JP2018098412A - 厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することができる、厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法を提供する。【解決手段】二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体を含み、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする厚膜抵抗体用組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法に関する。
厚膜抵抗体は、チップ抵抗器、厚膜ハイブリッドICや抵抗ネットワーク等に広く用いられている。厚膜抵抗体は、例えば導電性粉末および絶縁ガラス粉末を、樹脂および溶剤からなる有機ビヒクルに分散させた厚膜抵抗体用ペーストを、アルミナ等のセラミックス基板上に塗付して焼成することによって製造される。厚膜抵抗体の導電性粉末としては、低抵抗領域用の厚膜抵抗体の場合には銀や銀パラジウム合金が用いられ、中抵抗領域〜高抵抗領域用の厚膜抵抗体の場合にはルテニウム酸鉛が用いられてきた。
ルテニウム酸鉛は、高抵抗領域において導電物濃度に対する抵抗値の変動率が小さく、抵抗値のばらつきの少ない厚膜抵抗体を製造することができる。また、ルテニウム酸鉛は、短時間過負荷や静電気破壊による厚膜抵抗体の永久抵抗値変化率も小さく、耐電圧性が優れているなど、厚膜抵抗体の導電性粉末として優れた特徴を有している。
しかしながら、近年では、環境を保護するために電子部品の鉛フリー化が進んでおり、厚膜抵抗体についても鉛フリー化が強く望まれている。ただし、厚膜抵抗体用ペーストを鉛フリー化すると、ルテニウム酸鉛等を使用した場合に比べて、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきや電流雑音(ノイズ)が大きくなるという問題があった。
このような問題を解決する試みとして、ガラスフリットを粉砕し、その平均粒子径を5μm以下にする方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この方法によれば、鉛フリーの厚膜抵抗体中の導電パスを微細にし、抵抗値のばらつきおよびノイズの悪化を抑制することができる。
また、ガラス組成物粉末と導電性粉末であるルテニウム酸化物粉末とをボールミルに装填し、ボールミルにより混合粉砕処理を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2)。この方法によれば、粉砕された前記ガラス組成物粉末の表面を、前記ルテニウム酸化物粉末で被覆することができる。そして、混合粉砕処理後の粉砕品とガラスフリットと有機物とを混合することで、抵抗体ペーストを製造することができる。
しかしながら、特許文献1の方法では、導電パスが微細ではあるものの、導電パスが断続的であるため、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきが大きく、また、ノイズの抑制効果も小さかった。
また、特許文献2の方法では、粉砕処理後の混合物にジルコニアボールやアルミナボールの粉が不純物として混入してしまう。このような不純物が混入した混合物を使用して作製した厚膜抵抗体は、抵抗値のばらつきが大きくなり、また、電流雑音も大きくなる。また、ボールミルによる混合粉砕処理に、24〜48時間の処理時間が必要となる。このような長時間の粉砕処理は、コスト低減の点で課題となる。
本発明は、このような状況に鑑み、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ガラス組成物粒子に新表面を露出させ、その新表面に二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させた結合体を形成させ、この結合体を厚膜抵抗体として用いれば、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきと電流雑音を小さくできることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体を含み、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする厚膜抵抗体用組成物が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記厚膜抵抗体用組成物と、樹脂とを含むことを特徴とする厚膜抵抗体用ペーストが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物の焼結体を含み、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする厚膜抵抗体が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ガラス組成物粒子に新表面を露出させる露出工程と、前記新表面に二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させて結合体を得る結合工程を含むことを特徴とする、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下である厚膜抵抗体用組成物の製造方法が提供される。
前記厚膜抵抗体用組成物の製造方法において、前記露出工程に用いる前記ガラス組成物粒子のメジアン径D50が0.5〜5μmであり、前記二酸化ルテニウムの一次粒子の数平均粒子径が1〜100nmであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記厚膜抵抗体用組成物の製造方法により製造された厚膜抵抗体用組成物と、樹脂を混合する混合工程とを含むことを特徴とする厚膜抵抗体用ペーストの製造方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物を焼結させる焼結工程を含むことを特徴とする、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下である厚膜抵抗体の製造方法が提供される。
本発明の厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法によれば、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法ついて、詳細に説明する。
