JP6440329B2 - 燃料油移送装置 - Google Patents
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Description
流動抵抗が増加するのを避けるために、燃料油の温度を上昇させる処理が用いられる。燃料油は、温度上昇することにより粘度が低下し、流動抵抗が低減される。
燃料油は、燃料油サービスタンクから船舶や発電機などに用いられる内燃機関等の主機あるいはその他の補機の燃料噴射装置に供給される。
加熱されて燃料油貯蔵タンク内に戻される燃料油は、該貯蔵タンクに貯蔵されている燃料油と部分的に混合される。この結果、燃料油貯蔵タンク内に収容されている燃料油は、部分的に36〜40℃に維持される。部分的とは、少なくとも、燃料油貯蔵タンク内に配置されている燃料油吸引口の周辺を意味している。
流下ポンプは、例えば、モータにより回転駆動される構造が用いられる。モータは、稼働条件に応じた出力制御が可能なインバータ制御を採用される。
図1は、本発明を実施するための形態に係る燃料油移送装置1の構成を示す図である。
燃料油移送装置1は、燃料油貯蔵タンク2に連通する燃料油澄タンク3,燃料油サービスタンク4を備えている。
燃料油澄タンク3は、燃料油を加熱するために用いられるタンクであり、図示しないヒータにより、一例として70〜80℃の温度に燃料油が加熱される。
温度センサ7は、例えば、移送ポンプ6の燃料油入り口側、いわゆる燃料油の吸入側温度を計測している。
圧力センサ8は、移送ポンプ6内に吸入される燃料油の圧力変化を監視するために設けられている。圧力変化は、燃料油の粘度変化に応じた流動抵抗の変化を判断するために用いられる。特に、粘度が高くなり流動抵抗が増加した場合には、移送ポンプ6の入り口側の圧力が真空化傾向となる。従って、真空化傾向の圧力変化であることが検知されると燃料油の粘度を下げるための加熱が必要となる。
燃料油澄タンク3には、移送ポンプ6によって吸入された燃料油の液面を検知するためのレベルセンサ9が設けられている。
レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたときの液面を検知できるセンサである。レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたことを検知すると、移送ポンプ6の駆動を停止させるために用いられる。
この場合にいう流下ポンプ11の名称は、燃料油サービスタンク4が燃料油貯蔵タンク2よりも高い位置に配置されている構成を前提としていることが理由である。つまり、上位の燃料油サービスタンク4から、これよりも下位の燃料油貯蔵タンク2に燃料油を流れ落とすように繰り出すことを意味させて流下という表現としている。
燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4において一時的に貯留されている燃料油の一部は、流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に戻される。この結果、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油は加熱された燃料油と混合されることにより部分的に36〜40℃に加熱される。
なお、停泊中などのように燃料油の消費がないときは、移送ポンプ6の稼働時間が短く、レベルセンサ9が作動するまでの時間が例えば6分程度となる。
このような構成を用いる燃料油移送装置1は、その主要部の構成が本出願人の先願である特開2012−17123号公報に開示されている。
加熱運転モードを実行するための条件として次に挙げるパラメータが用いられる。
すなわち、パラメータは、少なくとも、移送ポンプ6に吸入される燃料油の温度、圧力および移送ポンプ6の稼働時間が用いられる。移送ポンプ6の稼働時間に関しては、前述したように、レベルセンサ9が作動するまでの稼働時間や移送ポンプ6自身に備えられたタイマの計時時間が参照される。これら各パラメータの全てもしくはいずれか一つまたは複数が、加熱を必要とする所定条件に一致すると加熱運転モードが実行される。
移送ポンプ6および流下ポンプ11は、その稼働状態を、図3に示す制御部20によって制御される。
タイマ16は、例えば、移送ポンプ6が稼働し始めた時点からレベルセンサ9により液面検知が行われるまでの時間を計測する。従って、移送ポンプ6が稼働していながらレベルセンサ9による液面検知までの稼働時間が必要以上に長いとき、つまり、移送ポンプ6の稼働時間が必要以上に長くなっているときには移送ポンプ6を流れる燃料油の粘度が高く、流動抵抗が大きい状態であることを判断できる。移送ポンプ6は、稼働時間を計測するタイマを自らが備えている場合もある。この場合には、自身のタイマに予め設定されている稼働時間以上に移送ポンプ6が稼働したときに燃料油の粘度が高く流動抵抗が高い状態であることを判断できる。
駆動電流値は、予めセットされているモータの回転数、トルクを得るために決められているが、回転数やトルクが変化した場合には元の状態に復帰させるように変化し、特に回転数やトルクが低下した場合には駆動電流値は上昇する。そこで、駆動電流値が上昇した場合を監視することにより燃料油の粘度が上昇したことを判断でき、運転モードの切り換えが行える。
通常運転モード時の制御部20は、移送ポンプ6に導入される燃料油の温度、圧力そして移送ポンプ6の稼働時間、さらに加えて移送ポンプ6の駆動源であるモータに対して印加される駆動電流値の変化を監視する。
