JP2018099656A - 金属薄膜基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高純度の金属薄膜を基材上に備えた金属薄膜基材の製造方法の提供。【解決手段】基材11と、基材11上に形成された金属薄膜12と、を備えた金属薄膜基材1を製造するに際し、金属薄膜12を形成するための金属インク組成物を用いて、基材11上に形成された乾燥薄膜の表面上で、水蒸気を凝結させる工程と、前記乾燥薄膜の表面上の、水蒸気の凝結によって生じた水を加熱し、蒸発させて、金属薄膜12を形成する工程と、を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、金属薄膜基材の製造方法に関する。
基材上に金属薄膜を備えて構成された金属薄膜基材は、例えば、薄膜の大きさや形状に応じて、回路基板、電極、アンテナ、又は装飾用若しくは加飾用製品等の用途で利用可能であり、幅広い需要が見込まれている。金属薄膜の金属種としては、金属薄膜基材の用途に応じて、銀、銅をはじめとして、種々のものが選択可能である。
一方、金属は、例えば、金属の形成材料が配合された金属インク組成物を調製し、この組成物を基材上に付着させ、付着させた組成物を乾燥させ、加熱(焼成)する手法により形成される。この形成方法では、加熱により、乾燥及び焼成を同時に行うこともある。
このような金属インク組成物は、基材上への付着方法を適宜選択することで、様々な大きさや形状の金属薄膜を形成できるため、目的とする金属薄膜基材の製造に、好適に利用可能である。
例えば、金属種が銀である場合、金属銀の形成材料が配合された銀インク組成物としては、近年、カルボン酸銀が配合されたものが開示されている(特許文献1参照)。前記銀インク組成物は、これまでに汎用されていた銀インク組成物を用いた場合よりも、高純度で抵抗値が低い金属銀を速やかに形成できることから、極めて有用性が高い。
特許文献1で開示されているように、前記カルボン酸銀が配合された銀インク組成物は、例えば、基材上に付着させて乾燥させた後、さらに加湿条件下で加熱(焼成)することによって、より高純度の金属銀を形成できる。このように、加湿を伴う金属銀の製造方法は、極めて有用である。
特開2016−192192号公報
しかし近年は、金属薄膜基材において、金属薄膜のさらなる高純度化の要望が強くなってきている。例えば、特許文献1で開示されている金属銀の製造方法でも、十分に高純度の銀薄膜を形成できるが、さらに安定して高純度の金属薄膜を形成できれば、金属薄膜基材の利用価値は極めて高くなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より高純度の金属薄膜を基材上に備えた金属薄膜基材の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材と、前記基材上に形成された金属薄膜と、を備えた金属薄膜基材の製造方法であって、前記金属薄膜を形成するための金属インク組成物を用いて、前記基材上に形成された乾燥薄膜の表面上で、水蒸気を凝結させる工程と、前記乾燥薄膜の表面上の、水蒸気の凝結によって生じた水を加熱し、蒸発させて、前記金属薄膜を形成する工程と、を有する、金属薄膜基材の製造方法を提供する。
本発明によれば、より高純度の金属薄膜を基材上に備えた金属薄膜基材の製造方法が提供される。
本発明の製造方法で得られる金属薄膜基材の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。
<<金属薄膜基材の製造方法>>
本発明の金属薄膜基材の製造方法は、基材と、前記基材上に形成された金属薄膜と、を備えた金属薄膜基材の製造方法であって、前記金属薄膜を形成するための金属インク組成物を用いて、前記基材上に形成された乾燥薄膜の表面上で、水蒸気を凝結させる工程(以下、「凝結工程」と略記することがある)と、前記乾燥薄膜の表面上の、水蒸気の凝結によって生じた水を加熱し、蒸発させて、前記金属薄膜を形成する工程(以下、「金属薄膜形成工程」と略記することがある)と、を有する。
本発明の製造方法によれば、乾燥薄膜の表面上で、水を加熱して蒸発させることにより、乾燥薄膜の不純物含有量が低減されると推測され、高純度の金属薄膜を形成できる。このような高純度の金属薄膜は、例えば、シート抵抗値等の各種抵抗値が小さいことによって確認できる。
まず、本発明の製造方法に先立って、本発明の製造方法で得られる金属薄膜基材について、説明する。
図1は、本発明の製造方法で得られる金属薄膜基材の一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す金属薄膜基材1は、基材11と、基材11上に形成された金属薄膜12と、を備える。すなわち、金属薄膜基材1は、基材11及び金属薄膜12が、これらの厚さ方向において積層されてなる。
基材11は、金属薄膜12の構造を維持するためのものであり、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
基材11の一方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11aを見下ろすように、金属薄膜基材1を平面視したときの基材11の形状は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
金属薄膜12は、基材11の第1面11a上に設けられている。金属薄膜12は、基材11の第1面11aの全面に設けられていてもよいし、一部の領域のみに設けられていてもよい。金属薄膜12が基材11の第1面11aの一部の領域のみに設けられている場合、金属薄膜12は、パターニングされていてもよいし、パターニングされていなくてもよい。
金属薄膜12の基材11が設けられている側とは反対側の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)12aを見下ろすように、金属薄膜基材1を平面視したときの金属薄膜12の形状は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。金属薄膜12の前記形状は、例えば、基材11を同様に見下ろしたときの形状と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、金属薄膜12の第1面12aの面積は、基材11の第1面11aの面積と同等以下であればよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
金属薄膜12は、後述するように、厚さが薄い金属膜であればよく、その形状は特に限定されない。
本発明の製造方法で得られる金属薄膜基材は、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、例えば、図1に示すものに他の構成が追加されたり、一部構成が適宜省略又は変更されたものでもよい。
例えば、図1では、金属薄膜基材として、基材及び金属薄膜のみを備えたものを示しているが、金属薄膜基材は、基材及び金属薄膜以外の他の積層物を備えていてもよい。
前記他の積層物としては、例えば、基材と金属薄膜との間に設けられた中間層が挙げられる。
前記中間層としては、例えば、互いに隣接する層同士の密着性を向上させる密着層や、互いに隣接する層同士を安定して固着させる粘着剤層又は接着剤層等が挙げられる。ただし、これらは一例であり、前記中間層は目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
また、前記他の積層物としては、例えば、金属薄膜の第1面(基材が設けられている側とは反対側の表面)上に設けられた被覆層が挙げられる。
前記被覆層としては、金属薄膜又は基材を保護するための保護層;金属薄膜又は基材だけでは表現できない色味を金属薄膜基材において実現するための着色層;前記保護層及び着色層の両方として機能する層等が挙げられる。ただし、これらは一例であり、前記被覆層は目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
また、前記金属薄膜基材は、例えば、基材の金属薄膜が設けられている側とは反対側の表面(本明細書においては、「第2面」と称することがあり、図1においては符号11bを付して示している)上に、何らかの層が設けられていてもよい。ここで、基材の前記第2面上に設けられるものとしては、金属薄膜、被覆層、中間層等、基材の第1面上に設けられるものと同様のものが挙げられる。
基材の第2面側の金属薄膜、被覆層、中間層等は、それぞれ基材の第1面側の金属薄膜、被覆層、中間層等と形態(例えば、構成材料、形状、厚さ等)が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、前記金属薄膜基材は、基材の前記第2面上に、上述の金属薄膜、被覆層及び中間層のいずれにも該当しない層が設けられていてもよい。このような層としては、例えば、粘着剤層、接着剤層等が挙げられる。基材の前記第2面上に粘着剤層又は接着剤層が設けられた金属薄膜基材は、ラベル等として好適である。
前記金属薄膜基材においては、金属薄膜が高純度であるため、例えば、金属薄膜のシート抵抗値等の各種抵抗値が小さい。高純度ではない通常の金属薄膜の抵抗値を小さくするためには、金属薄膜の厚さを厚くしたり、金属薄膜の表面積を大きくするなど、基材上での金属薄膜の形成量を増大させることが必要となる。これに対して、本発明の製造方法で得られる金属薄膜基材における金属薄膜は、十分に高純度であるため、上記のように基材上での金属薄膜の形成量を増大させることなく、抵抗値を小さくすることが可能である。
次に、前記金属薄膜基材の各構成について、より詳細に説明する。
<基材>
前記基材の形状は特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記基材は、例えば、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
基材の構成材料は、前記金属薄膜を形成可能なものであれば、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂;ガラス、シリコン等のセラミックス;紙等が挙げられる。