[厚膜抵抗体用組成物]
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体を含む。このような結合体を含む厚膜抵抗体用組成物を使用して作製した厚膜抵抗体は、ガラス組成物粒子の表面に結合した二酸化ルテニウムが良好な導電パスを形成する。これにより、厚膜抵抗体の抵抗値にばらつきがなく、また、電流雑音を抑制することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体を含む。このような結合体を含む厚膜抵抗体用組成物を使用して作製した厚膜抵抗体は、ガラス組成物粒子の表面に結合した二酸化ルテニウムが良好な導電パスを形成する。これにより、厚膜抵抗体の抵抗値にばらつきがなく、また、電流雑音を抑制することができる。
例えば、二酸化ルテニウムの一次粒子が凝集した凝集体が、ガラス組成物粒子またはガラス組成物の凝集体に結合したものを使用して作製した厚膜抵抗体は、良好な導電パスが形成されない場合がある。このような厚膜抵抗体は、抵抗値にばらつきが生じる場合や、電流雑音が大きくなる場合がある。
(二酸化ルテニウム)
前記結合体の二酸化ルテニウムの一次粒子は、数平均粒子径が1〜100nmであることが好ましい。一次粒子の数平均粒子径がこの範囲内であることにより、良好な導電パスを形成することができる。一次粒子の数平均粒子径が100nmより大きいと、厚膜抵抗体とした場合の抵抗値のばらつきや電流雑音が大きくなる場合がある。一次粒子の数平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、10万倍のSEM像において、二酸化ルテニウムの一次粒子100個の粒子径の平均値を算出することにより、求めることができる。
前記結合体の二酸化ルテニウムの一次粒子は、数平均粒子径が1〜100nmであることが好ましい。一次粒子の数平均粒子径がこの範囲内であることにより、良好な導電パスを形成することができる。一次粒子の数平均粒子径が100nmより大きいと、厚膜抵抗体とした場合の抵抗値のばらつきや電流雑音が大きくなる場合がある。一次粒子の数平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、10万倍のSEM像において、二酸化ルテニウムの一次粒子100個の粒子径の平均値を算出することにより、求めることができる。
二酸化ルテニウムの製造方法は、特に限定されない。例えば、ルテニウム酸カリウム水溶液にエタノールなどのアルコールや有機化合物を加える方法によって得ることができる。また、塩化ルテニウム水溶液を水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物で中和したものを、焙焼することで得ることができる。
(ガラス組成物)
前記結合体のガラス組成物は、粒子のメジアン径D50が0.5〜5μmであることが好ましい。粒子のメジアン径がこの範囲内であることにより、微細な導電パスを形成することができる。メジアン径が5μmよりも大きい場合、厚膜抵抗体とした場合の抵抗値のばらつきや電流雑音が大きくなる場合がある。また、ガラス組成物粒子は、二酸化ルテニウムの一次粒子よりもある程度大きいことにより、無機バインダーとしての機能を好適に発揮することができる。このような観点から、ガラス組成物粒子のメジアン径が0.5μmよりも小さい場合には、厚膜抵抗体とした場合において、厚膜抵抗体の強度が低下する場合がある。厚膜抵抗体とした場合の性能や強度を考慮すると、ガラス組成物粒子のメジアン径が1.0〜2.0μmであることがより好ましい。粒子のメジアン径は、例えばレーザー回折散乱法を用いて測定した粒子の個数を基準として、算出することができる。
前記結合体のガラス組成物は、粒子のメジアン径D50が0.5〜5μmであることが好ましい。粒子のメジアン径がこの範囲内であることにより、微細な導電パスを形成することができる。メジアン径が5μmよりも大きい場合、厚膜抵抗体とした場合の抵抗値のばらつきや電流雑音が大きくなる場合がある。また、ガラス組成物粒子は、二酸化ルテニウムの一次粒子よりもある程度大きいことにより、無機バインダーとしての機能を好適に発揮することができる。このような観点から、ガラス組成物粒子のメジアン径が0.5μmよりも小さい場合には、厚膜抵抗体とした場合において、厚膜抵抗体の強度が低下する場合がある。厚膜抵抗体とした場合の性能や強度を考慮すると、ガラス組成物粒子のメジアン径が1.0〜2.0μmであることがより好ましい。粒子のメジアン径は、例えばレーザー回折散乱法を用いて測定した粒子の個数を基準として、算出することができる。
また、電子部品の鉛フリー化の観点から、ガラス組成物は鉛を含まないものであることが好ましい。ガラス組成物の組成は、鉛を含まなければ特に限定されず、例えば、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物等の少なくとも1種を混合および溶融して急冷したものを粉砕することにより、製造することができる。具体的には、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸アルカリ土類ガラス、ホウケイ酸アルカリガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス、ホウケイ酸ビスマスガラス等が挙げられる。
(任意の含有成分)
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、前記結合体の他に、添加剤を含んでもよい。例えば、面積抵抗値や抵抗温度係数の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上やその他の改質を目的として、二酸化マンガン、酸化銅、二酸化チタン、二酸化ケイ素等の無機成分を適宜含めることができる。これらの無機成分の添加剤の割合は、二酸化ルテニウムとガラス組成物の合計質量に対して0.05〜20質量%であることが、一般的である。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、前記結合体の他に、添加剤を含んでもよい。例えば、面積抵抗値や抵抗温度係数の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上やその他の改質を目的として、二酸化マンガン、酸化銅、二酸化チタン、二酸化ケイ素等の無機成分を適宜含めることができる。これらの無機成分の添加剤の割合は、二酸化ルテニウムとガラス組成物の合計質量に対して0.05〜20質量%であることが、一般的である。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下である。不純物が多く混入した厚膜抵抗体用組成物を使用して作製した厚膜抵抗体は、抵抗値のばらつきが大きくなる場合や、電流雑音が大きくなる場合がある。そのため、厚膜抵抗体用組成物には不純物ができるだけ混入しないことが好ましい。製造方法によっては、厚膜抵抗体用組成物へ不可避的に不純物が混入する場合がある。このような場合であっても、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であれば、厚膜抵抗体とした場合の抵抗値のばらつきや、電流雑音等の性能に影響を与えない。
