直流電圧を入力電圧として所定の電位の直流電圧に変換して出力するDC/DCコンバータとして、入力電圧を昇圧または降圧して出力可能な昇降圧DC/DCコンバータがある。従来、このような昇降圧DC/DCコンバータに関する発明としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているものがある。
図11には、特許文献1に開示されている昇降圧DC/DCコンバータの構成を示す。この昇降圧DC/DCコンバータは、電池などの直流電源から供給される直流電圧Vinが印加される入力端子と接地点との間に直列に接続されたnMOSトランジスタQ3,Q4と、平滑コンデンサC3が接続されている出力端子と接地点との間に直列に接続されたnMOSトランジスタQ1,Q2と、出力電圧Voutを分圧してフィードバック電圧Vfbを生成する帰還電圧生成回路FB(抵抗R1,R2により構成)と、フィードバック電圧Vfbと参照電圧Vref1との電位差に応じた電圧VAを出力する誤差増幅器AMP1と、誤差増幅器の出力VAのゲイン及び周波数特性を設定する位相補償回路PC(抵抗R3及びキャパシタC1により構成)と、誤差増幅器の出力VAを反転する反転増幅器AMP2(抵抗R4,R5により出力VAを調整)と、出力電圧VoutをPWM(パルス幅変調)制御するために使用する三角波電圧Vtriを発生する三角波発生回路TWGと、生成された三角波電圧Vtriおよび誤差増幅器AMP1の出力VAまたはその反転電圧VBを入力とする一対の第1のコンパレータCMP1及び第2のコンパレータCMP2とを備える。
そして、nMOSトランジスタQ1とQ2の接続ノードVN1とnMOSトランジスタQ3とQ4の接続ノードVN2との間に、インダクタ(コイル)Lが接続され、nMOSトランジスタQ2は第1のコンパレータCMP1の出力Vcmp1によって、またnMOSトランジスタQ4は第2のコンパレータCMP2の出力Vcmp2によってそれぞれオン、オフ駆動される。一方、nMOSトランジスタQ1はPWM第1のコンパレータCMP1の出力Vcmp1を、インバータIn1を介した反転信号によって、またnMOSトランジスタQ3は第2のコンパレータCMP2の出力Vcmp2をインバータIn2を介した反転信号によってそれぞれオン、オフ駆動される。
図12に示されている昇降圧DC/DCコンバータは、入力電圧Vinが目標出力電圧よりも高いとき、すなわち誤差増幅器の出力VAが三角波電圧Vtriのピーク電圧よりも高いときは、nMOSトランジスタQ3を連続オン状態、nMOSトランジスタQ4を連続オフ状態にしてnMOSトランジスタQ1,Q2をPWMパルスで駆動して、入力電圧Vinを昇圧した出力電圧Voutを出力する。また、入力電圧Vinが目標出力電圧よりも高いとき、すなわち誤差増幅器AMP1の誤差出力電圧VAを基準に反転した反転誤差出力電圧VBが三角波のピーク電圧よりも低いときは、Q1を連続オン状態、Q2を連続オフ状態にしてnMOSトランジスタQ3,Q4をPWMパルスで駆動して、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutを出力する。なお、昇圧モードから降圧モードに切り替わる途中にオーバーラップ区間と称する区間が設けられている。オーバーラップ区間では昇圧と降圧が交互、若しくは同時に動作している区間であり、この様な区間を設けることで昇圧モードと降圧モードの切り替わりがスムーズになり、安定した出力電圧Voutを供給することができる。
図12は、図11に示した従前の昇降圧DC/DCコンバータ110の主なノードの信号波形を示す図である。三角波電圧Vtriは三角波発生回路TWGで生成される。三角波発生回路TWGは昇降圧DC/DCコンバータ110をPWM制御で動作させるために、すなわち、デューティ比が変化するPWM信号を生成するために用意されている。誤差出力電圧VAは誤差増幅器AMP1の出力に、反転誤差出力電圧VBは反転増幅器AMP2の出力にそれぞれ生じる。反転基準電圧Vref2は、反転増幅器AMP2の非反転入力端子(+)に印加されている。
出力Vcmp1及び出力Vcmp1は、それぞれ第1のコンパレータCMP1及び第2のコンパレータCMP2からそれぞれ取り出される。出力Vcmp1は、第1のコンパレータCMP1で反転誤差出力電圧VBと三角波電圧Vtriとの比較により、出力Vcmp2は、第2のコンパレータCMP2で誤差出力電圧VAと三角波電圧Vtriとの比較によりそれぞれ生成される。
スイッチング電圧VN1は昇圧用スイッチング手段を構成するnMOSトランジスタQ1とnMOSトランジスタQ2の共通接続点であるノードN1に、スイッチング電圧VN2は降圧用スイッチング手段を構成するnMOSトランジスタQ3とnMOSトランジスタQ4の共通接続点であるノードN2にそれぞれ出力される。