基材の構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
例えば、基材の構成材料は、1種又は2種以上の前記合成樹脂のみであってもよいし、1種又は2種以上の前記セラミックスのみであってもよいし、1種又は2種以上の前記紙のみであってもよいし、前記合成樹脂、セラミックス及び紙からなる群から選択される任意の2種以上であってもよい。2種以上の構成材料を併用した材質としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等が挙げられるが、これらは一例に過ぎない。
基材の構成材料に合成樹脂が含まれる場合、基材は合成樹脂の成形体であることが好ましい。
基材の厚さは、0.5〜5000μmであることが好ましく、1〜3000μmであることがより好ましい。基材の厚さが前記下限値以上であることで、金属薄膜の構造をより安定して維持でき、基材の厚さが前記上限値以下であることで、金属薄膜形成時の基材の取り扱い性がより良好となる。
基材は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
なお、基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、合成樹脂を含有する基材は、合成樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
また、本発明においては、市販品の基材を用いてもよい。
<金属薄膜>
前記金属薄膜の金属種は特に限定されず、例えば、単体金属及び合金のいずれであってもよい。
なかでも、前記金属種は、銀又は銅であることが好ましく、銀であることがより好ましい。すなわち、金属薄膜は、銀薄膜又は銅薄膜であることが好ましく、銀薄膜であることがより好ましい。このような金属薄膜を形成する場合、本発明の効果がより顕著に得られる。
金属薄膜の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、3nm〜40μmであることが好ましく、4nm〜30μmであることがより好ましい。金属薄膜の厚さが前記下限値以上であることで、金属薄膜の構造をより安定して維持できる。また、金属薄膜の厚さが前記上限値以下であることで、本発明の効果がより顕著に得られ、さらに金属薄膜基材をより薄層化できる。
金属薄膜は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
金属薄膜が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい金属層の厚さとなるようにするとよい。
金属薄膜は、該当する金属を主成分として含み、見かけ上金属だけからなるとみなし得る程度に、十分に高純度である。例えば、金属薄膜中の金属の比率は、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上となる。金属薄膜中の金属の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらに限定されない。
金属薄膜は高純度であり、後述する実施例に記載の方法で測定されたシート抵抗値Rが、好ましくは50Ω/□以下、より好ましくは47.5Ω/□以下、特に好ましくは45Ω/□以下となる。
金属薄膜の前記シート抵抗値Rの下限値は、特に限定されず、例えば、25Ω/□とすることが可能であるが、これは一例である。
後述する金属の形成材料として、本発明の製造方法で得られた金属薄膜の場合と同じ種類の形成材料を用い、かつ他の製造方法で得られた金属薄膜について、前記Rの場合と同じ方法で測定されたシート抵抗値をRとしたとき、本発明においては、このシート抵抗値Rを基準とした場合の、シート抵抗値の低下率((R−R)/R×100)は、好ましくは15%以上、より好ましくは17.5%以上、特に好ましくは20%以上となる。一方、前記シート抵抗値の低下率の上限値は、特に限定されないが、例えば、50%とすることができる。
金属薄膜は、後述する金属薄膜を形成するための金属インク組成物を用いて、基材上に乾燥薄膜を形成した後、この乾燥薄膜に対して、後述する凝結工程及び金属薄膜形成工程を行うことで、形成できる。
前記乾燥薄膜は、前記金属インク組成物の乾燥物からなる薄膜(以下、「金属インク薄膜」と略記することがある)であるか、又は前記金属薄膜と同じ種類の金属を含有するが、金属薄膜よりも不純物の含有量が多い(金属薄膜よりも低純度である)粗製金属薄膜である。乾燥薄膜は、例えば、金属薄膜よりも、シート抵抗値等の各種抵抗値が大きい。
前記金属インク薄膜は、前記金属薄膜と同じ種類の金属を含有しないか、又は前記金属の含有量が微量である点で、前記粗製金属薄膜と相違する。
乾燥薄膜が、前記金属インク薄膜及び粗製金属薄膜のいずれであるかは、金属インク組成物を用いて、乾燥薄膜を形成するときの条件によって決定される。
粗製金属薄膜中の金属の比率(含有量)は、好ましくは30質量%以上であり、例えば、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上及び80質量%以上のいずれかであってもよい。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、単なる「金属薄膜」との記載は、粗製金属薄膜ではなく、乾燥薄膜から形成されたより高純度の金属薄膜を意味する。
前記乾燥薄膜は、金属インク組成物を用いて、基材上に形成されたものであれば、特に限定されず、例えば、粗製金属薄膜は、金属インク組成物を用いて、金属を形成して得られたものであれば、特に限定されない。
例えば、粗製金属薄膜は、形成直後の粗製金属薄膜であってもよいし、粗製金属薄膜よりも高純度の前記金属薄膜に相当するものが、経時によって低純度化したものであってもよい。このような、高純度の金属薄膜が低純度化したものには、本発明の製造方法で得られた金属薄膜基材中の金属薄膜が、低純度化したものも含まれる。
乾燥薄膜の乾燥度は、後述する凝結工程及び金属薄膜形成工程において、乾燥薄膜の形状を安定して維持できる程度であればよく、特に限定されない。例えば、乾燥薄膜の有機溶媒及び水の合計含有量は、0〜20質量%であることが好ましい。ここで「有機溶媒」とは、常温で液状の有機化合物を意味する。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜28℃の温度等が挙げられる。
乾燥薄膜の厚さは、金属薄膜の厚さと同様であり、目的に応じて任意に設定できるが、金属薄膜の場合と同様の理由で、3nm〜40μmであることが好ましく、4nm〜30μmであることがより好ましい。
次に、図面を参照しながら、本発明の製造方法について、詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。ここでは、図1に示す金属薄膜基材を製造する場合について説明する。なお、図2以降の図において、図1に示すものと同じ構成要素には、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
<凝結工程>
前記凝結工程においては、図2(a)に示すような、基材11と、基材11上に形成された乾燥薄膜12’と、を備えた中間構造体1’を用いる。
乾燥薄膜12’は、本発明により、最終的には金属薄膜12となる。
凝結工程においては、乾燥薄膜12’の表面12a’上で、水蒸気を凝結させる。乾燥薄膜12’の表面12a’は、乾燥薄膜12’の基材11が設けられている側とは反対側の表面である。
水蒸気を凝結させることで、図2(b)に示すように、乾燥薄膜12’の表面12a’上には、水9が付着する。本工程においては、典型的には、乾燥薄膜12’の表面12a’上に、水9の膜が形成されるが、水の付着形態はこれに限定されない。
凝結工程において生じた水9は、本工程においては、乾燥薄膜12’の表面12a’の全面を被覆していてもよいし、前記表面12a’の一部の領域のみを被覆していてもよい。ただし、本発明の効果がより顕著に得られる点から、前記表面12a’のうち、水9で被覆されている領域の割合が高いほど好ましく、前記割合は、70面積%以上であることが好ましく、80面積%以上であることがより好ましく、90面積%以上であることがさらに好ましく、95面積%以上であることが特に好ましく、例えば、99面積%以上であってもよいし、100面積%であってもよい。
凝結工程においては、例えば、中間構造体1’(この場合、換言すると乾燥薄膜12’。以下同様。)と、この中間構造体1’よりも高い温度の水蒸気と、を接触させることにより、乾燥薄膜12’の表面12a’上で、水蒸気を凝結させることができる。
なお、本明細書においては、水蒸気との接触により水蒸気を凝結させることが可能なように温度調節された中間構造体のことを、単に「温度調節された中間構造体」と略記することがある。
温度調節された中間構造体1’(乾燥薄膜12’)と、水蒸気と、を接触させる方法としては、例えば、温度調節された中間構造体1’(乾燥薄膜12’)を、水蒸気雰囲気下に配置する方法、温度調節された中間構造体1’(乾燥薄膜12’)に水蒸気を吹き付ける方法等が挙げられる。
凝結工程においては、温度調節された中間構造体1’と、水蒸気と、の接触を、常圧(大気圧)下で行ってもよいし、高圧下で行ってもよい。ここで、「高圧」とは、人為的に常圧よりも高くされた圧力を意味する。例えば、100℃よりも高温の水蒸気を利用するためには、高圧の環境下で水蒸気を発生させる必要がある。
凝結工程において、温度調節された中間構造体1’と接触させる水蒸気の温度は、中間構造体1’の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、80〜130℃であることが好ましく、90〜125℃であることがより好ましい。水蒸気の前記温度が前記下限値以上であることで、より容易に水蒸気を凝結させることができる。また、水蒸気の前記温度が前記上限値以下であることで、凝結工程をより簡略化できる。
さらに、このような範囲の水蒸気の温度は、本工程終了後に、後述する金属薄膜形成工程を直ちに連続して行う場合にも好適である。
