JP2018096849A - 検知部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】光弾性ポリウレタン樹脂を感圧センサもしくは角度センサとして用いつつ、被検知部材の動く速度や、加わる衝撃を同時に検出する検知部材を提供する。【解決手段】光弾性ポリウレタン樹脂を含む芯材と、前記芯材に対して光を入射する、第1位置に配置された発光部材と、前記発光部材から出射され、かつ前記芯材を通過した光を受光する、前記第1位置と異なる第2位置に配置された受光部材と、前記芯材に巻回された圧電基材と、を備える検知部材。【選択図】図1

Description

本発明は、検知部材に関する。より詳しくは光弾性ポリウレタンと、有機圧電材料を有する圧電基材とを備える検知部材に関する。
従来、光弾性を有するポリウレタン樹脂を感圧センサなどのセンサとして用いることが提案されている。
例えば特許文献1には、ポリウレタン樹脂からなる感圧センサ用ポリウレタン成形体と、感圧センサ用ポリウレタン成形体を挟むように設けられる発光部および受光部とを備えるタッチパネルが提案されている。
特許文献2には、特に寒冷地における応答性が優れた検知部材を得ることができる光弾性ポリウレタン樹脂、その光弾性ポリウレタン樹脂を備える検知部材、が提案されている。
特開2012−193293号公報 国際公開第2016/125905号
前記先行技術文献には、光弾性ポリウレタン樹脂を感圧センサもしくは角度センサとして用いる技術が提案されている。
しかしながら、検知されるのは圧力もしくは角度のみであり、被検知部材の動く速度や、加わる衝撃を同時に検出する手段についてはこれまで提案されていなかった。
本発明は、光弾性ポリウレタン樹脂を感圧センサもしくは角度センサとして用いつつ、被検知部材の動く速度や、加わる衝撃を同時に検出する検知部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 光弾性ポリウレタン樹脂を含む芯材と、
前記芯材に対して光を入射する、第1位置に配置された発光部材と、
前記発光部材から出射され、かつ前記芯材を通過した光を受光する、前記第1位置と異なる第2位置に配置された受光部材と、
前記芯材に巻回された圧電基材と、
を備える検知部材。
<2> 前記圧電基材は、長尺状の導体と、前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体とを備え、
前記圧電体は、有機圧電材料を含む、<1>に記載の検知部材。
<3> 前記芯材は、棒形状である、<1>又は<2>に記載の検知部材。
<4> 前記光弾性ポリウレタン樹脂は、25℃におけるヤング率が2MPa〜5MPaであり、25℃における光弾性定数が1000×10−12Pa−1〜100000×10−12Pa−1であり、かつガラス転移温度が−60℃〜−21℃である、<1>〜<3>の何れか1項に記載の検知部材。
本発明によれば、光弾性ポリウレタン樹脂を感圧センサもしくは角度センサとして用いつつ、被検知部材の動く速度や、加わる衝撃を同時に検出する検知部材が提供される。
本発明の具体例に係る検知部材を側方から見た概略図である。 本発明の具体例に係る検知部材が膝サポーターに設置された状態を側方から見た概略図である。 本発明の具体例に係る検知部材が設置された膝サポーターが脚の膝を含む部分に装着された状態を側方から見た概略図である。 膝の曲げ角度と受光部材の出力との関係を示すグラフである。 時間と圧電ライン出力及び受光部材出力との関係を示すグラフである。 時間と圧電ライン出力及び受光部材出力との関係を示すグラフである。 時間と圧電ライン出力及び受光部材出力との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中において、部材の「面」は、特に断りが無い限り、部材の「主面」を意味する。
本明細書において、2つの線分のなす角度は、0°以上90°以下の範囲で表す。
本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
本明細書において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)、すなわち、延伸方向である。
〔検知部材〕
本実施形態の検知部材は、光弾性ポリウレタン樹脂を含む芯材と、前記芯材に対して光を入射する、第1位置に配置された発光部材と、前記発光部材から出射され、かつ前記芯材を通過した光を受光する、前記第1位置と異なる第2位置に配置された受光部材と、前記芯材に巻回された圧電基材と、を備える。
本実施形態の検知部材によれば、光弾性ポリウレタン樹脂を感圧センサもしくは角度センサとして用いつつ、被検知部材の動く速度や、加わる衝撃を同時に検出することができる。
以下、本実施形態の検知部材の各構成について詳細に説明する。
<芯材>
本実施形態の検知部材は芯材を備える。芯材は光弾性ポリウレタン樹脂を含む。
光弾性とは、外力を受けた弾性体が複屈折を生じさせる性質をいう。すなわち、本実施形態でいう光弾性ポリウレタン樹脂とは、ポリウレタン樹脂のうち、光弾性を有するポリウレタン樹脂をいう。
芯材の材質としては、光弾性ポリウレタン樹脂を含み、かつ光弾性の性質を発現するものであれば特に限定されない。
芯材の形状としては特に限定されず、例えば、棒形状(例えば、円柱形状、楕円柱形状、多角柱形状、円筒形状等)、繊維状のものを用いることができる。
芯材の形状が棒形状の場合、芯材は、例えば、所定形状の成形型(注形型)により棒形状に形成されるか、あるいは、脱型後の裁断によって棒形状に形成される。
芯材の形状が繊維状の場合、芯材は、例えば、押し出し成形によって繊維状に形成される。
(光弾性ポリウレタン樹脂)
光弾性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを含有するポリウレタン樹脂組成物を、反応および硬化させることにより、得ることができる。
ポリイソシアネート成分は、芳香環含有ポリイソシアネートを含む。芳香環含有ポリイソシアネートは、1,4−フェニレン基(但し、1,4−フェニレン基における一部の水素原子が、メチル基および/またはメトキシ基で置換されていてもよい。)、および/または、1,5−ナフチレン基を含有している。
1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの重合物(カルボジイミド変性MDI、ウレトンイミン変性MDI、アシル尿素変性MDIなど)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、1,4−キシリレンジイソシアネート(1,4−XDI)などのベンゼン環含有ポリイソシアネート(具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネート)などが挙げられる。
また、1,5−ナフチレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)などのナフタレン環含有ポリイソシアネート(具体的には、ナフタレン環含有ジイソシアネート)などが挙げられる。
1,4−フェニレン基および/または1,5−ナフチレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートのうち、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)が挙げられる。
ポリイソシアネート成分は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、4,4’−MDIとTODIとを併用する。
また、ポリイソシアネート成分は、芳香環含有ポリイソシアネート以外のその他のポリイソシアネートを任意成分として含有することもできる。
その他のポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート(上記した芳香環含有ポリイソシアネートを除く)、芳香脂肪族ポリイソシアネート、(上記した芳香環含有ポリイソシアネートを除く)、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,2’−MDI、2,6−TDI、m−フェニレンジイソシアネート、2,6−NDIなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート(1,3−XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート、H6XDI)、2,5−または2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンもしくはその混合物(NBDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−または1,3−シクロヘキサンジイソシアネートもしくはその混合物、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネート成分のうち、1,4−フェニレン基および/または1,5−ナフチレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートの配合割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、30質量%以上、さらに好ましくは、50質量%以上、とりわけ好ましくは、90質量%以上である。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度は、ポリウレタン樹脂組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、12質量%以上であり、通常、例えば、30質量%以下、好ましくは、26質量%以下、さらに好ましくは、16質量%以下である。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度が上記した下限以上であれば、優れた光弾性を得ることができる。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度が上記した上限以下であれば、優れた光弾性を得ることができる。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度は、ポリイソシアネート成分に由来する芳香環の、ポリウレタン樹脂組成物における質量割合であって、後述するシアノ化合物に由来する芳香環を含まない。
また、芳香環濃度は、ポリイソシアネート成分が1,4−フェニレン基を含有する場合には、そのポリイソシアネートの分子量を78(g/モル)とし、また、ポリイソシアネート成分が1,5−ナフチレン基を含有する場合には、そのポリイソシアネートの分子量を128(g/モル)として算出される。
活性水素基含有成分は、活性水素基(例えば、水酸基、アミノ基など)を有する化合物であって、例えば、ポリオール、ポリアミンなどが挙げられ、好ましくは、ポリオールが挙げられる。
ポリオールは、好ましくは、高分子量ポリオールを含有している。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、平均水酸基価(後述)が20mgKOH/g〜500mgKOH/gの化合物であり、かつ、平均官能基数(後述)が2の場合には、数平均分子量が225以上の化合物であり、あるいは、平均官能基数が3の場合には、数平均分子量337以上の化合物である。
そのような高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ダイマーポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレン(C2〜C3)ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどのポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
