JP6443641B2 - 燃料油移送装置 - Google Patents
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Description
ベルマウスは広い開口を下向きにして燃料油を集約しやすい形状となっている部材である(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、ベルマウス周囲に水平方向に張り出す複数の片部を設けて吸い込み時に発生する渦流を抑制する構成が開示されている。
C重油は温度の影響によって粘度が変化しやすい。特に温度が低くなると粘度が高くなり、吸い込まれて移送される際の流動抵抗が増加する。
従って、渦流を抑制できても流動抵抗を低下させることは期待できない。
図1は、本発明を実施するための形態に係る燃料油移送装置1の原理構成を示している。以下に説明する原理構成は、燃料油貯蔵タンクに貯蔵されている燃料油の一部を加熱済み燃料油により加熱して粘度低下を促進できる構成である。
燃料油移送装置1は、一対を含む複数の燃料油貯蔵タンク2に連通する燃料油澄タンク3,燃料油サービスタンク4を備えている。
燃料油澄タンク3は、燃料油を加熱するために用いられるタンクであり、図示しないヒータにより、一例として70〜80℃の温度に燃料油が加熱される。
温度センサ7は、例えば、移送ポンプ6の燃料油入り口側、いわゆる吸入側の温度を計測している。
圧力センサ8は、移送ポンプ6内に吸入される燃料油の圧力変化を監視するために設けられている。圧力変化は、燃料油の粘度変化に応じた流動抵抗の変化を判断するために用いられる。特に、粘度が高くなり流動抵抗が増加した場合には、移送ポンプ6の入り口側の圧力が真空化傾向となる。従って、真空化傾向の圧力変化が検知されると燃料油の粘度を下げるための加熱が必要となる。
燃料油澄タンク3には、移送ポンプ6によって吸入された燃料油の液面を検知するためのレベルセンサ9が設けられている。
レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたときの液面を検知できるセンサである。レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたことを検知すると、移送ポンプ6の駆動を停止させるために用いられる。
センサは、上述した位置に限らず、燃料油貯蔵タンク2の内部にも設けられている(図5参照)。このセンサLG1,LG2は、燃料油貯蔵タンク内の燃料残量をレベルあるいは圧力により検知する残量センサである。
この場合にいう流下ポンプ11の名称は、燃料油サービスタンク4が燃料油貯蔵タンク2よりも高い位置に配置されている構成を前提としていることが理由である。つまり、上位の燃料油サービスタンク4から、これよりも下位の燃料油貯蔵タンク2に燃料油を流れ落とすように繰り出すことを意味させて流下という表現としている。
燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4において一時的に貯留されている燃料油の一部は、流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に戻される。この結果、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油は加熱された燃料油と混合されることにより部分的に36〜40℃に加熱される。
なお、停泊中などのように燃料油の消費がないときは、移送ポンプ6の稼働時間が短く、レベルセンサ9が作動するまでの時間が例えば6分程度となる。
このような構成を用いる燃料油移送装置1は、その主要部の構成が本出願人の先願である特開2012−17123号公報に開示されている。
この場合の加熱とは、加熱された燃料油を加熱されていない燃料油と混合させることにより加熱されていない燃料油の温度を高めることを意味している。
以下、燃料油移送装置1を用いて実行される加熱方法について説明する。
加熱運転モードを実行するための条件として次に挙げるパラメータがデータとして用いられる。
すなわち、パラメータは、少なくとも、移送ポンプ6に吸入される燃料油の温度、圧力および移送ポンプ6の稼働時間が用いられる。移送ポンプ6の稼働時間に関しては、前述したように、レベルセンサ9が作動するまでの稼働時間や移送ポンプ6自身に備えられたタイマの計時時間が参照される。これら各パラメータの全てもしくはいずれか一つまたは複数が、加熱を必要とする所定条件に一致すると加熱運転モードが実行される。
移送ポンプ6および流下ポンプ11は、その稼働状態を、図3に示す制御部20によって制御される。