凝結工程において、水蒸気と接触させるときの、温度調節された中間構造体1’の温度は、水蒸気の温度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、常圧と同等以上の圧力下(換言すると常圧下又は高圧下)で、水蒸気と接触させるときの、温度調節された中間構造体1’の温度は、100℃未満であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましく、50℃以下であることがさらに好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、常温以下であることが特に好ましい。中間構造体1’の前記温度が前記上限値以下であることで、より容易に水蒸気を凝結させることができる。
上記と同様の圧力条件下で、水蒸気と接触させるときの、温度調節された中間構造体1’の温度の下限値は、特に限定されないが、より効率的に金属薄膜12が得られる点においては、10℃であることが好ましい。
凝結工程において、中間構造体1’と水蒸気とを接触させる時間は、特に限定されず、上述の水蒸気の温度に応じて、水が十分に生じるように適宜調節すればよい。例えば、中間構造体1’及び水蒸気の温度が、いずれも上述の好ましい数値範囲内である場合、前記時間は10〜150秒であることが好ましい。
凝結工程において、中間構造体1’と水蒸気とを接触させるときの絶対湿度は、60g/m以上であることが好ましく、120g/m以上であることがより好ましい。前記絶対湿度の上限値は、特に限定されない。
乾燥薄膜12’上の水9は、水以外の他の成分を含有していてもよい。水蒸気の凝結方法又は凝結環境によっては、水9中への前記他の成分の混入が避けられないことがある。後述する金属薄膜形成工程での水の蒸発が妨げられず、乾燥薄膜12’が劣化しない限り、このような水9及び他の成分を含有する液体を、水9の代わりに用いてもよい。そして、前記液体は、水溶液であってもよいし、非溶解成分を含む液体であってもよい。
ただし、通常は、水9及び他の成分を含有する前記液体の、他の成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。前記他の成分の含有量の下限値は、特に限定されず、例えば、0.1質量%であってもよいが、これは一例である。
本発明においては、例えば、温度が常温以下に調節された中間構造体1’(乾燥薄膜12’)と、水蒸気と、を接触させることにより、前記凝結工程を行うことが好ましく、温度が常温以下に調節された中間構造体1’(乾燥薄膜12’)を、水蒸気雰囲気下に配置することにより、前記凝結工程を行うことがより好ましく、温度が常温以下に調節された中間構造体1’(乾燥薄膜12’)に水蒸気を吹き付けることにより、前記凝結工程を行うこともより好ましい。
<金属薄膜形成工程>
前記金属薄膜形成工程においては、図2(c)に示すように、乾燥薄膜12’の表面12a’上の、水蒸気の凝結によって生じた水9を加熱して、蒸発させる。図2(c)においては、水9の蒸発が始まり、終了する前の、金属薄膜形成工程の途中の段階を示しており、水9から矢印が立ち昇っている様子は、水9が蒸発して水蒸気が生じていることを示している。
金属薄膜形成工程において、水9を加熱するためには、例えば、熱源によって水9自体を直接加熱してもよいし、熱源によって水9が付着している乾燥薄膜12’を加熱することで、水9を加熱してもよく、乾燥薄膜12’を加熱するためには、中間構造体1’全体を加熱してもよい。
金属薄膜形成工程は、凝結工程終了後に直ちに連続して行うことができる。本明細書において、「凝結工程終了後に直ちに連続して金属薄膜形成工程を行う」とは、凝結工程を行った後、乾燥薄膜の表面上に、水蒸気の凝結によって水が付着した状態を維持したまま、前記水を冷却することなく加熱して、蒸発させることを意味する。
凝結工程終了後に直ちに連続して金属薄膜形成工程を行う場合には、水の凝結時に発生する凝結熱によって、水を急速に加熱できるという利点を有する。
凝結工程終了後に直ちに連続して金属薄膜形成工程を行うためには、例えば、以下のようにすればよい。
すなわち、まず、高温の水蒸気雰囲気とされた空間内に、温度調節された中間構造体1’を配置し、乾燥薄膜12’の表面12a’上で、水蒸気を凝結させることで、凝結工程を行う。次いで、水蒸気の凝結によって前記表面12a’上に水9が付着した状態の中間構造体1’(換言すると水9)を、そのまま引き続き、高温の水蒸気雰囲気とされた空間内に配置する。このようにすることで、凝結工程においては凝結の対象であった水蒸気を、今度は加熱手段として利用して水9を加熱し、蒸発させることで、金属薄膜形成工程を連続して行うことができる。
このような高温の水蒸気雰囲気による中間構造体1’の処理は、例えば、高温の水蒸気雰囲気で満たすための処理空間と、前記処理空間内に高温の水蒸気を供給する手段と、を備えた加熱処理装置を用いることで、行うことができる。高温の水蒸気を供給する手段は、例えば、水蒸気の供給手段と、水蒸気の温度調節手段と、を備えていてもよい。また、この加熱処理装置は、前記処理空間内に、中間構造体1’等の処理対象物を載置又は固定する手段を備えていてもよい。
また、凝結工程終了後に直ちに連続して金属薄膜形成工程を行うためには、例えば、以下のようにしてもよい。
すなわち、まず、温度調節された中間構造体1’に、高温の水蒸気を吹き付け、乾燥薄膜12’の表面12a’上で、水蒸気を凝結させることで、凝結工程を行う。次いで、水蒸気の凝結によって前記表面12a’上に水9が付着した状態の中間構造体1’(換言すると水9)に、そのまま引き続き、高温の水蒸気を吹き付ける。このようにすることで、凝結工程においては凝結の対象であった水蒸気を、今度は加熱手段として利用して水9を加熱し、蒸発させることでも、金属薄膜形成工程を連続して行うことができる。
このような高温の水蒸気の吹き付けによる中間構造体1’の処理は、例えば、中間構造体1’等の処理対象物に、高温の水蒸気を吹き付ける手段を備えた加熱処理装置を用いることで、行うことができる。高温の水蒸気を吹き付ける手段は、例えば、水蒸気の吹き付け手段と、水蒸気の温度調節手段と、を備えていてもよい。また、この加熱処理装置は、中間構造体1’等の処理対象物に高温の水蒸気を吹き付けることを可能とする位置に、前記処理対象物を載置又は固定する手段を備えていてもよい。また、この加熱処理装置は、例えば、高温の水蒸気を吹き付ける手段と、処理対象物と、を周辺の空間から遮蔽するための、処理空間を備えていてもよい。
先に説明した、高温の水蒸気雰囲気下で処理を行うための加熱処理装置は、高温の水蒸気を供給する手段において、水蒸気の供給量又は供給圧力等の供給条件が調節可能となっていれば、ここで説明したような、高温の水蒸気の吹き付けを行う加熱処理装置として、用いることも可能である。
金属薄膜形成工程において、水9を蒸発させるときの加熱温度は、後述するように、乾燥薄膜12’から金属薄膜を形成可能な温度であれば、特に限定されないが、100〜140℃であることが好ましい。
金属薄膜形成工程において、水9を蒸発させるときの加熱時間は、前記加熱温度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、1分〜2時間であることが好ましい。
金属薄膜形成工程においては、水9を加熱し、蒸発させることで、図2(d)に示すように、金属薄膜12を形成する。
乾燥薄膜12’が金属インク薄膜である場合には、水9の加熱による蒸発時に、この金属インク薄膜において、主として金属の形成も進行し、高純度の金属薄膜12が形成される。そして、上述のように、凝結工程終了後に直ちに連続して金属薄膜形成工程を行ことにより、水の凝結時に発生する凝結熱によって、水9を急速に加熱でき、迅速に金属を形成できる。
一方、乾燥薄膜12’が粗製金属薄膜である場合には、水9の加熱による蒸発時に、この粗製金属薄膜において、主として高純度化が進行し、高純度の金属薄膜12が形成される。
このように、水9の加熱による蒸発が完了し、金属薄膜形成工程が終了した段階では、乾燥薄膜12’は金属薄膜12となっており、目的とする金属薄膜基材1が得られる。
なお、金属薄膜形成工程においては、乾燥薄膜12’の構成材料や大きさに応じて、水9の蒸発量が特定の一定量以上となると、金属薄膜12の形成が完了すると考えられる。すなわち、本発明においては、金属薄膜形成工程での水9の蒸発が完了する前の段階で、すでに金属薄膜12が形成されていることがあると考えられる。図2(c)では、説明の便宜上、水9の蒸発が完了していない段階での、乾燥薄膜12’を備えた中間構造体1’を示しているが、この状態は、金属薄膜形成工程での一例である。
ここでは、図1に示す金属薄膜基材の製造方法について説明したが、これ以外の金属薄膜基材も、同様の方法で製造できる。
例えば、先に説明した、他の積層物を備えた金属薄膜基材は、ここで説明した製造方法において、適宜適したタイミングで、前記他の積層物を設ける工程を別途追加した製造方法を採用することで、製造できる。
また、先に説明した、基材の第2面上に何らかの層が設けられている金属薄膜基材も、ここで説明した製造方法において、適宜適したタイミングで、この層を設ける工程を別途追加した製造方法を採用することで、製造できる。
本発明の製造方法により、乾燥薄膜から高純度の金属薄膜が形成される理由は定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、前記凝結工程及び金属薄膜形成工程においては、乾燥薄膜の表面上に水が付着した状態となっていることで、前記中間構造体の周辺領域に存在する共存物の乾燥薄膜との接触が抑制される。その結果、凝結工程及び金属薄膜形成工程を行っている過程で、乾燥薄膜への前記共存物の付着が抑制されるだけでなく、乾燥薄膜の表面又は内部における、前記共存物が原因の化学反応による副生物の発生も抑制される。前記共存物としては、例えば、酸素、硫黄原子含有化合物等が挙げられるが、これらは一例である。このように、凝結工程及び金属薄膜形成工程においては、乾燥薄膜での前記共存物や副生物等の不純物の含有量の増加が抑制され得ると推測される。