[厚膜抵抗体用組成物の製造方法]
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、その製造方法が特に限定されるものではないが、例えば以下に説明する方法により製造することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、その製造方法が特に限定されるものではないが、例えば以下に説明する方法により製造することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物の製造方法は、ガラス組成物粒子の新表面を露出させる露出工程と、前記新表面に二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させて結合体を得る結合工程を含む。
(露出工程)
ガラス組成物粒子の表面は、活性が低いために、二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させることが困難である。そこで、前記露出工程によりガラス組成物粒子の活性の高い新表面を露出させる。ガラス組成物粒子の新表面を露出させる方法は、特に限定されない。例えば、ガラス組成物の粉末や粒子同士を衝突させることにより、新表面を露出させることができる。
ガラス組成物粒子の表面は、活性が低いために、二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させることが困難である。そこで、前記露出工程によりガラス組成物粒子の活性の高い新表面を露出させる。ガラス組成物粒子の新表面を露出させる方法は、特に限定されない。例えば、ガラス組成物の粉末や粒子同士を衝突させることにより、新表面を露出させることができる。
(結合工程)
前記結合工程では、ガラス組成物粒子の新表面に二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させる。ガラス組成物粒子の新表面は活性が高いため、二酸化ルテニウムの一次粒子が新表面に接触することにより結合し、結合体となる。結合工程としては、結合体が得られれば特に限定されず、新表面の活性が高い間に、二酸化ルテニウムの一次粒子を新表面に接触させることができればよい。
前記結合工程では、ガラス組成物粒子の新表面に二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させる。ガラス組成物粒子の新表面は活性が高いため、二酸化ルテニウムの一次粒子が新表面に接触することにより結合し、結合体となる。結合工程としては、結合体が得られれば特に限定されず、新表面の活性が高い間に、二酸化ルテニウムの一次粒子を新表面に接触させることができればよい。
前記露出工程と前記結合工程を1度の処理により行うことのできる方法としては、例えばジェットミルを用いて処理する方法が挙げられる。具体的には、ガラス組成物粉末と二酸化ルテニウム粉末をジェットミルに投入し、これらの粉末を超音速流に連続的かつ自動的に供給して、気流中でこれらの粉末が衝突することにより、解砕処理、粉砕処理および混合処理を同時に行うことができる。
これらの粉末が衝突することで、一次粒子の凝集体が解され、ガラス組成物粒子および二酸化ルテニウムが一次粒子となる(解砕処理)。そして、ガラス組成物の凝集体や粒子同士、またはガラス組成物の凝集体や粒子に二酸化ルテニウムの凝集体や一次粒子が衝突することで、ガラス組成物の表面が欠けて新表面が形成される(粉砕処理)。また、気流中で二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の新表面に接触して結合し、結合体となって二酸化ルテニウムとガラス組成物が混合される(混合処理)。これらの処理により、ガラス組成物粒子に二酸化ルテニウムの一次粒子が均一に被覆した結合体を得ることができる。そして、ガラス組成物粒子同士の接点を減らすことにより、微細で連続的な導電パスを有する厚膜抵抗体を製造することができ、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきと電流雑音を抑制することができる。
ジェットミル装置の種類や運転条件は、解砕処理、粉砕処理および混合処理を行うことができれば、特に限定されない。例えば、ジェットミル装置の粉砕室の内部の材質がセラミックスであれば、摩耗しにくいため、厚膜抵抗体用組成物への不純物の混入を抑制することができる。
(予備混合工程)
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物の製造方法は、前記露出工程および前記結合工程の前に、二酸化ルテニウムとガラス組成物を予め混合する予備混合工程を設けることができる。この工程により、ガラス組成物粒子と二酸化ルテニウムの一次粒子との結合体を速やかに製造することが、容易となる。予備混合工程では、色の異なる二酸化ルテニウムとガラス組成物を、色むらがなくなる程度に混合すればよく、公知の技術を用いればよい。例えば、擂潰機や自公転ミキサーなどを用いて、5分程度の混合をすればよい。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物の製造方法は、前記露出工程および前記結合工程の前に、二酸化ルテニウムとガラス組成物を予め混合する予備混合工程を設けることができる。この工程により、ガラス組成物粒子と二酸化ルテニウムの一次粒子との結合体を速やかに製造することが、容易となる。予備混合工程では、色の異なる二酸化ルテニウムとガラス組成物を、色むらがなくなる程度に混合すればよく、公知の技術を用いればよい。例えば、擂潰機や自公転ミキサーなどを用いて、5分程度の混合をすればよい。
