図1は、本発明の一実施形態による振動低減装置の断面図である。図1の左側にはエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。
図1に示すO−Oは、振動低減装置1の回転軸線である。詳細には、回転軸芯Oは、振動低減装置1を構成する各部材及び各部分の回転軸芯である。以下では、回転軸芯Oから離れる方向を径方向、回転軸芯Oに沿う方向を軸方向、回転軸芯Oまわりの方向を周方向と、記すことがある。
[振動低減装置の全体構成]
振動低減装置1は、エンジン側の部材からトランスミッション側の部材にトルクを伝達するための装置である。また、振動低減装置1は、エンジンからの捩り振動を低減可能に構成されている。捩り振動は、エンジンから振動低減装置1に入力される、トルク変動及び/又は回転速度変動によって、振動低減装置1に生じる振動である。
図1に示すように、振動低減装置1は、ハウジング2(入力回転部の一例)と、出力ハブ3(出力回転部の一例)と、メインダンパ装置4(ダンパ部の一例)と、ダイナミックダンパ装置5(動吸振装置の一例)と、クラッチ部6とを、備えている。また、振動低減装置1は、クラッチ部6を作動させるための第1油路7と、クラッチ部6の温度を調節するための第2油路8及び第3油路9とを、さらに備えている。
<ハウジング>
ハウジング2には、エンジン側の部材が取り付けられ、エンジンのトルクが入力される。図1に示すように、ハウジング2は、回転軸芯Oまわりに回転可能に構成されている。
ハウジング2は、潤滑油を収容可能な内部空間Sを、構成している。ハウジング2は、カバー部10と、カバー用のハブ11とを、有している。例えば、カバー部10によって、内部空間Sが形成されている。より具体的には、内部空間Sは、カバー部10及びカバー用のハブ11によって形成される。
内部空間Sは、第1内部空間S1と、第2内部空間S2とを、有する。第1内部空間Sは、カバー部10と、クラッチ部6のピストン40(後述する)と、ピストン支持部材48(後述する)とによって囲まれたエンジン側の空間である。詳細には、第1内部空間Sは、カバー部10の第1カバー12と、ピストン40と、クラッチ入力部材35(後述する)と、ピストン支持部材48とによって囲まれた空間である。
第1内部空間S1では、第1油路7からの潤滑油によって、内部の油圧が調節される。第1油路7は、カバー部10の第1カバー12とピストン支持部材48(後述する)との間に、設けられている。
第2内部空間S2は、カバー部10と、クラッチ部6のピストン40と、ピストン支持部材48とによって囲まれたトランスミッション側の空間である。詳細には、第2内部空間S2は、カバー部10の第1カバー部12及び第2カバー部13と、ピストン40と、ピストン支持部材48と、出力ハブ3とによって、囲まれた空間である。
第2内部空間S2では、第2油路8及び第3油路9からの潤滑油によって、内部の温度が調節される。なお、第2油路8及び第3油路9からの潤滑油は、第1内部空間S1及び第2内部空間S2の間の油圧差を調節するために用いてもよい。第2油路8は、出力ハブ3に設けられている。第3油路9は、出力ハブ3及びカバー用のハブ11の間に設けられている。
(カバー部)
カバー部10は、第1カバー12と、第2カバー13とを、有している。第1カバー12は、エンジン側のカバー部材である。第1カバー12は、第1カバー本体12aと、第1外周筒状部12bとを、有している。
第1カバー本体12aは、実質的に円板状に形成されている。第1外周筒状部12bは、第1カバー本体12aの外周部に設けられている。第1外周筒状部12bは、第1カバー本体12aの外周部からトランスミッション側に突出している。
第2カバー13は、トランスミッション側のカバー部材である。第2カバー13は、第1カバー本体13aと、第2外周筒状部13bとを、有している。第1カバー本体13aは、実質的に環状に形成されている。第1カバー本体13aの内周部は、固定手段例えば溶接によって、カバー用のハブ11に固定される。
第2外周筒状部13bは、第1カバー本体13aの外周部に設けられている。第2外周筒状部13bは、第1カバー本体13aの外周部からエンジン側に突出している。第2外周筒状部13bは、固定手段例えば溶接によって、第1カバー12の第1外周筒状部12bに固定される。
(カバー用のハブ)
カバー用のハブ11は、出力ハブ3に対して相対回転可能に支持されている。例えば、カバー用のハブ11は、ベアリング又はスラストワッシャ14を介して、出力ハブ3に支持されている。
具体的には、カバー用のハブ11は、第1ハブ本体11aと、第1ハブフランジ11bとを、有する。第1ハブ本体11aは、実質的に筒状に形成されている。第1ハブフランジ11bは、第1ハブ本体11aと一体に形成されている。第1ハブフランジ11bは、第1ハブ本体11aから径方向外方に突出している。第1ハブフランジ11bには、固定手段例えば溶接によって、第2カバー13の第1カバー本体13aの内周部が固定される。
<出力ハブ>
出力ハブ3は、ハウジング2に対して相対回転可能に配置される。出力ハブ3は、ハウジング2の内部空間S、例えば第2内部空間S2を、構成する。
出力ハブ3には、メインダンパ装置4が一体回転可能に取り付けられる。また、出力ハブ3には、トランスミッション側の部材が取り付けられる。例えば、出力ハブ3は、トランスミッション側のシャフトに一体回転可能に装着されている。
さらに、出力ハブ3には、第2油路8が設けられている。また、出力ハブ3及びハウジング2の間には、第3油路9が設けられている。
具体的には、出力ハブ3は、第2ハブ本体3aと、第2ハブフランジ3bとを、有している。第2ハブ本体3aは、実質的に筒状に形成されている。第2ハブ本体3aの内周部は、トランスミッション側の部材と一体回転可能に係合している。ここでは、第2ハブ本体3aの内周部は、トランスミッション側のシャフト部材とスプライン係合している。
第2ハブフランジ3bは、第2ハブ本体3aと一体に形成されている。第2ハブフランジ3bは、第2ハブ本体3aの外周部から径方向外側に突出している。第2ハブフランジ3bとカバー用のハブ11の第1ハブフランジ11bとの軸方向間には、ベアリング又はスラストワッシャ14が配置されている。
第2ハブフランジ3bには、メインダンパ装置4例えばドリブンプレート17(後述する)が、固定手段例えば複数のリベット12によって、固定されている。また、第2ハブフランジ3bには、位置決め部材15が、固定手段例えば複数のリベット12によって、固定されている。
第2ハブ本体3a及び第2ハブハブフランジ3bの連結部(隅角部)には、少なくとも1つの孔部、すなわち第2油路8が、形成されている。ここでは、複数の第2油路8が、周方向に間隔を隔てて、隅角部に形成されている。複数の第2油路8それぞれは、第2内部空間S2側の面から、第2内部空間S2側の面とは反対の面に向けて、隅角部を貫通している。なお、各第2油路8を形成する位置は、隅角部とは異なる位置であってもよい。
第2油路8は、潤滑油を第2内部空間S2に供給したり、第2内部空間S2の潤滑油を排出したりするために、用いられる。なお、第2内部空間S2の潤滑油は、第2内部空間S2の内部温度を調節するだけでなく、ピストン40を作動させるための作動油としても用いてもよい。
第2ハブフランジ3b及びカバー用のハブ11の第1ハブフランジ11bの軸方向間には、第3油路9が形成されている。ここでは、ベアリング又はスラストワッシャ14が配置される隙間が、第3油路9として用いられている。第3油路9は、潤滑油を第2内部空間S2に供給したり、第2内部空間S2の潤滑油を排出したりするために、用いられる。なお、第2内部空間S2の潤滑油は、第2内部空間S2の内部温度を調節するためだけでなく、ピストン40を作動させるための作動油としても用いてもよい。
