JP6961224B2 - 燃料油移送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料油移送装置に関し、さらに詳しくは、温度差のある燃料油を同時移送するための構成に関する。
船舶や発電機等のボイラなどの主機や補機に用いられる燃料油の一つとしてC重油が知られている。C重油などの比較的粘度が高い燃料油は、温度に影響されて粘度が変化しやすい。粘度が高まると流動抵抗が増加し、移送性が悪化する。流動抵抗が増加するのを避けるために、燃料油の温度を上昇させる処理が用いられる。燃料油は、温度上昇することにより粘度が低下し、流動抵抗が低減される。
燃料油の温度を上昇させる加熱設備を備えた燃料移送装置の構成として、例えば、燃料油貯蔵タンクから移送される燃料油を加熱するための燃料油澄タンクと、燃料油澄タンクにおいて温度上昇した燃料油を貯留し、貯留している燃料油を小出しに燃料油貯蔵タンクへ供給するための燃料油サービスタンクと、を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1)。
燃料油は、燃料油貯蔵タンクから移送ポンプを介して燃料油澄タンクに移送され、燃料油澄タンクにおいて加熱処理されることにより粘度を下げられる。燃料油澄タンクにおいて加熱された燃料油は、清浄化されてから燃料油サービスタンクに向け移送され、燃料油サービスタンクから一部が燃料油貯蔵タンクに向けて流下ポンプを介して小出しに繰り出される。燃料油は、燃料油サービスタンクから船舶や発電機などに用いられる内燃機関等の主機あるいは燃料噴射装置等の補機に供給される。加熱されて燃料油貯蔵タンク内に戻される燃料油は、該貯蔵タンクに貯蔵されている燃料油と部分的に混合される。この結果、燃料油貯蔵タンク内に収容されている燃料油は、部分的に36〜40℃に維持される。
燃料油貯蔵タンク内の燃料油は、加熱されて戻される一部の燃料とともに取り出され、燃料油澄タンクに向かう移送路中に設けられているストレーナーにより不純物や固形分を除去された上で移送ポンプの吸引力を利用して燃料油澄タンクに向かう。しかし、移送ポンプに吸引される燃料油には、加熱済み燃料油に加えて加熱済み燃料油からの熱を受けて温度上昇をする燃料油が混合されている。このため、移送路を流れる燃料油には、加熱済みの時点での温度とこの温度に達していない燃料油が混在することになる。
燃料油は、温度の差によって動粘度が異なり、流速に影響する流動抵抗も異なる。この結果、加熱済みの時点での温度よりも低い温度の燃料油は、ストレーナーを通過する際の抵抗となるだけでなく、移送ポンプに対する負荷増加の原因となる。
特開2004−036594号公報 特開2012−017123号公報
本発明の課題は、移送路に取り込まれる温度が異なる燃料油を撹拌混合して動粘度によるストレーナーでの流動抵抗の増加や移送ポンプでの負荷増加を防止できる燃料油移送装置を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、燃料油貯蔵タンクの燃料油に対して加熱済み燃料油を混合することにより貯蔵されている燃料油を昇温させ、該昇温された燃料油を移送ポンプにより燃料油澄タンクに向け移送する燃料油移送装置であって、前記燃料油貯蔵タンクと前記燃料油澄タンクとの間に連通された燃料油の移送を備え、該移送における前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において、前記移送ポンプに至る燃料油の移送方向上流側には前記燃料油貯蔵タンクから移送を開始された燃料油に乱流を生じさせて混合する撹拌機構が備えられ、前記撹拌機構は、燃料油の移送方向に沿って上流側から下流側に向けて前記移送管の内部で燃料油通路の断面積を小さくする螺旋部材が該移送管内部に複数を備え、該螺旋部材により燃料油が螺旋運動しながら前記移送管中央に向け収束した状態で移送させることを特徴としている。
また、本発明は、燃料油貯蔵タンクの燃料油に対して加熱済み燃料油を混合することにより貯蔵されている燃料油を昇温させ、該昇温された燃料油を移送ポンプにより燃料油澄タンクに向け移送する燃料油移送装置であって、前記燃料油貯蔵タンクと前記燃料油澄タンクとの間に連通された燃料油の移送管を備え、該移送管における前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において、前記移送ポンプに至る燃料油の移送方向上流側には前記燃料油貯蔵タンクから移送を開始された燃料油に乱流を生じさせる撹拌機構が備えられ、前記撹拌機構は、中心部に開口した通過穴と、前記移送管内の周方向に沿って複数配置された開口を通過する燃料油を前記移送管の中心部に向け誘導する案内部と、を有する攪拌円盤を備え、前記攪拌円盤の前記案内部によって誘導された燃料油の流れが、前記中心通過穴を通過した燃料油の流れに対して強制的に混合されることを特徴としている。
また、本発明は、少なくとも一つの燃料油貯蔵タンクから燃料油澄タンクに向けて移送ポンプにより移送された燃料油が加熱された後、流下ポンプにより加熱済み燃料油が前記一つあるいはこれ以外の燃料油貯蔵タンクに戻され、戻された加熱済み燃料油により該燃料油貯蔵タンク内の燃料油が部分的に加熱される燃料油移送装置であって、前記燃料油貯蔵タンクの底部に向けた開口を有するベルマウスを管端部に備えている移送管と、前記燃料油澄タンクから加熱済み燃料油の一部を、前記移送管内に流れる燃料油の加熱に用いる加熱部と、前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において前記移送ポンプよりも上流側に配置されたストレーナーと、前記ストレーナーに対する燃料油の移送方向上流側に配置されて、移送される燃料油に乱流を生じさせて撹拌する撹拌機構と、を備え、前記撹拌機構は、燃料油の移送方向に沿って上流側から下流側に向けて前記移送管の内部で燃料油通路の断面積を小さくする螺旋部材が該移送管内部に複数を備え、該螺旋部材により燃料油が螺旋運動しながら前記移送管中央に向け収束した状態で移送させることを特徴としている。