さて、昇降圧DC/DCコンバータ110が昇圧モード及び降圧モードのどちらで動作しているかは、スイッチング電圧VN1及びスイッチング電圧VN2のデューティ比を見れば判断できる。すなわち、スイッチング電圧VN1のデューティ比が100%となる区間SDは降圧モードであり、スイッチング電圧VN2のデューティ比が100%となる区間SUは昇圧モードとなる。なぜならば回路構成上、昇圧モードではnMOSトランジスタQ1,Q2が互いにオン/オフ動作を繰り返すが、その時に入力電圧Vinが供給されるnMOSトランジスタQ3は常時オン状態に置かなければならないからである。nMOSトランジスタQ3がオンに置かれる状態はノードN2の電位(VN2)がハイレベル“H”となる時である。したがって区間SUが昇圧モードとなる。一方、スイッチング電圧VN1のデューティ比が100%となる区間SDは降圧モードとなる。なぜならば回路構成上、降圧モードではnMOSトランジスタQ3,Q4が互いにオン/オフ動作を繰り返すが、その時に出力電圧Voutに接続されるnMOSトランジスタQ1は常時オン状態に置かなければならないからである。nMOSトランジスタQ1がオンに置かれる状態はノードN1の電位(VN1)がハイレベル“H”となる時である。したがって区間SDが降圧モードとなる。
特許文献2に開示されている昇降圧DC/DCコンバータにおいては、スイッチング素子を含む昇圧型、降圧型または昇降圧型のスイッチング電源の制御回路に関する。制御回路は、スイッチング電源の電気的状態を示すフィードバック信号と所定の基準電圧との誤差に応じた誤差信号電圧を生成する誤差増幅器と、第1周波数の第1周期信号を生成する第1オシレータと、スロープ部分を有する第1周波数より低い第2周波数の第2周期信号を生成する第2オシレータと、誤差信号電圧に応じた信号および第1周期信号にもとづき、誤差信号電圧に応じたパルス幅を有し、かつ第1周波数を有する第1パルス信号を生成するとともに、第1パルス信号のパルス幅を所定の第1最小パルス幅にてクランプする第1パルス変調器と、誤差信号電圧に応じた信号を第2周期信号と比較することにより、誤差信号電圧に応じたパルス幅を有する第2パルス信号を生成する第2パルス変調器と、第1パルス信号と第2パルス信号を合成し、駆動パルス信号を生成する合成部と、駆動パルス信号に応じてスイッチング素子を駆動するドライバと、を備える。
重負荷状態においては、第1パルス信号のパルス幅が調節され、軽負荷状態においては、第1パルス信号のパルス幅が第1最小パルス幅に固定されるとともに、負荷に応じて第2パルス信号のパルス幅が変化し、第1パルス信号がマスクされる。その結果、軽負荷状態において、パルスの数を減らすことができ、効率を高めることができるとともに、スイッチング周波数を第2周波数に固定できる。
(本発明の第1の実施の形態)
図1は本発明を適用した昇降圧DC/DCコンバータの第1の実施形態を示す回路構成図である。以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図示していない電池等の直流電源の出力電圧が、図1の昇降圧DC/DCコンバータ10の入力電圧Vinとなる。入力電圧Vinが印加される入力端子INは、スイッチング素子T1のソースに接続される。スイッチング素子T1のドレインはインダクタL1及びスイッチング素子T2のドレインに接続される。スイッチング素子T2のソースは接地される。スイッチング素子T1〜T4はオン/オフを繰り返して、インダクタL1に流す電流を制御するスイッチングトランジスタとして機能する。なお、スイッチング素子T1,T3はpチャネル形MOS電界効果トランジスタ(以下、pMOSトランジスタと称する)であり、スイッチング素子T2,T4はnチャネル形MOS電界効果トランジスタ(以下、nMOSトランジスタと称する)である。
インダクタL1の一端は、スイッチング素子T1のドレイン及びスイッチング素子T2のドレインに接続されている。インダクタL1の他端はスイッチング素子T3のドレイン及びスイッチング素子T4のドレインに接続されている。スイッチング素子T3のソースは出力端子OUTに接続され、スイッチング素子T4のソースは接地される。
出力端子OUTは抵抗R1の一端及びキャパシタC2に接続されている。抵抗R1の他端は抵抗R2を介して接地されている。
帰還電圧生成回路FBは、出力端子OUTと接地との間に直列接続された抵抗R1及びR2で構成され、互いの接続ノードに帰還電圧Vfbを出力する。帰還電圧Vfbは誤差増幅器AMP1の反転入力端子(−)に入力される。誤差増幅器AMP1の非反転入力端子(+)に誤差比較電圧Vref1が入力される。そして、誤差増幅器AMP1の出力端子が抵抗R3及びキャパシタC1で構成された位相補償回路PC、抵抗R4及び第1コンパレータの非反転入力端子(+)に接続される。
