行させる。この際、CCDカメラ23で取得された画像データや移動体11の位置情報を表す位置データ等が操作部12に伝送される。
ここで、例えば、移動体11が、操作部12から一定の距離以上に離れたときや、直角配管部に達した場合等、配管状態により、移動体11と操作部12との間の無線通信状態が、ある設定状態よりも悪くなった場合に、移動体11との通信品質が悪化した旨、操作部12で検知して前記検査作業者に提示される。そこで、当該検査作業者は、2番目の移動体11をガス管D内に導入し、1番目の移動体11と同様に、ガス管D内でCCDカメラ23を作動させながら、1番目の移動体11を追尾するように2番目の移動体11を進行させる。このとき、後行する2番目の移動体11は、無線送受信の移動基地局(ブースター)として作用し、先行する1番目の移動体11と操作部12との無線通信の中継局となり、1番目、2番目の各移動体11の相互の無線通信が可能となる距離を維持しながら、それぞれガス管D内を進行させる。
更に、2番目の移動体11が、操作部12との間で通信状態が悪化すると、前述と同様にその旨が検査作業者に提示され、検査作業者は、3番目の移動体11をガス管D内に導入し、各移動体11を相互に無線通信が可能になる所定間隔で進行させ、各移動体11を途中適宜停止させながら、先行する1番目の移動体11がガス管Dの所望の部分に達するまで、各移動体11に対して同様の操作が行われる。
ここで、各移動体11からの画像データは、操作部12で逐次収集され、検査作業者の目視や画像処理による自動化によって、ガス管D内の異常箇所が検出されることになる。その際、各移動体11の位置データも画像データに付随して収集されるため、操作部12のコンピュータを用いて、当該位置データを用いたガス管Dのマッピングが行われ、ガス管Dの異常箇所の位置情報が、その状況を表す画像データとともに取得される。
ガス管Dの検査が終了すると、前述の逆の手順により、各移動体11が相互に無線通信可能となる状態を維持しながら、各移動体11をガス管Dの導入口D1に向かって順に帰還させる。すなわち、各移動体11を180度旋回させることで、前記基準姿勢を導入口D1の方向に変え、先頭となっていた1番目の移動体11を2番目の移動体1に向かって移動させ、次に、2番目の移動体11を3番目の移動体11に向かって移動させる。このような移動を順次行うことにより、各移動体11は、相互の通信状態を確保しながら、最後にガス管Dに導入されたものから、ガス管Dに導入した順と逆の順序で導入口D1から順次回収される。
なお、ここでは、移動体11の無線通信の状態の確認作業と、当該確認作業に基づくガス管D内への移動体11の導入作業とを検査作業者が行うこととしているが、本発明はこれに限らず、これら作業を含めた検査時における移動体11の作動をコンピュータにより全自動で行うようにしても良い。
また、前記移動体11としては、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、前述と同様の作用及び効果を奏する限りにおいて、種々の構成や構造を有するものを採用することができる。
すなわち、前記姿勢維持手段としては、本実施形態のジンバル機構を利用した構造に限定されるものではなく、本体18の姿勢を前述の基準姿勢に常時維持できる限りにおいて、起き上がり小法師のような構造等、他の種々の構造を採用することができる。例えば、図9及び図10に示されるように、前記実施形態の構造に対し、内側フレーム48を設けずに、外側フレーム47の外側に本体11を相対回転不能に直接固定し、外側フレーム47の回転状態に係らず前記基準姿勢を保てるように、全体の重量バランスのみで調整可能な構造を採用しても良い。なお、図9及び図10の変形例において、前記実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、ここでの説明は省略する。
また、前記筐体19としては、ロータユニット21による動力の発生を可能にするように、本体18への空気の給排を可能にし、且つ、前述の基準姿勢のまま移動体11を移動させる姿勢維持手段を採用する限りにおいて、例えば、本実施形態の構成に対して、各フレーム材の構成数を増やし、外形を更に球体に近い形状にする等、種々の形状及び構造を採用することができる。
更に、前記動力生成手段としては、2重反転ロータに限らず、本体11に前記推進力Fと前記回転力Mを生じさせることができる限りにおいて、種々の駆動装置を採用することができる。
また、前記移動体11としては、前述したガス管Dの検査作業に限らず、種々の用途で移動するロボットとしても利用可能である。
更に、前記遠隔検査システム10は、ガス管Dの検査作業に適用した前記実施形態に限らず、非破壊状態で内部検査を行う必要がある他の配管等の作業にも適用可能である。
その他、本発明における装置やシステム各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 遠隔検査システム
11 移動体
12 操作部
15 通信装置(固定局)
18 本体
19 筐体(支持体)
21 ロータユニット(動力生成手段)
23 CCDカメラ(検出手段)
25 第1のロータ
26 第2のロータ
28 第1のモータ
29 第2のモータ
41 無線通信モジュール
42 モータドライバ(動作制御手段)
43 センサユニット(検出手段)
44 送受電モジュール
47 外側フレーム(ジンバル機構)
48 内側フレーム(ジンバル機構)
C 中心軸
D ガス管(配管)
F 推進力
M 回転力

Claims (11)

