JP2018097311A - 光学プレートの製造方法および空中映像表示デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】顕微鏡等を用いた高精度な計測を行うことなく、連結界面でのミラーの相対的な角度ズレが小さくなるように平板プレート同士を連結し、これによって観察映像の品位低下を回避し、デバイスの生産性向上を図る。【解決手段】光学プレート80の製造方法は、複数の平板プレートの中から、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択する選択工程(S14)と、選択された平板プレート同士を連結して、単層の光学プレートを製造する連結工程(S15)とを含む。複数の平板プレートは、少なくとも透明部材およびミラーが該平板プレートの厚み方向に垂直な1方向または2方向に繰り返して位置する繰り返し構造を有する。選択工程では、複数の平板プレートの各々について予め求められた、映像に含まれるチャートラインの歪みから把握される結像位置のズレ量に基づいて、平板プレートの組み合わせを選択する。【選択図】図10
Description
本発明は、空中映像表示デバイスに用いられる光学プレートの製造方法と、上記空中映像表示デバイスの製造方法とに関するものである。
従来から、物体の実像を空中に結像させる空中映像表示デバイスが種々提案されている。例えば、特許文献1では、片面に帯状の平面光反射部を有する複数の透明平板を、平面光反射部が一定のピッチで並ぶように積層した光制御パネルを2枚用い、各々の光制御パネルの平面光反射部が平面視で直交するように、2枚の光制御パネルを貼り合わせることにより、空中映像表示デバイスを形成している。平面視で直交する2枚の平面反射部で物体からの光を2回反射させ、空中映像表示デバイスに対して物体とは反対側の空中に導くことにより、観察者は、上記空中に結像される映像(物体の実像)を観察することができる。
このような空中映像表示デバイスは、観察者に映像を観察させる原理上、2枚の光制御パネルの各反射面が、平面視で(各光制御パネルの厚み方向に垂直な面内で)、映像の観察方向と45°(または135°)で交差するように配置される。このとき、図25に示すように、正方形状の一方の光制御パネル101と、正方形状の他方の光制御パネル102とを、各平面反射部101a・102aが平面視で直交するように貼り合わせて空中映像表示デバイス100を作製し、この空中映像表示デバイス100を水平面内で45°回転させただけでは、空中映像表示デバイス100の外形が観察側から見て菱形形状となる。この場合、空中映像表示デバイス100を用いて、例えば正方形状の映像を空中に表示させて観察者に観察させる際に、空中映像表示デバイス100のうちで菱形の内側に含まれる小さい正方形状の領域100Rしか空中映像の結像に利用されず、デバイス全体を有効利用することができない。また、空中映像表示デバイス100を構成する光制御パネル101・102の製造の精度や製造難易度の高さ、扱いの困難性を考えると、現状で実現可能な光制御パネル101・102の一辺のサイズとしては、精々数百mm程度であり、光制御パネル101・102を1枚ずつ用いて空中映像表示デバイス100を大型化するにも限界がある。
この対策として、図26に示すように、観察者側から見て菱形の空中映像表示デバイス100の右上、右下、左上、左下の4か所に、直角三角形状の別の空中映像表示デバイス200を接合して連結し、全体として正方形状の空中映像表示デバイス300を構成する手法が考えられる。この空中映像表示デバイス300では、全体が正方形状であるため、正方形状の映像を観察させるにあたって、デバイス全体を有効利用することができる。しかも、映像表示に利用できる領域が菱形の空中映像表示デバイス100の領域100R(図25参照)よりも大きいため、大きい映像を観察者に観察させることができる。また、複数の空中映像表示デバイス100・200を連結する構成とすることにより、個々の空中映像表示デバイス100・200のサイズを大型化することなく、大型の空中映像表示デバイス300を実現することができる。
ところで、反射面による2回反射を利用して空中に映像を結像する空中映像表示デバイスでは、反射面の精度(例えば平面精度、平行精度)が空中映像の結像性能に大きな影響を与える。反射面の精度を落とす原因としては、特許文献1のように2枚の光学プレート(光制御パネル)を積層する積層型の空中映像表示デバイスでは、各光学プレートにおいて反射面(ミラー)が形成される透明部材の反りや加工精度、積層される透明部材間への異物混入等が考えられる。また、1枚の光学プレート中に平面視で直交する2枚の反射面を有する単層型の空中映像表示デバイスもあるが、このようなデバイスでは、光学プレートに対する微細構造の型の加工や転写の際の誤差等が、反射面の精度を落とす原因として考えられる。
ここで、反射面の精度が結像性能に与える影響について、簡単に考察すると以下の通りである。図27に示すように、反射面の形状エラーによる面の傾きをθ(°)とすると、観察者までの距離L(mm)に対して、結像位置のズレ量Δx(mm)は、
Δx=L×tan(θ)
で計算される。例えば、反射面の傾きが数分オーダーであり、観察距離Lが1mである場合、ズレ量Δxは最大で1mmにもなり、物体にディスプレイ等を用いれば、数画素オーダーに相当する結像位置のズレが生じることになる。
Δx=L×tan(θ)
で計算される。例えば、反射面の傾きが数分オーダーであり、観察距離Lが1mである場合、ズレ量Δxは最大で1mmにもなり、物体にディスプレイ等を用いれば、数画素オーダーに相当する結像位置のズレが生じることになる。
上述のように、複数の空中映像表示デバイスを連結する構成において、連結の界面で、反射面の相対的な角度ズレが発生すると、空中に結像される映像において、デバイスの連結部分に対応する部分でズレが生じ(映像が滑らかに繋がらず)、観察映像の品位が著しく低下する。
このような映像品位の低下の問題は、複数の空中映像表示デバイス同士を連結する場合のみならず、例えば、反射面を有する単層のプレート同士を先に連結し、連結したプレートを2枚積層して積層型の空中映像表示デバイスを構成する場合でも、単層の各プレートの連結界面で、反射面の相対的な角度ズレが生じている場合には同様に起こり得る。
ここで、連結界面で反射面の相対的な角度ズレが小さくなるように、単層のプレート同士を連結する方法としては、例えば、連結時に連結部分を顕微鏡等で拡大観察しながら反射面の角度を高精度に計測し、角度ズレが小さくなるようにプレート同士の位置関係を規定して連結する方法が考えられる。しかし、この方法では、プレートの連結ごとに上記の作業が必要となって非常に手間がかかり、デバイスの生産性が低下するため、望ましくはない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、連結時に連結部分の顕微鏡等による観察や反射面の角度の高精度な計測を行うことなく、連結界面での反射面(ミラー)の相対的な角度ズレが小さくなるように、上記反射面を有するプレート同士を連結することができ、これによって、観察映像の品位低下を回避し、デバイスの生産性向上を図ることができる光学プレートの製造方法と、それを用いた空中映像表示デバイスの製造方法とを提供することにある。
本発明の一側面に係る光学プレートの製造方法は、空中映像表示デバイスに用いられる光学プレートを製造する光学プレートの製造方法であって、複数の平板プレートの中から、連結対象となる前記平板プレートの組み合わせを選択する選択工程と、選択された前記平板プレート同士を連結して、単層の前記光学プレートを製造する連結工程とを含み、前記複数の平板プレートは、少なくとも透明部材およびミラーが該平板プレートの厚み方向に垂直な1方向または2方向に繰り返して位置する繰り返し構造を有しており、前記選択工程では、前記繰り返し構造が露出する端面同士が連結されるような前記平板プレートの組み合わせを選択する際に、前記複数の平板プレートの各々について予め求められたズレ量であって、前記平板プレートを用いてチャートの映像を空中に表示させたときの、前記映像に含まれるチャートラインの歪みから把握される結像位置のズレ量に基づいて、前記平板プレートの組み合わせを選択する。
前記ズレ量は、前記チャートラインの端部の基準ラインからのズレ量であってもよい。
前記基準ラインは、前記チャートラインを直線で近似した近似直線であってもよい。
前記選択工程では、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の少なくとも1つの同じ位置を基準として得られる、一方の前記平板プレートについての前記ズレ量と他方の前記平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅と、閾値とに基づいて、連結対象となる前記2つの平板プレートの組み合わせを選択してもよい。