上記「(ガラス組成物)」において記載したように、前記露出工程に用いる前記ガラス組成物粒子のメジアン径D50が、0.5〜5μmであってもよい。また、上記「(二酸化ルテニウム)」において記載したように、前記二酸化ルテニウムの一次粒子の数平均粒子径が、1〜100nmであってもよい。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物の製造方法によれば、不純物の混入を好適に回避することができる。そのため、製造した厚膜抵抗体用組成物は、不可避不純物の含有量を0.1質量%以下とすることができる。
厚膜抵抗体用組成物中の二酸化ルテニウムは、混合比率が多いと、厚膜抵抗体としたときの電流雑音が増加する場合がある。そのため、二酸化ルテニウムの含有量は、厚膜抵抗体に必要な特性に応じて適宜、調整できる。
また、二酸化ルテニウムとガラス組成物との配合比は、目的とする面積抵抗値によって任意に調整することができる。すなわち、目的とする抵抗値が高い場合は、二酸化ルテニウムの配合量を少なくし、目的とする抵抗値が低い場合は、二酸化ルテニウムの配合量を多くすることができる。ただし、ガラス組成物に比べて二酸化ルテニウムの配合割合が多すぎると、製造した厚膜抵抗膜が脆くなってしまう場合がある。そのため、二酸化ルテニウムの配合比は、質量比にて、ガラス組成物に対して等倍以下であることが望ましい。
[厚膜抵抗体用ペースト]
次に、本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストについて、説明する。厚膜抵抗体用ペーストは、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物と、樹脂を含む。
次に、本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストについて、説明する。厚膜抵抗体用ペーストは、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物と、樹脂を含む。
厚膜抵抗体用ペーストは、基板等への塗付を容易とし、厚膜抵抗体用組成物の濃度やペーストの粘度を用途に応じて適宜調整したものである。樹脂はバインダーとしての機能を有し、厚膜抵抗体用ペーストは厚膜抵抗体用組成物がバインダーに分散した分散体であることが好ましい。樹脂は、バインダーとしての機能を発揮することができるものであればよく、溶剤型、無溶剤型、反応型、未反応型、一液反応硬化型、二液反応硬化型等、用途に応じて種々の樹脂を用いることができる、また、以下に説明するように、樹脂と溶剤等を含む有機ビヒクルを厚膜抵抗体用ペーストの原料として用いることができる。
(有機ビヒクル)
厚膜抵抗体用ペーストに用いることのできる樹脂としては、エチルセルロース、マレイン酸樹脂、ロジン等が挙げられる。これらの樹脂は、バインダーとしての性能および焼結による熱分解の容易性の観点から、700℃以上の温度で分解できる樹脂であることが好ましい。より好ましくは、焼結の際のピーク温度である750℃〜900℃の温度範囲内で分解できる樹脂であることが好ましい。また、樹脂を溶解する溶剤としては、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等を用いることができる。これらの樹脂と溶剤により調合される有機ビヒクルの樹脂と溶剤の配合比は、所望する粘度や用途によって適宜調整することができる。また、厚膜抵抗体用ペーストに要求される連続印刷性を考慮すると、沸点が高い溶剤を加えて、ペーストの乾燥速度を制御することができる。
厚膜抵抗体用ペーストに用いることのできる樹脂としては、エチルセルロース、マレイン酸樹脂、ロジン等が挙げられる。これらの樹脂は、バインダーとしての性能および焼結による熱分解の容易性の観点から、700℃以上の温度で分解できる樹脂であることが好ましい。より好ましくは、焼結の際のピーク温度である750℃〜900℃の温度範囲内で分解できる樹脂であることが好ましい。また、樹脂を溶解する溶剤としては、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等を用いることができる。これらの樹脂と溶剤により調合される有機ビヒクルの樹脂と溶剤の配合比は、所望する粘度や用途によって適宜調整することができる。また、厚膜抵抗体用ペーストに要求される連続印刷性を考慮すると、沸点が高い溶剤を加えて、ペーストの乾燥速度を制御することができる。
(任意の添加成分)
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物と樹脂の他に、添加剤を含んでもよい。例えば、前記結合体の凝集による二次粒子の形成を防止し、均一な分散性を維持する等の目的により、分散剤を含んでもよい。二次粒子の形成を抑制する分散剤としては、例えば脂肪酸を用いることができる。脂肪酸は、飽和、不飽和を問わないが、結合体を分散させ、再び凝集するのを防ぐ観点から、炭素数12以上の高級脂肪酸であることが、より好ましい。
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物と樹脂の他に、添加剤を含んでもよい。例えば、前記結合体の凝集による二次粒子の形成を防止し、均一な分散性を維持する等の目的により、分散剤を含んでもよい。二次粒子の形成を抑制する分散剤としては、例えば脂肪酸を用いることができる。脂肪酸は、飽和、不飽和を問わないが、結合体を分散させ、再び凝集するのを防ぐ観点から、炭素数12以上の高級脂肪酸であることが、より好ましい。
[厚膜抵抗体用ペーストの製造方法]
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、その製造方法が特に限定されるものではないが、例えば以下に説明する方法により製造することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、その製造方法が特に限定されるものではないが、例えば以下に説明する方法により製造することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストの製造方法は、前記製造方法により製造された厚膜抵抗体用組成物と、樹脂を混合する混合工程を含む。
厚膜抵抗体用ペーストを製造する方法は、公知の技術を用いれば良く、たとえば、3本ロールミル、遊星ミル、ビーズミル等を用いて、厚膜抵抗体用組成物を例えば有機ビヒクルに分散することができる。不純物の混入を抑制する観点から、3本ロールミルを用いることが好ましい。