ポリアルキレン(C2〜C3)ポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む)が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(ランダムおよび/またはブロック共重合体)などが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、平均水酸基価(後述)が500mgKOH/gを超過する化合物であり、かつ、官能基数(後述)が2の場合には、分子量が40以上225未満のジオールであり、あるいは、官能基数が3の場合には、分子量40以上337未満のトリオールである。
そのような低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、1,4−ブチレングリコール(1,4−ブタンジオール)、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、アルカン(炭素数7〜13)ジオールや、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどアルケン(炭素数4〜13)ジオールなどの脂肪族ジオール(炭素数2〜13)や、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール(炭素数6〜13)、さらには、例えば、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコールなどの芳香族ジオール(芳香環を含有する炭素数6〜13の芳香環含有ジオール)、さらにまた、ジエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、テトラオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコールなどのオキシアルキレンアルコールなどのジオール(炭素数2〜9)(2価アルコール)、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールなどの炭素数3〜6の脂肪族トリオール、および、その他の脂肪族トリオール(炭素数7〜20)などのトリオール(3価アルコール)、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリン(ジグリセロール)などのテトラオール(4価アルコール)(炭素数5〜27)、例えば、キシリトールなどのペンタオール(5価アルコール)(炭素数5〜33)、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどのヘキサオール(6価アルコール)(炭素数6〜40)、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール(ヘプタオール)(炭素数7〜47)、例えば、ショ糖などのオクタオール(8価アルコール)(炭素数8〜54)などが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に上記したジオールなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロヒドリンおよび/またはベンジルグリシジルエーテルなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとして、例えば、上記した炭素数6〜13の芳香環含有ジオール(具体的には、ビスヒドロキシエトキシベンゼンなど)、水酸基価が500mgKOH/g以下の芳香環含有ジオール(具体的には、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノールAなど)などの芳香族ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはテトラヒドロフランなどを付加重合した芳香環含有ポリオールも挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、多塩基酸またはその酸無水物あるいはその酸ハライドとの反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
多塩基酸およびその酸無水物またはその酸ハライドとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(C11〜C13)、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ダイマー酸、ヘット酸などのカルボン酸(ジカルボン酸)、および、これらのカルボン酸などから誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらの無水カルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
さらに、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、水酸基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸とを、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、触媒の存在下または不在下に、ホスゲン、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネート、アルキレンカーボネートなどを反応させることにより、得ることができる。ポリカーボネートポリオールは、好ましくは、ジオールを開始剤とするポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役二重結合含有モノマーの重合体の末端に水酸基を付加した、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンジオールなどが挙げられる。
ダイマーポリオールとしては、通常、工業用原料として入手し得る、主成分が炭素数18の不飽和脂肪酸の2量体を還元して得られるダイマージオールなどが挙げられる。
ポリウレタンポリオールとしては、上記により得られたポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記したポリイソシアネート成分と反応させることによって得られる、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールとしては、例えば、特公昭48−10078号公報に記載されているように、ポリオキシアルキレンポリオールにポリエステル鎖をブロックした構造のもの、すなわち、ポリオキシアルキレンポリオールまたは水酸基を有するその誘導体の各ヒドロキシ基の水素原子と置換する部分が、一般式(A)
(−CO−R−COO−R−O−) (A)
(式中、RおよびRはそれぞれ2価の炭化水素基であり、nは平均1より大きい数を示す。)で表されるものが含まれる。
一般式(A)中、Rで示される2価の炭化水素基としては、例えば、飽和脂肪族または芳香族ポリカルボン酸残基、Rで示される2価の炭化水素基としては、例えば、環状エーテル基をもつ化合物が開裂した残基が挙げられ、nは、好ましくは1〜20の整数である。
このポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールは、上記したポリオキシアルキレンポリオール(ポリエーテルポリオール)に、ポリカルボン酸無水物とアルキレンオキシドを反応させることにより得られる。
高分子量ポリオールの平均水酸基価は、20mgKOH/g〜500mgKOH/gであり、好ましくは、80mgKOH/g〜300mgKOH/g、さらに好ましくは、100mgKOH/g〜250mgKOH/gである。
高分子量ポリオールの水酸基価(単位:mgKOH/g)は、JIS K 1557−1のA法またはB法に準拠するアセチル化法またはフタル化法などから求めることができる。
そして、高分子量ポリオールの平均水酸基価(単位:mgKOH/g)は、高分子量ポリオールが単独使用される場合には、その高分子量ポリオールの水酸基価と同一である。一方、高分子量ポリオールの平均水酸基価は、高分子量ポリオールが併用される場合には、それらの平均値である。
高分子量ポリオールの平均水酸基価が上記した範囲を超過すると、光弾性ポリウレタン樹脂において、ヤング率が高くなり過ぎ、所望の光弾性定数を得ることができない場合がある。一方、平均水酸基価が上記した範囲未満であると、ガラス転移温度が過度に低くなり、加工性や耐傷付き性が低下する場合がある。
高分子量ポリオールの平均官能基数は、例えば、1.9〜3、好ましくは、1.9〜2.5、さらに好ましくは、2.0〜2.2である。
高分子量ポリオールの官能基数は、高分子量ポリオールの水酸基数であって、具体的には、1分子当たりの活性な水酸基の数である。
そして、高分子量ポリオールの平均官能基数は、高分子量ポリオール1分子当たりの活性な水酸基の平均値である。つまり、異なる官能基数を有する高分子量ポリオールが混合(併用)される場合は、その高分子量ポリオールの混合物の分子数に対する混合物の活性な水酸基の数の割合を示した数値が、高分子量ポリオールの平均官能基数である。
なお、高分子量ポリオールの平均官能基数は、次式(B)から求めることもできる。
平均官能基数=(各高分子量ポリオールの官能基数×当量数)の総和/各高分子量ポリオールの当量数の総和 (B)
高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、225〜20,000、好ましくは、500〜15,000である。
数平均分子量は、次式(C)から求めることができる。
数平均分子量=56100×平均官能基数/平均水酸基価 (C)
高分子量ポリオールの平均官能基数が上記した範囲を超過すると、光弾性ポリウレタン樹脂において、所望の光弾性定数を得にくい場合がある。一方、平均官能基数が上記した範囲未満であると、ヤング率が低くなり過ぎ、加工性や耐傷付き性が低下する場合がある。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールが挙げられる。
さらに好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール(具体的には、ポリカーボネートジオール)が挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの平均水酸基価は、100mgKOH/g〜250mgKOH/g、好ましくは、100mgKOH/g〜220mgKOH/gである。ポリテトラメチレンエーテルグリコールの平均水酸基価が上記した範囲内にあれば、高い光弾性と高い剛性とを両立することができる。
ポリカーボネートジオールの平均水酸基価は、100mgKOH/g〜250mgKOH/g、好ましくは、150mgKOH/g〜250mgKOH/gである。ポリカーボネートジオールの平均水酸基価が上記した範囲内にあれば、高い光弾性と高い剛性とを両立することができる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
また、ポリオールは、上記した高分子量ポリオールに加え、上記した低分子量ポリオールを含有することもできる。
ポリオールが低分子量ポリオールを含有することにより、ポリオールの平均水酸基価を増大させて、その分、イソシアネートインデックス(後述)を所望の値に調整すべく、上記したポリイソシアネート成分(好ましくは、芳香環含有ポリイソシアネート)をポリウレタン樹脂組成物に多く配合することができる。そのため、光弾性ポリウレタン樹脂の光弾性定数を高めることができる。
低分子量ポリオールとしては、好ましくは、ジオール、トリオール、テトラオールが挙げられ、具体的には、炭素数2〜10のジオール、炭素数3〜10のトリオール、炭素数5〜10のテトラオールが挙げられる。