また、本発明は、少なくとも一つの燃料油貯蔵タンクから燃料油澄タンクに向けて移送ポンプにより移送された燃料油が加熱された後、流下ポンプにより加熱済み燃料油が前記一つあるいはこれ以外の燃料油貯蔵タンクに戻され、戻された加熱済み燃料油により該燃料油貯蔵タンク内の燃料油が部分的に加熱される燃料油移送装置であって、前記燃料油貯蔵タンクの底部に向けた開口を有するベルマウスを管端部に備えている移送管と、前記燃料油澄タンクから加熱済み燃料油の一部を、前記移送管内に流れる燃料油の加熱に用いる加熱部と、前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において前記移送ポンプよりも上流側に配置されたストレーナーと、前記ストレーナーに対する燃料油の移送方向上流側に配置されて、移送される燃料油に乱流を生じさせて撹拌する撹拌機構と、を備え、前記撹拌機構は、中心部に開口した通過穴と、前記移送管内の周方向に沿って複数配置された開口を通過する燃料油を前記移送管の中心部に向け誘導する案内部と、を有する攪拌円盤を備え、前記攪拌円盤の前記案内部によって誘導された燃料油の流れが、前記中心通過穴を通過した燃料油の流れに対して強制的に混合されることを特徴としている。
本発明によれば、温度差のある燃料油を撹拌部において混合できるので、温度差が均衡化されて動粘度の違いによる移送ポンプやストレーナーへの悪影響を抑制できる。
本発明の実施形態に係る燃料油移送システムに用いられる燃料油移送装置の構成および燃料油加熱時での燃料油の流れを示す模式図である。 図1に示した燃料油移送装置で実行される燃料移送時での燃料油の流れを示す模式図である。 図1に示した燃料油移送装置に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。 図3に示した制御部で実施される所定条件判定に用いられる原理を説明するための線図である。 図1に示した構成を前提とした燃料油移送システムの構成を説明するための模式図である。 図5に示した構成を対象とした燃料油の移送状態を説明するための模式図である。 図1に示した構成に用いられる撹拌機構の一例を説明するための図である。 図1に示した構成に用いられる撹拌機構の別の例を説明するための図である。 図1に示した構成に用いられる撹拌機構の他の例を説明するための図である。 図1に示した構成に用いられる撹拌機構のさらに他の例を説明するための図である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明を実施するための形態に係る燃料油移送装置1の原理構成を示している。以下に説明する原理構成は、燃料油貯蔵タンクに貯蔵されている燃料油の一部を加熱済み燃料油により加熱して粘度低下を促進できる構成である。燃料油移送装置1は、一対を含む複数の燃料油貯蔵タンク2に連通する燃料油澄タンク3、燃料油サービスタンク4を備えている。燃料油澄タンク3は、燃料油を加熱して昇温するために用いられるタンクであり、図示しないヒータにより、一例として70〜80℃の温度に燃料油が加熱される。
燃料油貯蔵タンク2と燃料油澄タンク3とは移送路として用いられる移送管5によって連通され、その途中には、移送ポンプ6、温度センサ7および圧力センサ8が配置されている。燃料油貯蔵タンク2内に挿入されている移送管5の管端部には、図1中、三角形状で示されているベルマウスがタンク2の底部に開口を向けた状態で設けられている。温度センサ7は、例えば、移送ポンプ6の燃料油入口側、いわゆる吸入側の温度を計測している。圧力センサ8は、移送ポンプ6内に吸入される燃料油の圧力変化を監視するために設けられている。圧力変化は、燃料油の粘度変化に応じた流動抵抗の変化を判断するために用いられる。特に、粘度が高くなり流動抵抗が増加した場合には、移送ポンプ6の入口側の圧力が真空化傾向となる。従って、真空化傾向の圧力変化が検知されると燃料油の粘度を下げるための加熱が必要となる。燃料油澄タンク3には、移送ポンプ6によって吸入された燃料油の液面を検知するためのレベルセンサ9が設けられている。レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたときの液面を検知できるセンサである。レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたことを検知すると、移送ポンプ6の駆動を停止させるために用いられる。センサは、前述した位置に限らず、燃料油貯蔵タンク2の内部にも設けられている。このセンサLG1,LG2は、燃料油貯蔵タンク内の燃料残量をレベルあるいは圧力により検知する残量センサである。
燃料油サービスタンク4は、加熱された燃料油を清浄化した後、一時的に貯留し、内燃機関等に向け燃料油を供給するために用いられるタンクである。燃料油貯蔵タンク2と燃料油サービスタンク4とは吸入管10により連通され、その途中には、流下ポンプ11が配置されている。燃料油サービスタンク4に貯留されている燃料油の一部は流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に流下されて燃料油貯蔵タンク2内の燃料油を昇温させて温度を高める。この場合にいう流下ポンプ11の名称は、燃料油サービスタンク4が燃料油貯蔵タンク2よりも高い位置に配置されている構成を前提としていることが理由である。つまり、上位の燃料油サービスタンク4から、これよりも下位の燃料油貯蔵タンク2に燃料油を流れ落とすように繰り出すことを意味させて流下という表現としている。