また、前記凝結工程及び金属薄膜形成工程においては、乾燥薄膜の表面上に水が付着した状態となっていることで、乾燥薄膜中の不純物が、この水の中に抽出される。その結果、凝結工程及び金属薄膜形成工程において、乾燥薄膜の純度が向上し得ると推測される。
このような、乾燥薄膜の不純物含有量の増加抑制と、乾燥薄膜の純度向上と、のいずれか一方又は両方が生じることで、乾燥薄膜から高純度の金属薄膜が形成されると推測される。
次に、乾燥薄膜の形成方法について、詳細に説明する。
<乾燥薄膜の形成方法>
乾燥薄膜は、例えば、基材上に前記金属インク組成物を付着させ、次いで付着させた金属インク組成物に対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。前記加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
前記金属インク組成物としては、例えば、金属の形成材料が配合されてなる組成物が挙げられる。
前記金属の形成材料は、該当する金属原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属を生じるものであればよい。このような金属の形成材料としては、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物(金属−炭素結合を有する化合物)等が挙げられる。前記金属塩及び金属錯体は、有機基を有する金属化合物及び有機基を有しない金属化合物のいずれであってもよい。なかでも金属の形成材料は、金属塩であることが好ましく、銀塩又は銅塩であることがより好ましく、銀塩であることが特に好ましい。
金属インク組成物における金属の形成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
金属インク組成物は、金属の形成材料以外に、金属(単体金属又は合金)が配合されてなる組成物であってもよい。
配合される前記金属は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
配合される前記金属の種類は、併用する金属の形成材料における金属種と同一であってもよいし、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
配合される前記金属は、銀又は銅であることが好ましく、銀であることがより好ましい。
配合される前記金属(単体金属又は合金)は、粒子状又は繊維状(チューブ状、ワイヤー状等)であることが好ましく、ナノ粒子又はナノワイヤーであることがより好ましく、銀ナノ粒子、銀ナノワイヤー、銅ナノ粒子又は銅ナノワイヤーであることがさらに好ましく、銀ナノ粒子又は銀ナノワイヤーであることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「ナノ粒子」とは、粒径が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmである粒子を意味し、「ナノワイヤー」とは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmであるワイヤーを意味する。
前記金属を用いる場合、金属インク組成物において、金属の形成材料の配合量に対する、金属の配合量の割合は、特に限定されないが、純度が高い金属薄膜を容易に形成できる点では、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
金属インク組成物は、バインダー等の樹脂成分の含有量が少ないほど好ましく、前記樹脂成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であること、すなわち、金属インク組成物が前記樹脂成分を含有しないことが、特に好ましい。
金属インク組成物は、液状のものが好ましい。
また、金属インク組成物において、配合成分はすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
金属インク組成物は、前記金属の形成材料及びそれ以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま金属インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを金属インク組成物としてもよい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
配合成分の混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
金属インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用することが好ましい。
上述の製造方法において、金属インク組成物を得るまでの各工程における温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、−5〜60℃とすることができる。そして、前記温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
上述の製造方法において、配合成分の添加及び撹拌を行うときの合計時間(添加時間及び撹拌時間の合計)は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、10分〜36時間とすることができる。
金属インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が挙げられる。
乾燥薄膜の形成時においては、基材上に付着させる金属インク組成物の量、又は金属インク組成物における前記金属の形成材料等の配合量を調節することで、乾燥薄膜の厚さを調節できる。
乾燥薄膜の形成時においては、金属インク組成物を付着させる前に、基材を加熱処理(アニール処理)してもよい。基材を加熱処理しておくことで、例えば、金属インク組成物を加熱(焼成)処理したときに、基材の収縮が抑制され、寸法安定性が向上する。
金属インク組成物を付着させる前の、基材の加熱処理の条件は、基材の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、60〜200℃で10〜60分間加熱処理することが好ましい。
また、乾燥薄膜の形成時においては、金属インク組成物を付着させる前に、基材の表面をプラズマ処理してもよい。基材をプラズマ処理しておくことで、金属インク組成物の滲みが抑制されることがある。
プラズマ処理は公知の方法で行えばよく、例えば、大気圧プラズマ処理の場合には、電圧290〜300W、気流速度1.0〜5.0m/分等の条件で行うことができる。
基材上に付着させた金属インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよい。すなわち前記乾燥処理は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法等が挙げられる。
基材上に付着させた金属インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、金属インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。例えば、加熱温度は60〜370℃とすることができ、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、例えば、1分〜24時間とすることができる。
金属インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
金属インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されない。前記加熱処理は、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、前記加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、前記加熱処理は、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
金属インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、例えば、10%以上、30%以上、50%以上、70%以上及び90%以上のいずれかであってもよく、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、乾燥薄膜として、短時間で金属含有量がより高い粗製金属薄膜を形成できる。
金属インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。この方法は、乾燥薄膜として粗製金属薄膜を形成するときに好適である。このような方法としては、例えば、一段階目の加熱処理では、金属の形成ではなく金属インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属の形成を最後まで行う方法が挙げられる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよく、例えば、60〜110℃とすることができる。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、例えば、5秒〜12時間とすることができる。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属が良好に形成されるように、金属インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、例えば、60〜280℃とすることができる。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、例えば、1分〜12時間とすることができる。