前記選択工程では、前記複数の平板プレートの各々について予め求められた前記ズレ量に基づいて、選択の判断に用いるパラメータを算出し、算出したパラメータに基づいて、前記平板プレートの組み合わせを選択してもよい。
前記パラメータは、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の複数の位置のそれぞれを基準として得られる、一方の前記平板プレートについての前記ズレ量と他方の前記平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅の最大値であり、前記選択工程では、前記最大値が閾値以下となるような、前記一方の平板プレートおよび前記他方の平板プレートを、前記連結対象として選択してもよい。
前記パラメータは、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の複数の位置のそれぞれを基準として得られる、一方の前記平板プレートについての前記ズレ量と他方の前記平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅の平均値であり、前記選択工程では、前記平均値が閾値以下となるような、前記一方の平板プレートおよび前記他方の平板プレートを、前記連結対象として選択してもよい。
物体から出射された光が、前記空中映像表示デバイスを介して映像の結像位置に導かれ、前記結像位置にて結像された前記映像を撮像装置によって撮像または観察者が観察するときに、前記撮像装置の絞りを介して画像センサに結像する光または観察者の虹彩を介して網膜上に結像する光が前記空中映像表示デバイスを通過する領域を像形成領域とし、前記像形成領域の幅をD(mm)とし、前記空中映像表示デバイスからの前記映像の飛び出し量をLf(mm)とし、前記映像と前記撮像装置または観察者との距離をLv(mm)とし、前記撮像装置の絞りまたは観察者の虹彩の径をφ(mm)とし、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の少なくとも1つの同じ位置を基準として得られる、一方の平板プレートについての前記ズレ量と他方の平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅をΔW(mm)としたとき、
ΔW≦D
D=(Lf×φ)/Lv
であることが望ましい。
ΔW≦D
D=(Lf×φ)/Lv
であることが望ましい。
前記チャートは、前記映像の観察時の縦方向に対応する線状パターンを有する縦縞であってもよい。
前記チャートは、前記映像の観察時の縦方向および横方向に対応する線状パターンを有する格子状パターンであってもよい。
前記光学プレートの製造方法は、前記選択工程を行う前に、空中に表示される前記チャートの映像を撮像装置によって撮影して画像を取得し、取得した画像に対して画像処理を行うことにより、前記ズレ量を求める測定工程をさらに含んでいてもよい。
前記測定工程では、任意の前記平板プレートと、該平板プレートと同一構造の基準プレートとを、各プレートのミラーが平面視で交差するように積層して積層プレートを形成し、前記積層プレートの各ミラーにて、前記チャートからの光を2回反射させて空中に導くことにより、前記チャートの映像を空中に表示させて、前記ズレ量を求めてもよい。
本発明の他の側面に係る空中映像表示デバイスの製造方法は、上述した光学プレートの製造方法を用いた空中映像表示デバイスの製造方法であって、前記光学プレートを構成する複数の平板プレートの前記繰り返し構造は、少なくとも透明部材およびミラーが該平板プレートの厚み方向に垂直な1方向に繰り返して位置する構造であり、該製造方法は、2枚の前記光学プレートを、各光学プレートのミラーが平面視で交差するように貼り合わせる貼合工程を含む。
選択工程では、チャートの映像に含まれるチャートラインの歪みから把握される結像位置のズレ量に基づいて、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択するため、連結界面でのミラーの相対的な角度ズレが小さくなるような平板プレートの組み合わせを適切に選択することができる。したがって、連結工程では、選択工程にて選択された平板プレート同士を連結して光学プレートを作製することにより、ミラーの相対的な傾き誤差に起因する観察映像の品位の低下を回避することができる。また、選択工程にて、連結対象として適切な平板プレートの組み合わせを選択できるため、連結工程では、連結部分の顕微鏡等による観察や反射面の角度の高精度な計測を行うことなく、選択工程にて選択された平板プレート同士を連結して光学プレートを得ることができる。これにより、連結工程での連結作業がスムーズとなり、光学プレートひいては空中映像表示デバイスの生産性を向上させることができる。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をa〜bと表記した場合、その数値範囲に下限aおよび上限bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
<空中映像表示装置について>
図1は、本実施形態の空中映像表示装置10の側面図である。空中映像表示装置10は、空中映像表示デバイス1と、物体OBとを備え、物体OBの実像Rを映像として空中に表示させるものである。すなわち、空中映像表示装置10は、物体OBからの光を空中映像表示デバイス1で反射させて、空中映像表示デバイス1に対して物体OBとは反対側の空中に集めることにより、上記空中に物体OBの実像Rを結像させる。ここで、上記の物体OBは、2次元の画像または上記画像を表示する表示装置(例えば液晶表示装置)であってもよいし、3次元の物体であってもよい。また、物体OBからの光とは、物体OBそのものが発光する光であってもよいし、物体OBに光が当たったときに周囲に散乱される光(散乱光)であってもよい。
図1は、本実施形態の空中映像表示装置10の側面図である。空中映像表示装置10は、空中映像表示デバイス1と、物体OBとを備え、物体OBの実像Rを映像として空中に表示させるものである。すなわち、空中映像表示装置10は、物体OBからの光を空中映像表示デバイス1で反射させて、空中映像表示デバイス1に対して物体OBとは反対側の空中に集めることにより、上記空中に物体OBの実像Rを結像させる。ここで、上記の物体OBは、2次元の画像または上記画像を表示する表示装置(例えば液晶表示装置)であってもよいし、3次元の物体であってもよい。また、物体OBからの光とは、物体OBそのものが発光する光であってもよいし、物体OBに光が当たったときに周囲に散乱される光(散乱光)であってもよい。
図2は、空中映像表示デバイス1の概略の構成を模式的に示す斜視図である。空中映像表示デバイス1は、2枚の光学プレート20・30を貼り合わせて構成されている。ここで、図3は、一方の光学プレート20の断面図であり、図4は、他方の光学プレート30の断面図である。
一方の光学プレート20は、光学プレート20・30の積層方向(例えばZ方向)に垂直な面内で互いに垂直な2方向のうちの一方向(例えばX方向)に、接着層22を介して複数のミラー素子21を並べることによって形成されている。ミラー素子21は、透明部材21aを有している。透明部材21aは、例えばガラスからなる直方体状の透明基板(透明体)であり、Y方向に延びている。そして、透明部材21aにおいて、対向する2面(例えばYZ面に沿った2面)のうちの一方の面に、反射膜の蒸着によってミラー21bが形成されている。
他方の光学プレート30は、上記2方向のうちの他の方向(例えばY方向)に、接着層32を介して複数のミラー素子31を並べることによって形成されている。ミラー素子31は、透明部材31aを有している。透明部材31aは、例えばガラスからなる直方体状の透明基板(透明体)であり、X方向に延びている。そして、透明部材31aにおいて、対向する2面(例えばZX面に沿った2面)のうちの一方の面に、反射膜の蒸着によってミラー31bが形成されている。
上記のようにX方向に複数のミラー素子21を並べて配置した光学プレート20と、上記のようにY方向に複数のミラー素子31を並べて配置した光学プレート30とをZ方向に積層することにより、光学プレート20のミラー21bと光学プレート30のミラー31bとは、平面視で(Z軸方向から見て)互いに直交する位置関係となる。
なお、ミラー21bは、図5に示すように、透明部材21aの対向する2面の両面に形成されていてもよい。同様に、ミラー31bは、図6に示すように、透明部材31aの対向する2面の両面に形成されていてもよい。また、ミラー21b・31bは、例えばアルミニウムなどの金属膜で構成されるが、他の金属材料の膜で構成されてもよい。