図1に示す構成では、燃料油澄タンク3および燃料油サービスタンク4がそれぞれ吸入管10に連通された構成を採用している。従って、これら両方のタンク3,4あるいはいずれかのタンクから燃料油貯蔵タンク2に向けた加熱済み燃料油の流路が設定できるように各タンク3,4の燃料油の出口の流路に弁12が設けられている。
以上の燃料油移送装置1は、移送ポンプ6によって燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3に吸入された燃料油が加熱され、加熱された燃料油が清浄化されたうえで燃料油サービスタンク4に導入され、貯留された燃料油が内燃機関等への供給に備えられる。燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4において一時的に貯留されている燃料油の一部は、流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に戻される。この結果、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油は、加熱済み燃料油が入り込む位置に相当する加熱部に導入され、加熱された燃料油と混合されることにより部分的に36〜40℃に加熱される。
本実施形態において、ポンプ同士の稼働時間として、例えば、移送ポンプ6が15分程度、そして流下ポンプ11が45分程度を選択されて交互に稼働される。この時間のうちで移送ポンプ6の稼働時間は、例えば、前述した燃料油澄タンク3内のレベルセンサ9によって燃料油の液面が検知されるまでの時間に対応させることができる。つまり、移送ポンプ6の回転数、駆動電流等の定格に基づいた流量で燃料油を流したときの稼働時間内に燃料油の液面がレベルセンサ9によって検知されると燃料油の流動抵抗を生じない燃料油の粘度であると判断でき、この稼働時間を超える場合には燃料油の粘度が高く流動性が悪いと判断できる。また、レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に導入される燃料油が所定量に達したことを検知すると、移送ポンプ6の稼働を停止させて燃料油が溢れるのを防止する。なお、停泊中などのように燃料油の消費がないときは、移送ポンプ6の稼働時間が短く、レベルセンサ9が作動するまでの時間が例えば6分程度となる。
移送ポンプ6を用いて燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3に向けて燃料油を吸入するルートは、図1において符号F1〜F5で示されている。流下ポンプ11を用いて燃料油サービスタンク4から燃料油貯蔵タンク2に向け燃料油を流下させるルートは、図2において矢印F10〜F13で示されている。このような構成を用いる燃料油移送装置1は、その主要部の構成が本件出願人の先願である特許文献2に開示されている。
以上の構成を備えた燃料油移送装置1は、燃料油の流動抵抗が増加するのを抑止する加熱方法が用いられる。この場合の加熱とは、加熱された燃料油を加熱されていない燃料油と混合させることにより加熱されていない燃料油を昇温させて温度を高めることを意味している。
以下、燃料油移送装置1を用いて実行される加熱方法について説明する。
燃料油移送装置1は、燃料油の粘度が低く、流動抵抗が少ない場合に実行される通常運転モードと、上記粘度が高く、流動抵抗が増加した場合に実行される加熱運転モードのいずれかを選択可能である。通常運転モードは、レベルセンサ9の作動状態に応じて稼働する移送ポンプ6および燃料油貯蔵タンク2内へ燃料油の供給を行う流下ポンプ11が交互に運転されて燃料油が循環されるモードである。加熱運転モードは、移送ポンプ6を強制的に停止したうえで、移送ポンプ6の吸入側で堰き止められている燃料油を加熱すると共に、燃料油貯蔵タンク2に戻される燃料油によって燃料油貯蔵タンク2内の燃料油を局所的に加熱するモードである。加熱運転モードは、移送ポンプ6側で堰き止められている燃料油の粘度が流動抵抗を増加させない値に達するまで実行されることが望ましい。
加熱運転モードを実行するための条件として以下に挙げるパラメータがデータとして用いられる。すなわち、パラメータは、少なくとも、移送ポンプ6に吸入される燃料油の温度、圧力および移送ポンプ6の稼働時間が用いられる。移送ポンプ6の稼働時間に関しては、前述したように、レベルセンサ9が作動するまでの稼働時間や移送ポンプ6自身に備えられたタイマの計時時間が参照される。これら各パラメータの全てもしくはいずれか一つまたは複数が、加熱を必要とする所定条件に一致すると加熱運転モードが実行される。
以下、この運転モードを実行するための構成および作用について図3を用いて説明する。
移送ポンプ6および流下ポンプ11は、その稼働状態を、図3に示す制御部20によって制御される。
制御部20は、移送管5に設けられている温度センサ7、圧力センサ8、レベルセンサ9が入力側に接続されている。制御部20の出力側には、移送ポンプ6の駆動部および流下ポンプ11の駆動部がそれぞれ接続されている。移送ポンプ6および流下ポンプ11は、いずれもモータ(図1および図2において、符号M1、M2で示す部材)が回転制御されることにより流量や流速を制御できるタイプが用いられる。
