JP2018096214A - ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】ケーシング内における圧送流体の蒸発を抑制することが可能なポンプを提供すること。【解決手段】ポンプであって、シャフト(10)と、シャフト(10)に固定された回転子(20)と、回転子(20)の周囲に配置された固定子(30)と、シャフト(10)に固定された羽根車(40)と、ケーシング(50)と、を備え、回転子(20)は、羽根車(40)により圧送される圧送流体の温度よりも高い転移温度を有する超伝導体からなり、ケーシング(50)は、シャフト(10)、回転子(20)及び羽根車(40)を圧送流体が存在する空間(S)に収容するとともに、固定子(30)を空間(S)から隔離する形状を有すること。【選択図】図1
Description
本発明は、ポンプに関するものである。
従来、誘導モータを用いるポンプが知られている。例えば、特許文献1には、シャフトに固定された回転子と、回転子の周囲に配置された固定子と、シャフトに固定されたポンプ羽根車と、ケーシングと、を備える液体水素用ポンプが開示されている。ケーシングは、シャフト、ポンプ羽根車、回転子及び固定子をまとめて収容している。ケーシングには、液体水素を吸い込むための吸込口と、ポンプ羽根車により昇圧された液体水素を吐出するための吐出口と、が設けられている。この液体水素用ポンプのケーシング内は、吸込口から吸い込まれた液体水素で満たされており、回転子及び固定子は、液体水素によって冷却されている。
特許文献1に記載される液体水素用ポンプでは、回転子及び固定子に液体水素が接触しているので、固定子に交流電流が供給された際に当該固定子に生じるジュール熱によって液体水素が蒸発する場合がある。この場合、ケーシング内の圧力が高まるので、液体水素の移送効率が低下する。この課題は、圧送される流体が液体水素以外の場合にも同様に生じ得る。
本発明の目的は、ケーシング内における圧送流体の蒸発を抑制することが可能なポンプを提供することである。
前記課題を解決する手段として、本発明は、シャフトと、前記シャフトに固定された回転子と、前記回転子の周囲に配置された固定子と、前記シャフトに固定された羽根車と、ケーシングと、を備え、前記回転子は、前記羽根車により圧送される圧送流体の温度よりも高い転移温度を有する超伝導体からなり、前記ケーシングは、前記シャフト、前記回転子及び前記羽根車を前記圧送流体が存在する空間に収容するとともに、前記固定子を前記空間から隔離する形状を有する、ポンプを提供する。
本ポンプでは、圧送流体の存在する空間から固定子が隔離されているので、固定子に交流電流が供給された際に当該固定子に生じるジュール熱の圧送流体への伝達が抑制され、しかも、回転子が圧送流体の温度よりも高い転移温度を有する超伝導体からなるので、回転子での損失も抑制される。よって、ケーシング内での圧送流体の蒸発が抑制される。このため、圧送流体の移送効率の低下が抑制される。
この場合において、前記ケーシングは、前記空間を取り囲む形状を有する内包囲部と、前記内包囲部の外側に前記固定子を収容する固定子室を形成するように前記内包囲部を覆う外包囲部と、を有することが好ましい。
さらにこの場合において、前記固定子室に充填されており前記圧送流体の冷熱を前記固定子に伝達可能な冷熱伝達部材をさらに備えることが好ましい。
このようにすれば、圧送流体の冷熱が内包囲部及び冷熱伝達部材を介して固定子に伝達されるので、固定子が有効に冷却される。よって、固定子に生じるジュール熱に起因する圧送流体の蒸発がより確実に抑制される。
具体的に、前記冷熱伝達部材は、前記固定子を固定可能な樹脂からなることが好ましい。
このようにすれば、圧送流体の冷熱による固定子の冷却と、固定子の安定的な保持と、の双方が同時に達成される。
また、前記ポンプにおいて、前記内包囲部は、非磁性体からなることが好ましい。
このようにすれば、内包囲部に渦電流が生じることが抑制される。
また、前記ポンプにおいて、前記超伝導体は、酸化物超伝導体であることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、ケーシング内における圧送流体の蒸発を抑制することが可能なポンプを提供することができる。
