JP2018096348A - 燃料油の加熱方法およびこれを用いる燃料油移送装置 - Google Patents

燃料油の加熱方法およびこれを用いる燃料油移送装置 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料油の移送効率を低下させないで燃料油貯蔵タンク内の燃料油の温度管理が可能な燃料油の加熱方法を提供する。【解決手段】移送ポンプ6に吸入される側での燃料油の温度、圧力および移送ポンプ6の稼働時間の全てもしくはいずれか一つまたは複数が所定条件を満たした場合に移送ポンプ6を強制的に停止させたうえで加熱された燃料油を流下ポンプ11により移送ポンプ6の燃料油吸入側を経由して燃料油貯蔵タンク2に向け流し出すことで移送ポンプ6を流通しようとする燃料油を含めた燃料油と加熱された燃料油とを混合させて燃料油の粘度上昇を改善する。【選択図】図2

Description

本発明は、燃料油の加熱方法およびこれを用いる燃料油移送装置に関し、さらに詳しくは、船舶や発電機等の主機や補機に使用される燃料油の移送流動性を低下させない方法およびこれを用いる燃料油移送装置に関する。
船舶や発電機等のボイラに用いられる燃料油の一つとしてC重油が知られている。C重油などの比較的粘度が高い燃料油は、温度に影響されて粘度が変化しやすい。粘度が高まると流動抵抗が増加し、移送性が悪化する。
流動抵抗が増加するのを避けるために、燃料油の温度を上昇させる処理が用いられる。燃料油は、温度上昇することにより粘度が低下し、流動抵抗が低減される。
燃料油の温度を上昇させる加熱設備を備えた燃料油移送装置の構成は、例えば、燃料油貯蔵タンクから移送される燃料油を加熱するための燃料油澄タンクと、燃料油澄タンクにおいて温度上昇した燃料油を貯留し、貯留している燃料油を小出しに燃料油貯蔵タンクへ供給するための燃料油サービスタンクと、を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1)。
燃料油は、燃料油貯蔵タンクから移送ポンプを介して燃料油澄タンクに移送され、燃料油澄タンクにおいて加熱処理されることにより粘度を下げられる。燃料油澄タンクにおいて加熱された燃料油は、清浄化されてから燃料油サービスタンクに向け移送され、燃料油サービスタンクから一部が燃料油貯蔵タンクに向けて流下ポンプを介して小出しに繰り出される。
燃料油は、燃料油サービスタンクから船舶や発電機などに用いられる内燃機関等の主機あるいはその他の補機の燃料噴射装置に供給される。
加熱されて燃料油貯蔵タンク内に戻される燃料油は、該貯蔵タンクに貯蔵されている燃料油と部分的に混合される。この結果、燃料油貯蔵タンク内に収容されている燃料油は、部分的に36〜40℃に維持される。
燃料油の温度維持は、次の理由により実行される。第1に、燃料油の循環ルートで発生する流動抵抗の増加がポンプなどに高負荷を与えて悪影響を及ぼすのを防止すること、第2に、燃料油貯蔵タンクから燃料油澄タンクに向け移送される燃料油の量が粘度によって不安定となるのを防止することである。
従来、粘度上昇による流動抵抗の増加を防止するために、燃料油貯蔵タンク内の燃料油を加熱することにより、貯蔵されている燃料油の温度が低下するのを防止する構成が知られている(例えば、特許文献2)。
燃料油貯蔵タンクを加熱するために、例えば、蒸気などの熱媒体を流通可能なヒーティング管などの配管を燃料油貯蔵タンクに設ける構成や、燃料油貯蔵タンクへの燃料油移送路中に電気ヒータを設ける構成が用いられている。
燃料油貯蔵タンクを加熱する構成は、燃料油澄タンクに用いられる加熱機構とは別の設備を必要とする。このため、構成の大型化や管理コストが上昇する。さらに加えて、燃料油貯蔵タンクを加熱する構成は、燃料油貯蔵タンクに伝搬される海水温度の影響や周辺の外気温度の影響を受けやすく、熱損失が大きくなる虞がある。