また、誤差増幅器AMP1の出力端子が、抵抗R4の一端に接続され、抵抗R4の他端は反転増幅器AMP2の反転入力端子(−)と抵抗R5の一端に接続されている。抵抗R5の他端は、反転増幅器AMP2の出力と第2のコンパレータCMP2の反転入力端子(−)に接続されている。第2のコンパレータCMP2の反転入力端子(−)にはランプ波発生回路RWGからランプ波電圧VRが印加されている。第1のコンパレータCMP1の非反転入力端子(+)は、抵抗R4の一端に接続され、第1のコンパレータCMP1の反転入力端子(−)にはランプ波電圧VRが印加されている。抵抗R4の一端が反転増幅器の入力端になり、抵抗R4の他端が反転増幅器AMP2の反転入力端子(−)及び抵抗R5の一端に接続される。また、反転増幅器AMP2の非反転入力端子(+)に反転比較電圧Vref2 が接続される。抵抗R5の他端と反転増幅器AMP2の出力端子の接続ノードが反転増幅器の出力端となる。反転増幅器の出力端が第2コンパレータCMP2の反転入力端子(−)に接続される。
ランプ波発生回路RWGが、第1のコンパレータCMP1の反転入力端子(−)及び第2コンパレータCMP2の非反転入力端子(+)に接続される。第1のコンパレータCMP1及び第2コンパレータCMP2の出力端子は、論理和回路1及び論理積回路2に接続されている。論理和回路1の出力端子はインバータ3,4を介して、スイッチング素子T1,T2のゲートと接続されており、相補的に動作することにより降圧動作を行う。また、スイッチング素子T3,T4のゲートは、論理積回路2の出力端子と接続されており、相補的に動作することにより昇圧動作を行う。
なお、小型化・低コスト化の観点から、インダクタL1及びキャパシタC2以外の全ての部分を半導体集積回路装置に搭載し、当該半導体集積回路装置にインダクタL1及びキャパシタC2を外付けする形態にすることが望ましい。
負荷電流が大きいとき、低コスト化・安全性の観点から、スイッチング素子T1〜T4は外付けする形態にすることが望ましい。
このような構成の昇降圧DC/DCコンバータの動作について以下に説明する。帰還電圧生成回路FBを構成する抵抗R1と抵抗R2は、出力端子OUTから出力される出力電圧Voutを分圧して帰還電圧Vfbを生成し、誤差増幅器AMP1に送出する。誤差増幅器AMP1は、帰還電圧Vfbと誤差比較電圧Vref1との差に応じた誤差信号電圧Vc1を出力する。位相補償回路PCを構成するキャパシタC1及び抵抗R3は、誤差増幅器AMP1のゲインと周波数特性を設定する。抵抗R4、抵抗R5、反転増幅器AMP2、及び反転比較電圧Vref2から成る反転増幅器は、反転基準電圧Vref2を基準として誤差増幅器AMP1から出力される誤差信号電圧Vc1の反転電圧となる反転信号電圧Vc2を出力する。すなわち、反転基準電圧Vref2は誤差信号電圧Vc1と反転信号電圧Vc2の中間電圧である。
第1のコンパレータCMP1は、誤差増幅器AMP1の出力の誤差信号電圧Vc1とランプ波発生回路RWGから出力されるランプ波VRとの差に応じたスイッチ制御電圧Vcmp1を出力する。第2コンパレータCMP2は、反転増幅器の出力の反転信号電圧Vc2とランプ波発生回路RWGから出力されるランプ波VRとの差に応じたスイッチ制御電圧Vcmp2を出力する。
論理和回路1は、第1のコンパレータCMP1及び第2コンパレータCMP2から出力された出力Vcmp1,Vcmp2の論理和演算を行い、論理和出力1oを出力する。論理和回路1は、本書で第1論理回路と称される。スイッチング素子T1,T2は論理和出力1oに基づいて、相補的にオン/オフが切り替わる。
論理積回路2では、第1のコンパレータCMP1及び第2コンパレータCMP2から出力された出力Vcmp1,Vcmp2の論理積演算を行い、論理積出力2oを出力する。論理積回路2は、本書で第2論理回路と称される。スイッチング素子T3,T4は論理積出力2oに基づいて、相補的にオン/オフが切り替わる。
続いて、昇圧モードと降圧モードの切り替わりにおける動作について説明する。ここでは、昇圧モードから降圧モードに切り替わるときの動作について図1,図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4は、本発明を適用した実施例1及び実施例2の昇降圧DC/DCコンバータ10,20の昇圧モードから降圧モードに切り替わるときの信号電圧生成部の各部電圧波形を示す図である。なお、図3及び図4において図1と同一の電圧には同一の符号を付す。
入力電圧Vin及び出力電圧Voutは切り替え線Cにおいて交わり、入力電圧Vinが出力電圧Voutより高いときは降圧モード、入力電圧Vinが出力電圧Voutより低いときは昇圧モードに切り替わる。なお、誤差比較電圧Vref1は常に一定である。
誤差信号電圧Vc1がランプ波VRより小さく、かつ反転信号電圧Vc2がランプ波VRより大きいときT1がオフし、T2がオンする、状態1をとる。誤差信号電圧Vc1がランプ波VRより大きいか、または反転信号電圧Vc2がランプ波VRより小さいときT1がオンし、T2がオフする、状態2をとる。
