JP6249905B2 - 極低温液体用ポンプ - Google Patents
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Description
サブマージド型ポンプは、ポンプとモータを一体として収納用のポッドに浸漬するタイプのポンプであり、地上設置型のLNG用ポンプでは主流である。また、キャンドポンプは、モータ全体を液化ガスに浸漬するのではなく、ステータの内周側にあるステータキャンでステータと液化ガスを隔離し、ロータのみを液化ガスに浸漬するタイプのポンプである。
特許文献1に開示のサブマージドポンプは、内部にポンプ本体を収納した有底筒状の内槽及び該内槽の周囲を覆う有底筒状の外槽からなる上部が開口したケーシング本体と、該ケーシング本体の上部開口を閉塞する蓋部材と、前記ポンプ本体の吐出口から前記蓋部材を貫通して外部に延出した吐出配管と、前記外槽を貫通して内槽内に連通した吸入配管とを備え、前記内槽と外槽との間に断熱層を形成したサブマージドポンプにおいて、前記内槽の上端部外周に設けたフランジの下面外周部に前記外槽の上端縁を固着するとともに、外槽固着部よりも内周側のフランジ上面に蓋部材固定用の植え込みボルトを植設し、該植え込みボルトを蓋部材外周のフランジ部に設けたボルト孔に挿通し、該ボルト孔から突出する植え込みボルトにナットを螺着して前記蓋部材を前記内槽の上部に着脱可能に取り付けたことを特徴とするものである。
特許文献2に開示の低温液化ガス用ポンプは、低温液化ガスを、上下に延びる回転軸の下部に設けられる下側羽根車を回転駆動することによって輸送するポンプ本体と、ポンプ本体の上部に取付けられ、回転軸にロータが固定され、ステータの内周側にロータおよび回転軸と隙間をあけて外囲するようにステータキャンが挿設けされるキャンドモータと、ステータキャンの上方で、回転軸の上部に設けられる上側羽根車と、上側羽根車によって昇圧された低温液化ガスを、ポンプ本体の吐出側に注入する注入管路とを含むことを特徴とするものである。
特許文献3に開示のハイブリッドポンプは、内部を液体が流通可能な配管と、該配管内で回転自在に支持されている羽根車と、該羽根車に固定され一体となって回転自在のロータと、配管外に設置したステータコイル装置とを具備し、前記ロータとステータコイル装置との間の電磁的相互作用により羽根車を回転駆動することを特徴とするものである。
サブマージド型ポンプでは、モータが液化ガス中にあるため、モータの発熱が液化ガスに加わって当該液化ガスを気化させてしまう。従って、気化した液化ガスを大気中に放出してしまえば液化ガスが無駄になるという問題が生じ、気化してしまった液化ガスを該ポンプの吸込口側に戻す配管を別途設ければ、サブマージド型ポンプの構造が複雑になるという問題が生じる。
また、キャンドモータ循環流の流量はキャンドポンプの吐出流量によって変化するので、キャンドポンプの動作中にモータの冷却能力や軸受け部分の潤滑条件が変化するという問題もある。さらに、キャンドポンプはモータの冷却に液化ガスを使用するので、モータの発熱が液化ガスに加わって当該液化ガスを気化させてしまい、液化ガスの移送効率が低下してしまう。
また、特許文献3のハイブリッドポンプは、サブマージド型ポンプともキャンドポンプとも異なる構成を有するポンプであり、配管外にステータコイル装置を備えている。従って、ステータコイル装置が設けられた部分が配管の径に比べて大きく肥大した形状となるので、このハイブリッドポンプは扱いにくく設置場所を選ぶ構成を有しているといえる。また、このハイブリッドポンプは、ステータコイル装置の煩雑な構造が肥大した配管のさらに外側に露出しているので、さらに扱いにくい。加えて、特許文献3に開示されていないが、ハイブリッドポンプのステータコイル装置を冷却するための冷却機構が必要であると考えられるため、ハイブリッドポンプはより煩雑な構成となってさらに扱いにくくなるという問題がある。