一方、燃料油の粘度が上昇すると移送ポンプに作用する負荷が変化し、この変化が移送ポンプの駆動源に悪影響を及ぼす場合がある。移送ポンプはモータに駆動されるが、モータは、予めセットされた回転数およびトルクが得られる駆動電流を印加されている。しかし、粘度上昇により回転数が低下するとその回転数を元の状態に復帰させるように駆動電流が高められる。駆動電流を高めても回転数が復帰しない場合には、さらに駆動電流が高められることになり、結果としてモータの焼損等の事故が起こる危険がある。
モータの事故が発生すると燃料油の移送ができなくなり、燃料油貯蔵タンク内の燃料油の粘度を改善することができないことが原因となって燃料油の移送効率が低下したり、温度管理ができなくなる。
特開2004−36594号公報 特開2012−159074号公報
本発明の課題は、コスト上昇を招くことなく、さらには燃料油の移送効率を低下させないで燃料油貯蔵タンク内の燃料油の温度管理が可能な燃料油の加熱方法およびこれを用いる燃料油移送装置を提供することにある。
この課題を解決するために本発明は、移送ポンプに吸入される側での燃料油の温度、圧力および燃料油を加熱するために該燃料油が溜められる位置で該燃料油が所定量に達するまでに要する前記移送ポンプの稼働時間の全てもしくはいずれか一つまたは複数が所定条件を満たした場合に前記移送ポンプを強制的に停止させたうえで加熱された燃料油を流下ポンプにより燃料油貯蔵タンクに向け流し出すことで前記移送ポンプを流通しようとする燃料油と加熱された燃料油とを混合させて燃料油の粘度上昇を改善することを特徴としている。
本発明によれば、加熱された燃料油が燃料油貯蔵タンク内の燃料油に混合されることにより燃料油貯蔵タンク内の燃料油が加熱される。この結果、燃料油貯蔵タンクに備えられる加熱機構を不要にしてコスト上昇が抑えられる。
さらに加えて、移送ポンプに導入されて流通しようとする燃料油の粘度が上昇した時には、移送ポンプが強制的に停止されることにより移送ポンプに堰き止められて流通を遮断された燃料油に対して加熱された燃料油を混合させながら燃料油貯蔵タンク内の燃料油と混合させることができる。この結果、移送ポンプの吸入側の燃料油および燃料油貯蔵タンク内の燃料油のいずれもが温度上昇して粘度を低下させられるので移送ポンプが再始動した際の移送効率を改善することができる。
本発明の実施形態に係る加熱方法を対象とする燃料油移送装置の構成および燃料油加熱時での燃料油の流れを示す模式図である。 図1に示した燃料油移送装置で実行される燃料油移送時での燃料油の流れを示す模式図である。 図1に示した燃料油移送装置に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。 図3に示した制御部で実施される所定条件判定に用いられる原理を説明するための線図である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明を実施するための形態に係る燃料油の加熱方法を適用する燃料油移送装置1の構成を示す図である。
燃料油移送装置1は、燃料油貯蔵タンク2に連通する燃料油澄タンク3,燃料油サービスタンク4を備えている。
燃料油澄タンク3は、燃料油を加熱するために用いられるタンクであり、図示しないヒータにより、一例として70〜80℃の温度に燃料油が加熱される。
燃料油貯蔵タンク2と燃料油澄タンク3とは移送管5によって連通されており、その途中には、移送ポンプ6、温度センサ7および圧力センサ8が配置されている。
温度センサ7は、例えば、移送ポンプ6の燃料油入り口側、いわゆる吸入側の温度を計測している。
圧力センサ8は、移送ポンプ6内に吸入される燃料油の圧力変化を監視するために設けられている。圧力変化は、燃料油の粘度変化に応じた流動抵抗の変化を判断するために用いられる。特に、粘度が高くなり流動抵抗が増加した場合には、移送ポンプ6の入り口側の圧力が真空化傾向となる。従って、真空化傾向の圧力変化が検知されると燃料油の粘度を下げるための加熱が必要となる。
燃料油澄タンク3には、移送ポンプ6によって吸入された燃料油の液面を検知するためのレベルセンサ9が設けられている。
レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたときの液面を検知できるセンサである。レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたことを検知すると、移送ポンプ6の駆動を停止させるために用いられる。
燃料油サービスタンク4は、加熱された燃料油を清浄化した後、一時的に貯留し、内燃機関等に向け燃料油を供給するために用いられるタンクである。燃料油貯蔵タンク2と燃料油サービスタンク4とは吸入管10により連通されており、その途中には、流下ポンプ11が配置されている。燃料油サービスタンク4に貯留されている燃料油の一部は流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に流下されて燃料油貯蔵タンク2内の燃料油の温度を高める。
この場合にいう流下ポンプ11の名称は、燃料油サービスタンク4が燃料油貯蔵タンク2よりも高い位置に配置されている構成を前提としていることが理由である。つまり、上位の燃料油サービスタンク4から、これよりも下位の燃料油貯蔵タンク2に燃料油を流れ落とすように繰り出すことを意味させて流下という表現としている。
図1に示す構成では、燃料油澄タンク3および燃料油サービスタンク4がそれぞれ吸入管10に連通された構成を採用している。従って、これら両方のタンク3,4あるいは何れかのタンクから燃料油貯蔵タンク2に向けた燃料油の流路が設定できるように各タンク3,4燃料油の出口の流路に弁12が設けられている。
以上の燃料油移送装置1は、移送ポンプ6によって燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3に吸入された燃料油が加熱され、加熱された燃料油が清浄化されたうえで燃料油サービスタンク4に導入され、貯留された燃料油が内燃機関等への供給に備えられる。
燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4において一時的に貯留されている燃料油の一部は、流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に戻される。この結果、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油は加熱された燃料油と混合されることにより部分的に36〜40℃に加熱される。
本実施形態においては、ポンプ同士の稼働時間として、例えば、移送ポンプ6が15分程度そして流下ポンプ11が45分程度を選択されて交互に稼働される。この時間のうちで移送ポンプ6の稼働時間は、例えば、前述した燃料油澄タンク3内のレベルセンサ9によって燃料油の液面が検知されるまでの時間に対応させることができる。つまり、移送ポンプ6の回転数、駆動電流等の定格に基づいた流量で燃料油を流したときの稼働時間内に燃料油の液面がレベルセンサ9によって検知されると燃料油の流動抵抗を生じない燃料油の粘度であると判断でき、この稼働時間を超える場合には燃料油の粘度が高く流動性が悪いと判断できる。また、レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に導入される燃料油が所定量に達したことを検知すると、移送ポンプ6の稼働を停止させて燃料油が溢れるのを防止する。
なお、停泊中などのように燃料油の消費がないときは、移送ポンプ6の稼働時間が短く、レベルセンサ9が作動するまでの時間が例えば6分程度となる。
移送ポンプ6を用いて燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3に向けて燃料油を吸入するルートは、図1において符号F1〜F5で示されている。流下ポンプ11を用いて燃料油サービスタンク4から燃料油貯蔵タンク2に向け燃料油を流下させるルートは、図2において矢印F10〜F13で示されている。
このような構成を用いる燃料油移送装置1は、その主要部の構成が本出願人の先願である特開2012−17123号公報に開示されている。