図3において符号15は、例えば、各ポンプ6,11の稼働時間や燃料油の流量などを表示するためおよび燃料消費量さらには戻し量などの必要条件を入力するために用いられる操作パネルであり、符号16はタイマである。タイマ16は、例えば、移送ポンプ6が稼働し始めた時点からレベルセンサ9により液面検知が行われるまでの所要時間を計測する。従って、移送ポンプ6が稼働しながらレベルセンサ9による液面検知までの稼働時間が必要以上に長くなるときは粘度が高く流動抵抗が大きいと判断できる。換言すれば、移送ポンプ6の稼働時間が必要以上に長くなるときには移送ポンプ6を流れる燃料油の粘度が高く、流動抵抗が大きい状態であることを判断できる。移送ポンプ6は、稼働時間を計測するタイマを自らが備えている場合もある。この場合には、自身のタイマに予め設定されている稼働時間以上に移送ポンプ6が稼働したときに燃料油の粘度が高く流動抵抗が高い状態であることを判断できる。移送ポンプ6は、予め設定されている稼働時間を超えるとき、強制的に停止され、後で説明する加熱運転モードに備えられる。
また、燃料油の粘度が流動抵抗を増加させる粘度であることを判断する所定条件に用いる監視対象項目として、移送ポンプ6の駆動源に用いられるモータの駆動電流値を対象とすることができる。駆動電流値は、予めセットされているモータの回転数、トルクを得るために決められているが、回転数やトルクが変化した場合には元の状態に復帰させるように変化し、特に回転数やトルクが低下した場合には駆動電流値は上昇する。そこで、駆動電流値が上昇した場合を監視することにより燃料油の粘度が上昇したことを判断でき、運転モードの切り換えが行える。
制御部20により選択される通常運転モードは、燃料油の粘度が流動抵抗を増加させない値である場合に保温しながら燃料油を循環させる。この運転モードによれば、燃料油貯蔵タンク2内に貯蔵されている燃料油の温度が低くなるのを抑えて粘度が高くなるのを防止する状態が維持される。通常運転モード時の制御部20は、移送ポンプ6に導入される燃料油の温度、圧力、そして移送ポンプ6の稼働時間、さらに加えて移送ポンプ6の駆動源であるモータに対して印加される駆動電流値の変化を監視する。これらの監視対象項目は、例えば以下に挙げる4種類のケースが発生した場合に燃料油の粘度変化、特に粘度が上昇したことを判断する所定条件として用いられる。
(1)燃料油の粘度が上昇して流動抵抗が増加する温度以下に達している場合。
(2)移送ポンプ6の燃料油導入側の圧力変化が真空化傾向発生状態である場合。
(3)レベルセンサ9が作動するまでの移送ポンプ6の稼働時間が長大化している場合。
(4)移送ポンプ6の駆動源に対する駆動電流値が上昇している場合。
これらの所定条件を満たしていないで燃料油の粘度上昇が発生していない場合に通常運転モードが実行される。通常運転モード実行時には、燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3へ燃料油を吸入するサイクルと燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4内の一部の燃料油を燃料油貯蔵タンク2へ向け流下させるサイクルとが交互に繰り返される。ただし、サイクル途中であっても、レベルセンサ9の作動に応じて移送ポンプ6は停止される。この運転モード実行時での各ポンプ6,11の稼働状態が操作パネル15に表示される。
前述した監視対象項目の監視が継続されて通常運転モードが実行されているときに、該監視対象項目により導かれる所定条件の全て、いずれか一つあるいは複数が一致した場合には、通常運転モードから加熱運転モードに切り換えられる。
加熱運転モードでは、移送ポンプ6が強制的に停止され、流下ポンプ11を稼働させて加熱された燃料油が燃料油貯蔵タンク2に流される。このとき、加熱された燃料油は、移送ポンプ6の燃料油吸入側に堰き止められている燃料油と混合されながら燃料油貯蔵タンク2に向け流れる。燃料油は、例えば、フィルタ機能を有するストレーナー(図2において、符号FTで示す部材)に対して逆流するように流れると、ストレーナーFTの詰まりを解消する機能を発揮する。
制御部20では、監視対象項目のうちで温度、圧力は直接センサにより監視ができるが、レベルセンサ9を用いて液面を検知するまでの移送ポンプ6の稼働時間に関しては、図4に示す状態に基づいて加熱運転モードを実行するかどうかを判定する。
図4は、縦軸が燃料油の量(レベルセンサ9が作動する量)を示し、横軸が時間を示している。図4において、燃料油の粘度が高くなるに従い、移送ポンプ6を一定出力とした場合にレベルセンサ9が作動するまでの時間が長くなる。従って、粘度が低い燃料油が燃料油澄タンク3内へ導入されてレベルセンサ9が作動するまでの時間(図4において、符号Tで示す時間)を基準として、その時間よりも長大化した場合(図4において、符号T1で示す時間)には燃料油の粘度が高いことが判断できる。なお、移送ポンプ6自身にタイマを供えている場合には、タイマの設定時間と実際の稼働時間とを比較して実際の稼働時間が長大化している場合に燃料油の粘度が高いと判断することができる。
監視対象項目から導かれる所定条件の全て、あるいは一部または複数が一致した場合に加熱運転モードが選択されると、加熱された燃料油が燃料油貯蔵タンク2に向け送られる。これにより、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油に直接混合されるだけでなく、移送ポンプ6の吸入側に堰き止められている燃料油とも混合されて燃料油の温度を上昇させることができる。結果として、移送ポンプ6に燃料油が吸入される直前の油路において燃料油が加熱されるので、移送ポンプ6に流れ込む燃料油の粘度低下を確保できる。
監視対象項目である温度、圧力、移送ポンプの稼働時間さらには移送ポンプのモータでの駆動電流値の変化が粘度上昇を解消された条件に達し、所定条件に一致しなくなった場合には、通常運転モードに復帰する。