炭素数2〜10のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、アルカン(炭素数7〜10)ジオールや、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどアルケン(炭素数4〜10)ジオール、などの脂肪族ジオール(炭素数2〜10)や、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール(炭素数6〜10)、例えば、キシレングリコールなどの芳香族ジオール(炭素数6〜10の芳香環含有ジオール)、さらにまた、ジエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、テトラオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコールなどのオキシアルキレンアルコールなどのジオール(炭素数2〜10)などが挙げられる。
炭素数3〜10のトリオールとしては、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールなどの炭素数3〜6の脂肪族トリオール、および、その他の脂肪族トリオール(炭素数7〜10)などのトリオールなどが挙げられる。
炭素数5〜10のテトラオールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、ジグリセリンなどのテトラオールなどが挙げられる。
また、低分子量ポリオールとしては、例えば、数平均分子量400以下のポリアルキレンオキサイドなども挙げられる。そのようなポリアルキレンオキサイドは、例えば、上記した低分子量ポリオール(ジオール、トリオールなど)を開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させることによって、ポリエチレングリコール(ポリオキシエチレンエーテルグリコール)、ポリプロピレングリコール(ポリオキシプロピレンエーテルグリコール)、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダムまたはブロック共重合体)などとして得ることができる。
低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
好ましくは、トリオールが少なくとも用いられ、具体的には、炭素数3〜10のトリオールの単独使用、炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールの併用が挙げられる。
低分子量ポリオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1質量部〜30質量部、好ましくは、0.5質量部〜25質量部である。
炭素数3〜10のトリオールが単独使用される場合には、炭素数3〜10のトリオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、10質量部以下、好ましくは、9質量部以下、さらに好ましくは、0.5質量部〜6質量部である。
炭素数3〜10のトリオールの配合割合が上記した範囲を超える場合は、光弾性ポリウレタン樹脂が不透明になり、光が光弾性ポリウレタン樹脂を透過しない場合や、光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が高くなり過ぎる場合がある。
炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールが併用される場合において、炭素数3〜10のトリオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.5質量部〜10質量部、好ましくは、0.6質量部〜6質量部であり、炭素数2〜10のジオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、25質量部以下、好ましくは、0.1質量部〜10質量部である。炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールの配合割合が上記した範囲内にあれば、高い光弾性と高い剛性とを両立することができる。
また、炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールが併用される場合において、それらの総量の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1質量部〜30質量部、好ましくは、0.5質量部〜25質量部、さらに好ましくは、0.7質量部〜6質量部である。
トリオールおよびジオールの総量が上記した範囲未満であると、ヤング率が過度に低下して、成形性や耐傷付性が低下したり、光弾性定数が低下する場合がある。トリオールおよびジオールの総量が上記した範囲を超過すると、ヤング率が過度に高くなる場合がある。
そして、活性水素基含有成分の配合割合としては、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、活性水素基含有成分中の高分子量ポリオールが、例えば、120質量部〜400質量部、好ましくは、125質量部〜333質量部である。
換言すれば、ポリイソシアネート成分の含有割合が、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、25質量部〜85質量部、好ましくは、30質量部〜80質量部である。ポリイソシアネート成分の含有割合が上記した範囲内にあれば、高い剛性と高い剛性とを両立することができる。
ポリイソシアネート成分の含有割合が上記した範囲を超過する場合には、ヤング率が過度に高くなり、光弾性ポリウレタン樹脂における所望の光弾性定数を得られない場合がある。
ポリイソシアネート成分の含有割合が上記した範囲未満である場合には、光弾性ポリウレタン樹脂における所望の光弾性定数を得られない場合がある。
また、本発明のポリウレタン樹脂組成物には、可塑剤を含有させることができる。
可塑剤は、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度を低下させるべく、ポリウレタン樹脂組成物に必要により配合され、例えば、シアノ化合物、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル(DINP))、例えば、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジオクチル)、例えば、セバシン酸エステル(例えば、セバシン酸ジオクチル)、リン酸トリグリシジル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、アルキルベンゼン、アルキルビフェニル(例えば、4−ペンチルビフェニル)、塩素化パラフィン、高沸点溶剤、イオン液体(例えば、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、ポリステル系可塑剤などが挙げられる。好ましくは、シアノ化合物が挙げられる。
シアノ化合物をポリウレタン樹脂組成物に配合すれば、成形体のヤング率を低減することができ、それによって、光弾性ポリウレタン樹脂の加工性を向上することができるとともに、光弾性定数を増大させることもできる。
シアノ化合物は、例えば、炭素数が14〜24であり、4−シアノフェニル基(但し、4−シアノフェニル基における一部の水素原子が、フッ素原子で置換されていてもよい。)を有している。
シアノ化合物が、4−シアノフェニル基を有することによって、光弾性定数をより一層増大させることができる。
4−シアノフェニル基において、フッ素原子が置換する水素原子としては、例えば、2位〜6位の水素原子であって、好ましくは、2位の水素原子である。
シアノ化合物としては、具体的には、下記式(1)で示されるビフェニル化合物、
(式中、Rは、炭素数が1〜11のアルキル基、炭素数が7〜11の4−アルキルフェニル基、または、炭素数が7〜11の4−アルキルシクロヘキシル基を示す。)
下記式(2)で示されるエーテル化合物、
(式中、Rは、炭素数が1〜11のアルキル基を示す。)
下記式(3)で示されるシクロヘキシル化合物、
(Rは、炭素数が1〜11のアルキル基、または、炭素数が5〜11のアルケニル基を示す。)
下記式(4)で示されるフェニルエステル化合物が挙げられる。
(Rは、水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基を示す。)
上記式(1)中、Rとして示される炭素数1〜11のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシルなどの直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜7のアルキル基が挙げられる。
上記式(1)中、Rとして示される炭素数7〜11の4−アルキルフェニル基としては、例えば、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−イソペンチルフェニル、4−tertペンチルフェニルなどの、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル部分を有する、4−アルキルフェニル基が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜5のアルキル部分を有する、炭素数9〜11の4−アルキルフェニル基が挙げられる。
炭素数7〜11の4−アルキルシクロヘキシル基としては、例えば、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−イソイプロピルシクロヘキシル、4−ペンチルシクロヘキシル、4−イソペンチルシクロヘキシル、4−tertペンチルシクロヘキシル、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル部分を有する、4−アルキルシクロヘキシル基が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜5のアルキル部分を有する、炭素数9〜11の4−アルキルシクロヘキシル基が挙げられる。
上記式(1)で示されるRとして、好ましくは、炭素数1〜11のアルキル基、炭素数7〜11の4−アルキルシクロヘキシル基が挙げられる。
上記式(1)で示されるビフェニル化合物として、具体的には、4−シアノ−4´−メチルビフェニル、4−シアノ−4´−ペンチルビフェニル、4−シアノ−4´−(4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニルなどが挙げられる。
上記式(2)中、Rで示される炭素数1〜11のアルキル基としては、上記式(1)のRで示される炭素数1〜11のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。
上記式(2)で示されるエーテル化合物としては、具体的には、4−シアノ−4´−ペンチルオキシビフェニルなどが挙げられる。
上記式(3)中、Rで示される炭素数が1〜11のアルキル基としては、上記式(1)のRで示される炭素数1〜11のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。
上記式(3)中、Rで示される炭素数が5〜11のアルケニル基としては、例えば、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デシニル、ドデシニルなどが挙げられる。
上記式(3)中、Rとして、好ましくは、炭素数が1〜11のアルキル基が挙げられる。
上記式(3)で示されるシクロヘキシル化合物としては、具体的には、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリル、4−((3−ペンテニル)−4−シクロヘキシル)ベンゾニトリル、2−フルオロ−4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリルなどが挙げられる。
上記式(4)中、Rで示される炭素数が1〜10のアルキル基は、上記式(1)のRで示される炭素数1〜11のアルキル基として例示したアルキル基のうち、炭素数1〜10のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。