一般的に、一次粒子の粒径が小さくなると、粒子の凝集力が強くなり、二次粒子を形成し易くなる。このような二次粒子の形成を防止するべく、厚膜抵抗体用組成物を有機ビヒクル中に分散させる際に分散剤として脂肪酸を加えても良い。あるいは、予め厚膜抵抗体用組成物の表面に付着させたものを、有機ビヒクル中に分散させても良い。厚膜抵抗体用ペーストに対する有機ビヒクルの割合は特に限定されないが、厚膜抵抗体用ペーストの質量に対して30〜80質量%が一般的である。
[厚膜抵抗体]
次に、本実施形態の厚膜抵抗体について、説明する。厚膜抵抗体は、二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物の焼結体を含む。このような焼結体であれば、二酸化ルテニウムの一次粒子が緻密な導電パスを形成することができる。結果として、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することができる。二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物としては、例えば、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物が含む、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体が挙げられる。
次に、本実施形態の厚膜抵抗体について、説明する。厚膜抵抗体は、二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物の焼結体を含む。このような焼結体であれば、二酸化ルテニウムの一次粒子が緻密な導電パスを形成することができる。結果として、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することができる。二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物としては、例えば、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物が含む、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体が挙げられる。
本実施形態の厚膜抵抗体は、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下である。不純物が多く混入した厚膜抵抗体は、抵抗値のばらつきが大きくなる場合や、電流雑音が大きくなる場合がある。そのため、厚膜抵抗体には不純物ができるだけ混入しないことが好ましい。不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であれば、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきや、電流雑音等の性能に影響を与えない。
(任意の含有成分)
本実施形態の厚膜抵抗体は、前記焼結体の他に、添加剤を含んでもよい。例えば、面積抵抗値や抵抗温度係数の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上やその他の改質を目的として、二酸化マンガン、酸化銅、二酸化チタン、二酸化ケイ素等の無機成分を適宜含めることができる。これらの無機成分の添加剤の割合は、焼結体の合計質量に対して0.05〜20質量%であることが、一般的である。
本実施形態の厚膜抵抗体は、前記焼結体の他に、添加剤を含んでもよい。例えば、面積抵抗値や抵抗温度係数の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上やその他の改質を目的として、二酸化マンガン、酸化銅、二酸化チタン、二酸化ケイ素等の無機成分を適宜含めることができる。これらの無機成分の添加剤の割合は、焼結体の合計質量に対して0.05〜20質量%であることが、一般的である。
なお、本実施形態の厚膜抵抗体は、鉛を含有しないことが好ましい。厚膜抵抗体が「鉛を含有しない」とは、原料に鉛を含まないことであり、例えば、厚膜抵抗体の鉛の含有量がRoHS指令の規制値(0.1質量%)以下であるか、または、鉛の含有量が通常の測定機器において検出限界値以下であることを示す。
厚膜抵抗体中の二酸化ルテニウムの含有量は、形成する厚膜抵抗体の所望の抵抗値によって適宜調整することができる。例えば、厚膜抵抗体の二酸化ルテニウムの含有量を7質量%〜20質量%とすることにより、100kΩ程度の抵抗値を有する厚膜抵抗体を形成することができる。
[厚膜抵抗体の製造方法]
本実施形態の厚膜抵抗体は、その製造方法が特に限定されるものではないが、例えば以下に説明する方法により製造することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体は、その製造方法が特に限定されるものではないが、例えば以下に説明する方法により製造することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体の製造方法は、二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物を焼結させる焼結工程を含む。このようなガラス組成物としては、例えば、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物が含む、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体、が挙げられる。
焼結工程の条件は、ガラス組成物同士が溶融して接触することにより、無機のバインダーとしての機能を発揮することができれば、特に限定されない。また、本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストを用いて厚膜抵抗体を製造する場合には、上記の条件に加えて、ペースト中の樹脂や溶剤等を熱分解して厚膜抵抗体から除去することができれば、特に限定されない。その条件としては、ガラス組成物の組成や樹脂の種類にもよるが、例えば焼成炉を使用して、ピーク温度を750〜950℃とし、ピーク温度の保持時間を5〜15分とする焼結条件により、厚膜抵抗体を製造することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体の製造方法によって製造した厚膜抵抗体は、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下である。不純物が多く混入した厚膜抵抗体は、抵抗値のばらつきが大きくなる場合や、電流雑音が大きくなる場合がある。そのため、厚膜抵抗体には不純物ができるだけ混入しないことが好ましい。不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であれば、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきや、電流雑音等の性能に影響を与えない。