誤差信号電圧Vc1がランプ波VRより小さいか、または反転信号電圧Vc2がランプ波VRより大きいときT3がオンし、T4がオフする、状態3をとる。誤差信号電圧Vc1がランプ波VRより大きい、かつ反転信号電圧Vc2がランプ波VRより小さいときT3がオフし、T4がオンする、状態4をとる。
反転信号電圧Vc2が誤差信号電圧Vc1より大きく、かつ誤差信号電圧Vc1もしくは反転信号電圧Vc2の少なくとも一方がランプ波VRの最小値と最大値の間の値をとる場合、状態1かつ状態3、および状態2かつ状態3の2つのスイッチ状態を交互に遷移する、降圧動作となる。降圧モードにおける昇降圧DC/DCコンバータ10はpMOSトランジスタであるスイッチング素子T1がオン状態でnMOSトランジスタであるスイッチング素子T2がオフ状態である場合、入力端子INからインダクタL1を介してキャパシタC2に電流が流れ、磁気エネルギーが蓄えられる。逆にスイッチング素子T1がオフ状態でスイッチング素子T2がオン状態である場合、スイッチング素子T2とインダクタL1を介してキャパシタC2に電流が流れることにより、インダクタL1に蓄えられていた磁気エネルギーが放出される。なお、降圧モードにおける、スイッチング素子T1,T2の状態に係らず、スイッチング素子T3は常にオン状態である。このような動作により、入力電圧Vinが降圧され、出力端子OUTから出力電圧Voutが出力される。
反転信号電圧Vc2が誤差信号電圧Vc1より小さく、かつ誤差信号電圧Vc1もしくは反転信号電圧Vc2の少なくとも一方がランプ波VRの最小値と最大値の間の値をとる場合、状態2かつ状態3、および状態2かつ状態4の2つのスイッチ状態を交互に遷移する、昇圧動作となる。昇圧モードにおける昇降圧DC/DCコンバータ10はpMOSトランジスタであるスイッチング素子T3がオフ状態でnMOSトランジスタであるスイッチング素子T4がオン状態である場合、インダクタL1に電流が流れ、磁気エネルギーが蓄えられる。逆にスイッチング素子T1がオン状態でスイッチング素子T2がオフ状態である場合、入力端子INからインダクタL1を介してキャパシタC2に電流が流れることにより、インダクタL1に蓄えられていた磁気エネルギーが放出される。なお、昇圧モードにおける、スイッチング素子T3,T4の状態に係らず、スイッチング素子T1は常にオン状態である。このような動作により、入力電圧Vinが昇圧され、出力電圧Voutとなり出力端子OUTから出力される。
誤差信号電圧Vc1と反転信号電圧Vc2の中間電圧である反転基準電圧Vref2の値をランプ波VRの最小値より大きく、かつランプ波VRの最大値より小さく設定することで、昇圧モードから降圧モードに切り替わる途中に誤差信号電圧Vc1、反転信号電圧Vc2ともにランプ波VRと交差する区間を設けることができる。論理和回路1及び論理積回路2を設けることで、スイッチングノードSW1のスイッチングデューティとスイッチングノードSW2のスイッチングデューティが切り替わり線Cを基準に、昇圧モードから降圧モードに切り替わるときにシームレスに変化する。したがって、昇圧モードと降圧モードの切り替わりにおけるスイッチング損失を減らすことができる。さらに、入力電圧Vinが変動した場合でも、昇圧動作と降圧動作が連続的に変化するため、常に安定した出力電圧Voutを出力することができる。これにより、昇降圧DC/DCコンバータ10の電力変換効率が高くなる。さらに、DC/DCコンバータの安定かつ高速応答させるため誤差信号電圧Vc1の変化に対して、スイッチングノードSW1のスイッチングデューティとスイッチングノードSW2のスイッチングデューティが一定の比率で変化することが望ましい。即ち、反転基準電圧Vref2の値はランプ波VRの最大値と最小値の中間値に設定し、第1のコンパレータ出力Vcmp1と第2のコンパレータ出力Vcmp2のデューティを等しくすることが望ましい。
昇降圧DC/DCコンバータ10では、誤差信号電圧Vc1の変化から出力電圧が追従するまでに遅延があるため、出力電圧の変動を誤差信号電圧Vc1に高速帰還すると発振する。そのため、誤差信号電圧Vc1の応答速度を制限する目的で抵抗R3とコンデンサC1による補償回路PCを設けている。
スイッチング電圧Vsw1は切り替え線Cの左部においてスイッチング素子T1,T2のオン/オフを相補的に繰り返すことで降圧モードとして動作し、切り替え線Cの右部においてスイッチング素子T1を常にオン、スイッチング素子T2を常にオフとする。スイッチング電圧Vsw2は切り替え線Cの右部においてスイッチング素子T3,T4のオン/オフを相補的に繰り返すことで昇圧モードとして動作し、切り替え線Cの左部においてスイッチング素子T3を常にオン、スイッチング素子T4を常にオフとする。