本発明による極低温液体用ポンプは、超電導線が超電導転移する温度以下の液体を移送する極低温液体用ポンプであって、両端に開口を有する筒状の外管体と、前記外管体の内周に沿って設けられ、前記超電導線が巻回された界磁コイルを有するステータ装置と、前記外管体に同軸状となるように遊嵌されていて、磁力を発する磁力発生体を有し、前記磁力発生体が発する磁力と前記ステータ装置の界磁コイルが発する磁力との相互作用によって前記外管体の軸心回りに回転する筒状の内管体と、前記内管体の内周に設けられ、且つ当該内管体の回転力を前記内管体内の液体に伝達して該液体を前記外管体の一方の開口側から他方の開口側へ流動させる回転力伝達手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記内管体を磁力によって前記外管体内の所定の位置に保持する磁気軸受を備え、前記磁気軸受が、前記内管体を保持する磁気を前記超電導線が巻回された超電導コイルによって発するとよい。
さらに、前記内管体に備えられた磁力発生体が、永久磁石であるとよい。
または、前記内管体に備えられた磁力発生体が、酸化物超電導体であるとよい。
ここで、前記液体が、液体窒素、液体酸素、液体水素、液体ネオン、又は液体ヘリウムであるとよい。
なお、好ましくは、前記界磁コイルは、当該界磁コイルの磁気軸が前記外管体の軸心と平行となるように、前記外管体の内周面に沿うように配備され、前記磁気発生体は、当該磁気発生体の磁気軸が前記外管体の軸心と平行となるように、前記内管体に取り付けられているとよい。
なお、本発明にかかる極低温液体用ポンプの最も好ましい形態は、超電導線が超電導転移する温度以下の液体を移送する極低温液体用ポンプであって、両端に開口を有する筒状の外管体と、前記外管体の内周に沿って設けられ、前記超電導線が巻回された界磁コイルを有するステータ装置と、前記外管体に同軸状となるように遊嵌されていて、磁力を発する磁力発生体を有し、前記磁力発生体が発する磁力と前記ステータ装置の界磁コイルが発する磁力との相互作用によって前記外管体の軸心回りに回転する筒状の内管体と、前記内管体の内周に設けられ、且つ当該内管体の回転力を前記内管体内の液体に伝達して該液体を前記外管体の一方の開口側から他方の開口側へ流動させる回転力伝達手段と、を備えるものであって、前記内管体を磁力によって前記外管体内の所定の位置に保持する磁気軸受を備え、前記磁気軸受が、前記内管体を保持する磁気を前記超電導線が巻回された超電導コイルによって発することを特徴とする。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による極低温液体用ポンプ1の断面構成を示す図である。第1実施形態による極低温液体用ポンプ1は、液化天然ガス(LNG)、液体窒素、液体酸素、液体水素、液体ネオン及び液体ヘリウムなど、沸点が約100K(ケルビン)以下の極低温の液化ガス(極低温液体)を液体の状態で移送するためのポンプである。図1は、管状の外観形状を有する極低温液体用ポンプ1を、該管状の極低温液体用ポンプ1の軸心を通る平面で切断したときの断面を示す。
極低温液体用ポンプ1は、上述のように約100K(ケルビン)以下といった、超電導線が超電導転移する温度の沸点を有する極低温液体を移送するものである。
図1に示すように、上述の構成を有する外管体2は、その全長の中央近傍において、外管体2内の内周の径(内径)を拡大して形成された内径拡張部9を有している。図1に示すとおり、内径拡張部9は、外管体2の管内から見れば、大径管2b及び小径管2aが管外に向かって凹むことで形成された窪みである。この内径拡張部9は、外管体2の軸心に沿って所定の長さを有するように形成されており、この内径拡張部9に、後述するステータ装置4及びロータ5が設けられる。
ステータ装置4は、超電導線が巻回された界磁コイル3、界磁コイル3が発する磁力線を集中させるための鉄心である鉄ヨーク10、及び後述するロータ5を磁力によって保持する磁気軸受7を有する。
図2に示すように、第1実施形態では、上述の構成及び配置の界磁コイル3を6個用いて、これら6個の界磁コイル3を内径拡張部9の周方向に沿ってほぼ等間隔に配置する。
ここで、図2を参照して、上述のように内径拡張部9の内周面に沿って配置された6個の界磁コイル3の開口のそれぞれには、鉄ヨーク10が設けられる。鉄ヨーク10は、隣り合う2個の界磁コイル3それぞれの開口に配置され、巻径の長手方向に沿った所定の長さと、界磁コイル3の開口をほぼ垂直に貫く高さとを有する鉄心部10aを有する。さらに、鉄ヨーク10は、鉄心部10aと同一材質の接続部10bによって、隣り合う2個の界磁コイル3の開口に別々に配置された2個の鉄心部10aを、当該2個の界磁コイル3と内径拡張部9の内周面との間でつなぐ。