以下、厚膜抵抗体を基板上に形成する方法の一般的な例について、説明する。なお、厚膜抵抗体の形成方法は、以下の方法に限定されるものではなく、処理条件等について、公知の知見や方法を用いて、適宜変更してもよい。
上記形成方法は、本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストを基板に塗付する塗付工程と、当該塗付工程後の厚膜抵抗体用ペーストが塗布された基板を焼成する焼成工程と、を含むものが挙げられる。厚膜抵抗体を形成する対象となる基板としては、アルミナ等のセラミックス上に銀、パラジウム等からなる電極が形成されたものを、好適に用いることができる。
前記塗付工程では、基板の電極上に厚膜抵抗体用ペーストをスクリーン印刷、フレキソ印刷、ディスペンサによる描画印刷、またはインクジェット法等の方法により塗付することができる。そして、焼成工程では、塗付された厚膜抵抗体用ペーストを予備乾燥等させた後、オーブン等を用いて焼結する。焼成条件は、形成する厚膜抵抗体のサイズ等により、適宜設定することができる。例えば、ピーク温度を750〜950℃とし、ピーク温度の保持時間を5〜15分とすることができる。以上の塗付工程および焼成工程を含む方法により、基板に厚膜抵抗体を形成することができる。
上記において説明した、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法によれば、抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することができる厚膜抵抗体を提供することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
一次粒子の数平均粒子径が70nmの二酸化ルテニウム粉末50gと、ガラス組成物として一次粒子のメジアン径D50が1.5μmの鉛フリーガラス粉末(二酸化ケイ素:35質量%、酸化ほう素:20質量%、酸化アルミニウム:5質量%、酸化カルシウム:5質量%、酸化バリウム:20質量%、酸化亜鉛:15質量%)950gをプラスチック容器にいれ、自公転ミキサー(シンキー社製ARV-930TIWN)を用いて、自転条件700rpm、公転条件1400rpmとして、5分間混合した(予備混合工程)。予備混合後の粉末に色むらは見られなかった。
一次粒子の数平均粒子径が70nmの二酸化ルテニウム粉末50gと、ガラス組成物として一次粒子のメジアン径D50が1.5μmの鉛フリーガラス粉末(二酸化ケイ素:35質量%、酸化ほう素:20質量%、酸化アルミニウム:5質量%、酸化カルシウム:5質量%、酸化バリウム:20質量%、酸化亜鉛:15質量%)950gをプラスチック容器にいれ、自公転ミキサー(シンキー社製ARV-930TIWN)を用いて、自転条件700rpm、公転条件1400rpmとして、5分間混合した(予備混合工程)。予備混合後の粉末に色むらは見られなかった。
予備混合した粉末を、ジェットミル装置(日本ニューマチック工業社製:PJM−200SP)を用いて、ジェットミル処理を15分行った(露出工程、結合工程)。ジェットミル装置の粉砕室の内部の材質は、セラミックスであり、ジェットミル装置の運転条件は、圧縮エア供給量:2.8Nm3/min、粉砕圧力:0.7MPaである。ジェットミル処理により、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体からなる厚膜抵抗体用組成物を得た。ジェットミル処理により、厚膜抵抗体用組成物への不純物の混入は認められなかった。
次に、得られた厚膜抵抗体用組成物と有機ビヒクルを6:4の質量比で3本ロールミルによって混練し(混合工程)、厚膜抵抗体用ペーストを得た。使用した有機ビヒクルは、エチルセルロースをターピネオールに溶解したものであり、エチルセルロースとターピネオールとの質量比は5:95である。
得られた厚膜抵抗体用ペーストを用いて、事前に銀ペーストにて電極を形成したアルミナ基板上に、サイズ1×1mm、厚さ7μmの抵抗体パターンを印刷し、これを乾燥(250℃×15分)した。その後、ピーク温度850℃、ピーク時間9分のベルト焼成炉によって焼成し(焼結工程)、厚膜抵抗体を形成した。
厚膜抵抗体の抵抗値と電流雑音を測定した。抵抗値は4端子法による測定を行った。電流雑音は、電流雑音測定器(ノイズ研究所製:RCN−2011)によって測定を行った。また、厚膜抵抗体について基板ごとXRD定性分析を行い、厚膜抵抗体の不純物の有無を評価した。
(実施例2)
二酸化ルテニウム粉末量を100g、鉛フリーガラス粉末量を900gとした以外は、実施例1と同様にして厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
二酸化ルテニウム粉末量を100g、鉛フリーガラス粉末量を900gとした以外は、実施例1と同様にして厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
(比較例1)
二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルは、実施例1と同様のものを使用した。露出工程および結合工程を行うことなく、二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルを質量比で0.3:5.7:4となるように配合し、3本ロールミルで混錬し、厚膜抵抗体用ペーストを作製した。このペーストを用いて、実施例1と同様に厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルは、実施例1と同様のものを使用した。露出工程および結合工程を行うことなく、二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルを質量比で0.3:5.7:4となるように配合し、3本ロールミルで混錬し、厚膜抵抗体用ペーストを作製した。このペーストを用いて、実施例1と同様に厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