金属インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した金属インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、金属インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した金属インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、金属インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に金属インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った金属インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された粗製金属薄膜を、さらに乾燥させればよい。
金属インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、金属インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、金属インク組成物の加熱処理は、以下に示す二段階の方法で行うことが特に好ましい。すなわち、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属の形成ではなく金属インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属の形成を最後まで行うことにより、金属インク組成物の加熱処理を行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、例えば、60〜110℃とすることができる。また、加熱時間は、例えば、5秒〜1時間とすることができる。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、例えば、60〜140℃とすることができる。また、加熱時間は、例えば、1分〜2時間とすることができる。
金属インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
先に説明したように、前記金属薄膜は銀薄膜であることがより好ましい。以下、金属インク組成物として、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いた場合の、乾燥薄膜(銀インク薄膜、粗製銀薄膜)の形成方法について、さらに詳細に説明する。
前記金属銀の形成材料は、加熱等によって分解し、金属銀を形成するものである。
・銀インク組成物
[カルボン酸銀]
金属銀の形成材料としては、例えば、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀等が挙げられる。
本発明において、カルボン酸銀は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、1分子中の式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 2018099656
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 2018099656
(式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、前記脂肪族炭化水素基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、R及びRにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びベンジル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基が有する前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びジフェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよい。このようなXとしては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)を用いて、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された粗製銀薄膜(金属銀)においては、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。このような粗製銀薄膜においては、原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗値が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成できる。そして、β−ケトカルボン酸銀(1)は、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
における前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。ただし、Rにおける前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH−)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH−」で表される基だけでなく、式「−CH−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH−」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH−(CH−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CHCH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH−(CH−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(一例を挙げれば、CH−(CH−C(CH−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された粗製銀薄膜(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、カルボン酸銀(4)も、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物において、前記カルボン酸銀に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。前記銀の含有量がこのような範囲であることで、形成された粗製銀薄膜(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、銀インク組成物の取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「カルボン酸銀に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合されたカルボン酸銀中の銀と同義であり、配合後も引き続きカルボン酸銀を構成している銀と、配合後にカルボン酸銀の分解で生じた分解物中の銀と、配合後にカルボン酸銀の分解で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
[含窒素化合物]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合されてなるものが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、このようなアルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。前記アルキル基は、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。前記アリール基は、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、例えば、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに粗製銀薄膜の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩である。前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩である。ここで酸としては、例えば、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じもの等が挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記含窒素化合物を用いる場合、銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、金属銀の形成材料の配合量1モルあたり、0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜12モルであることがより好ましく、0.3〜8モルであることが特に好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して金属銀を形成できる。
[アルコール]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものが好ましい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 2018099656
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられる。これら前記置換基は、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様のものである。そして、置換基を有する前記フェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.01〜0.7モルであることが好ましく、0.02〜0.5モルであることがより好ましく、0.02〜0.3モルであることが特に好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