本発明の一実施形態のポンプについて、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1に示されるように、本実施形態のポンプは、シャフト10と、回転子20と、固定子30と、羽根車40と、ケーシング50と、冷熱伝達部材60と、を備えている。本実施形態では、ポンプは、液体水素、液体酸素、液体窒素等の圧送流体を移送する。
回転子20は、シャフト10に固定されている。回転子20は、圧送流体の温度よりも高い転移温度(臨界温度)を有する超伝導体からなる。超伝導体として、酸化物超伝導体や二ホウ化マグネシウム等が挙げられる。
固定子30は、回転子20の周囲に配置されている。図2及び図3に示されるように、固定子30は、磁界コイル32と、ヨーク34と、を有している。
羽根車40は、シャフト10に固定されており、圧送流体を昇圧させる。
ケーシング50は、シャフト10、羽根車40及び回転子20に圧送流体が直接接触しかつ固定子30及び冷熱伝達部材60に圧送流体が直接接触しないようにこれらシャフト10、羽根車40、回転子20、固定子30及び冷熱伝達部材60を収容する。具体的に、ケーシング50は、シャフト10、羽根車40及び回転子20を収容する内包囲部52と、内包囲部52を覆う外包囲部54と、圧送流体を内包囲部52内に吸い込むための吸込部56と、内包囲部52から圧送流体を吐出するための吐出部58と、を有する。
内包囲部52は、シャフト10、羽根車40及び回転子20を圧送流体が存在する空間Sに収容するとともに、固定子30及び冷熱伝達部材60を前記空間Sから隔離する形状を有する。本実施形態では、内包囲部52は、前記空間Sを取り囲む円筒状の内筒部52aと、内筒部52aの中心軸方向について当該内筒部52aの両端に接続された内閉塞板52bと、を有している。これら内筒部52a及び内閉塞板52bにより前記空間Sが規定される。内包囲部52は、非磁性体からなる。より具体的には、内包囲部52は、非磁性体からなり、かつ、熱伝導率の高いステンレスやアルミからなることが好ましい。内包囲部52には、吸込部56及び吐出部58が接続されている。吸込部56は、当該吸込部56の中心軸とシャフト10の中心軸とが一致するように内閉塞板52bに接続されている。吐出部58は、当該吐出部58の中心軸と羽根車40の径方向とが一致するように内筒部52aに接続されている。
図1に示されるように、内包囲部52内(空間S)に、第1軸受71及び第2軸受72を介してシャフト10が固定されている。第1軸受71は、シャフト10のうち羽根車40と回転子20との間の部位を支持している。第2軸受72は、シャフト10のうち回転子20を基準として第1軸受71が位置する側と反対側の部位を支持している。第1軸受71には、圧送流体の通過を許容する穴71aが形成されている。このため、吸込部56から内包囲部52内に吸い込まれた圧送流体の一部は、羽根車40により昇圧された後に吐出部58からケーシング50外に吐出され、圧送流体の残部は、穴71aを介して回転子20に接触する。
図2及び図3に示されるように、内筒部52aの内周面には、内筒部52aの周方向に沿って間欠的に配置された複数の熱伝導部材62が設けられている。各熱伝導部材62は、内筒部52aの中心軸と平行に延びる形状を有する。なお、図1では、各熱伝導部材62の図示は省略されている。各熱伝導部材62は、熱伝導率を高める金属粒子を含む樹脂(エポキシ樹脂等)からなる。
外包囲部54は、内包囲部52の外側に固定子30を収容する固定子室を形成するように内包囲部52を覆う形状を有する。具体的に、外包囲部54は、内筒部52aの中心軸方向について当該内筒部52aの一端から他端に至る全域にわたって内筒部52aの外側を覆う形状を有する。本実施形態では、外包囲部54は、内筒部52aの直径よりも大きな直径を有する円筒状の外筒部54aと、外筒部54aの中心軸方向について当該外筒部54aの両端に接続された外閉塞板54bと、を有している。これら外筒部54a及び外閉塞板54bにより固定子室が規定される。外筒部54aの中心軸方向の寸法は、内筒部52aの中心軸方向の寸法と同じに設定されている。固定子30は、固定子室内において内筒部52aの外周面に固定されている。
冷熱伝達部材60は、固定子室に充填されている。冷熱伝達部材60は、圧送流体の冷熱を固定子30に伝達可能な材料からなる。本実施形態では、冷熱伝達部材60は、熱伝導率を高める金属粒子を含む樹脂(エポキシ樹脂等)からなる。つまり、固定子室における固定子30の位置(回転子20と固定子30との位置関係)は、有効に固定される。なお、冷熱伝達部材60は、ヘリウムガス等であってもよい。