(比較例2)
二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルは、実施例1と同様のものを使用した。二酸化ルテニウム粉末50gおよび鉛フリーガラス粉末950gを、ボールミル(伊藤製作所製:BMU−100)を用いて、乾式にて1時間の混合処理を行った。混合用ボールには、直径3mmのジルコニアボールを使用した。粉砕後、実施例1と同様に有機ビヒクルと混錬して、厚膜抵抗体用ペーストを作製した。このペーストを用いて、実施例1と同様に厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルは、実施例1と同様のものを使用した。二酸化ルテニウム粉末50gおよび鉛フリーガラス粉末950gを、ボールミル(伊藤製作所製:BMU−100)を用いて、乾式にて1時間の混合処理を行った。混合用ボールには、直径3mmのジルコニアボールを使用した。粉砕後、実施例1と同様に有機ビヒクルと混錬して、厚膜抵抗体用ペーストを作製した。このペーストを用いて、実施例1と同様に厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
(比較例3)
ボールミル粉砕を24時間とした以外は、比較例2と同様にして厚膜抵抗体用ペーストおよび厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
ボールミル粉砕を24時間とした以外は、比較例2と同様にして厚膜抵抗体用ペーストおよび厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
(比較例4)
二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルは、実施例1と同様のものを使用した。予め、鉛フリーガラス粉末1000gのみを15分間ジェットミル処理を行った。ジェットミル装置の運転条件は、実施例1と同様とした。ジェットミル処理後のガラス粉末は、メジアン径1.4μmであり、ジェットミル処理前のメジアン径とほとんど変化はなかった。次に、二酸化ルテニウム粉末、上記ジェットミル処理したガラス粉末および有機ビヒクルを質量比が0.3:5.7:4となるように配合し、3本ロールミルで混錬して厚膜抵抗体用ペーストを作製した。その後、このペーストを用いて、実施例1と同様に厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
二酸化ルテニウム粉末、鉛フリーガラス粉末および有機ビヒクルは、実施例1と同様のものを使用した。予め、鉛フリーガラス粉末1000gのみを15分間ジェットミル処理を行った。ジェットミル装置の運転条件は、実施例1と同様とした。ジェットミル処理後のガラス粉末は、メジアン径1.4μmであり、ジェットミル処理前のメジアン径とほとんど変化はなかった。次に、二酸化ルテニウム粉末、上記ジェットミル処理したガラス粉末および有機ビヒクルを質量比が0.3:5.7:4となるように配合し、3本ロールミルで混錬して厚膜抵抗体用ペーストを作製した。その後、このペーストを用いて、実施例1と同様に厚膜抵抗体を作製し、同様の評価を行った。
[結果]
表1に、各実施例および各比較例で厚膜抵抗体用組成物を作製した際の二酸化ルテニウム粉末と鉛フリーガラス粉末の配合量、混合処理方法および混合処理時間を示す。表2に、各実施例および各比較例で作製した厚膜抵抗体用ペーストの配合比率を示す。表3に、各実施例および各比較例で作製した厚膜抵抗体の特性値(抵抗値と抵抗値のばらつき、電流雑音)の測定結果、およびXRD定性分析による不純物の有無の結果を示す。また、図1に実施例1の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を、図2に比較例1の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を、図3に比較例2の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を、図4に比較例3の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を示す。
表1に、各実施例および各比較例で厚膜抵抗体用組成物を作製した際の二酸化ルテニウム粉末と鉛フリーガラス粉末の配合量、混合処理方法および混合処理時間を示す。表2に、各実施例および各比較例で作製した厚膜抵抗体用ペーストの配合比率を示す。表3に、各実施例および各比較例で作製した厚膜抵抗体の特性値(抵抗値と抵抗値のばらつき、電流雑音)の測定結果、およびXRD定性分析による不純物の有無の結果を示す。また、図1に実施例1の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を、図2に比較例1の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を、図3に比較例2の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を、図4に比較例3の厚膜抵抗体の断面のSEM画像を示す。
実施例1、2の厚膜抵抗体は、二酸化ルテニウムと鉛フリーガラス組成物の配合量を変えることにより、任意の抵抗値に制御することができた(表1、3)。そして、実施例1の処理により、二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体が形成された結果、ガラス組成物粒子の周りを二酸化ルテニウムが被覆している厚膜抵抗体を得ることができた(図1)。実施例2の厚膜抵抗体についても、図1と同様の結果が得られた。また、XRD定性分析において不純物は検出されなかった(表3)。結果として、実施例1、2の厚膜抵抗体は、不純物が混入せず、微細で連続的な導電パスを形成することができたことにより、抵抗値のばらつきが小さく、電流雑音を小さく抑えることができた(表3)。
比較例1の厚膜抵抗体は、二酸化ルテニウムおよび鉛フリーガラスの配合量が実施例1の厚膜抵抗体と同じであり、実施例1と同等の抵抗値を示した。そして、不純物は検出されなかったものの、抵抗値のばらつきが大きく、また電流雑音も大きくなった(表3)。二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体が形成されなかったことにより、ガラス組成物粒子の周りを二酸化ルテニウムが十分に被覆することができなかったため(図2)、厚膜抵抗体は導電パスを断続的に形成するに留まり、緻密で連続的な導電パスが形成されなかったことが、ばらつきや電流雑音に影響を与えたものと考えられた。