(本発明の第2の実施の形態)
図2は、本発明を適用した昇降圧DC/DCコンバータの第2の実施形態を示す回路構成図である。図2の第2の実施形態は、図1に示した第1の実施形態とはスイッチング素子の置き換え、及びインバータ3,4の配置を変えているという点で異なる。その他の回路部は同じである。ここでは図1及び図2の、異なる回路部について説明する。
図2中のスイッチング素子T5,T6はnMOSトランジスタである。スイッチング素子T5,T6は、図1中のpMOSトランジスタであるスイッチング素子T1,T3をそれぞれに置き換える。論理和回路1の出力は、インバータ3を介してスイッチング素子T2のゲートに接続されると共に、スイッチング素子T5のゲートに直接接続される。また、論理積回路2の出力は、インバータ4を介してスイッチング素子T6のゲートに接続されると共に、スイッチング素子T4のゲートに直接接続される。インバータ3,4は、それぞれ論理和回路1,論理積回路2の出力を受けて、その入力信号を反転して出力する。
論理和回路1の出力に基づいて、スイッチング素子T5,T2は相補的にオン/オフが切り替わる。したがって、降圧モードにおける昇降圧DC/DCコンバータ20はnMOSトランジスタであるスイッチング素子T5がオン状態でnMOSトランジスタであるスイッチング素子T2がオフ状態である場合、入力端子INからインダクタL1を介してキャパシタC2に電流が流れ、磁気エネルギーが蓄えられる。逆にスイッチング素子T5がオフ状態でスイッチング素子T2がオン状態である場合、スイッチング素子T2とインダクタL1を介してキャパシタC2に電流が流れることにより、インダクタL1に蓄えられていた磁気エネルギーが放出される。なお、降圧モードにおける、スイッチング素子T5,T2の状態に係らず、スイッチング素子T6は常にオン状態である。このような動作により、入力電圧Vinが降圧され、出力電圧Voutとなり出力端子OUTから出力される。
論理積回路2の出力に基づいて、スイッチング素子T6,T4は相補的にオン/オフが切り替わる。したがって、昇圧モードにおける昇降圧DC/DCコンバータ20はnMOSトランジスタであるスイッチング素子T6がオフ状態でnMOSトランジスタであるスイッチング素子T4がオン状態である場合、インダクタL1に電流が流れ、磁気エネルギーが蓄えられる。逆にスイッチング素子T1がオン状態でスイッチング素子T2がオフ状態である場合、入力端子INからインダクタL1を介してキャパシタC2に電流が流れることにより、インダクタL1に蓄えられていた磁気エネルギーが放出される。なお、昇圧モードにおける、スイッチング素子T6,T4の状態に係らず、スイッチング素子T5は常にオン状態である。このような動作により、入力電圧Vinが昇圧され、出力電圧Voutとなり出力端子OUTから出力される。
第1のコンパレータCMP1及び第2コンパレータCMP2において、誤差信号電圧Vc1及び反転信号電圧Vc2をそれぞれランプ波VRと比較し出力されたものが、スイッチ制御電圧Vcmp1,Vcmp2となる。スイッチ制御電圧Vcmp1,Vcmp2の論理和及び論理積を行った各演算結果が、それぞれ論理和出力1o及び論理積出力2oとして出力される。
入力電圧Vinはスイッチング素子T5のドレインに供給される。出力電圧Voutはスイッチング素子T6のドレインすなわち出力端子OUTから取り出される。入力電圧Vinと出力電圧Voutが等しくなると降圧モードと昇圧モードとが切替えられる。降圧モードと昇圧モードとの切替えタイミングCは誤差比較電圧Vref1で設定されている。誤差比較電圧Vref1は、誤差増幅器AMP1の非反転入力端子(+)に印加される。出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも低い場合には昇降圧DC/DCコンバータ20は降圧モードで動作し、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高い場合には昇降圧DC/DCコンバータ20は昇圧モードで動作する。図4には、誤差信号電圧Vc1、反転信号電圧Vc2、反転基準電圧Vref2、及び、ランプ波電圧VRがそれぞれ示されている。誤差信号電圧Vc1は、誤差増幅器AMP1から、反転信号電圧Vc2は反転増幅器AMP2からそれぞれ出力される。反転基準電圧Vref2は、反転増幅器AMP2の非反転入力端子(+)に印加されている。ランプ波電圧VRはランプ波発生回路RWGで生成され、第1のコンパレータCMP1の反転入力端子(−)と、第2のコンパレータCMP2の非反転入力端子(+)にそれぞれ印加されている。反転基準電圧Vref2はランプ波電圧VRの上限値VRHと下限値VRLの中間値、すなわち、Vref2=(VRH+VRL)/2になるように選ばれている。図4に示した誤差信号電圧Vc1、反転信号電圧Vc2、反転基準電圧Vref2及びランプ波電圧VRに基づき、降圧モード及び昇圧モードで用いるPWM信号が生成される。