位置決め部材15は、クラッチ部6のクラッチ出力部材36(後述する)及びメインダンパ装置4のドライブプレート16(後述する)を、径方向に位置決めするためのものである。
位置決め部材15は、固定部15aと、第1位置決め部15bとを、有している。固定部15aは、実質的に円環状に形成されている。固定部15aは、複数のリベット12によって、第2ハブフランジ3bに固定されている。
第1位置決め部15bは、固定部15aに一体に形成されている。第1位置決め部15bは、実質的に円筒状に形成されている。第1位置決め部15bには、ドライブプレート16の内周部が、載置される。また、第1位置決め部15bには、鍔部15cが形成されている。鍔部15cは、ドライブプレート16の内周部のエンジン側への移動を、規制する。
この状態において、ドライブプレート16は、第1位置決め部15bに対して回転可能である。後述するように、ドライブプレート16には、クラッチ部6のクラッチ出力部材36が固定されているので、クラッチ部6のクラッチ出力部材36も、第1位置決め部15bに対して回転可能である。
<メインダンパ装置>
メインダンパ装置4は、ハウジング2に入力された捩り振動を減衰する。図1に示すように、メインダンパ装置4は、ハウジング2の内部空間S例えば第2内部空間S2に、配置される。メインダンパ装置4は、クラッチ部6を介して、ハウジング2及び出力ハブ3を連結する。詳細には、クラッチ部6がクラッチオン状態である場合に、メインダンパ装置4は、ハウジング2及び出力ハブ3を連結する。
具体的には、図2に示すように、メインダンパ装置4は、ドライブプレート16と、ドリブンプレート17(出力部材の一例)と、中間部材18と、複数の外周側コイルスプリング19(第1弾性部の一例)と、複数の内周側コイルスプリング20(第2弾性部の一例)とを、有する。
(ドライブプレート)
ドライブプレート16は、ドリブンプレート17に対して回転可能に構成されている。詳細には、ドライブプレート16は、複数の外周側及び内周側コイルスプリング19,20と中間部材18とを介して、ドリブンプレート17に対して回転可能に構成されている。また、ドライブプレート16は、複数の外周側コイルスプリング19を介して、中間部材18に対して回転可能に構成されている。
さらに、ドライブプレート16は、クラッチ部6及び外周側コイルスプリング19を、連結する。詳細には、ドライブプレート16には、クラッチ部6のクラッチ出力部材36(後述する)が、固定される。ドライブプレート16は、複数の外周側コイルスプリング19それぞれに係合する。
ドライブプレート16は、ドライブプレート本体16aと、複数の第1スプリング収納部16bと、支持部16cと、ストッパ溝16dとを、有している。
ドライブプレート本体16aは、実質的に環状かつ円板状に形成されている。
複数の第1スプリング収納部16bそれぞれは、ドライブプレート本体13の外周部に形成されている。複数の第1スプリング収納部16bには、複数の外周側コイルスプリング19が各別に配置される。
各第1スプリング収納部16bは、実質的にC字形状形成された断面を、有している。各第1スプリング収納部16bは、各外周側コイルスプリング19の内周側と、各外周側コイルスプリング19における第1カバー12側の側部と、各外周側コイルスプリング19の外周側とを、覆っている。
また、各第1スプリング収納部16bの周方向の両端部それぞれには、係合部16eが、設けられている。各係合部16eは、各外周側コイルスプリング19の両端部それぞれに係合可能に形成されている。各係合部16eは、各第1スプリング収納部16bの両端部それぞれを切り起こすことによって、形成されている。
支持部16cは、ドライブプレート本体16aの内周部に形成されている。例えば、支持部16cは、実質的に円筒状に形成されており、ドライブプレート本体16aの内周部からエンジン側に延びている。支持部16cは、第1位置決め部15に対して回転可能である。
ストッパ溝16dは、ドライブプレート本体13を軸方向に貫通する溝部である。ストッパ溝16dは、周方向に延びている。ストッパ溝16dには、中間部材18の第2ストッパ部21d(後述する)が、係合する。
(ドリブンプレート)
ドリブンプレート17は、ドライブプレート16に対して回転可能に構成されている。詳細には、ドリブンプレート17は、複数の外周側及び内周側コイルスプリング19,20と中間部材18とを介して、ドライブプレート16に対して回転可能に構成されている。また、ドリブンプレート17は、複数の内周側コイルスプリング20を介して、中間部材18に対して回転可能に構成されている。
さらに、ドリブンプレート17は、複数の内周側コイルスプリング20及び出力ハブ3を、連結する。詳細には、ドリブンプレート17は、複数の内周側コイルスプリング20それぞれに係合し、且つ出力ハブ3に固定されている。
ドリブンプレート17は、ドリブンプレート本体17aと、複数の第2スプリング収納部17bと、第1ストッパ部17cと、第2位置決め部17dとを、有している。
ドリブンプレート本体17aは、実質的に環状かつ円板状に形成されている。ドリブンプレート本体17aは、第1中間部材21及び第2中間部材22(後述する)の軸方向間に、配置される。ドリブンプレート本体17aの内周部は、固定手段例えば複数のリベット12によって、出力ハブ3例えば第2ハブフランジ3bに、固定されている。
複数の第2スプリング収納部17bそれぞれは、ドリブンプレート本体17aに形成されている。詳細には、複数の第2スプリング収納部17bそれぞれは、周方向に間隔を隔てて、ドリブンプレート本体17aに形成されている。
各第2スプリング収納部17bは、ドリブンプレート本体17aを軸方向に貫通する孔部である。また、各第2スプリング収納部17bは、周方向に延びている。各第2スプリング収納部17bには、各内周側コイルスプリング20が収容される。
第1ストッパ部17cは、ドリブンプレート本体17aの外周部に設けられている。第1ストッパ部17cは、ドリブンプレート本体17aの外周部から径方向外側に向けて突出している。
第1ストッパ部17cは、中間部材18に設けられた固定部材例えばリベット23に、係合可能である。複数のリベット23それぞれは、周方向に間隔を隔てて、中間部材18に設けられている。
例えば、複数の第1ストッパ部17cそれぞれが、周方向に隣接するリベット23の間に、配置される。この状態において、ドリブンプレート17及び中間部材18のいずれか一方が、ドリブンプレート17及び中間部材18のいずれか他方に対して回転して、両者の相対回転角度が所定の回転角度に到達すると、第1ストッパ部及びリベット23が当接する。これにより、ドリブンプレート17及び中間部材18の相対回転が停止する。
第2位置決め部17dは、中間部材18を径方向に位置決めするためのものである。第2位置決め部17dは、第2スプリング収納部17bの径方向内側において、ドリブンプレート本体17aに設けられる。ここでは、第2位置決め部17dは、中間部材18(後述する第1中間部材21)を位置決めするための外周面である。
(中間部材)
中間部材18は、外周側コイルスプリング19及び内周側コイルスプリング2020を、連結可能に構成されている。ここでは、中間部材18は、外周側コイルスプリング19及び内周側コイルスプリング20を、直列に連結する。また、中間部材18は、ドライブプレート16及びドリブンプレート17それぞれに対して、回転可能に構成されている。