比較例2の厚膜抵抗体は、二酸化ルテニウムおよび鉛フリーガラスの配合量が実施例1の厚膜抵抗体と同じであり、実施例1と同等の抵抗値を示した(表3)。ただし、図3に示す厚膜抵抗体の断面のSEM画像によると、ボールミルによる1時間の処理では、ガラス組成物粒子の周りを二酸化ルテニウムが十分に被覆することができず、緻密で連続的な導電パスを形成しなかった。結果として、比較例2の厚膜抵抗体は、実施例1の厚膜抵抗体と比べて、抵抗値のばらつきが大きく、また電流雑音が大きくなった(表3)。
比較例3の厚膜抵抗体は、二酸化ルテニウムおよび鉛フリーガラスの配合量が実施例1の厚膜抵抗体と同じであり、実施例1と同等の抵抗値を示した(表3)。図4に示す厚膜抵抗体の断面のSEM画像によると、ガラス組成物粒子の周りを二酸化ルテニウムが被覆しているものの、実施例1と比較して(図1)、二酸化ルテニウムの配置の連続性に劣る結果となった。また、XRD定性分析において不純物が検出され(表3)、具体的には、ボールミル処理に使用したジルコニアボールに起因する、約1%のジルコニアが不純物として認められた。ボールミルによる24時間の処理では、混入した不純物が導電パスの連続性を阻害したことが考えられる(図4)。結果として、比較例3の厚膜抵抗体は、実施例1の厚膜抵抗体と比べて、抵抗値のばらつきが大きく、また電流雑音が大きくなった(表3)。
比較例4の厚膜抵抗体は、二酸化ルテニウムおよび鉛フリーガラスの配合量が実施例1の厚膜抵抗体と同じであり、実施例1と同等の抵抗値を示した(表3)。また、XRD定性分析の結果、不純物は確認されなかったものの、厚膜抵抗体の抵抗値のバラつきは大きく、電流雑音も改善が見られなかった(表3)。比較例4では、鉛フリーガラス粉末のみを予めジェットミルで処理し、ガラスの表面に活性の高い新表面を形成したが、後工程で二酸化ルテニウムと接触させるまでに新表面の活性が消滅し、鉛フリーガラスの表面に二酸化ルテニウムが結合しなかったものと考えられる。比較例4の厚膜抵抗体の断面のSEM画像からは、鉛フリーガラスの周りに二酸化ルテニウムによる微細で連続的な導電パスの存在は確認できなかった。
これらの結果から、不純物を混入させることなく、鉛フリーガラス粒子の新表面に二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させて得られる厚膜抵抗体用組成物を用いることにより、鉛フリー厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制できることが分かった。
[まとめ]
実施例より明らかなように、本発明の厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法によれば、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することができる。
実施例より明らかなように、本発明の厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体およびこれらの製造方法によれば、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきおよび電流雑音を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
Claims (7)
- 二酸化ルテニウムの一次粒子がガラス組成物粒子の表面に結合している結合体を含み、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする厚膜抵抗体用組成物。
- 請求項1に記載の厚膜抵抗体用組成物と、樹脂とを含むことを特徴とする厚膜抵抗体用ペースト。
- 二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物の焼結体を含み、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする厚膜抵抗体。
- ガラス組成物粒子に新表面を露出させる露出工程と、
前記新表面に二酸化ルテニウムの一次粒子を結合させて結合体を得る結合工程
を含むことを特徴とする、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下である厚膜抵抗体用組成物の製造方法。 - 前記露出工程に用いる前記ガラス組成物粒子のメジアン径D50が0.5〜5μmであり、
前記二酸化ルテニウムの一次粒子の数平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする請求項4に記載の厚膜抵抗体用組成物の製造方法。 - 請求項4または5に記載の製造方法により製造された厚膜抵抗体用組成物と、樹脂とを混合する混合工程を含むことを特徴とする厚膜抵抗体用ペーストの製造方法。
- 二酸化ルテニウムの一次粒子が表面に結合しているガラス組成物を焼結させる焼結工程を含むことを特徴とする、不可避不純物の含有量が0.1質量%以下である厚膜抵抗体の製造方法。
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WO2021149633A1 (ja) * | 2020-01-21 | 2021-07-29 | 日本山村硝子株式会社 | 低熱膨張性封着・被覆用ガラス |
WO2022202808A1 (ja) * | 2021-03-25 | 2022-09-29 | 東京コスモス電機株式会社 | 抵抗体、可変抵抗器および抵抗体の製造方法 |
CN115516578A (zh) * | 2020-05-01 | 2022-12-23 | 住友金属矿山株式会社 | 厚膜电阻糊、厚膜电阻体和电子部件 |
-
2016
- 2016-12-15 JP JP2016243380A patent/JP2018098412A/ja active Pending
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WO2022202808A1 (ja) * | 2021-03-25 | 2022-09-29 | 東京コスモス電機株式会社 | 抵抗体、可変抵抗器および抵抗体の製造方法 |
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