磁気軸受7は、電磁石が発する磁気(吸引力)を用いてロータ5を非接触で保持するものでありその構成は周知であるが、本実施形態による磁気軸受7は、界磁コイル3と同様の超電導線が巻回された超電導コイルによって磁気(吸引力)を発生し、ロータ5を保持する。
図1及び図2を参照して、内管体(ロータ)5は、両端に開口を有する管状(筒状)の部材であって、外管体2と同様に、例えばステンレス鋼などで構成されている。図1に示すように、管状(筒状)のロータ5の軸心方向に沿った全長は、ステータ装置4の2つの磁気軸受7,7の間隔以上であり、また、図2に示すように、ロータ5の外周の径(外径)は、内径拡張部9に配置されたステータ装置4の内径未満である。
本実施形態では、図1に示すように、ロータ5の軸心方向における6つの位置のそれぞれにおいて、図2に示すように、6つの磁力発生体11がロータ5の外周を取り囲むように設けられている。従って、ロータ5は、ロータ5の外周面の周方向に沿って6つの磁力発生体11が直線状に整列すると共に、ロータ5の軸心方向に沿って6つの磁力発生体11が直線状に整列するように、複数の磁力発生体11を有している。
)モータ又はPMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor)モータのことである。
繰り返すが、上述のインペラ6を有するロータ5をステータ装置4の内周側に配置することで、配置されたロータ5が磁気軸受7によって支持されて外管体2に同軸状となるように遊嵌された極低温液体用ポンプ1が構成される。図示しないが、ステータ装置4は交流電源装置に接続されており、交流電源装置からステータ装置4に電源を供給することで、ロータ5は、周知のPMモータの原理により外管体2の軸心C回りに回転する。
「第1実施形態の変形例」
図3は、第1実施形態の変形例の極低温液体用ポンプ1について、断面構造を示したものである。
すなわち、この変形例の鉄ヨーク10は、外管体2の外径よりも径が大きな円環状の環状部10cを有している。この環状部10cは、鉄などのように内部に磁路を形成可能な金属で円環状に形成されており、外管体2の外周面から一定の距離をあけつつ外管体2の外周面に沿うように配備されている。この環状部10cと外管体2との間には、径方向に沿って両者を連結する連結部10dが形成されている。この連結部10dは、界磁コイル3の周方向の設置箇所に対応して、周方向に複数設けられている。なお、図3の例では、界磁コイル3は周方向にほぼ等間隔をあけて6つ配備されているため、環状部10cと外管体2とは6箇所の連結部10dを介して連結するようになっている。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態の極低温液体用ポンプ1について、図4を用いて説明する。
すなわち、図1や図2に示す第1実施形態では、界磁コイル3は、この界磁コイル3の磁気軸(界磁コイル3のN極とS極とを結ぶ軸線、磁気ポール)が径方向を向くように外管体2の内周面に取り付けられており、また永久磁石からなる磁力発生体11も、この磁力発生体11の磁気軸が径方向を向くように取り付けられていた。言い換えれば、第1実施形態では、界磁コイル3は、当該界磁コイル3の磁気軸が外管体2の軸心と垂直となるように、外管体2の内周面に取り付けられており、磁気発生体11は、当該磁気発生体11の磁気軸が外管体2の軸心と垂直となるように、内管体5に取り付けられていた。
具体的には、第2実施形態の界磁コイル3は、外管体2の内周面に沿って周方向に超電導線を巻回して形成されており、巻回により形成された各界磁コイル3の断面形状は内周面から径内側にフランジ状に突出したような断面形状となっている。一方、第2実施形態の磁気発生体11は、内管体5の外周面から径外側に向かって起立状に取り付けられており、軸方向に一定の間隔をあけて複数配備されている。そして、軸方向に間隔をあけて隣接する磁気発生体11の間に、上述した界磁コイル3が挟み込まれるようにして、界磁コイル3と磁力発生体11とが配設されている。
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