以上の構成を備えた本実施形態による燃料油移送装置1の特徴は、移送ポンプ6に対する燃料油貯蔵タンク2からの燃料油の流動抵抗が増加した場合に実行される燃料油の加熱方法にある。この場合の加熱とは、加熱された燃料油を加熱されていない燃料油と混合させることにより加熱されていない燃料油の温度を高めることを意味している。
燃料油移送装置1は、燃料油の粘度が低く、流動抵抗が少ない場合に実行される通常運転モードと、上記粘度が高く、流動抵抗が増加した場合に実行される加熱運転モードのいずれかを選択可能である。通常運転モードは、レベルセンサ9の作動状態に応じて稼働する移送ポンプ6および燃料油貯蔵タンク2内へ燃料油の供給を行う流下ポンプ11が交互に運転されて燃料油が循環されるモードである。加熱運転モードは、移送ポンプ6を強制的に停止したうえで、移送ポンプ6の吸入側で堰き止められている燃料油を加熱すると共に、燃料油貯蔵タンク2に戻される燃料油によって燃料油貯蔵タンク2内の燃料油も加熱するモードである。加熱運転モードは、移送ポンプ6側で堰き止められている燃料油の粘度が流動抵抗を増加させない値に達するまで実行されることが望ましい。
加熱運転モードを実行するための条件として次に挙げるパラメータが用いられる。
すなわち、パラメータは、少なくとも、移送ポンプ6に吸入される燃料油の温度、圧力および移送ポンプ6の稼働時間が用いられる。移送ポンプ6の稼働時間に関しては、前述したように、レベルセンサ9が作動するまでの稼働時間や移送ポンプ6自身に備えられたタイマの計時時間が参照される。これら各パラメータの全てもしくはいずれか一つまたは複数が、加熱を必要とする所定条件に一致すると加熱運転モードが実行される。
以下、この運転モードを実行するための構成および作用について図3を用いて説明する。
移送ポンプ6および流下ポンプ11は、その稼働状態を、図3に示す制御部20によって制御される。
制御部20は、移送管5に設けられている温度センサ7、圧力センサ8、レベルセンサ9が入力側に接続されている。制御部20の出力側には、移送ポンプ6の駆動部および流下ポンプ11の駆動部がそれぞれ接続されている。移送ポンプ6および流下ポンプ11は、いずれもモータ(図1、2中、符号M1、M2で示す部材)が回転制御されることにより流量や流速を制御できるタイプが用いられる。
図3において符号15は、例えば、各ポンプ6,11の稼働時間や燃料油の流量などを表示するためおよび燃料消費量さらには戻し量などの必要条件を入力するために用いられる操作パネルであり、符号16はタイマである。
タイマ16は、例えば、移送ポンプ6が稼働し始めた時点からレベルセンサ9により液面検知が行われるまでの所要時間を計測する。従って、移送ポンプ6が稼働しながらレベルセンサ9による液面検知までの稼働時間が必要以上に長くなるときは粘度が高く流動抵抗が大きいと判断できる。換言すれば、移送ポンプ6の稼働時間が必要以上に長くなるときには移送ポンプ6を流れる燃料油の粘度が高く、流動抵抗が大きい状態であることを判断できる。移送ポンプ6は、稼働時間を計測するタイマを自らが備えている場合もある。この場合には、自身のタイマに予め設定されている稼働時間以上に移送ポンプ6が稼働したときに燃料油の粘度が高く流動抵抗が高い状態であることを判断できる。
また、燃料油の粘度が流動抵抗を増加させる粘度であることを判断する所定条件に用いる監視対象項目として、移送ポンプ6の駆動源に用いられるモータの駆動電流値を対象とすることができる。
駆動電流値は、予めセットされているモータの回転数、トルクを得るために決められているが、回転数やトルクが変化した場合には元の状態に復帰させるように変化し、特に回転数やトルクが低下した場合には駆動電流値は上昇する。そこで、駆動電流値が上昇した場合を監視することにより燃料油の粘度が上昇したことを判断でき、運転モードの切り換えが行える。
制御部20により選択される通常運転モードは、燃料油の粘度が流動抵抗を増加させない値である場合に保温しながら燃料油を循環させる。この運転モードによれば、燃料油貯蔵タンク2内に貯蔵されている燃料油の温度が低くなるのを抑えて粘度が高くなるのを防止する状態が維持される。