また、各ミラー素子21・31には、接着層22・32の厚みを均一にするためのスペーサが一体的に形成されていてもよい。また、接着層22・32を構成する接着剤自体に、上記スペーサが含まれていてもよい。さらに、上記スペーサを用いずにミラー素子21・21同士またはミラー素子31・31同士を接着剤で接着してもよい。
上記構成の空中映像表示デバイス1を用いることにより、空中に映像を結像させることができる。以下、その結像原理について説明する。
図7は、2次元(ZX平面内)での実像の結像原理を示している。点光源Pから発せられた複数の光線は、Z軸に平行な反射面(ミラー21b)でそれぞれ反射され、X軸に対して点光源Pとは反対側の位置P’(点光源PとX軸に対して対称な位置)に集光する。これにより、位置P’にて、点光源Pの実像が結像される。
図8は、3次元空間(XYZ座標系)での光線の反射を模式的に示している。3次元空間では、点光源Oから発せられた光線Aを、ZX平面内の光線a1と、YZ平面内の光線a2とに分解し、図7に倣って、それぞれの光線a1・a2のZX平面内またはYZ平面内での反射を考えることで、光線AのZ軸との交点を求めることができる。つまり、ZX平面内の光線a1は、YZ面に平行な反射面(ミラー21b)で反射された後、Z軸に向かい、YZ平面内の光線a2は、ZX面に平行な反射面(ミラー31b)で反射された後、Z軸に向かう。これらの光線a1・a2は、Z軸上の1点、つまり、点O’で交わる。したがって、光線a1・a2の合成からなる光線Aは、ミラー21bおよびミラー31bにて計2回反射した後、Z軸上の点O’に向かうことになる。
図9は、3次元空間において、点光源Oから発せられた複数の光線が、別々の反射面を介して1点に集光する様子を模式的に示している。点光源Oから発せられた複数の光線は、図8と同様にして、YZ面に平行な反射面(ミラー21b)およびZX面に平行な反射面(ミラー31b)で反射され、Z軸上の同じ点O’に集光する。これにより、点O’にて、点光源Oの実像が結像される。
なお、実際には、各反射面の高さ方向(Z軸方向)における光線の入射位置のずれや、各反射面の配置精度などにより、集光状態にずれが生じるが、このずれは実像の観察において無視できるほど小さいものとする。また、光線の中には、各反射面で3回以上反射するような複雑な経路を辿る光線も存在するが、そのような光線も無視できるものとする。
なお、以上では、2枚の光学プレート20・30を、各反射面(ミラー21b・31b)が平面視で直交するように貼り合わせているが、直交(90°)からずれた角度で交差していてもよい。この場合は、90°からずれた角度分だけ、実像の結像位置が、物体OBと空中映像表示デバイス1を介して対称となる位置から水平方向にずれることになる。
なお、平面視で交差するように配置される各反射面での計2回反射を利用して空中に映像を結像させる方式のことを、コーナーミラー方式と呼ぶことがある。本実施形態の空中映像表示デバイスもコーナーミラー方式を採用しているが、コーナーミラー方式の空中映像表示デバイスは、一方の面側に配置される物体の実像を他方の面側の空間位置に結像させる結像素子等(マイクロミラーアレイ、リフレクタアレイ、光学結像装置、反射型面対称結像素子群などを含む)と言い換えることも可能である。
<空中映像表示デバイスの製造方法>
次に、本実施形態の空中映像表示デバイス1の製造方法について説明する。図10は、空中映像表示デバイス1の製造工程の流れを示すフローチャートである。空中映像表示デバイス1は、光学プレート製造工程(S1)と、貼合工程(S2)とを含む。S1の光学プレート製造工程は、本実施形態の光学プレートの製造方法が採用される工程であり、積層体形成工程(S11)と、平板プレート作製工程(S12)と、測定工程(S13)と、選択工程(S14)と、連結工程(S15)とを含む。以下、各工程の詳細について説明するが、S13およびS14の詳細については後述する。
次に、本実施形態の空中映像表示デバイス1の製造方法について説明する。図10は、空中映像表示デバイス1の製造工程の流れを示すフローチャートである。空中映像表示デバイス1は、光学プレート製造工程(S1)と、貼合工程(S2)とを含む。S1の光学プレート製造工程は、本実施形態の光学プレートの製造方法が採用される工程であり、積層体形成工程(S11)と、平板プレート作製工程(S12)と、測定工程(S13)と、選択工程(S14)と、連結工程(S15)とを含む。以下、各工程の詳細について説明するが、S13およびS14の詳細については後述する。
〔S1;光学プレート製造工程〕
(S11;積層体形成工程)
まず、図11Aおよび図11Bに示すように、少なくとも片面にミラー52が形成された複数枚の透明部材51(例えば厚さ0.5mmのガラス板)を、接着層53を介して積層し、積層体60を得る。なお、図11Bは、図11AのA部の断面を拡大して示したものである。
(S11;積層体形成工程)
まず、図11Aおよび図11Bに示すように、少なくとも片面にミラー52が形成された複数枚の透明部材51(例えば厚さ0.5mmのガラス板)を、接着層53を介して積層し、積層体60を得る。なお、図11Bは、図11AのA部の断面を拡大して示したものである。
接着層53は、接着剤の硬化によって形成される。例えば、接着剤として2液エポキシ系接着剤を用いれば、積層体60を積層方向の両側からプレス板(図示せず)で加圧し、加圧状態で所定時間(例えば48時間)放置するだけで接着剤が硬化し、接着層53が得られる。接着剤硬化後の積層体60は、ここでは立方体形状とする。
(S12;平板プレート作製工程)
次に、上記の積層体60を、図12に示すように、積層方向に沿った断面で所定のピッチで切断する。これにより、個々の切断片を、平面視で(切断面に垂直な方向から見て)正方形状の平板プレート70Aとして取得する。その後、得られた複数の平板プレート70Aの一部を、図13に示すように対角線に沿ってプレートの厚み方向に切断する。これにより、平面視で直角二等辺三角形状の複数の平板プレート70B(70B1〜70B4)を取得する。
次に、上記の積層体60を、図12に示すように、積層方向に沿った断面で所定のピッチで切断する。これにより、個々の切断片を、平面視で(切断面に垂直な方向から見て)正方形状の平板プレート70Aとして取得する。その後、得られた複数の平板プレート70Aの一部を、図13に示すように対角線に沿ってプレートの厚み方向に切断する。これにより、平面視で直角二等辺三角形状の複数の平板プレート70B(70B1〜70B4)を取得する。
(S15;連結工程)
そして、図14に示すように、1枚の平板プレート70Aと、4枚の平板プレート70B(70B1〜70B4)とを用い、平板プレート70Aの厚み方向に沿った各端面(側面)70A1〜70A4と、平面視で直角二等辺三角形の斜辺に相当する、各平板プレート70Bの厚み方向に沿った各端面70B1S〜70B4Sとを接着剤を介して接合し、これらを連結する。このとき、各平板プレート70A・70Bの各ミラー52が一方向に沿って並ぶように、各平板プレート70A・70Bを連結する。すなわち、図14の例では、平板プレート70Aの端面70A1と平板プレート70B1の端面70B1S、平板プレート70Aの端面70A2と平板プレート70B2の端面70B2S、平板プレート70Aの端面70A3と平板プレート70B3の端面70B3S、平板プレート70Aの端面70A4と平板プレート70B4の端面70B4Sとを接合して、各平板プレート70A・70Bを連結する。これにより、1枚の単層の光学プレート80が製造される。
そして、図14に示すように、1枚の平板プレート70Aと、4枚の平板プレート70B(70B1〜70B4)とを用い、平板プレート70Aの厚み方向に沿った各端面(側面)70A1〜70A4と、平面視で直角二等辺三角形の斜辺に相当する、各平板プレート70Bの厚み方向に沿った各端面70B1S〜70B4Sとを接着剤を介して接合し、これらを連結する。このとき、各平板プレート70A・70Bの各ミラー52が一方向に沿って並ぶように、各平板プレート70A・70Bを連結する。すなわち、図14の例では、平板プレート70Aの端面70A1と平板プレート70B1の端面70B1S、平板プレート70Aの端面70A2と平板プレート70B2の端面70B2S、平板プレート70Aの端面70A3と平板プレート70B3の端面70B3S、平板プレート70Aの端面70A4と平板プレート70B4の端面70B4Sとを接合して、各平板プレート70A・70Bを連結する。これにより、1枚の単層の光学プレート80が製造される。
〔S2;貼合工程〕
続いて、上記のようにして単層の光学プレート80を2枚作製し、これらの2枚の光学プレート80を、各光学プレート80のミラー52が平面視で交差(例えば直交)するように接着剤を介して貼り合わせる。これにより、図2と同様の構成の空中映像表示デバイス1が得られる。なお、光学プレート80における透明部材51は、図3等で示したミラー素子21の透明部材21aまたはミラー素子31の透明部材31aに対応し、ミラー52は、ミラー素子21のミラー21bまたはミラー素子31のミラー31bに対応し、接着層53は、接着層22に対応する。