(他のアルコール)
前記アルコールとしては、アセチレンアルコール(2)以外の他のアルコールを用いてもよい。
前記アルコールとしては、例えば、エタノール、2−プロパノール等の飽和脂肪族アルコール等が挙げられる。
前記アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[還元剤]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。
前記還元剤は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上のものである。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
すなわち、配合される還元剤は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよい。R21における前記アルキル基としては、例えば、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のもの等が挙げられる。
21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、このようなアルコキシ基としては、例えば、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基等が挙げられる。
21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。N,N−ジアルキルアミノ基における前記アルキル基は、それぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値は2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよい。このようなアルキル基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のもの等が挙げられる。
前記還元剤としてのヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)であってもよい。
前記還元剤で好ましいものとしては、例えば、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸等が挙げられる。
還元剤を用いる場合、銀インク組成物において、還元剤の配合量は、金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して粗製銀薄膜(金属銀)を形成できる。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール及び還元剤以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。前記その他の成分としては、例えば、アルコール以外の溶媒等が挙げられ、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(溶媒)
前記溶媒は、アルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
前記その他の成分を用いる場合、銀インク組成物における前記その他の成分の配合量は、前記その他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよい。ただし通常は、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物において、配合成分はすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
本発明で用いる、好ましい銀インク組成物としては、例えば、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール及び還元剤が配合されてなる銀インク組成物;前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール、還元剤、及びアルコール以外の溶媒が配合されてなる銀インク組成物等が挙げられる。
・銀インク組成物の製造方法
前記銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料及びそれ以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、導電性を低下させる不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できる。したがって、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する金属銀が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。各成分の好ましい配合方法の一例を以下に示す。
例えば、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール及び還元剤が配合されてなる銀インク組成物を製造する場合には、含窒素化合物に、金属銀の形成材料を添加し、次いで還元剤を添加し、次いでアルコールを添加することが好ましい。また、このような銀インク組成物を製造する場合には、前記還元剤を滴下により配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、粗製銀薄膜(金属銀)の表面粗さをより低減できる傾向にある。
例えば、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール、還元剤、及びアルコール以外の溶媒が配合されてなる銀インク組成物を製造する場合には、上記の製造方法において、含窒素化合物に前記溶媒を添加した後に、金属銀の形成材料を添加するようにした方法で製造することが好ましい。
配合成分の混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用することが好ましい。
上述の製造方法において、配合成分の添加及び撹拌等を行う、銀インク組成物を得るまでの各工程における温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、前記温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
上述の製造方法において、配合成分の添加及び撹拌を行うときの合計時間(添加時間及び撹拌時間の合計)は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
[二酸化炭素]
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第1混合物に、二酸化炭素を供給して第2混合物とし、必要に応じて前記第2混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第1混合物及び第2混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
前記第1混合物は、配合成分が異なる点以外は、上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。
第1混合物は、すべての成分が溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、すべての成分が溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
第1混合物製造時の配合温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜30℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
第1混合物に供給される二酸化炭素(CO)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が第1混合物に溶け込み、第1混合物中の成分に作用することで、得られる第2混合物の粘度が上昇すると推測される。
二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一方の端部(以下、第1端部と称することがある)を第1混合物中に浸漬し、他方の端部(以下、第2端部と称することがある)を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、第2端部から第1端部へ向けて配管内に二酸化炭素ガスを流し、この配管を通じて二酸化炭素ガスを第1混合物に供給する方法が挙げられる。このとき、配管の第1端部から第1混合物に直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、ガス拡散部材を配管の第1端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを第1混合物に供給してもよい。ここで「ガス拡散部材」とは、例えば、多孔質性のものなど、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能な部材を意味する。
二酸化炭素ガスの供給量は、供給先の第1混合物の量や、目的とする銀インク組成物又は第2混合物の粘度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。また、本明細書において「粘度」とは、特に断りのない限り、超音波振動式粘度計を用いて測定したものを意味する。
二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、第1混合物1gあたり0.5mL/min以上であることが好ましく、1mL/min以上であることがより好ましい。前記流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、混合物1gあたり40mL/minであることが好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