さらに、上述の実施形態では、外管体2に形成された内径拡張部9にステータ装置4を設けたが、内径拡張部9が設けられていない一様な内径を有する外管体2の管内にステータ装置4及びロータ5を設けても良い。その場合、ステータ装置4が設けられた部分だけ外管体2の内径が小さくなるが、内径拡張部9が無いので一様な外径を有する外管体2を実現することができる。このような、一様な外径の外管体2を有する極低温液体用ポンプ1であれば、極低温液体を移送する配管に接続する際に、該接続箇所の周辺の配管との干渉を回避することができ、設置の自由度の高い極低温液体用ポンプ1を得ることができる。
2 外管体
2a 小径管
2b 大径管
3 界磁コイル
4 ステータ装置
5 内管体(ロータ)
6 回転力伝達手段(インペラ)
7 磁気軸受
8 真空断熱層
9 内径拡張部
10 鉄ヨーク
10a 鉄心部
10b 接続部
10c 環状部
10d 連結部
11 磁力発生体
C 軸心
R 含浸樹脂
Claims (9)
- 超電導線が超電導転移する温度以下の液体を移送する極低温液体用ポンプであって、
両端に開口を有する筒状の外管体と、
前記外管体の内周に沿って設けられ、前記超電導線が巻回された界磁コイルを有するステータ装置と、
前記外管体に同軸状となるように遊嵌されていて、磁力を発する磁力発生体を有し、前記磁力発生体が発する磁力と前記ステータ装置の界磁コイルが発する磁力との相互作用によって前記外管体の軸心回りに回転する筒状の内管体と、
前記内管体の内周に設けられ、且つ当該内管体の回転力を前記内管体内の液体に伝達して該液体を前記外管体の一方の開口側から他方の開口側へ流動させる回転力伝達手段と、を備えるものであって、
前記内管体を磁力によって前記外管体内の所定の位置に保持する磁気軸受を備え、
前記磁気軸受が、前記内管体を保持する磁気を前記超電導線が巻回された超電導コイルによって発する
ことを特徴とする極低温液体用ポンプ。 - 前記回転力伝達手段は、前記内管体の内周において前記外管体の軸心に沿って螺旋状となるように配置された板状の部材である羽根板で構成されることを特徴とする請求項1に記載の極低温液体用ポンプ。
- 前記外管体が、該外管体の内周において内径を拡大することで形成された内径拡張部を有し、
前記ステータ装置が、前記内径拡張部に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の極低温液体用ポンプ。 - 前記内管体に備えられた磁力発生体が、永久磁石であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の極低温液体用ポンプ。
- 前記内管体に備えられた磁力発生体が、酸化物超電導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の極低温液体用ポンプ。
- 前記液体が、液体窒素、液体酸素、液体水素、液体ネオン、又は液体ヘリウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の極低温液体用ポンプ。
- 前記ステータ装置の界磁コイルが、前記液体と直接に接触することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の極低温液体用ポンプ。
- 前記界磁コイルは、当該界磁コイルの磁気軸が前記外管体の軸心と平行となるように、前記外管体の内周面に沿うように配備され、
前記磁気発生体は、当該磁気発生体の磁気軸が前記外管体の軸心と平行となるように、前記内管体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の極低温液体用ポンプ。 - 前記界磁コイルは、当該界磁コイルの磁気軸が前記外管体の軸心と垂直となるように、前記外管体の内周面に配備され、
前記磁気発生体は、当該磁気発生体の磁気軸が前記外管体の軸心と垂直となるように、前記内管体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の極低温液体用ポンプ。
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