以下、前述した実施形態の変形例について説明する。
図5は、図1に示した構成を対象として燃料油の移送経路を設定するために用いられる開閉弁に符号を付けるとともに、一部の構成を付加した図である。図5に示されている構成と図1に示されている構成との違いは以下の通りである。すなわち、一つの燃料油貯蔵タンクに相当する移送元の燃料油貯蔵タンク2Aから移送先の燃料油貯蔵タンク2Bの双方を直接連通させた関係として燃料油を移し替える構成を備えている点である。具体的には、図1に示した燃料油澄タンク3から移送ポンプ6の燃料油吸入側に連通する吸入管10を第1補助流入管として用いることに加えて吸入管10の一部で分岐された第2補助流入管100を用いる点にある。以下の説明では、流入管10を第1補助流入管10と称する場合もある。
第1補助流入管10は、燃料油澄タンク3から吐出される加熱済み燃料油を移送ポンプ6の燃料油吸入側に混合させる経路を構成しているが、後述する第2補助流入管に連続する迂回燃料油路101と連通させてある。第1補助流入管10は、移送先の燃料油貯蔵タンク2B内の燃料油を加熱するために、燃料油澄タンク3の加熱済み燃料油を移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向けて移送することが可能な経路である。
第2補助流入管100は、移送ポンプ6の燃料油吐出側と第1補助流入管10との間に連通し、さらに、第1補助流入管10と分岐して移送先の燃料油貯蔵タンク2Bの燃料油導入側に接続された迂回燃料油路101が設けられている。第2補助流入管100は、移送ポンプ6から吐出された燃料油を迂回燃料油路101に向けて移送する流路として用いられる。迂回燃料油路101は、第2補助流入管100を流れる燃料油が移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向け移送されるための油路である。従って、第2補助流入管100および迂回燃料油路101は、移送元の燃料油貯蔵タンク2Aから移送ポンプ6によって汲み上げられた燃料油を直接、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bの燃料油導入側に混合させる場合に用いられる。第1補助流入管10には、流下ポンプ11を代用する第1流下ポンプ11が設けられ、第2補助流入管100には、これと連通する迂回燃料油路101に第2流下ポンプ110が設けられている。第1補助流入管10および第2補助流入管100に連通する迂回燃料油路101には、第1,第2流下ポンプ11,110の燃料油吐出側に燃料油を加熱可能なヒータ111,111Hが設けられている。
移送管5,第1補助吸入管として用いられる吸入管10,第2補助吸入管100および迂回燃料油路101には、燃料油の移送経路を設定するための開閉弁V1〜V8が配置されている。これら開閉弁V1〜V8は、移送ポンプ6および第1、第2流下ポンプ11,110の駆動用モータM1,M2,M3の駆動制御に用いられる制御部20によって開閉状態が制御される。
制御部20は、使用中の燃料油貯蔵タンク2Aの燃料油を他の新たな移送先となる燃料油貯蔵タンク2Bに移し替えるときに燃料油の移送経路を設定する。この場合の移し替えは、使用中の燃料油貯蔵タンク2Aの残量が少なくなった場合、あるいは使用中の燃料油貯蔵タンク2Aに不測の事態が生じて移し替えが必要となった場合などを対象として実行される。制御部20は、現段階で使用中であって移送元に相当する燃料油貯蔵タンク2Aの残量センサLG1により検知された燃料残量に応じて燃料油を移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに移し替える処理を行う。不測の事態などにより燃料油を移し替える場合には、その指令が操作パネル15側から出されると、残量に応じて実行する場合と同様に移し替え作業が実行される。
移し替えを行うときの燃料油の移送状態は、図6に示されている。燃料油の移し替えるときには、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに至る燃料油の温度が低いのを解消するために、図6(A)に示すように、燃料油澄タンク3から加熱済みの燃料油が移送先の燃料油貯蔵タンク2Bの燃料油導入側に移送される。このような燃料油の移送経路は、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bへの燃料油の予熱油路として用いることができる。この結果、移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに移送される燃料油の粘度上昇が抑えられて流動抵抗が少ない状態が得られる。従って、この処理は、移送に先立ち、燃料油を円滑に移送するための準備として用いられる。
燃料油澄タンク3から移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向け加熱済み燃料油を移送するとき、制御部20は、移送経路を設定すべく開閉弁V7を開放する。燃料油澄タンク3に設けられている開閉弁12も同様に開放されて燃料油が移送される。
次いで、移送先の燃料油貯蔵タンク2B内の燃料油の温度が予熱によってあるいは既に粘度上昇を招かない温度に達しているとき、移送元の燃料油貯蔵タンク2Aから移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向けて燃料油が移送される。燃料油の移送のために、図6(B)に示す移送経路が用いられる。すなわち、移送元の燃料油貯蔵タンク2Aから移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに向け燃料油を移送できるように、第2補助流入管100および迂回燃料油路101が用いられる。迂回燃料油路101に設けられているヒータ111Hは、ここを流れる燃料油の温度が粘度上昇を招く温度になることを防止するために加熱制御される。従って、迂回燃料油路101を流れる燃料油が放熱や周辺温度の影響を受けて粘度上昇を招く温度となるのを防ぐことができるので、燃料油の流動抵抗を増大させないで移送することができる。