図5は、本発明を適用した昇降圧DC/DCコンバータの第3の実施形態を示す回路構成図である。昇降圧DC/DCコンバータ50は、図2のものとは次の点で相違する。まず、ランプ波電圧VRが第1のコンパレータCMP1の非反転入力端子(+)とコンパレータCMP2の反転入力端子(−)に印加していることである。これは図2ではランプ波電圧VRを第1のコンパレータCMP1の反転入力端子(−)とコンパレータCMP2の非反転入力端子(+)に印加したものとは異なる。第1のコンパレータCMP1とコンパレータCMP2には互いに逆極性の入力端子にランプ波電圧VR印加していることでは共通する。次に、否定論理積回路1xの出力1xoを、降圧スイッチング手段を構成するスイッチング素子T1のゲートに、否定論理和回路2xの出力2xoを、昇圧スイッチング手段を構成するスイッチング素子T4のゲートにそれぞれ印加している。すなわち、降圧スイッチング手段は否定論理積回路1xの出力、昇圧スイッチング手段は否定論理和回路2xの出力により制御される。こうした違いはランプ波電圧VRを第1のコンパレータCMP1及び第2コンパレータCMP2の反転入力端子(−)に印加するのか非反転入力端子(+)に印加するかによって異なってくる。こうした違いは設計事項の1つとなる。なお、図5において他の回路構成は図2と同じであるので説明は割愛する。
図6は、図5の昇降圧DC/DCコンバータ50の主なノードの信号波形を示す図である。入力電圧Vinはスイッチング素子T5のドレインに供給される。出力電圧Voutはスイッチング素子T6のドレインすなわち出力端子OUTから取り出される。入力電圧Vinと出力電圧Voutが等しくなると降圧モードと昇圧モードとが切替えられる。降圧モードと昇圧モードとの切替えタイミングCは誤差比較電圧Vref1で設定されている。誤差比較電圧Vref1は、誤差増幅器AMP1の非反転入力端子(+)に印加される。出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも低い場合には昇降圧DC/DCコンバータ50は降圧モードで動作し、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高い場合には昇降圧DC/DCコンバータ50は昇圧モードで動作する。
図6には、誤差信号電圧Vc1、反転信号電圧Vc2、反転基準電圧Vref2、及び、ランプ波電圧VRがそれぞれ示されている。誤差信号電圧Vc1は、誤差増幅器AMP1から、反転信号電圧Vc2は反転増幅器AMP2からそれぞれ出力される。反転基準電圧Vref2は、反転増幅器AMP2の非反転入力端子(+)に印加されている。ランプ波電圧VRはランプ波発生回路RWGで生成され、第1のコンパレータCMP1の非反転入力端子(+)と、第2のコンパレータCMP2の反転入力端子(−)にそれぞれ印加されている。反転基準電圧Vref2はランプ波電圧VRの上限値VRHと下限値VRLの中間値、すなわち、Vref2=(VRH+VRL)/2になるように選ばれている。図6に示した誤差信号電圧Vc1、反転信号電圧Vc2、反転基準電圧Vref2及びランプ波電圧VRに基づき、降圧モード及び昇圧モードで用いるPWM信号が生成される。
図6において出力信号Vcmp1は第1のコンパレータCMP1から出力され否定論理積回路1xの第1入力端及び論理和回路1の第1入力端に印加される。出力信号Vcmp2は第2コンパレータCMP2から出力され論理和回路1の第2入力端と否定論理積回路1xの第2入力端にそれぞれ印加される。なお、否定論理積回路1x及び否定論理和回路2xは、本書においてそれぞれ第1論理演算回路及び第2論理演算回路と称される。
出力1xoは、否定論理積回路1xで出力信号Vcmp1と出力信号Vcmp2との否定論理積演算で得られる。出力1xoは、出力信号Vcmp1及び出力信号Vcmp2の両者が共にハイレベル“1”の時にローレベル“0”となり、その他の組み合わせにおいては、ハイレベル“1”となる。 出力1xoは、降圧モードと昇圧モードとの切替え点Cを境にして、降圧モードではデューティ比が変化するいわゆるPWM信号として作用し、昇圧モードではデューティ比が100%となる。
出力1xoは降圧スイッチング手段を構成するスイッチング素子T5のゲートに、出力2xoは昇圧スイッチング手段を構成するスイッチング素子T4のゲートにそれぞれ印加される。
出力2xoは、否定論理和回路2xで出力信号Vcmp1と出力信号Vcmp2との否定論理和演算で得られる。出力2xoは、出力信号Vcmp1及び出力信号Vcmp2のいずれかがハイレベル“1”の時にローレベル“0”となり、両者がともにローレベル“0”の時にハイレベル“1”となる。出力2xoは、降圧モードと昇圧モードとの切替えタイミングCを境にして、降圧モードでは出力2xoのデューティ比が0%であり、昇圧モードではデューティ比が変化するいわゆるPWM信号として作用する。こうした状態は図4と比較すると明らかとなるが、降圧モードと昇圧モードでのデューティ比の関係が逆転することになる。