二酸化炭素ガス供給時の第1混合物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物が得られる。
二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、前記温度を高めにするか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した上記数値範囲の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物が効率的に得られる。
二酸化炭素ガスの供給は、第1混合物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に第1混合物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、第1混合物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、第1混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
第2混合物の粘度は、銀インク組成物又は第2混合物の取り扱い方法など、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、第2混合物の20〜25℃における粘度は、3Pa・s以上であることが好ましい。なお、ここでは第2混合物の20〜25℃における粘度について説明したが、第2混合物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
前記第2混合物には、さらに、必要に応じて前記還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される1種又は2種以上を配合して、銀インク組成物とすることができる。
このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記還元剤等の配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、前記還元剤等の配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、前記還元剤等の配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
前記その他の成分は、先に説明したように、前記第1混合物及び第2混合物のいずれかの製造時に配合されてもよく、両方の製造時に配合されてもよい。例えば、第1混合物及び第2混合物を経て銀インク組成物を製造する過程において、二酸化炭素以外の配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合([その他の成分(質量)]/[金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アルコール、及びその他の成分(質量)]×100)は、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。一方、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、前記配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。そして、前記配合量の割合が0質量%、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
二酸化炭素が供給されてなる銀インク組成物は、例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、20〜25℃における粘度が、1Pa・s以上であることが好ましい。
例えば、還元剤の配合時には、得られる配合物(銀インク組成物)は比較的発熱し易い。そして、還元剤の配合時の温度が高い場合、この配合物は、後述する銀インク組成物の加熱処理時と同様の状態になるため、還元剤による前記金属銀の形成材料の分解促進作用によって、金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始されることがあると推測される。このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀の形成時において、金属銀を含有しない銀インク組成物よりも温和な条件で後処理を行うことにより、金属銀を形成できることがある。また、還元剤の配合量が十分に多い場合にも、同様に温和な条件で後処理を行うことにより、金属銀を形成できることがある。このように、金属銀の形成材料の分解を促進する条件を採用することで、後処理として、より低温での加熱処理で、あるいは加熱処理を行わずに常温での乾燥処理のみで、金属銀を形成できることがある。また、このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀を含有しない銀インク組成物と同様に取り扱うことができ、特に取り扱い性が劣ることもない。
なお、本発明における第2混合物は、上記のように二酸化炭素の供給によって、粘度が通常よりも高い。一方で、第2混合物への還元剤の配合時には、第2混合物又は還元剤の種類によっては、上記のように前記金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始され、金属銀が析出することがある。ここで、第2混合物の粘度が高い場合には、析出した金属銀の凝集が抑制され、得られた銀インク組成物中での金属銀の分散性が向上する。このような銀インク組成物を用いて、後述する方法で形成された金属銀は、粘度が低い、すなわち二酸化炭素が供給されていない混合物に還元剤が配合されて得られた銀インク組成物を用いた場合の金属銀よりも、導電性が高く(体積抵抗率が低く)、表面粗さも小さくなり、より好ましい特性を有するものとなる。
また、本発明においては、前記金属銀の形成材料、アルコール及び含窒素化合物が配合されてなる混合物に、二酸化炭素を供給して、銀インク組成物を製造することも好ましい。この場合、二酸化炭素の供給方法としては、上記と同様の方法が採用できる。
・銀インク薄膜又は粗製銀薄膜の形成方法
銀インク薄膜又は粗製銀薄膜は、例えば、基材上に前記銀インク組成物を付着させ、次いで付着させた銀インク組成物に対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。前記加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
銀インク組成物の基材への付着方法は、上述の金属インク組成物の基材への付着方法と同じである。
銀インク薄膜又は粗製銀薄膜の形成時においては、基材上に付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記金属銀の形成材料等の配合量を調節することで、銀インク薄膜又は粗製銀薄膜の厚さを調節できる。
銀インク薄膜又は粗製銀薄膜の形成時においては、銀インク組成物を付着させる前に、先に説明した乾燥薄膜の形成時と同様の理由で、同様の方法により、基材を加熱処理(アニール処理)するか、又は基材の表面をプラズマ処理してもよい。
基材上に付着させた銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよい。すなわち前記乾燥処理は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法等が挙げられる。
基材上に付着させた銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。前記金属銀の形成材料の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で粗製銀薄膜を形成できる。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されない。前記加熱処理は、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、前記加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、前記加熱処理は、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、乾燥薄膜として、短時間で金属銀含有量がより高い粗製銀薄膜を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。この方法は、乾燥薄膜として粗製銀薄膜を形成するときに好適である。このような方法としては、例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が挙げられる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された粗製銀薄膜を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、以下に示す二段階の方法で行うことが特に好ましい。すなわち、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行うことにより、銀インク組成物の加熱処理を行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜10分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
以上のように、銀インク薄膜の好ましい形成方法としては、例えば、銀インク組成物を乾燥処理する工程を有するものが挙げられ、なかでもより好ましい形成方法としては、例えば、前記乾燥処理する工程において、前記カルボン酸銀、好ましくはβ−ケトカルボン酸銀(1)が配合されてなる銀インク組成物を用いる方法が挙げられる。