本実施形態では、第2補助流入管100に第1補助流入管10が連通している構成を用いることにより、図6(B)において細線の矢印で示すように、迂回燃料油路101に流れる燃料油の一部を第1補助流入管10に分流させることができる。
第1補助流入管10を流れる燃料油の量は、移送ポンプ6により移送される燃料油の全量に対して迂回燃料油路101に向け流れる燃料油の量よりも少ない、例えば30%程度の量である。従って、移送元の燃料油貯蔵タンク2Aからの燃料油は、70%の量が移送先の燃料油貯蔵タンク2Bに移送され、この量よりも少ない30%の量が移送ポンプ6の燃料油吸引(導入)側に移送される。この結果、移送ポンプ6に導入される燃料油の粘度上昇の原因となる温度低下が矯正され、移送ポンプ6の負荷増大が抑制される。第1補助流入管10に設けられているヒータ110は、迂回燃料油路101に設けられているヒータ111Hと同様に、流れる燃料油の温度が粘度上昇を招く温度になることを防止するために加熱制御される。
制御部20は、図6(B)に示す移送経路を設定すべく、燃料油の流れに沿って開閉弁V1,V3,V8,V7,およびV6,V5を開放する。各開閉弁のうちで、第1補助流入管10に設けられている開閉弁V5,V6は、第2補助流入管100,迂回燃料油路101に設けられている開閉弁V7,V8に対して開き量を少なくされて、油路を絞られる。特に、開閉弁V8の全開よりも開閉弁V7の開放量を少なくすることにより、第2補助流入管100よりも迂回燃料油路101が絞られるので、第1補助流入管100に向けて燃料油を移送できる。開閉弁V7の開放量は、前述した第1補助流入管100での燃料油の量が得られる量に設定されることが望ましい。
制御部20は、第2補助流入管100を流れる燃料油の一部を第1補助流入管10に分流させるとき、前述した加熱運転モードとは異なる条件が用いられる。つまり、加熱運転モードは、移送ポンプ6が強制的に停止された場合を前提として行われるが、図6(B)に示す状態は、移送ポンプ6が稼働を継続されていることを前提としている。このため、移送ポンプ6の燃料油吸引(導入)側の燃料油の温度が粘度上昇を招かない温度に維持されることが重要となる。そこで、本実施形態では、移送ポンプ6の燃料油吸引(導入)側への燃料油の混合率を調整して燃料油の温度低下を防止している。なお、迂回燃料油路101内において、第2流下ポンプ110やヒータ111Hを省略して開閉弁V7を用い、その開閉量を調整することにより、移送される燃料油の予熱処理を行うようにすることも可能である。
以上の構成を対象として、本実施形態における特徴について説明する。
本実施形態による燃料油移送装置の特徴は、移送路として用いられる移送管5に配置されている移送ポンプ6に至る移送管5中で燃料油貯蔵タンク2から移送を開始される燃料油に乱流を与えて混合する撹拌部として用いられる撹拌機構200を備えた点にある。撹拌機構200は、移送管5内を層流状態で流れる燃料油に乱流を生じさせる機能を発揮させ、これにより移送管5内を流れる燃料油の温度差を少なくするために用いられる。
図7は、撹拌機構200の一例を示す模式図であり、図7(A)に示す構成は、燃料油の移送方向FWに沿って交互に基部200A1を配置して移送管5の中央に向けて延長された堰状部材200Aを備えている。この構成によれば、堰状部材200A間の空間を燃料油が通過する。燃料油は、堰状部材200Aに突き当たることで進路を変えられ、堰状部材200Aの頂部を乗り越えて迂回しながら流れる過程で層流状態から矢印で示すような乱流状態が得られる。この結果、温度差を有する燃料油同士が混合撹拌されて温度差が減少される。従って、温度差が大きい場合と違って、加熱済みの燃料油と加熱される燃料油との温度が均衡されるので、動粘度の違いによるストレーナーFT(図1参照)や移送ポンプ6(図1参照)への悪影響が抑制できる。
図7(B)に示す構成は、図7(A)に示した堰状部材200Aを備えた撹拌機構200内に流れ込む燃料油を旋回させるための燃料油導入口5Aおよび燃料油排出口5Bを備えている。燃料油導入口および燃料油排出口は、図7(C)に示すように、内部を流れる燃料油が旋回(矢印FRで示す状態)できるように、撹拌機構200の周方向で中心位置を除き、配置位相を異ならせて配置されている。また、燃料油導入口5Aおよび燃料油排出口5Bは撹拌機構200内に入り込む端部開口部が、撹拌機構200の端面に対して傾斜され、導入される燃料油を旋回させることができるようになっている。従って、撹拌機構200に導入される燃料油は、移送ポンプ6の吸引力を利用して、吸い込まれながら旋回し、堰状部材200Aを乗り越えるとともに旋回流を生起させて流れる。この結果、撹拌機構200の内部で中心側と中心側より外側を流れる燃料油との混合率が高められ、温度が均衡化されやすくなる。なお、撹拌機構200は、堰状部材200Aのみ、あるいは堰状部材200Aと旋回流との組み合わせに限らず、旋回流のみを生起させる機構を備えることも可能な機構である。なお、層流状態から乱流状態に変化させることにより混合時間を増やして温度差を低減させる構成として、図7(A)において二点鎖線の矢印FR1で示すように、渦流を生起させるようにしても良い。