続いて、上記のようにして単層の光学プレート80を2枚作製し、これらの2枚の光学プレート80を、各光学プレート80のミラー52が平面視で交差(例えば直交)するように接着剤を介して貼り合わせる。これにより、図2と同様の構成の空中映像表示デバイス1が得られる。なお、光学プレート80における透明部材51は、図3等で示したミラー素子21の透明部材21aまたはミラー素子31の透明部材31aに対応し、ミラー52は、ミラー素子21のミラー21bまたはミラー素子31のミラー31bに対応し、接着層53は、接着層22に対応する。
なお、本実施形態では、平板プレート70A・70Bを連結して単層の光学プレート80を作製した後、そのような光学プレート80を2枚貼り合わせて空中映像表示デバイス1を得るようにしているが、先に平板プレート70A・70Aを互いのミラー52が平面視で交差するように貼り合わせるとともに、平板プレート70B・70Bを互いのミラー52が平面視で交差するように貼り合わせ、最後に、2層構造のプレート同士を連結して空中映像表示デバイス1を作製することも可能である。ただし、2層同士の連結よりも1層同士の連結のほうが、精度の高い連結がしやすい。このため、本実施形態では、上述のように、先に1層同士の連結を行って単層の光学プレート80を2枚取得し、その後、2枚の光学プレート80を貼り合わせて2層構造の空中映像表示デバイス1を取得するようにしている。
<課題についての補足>
次に、上記したS13およびS14の詳細について説明する前に、連結界面での反射面(ミラー)の角度ズレによる表示映像の品位の低下について、説明を補足しておく。
次に、上記したS13およびS14の詳細について説明する前に、連結界面での反射面(ミラー)の角度ズレによる表示映像の品位の低下について、説明を補足しておく。
図15は、平板プレート70A・70Bの、厚み方向に沿い、かつ、各ミラー52に垂直な面内での断面図である。平板プレート70Aは、図10Bで示したように、透明部材51、ミラー52および接着層53を積層方向に繰り返して積層した積層体60を積層方向に沿って切断して得られるが、このときの積層体60における積層方向は、切断された平板プレート70Aにおいては、プレートの厚み方向に垂直な方向に対応する。したがって、平板プレート70Aは、透明部材51、ミラー52および接着層53が、該平板プレート70Aの厚み方向に垂直な方向に積層されて繰り返して位置する繰り返し構造Gを有していると言える。
また、平板プレート70Bは、平板プレート70Aを厚み方向に切断して得られるため、厚み方向に垂直な方向における透明部材51、ミラー52および接着層53の積層構造は、平板プレート70Aと全く同じである。つまり、平板プレート70Bにおいても、透明部材51、ミラー52および接着層53が、該平板プレート70Bの厚み方向に垂直な方向に積層されて繰り返して位置する繰り返し構造Gを有していると言える。
ここで、平板プレート70Aと平板プレート70Bとの連結に際して、上記の繰り返し構造Gが露出しない端面同士の連結(例えば図14では、端面70A2と端面70B2Sとの連結、端面70A4と端面70B4Sとの連結)では、平板プレート70Aのミラー52と平板プレート70Bのミラー52とが連結界面を介して繋がることがない。したがって、この場合、連結界面で各ミラー52が折れ曲がって繋がるような、各ミラー52の相対的な角度ズレが生じることはない。
これに対して、平板プレート70Aと平板プレート70Bとの連結に際して、繰り返し構造Gが露出する端面同士の連結(例えば図14では、端面70A1と端面70B1Sとの連結、端面70A3と端面70B3Sとの連結)では、平板プレート70Aのミラー52と平板プレート70Bのミラー52とが連結界面で折れ曲がって繋がるような、各ミラー52の相対的な角度ズレが生じる可能性がある。このような角度ズレが生じると、図27で示したように、空中に結像される映像において、上記角度ズレに相当する結像位置のズレが生じる。その結果、観察映像の品位が低下する。
ここで、図16Aは、参考例の空中映像表示デバイス1’の平面図を示している。この空中映像表示デバイス1’は、平面視で正方形状の2枚の平板プレート70Cと、平面視で直角二等辺三角形状の2枚の平板プレート70Dと、平面視で直角二等辺三角形状で、平板プレート70Dよりも大きいサイズの4枚の平板プレート70Eとを連結して1枚の正方形状の光学プレートを構成し、この光学プレートを2枚貼り合わせることによって構成されている。なお、各平板プレート70C〜70Eの基本的な構造は、図15で示した平板プレート70A(70B)と同じであり、また、2枚の各光学プレート間で、互いのミラー52は平面視で直交しているものとする。
図16Bは、図16Aの空中映像表示デバイス1’によって格子状の模様を空中に表示させ、表示された映像をカメラで撮影したときの画像の一部(図16AのF部を介して結像される映像を撮影した画像)を模式的に示している。各単層の光学プレートにおいて、図16Aの連結界面H1を介して隣り合う各ミラー52、および連結界面H2を介して隣り合う各ミラー52に相対的な角度ズレが生じていると、図16Bのように、連結界面H1・H2と表示映像(撮像画像)で対応する連結ラインH1’・H2’で映像が滑らかに繋がらず、映像の品位が低下する。
このとき、単層のプレート同士を高精度に連結すべく、連結部分を顕微鏡等で拡大観察しながらミラー52の角度を高精度に計測して連結する方法では、プレートの連結ごとに上記の作業が必要となって、空中映像表示デバイスの生産性低下を招く。このため、顕微鏡等による高精度な観察および計測を行うことなく、簡単な方法でプレートを連結することが望まれる。そこで、本実施形態では、図10で示したように、S15の連結工程の前に、S13の測定工程およびS14の選択工程を行い、その後、S14で選択された平板プレート同士を連結することにより、単層の光学プレートを製造するようにしている。
<光学プレートの製造方法の詳細について>
以下、本実施形態の光学プレート80の製造方法における上記したS13およびS14の各工程の詳細について説明する。なお、以下では、図15のように、複数の平板プレート70A・70Bは、少なくとも透明部材51およびミラー52が該平板プレート70A・70Bの厚み方向に垂直な1方向に繰り返して位置する繰り返し構造Gを有しており、このような平板プレート70A・70Bを用いた連結を前提として説明する。
以下、本実施形態の光学プレート80の製造方法における上記したS13およびS14の各工程の詳細について説明する。なお、以下では、図15のように、複数の平板プレート70A・70Bは、少なくとも透明部材51およびミラー52が該平板プレート70A・70Bの厚み方向に垂直な1方向に繰り返して位置する繰り返し構造Gを有しており、このような平板プレート70A・70Bを用いた連結を前提として説明する。
(S13;測定工程)
S13では、平板プレートを用いてチャートの映像を空中に表示させたときの、上記映像に含まれるチャートラインの歪みから把握される結像位置のズレ量を、複数の平板プレートの各々について求める。
S13では、平板プレートを用いてチャートの映像を空中に表示させたときの、上記映像に含まれるチャートラインの歪みから把握される結像位置のズレ量を、複数の平板プレートの各々について求める。
図17は、上記チャートの一例であるチャートCP1の平面図である。チャートCP1は、映像の観察時の縦方向に対応する線状パターンを有する縦縞である。また、図18は、平面視で正方形状の平板プレート(例えば図14の平板プレート70A)を用い、空中に表示されるチャートCP1の映像Mを模式的に示している。なお、平板プレート70Aは、ミラー52を含む繰り返し構造Gが1方向に形成されたものであり(図15参照)、平面視で直交するミラーを有していないため、平板プレート70A単独では空中に映像を結像させることができない。このため、ここでは、図19に示すように、平板プレート70Aと、該平板プレート70Aと同一構造の基準プレート71とを、各プレートのミラー52が平面視で交差するように積層して積層プレート72(擬似的な空中映像表示デバイス)を形成し、積層プレート72の各ミラー52にて、チャートCP1からの光を2回反射させて空中に導くことにより、チャートCP1の映像を空中に表示させるようにしている。また、ここでは、物体の位置に配置される液晶表示装置にチャートCP1を表示することで、積層プレート72に対して物体とは反対側の空中にチャートCP1の映像を表示(結像)させているが、物体の位置に縦縞の模様を印刷した用紙をチャートCP1として配置し、必要に応じて用紙に照明を当てることにより、空中にチャートCP1の映像を表示(結像)させてもよい。