タイマ16は、例えば、移送ポンプ6が稼働し始めた時点からレベルセンサ9により液面検知が行われるまでの所要時間を計測する。従って、移送ポンプ6が稼働しながらレベルセンサ9による液面検知までの稼働時間が必要以上に長くなるときは粘度が高く流動抵抗が大きいと判断できる。換言すれば、移送ポンプ6の稼働時間が必要以上に長くなるときには移送ポンプ6を流れる燃料油の粘度が高く、流動抵抗が大きい状態であることを判断できる。移送ポンプ6は、稼働時間を計測するタイマを自らが備えている場合もある。この場合には、自身のタイマに予め設定されている稼働時間以上に移送ポンプ6が稼働したときに燃料油の粘度が高く流動抵抗が高い状態であることを判断できる。
移送ポンプ6は、予め設定されている稼働時間を超える時、強制的に停止され、後で説明する加熱運転モードに備えられる。
駆動電流値は、予めセットされているモータの回転数、トルクを得るために決められているが、回転数やトルクが変化した場合には元の状態に復帰させるように変化し、特に回転数やトルクが低下した場合には駆動電流値は上昇する。そこで、駆動電流値が上昇した場合を監視することにより燃料油の粘度が上昇したことを判断でき、運転モードの切り換えが行える。
通常運転モード時の制御部20は、移送ポンプ6に導入される燃料油の温度、圧力そして移送ポンプ6の稼働時間、さらに加えて移送ポンプ6の駆動源であるモータに対して印加される駆動電流値の変化を監視する。
これらの監視対象項目は、例えば次に挙げる4種類のケースが発生した場合に燃料油の粘度変化、特に粘度が上昇したことを判断する所定条件として用いられる。
(1)燃料油の粘度が上昇して流動抵抗が増加する温度以下に達している場合。
(2)移送ポンプ6の燃料油導入側の圧力変化が真空化傾向発生状態である場合。
(3)レベルセンサ9が作動するまでの移送ポンプ6の稼働時間が長大化している場合。
(4)移送ポンプ6の駆動源に対する駆動電流値が上昇している場合。
これらの所定条件を満たしていないで燃料油の粘度上昇が発生していない場合に通常運転モードが実行される。
通常運転モード実行時には、燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3へ燃料油を吸入するサイクルと燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4内の一部の燃料油を燃料油貯蔵タンク2へ向け流下させるサイクルとが交互に繰り返される。ただし、サイクル途中であっても、レベルセンサ9の作動に応じて移送ポンプ6は停止される。この運転モード実行時での各ポンプ6,11の稼働状態が操作パネル15に表示される。
図4は、縦軸が燃料油の量(レベルセンサ9が作動する量)を示し、横軸が時間を示している。
同図において、燃料油の粘度が高くなるに従い、移送ポンプ6を一定出力とした場合にレベルセンサ9が作動するまでの時間が長くなる。
従って、粘度が低い燃料油が燃料油澄タンク3内へ導入されてレベルセンサ9が作動するまでの時間(図4中、符号Tで示す時間)を基準として、その時間よりも長大化した場合(図4中、符号T1で示す時間)には燃料油の粘度が高いことが判断できる。なお、移送ポンプ6自身にタイマを備えている場合には、タイマの設定時間と実際の稼働時間とを比較して実際の稼働時間が長大化している場合に燃料油の粘度が高いと判断することができる。
図5は、図1に示した構成を対象として燃料油の移送経路を設定するために用いられる開閉弁に符号を付けると共に、一部の構成を付加した図である。
図5に示されている構成と図1に示されている構成との違いは次の通りである。
すなわち、一つの燃料油貯蔵タンクに相当する移送元の燃料油貯蔵タンク2Aから移送先の燃料油貯蔵タンク2Bの双方を直接連通させた関係として燃料油を移し替える構成を備えている点である。具体的には、図1に示した燃料油澄タンク3から移送ポンプ6の燃料油吸入側に連通する吸入管10を第1補助流入管として用いることに加えて吸入管10の一部で分岐された第2補助流入管100を用いる点にある。以下の説明では、流入管10を第1補助流入管10と称する場合もある。
迂回燃料油路101は、第2補助流入管100を流れる燃料油が移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向け移送されるための油路である。従って、第2補助流入管100および迂回燃料油路101は、移送元の燃料油貯蔵タンク2Aから移送ポンプ6によって汲み上げられた燃料油を直接、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bの燃料油導入側に混合させる場合に用いられる。