中間部材18は、第1中間部材21と、第2中間部材22とを、有している。第1中間部材21は、エンジン側に配置される。詳細には、第1中間部材21は、ドリブンプレート17及びクラッチ部6の軸方向間に配置される。
第1中間部材21は、ドリブンプレート17の第2位置決め部17dによって径方向に位置決めされる。詳細には、第1中間部材21は、第2位置決め部17dの外周面に対して回転可能である。
第1中間部材21は、第1本体部21aと、複数の第1窓部21bと、複数のスプリング係合部21cと、複数の第2ストッパ部21dとを、有している。
第1本体部21aは、実質的に環状かつ円板状に形成されている。複数の第1窓部21bは、第1本体部21aに設けられている。複数の第1窓部21bには、複数の内周側コイルスプリング20が、各別に配置される。各第1窓部21bの外周部及び内周部それぞれには、第1切り起こし部21eが設けられている。第1切り起こし部21eは、各内周側コイルスプリング20の軸方向への飛び出しを、規制する。第1切り起こし部21eは、第1窓部21bの外周部及び内周部を軸方向に切り起こすことによって、形成される。
複数のスプリング係合部21cは、第1本体部21aに設けられている。複数のスプリング係合部21cそれぞれは、第1本体部21aの外周部において周方向に間隔を隔てて配置され、第1本体部21aの外周部に一体に形成されている。各スプリング係合部21c、第1本体部21aの外周部からエンジン側に延びている。
複数のスプリング係合部21cは、複数の外周側コイルスプリング19に各別に係合する。詳細には、スプリング係合部21cは、周方向に隣接する外周側コイルスプリング19の間に、配置される。この状態で、スプリング係合部21cは、各外周側コイルスプリング19の両端部それぞれに当接している。
複数の第2ストッパ部21dそれぞれは、各第1窓部21bに、設けられている。詳細には、各第2ストッパ部21dは、各第1窓部21bの内周部における第1切り起こし部21eに、一体に形成されている。各第2ストッパ部21dは、エンジン側に延びる突出部である。
第2ストッパ部21dは、ドライブプレート16のストッパ溝16dの内部に、配置される。この状態において、ドリブンプレート17及び第1中間部材21のいずれか一方が、ドリブンプレート17及び第1中間部材21のいずれか他方に対して回転して、両者の相対回転角度が所定の回転角度に到達すると、第2ストッパ部21d及びストッパ溝16dの周方向壁部が当接する。これにより、ドリブンプレート17及び中間部材18の相対回転が停止する。
第2中間部材22は、トランスミッション側に配置される。第2中間部材22は、軸方向において、第1中間部材21と間隔を隔てて、第1中間部材21に対向して配置される。この状態で、第1中間部材21及び第2中間部材22は、固定手段例えば複数のリベット23によって、互いに固定される。第1中間部材21及び第2中間部材22の軸方向間には、ドリブンプレート17が配置される。
第2中間部材22は、第2本体部22aと、複数の第2窓部22bとを、有している。第2本体部22aは、実質的に環状かつ円板状に形成されている。
複数の第2窓部22bは、第2本体部22aに設けられている。複数の第2窓部22bには、複数の内周側コイルスプリング20が、各別に配置される。各第2窓部22bの外周部及び内周部には、第2切り起こし部22cが設けられている。第2切り起こし部22cは、各内周側コイルスプリング20の軸方向への飛び出しを、規制する。第2切り起こし部22cは、第2窓部22bの内周部を軸方向に切り起こすことによって、形成される。
各第2窓部22bは、軸方向において、各第1窓部21bに対向して配置される。また、各第1窓部21b及び各第2窓部22bの軸方向間には、各第2スプリング収納部17bが配置される。すなわち、各第1窓部21b、各第2窓部22b、及び各第2スプリング収納部17bは、軸方向において、互いに対向して配置される。この状態において、各内周側コイルスプリング20が、各第1窓部21b、各第2窓部22b、及び各第2スプリング収納部17bに、配置される。
第2中間部材22には、メインダンパ装置4の捩り振動をダイナミックダンパ装置に伝達するためのダンパプレート部50が、設けられている。ダンパプレート部50は、第2中間部材22の外周部に一体に形成されている。ダンパプレート部50は、第2中間部材22の外周部から径方向外側に延びている。ダンパプレート部50の構成については、ダイナミックダンパ装置5の構成において詳細に説明する。
なお、ここでは、ダンパプレート部50が、第2中間部材22と一体に形成される場合の例を示すが、ダンパプレート部50は第2中間部材22と別体であってもよい。この場合、ダンパプレート部50は、固定手段例えばリベットによって、第2中間部材22に固定される。
(外周側コイルスプリング)
複数の外周側コイルスプリング19は、ドライブプレート16及び中間部材18を、弾性的に連結する。複数の外周側コイルスプリング19は、中間部材18を介して、複数の内周側コイルスプリング20と直列に作動する。詳細には、複数の外周側コイルスプリング19は、第1中間部材21を介して、複数の内周側コイルスプリング20と直列に作動する。
各外周側コイルスプリング19は、回転軸芯Oに関する径方向において内周側コイルスプリング20とは異なる位置に、配置されている。詳細には、各外周側コイルスプリング19は、径方向において内周側コイルスプリング20より外側に、配置されている。また、各外周側コイルスプリング19は、径方向において、クラッチ部6の外側に配置されている。
各外周側コイルスプリング19は、ドライブプレート16の各第1スプリング収納部16bに、配置されている。各外周側コイルスプリング19は、各第1スプリング収納部52のエンジン側の壁部と、各第1スプリング収納部52の外周側の筒状部と、各第1スプリング収納部52の内周側の筒状部とによって、形成された空間に、配置されている。また、各外周側コイルスプリング19の両端部は、周方向において、各第1スプリング収納部16bの1対の係合部16eに、各別に当接している。
(内周側コイルスプリング)
複数の内周側コイルスプリング20は、中間部材18及びドリブンプレート17を、弾性的に連結する。複数の内周側コイルスプリング20は、中間部材18を介して、複数の外周側コイルスプリング19と直列に作動する。詳細には、複数の内周側コイルスプリング20は、第1中間部材21を介して、複数の外周側コイルスプリング19と直列に作動する。
各内周側コイルスプリング20は、回転軸芯Oに関する径方向において外周側コイルスプリング19とは異なる位置に、配置されている。詳細には、各内周側コイルスプリング20は、径方向において外周側コイルスプリング19より内側に、配置されている。また、各内周側コイルスプリング20は、軸向において、クラッチ部6の側方例えばトランスミッション側に、配置されている。
各内周側コイルスプリング20は、第1中間部材21の各第1窓部21bと、第2中間部材22の各第2窓部22bと、ドリブンプレート17の各第2スプリング収納部17bとに、配置されている。また、各内周側コイルスプリング20の両端部は、第1窓部21b及び第2窓部22bにおいて周方向に互いに対向する1対の壁部に、各別に当接している。また、各内周側コイルスプリング20の両端部は、各第2スプリング収納部17bにおいて周方向に互いに対向する1対の壁部に、各別に当接している。さらに、各内周側コイルスプリング20は、第1切り起こし部21e及び第2切り起こし部22cによって、軸方向への飛び出しが規制されている。