図18の映像Mには、物体としてのチャートCP1の線に対応する複数のチャートラインCLが含まれている。このとき、平板プレート70Aのミラー52に製造誤差等による傾きが生じていると、チャートラインCLは、直線状の基準ラインRLから歪む。図18では、平板プレート70Aのミラー52の傾きにより、映像Mにおいて、チャートラインCLの端部CL1の結像位置が、基準ラインRLからずれている状態を示している。すなわち、映像Mにおいて、チャートラインCLと、平板プレート70Aのエッジに相当するエッジラインELとが交差する任意の位置Nにおいて、チャートラインCLの端部CL1が基準ラインRLからズレ量Wnだけずれている。このズレ量Wnを、少なくとも1つのチャートラインCLについて求めるとともに、複数の平板プレート(平板プレート70Bを含む)の各々について求める。
ここで、上記のズレ量Wnは、例えば、空中に表示されるチャートCP1の映像Mを撮像装置(例えば図23の撮像装置90)によって撮影して画像を取得し、取得した画像に対して画像処理を行うことにより求めることができる。例えば、画像処理により、チャートラインCLを最小二乗法等によって直線近似(直線フィッティング)して基準ラインRLを求め、この基準ラインRLからの端部CL1のズレ量Wn(距離)が撮像装置の受光素子(撮像素子)の何画素分に相当するかを求める。これにより、ズレ量Wnを画素基準(画素数の単位)で把握することができる。また、受光素子の1画素の大きさが分かっていれば、(得られた画素数)×(1画素の大きさ)の演算により、実際のズレ量(具体的な長さ)を求めることもできる。
なお、チャート、平板プレート、観察位置などの互いの距離や大きさ、光学系等が決まっていることから、これらに基づく関係式(理論値)から算出されるラインを基準ラインRLとして用いてもよい。
なお、複数の平板プレートの各々について、上記の手法で求めたズレ量Wnの情報を、記憶部(例えばハードディスク、不揮発性メモリ)に記憶させておいてもよい。この場合、記憶部から情報を読み出すことでズレ量Wnを把握できるため、平板プレートの連結ごとにズレ量Wnを測定する必要がない。すなわち、S11〜S12によって作製された平板プレートの全てについて一度ズレ量Wnを求めれば、新たに平板プレートを作製しない限り、ズレ量Wnの測定(S13の測定工程)は行わなくてよい(測定工程を省略できる)。
(S14;選択工程)
次に、複数の平板プレートの各々について求めた上記のズレ量Wnに基づき、複数の平板プレートの中から、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択する。
次に、複数の平板プレートの各々について求めた上記のズレ量Wnに基づき、複数の平板プレートの中から、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択する。
図20は、第1の平板プレートを用いてチャートCP1の映像M1を空中に表示させたときの上記映像M1と、第2の平板プレートを用いてチャートCP1の映像M2を空中に表示させたときの上記映像M2とを、第1および第2の平板プレートの連結界面に対応する連結ラインH’で連結して示したものである。なお、第1および第2の平板プレートの基本構造は、図15の平板プレート70A(70B)と同様であり、これらは繰り返し構造Gが露出する端面同士が連結される平板プレートとする。
映像M1・M2において、連結ラインH’を介して隣り合うチャートラインCLの端部CL1の結像位置のズレ量を、それぞれWA1・WB1とする。すなわち、映像M1において、連結ラインH’上の任意の位置Pを通る基準ラインRLからの、チャートラインCLAの端部CL1Aの結像位置のズレ量をWA1(>0)とする。また、映像M2において、連結ラインH’上の同じ位置Pを通る基準ラインRLからの、チャートラインCLBの端部CL1Bの結像位置のズレ量をWB1(<0)とする。このとき、連結による結像位置のズレ幅ΔWPは、ΔWP=WA1−WB1で表される。
S14では、ズレ幅ΔWPに対して閾値を定め、ズレ幅ΔWPが閾値以下に収まる第1および第2の平板プレートを複数の平板プレートの中から選択する。
例えば、チャートラインCLの幅を、1ラインあたり10画素(ピクセル基準で10pix/line)に相当するとし、WA1=+1pix、WB1=−3pixとした場合(「pix」は画素数を示す)、ΔWP=1−(−3)=4pixとなる。ライン幅の半分までをズレ幅の許容範囲とすると(閾値=5pix)、上記のズレ幅ΔWPは閾値以下であるため、許容される。したがって、このような第1および第2の平板プレートの組み合わせが連結対象として選択される。一方、ズレ幅ΔWPが6pix以上となる場合、閾値を超えて許容範囲外となるため、このような第1および第2の平板プレートは連結対象から除外される(連結対象として選択されない)。このようなS14での選択は、例えば、上記記憶部を備えたパーソナルコンピュータの演算部(例えば中央演算処理装置)により、ズレ幅ΔWPと閾値とを比較することによって行われる。上述したS15の連結工程では、S14で連結対象として選択された、第1および第2の平板プレートを用いてこれらを連結することにより、光学プレートが製造されることになる。
以上のように、S14の選択工程では、複数の平板プレートの中から、繰り返し構造Gが露出する端面同士が連結されるような平板プレートの組み合わせ(第1および第2の平板プレート)を選択する際に、複数の平板プレートの各々について予め求められたズレ量であって、平板プレートを用いてチャートCP1の映像を空中に表示させたときの、上記映像に含まれるチャートラインCLの歪みから把握される結像位置のズレ量(WA1、WB1)に基づいて、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択する。
平板プレートを用いて空中に表示されるチャートCP1の映像(チャートラインCL)は、平板プレートのミラーの傾き誤差の影響を反映しており、ミラーの傾き誤差が大きくなるほど、上記チャートラインCLの歪み、すなわち、結像位置のズレ量(WA1、WB1)も大きくなる。したがって、上記ズレ量に基づいて、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択することにより、連結界面でのミラーの相対的な角度ズレの小さい、最適な平板プレートの組み合わせを選択することが可能となる。よって、選択された平板プレート同士を、その後の連結工程にて連結することにより、映像観察時に、平板プレートの連結界面に対応する映像中の連結ラインH’で映像を滑らかに繋げることが可能となり、観察映像の品位を向上させることが可能となる。また、チャートCP1の映像を空中に表示させてズレ量WA1、WB1を検出するという簡単な方法により、連結界面でのミラーの相対的な角度ズレを、広範囲にわたって高精度(高感度)で検出することができる。
また、連結前に、最適な平板プレートの組み合わせを選択しておくことにより、その後の連結時に、連結部分の顕微鏡等による直接の観察や反射面の角度の高精度な計測を行うことなく、連結作業をスムーズに行うことができる。これにより、単層の光学プレートひいては空中映像表示デバイスの生産性を向上させることができる。
また、上記した結像位置のズレ量は、チャートCP1の映像に含まれるチャートラインCLの端部CL1の基準ラインRLからのズレ量(WA1、WB1)である。上述のように、ズレ量(WA1、WB1)は、平板プレートのミラーの傾き誤差が大きくなるほど大きくなるため、平板プレートのミラーの傾きによる結像位置のズレ量を確実に把握することができる。
また、上記した基準ラインRLは、映像Mに含まれるチャートラインCLを直線で近似した近似直線である。この場合、映像Mに複数のチャートラインCLが含まれている場合でも、個々のチャートラインCLごとに基準ラインRLが存在することになり、個々のチャートラインCLごとに上記ズレ量を算出することが可能となる。
また、S14の選択工程では、任意の2つの平板プレート(第1および第2の平板プレート)を連結する際の連結ラインH’上の同じ位置Pを基準として得られる、一方の平板プレートについてのズレ量WA1と他方の平板プレートについてのズレ量WB1との差に相当するズレ幅ΔWPと、閾値とに基づいて、連結対象となる2つの平板プレートの組み合わせを選択している。これにより、連結によるズレ幅ΔWPが閾値以下、すなわち、許容範囲内となるような2つの平板プレートを連結対象として適切に選択することが可能となる。
また、上述した光学プレート製造工程S1は、S13の測定工程を含む。測定工程では、S14の選択工程を行う前に、空中に表示されるチャートの映像を撮像装置によって撮影して画像を取得し、取得した画像に対して画像処理を行うことにより、上記のズレ量を求める。例えば、S12での平板プレートの作製直後は、複数の平板プレートの各々について、上記のズレ量が分かっていないため、上記の方法でズレ量を求めることにより、その後のS14の選択工程にて、求めたズレ量に基づいて適切な平板プレートの組み合わせを選択することが可能となる。