次に、本実施形態のポンプの動作について説明する。
まず、固定子30に交流電流が供給される。そうすると、回転子20が回転するので、シャフト10及び羽根車40も回転する。そして、吸込部56から内包囲部52内に吸い込まれた圧送流体の一部は、羽根車40で昇圧された後、吐出部58を介してケーシング50外に吐出され、圧送流体の残部は、第1軸受71の穴71aを通じて前記空間Sのうち回転子20が存在する領域に流入する。このため、回転子20が圧送流体により冷却される。本実施形態では、回転子20は、圧送流体の温度よりも高い転移温度を有する超伝導体からなるので、つまり、本ポンプの動作時には回転子20が超電導状態となるので、回転子20での損失が抑制される。また、固定子30に交流電流が供給されることによって当該固定子30にジュール熱が生じるものの、本実施形態では、固定子30は、前記空間Sから隔離された固定子室に配置されているので、前記ジュール熱の圧送流体への伝達が抑制される。よって、ケーシング50内における圧送流体の蒸発が抑制される。
そして、上記実施形態では、固定子室に冷熱伝達部材60が充填されているので、圧送流体の冷熱が内包囲部52及び冷熱伝達部材60を介して固定子30に伝達される。これにより固定子30が有効に冷却されるので、固定子30に生じるジュール熱に起因する圧送流体の蒸発がより確実に抑制される。
また、上記実施形態では、内包囲部52が非磁性体からなるので、内包囲部52に渦電流が生じることが抑制される。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、外包囲部54及び冷熱伝達部材60は、省略されてもよい。また、外筒部54aは、多角筒状に形成されてもよい。
10 シャフト
20 回転子
30 固定子
40 羽根車
50 ケーシング
52 内包囲部
54 外包囲部
60 冷熱伝達部材
S 空間
20 回転子
30 固定子
40 羽根車
50 ケーシング
52 内包囲部
54 外包囲部
60 冷熱伝達部材
S 空間
Claims (6)
- シャフトと、
前記シャフトに固定された回転子と、
前記回転子の周囲に配置された固定子と、
前記シャフトに固定された羽根車と、
ケーシングと、を備え、
前記回転子は、前記羽根車により圧送される圧送流体の温度よりも高い転移温度を有する超伝導体からなり、
前記ケーシングは、前記シャフト、前記回転子及び前記羽根車を前記圧送流体が存在する空間に収容するとともに、前記固定子を前記空間から隔離する形状を有する、ポンプ。 - 請求項1に記載のポンプにおいて、
前記ケーシングは、
前記空間を取り囲む形状を有する内包囲部と、
前記内包囲部の外側に前記固定子を収容する固定子室を形成するように前記内包囲部を覆う外包囲部と、を有する、ポンプ。 - 請求項2に記載のポンプにおいて、
前記固定子室に充填されており前記圧送流体の冷熱を前記固定子に伝達可能な冷熱伝達部材をさらに備える、ポンプ。 - 請求項3に記載のポンプにおいて、
前記冷熱伝達部材は、前記固定子を固定可能な樹脂からなる、ポンプ。 - 請求項2ないし4のいずれかに記載のポンプにおいて、
前記内包囲部は、非磁性体からなる、ポンプ。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のポンプにおいて、
前記超伝導体は、酸化物超伝導体である、ポンプ。
Priority Applications (1)
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2016
- 2016-12-08 JP JP2016238629A patent/JP2018096214A/ja active Pending
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A977 | Report on retrieval |
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A02 | Decision of refusal |
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