  1. 動力源となる機器が設けられた本体と、当該本体を囲むように配置され、前記本体を支持する支持体と、前記本体を所定の姿勢に維持する姿勢維持手段とを備えた移動体において、
    前記本体は、その中心軸に沿う方向に作用する推進力と当該中心軸周りの回転力を発生させる動力生成手段を備え、
    前記支持体は、当該支持体が接触する接触面に沿って転動可能な形状をなし、
    前記姿勢維持手段は、前記本体及び前記支持体を含む全体の重量バランスの調整により、前記中心軸が鉛直方向から前方に傾いた状態の基準姿勢に前記本体を常に維持可能に設けられ、前記推進力が発生したときに、前記基準姿勢を維持した状態で前記全体の上下方向及び前後方向への並進運動を可能にし、前記回転力が発生したときに、前記基準姿勢を維持した状態で前記全体の旋回運動を可能にすることを特徴とする移動体。
  2. 前記動力生成手段は、相互に逆方向に回転する2重反転ロータとして機能する一対のロータと、前記各ロータを回転させるモータとを備え、
    前記各ロータは、前記中心軸周りに回転可能に配置されていることを特徴とする請求項1記載の移動体。
  3. 前記支持体は、最も外側に配置される外側フレームと、前記本体を支持するとともに、前記外側フレームに対し回転可能に取り付けられた内側フレームとからなるジンバル機構を有し、
    前記姿勢維持手段は、前記ジンバル機構と前記全体の重量バランスの調整とにより、前記本体を前記基準姿勢に常時維持することを特徴とする請求項1記載の移動体。
  4. 前記本体は、その周囲の状況や現在位置に関する検出データを取得する検出手段と、所定の固定局や他の移動体との間で、無線通信による電波の送受信を可能にする無線通信モジュールと、前記動力生成手段の動作制御を行う動作制御手段とを更に備え、
    前記無線通信モジュールは、前記動作制御手段での動作制御を指令する操作指令信号と、前記検出データに対応する信号とを送受信可能に設けられることを特徴とする請求項1記載の移動体。
  5. 前記本体は、外部から非接触状態で伝送された電波を電力に変換し、前記動力生成手段や前記検出手段を含む各種機器への電力供給を行う送受電モジュールを更に備え、
    前記送受電モジュールは、電力に変換される電波を他の移動体に伝送可能に設けられていることを特徴とする請求項4記載の移動体。
  6. 請求項4記載の移動体と、当該移動体との間で無線通信を行う前記固定局として機能する通信装置とを備え、
    前記検出データは、前記移動体の移動過程で逐次取得されて前記通信装置に送信されることを特徴とする移動体を用いた遠隔検査システム。
  7. 前記移動体を複数配置して移動基地局として利用し、当該移動基地局の中継により、全ての前記移動体と前記通信装置との間の通信を可能にすることを特徴とする請求項6記載の移動体を用いた遠隔検査システム。
  8. 遠隔操作によって移動可能な移動体と、当該移動体との間の無線通信を行う固定局として機能する通信装置とを備え、前記移動体の周囲の状況や現在位置に関する検出データを前記通信装置で受信する遠隔検査システムにおいて、
    前記移動体は、移動に必要な動力を発生させる動力生成手段と、当該動力生成手段の動作制御を行う動作制御手段と、前記検出データを検出する検出手段と、前記通信装置及び他の移動体との間で、無線通信による電波の送受信を可能にする無線通信モジュールとを備え、
    前記無線通信モジュールは、前記動作制御手段での動作制御を指令する操作指令信号と、前記検出データに対応する信号とを送受信可能に設けられ、
    前記移動体を複数配置して移動基地局として利用し、当該移動基地局の中継により、全ての前記移動体と前記通信装置との間の通信を可能にすることを特徴とする移動体を用いた遠隔検査システム。
  9. 前記移動体は、外部から非接触状態で伝送された電波を電力に変換し、前記動力生成手段や前記検出手段を含む各種機器への電力供給を行う送受電モジュールを更に備え、
    前記送受電モジュールは、電力に変換される電波を他の前記移動体に伝送可能に設けられていることを特徴とする請求項7又は8記載の移動体を用いた遠隔検査システム。
  10. 遠隔操作によって移動可能な移動体を複数用意し、これら移動体を所定の配管内で移動させることで、前記配管内の状況に関する検出データを所定の固定局で取得して前記配管内の遠隔検査を行う方法であって、
    前記移動体は、その操作指令信号や前記検出データに対応する信号が、前記固定局及び他の前記移動体との間で送受信可能に設けられ、
    1番目の前記移動体を前記配管の入口から導入し、当該移動体を前記配管内の奥に向かって移動させ、前記固定局との間の通信状態が悪化したと判断されたときに、2番目の前記移動体を前記配管の入口から導入し、当該2番目の前記移動体を前記配管内の奥に向かって移動させて当該2番目の前記移動体を移動基地局とし、以降、前記各移動体と前記固定局との間の通信状態が悪化したときに、更に他の前記移動体を前記配管の入口から順次導入して前記配管内の奥に向かって移動させながら、前記固定局と全ての前記移動体との間の通信状態を確保した状態で、前記各移動体を前記配管内の奥に向かって移動させることで、前記検出データを取得することを特徴とする移動体を用いた配管内の遠隔検査方法。
  11. 前記検出データとして前記移動体の位置情報をも取得し、当該位置情報に基づいて、前記配管内の状況を前記位置情報と対応させたマッピングを行うことを特徴とする請求項10記載の移動体を用いた配管内の遠隔検査方法。
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