上記式(4)で示されるフェニルエステル化合物としては、例えば、4−プロピル安息香酸4−シアノフェニル、4−ヘプチル安息香酸4−シアノフェニル、4−ペンチル安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルロオフェニルなどが挙げられる。
また、シアノ化合物として、例えば、シアノベンゼン、4−メトキシベンゼンなども挙げられる。
シアノ化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
シアノ化合物のうち、好ましくは、ビフェニル化合物が挙げられる。
可塑剤の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、100質量部以下、好ましくは、1質量部〜60質量部、さらに好ましくは、5質量部〜30質量部である。
可塑剤の配合割合が上記した範囲を超過する場合には、光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が過度に低下して、光弾性ポリウレタン樹脂の外観が不透明となる場合がある。
そして、上記したポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分と必要により可塑剤とを処方(配合)することにより、ポリウレタン樹脂組成物を得る。
ポリウレタン樹脂組成物に配合される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられ、好ましくは、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せのみからなる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、複数種類の芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートおよびナフタレン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せ、あるいは、異なる2種類のベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
さらに、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールと、可塑剤との組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールと、ビフェニル化合物との組合せが挙げられる。
さらにまた、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、炭素数3〜10のトリオールと、可塑剤との組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリカーボネートジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールと、ビフェニル化合物との組合せが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する複数種類の芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールと、可塑剤との組合せが挙げられ、具体的には、異なる2種類のベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールと、ビフェニル化合物またはエーテル化合物との組合せが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、複数種類の芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートおよびナフタレン環含有ジイソシアネートと、ポリカーボネートジオールと、炭素数3〜10の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
さらに、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ポリイソシアネートと、ジカルボン酸およびジオールの重縮合物であるポリエステルジオールと、炭素数3〜10の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
そして、光弾性ポリウレタン樹脂は、このようにして得られるポリウレタン樹脂組成物から、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて、ポリウレタン樹脂組成物を硬化および成形することにより、得ることができる。
ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の成形方法に準拠することができる。
ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、イソシアネートインデックス(水酸基濃度に対するイソシアネート基濃度の比に100を乗じた値、NCO濃度/水酸基濃度×100)が、例えば、70〜400、好ましくは、80〜150となるように処方(混合)して、それらを成形型に注入して、例えば、0℃〜250℃、好ましくは、室温(20℃)〜150℃で、例えば、1分間〜7日間、好ましくは、10分間〜2日間、硬化反応させる。
なお、ポリイソシアネート成分として、4,4’−MDIとTODIとを併用する場合、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、まず、高分子量ポリオールとTODIとを反応させて、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)を得る。このとき、高分子量ポリオールとTODIとのイソシアネートインデックスは、例えば、1以上であり、例えば、100未満、好ましくは、50以下である。
次いで、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)に、低分子量ポリオールを配合し、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)、および、低分子量ポリオールと、4,4’−MDIとを処方(混合)する。このとき、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)、および、低分子量ポリオールと、4,4’−MDIとのイソシアネートインデックスは、例えば、100を超過、好ましくは、100.1以上であり、例えば、110以下である。
硬化反応では、ウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒としては、例えば、錫系触媒(例えば、オクチル酸錫など)、鉛系触媒(例えば、オクチル酸鉛など)、ビスマス系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒、有機金属系触媒、アミン系触媒などが挙げられる。
ウレタン化触媒の配合割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、0.0001質量部〜2.0質量部、好ましくは、0.0005質量部〜1.0質量部である。
また、上記した硬化反応は、公知の溶媒の存在下で実施することもできる。
そして、成形型に注入して硬化反応させた後、脱型すれば、所定形状に成形された光弾性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
プレポリマー法は、例えば、まず、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分の一部(例えば、高分子量ポリオール)とを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部(鎖伸長剤:例えば、低分子量ポリオール(および必要により高分子量ポリオール、モノオール))とを反応(鎖伸長)させて、硬化反応させる。
イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分の一部とを、イソシアネートインデックス(NCO濃度/水酸基濃度×100)が、例えば、110〜2,000、好ましくは、150〜1,000となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば、室温〜150℃、好ましくは、40℃〜120℃で、例えば、0.5時間〜18時間、好ましくは、2時間〜10時間、反応させる。
上記したイソシアネート基末端プレポリマーは、公知の溶媒の存在下で、合成することができる。
また、上記したイソシアネート基末端プレポリマーの合成後に、例えば、薄膜蒸留法などの蒸留法、例えば、液−液抽出法などの抽出法などの除去方法によって、溶媒および未反応のポリイソシアネート成分を除去することもできる。
得られたイソシアネート基末端プレポリマーは、そのイソシアネート当量が、例えば、80〜2,000、好ましくは、100〜1,000である。
次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを反応させるには、イソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを、イソシアネートインデックス(NCO濃度/水酸基濃度×100)が、例えば、50〜200、好ましくは、75〜125となるように処方(混合)し、成形型に注入して、例えば、0℃〜250℃、好ましくは、室温(20℃)〜150℃で、例えば、1分間〜7日間、好ましくは、10分間〜2日間、硬化反応させる。
この硬化反応においても、上記と同様のウレタン化触媒を、上記と同様の配合割合で添加することができる。また、この硬化反応は、公知の溶媒の存在下で実施することもできる。
そして、成形型に注入して硬化反応させた後、脱型すれば、所定形状に成形された光弾性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
このような光弾性ポリウレタン樹脂は、光弾性、つまり、応力の発生により、成形体の内部を通過する光(例えば、レーザー光など)に複屈折を生じさせることができる。そのため、センサとして好適に用いることができる。
また、上記のポリウレタン樹脂組成物または光弾性ポリウレタン樹脂には、必要に応じて、例えば、消泡剤、可塑剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
光弾性ポリウレタン樹脂の25℃における光弾性定数は、例えば、1000×10−12Pa−1以上、好ましくは、2000×10−12Pa−1以上、より好ましくは、3000×10−12Pa−1以上、より一層好ましくは、3500×10−12Pa−1以上であり、さらに好ましくは、4000×10−12Pa−1以上であり、例えば、100000×10−12Pa−1以下、好ましくは、10000×10−12Pa−1以下、より好ましくは、6000×10−12Pa−1以下、より一層好ましくは、5500×10−12Pa−1以下である。
すなわち、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃における光弾性定数は、1000×10−12Pa−1以上〜100000×10−12Pa−1以下であることが好ましい。
光弾性定数が上記した下限を超過することにより、優れた光弾性を確保することができる。
光弾性ポリウレタン樹脂の光弾性定数は、「築地光雄、高和宏行、田實佳郎著“光学フィルム用・光弾性定数測定システムの開発”、精密学会誌73、253−258(2007)」の「光弾性定数測定方法」の記載に準拠して測定することができる。
また、光弾性定数の測定とともに、光弾性ポリウレタン樹脂の歪光学定数とヤング率とが求められる。
光弾性ポリウレタン樹脂の歪光学定数は、光弾性ポリウレタン樹脂の変形量に対する、かかる変形によって発生する複屈折の強さの割合を示す。
光弾性定数、歪光学定数およびヤング率は、下記式(5)を満足する。