また、上記測定工程では、図19で示したように、任意の平板プレート(例えば平板プレート70Aとする)と、該平板プレート70Aと同一構造の基準プレート71とを、各プレートのミラー52が平面視で交差するように積層して積層プレート72を形成し、積層プレート72の各ミラーにて、チャートからの光を2回反射させて空中に導くことにより、チャートの映像を空中に表示させて、上記のズレ量を求める。繰り返し構造Gが1方向に形成された平板プレート70A単独では、前述のコーナーミラー方式によって空中に映像を表示させることができないため、基準プレート71を併用して積層プレート72を形成し、この積層プレート72を用いてチャートの空中映像を表示させることで、表示映像から得られるズレ量に基づいて、平板プレート70Aにおけるミラーの傾きを評価することが可能となる。
ところで、平板プレートにおいて、平面視で(平板プレートを上方から見たときに)、連結界面でミラーが折れ曲がって繋がるような、ミラーの傾き誤差が発生していると、デバイスを構成する2層の光学プレートの一部の領域(ミラーの傾き誤差が発生している領域)で、ミラーの位置関係が平面視で直交する位置関係から崩れる。このため、映像を観察側から見ると、上記領域を介して空中に表示される映像の結像位置が、本来の結像位置から左右方向にずれる。
映像の観察時の縦方向(ミラーに対して45°または135°の方向に対応)に対応する線状パターンを有する縦縞のチャートCP1を用いると、その縦縞の映像を、平板プレート(ミラー)を介して空中に表示させたときに、上記した左右方向の結像位置のズレは、観察側から見て線状パターンの左右方向の歪み(図18のWn、図20のWA1、WB1に相当)となって現れる。したがって、縦縞のチャートCP1を用いることにより、連結界面でミラーが折れ曲がって繋がるような、ミラーの傾きの有無を精度よく検出することができる。その結果、S14の選択工程において、映像の左右方向のズレ量Wnに基づいて、連結界面で隣り合うミラーの相対的な角度ズレの小さい平板プレートの組み合わせを適切に選択することが可能となる。
また、チャートCP1の代わりに、図21に示すチャートCP2を用いてもよい。チャートCP2は、映像の観察時の縦方向および横方向に対応する線状パターンを有する格子状パターンである。図22は、チャートCP2を用いて空中に表示される映像M’を模式的に示している。例えば、連結界面を挟んで位置する各ミラーがねじれの状態にあると、光学プレート(空中映像表示デバイス)を介して物体と対称の位置に結像されるべき映像は、観察者側から見て本来の結像位置(上記物体と対称の位置)から上下方向にずれて観察される。格子状パターンのチャートCP2を用い、その映像を、平板プレート(ミラー)を介して空中に表示させると、上記した上下方向の結像位置のズレは、観察側から見て横方向の線状パターンの上下方向の歪みWmとして検出される。
したがって、チャートCP2を用いることにより、連結界面でミラーが折れ曲がって繋がるような傾きだけでなく、ミラーのねじれの有無についても、同時に検出することができる。よって、S14の選択工程にて、映像の左右方向のズレ量Wn(図18参照)および上下方向のズレ量Wmに基づいて、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択することにより、連結界面で隣り合うミラーの相対的な角度ズレのみならず、各ミラーのねじれ度合いの小さい平板プレートの組み合わせを選択することができる。その結果、選択された平板プレート同士を連結して光学プレートを作製し、空中映像表示デバイスに適用したときに、結像位置の左右方向および上下方向のズレの小さい、品位のより良好な観察映像を観察者に観察させることが可能となる。
また、図15で示したように、光学プレート80を構成する複数の平板プレート70A(70B)の繰り返し構造Gが、少なくとも透明部材51およびミラー52が該平板プレートの厚み方向に垂直な1方向に繰り返して位置する構造であるとき、本実施形態の空中映像表示デバイス1の製造方法は、上述した光学プレート80の製造工程(S1)と、貼合工程(S2)とを含む。上記貼合工程では、S1で取得した2枚の光学プレート80・80を、各光学プレート80・80のミラー52が平面視で交差するように貼り合わされる(図2〜図4等参照)。本実施形態の方法で連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択して連結し、得られる光学プレートを2枚積層することにより、各平板プレートの連結界面に対応する連結ラインで滑らかに繋がるような空中映像を表示する空中映像表示デバイス1を実現することができる。
<選択工程で用いるパラメータについて>
以上では、連結ラインH’を介して隣り合う1組のチャートラインCLの端部CL1のズレ量WA1、WB1に基づいて、連結に最適な平板プレート(第1および第2の平板プレート)の組み合わせを選択する例について説明したが、2組以上のチャートラインCLについてのズレ量に基づいて、第1および第2の平板プレートの組み合わせを選択してもよい。例えば、図20の映像M1において、連結ラインH’上の別の点Qを通る基準ラインRLからの、チャートラインCLAの端部CL1Aのズレ量をWA2(>0)とする。また、映像M2において、連結ラインH’上の同じ位置Qを通る基準ラインRLからの、チャートラインCLBの端部CL1Bのズレ量をWB2(<0)とする。このとき、連結による結像位置のズレ幅ΔWQは、ΔWQ=WA2−WB2で表される。
以上では、連結ラインH’を介して隣り合う1組のチャートラインCLの端部CL1のズレ量WA1、WB1に基づいて、連結に最適な平板プレート(第1および第2の平板プレート)の組み合わせを選択する例について説明したが、2組以上のチャートラインCLについてのズレ量に基づいて、第1および第2の平板プレートの組み合わせを選択してもよい。例えば、図20の映像M1において、連結ラインH’上の別の点Qを通る基準ラインRLからの、チャートラインCLAの端部CL1Aのズレ量をWA2(>0)とする。また、映像M2において、連結ラインH’上の同じ位置Qを通る基準ラインRLからの、チャートラインCLBの端部CL1Bのズレ量をWB2(<0)とする。このとき、連結による結像位置のズレ幅ΔWQは、ΔWQ=WA2−WB2で表される。
ズレ幅ΔWPおよびΔWQのうちで最大となるほう(最大値)が、許容範囲内(例えば閾値としての5pix以下)に入っていれば、ズレ幅ΔWPおよびΔWQの両方が許容されることになる。したがって、複数のズレ幅(ΔWP、ΔWQ)の最大値に基づいて、第1および第2の平板プレートを選択することにより、より精度の高い選択が可能となり、規格外品(ズレ幅が規格外となるデバイス)が発生するのを確実に防ぐことが可能となる。
また、複数のズレ幅(ΔWP、ΔWQ)に基づいて、第1および第2の平板プレートを選択する際に、複数のズレ幅の平均値(例えば(ΔWP+ΔWQ)/2)が許容範囲内に入っているかどうか(閾値以下であるかどうか)を判断して、第1および第2の平板プレートを選択してもよい。
上記のように複数のズレ幅(ΔWP、ΔWQ)の最大値に基づいて、連結対象を選択する手法では、例えば、一部のズレ幅(例えばΔWP)については許容されるが(閾値以下であるが)、残りのズレ幅(例えばΔWQ)については許容されない場合に、そのような平板プレートの組み合わせは、選択対象から除外されることになる。選択肢として存在する平板プレートを有効活用する点では、選択されずに残る平板プレートの数を減らすことが望ましい場合もある。また、一部のズレ幅が許容範囲内にあれば、残りのズレ幅が許容範囲外であったとしても、ミラーの傾き誤差に起因する映像品位の劣化は、全体として目立ち難くなるとも考えられる。
そこで、複数のズレ幅の平均値に基づいて、第1および第2の平板プレートを選択することにより、観察映像の品位の劣化を回避しながら、平板プレートを有効活用して光学プレートひいては空中映像表示デバイスの生産性向上に寄与することができる。このとき、標準偏差(平均値からのばらつき)もさらに考慮して、第1および第2の平板プレートを選択するようにすれば、ミラーの傾き誤差に起因する映像品位の劣化のより目立ち難い映像を空中に結像させることも可能となる。
上記した複数のズレ幅(ΔWP、ΔWQ)の最大値および平均値は、S14の選択工程にて、連結対象となる平板プレートの組み合わせを選択する際の判断に用いるパラメータとなる。したがって、S14の選択工程では、複数の平板プレートの各々について予め求められたズレ量(例えばWA1、WB1、WA2、WB2)に基づいて、選択の判断に用いるパラメータ(ズレ幅の最大値または平均値)を算出し、算出したパラメータに基づいて、平板プレートの組み合わせを選択してもよいと言える。