<ダイナミックダンパ装置>
ダイナミックダンパ装置5は、ハウジング2からメインダンパ装置4に伝達される捩り振動を、吸収する。例えば、エンジンの捩り振動が、ハウジング2からメインダンパ装置4に伝達されると、この捩り振動が、メインダンパ装置4において減衰される。そして、メインダンパ装置4から出力された捩り振動が、ダイナミックダンパ装置5に伝達される。そして、ダイナミックダンパ装置5が、この捩り振動を減衰する。
なお、捩り振動は、トルク変動及び/又は回転速度変動によって生じる振動である。すなわち、捩り振動は、トルク変動及び/又は回転速度変動という意味を含んでいてもよい。
図1に示すように、ダイナミックダンパ装置5は、ハウジング2の内部空間S例えば第2内部空間S2に、配置される。詳細には、図3に示すように、ダイナミックダンパ装置5は、軸方向において、メインダンパ装置4の外周側コイルスプリング19と並べて、配置される。ダイナミックダンパ装置5は、メインダンパ装置4の中間部材18例えば第2中間部材22に、設けられる。
具体的には、図3に示すように、ダイナミックダンパ装置5は、ダンパプレート部50(入力部材の一例)と、イナーシャ部51(慣性質量体の一例)と、複数(例えば4個)のダンパスプリング52(第3弾性部の一例)と、複数(例えば8個)のストップピン53(図7を参照)とを、有している。
(ダンパプレート部)
ダンパプレート部50には、メインダンパ装置4から出力される捩り振動が、入力される。具体的には、図4に示すように、ダンパプレート部50は、ダンパプレート本体54と、複数(例えば4個)のイナーシャ係合部55とを、有している。
ダンパプレート本体54は、実質的に環状に形成されている。ダンパプレート本体54は、中間部材18例えば第2中間部材22に、設けられている。詳細には、ダンパプレート本体54は、第2中間部材22の外周部と一体に形成されている。
各イナーシャ係合部55は、ダンパプレート本体54の外周部に設けられている。各イナーシャ係合部55は、第3スプリング収納部55aと、複数(例えば2個)の長孔55bとを、有している。
各第3スプリング収納部55aは、周方向に所定の間隔を隔てて、配置される。各第3スプリング収納部55aは、各イナーシャ係合部55を軸方向に貫通する孔部である。各第3スプリング収納部55aは、周方向に所定長さで形成されている。各第3スプリング収納部55aには、各ダンパスプリング52が配置される。
各長孔55bは、各第1スプリング収納部55aの周方向両側において、各イナーシャ係合部55に設けられている。各長孔55bは、周方向に所定の長さを、有している。
ダンパプレート部50には、第3位置決め部55cが設けられている。
外周面
第3位置決め部55cは、イナーシャ部51を径方向に位置決めするためのものである。図3及び図4に示すように、第3位置決め部55cは、ダンパプレート本体54を軸方向に折り曲げることによって形成される。ここでは、第3位置決め部55cの外周面が、イナーシャ部51例えばイナーシャリング56を、回転可能に支持することによって、第3位置決め部55cはイナーシャ部51を径方向に位置決めする。
(イナーシャ部)
イナーシャ部51は、ハウジング2の回転軸芯Oと同軸の作動軸芯を、有する。イナーシャ部51は、作動軸心O(回転軸芯O)に関する周方向において、ダンパプレート部50に対して移動可能に構成される。詳細には、イナーシャ部51は、作動軸心Oまわりの周方向において、ダンパプレート部50に対して回転可能に構成される。
具体的には、図4に示すように、イナーシャ部51は、1対のイナーシャリング56と、1対の蓋部材57とを、有している。
1対のイナーシャリング56は、作動軸芯Oまわりの周方向において、ダンパプレート部50に対して相対回転可能に構成される。1対のイナーシャリング56は、軸方向において、ダンパプレート部50の両側に配置されている。
図5に示すように、各イナーシャリング56は、リング本体56aと、複数(例えば4個)の第4スプリング収納部56bと、複数(例えば8個)の第1貫通孔56cとを、有している。
なお、図5では、図3の右側のイナーシャリング56だけを示している。図3の左側のイナーシャリング56の構成は、図3の右側のイナーシャリング56の構成と実質的に同じである。
リング本体56aは、実質的に環状に形成される。リング本体56aは、軸方向において、イナーシャ係合部55の両側に配置される。
各第4スプリング収納部56bは、周方向に所定の間隔を隔てて、リング本体56aに設けられている。各第4スプリング収納部56bは、ダンパプレート部50の第3スプリング収納部55aに対応する位置に、形成されている。
各第1貫通孔56cは、周方向に所定の間隔を隔てて、リング本体56aに設けられている。各第1貫通孔56cは、ダンパプレート部50の長孔55bの周方向中央位置に対応する位置に、設けられている。
1対の蓋部材57は、ダンパプレート部50に対して相対回転可能、且つ1対のイナーシャリング56と一体回転可能に構成される。1対の蓋部材57は、1対のイナーシャリング56とともに、慣性質量体として機能する。
図3に示すように、1対の蓋部材57は、1対のイナーシャリング56の軸方向両側に、配置されている。
具体的には、図6に示すように、各蓋部材57は、蓋本体57aと、第2貫通孔57bと、第3貫通孔57cとを、有している。
なお、図6では、図3の右側の蓋部材57だけを示している。図3の左側の蓋部材57の構成は、図3の右側の蓋部材57の構成と実質的に同じである。
各第2貫通孔57bは、周方向に所定の間隔を隔てて、蓋本体57aに設けられている。各第2貫通孔57bは、イナーシャリング56の各第1貫通孔56cに対応する位置に、設けられている。
各第3貫通孔57cは、各第2貫通孔57bと同芯且つ各第2貫通孔57bより大径に、形成されている。各第3貫通孔57cの内部には、ストップピン53の頭部が配置される。
この構成において、図7に示すように、イナーシャリング56の各第1貫通孔56c及び蓋部材57の各第2貫通孔57bにストップピン53の軸部を挿通し、第3貫通孔57cにストップピン53の頭部を配置することによって、1対の蓋部材57は、1対のイナーシャリング56とともに、ダンパプレート部50対して相対回転可能になる。ストップピン53の構成については、後述する。
(ダンパスプリング)
複数のダンパスプリング52は、ダンパプレート部50及びイナーシャ部51を弾性的に連結する。複数のダンパスプリング52それぞれは、例えばコイルスプリングである。複数のダンパスプリング52それぞれは、ダンパプレート部50の第3スプリング収納部55a、及びイナーシャ部51の第4スプリング収納部56bに、収納される。各ダンパスプリング52の両端部は、各第1スプリング収納部55aにおいて周方向に対向する壁部、及び各第4スプリング収納部56bにおいて周方向に対向する壁部に、当接している。これにより、ダンパプレート部50及びイナーシャ部51が相対回転すると、各ダンパスプリング52が、各第1スプリング収納部55aの壁部及び各第4スプリング収納部56bの壁部の間で圧縮される。
(ストップピン)
複数のストップピン53それぞれは、大径胴部53aと、小径胴部53bとを、有している。大径胴部53aは、ダンパプレート部50の長孔に配置される。大径胴部53aは、軸方向の中央部に設けられる。大径胴部53aは、イナーシャリング56の第1貫通孔56cより大径で、且つダンパプレート部50の長孔55bの径方向幅(径方向寸法)より小径である。