スイッチング電圧Vsw1はスイッチングノードSW1に、スイッチング電圧Vsw2はスイッチングノードSW2にそれぞれ出力される。スイッチング電圧Vsw1は出力1xoと同じ極性となり、スイッチング電圧Vsw2は出力2xoと逆極性となる。スイッチング電圧Vsw1,Vsw2によって、インダクタL1に対してエネルギーの蓄積と放出とが切り替えられる。
図7は、本発明を適用した昇降圧DC/DCコンバータの第4の実施形態を示す回路構成図である。昇降圧DC/DCコンバータ70は、図2の昇降圧DC/DCコンバータ20に示した論理和回路1及び論理積回路2をそれぞれマルチプレクサM1及びマルチプレクサM2に置換え、さらにマルチプレクサM1及びM2の選択信号SELを生成する第3のコンパレータCMP3を設けたことで相違する。マルチプレクサは一般的にセレクタとも呼ばれている。マルチプレクサの内部回路は、例えば論理積回路AND、論理和回路OR、及びインバータとの組み合わせ、または否定論理積回路NANDとインバータとの組み合わせで構成される。マルチプレクサM1及びマルチプレクサM2も本書において、それぞれ第1論理演算回路及び第2論理演算回路と称される。
本発明に係るマルチプレクサM1,M2は、選択信号SELによって、スイッチ制御電圧Vcmp1及びスイッチ制御電圧Vcmp2のいずれか一方を出力する。マルチプレクサM1,M2は、入力端子A及び入力端子Bを有しており、選択信号SELがハイレベル“1”の時、入力端子Aで受けた電圧を、選択信号SELがローレベル“0”の時、入力端子Bで受けた電圧を出力する。例えばマルチプレクサM1は、選択信号SELがローレベル“0”である時にスイッチ制御電圧Vcmp1を、選択信号SELがハイレベル“1”である時にスイッチ制御電圧Vcmp2をそれぞれ、マルチプレクサ出力m1として出力する。
マルチプレクサM2も、選択信号SELによって、出力Vcmp1及び出力Vcmp2のいずれか一方を出力する。例えばマルチプレクサM2は、選択信号SELがローレベル“0”である時に出力Vcmp2を、選択信号SELがハイレベル“1”である時に出力Vcmp1をそれぞれ、マルチプレクサ出力m2として出力する。
マルチプレクサM1,M2を制御する選択信号SELは、第3のコンパレータCMP3の反転入力端子(−)に例えば反転基準電圧Vref2を、第3のコンパレータCMP3の非反転入力端子(+)にランプ波電圧VRを印加して生成することで得られる。すなわち、本発明に用いる回路部を利用しているので第3のコンパレータCMP3を新たに用意するだけで十分である。
なお、図7の昇降圧DC/DCコンバータ60において、マルチプレクサM1のマルチプレクサ出力m1は降圧用スイッチング手段を構成するスイッチング素子T1に、マルチプレクサM2のマルチプレクサ出力m2は昇圧用スイッチング手段を構成するスイッチング素子T4にそれぞれ印加している。しかし、これらの信号供給経路は、ランプ波電圧VRを第1のコンパレータCMP1及び第2のコンパレータCMP2のどちらの入力端子に印加するかで異なってくる。図7に示した信号供給経路とは異なり、ランプ波電圧VRを第1のコンパレータCMP1の非反転入力端子(+)と第2コンパレータCMP2の反転入力端子(−)にそれぞれ印加する場合には、マルチプレクサM1のマルチプレクサ出力m1は、スイッチング素子T4に、マルチプレクサM2のマルチプレクサ出力m2を、スイッチング素子T1に供給することとなる。
図8は図7に示した昇降圧DC/DCコンバータ70のおもなノードの信号波形を示す。図7は、図4に示した信号波形図にランプ波電圧VR、反転基準電圧Vref2、及び選択信号SELを加えている。こうして追加した信号波形は、マルチプレクサM1,M2の回路動作を説明するために有用である。
図8において最上段にはランプ波電圧VR及び反転基準電圧Vref2を示す。ランプ波電圧VRは、図7においてランプ波電圧発生回路RWGで生成される。反転基準電圧Vref2は、第3コンパレータCMP3の反転入力端子(−)と反転増幅器AMP2の非反転入力端子(+)に印加されている。反転基準電圧Vref2の大きさは、ランプ波電圧VRの上限値VRHと下限値VRLとの中間値に選ばれている。
選択信号SELは、第3コンパレータCMP3で図7において反転基準電圧Vref2とランプ波電圧VRとを比較して生成される。選択信号SELは、ランプ波電圧VRが反転基準電圧Vref2を超えた区間でハイレベル“1”となり反転基準電圧Vref2を下回った区間でローレベル“0”となる。