光弾性定数=歪光学定数÷ヤング率 (5)
従って、光弾性ポリウレタン樹脂の光弾性定数を上記した所望の範囲に設定するには、歪光学定数およびヤング率を調整することが好ましい。
具体的には、歪光学定数が高いほど、また、ヤング率が低いほど、光弾性定数が高くなるが、ヤング率が過度に低いと、成形性が低下する場合がある。
そのため、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃におけるヤング率は、例えば、2MPa以上、好ましくは、3MPa以上であり、例えば、5MPa以下である。
すなわち、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃におけるヤング率は、2MPa以上5MPa以下であることが好ましい。
光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が上記した範囲未満である場合には、光弾性ポリウレタン樹脂が軟らか過ぎて傷付き易く、加工性が低下する場合がある。光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が上記した範囲を超過する場合には、光弾性ポリウレタン樹脂が硬すぎるため、光弾性が低下する場合がある。
好ましくは、上記した所望の光弾性定数を得るには、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃におけるヤング率が2MPa以上3MPa以下の場合には、25℃の歪光学定数が、例えば、6000×10−6以上(通常、10000×10−6以下)であり、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃のヤング率が3MPaを超過し5MPa以下の場合には、25℃の歪光学定数は、例えば、10000×10−6以上(通常、20000×10−6以下)である。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、例えば、−60℃以上、好ましくは、−40℃以上、より好ましくは、−35℃以上、より一層好ましくは、−30℃以上であり、例えば、−21℃以下、好ましくは、−25℃以下である。
すなわち、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、−60℃〜−21℃であることが好ましい。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が上記した下限未満である場合には、光弾性ポリウレタン樹脂の加工性および耐傷付き性が低下する場合がある。
また、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記した上限以上である場合には、上記した所望の光弾性定数を得にくくなる場合がある。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置を用いて、周波数10Hzで、温度分散モード(昇温速度5℃/min)の測定により、得ることができる。
また、上記したガラス転移温度の測定では、同時に、貯蔵伸長弾性率E’、損失伸長弾性率E’’および損失正接tanδが得られる。
光弾性ポリウレタン樹脂の25℃における貯蔵伸長弾性率E’は、例えば、1×10Pa〜1×10Paであり、25℃における損失伸長弾性率E’’は、例えば、1×10Pa〜1×10Paであり、25℃における損失正接tanδは、例えば、0.01〜0.2である。
また、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記した上限以上である場合には、低温でのセンサの応答時間が長くなる(応答速度が遅くなる)場合がある。
なお、センサの応答時間は、好ましくは、10ミリ秒以内である。センサの応答時間が上記範囲内であると、膝の曲げ動作を確実に検知できる。
また、センサの使用環境の温度は、例えば、−10℃以上であり、例えば、40℃以下である。
ここで、センサの使用環境の温度が低下し、センサの使用環境の温度と、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度とが近似すると、光弾性ポリウレタン樹脂の損失伸長弾性率E’’が上昇し、外力に対する応答速度が遅くなる傾向がある。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記した上限以上である場合には、使用環境の温度が−10℃であっても、外力に対する応答速度を確保することができる。
<発光部材>
本実施形態の検知部材は発光部材を備える。発光部材は芯材に対して光を入射する部材である。
発光部材としては、例えば、発光ダイオード(LED)を挙げることができる。LEDとしては、赤色LED、白色LED、赤外線LED、緑色LED、青色LEDなどの各種LEDを用いることができる。LEDの他には、例えば半導体レーザー(波長405nm〜1064nm)、蛍光灯、ハロゲンランプ、タングステンランプなども用いることができる。
本実施形態の検知部材において、発光部材は第1位置に配置される。第1位置は、芯材に対して光を入射できる位置であれば特に限定されない。また、発光部材の数も限定されない。
<受光部材>
本実施形態の検知部材は受光部材を備える。受光部材は発光部材から出射され、かつ芯材を通過した光を受光する部材である。
受光部材としては、例えばフォトダイオードを使用することができる。また、通常のフォトダイオードの他、フォトICダイオードを用いることもできる。フォトICダイオードは、通常のフォトダイオードの内部に、光電流の増幅回路が内蔵され、フォトダイオードで発生した光電流を1000倍〜数1000倍に増幅し、外部に出力する。なお、通常のフォトダイオードを用いる場合、フォトダイオードに公知の増幅回路を接続し、光電流を1000倍〜10000倍程度に増幅することが好ましい。
また、フォトダイオード以外の受光部材として、公知の検知器を用いてもよい。公知の検知器として、例えばCdSセルなどの光導電型の検知器や、ボロメータなどの感熱型の光検知器などを用いることもできる。
本実施形態の検知部材において、受光部材は第1位置と異なる第2位置に配置される。第2位置は、発光部材からの光を芯材を経て受光できる位置であれば特に限定されない。また、受光部材の数も限定されない。
<圧電基材>
本実施形態の検知部材は圧電基材を備える。圧電基材は芯材に巻回される。
圧電基材は、芯材に巻回できるものであれよく、特に形状は限定されないが、巻回のし易さの観点から、長尺状(例えばリボン状、線状、薄膜状)であることが好ましい。圧電基材の芯材への巻回方法は、例えば長尺薄膜状の圧電基材を形成し、芯材を包むように巻回してもよいが、芯材の周りに、長尺状(例えばリボン状、線状)の圧電基材をらせん状に巻回することが好ましい。
圧電基材としては、長尺状の導体と、導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体とを備えることが好ましい。
以下、好ましい形態の圧電基材に含まれる長尺状の導体(以下、単に「導体」とも称する)、長尺状の圧電体(以下、単に「圧電体」とも称する)について説明する。
(導体)
導体(例えば内部導体)は、信号線導体であることが好ましい。
信号線導体とは、圧電体から効率的に電気的信号を検出するための導体をいう。具体的には、圧電基材に張力が印加されたときに、印加された張力に応じた電圧信号(電荷信号)を検出するための導体である。
導体としては、電気的な良導体であることが好ましく、例えば、銅線、アルミ線、SUS線、絶縁皮膜被覆された金属線、カーボンファイバー、カーボンファイバーと一体化した樹脂繊維、錦糸線、有機導電材料等を用いることが可能である。錦糸線とは、繊維に銅箔がスパイラルに巻回されたものをいう。
(圧電体)
圧電体は、有機圧電材料を含むことが好ましい。
有機圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、光学活性を有するヘリカルキラル高分子、シルク繊維等を挙げることができる。中でも、光学活性を有するヘリカルキラル高分子が好ましく、特にポリ乳酸(PLA)が好ましい。
以下では、光学活性を有するヘリカルキラル高分子を、ヘリカルキラル高分子(A)と称する。
圧電体が、有機圧電材料として光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)含む場合、ヘリカルキラル高分子(A)は、圧電性をより向上させる観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましい。
また、ヘリカルキラル高分子(A)は、圧電性をより向上させる観点から、D体又はL体からなることが好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A)の含有量は、圧電性をより向上させる観点から、圧電体の全量に対し、80質量%以上であることが好ましい。
<圧電基材の好ましい態様>
圧電基材は、長尺状の導体と、導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体とを備え、かつ圧電体が有機圧電材料を含むことが好ましい。
圧電基材の好ましい態様としては、具体的には、以下の態様A〜Tが挙げられる。
(態様A)
圧電基材が、長尺状の導体と、前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の第1の圧電体と、を備え、
前記第1の圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
前記第1の圧電体の長さ方向と、前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、
X線回折測定から下記式(a)によって求められる前記第1の圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲である態様。
配向度F=(180°―α)/180°・・(a)
αは配向由来のピークの半値幅(単位:°)を表す。
(態様B)
態様Aの圧電基材において、
前記導体が内部導体であり、
前記第1の圧電体が、前記内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されている態様。
(態様C)
態様Bの圧電基材において、
さらに、前記一方向とは異なる方向に螺旋状に巻回された長尺状の第2の圧電体を備え、
前記第2の圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
前記第2の圧電体の長さ方向と、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、
X線回折測定から前記式(a)によって求められる前記第2の圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲であり、
前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、が互いに異なる態様。
(態様D)
態様Bの圧電基材において、
さらに、前記内部導体の外周面に沿って螺旋状に巻回された第1の絶縁体を備え、
前記第1の絶縁体が、前記第1の圧電体から見て、前記内部導体とは反対側に配置されている態様。
(態様E)
態様Bの圧電基材において、
さらに、前記内部導体の外周面に沿って螺旋状に巻回された第1の絶縁体を備え、
前記第1の絶縁体が、前記内部導体と前記第1の圧電体との間に配置されている態様。
(態様F)
態様Bの圧電基材において、
さらに、前記一方向とは異なる方向に巻回された長尺状の第2の圧電体を備え、
前記第2の圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
前記第2の圧電体の長さ方向と、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、
X線回折測定から前記式(a)によって求められる前記第2の圧電体の配向度Fが0.