小径胴部53bは、大径胴部53aの軸方向両側に設けられる。小径胴部53bは、イナーシャリング56の第1貫通孔56c及び蓋部材57の第2貫通孔57bに、挿通される。小径胴部53bの頭部をかしめることによって、イナーシャリング56及び蓋部材57が、ダンパプレート部50の軸方向両側に固定される。小径胴部53bの頭部は、各蓋部材57の第3貫通孔57cに配置される。
以上のような構成により、イナーシャ部51(イナーシャリング56及び蓋部材57)は、ストップピン53がダンパプレート部50の長孔55bで移動し得る範囲において、ダンパプレート部50に対して、相対回転が可能である。そして、ストップピン53の大径胴部53aが長孔55bの周方向端部に当接した場合、ダンパプレート部50に対するイナーシャ部51(イナーシャリング56及び蓋部材57)の相対回転が、規制される。
また、イナーシャ部51(イナーシャリング56及び蓋部材57)がストップピン53によって固定された状態において、イナーシャリング56の内周面はダンパプレート部50の第3位置決め部55cの外周面に当接している。これにより、イナーシャ部51(イナーシャリング56及び蓋部材57)の径方向の位置決めが、行われている。
<クラッチ部>
クラッチ部6は、油圧作動式の多板型のクラッチである。クラッチ部6は、ハウジング2及びメインダンパ装置4を連結可能に構成されている。クラッチ部6がハウジング2及びメインダンパ装置4を連結した場合、ハウジング2のトルクがメインダンパ装置4に伝達される。
また、クラッチ部6は、ハウジング2及びメインダンパ装置4の連結を解除可能に構成されている。クラッチ部6が、ハウジング2及びメインダンパ装置4の連結を解除した場合、ハウジング2及びメインダンパ装置4の間のトルク伝達が遮断される。
図1に示すように、クラッチ部6は、ハウジング2の内部空間S例えば第2内部空間S2に、配置される。詳細には、クラッチ部6は、第2内部空間S2において、ハウジング2及びメインダンパ装置4の間に配置される。
図8に示すように、クラッチ部6は、クラッチ入力部材35と、クラッチ出力部材36と、複数(例えば4枚)の第1クラッチプレート37(第1摩擦部の一例)と、複数(例えば4枚)の第2クラッチプレート38(第2摩擦部の一例)と、バックアップリング43と、ピストン40とを、有している。
(クラッチ入力部材)
クラッチ入力部材35は、実質的に環状に形成されている。クラッチ入力部材35は、環状の第1固定部35aと、外筒状部35bと、内筒状部35cとを、有している。
第1固定部35aは、ハウジング2における第1カバー12のトランスミッション側の面に、固定手段例えば溶接により、固定されている。
外筒状部35bは、第1固定部35aの外周部に一体に形成され、第1固定部35aの外周部からトランスミッション側に延びている。外筒状部35bの内周面には、軸方向に延びる複数の凹凸部が、周方向に所定の間隔を隔てて形成されている。
内筒状部35cは、第1固定部35aの内周部に一体に形成され、第1固定部35aの内周部からトランスミッション側に延びている。内筒状部35cの径方向内側には、ピストン40が配置される。
(クラッチ出力部材)
クラッチ出力部材36は、実質的に環状に形成されている。クラッチ出力部材36は、環状の第2固定部36aと、筒状部36bとを、有している。第2固定部36aは、固定手段例えばリベット24により、メインダンパ装置4のドライブプレート16に固定されている。筒状部36bは、円板部36aの外周部に一体に形成され、円板部36aの外周部からエンジン側に延びている。筒状部36bには、軸方向に延びる複数の溝が、周方向に所定の間隔を隔てて形成されている。
(第1クラッチプレート及び第2クラッチプレート)
複数の第1クラッチプレート37は、ハウジング2と一体回転可能に構成される。複数の第1クラッチプレート37それぞれは、実質的に環状に形成されている。
各第1クラッチプレート37の外周部には、複数の歯が、形成されている。複数の歯は、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する。
この構成により、複数の第1クラッチプレート37は、クラッチ入力部材35に対して、軸方向に移動可能且つ相対回転不能である。また、複数の第1クラッチプレート37は、クラッチ入力部材35が固定されたハウジング2(第1カバー12)と、一体回転可能である。
複数の第2クラッチプレート38は、メインダンパ装置4と一体回転可能に構成される。複数の第2クラッチプレート38それぞれは、実質的に環状に形成されている。各第2クラッチプレート38の内周部には、複数の歯が形成されている。複数の歯は、クラッチ出力部材36の筒状部36bの複数の溝に係合する。
この構成により、複数の第2クラッチプレート38は、クラッチ出力部材36に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。また、複数の第2クラッチプレート38は、クラッチ出力部材36が固定されたメインダンパ装置4のドライブプレート16と、一体回転可能である。
また、各第2クラッチプレート38の両面には、環状の摩擦部材39(第2摩擦部の一例)が固定されている。各摩擦部材39は、第1クラッチプレート37及び第2クラッチプレート38の軸方向間に、配置される。なお、摩擦部材39は、第2クラッチプレート38ではなく、第1クラッチプレート37に固定されていてもよい。
(バックアップリング)
バックアップリング43は、複数の第2クラッチプレート38のトランスミッション側に設けられている。バックアップリング43の外周部には、複数の歯が形成されている。複数の歯は、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する。
この構成により、バックアップリング43は、クラッチ入力部材35に対して相対回転不能である。また、バックアップリング43は、クラッチ入力部材35が固定されたハウジング2と、一体回転可能である。
なお、バックアップリング43のトランスミッション側には、スナップリング44が設けられている。スナップリング44は、バックアップリング43のトランスミッション側への移動を、規制する。スナップリング44は、軸方向に移動不能なように、クラッチ入力部材35の外筒状部35bに形成された環状の溝に、係合している。
(ピストン)
ピストン40は、各第1クラッチプレート37と各第2クラッチプレート38とを互いに接近させ、各第1クラッチプレート37と各第2クラッチプレート38の摩擦部材39とを接触させる。
ピストン40は、クラッチ入力部材35の径方向内側に配置される。ピストン40は、ハウジング2の第1カバー12と、複数の第1及び第2クラッチプレート37,38との軸方向間に、配置される。
ピストン40は、実質的に環状に形成されている。ピストン40の外周面は、軸方向において、クラッチ入力部材35の内筒状部35cの内周面に摺動可能に構成されている。ピストン40の外周面には、シール部材46が設けられている。シール部材46は、ピストン40とクラッチ入力部材35との間を、シールしている。
また、ピストン40の内周部には、トランスミッション側に延びる筒状部40aが、形成されている。筒状部40aには、径方向内側に突出した突出部40bが形成されている。突出部40bは、ピストン支持部材48の溝部(後述する)に係合する。ピストン40の筒状部40aの内周面は、軸方向において、ピストン支持部材48に摺動自在に支持されている。