そして、上記のパラメータが、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の複数の位置のそれぞれを基準として得られる、一方の平板プレートについてのズレ量(WA1、WA2)と他方の平板プレートについてのズレ量(WB1、WB2)との差に相当するズレ幅(例えばΔWP、ΔWQ)の最大値である場合、S14の選択工程では、上記最大値が閾値以下となるような、一方の平板プレートおよび他方の平板プレートを、連結対象として選択してもよいと言える。
同様に、上記のパラメータが、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の複数の位置のそれぞれを基準として得られる、一方の平板プレートについてのズレ量(WA1、WA2)と他方の平板プレートについてのズレ量(WB1、WB2)との差に相当するズレ幅(例えばΔWP、ΔWQ)の平均値である場合、S14の選択工程では、上記平均値が閾値以下となるような、一方の平板プレートおよび他方の平板プレートを、連結対象として選択してもよいと言える。
なお、以上では、連結ライン上の2か所の位置を基準として得られるズレ幅(例えばΔWP、ΔWQ)を例として説明したが、連結ライン上の3か所以上の位置を基準としてズレ幅を算出した場合でも、上記と同様に、ズレ幅の最大値や平均値と閾値との比較によって連結対象となる平板プレートの組み合わせを適切に選択することができる。
<ズレ幅の許容範囲について>
次に、上記したズレ幅(例えばΔWp、ΔWQ)の許容範囲の設定例について説明する。なお、以下では、上記のズレ幅ΔWp、ΔWQに対応するズレ幅ΔWを以下のように定義して説明する。すなわち、ズレ幅ΔW(mm)は、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の少なくとも1つの同じ位置を基準として得られる、一方の平板プレートについてのズレ量(例えばWA1)と他方の平板プレートについての上記ズレ量(例えばWB1)との差に相当するズレ幅(例えばΔWp)である。
次に、上記したズレ幅(例えばΔWp、ΔWQ)の許容範囲の設定例について説明する。なお、以下では、上記のズレ幅ΔWp、ΔWQに対応するズレ幅ΔWを以下のように定義して説明する。すなわち、ズレ幅ΔW(mm)は、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の少なくとも1つの同じ位置を基準として得られる、一方の平板プレートについてのズレ量(例えばWA1)と他方の平板プレートについての上記ズレ量(例えばWB1)との差に相当するズレ幅(例えばΔWp)である。
図23は、空中映像表示デバイス1、映像Mcおよび撮像装置90の位置関係を模式的に示している。物体から出射された光が、空中映像表示デバイス1を介して映像Mcの結像位置に導かれ、上記結像位置にて結像された映像Mcを撮像装置90によって撮像するときに、撮像装置90の絞りを介して画像センサに結像する光が空中映像表示デバイス1を通過する領域を像形成領域IRとし、その像形成領域IRの幅をD(mm)とする。また、空中映像表示デバイス1からの映像Mcの飛び出し量をLf(mm)とし、映像Mcと撮像装置90との距離をLv(mm)とし、撮像装置90の絞りの径をφ(mm)とする。映像Mcの中心の像(点像)をMoとすると、同図に示すように、点像Moに対するD、Lf、φ、Lvの幾何学的関係(三角形の相似の関係)から、像形成領域の幅Dは、以下のように表される。
D=(Lf×φ)/Lv
例えば、Lf=300mm、φ=6mm、Lv=1000mmとしたとき、上式より、D=(300×6)/1000=1.8mmとなる。
D=(Lf×φ)/Lv
例えば、Lf=300mm、φ=6mm、Lv=1000mmとしたとき、上式より、D=(300×6)/1000=1.8mmとなる。
ΔW≦Dであれば、2つの平板プレートの連結部分で結像位置にズレがあっても、そのズレは1つの点像Moの形成範囲内でのズレであり、非常に小さいため、撮像装置90で撮像された画像上では、その結像位置のズレが目立ち難くなる。一方、ΔW>Dでは、結像位置のズレが点像Moを含む複数の点像の形成範囲にまたがって起こるため、撮像装置90で撮像された画像上では、その結像位置のズレが目立ちやすくなる。
また、撮像装置90の位置に観察者が位置し、観察者が映像Mcを観察する場合においても、観察者の虹彩を介して網膜に結像する光が、空中映像表示デバイス1を通過する領域を像形成領域IRとし、その像形成領域IRの幅をD(mm)とし、観察者の虹彩の径をφ(mm)としたとき、図21と同様に、
D=(Lf×φ)/Lv
の関係が成り立つ。そして、ΔW≦Dであれば、2つの平板プレートの連結部分で結像位置にズレがあっても、そのズレは1つの点像Moの形成範囲内でのズレであるため、結像位置のズレが目立ち難く、観察者が結像位置のズレを視認しにくくなる。
D=(Lf×φ)/Lv
の関係が成り立つ。そして、ΔW≦Dであれば、2つの平板プレートの連結部分で結像位置にズレがあっても、そのズレは1つの点像Moの形成範囲内でのズレであるため、結像位置のズレが目立ち難く、観察者が結像位置のズレを視認しにくくなる。
したがって、以上のことから、次のことが言える。すなわち、物体から出射された光が、空中映像表示デバイス1を介して映像Mcの結像位置に導かれ、上記結像位置にて結像された映像Mcを撮像装置90によって撮像または観察者が観察するときに、撮像装置90の絞りを介して画像センサに結像する光または観察者の虹彩を介して網膜上に結像する光が空中映像表示デバイス1を通過する領域を像形成領域IRとし、その像形成領域IRの幅をD(mm)とし、空中映像表示デバイス1からの映像Mcの飛び出し量をLf(mm)とし、映像Mcと撮像装置90または観察者との距離をLv(mm)とし、撮像装置90の絞りまたは観察者の虹彩の径をφ(mm)とし、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の少なくとも1つの同じ位置を基準として得られる、一方の平板プレートについての上記ズレ量と他方の平板プレートについての上記ズレ量との差に相当するズレ幅をΔW(mm)としたとき、連結ラインでの映像の結像位置のズレを視認しにくくする観点では、
ΔW≦D
D=(Lf×φ)/Lv
であることが望ましいと言える。
ΔW≦D
D=(Lf×φ)/Lv
であることが望ましいと言える。
<その他>
図24は、本実施形態の空中映像表示デバイス1Aの他の構成を模式的に示す平面図である。空中映像表示デバイス1Aは、複数の平板プレート70L・70Mを連結した単層の光学プレートで構成されている。各平板プレート70L・70Mは、少なくとも透明部材51およびミラー52が該平板プレート70L・70Mの厚み方向に垂直な2方向(図24では、紙面に平行な面内で互いに垂直な2方向)に繰り返して位置する繰り返し構造を有している。つまり、各平板プレート70L・70Mは、1枚の単層プレート中に、平面視で直交するミラー52を有する。本実施形態で説明した光学プレートの製造方法(選択工程および連結工程を含む)は、このように単層プレート中に平面視で直交するミラー52を有する平板プレート70L・70Mの連結にも適用することができ、これによって、本実施形態と同様の効果が得られる。
図24は、本実施形態の空中映像表示デバイス1Aの他の構成を模式的に示す平面図である。空中映像表示デバイス1Aは、複数の平板プレート70L・70Mを連結した単層の光学プレートで構成されている。各平板プレート70L・70Mは、少なくとも透明部材51およびミラー52が該平板プレート70L・70Mの厚み方向に垂直な2方向(図24では、紙面に平行な面内で互いに垂直な2方向)に繰り返して位置する繰り返し構造を有している。つまり、各平板プレート70L・70Mは、1枚の単層プレート中に、平面視で直交するミラー52を有する。本実施形態で説明した光学プレートの製造方法(選択工程および連結工程を含む)は、このように単層プレート中に平面視で直交するミラー52を有する平板プレート70L・70Mの連結にも適用することができ、これによって、本実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の光学プレートの製造方法は、空中に物体の実像を表示する空中映像表示装置に用いられる空中映像表示デバイスの製造に利用可能である。
1 空中映像表示デバイス
1A 空中映像表示デバイス
51 透明部材
52 ミラー
70A 平板プレート
70B 平板プレート
80 光学プレート
90 撮像装置
CL、CLA、CLB チャートライン
CL1、CL1A、CL1B 端部
G 繰り返し構造
H1、H2 連結界面
H’、H1’、H2’ 連結ライン