5以上1.0未満の範囲であり、
前記第1の圧電体と前記第2の圧電体とは交互に交差された組紐構造をなし、
前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、が互いに異なる態様。
(態様G)
態様Bの圧電基材において、
さらに、前記内部導体の外周面に沿って巻回された第1の絶縁体を備え、
前記第1の圧電体と前記第1の絶縁体とは交互に交差された組紐構造をなす態様。
(態様H)
態様B〜Gの何れか1つの圧電基材において、
前記第1の圧電体が、前記内部導体の軸方向に対して、15°〜75°の角度を保持して巻回されている態様。
(態様I)
態様B〜Hの何れか1つの圧電基材において、
前記第1の圧電体が、単数又は複数の束からなる繊維形状を有し、
前記第1の圧電体の断面の長軸径が、0.0001mm〜10mmである態様。
(態様J)
態様A〜Hの何れか1つの圧電基材において、
前記第1の圧電体が長尺平板形状を有し、
前記第1の圧電体の厚さが0.001mm〜0.2mmであり、
前記第1の圧電体の幅が0.1mm〜30mmであり、
前記第1の圧電体の厚さに対する前記第1の圧電体の幅の比が2以上である態様。
なお、態様Jにおける第1の圧電体は、長尺平板形状を有することが好ましい。
長尺平板状の圧電体の「主面」とは、長尺平板状の圧電体の厚さ方向に直交する面(言い換えれば、長さ方向及び幅方向を含む面)を意味する。
(態様K)
態様A〜Jの何れか1つの圧電基材において、
前記第1の圧電体は、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む態様。
(態様L)
態様Kの圧電基材において、
さらに、前記第1の圧電体の少なくとも一方の主面の側に配置された機能層を備える態様。
(態様M)
態様Lの圧電基材において、
前記機能層が、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含む態様。
(態様N)
態様L又は態様Mの圧電基材において、
前記機能層が、電極層を含む態様。
(態様O)
態様Nの圧電基材において、
前記第1の圧電体と、前記機能層と、を含む積層体の表面層の少なくとも一方が、前記電極層である態様。
(態様P)
態様Aの圧電基材において、
前記導体と前記第1の圧電体とが、互いに捩り合わされている態様。
(態様Q)
態様Pの圧電基材において、
前記第1の圧電体が、単数又は複数の束からなる繊維形状を有し、
前記第1の圧電体の断面の長軸径が、0.0001mm〜2mmである態様。
(態様R)
態様A〜Qの何れか1つの圧電基材において、
前記導体が錦糸線である態様。
(態様S)
態様A〜Rの何れか1つの圧電基材において、
前記導体及び前記第1の圧電体の間に接着層を備える態様。
(態様T)
態様A〜Sの何れか1つの圧電基材において、
前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である態様。
上記好ましい態様(態様A〜T)の圧電基材において、第1の圧電体及び第2の圧電体は、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含む圧電体である。第1の圧電体と第2の圧電体とは同一であっても異なるものであってもよい。ただし、第1の圧電体及び第2の圧電体にそれぞれ含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティは、圧電感度及び圧電出力を向上させる観点から、適宜選択することが好ましい。
また、第1の絶縁体としては特に限定されない。第1の絶縁体の形状は、導体に対する巻回のし易さの観点から、長尺形状であることが好ましい。
上記好ましい態様の圧電基材では、第1の圧電体がヘリカルキラル高分子(A)を含むこと、第1の圧電体の長さ方向とヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とが略平行であること、及び、第1の圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満であることにより圧電性が発現される。
その上で、上記好ましい態様の圧電基材は、上記第1の圧電体が、導体に対して一方向に螺旋状に巻回された構成をなす。
上記好ましい態様の圧電基材では、第1の圧電体を上記のように配置することにより、圧電基材の長さ方向に張力(応力)が印加されたときに、ヘリカルキラル高分子(A)にずり力が加わり、圧電基材の径方向にヘリカルキラル高分子(A)の分極が生じる。その分極方向は、螺旋状に巻回された第一の圧電体を、その長さ方向に対して平面と見做せる程度の微小領域の集合体とみなした場合、その構成する微小領域の平面に、張力(応力)に起因したずり力がヘリカルキラル高分子に印加された場合、圧電応力定数d14に起因して発生する電界の方向と略一致する。
具体的には、例えばポリ乳酸においては、分子構造が左巻き螺旋構造からなるL−乳酸のホモポリマー(PLLA)の場合、PLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、左巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆にPLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、右巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加された場合、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。
また、例えば分子構造が右巻き螺旋構造からなるD−乳酸のホモポリマー(PDLA)の場合、PDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、左巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆にPDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、右巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。
これにより、圧電基材の長さ方向に張力が印加された際、螺旋状に配置された第1の圧電体の各部位において、張力に比例した電位差が位相の揃った状態で発生するため、効果的に張力に比例した電圧信号が検出されると考えられる。
従って、上記好ましい態様の圧電基材によれば、圧電感度に優れ、圧電出力の安定性にも優れた圧電基材が得られる。
特に、ヘリカルキラル高分子(A)として、非焦電性のポリ乳酸系高分子を用いた圧電基材は、焦電性のPVDFを用いた圧電基材に比べ、圧電感度の安定性、及び圧電出力の安定性(経時又は温度変化に対する安定性)がより向上する。
ここで、第1の圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、第1の圧電体が長さ方向への引張に強い(即ち、長さ方向の引張強度に優れる)という利点を有する。従って、第1の圧電体を、導体に対して一方向に螺旋状に巻回しても破断しにくくなる。
更に、第1の圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、例えば、延伸された圧電フィルムをスリットして第1の圧電体(例えばスリットリボン)を得る際の生産性の面でも有利である。
「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満(好ましくは0°以上22.5°以下、より好ましくは0°以上10°以下、更に好ましくは0°以上5°以下、特に好ましくは0°以上3°以下)であることを指す。
また、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とは、ヘリカルキラル高分子(A)の主たる配向方向を意味する。ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、第1の圧電体の配向度Fを測定することによって確認できる。
また、原料を溶融紡糸した後にこれを延伸して、第1の圧電体を製造する場合、製造された第1の圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。主延伸方向とは、延伸方向を指す。
同様に、フィルムの延伸及び延伸されたフィルムのスリットを形成して第1の圧電体を製造する場合、製造された第1の圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。ここで、主延伸方向とは、一軸延伸の場合には延伸方向を指し、二軸延伸の場合には、延伸倍率が高い方の延伸方向を指す。
上記好ましい態様の圧電基材は、長尺状の導体が内部導体であり、長尺状の第1の圧電体が、内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されていることが好ましい。