ピストン支持部材48は、実質的に環状に形成されている。ピストン支持部材48には、周方向の複数箇所にエンジン側に突出する突起部48aが、形成されている。突起部48aは、固定手段例えば溶接により、ハウジング2の第1カバー12に固定されている。
周方向に隣接する突起部48の間には、径方向に貫通する複数の溝48bが、形成されている。複数の溝48bは、第1油路7を形成する。第1油路7は、潤滑油を第1内部空間S1に供給したり、第1内部空間S1の潤滑油を排出したりするために、用いられる。なお、第1内部空間S1の潤滑油は、ピストン40を作動させるための作動油としても機能する。
ピストン支持部材48の外周部には、エンジン側に延びる外筒状部48cが、形成されている。ピストン支持部材48の内周部には、トランスミッション側に延びる内筒状部48dが、形成されている。
外筒状部48cは、ピストン40の筒状部40aを支持する部分である。外筒状部48cには、シール部材49が設けられている。このシール部材49によって、ピストン40及びピストン支持部材48の間がシールされている。
また、外筒状部48cには、ピストン40の突出部40bに係合する溝部48eが、形成されている。これにより、ピストン40は、ピストン支持部材48に対して軸方向に移動可能、且つ周方向においてピストン支持部材48とともに一体回転可能に、構成される。
内筒状部48dは、出力ハブ3における第2ハブ本体3aの外周面に、摺動可能に支持されている。第2ハブ本体3aの外周面には、シール部材50が設けられている。このシール部材50によって、ピストン支持部材48及びタービンハブ17の間がシールされている。
以上のような構成により、ピストン40の背面、すなわちピストン40とフロントカバー2との間には、潤滑油の第1油路7(溝48b)を除いて、第2内部空間S2とは独立した第1内部空間S1が、形成される。
<振動低減装置の動作>
エンジンからのトルクが、ハウジング2に伝達されると、ハウジング2が回転軸芯Oまわりに回転する。
この状態において、潤滑油が第1内部空間S1に供給されると、ピストン40がトランスミッション側に移動する。詳細には、潤滑油が第1油路7を介して第1内部空間S1に供給されると、ピストン40がトランスミッション側に移動する。そして、ピストン40がエンジン側の第1クラッチプレート37を押圧することによって、各第1クラッチプレート37及び各第2クラッチプレート38が、ピストン40及びバックアップリング43の間で、互いに接近する。
これにより、各第1クラッチプレート37及び各第2クラッチプレート38の摩擦部材39が、互いに接触する。すると、各第1クラッチプレート37及び各第2クラッチプレート38の摩擦部材39の摩擦抵抗によって、ハウジング2のトルクがクラッチ入力部材35からクラッチ出力部材36へと伝達される。このようにクラッチ部6が動作することによって、クラッチ部6がクラッチオン状態になる。
クラッチ部6がクラッチオン状態では、トルクは、「クラッチ入力部材35→第1及び第2クラッチプレート37,38→クラッチ出力部材36→メインダンパ装置4→出力ハブ3」の経路で伝達され、出力ハブ3からトランスミッション側の部材に出力される。
ここで、メインダンパ装置4に入力されたトルクは、「ドライブプレート16→複数の外周側コイルスプリング19→中間部材18(第1及び第2中間部材21,22)→複数の内周側コイルスプリング20→ドリブンプレート17」の経路で、出力ハブ3に伝達される。
メインダンパ装置4の作動時において、まず、ドライブプレート16及びドリブンプレート17の相対回転角度が、所定の第1回転角度未満である場合、各外周側コイルスプリング19及び各内周側コイルスプリング20が直列に作動する。
次に、ドライブプレート16及びドリブンプレート17の相対回転角度が、所定の第1回転角度に到達すると、ドリブンプレート17の第1ストッパ部17cが、中間部材18に設けられたリベット23に、当接する。これにより、各内周側コイルスプリング20が作動を停止する。
続いて、ドライブプレート16及びドリブンプレート17の相対回転角度が、所定の第1回転角度以上になると、各外周側コイルスプリング1915bのみが作動する。この状態において、ドライブプレート16及びドリブンプレート17の相対回転角度が、さらに大きくなり、所定の第2回転角度(>第1回転角度)に到達すると、中間部材18の第2ストッパ部21dが、ドライブプレート16のストッパ溝16dの周方向壁部に当接する。これにより、各外周側コイルスプリング19が作動を停止する。
メインダンパ装置4は、上記のように作動することによって、トルクを伝達すると共に、ハウジング2に入力される捩り振動を、減衰する。具体的には、ドライブプレート16及びドリブンプレート17の相対回転角度が第1回転角度未満である場合、各外周側コイルスプリング19及び各内周側コイルスプリング20が、中間部材18を介して、ドライブプレート16とドリブンプレート17との間で圧縮・伸張される。これにより、エンジンからハウジング2に入力された捩り振動が、減衰される。
また、ドライブプレート16及びドリブンプレート17の相対回転角度が、第1回転角度以上且つ第2回転角度未満である場合、各外周側コイルスプリング19が、中間部材18を介して、ドライブプレート16とドリブンプレート17との間で圧縮・伸張される。これにより、エンジンからハウジング2に入力された捩り振動が、減衰される。
このように、メインダンパ装置4が動作する状態において、メインダンパ装置4にはダイナミックダンパ装置5が設けられているので、メインダンパ装置4から出力される捩り振動(トルク変動・回転速度変動)が、ダイナミックダンパ装置5において抑制される。
例えば、捩り振動が、メインダンパ装置4の中間部材18(第2中間部材22)からダイナミックダンパ装置5に伝達されると、イナーシャ部51が、複数のダンパスプリング52を介して、ダンパプレート部50に対して相対回転する。より具体的には、捩り振動の入力によって複数のダンパスプリング52が圧縮・伸張しながら、イナーシャ部51が、ダンパプレート部50の回転方向とは反対の方向に回転する。すなわち、イナーシャ部51及びダンパプレート部50は、回転方向(周方向)に位相差を生じる。この位相差の発生によって、捩り振動が、ダイナミックダンパ装置5において吸収される。
ここで、本実施形態では、ダイナミックダンパ装置5が、中間部材18に装着されている。すなわち、内周側コイルスプリング20は、ダイナミックダンパ装置5及び出力ハブ3の間に配置されている。このように内周側コイルスプリング20を配置することによって、ダイナミックダンパ装置5は、内周側コイルスプリング20と協働して、捩り振動を減衰する。これにより、ドライブプレート16及びドリブンプレート17の相対回転角度が、第1回転角度未満である場合に、捩り振動を効果的に抑制することができる。
[変形例]
図9に示す変形例としての振動低減装置101では、図9に示すように、クラッチ部106の構成及びダイナミックダンパ装置105の配置が、前記実施形態とは異なる。なお、ここでは、前記実施形態と実質的に同じ構成については、説明を省略し、同じ符号を付している。
図9に示すように、クラッチ部106は、クラッチ入力部材135と、クラッチ出力部材136と、複数(例えば3枚)の第1クラッチプレート137(第1摩擦部の一例)と、複数(例えば3枚)の第2クラッチプレート138(第2摩擦部の一例)と、ピストン140と、ピストン140を覆うピストン用のカバー部材141とを、有している。