第1補助流入管10には、流下ポンプ11を代用する第1流下ポンプ11が設けられ、第2補助流入管100には、これと連通する迂回燃料油路101に第2流下ポンプ110が設けられている。
第1補助流入管10および第2補助流入管100に連通する迂回燃料油路101には、第1,第2流下ポンプ11,110の燃料油吐出側に燃料油を加熱可能なヒータ111,111Hが設けられている。
これら開閉弁V1〜V8は、移送ポンプ6および第1、第2流下ポンプ11,110の駆動用モータM1,M2,M3の駆動制御に用いられる制御部20によって開閉状態が制御される。
制御部20は、現段階で使用中であって移送元に相当する燃料油貯蔵タンク2Aの残量センサLG1により検知された燃料残量に応じて燃料油を移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに移し替える処理を行う。不測の事態などにより燃料油を移し替える場合には、その指令が操作パネル15側から出されると、残量に応じて実行する場合と同様に移し替え作業が実行される。
燃料油を移し替える時には、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに至る燃料油の温度が低いのを解消するために、図6の(A)に示すように、燃料油澄タンク3から加熱済みの燃料油が移送先の燃料油貯蔵タンク2Bの燃料油導入側に移送される。このような燃料油の移送経路は、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bへの燃料油の予熱油路として用いることができる。この結果、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに移送される燃料油の粘度上昇が抑えられて流動抵抗が少ない状態が得られる。従って、この処理は、移送に先立ち、燃料油を円滑に移送するための準備として用いられる。
燃料油澄タンク3から移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向け加熱済み燃料油を移送するとき制御部20は、移送経路を設定すべく開閉弁V7を開放する。燃料油澄タンク3に設けられている開閉弁12も同様に開放されて燃料油が移送される。
燃料油の移送のために、図6の(B)に示す移送経路が用いられる。すなわち、移送元の燃料油貯蔵タンク2Aから移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向け燃料油を移送できるように、第2補助流入管100および迂回燃料油路101が用いられる。
迂回燃料油路101に設けられているヒータ111Hは、ここを流れる燃料油の温度が粘度上昇を招く温度になることを防止するために加熱制御される。従って、迂回燃料油路101を流れる燃料油が放熱や周辺温度の影響を受けて粘度上昇を招く温度となるのを防ぐことができるので、燃料油の流動抵抗を増大させないで移送することができる。
第1補助流入管10を流れる燃料油の量は、移送ポンプ6により移送される燃料油の全量に対して迂回燃料油路101に向け流れる燃料油の量よりも少ない、例えば30%程度の量である。従って、移送元の燃料油貯蔵タンク2Aからの燃料油は、70%の量が移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに移送され、この量よりも少ない30%の量が移送ポンプ6の燃料油吸引(導入)側に移送される。この結果、移送ポンプ6に導入される燃料油の粘度上昇の原因となる温度低下が矯正され、移送ポンプ6の負荷増大が抑制される。第1補助流入管10に設けられているヒータ111は、迂回燃料油路101に設けられているヒータ111Hと同様に、流れる燃料油の温度が粘度上昇を招く温度になることを防止するために加熱制御される。
各開閉弁のうちで、第1補助流入管10に設けられている開閉弁V5,V6は、第2補助流入管100,迂回燃料油路101に設けられている開閉弁V7,V8に対して開き量を少なくされて、油路を絞られる。特に、開閉弁V8の全開よりも開閉弁V7の開放量を少なくすることにより、第2補助流入管100よりも迂回燃料油路101が絞られるので、第1補助流入管10に向けて燃料油を移送できる。開閉弁V7の開放量は、前述した第1補助流入管10での燃料油の量が得られる量に設定されることが望ましい。
制御部20は、第2補助流入管100を流れる燃料油の一部を第1補助流入管10に分流させるとき、前述した加熱運転モードとは異なる条件が用いられる。つまり、加熱運転モードは、移送ポンプ6が強制的に停止された場合を前提として行われるが、図6の(B)に示す状態は、移送ポンプ6が稼働を継続されていることを前提としている。このため、移送ポンプ6の燃料油吸引(導入)側の燃料油の温度が粘度上昇を招かない温度に維持されることが重要となる。そこで、本実施形態では、移送ポンプ6の燃料油吸引(導入)側への燃料油の混合率を調整して燃料油の温度低下を防止している。