これらの監視対象項目は、例えば次に挙げる4種類のケースが発生した場合に燃料油の粘度変化、特に粘度が上昇したことを判断する所定条件として用いられる。
(1)燃料油の粘度が上昇して流動抵抗が増加する温度以下に達している場合。
(2)移送ポンプ6の燃料油導入側の圧力変化が真空化傾向発生状態である場合。
(3)レベルセンサ9が作動するまでの移送ポンプ6の稼働時間が長大化している場合。
(4)移送ポンプ6の駆動源に対する駆動電流値が上昇している場合。
これらの所定条件を満たしていないで燃料油の粘度上昇が発生していない場合に通常運転モードが実行される。
通常運転モード実行時には、燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3へ燃料油を吸入するサイクルと燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4内の一部の燃料油を燃料油貯蔵タンク2へ向け流下させるサイクルとが交互に繰り返される。ただし、サイクル途中であっても、レベルセンサ9の作動に応じて移送ポンプ6は停止される。この運転モード実行時での各ポンプ6,11の稼働状態が操作パネル15に表示される。
なお、加熱運転モードでは、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油の温度上昇を早めるために燃料油貯蔵タンク2に流れ込む燃料油の量を増加させるように流下ポンプ11の回転数を高める回転条件を設定することも可能である。
図4は、縦軸が燃料油の量(レベルセンサ9が作動する量)を示し、横軸が時間を示している。
同図において、燃料油の粘度が高くなるに従い、移送ポンプ6を一定出力とした場合にレベルセンサ9が作動するまでの時間が長くなる。
従って、粘度が低い燃料油が燃料油澄タンク3内へ導入されてレベルセンサ9が作動するまでの時間(図4中、符号Tで示す時間)を基準として、その時間よりも長大化した場合(図4中、符号T1で示す時間)には燃料油の粘度が高いことが判断できる。なお、移送ポンプ6自身にタイマを備えている場合には、タイマの設定時間と実際の稼働時間とを比較して実際の稼働時間が長大化している場合に燃料油の粘度が高いと判断することができる。
つまり、燃料油の粘度が流動抵抗を増加させない粘度となる温度以上(例えば、38℃以上)に達した場合には、燃料油澄タンク4によって加熱される燃料油の循環量を少なくすることが可能となる。
そこで、制御部20では、燃料油の循環量を少なくするために流下ポンプ11の回転制御が行われる。
駆動モータの駆動・停止タイミングを変更する場合には駆動モータの回転数は変更しなくても良いが、この場合にも、駆動モータの焼損を発生させない最低限の冷却風、換言すれば、モータの温度上昇を抑えることができる停止時間を確保することが望ましい。
モータの回転数は通常運転モードと同様であるので、間欠運転した場合でも回転数を用いて得られる風量は、燃料油を減少させるための回転数よりも多い。このため、モータの冷却に必要な風量を確保することが可能である。
以上のように温度差に応じたデューティー比の照合結果として回転条件が割り出され割り出された回転条件が駆動電流値として駆動モータに印加される。
燃料油の加熱をさほど必要としない場合、加熱済み燃料油の供給量が抑えられるのに応じてポンプの駆動モータの回転数が抑えられるが、駆動モータの焼損が起こらない程度の冷却風の確保が可能である。
2 燃料油貯蔵タンク
3 燃料油澄タンク
4 燃料油サービスタンク
5 移送管
6 移送ポンプ
7 温度センサ
8 圧力センサ
16 タイマ
20 制御部
Claims (3)
- 燃料油貯蔵タンクと燃料油の加熱が可能な燃料油澄タンクとを連通する移送管に設けられて該燃料油貯蔵タンク内の燃料油を前記燃料油澄タンクに向け吸入する移送ポンプと、
前記加熱された燃料油を一時的に貯留する燃料油サービスタンクと前記燃料油貯蔵タンクとを連通する吸入管に設けられて燃料油サービスタンクの燃料油を小出しに繰り出す流下ポンプと、
前記流下ポンプの駆動に用いられ、自身の焼損を防止するための冷却ファンを備えた駆動モータと、
前記移送ポンプおよび流下ポンプの稼働状態を制御する制御部と、を備えた燃料油移送装置であって、
前記制御部は、前記燃料油貯蔵タンクから前記燃料油澄タンクに向け流れる燃料油の温度を検知する温度センサと、前記移送ポンプに流れ込む燃料油の圧力を検知する圧力センサと、が入力側に接続され、前記移送ポンプおよび流下ポンプの駆動部が出力側に接続され、前記燃料油の温度が流動抵抗を増加させない粘度に対応する温度以上に達したとき、前記流下ポンプによる燃料油の供給量が低減されながらも、該流下ポンプの駆動モータが焼損しない程度の冷却風が得られる最小回転数を設定して前記燃料油の流量を調整することを特徴とする燃料油移送装置。 - 請求項1記載の燃料油移送装置において、
前記制御部は、前記各センサからのデータを所定条件と比較した結果に基づき前記移送ポンプに吸入される燃料油の粘度が高い場合に、前記燃料油貯蔵タンクに流れる燃料油の量が増加傾向となるように回転数を高める回転条件を設定することを特徴とする燃料油移送装置。 - 請求項1記載の燃料油移送装置において、
前記制御部は、前記各センサからのデータを所定条件と比較した結果に基づき前記移送ポンプに吸入される燃料油の粘度が高い場合に、前記移送ポンプを停止すると共に、前記燃料油貯蔵タンクに流れる燃料油の供給量が増加傾向となるように回転数を高める回転条件を設定することを特徴とする燃料油移送装置。
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