クラッチ入力部材135は、ハウジング2と一体回転可能に構成されている。詳細には、クラッチ入力部材135は、ピストン支持部材148(後述する)を介して、ハウジング2の第1カバー12と一体回転可能に構成されている。
クラッチ入力部材135の内周部135aは、固定手段例えば溶接により、ピストン支持部材148に固定されている。また、クラッチ入力部材135の外筒状部135bには、複数の第1クラッチプレート137が装着されている。複数の第1クラッチプレート137は、クラッチ入力部材135に対して、軸方向に移動可能且つ相対回転不能に装着されている。
クラッチ出力部材136は、メインダンパ装置4と一体回転可能に構成されている。クラッチ出力部材136の内周部136aは、固定手段例えばリベット24により、メインダンパ装置4のドライブプレート16に、固定されている。また、クラッチ出力部材136の外筒状部136bには、複数の第2クラッチプレート138が装着されている。複数の第2クラッチプレート138が、クラッチ出力部材136に対して、軸方向に移動可能且つ相対回転不能に装着されている。
各第2クラッチプレート138の両面には、環状の摩擦部材139が固定されている。摩擦部材139は、第1クラッチプレート137及び第2クラッチプレート138の軸方向間に、配置される。また、1枚の摩擦部材139は、ハウジング2の第1カバー12に対向して配置される。
ここで、複数の第1クラッチプレート137及び複数の第2クラッチプレート138は、ピストン140とカバー部10の第1カバー12との軸方向間に、配置される。なお、クラッチ入力部材135に対する複数の第1クラッチプレート137の装着形態は、前記実施形態と同様である。また、クラッチ出力部材136に対する複数の第2クラッチプレート138の装着形態は、前記実施形態と同様である。
ピストン140は、クラッチ入力部材135及びカバー部材141の軸方向間に配置される。また、ピストン140は、複数の第1クラッチプレート137及び複数の第2クラッチプレート138と、カバー部材141との軸方向間に配置される。また、ピストン140は、クラッチ出力部材136の径方向内側に配置される。詳細には、ピストン140は、カバー部材141の外筒状部141a及びピストン支持部材148の径方向間に、配置されている。
ピストン140は、実質的に環状に形成されている。ピストン140の外周面は、軸方向において、カバー部材141の外筒状部141a(後述する)の内周面に摺動可能に構成されている。ピストン140の外周面及びカバー部材141の外筒状部141aの内周面の間には、シール部材146が配置されている。
また、ピストン140の内周部は、軸方向において、ピストン支持部材148の外周面に摺動自在に支持されている。ピストン140の内周部及びピストン支持部材148の外周面との間には、シール部材149が配置されている。
ピストン支持部材148は、実質的に環状に形成されている。ピストン支持部材148は、ピストン140を支持する。また、ピストン支持部材148には、クラッチ入力部材135の内周部136a及びカバー部材141の内周部141b(後述する)が、固定される。
ピストン支持部材148には、第1油路107及び第2油路108が、形成されている。第1油路107は、潤滑油を第1内部空間S1に供給したり、第1内部空間S1の潤滑油を排出したりするために、用いられる。なお、ピストン支持部材148の油路107と、出力ハブ3に設けられた油路110とを、第1油路107と解釈してもよい。なお、第1内部空間S1の潤滑油は、ピストン140を作動させるための作動油としても機能する。
第2油路108は、潤滑油を第2内部空間S2に供給したり、第2内部空間S2の潤滑油を排出したりするために、用いられる。なお、第2内部空間S2の潤滑油は、ピストン140を作動させるための作動油としても機能する。
内部空間Sは、第1内部空間S1と、第2内部空間S2(第2内部空間の一例)と、第3内部空間S3(第2内部空間の一例)とを、有する。第1内部空間S1は、ピストン140と、カバー部材141と、ピストン支持部材148とによって囲まれた空間である。第1内部空間S1では、第1油路107からの潤滑油によって、内部の油圧が調節される。
第2内部空間S2は、カバー部10の第1カバー部12と、クラッチ部106のピストン140と、ピストン支持部材148と、複数の第1クラッチプレート137及び複数の第2クラッチプレート138とによって囲まれたトランスミッション側の空間である。
第3内部空間S3は、カバー部10の第1カバー部12及び第2カバー部13と、複数の第1クラッチプレート137及び複数の第2クラッチプレート138と、カバー部材141と、出力ハブ3とによって、囲まれた空間である。
ダイナミックダンパ装置105は、ドリブンプレート17の外周部に設けられている。詳細には、ダイナミックダンパ装置105のダンパプレート部150が、ドリブンプレート17の外周部に一体回転可能に設けられている。ダイナミックダンパ装置105の他の構成は、前記実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
<まとめ>
(1)振動低減装置1,101においてクラッチ部6,106がハウジング2及びメインダンパ装置4を連結する場合、振動低減装置1はダイナミックダンパ装置5,105を備えているので、振動低減装置1,101の共振回転数(V1)は、従来技術における振動低減装置の共振回転数(V2)より低回転数側で、発生する(図11の太線を参照)。このため、振動低減装置1,101では、車輌が発進する際の応答、例えば回転速度変動(図11のB1における太破線上の応答)は、従来の構成と比較して小さくなる。また、ダイナミックダンパ装置5,105の作動によって、発進時の回転速度変動(図11のB1における太実線上の応答)が、さらに低減される。すなわち、本振動低減装置1,101では、発進時の捩り振動を好適に低減できる。また、この場合、クラッチ部6,106を滑り状態で作動させる必要がないので、車輌の燃費を向上することができる。
一方で、発進時にクラッチ部6,106の滑りを許可したとしても、振動低減装置1,101では、上述したように発進時の応答が従来技術の構成より小さいので、車輌が発進した後、従来技術の構成より早い段階でクラッチ部6,106を作動させ、ハウジング2及びメインダンパ装置4を連結することができる。これにより、発進時の捩り振動を好適に低減できる。この場合、クラッチ部6,106が滑り状態で作動する範囲が小さくなるので、車輌の燃費を向上することができる。
(2)振動低減装置1,101では、クラッチ部6,106が、第1クラッチプレート37,137と、第2クラッチプレート38,138(摩擦部材39,139を含む)と、ピストン40,140とを、有する。
第1クラッチプレート37,137は、ハウジング2と一体回転可能に構成される。第2クラッチプレート38,138は、メインダンパ装置4と一体回転可能に構成される。ピストン40,140は、第1クラッチプレート37,137及び第2クラッチプレート38,138を接触させる。
この場合、クラッチ部6,106では、ピストン40,140を用いて第1クラッチプレート37,137と、第2クラッチプレート38,138が接触すると、ハウジング2及びメインダンパ装置4が連結される。このように、第1クラッチプレート37,137と、第2クラッチプレート38,138を用いることによって、クラッチ部6,106におけるトルク伝達の応答を向上することができる。