IR 像形成領域
Mc 映像
OB 物体
RL 基準ライン
Wn、WA1、WA2、WB1、WB2、Wm ズレ量
ΔW、ΔWp、ΔWQ ズレ幅
1A 空中映像表示デバイス
51 透明部材
52 ミラー
70A 平板プレート
70B 平板プレート
80 光学プレート
90 撮像装置
CL、CLA、CLB チャートライン
CL1、CL1A、CL1B 端部
G 繰り返し構造
H1、H2 連結界面
H’、H1’、H2’ 連結ライン
IR 像形成領域
Mc 映像
OB 物体
RL 基準ライン
Wn、WA1、WA2、WB1、WB2、Wm ズレ量
ΔW、ΔWp、ΔWQ ズレ幅
Claims (13)
- 空中映像表示デバイスに用いられる光学プレートを製造する光学プレートの製造方法であって、
複数の平板プレートの中から、連結対象となる前記平板プレートの組み合わせを選択する選択工程と、
選択された前記平板プレート同士を連結して、単層の前記光学プレートを製造する連結工程とを含み、
前記複数の平板プレートは、少なくとも透明部材およびミラーが該平板プレートの厚み方向に垂直な1方向または2方向に繰り返して位置する繰り返し構造を有しており、
前記選択工程では、前記繰り返し構造が露出する端面同士が連結されるような前記平板プレートの組み合わせを選択する際に、前記複数の平板プレートの各々について予め求められたズレ量であって、前記平板プレートを用いてチャートの映像を空中に表示させたときの、前記映像に含まれるチャートラインの歪みから把握される結像位置のズレ量に基づいて、前記平板プレートの組み合わせを選択することを特徴とする光学プレートの製造方法。 - 前記ズレ量は、前記チャートラインの端部の基準ラインからのズレ量であることを特徴とする請求項1に記載の光学プレートの製造方法。
- 前記基準ラインは、前記チャートラインを直線で近似した近似直線であることを特徴とする請求項2に記載の光学プレートの製造方法。
- 前記選択工程では、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の少なくとも1つの同じ位置を基準として得られる、一方の前記平板プレートについての前記ズレ量と他方の前記平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅と、閾値とに基づいて、連結対象となる前記2つの平板プレートの組み合わせを選択することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学プレートの製造方法。
- 前記選択工程では、前記複数の平板プレートの各々について予め求められた前記ズレ量に基づいて、選択の判断に用いるパラメータを算出し、算出したパラメータに基づいて、前記平板プレートの組み合わせを選択することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学プレートの製造方法。
- 前記パラメータは、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の複数の位置のそれぞれを基準として得られる、一方の前記平板プレートについての前記ズレ量と他方の前記平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅の最大値であり、
前記選択工程では、前記最大値が閾値以下となるような、前記一方の平板プレートおよび前記他方の平板プレートを、前記連結対象として選択することを特徴とする請求項5に記載の光学プレートの製造方法。 - 前記パラメータは、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の複数の位置のそれぞれを基準として得られる、一方の前記平板プレートについての前記ズレ量と他方の前記平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅の平均値であり、
前記選択工程では、前記平均値が閾値以下となるような、前記一方の平板プレートおよび前記他方の平板プレートを、前記連結対象として選択することを特徴とする請求項5に記載の光学プレートの製造方法。 - 物体から出射された光が、前記空中映像表示デバイスを介して映像の結像位置に導かれ、前記結像位置にて結像された前記映像を撮像装置によって撮像または観察者が観察するときに、前記撮像装置の絞りを介して画像センサに結像する光または観察者の虹彩を介して網膜上に結像する光が前記空中映像表示デバイスを通過する領域を像形成領域とし、前記像形成領域の幅をD(mm)とし、前記空中映像表示デバイスからの前記映像の飛び出し量をLf(mm)とし、前記映像と前記撮像装置または観察者との距離をLv(mm)とし、前記撮像装置の絞りまたは観察者の虹彩の径をφ(mm)とし、任意の2つの平板プレートを連結する際の連結ライン上の少なくとも1つの同じ位置を基準として得られる、一方の平板プレートについての前記ズレ量と他方の平板プレートについての前記ズレ量との差に相当するズレ幅をΔW(mm)としたとき、
ΔW≦D
D=(Lf×φ)/Lv
であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光学プレートの製造方法。 - 前記チャートは、前記映像の観察時の縦方向に対応する線状パターンを有する縦縞であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光学プレートの製造方法。
- 前記チャートは、前記映像の観察時の縦方向および横方向に対応する線状パターンを有する格子状パターンであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光学プレートの製造方法。
- 前記選択工程を行う前に、空中に表示される前記チャートの映像を撮像装置によって撮影して画像を取得し、取得した画像に対して画像処理を行うことにより、前記ズレ量を求める測定工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の光学プレートの製造方法。
- 前記測定工程では、任意の前記平板プレートと、該平板プレートと同一構造の基準プレートとを、各プレートのミラーが平面視で交差するように積層して積層プレートを形成し、前記積層プレートの各ミラーにて、前記チャートからの光を2回反射させて空中に導くことにより、前記チャートの映像を空中に表示させて、前記ズレ量を求めることを特徴とする請求項11に記載の光学プレートの製造方法。
- 請求項1から12のいずれかに記載の光学プレートの製造方法を用いた空中映像表示デバイスの製造方法であって、
前記光学プレートを構成する複数の平板プレートの前記繰り返し構造は、少なくとも透明部材およびミラーが該平板プレートの厚み方向に垂直な1方向に繰り返して位置する構造であり、
該製造方法は、2枚の前記光学プレートを、各光学プレートのミラーが平面視で交差するように貼り合わせる貼合工程を含むことを特徴とする空中映像表示デバイスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016244631A JP2018097311A (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | 光学プレートの製造方法および空中映像表示デバイスの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021070400A1 (ja) * | 2019-10-11 | 2021-04-15 | 株式会社アスカネット | 光学結像装置及びその製造方法 |
WO2021182246A1 (ja) * | 2020-03-10 | 2021-09-16 | 株式会社アスカネット | 光学結像装置に用いる光制御パネルの製造方法 |
-
2016
- 2016-12-16 JP JP2016244631A patent/JP2018097311A/ja active Pending
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KR20220136479A (ko) | 2020-03-10 | 2022-10-07 | 가부시키가이샤 아스카넷토 | 광학 결상 장치에 사용하는 광제어 패널의 제조 방법 |
US20230113203A1 (en) * | 2020-03-10 | 2023-04-13 | Asukanet Company, Ltd. | Method for producing light control panel used in optical image forming device |
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