また、粗製銀薄膜の好ましい形成方法としては、例えば、銀インク組成物を用いて、金属銀を形成する工程を有するものが挙げられ、なかでもより好ましい形成方法としては、例えば、前記金属銀を形成する工程において、前記カルボン酸銀、好ましくはβ−ケトカルボン酸銀(1)が配合されてなる銀インク組成物を用いる方法が挙げられる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
なお、以下に示す実施例及び比較例において、金属薄膜基材中の金属薄膜のシート抵抗値Rは、下記方法で求めた。
<金属薄膜のシート抵抗値の算出>
デジタルマルチメータ(ADC社製「ADCMT7461A」)を用いて、2端子法によって、測定対象である金属薄膜試料の抵抗値Rを測定し、下記式(式中、wは金属薄膜試料の幅であり、Lは金属薄膜試料の長さである)を用いる公知の方法により、金属薄膜試料のシート抵抗値Rを算出した。
=R×w/L
<金属薄膜基材の製造>
[実施例1]
(銀インク組成物の製造)
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)と、n−ヘキサン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)と、をこの順に加えて、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、液温が50℃以下となるように、ビーカー中に2−メチルアセト酢酸銀を添加した。
2−メチルアセト酢酸銀の添加終了後、同様の状態を維持したまま、ビーカー中にシリンジポンプを用いて、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.5倍モル量)を10分かけて滴下し、ギ酸の滴下終了後、さらにそのままの状態で1.5時間撹拌した。
次いで、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.032倍モル量)及び4−エチル−1−オクチン−3−オール(以下、「EOO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.004倍モル量)の混合物をビーカー中に添加し、添加終了後、さらにそのままの状態で5分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、DMHOとしては、エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」を用い、EOOとしては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「アセチレンアルコール(2)(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりのアセチレンアルコール(2)の配合量(モル数)([アセチレンアルコール(2)のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「溶媒(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの溶媒の配合量(モル数)([溶媒のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
なお、本実施例において「金属銀の形成材料」とは、「β−ケトカルボン酸銀(1)」のことである。
(銀薄膜基材の製造)
ポリカーボネート製基材(厚さ2mm)の一方の表面上に、グラビアオフセット印刷法により、上記で得られた銀インク組成物を塗工して、印刷パターンを形成した。印刷パターンは、幅5μmのラインが195μmの間隔を空けて多数配置されているラインアンドスペースパターンが、直交する2方向に形成されたメッシュパターンとした。基材の前記表面における、このメッシュパターンの形成領域の面積は、50mm×50mmとした。
次いで、上述の印刷パターンが形成された基材に対して、120℃の熱風を10m/sの風速で10分吹き付けることにより、印刷パターンを乾燥させて、乾燥薄膜を形成した。
次いで、この乾燥薄膜が形成された基材を大気下で約24時間静置することで、この基材の全体温度が室温(25℃)になるまで冷却した。
次いで、この冷却後の基材を、絶対湿度500g/m、温度120℃の高圧水蒸気雰囲気下に配置し、この加湿条件下で加熱処理を開始した。そして、基材表面の温度(すなわち乾燥薄膜の表面の温度)が100℃に到達してから、100℃以上の温度を10分維持することにより、継続して加熱(焼成)処理を行い、基材上に銀薄膜(厚さ100nm)を形成して、銀薄膜基材を得た。観察の結果、冷却後の前記基材を高圧水蒸気雰囲気下に配置した後、基材表面の温度が100℃に到達するまでの間(本実施例ではこの間の時間は約2分であった)において、乾燥薄膜の表面上で水蒸気が凝結した後、生じた水が加熱によって蒸発したことを確認できた。
<金属薄膜基材の評価>
上記で得られた銀薄膜基材中の銀薄膜のシート抵抗値R101を求めたところ、35.6Ω/□であった。結果を表2に示す。
<金属薄膜基材の製造及び評価>
[実施例2]
乾燥薄膜が形成された基材の、冷却後の加湿条件下での加熱処理時に、100℃以上の温度を10分維持するのに代えて、5分維持した点以外は、実施例1と同じ方法で、銀薄膜基材を製造した。このとき、冷却後の前記基材を高圧水蒸気雰囲気下に配置した後、基材表面の温度が100℃に到達するまでの間(本実施例ではこの間の時間は約2分であった)においては、実施例1の場合と同様に、乾燥薄膜の表面上で水蒸気が凝結した後、生じた水が加熱によって蒸発したことを確認できた。
次いで、実施例1の場合と同じ方法で、得られた銀薄膜基材を評価した。その結果、得られた銀薄膜基材中の銀薄膜のシート抵抗値R51は37.5Ω/□であった。結果を表2に示す。
[実施例3]
乾燥薄膜が形成された基材の、冷却後の加湿条件下での加熱処理時に、100℃以上の温度を10分維持するのに代えて、2分維持した点以外は、実施例1と同じ方法で、銀薄膜基材を製造した。このとき、冷却後の前記基材を高圧水蒸気雰囲気下に配置した後、基材表面の温度が100℃に到達するまでの間(本実施例ではこの間の時間は約2分であった)においては、実施例1の場合と同様に、乾燥薄膜の表面上で水蒸気が凝結した後、生じた水が加熱によって蒸発したことを確認できた。
次いで、実施例1の場合と同じ方法で、得られた銀薄膜基材を評価した。その結果、得られた銀薄膜基材中の銀薄膜のシート抵抗値R21は40.5Ω/□であった。結果を表2に示す。
[比較例1]
乾燥薄膜が形成された基材を、この基材の全体温度が室温(25℃)になるまで冷却することなく、直ちに高圧水蒸気雰囲気下に配置し、この加湿条件下で加熱処理を開始した点以外は、実施例1と同じ方法で、銀薄膜基材を製造した。観察の結果、乾燥薄膜が形成された基材を高圧水蒸気雰囲気下に配置した後は、乾燥薄膜の表面上で水蒸気は凝結しなかったことを確認できた。
得られた銀薄膜基材中の銀薄膜のシート抵抗値R01を求めたところ、53.0Ω/□であった。結果を表2に示す。このように、得られた銀薄膜の純度は、粗製銀薄膜といえる水準の純度であった。
実施例1〜3及び比較例1の結果から、本発明の製造方法により、シート抵抗値が低下したことを確認できた。
比較例1でのシート抵抗値R01を基準とした場合の、シート抵抗値の低下率は、実施例1((R01−R101)/R01×100)では32.8%であり、実施例2((R01−R51)/R01×100)では29.2%であり、実施例3((R01−R21)/R01×100)では23.6%であった。
[比較例2]
比較例1と同じ方法で、銀薄膜基材を製造し、評価した。銀薄膜基材の製造時において、乾燥薄膜が形成された基材を高圧水蒸気雰囲気下に配置した後は、比較例1の場合と同様に、乾燥薄膜の表面上で水蒸気は凝結しなかったことを確認できた。
その結果、得られた銀薄膜基材中の銀薄膜のシート抵抗値R02は58.6Ω/□であった。結果を表2に示す。このように、得られた銀薄膜の純度は、粗製銀薄膜といえる水準の純度であった。
[実施例4]
比較例2で得られた銀薄膜基材(粗製銀薄膜基材)を、この基材の全体温度が室温(25℃)になるように安定させた。
次いで、この安定化後の基材を、絶対湿度500g/m、温度120℃の高圧水蒸気雰囲気下に配置し、この加湿条件下で加熱処理を開始した。そして、基材表面の温度(すなわち粗製銀薄膜の表面の温度)が100℃に到達してから、100℃以上の温度を10分維持することにより、継続して加熱処理を行い、銀薄膜基材を得た。観察の結果、冷却後の前記基材を高圧水蒸気雰囲気下に配置した後、基材表面の温度が100℃に到達するまでの間(本実施例ではこの間の時間は約2分であった)において、粗製銀薄膜の表面上で水蒸気が凝結した後、生じた水が加熱によって蒸発したことを確認できた。
得られた銀薄膜基材中の銀薄膜のシート抵抗値R102を求めたところ、44.1Ω/□であった。結果を表2に示す。
実施例4及び比較例2の結果から、本発明の製造方法によりシート抵抗値が低下したことを確認できた。
比較例2でのシート抵抗値R02を基準とした場合の、シート抵抗値の低下率((R02−R102)/R02×100)は、24.7%であった。
Figure 2018099656
Figure 2018099656
本発明は、回路基板、電極、アンテナ、又は装飾用若しくは加飾用製品等の製造に利用可能である。
1・・・金属薄膜基材、11・・・基材、12・・・金属薄膜、12’・・・乾燥薄膜(金属インク薄膜、粗製金属薄膜)、12a’・・・乾燥薄膜の表面、9・・・水

Claims (1)

  1. 基材と、前記基材上に形成された金属薄膜と、を備えた金属薄膜基材の製造方法であって、
    前記金属薄膜を形成するための金属インク組成物を用いて、前記基材上に形成された乾燥薄膜の表面上で、水蒸気を凝結させる工程と、
    前記乾燥薄膜の表面上の、水蒸気の凝結によって生じた水を加熱し、蒸発させて、前記金属薄膜を形成する工程と、を有する、金属薄膜基材の製造方法。
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