さらに、加熱済み燃料油とこの燃料油により加熱される燃料油との温度差を低減するには、燃料油同士の接触時間を多くすることが考えられる。そこで、燃料油の流路の一部に流路長を長くした流路を接続し、流路長の長い流路を流れる燃料油の温度均衡化似ようする時間を稼ぐようにする。
図8は、燃料油の流路を異ならせる構成の例を示す。図8(A)は、燃料油の流路PTの一部に、燃料油が入り込みやすい角度に傾斜させた分岐路PT1を備えている。分岐路PT1内には、流路PTを流れる燃料油の一部が分岐路PT1内に流れ込まれる位置に一端を配置したガイド部材PBが設けられている。この構成において、燃料油が矢印FR10で示す方向に流れる過程で一部の燃料油を分岐路PT1内に取り込むことができる。分岐路PT1に入り込んだ燃料油は、ガイド部材PBを迂回した後、再度、流路PTに合流する。燃料油は、流路PTを流れる燃料油に比べて迂回する分、速度差が生じ、その差分に相当する時間を混合に費やすことができる。図8(B)に示す構成は、分岐路にある程度の長さをもたせてT字状連結された分岐路PT10を用いている。この構成において、図8(A)の構成と違って、混合に費やす迂回時間を長く設定できるので、温度差をより効率よく低減できる。したがって、これらの構成によれば、燃料油の一部の流れを遅くすることにより混合に費やす時間を確保できることで燃料油に生じている温度差を低減しやすくできる。
撹拌機構200の内部で燃料油を旋回させながら移動させる構成の他の例として図9に示す構成がある。図9において、撹拌機構200には、例えば、撹拌機構200が円筒状であれば移送方向FWに沿ってリード角θを有し、移送方向FWの上流側から下流側に向けて立ち上がる形状を持つ羽根状の螺旋部材200Bが移送管内部の周方向に沿って複数設けられている。螺旋部材200は、立ち上がり形状によって移送方向に沿い、徐々に移送管、この場合は撹拌機構200の内部で燃料油通路の断面積が小さくできる固定羽根である。この構成によれば、螺旋部材200Bに沿って流れる燃料油はリード角θにより移送方向上流側から下流側に向かうに従い管路中心に向け誘導される。この結果、層流状態で流れている燃料油は螺旋運動によって撹拌混合され、燃料同士の温度差が低減される。従って、管路中心に向け移動する過程で燃料油が混合されるので温度が均衡化され、動粘度違いによるストレーナーFTや移送ポンプ6への悪影響が抑制できる。なお、図9(B)において、図の中心に表示されている黒丸とその外側の丸印は、紙面奥側から手前側に向けた燃料油の流れ方向を示している。
図10には、撹拌機構200のさらに他の例が示されている。図10(A)に示す構成は、撹拌機構200の内部に撹拌円盤200Cが配置されている。撹拌円盤200Cには、周方向に沿って複数配置され、移送される燃料油を移送管5の断面中心部に向け誘導する角度を持つ切り起こし片からなる案内板200C1が備えられている。撹拌円盤200Cの中央部には移送管5と連通する穴が形成され、移送管5内を流れる燃料油の一部が通過できるようになっている。この構成によれば、層流状態で撹拌機構200内に流れ込む燃料油の一部が案内板200C1に衝突する際に移動方向を内面外側から管中心に向け変化させて、中心部に収束されながら流れる。この結果、層流状態で撹拌機構200内を流れる燃料油に対して移動方向を変えられた燃料油が強制的に混合されることになるので、温度差が小さくされて温度の均衡化が可能となる。従って、流れる過程で混合撹拌されて温度を均衡化された燃料油は、動粘度の違いによるストレーナーFTや移送ポンプ6への悪影響を抑制できることになる。
図10(A)に示した構成において、燃料油の流れる方向を変える構成として、図10(B),(C)に示す構成も採用可能である。つまり、薄い厚さの円盤から得られる流路長に限らず、移送方向に沿った円盤の厚さを厚くした円盤200Dを用いて燃料油の案内通路200D2を長くする。案内通路200D2は、移送方向における上流側Aから下流側に向けて燃料油を管路中心に向け指向させる角度に傾斜させてある。厚さを厚くした円盤200Dは、円の中心に移送管5の内径(D1)よりも小さい内径(D2)を有する通過穴200D1が形成されている(D1>D2)。この構成によれば、円盤200Dの中心に位置する通過穴200D1を用いた層流状態の流れを阻害しない状態で、この流れに対して強制的に侵入混合される燃料油の流れを生起する。
図7(A)に示した構成を除いた構成は、いずれも撹拌機構200の径方向中心に燃料油の層流を妨げない通過部分が形成され、その外側から燃料油が強制的に混合されるようになっている。このように、燃料油の流れにおいて内側と外側とで流れる状態を変えることにより、例えば、内側に低い温度の燃料油を通過させた場合、外側に動粘度の低くなっている加熱済み燃料油を流すことができる。これにより、動粘度が低く流れやすい状態の燃料油の移動方向を変えやすくなり、結果的に動粘度の高い燃料油への加熱済み燃料油の混合が良好に行える。これとは逆に動粘度の高い燃料油を外側に流した場合には、動粘度の違いにより加熱済み燃料油の流れが速いので、境界部分では剪断状態となって加熱済み燃料油内に動粘度の高い燃料油が入り込むことなく連れ動きしたまま、混合できない状態になりやすい。
以上の構成は、いずれも燃料油の移動方向を変化させる部分が固定されているものであるが、これに限らず、撹拌機構200内に可動部分を設けて燃料油を混合することも可能である。例えば、スクリューオーガや回転羽根などの可動部材を撹拌機内に配置して回転させることで撹拌混合することも可能である。
以上の実施形態によれば、加熱済み燃料油と加熱される燃料油との関係のように、相対的な温度差が生じた状態で移送する場合に、温度差を低減して温度の均衡化が図れるので、動粘度の高い燃料油が流されることによる悪影響を抑制できる。