(3)振動低減装置1,101では、クラッチ部6,106を作動させるための第1油路7,107と、クラッチ部6,106の温度を調節するための第2油路8,108及び第3油路9とを、さらに備える。この構成によって、クラッチ部6,106の作動とクラッチ部6,106の温度調節とを、好適に行うことができる。すなわち、クラッチ部6,106を安定的に動作させることができる。
(4)振動低減装置1,101では、ハウジング2の内部空間Sが、第1油路7,107からの潤滑油によって内部の油圧が調節される第1内部空間S1と、第2油路8,108及び第3油路9からの潤滑油によって内部の温度が調節される第2内部空間S2とを、有する。この構成によって、クラッチ部6,106の作動とクラッチ部6,106の温度調節とを、好適に行うことができる。すなわち、クラッチ部6,106を安定的に動作させることができる。
(5)振動低減装置1,101では、クラッチ部6,106の少なくとも一部と、メインダンパ装置4と、ダイナミックダンパ装置5,106とが、第2内部空間S2及び第3内部空間S3の少なくともいずれか一方に、配置される。この構成によって、潤滑油が収容された第2内部空間S2において、クラッチ部6,106、メインダンパ装置4、及びダイナミックダンパ装置5,105を、安定的に動作させることができる。
(6)振動低減装置1,101では、メインダンパ装置4が、ドライブプレート16と、ドリブンプレート17と、中間部材18と、外周側コイルスプリング19と、内周側コイルスプリング20とを、有する。ドライブプレート16には、クラッチ部6を介して、ハウジング2からの捩り振動が入力される。ドリブンプレート17は、ドライブプレート16と相対回転可能に構成される。中間部材18は、ドライブプレート16及びドリブンプレート17それぞれに対して相対回転可能に構成される。外周側コイルスプリング19は、ドライブプレート16及び中間部材18を弾性的に連結する。内周側コイルスプリング20は、中間部材18及びドリブンプレート17を弾性的に連結し、外周側コイルスプリング19と直列に作動する。ダイナミックダンパ装置5,105は、中間部材18及びドリブンプレート17のいずれか一方に、設けられる。
この構成によって、エンジンからハウジング2に入力される捩り振動を、メインダンパ装置4において好適に低減することができる。また、メインダンパ装置4から出力される捩り振動を、ダイナミックダンパ装置5,105によって好適に低減することができる。
(7)振動低減装置1,101では、外周側コイルスプリング19及び内周側コイルスプリング20が、回転軸芯Oに関する径方向において、互いに異なる位置に配置される。この構成によって、振動低減装置1を、回転軸芯Oに沿う軸方向において小型化することができる。
(8)振動低減装置1,101では、ダイナミックダンパ装置5,105が、ダンパプレート部50,150及びイナーシャ部51を弾性的に連結するダンパスプリング52を、さらに有する。この構成によって、振動低減装置1,101において捩り振動を安定的に減衰することができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)前記実施形態では、ダイナミックダンパ装置5が中間部材18に設けられる場合の例を示したが、ダイナミックダンパ装置5は出力ハブ3に設けられてもよい。
(b)前記実施形態では、ダンパプレート部50が第2中間部材22の外周部に一体に形成される場合の例を示したが、ダンパプレート部50を、第2中間部材22とは別体とし、固定手段例えばリベットや溶接等によって第2中間部材22に固定してもよい。
(c)前記実施形態では、クラッチ部6が多板型のクラッチである場合の例を示したが、クラッチ部6がハウジング2及びメインダンパ装置4を連結できれば、クラッチ部6はどのように構成してもよい。
(d)前記実施形態では、イナーシャ部51が、イナーシャリング56及び蓋部材57から構成される場合の例を示したが、イナーシャ部51がイナーシャリング56だけで構成されていてもよい。
(e)前記実施形態のダイナミックダンパ装置5は、動吸振装置の一例として示したものであって、ダイナミックダンパ装置5の構成は、どのように構成してもよい。
例えば、図10A及び図10Bに示すように、ダイナミックダンパ装置205を構成してもよい。この場合、ダイナミックダンパ装置205は、ダンパプレート部250と、イナーシャ部251(例えば1対のイナーシャリング)と、複数の遠心子252とを、有している。
ダンパプレート部250は、前記実施形態と同様に、中間部材18例えば第2中間部材22に一体に形成されている。なお、ダンパプレート部250は、中間部材18例えば第2中間部材22とは別体に構成し、固定手段例えばリベットや溶接等によって、中間部材18例えば第2中間部材22に固定してもよい。
イナーシャ部251は、ダンパプレート部250に対して、相対回転可能に構成されている。イナーシャ部251は、1対のイナーシャリング224と、1対のイナーシャリング224を連結するピン部材225とを、有している。1対のイナーシャリングの軸方向間には、ダンパプレート部250が配置される。
遠心子252は、遠心力によってイナーシャ部251に係合する。遠心子252は、ダンパプレート部250及びイナーシャ部251の相対変位が小さくなるように、イナーシャ部251を案内する。
具体的には、ダンパプレート部250の複数の凹部250aそれぞれには、各遠心子252が、遠心力によって径方向に移動可能に配置される。各遠心子の径方向外側面には、カム面252aが形成される。各カム面252aには、各ピン部材225が、当接可能である。各ピン部材225が各カム面252aに当接した状態において、各ピン部材225は、各カム面252aに沿って移動可能である。
なお、ピン部材225は、両端部それぞれが1対のイナーシャ部251それぞれに各別に固定される軸部225aと、軸部225aまわりに回転可能なローラ部225bとを、有している。ここでは、ローラ部225bが、カム面252aに当接している。
この構成では、図10Aに示すように、各遠心子252が遠心力によって径方向外側に移動すると、各遠心子252のカム面252aが各ピン部材225に当接する。この状態において、メインダンパ装置4からの捩り振動が、ダンパプレート部250に伝達されると、図10Bに示すように、イナーシャ部251(1対のイナーシャリング224及びピン部材225)が、ダンパプレート部250に対して周方向に相対移動する。このときには、各遠心子252が径方向内側に移動しながら、各ピン部材225は、各遠心子252のカム面252aに沿って、ダンパプレート部250の回転方向Rとは反対の回転方向ARに移動する。すなわち、イナーシャ部251(1対のイナーシャリング224及びピン部材225)が、反対方向ARに移動する。
このときには、各ピン部材225は、各遠心子252のカム面252aを押圧する。例えば、図10Bの押圧力P0が、各ピン部材225から各遠心子252のカム面252aに作用する。すると、押圧力P0の分力P1によって、ダンパプレート部250は、上記の反対方向ARに引き戻される。このように、各遠心子252は、ダンパプレート部250及びイナーシャ部251の相対変位が小さくなるように、イナーシャ部251を案内する。言い換えると、各遠心子252を介して、イナーシャ部251は、ダンパプレート部250の回転を抑制する。これにより、捩り振動がダイナミックダンパ装置205において吸収される。