通常運転モード時の制御部20は、移送ポンプ6に導入される燃料油の温度、圧力そして移送ポンプ6の稼働時間、さらに加えて移送ポンプ6の駆動源であるモータに対して印加される駆動電流値の変化を監視する。
これらの監視対象項目は、例えば次に挙げる4種類のケースが発生した場合に燃料油の粘度変化、特に粘度が上昇したことを判断する所定条件として用いられる。
(1)燃料油の粘度が上昇して流動抵抗が増加する温度以下に達している場合。
(2)移送ポンプ6の燃料油導入側の圧力変化が真空化傾向発生状態である場合。
(3)レベルセンサ9が作動するまでの移送ポンプ6の稼働時間が長大化している場合。
(4)移送ポンプ6の駆動源に対する駆動電流値が上昇している場合。
これらの所定条件を満たしていないで燃料油の粘度上昇が発生していない場合に通常運転モードが実行される。
通常運転モード実行時には、燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3へ燃料油を吸入するサイクルと燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4内の一部の燃料油を燃料油貯蔵タンク2へ向け流下させるサイクルとが交互に繰り返される。ただし、サイクル途中であっても、レベルセンサ9の作動に応じて移送ポンプ6は停止される。この運転モード実行時での各ポンプ6,11の稼働状態が操作パネル15に表示される。
上記監視対象項目の監視が継続されて通常運転モードが実行されているときに、該監視対象項目により導かれる所定条件の全て、いずれか一つあるいは複数が一致した場合には、通常運転モードから加熱運転モードに切り換えられる。
加熱運転モードでは、移送ポンプ6が強制的に停止され、流下ポンプ11を稼働させて加熱された燃料油が燃料油貯蔵タンク2に流される。このとき、加熱された燃料油は、移送ポンプ6の燃料油導入側を経由してこの位置に堰き止められている燃料油と混合されながら燃料油貯蔵タンク2に向け流れる。燃料油は、例えば、フィルタ(図2において符号FTで示す部材)に対して逆流するように流れると、フィルタの詰まりを解消する機能を発揮する。
制御部20では、監視対象項目のうちで温度、圧力は直接センサにより監視ができるが、レベルセンサ9を用いて液面を検知するまでの移送ポンプ6の稼働時間に関しては、図4に示す状態に基づいて加熱運転モードを実行するかどうかを判定する。
図4は、縦軸が燃料油の量(レベルセンサ9が作動する量)を示し、横軸が時間を示している。
同図において、燃料油の粘度が高くなるに従い、移送ポンプ6を一定出力とした場合にレベルセンサ9が作動するまでの時間が長くなる。
従って、粘度が低い燃料油が燃料油澄タンク3内へ導入されてレベルセンサ9が作動するまでの時間(図4中、符号Tで示す時間)を基準として、その時間よりも長大化した場合(図4中、符号T1で示す時間)には燃料油の粘度が高いことが判断できる。なお、移送ポンプ6自身にタイマを備えている場合には、タイマの設定時間と実際の稼働時間とを比較して実際の稼働時間が長大化している場合に燃料油の粘度が高いと判断することができる。
監視対象項目から導かれる所定条件の全て、あるいは一部または複数が一致した場合に加熱運転モードが選択されると、加熱された燃料油が燃料油貯蔵タンク2に向け送られる。これにより、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油に直接混合されるだけでなく、移送ポンプ6の吸入側に堰き止められている燃料油とも混合されて燃料油の温度を上昇させることができる。結果として、移送ポンプ6に燃料油が吸入される直前の油路において燃料油が加熱されるので、移送ポンプ6に流れ込む燃料油の粘度低下を確保できる。
監視対象項目である温度、圧力、移送ポンプの稼働時間さらには移送ポンプのモータでの駆動電流値の変化が粘度上昇を解消された条件に達し、所定条件に一致しなくなった場合には、通常運転モードに復帰する。