以下、この特徴に関係する構成について説明する。
同図(A)において、燃料油澄タンク3により加熱された燃料油が燃料油貯蔵タンクのうちの一つ2Aに還流されるために用いられる油路10Aは、図5に示した場合と違って、移送管5の燃料油貯蔵タンク側管端部5Aに連通している。
移送管5の管端部5Aには、図7の(B)に示すように、燃料油貯蔵タンク2A内で底部に向けて開口する漏斗状のベルマウス5A1が備えられている。
油路10Aは、燃料油澄タンク3からの加熱済み燃料油の一部を移送管5の管端部5Aに流れる燃料油の加熱に用いる加熱部として用いられる。すなわち、油路10Aは、移送管5の管端部5A内を流れる燃料油に対して加熱済み燃料油を混合する機能を有している。
図7の(B)、(C)には、燃料油貯蔵タンク2Aの外側で、移送管5の管端部5Aに合流する枝管で構成された油路10Aにより加熱部が設けられている構成が示されている。ベルマウス5A1から吸引された燃料油は油路10Aから導入される加熱済み燃料油と混合されることにより温度を高められて粘度が下げられる(図7の(C)〜(E)中の矢印は、燃料油、加熱済み燃料油の流れる方向を示しており、矢印R1は吸引される燃料油の流れる方向を、矢印R2は加熱済みの燃料油が流れる方向を、そして、矢印R3は吸引燃料油と加熱済みの燃料油とが混合されて流れる方向をそれぞれ示している)。
この構成は、必要に応じて、燃料油貯蔵タンク2Aに挿通させて組み込まれた移送管5に対して加熱部を構成する油路10Aを後付けすることが可能な構成である。
この構成は、燃料油貯蔵タンク2A内に油路10Aの一部が設けられているので、ベルマウス5A1から吸引される燃料油に加えてベルマウス5A1の周囲の燃料油も油路10Aからの伝熱によって加熱できる構成である。
この構成は、外側の管部内に加熱済み燃料油が流され、ベルマウス5A1の開口端周囲から燃料油貯蔵タンク2A内に向け吐出されて燃料油に混合されるので、開口端に至るまでの間に管端部5A周辺の燃料油を加熱できる構成である。ベルマウス5A1から吸引される燃料油は、ベルマウス5A1外周から吐出された加熱済み燃料油と混合される。
いずれの構成においても、燃料油貯蔵タンク2A内の燃料油を加熱済み燃料油により加熱することが可能である。特に、移送管5に吸い込まれて燃料油澄タンク3に向け移送される燃料油を対象とするだけでなく、燃料油貯蔵タンク2A内に貯留されている燃料油の一部も加熱できる。この結果、ベルマウス5A1に吸引されて移送される燃料油だけでなく、吸引前の燃料油の加熱を促進して粘度上昇を抑えることが良好に行える。
また、移送管の管端部に合流する枝管の配置構造やベルマウスに連通する移送管との二重管構造などの選択もできる。この結果、ベルマウスに吸引される前の燃料油の加熱のためにヒータや蒸気機関などの特別な構造を付設する必要がない点でも利用可能性が高い。
2 燃料油貯蔵タンク
2A 移送元の燃料油貯蔵タンク
2B 移送先の燃料油貯蔵タンク
3 燃料油澄タンク
5 移送管
5A 移送管の燃料油貯蔵タンク側管端部
5A1 ベルマウス
6 移送ポンプ
7 温度センサ
8 圧力センサ
10 第1補助流入管に用いられる吸入管
10A 加熱部に用いられる油路
11 第1流下ポンプに相当する流下ポンプ
20 制御部
100 第2補助流入管
101 迂回燃料油路
110 第2流下ポンプ
111,111H ヒータ
LG1,LG2 残量センサ
V1〜V8 開閉弁
Claims (1)
- 少なくとも一つの燃料油貯蔵タンクから燃料油澄タンクに向けて移送ポンプにより移送された燃料油が加熱された後、流下ポンプにより加熱済み燃料油が前記一つあるいはこれ以外の燃料油貯蔵タンクに戻されて該燃料油貯蔵タンク内の燃料油と混合されることにより燃料油貯蔵タンク内の燃料油の温度を部分的に高めることが可能な燃料油移送装置であって、
前記燃料油貯蔵タンクの底部に向けた開口を有するベルマウスを管端部に備えている移送管と、
前記燃料油澄タンクから加熱済み燃料油の一部を、前記移送管内に流れる燃料油の加熱に用いる加熱部と、を備え、
前記加熱部は、前記移送管の管端部に位置するベルマウスおよびこの周囲を囲む管との二重管構造が用いられ、外側の管部内に前記燃料油澄タンクからの加熱済み燃料油が流され、該燃料油澄タンクからの加熱済み燃料油は、前記ベルマウス周囲から吐出してベルマウス内に吸い込まれることを特徴とする燃料油移送装置。
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