導体として、内部導体を用いることにより、内部導体の軸方向に対して、第1の圧電体が螺旋角度βを保持して一方向に螺旋状に配置されやすくなる。
「螺旋角度β」とは、導体の軸方向と、導体の軸方向に対して第1の圧電体が配置される方向(第1の圧電体の長さ方向)とがなす角度を意味する。
これにより、例えば、圧電基材の長さ方向に張力が印加されたときに、ヘリカルキラル高分子(A)の分極が、圧電基材の径方向に発生しやすくなる。この結果、効果的に張力に比例した電圧信号(電荷信号)が検出される。
さらに、上記好ましい態様の圧電基材(但し、態様B〜O、態様R〜T)は、同軸ケーブルに備えられる内部構造(内部導体及び誘電体)と同一の構造となり得るため、例えば、上記圧電基材を同軸ケーブルに適用した場合、電磁シールド性が高く、ノイズに強い構造となり得る。
<具体例>
図面を参照しながら、本実施形態の具体例について説明する。ただし、本実施形態は、以下の具体例に限定されることはない。
(検知部材)
図1は、具体例に係る検知部材を側方から見た概略図である。
検知部材1は、長手方向に延びる棒形状の光弾性ポリウレタン樹脂からなる芯材2と、芯材2の外部に配置されたシリコーンチューブ5と、シリコーンチューブ5の上から芯材2の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回された圧電ライン20(圧電基材の一例)と、芯材2及び圧電ライン20を覆うようにシリコーンチューブ5の外部に配置された熱収縮チューブ6と、を備えている。
発光部材3は、芯材2の一方の端部に配置されており、発光ダイオード(LED)3Bと、キャップ部材3Aと、配線3Cとを備えている。受光部材4は、芯材2の発光部材3とは反対側の端部に配置されており、フォトダイオード4Bと、キャップ部材4Aと、配線4Cとを備えている。配線3CはLED電源に接続され、配線4Cは信号処理回路に接続されている。なお、LED3B及びフォトダイオード4Bはシリコーンチューブ5の内部に配置されている。
また、圧電ライン20は、内部導体と、内部導体の周りに一方向に螺旋状に巻回された有機圧電材料を含む圧電体と、さらに圧電体の外周面に一方向に螺旋状に巻回された外部導体と、から構成されている(全て不図示)。内部導体及び外部導体はそれぞれ信号処理回路(不図示)に接続されている。
検知部材1の作用について説明する。検知部材1では、以下の作用1、2が生じる。
−作用1−
検知部材1に曲げ応力や押圧力が加わると、芯材2(光弾性ポリウレタン樹脂)が特に上下方向中央部で圧縮又は変形され、複屈折を生じる。複屈折が生じることにより、LED3Bからの光は、芯材2の上下方向中央部において散乱し、芯材2を透過してフォトダイオード4Bに受光される光量が減衰する。
そして、フォトダイオード4Bが受光量の減衰を検知し、信号処理回路がその複屈折の検知に基づき、被検知部材の曲げ角度や曲げ速さや加わる圧力(衝撃)等を検出する。特に作用1では、曲げ角度を検出しやすい。
なお、検知部材1に曲げ応力や押圧力が加わっていないときには、芯材2(光弾性ポリウレタン樹脂)は、変形していないので、複屈折を生じていない。そのため、LED3Bからの光は、ほとんど減衰することなく、芯材2を透過してフォトダイオード4Bに受光される。
−作用2−
検知部材1に張力や、曲げ、ねじり等の応力が加わると、圧電ライン20に張力が印加され、圧電ライン20に含まれる有機圧電材料(例えばヘリカルキラル高分子)にずり力が加わり、このずり力により圧電ライン20の径方向に有機圧電材料の分極が生じ、圧電効果によって張力に比例した電荷(電界)が発生する。これ電圧信号として取り出すことにより、応力を検知することができる。
具体的には、信号処理回路がその電圧信号の検知に基づき、被検知部材の曲げ角度や曲げ速さや加わる圧力(衝撃)等を検出する。特に作用2では、曲げ速さ(例えば角度変化が速いとき)や、取り付け部位にかかる衝撃を検出しやすい。
したがって、本実施形態の検知部材1によれば、光の複屈折(作用1)及び圧電体の分極(作用2)の両者の情報に基づき被検知部材の動きを検出するため、被検知部材の動く速度や、加わる衝撃を同時に検出することができる。
特に、本実施形態の検知部材1は、曲げ角度を検出しやすい光弾性ポリウレタン樹脂からなる芯材2と、曲げ速度を検出しやすい圧電基材が一体に形成されているため、曲げ角度と曲げ速さを同時に測定し得る。
(膝サポーター)
図2は、具体例に係る検知部材が膝サポーターに設置された状態を側方から見た概略図である。
図2に示すように、膝サポーター10は、検知部材1を備えている。検知部材1は、両端に設けられた固定具(例えばマジックテープ(登録商標))12により、膝サポーター10の、膝の位置10Aの外側側面に当たる位置に固定されている。
図3は、具体例に係る検知部材が設置された膝サポーターが脚の膝を含む部分に装着された状態を側方から見た概略図である。詳細には、図3は、膝サポーター10を脚100に装着して、膝100Aを曲げた状態を示している。
検知部材1は、脚100(膝100A、上腿100B、及び下腿100C)の膝100Aの外側の側面に設置され、膝100Aを曲げ伸ばしした際に、検知部材1の中央付近が折れ曲がるような位置に固定されている。なお、検知部材1は、図3に示すように設置されることが好ましい。
膝サポーター10の作用について説明する。膝サポーター10は、検知部材1を備えるので、検知部材1の作用と同様の作用が生じる。
特に、膝サポーター10では、膝の曲げ伸ばし、椅子の着席立席、階段の上り下り等における膝の動く速度と、膝に加わる衝撃とを同時に検出することができる。
<検知部材の用途>
本実施形態の検知部材は、物体の動く速度や加わる衝撃を同時に検出できる感圧センサや、屈曲センサなどの検知部材として利用することが可能である。具体的には、人体の関節に装着する器具(例えば膝サポーター、肘サポーター)に設置して、人体の関節の動きを検出するセンサとして利用することが可能である。
例えば、検知部材を肘サポーターに用いた場合、肘の角度と、曲げ伸ばしの速さとを同時に測定し得る。また、検知部材を膝サポーターに用いた場合、膝の角度と、曲げ伸ばしの速さと、歩行に伴う衝撃とを同時に測定し得る。
また、本実施形態の検知部材は、各種産業分野のロボット、機器等に用いることができる。具体的には、ロボットのアームや製造装置の可動部に用い、角度と曲げ速さを同時に測定するセンサとして利用することが可能である。
また、本実施形態の検知部材は、クッション材と組み合わせて、ロボットなどの衝突検知センサ付バンパーや、ベッドや自動車等の座席の内部に設置して、人体の体重移動と呼吸等の生体反応を同時に検出するセンサとして利用することもできる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<光弾性ポリウレタン樹脂の原料>
A.高分子量ポリオール
PTG−1000(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、水酸基価111.5mgKOH/g、保土谷化学社製)
B.低分子量ポリオール
トリメチロールプロパン(純正化学試薬)
C.イソシアネート
(1)3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI、日本曹達社製)
(2)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI−PH、三井化学社製)
D.添加剤
酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
〔実施例1〕
<芯材の作製>
ガラス製フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG−1000)を100質量部および酸化防止剤0.2質量部仕込み、減圧下、120℃で2時間乾燥し、温度を80℃に下げ、窒素で常圧に戻した。
次いで、撹拌しながら3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートを9.2質量部投入し、4時間反応させた。
次いで、撹拌しながらトリメチロールプロパンを1質量部加え、温度を70℃に調整した。
次いで、消泡剤を数滴加え、70℃で溶解した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを20.3質量部投入し、撹拌混合した。
その後、減圧下で30秒間脱泡し、窒素で常圧に戻した後、フラスコから取り出し、ポリウレタン組成物を得た。
次いで、得られたポリウレタン組成物を、成形型(30cm×10cm×2mm)に流し込み、50℃で48時間硬化させることにより、厚さ2mmの光弾性ポリウレタン樹脂シートを得た。
また、同じポリウレタン組成物を、シリコーンチューブ(外径7mm、内径4mm、長さ60cm)に充填し、片方の端をピンチコックで締め、50℃のオーブン中に吊るして48時間硬化させることにより、直径7mm、長手方向の長さ137mmの、棒形状の光弾性ポリウレタン樹脂の周りにシリコーンチューブが被覆された一体化ロッドを得て、これを芯材とした。