以上の実施の形態による燃料油移送装置1によれば、移送ポンプ6が強制的に停止された際に、燃料油澄タンク3で加熱された燃料油を用いて移送ポンプ6に吸入される燃料油だけでなく、燃料油貯蔵タンク2内の燃料の加熱も可能となる。
この結果、移送ポンプ6の駆動負荷増加を抑えられると共に、移送ポンプ6の入り口側の燃料油が加熱されて流動抵抗を低減して、ほぼ強制的に低減されるので停止する期間を短くすることが可能となる。
本発明は移送ポンプの強制停止をすることを利用して移送ポンプに吸入される燃料油と燃料油貯蔵タンク内の燃料油の両方を同時に加熱することができる。これにより、流動抵抗が増加する粘度の燃料油を移送ポンプにより移送する場合と違って、移送ポンプへの負荷低減を迅速に行うことができるとともに流下ポンプの駆動のみで移送ポンプの再始動に至る時間の短縮化ができる点で利用可能性が高い。
1 燃料油移送装置
2 燃料油貯蔵タンク
3 燃料油澄タンク
4 燃料油サービスタンク
5 移送管
6 移送ポンプ
7 温度センサ
8 圧力センサ
16 タイマ
20 制御部

Claims (4)

  1. 燃料油貯蔵タンクから燃料油澄タンクに向けて移送ポンプにより移送管を通過させられた燃料油が加熱された後、加熱された燃料油が流下ポンプにより吸入管を通過させられて燃料油貯蔵タンクに供給されることにより該燃料油貯蔵タンク内の燃料油を加熱する燃料油の加熱方法において、
    前記移送ポンプに吸入される側での燃料油の温度、圧力および前記移送ポンプの稼働時間の全てもしくはいずれか一つまたは複数が所定条件を満たした場合に前記移送ポンプを強制的に停止させたうえで加熱された燃料油を前記流下ポンプにより前記移送ポンプの燃料油吸入側を経由して前記燃料油貯蔵タンクに向け流し出すことで前記移送ポンプを流通しようとする燃料油と加熱された燃料油とを混合させて燃料油の粘度上昇を改善することを特徴とする燃料油の加熱方法。
  2. 請求項1記載の燃料油の加熱方法において、前記所定条件は、前記燃料油の流動抵抗が増加しない燃料油の粘度が得られる温度以下であること、前記移送ポンプに吸入される側での圧力が真空化傾向発生状態にあること、燃料油が溜められる位置で該燃料油が所定量に達するまでに要する前記移送ポンプの稼働時間が所定時間以上に達していることが用いられることを特徴とする燃料油の加熱方法。
  3. 請求項1記載の燃料油の加熱方法において、前記移送ポンプを強制的に停止させる条件として、該移送ポンプに印加される駆動電流値が用いられることを特徴とする燃料油の加熱方法。
  4. 燃料油貯蔵タンクと燃料油の加熱が可能な燃料油澄タンクとを連通する移送管に設けられて該燃料油貯蔵タンク内の燃料油を前記燃料油澄タンクに向け吸入する移送ポンプと、
    前記加熱された燃料油を一時的に貯留する燃料油サービスタンクと前記燃料油貯蔵タンクとを連通する吸入管に設けられて燃料油サービスタンクの燃料油を小出しに繰り出す流下ポンプと、
    前記移送ポンプおよび流下ポンプの稼働状態を制御する制御部と、を備えた燃料油移送装置であって、
    前記制御部は、少なくとも、前記燃料油貯蔵タンクから前記燃料油澄タンクに向け流れる燃料油の温度を検知する温度センサと、前記移送ポンプに流れ込む燃料油の圧力を検知する圧力センサと、前記移送ポンプの稼働時間を計測するタイマと、が入力側に接続され、前記移送ポンプおよび流下ポンプの駆動部が出力側に接続され、各センサおよびタイマからのデータを所定条件と比較した結果に基づき前記移送ポンプに吸入される燃料油の粘度が高いと判断した場合に該移送ポンプを強制的に停止して前記移送ポンプに流れる燃料油の粘度上昇を解消するべく前記流下ポンプを用いて前記加熱された燃料油を前記移送ポンプの燃料油吸入側に堰き止められている燃料油と混合させて前記燃料油貯蔵タンクに向け流し出すことを特徴とする燃料油移送装置。
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