本発明は、燃料油貯蔵タンクから取り出される加熱済み燃料油と加熱される燃料油との間に温度差が生じていた場合でも、移送過程において互いに混合撹拌するという簡単な操作により温度の均衡化が図れる。これにより高粘度の燃料油によってストレーナーや移送ポンプが受ける悪影響を簡単な構成により防止できる点で利用可能性が高い。
1 燃料油移送装置
2 燃料油貯蔵タンク
2A 移送元の燃料油貯蔵タンク
2B 移送先の燃料油貯蔵タンク
3 燃料油澄タンク
4 燃料油サービスタンク
5 移送管
5A 移送管の燃料油貯蔵タンク側管端部
5A1 ベルマウス
6 移送ポンプ
200 撹拌機構
200A 堰状部材
200B 螺旋運動を生起する螺旋部材
200C 撹拌円盤
200C1 案内板
200D 厚さの厚い円盤
200D2 案内通路
FT ストレーナー

Claims (5)

  1. 燃料油貯蔵タンクの燃料油に対して加熱済み燃料油を混合することにより貯蔵されている燃料油を昇温させ、該昇温された燃料油を移送ポンプにより燃料油澄タンクに向け移送する燃料油移送装置であって、前記燃料油貯蔵タンクと前記燃料油澄タンクとの間に連通された燃料油の移送を備え、該移送における前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において、前記移送ポンプに至る燃料油の移送方向上流側には前記燃料油貯蔵タンクから移送を開始された燃料油に乱流を生じさせる撹拌機構が備えられ
    前記撹拌機構は、燃料油の移送方向に沿って上流側から下流側に向けて前記移送管の内部で燃料油通路の断面積を小さくする螺旋部材が該移送管内部に複数を備え、
    該螺旋部材により燃料油が螺旋運動しながら前記移送管中央に向け収束した状態で移送させる
    ことを特徴とする燃料油移送装置。
  2. 燃料油貯蔵タンクの燃料油に対して加熱済み燃料油を混合することにより貯蔵されている燃料油を昇温させ、該昇温された燃料油を移送ポンプにより燃料油澄タンクに向け移送する燃料油移送装置であって、前記燃料油貯蔵タンクと前記燃料油澄タンクとの間に連通された燃料油の移送管を備え、該移送管における前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において、前記移送ポンプに至る燃料油の移送方向上流側には前記燃料油貯蔵タンクから移送を開始された燃料油に乱流を生じさせる撹拌機構が備えられ、
    前記撹拌機構は、中心部に開口した通過穴と、前記移送管内の周方向に沿って複数配置された開口を通過する燃料油を前記移送管の中心部に向け誘導する案内部と、を有する攪拌円盤を備え、
    前記攪拌円盤の前記案内部によって誘導された燃料油の流れが、前記中心通過穴を通過した燃料油の流れに対して強制的に混合される
    ことを特徴とする燃料油移送装置。
  3. 請求項1又は2記載の燃料油移送装置において、
    前記燃料油貯蔵タンクには、前記燃料油澄タンクにおいて加熱された加熱済み燃料油を戻す吸入路が連通させてあることを特徴とする燃料油移送装置。
  4. 少なくとも一つの燃料油貯蔵タンクから燃料油澄タンクに向けて移送ポンプにより移送された燃料油が加熱された後、流下ポンプにより加熱済み燃料油が前記一つあるいはこれ以外の燃料油貯蔵タンクに戻され、戻された加熱済み燃料油により該燃料油貯蔵タンク内の燃料油が部分的に加熱される燃料油移送装置であって、
    前記燃料油貯蔵タンクの底部に向けた開口を有するベルマウスを管端部に備えている移送管と、
    前記燃料油澄タンクから加熱済み燃料油の一部を、前記移送管内に流れる燃料油の加熱に用いる加熱部と、
    前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において前記移送ポンプよりも上流側に配置されたストレーナーと、
    前記ストレーナーに対する燃料油の移送方向上流側に配置されて、移送される燃料油に乱流を生じさせて撹拌する撹拌機構と、
    を備え
    前記撹拌機構は、燃料油の移送方向に沿って上流側から下流側に向けて前記移送管の内部で燃料油通路の断面積を小さくする螺旋部材が該移送管内部に複数を備え、
    該螺旋部材により燃料油が螺旋運動しながら前記移送管中央に向け収束した状態で移送させる
    ことを特徴とする燃料油移送装置。
  5. 少なくとも一つの燃料油貯蔵タンクから燃料油澄タンクに向けて移送ポンプにより移送された燃料油が加熱された後、流下ポンプにより加熱済み燃料油が前記一つあるいはこれ以外の燃料油貯蔵タンクに戻され、戻された加熱済み燃料油により該燃料油貯蔵タンク内の燃料油が部分的に加熱される燃料油移送装置であって、
    前記燃料油貯蔵タンクの底部に向けた開口を有するベルマウスを管端部に備えている移送管と、
    前記燃料油澄タンクから加熱済み燃料油の一部を、前記移送管内に流れる燃料油の加熱に用いる加熱部と、
    前記燃料油貯蔵タンクからの燃料油の移送方向において前記移送ポンプよりも上流側に配置されたストレーナーと、
    前記ストレーナーに対する燃料油の移送方向上流側に配置されて、移送される燃料油に乱流を生じさせて撹拌する撹拌機構と、
    を備え、
    前記撹拌機構は、中心部に開口した通過穴と、前記移送管内の周方向に沿って複数配置された開口を通過する燃料油を前記移送管の中心部に向け誘導する案内部と、を有する攪拌円盤を備え、
    前記攪拌円盤の前記案内部によって誘導された燃料油の流れが、前記中心通過穴を通過した燃料油の流れに対して強制的に混合される
    ことを特徴とする燃料油移送装置。
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