上記光弾性ポリウレタン樹脂シートを用いて光弾性ポリウレタン樹脂の25℃での光弾性定数およびヤング率を測定したところ、各々4800×10−12Pa−1、4.9MPaであった。また動的粘弾性測定(振動数10Hz)によりガラス転移温度を測定したところ、−31℃であった。
<リボン状圧電体(スリットリボン)の作製>
ヘリカルキラル高分子(有機圧電材料の一例)としてのNatureWorks LLC社製ポリ乳酸(品名:IngeoTM biopolymer、銘柄:4032D)100質量部に対して、安定化剤〔ラインケミー社製Stabaxol P400(10質量部)、ラインケミー社製Stabaxol I(70質量部)、及び日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(20質量部)の混合物〕1.0質量部を添加し、ドライブレンドして原料を作製した。
作製した原料を押出成形機ホッパーに入れて、210℃に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに0.3分間接触させて、厚さ150μmの予備結晶化シートを製膜した(予備結晶化工程)。前記予備結晶化シートの結晶化度を測定したところ6%であった。
得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸速度10m/分で延伸を開始し、3.5倍までMD方向に一軸延伸した(延伸工程)。得られたフィルムの厚さは49.2μmであった。
その後、前記一軸延伸フィルムを、ロールツーロールで、145℃に加熱したロール上に15秒間接触させアニール処理し、その後急冷を行って、圧電フィルムを作製した(アニール処理工程)。
その後、さらに圧電フィルムをスリット加工機を用いて、スリットする方向と圧電フィルムの延伸方向とが略平行となるように幅0.6mmでスリットした。これにより、リボン状圧電体として、幅0.6mm、厚さ49.2μmのスリットリボンを得て、これをリボン状圧電体とした。なお、得られたスリットリボンの断面形状は矩形であった。
<圧電ラインの作製>
本実施例に示す圧電ラインは以下に示す方法により作製した。
まず内部導体(信号線導体)として、明清産業社製錦糸線U24−01−00(線径0.3mm、長さ250mm)を準備した。
次に、上記のようにして得た幅0.6mm、厚さ49.2μmのリボン状圧電体(スリットリボン)を錦糸線の周りに左巻きに、錦糸線の長軸方向に対して45°の方向を向くように(螺旋角度45°)、錦糸線が露出して見えないよう隙間なく、螺旋状に巻回し、錦糸線を包接した。なお、「左巻き」とは、信号線導体(錦糸線)の軸方向の一端から見たときに、信号線導体の手前側から奥側に向かってリボン状圧電体が左巻きで巻回していることをいう。
外部導体として、幅0.3mm、厚さ30μmの平角断面の圧延銅箔リボンを準備し、この圧延銅箔リボンを、螺旋状に巻回されているリボン状圧電体の周りに、リボン状圧電体が露出しないよう隙間なく右巻きに巻回し包接した。
以上のようにして、圧電ライン(圧電基材の一例)を得た。
<検知部材の作製>
図1に示す検知部材1と同様の構成の検知部材を以下に示す方法により作製した。
上記で得た、シリコーンチューブ被覆付光弾性ポリウレタン樹脂ロッド(以下、樹脂ロッドと称する)を芯材として用いた。
上記で得た圧電ラインを、シリコーンチューブの上から樹脂ロッドの外周面に沿って一端から他端にかけて一方向に15回、螺旋状に巻回し、圧電ラインの端部の内部導体及び外部導体をそれぞれ外部回路に接続した。
次に、圧電ラインが巻回されているシリコーンチューブの上を円筒状の熱収縮チューブで被覆し、樹脂ロッドとシリコーンチューブと圧電ラインとを固定した。
次に、樹脂ロッドの一端に電源ケーブル(配線)を備えたLEDを配置し、他端に信号ケーブル(配線)を備えたフォトダイオードを配置し、シリコーンチューブの両端にキャップ部材を配置した。電源ケーブルをLED電源に接続し、信号ケーブルを信号処理回路に接続した。これにより、実施例1の検知部材を得た。
実施例1の検知部材を用いて以下の評価を行った。
〔評価1〕
図2に示す膝サポーター10と同様の構成の膝サポーターを作製した。
具体的には、図2に示すように、検知部材の両端をマジックテープ(登録商標)で固定して検知部材を膝の外側側面に当たる位置に設置し、検知部材を備えた膝サポーターを得た。なお、検知部材のLED側が上腿側に、フォトダイオード側が下腿側になるように固定した。
この膝サポーターを、図3に示すように被験者の脚に装着し、膝の曲げ角度を変えたときの受光部材の出力を測定した。なお、膝の曲げ角度は、膝を伸ばした状態が0°で、90°が膝を直角に曲げた状態を示している。また、受光部材からの出力は増幅回路(オペアンプ)を用いて、適当な電圧まで増幅した。結果を図4に示す。図4に、膝の曲げ角度と受光部材の出力との関係を示す。
図4から、膝の曲げ角度と、受光部材からの信号強度とは相関することがわかった。
〔評価2〕
評価1と同様の、検知部材を備えた膝サポーターを被験者の脚に装着し、(1)被験者が、立って膝を真っ直ぐに伸ばした状態から、素早く椅子に座り、もう一度椅子から素早く立ち上がるまでの、受光部材の出力と圧電ラインからの出力、(2)被験者が、立って膝を真っ直ぐに伸ばした状態から、ゆっくり椅子に座り、もう一度椅子からゆっくり立ち上がるまでの受光部材の出力と圧電ラインからの出力を測定した。結果を図5、6に示す。図5に、上記(1)の測定における時間と圧電ライン出力及び受光部材出力との関係を示す。図6に、上記(2)の測定における時間と圧電ライン出力及び受光部材出力との関係を示す。なお、図5、6では、膝に取り付けた通常の加速度センサ(加速度ピックアップ)の出力の結果も示した。
図5、6で受光部材の出力を比較すると、立ち上がった状態では電圧が高く、座った状態では電圧が低くなっているが、その電圧の差は、素早く座った場合とゆっくり座った場合で同じ電位差であることがわかる。これは、受光部材の電圧が膝の角度に依存して変化するためと考えられる。
一方、図5、6で圧電ラインの出力を比較すると、両者ともに立ち上がった状態から座った状態へ変化する際にはマイナスに電位が変化し、座った状態から立ち上がった状態へ変化する際にはプラスに電位が変化している。しかし、その電位の変化量をみると、素早く椅子に座り、素早く椅子から立ち上がった場合には、ゆっくり椅子に座りゆっくり椅子から立ち上がった場合と比較して、電位の変化量が大きいことがわかる。
これは、圧電ラインの出力が膝の曲げ角度に依存するのではなく、膝を曲げる速さに依存するためと考えられる。
以上の結果から、受光部材の出力と圧電ラインの出力を同時に測定することにより、膝の角度と膝を曲げる速さを同時に測定できることがわかった。
〔評価3〕
評価1と同様の、検知部材を備えた膝サポーターを被験者の脚に装着し、被験者が、階段を上り降りした場合の受光部材の出力と圧電ラインからの出力、を測定した。結果を図7に示す。図7に、時間と圧電ライン出力及び受光部材出力との関係を示す。
図7中、受光部材の出力に表れている最初の三つの凹部は階段を三歩下った際のシグナルで、次の三つの凹部は階段を三歩登った際のシグナルである。また、図7に示すように、圧電ラインの出力にアステリスク(*)で示した三つのピークが観察されたが、これは階段を下った際に膝が衝撃を受けたことを示している。圧電ラインの出力の時間微分値を測定することで、膝が受ける衝撃を計測できた。計測の結果、階段を下った際の膝が受ける衝撃は600Nであった。
1 検知部材、2 芯材、3 発光部材、3A キャップ部材、3B LED、3C 配線、4A キャップ部材、4B フォトダイオード、4C 配線、5 シリコーンチューブ、6 熱収縮チューブ、10 膝サポーター、10A 膝の位置 、12 固定具、20 圧電ライン(圧電基材の一例)、100 脚、100A 膝、100B 上腿、100C 下腿

Claims (4)

  1. 光弾性ポリウレタン樹脂を含む芯材と、
    前記芯材に対して光を入射する、第1位置に配置された発光部材と、
    前記発光部材から出射され、かつ前記芯材を通過した光を受光する、前記第1位置と異なる第2位置に配置された受光部材と、
    前記芯材に巻回された圧電基材と、
    を備える検知部材。
  2. 前記圧電基材は、長尺状の導体と、前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体とを備え、
    前記圧電体は、有機圧電材料を含む、請求項1に記載の検知部材。
  3. 前記芯材は、棒形状である、請求項1又は請求項2に記載の検知部材。
  4. 前記光弾性ポリウレタン樹脂は、25℃におけるヤング率が2MPa〜5MPaであり、25℃における光弾性定数が1000×10−12Pa−1〜100000×10−12Pa−1であり、かつガラス転移温度が−60℃〜−21℃である、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の検知部材。
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