マルチプレクサM1は、選択信号SELが“0”である時に、信号Vcmp1を選択信号SELが“1”である時に信号Vcmp2をそれぞれ出力するように回路構成がなされている。したがって、マルチプレクサM1の出力には図8に示す出力1oが出力される。こうした出力1oは図4に示したものと同じとなる。したがって、図2に示した論理和回路1の出力1oと同じになる。
マルチプレクサM2は、選択信号SELが“0”である時に信号Vcmp2を、選択信号SELが“1”である時に信号Vcmp1をそれぞれ出力するように回路構成がなされている。したがって、マルチプレクサM2の出力には図8に示す出力2oが出力される。こうした出力2oは図4に示したものと同じとなる。したがって、図2に示した論理積回路2の出力2oと同じとなる。
図8に示したスイッチング電圧Vsw1,Vsw2も図4に示したものと同じとなる、すなわち、図7に示した昇降圧DC/DCコンバータ70を構成するマルチプレクサM1,M2及び第3コンパレータCMP3の回路構成は、例えば図2の論理和回路1と論理積回路2と同じ回路機能を有していることが分かる。
また、マルチプレクサM1、M2は第1のクロック信号を出力オシレータ回路と接続され、第1のクロック信号に基づいて動作する。さらに、第1のクロック信号が入力され、前記第1のクロック信号のから分周した第2のクロック信号を生成する分周部を設け、ランプ波発生回路RWGが第2のクロック信号を受け、ランプ波電圧VRを生成してもよい。
図9は、本発明に係るダイオード整流方式の昇降圧DC/DCコンバータ100を示す。ダイオード整流方式の昇降圧DC/DCコンバータは、図2に示した同期整流方式の昇降圧DC/DCコンバータ20をダイオード整流方式に置き換えたものである。図2とは、スイッチング素子T2及びスイッチング素子T6をそれぞれ整流ダイオードD2及び整流ダイオードD6に置き替えたこと、さらにインバータ3,4を用いていないことで相違する。こうした昇降圧DC/DCコンバータ100では、スイッチング素子T5及びスイッチング素子T4に、それぞれ図7に示した論理和出力1o及び否定論理積出力2oが印加される。本発明に係るダイオード整流方式の昇降圧DC/DCコンバータ100は当然のことながら、マルチプレクサを用いた図7のものにも適用することができる。
本発明に係る昇降圧DC/DCコンバータ10,20,50,70,90において、降圧スイッチング手段に同期整流方式、昇圧スイッチング手段にダイオード整流方式を適用することができる。また、同様に昇降圧DC/DCコンバータ10,20,50,70,90において、降圧スイッチング手段にダイオード整流方式、昇圧スイッチング手段に同期整流方式を適用することもできる。
図10は、これまで述べてきた本発明に係る昇降圧DC/DCコンバータの降圧スイッチング手段及び昇圧スイッチング手段を構成する各スイッチング素子のオンオフ状態をまとめたものである。降圧モードでは降圧用スイッチング手段を構成するスイッチング素子T1,T5がPWM信号のオン/オフのデューティ比に応じて、オン/オフ動作を繰り返す。同じくスイッチング素子T2もオフ/オンのデューティ比に応じて、スイッチング素子T1,T5がオンの時にオフし、スイッチング素子T1が、オフの時にオンするといういわゆる相補的な動作を繰り返す。降圧モードではスイッチング素子T3,T6のゲートにはデューティ比が100%の信号が印加される。したがって、スイッチング素子T3,T6は常時オン状態に置かれる。降圧モードではスイッチング素子T4のゲートにはデューティ比が0%の信号、すなわちローレベルが印加されるので常時オフ状態に置かれている。
図10の昇圧モードでは、降圧モードでは降圧用スイッチング手段を構成するスイッチング素子T1,T5が常時オン状態に置かれている。スイッチング素子T2は常時オフ状態に置かれる。スイッチング素子T3,T6のゲートにはオン/オフのデューティ比が変化するPWM信号が印加されているのでオン/オフ動作を繰り返す。スイッチング素子T4は、スイッチング素子T3,T6とは相補的に動作する。すなわち、スイッチング素子T4はスイッチング素子T3,T6がオンの時にオフ状態であり、スイッチング素子T3,T6がオフの時にオン状態に置かれる
図10において、降圧モードから昇圧モードまたは、昇圧モードから降圧モードに移行する時のスイッチ動作が問題となるが、特許文献1のように昇圧動作と降圧動作がオーバーラップする制御方式では、昇圧動作、降圧動作の切り替わりが遅く、応答速度を抑制してしまっていたが、本発明に係る昇降圧DC/DCコンバータではオーバーラップ区間はなく、応答速度が改善する。また特許文献1の構成では、入力電圧Viと出力電圧Voの値が近い条件で昇圧動作と降圧動作の両方が行われるためスイッチ損失が大きくなっていたが、本発明に係る昇降圧DC/DCコンバータでは、昇圧動作か降圧動作によるスイッチ損失のいずれかに低減される。